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平成16年9月17日
金融庁

シティバンク、エヌ・エイ在日支店に対する行政処分について

I . 命令の内容

  • 1.  銀行法第47条第2項及び第27条に基づく命令

    平成17年9月30日をもって、丸の内支店、名古屋出張所、大阪出張所及び福岡出張所の認可を取り消すこと。併せて、平成16年9月29日から平成17年9月29日までの間、これらの支店及び出張所におけるすべての業務を停止すること(ただし、既存取引の解消及びこれに付随する業務を除く)。

  • 2.  銀行法第47条第2項、第3項及び第26条第1項に基づく命令

    • (1)平成16年9月29日から平成16年10月28日までの間、個人金融本部における外貨預金業務にかかる新規顧客との取引業務を停止すること(既存顧客との取引を除く)。

    • (2)法令等遵守(コンプライアンス)を徹底し、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに、シティバンク、エヌ・エイ在日支店(以下、「在日支店」という。)の業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下の観点から経営管理・内部管理態勢(人的構成と体制の構築を含む)を確立すること。

      • 法令等遵守(コンプライアンス)にかかる経営姿勢の明確化及び法令等遵守を重視する企業風土の醸成、並びに、これらを着実に実現するための組織・体制の見直し

      • シティバンク、エヌ・エイ ニューヨーク本店(以下、「銀行本部」という。)の経営関与の在り方を抜本的に見直すことを前提とする在日支店の経営管理・内部管理態勢の構築及び責任体制の明確化

      • 法令違反・不適切取引等を排除する観点から、在日支店とグループ証券会社及び信託銀行の現行の一体的な営業体制の抜本的な見直し及び適正化

      • 在日支店の各業務部門を統括する法務・コンプライアンス部門の体制、内部牽制機能、及び、内部監査機能の整備・強化とフォローアップの実施

      • 金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律(平成14年法律第32号)に基づく本人確認義務等、及び、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号)に基づく疑わしい取引の届出義務を的確に履行する営業・管理態勢の構築

      • 預金者等に対する適正な情報の提供及び説明態勢の確保、並びに、苦情等に適切に対応する態勢の整備

      • 顧客情報の適正な管理に関する役職員の認識の徹底及び管理態勢の構築

      • 検査における適切な対応、監督に対する実態を反映した報告など、検査・監督に対する真実性のある的確な対応、及び、それを確実ならしめる態勢の整備

      • 役職員の法令・諸規則に対する理解と遵守の徹底及びそのための態勢整備

    • (3)法令違反を含む、下記 II .処分の理由にかかる問題等の原因となった役職員の責任の所在の明確化

    • (4)上記(2)及び(3)、並びに、検査結果通知及び報告命令に記載された事項にかかる業務の改善計画(改善計画を着実に実施するための経営管理態勢の整備・確立及び実効性確保にかかる責任の分担の明確化を含む)を平成16年10月22日までに提出し、直ちに実行すること。

    • (5)上記(4)の実行後、当該業務の改善計画の実施完了までの間、平成16年12月末を第一回目とし、以後3ヶ月毎に計画等の進捗・実施及び改善状況をとりまとめ、翌月15日までに報告すること。

II . 処分の理由

在日支店からの不祥事件等届出、在日支店に対する当庁の検査(平成16年5月21日通知)、並びに、銀行法第24条第1項及び第48条の規定に基づく在日支店からの報告によると、下記の通り、在日支店の法令等遵守(コンプライアンス)態勢及び経営管理(ガバナンス)態勢などに根本的な問題が認められたこと。特に、プライベート・バンク部門(以下、「PB部門」という。)(丸の内支店、名古屋出張所、大阪出張所及び福岡出張所)では、公益を害する行為、重大な法令違反及び極めて不適切な取引等が多数検証され、今後の業務の継続は不適当と認められること。また、個人金融本部では、外貨預金業務にかかる内部管理態勢が未整備であり、業務の改善に専念させる必要があることが確認されたこと。

  • 1.  法令等遵守(コンプライアンス)

