(追加的資金援助)

六十九条 機構は、資金援助に係る合併等の後、当該資金援助に係る救済金融機関若しくは救済銀行持株会社等又は当該資金援助に係る合併により設立された金融機関から追加の資金援助の申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、当該申込みを行つた金融機関又は銀行持株会社等に対する追加の資金援助(第四項において「追加的資金援助」という。)を行うことができる。


 前項の規定による申込みに係る資産の買取りは、合併等(第五十九条第二項第三号に掲げる営業譲渡等のうち破綻金融機関がその営業の一部を他の金融機関に譲渡するもの又は付保預金移転に限る。)に係る破綻金融機関の資産又は次の各号に掲げる合併等の区分に応じ当該各号に定める資産について行うものとし、前項の規定による申込みに係る資金援助のうちに合併等(同条第二項第三号に掲げる営業譲渡等のうち破綻金融機関がその営業の一部を他の金融機関に譲渡するもの又は付保預金移転に限る。以下この項及び第四項において同じ。)に係る破綻金融機関の資産の買取りが含まれているときは、当該合併等に係る救済金融機関は、当該破綻金融機関と連名で、機構が当該資産の買取りを行うことを機構に申し込むものとする。

 一

 第五十九条第二項第一号に掲げる合併 当該合併により存続する金融機関の資産(当該合併前に破綻金融機関の資産であつたものに限る。)

 二

 第五十九条第二項第二号に掲げる合併 当該合併により設立された金融機関の資産(当該合併前に破綻金融機関の資産であつたものに限る。)

 三

 第五十九条第二項第三号に掲げる営業譲渡等 同号の他の金融機関の資産で当該営業譲渡等により譲り受けたもの

 四

 第五十九条第二項第四号に掲げる株式の取得 当該株式の取得をされた金融機関の資産


 第一項の規定による申込みに係る損害担保は、前項各号に掲げる合併等の区分に応じ当該各号に定める資産である貸付債権について行うものとする。


 第五十九条第六項及び第七項、第六十四条並びに第六十四条の二の規定は第一項又は第二項の規定による申込みについて、第五十九条の二の規定は資金援助に係る合併等を行つた救済金融機関について、第六十七条及び第六十八条の規定は追加的資金援助について、それぞれ準用する。この場合において、第六十四条第二項中「及び当該資金援助に係る破綻金融機関の保険事故につき保険金の支払を行うときに要すると見込まれる」とあるのは「及び当該資金援助に係る破綻金融機関につき当該議決前に行われた委員会の議決に係る資金援助に要すると見込まれた費用並びに当該破綻金融機関の保険事故につき保険金の支払を行うときに要すると見込まれた」と、第六十八条中「その行おうとする適格性の認定等に係る合併等のために機構による資金援助」とあるのは「追加的資金援助」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

 第八十一条の二第一項中「場合」の下に「(第一種保険事故の発生した金融機関の預金者等の保護のため必要があると認める場合を含む。)」を加え、同条第二項中「第八十一条の四第一項」を「第七十二条第一項」に改め、第四章中同条を第七十条とする。

 第八十一条の三を第七十一条とする。

 第八十一条の四第四項中「第八十一条の二第二項ただし書」を「第七十条第二項ただし書」に改め、同条を第七十二条とする。

 第八十一条の五第一項中「有する預金等債権」の下に「(第二条第二項第五号に掲げる預金等に係るもののうち割引の方法により発行される債券に係るものを除く。以下この条において同じ。)」を加え、「(昭和四十年法律第三十三号)」を削り、同項に次の一号を加える。

 五  第二条第二項第五号に掲げる金銭 同号に規定する債券(割引の方法により発行されるものを除く。)の利子

 第八十一条の五第二項中「第八十一条の二第二項ただし書」を「第七十条第二項ただし書」に改め、同条第三項中「(昭和三十二年法律第二十六号)」を削り、第四章中同条を第七十三条とする。

 第六章中第九十二条を第百五十二条とする。

 第九十一条第一号中「認可」の下に「又は承認」を加え、同条第四号を次のように改める。

 四  第四十条第三項の規定に違反して、書類を備え置かず、又は閲覧に供しなかつたとき。

 第九十一条第八号中「第五十九条第六項」を「第五十九条第七項(第五十九条の二第三項(第六十九条第四項において準用する場合を含む。)、第六十九条第四項、第百一条第五項及び第百十八条第二項において準用する場合を含む。)」に改め、「第六十二条第四項」の下に「(第百一条第七項及び第百十八条第四項において準用する場合を含む。)、第百一条第五項及び第百十八条第二項」を加え、「又は第七十四条第十二項」を「(第百一条第七項及び第百十八条第四項において準用する場合を含む。)又は第百二十条第三項」に改め、同条を第百五十一条とする。

 第八十九条及び第九十条を削る。

 第八十八条中「第三十七条第一項」の下に「又は第五十五条の二第二項」を加え、同条を第百四十八条とし、同条の次に次の二条を加える。

百四十九条 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。)を含む。以下この項において同じ。)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

 一 第百四十三条 二億円以下の罰金刑

 二 第百四十六条又は第百四十八条 各本条の罰金刑

 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を適用する。


百五十条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした金融機関又は銀行持株会社等の取締役又は理事は、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

