平成12年9月21日
金融庁

生命保険会社(19社)に対する検査結果について

生命保険会社(19社)に対する検査結果は下記のとおり。

1.検査基準日:平成11年3月31日

2.総与信の査定状況

I 分類( II 分類、 III 分類及び IV 分類としない資産) 48兆625億円
II 分類(個別に適切なリスク管理を要する資産) 2兆9,844億円
III 分類(最終の回収に重大な懸念が存在する資産) 2,332億円
IV 分類(回収不可能又は無価値と判定される資産) 235億円
検査基準日の総与信 51兆3,061億円
(注)億円未満切り捨て

本件についての問い合わせ先

金融庁検査部審査課総括係
 担当者:藤本、筑紫
(03-3506-6073)


生命保険会社(19社)に対する検査結果について

金融監督庁は、保険業法第128条等に基づき生命保険会社から平成11年3月期決算における自己査定結果の報告を受け、生命保険会社に対して集中的な検査を実施した。その結果、概要は以下のとおり。(第百生命、大正生命は別書)

1 .総与信の査定結果(11年3月末、償却・引当後)

(単位:億円)

 

分類状況

総与信

I

II

III

IV

当局査定(a)

480,625 29,844 2,332 235 513,061

自己査定(b)

493,482 18,938 616 10  513,061

(a) - (b)

▲12,857   10,906    1,716      225

(注)  総与信とは、貸付金、貸付有価証券、支払承諾見返、未収利息、仮払金の融資関連科目をいう。

(参考)第百生命保険会社・大正生命保険会社

(単位:億円)

 

分類状況

総与信

I

II

III

IV

当局査定 (a)

   6,975    1,265      420       26 8,688

自己査定(b)

7,142 1,306 239 8,688

(a) - (b)

▲   167 ▲    41 181 26

2.償却・引当の適切性(11年3月末)

(単位:億円)

当局査定に基づく
償却・引当額
(1)
自己査定に基づく
償却・引当額
(2)
要追加償却・
引当額
(1) - (2)
16,394 14,575 1,814

(注) 「当局査定に基づく償却・引当額(1)」は、当局査定に、原則として各社の償却・引当基準を適用して算出したもの。

(参考)第百生命保険会社・大正生命保険会社

(単位:億円)

当局査定に基づく
償却・引当額
(1)
自己査定に基づく
償却・引当額
(2)
要追加償却・
引当額
(1) - (2)
803 586 217

3.ソルベンシー・マージン比率(11年3月末)

(単位:%)

検査結果に
基づく比率
(1)
検査前比率

(2)
差引

(1) - (2)
668.8 701.4 ▲ 32.6

(参考)第百生命保険会社・大正生命保険会社

(単位:%)

検査結果に
基づく比率
(1)
検査前比率

(2)
差引

(1) - (2)
191.2 310.8 ▲ 119.6

検査実施概要

項目 内容
目的

対象生命保険会社
 
 
 
 
 

立入実施期間

1社当たり立入日数

1社当たり投入人員

1社当たり
資産査定債務者数

抽出率(金額ベース)
 
 
 

分類の定義

財務の健全性等に関する確認検査

19社
住友生命、千代田生命、三井生命、ソニー生命、
平和生命、第一生命、朝日生命、協栄生命、
東京生命、日本生命、安田生命、日本団体生命、
大同生命、太陽生命、セゾン生命、大和生命、
アイエヌジー生命、富国生命、オリックス生命

平成11年5月27日から平成12年4月25日

24.6日

8.8人

1,564債務者
 

66.7%
(注)自己査定で分類債権とされたものの全額と正常
  債権で当局が指定した先を査定対象として抽出し
  た。

I 分類: II 分類、 III 分類及び IV 分類としない資産
II 分類:個別に適切なリスク管理を要する資産
III 分類:最終の回収に重大な懸念が存在する資産
IV 分類:回収不可能又は無価値と判定される資産


