スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(第3回)議事録

1.日時:

平成27年11月24日(火)15時00分〜17時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

【池尾座長】

それでは、定刻になりましたので、江良メンバーはまだお見えではありませんが、すぐ来られると思いますので、ただいまよりスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議の第3回会合を開催いたしたいと思います。皆様には、ご多忙中のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、議事次第にありますとおり、政策保有株式をめぐる論点を議題といたします。前回、取締役会に関する議論をしていただいたのですが、もちろん、あれはあれで終わりということではなくて、そのとき出していただいた論点等の整理を事務局等でしっかりやっていただいた後で、もう一度というか、もう一度では済まないかもしれませんけれども、もう2〜3回になるかもしれませんが、議論をするということで、本日はとりあえず政策保有株式をめぐる論点を議題といたします。

まず、事務局説明として、金融庁から3メガバンクの取り組み等についてご説明をいただきます。その後、引き続きまして、本日は2組のゲストをお迎えしておりまして、企業側の取組みに関連して、コニカミノルタ株式会社取締役会議長の松ア正年様よりお話をまずいただきます。その後、投資家フォーラムの運営委員をされておりますフィデリティ投信株式会社ディレクターオブリサーチの三瓶裕喜様、それからJPモルガン・アセット・マネジメントRDP運用本部本部長チーフ・インベストメント・オフィサーの大堀龍介様のお二人から、投資家フォーラムから本年9月に公表されました「政策保有株式に関する意見」についてお話を伺いたいと考えております。

それでは早速議事に入りたいと思いますが、まず金融庁から、3メガバンクの取り組みについてご説明をお願いします。

【石田銀行第一課長】

監督局銀行第一課の石田でございます。よろしくお願いいたします。

お手元に資料1というA4の横の資料を配付させていただいてございます。「御説明資料」と表紙に印刷しているものに沿いましてご説明させていただきたいと思います。

最初のページをおめくりいただきまして、こちらは本年の7月に金融庁で公表いたしました「金融モニタリングレポート」の一部でございます。いろいろなグラフを載せてございますけれども、この3メガバンクグループは、欧米のG−SIFIsに比べまして、政策保有株式の自己資本に対する保有割合が高く、株価下落時の自己資本に及ぼす影響は無視できない状況になってございます。もうちょっと後ろのほうの4ページに過去からのグラフを載せてございますけれども、かなり以前からこの問題は課題になってきているところでございます。

1ページの右上に小さい折線グラフを載せてございますけれども、赤が3メガバンクグループの株式保有比率でございます。これは、分母がTier1資本でございまして、分子のほうが株式の保有残高、時価でございますので、この折線グラフが右にちょっと上がっていますのは、もちろん最近この時価が上がっているということが大きい要素でございますけれども、その上がっている要素を取り除いて考えてみても、この下の青い線のところが欧米G−SIFIsの株式保有比率でございまして、今申し上げたように、自己資本に対する株式保有の比率が欧米に比べましてかなり高いという状況になってございます。当然、株価下落のときには、ここの部分がまさに時価が下がるという格好で影響が出てくるということになってございます。

次の「─」でございますけれども、現状の自己資本は、自己資本そのものが、今度は右下の棒グラフでございますけれども、これは普通株式等Tier1比率ということで、点の一番左側が3メガバンクグループのCET1――普通株式等Tier1比率でございます。一番右が欧米のG−SIFIsで、そういう意味では、一番左と一番右をごらんいただきますと、遜色がないような感じでございますけれども、この真ん中の株式の評価益を除いたところで見ますと、欧米G−SIFIsに比べまして下がる、そういう株式の評価益というものが、欧米G−SIFIs並みのCET1ということでいうと、貢献しているということを見ていただけるかと思います。

皆様ご案内のように、過去、特に金融システムがいろいろあったときなどもございましたけれども、そういった際に経済・市況の悪化が株価の下落ということになりまして、これが金融機関の財務の状況にも影響を与えて、金融機能の十分な発揮を制約した、いわゆるプロシクリカリティの発生という経緯があったところでございまして、そういうこともございまして、過去、金融機関の政策保有株式を減らすということを、いろいろな対策をとりながら進めてきたという経緯がございます。

こういう中で、最後の4つ目の「─」でございますけれども、こういう困難な時期における企業の経営支援ニーズの高まりにも十分対応できるように、株価変動リスクの縮減を含めまして財務基盤のさらなる強化ということが、3メガバンクグループの健全性という観点から重要な点ではないかということをこの前のレポートで出させていただいた次第でございます。

次の2ページは、ちょっと前後いたしますけれども、「日本再興戦略」、この前の6月30日に閣議決定したものでございますけれども、今申し上げた問題意識について、「日本再興戦略」の中でも、2行目の「特に」の後でございますけれども、「グローバルなシステム上重要な金融機関については、国際的な動向等も踏まえ、また、景気や市況の変動に対する耐性を高め、困難な時期における企業の経営支援ニーズの高まりにも十分対応できるよう、株価変動リスク等のプロシクリカルな要素の縮減を求めていく」ということが位置づけられたところでございます。

続きまして、3ページでございますが、6月あるいは7月にかけまして、3メガバンクグループそれぞれからコーポレートガバナンス報告書ということで、それぞれのグループの方針が公表されてございます。ごらんいただければそのとおりでございますけれども、最初がみずほフィナンシャルグループでございまして、6月1日に公表されてございます。読みますけれども、「政策保有株式について、コーポレートガバナンス・コードを巡る環境の変化や、株価変動リスクが財務状況に大きな影響を与え得ることに鑑み、その保有の意義が認められる場合を除き、保有しないことを基本方針とする」。

次が三井住友フィナンシャルグループでございますが、7月3日公表でございますけれども、ちょっと省略しますが、2行目ぐらいから、「当社グループの財務面での健全性維持のため、保有の合理性が認められる場合を除き、原則として、政策保有株式を保有いたしません」。

3つ目の三菱UFJフィナンシャル・グループ、7月31日公表でございますけれども、「株式保有リスクの抑制や資本の効率性、国際金融規制への対応等の観点から、取引先企業との十分な対話を経た上で、政策投資目的で保有する株式の残高削減を基本方針とします」。

こういうことがこの夏に3メガグループからそれぞれ方針として出されているところでございます。

次の4ページが、先ほどちょっと申し上げましたが、もうちょっと長い時間、これはもっと左のほうへいけばもっと肩が上がっていくわけですけれども、2003年ぐらい、大体10年前からの状況を折線グラフにさせていただいています。3メガバンクグループそれぞれの保有状況(取得原価ベース)でございます。ごらんいただきますと、一番左、2003年3月末、三菱UFJが6.1、それぞれ、その下、3.9、3.2、合計いたしまして、ざっくり言うと約13兆円を当時保有してございました。その後、多少でこぼこはございますけれども、削減をそれぞれのグループで続けてきてございまして、今、直近のところでございますと、一番右のところでございますが、2015年3月末がそれぞれ、上からいきますと、三菱UFJが2.8、次のみずほが2.0、三井住友グループが1.8、合計いたしますと約6.5兆円という状況で、減ってきているところではございますけれども、ごらんいただきますとおわかりのように、ここ数年のところ、減ってきてはいるのだけれども、なお傾きが平らになってきているというか、減るスピードがなかなか、加速がついていないというか、そういう格好になってきているところでございます。こういった中で、さらなる保有株の問題ということをやっているわけでございます。

