担保不動産等流動化総合対策





1.担保不動産の収益性の向上                                                 


    担保不動産の収益性を高めるとともに、快適な街づくりに資するために、以下の施


  策を実施。                                                                 


  (1) 担保不動産の自己競落等による権利関係の整理                             


      住宅金融債権管理機構、整理回収銀行、共同債権買取機構(以下「債権回収機関」


    という。)において、自己競落も含めた競売手続の利用を推進し、権利関係を早期


    に整理する。                                                             


                                                                           


  (2) 虫喰い・不整形状態となっている担保土地の有効利用策                   


      虫喰い地・不整形地については、整形化が行われていないためそもそも利用が不


    可能であるか、極めて利用価値が低い状態にある。従って、権利関係の整理を前提


    として、種々の施策を効果的に組み合わせて、土地の整形化を図りつつ、有効利用


    を強力に推進する。                                                       


    (a)  土地区画整理事業の弾力的運用等による土地の集約化                     


        税制上の特例措置の適用を受ける土地区画整理事業の基準の弾力化、民間都市


      開発推進機構の活用 (注) 等により、都心部に散在する低未利用地の集約化を行


      い、これにより良質な住宅供給・都市整備が可能となる一団の敷地を創出して、


      都心部の土地の有効利用を促進する。                                     


         (注) 土地の集約化が見込まれる場合の土地取得に係る面積要件の緩和等を行


            う。                                                             


    (b)  典型的虫喰い・不整形地の中から数か所について緊急選定し、有効利用ワーキ


      ンググループにおいて各々についてタイプ別に官民合同で有効利用プランを提言。


    (c)  住宅・都市整備公団の活用                                             


        民間事業者単独では実施が困難な状況に鑑み、再開発にかかる専門的ノウハウ


      を有するコーディネーターとして、民間との共同事業等により土地の有効利用を


      進める。                                                               


                                                                           


  (3) 国民生活に密着した公共的な用地需要への活用                           


      既に権利関係が整理される等、国民生活に密着した公共的な用地需要に対応でき


    るような状況となっているものについて、各分野の政策目的にあった活用を図って


    いく。このため、具体的には、以下の(a)にあるような既存の公的資金の枠組を有効


    活用し、(b)のような分野への活用を図る。                                   


      第一弾として、当面、債権回収機関より、合計 900カ所、簿価 3,800億円相当の


    担保土地リストを提出。                                                   


     (注1)このうち条件の合致するものについて公共的活用を図るものであり、リス


          トの全てが公共的用地として活用されるものではない。                 


     (注2)事業主体は、公的なものに限らず民間も可能。                       


    (a)  既存の公的資金の枠組み                                               


      (イ) 公共用地の先行取得制度                                             


      (ロ) 各種補助金制度                                                     


      (ハ) 開銀等の各種政策融資                                               


    (b)  考えられる公共用地需要                                               


      (イ) 老人福祉施設(特別養護老人ホーム、ケアハウス、デイサービスセンター等


          )、有料老人ホーム、老人保健施設、児童福祉施設、障害者福祉施設     


      (ロ) 都市防災機能関連施設(防災公園・グリーンオアシス、地震番、ヘリポート、


        避難地、避難路等)                                                     


      (ハ) 都市計画道路用地の取得及び代替地確保、都市居住推進のための周辺整備  


      (ニ) 商店街活性化・集積機能活用又は産業活性化関係施設                   


      (ホ) 生涯学習関連施設、学術研究関連施設、都市型スポーツ空間の整備       


      (ヘ) 情報通信関係施設                                                   


                                                                           


2.担保不動産の証券化                                                     


  (1) 上記のような担保不動産の収益性の向上を図りつつ、将来的にはファンドの投資


    対象としての不動産にかかる証券化を目指す。                               


  (2) 当面、2001年ビッグバンの「Free  Fair  Global」の三大要素に沿って、規


    制緩和や制度の見直しを行うことにより、多様化、簡素・低コスト化を推進し、不


    良債権処理、担保不動産流動化を促進する。                                   


  (3) 上記により必然的に購入者層が拡がるため、有価証券指定を含め、投資家保護を


    徹底させる。改正外為法の施行に伴い、国内のみならず、広く海外の投資家による


    購入も一層推進する。                                                     


  (4) 具体的方策として、以下を柱とする「担保不動産等証券化パッケ-ジ」を実施す


    る。                                                                     


    (a)  信託活用方式については、不動産担保付事業ローンの信託受益権を有価証券指


      定し、取扱いを金融・証券相乗りとする方式を直ちに実施し、担保不動産の信託


      受益権については、小口化商品に流動性を付与する。                       


    (b)  特別目的会社(SPC)方式については、債権の譲渡先通達の改正、商法上の


      解釈確認により国内SPCの利用を直ちに可能にするとともに、SPCの法的整


      備等の検討を含め、10年度本格導入に向けて進捗させる。                   


    (c)  損害保険会社の保証の活用、格付・評価システムの早急な確立、自主ル-ル等


      による投資家への情報提供の充実等により、商品の魅力を向上させる。       


    (d)  土地信託受益権や特別目的会社に係る課税の取扱いなど、不良資産の証券化に


      係る税制については、不良資産の証券化を円滑に進める観点から、今後、税制当


      局との間で証券化スキ-ムの具体化を踏まえ、所要の措置について検討を行う   


                                                                             


3.担保不動産の情報化の推進                                                 


    以上1.及び2.を通じて不動産市場の健全な育成を図るため、基本的かつ総合的


  な不動産のデータベースの確立を目指す。                                     


  (1) 当面、債権回収機関において、担保不動産について迅速にデータベース化・情報


    開示する。                                                               


  (2) 担保不動産をはじめとする不動産の評価手法を一層改善する。               


  (3) 担保不動産の評価額について幅広く情報を開示する。                       


  (4) 商業用不動産賃料についてのデータ整備を図る。                         


                                                                           


4.民間の取組み                                                           


    民間においても、上記取組みにあわせ、その創意工夫を活かした積極的な有効利用


  の促進を図ることとし、民間に対し一層の努力を要請する。                     


                                                                             


5.情報交換の場の設置                                                       


    本総合対策の円滑な実施等に資するため、関係省庁は連絡を密にすることとする。


  このため、住専関連業務支援連絡協議会の協力を得て、関係各省庁からなる担保不動


  産等流動化対策連絡会議(仮称)を設置する。                                 


                                                                              






「金融システム改革(日本版ビッグバン)とは」目次に戻る

ホームページに戻る