平成13年3月29日
金融庁

「証券会社の自己資本規制に関する内閣府令等の改正案の公表について」に対するパブリック・コメントの結果について

金融庁では、標記府令案について、2月21日(水)から3月6日(火)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。ご意見をいただいた皆様には、府令案の検討にご協力いただきありがとうございました。

本件に関して、お寄せいただいた主なコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方は次のとおりです。

コメントの概要 コメントに対する考え方
 投資有価証券の評価差額が資本直入された場合の取扱いを明確化していただきたい。  今回の見直しにおいては、その他有価証券に評価益が生じた場合と評価損が生じた場合について、それぞれ分けて規定することとしている。
 その具体的な内容としては、

(1) 評価益(ネット)が生じた場合には、その税効果調整後の全額(約60%)を補完的項目(Tier2)に算入する。

(2) 評価損(ネット)が生じた場合には、税効果調整後の全額(約60%)を基本的項目(Tier1)から控除することとする。

 その他有価証券の時価評価については、13年3月期から早期適用することが認められているにすぎない筈であるが、証券会社については、13年3月期より強制適用となるのか。  その他有価証券については、銀行の自己資本比率や保険のソルベンシー・マージン比率上も時価評価に基づき算入することとされており、今回の証券会社の自己資本規制比率の見直しにおいても、その他有価証券を時価評価した後の評価差額の一部を自己資本に算入することとしている。
 なお、会計処理上は、必ずしもその他有価証券の時価評価が義務付けられるものではない。
 劣後ローン等の算入に係る承認制が廃止されているようだが、算入の際には何らの手続も要しないのか。  ご指摘のとおり、劣後ローン等の算入に係る事前承認制は、他業態の場合には採用されておらず、証券会社特有のものとなっていたことから、今回の見直しにおいては、劣後ローン等の算入に係る承認制を届出制に変更するとともに、期限前償還に事前承認制を採用することとした。
 また、劣後ローン等を借り入れる際の手続については、証券取引法第54条に基づき届出が必要となる。
 劣後ローン等の残存期間が6カ月超のものに限り算入できるという規定がないが、見直し後は、満期まで補完的項目に算入することが可能となるのか。  現行規定上、自己資本未達となる場合の特約(ロックイン条項)が準備されていながら、残存期間が6カ月以内となると自己資本規制比率上はカウントできなくなるといった不都合が予てより指摘されていたところ。
 従って、残存期間に係る限定(返済期限までの期間が6カ月超のものに限り算入)を廃止し、満期までの算入を認める一方、保守性の観点から、長短の劣後ローン等に個別の上限(Cap)を設定するとともに、自己資本未達となる場合に備えて、ロックイン条項(短期)を引き続き存置することとした。
 諸外国の例にみられるように、長短の劣後ローン等に個別の上限が設定された以上、短期劣後ローン等については、Tier1の合計額が上限とされるTier2という枠から除外すべきではないのか。  ご指摘のとおり、短期劣後ローン等をTier3扱いとし、Tier1の合計額が上限とされるTier2という枠から除外するといった取扱いをしている国があることは承知している。
 しかしながら、BIS及びIOSCO等の議論においては、Tier1が自己資本全体の少なくとも半分を占めなければならない(すなわち、Tier2とTier3の合計がTier1を上回ってはならない)という原則を堅持するか否かの判断については、各国監督当局の裁量に委ねられている。
 従って、今回の見直しにおいては、長短の劣後ローン等に個別の上限を設定した後においても、短期劣後ローン等について、Tier1の合計額が上限とされるTier2に引き続き含めることとしている。
 今回の見直しにおいて、個別法を廃止した趣旨如何。廃止するとしても、引き続き簡便な市場リスク算出方法を認めて欲しい。  今回の見直しにおいては、現行規定上の市場リスク算出方法(個別法、分解法(銀行の場合の標準的方式)、内部管理モデル方式)のうち、銀行の場合には許容されていない旧来型のリスク管理手法である「個別法」を廃止し、「分解法」を標準的な算出方法と位置付けた。
 他方、個別法の中でも一部合理的と認められる簡便な市場リスク算出方法(例えば、オプションの損益パターンを考慮したポジション間の相殺)について、銀行同様、標準的手法の一部(「簡便法」)として存続させるとともに、「個別法」からの移行について、一定の猶予期間(6ヵ月)を設けることとしている。