そういう中でございまして、各3メガバンクグループが6月、7月に先ほど申し上げましたコーポレートガバナンス報告書で方針を公表した後、それぞれのグループで、今後どういう対応をとっていったらいいのかということを検討されてきたと伺ってございます。そうしまして、ここ最近でございますけれども、次の5ページ、6ページ、7ページ、ちょうど11月13日でございましたけれども、11月の中間決算の際にそれぞれのグループから、その後の検討の結果を踏まえた今後の対応と当面の方針ということで、5ページ以下のようなものが公表されてございます。

最初がみずほフィナンシャルグループでございますけれども、左側の基本方針というのは先ほどと同様でございます。左下のほうが保有意義の検証ということで、ここに書いてございますような総合採算とリスクキャピタルを比較したものが、ROE計画に基づいて設定したハードルレートを上回っているかということで検証しているということを説明された後に、この右側が具体的な数字になっていますけれども、採算性基準達成に必要な株式削減額は全体の約4割。保有株全体がこの円グラフ全体でございますので1兆9,629億円となっていますけれども、この青い太線で囲われました約4割が必要な株式削減額とした上で、この下のほうでございますけれども、「削減必要額のうち、少なくともその約7割を2018年度までに売却する。極力前倒しで取引先との対話・交渉を実施し、2016年度中に売却計画額の4〜5割を削減することを目指す」と公表されてございます。

次の6ページは三井住友フィナンシャルグループでございますけれども、同様に13日に公表されたものでございまして、こちらのほうは上の緑の丸でございますけれども、「財務基盤の更なる強化に向けて、株価変動リスクの継続的な縮減に取り組み、G−SIFIsに相応しいレベルの株式のCET1」――先ほどの普通株式等Tier1比率のことでございますけれども、「に対する比率を実現するべく、まずは5年程度で株式のCET1に対する比率の半減に目途をつける」と公表されてございます。下のほうにそういった数字のグラフが記載されてございます。

そして、次の7ページが三菱UFJフィナンシャル・グループの中間決算の公表資料でございます。下の赤い四角で囲んだところでございますけれども、政策投資株式の削減への取組みとして、「政策投資株式は、今後5年を目処に取得原価対Tier1比率の10%程度への縮小を目指す」ということで公表されてございます。

それぞれのグループで公表の仕方が、CET1比率、Tier1比率あるいは全体の4割といった言い方をされたりしていますので、ちょっとわかりにくいかと思いますので、私のほうからちょっと補足いたします。三菱UFJフィナンシャル・グループの場合ですと、15年3月末の取得原価が約2.8兆円ございますけれども、割合で申しますと約3割、8,000億円程度を5年程度の期間で削減していくという格好に計算できるところでございます。みずほフィナンシャルグループの場合は、取得原価は兆円で丸めますと約2兆円でございますけれども、先ほどの4割、そのうちの7割というのを計算いたしますと、約5,500億円程度、全体で取得原価の約3割、こちらも3割でございますけれども、それを3年半程度の期間で売却していこうという公表でございます。それから、3番目の三井住友フィナンシャルグループは、取得原価が1.8兆円のところ、こちらも約3割、5,000億円程度を5年程度という期間で進めていくという公表の結果になっているところでございます。

これまでが3メガバンクグループの直近の動きでございまして、私どもといたしましては、先ほどの「日本再興戦略」といったものを踏まえまして、しっかりとこういった削減が各メガバンクグループにおいて進められていくよう、私どもとしてもしっかりとやっていきたいと思っているところでございます。

以上でございます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、本フォローアップ会議に係る意見募集を我々はしているわけですけれども、意見募集に寄せられた意見について、説明をお願いしたいと思います。

【田原企業開示課長】

ただいま座長からお話がありましたように、本フォローアップ会議におきましては、広く意見を募集させていただいておりまして、本日の議題に関連して2点ほどご意見を頂戴いたしましたので、ご紹介申し上げます。

まず1つ目のご意見でございますけれども、こちらの方からの意見につきましては、コーポレートガバナンス・コードの原則1−4につきまして、3つの要素から成ると。1つは、政策保有に関する方針の開示。2つ目が、毎年、取締役会で主要な政策保有について検証して、保有のねらい・合理性について具体的説明を行う。3つ目が、政策保有株式に係る議決権の行使について適切な対応を確保するための基準を策定・開示すべきである。そういう3つのパーツから成っているわけですけれども、それぞれにつきましてご意見をこの最初の方から頂戴しております。

1つ目の政策保有に関する方針につきましては、「他企業との協力関係が必要」とか「企業価値向上のため」といった抽象的な説明が多いけれども、なぜ株式を保有していると協力関係が強くなるのか、事業上のメリットが得られるのかなどの具体的な説明がないということで、明確かつ具体的に記載すべきであるとのご意見です。2点目は、検証、具体的説明という2番目のものに関連しますけれども、こちらにつきましても、リターンとリスクを具体的にどのように検証するかについて、開示している事例がないということで、こういったことについて数値を挙げて検討すべきであるとのご意見です。3点目は、最後の議決権の行使についての基準の策定開示という点につきまして、明確な議決権行使基準を策定している事例がないということで、現在の議決権行使基準の策定ルールに加えまして、議決権行使結果の公表も義務付けるべきだということをおっしゃっております。

まとめまして、この原則そのものにつきまして、上場企業が株式を政策保有することは、原則として禁止するべきであるとのご意見です。ご意見の理由としては、取引の維持・拡大を目的とするなら、利益供与の疑義があるとか、安定株式として保有するのであれば、株式発行企業の経営陣の保身のための買収防衛策に過ぎず不適切であるとか、株価の変動リスクは、事業会社として取るべきリスクではないといった理由を挙げられているところでございます。

2つ目のご意見は、政策保有株式の解消を促すため、税制などでの優遇措置を検討できないかといったご指摘でございます。

以上2点、ご紹介申し上げました。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、ゲストに来ていただいておりますコニカミノルタ株式会社取締役会議長の松ア様より、ご説明をお伺いしたいと思います。松ア様からは、資料2「当社に於ける原則1−4への対応について」という資料をご提出いただいておりますので、それをお手元でごらんいただきながらご説明を伺おうと思います。それでは、よろしくお願いします。

【コニカミノルタ株式会社 松ア取締役会議長】

それでは、コニカミノルタ株式会社の取締役会議長松アより、資料2に従いましてご説明申し上げます。この後、質疑応答の時間がとられていると思いますので、そのきっかけになるご説明をいたします。