 一

 この法律に定める公告、報告、通知若しくは催告をすることを怠り、又は不正の公告、報告若しくは通知をしたとき。

 二

 第七十四条第五項の規定に違反して、申出をせず、又は虚偽の申出をしたとき。

 三

 第七十七条第二項の規定により選任された金融整理管財人に事務の引渡しをしないとき。

 四

 第百三十一条第七項の規定による弁済又は担保の提供若しくは財産の信託を怠つたとき。


 金融整理管財人が、第七十五条の規定により管理を命ずる処分が取り消されたにもかかわらず、被管理金融機関の取締役若しくは理事又は清算人に事務の引渡しをしないときは、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。


 次の各号に掲げる金融機関の金融整理管財人は、当該各号に定める規定のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

 一

 銀行 商法第四百九十八条第一項各号又は銀行法第六十五条各号

 二

 長期信用銀行 商法第四百九十八条第一項各号又は長期信用銀行法第二十七条各号

 三

 金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第一条第一項の規定により信託業務を営む金融機関 同法第十条各号

 四

 信用金庫又は信用金庫連合会 信用金庫法第九十一条第一項各号

 五

 信用協同組合又は信用協同組合連合会 協同組合による金融事業に関する法律第十二条第一項各号

 六

 労働金庫又は労働金庫連合会 労働金庫法第百一条第一項各号


 信用協同組合又は信用協同組合連合会の金融整理管財人は、中小企業等協同組合法第百十五条各号のいずれかに該当する場合には、二十万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

 第八十七条第二号中「第八十一条の四第五項」を「第七十二条第五項」に、「又は第六十四条第三項」を「、第六十四条第三項(第六十九条第四項、第百一条第七項、第百十八条第四項、第百二十七条第二項及び第百二十八条第二項において準用する場合を含む。)、第九十二条第三項、第九十六条第三項、第九十七条第二項、第九十八条第二項、第百七条第二項、第百九条第二項、第百二十条第四項、第百二十三条第一項又は第百二十九条第四項」に改め、同条を第百四十七条とする。

 第八十五条及び第八十六条を削る。

 第八十四条の二に次の一項を加える。

 被管理金融機関の取締役若しくは理事、監査役若しくは監事若しくは支配人若しくは参事その他の使用人又はこれらの者であつた者が第八十一条第一項(第七十七条第一項の規定により読み替えて適用される場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第八十一条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときも、前項と同様とする。

 第八十四条の二を第百四十五条とし、同条の次に次の一条を加える。

百四十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

 一

 第六十四条の二第四項(第六十九条第四項及び第百一条第七項において準用する場合を含む。)、第百条又は第百八条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 二

 第八十条又は第百十五条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者

 第八十四条中「含む。)」の下に「又は第八十二条」を加え、同条を第百四十四条とし、第六章中同条の前に次の三条を加える。

百四十一条 金融整理管財人又は金融整理管財人代理がその職務に関し賄賂を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。


 金融整理管財人又は金融整理管財人代理が法人であるときは、金融整理管財人又は金融整理管財人代理の職務に従事するその役員又は職員がその職務に関し賄賂を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。金融整理管財人又は金融整理管財人代理が法人である場合において、その役員又は職員が金融整理管財人又は金融整理管財人代理の職務に関し金融整理管財人又は金融整理管財人代理に賄賂を収受させ、又はその供与を要求し、若しくは約束したときも、同様とする。


 犯人又は法人たる金融整理管財人若しくは金融整理管財人代理の収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。


百四十二条 前条第一項若しくは第二項に規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。


百四十三条 第百三十六条第一項又は第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者は、一年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。


 第百三十七条第一項、第二項又は第六項の規定による当該職員又は機構の職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者も、前項と同様とする。

 第六章を第九章とする。

 第五章中第八十三条を第百三十九条とし、同条の次に次の一条を加える。

 (経過措置)

百四十条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

 第五章中第八十二条を第百三十八条とし、同条の前に次の十一条を加える。

 (預金等の払戻しのための資金の貸付け)

百二十七条 機構は、次に掲げる金融機関から預金等の払戻し(第五十四条第一項から第三項までの規定により計算した保険金の額に対応する預金等につき行うものに限る。)のために必要とする資金の貸付けの申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、委員会の議決を経て、当該預金等に係る同条第一項から第三項までの規定により計算した保険金の額の合計額に達するまでを限り、当該申込みに係る貸付けを行う旨の決定をすることができる。

 一

 第七十四条第一項又は第二項の規定により管理を命ずる処分を受けた金融機関

 二 更生手続開始の決定を受けた破綻金融機関

 三  会社更生法第三十九条第一項又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第三十三条第一項の規定による保全管理人による管理を命ずる処分を受けた破綻金融機関

 四

 民事再生法第六十四条第一項の規定による管財人による管理を命ずる処分を受けた破綻金融機関

 五

 民事再生法第七十九条第一項の規定による保全管理人による管理を命ずる処分を受けた破綻金融機関

 六

 商法第三百八十六条第一項(信用金庫法第六十二条、協同組合による金融事業に関する法律第六条の二第四項及び労働金庫法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による商法第三百八十六条第一項第十一号の管理の命令を受けた破綻金融機関


 第六十四条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による決定をしたときについて準用する。


 第一項の規定により次の各号に掲げる金融機関に対してされた貸付けは、当該金融機関に係る破産手続、再生手続、更生手続又は特別清算手続における機構以外の債権者との関係においては、当該各号に定める決定より前にされたものとみなす。

 一

 第一項第二号に掲げる破綻金融機関 当該更生手続開始の決定

 二

 再生手続開始の決定を受けた破綻金融機関 当該再生手続開始の決定

 三

 整理開始の命令を受けた破綻金融機関 当該整理開始の命令に係る決定


 第一項の決定に基づく資金の貸付けに要すると見込まれる費用は、第六十四条第二項の適用については、同項の資金援助に要すると見込まれる費用とみなす。

 (資産価値の減少防止のための資金の貸付け)

