平成12年11月16日
金融庁

「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律」の施行に伴う総理府令案に対するパブリック・コメントの結果について

金融庁では、標記府令案について、10月24日(火)から11月6日(月)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。多数の御意見を御提出いただいた皆様には、府令案の検討に御協力いただきありがとうございました。

寄せられた意見のうち主なものとそれに対する金融庁の考え方は、次のとおりであります。

  • 資産の流動化に関する法律施行規則

  • 投資信託及び投資法人に関する法律施行規則

  • 投資信託財産の貸借対照表、損益及び剰余金計算書、附属明細表並びに運用報告書に関する規則

  • 投資法人の貸借対照表、損益計算書、資産運用報告書、金銭の分配に係る計算書及び附属明細書に関する規則

  • 投資法人の監査報告書に関する規則

  • 特定有価証券の内容等の開示に関する総理府令

  • 保険業法施行規則


<資産の流動化に関する法律施行規則案について>

(注) 回答中の条番号等は特に言及のない限り、先に公表した資産の流動化に関する法律施行規則案におけるものです。

○ 第9条第7号関係

「権利者であることを証する書面」との文言は不適切である旨のご指摘を頂きました。

しかし、例えば、不動産登記には公信力は認められないものの、権利の登記について少なくとも事実上の推定力は認められていることから、登記簿謄本であっても「証する書面」足り得るといえますので、文言が不適切であるとのご指摘は当たらないと考えます。

○ 第10条関係

管轄財務局長による受理印の押印された業務開始届出書の副本等の還付に要する期間に何ら言及がない旨のご指摘を受けました。

しかし、特定目的会社の届出をすべき手続上の義務の履行は、行政手続法37条によるので、不都合は生じないと考えます。

○ 第12条第5号関係

「各発行ごとの」という文言がないことから解釈に疑義が生じ得るとの旨のご指摘を受けました。

そこで、ご指摘を踏まえ、第12条第5号を「各発行ごとの発行時期」と致します。

○ 第16条第3号関係

特定資産を複数回にわたり取得する場合には、複数回の取得時期について記載する必要がある旨のご指摘を受けました。

ご指摘のとおりであり、かつ、公表した施行規則案の規定の文言によりその趣旨は表現されているものと考えます。

○ 第16条第6号関係

同条1号ないし5号に係る事項について未確定とならざるを得ない場合があり得、その手当が必要との旨のご指摘を受けました。

しかし、同条6号に掲げる場合以外において、同条1号ないし5号に係る事項が未確定であることは、投資家保護の観点から許容できないものでありますので、ご指摘の手当は不要と考えます

○ 第19条第4号関係

一の資産流動化計画において、資産対応証券等の複数回の発行等を予定する場合における「当該発行」の意味内容が必ずしも明らかでない旨のご指摘を受けました。

しかし、「当該発行」とする趣旨は、例えば第3回目の資産対応証券の発行に関する変更等の手続はその第3回目の発行の前に行うものとするものであると理解できるものと考えております。

○ 第23条第2項関係

第23条第2項は、特定約束手形のみの発行を予定し、かつ、特定約束手形の発行頻度を高くせざるを得ない流動化計画について、発行を予定する特定約束手形について格付機関から一定の格付を取得しており、投資者の保護上問題が発生する可能性が低い場合について、変更届出期間の特例を設けるものです。

「三月」という期間について他の場合との整合性についてご意見を頂きました。ご指摘のとおり、格付機関から格付を取得しているにせよ、資産流動化計画の変更について管轄財務局長に届け出るまでの期間が長すぎると考えられることから、「一月」とすることと致します。

また、特定約束手形の「当該記載に従って資産流動化計画に記載すべき事項の内容を確定する資産流動化計画の変更」との文言が必ずしも明らかでないとの旨のご指摘を受けました。

ご意見を踏まえ、「当該記載に従って資産流動化計画に記載すべき事項の内容を確定したことによる資産流動化計画の変更」と致します。

なお、第14条第7号に掲げる事項(特定約束手形に係る信用補完又は流動性補完の概要)につきましては、投資者の保護の観点上重要なものであるため、当庁にて再検討した結果、変更届出期間の特例の対象から外すこととさせていただきます。

○ 第34条第2項関係

第34条第2項で指定する事項のうち、変更が当然見込まれる場合や変更が予測不可能な場合が考えられるものがあり、これらについて社員総会による変更禁止事項から外すべきではないかとの旨のご意見を頂きました。