 自己資本規制比率が一定以上の証券会社については、毎週1回(毎月末時に)、市場リスク・取引先リスクを把握すれば良いとするなど、リスクの日々計算義務を緩和していただきたい。  証券会社においては、有価証券等の売買を頻繁かつ大量に行うというその業務の性質から、その証券取引に係る決済が円滑かつ確実に行われる必要がある。従って、証券会社の自己資本規制は、証券会社の保有有価証券等の価格変動等のリスクをカバーし得るだけの流動性を常に維持している必要があるとの基本的考え方に基づくものである。
 こうした制度趣旨を踏まえれば、自己資本規制比率(市場リスク・取引先リスク)の日々計算義務を緩和することは、リスク管理上適切でないと考える。
 TB、FBのような格付が付与されていない国債・政府保証債についても、政府債と同様に取り扱うことができるようにしていただきたい。その方がリスクの実態にも見合っているのではないか。  現行規定上、指定格付を付与されていない国債・政府保証債について、金利リスクを算出する場合には、適格債としてすら取り扱われず、リスク算出上より過重な負担となっていたといえる。
 従って、指定国の国債・政府保証債については、指定格付以外の格付が付与されているものを除き、政府債扱いとすることとした。
 内部管理モデル方式の承認手続に係る規定を厳格化する趣旨如何。各国当局のルールに比して、厳し過ぎるのではないか。  従来から、市場リスク相当額の算出方法としては、当局の承認の下で内部管理モデルの採用が認められていたところ。
 今回の見直しにおいては、当該モデルにより算出されたバリュー・アット・リスク(VAR)の的確性に係る報告義務や承認取消に係る規定の一定程度の厳格化を図ることにより、十分な確度が見込まれるモデルに関し、より積極的に内部管理モデルの承認を行っていくこととしている。
 DVP取引における受渡不履行に係る取引先リスク相当額の算出が適用される範囲を明確化していただきたい。  今後次第にDVP取引の範囲が拡大していくことが予想され、適用範囲を予め全て明確化しておくことは困難。
 なお、当面我が国においては、国債取引及び本年5月から開始予定の東証における株券等の取引所取引が、それぞれ新ルールにおけるDVP取引に該当するものと考えられる。
 取引先リスク相当額の算出において、社内格付の採用を承認手続等も含めて、検討していただきたい。  現在、第2次市中協議にかけられている新BIS規制案の中で、内部格付手法の導入が提案されており、これを受けてIOSCO等においても内部格付手法の自己資本規制上の導入を検討することとされている。
 従って、今回の見直しにおいては、社内格付法の採用の是非について、その検討を見送ることとする。
 1年間の営業費用の4分の1とされている基礎的リスク相当額の算出が証券会社に過重な負担を強いているのではないか。より実態を反映させるために、諸外国のルールも参考に見直していただきたい。  流動性リスク以外の未だ算出されていないリスク(レピュテーショナル・リスク等)の取扱いについては、IOSCO等における今後の検討課題であり、そうしたリスク相当額算出方法が定められるまでの間は、基礎的リスク相当額の軽減については、保守的に考えられるべき。
 従って、今回の見直しにおいては、基礎的リスク相当額の軽減の是非について、その検討を見送ることとする。
 現行では、自己資本規制比率が140%以下となった場合に届出義務が規定されているが、届出義務の対象となる水準を、法律上の行政処分(業務改善命令等)の対象となり得る120%に合わせるべきではないか。  当該届出の趣旨は、自己資本規制比率が120%に近づく段階において、証券会社が、業務改善命令の対象とならないよう、自己資本規制比率の状況を維持するために採る措置の具体的な内容を把握するため、届出を義務付けるに止まるものであり、ご理解賜りたい。
 既に算入している劣後ローン等の取扱い(契約変更の要否等)について、明確化していただきたい。  ご指摘を踏まえ、附則において、既に承認を受けて算入が認められている劣後ローン等については、施行日における残存期間が5年を超えるものは長期劣後債務とみなし、5年以下のものは短期劣後債務とみなす旨、規定することとした。
 今回の見直しは、取引先リスク相当額の算出方法等についても大きな変更が認められるので、猶予期間を設けていただきたい。  今回の見直しにおいては、市場リスク相当額の算出方法のみならず、DVP取引を始めとする各種取引先リスク相当額の算出方法においても相当程度の修正が加えられており、すべての証券会社において、システム上の対応が必要となる。
 従って、貴見のとおり、改正後の市場リスク相当額及び取引先リスク相当額の算出方法に係る規定については、平成13年10月1日以後におけるリスク相当額の算出について適用することとした(施行日から早期適用することも妨げない)。

今回、多数のコメントを頂戴いたしました関係上、上記「コメントの概要」は、主だったものについて、同種のコメントをまとめた上で掲載させていただいております。

内容についての照会先

金融庁 TEL 03−3506−6000(代表)
監督局証券課 吉野(内線3352)、太田(内線3355)