コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議(第3回)議事録

1.日時:

平成26年9月30日(火)15時30分~17時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○池尾座長

それでは、定刻になりましたし、ご出席予定のメンバーの方は全員ご参集いただいておりますので、ただいまよりコーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議第3回会合を開催いたします。皆様にはご多忙中のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、早速議事に移らせていただきますが、最初に、本会議の議論の進め方について申し上げさせていただきます。本会議で議論しなければならない論点はたくさんあるわけですね。ところが、限られた時間の中で議論しなければいけないということで、できるだけ効率的に議論をしていただくために、メンバーの皆様には事務局から事前に連絡があったと思いますが、今後二、三回の会議で、OECD原則に記載されている項目をまずは一通り議論するということにさせていただきたいと思います。今後二、三回でまず一通り議論をする、それでコンセンサスが得られたところはそれで終わりであって、その後追加の議論が必要な論点――追加の議論が必要な論点というのは多分見解が分かれたりした論点について、その後さらに突っ込んで議論をするという、そういう順序の議論としたい。だから、追加の議論が必要な論点については、さらにそれ以降再度議論をするという形で進めさせていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

そういうことで、まず一通り議論をするということで、今日はOECD原則のうちの株主の権利及び平等性と、ステークホルダーとの関係に関して、事務局から資料説明をしていただいた後、メンバーの皆様方にご検討のご議論をお願いしたいというふうに思っております。

ということで、まず株主の権利及び平等性と、それからステークホルダーとの関係につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

○油布企業開示課長

それでは、ご説明申し上げます。まず、参考資料として配付させていただいている各国コードの翻訳につきまして、追加等がございます。1つは、イギリスのガバナンス・コードがちょうど2週間ぐらい前だったと思いますが、実は改定をされまして、中身を見ますと報酬に関係する部分ですとか、ゴーイングコンサーンに関する取締役会の議論の仕方みたいなものなどが加筆されているように見受けられます。これは日本語版のほうで修正になった部分を見え消しのスタイルでもお配りしておりますので、以後はこちらのほうもご参考いただければと思っております。

それから、英・独・仏のコードに加えまして、今回1つシンガポールのコード。これはある意味、同じアジアというエリアの中で、一種日本と競合する面があるような国でもございますが、一般的に機関投資家からの評価が高いとされているシンガポールのコードも、翻訳をいたしました。

それからもう一つ、ICGNということで、これは国際的なグローバルな機関投資家の国際団体でございます。ここがガバナンスに関しまして、一応「プリンシプル」というものを策定しておりまして、これもちょうど改定されたばかりということもございます。これはもちろん国やパブリックセクターが関与してつくったコードではございませんけれども、参加している機関投資家の運用資産を全部足しますと重複計上ありということで、また、債券も入ると思いますが、1,800兆円ということで、かなり国際的にも影響力のある団体でございますので、ご参考ということで翻訳を添付させていただいております。一応翻訳のたぐいは、私としてはこれで打ち止めにしたいというふうに思っております。

それで私のほうからは、今日は資料1、資料2、資料3ということで、いずれも横の資料3つ、事務局から提出させていただいております。お時間の関係もございますので、資料1について順次ご説明を申し上げたいと思います。

まず、おめくりいただきまして、右下にページが振ってあると思いますが、1ページをお開きいただきたいと思います。この資料の体裁でございますが、左側にOECD原則のいわゆるプリンシプル部分のところを、第Ⅱ章、第Ⅲ章、それから第Ⅳ章、全て左側に漏れなく記載をしております。ただ、どちらかといいますと、立法提言に係るようなもの、ガバナンス・コードの今回の議論とは直接リンクしないと思われるようなものは明朝体に変えてあったりということで区別をつけておりますけれども、一応左側に全て順番に基本的に並べておりまして、これに対応する論点というのを右側に記載しております。この論点につきましても、いわゆる「検討の視点(例)」ということでございまして、もちろん必ずしもこれだけに限らない。ただ、何かこういった整理したものがないとご議論もしにくいだろうということで、用意させていただいております。

1ページ目でございますが、まずここはOECD原則では、株主の権利に関するところでございます。右側の欄には、ごく一般的な問いかけとして、株主の権利の保護、その行使の促進に関して記載しておくべきことにはどういうことがありますか、という総論的なお尋ねをしております。

次が2ページになりますが、ここからやや株主総会に関連する項目が幾つか続きます。2ページ目の右上の矢羽根も、一般的なお尋ねということで、株主が議決権を有効に行使できる環境のためにはどういう配慮が必要でしょうかという問いかけをしております。その下が少し具体的なポイントになってまいります。2つ目の矢羽根ですが、いわゆる株主総会の集中の問題について記載しております。分散をさらに促進すべきであるとの指摘があるが、どのように考えるか。3つ目の矢羽根でございますが、これは株主総会の招集通知の発送でございます。会社法は、総会開催日の2週間前までということが義務づけられております。それよりも早期発送に努めておられる日本企業は少なくないということでございますが、ただ、外国にはもっと早い例もあるということで、この点についてどう考えるか。その一方で、監査時間は十分とらなければいけないという観点もございます。それから、その下の矢羽根、やや細かい論点になるかもしれませんけれども、最近は、名義は信託銀行等になっているような場合でありましても、実質的な株主である機関投資家が株主総会に出席する、出席を認めている例もあるということで、こういう点をどう考えるか。

3ページ目になります。3ページ目は、左側にいわゆる報酬に関します「セイ・オン・ペイ」の記載がございますので、これに関連して2つ矢羽根を立てております。まず1つ目の矢羽根は、報酬に限らずごく一般的に、勧告的決議を活用するということについてどう考えるかということでございます。そしてその下に、取締役・役員の報酬について。これは会社法上、報酬総額の上限は総会で決めるということになっておりますけれども、配分は取締役会に一任されているわけでございまして、こういう中で取締役・役員の報酬の決定方針などを勧告的決議にかけるということについてどう考えたらいいだろうかという投げかけでございます。

その下ですが、OECDコードのほうには、クロス・ボーダー投票に係る障害は取り除かれるべきであるということで、右側のほうには、特に外国人投資家などは準備期間が非常に短くて苦慮しているという話がよく聞かれますが、検討時間を十分確保できるように、1点は招集通知の英訳作成の促進、2点目は取締役会決議をとった後でということになりますが、印刷の輪転機を回している間に、招集通知の発送の前であっても、東証のTDネットや、あるいは自社のウェブサイトに招集通知を公表する。あるいは、発送日と同日にそういったウェブでの公表を行うということについてどう考えるかということであります。

4ページにまいりますが、ここは株主総会の手続に関することでございますが、議決権の電子行使を可能とするような取り組みについてどのように考えるか。そして4ページ目の左側が、OECDのほうでは、自身の株式持分に比して過大な支配力を持つようなこと、そういう取り決めは開示されるべきであると記載がございまして、これに関連して右側は、ここはちょっと体裁がほかと異なっております。初回の会議でも資料としてお配りいたしましたが、与党のほうから提言がなされております、「日本再生ビジョン」から抜粋を掲げております。2つ○がございまして、1つ目の○につきましては、「政策保有目的でのいわゆる株式の持ち合いは」とございまして、ちょっと飛ばしますけれども、こうした政策保有目的での持ち合いは、合理的理由がない限り、極力縮小するべきである。次にその下の○のところには、合理的な理由の例示というものが掲げられておりますので、この資料に掲載させていただいております。

5ページをおめくりいただきますと、5ページの矢羽根3点は、株式持ち合いないし政策保有に関しまして、経済合理性の観点からどのように考えるか、どのように説明すべきかということで記載を3つしております。1点目が、この持ち合いについては、戦略的な連携をはかるという観点が一方であると。他方で、ガバナンスを確保すべき等の他の観点から批判もあるところでございまして、これをどのように考えるか。

2つ目の矢羽根ですけれども、この政策保有目的での株式持ち合いについて、これを行うことの合理的な理由として、具体的にどういうことが考えられるのだろうかということでございます。自民党のほうには例示として、先ほどのページに戻りますけれども、1つ2つ掲げてございますけれども、ほかにどういったものが考えられるだろうか。

そして3点目の矢羽根でございますけれども、この株式保有につきましては、株価変動などに伴うリスク等がございますけれども、それに見合う経済的なリターンが確保されているのか、あるいは今後見込まれるのかという点について、明確な説明がなされていないという指摘がございますが、この点どう考えるかということでございます。

引き続きまして、ここも株式の持ち合いに関するところですけれども、同じく自民党の提言から抜粋を載せております。ここでは主に、「株主のボイス」といった観点から、他の上場企業の株式を保有する上場企業も、アンダーラインを引いておりますが、自らの株主に対して受託者責任を負っている。株主からいただいた資金を元手にして、他の上場企業に政策保有という形で投資を行っているということで、こういう意味で、先般スチュワードシップ・コードが策定されましたけれども、機関投資家と本質的な違いはないというふうな記載がなされております。