本題に入ります前に、資料として、当社のコーポレートガバナンス・システムの特徴をかいつまんでご説明したいと思います。この話が、原則1−4のように、では具体的にどう対応したのかということにつながっていきますので。当社は、2003年、平成15年にコニカとミノルタが経営統合してできた会社ですけれども、そのとき以来、経営の執行と監督を分離したコーポレートガバナンス・システムを運用してきております。

そのいきさつですけれども、経営統合の前に、旧コニカの当時代表取締役会長だった人が、「自分が社長だったときに第三者からチェックされている気がしなかった。やはりこれはよくない。経営者個人の倫理観・資質に依存しない、チェック機能の働く仕組みが必要だ」という問題意識を持ちまして、自らは監督側に今後徹しようということを決意されまして、この仕組みの構築に取りかかったということでございます。それで構築された仕組みを当社では経営組織基本規則という規則に定めております。この規則をまとめ上げるに当たりましては、このフォローアップ会議のメンバーであられます武井先生に大変お世話になったということでございます。

どういう内容かということの特徴ですけれども、社外取締役の方の目を入れて、執行と監督を分離するシステムとして、ちょうどそのときに委員会等設置会社が選択肢として採用できるようになりましたので、これを採用した。今でいう指名委員会等設置会社です。執行の最高責任者は、執行役社長であると、この規則に定義した。役付執行役に会長は置かないということも定義した。一方で、この執行と監督の分離ということで、規則には取締役会議長は非執行取締役から選定するということを決めた。委員会の委員長は全て社外取締役であるということも決めた。代表執行役を兼ねる取締役は指名委員あるいは報酬委員にはなれない。実際は、運用上は、どの委員会の委員にも執行役を兼ねる取締役は入っていません。全部社外取締役ないしは非執行の社内取締役で構成されるという運営をしております。取締役会議長は、監督に徹して、取締役会の開催にかかわる役割を果たすと同時に、このコーポレートガバナンス・システムの実効性をより高めるため、これを主導する、ファシリテートする役割を果たしております。

そういうことで、毎年、取締役会の評価というものを実施しておりまして、その結果を取締役会のメンバーが共有します。取締役会議長は、株主総会後の最初の取締役会で、評価結果を踏まえて、向こう1年間、昨年とはこういうところを改善した取締役会の運営をしていきますという運営方針、これは私が議長になってからそうしようということでやっているのですけれども、そういうことでPDCAを回していく。毎年毎年、より実効性を高めていこうという運営をしているということでございます。ですので、監督側に徹しようと決意した人が設計したシステムを、監督側に徹する取締役会議長がファシリテートして回してきているシステムである。こういう特徴が当社の場合にはありますということでございます。

今回のコーポレートガバナンス・コードへの対応も、有識者会議での進行状況を見ながら、取締役会議長が主導して、取締役会メンバーを集めて討議しまして、当社はどこまでできているか、できていないものに対してはどうするのかということを議論して方向づけをしております。そういうところが当社の特徴であるということでございます。

本題に入ります。原則1−4への対応ですけれども、本件につきましても取締役会メンバーに諮りまして、「Comply」していこうという方向づけを確認いたしました。その理由は、投資家への説明責任を果たすために、保有する方針とか、議決権行使についての基準を策定して、それを公表する。これはある意味当然のことであるという判断でございます。

それから、この原則の2番目です。「主要な政策保有に関する検証結果を踏まえた保有の合理性・将来の見通し」についての執行側の報告を、取締役会の監督対象とする。これも、監督責任を果たす上では当然のことである。こういうことから「Comply」しようという方向づけをいたしました。

ではそういう方向づけをした上でどうしてきたかということですけれども、執行側が早速この方針と基準を策定しまして、6月の取締役会で報告を受け、その報告を取締役会として了承しております。そうした上で、6月末日にガバナンス報告書の中で方針・基準を開示いたしました。

その内容というのが、資料の下に示したとおりでございます。先ほどご意見として紹介されたものの中に、具体性が欠けているというご意見がありましたけれども、取締役会としては、次のページにもありますけれども、保有を続けるかどうか、あるいは議決権行使においての判断のポイントは企業価値の向上ですねと、そこを突き詰めて判断していくということを確認しております。

その一方で、今この役が回ってきて、改めてこの方針と基準を見たときには、めり張りというのがまだ途上かなという印象というか、そういうことを正直思っております。例えば、「方針に反すると思われる提案については、適切に評価・判断する」とは、「議決権に反対する」ともっとストレートに書くべきなのかな、あるいは「判断基準に基づいて賛否を判断していく」ともっとストレートに書くべきなのかなという気がいたしますけれども、この辺のところも発展途上であり、今後どうしていくかというのは考えてまいりたいと思っております。

繰り返しになりますけれども、取締役会として報告を了承するに当たっては、企業価値の向上に資するかどうかというところが判断のポイントであるということを確認いたしました。

そうしたことで、執行側も今保有しているものについて見直しをしている途中にあるということで、担当執行部門から、執行役から取締役会へのレポートというものを定期的にもらっていますけれども、その中では、9月末時点でこの2社については政策保有を解消したという報告を受けておりますので、資するかどうかを突き詰めて、従来以上に厳密に見ていくという方向づけはできたかなと思っております。

今後の対応ですけれども、取締役会の監督対象とすることにいたしました「検証結果を踏まえた保有の合理性・将来の見通し」についての報告、これは毎年取締役会の議題として設定してまいります。おそらく議決権行使する前に意見を聞きたいというタイミングになるのかなと思います。そういう観点で執行側の判断の妥当性ということを監督してまいると、監督の役割としては、そのように考えております。

一方で当社の政策保有の現状ですけれども、投資家さんから投資していただいた額をあらあら示す純資産に対しては、簿価ベースで、政策保有株式というのは3.25%であるということで、それほど多くはないという位置づけにあります。ですので、当社がターゲットとする投資家さん、私は社長時代に、社長の重要な役割の一つとして、中長期運用の投資家さん、特に海外の投資家さんと積極的に対話をしてまいりましたけれども、そういう投資家さんから見れば、優先度の高い関心事ではないだろうという判断はしております。事実、これまで対応してきた中では、株式の政策保有に関して問われたことはございません。株主還元に対して問われたことはございますけれども、政策保有に関して問われたことはございません。とはいえ、当然のことながら、問われた場合には、きちんと説明責任を果たしていく。説明できないことは改めていく。こういうスタンスで監督役を果たしてまいりたいと思います。

私からの説明は以上でございます。

【池尾座長】

松ア様、どうもありがとうございました。

それでは引き続き、投資家フォーラムの三瓶様、大堀様よりご説明をお願いしたいと思います。資料3「企業によるコーポレートガバナンス・コード対応への投資家の評価と期待」というのをご提出いただいておりますので、それを手元に置きながらご説明を伺いたいと思います。資料3です。それでは、三瓶様、大堀様、よろしくお願いします。