百二十八条 機構は、前条第一項各号に掲げる金融機関(同項第一号に掲げる金融機関にあつては、更生手続開始若しくは再生手続開始の申立て又は整理開始の命令があつた後に限る。)からその保有する貸付債権その他の資産の価値の減少を防止するために必要とする資金の貸付けの申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、委員会の議決を経て、その必要の限度において、当該申込みに係る資金の貸付けを行う旨の決定をすることができる。


 第六十四条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による決定をしたときについて準用する。

 (資産の買取り)

百二十九条 機構は、第三章第四節の規定による場合のほか、協定承継銀行又は特別危機管理銀行が保有する資産の買取りを行うことができる。


 機構は、前項の規定による資産の買取りを行う場合には、内閣総理大臣及び財務大臣があらかじめ定めて公表する基準に従わなければならない。


 機構は、協定承継銀行又は特別危機管理銀行から第一項の資産の買取りに係る申込みがあつたときは、遅滞なく、委員会の議決を経て、当該申込みに係る資産の買取りを行うかどうかを決定しなければならない。


 機構は、前項の規定による決定をしたときは、直ちに、その決定に係る事項を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。


 機構は、第三項の規定による資産の買取りを行う旨の決定をしたときは、当該協定承継銀行又は特別危機管理銀行との間で当該資産の買取りに関する契約を締結するものとする。

 (信用金庫等の総会等の招集手続の特例)

百三十条 適格性の認定等を受けた信用金庫等が行う営業譲渡等及びその実施に必要な定款の変更について議決するための当該信用金庫等の総会は、総会員(労働金庫にあつては、労働金庫法第十三条第一項に規定する個人会員を除く。)又は総組合員の同意があるときは、信用金庫法第四十五条、中小企業等協同組合法第四十九条及び労働金庫法第四十九条の規定にかかわらず、招集の手続を経ることなく開催することができる。


 前項の規定は、同項に規定する事項について議決するための総代会について準用する。この場合において、同項中「総会員(労働金庫にあつては、労働金庫法第十三条第一項に規定する個人会員を除く。)又は総組合員」とあるのは「総代の全員」と、「信用金庫法第四十五条、中小企業等協同組合法第四十九条及び労働金庫法第四十九条」とあるのは「信用金庫法第五十条第五項において準用する同法第四十五条、中小企業等協同組合法第五十五条第六項において準用する同法第四十九条及び労働金庫法第五十五条第五項において準用する同法第四十九条」と読み替えるものとする。

 (営業譲渡等における債権者保護手続の特例)

百三十一条 第五十九条第二項第三号に掲げる営業譲渡等又は付保預金移転を援助するための第六十四条第一項の規定による資金援助を行う旨の決定があつたときは、当該営業譲渡等又は付保預金移転に係る債務の引受けは、当該営業譲渡等又は付保預金移転により救済金融機関が引き受ける債務に係る債権者(第五項において「移転債権者」という。)の承諾を得ないでこれをすることができる。


 銀行法第三十四条及び第三十五条(これらの規定を長期信用銀行法第十七条、信用金庫法第八十九条第一項、協同組合による金融事業に関する法律第六条第一項及び労働金庫法第九十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、前項の決定があつた場合における当該決定に係る営業譲渡等については、適用しない。


 第一項の決定があつた場合における当該決定に係る営業譲渡等又は付保預金移転がされたときは、当該破綻金融機関及び救済金融機関は、その日から二週間以内に、当該営業譲渡等又は付保預金移転の内容の要旨及びこれに対し異議のある債権者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告し、かつ、預金者等その他政令で定める債権者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。


 前項の期間は、一月を下つてはならない。


 移転債権者が第三項に規定する期間内に異議を述べたときは、当該移転債権者に係る債務の引受けは当該債務の引受けの時にさかのぼつてその効力を失う。ただし、第三者の権利を害することができない。


 破綻金融機関の債権者(第一項に規定する営業譲渡等又は付保預金移転により救済金融機関が引き受けた債務以外の破綻金融機関の債務に係る債権者に限る。)が第三項の期間内に異議を述べた場合において、当該債権者の債権につき第一項に規定する営業譲渡等又は付保預金移転により弁済を受けることができないこととなつた金額があるときは、当該債権者は、救済金融機関に対し、当該金額に相当する金銭の支払を請求することができる。


 救済金融機関の債権者(第一項に規定する営業譲渡等又は付保預金移転により救済金融機関が引き受けた債務以外の救済金融機関の債務に係る債権者に限る。)が第三項の期間内に異議を述べたときは、当該救済金融機関は、弁済し、又は相当の担保を提供し、若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託業務を営む銀行若しくは信託会社に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該営業譲渡等又は付保預金移転が当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

 (信託業務の承継における受託者更迭手続の特例)

百三十二条 破綻金融機関であつて金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の規定により信託業務を営む者が同項の規定により信託業務を営む金融機関に対してする営業の譲渡を援助するための第六十四条第一項の規定による資金援助を行う旨の決定があつたときは、当該破綻金融機関は、その引き受けた信託につき、信託法(大正十一年法律第六十二号)第四十六条、第四十九条第一項及び第七十一条の規定にかかわらず、当該資金援助に係る救済金融機関(以下この条において「新受託者」という。)との間の営業の譲渡の契約をもつて受託者更迭をすることができる。


