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2. 証券投資信託委託業者の監督に当たっての留意事項
 

 証券投資信託委託業者の監督に当たっては、次の事項に留意するものとする。
 

2−1  標識の掲示
 証券投資信託委託業者による標識の掲示については、法第11条の趣旨等に鑑み、次により行われているかどうかを確認する。
 
(1)  標識を掲示する場所は、店外で公衆の見やすい場所であること。
 
(2)  標識に記載されている文字が明りょうに読むことができる状態にあること。

 

2−2  法第13条の解釈
−2−1 常務に従事する取締役の解釈

 「常務に従事する取締役」とは、取締役会の出席回数、拘束時間の多少にかかわらず、会社の実務に携わる取締役をいう。
 したがって、代表権のある取締役は全て承認の対象となるほか、代表権のない取締役でも会長、副会長、社長、副社長、専務、常務として対外的に常務に従事しているとみられるものは承認の対象となる。
 

−2−2 他の会社等の解釈

 「他の会社」とは、商法上の会社を問わず全ての「会社」をいい、公益法人、組合等は含まない。また、「他の会社の常務に従事し」とは、他の会社の取締役であることを要せず、他の会社の実務に携わる場合をいう。
 したがって、他の会社の代表権のある取締役に就任する場合は全て承認の対象となるほか、代表権のない取締役でも会長、副会長、社長、副社長、専務、常務として対外的に常務に従事しているとみられるものは承認の対象となる。
 

−2−3 事業を営むの解釈

 「事業を営む」とは、自己の名をもって事業を営むことのほか、経営の主体となり又は実務に携わっていることを含む。

 

2−3  信託財産のリスク評価の相殺
 信託財産に係る規則第17条第1項第5号イ及びロに掲げる額に係る取引のうち当該取引が評価損を生じたのと同じ事由により評価益を生じた取引がある場合の同号の適用については、一定のリスク管理の下に、それぞれの取引についてリスク評価額の管理が行われているものであって、次に掲げる取引の区分に応じ、それぞれ次に該当する場合には、同号に規定する「当該取引が評価損を生じたのと同じ事由より評価益を生じた取引がある場合」に該当する。
 
(1)  有価証券先物取引、有価証券指数等先物取引(外国有価証券市場におけるこれらの取引と類似の取引を含む。)、金融先物取引(海外金融先物市場におけるこれと類似の取引を含む。) それぞれの取引の種類ごとに原証券又は原契約が同一で、かつ限月日が同一のものに限った、その対当するポジションについての評価益と評価損がある場合
 
(2)  有価証券オプション取引等(外国有価証券市場等におけるこれと類似の取引を含む。)及び有価証券店頭オプション取引等 それぞれの取引の種類ごとに原証券又は原契約が同一で、かつ限月日(行使期限)が同一のものに限った、その対当するポジションについての評価益と評価損がある場合

 

2−4  兼業関係
−4−1 証券業の兼業認可申請書の添付書類

 規則第23条第2項第4号の書面には、規則第24条第2号及び第3号の規定に鑑み、役職員の構成、証券業の執行方法を処理するための事務処理手続その他の規則及び内部管理体制が具体的に記載されており、当該業務開始時における認可申請者の組織図が添付されていること。
 

−4−2 法第19条ただし書の規定に基づく兼業業務の範囲
 
(1)  法第19条ただし書の規定に基づく承認の対象となる業務は、次に掲げるもののうち、2−4−3に規定する業務の内容及び方法による業務につき、2−4−4の基準により審査するものとする。
 
マル1  情報提供・コンサルタント業務
 
マル2  その他証券投資信託委託業に関連する業務であって、公益又は受益者保護のため支障を生ずることがないと認められるもの。
 
(2)  上記マル2に該当する業務については、当該業務を営もうとする証券投資信託委託業者から、あらかじめ、業務内容及び事業計画等の提出を求め、審査することができるものとする。
 
−4−3 業務方法基準

 法第19条ただし書の規定により証券投資信託委託業者の兼業として承認する業務の内容及び方法は、次に定めるところによるものとする。

(1)  情報提供・コンサルタント業務
 
マル1  業務の範囲
 情報提供・コンサルタント業務とは証券投資信託委託業の遂行と独立して営まれる業務で、有価証券に関連する情報の提供又は助言(有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律(昭和61年法律第74号。以下「投資顧問業法」という。)第2条第2項に規定する投資顧問業に該当するものを除く。)を行う業務をいう。
 
マル2  対顧客業務
 契約締結に当たっては当該情報提供・コンサルタント業務によって提供される役務の内容を明示し、顧客に確認を行うこと。
 
マル3  留意事項
 承認申請にあたっては業務の種類を明示して事業方法書を作成し、申請を行うこととし情報提供・コンサルタント業務として包括的に兼業承認申請は行わないこと。
 