【フィデリティ投信株式会社 三瓶ディレクターオブリサーチ】

それでは、投資家フォーラムの運営委員としてご説明をさせていただきます。

この資料の表題にありますとおり、今回、コーポレートガバナンス・コードに対応するコーポレートガバナンス報告書が発行体企業から提出されるに当たって、投資家フォーラムでは、先ずその内容をよく読んで、それについてのフィードバックを企業にしていかないといけないという趣旨で、読み合い議論しました。そこで確認された論点をまとめたのが別途お手元に配られている、投資家フォーラム第1・2回会合報告書と別冊報告書「政策保有株式に関する意見」です。9月に公表しております。

本題に入る前に、そもそも投資家フォーラムとは何か、簡単にご説明します。投資家フォーラムは、日常的に実務者として投資調査・分析にかかわっている者または投資判断に直接かかわっている者、議決権行使の判断に直接携わっている者が、個人の資格と意思で集まった任意団体です。機関投資家は企業との対話を行うに当たって判断を適切に行うための実力をつけるべきであると、スチュワードシップ・コード原則7に書かれております、その実力をつけるために機関投資家同士が意見交換をしてお互いの知恵を出し合い切磋琢磨することと、そこで話し合ったことを企業に向けて発信するというのが投資家フォーラムの目的です。こうした目的に則って、今回、投資家フォーラム報告書を公表しました。

今現在、投資家フォーラムに登録している人数は、バイサイドの方々100名、運用会社、年金・基金、銀行、信託銀行、生損保など58社に所属している方々です。国内の主だった機関投資家がほとんど含まれていると思います。そして、事業会社の方も104名の方が登録されています。

早速中身に入っていきますが、まず資料の目次を見ていただきますと、大きく1、2、3とあります。1は、投資家フォーラムで行った第1回・第2回会合報告書全体についての概要です。2は、本日の議題であります「政策保有株式」についての報告書の論点です。3ページを開けていただくと、報告書の目的が書いてあります。目的としては、先ほど少し話しましたけれども、今回のコーポレートガバナンス・コードに対応して、どのようなコーポレートガバナンス報告書が出てきているか、その内容を読み合わせた結果、私たち機関投資家としての見方を発信することです。具体的には、コンプライ・オア・エクスプレインの中で、エクスプレインの仕方の好例を探そうとしています。対応初年度ですから、できるだけ良い例を探して、「これが好事例である」と提示しようとしています。ただ、一つの好事例に集約して単一のベストプラクティスになってしまい、それがひな形になってしまわないように、様々な異なる良い例をできるだけ多く見つけて公表しようと、そんな姿勢で取り組みました。そういう意味で、もう一つ大事なのは、コンプライ・オア・エクスプレインだけではなくて、原則主義ですから、原則を理解した上で企業独自の考え方があるのであれば、それを披露していただく。そんなことをエンカレッジしたいという思いで臨んでいます。

主に注目した点は、4ページ目にあります。まず5基本原則73項目ある中で、私たち投資家が、現場の人間として注目したのは主に3つです。それは、原則1−4、本日の主たる議題です。それと原則5−1、株主との建設的な対話に関する方針。そして基本原則4は全体ですが、取締役会の責務についてです。この大きく3つの観点に注目して議論しました。

その中で主に出てきた論点は4ページ上にある1〜5になります。ただ、ここで強調しておきたいのは、この中で原則1−4だけは異質だということです。議論も非常に深くやりましたし、あえて別冊報告書をつくりました。以下で、その別冊報告書に関して、ポイントをかいつまんでご説明いたします。

5ページです。まず、政策保有株式について、これもたたずまいとしてはコンプライ・オア・エクスプレインになるわけですが、実際、これはコンプライすると言って、どんなコンプライができるだろうか。また、エクスプレインすると言って、どんなエクスプレインができるのだろうか。政策保有株式の維持継続を前提としていると、コンプライもエクスプレインもどちらもできないのではないかということで意見は収斂していきました。結論から申し上げますと、投資家から見れば、政策保有株式の維持継続は説明不可能ではないかということです。したがって、原則1−4だけはその他の諸原則とは違う扱いで考えていただきたいという意味で、あえて別冊報告書にしました。むしろ、政策保有株式というのをさかのぼって考えてみたときの元々の保有目的は何であったのか。今ここに来て、政策保有はこういう理由ですというのは、もしかすると取って付けたような形になっていないのか。そんなことをもう一回見直すいい機会だと捉えています。

そこで、主な論点は、この5ページの下段にありますが、大きく5つあります。1つは、今回のコーポレートガバナンス・コードで問われている保有の狙い、経済合理性と、当初の政策目的とのねじれ。2つ目として、保有している側にその説明を求めていますが、実は「保有させている」という、その反対側の相手の問題があるのではないかということです。3つ目は、各社の説明を見る限りは、政策保有と純投資の混同が見られるということ。4つ目は、政策保有目的の考え方に、一般株主との利益相反の可能性があるということ。そして5つ目として、金融機関に関して、先ほど冒頭にご説明がありましたプロシクリカリティの問題などです。

論点の1つ、「保有させている」側の問題というのが、次の6ページになります。これは、平たく言うと、持ち合い株の問題です。どうして「保有させている」側の問題が生じているように見えるかというと、取引先の株式を売却したら取引に支障があるといった説明がよく聞かれるからです。したがって、本来は保有側が自由に判断できてしかるべきだと思いますが、自由に売却を決定できないという状況が実際にはあると見られます。このことは、保有しているのに、結果的には「保有させている」側が「保有させられている」側の経営判断に介入している状況ともとれます。

具体的事象として、政策保有株式を売却するときに、私たちが知る限りでは、まず相手先にお伺いを立てにいきます。「売却したいのですが、よろしいでしょうか」というお伺いを立てるというのがあります。そして、お伺いを立てにいくと、長年の慣行であるのに、「何で今さらそういうことなのだ」とか、「その場合に取引条件に問題が出てきますよ」とか、何らかの不利が告げられて、その先の行動がとれないというのが現実としてあるようによく聞きます。

実際、そんな話をやりとりしていますと、銀行さんからは、例えば、「本当は株式を売却したいのに売らせてもらえない」、「自分たちは売りたいと思っている。ただ、相手が売らせてくれないのだ」という説明で、私たちに「だから仕方がない。わかってくれ」ということがあります。この点は、別冊報告書2ページ、II「保有させている」側の問題に関する発言、2つ目のポイントに実際の声として記載しています。当フォーラムに参加している多くの実務担当者が同じ経験をしているので、あえてその声を記載させていただきました。

次の7ページになりますが、一方で、では本当に先ほど申し上げた「保有させている」側だけの問題かどうか。「保有している/保有させられている」側にも、もしかしたら問題があるのではないかというのが7ページ目です。「ほんとうは株式を売却したいのに売らせてもらえない」という理由を多くの会社が使うのだけれども、そのように言っておけば免責されるかもしれないとして抗弁に使われていないとも言えません。