しかしながら、これらの行為については、資産流動化計画の骨格にあたる部分であり、原則として社員総会による変更を禁止しているものです。ご指摘のように経済環境等の外部条件により影響を受ける可能性もあることから、あらかじめその変更を行う場合の条件が資産流動化計画に定められている場合には、社員総会の決議による変更を行えることとなっています。

なお、これらの事項に関する変更は、前述のように資産流動化計画の骨格にあたる部分であるため、基本的に第35条第1号や第2号に規定するような「形式的変更」にあたる場合は少ないものと考えられます。

○ 第37条(及び第64条4号)関係

外国市場における発行の場合においては、当該起債地の法令又は慣習上要求される書類等を規定すべきとの旨のご意見を頂きました。

しかし、そもそも、法143条(及び法169条3号)は、証券取引法上の開示義務と必ずしも直結するものではなく、オリジネーターの開示義務の実質的な分担の目安として有価証券届出書等に記載すべき重要な事項を規定するものと解されます。したがって、これを受けた第37条が証券取引法上の各種開示書類を定めることと、外国市場における発行の場合に上記各種開示書類が作成されない場合があることとは、必ずしも矛盾するものではないと考えます。

○ 第39条関係

特定目的会社が発行する特定約束手形について、一定以上の格付取得を義務付けているが、現行の「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律施行規則」と同様に信用補完でこれに代替することを可能にすべきとの旨のご意見を頂きました。

後述のいわゆるABCPプログラムの場合を除き、ご意見を踏まえ、現行の「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律施行規則」と同様信用補完でこれに代替することを可能とすることといたしました。

また、特定約束手形の格付を取得する場合において、特定資産の価格を調査した指定格付機関から格付を取得してよいこととすべきであるとの旨のご意見を頂きました。

特定資産の価格は、投資者にとって資産対応証券の購入の判断に際して非常に重要な位置を占めるものであることから、より客観的な視点による評価を確保するため特定資産の価格調査と格付の付与は別個の主体によって行われることが望ましいと考えます。

○ 第41条関係

特定目的会社が行う特定目的借入れの借入先を銀行及び銀行以外の適格機関投資家に制限すべきではないとの旨のご意見を頂きました。

しかし、特定目的借入れは、今般の法改正により初めて導入されたものであること、特定社債や特定約束手形と並ぶSPCスキームにおけるデッド型の商品でありながら、特定社債等と異なり証券取引法上の投資者保護措置が及ばないものであることなどの諸事情に照らすと、借入先として上記の者に限定することが適切であると考えます。

○ 第42条第2項関係

特定目的会社が行う特定目的借入れ以外の借入れの借入先を適格機関投資家に制限すべきではないとの旨のご意見を頂きました。

しかし、特定目的借入れ以外の借入れの債権者には資産流動化計画の変更における投資者保護措置が及ばないことや、資産対応証券保有者等特定目的会社に対する他の投資者の保護の観点から、借入先として上記の者に限定することが適切であると考えます。

○ 第57条関係

第1号に掲げる事項について、資産の流動化に関する法律第164条第1項の届出を行う時点で、確定したものを記載することは困難な場合があり、業務に支障をきたすおそれがある旨のご意見を頂きましたが、個別の事例によりますが、第57条第4号の規定等に基づき未確定とすることもできることとなっております。

○ 第58条関係

特定資産の取得を目的とする借入れが許容されることを明確に規定すべきとのご指摘がありましたが、法170条の文言等により十分理解可能であると考えており、施行規則において特に手当は要しないものと考えます。

○ 別表関係

資産の流動化に関する法律施行規則案の別表についてご意見を頂きました。同表1から15の項には、各種資産を掲げていますが、特定資産がそこに掲げた資産に限られるという趣旨ではありません(同表16の項参照)。なお、特定資産の範囲については、資産の流動化に関する法律151条(同法163条1項において準用する場合を含みます。)により取得・所有を制限される資産や、他の法令により取得・所有を制限される資産を除き、制約はなく、性質上、流動化の対象となる資産であれば特定資産となり得ます。