 新受託者は、前項の規定による更迭が行われたときは、直ちに、当該更迭に係る信託の委託者(以下この条において「移転委託者」という。)又は受益者(以下この条において「移転受益者」という。)であつて当該更迭に異議のある者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告し、かつ、貸付信託その他の定型的信託契約に係る信託として政令で定めるもの(第四項において「定型的信託」という。)に係る移転委託者及び移転受益者以外の知れている移転委託者及び移転受益者には、各別にこれを催告しなければならない。


 前項の期間は、一月を下つてはならない。


 第二項の期間内に異議を述べた移転委託者(定型的信託であつて委託者が信託利益の全部を享受するものとして政令で定めるもの(次項及び第七項において「貸付信託等」という。)に係る移転委託者を除く。)は、当該異議を述べた日から起算して一月以内に限り、移転受益者の同意を得て、新受託者を解任することができる。


 第二項の期間内に異議を述べた移転受益者(貸付信託等に係る移転受益者を除く。)は、当該異議を述べた日から起算して一月以内に限り、移転委託者の同意を得て、新受託者を解任することができる。


 信託法第四十五条の規定は、前二項の規定により任務を終了した新受託者について準用する。


 第二項の期間内に異議を述べた貸付信託等に係る移転受益者は、新受託者に対し、第一項の規定による更迭が行われなければ有したであろう公正な価格で自己の受益権を買い取ることを請求することができる。


 新受託者は、前項の請求があつた場合には、当該請求に係る受益権をその固有財産をもつて買い取らなければならない。この場合においては、信託法第九条及び貸付信託法(昭和二十七年法律第百九十五号)第十一条の規定は適用しない。


 商法第二百四十五条ノ三及び第二百四十五条ノ四並びに非訟事件手続法第百二十六条第一項及び第百三十二条ノ六の規定は、第七項の規定による請求について準用する。この場合において、商法第二百四十五条ノ三第一項から第三項までの規定中「決議ノ日」とあるのは「異議ヲ述ベタル日」と、同条第一項、第二項及び第五項中「株式」とあるのは「受益権」と、同条第二項及び第三項中「株主」とあるのは「移転受益者」と、同法第二百四十五条ノ四中「第二百四十五条ノ二」とあるのは「預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第百三十二条第七項」と、「株主」とあるのは「移転受益者」と、「第二百四十五条第一項ニ掲グル行為」とあるのは「営業又ハ事業ノ譲渡」と、非訟事件手続法第百三十二条ノ六第一項中「及ビ第四百十三条ノ三第七項」とあるのは「、第四百十三条ノ三第七項及ビ預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第百三十二条第九項」と、同条第二項中「株主」とあるのは「移転受益者」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

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 第一項の規定による更迭が行われた場合においては、信託法第五十五条第一項の規定による事務の引継ぎ(次項において「事務引継」という。)に移転受益者又は信託管理人が立ち会うことを要しない。

11

 第一項の規定による更迭が行われた場合における事務引継に移転受益者又は信託管理人が立ち会わなかつたときは、信託法第五十五条第二項の規定は適用しない。

 (根抵当権の譲渡に係る特例)

百三十三条 被管理金融機関が承継銀行その他の金融機関(以下この条において「承継金融機関」という。)に対する営業の譲渡により元本の確定前に根抵当権をその担保すべき債権の全部とともに譲渡しようとするときは、当該被管理金融機関及び当該承継金融機関は、次に掲げる事項について異議のある根抵当権設定者は当該被管理金融機関に対し一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告し、又はこれを催告することができる。

 一

 当該被管理金融機関から当該承継金融機関に当該根抵当権が譲渡されること及びその期日

 二

 当該根抵当権の譲渡の後においても当該根抵当権が当該債権を担保すべきものとすること。

2 前項の期間は、二週間を下つてはならない。

 第一項の公告又は催告に係る根抵当権設定者が同項各号に掲げる事項について同項の期間内に異議を述べなかつたときは、同項第一号に掲げる事項について当該根抵当権設定者の承諾が、同項第二号に掲げる事項について当該根抵当権設定者と同項の公告又は催告に係る承継金融機関の合意が、それぞれあつたものとみなす。


 根抵当権設定者が第一項各号に掲げる事項の一部について異議を述べたときは、同項各号に掲げる事項の全部について異議を述べたものとみなす。


 前各項の規定は、承継銀行又は特別危機管理銀行が他の金融機関に対する営業の譲渡により元本の確定前に根抵当権をその担保すべき債権の全部とともに譲渡しようとする場合について準用する。

 (根抵当権移転登記等の申請手続の特例)

百三十四条 前条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の場合における根抵当権の移転の登記の申請書には、公告又は催告をしたこと及び根抵当権設定者が同条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の期間内に異議を述べなかつたことを証する書面を添付しなければならない。


 前条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の場合における根抵当権の担保すべき債権の範囲に譲渡に係る債権を追加することを内容とする根抵当権の変更の登記は、申請書に前項に規定する書面を添付したときは、根抵当権者のみで申請することができる。

 (課税の特例)

百三十五条 第七十九条の規定による登記については、登録免許税を課さない。


 承継銀行が第九十一条第一項又は第二項の規定による同条第一項第二号に掲げる決定を受けて行う被管理金融機関の営業の譲受け等(次項において「決定に基づく譲受け等」という。)により不動産に関する権利(第九十三条第二項の規定により当該承継銀行が保有する資産として適当であることの確認がされたものに限る。)の取得をした場合には、当該不動産に関する権利の移転の登記については、財務省令で定めるところにより当該取得後一年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税を課さない。