というのは、具体的な事象として、株式を保有していない取引先とも取引しているわけです。多くの取引先があります。その取引先全ての株式を持っているわけではありません。ですから、株式保有がなければ取引ができないということでもないわけです。さらに、有報の特定投資株式の開示を見ますと、前年度と当年度の保有一覧表が出ています。その表を見比べたときに、前年度はある会社の株式を“取引関係の強化”を目的として保有していたのに当年度当該株式の保有がなくなっているのを見つけて、「この会社とは取引がなくなったのですか」と聞くと、「いいえ、全く変わりません。全く問題がありません」という答えが返ってきたことがあります。そうなると、以前は保有目的として取引関係の強化と言っていたけれども、株を売っても、それについて影響がないということになります。そういう意味で、なかなか真相はわかりませんけれども、まずは「保有させている」側の問題は、1つの大事な問題なので、考えなければいけない。ただ、それに便乗してというか、「保有させられている」のではないにもかかわらず現状維持を続けている場合もあるのだろうということです。

これを整理したのが8ページ目の図表1です。非常に簡単な表です。表の上2段は、簡単に言って、被保有側です。「保有させている」側、「保有されている」側ということです。下段の2つが、保有側です。「保有している」側、「保有させられている」側です。ここで、もし持ち合いだとすると、どういう対になるかというと、1番上と1番下が対になります。保有・被保有の関係で言いますと。1番上と1番下の対の場合は、取引条件の交渉力が「保有させている」側にある。それが強い。そうすると、最終的に議決権行使において経営陣に対する支持票を暗黙のうちに確保しているといった状況が考えられます。一方で、別の対、真ん中の2段です。上から2番目と3番目の対の場合は、取引条件からというよりはむしろ保有している事実からその力関係ができている可能性があって、議決権を持っていることを梃子にして有利な取引条件を引き出すといった格好が考えられます。いずれにせよ、これは解きにくい関係です。

次に、さらにどんな保有目的があるかというのが9ページ目です。経済合理性を説明していくのが最終的には非常に難しいのですということを申し上げました。それを端的にあらわしたのがこの図になるかと思います。現在のグローバル競争時代に必要なのは、ビジネスモデル、競争力、製品サービスの質という、トランスパレンシー、透明性を持って戦わなければいけない部分があると思うのですが、それを株式保有または議決権行使を梃子にして取引条件交渉をするというのは、国内ではそれなりにまだ成り立つのかもしれませんが、対外的にはかなり難しいと思います。

その絡まった仕組みというのは、ここに描いたような樹形図で説明できると思います。まず株式保有を大きく分けると、政策目的と純投資目的に分かれると思います。なので、まずここで、政策目的で保有しているにもかかわらず、あたかも純投資目的のような理由で経済合理性を説明することがおかしいということです。もう少し端的に申し上げますと、配当収入または株価のキャピタルゲインをもって政策理由が是とされるというのはおかしいということになります。もし純投資目的だと言い切ってしまった場合には、今度は純投資を行う能力・資質を問われます。政策目的に戻りますと、もちろん戦略的提携というのはあり得ると思います。戦略的提携の中で事業戦略があって、その場合には、純投資とは全く違う観点で議決権行使がされることもあり得るだろうと思います。

ところが、多くの政策保有の目的には、取引関係強化という説明が書いてあります。それが図表2真ん中の赤い四角で囲ったものです。先ほどから何回か触れていますけれども、取引条件と議決権行使というものかバーターの関係になっているようなものです。取引条件というのは、供給条件とか、価格条件とか、その他の便宜になりますが、これは強い方が弱い方に無理強いをするような部分があります。このことは、日本の企業のバランスシートを見たときに、その傾向が出てくる場合があります。また、議決権行使については、究極的には買収防衛ということにつながっていきます。なので、買収防衛によって現経営陣を支持、現状維持を支持するということとバーターで取引条件をよくしてもらうといったことでいくと、この関係はなかなか解れないのですけれども、知らない間にグローバルの競争力が低下していくという懸念が大いにあります。

ここで、市場全体の現状確認をしておきたいのですが、いわゆる持ち合い株式比率または安定株主比率が下がってきているというデータが一般的に使われますが、果たしてそうかという疑問があります。ある会議で使われた資料ですが、こちらの会議のメンバーでもいらっしゃる日本投資環境研究所の上田様の推計によると、実は持ち合い株の比率または安定株主比率というのはそんなに下がっていないということです。本当の意味での純投資の投資家の保有比率と比べたときに、かなりの意味のある金額がまだ持ち合いされている。となると、いわゆる純投資的な観点で議決権行使をする人のパワーというか、声はなかなか響きにくいという問題になります。したがって、持ち合い比率が一般的に言われている水準よりも実際は上田さんの推計のように高いとすると、これはさらに大きな問題となります。

10ページ目ですが、もう一つは資本生産性上の問題です。ここに2つの会社の事例を挙げています。図表3と図表4、これは2015年3月期決算の2つの日本の会社からとった数字です。ここで言いたいのは、図表3と図表4、会社のバランスシートの様子は随分違って見えますが、換金可能な上場株式を含めると現預金及び現金同等物は約4割でほぼ同じに見えるということです。日本の企業は得てして現金の保有が過剰ではないかという議論がされます。そのときに、通常だったら、現金または現金同等物としてカウントするのは、流動資産に含まれるマル1現預金、マル2有価証券になります。海外投資家はもう少し踏み込んで、政策保有目的の株でも意思決定さえすれば換金できるので、マル3投資有価証券も含めて、これも潜在的な現金同等物になるのではないかといった評価をすることがよくあります。そうすると、会社Aと会社Bのそういった比率は、総資産のうち約4割という意味では、両社同じような見方がされます。先ほどのコニカミノルタさんの政策保有株式の比率は低いので、どちらかというと図表3の方かもしれません。投資有価証券が非常に大きい場合には、問題として取り上げられます。

もう1点、投資有価証券を保有しているということは、純資産または株主資本をそのバッファとして使うことになりますから、本来事業に向けられるべきバッファの一部が他の目的に使われてしまっている。事業資産ではないところに使われているわけで、資本の無駄遣いという言い方もできます。このことは、「日本再興戦略」でせっかく生産性革命と謳っているわけですけれども、それには程遠い状況であって、対内投資を呼び込もうというのはなかなか難しくなってしまうのではないかということです。