    • (1)公益を害する行為

      在日支店のPB部門では、顧客開拓と収益獲得に偏重し、顧客・取引内容の事前調査(リスク・適合性の検証を含む)、貸出審査(資金使途・取引目的の確認及び調査)等がいずれも実質的に行われていないことから、有価証券の相場操縦等の罪で起訴された被告人たちへの多額の資金流用を許す貸出の実行、及び、同被告人の依頼によって、地方公共団体から公的資金を引き出すための「見せ金融資」を実行しており、銀行法第27条に規定する「公益を害する行為をしたとき」に該当すると認められること。

    • (2)法令違反

      • イ.  本人確認及び疑わしい取引の届出義務にかかる法令違反

        在日支店のPB部門では、シティバンクの海外支店において現地監督当局に対し疑わしい取引の届出が再三行われている取引者等との取引の推進、口座の不正開設等によりマネー・ロンダリングと疑われる取引を許すなど、金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律第3条に基づく本人確認義務等、及び、第4条に基づく本人確認記録の作成義務等、並びに、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第54条に基づく疑わしい取引の届出義務にかかる法令違反行為を多数行っていた事実が認められること。

      • ロ.  預金者等に対する情報の提供等にかかる法令違反

        • 在日支店のPB部門では、預金等の金融商品のリスクや重要事項の提示・説明を行わずに、顧客を誤認させて取引の勧誘・販売を行うなど、銀行法第12条の2第1項、同法施行規則第13条の3第4号及び第5号、並びに、同施行規則第13条の5第2項に規定する情報提供義務にかかる法令違反行為を多数行っていた事実が認められること。

        • 同部門のこのような金融商品の勧誘・販売実態は、金融商品の販売等に関する法律(平成12年法律第101号)第3条第1項に規定する重要事項の説明義務に違反しており、金融商品の販売等にかかる勧誘の適正の確保に努められていない営業体制は同法第7条に違反するものと認められること。

        • 同部門の、個別の営業活動を日々適正に監視する基本的な体制や仕組みが未構築で、健全かつ適切な業務の運営を確保するための実効性ある社内規則等が定められておらず、かつ、行員に対する研修その他の当該社内規則等に基づいて業務を運営する体制を整備していない状況は、銀行法第12条の2第2項、同法施行規則第13条の7に違反するものと認められること。

      • ハ.  在日シティグループの組織的な連携による他業禁止義務にかかる法令違反

        在日支店では、前回の当庁の立入検査結果に基づき、平成13年8月、銀行法第12条に違反したとして、業務の一部停止・業務改善命令を受けていたにもかかわらず、今回の立入検査時には、在日支店のPB部門が中心となり、グループ証券会社及び信託銀行との組織的な連携により、海外不動産投資案件等の媒介・勧誘や海外生命保険の募集、美術品取引にかかる媒介など、銀行法第12条違反の取引が多数認められ、多額の違法収益を上げている実態が明らかとなっていること。

    • (3)不公正取引

      在日支店のPB部門では、適合性原則及び適正な公正価値算定のルールが定められておらず、約定価格や顧客に提供する時価情報の公正性・妥当性の検証が適正に行われない体制、及び、収益獲得を最優先に営業を推進する態勢の下で、資産流動化取引、デリバティブ関連取引等を通じて、顧客に不当な負担を強いるとともに、多額の不健全な収益を収受している不公正な取引事例が多数認められていること。

    • (4)不適切取引

      前回の当庁による立入検査結果に基づき、平成13年8月、顧客の意図的な決算調整に利用されるおそれのある不適切な取引を組成・実行していたこと等、法務・コンプライアンス態勢等に問題が認められたとして、業務改善命令を受けていたにもかかわらず、今回の当庁の立入検査及び在日支店からの報告においても、在日支店のPB部門において、当事者の不正を助長するバックファイナンスや、会計操作目的・損失先送り等に利用される不適切な取引事例が多数認められていること。

    • (5)不適切な顧客情報管理態勢

      在日支店のPB部門においては、営業担当者による顧客の暗証番号等の杜撰な管理、顧客を誤認させ投資判断を誤らせ得る内容の「預り資産一覧」の作成、並びに、在日支店のPB部門と海外支店の「ジャパン・デスク」(海外の邦人顧客の営業窓口)との間の不適切な顧客情報の共有及び取引管理など、利用者の保護に欠ける不適切な顧客情報の管理態勢となっていること。