○ いわゆるABCPプログラム関係

指名金銭債権等の流動化を円滑に実施するためとして、概略以下のご意見を頂きました。

  • (1)第7条:業務開始届出時点では、すべての特定資産の譲受け係る契約又はその予約を提出することは不可能であり、譲受け等のルールが記載されている書面で代替可能として欲しい。

  • (2)第8条:特定資産の管理及び処分に係る業務の一部であるサービシング業務に係る契約はオリジネーター毎に契約を締結する必要があるため、業務開始届出時点で契約書の副本又は謄本を提出することは不可能であり、代替措置を講じて欲しい。

  • (3)第14条:第4、5、6、8号に掲げられている事項を変更する資産流動化計画の変更について、資産流動化計画の変更届出をした後でなければ資産対応証券の発行を行えないのでは、頻繁に約束手形を発行する必要があるいわゆるABCPプログラム(一定の条件に従って抽出した指名金銭債権等を特定資産として取得し、これに対応する約束手形を発行する資産流動化の手法のことを指すと考えられます)の実施は実務上不可能である。従って、これらの事項を資産流動化計画に記載しなくてよいこととして頂きたい。

  • (4)第16条:第3、4、5号に掲げられている事項について、業務開始届出時点で確定していないため、これらの項目を資産流動化計画に記載することは不可能であり、記載は免除するよう変更頂きたい。また第6号ロについて、現行法(特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律)によらない特別目的会社を用いたスキームで流動化が現在実際に行われている約束手形及び、指名金銭債権又は約束手形を信託する信託の受益権を加えて欲しい。

  • (5)第17条:第8条と同様の理由により、業務の受託者の氏名等の記載は免除するよう変更頂きたい。

これらのご意見に対する考え方は、以下のとおりです(すべて、ABCPプログラムを実施する場合のみを対象としたものです)。

  • (1)について:ご意見を踏まえ、第3号として特定資産の譲り受けに係る業務の委託契約を加えることといたします。ただし、同条に第2項を加え、特定資産を抽出する一定の条件が具体的に定められていなければならないこととします。これに伴い、第16条において、上記の委託契約を特定目的会社と締結した者の指名等を資産流動化計画の記載事項とします。

  • (2)について:未締結の委託契約については、契約書の案を提出することとします。ただし、契約を締結したときには当該契約の契約書の副本又は謄本を管轄財務局長に速やかに提出することとします。

  • (3)について:第14条第4号から第6号まで及び第8号に掲げられている事項の記載を免除することは、投資者の保護の観点から問題があると考えられます。ただし、頻繁に特定約束手形を発行することを現実に可能とするため、これらの事項について未確定の事項をあらかじめ定めた要件及び手続きに従って確定したことによる資産流動化計画の変更については、変更届出期間を変更のあった日から1月とすることとします。

  • (4)について:第16条第3号から第5号までに掲げられている事項の記載を免除することは、投資者の保護の観点から問題があると考えられます。ただし、第16条第5号に掲げられている事項について変更ができることとし(第16条第7号、第34条第1項の規定を変更)、頻繁に特定約束手形を発行することを現実に可能とするため、第2号から第5号まで掲げる事項について未確定の事項をあらかじめ定めた要件及び手続きに従って確定したことによる資産流動化計画の変更については、変更届出期間を変更のあった日から1月とすることとします(第6号、第23条第2項の規定を変更)。

    マルチセラー型ABCPプログラムによる流動化の対象資産を指名金銭債権若しくは約束手形またはこれらを信託する信託の受益権とすることにについては、特に問題はないと考えられることから、実務の実態に合わせご意見のとおりとなるよう第16条第6号ロの規定を変更します。

<投資信託及び投資法人に関する法律施行規則案について>

○ 第11条関係(投資信託委託業等の認可申請書の添付書類)

投資信託及び投資法人に関する法律施行規則(以下、「投信法施行規則」といいます。)案第11条第1項第9号は、投資信託委託業者が認可申請する際、直近の貸借対照表を提出することを求めているが、認可申請するのは会社設立直後の場合が多く、実質的な意味はないのではないかとのご指摘がありました。

認可申請者が投資信託委託業者としての業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有しているかどうかを判断するために、直近の貸借対照表(未だ決算期を迎えていない場合は、開業貸借対照表)を提出して頂く必要があります。

○ 第14条関係(審査の具体的基準)