11ページは、一般株主との利益相反の問題です。先ほど取引の関係で申し上げましたが、「保有されている」側が「保有している」側に過度な便益を与えていることがあるとすれば、これは問題ではないか。かつてドイツでいわゆる持ち合いが解消されていく過程で、似た現象がまだ残っていたと記憶しています。1999年にドイツ企業を訪問したときに、ドイツ銀行は、信用格付A格付をとった電力会社に対して、信用格付A相当よりもはるかに好条件で貸し付けをしていた。それは、ドイツ銀行の株主に対して利益相反が発生しているということで、この点をその当時指摘したことがあります。すると、ドイツ銀行は、「まさにそれはごもっともだ。今まさにそういったことを是正するためにいろいろな行動をとっている」と率直に問題を認めました。結果的に、その後数年たってドイツ銀行はより投資銀行化していくことで、持ち合いを梃子に融資条件優遇の便宜を要求されるのではなくむしろ企業の社債発行を引き受ける役割を担っていくという変化を遂げました。ドイツで起こった改革は間接金融から直接金融への移行を目指しており、持ち合い解消への税制のインセンティブもありましたけれども、銀行の融資から、市場で調達する方向性のためには信用格付を取得するなど、いろいろなことが一体として改革されたというのが大きな特徴だと記憶しています。

もう1つ、一般株主との利益相反の問題では、独立社外役員との関係が出てきます。この例では1つの会社の中で矛盾したことが幾つか散見されました。独立役員として指定している社外取締役が所属する会社について、独立指定した理由は、取引がわずかであるということです。ところが、特定投資株式の開示を見てみると、当該会社は取引維持のため重要であるとして、政策保有株式として挙がっている。これは全くの矛盾ではないかということです。コーポレートガバナンス・コードの序文で、会社は受託者責任を負っていることを認識して運営されることが重要であると書かれているのですけれども、“独立性”と“政策目的”の矛盾を放置している辺に、その認識不足がみられます。受託者責任には、説明義務、忠実義務、善管注意義務があるわけで、総合的・整合的に見ていただきたいということです。

少し長くなりましたが、最後に結論・提言の部分です。12ページです。結論として、こういった問題を1つ1つ丁寧に説明していこうとしたときに、私たちが知る限りでは、経済合理的な説明はかなり難しいのではないかということです。ですから、そうであれば政策保有は解消していくというのが本筋ではないかということです。

政策保有を続けることの1番の問題は、政策保有の実態が、結局は株式の発行体が買収防衛のための安定株主づくりまたはその維持ではないかということに至ってしまうからです。私たちは、先程ご説明した論点を発行体企業に理解していただいて、結果的には自律的に政策保有解消に向かっていただくというのが1番いいかと思います。ただ、もちろん戦略的な提携があるということは是非ともご説明していただいて、そういったことを企業と投資家の間の対話として進めていければと思う次第です。

13ページには、行動としてとっていただきたいこととして、あまり具体的なところまでは踏み込んでいませんが、例を示しています。1つは、政策保有株式削減の方針を表明することです。表明したとしても、遂行に時間がかかるとすれば、解消までの間に政策保有株主の地位を濫用した営業活動等により一般株主の利益を損うことが無いようチェックする仕組みがあってはどうか。それには、独立社外者の監視委員会を設置するなどが考えられるのではないでしょうかということです。先ほど冒頭にありましたけれども、銀行が今のところ政策保有株式削減の方向で表明していますから、これが1つの大きなきっかけになるのではないかと、銀行にはまさに積極的に率先して解消していただきたいと思っております。

すみません。長くなりました。以上です。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、メンバーの皆様からご意見をお伺いするといいますか、フリーディスカッションの時間に移らせていただきたいと思います。

なお、本日ご欠席の内田メンバー、それから冨山メンバーより意見書のご提出がございましたので、席上配付させていただいております。メンバーの方々には事前送付させていただきましたので、この場で読み上げ等は省略させていただきますが、必要に応じて意見書の内容も踏まえてご議論いただければと思います。

それでは、どなたからでも結構ですので、ご発言のある方はお知らせください。それでは、川北先生。

【川北メンバー】

いろいろ意見が出て、かなり似通った部分もありますが、少し意見を申し上げたいと思います。

株式の持ち合いというか、政策保有ですけれども、これはご存じのように、高度成長期に発展、形成されたもので、当時は株価も上昇していたことから、それなりの合理性はあったのだと思います。ただ、80年代の後半のバブル崩壊以降、株価が下落することもまれではなくなったので、合理性が消滅していった。この事実と、その中で、特に金融機関の自己資本を毀損させてしまったため、それが一つの要因で金融システムが不安定化してしまった。この事実を大きな反省材料とすべきだと私は思います。

それで、現在、金融システムにおいて株式保有に対する一定の規制がはめられているわけですけれども、そうはいっても、最初の資料の説明にありましたように、メガバンクに関しましては、株式の含み益が自己資本に算入されているということはどうなのかということで、金融庁さんも指導というか、保有株式縮減の方向性を表明されているのだと思います。ただ、説明があったように株式の持ち合いの解消においてはいろいろな支障があるということで、縮減に5年とか、そういう期間が設定されています。しかし、その期間、ほんとうに待っていられるのかどうか。ここはほんとうに真剣に考えないといけない。株価がそれまでずっと上昇を続けるという保証はどこにもないわけです。このため、特に政策的に重要な銀行を、それを3メガに限定するのかどうか、これは議論の余地があると思いますけれども、政策的にさらに規制していくということも、私は選択肢としてあり得るのではないのかなと思います。ただ、そのときに気をつけないといけないのは、銀行が売る中で、今までの繰り返しというか、過去にあった例ですけれども、持たれているほうは受け皿を探しにいきます。何かあまりよろしくない現象が生じてくるわけですね。それに対するコントロールもある程度していかないといけないと思います。

そうはいっても、株式保有とか、相互の株式保有も含まれるわけですけれども、それを完全に否定していいのかどうか、私は疑問に思っています。三瓶さんの意見にもありましたように、企業同士が連携しているとか、ベンチャー的な企業の育成を金融機関が支えるとか、そういうときには株式の保有というものも私は認められると思いますし、そういうことを担保できるような枠組みも考えておく必要性があると思います。

株式の政策保有に関してはそういうことですが、もう一方でディスクロージャーの問題があります。株式の保有目的の説明、これが開示されているわけですけれども、これまでの意見にもあったように、かなり無味乾燥で説明になっていない。この開示を徹底させていく必要性がある一方、アナリストが株式保有に関して積極的に対話をしていく必要性があります。その中で、政策的な株式保有を行っている企業の今後の対応を聞くことが必要だと思います。その過程で納得的な説明が得られないとか、いろいろ対話しても無意味と考えられる株式保有が全く変更されないとか、そういう状況のとき、ほんとうにその企業の株式を投資家として保有すべきなのかどうか、保有していくことが正しいのかどうか、ここは投資家としても考えるところだろうと思います。そういう企業は経営的にもあまりよろしくない場合が多いわけなので、そういうよろしくない企業だとわかったのに、それを投資対象とするということがほんとうに正しいのかどうか。外部から見ていると、よろしくない企業を投資対象とすることは、私にとって理解不能です。

