平成18年4月26日
金融庁

新生信託銀行株式会社に対する行政処分について

I .命令の内容

銀行法第26条第1項及び金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第8条の2の規定に基づく命令

  • 1.不動産管理処分信託の新規受託業務を平成18年5月11日から平成19年5月10日までの間は行わないこと。

  • 2.信託受託のための調査・審査・管理の態勢を導入し、当行の営業部門が受託した信託財産の調査・審査を直ちに実施するとともに、今後の管理に係る留意点等の洗い出し、リスクの把握、並びに、当行の対処方針等の策定を行うこと。

  • 3.信託銀行として、公正かつ適正な業務運営を実現するため、以下の観点から経営管理(ガバナンス)態勢及び法令等遵守(コンプライアンス)態勢(人的構成と体制の構築を含む。)を確立すること。

    • (1)法令等遵守に係る経営姿勢の明確化、当行の取締役及び監査役による責任ある経営・牽制態勢の構築、並びに、これらを着実に実現するための当行の組織・機構、業務運営方法の見直し

    • (2)上記2.により導入する信託受託のための調査・審査・管理の態勢の継続的な整備・強化、並びに、当行の業務の適切な運営に必要な人員の確保・維持、及び、責任体制の明確化

    • (3)金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第5条に基づき、当行が当庁に申請し、認可を受けた「業務の種類及び方法書」に則った業務執行・管理体制の構築、並びに、適切な役職員の選任・権限委譲の実施、及び、責任分掌体制の明確化

    • (4)役職員の法令・諸規則に対する理解と遵守の徹底

    • (5)営業部門における信託業務の取引関係者に対する適切な説明・情報開示を行うための態勢の構築

    • (6)監査を適正に行うための態勢の整備、並びに、適正な監査及びフォローアップの実施

  • 4.法令違反を含む下記 II .処分の理由、並びに、検査結果通知及び報告命令に記載された事項に係る問題等の原因となった役職員の責任の所在の明確化を図ること。

  • 5.上記2.から4.並びに、検査結果通知及び報告命令に記載された事項に係る業務の改善計画(改善計画を着実に実施するための社内の管理態勢の整備及び実行性確保に係る責任の分担の明確化を含む。)を平成18年5月26日までに提出し、直ちに実行すること。

  • 6.上記5.の実施後、当該業務の改善計画の実施完了までの間、平成18年9月末を第1回目とし、以後3ヶ月毎に計画等の進捗・実施及び改善状況をとりまとめ、翌月15日までに報告すること。

II .処分の理由

当庁の今般の立入検査(平成18年2月2日通知)及びその後の報告徴求により、当行の法令等遵守(コンプライアンス)及び経営管理(ガバナンス)態勢などに以下の重大な問題が認められたこと。

特に、当行の不動産管理信託業務の営業、受託審査、受託後の運営・管理等については、取組方針の抜本的な見直し・改善、及び、態勢(人的構成と体制の構築を含む。)の構築・整備に専念させる必要性が確認されたこと。

1.法令違反等

  • (1)当行では、不動産を原資産(信託財産)とする流動化・証券化案件の不動産管理信託業務において、引受けを行おうとする不動産の受託審査・査定等を行わず(人的構成や体制を整備せず)、対象物件の瑕疵やリスクを信託受益者等に転嫁して、受託による収益を収受する営業を推進している。

    当庁の今般の立入検査により、上記のような業務運営の実態が明らかとなったことを踏まえ、当行が受託した信託財産(不動産)について、当庁の指示により当行が改めて実施した調査・査定の結果、適法状態への是正が困難な違法建築、並びに、収益が過大に設定され、必要経費や減価要因が適切に織り込まれずに、信託委託者等が提示した信託元本及び信託受益権価額と当行が改めて実施した物件評価額とが乖離する事例などが検出され、当該信託受益権の他者への譲渡の承諾、並びに、利益相反の営業が認められている。

    加えて、当行による当該受益権の他者への譲渡の承諾が行われたものの一部には、一般投資家にリスクを負わせる可能性を認識しながら、不動産投資信託(REIT)への譲渡の承諾を与えている事例も、複数確認されている。

    当行は、信託業務を兼営する銀行として、信用を失墜させることのないリスク管理及び内部管理態勢を整備しなければならないが、これを行わずに基本的な注意義務が履行できない態勢、及び、業務運営上の重大かつ根本的な問題が認められるとともに、不動産管理信託契約上の受託者責任は免れず、信託法第20条及び信託業法第28条第2項(いわゆる善管注意義務)に違反していること。

  • (2)当行は、営業部門とは独立した役職員で構成される案件審査委員会を組織し、不動産管理信託の取引を受託する際に審査や内部牽制を行う管理体制にあると説明して、当庁より「業務の種類及び方法書」の認可を受けているが、上記(1)のように、当初から認可された業務の方法と全く異なる業務運営が行われている実態が明らかになったこと。

2.経営管理(ガバナンス)及び内部管理態勢等

  • (1)不動産管理信託業務を統括する当行の代表取締役社長以下経営陣、並びに、営業管理責任者等は、不動産の管理信託業務や取引実務の適正かつ十分な知識及び経験を有しておらず、当庁の今般の立入検査を受けるまで、上記1.の法令違反や重大な問題等を有する業務運営が通常であるとの特異な認識を有しており、経営による業務の監視や監査役による監査が全く機能していなかった事実が明らかとなっていること。

  • (2)当行の管理部門では、受託後の信託財産を忠実かつ適切に運営・管理するために必要となる基本的な管理規程やモニタリングのための態勢(人的構成と体制)が整備されておらず、信託財産の状況等が適切に把握されていないこと。

  • (3)また、当行では、内部監査を所管する管理部門が、親会社である株式会社新生銀行に内部監査業務を委託して行わせているが、信託業務に係る内部監査が実質的に機能しておらず、当局に認可を受けた「業務の種類及び方法書」等に記載された業務運営とは明らかに異なる営業や管理の実態についても、指摘や牽制が全く行われてこなかった基本的な問題が認められていること。

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