    • (6)外貨預金業務にかかる内部管理態勢の未整備

      • イ.  在日支店の個人金融本部においては、外貨預金の為替差損の損失補てんを理由に金銭を強要する取引者に組織的な対応を行わずに、内部管理の未整備の実態を熟知した支店長が、行内から盗み出した預金通知書を利用して、複数の預金者から外貨預金の代り金を、平成7年より約7年間に、18億円以上も詐取した事件が発覚していること。

      • ロ.  また、同本部における外貨預金商品の広告の制作については、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第4条(有利誤認)の規定に違反するか否かを行内で検証する態勢が未整備であることも明らかとなっていること。

      • ハ.  さらに、同本部では、外貨預金をはじめとして、支店業務の運営において、基本的・初歩的な営業対応等に関する顧客からの苦情や、顧客とのトラブルなどが減ることなく、一般行員のみならず、役席者においても、適宜・適切な対応が行われていない事例が多数認められていること。

  • 2.  経営管理(ガバナンス)態勢

    • (1)在日支店の管理体制の問題

      在日支店の経営委員会は、在日支店の各事業部門の業務運営に対して指導・監督する権限を有しておらず、経営の統合管理が行われていないなど、監督体制に重大な欠陥が認められること。

      さらに、我が国の法令諸規則や市場慣行に準じた自店検査・監査を行える組織・機構・人的構成が構築されていないため、適正な自主的検証と事後対応が行われておらず、総じて、在日支店の内部統制は適正に機能していない状況にあること。

    • (2)在日支店のPB部門とシティグループ各社による一体的な営業体制の問題

      銀行本部による過度の収益性重視の経営環境の下で、在日支店のPB部門が中心となって、在日グループ証券会社及び信託銀行との組織的な連携により、我が国の法令諸規則を無視・潜脱した脱法的な営業体制が構築され、経年、適正な営業管理が行われずに放置されてきた実態が認められること。

    • (3)銀行本部による経営管理の問題

      銀行本部は前年実績比大幅増の営業目標を在日支店のPB部門に課し、給与体系と人事評価をその営業実績と密接に連関させ、収益偏重・法令等遵守(コンプライアンス)軽視の営業を推進しているが、銀行本部の経営陣は、在日支店の業務運営にかかる監督責任を適正に果たしていない実態が認められ、支店業務の運営にかかる在日支店及び銀行本部の経営陣の経営責任と責任体制が著しく不明確な組織・機構となっている問題が認められること。

  • 3.  業務改善命令に違反する実態及び不適切な検査対応等

    • (1)銀行法第26条第1項に基づく業務改善命令に違反している実態

      • イ.  在日支店は、当庁の立入検査結果を受けて、平成13年8月、銀行法第12条違反等により、銀行法第27条に基づく業務の一部停止命令、並びに、同法第26条第1項に基づく在日支店の業務にかかる組織・運営面の抜本的改革及びそれに対する経営陣の認識の徹底、法令遵守態勢の整備等を内容とする業務改善命令を受けている。

      • ロ.  しかしながら、当庁による今般の立入検査の結果(平成16年5月通知)、上記の指摘事項の改善に要する調査・原因分析及び監査等が適切に行われておらず、法令等遵守にかかる経営管理及び内部管理態勢、並びに、銀行法第12条違反の営業実態など、実際に改善されていない現況が確認されたこと。

      • ハ.  さらに、そのような実態であるにもかかわらず、当庁に対する改善計画への取り組み経過報告の当初の段階(平成13年9月)から最終報告(平成15年3月)までの間、所要の改善をすべて完了した旨の実態と異なる報告を行って、当庁より業務改善計画の実施状況の報告命令の解除(平成15年6月)を受けていた事実も確認されたこと。

    • (2)不適切な検査対応等

      今回の当庁の立入検査及びその後の監督上の報告徴求では、一部の営業責任者や行員が、事実と異なる回答や開示すべき資料等を提示しない対応を行うなど、検査による業務実態の把握及び監督による検証の実施を阻害する行為が度々認められていること。

本件に関する問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
監督局銀行第一課(内線3751、3752)

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