(2)  その他証券投資信託委託業に関連する業務
 
マル1  業務の内容及び方法
 業務の内容及び方法が証券投資信託委託業の公正かつ的確な遂行を妨げることがなく、公益又は受益者保護のため支障を生ずることがないと認められるものとなっており、事業方法書において当該業務の内容及び方法が具体的に明示されていること。
 
マル2  対顧客業務
 顧客との契約締結等が伴う業務については、当該契約締結等に当たって必要な業務の方策等が具体的に整備されていること。
 
マル3  留意事項
 承認申請にあたっては業務の種類を明示して事業方法書を作成し、申請を行うこととし特定の業種名を記載した包括的な兼業申請は行わないこと。
 
−4−4 審査基準

 兼業の承認に当たっては、次に掲げる事項を勘案のうえ、その適否を判断するものとする。

 マル1  証券投資信託委託業の公正かつ的確な遂行を妨げることがないこと。
 
 マル2  業務を適正に遂行するための体制が整備されていること。
 
 マル3  証券投資信託委託業務と兼業業務との間において利益相反防止に関する内部管理体制が整備されていること。
 
 マル4  法令遵守状況が良好であること。
 
 マル5  2−4−3に業務方法基準が示されている業務については、当該基準に則した事業方法書となっていること。

 

2−5  取引報告書関係
 法第27条において準用する証券取引法(昭和23年法律第25号)第41条に規定する取引報告書の作成に当たっては、次の事項に留意するものとする。
 
−5−1 「取引報告書」の名称

 取引報告書については、「取引報告書」と同等の意味を表す名称を使用することができるものとする。
 なお、「取引報告書」以外の名称を使用する場合には、受益者に誤解を生じさせるような名称は使用しないことに留意する。
 

−5−2 記載事項

 規則別表第四に規定する取引報告書の記載事項については、当該記載事項と同等の意味を表す名称を使用することができるものとする。
 なお、当該別表に規定されている記載事項以外の名称を使用する場合には、受益者に誤解を生じさせるような名称は使用しないことに留意する。

 

2−6  信託財産運用報告書の記載事項
 法第33条及び規則第41条の規定による信託財産運用報告書は、投資者が理解しやすいように配慮して記載されるものであり、規則第41条第1項に掲げる事項の具体的な記載要領は、以下のとおりであることに留意し、その照会等があったときは、適切に対応するものとする。
 
(1)  当該信託財産の計算期間中における運用の経過
 
マル1  期初の基準価額、期末の基準価額及び期中における基準価額の状況が記載されていること。併せて、当該証券投資信託の信託財産における運用方針及び前期の運用報告書に記載された「今後の運用方針」との関連が記載されていること。
 
マル2  今後の運用方針が当該証券投資信託の信託財産における運用方針を基に、具体的に記載されていること。
 
マル3  当期の収益分配金については、分配金の決定の根拠と留保益の今後の運用方針が記載されていること。
 
(2)  運用状況の推移
 
マル1  下記の区分に応じ、当該下記に定める期間の運用実績(基準価額、分配金、期中騰落率、受益者利回り、株価指数、株式組み入れ比率、株式先物比率又は元本残存率等、信託財産の状態を的確に判断することができる実績をいう。)が、記載されていること。
 
 単位型証券投資信託 信託開始時から当期末まで
 
 追加型株式投資信託 当期以前5期以上(ただし、規則第42条第1項による場合は、当作成期間以前5作成期間以上)
 
 追加型公社債投資信託(ニに該当するものを除く。) 当期以前3期以上(ただし、規則第42条第1項による場合は、当作成期間以前3作成期間以上)
 
 計算期間が1日の追加型公社債投資信託 1作成期間以上
 
マル2  当期中の基準価額と市況との比較として、信託の計算期間の騰落率のほか、当該証券投資信託の信託財産の運用方針において、特定の指数等に連動する運用をその方針としているときは、当該指数等の推移が記載されていること。
 
(3)  組入株式又は組入マザー信託の受益証券につき、銘柄ごとに、前期末及び当期末現在における株数又は口数並びに当期末現在における時価総額
 
マル1  株式には新株引受権証券を含むこと。この場合において、「株数」とあるのは「口数」と読み替える。
 
マル2  通貨の種類ごとに記載されていること。
 (通貨の種類がユーロの場合は、国別に記載されていること。)
 
マル3  銘柄別に記載されていること。
 なお、国内株式(新株引受権証券を除く。)については、業種別に記載し、当期末の組入国内株式時価総額に対する業種別の比率があわせて記載されていること。
 