この点につきまして、主に議決権の行使やエンゲージメントという観点から、矢羽根を2つ立てております。この政策・保有株式持ち合いについてですけれども、上場企業の自らの株主に対する受託者責任をどう考えるか。その下の矢羽根です。そうした上場企業が、株主として議決権の行使などを行う。持ち合いをしている相手方の上場企業に対して、議決権などの行使を行うということに当たりまして、相手方企業の企業価値を継続的に高め、成長を促すといったことについてどのように考えるか、ということを記載しております。

6ページの下は、OECDの原則に対応するような形で、買収防衛策について記載がございます。2008年ごろをピークに、いわゆる買収防衛策の導入が、少しずつですが数が減っているという状況にございますけれども、そうした状況のもとで、買収防衛策を導入、運用するに当たりましては、必要合理性を十分に検討して適正な手続を確保し、7ページになりますが、十分な説明をすべきだという指摘がございます。この点をどう考えるか。

それから、7ページ目は、これは直接対応する箇所がたくさんあるわけではございませんけれども、やはり自民党の再生ビジョンから抜粋を掲げております。特に横線が3つ引いておりますけれども、3つ目の横線がここで特に関係しようかと思います。つまり、株主は責任ある権利行使を行うべきであるということでございますが、一方で、上場株券の発行者は、そのために必要となる情報の十分な開示を行うこと、こういう記載がございます。

これを受ける形で、8ページになりますが、矢羽根をつけております。上場株券の発行者は、株主による権利行使のために必要となる情報の十分な開示を行うことという指摘があるが、どう考えるか。

その下は、左側のOECD原則を明朝体にしておりまして、かつちょっと小さいフォントにしております。これは右側に日本版スチュワードシップ・コードを掲げておりますが、大体こちらでカバーできているようにも思いましたので、こういう記載にしております。

8ページ目の下、株主の平等な取り扱いに関して、OECD原則で記載がございますが、右側をごらんいただきますと、総論として、平等な取り扱いを確保するためにどういう記載をしておくべきか。

9ページになります。これはOECD原則のほうでは、少数株主の権利保護ということが期待されております。右側のほう、対応する欄のところには、支配権の移動などを伴うような資本政策については、しっかりと検討していただいて、適正な手続を確保して、十分な説明を行うべき、こういう指摘があるがどう考えるかということを記載しております。

10ページになりますが、左側の欄をごらんいただきますと、これはいわゆる関連当事者取引に関するOECD原則の記載であります。左側の記載を受けまして右側には、矢羽根を2つ立てております。1つ目の矢羽根は、会社の役員と、その会社との関連当事者取引でございます。これに関連しまして、会社と利害関係がある場合には、あらかじめ取締役会に通知すべきという指摘があるが、これをどう考えるか。そしてその次の矢羽根は、これは会社役員ではありませんで、支配株主がその企業と取引を行うような場合の記述でございます。先にこの10ページの下の「参考」という、現行会社法の規律をごらんいただきますと、会社法上、まず重要な業務執行、例えば財産の移転を伴うような取引も含まれますが、そういうものについては、取締役会の決議事項とされております。それから、2つ目のポチですけれども、役員と会社の取引については、取締役会の承認事項になっていると。ただ3つ目のポチにございますけれども、このどちらにも該当しない、主として支配株主と会社との関連当事者取引については、会社法上は法定決議事項にはなっていないということです。

これを踏まえまして、10ページ目の2つ目の矢羽根ですけれども、実務ではこういう支配株主との取引を行う場合に、一定のものについて、取締役会において承認を得るようにしている事例が、日本企業にもございます。これを踏まえて、こうした指摘にどう考えるかということでございます。

11ページをおめくりいただきたいと思いますが、これはステークホルダーとの関係です。株主以外のものを含みますステークホルダーとの関係についてでございます。左側11ページには、まずOECD原則ではなくて、閣議決定の再興戦略から抜粋をつけております。ここには企業が株主をはじめ、顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上でエトセトラという記載がございます。これと関連しまして右側に、株主以外のさまざまなステークホルダーについて、その役割、存在をしっかりと認識して、いろいろ意思決定を行う。それがかえって中長期的には企業価値の創出につながると、こういう考えを十分に説明するということについてどのように考えるかというお尋ねをしております。

12ページでございますが、ここもOECD原則に対応する形で、右側にステークホルダーの権利を尊重する観点から、例えば以下の点についてどのように考えるかということで、5点ほど特記してあります。1点目はやや総論的な記載でございますが、ステークホルダーの権利を保護して、協力関係を構築するための取り組みといったようなもの。2つ目のポチが、企業倫理の実践を確保するという意味で、いわゆる行動規範ですとか企業倫理規範、こういったものの策定についてどう考えるか。3点目が、最近関心が高まっておりますESG等に関連する社会の要請にどう対応するか。12ページの一番下は、女性の活用を含めた上で、社内体制におけるダイバーシティーをどう確保するべきか。

最後になりますが、13ページでございます。13ページは、内部通報制度の活用、あるいは通報者の実質的な保護の確保といったことを記載しております。ここでも自民党の提言のところから抜粋を掲げております。私からの説明は以上でございます。

○池尾座長

どうもありがとうございました。それでは、皆様からご意見をお伺いする自由討論というふうにさせていただきたいと思います。ただ、今の事務局からのご説明は、株主の権利及び平等性とステークホルダーとの関係を通して説明をしていただきましたが、議論はちょっと分けてさせていただきたいと思いますので、まずは株主の権利及び平等性のほうから議論をお願いしたいと思います。

それから、議論に先立ちまして、本日ご欠席の冨山メンバーからメモが提出されてございますので、それを席上配付させていただいています。メンバーの方々には昨日事前にメールで送付させていただいているはずなので、ちょっと読み上げたりするのは時間の関係で省略させていただきたいと思いますが、冨山メンバーのご意見も踏まえてご議論いただければ幸いです。

それでは、まず株主の権利及び平等性に関してご議論をお願いします。といってもこれも長いので、できれば大体前のほうから論点を出していただいたほうが、ありがたいといえばありがたいんですが、まずはとにかく株主の権利及び平等性の項目に関しまして、ご自由にご議論をお願いできればと思います。じゃ、森メンバー。

○森メンバー

ありがとうございます。前のほうからということでありましたので、2ページのところ、株主の権利のCのところですね。株主は、株主総会に有効に参加し投票をする機会を有するべきであるという点の右側の矢羽根ですが、3つ出ておりますが、1つ目の有効に行使できる環境を実現しようということは、今回のこの会議の目的でもありますので、これはそういうことだと思いますが、これを具体的にどのように考えていくのかということで、2つの矢羽根のところがあると思います。

1つは、総会の開催日の問題。この株主総会が集中するということにつきましては、やはり総会に参加できる環境が十分に整っていないということにつながってくると思います。確かに6月の一定日の集中からはかなり分散はされているものの、下旬に集中しているということはこの資料3を見れば明らかでありまして、一層の分散が必要になってくると考えております。

この6月の最終週に総会が集中しているという1つの手続上のことですが、株主の権利確定基準日をどのように決めるのかにかかわってきていると思います。現在、例えば3月末決算の会社であるとすると、多くのといいますか、私の知る限り全てだと思うのですが、3月末を株主の権利確定基準日にしておりまして、その3カ月以内に総会を開催するということになっていますから、6月までに総会を開催しなければならないということになります。ところが会社法上は、何も3月末に株主の権利確定基準日にしなければいけないということにはなっていないわけでありまして、例えば4月末にすると、7月までに総会を開けばいい。5月末にすると8月末までに総会を開けばいいということになりますので、この3月末を株主の権利確定基準日にしていることが現在行われている決算手続の実務上、総会が集中してしまう原因になっているのではないかと考えております。

いずれにしても、総会に投資家が参加できる環境を整備するに当たっては、そういう問題点を検討し、是正する必要があるのではないかということが1点でございます。これが矢羽根の1つ目の問題と考えており、さらに分散を促進すべきであると考えています。

それと矢羽根の3つ目の招集通知の発送の件でありますが、議決権を有効に行使できる環境として、投資家が情報を入手してから、議決権を行使するまでに、どのような情報を入手するのか、その質はどうなのか。そしてさらに検討する期間、すなわち投資家が検討する期間は十分にあるのかどうかという点が大事であると考えております。

スチュワードシップ・コードにも、スチュワードシップ責任を果たすためには、企業の状況を明確に把握すべきであるというコードがございます。これに従いましても、投資家には十分な検討期間が必要だということであり、ここでは招集通知の早期発送をさらに促進すべきではないかと、そういう指摘がありますが、実は企業側も情報開示には非常に大きな責任を持つわけであります。したがいまして、十分な情報を責任を持って開示する、その期間が必要であります。

さらに先ほど申し上げた情報の質の問題でありますが、会計監査、あるいは監査役監査により、情報の質、信頼性を確保しているのであり、その監査の後に初めて投資家、あるいは外部に対して責任のある情報を開示するということができるわけでありまして、この早期発送というのは、現在の実務からするとかなり無理があるのではないかと考えております。ただし、やはり有効な議決権を行使するためには、情報を入手してから分析する十分な期間が必要であり、これが先ほど申し上げました総会の集中の問題と関連してくるわけですが、総会を後ろ倒しにすることによって、投資家は十分に状況を的確に把握する時間を確保することができるということが言えると思います。

