「日本銀行法の改正に関する答申」
                                                                               

平成9年2月6日

金融制度調査会

                                                                                
  日本銀行法は、我が国の金融システムの中核をなす中央銀行のあり方を規定する重要な
法律であるが、昭和17年に制定された現行の日本銀行法は、時代にそぐわない規定も多
く、経済・金融の市場化・国際化が進展した今日においては、その抜本的な見直しが必要
である。金融制度調査会においては、昭和32年から昭和35年にかけて、中央銀行制度
に関する広範な議論を行い、「日本銀行制度に関する答申」をとりまとめているが、その
後、同答申に基づいた法改正は実現せず、今日に至っている。                        
                                                                                
  いわゆるバブルの発生と崩壊、その後の金融機関の不良債権問題は、金融政策に関する
国民の関心を高めることとなったが、日本銀行が、国民や金融市場の信認を得るためには、
中央銀行の独立性と政策運営の透明性の確保という観点から、政策決定の枠組み全般につ
いて改革を行うことが不可欠である。                                              
  また、現在、グローバル化した世界の金融・資本市場を見据えつつ、21世紀に向け、
我が国の市場を自由かつ透明で信頼できる市場とすることを目指した改革が進められてい
る。中央銀行制度についても、こうした情勢の変化を踏まえつつ、21世紀の我が国の金
融システムの中核に相応しいあり方を検討する必要がある。                          
                                                                                
    中央銀行制度のあり方については、昨年、総理の私的研究会として、「中央銀行研究
会」が開催され、「開かれた独立性」を軸とする報告書がとりまとめられている。金融制
度調査会は、上記の問題意識に立って、中央銀行研究会報告書の示した基本的方針を踏ま
え、日本銀行法改正小委員会を設置し、検討を行った。                              
                                                                                
  日本銀行法改正小委員会は、11月26日の第1回会合以来、集中的な審議を積み重ね
た結果、「日本銀行法の改正に関する報告」と題する報告書を本調査会に報告した。本調
査会は、同報告が日本銀行制度の改革のための具体的提案であることを考慮し、同報告骨
子を、金融制度調査会答申としてここに提出する。本答申においては、中央銀行研究会報
告書で基本的方針が示された事項に加え、日本銀行と政府の関係等に係る具体的論点につ
き、独立性強化の理念に立って、制度的観点からの検討を行い、具体的な成案を示したと
ころである。                                                                    
  今後、政府においては、本答申に基づき、必要な法的検討を行い、早急に、日本銀行法
の改正の具体案を得ることを強く期待する。また、日本銀行の改革は、日本銀行法の改正
のみで達成されるものではなく、日本銀行の運営に携わる人々が、独立性の強化に伴い、
国民に対し重大な責任を負うことを自覚し、日本銀行の運営を適切に遂行していくことが
必要である。日本銀行におかれても、21世紀の我が国の金融システムの中核に相応しい
中央銀行を目指し、自己改革を進めていくことを強く望みたい。                      

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