以上です。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

では、西山メンバー、お願いします。

【西山メンバー】

ありがとうございます。1回目に申し上げたこととちょっと重なってしまうところもあるかと思いますが、今開示されている政策保有株式の目的などを見ていて感じるところをちょっとお話しさせていただきたいと思っています。

まず第一に、こういった形での説明を求めるようになった結果、各社とも、政策保有株式の意義というものは考えていこうという形になった。この水準が一歩上がったという意味では、前進であるなと思っております。ただ、今現在開示されている内容を見ていきますと、皆様からお話があったように、合理性の説明という意味では、投資家サイドから見ていくと、必ずしも十分ではない部分もあるのかなと思います。また、こういった事例もありまして、今回はたしか、政策保有株式にするか、純投資にするかというのは会社側の判断でということになっていたかと思うのですけれども、かなり大きな保有株式の部分を純投資に移して、結果的にその開示が十分にされていないというケースが見られています。実際に事業会社とお話しする際に、「では、これは純投資に持っていけば、開示の必要はなくなるのですよね」というお話があって、まさかそんなことをするところはないだろうなと思っていたのですけれども、全くないわけではなかったと。こういったところの恣意性という部分、実際にほんとうに純投資であれば、それは例えばPLにヒットするとか、そういったことも含めた対応が必要でしょうし、そうでないのであれば、外から見ていくと、どうしても純投資に移すことによって開示の部分をともすれば忌避した部分があるのではないかと見えるようなところもございましたし、先ほど三瓶さんのほうからもお話がありましたけれども、社外取締役の独立性と持ち合いの説明のところで、ともすれば矛盾を来しているケースもあるかなと思っております。

また、政策保有の検証というところで考えていった場合に、もちろん政策保有ということではあるのですけれども、一方で、やはり投資家サイドが気にするのはバランスシートへの影響という部分もありますので、ある程度、これは純投資ではありませんけれども、ポートフォリオ的な考え方を持った検証という、例えば株価がこれぐらい下がったときに実際にバランスシートにこれぐらい影響が出るのだという形での説明とか、あるいは少なくとも机の下に持っていくとか、そういったものは必要であり、なおかつ投資家サイドのほうも、政策保有ということではありながらも、そういったバランスシートへの影響ということを重視していくということも必要なのではないかなと考えています。

ただ、その一方で、こういった形で政策保有株式の説明をしていくということになって、投資家と対話しながらということではあるのですけれども、一方で、これはちょっと限界があるのかなという印象も正直持っています。二千数百社の機関投資家が企業と対話をする中で、政策保有株式に関してはどうなのかということを問いかけていくというのは、事実上かなり難しいのではないかなと思っています。実際に、こういう最初の開示でありましたので、皆さん、どのように開示していったらいいのかと悩んだ結果、出されているわけでありますけれども、それに対して、投資家サイドで何も声が上がらなければ、今の開示でいいのだなという形になってしまって、結果的には開示が形式的なものに落ちてしまうこともあり得るのかなと。その一方で、今申し上げたように、全ての会社に投資家が、ではこの持ち合いの説明はどうなのですかということを聞いていくというのもかなり難しいなという印象も持っているところです。

そうなると、例えば全体として求める水準を上げて、全ての会社にこういったことをもっと厳しく、持ち合いの説明を求めていくのか、それとも、ある程度の基準で会社数を絞って、そういった企業に対しては細かな説明を求めていく。そういったことなども、東証一部で1,900ぐらいあるかと思うのですが、その全てに対して同じような対応をしていくというのはかなり難しいのではないかということは従前から言われていましたので、実際に開示が始まっていくと、やはりそういった懸念がどうしても見えてくるところなので、ちょっと本旨から外れてしまう部分もあるのですけれども、こういった説明という部分の対応ということを考えた場合に、ある程度対応する企業を絞っていくということなども先々としては考え得るところはあるのかなと考えております。

私のほうからは以上です。

【池尾座長】

どうもありがとうございます。

では、高山メンバー。

【高山メンバー】

私のほうからは、意見というよりは、今の日本企業の状況について複数の企業の話をもとにご説明したいと思います。

開示に至るまで、さまざまな作業や意思決定が日本企業で行われています。そういった中からいくつか例をあげてご説明したいと思います。

これはどの企業にも言えることなのですけれども、やはりガバナンス・コードの設定をきっかけに、政策保有株式については、保有している株式の中身であったり、保有の理由に関して再検討するという企業は非常に多くあります。ある企業では、ガバナンス・コード対応において政策保有株式のところが一番悩むところだということでした。実際にどの程度収益に貢献しているかと投資家に問われると、今まではそこまで計算していないという状況であり、はっきり言って即答しかねる。これからどうするかに関しては、投資家がどこまで求めているか、彼らと対話しながら、そこを見ながら対応していくという状況です。

また、別の企業の話ですが、歴史が古い企業であるため、非常に多く政策保有株式を持っている。正直言って、どうして持っているのかわからない株式というのもあったりする。ここは一つずつ、費用対効果分析のようなものをやっていこうということで、今取組んでいるといった企業もいます。

それから、コードの制定をきっかけに、保有株を見直し、少しずつ減らしていきたいというところも何社かあります。ある金融セクターの会社では、多くの政策保有株式を持っており、営業上の観点から、その解消には細心の注意を要するというところがある。ただ、ガバナンス・コードのもとで、これを機に日本全体で解消の方向に向かうということであれば、自社としてはその機会を逃したくないという考えもある、とのことでした。

それから、これはメーカーさんの話ですが、政策保有がなければ取引が打ち切られるかというと、そうとも言い切れない。であるので、投資家からそこを突っ込まれると、答えようがなくて、なかなか頭が痛いというところがある。まずは、何で持っているのか、理由がよくわからないものから少しずつ処分していきたいという企業のお話も伺いました。

また、別の企業では、今、成長のために投資が必要な状況にある。取引先には、当局や市場からの監視の目が非常に厳しい中、残念ながら手放す方向にいかざるを得ないといった説明をしつつ、整理できるところから精力的に整理する、そしてそれで得た資金を生産設備の新設に使うということを考えているということでした。

また逆に、会社がそのように望んだとしても、業界特有の事情が妨げになって、自ら動きづらいという企業もあります。ある業界では、伝統的に取引業者が一種の株式保有の組合のようなものを作っており、それで円滑な業務関係が築けているというところがある。その観点からすると、政策保有というのはある程度必要ではないかというところもあるとのことです。

一方、これは全く別のセクターですが、先ほどの投資家フォーラムの方のお話にあるように、保有させている側の力が非常に大きい状況にある。そのために、株式を多く持っていればいるほど取引が優遇される、あるいはその逆も真であるという可能性は否定できない。自主的に動くというのは非常に難しいという状況にある。ただ、全体的な議論の方向性として、政策保有はよろしくないといった状況になれば、動くきっかけになると考えているとのことです。