マル4  当期末の組入国内株式時価総額及び組入国内新株引受権証券時価総額については、信託財産純資産総額に対するそれぞれの比率が記載されていること。
 
マル5  当期末の組入外国株式時価総額及び組入外国新株引受権証券時価総額については、信託財産純資産総額に対するそれぞれの比率が記載されていること。
 
マル6  マザー信託受益証券についての前期末及び当期末現在の口数及び当期末の時価総額は、当該マザー信託受益証券を組入れる証券投資信託(以下「子ファンド」という。)に係るものがマザー信託受益証券の銘柄ごとに記載されていること。
 
(4)  当該計算期間中における株式の売買総数及び売買総額又はマザー信託の設定、解約の総口数及び総額
 
マル1  株式には新株引受権証券を含むこと。
 
マル2  通貨の種類ごとに記載されていること。
 (通貨の種類がユーロの場合は、国別に記載されていること。)
 
マル3  株式の売買総数及び売買総額は、それぞれ売付け及び買付けに区分して記載され、増減資、株式分割及び額面変更等による増減は括弧外書として記載され、かつ、その旨が注記されていること。
 
マル4  マザー信託の設定、解約の総口数及び総額は、当該子ファンドに係るものがマザー信託受益証券の銘柄ごとに記載されていること。
 
マル5  組入株式の売買比率及び受益権一口当たりの売買委託手数料が記載されていること。この場合において、子ファンドに係る売買委託手数料については、マザー信託の当該子ファンドに対応する部分について記載されていること。
 
(5)  組入公社債につき、種類ごとに、当期末現在における時価総額及び当該計算期間中における売買総額
 
マル1  通貨の種類ごとに記載されていること。
 (ただし、規則第42条第1項による場合は、通貨の種類にかかわらず、その合計額が記載されていても差し支えない。通貨の種類がユーロの場合は、国別に記載されていること。)
 
マル2  種類は、国債証券、地方債証券、特殊債証券、転換社債券及びその他の社債券の区分によりなされていること。
 (ただし、主として転換社債券に投資運用することとされている証券投資信託にあっては、組入転換社債券が銘柄別に記載され、また、投資者保護を図る上で支障を生じないと認められる場合には、公社債の種類について別途の区分によりなされていても差し支えない。)
 
マル3  当該計算期間中における売買総額は、売付け及び買付けに区分して記載され、転換社債券の割当て、償還及び株式転換等による増減は括弧外書として記載され、かつ、その旨が注記されていること。
 
(6)  有価証券先物取引、外国有価証券市場において行われる有価証券先物取引と類似の取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、外国市場証券先物取引、有価証券先渡取引、有価証券店頭指数等先渡取引、有価証券店頭オプション取引、有価証券店頭指数等スワップ取引、金融先物取引、海外金融先物市場において行われる金融先物取引と類似の取引、店頭金融先物取引、スワップ取引、金利先渡取引及び為替先渡取引につき、それぞれの種類ごとに、当期末現在における取引契約残高又は取引残高及び当該信託財産の計算期間中における取引契約金額又は取引金額
 当期末現在における取引契約残高又は取引残高及び当該信託財産の計算期間中における取引契約金額又は取引金額は、株式に係る取引、債券に係る取引等に区分して記載されていること。
 (ただし、規則第42条第1項による場合は、上記にかかわらず各月の最終の営業日の前日現在における残高及び当該計算期間中における売付け・買付け別の取引総額が記載されていても差し支えない。)
 
(7)  当期末現在における組入株式、組入新株引受権証券、組入公社債、組入マザー信託の受益証券、コール・ローン等のそれぞれの総額の信託財産総額に対する比率
 比率は、各資産(マザー信託受益証券にあっては銘柄ごと)のそれぞれの総額(株式、新株引受権証券、公社債及びマザー信託受益証券は時価総額による。)の信託財産純資産総額に対する比率(追加型公社債投資信託については信託財産資産総額とする。ただし、当該比率が信託財産の状態を的確に判断することができなくなるおそれがあるときは、この限りでない。)が記載されていること。
 なお、当期末現在における外貨建資産に係る純資産総額の信託財産純資産総額に対する比率が注記されていること。
 
(8)  当期末現在における資産、負債、元本及び受益証券の基準価額の状況並びに当該信託財産の計算期間中の損益の状態
 信託財産が借入れを行っている場合には、その借入先及び借入額が注記されていること。
 