投信法施行規則案第14条第1号ロにおいて、収支の見込みについて「純資産額が、収支見込対象期間を通じて1億円を下回らない水準に維持されると見込まれること」が必要であると規定されているが、この「通じて」の意味が明らかではなく、収支見込対象期間の始期も明確ではないとのご指摘がありました。また、資本の額の減少の認可審査基準(投信法施行規則案第18条第2号ニ)については、「通じて」の文言が使用されていないが、異なる内容であるのかとのご質問がありました。

「通じて」とは、収支見込対象期間の全期間にわたって純資産額が1億円を下回らないと見込まれるという趣旨です。投資信託委託業者としての業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有することを確保するため、このような基準を設けています。ただ、認可申請時以前も含めた期間という趣旨ではないことを明確にすべく「業務の開始を予定する日以降の期間」と修正しました。投信法施行規則案第18条第2号ニでは「通じて」という文言は用いておりませんが、減資後の純資産額が減資した日の属する営業年度及び当該営業年度の翌営業年度から起算して3営業年度の全期間において1億円を下回らない水準が維持されると認められることが必要です。

また、投信法施行規則案第14条第1号ハについて「投資信託委託業又は投資法人資産運用業の収支の見込み」と規定されているが、現在の施行規則では「認可申請時における収支の見込み」と規定されており、兼業業務の収支の見込みも勘案した審査基準とされていたことに比べて厳しい規制となっているのではないかとのご指摘がありました。

この点につきましては、新投信法において兼業業務の範囲が拡大されたことにより、兼業業務を含めた収支見込みを審査したのでは本業である投資信託委託業等の収益見込みを的確に把握することが難しくなることから、上記のような基準としたものです。

○ 第25条(投資信託財産間において、双方の投資信託財産に係る受益者の保護に欠けるおそれが少ないと認められる取引)

資金を調達する投資信託財産と運用する投資信託財産がともに有利なレートで資金取引することを可能とすべく、投資信託財産間で金銭の貸借をすることもできるようにすべきとのご要望がありました。

投資信託財産間の取引は、一の投資信託委託業者が双方の投資信託財産の運用の指図を行うものであることから、取引所に上場されている有価証券の売買など、取引価格が公正であることが明らかなものである必要があります。金銭の貸借につきましては、投資信託委託業者が指図を行った取引レートについて双方の投資信託財産にとって本当に有利であったか否か検証が困難であるため、これを認めることは困難です。

○ 第33条関係(指定資産の範囲)

約束手形や貸付債権信託受益証券、有価証券店頭オプション取引等についても価格調査が不要な指定資産に含めるべきとのご要望がありました。

指定資産については価格調査が不要とされていることから、原則として、証券取引所に上場されている有価証券のようにその取引価格が公正な方法により決定されるもので、かつその価格が公表されるような資産に限定すべきものと考えます。投資者保護の観点から、相対で取引価格が決定され、価格が明らかでないものについて指定資産とすることは困難です。

○ 第46条関係(投資信託約款の重大な変更の場合における書面の交付等)

法令等の制度変更に伴って投資信託約款を変更する場合には、受益者に対する書面交付等の義務は免除すべきではないかとのご要望がありました。

この点につきましては、法令変更の範囲及びそれに伴う約款変更の範囲が予想不可能であることから、投資者保護上問題がないか判断できず、前もって明確な基準も設けることはできません。制度変更に伴って投資信託約款の変更を行う場合にも受益者に約款変更を行う旨知らせることは必要であり、ご指摘のような適用除外規定を設けることは妥当でないと考えます。

○ 第51条関係(投資信託契約の解約の際の受益者の異議申立て等に関する適用除外)

投資信託契約の解約を行う際の受益者の異議申立て及び受益証券買取請求手続について、投資信託約款にあらかじめ繰上償還条項を設けている場合は適用除外とすべきではないかとのご指摘がありました。

繰上償還条項を定めている場合であっても、単にそれが繰上償還を行う可能性がある旨定めているだけの場合であれば投資者保護の観点から適用除外とすることは適当でないと考えられます。一方、一定の条件が満たされたときに繰上償還する旨を記載しているときは受益者はどのような場合に繰上償還があるのか知ることができ、また、実際に繰上償還が行われる際には新聞公告及び書面交付によりその予定日等を知ることができます。投資者保護上問題がないと認められるこのようなケースに限り、適用除外とすることとします。

○ 第63条関係(投資信託委託業者の兼業認可基準)