我が国では、招集通知発送から総会までの期間は2週間から20日間ぐらいが多いのではないかと思いますけれども、これは資料3を見れば明らかでありますが、一カ月以上確保する必要があるということについては、これはそのとおりだと考えております。

海外の例でございますけれども、実は海外では、年次報告書の提出の後に招集通知を発送している例が多いです。年次報告書というのは、日本で言えば有価証券報告書のことです。有価証券報告書を提出した後に招集通知を発送し、一、二カ月の期間をとって株主総会を開催している例が多くなっています。ですから、例えば12月決算ですと、株主総会が5月であるだとか、6月であるだとか、そういうケースも中にはあるということであります。年次報告書の後に招集通知を発送するとすれば、外に対する開示情報としては、今の制度では有価証券報告書が一番多いわけですから、投資家はその多い情報を利用できるということになるわけでありまして、議決権を有効に行使できる環境の実現につながるのではないかと考えている次第であります。この矢羽根の2つ目、3つ目でありますけれども、それらについてはこのように考えております。以上でございます。

○池尾座長

どうもありがとうございました。では、小口メンバー。

○小口メンバー

ありがとうございます。森メンバーと一部重複するのですが、先ほどおっしゃったように、決算期末を今まで基準日にしていたことによって、集中がある意味物理的に避けられないということですけれども、先ほどご指摘があったとおり、今現在、決算日を基準日にするという法的な要請もございませんし、総会を決算日から3カ月以内に開催するという要請もなく、基準日から3カ月以内に開催すれば良いわけです。

それから、先ほどお話があった有価証券報告書提出について、決算期末以降3カ月以内だと思うのですが、2009年12月の内閣府令で、総会前の提出も可能になったということでして、そういった前提で基準日、総会開催日、それから招集通知の日程をどう考えるかということかと思います。まず基準日と総会の日程が、今3カ月程度開いていますが、開けば開くほど、総会時点で現役の株主が減ってしまうということがあります。要するに、基準日の後に売ってしまった株主が総会の議決権行使をする可能性が高まりますので、理屈からいうと、基準日と総会は可能な限り近いほうが、現役株主が多くて総会が活性化するということです。

一方で招集通知は、当たり前ですが、早ければ早いほど株主のほうは十分な情報に基づいて議決権行使ができますねということです。そこで、EUでは2007年6月に指令が出ていまして、EU各国に対して、まず基準日から総会までの間は30日以内にする、それから、招集通知から総会までは21日以上にすることを、2年以内に法制化しなさいということになっています。繰り返しになりますけれども、総会と基準日は近づけて、招集通知はなるべく早目に送付することが求められているのです。

日本については、会社法で基準日効力は3カ月ですし、招集通知については299条で、必要期間が2週間となっているので、まず基準日を後ずれさせる、決算日から後ろに倒すことによって、今の現行法制下の中でも、基準日と総会をより近づけて、それから招集通知を早期に送付するということが可能じゃないかと思います。それからあわせて言いますと、基準日が決算日から後ずれしますと、有価証券報告書を提出した後に総会が開かれるということで、まずは基準日の後ずれというのが1つポイントになるのかなと思っています。

それから、例えばですけれども、証券コードごとにルールをつくって、後ずれと同時に、例えば4月とか5月とか幾つかわかりませんけれども基準日分散すれば、分散して投資している機関投資家はそれぞれに時間をかけて議決権行使できますし、それから企業さんにも言ったことあるんですが、そうしたほうが総会会場確保といった、いろいろな負荷も分散されていいんじゃないかなと思います。夏休みがなくなって困るという方もいるのですが、それはさておき、そういう工夫ができるのではないかなと思います。

実務慣習があるので簡単にできない、容易ではないことはよくわかるんですが、先ほど森メンバーがおっしゃったように、議決権が有効に行使されるということのメリットというのは、株主と企業、双方にとって大きいと思うので、基準日の後ずれと分散ということについては、今、経産省のほうでも議論が始まっていると聞いていますけれども、ぜひ実現していただきたいなと思っています。

○池尾座長

ありがとうございました。では、中村メンバー。

○中村メンバー

中村でございます。今、基準日や招集通知の発送等につきましていろいろ議論になっているので、企業法務の立場から、若干意見を述べさせていただきたいと思います。まずこの論点全般について言えることなのですが、まずは会社法で定められていることが基本にあって、私ども企業としては、法律にきちっと従っていかなければいけないということを非常に気にしているというところをご理解いただくとともに、今回のこの議論の中でも、どこまでが法律で決まっているのかということを確認しながら、ご議論をいただきたいなというところがございます。

それを前提とする中で、まず簡単なところから、招集通知の早期発送について述べさせていただきます。私は、実際の総会実務のところを担当しているのですけれども、現状から申し上げると、最大限努力をしているつもりなんですが、総会3週間前に発送するというのが限界かなというのが実情でございます。その理由というのは、決算に向けての東証での発表でありますとか、まず決算を確定するところから始まりまして、監査法人に監査をいただき、いろいろな論点について整理をして確認をするというプロセスを経た上で、最終的な招集通知の文言に間違いがないように、最終的には一言一言、法令に適合しているかどうかというようなステップを踏んで完成して印刷していくというプロセスになっております。さらに招集通知の封入等にも相当時間がかかるというような、細かいところで恐縮でございますが、そういうプロセスもございまして、そういった中で3週間前の発送―私どもは6月ではなくて5月総会なんですけれども―が限界というところです。それは各社さんについても、同様に考えていらっしゃると伺っております。

今ご指摘があったように、基準日と決算日をずらすというお考えというか、法律的には可能ではないかというご議論もあるんですが、委員会設置会社においては、定款の定めにより剰余金の配当を株主総会の決議と分離することが認められておりますが、監査役会設置会社においては、一定の場合を除いて、それが分離されていないという中で、少なくとも企業の発想としては、決算日の数値について、決算日の株主様にご承認をいただいて、それに基づいて配当するという、旧来の考え方かもしれませんが、やはりそういうのが本来的に株主さんに対して正しいのではないかという、そういう根本的な発想がございまして、なかなか決算の日と基準日をずらすという感覚に至らないというところを感じているところであります。従って、基準日と決算日を同じにする必要はないのだということを共通の認識として持つことができるのであれば、そこを乗り越えられるのかもしれませんが、そこのところの切り分けというのが必要かなというふうに思います。

あわせまして、先の論点についても若干述べさせていただきます。まず実質株主である機関投資家の方に、株主総会へご出席いただくという点に関しましても、理論的にはそういうこともあってもいいかと思いつつも、少なくとも実質的な株主であるとおっしゃっている方に出席をいただくということはできないということであります。その方が本当に実質的に株主であるということを、会社としてきちっと確認する手段が今のところなかなかないというところが実情ではないかというふうに感じております。

株主と確認できない方を会場、議場に入れるということにつきましては、その会議の妥当性を阻害するという、場合によっては、決議取消の原因にもなり得るのではないかという懸念もございまして、そこのところの確認ができないと、企業側としては難しい問題があるなというところでございます。

また、勧告的決議につきましても、会社法上の効果が明確になっていないと、会社としての対応も難しいということで、そういうところも踏まえてご検討をいただきたいと思うところでございます。

議決権電子行使プラットフォームの活用、また英訳作成等については、私どもの企業でも実践しているところです。また、招集通知を発送日に開示することについてはよろしいと思いますが、発送前に開示してほしいというご意見があることは承知しているんですけれども、一般の例えば個人の株主様でウェブをご使用でない方に先立って、株主でない人も招集通知を見ることができる状況になるということは、必ずしも妥当ではないのではないかというふうに私どもでは考えておりまして、同日の開示を行っているところでございます。

買収防衛策の議論につきましては、法令で定められていること以外にどういうことを企業に開示してほしいのかというところを、もうちょっとご意見をいただいた後で意見を述べたいと思います。以上です。

○池尾座長

追加ですか、はい。

○小口メンバー

今、機関投資家の総会出席の話があったので、そこについての意見ですが、私ども機関投資家の代理人として、この問題は企業さんとも何度か議論したことがあるのですけれども、今の法律には、株主は代理人によって議決権行使することができるということと、会社は総会に出席することができる代理人の数を制限することができるという規定があって、それで定款で代理人資格を、議決権を有するその他株主1名に限定するというのが一般的になっていまして、2006年 6月の総会で、96%がそういう定款変更したということのようです。

これをガチガチに解釈すると、まず総会に出席するためには、実質株主は、株主名簿に載らなきゃいけないので、自分で株を買わなきゃいけない、基準日時点で1株株主にならないといけない。それから、実質株主分の名義人は信託銀行ですけれども、代理人1名規定なので、複数の機関投資家の名義人信託銀行は、該当部分だけ切り出して代理人指定ができないということで、コストをかけて単独勘定にしなきゃいけない。実際ここまでやって総会に出ている機関投資家がいるわけです。