 承継銀行が決定に基づく譲受け等により取得した土地又は土地の上に存する権利(第九十三条第二項の規定により当該承継銀行が保有する資産として適当であることの確認がされたものに限る。)の譲渡(租税特別措置法第六十二条の三第二項第一号イに規定する譲渡をいい、同号ニに掲げる行為を含む。)は、承継銀行(当該土地又は土地の上に存する権利の譲渡が同号ニに掲げる行為の場合にあつては、承継銀行と合併する被管理金融機関を含む。)に係る同条及び同法第六十三条の規定の適用については、同法第六十二条の三第二項第一号に規定する土地の譲渡等には該当しないものとする。

 (報告又は資料の提出)

百三十六条 内閣総理大臣(労働金庫又は労働金庫連合会にあつては、内閣総理大臣及び厚生労働大臣。次項及び次条において同じ。)は、この法律の円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、金融機関(代理店を含む。)に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。


 内閣総理大臣は、この法律の円滑な実施を確保するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該金融機関の子会社(当該金融機関が銀行である場合には銀行法第二条第八項に、長期信用銀行である場合には長期信用銀行法第十三条の二第二項に、信用金庫又は信用金庫連合会である場合には信用金庫法第三十二条第六項に、信用協同組合又は信用協同組合連合会である場合には協同組合による金融事業に関する法律第四条第一項に、労働金庫又は労働金庫連合会である場合には労働金庫法第三十四条第五項にそれぞれ規定する子会社(子会社とみなされる会社を含む。)をいう。次項及び次条において同じ。)又は当該金融機関から業務の委託を受けた者に対し、当該金融機関の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。


 金融機関の子会社又は金融機関から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。

 (立入検査)

百三十七条 内閣総理大臣は、この法律の円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、当該職員に金融機関(代理店を含む。)の営業所(信用金庫等にあつては、事務所)その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。


 内閣総理大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に当該金融機関の子会社又は当該金融機関から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、当該金融機関に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。


 前二項の場合において、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。


 第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。


 前条第三項の規定は、第二項の規定による金融機関の子会社又は金融機関から業務の委託を受けた者に対する質問及び検査について準用する。


 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、機構に、第一項又は第二項の規定による立入り、質問又は検査(次に掲げる事項を調査するために行うものに限る。)を行わせることができる。この場合において、機構は、その職員に当該立入り、質問又は検査を行わせるものとする。

 一

 第五十条第一項の規定による保険料の納付が適正に行われていること。

 二

 第五十五条の二第四項に規定する措置が講ぜられていること。

 三

 第七十一条第二項の預金等債権について弁済を受けることができると見込まれる額


 第三項から第五項までの規定は、前項の規定による立入り、質問又は検査について準用する。

 第五章を第八章とし、第四章の次に次の三章を加える。

   第五章 金融整理管財人による管理

 (業務及び財産の管理を命ずる処分)

七十四条 内閣総理大臣(この項に規定する処分に係る金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあつては、内閣総理大臣及び厚生労働大臣。次項、第四項(次条第二項において準用する場合を含む。)及び第五項、同条第一項、第七十七条第二項から第四項まで、第七十九条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第八十条、第八十四条第一項並びに第九十条において同じ。)は、金融機関がその財産をもつて債務を完済することができないと認める場合又は金融機関がその業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあると認める場合若しくは金融機関が預金等の払戻しを停止した場合であつて、次に掲げる要件のいずれかに該当すると認めるときは、当該金融機関に対し、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分(以下「管理を命ずる処分」という。)をすることができる。

 一 当該金融機関の業務の運営が著しく不適切であること。

 二  当該金融機関について、合併等が行われることなく、その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、当該金融機関が業務を行つている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。


 内閣総理大臣は、金融機関からその財産をもつて債務を完済することができない事態が生ずるおそれがあると認める旨の申出があつた場合において、当該事態が生ずるおそれがあり、かつ、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当すると認めるときは、当該金融機関に対し、管理を命ずる処分をすることができる。


 前二項の規定による管理を命ずる処分があつた場合におけるこの法律の適用については、当該処分を受けた金融機関(破綻金融機関を除く。)は、破綻金融機関とみなす。


 内閣総理大臣は、管理を命ずる処分をしたときは、官報により、これを公告しなければならない。


 金融機関は、その財産をもつて債務を完済することができないとき又はその業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあるときは、その旨及びその理由を、文書をもつて、内閣総理大臣に申し出なければならない。

 (管理を命ずる処分の取消し)

七十五条 内閣総理大臣は、管理を命ずる処分について、その必要がなくなつたと認めるときは、当該管理を命ずる処分を取り消さなければならない。

2 前条第四項の規定は、前項の場合について準用する。

 (株主の名義書換の禁止)

七十六条 被管理金融機関が銀行等である場合において、内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、株主の名義書換を禁止することができる。

 (金融整理管財人の選任等)

七十七条 管理を命ずる処分があつたときは、被管理金融機関を代表し、業務の執行並びに財産の管理及び処分を行う権利は、金融整理管財人に専属する。商法第二百四十七条(信用金庫法第四十九条、中小企業等協同組合法第五十四条及び労働金庫法第五十四条において準用する場合を含む。)、商法第二百八十条ノ十五、第三百六十三条、第三百七十二条及び第三百八十条(信用金庫法第五十二条第三項(同法第五十八条第五項において準用する場合を含む。)、中小企業等協同組合法第五十七条第三項(同法第五十七条の三第四項において準用する場合を含む。)及び労働金庫法第五十七条第三項(同法第六十二条第五項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)、商法第四百十五条(信用金庫法第六十一条、中小企業等協同組合法第六十六条及び労働金庫法第六十五条において準用する場合を含む。)並びに商法第四百二十八条(信用金庫法第二十八条、中小企業等協同組合法第三十二条及び労働金庫法第二十八条において準用する場合を含む。)の規定による取締役(被管理金融機関が信用金庫等である場合にあつては、理事。以下この章において同じ。)の権利についても、同様とする。