兼業業務の認可基準の一つとして「営もうとする業務を行う部門と投資信託委託業又は投資法人資産運用業を行う部門が明確に分離されていること」とされているが、認可業務としての不動産管理業務についてはこの要件は必要ないのではないかとのご意見をいただきました。

投資信託委託業者の本業である投資信託委託業等について公正かつ的確な遂行が阻害されるおそれを防止するための手段の一つとして、本業と兼業双方の業務の本質的部分を行う部門は明確に分離されている必要があります。

○ 第103条関係(規約の記載事項の細目)

投資法人による借入れの限度額及び投資法人債の発行限度額の上限が定められていないが、これらは無制限に認められるのかとのご質問がありました。

また、投資法人規約における借入金限度額及び投資法人債発行限度額の記載については、金額ではなく投資法人の資産総額に対する比率で規定することも可能とすべきとのご意見がありました。

投信法施行規則案第108条は、投資法人規約の記載事項として借入れ限度額及び投資法人債の発行限度額の記載を求めていますが、投資法人のガバナンスを尊重するという観点からも法令上一律に上限額は定めず、限度額をいくらにするかの判断はそれぞれの投資法人の判断に委ねています。なお、規約の必要的記載事項としての借入れ限度額については、金額で示す方がより明確であり、投資者保護に資するものと考えます。

○ 第124条関係(投資法人その他一般事務)

投信法施行規則案第124条第3項及び第4項において「通知」との文言を使用しているが、投資口又は投資法人債券が無記名式である場合には、全投資主又は投資法人債権者に「通知」することは事実上不可能であるため「公告」で足りるとする必要があるとのご指摘がありました。

投資口については投資主名簿に記載されている投資主に対して、投資法人債については投資法人債原簿に記載されている投資法人債権者に対して、それぞれ通知を行うことになります。

○ 第154条関係(投資法人の資産の分別保管方法)

投信法施行規則案第154条第1項第2号及び第4号はいずれも「資産保管会社が第三者をして保管させる投資法人の資産等」と区別するのみであるため、両号間における区分がないとのご指摘がありました。

第2号は混蔵して保管される投資法人の資産等の場合以外の場合、第4号は、混蔵して保管される投資法人の資産等の場合を規定しており、この区分に応じた分別保管方法をとることになります。

<投資信託財産の貸借対照表、損益及び剰余金計算書、附属明細表並びに運用報告書に関する規則案について>

○ 総則関係

  • 「金融庁長官の定める会計処理の方法」に従う旨規定すべきとの御意見がありました。これについては、公正妥当と認められる企業会計の基準に従う旨規定していることから、特に必要ないと考えています。

  • 「中間財務諸表」に関する規定を設けるべきとの御意見がありました。これについては、今回、中間財務諸表等規則において新たに投資信託財産に関する中間財務諸表の記載方法等について規定することにしています。

○ 貸借対照表関係

  • 貸借対照表の作成を義務付けるべき(損益計算書についても同様)との御意見がありました。これについては、証券取引法及び特定有価証券開示府令において投資信託の受益証券等が「特定有価証券」として財務諸表を提出することを義務付けられています。

  • 資産の部において、流動資産と固定資産とを区分すべきではないとの御意見がありました。これについては、例えば有価証券と不動産とでは流動性が異なると想定されること、必ずしも賃貸不動産などについては固定資産と分類すべき場合がないとは限らないことなどから、流動資産と固定資産に区分することにしています。

○ 損益計算書関係

  • 「不動産売買・賃貸損益の内訳」のみ注記させるべきではないとの御意見がありました。これについては、不動産は物件ごとの価格が大きく個性が強い資産であり、その損益の内訳は他の資産に比して重要な情報と考えられることから注記することとしています。

  • なお、名称を「損益及び剰余金計算書」とすべきとの御意見がありました。これについては、剰余金計算書の位置付けを明確するため、御意見に沿って修正することにしています。

○ 附属明細書関係

  • 「有価証券明細表」中、帳簿価額や評価損益などの記載は不要とすべきとの御意見がありました。これについては、有価証券は原則時価評価され、追加型投資信託では期末に値洗いが行われるとともに実現損益と評価損益が区別されず、「評価損益」を記載する必要性がないことから、御意見に沿って記載事項から除外するよう修正することにしています。