実際先ほどの資料1にある信託銀行名義で、実質株主である機関投資家が総会に出ているというケースは、私の理解では2種類あって、企業さんが法規定を弾力解釈いただいて、何とか出られるようにしているのか、あるいは既に議決権は事前行使していて、オブザーバーという位置付けで出席している、そういう整理かなと思っています。

以前から思っていたんですが、機関投資家は議決権の事前行使ができるので、選挙でいうところの不在者投票ができるわけですよね。ところが、投票所に行って投票しようとしたらできないというのは、これはおかしいなと。いろいろな法的な問題があるのでしょうが、実質株主は実際に議決権代理行使をしているわけですね。その実質株主が事前行使じゃなくて、例えば事前行使で使用する画面等をプリントアウトして総会に持っていったら、出席できてしかるべきじゃないかと以前から思っています。総会の出席権とか、あと株主提案権もそうなんですけれども、名義株主に付与されている権利というのは、企業さんが恣意的にこの実質株主はフレンドリーだから弾力的に解釈するとか、この実質株主は気に入らないからガチガチに法解釈するとかいうものじゃなくて、権利として実質株主にも担保されるべきじゃないかなと思っています。

実際に、先ほども触れたEUの指令でも、代理人に対する適格性に関しては、過度の形式要件を廃止するというふうに決まっていまして、比較的代理人指定は柔軟になっているようです。日本でも、何か証明は要るとは思いますけれども、先ほど言ったようなものか何かで対応できるんじゃないかなと思います。

それから、総会というのは、企業にとって最も大事な意思決定の場で、選挙同様、結果はわかっていても、全部数えて開示するのが民主主義だと思うのですけれども、今は議決権の事前行使の開示だけで認められています。海外の機関投資家からは、株主総会当日の行使分も含めて集計開示してほしいという声が前々からありますし、株主の平等にも当てはまるのかもしれませんが、議決結果の公表の徹底は必要ではないのかなと思います。

総会について付け加えますと、出席して驚いたのは、入場時に賛否記入済みの議決権行使書の提出を求められたことです。総会での議論を聞いた上で、そこで判断したいからわざわざ出席したわけであって、最初に賛否を提示しなければならないのなら事前行使と変わらないじゃないかと思いました。総会運営のベストプラクティスを考えると、やはり総会出席者は、総会の話を聞いた後投票するというのが普通じゃないかなと考えた次第です。

もう一つ最後に、実質株主の立場で言わせていただくと、最近個人株主拡大の趣旨から、株主優待がかなり積極的になっていて、それはそれでいいことだとは思いつつも、機関投資家とか実質株主にとって実効性のない株主優待が多くなると、株主の平等な取り扱いという視点からも、株主優待実施企業には何かしかるべくエクスプレインを求める必要があるのではないかなと思いましたので、あわせて意見として述べさせていただきます。

○池尾座長

はい。では、神田先生。

○神田メンバー

ありがとうございます。コードの策定という問題意識を持って、株主、あるいは投資家の観点から見た場合について、3点申し上げたいと思います。後ろのほうから前のほうへなるかもしれません。申しわけありません。論理的にそのほうがわかりやすいと思うものですから。

例えば、株式の持ち合いを例にとります。利益相反取引も同じですし、防衛策も同じになると思うのですけれども。株式の持ち合いについて言うと、先ほどご紹介がありましたように、良い持ち合いと悪い持ち合いがあるということかと思いまして、その良いとか悪いというのはもちろん企業にとって、また株主の観点から見れば株主にとってということになるわけです。それでコードに、こういうものは良い、こういうものは悪いということを書くのかどうかということが問題になると思うのですけれども、企業とか株主の観点から見れば、どういうものが良い持ち合いで、どういうものが悪い持ち合いであるかということについては、おそらくある程度コンセンサスが得られると思います。

ただ、本日私が申し上げたいのは、抽象的にそう言えたとしても、具体的に、具体的な事案というか事例において、今、ある企業が行っている持ち合いというものが良いほうに属するのか、悪いほうに属するのかというのはわからないことは往々にしてあって、一体誰が判断するのかということが決め手になります。ですから、やはりそこをコードに書く必要があるのではないかと考えられるわけです。で、誰がどうやって判断するのかというのはいろいろありますけれども、市場において株主や投資家が判断する。あるいは、株主総会において判断する。あるいは、そこは取締役会において、株主をいわば代弁する社外取締役等が中心となって、まずは判断をする。いろいろな仕組みが考えられ、次回以降の話にも関連してくると思います。

いずれにしても、これは持ち合いだけではなくてほかのこともそうだと思うのですけれども、良い悪いということが言えたとしても、具体的なケースにおいて誰が判断するのかというところをある程度踏み込んで、コードでは示すことが望ましいと考えられるというのが第1点目です。

2点目は、今いろいろご意見が出ているところなのですけれども、株主の観点から見た場合には、物事についての関与の仕方としては3通りあると思います。第1は、市場において株式を売買する。これもその企業についての十分な情報が開示されていることが前提になります。第2は、株主総会という場において議決権を行使するという形で意思を表示する。そして第3は、間接民主制とでもいうのでしょうか、取締役会、つまり企業の中に株主の利益を代弁して判断する仕組みを置いて、それが仮に社外取締役だといたしますと、判断してもらう。そして株主としてはそういう人の選任あるいは報酬の方針、そういったものについてだけ直接関与するけれども、あとはそういう仕組みに任せて間接民主制とすると。

これら3通りぐらいあると思うのですけれども、このうち本日議論になっています株主総会というものなのですけれども、先ほどからご指摘がありますように、株主総会というのは、開いて実施していくのが大変な仕組みでして、とにかく招集通知から始まって参考書類を送らなければいけませんし、それから株主総会の場合にはアジェンダというものを事前に原則決めなければいけませんし、どういうことが株主総会でそもそも決議できることかということも原則としては法律で決まっていますし、提案権といっても事前に出すものについては手続がありますし、それから先ほど誰が株主かという話がありましたけれども、誰が議決権行使できるのかということについては、代理行使を含めて非常に複雑な手順を踏まなければいけないわけです。

ですから、株主総会というのは、仮に望ましいとしても、そうは開けるものではない。何でも株主総会で意思を問いましょうという話には簡単にならないように思います。どういうことだけについて株主総会という形で株主の意思を問うのが望ましいのかということを考える必要があると思います。

もう一つ株主総会についての大きな問題は、先ほどからご指摘が出ていますので、繰り返すのもどうかとは思いますが、株主総会ではやはり基準日という問題があるわけです。すなわちその基準日現在の株主というのが総会で議決権行使をしますので、先ほど小口さんからもご指摘がありましたように、総会当日にはもはや株主は変わってしまっているということが起きる。3カ月前に株主名簿に載っていた人が議決権行使をするわけです。すなわち経済的な利害はもうなくなっているかもしれない人が議決権行使をする。より一般的に、ここ数年使われている言葉でいうとエンプティボーディングなどという言葉が使われることがありますけれども、そういう現象が避けられないのが株主総会という制度なわけです。

それは一般的に望ましいことではなくて、これも小口さんがおっしゃったように、できるだけ基準日と実際の総会の日との間は短いほうが望ましいということは一般的には言えると思うのですけれども、昔、年2回決算のときは2カ月だったのですけれども、なぜ日本でなぜ最大3カ月かというのは、決算手続があり、監査手続があるので、3カ月までは今はかからなくなっているというお話がありましたけれども、2カ月にするわけにはいかないのですね。したがって、この株主総会の問題というのは、私は決算、監査というものにかかわるものから解放して考えることができれば、例えば取締役の選任であるとか、あるいは報酬方針の決定であるとかというものについて考えるのであれば、先ほどの3週間ですとか前に基準日を打って、それで例えば2週間、あるいは3週間前の招集通知での開催ということは十分できると思います。全てワンセットで考えると決算とか監査の手続がありますので大変なのですけれども、そこの部分を切り離して考えるという発想が必要なのではないかと思います。

いずれにしましても、株主総会というのは大変重たくて大変な手続なので、繰り返しになりますけれども、そう開くことはできません。したがいまして、株主総会という形で株主の意思を問うべき事項は何か。それは誰が決めるのかという発想がやはり必要のように思います。そうだとしますと、次の3点目の私の意見に結び付いていきます。

3点目は、一般的になり、正確には次回以降のテーマなのですけれども、ここで本日の話に関係すると思いますので、ちょっと一言だけ申させていただきたいと思います。冨山さんのご意見にも出ていたかもしれませんが、企業のコーポレートガバナンス、特に上場企業について考えた場合に、投資家、株主からの不満とまでは言いませんけれども、1つ求められている課題として、日本の企業は企業の中に、株主の観点から企業の業績を評価する仕組みというものがちょっと不足しているのではないかということだと思います。がゆえに、そういう仕組みを社外取締役が中心になってつくってくださいということが、一言で言えば求められているのではないかと思います。そうだとしますと、そのこと自体は次回以降のテーマになると思うのですけれども、本日の関係で申しますと、そういう仕組みが企業の中でつくられているような企業については、そんなに株主総会で株主の意思を問う必要はなくて、株主総会でやることは、そういう取締役の選任であり、あるいは再任であり、あるいは場合によっては報酬、報酬についてはむしろ業務執行役員のそれだとは思いますけれども、報酬の基本政策の承認などについての、セイ・オン・ペイという言葉が先ほど出ていましたけれども、そういうことでいいはずであります。