(9)  当期末現在における組入有価証券につき、貸付けを行っている有価証券の種類ごとに、総株数及び券面総額
 株式、公社債に区分され、株式については総株数を、公社債については券面総額が記載されていること。
 なお、利害関係人等に貸付けをしているものについては、括弧内書され、かつ、貸付先の名称が注記されていること。
 
(10 ) コール・ローンを除く当期末現在における金銭の貸付残高並びに主な貸付け先の氏名又は名称及び住所
 主な貸付先は、当期末現在における信託財産の純資産総額に占める貸付残高の割合が1%以上の貸付先を記入すること。
 なお、利害関係人等に貸付けをしているものについては、括弧内書され、かつ、貸付先の名称が注記されていること。
 
(11 ) 当該信託財産の計算期間中における利害関係人等との取引の状況及び当該利害関係人等に支払われた売買委託手数料の総額
 取引状況は、有価証券、有価証券先物取引、外国有価証券市場において行われる有価証券先物取引と類似の取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、外国市場証券先物取引、有価証券先渡取引、有価証券店頭指数等先渡取引、有価証券店頭オプション取引、有価証券店頭指数等スワップ取引、金融先物取引、海外金融先物市場において行われる金融先物取引と類似の取引、店頭金融先物取引、スワップ取引、金利先渡取引及び為替先渡取引の種類ごとに、買付額、売付額に区分され、利害関係人との取引額及びそれぞれの総額に対する比率が記載されていること。
 
(12 ) 証券業を営んでいる場合にあっては、当該信託財産の計算期間中における証券会社である証券投資信託委託業者との間の取引の状況及び当該証券投資信託委託業者に支払われた売買委託手数料の総額
 取引状況は、有価証券、有価証券先物取引、外国有価証券市場において行われる有価証券先物取引と類似の取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、外国市場証券先物取引、有価証券先渡取引、有価証券店頭指数等先渡取引、有価証券店頭オプション取引、有価証券店頭指数等スワップ取引、金融先物取引、海外金融先物市場において行われる金融先物取引と類似の取引、店頭金融先物取引、スワップ取引、金利先渡取引及び為替先渡取引の種類ごとに、買付額、売付額に区分され、自己との取引額及びそれぞれの総額に対する比率が記載されていること。
 
(13 ) 当該信託契約の終了の場合は、信託財産運用総括表
 当該信託の開始時から前期末までの運用の経過の概略があわせて記載されていること。なお、(1)において当該運用の経過の概略が記載されている場合には当該運用の経過の概略を省略することができるものとする。
 規則第42条第1項による場合は、規則別紙様式第8号中「毎計算期末の状況」については、「毎作成期間末の状況」と読み替えて作成しても差し支えない。
 
(14 ) その他記載事項
 
マル1  計算期間中に外貨の予約売買を行った場合は、その旨が、また、当期末において外貨の予約売買に係る未決済残高があるときは、その旨及びその残高が通貨の種類ごとにそれぞれ注記されていること。
 (ただし、規則第42条第1項による場合は、本文中「計算期間中」とあるのは「作成期間中」に、「当期末」とあるのは「当該作成期間の末日」と読み替える。)
 
マル2  当期末において、金利又は通貨等に係るスワップ取引契約を行っている場合においては、当該契約に係る元本額、契約の相手方の名称が注記されていること。
 (ただし、規則第42条第1項による場合は、本文中「当期末」とあるのは「当該作成期間の末日」と読み替える。)
 
マル3  信託財産を統合する場合においては、規則第41条第1項第1号から第6号まで及び第8号に掲げる事項について、上記(1)から(6)まで及び(8)に定める記載方法により当該信託財産ごとに列記し、これに合計欄を設けて記載されていること。
 
マル4  マザー信託の信託財産の運用報告書については、その子ファンドの信託財産運用報告書において、当該マザー信託の信託財産について、規則第41条第1項第1号から第8号までに掲げる事項について、上記(1)から(8)まで及び(14)のマル1に定める記載方法により記載されていること。この場合において、「前期末」とあるのは「子ファンドの前期末」と、「当期末」とあるのは「子ファンドの当期末」と、「当該計算期間中」とあるのは「子ファンドの当該計算期間中」と読み替えるものとし、規則第41条第1項第4号、第7号及び第8号の事項並びに同項第5号、第6号及び第7号中計算期間中における売買総額及び取引状況の記載は、これを省略しても差し支えない。
 なお、子ファンドの当該決算日前3カ月以内の日現在をもって作成された上記内容を記載した書面がある場合には、当該書面をもって上記書面に代えることができる。この場合において、「前期末」とあるのは「子ファンドにつき作成された書面の作成日の1年前」と、「計算期間中」とあるのは「子ファンドにつき作成された書面の作成日前1年間」と読み替える。
 

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