  • 特定資産以外の資産の明細表や、利害関係人等と投資信託財産との取引状況についても記載させるべきではないかとの御意見がありました。これについては、投資信託の受益者にとって特に関心の高い特定資産について明細表を作成することにしているものです。

  • なお、名称を「附属明細表」とすべきとの御意見がありました。これについては、財務諸表等規則での用例も踏まえ、御意見に沿って修正することにしています。

○ 運用報告書関係

  • 「当期末現在における資産、負債、元本の状況」や「計算期間中の損益の状態」については、「貸借対照表」、「損益計算書」に代えられるようにすべきとの御意見がありました。これについては、証券取引法上の財務諸表との整合性を図る観点から御意見に沿って修正することにしています。

  • 記載内容について、重複なく平仄をとって規定すべきとの御意見がありました。これについては、金融先物取引等や金融デリバティブ取引について重複した規定が見られたほか、これらの取引について有価証券先物取引等との平仄を合わせることが必要と考えられますので、御意見に沿って適切に修正することにしています。

  • 全ての運用報告書に「基準価額の状況」の記載を義務付ける必要はないのではないかとの御意見がありました。これについては、全ての投資信託の受益者にとって「基準価額の状況」は、投資判断を行う上で有用な情報と考えられることから、記載を義務付けることにしているものです。

  • 個別性の強い一件当たりの価格の高い不動産については、物件ごとの年間収益、費用、主たる賃借人を記載させるべきとの御意見がありました。これについては、個人情報にも配慮しつつ、御意見を踏まえて、不動産の物件ごとの全賃料収入等の記載を追加するよう修正することにしています。

  • 不動産等の価格の記載は、不動産鑑定士による鑑定評価額に限るべき、異なる基準による価格を開示すると投資家を混乱させたり投資家に負担を強いることになるとの御意見がありました。これについては、運用報告書はあくまで投資信託の受益者に対し投資対象である不動産等について参考となる情報を提供するものであること、不動産鑑定士による鑑定評価額に限ることとすると、実務面での対応が困難となると考えられることなどから、不動産等の鑑定評価額、公示価格、路線価、販売公表価格などの記載を求めるものです。なお、「評価額」の用語については適正化を図るため「価格」に修正することにしています。

  • 投資信託の設定・解約の総数・総額などについては、銘柄ごとの記載は不要とすべきとの御意見がありました。これについては、他の投資信託や投資法人に投資する投資信託の増加が見込まれることから、株式や公社債と同様の開示が必要であると考えています。

<投資法人の貸借対照表、損益計算書、資産運用報告書、金銭の分配に係る計算書及び附属明細書に関する規則案について>

○ 総則関係

  • 「中間財務諸表」に関する規定を設けるべきとの御意見がありました。これについては、今回、中間財務諸表等規則において新たに投資法人の財産に関する中間財務諸表の記載方法等について規定することにしています。

○ 貸借対照表関係

  • 資産の評価により増加した総資産額に関して「資産につき時価を付すものとした場合」に関する規定があるが固定資産を含む趣旨か明示すべきとの御意見がありました。これについては、現在の公正妥当な会計慣行では固定資産の時価評価は行われていないため、規定を削除することにしています。

○ 資産運用報告書関係

  • 記載内容について、重複なく平仄をとって規定すべきとの御意見がありました。これについては、金融先物取引等や金融デリバティブ取引について重複した規定が見られたほか、これらの取引について有価証券先物取引等との平仄を合わせることが必要と考えられますので、御意見に沿って適切に修正することにしています。

  • 不動産等の価格の記載は、不動産鑑定士による鑑定評価額に限るべき、異なる基準による価格を開示すると投資家を混乱させたり投資家に負担を強いることになるとの御意見がありました。これについては、資産運用報告書はあくまで投資信託の受益者に対し投資対象である不動産等について参考となる情報を提供するものであること、不動産鑑定士による鑑定評価額に限ることとすると、実務面での対応が困難となると考えられることなどから、不動産等の鑑定評価額、公示価格、路線価、販売公表価格などの記載を求めるものです。なお、「評価額」の用語については適正化を図るため「価格」に修正することにしています。

  • 特定資産以外の資産についても記載させるべきではないかとの御意見がありました。これについては、投資法人の受益者にとって特に関心の高い特定資産について明細表を作成することにしているものです。