しかし、そういう仕組みが十分でないというか、企業の中に置かれていない場合には、直接民主制で補完せざるを得ないので、その分だけ株主総会において、株主の意思を問うという機会がより必要になると考えられ、そこは連動するように思うのです。1つのモデルで全ていくということがなかなかできないということになると、そこの連携をきちんと確保して、本日のテーマでいいますと、株主の権利がきちんと保護され、確保されるような仕組みというものを提示していく必要があると考えられます。

以上3点申し上げたのですけれども、コードというのは、恐らくベストプラクティスを示すということなのだと思うのですけれども、もちろんこのメンバーの間で合意が得られる事項についてはベストプラクティスを示すことができると思いますけれども、意見が分かれるというようなこともあり得るかと思います。そういう場面には、ベストというよりも、例えばAもあります、Bもありますという示し方になるのだと思うのですけれども、仮にそういう示し方になった場合でも、今私が申し上げたいことは、関係を書く必要があるということです。すなわち、会社の中で取締役会という場において、株主の利益を代弁するような仕組みがあれば、その分株主の直接民主制で、株主の直接の意思を問う機会は減ると考えられるのに対して、そうでない場合には、むしろ今度は株主総会のような環境をより整備して、直接民主制の機会をより確保していくというような、そういう努力が必要になる、そういう関係になるというふうに感じるということです。長くなって済みません、以上です。

○池尾座長

どうもありがとうございました。では、内田メンバー。

○内田メンバー

まず、総会の開催日の分散については、方向性は異論ありません。招集通知の早期発送も望ましいことは理解できます。ただ、これは先ほど中村メンバーもおっしゃっていましたが、実態として今の制度の中では、法律上は2週間前ですけれども、どんなに頑張っても3週間前ぐらいに発送というのがぎりぎりで、企業努力では限界があります。

これはそもそも基準日と決算日が合わさっているためで、これをずらすという議論がありますが、逆に今までなぜ合わせてきたのかと考えると、恐らく決算に対応して剰余金の処分(配当)を決めるわけですから、それに合わせた株主という考え方があったのではないでしょうか。そういう考え方もあり、いろいろなご意見があると思います。いずれにしろ今のやり方を踏襲すると招集通知をつくる期間というのは非常に限られており、総会の3週間前でぎりぎりだと思いますので、やはり制度面で何らかの整備が必要だと思います。

次に、招集通知の英訳や、議決権行使プラットフォームの利用については、会社によって状況はかなり違うと思います。海外で上場している会社、外国人株主の比率が高い会社、ほとんどない会社、いろいろあると思います。コストがかかる話なので、一律に決めるのは問題が伴うのではないかと思います。各社の取り組みを尊重すべき問題と思います。

持ち合いの問題が今、神田メンバーから指摘されましたが、これは企業によっていろいろ考え方が違うと思いますので、今後いろいろな企業にお話を伺いたいと思います。いろいろなご意見があれば、それをこの場で改めてお伝えしたいと思います。

私の今日の時点での意見ですが、今神田メンバーがおっしゃった、良い持ち合いと悪い持ち合いについては、良い持ち合いに絞っていく必要があるというのは当然であり、その良い持ち合いというのは、恐らく戦略的な提携、共同開発や共同研究、共同の事業提携といった何らかの提携をして、お互いの会社が共存共栄する、ウィン・ウィンの関係を築くこと、これが基本だと思います。おそらくそういう形で各企業はやっていると思います。したがって、ガバナンスの面も、そういう点で両立し得ると思います。

もう一つ、良い持ち合いをどういう形で立証するのかということについて、ここではコストとリターンの関係を明確にするということが書かれていますが、株式の政策保有というのは、何らかの事業につながって、それで収益を生むということなので、それを開示できるのかなど、複雑な問題があろうかと思います。いろいろな意見をお聞きして、お伝えできればと思います。

○池尾座長

はい、どうぞ。

○キャロンメンバー

ありがとうございます。3点でございまして、1つは、総会のスケジュールです。開催日と招集通知の発送日と、権利確定日の話に関してですが、なせばなる話であると思うんです。私はアメリカ人ですが、アメリカというよりは、多分UKが最も優れたコーポレートガバナンスを行っていると思います。UKの事例を参考にするとしたら、UKの総会開催日は決算日の半年以内。要は、余裕があるんです。なので、森さんが先ほどおっしゃった、小口さんもそうですけれども、総会開催までにはもう少し余裕があって、3カ月以上、たとえば半年ぐらいあればいいんじゃないかと思います。

次に、招集通知発送日についてですが、UKの場合、招集通知発送は3週間前です。それと比べて、例えば日本企業に投資をしている海外の投資家の場合、2週間前に発送された招集通知が実際に手元に届くのは総会の一週間くらい前でしょう。英訳も必要かもしれないので、現実問題、全く検討の時間さえなく、まして経営陣と議論させてもらう時間もないのが実情です。英語の招集通知も作成するという手段はありますが、日本の場合だと、例えば6週間ぐらい前に発送していただくと理想的かもしれません。

しかしながら、先ほど中村さんがおっしゃったんですけれども、現制度のもとでは、6週間ぐらい前は不可能ですよね。なので、何らかの工夫をいれないといけない。例えば、決算部分を取り外してまず議案を送り、後で決算関連の情報を送るなど。また、現制度の下、3週間前がマックスだとしたら、2カ月ぐらいは招集通知作成のために時間がかかるわけで、では基準日から総会開催日までが現在の3カ月から1カ月延長し、4カ月にしたら3週間プラス1カ月なので7週間前の送付が可能になる。なので、もう少し株主がじっくり検討して、しっかりした形で議決権行使できる制度にしていただければと思います。

次に株主の権利確定日の話なのですが、先ほど小口さんもおっしゃったんですが、やはり株主の共益権で最も重要と言える権利は議決権です。株主として配当を受けられる保障や経営に参加する権利などは、全くございません。第三者である株主は弱い立場にあります。しかし唯一強いと言えるのは、議決権です。選任に対して議決権行使ができます。日本の場合、原則として株主名簿が決算日と同日に締められますので、総会の3カ月前の株主でなくては議決権行使ができない。つまりその重要な権利が、年に原則1回しかない定時総会の90日前に、1年の4分の1の期間で消えてしまう。それは大きな問題ですね。

なので、先ほど神田先生がおっしゃったように、権利確定日と総会の間は短い方がいいと思います。UKでは何と2日前です。要するに、UKの株主の議決権の無効期間は日本の50分の1近くです。基本中の基本の権利なので、守るべきだと思います。経済大国日本こそ、なせばなることです。UKにできるのなら、我々こそできるはずです。

続いて、招集通知の発送日と株主の権利確定日の順番は非常に大事です。UKとドイツの例ですが、ドイツの場合ですと招集通知を30日前に発送し基準日が21日前、基準日が招集通知発送より後となり、発送後に基準日が確定するしくみです。UKの場合だと、3週間前と2日前です。UKの場合では、株主は総会の3週間前に届いた議案を確認して、継続的に株主であり続けるかどうか意思決定が行える。今の日本の制度では、経営陣がまず株主構成見て、そして議案を考えて、そして2週間前にぽんとこの議案だよと出してしまえる。だから日本の株主は弱いんです。総会において株主ではなくむしろ経営陣が主役になっているため、株主総会というよりは、経営陣総会のように感じます。

それを直すには、UKやドイツのように、まずは招集通知を発送して、こういう議案ですよと開示をし、その後基準日によって株主を確定させる。そうすれば、日本版スチュワードシップ・コードで求められている株主と経営陣の対話も生まれてくると思います。というのは、経営陣がまず株主に事前相談しておかないと、もしかして票が動いてしまって否決になるかもしれないからです。ですので、私の提案としては、UKのような制度でもいいですし、または基準日を2週間前、発送日を6週間前になどにする。日本らしい株主と経営陣の対話を促す策として、ぜひご検討いただければと思います。話が長くなりましたが、以上です。

○池尾座長

どうぞ。

○太田メンバー

事前に資料を送っていただきましたので、資料1に関しての第一印象と、少し問題提起をしたいと思います。まず、今回の議論が実質的な議論の初回ということでもありますので、OECDの原則を左側に並べ、先ほどご説明があったように、検討の視点を対比する形で大きな論点や視点が議論されるんだということは理解するものの、特にご説明はなかったのですが、資料の2には、具体的に各国のガバナンス・コードの実情というものが、詳細についています。したがって、当会議の目的から考えますと、日本版のガバナンス・コードをどのようにつくっていくべきかという観点から申し上げると、この議論の仕方に課題が残されていると思われます。このOECDのプリンシプルとの対比の中でこういう論点があることについては、今ほど多くのメンバーの方々からもご指摘があったように、相当程度この議論の方法も含め、あるいは内容も一部含めまして、私は賛成できるところは非常に多いことを初めに申し上げておこうと思います。

