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平成17年8月26日
金融庁

株式会社東京三菱銀行に対する行政処分について

  • 1. 株式会社東京三菱銀行から、銀行法第53条第1項及び銀行法施行規則第35条に基づく不祥事件等届出書の提出があり、営業店において、顧客からの照会をきっかけとして、当行の子会社である人材派遣会社からの派遣社員(渉外担当)による顧客預金の着服が発覚し、行内調査の結果、10年以上の長期間にわたり、9億円以上の着服を行っていたことが判明したとの報告を受けた。

  • 2. 本件届出を受け、当庁として、銀行法第24条に基づき、同行に対し、このような不祥事件の発生原因及び長期間にわたり発見できなかった理由等について報告を求めて検証した結果、以下のとおり、同行については、法令等遵守に関する経営姿勢及び内部管理態勢に重大な問題が認められた。

    • (1)経営陣は、過去に多発した行員による不祥事件を踏まえ、不祥事件の再発防止のための取組みを行っているものの、派遣社員の増加や職務内容の変化に伴う不正リスクに対する認識が不足しているなど、法令等遵守に係る経営姿勢は未だ不十分であること。

    • (2)この結果、長期同一業務従事者の管理に関するルールの適用が不十分であるなど、行員に比べて人事情報が少ない等の派遣社員の特性を踏まえた人事管理・労務管理態勢が構築されておらず、また、異例事務の取扱いについても、外的・内的な変動要因に対応した見直しを行っていないなど、全行的な法令等遵守態勢が確立されていないこと。

      さらに、営業店においても、派遣社員の動態管理が適切に行われていないほか、異例事務について、担当者別件数や発生理由の検証、削減に向けた取組みが行われていないなど、日常的な相互牽制機能が不十分なものとなっていること。

      また、人材派遣子会社においても、社員の動態管理が不十分であるほか、当該子会社・当行間でルール遵守を管理する仕組みがないなど、法令等遵守態勢に問題が認められること。

    • (3)業務監査室による内部監査の監査プログラムには、長期間同一部署に在籍する派遣社員の管理状況が対象に含まれていないこと、営業店に対する内部監査では、営業店の内部管理態勢が脆弱であるとの指摘は行っているものの、本件不祥事件を銀行自らで発見することができずに顧客からの申し出を受けて発覚したこと等、自浄機能が発揮されず内部監査機能が実効性を欠いたものとなっていること。

  • 3. 以上を理由として、本日、同行に対し、銀行法第26条第1項の規定に基づき、下記の内容の業務改善命令を発出した。

  • (1)法令等遵守態勢を確立し健全な業務運営を確保するため、以下の観点から内部管理態勢を充実・強化すること。

    • 法令等遵守(コンプライアンス)に取り組む経営姿勢の明確化

    • 抜本的な不祥事件再発防止策の策定による全行的な法令等遵守態勢の確立(営業店における日常的な相互牽制機能及び子会社等の管理態勢の強化を含む)

    • 内部監査機能の実効性確保

  • (2)上記(1)に関する業務改善計画を平成17年9月26日までに提出し、直ちに実行すること。

  • (3)上記(2)の実行後、当該業務改善計画の実施完了までの間、平成17年9月期を初回として、四半期毎の進捗・実施状況等を翌月15日までに報告すること。

問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
監督局 銀行第一課(内線3321、3325)

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