 内閣総理大臣は、管理を命ずる処分と同時に、一人又は数人の金融整理管財人を選任しなければならない。


 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、前項の規定により金融整理管財人を選任した後においても、更に金融整理管財人を選任し、又は金融整理管財人が被管理金融機関の業務及び財産の管理を適切に行つていないと認めるときは、金融整理管財人を解任することができる。


 内閣総理大臣は、第二項若しくは前項の規定により金融整理管財人を選任したとき又は同項の規定により金融整理管財人を解任したときは、被管理金融機関にその旨を通知するとともに、官報により、これを公告しなければならない。


 会社更生法(昭和二十七年法律第百七十二号)第九十七条、第九十八条、第九十八条の四及び第二百八十五条の規定は金融整理管財人について、民法第四十四条第一項の規定は被管理金融機関について、それぞれ準用する。この場合において、会社更生法第九十七条第一項中「裁判所の許可」とあるのは「内閣総理大臣(当該金融整理管財人の管理に係る金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあつては、内閣総理大臣及び厚生労働大臣。以下同じ。)の承認」と、同法第九十八条中「管財人代理」とあるのは「金融整理管財人代理」と、同条第二項中「裁判所の許可」とあるのは「内閣総理大臣の承認」と、同法第二百八十五条第一項中「裁判所」とあるのは「内閣総理大臣」と、「管財人代理」とあるのは「金融整理管財人代理」と、民法第四十四条第一項中「理事其他ノ代理人」とあるのは「金融整理管財人」と読み替えるものとする。


七十八条 法人は、金融整理管財人又は金融整理管財人代理となることができる。


 機構は、金融整理管財人又は金融整理管財人代理となり、その業務を行うことができる。

 (通知及び登記)

七十九条 内閣総理大臣は、管理を命ずる処分をしたとき又は管理を命ずる処分を取り消したときは、直ちに、被管理金融機関の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所にその旨を通知し、かつ、嘱託書に当該命令書の謄本を添付して、被管理金融機関の本店又は主たる事務所及び支店又は従たる事務所の所在地の登記所に、その登記を嘱託しなければならない。


 前項の登記には、金融整理管財人の氏名又は名称及び住所をも登記しなければならない。


 第一項の規定は、前項に掲げる事項に変更が生じた場合について準用する。

 (報告又は資料の提出)

八十条 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、金融整理管財人に対し、被管理金融機関の業務及び財産の状況等に関し報告若しくは資料の提出を求め、又はその経営に関する計画の作成及び提出その他必要な措置を命ずることができる。

 (金融整理管財人の調査等)

八十一条 金融整理管財人は、被管理金融機関の取締役、監査役(被管理金融機関が信用金庫等である場合にあつては、監事。以下この章において同じ。)及び支配人(被管理金融機関が信用協同組合若しくは信用協同組合連合会又は労働金庫若しくは労働金庫連合会である場合にあつては、参事)その他の使用人並びにこれらの者であつた者に対し、被管理金融機関の業務及び財産の状況(これらの者であつた者については、その者が当該被管理金融機関の業務に従事していた期間内に知ることのできた事項に係るものに限る。)につき報告を求め、又は被管理金融機関の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。


 金融整理管財人は、その職務を行うため必要があるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。

 (金融整理管財人等の秘密保持義務)

八十二条 金融整理管財人及び金融整理管財人代理(以下この条において「金融整理管財人等」という。)は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。金融整理管財人等がその職を退いた後も、同様とする。


 金融整理管財人等が法人であるときは、金融整理管財人等の職務に従事するその役員及び職員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その役員又は職員が金融整理管財人等の職務に従事しなくなつた後においても、同様とする。

 (被管理金融機関の経営者の破綻の責任を明確にするための措置)

八十三条 金融整理管財人は、被管理金融機関の取締役若しくは監査役又はこれらの者であつた者の職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならない。


 金融整理管財人は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発に向けて所要の措置をとらなければならない。

 (金融整理管財人と被管理金融機関との取引)

八十四条 金融整理管財人は、自己又は第三者のために被管理金融機関と取引をするときは、内閣総理大臣の承認を得なければならない。この場合においては、民法第百八条の規定は、適用しない。


 前項の承認を得ないでした行為は、無効とする。ただし、善意の第三者に対抗することができない。

 (会社整理に関する商法の規定の不適用)

八十五条 商法第三百八十一条第一項、第三百八十六条第一項(第一号及び第六号から第九号までを除く。)及び第二項(同条第一項第一号及び第九号に掲げる処分であつて職権でするものに係る部分を除く。)、第三百八十七条第一項、第三百八十八条から第三百九十一条まで、第三百九十七条並びに第三百九十八条(これらの規定を信用金庫法第六十二条、協同組合による金融事業に関する法律第六条の二第四項及び労働金庫法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定は、管理を命ずる処分があつた場合における当該管理を命ずる処分に係る被管理金融機関については、適用しない。

 (株主総会等の特別決議等に関する特例)