しかしながら、我が国のガバナンス・コードの策定に当たっては、我が国固有の事情、現状に関して、冨山委員のご意見にもありますけれども、そこに引きずられることではなく、現状の機関設計におけるさまざまな利点、あるいはこれから改善すべき点等をきちっと書き込んでいく必要があるのではないかと思います。そうしませんと、OECDのガバナンス・コードの翻訳版みたいなことになることが、私どもの本意ではないと思いますので、そういうものを織り込んだ形の論議をすべきではないかと感じます。

具体的に三点申し上げます。ガバナンスを捉える場合、いわゆる取締役会と、スーパーバイザリーボードの関係、あるいは今ほど各委員からもご指摘あったように、取締役会と株主総会との関係、あるいは、執行とスーパーバイザリーボード、あるいは株主とスーパーバイザリーボード等々の多様な切り口が実はあるように思います。したがって、そういうことの私どもの評価を、後日の議論かもしれませんが、きちっとカバーされるアウトプットが、私は望ましいのではないかと思います。

それと続いてあと2点ですが、いわゆる問題意識ないし総論にかかわる部分を申し上げたいと思います。各論に入るわけではございませんが、1点目は、まず先ほど神田委員もご指摘になりましたけれども、コードというものはどうあるべきものかということです。やはり機関投資家との建設的な対話、エンゲージメントですが、これに関する内容を充実させた企業統治に係る原則的な考え方を示すものであると思います。したがって、個別企業の開示能力、姿勢に関する評価が問われることになるのですが、これはマーケットに任せるべきではないかと考えています。逆に言えば、個別企業は自社の事情を総合的に勘案した説明責任を市場に対して負うということなので、この点は、やはり外してはいけないのではないかなと思います。

また、コンプライ・オア・エクスプレインということで今論議が進んでおりますし、私はそれでいいと思いますが、何をコンプライするのかいう議論が欠かせません。コードというのは、望ましい統治規律です。ルールではないので、自分たちが守るべき、あるべき姿を含めたベストプラクティスと神田委員はおっしゃいましたけれども、そういうことでもいいと思いますが、統治規律について語るということが、コードの本質ではないかなと思いますという点が1点目です。

2点目、先ほど来から多くの方々からも、社外取締役に関するご意見が出ていると思います。また後日、この件に関して、十分な論議の時間があるということは承知しておりますが、社外からの経営監視と監督機能、スーパーバイザーという観点の重要性や必要性は当然のことと認識が共有化されていると私も思っております。しかし、企業の成長戦略、稼ぐという観点で今回言われておりますように、何よりも重要なのは、こうした社外者を有効に機能させる企業内における仕組み、あるいは社外取締役、あるいは監査役もそうだと思いますが、監査役等の非業務執行役員が果たすべき役割に関する明確な規定ではないかと思います。

したがいまして、同時に、取締役会の構成員の有する専門のスキル、あるいは業務の経験、あるいは当該企業に対する知見とか知識、あるいは最後に重要なのは独立性、こういったことを総合的に勘案する、そういう社外取締役の導入ということについて、それをコードにどう盛り込むのかという論議をしていくべきではないかと思います。今日の段階で、あまり各論に立ち至りませんが、議論の最初だと思いますので、申し上げた次第です。

○内田メンバー

今、太田メンバーがおっしゃったことに私もほぼ同意見です。この資料を拝見したとき、これは多分議論のための資料という位置づけだと理解しておりますが、項目がたくさん挙げられていて、かなり具体的なものも多数あると感じました。

具体的な点について詳細な説明、開示を求めることが必要だという意見があることは承知していますが、前回申し上げたように、今回策定するコードは、企業の自律的な対応を促すものにするという前提になっているわけです。したがって、実質的に特定の形を押しつけるものになるのは避けるべきだと、強く思います。個別具体的なルールとか手段を定めるほど、実質的に義務に近づいてしまい、自律的な対応という基本的な考え方に反することになると思います。やはりコードは大枠の原則、あるべき姿をうたうべきで、そのための手段については企業の自由度を確保すべきであり、過度に縛るべきではないと考えます。最終的な取りまとめにおいてはそうした点を考慮していただきたいと思います。

○池尾座長

ありがとうございました。この資料1で挙げられている検討視点というのは、レベル感がいろいろあって、かなり具体的な施策について言及しているものから、より抽象度の高いものまであって、コードの性格からいうと、そんなに細かいことをコードそのものに書くということはないと思うんですが、議論としてはそういうことを踏まえながら、具体的なことを踏まえながら、まさに日本の実情を踏まえながら議論するという趣旨で、かなり詳細な、抽象度の非常に低い話も入っているということだと思います。

はい、どうぞ、武井さん。

○武井メンバー

私も意見を申し上げますと、先ほど神田メンバーがおっしゃった点について全く同じ意見といいましょうか、おっしゃるとおりだと思っています。今回ガバナンス・コードを策定していくに当たって、基本的には企業価値の向上に向けて、いかにマネジメントの方々を動機づけるかというインセンティブ構造と、そのアカウンタビリティーが最大の論点だと思っています。その絡みで、株主総会を含めた株主と、スーパーバイザリーボード、OECDでいうとザ・ボードと書いてありますが、スーパーバイザリーボードと株主との役割分担というのは今回のコード策定に当たって常に意識して考えるべき視点だと思います。何でもかんでも株主が担当するというのは非効率ですし、欧米もそうなっていません。さきほど神田メンバーがおっしゃっていたのもそういう点だと思いますが、株主なり株主総会が担当することによってかえっていろいろな非効率性が生じるので、その分、スーパーバイザリーボードにももっと担当してもらいましょうという視点が、今回のコードでは大事だと思っています。

スーパーバイザリーボードには、必ず社外取締役を含めた非業務執行役員が入っていくわけですが、今日の資料で挙げられている論点は、スーパーバイザリーボードの活性化といった形で対応できるものが結構あるのではないかというのが1点目です。

あと今の点と絡むのですが、2点目として、今日の一連の総会回りの論点の検討に当たっては、日本の株主総会は欧米の総会に比べていろいろな違いなり特殊性があることを前提として理解しておく必要があると思います。何点かあるのですが、1つ目が、個人株主が多いという点です。個人株主は多いというのはそれはそれで良いことだと思いますが、個人株主の方に対する利益保護を会社法を含めいろいろやっていると。例えば、別段の個別同意がない限り、招集通知はきちんと郵送しなければいけない、きちんと間違いなく届くようにしなきゃいけないなどいろいろ手当てされています。電子化を貫徹すれば会社から送るというより株主から採りに行くという世界を構築しやすいのですが、今までの法制の世界ではそこまで電子化対応を踏み切れていません。デジタルデバイドの問題が従前から指摘されていますので。そういう意味で、個人株主のことも意識した施策のあり方が論点となるというのが1点目です。

2点目が、総会決議事項が広いということです。これは先ほど申し上げたスーパーバイザリーボードとの役割分担がまだ十分ではないということでもありまして、総会決議で何でも決めれると。決算や監査に関わるところから定時総会を分離させるというポイントが先ほど神田先生からもございましたけれども、配当含めて総会でまだ決めているところが少なくないと。役員報酬にしても、海外ですとスーパーバイザリーボードが監督機能の一環として評価して決めるという前提でその前提を動かすこと無くセイ・オン・ペイという総会勧告的決議を上乗せしているのが、日本ではそもそもが総会決議になっていると。さらにスーパーバイザリーボードとの役割分担を超えて言うと、マネジメントボードが決めるべき業務執行事項ですら、定款変更議案を経由することによって総会で決めれてしまうと。日本では総会決議事項が広いというところの根本をどうするのかというところも絡んできますので、日本のこれまでのいろいろな歴史を踏まえ、今ここで直せるなら直したほうが良い点なのか、それとも将来的にさらに検討していくべき点なのかのすみ分けをしていかないといけないと思います。これが2点目です。

3点目は、日本の株主総会は決める機関であるという前提でいろいろな法制なり実務が成り立っています。定時総会は物事を決めるにしても対象事項は役員の人事報酬ぐらいで、もう少し対話をする機関として定時総会を位置づけるべきだという議論は十分あり得ます。そうだとしても決める機関であるという前提はナシにできない状況です。あとそれと絡んで、日本は株式制度について直接保有方式が採られていると。実質持っている人も、株主名簿に載せてくれという方式ですね。欧米は直接コミュニケーション方式で、実質株主と会社との直接対話の仕組みが構築されていると。日本は過去の歴史的経緯や法的安定性もあって直接保有方式がとられていますが、この違いが何か影響を与えるのかを検討した上で、実質株主の方にいかなる形で総会への意思反映を図るのかを考えていくことになります。さきほどキャロンメンバーさんもおっしゃったように、今の法制の下でも企業が何ができるのかの工夫の余地はあると思いますが、法制度の違いは海外の方にも理解していただく必要があると思います。