  • 個別性の強い一件当たりの価格の高い不動産については、投資法人が保有している物件ごとの年間収益、費用、主たる賃借人を記載させるべきとの御意見がありました。これについては、個人情報にも配慮しつつ、御意見を踏まえて、不動産の物件ごとの全賃料収入等の記載を追加するよう修正することにしています。

○ 附属明細書関係

  • 不動産等明細表の不動産の収益状況の明細について、不動産の賃貸料等の非開示の要件は、やむを得ない事情がある場合のみとし、事情を注記させるべきとの御意見がありました。これについては、不動産の収益状況の明細については原則開示情報とし、あくまで非開示は例外的な場合に限定的に認められるべきであると考えられることから、そうした場合として「賃貸料の80%以上が1賃貸先による収入である場合」、「所有形態が共有の場合」に限定することにしているものです。

  • 特定資産以外の資産についても記載させるべきではないかとの御意見がありました。これについては、投資法人の受益者にとって特に関心の高い特定資産について明細表を作成することにしているものです。

<投資法人の監査報告書に関する規則案について>

○ 重要な後発事象の注記は貸借対照表だけでなく資産運用報告書等にも記載させるべきとの御意見がありました。これについては、御意見に沿って投資法人の貸借対照表、損益計算書、資産運用報告書、金銭の分配に係る計算書及び附属明細書に関する規則に所要の規定を盛り込むとともに、監査報告書の中で重要な後発事象を注記すべきものとして貸借対照表、損益計算書又は附属明細書を加えることにしています。

<その他必要な関係府令の整備等について>

○ 「特定有価証券の内容等の開示に関する総理府令」関係

1. 第4号様式について

  • 「記載上の注意」中、不動産の価格に関する事項について、一方で、(1)開示すべき価格として「取得原価マイナス減価償却累計額」に統一すべきとのご指摘、他方で、(2)「不動産鑑定士による鑑定評価額」に統一すべきとのご指摘を受けました。
     (1)につきましては、実勢価格を反映していないことから取り入れることは困難であると考えます。また(2)につきましては、実勢価格の評価について様々な選択肢があり得るところではあります。しかし、実勢を反映した価格の開示に加え、評価方法等の開示を求めることで、開示の公正さは担保し得ると考えられることを踏まえますと、取り入れることは困難であると考えます。

2. 第5号の4様式について

  • 「記載上の注意」中、受託者の状況及び原委託者の状況に関する事項について、受託者又は原委託者が持株会社の下にある連結子会社である場合、持株会社の開示書面で代替できることとして欲しい旨のご要望を受けました。
     しかし、ここで求められているのは、あくまで、発行者である受託者及び原委託者自身の状況であり、親会社の観点から見た子会社としての財務諸表だけでは不十分であることから、ご要望を取り入れることはできないものと考えます(なお、投資家の判断に資するためには、監査済みの財務諸表の開示が必要と考えます。)。

  • 受託者の状況及び原委託者の状況の項目について、第5号の4様式中の項目と、その記載に当たり準ずるものとされる第2号様式第2部の項目が不一致であるとの指摘を受けましたが、受託者の状況等の記載に当たっては、第2号様式第2部第1ないし第5に「準じて」とされていることから、特段不都合はないものと考えます(当然、届出者において、投資家に分かりやすいように記載することになります。)。

○ 「保険業法施行規則」関係

  • 第56条の2について
     不動産投信委託業務については保険会社の子会社の業務範囲として加えられているが、不動産投資顧問業務と不動産投信委託業務は親近性が非常に高いので、生命保険会社の子会社が不動産投資顧問業務を行えるようにすべきではないかとのご指摘がありました。
     保険業法第106条第1項第10号の規定により保険会社は「金融関連業務を専ら営む会社」を子会社にすることができます。投資信託委託業及び投資法人資産運用業については集団投資スキームの運営に当たる資金運用サービス提供業であることから、金融関連業務と考えられますが、不動産投資顧問業務については金融関連業務を専ら営むというものではなく、投資信託委託業とは独立した業務であると考えられます。


金融庁としては、皆様からいただいた御意見等も踏まえ、本年11月30日(予定)からの本改正法等の施行に向けて、引き続き、適切に対応することにしています。

御協力ありがとうございました。

内容についての照会先

金融庁総務企画部企画課
電話:03-3506-6000(代表)(内線3515、3518、3520)

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