八十六条 被管理金融機関における商法第二百十四条第一項、第二百四十五条第一項、第二百八十条ノ二第二項、第三百四十六条若しくは第三百七十五条第一項の規定による決議、同法第三百四十三条、第三百四十五条第二項、第三百五十三条第四項(同法第三百六十五条第三項において準用する場合を含む。)、第四百五条若しくは第四百八条第三項に規定する決議、信用金庫法第四十八条、中小企業等協同組合法第五十三条若しくは労働金庫法第五十三条の規定による議決又は金融機関の合併及び転換に関する法律第七条第三項(第一号において準用する商法第四百八条第三項に係る部分に限る。)若しくは金融機関の合併及び転換に関する法律第七条第六項の規定による合併決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主又は会員、組合員若しくは代議員若しくは総代(第三項において「株主等」という。)の議決権の三分の二以上に当たる多数をもつて、仮にすることができる。


 被管理金融機関における商法第三百四十八条第一項、第三百五十三条第五項、第三百六十五条第二項若しくは第四百八条第四項の規定による決議又は金融機関の合併及び転換に関する法律第七条第三項(同項のうち、第一号において準用する商法第四百八条第四項に係る部分及び第二号に係る部分に限る。)の規定による合併決議若しくは金融機関の合併及び転換に関する法律第七条第五項に規定する決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主の過半数であつて出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもつて、仮にすることができる。


 第一項の規定により仮にした決議、議決又は合併決議(以下この項及び次項において「仮決議等」という。)があつた場合においては、各株主等に対し、当該仮決議等の趣旨を通知し、当該仮決議等の日から一月以内に再度の株主総会等(第六十六条第二項に規定する株主総会等をいう。次項及び次条第六項において同じ。)を招集しなければならない。


 前項の株主総会等において第一項に規定する多数をもつて仮決議等を承認した場合には、当該承認のあつた時に、当該仮決議等をした事項に係る決議、議決又は合併決議があつたものとみなす。


 前二項の規定は、第二項の規定により仮にした決議又は合併決議があつた場合について準用する。この場合において、前項中「第一項に規定する多数」とあるのは、「第二項に規定する多数」と読み替えるものとする。

 (株主総会等の特別決議等に代わる許可)

八十七条 銀行等である被管理金融機関がその財産をもつて債務を完済することができない場合には、当該被管理金融機関は、商法第二百四十五条、第三百七十五条及び第四百五条の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項を行うことができる。

 一 営業の全部又は重要な一部の譲渡

 二 資本の減少

 三 解散

 信用金庫等である被管理金融機関がその財産をもつて債務を完済することができない場合には、当該被管理金融機関は、信用金庫法第四十八条及び第五十八条第一項、中小企業等協同組合法第五十三条及び第五十七条の三第一項並びに労働金庫法第五十三条及び第六十二条第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項を行うことができる。

 一 解散

 二 事業の譲渡

 金融整理管財人は、商法第二百五十七条第一項(同法第二百八十条第一項において準用する場合を含む。)、信用金庫法第三十八条第一項、中小企業等協同組合法第四十一条第一項及び労働金庫法第四十一条第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、被管理金融機関の取締役又は監査役を解任することができる。


 前項の規定により被管理金融機関の取締役又は監査役を解任しようとする場合において、解任により法律又は定款に定めた取締役又は監査役の員数を欠くこととなるときは、金融整理管財人は、商法第二百五十四条第一項(同法第二百八十条第一項において準用する場合を含む。)、信用金庫法第三十二条第三項、中小企業等協同組合法第三十五条第三項及び労働金庫法第三十四条第三項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、被管理金融機関の取締役又は監査役を選任することができる。


 前項の規定により選任された被管理金融機関の取締役及び監査役は、選任時の属する営業年度の終了後最初に招集される定時総会又は通常総会(総代会を設けている場合において、その総代会で役員の選任をすることができるときは、通常総代会)の終結の時に退任する。


 第一項から第四項までに規定する許可(以下この条及び次条において「代替許可」という。)があつたときは、当該代替許可に係る事項について株主総会等の決議又は議決があつたものとみなす。


 代替許可に係る事件は、当該被管理金融機関の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。


 裁判所は、代替許可の決定をしたときは、その決定書を被管理金融機関に送達するとともに、その決定の要旨を公告しなければならない。

9 前項の規定によつてする公告は、官報に掲載してする。

10  代替許可の決定は、第八項の規定による被管理金融機関に対する送達がされた時から、効力を生ずる。

11

 代替許可の決定に対しては、株主、会員又は組合員は、第八項の公告のあつた日から一週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。この場合において、当該即時抗告が解散に係る代替許可の決定に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。

12

 第七項から前項までに規定するもののほか、代替許可に係る事件に関しては、非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第一編(第二条から第四条まで、第十五条、第十六条、第十八条第一項及び第二項並びに第二十条を除く。)の規定を準用する。

 (代替許可に係る登記の特例)

八十八条 前条第一項第二号若しくは第三号若しくは第二項第一号に掲げる事項又は同条第三項若しくは第四項に定める事項に係る代替許可があつた場合においては、当該事項に係る登記の申請書には、当該代替許可の決定書の謄本又は抄本を添付しなければならない。

 (債権者保護手続の特例)

八十九条 銀行等である被管理金融機関が資本減少の決議をした場合においては、預金者その他政令で定める債権者に対する商法第三百七十六条第二項において準用する同法第百条の規定による催告は、することを要しない。

 (管理の終了)

九十条 金融整理管財人は、管理を命ずる処分の日から一年以内に、被管理金融機関の営業の譲渡その他の措置を講ずることにより、その管理を終えるものとする。ただし、やむを得ない事情によりこの期限内に当該管理を終えることができない場合には、内閣総理大臣の承認を得て、一年を限り、この期限を延長することができる。