そしてまた繰り返しとなりますが、スーパーバイザリーボードがもう少しいろいろ機能を分担すれば、要は間接民主制をもう少し働かせれば、直接民主制のところをそもそもそこまで強くしなくてもガバナンスシステムとして機能するのではないかと思います。以上です。

○池尾座長

はい、では。

○小口メンバー

何度も恐縮なんですが、直接民主制と間接民主制というお話が出ていまして、まさにそこはポイントだと思うんですが、株主が何でも決めるべきだということは全くないと思います。ただ、株主にとって必要なのは、説明してもらうということだと思っていまして、間接民主制という考えに基づければ、経営をお願いしている取締役会に、株主に対していろいろ説明していただく必要があります。それが対話になったり、あるいは議決権行使ということになると思うのですが、そういった意味で、先ほど出た持ち合いというのも、その典型だと思うのです。投資家からすると、政策投資なのか、純投資なのか、あるいはM&Aみたいな形で株を買う場合もあると思うのですが、つまるところ企業さんが株を買っているということです。

この株式投資について投資家から見てわかることは、結局配当利回りこんなもので、資本コストを下回っていて、一見すると効率的な投資じゃないんじゃないのということです。もともと企業さんに投資しているのは、本業で頑張ってほしいと思って投資しているわけで、株を買ってほしいと思って投資しているわけじゃないので、だったら保有株を売って、その資金を本業に向けていただいて、価値を高めていただきたいというのが自然な気持ちだと思うのです。

ですので、何を説明してほしいかという話になったときは、企業のほうでこれこれこういう目的で保有をしているという定性的な説明ではなくて、例えばROE何%目指します、あるいは営業利益率、マージン何%目指しますという数値目標の中で、政策投資であっても純投資であっても、株投資というのはどういう意味を持つのか定量的に説明いただくということだと思います。そういう定量的な説明が、先ほど難しいというお話がありましたけれども、そこの説明がないと、投資家としても、じゃあこの株式投資はどう判断していいんだろうかというところに行き着いてしまうので、やはりそういう定量的な説明があって、それが納得的であれば、投資家としても理解ができるんじゃないかと思います。

買収防衛策も同じだと思うのです。事実関係を申し上げますと、8月28日の日経電子版に、電子行使プラットフォーム運営会社のICJが、6月総会の395社を対象に、国内の機関投資家約60社、それから海外の投資家約500社の買収防衛策の反対率を分析したのが載っていたんですが、それによると海外の投資家は89.6%反対、国内でも51.3%が反対しています。ICJは、実質株主をほぼ網羅するプラットフォームですので、最終的な結果との乖離を見ると、国内外の機関投資家の声が、プラットフォームを使用しないその他の株主によって、結果的に消されているという構造になっているのかなと思っています。

先ほど企業の説明責任ということを申し上げましたが、これは投資家の説明責任と開示に関わる部分だと考えています。日本版スチュワードシップ・コードの検討会でも申し上げたことですが、スチュワードシップ・コードの受け入れ機関は、原則5で、議決権の行使結果を議案の主な種類ごとに集計して公表すべきとあるのですけれども、買収防衛策というのは極めて重要なものなんですが、議案の区分でいうとその他議案という位置づけになっていまして、大事だと思っている運用会社は実質的に切り取って開示していますが、その他議案と合算して開示しているところも多いので、大事な議決権を投じている当事者として、買収防衛策については1つの種類として区分開示すべきじゃないかと思います。

それから、ある企業さんとお話をしたことがあるんですが、スチュワードシップ・コードでは機関投資家の外縁を決めていないので、先ほど資料の中にもあったように、上場会社も自らの株主に対して受託者責任があるということであれば、上場会社でもスチュワードシップ・コードを受け入れて、全部とは言いませんが、せめて原則5の議決権のところだけ、考え方とかそういったものを開示していただくというのも考えられるのかなと思います。

そして、買収防衛策については、今日ご説明ありませんでしたけれども、資料2のたしかOECDの原則の12ページですね。下のほうに、「買収防止策を実施したり、買収提案に対応する際には、株主や会社に対する取締役会の受託者責任が極めて高く維持されなければならない。」とあります。先ほどの議論でいきますと、間接民主制のもとでの取締役会の受託者責任が、この場合についてはより高く維持されなければいけないというのがOECDの考え方で、まあ、これをそのまま日本に当てはめるかどうかというのはまた議論があると思うのですが、取締役会の責任ということを考えたときに、やはりより高い受託者責任が求められるというのがあるわけです。

行ったり来たりして恐縮なんですが、拝見した英国のガバナンス・コードの2014年9月改訂版、参考資料1ですか。最後の26ページ、Eの2-2の下のところに、「株主総会の決議への反対投票がかなりの割合に及んだと取締役会が考える場合には、会社は、投票結果の公表時に、投票結果の背後に存在する理由を把握するためにどのような対応をとるつもりなのか、を説明すべきである。」とあります。制度からいったら1票でも超えればそれで終わりということですが、取締役会の説明責任という視点で見たときに、一定程度の反対票が出たときにこういう説明を求めるというのは大変興味深い内容です。こういった考え方が我々の日本のコードの中でも入ってくれば、議決権行使も、当然一生懸命やると思いますし、企業さんのほうも単に1票多かった少なかったということではなく、株主の声をきっちり聞いて、それに対するアカウンタビリティーを果たすということになるので、こういった規定も検討してほしいと思い、あわせてお話しさせていただきました。

○池尾座長

どうもありがとうございました。ちょっと時間が押してきていますので、もう一つのコーポレートガバナンスにおけるステークホルダーとの関係のほうも論点に入れて、こちらのほう、もちろん株主の権利及び平等性に関する議論が全然尽きているとは全く思わないんですけれども、ステークホルダーとの関係というところについてもご意見をいただいておきたいと思いますので、お願いしたいと思います。では、神田先生。

○神田メンバー

ちょっと株主のほうで、手短に2点だけ申し上げたいのですけれども。1点は買収防衛策で、もう1点は資料でいうと10ページの利益相反取引です。買収防衛策ですけれども、ここでいう買収防衛策というのは何を意味しているのかを、やはり明らかにする必要があって、恐らく今、小口さんがおっしゃったのは、参考資料にも出ている、導入何社と書いてある、いわゆる事前警告型として日本で呼ばれているものだと思うのですけれども、これも全て同じではないということと、それから、これは非常に日本に特殊で、諸外国にはないと言っていいと思います。したがって、OECDの現在の2004年版に、買収防衛措置、買収防止措置ですかね、こういう言葉が出てくるとしても、それを策定したときには当然日本も参加しているわけですけれども、まだ当時、日本にはありません。ありませんというのは、今日本で買収防衛策といっているような事前警告型のものはまだありませんでしたので、そういうものを想定していない概念なのですね。

したがって、ちょっと細かなことで恐縮ですが、OECDなどで使われている、あるいは外国で使われている、日本語で、本日の翻訳でいうと買収防止措置とか呼ばれている言葉と、右側の欄にある買収防衛策という言葉は、具体的に意味していることは非常に違うことです。その点に留意して、日本で狭い意味での事前警告型の買収防衛策についてどうなのかという議論をするのか、それとももうちょっと機能的に、OECDの原則でいう買収防止措置に当たるようなものを考えるのか。後者は、いろいろなメカニズムが日本のもとでも可能であるし、実際に存在し得るわけですけれども、そこのギャップに留意する必要があるというのが1点です。

もう1点目は、先ほど関連当事者取引というふうにもおっしゃって、資料10ページのところなのですけれども、多くのこういう取引というのは、先ほどもご説明のありました現在の会社法のもとでも重要な取引として取締役会の決議事項になったり、あるいは利益相反取引として取締役会の決議事項になると思うのですけれども、物の考え方としていえば、こちらのほうは万国共通というか、日本の問題もOECDの諸原則にあるような問題意識も共通でありまして、こういうものは株主の利益が害される可能性があるわけで、それが類型的により高いと考えられるわけですから、そうだとしますと、先ほどの、これ、株主の意思を問うというのは大変なことですので、やはりこの資料にありますように、取締役会、そういうところの承認というか、そこが株主の利益を代弁していくという方向性で物事が考えられるのではないかと感じます。済みません、以上です。

○池尾座長

はい、大場メンバー。

○大場メンバー

1点だけご意見申し上げたいと思います。前回も申し上げましたが、本有識者会議の基本的な視点というのは、持続的な成長に向けた1つの条件整備をつくっていこうということが大きなテーマではないかと思います。そういう観点からしますと、やはり神田先生からもご指摘ございましたように、このコードには総論として、株主から評価する仕組みというのを一段と強くするというような視点が欠かせないのではないかと思われます。具体的にはどういうことかということなんですが、太田メンバーからもご意見ございましたけれども、社外の人、社外の独立性ある人たち、このような社外の方を有効に機能させるための条件も重要な要件ではないかというご意見がございました。業務の知見であるとか独立性、キャリア、こういったものも大事だということなのだと思いますが、私はそれに加えて、株主の対話の窓口という重要な機能もあるのではないかと思います。