〔参考〕

1.自己査定の正確性

2.償却・引当の適切性

3.ソルベンシー・マージン比率

4.自己査定による引当実績率の状況


1. 自己査定の正確性

自己査定基準については、大きな問題は認められていないが、その内容の一部に問題点が認められたので、大半の保険会社に改善を求めた。

主な問題点としては、次のとおりである。

(1) 債務者区分の定義が規定されていない、あるいは、決算期以降における後発事象に係る規定が定められていない。

(2) 担保の処分可能見込額の算出について、合理的根拠に基づく基準が定められていない。

また、自己査定の正確性については、自己査定基準自体に問題が認められるほか、債務者の実態把握等が不十分なまま分類を行っていること等から、当局査定と自己査定が相違しているものが大半の保険会社について認められた。

(単位:億円、%)
  I II III IV 総与信
当局査定 (1) 480,625 29,844 2,332 235 513,061
自己査定 (2) 493,482 18,938 616 10 513,061
(1) - (2) ▲12,857 10,906 1,716 225
((1)-(2)) / 総与信   2.13 0.33 0.04

(注) 総与信とは、貸付金、貸付有価証券、支払承諾見返、未収利息、仮払金の融資関連科目をいう。

● 分類の正確性

(当局査定と自己査定の II ~ IV 分類の合計額の差額を総与信額で除した率)

(率) (該当会社数)
1.0%未満 7社
1.0%~5.0%未満 7社
5.0%以上 5社

2.償却・引当の適切性

償却・引当基準については、大きな問題は認められていないが、破綻懸念先 III 分類債権にかかる引当必要額算定根拠や、一般貸倒引当金の貸倒実績率について、合理的な根拠がないなど、その内容の一部に問題が認められたので、大半の保険会社に改善を求めた。

なお、償却・引当の適切性については、当局査定と自己査定が相違していることなどから、大半の保険会社において償却・引当の追加が必要となっている。

(単位:億円、%)
総与信
(1)
当局査定
償却・引当額
(2)
自己査定
償却・引当額
(3)
要追加償却・
引当額
(4)=(2)-(3)
不足率
(4)/(1)
513,061 16,394 14,575 1,814 0.35

(注) 「当局査定償却・引当額(2)」は、当局査定に原則として各社の償却・引当基準を適用して算出したもの。

● 償却・引当の適切性

(不足率) (該当会社数)
0.2%未満 7社
0.2%~ 0.6%未満 3社
0.6%以上 9社

3.ソルベンシー・マージン比率(11年3月末)

ソルベンシー・マージン比率の正確性については、自己査定が正確でないことのほか、土地の含み損益の算定誤りなどによるソルベンシー・マージン総額を減少すべきものや、信用リスクのランク付け誤りなどによるリスクを増加すべきもの等が認められたので、大半の保険会社に改善を求めた。

(単位:億円、%)
  検査結果に
基づく比率等
(1)
検査前比率等

(2)
差引

(1)-(2)
ソルベンシー・
マージン総額
162,004 165,143 ▲ 3,139
リスク合計額

48,449 47,089 1,360
ソルベンシー・
マージン比率
A/B
668.8 701.4   ▲  32.6

4.自己査定による引当実績率の状況

(1) 一般貸倒引当実績率

○ 正常先債権

平均 0.18%

(引当実績率) (該当会社数)
0.10%未満 5社
0.10%~0.20%未満 7社
0.20%以上 6社
該当なし 1社

○ 要注意先債権

平均 7.48%

(引当実績率) (該当会社数)
5.00%未満 7社
5.00%~ 10.00%未満 6社
10.00%以上 3社
該当なし 3社

(2) 破綻懸念先 III 分類の引当実績率

平均 84.95%

(引当実績率) (該当会社数)
70.00%未満 6社
70.00%~ 90.00%未満 4社
90.00%以上 6社
該当なし 3社

(注) 破綻懸念先の III 分類については、一般貸倒引当とは異なり、個別債権毎に必要額を引き当てている。

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