   第六章 破綻した金融機関の業務承継

 (承継銀行の設立の決定)

九十一条 内閣総理大臣は、被管理金融機関の業務承継(承継銀行が営業の譲受け等により業務を引き継ぎ、かつ、その業務を暫定的に維持継続することをいう。以下この章において同じ。)のため承継銀行を活用する必要があると認めるときは、次に掲げる決定を行うことができる。

 一

 機構が被管理金融機関から業務を引き継ぐため営業の譲受け等を行う承継銀行を子会社として設立する旨の決定

 二

 承継銀行が被管理金融機関から業務を引き継ぐため営業の譲受け等を行うべき旨の決定


 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、前項の決定を取り消し、又は変更する決定を行うことができる。


 金融整理管財人は、必要があると認めるときは、内閣総理大臣に第一項又は前項の規定による決定を行うことを求めることができる。

 (承継銀行の設立等)

九十二条 機構は、前条第一項又は第二項の規定による同条第一項第一号に掲げる決定があつたときは、当該決定に係る出資の内容について委員会の議決を経て、承継銀行となる株式会社の設立の発起人となり、及び当該設立の発起人となつた株式会社を子会社として設立するための出資をしなければならない。


 機構は、前項に規定する場合のほか、承継銀行に対する出資を行おうとするときは、委員会の議決を経なければならない。


 機構は、前二項に規定する出資をしたときは、速やかに、その内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

 (承継資産の確認)

九十三条 第九十一条第一項又は第二項の規定による同条第一項第二号に掲げる決定があつたときは、当該被管理金融機関の金融整理管財人は、同項の業務承継により承継銀行が引き継ぐべき当該被管理金融機関の貸付債権その他の資産を選定し、内閣総理大臣に対し、これらが承継銀行の保有する資産として適当であることの確認を求めるものとする。


 内閣総理大臣は、前項の規定による求めがあつたときは、円滑な業務承継を図る観点及び承継銀行の業務の健全かつ適切な運営を図る観点から、同項の確認を行うものとする。


 内閣総理大臣及び財務大臣は、前項の確認を行うための基準をあらかじめ定め、これを公表しなければならない。


 前項の基準は、第二項の確認の対象となる債権に係る債務者の債務の履行状況に関する基準を含むものでなければならない。

 (承継銀行の経営管理)

九十四条 機構は、承継銀行が次に掲げる事項を適確に実施できるようその経営管理を行わなければならない。

 一

 第九十一条第一項又は第二項の規定による同条第一項第二号に掲げる決定があつたときは、当該決定の対象とされた被管理金融機関から業務を引き継ぐため営業の譲受け等を行うこと。

 二

 前条第二項の規定により承継銀行が保有する資産として適当であることの確認がされた資産を引き継ぐこと。

 三

 預金等の受払事務、資金の貸付けその他の業務の実施に際しては、次項に規定する指針に従うこと。


 機構は、承継銀行の預金等の受払事務、資金の貸付けその他の業務についての指針を次に定めるところにより作成し、内閣総理大臣の承認を受けた後、公表しなければならない。

 一

 当該指針は、預金等の受払事務、資金の貸付けその他の業務の暫定的な維持継続を図るという承継銀行の目的を踏まえ、前条第三項に規定する基準との整合性に配慮しつつ、承継銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保する観点に立つて作成されるものであること。

 二

 当該指針は、承継銀行が資金の貸付けその他の業務のうち機構の指定する取引について機構の承認を受けて行うことを内容として含むものであること。


 機構は、承継銀行に対し、その経営に必要な指導及び助言を行うことができる。

 (商法第二百四十六条の不適用)

九十五条 商法第二百四十六条の規定は、機構が承継銀行の発行済株式の全部を所有する場合における 第九十三条第二項の規定による確認がされた資産については、適用しない。

 (経営管理の終了等)

九十六条 機構は、承継銀行が最初に業務を引き継いだ被管理金融機関に対する管理を命ずる処分の日から二年以内に、次に掲げる措置を講ずることにより当該承継銀行の経営管理を終えるものとする。ただし、やむを得ない事情によりこの期限内に当該経営管理を終えることができない場合には、一年を限り、この期限を延長することができる。

 一

 当該承継銀行の合併(当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人が機構の子会社でないものに限る。)

 二 当該承継銀行の営業の全部の譲渡

 三  当該承継銀行の株式の譲渡(当該譲渡により当該承継銀行が機構の子会社でなくなるものに限る。)

 四 株主総会の決議による当該承継銀行の解散

 機構は、前項本文の規定による経営管理の終了又は同項ただし書の規定による期限の延長をしようとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。


 機構は、第一項の規定により承継銀行の経営管理を終了したとき又は承継銀行(承継銀行であつた銀行を含む。)の株式の譲渡その他の処分(同項第三号に掲げるものを除く。)を行つたときは、速やかに、その旨を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

 (承継協定)

九十七条 機構は、承継銀行と次に掲げる事項を含む協定(以下この章において「承継協定」という。)を締結するものとする。

 一

 承継協定を締結した承継銀行(以下「協定承継銀行」という。)は、第九十四条第一項各号に掲げる事項を実施すること。

 二

 協定承継銀行は、機構が当該協定承継銀行の資産の買取りを行うことを機構に申し込むことができること。

 三

 協定承継銀行は、次条第一項に規定する債務の保証の対象となる資金の借入れに関する契約の締結をしようとするときは、当該締結をしようとする契約の内容について機構の承認を受けること。


 機構は、承継協定を締結したときは、直ちに、その承継協定の内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

[続きがあります]