私どもは具体的にエンゲージメントファンドというのを立ち上げて運営しているのですが、具体的な対話をすすめるにあたって社外取締役を窓口に議論した場合において、大変有効に機能するというケースが出てきているという事実がございます。したがいまして、社外取締役の要件に加えて、スチュワードシップ・コードも含めた話にはなりますが、投資家との対話の窓口に社外の方がなっていただく。その役割を担っていただくというような規定を踏まえていただけると、大変有効に機能するのではないかと思います。以上であります。

○池尾座長

ありがとうございました。堀江メンバー、お願いします。

○堀江メンバー

今の大場さんの発言にちょっと絡んで、全くこれまで議論されていなくて、今後も議論されないかもしれないので、ちょっとKY的な発言かもしれませんけれども、株主総会と全く関係ない点なんですけれども。株主との対話という項目を、ぜひ入れていただきたいなと思っています。

それはなぜかというと、今回と次回ですか、OECDの原則に基づいて論点が列挙されるということなんですけれども、この中でOECDになくて、例えばイギリスとか、あとICGNもそうですけれども、シンガポールにもありますけれども、株主とのコミュニケーションというのが項目として入っていまして、その中にいろいろなことが書かれていますけれども、今大場さんおっしゃったように、リーディングになるような独立取締役が株主の代表としてコミュニケーションするといったようなことも書かれている例もございますので、株主総会と継続的な対話というのは、これは車の両輪だというふうに私は考えていますので、総会のことも重要ですけれども、株主との対話という観点での議論も、ぜひちょっと中で入れていただきたいなということで、次回以降、OECDの中には入っておりませんけれども、株主との対話という観点からも、ぜひ項目を議論していただきたいなと考えております。

○池尾座長

わかりました。ステークホルダーとの関係のところで、何かご意見はございますでしょうか。どうぞ、お願いします。

○内田メンバー

配布資料に書いてありますステークホルダーの役割を認識し踏まえることが中長期的な企業価値の創造につながるという考え方は非常に重要であり、ぜひともコードで十分な説明をしていただきたいと思います。企業の目的は、顧客の創造、つまり顧客のために価値を創造するということであり、それによって初めて企業の存続価値が生まれ、その活動に株主、従業員、取引先、地域社会が参加するのだと思います。持続的な成長というのは、基本はイノベーションを起こして顧客のために価値を絶え間なく創造していく、そのためにステークホルダーが集まるということにあり、そうした好循環のサイクルを生んでいく、強化していくのが企業の役目であると思います。このような点に関する十分な説明を、ぜひともお願いしたいと思います。

配布資料の次の項にOECDコードの内容を踏まえて幾つか項目が挙げられています。これらの項目はあるべき姿を示しており、こういう方向にそれぞれ向かっていくと思いますが、これもやはり会社の業種や業態によってフェーズがいろいろあろうかと思いますので、具体的な取り組みについては、企業の裁量、自由度が確保されるべきと思います。方向としては、まさにあるべき姿としてこういうことだと思います。

○池尾座長

どうもありがとうございました。今日のご議論を聞いていますと、株主による評価の仕組みを強化すると。その際に、もちろん株主総会の機能を強化するということも重要な課題としてある。けれども、全てを株主総会でということではなくて、やはり内部の取締役会等の機構を強化して、そこに間接的に期待、株主の評価を担っていただくというようなアーキテクチャーで考えていくというようなのが全体的な雰囲気の方向性として出てきたかなと思うんですが、そういうことで間違ってはいないか、よろしいでしょうかということですね。あとまだ少し時間がございます。はい。

○武井メンバー

ありがとうございます。ステークホルダーの箇所ですが、ここは日本におけるガバナンスとして大変重要な箇所だと思います。さっきおっしゃったように、今回のボードの起点となっている日本再興戦略で、イノベーションを起こし、社会にいかに付加価値を提供するかというのが企業価値です。冨山委員も短期的な利益を追求する株主至上主義であってはならないと書かれているところでして、そういった短期的議論が起きないように、きちんと日本流のガバナンスのところを書き切るべきだと思います。その意味でステークホルダーのところは、順番も結構前のほうにきちんと書き込んだほうが、日本の場合はいいのではないか、前のほうでコンセンサスを得てからその先の議論を展開して書いたほうが日本ではコードがスッと理解されやすいのではないかと感じるというのが1点めです。

あと二点目が、先ほどちょっと言い忘れまして、株主の対話に絡んで補足となります。株主の対話は確かに大事でございまして、招集通知から総会日まで皆さんがいくら頑張っても20日間しかない中では対話ができないと。それでは期間が短いのだとしたらではどうするのか。さきほど欧米の直接コミュニケーション方式と日本の直接保有方式の話をしましたが、企業から機関投資家や株主に対して如何にアクセスするのか、アクセスする方法が論点となるという点を補足したいと思います。企業側から実質株主の把握ができないと、総会前に必要な対話をしようと思ってもつかまらない、誰に話せばいいかわからない、議決権行使権者が誰なのかわからないと。機関投資家を含む株主側で匿名性を好む方も結構多いので、会社側から話したいとなったときのアクセスがどうなっているのか。中長期的な企業価値向上のための対話の促進の議論をするとしたら、車の両輪として企業からの株主へのアクセスという論点も追加で出てくるのではないかということを申し上げておきたいと思います。

○池尾座長

どうぞ。

○キャロンメンバー

時間が許すのでしたら。先ほどの点に戻りますが、1つは持ち合いの話です。本当に済みません、辛口に申し上げてしまいますけれども、良い持ち合いと悪い持ち合いの話が出ましたが、お聞きしながら、良い交通事故と悪い交通事故みたいな話のように聞こえたんですね。というのは、経済効果としては良い持ち合いはあると理解しております。それは否定できません。ですけれども、議決権行使においては、持ち合いというのは基本的に利益相反取引です。物々交換、バーターですね。御社の株を持っていて、御社のために賛成の議決権行使をするという仕組みです。政策株というよりは癒着株ですね。それが、純粋株主、少数株主にとって大きな打撃であり、純粋株主、少数株主のための共益権なのであり、その権利を守るために行使すべきなのに、やはり癒着株として取引のバーターになってしまいます。冨山さんが書かれていましたように「物言わぬ安定与党株主」として不祥事があっても経営問題があっても賛成票を入れます。この利益相反の議決権行使が株主民主主義を毀損する極めて大きな弊害になっていますので、持ち合いによる議決権行使においては、何らかの規制がなくてはいけない。

例えば、利害関係者でしたら議決権行使を禁止する。または禁止するまでではなくても、どういう形で議決権行使を決めたのかと、その合理性を開示して頂く。「業務提携の一環として」ではなくて、きっちりと説明し、少数株主の納得がいけるように、例えば「資本コストを超えるようなリターンが得られます。」これが1点目。

もう一つは、実質株主の話に戻るんですけれども、私は武井先生の知識の100分の1も持ち合わせていませんが、今起こっているのは、非常におかしな現象なんです。というのは、実質株主としては、総会に出られない。個人株主は個人名義で持っているんですけれども、機関投資家は大体信託銀行に預けているので、議決権行使や総会に出席をしようとしたところで、機関投資家名でなく信託銀行名義で株主名簿に載っている。ちゃんとした日本の信託銀行から株主であることの証明をもらっても、実質株主として株主のための総会に出られないというのは、本末転倒なんです。なので、株主名簿に載っているか、ないしは日本の法律のもとで、信託銀行から実質株主であることを証明する書類があれば総会に出席できるようにすればいいと提案させて頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○池尾座長

どうぞ、森メンバー。

○森メンバー

今日の議論は先ほど池尾座長が取りまとめられたことだと思いますが、企業と投資家との対話がこの会議の1つのテーマになっているはずでありまして、その対話を行うに当たって、それぞれがどういう役割をするのかというのも今日の議論だったと思います。やはり対話がスムーズにいくような仕組みをつくる必要があり、対話のためには情報開示が必要で、情報開示の内容、それとその質をどのように担保するのか。それと情報開示のタイミングですね。これは投資家が分析する十分な期間も含めてということですが、これらの3点は、投資家と企業との深度ある対話を確保するためには必要不可欠であり、今後、重要なテーマになってくると思いますけれども、そのときにもぜひ検討をお願いしたいと思います。

○池尾座長

いかがでしょうか。一通りの議論としてはこれでよろしいでしょうか。

それでは、まだまだ議論をしていかなければいけないことが多く残されておりますが、最初一通りOECD原則について検討するという作業としては、この部分、株主の権利及び平等性とステークホルダーとの関係の部分については、一応これで以上ということにさせていただきたいと思います。

それで本日、大変活発にご指摘をたくさんいただいたわけですが、なお本日のご意見に加えて追加でのご意見とかご要望等ございましたら、事務局宛てにメール等の形で追加で出していただければと思います。その点もよろしくお願いします。

それでは、最後に事務局のほうからご連絡などございましたらお願いします。

○油布企業開示課長

次回のこの会議の日程でございます。後日改めて事務局からもご案内させていただきますが、現在10月20日月曜日の16時30分ということで想定して調整させていただいているところでございます。よろしくお願いいたします。

○池尾座長

どうもありがとうございました。それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。大変ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3836、3671)

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