これが、私どもがいろいろな形でお話を伺った企業の、開示の下にあるさまざまな動きです。開示するとなると、正式な文書を作ることになるので、表面的と言ってはなんですが、難のない表現になりがちです。しかし、その実情をうかがうと、多くの企業は、コードができたために、政策保有株式に対して自社がどのように取組むのかということに対して向き合わざるを得ない。それは単に事務局の話ではなくて、経営陣、取締役会が向き合わざるを得ないという状況になっています。

以上が企業からの見方なのですけれども、当然、企業のロジックだけではなくて、それを受ける投資家がどのように見るかというのは、非常に重要になってきます。国内のお話は、先ほど投資家フォーラムのお話で網羅されていると思いますが、海外の例をご説明します。最近の例で、ある企業が、そこは比較的政策保有株式の割合が高い企業なのですけれども、欧米でいくつかの機関投資家に会った際に、当該株式について議論になった。その業界特有の事情や企業特有の事情を説明してもなかなか理解が得られなかった。1つには、そもそもそれは投資家の立場からして認めるわけにいかないというところがあると思います。もう1つは、長年の間にできた、日本企業は必ずしも株主を重視していないというステレオタイプ的な見方がまだ残っているというところもあったようです。それも相まってそのようなネガティブな見方がされているのではないかというお話も最近聞きました。

前回申し上げましたけれども、海外の投資家においては、このフォローアップ会議に対する関心は高いものがございます。複数の投資家や団体がおそらく12月の前半ぐらいまでに意見書を提出することになりますので、それらを通してさらに彼らの考え方というのがわかるのではないかと思います。

以上、議論のご参考していただければと思います。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

では、小口さん。

【小口メンバー】

ありがとうございます。今日いろいろな方からご説明いただきまして、また投資家フォーラムさんについては、個人の資格での参加ということなので、ほかにどなたがいらっしゃるかわからないのですけれども、配布いただいた資料には筆者作成のページもありますので、今日お越しいただいているフィデリティの三瓶さんと、もうお帰りになったようですか、JPモルガンアセットの大堀さんのお考えということで理解しました。内容について特に異論はございません。

それで、三瓶さんをはじめ、政策保有株は解消すべきというお話、それから一方で皆さんからは、そうはいってもなかなか解消の難しさもあるのだと、両方のお話を聞きながら、逆説的ですけれども、投資家にとって理解できる政策保有株式というのはそもそもあるのかなということを考えていました。政策保有株といっても投資は投資なので、投資として評価できれば、それは理解することは可能ではないかなということで、先ほど資本の無駄遣いというお話もございましたけれども、事業投資であれば、当然、資本コストを上回る収益を上げられることというのがまず経済的には条件になるわけです。ただ、政策保有株というのは上場株投資なので、そもそも配当利回りが2%程度の上場株式に投資をして、例えば資本コストは1桁台後半としても、かなりギャップがあるので、そこには配当以外の収益、キャピタルゲインも入るのかもしれませんけれども、かなりの収益が乗らなければ資本コストを上回れないということで、まず経済合理性のハードルがかなり高いですねというのが1点あります。

そこで、何らかの利益が上乗せされたことで資本コストを上回って、一応経済合理性は確保できましたという話になったときに、今度は、その利益は正当に得られた利益なのかという次の問題が出てくると思うのです。例えばですけれども、インサイダー情報もそうかもしれませんし、今日はいらっしゃっていませんけれども、冨山さんの配布資料を見ると、書いてあるとおり読みますが、「刑事罰をもって禁圧される『利益供与』の疑義すら生む」といった問題も含めて、正当性の問題になってくる。ではそれが正当であることを示すものとして考えなければいけないのは、池尾先生が座長をされていたと思うのですけれども、金融審議会の金融分科会で出された報告書の中で、「議決権の空洞化」という指摘がされていまして、かなりやわらかい言葉ですけれども、はっきり言えば、議決権で賛成票を投じることへの対価を意味していると思われる点です。そのような疑義に対抗しようとしますと、いろいろ考えていくと、最低限、企業自らがそうではないということを説明しなければいけないのではないかということになります。議決権が空洞化されていないということを説明するためには、議決権を透明かつ公平に行使したのだという説明があって初めて、空洞化されていないのだという説明になるのかなと考えています。今日、コーポレートガバナンス・コードの原則1−4の抜粋を配布いただきまして、いろいろな議論があってこの表現に至ったわけですが、この原則は上段と下段に分かれていて、まずは経済合理性の検証・説明の話と、後半に議決権行使の話があるのですけれども、そのように考えていくと、前半の経済合理性の検証と説明というのは必要条件にしかすぎないのではないかと思います。これがなければ、そもそも経済合理性がないわけですから、投資としての正当性が失われるのですけれども、仮に経済合理性が満たせたとしても、それが正当に得られたものだという意味でいくと、むしろ後半の議決権行使への適切な対応というのがセットで実施されて初めて投資家にとって理解可能になってくる。そして、上段、下段共に納得ある説明があれば、政策保有株というのも必ずしも否定するものではないということにもなるのではないのかなと思います。

それで思いついたのが、スチュワードシップ・コードですけれども、スチュワードシップ・コードの原則5では、集計開示までですが、議決権行使結果の開示を求めています。そこで、政策保有株についても、同じように上場株式投資なのだから、機関投資家と同じこの原則を適用して、そうしたら正当性というのは示せるのではないかなと思いました。これが一ついいなと思ったのは、先ほど西山さんからもお話がありましたけれども、純投資と政策投資というものがかなり曖昧なので、純投資だろうが政策投資だろうが、株式投資は株式投資だということでカバーして、企業が投資をしている上場株式全てについては、議決権行使の方針にとどまらず、結果を開示することによって、むしろ利益供与に対する無実をもれなく証明するということが考えられるということです。そして、開示できないということであれば、どうしてもそういう目で見られてしまうという部分もあるのかなと思っています。

それからもう一つ、政策保有株については、投資先との取引関係強化という説明がなされることが多いのですけれども、何人かおっしゃったと思うのですが、政策投資保有でなければ取引が強化できないというのは、必ずしもそうではなくて、必要であれば契約というものがあるので、契約を自由に結んでいただいて、要らなくなったら解消して、なおかつ会社と会社の間でビジネス単位に契約するのであれば、それはそれで十分代替になると思うのです。したがいまして、取引関係強化という説明については、政策保有株式でなければならない説明にはならないのではないかなと思いました。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

では、田中メンバー。

【田中メンバー】

メガバンクに所属しておりますが、今回は個人の資格で出させていただいていますので、銀行界の意見を代表して言う立場にはございません。その前提でお聞きいただきたいと思います。

この政策投資株式の問題というのは、金融機関に固有の問題と、それから産業界の問題と、ちょっと切り分けて考える必要があるのではないかと思っています。先ほど事務局からのレポートには、金融モニタリングレポートとか「日本再興戦略」からの抜粋が掲載されておりますが、同時に、9月に発表されました金融行政方針の中にも書かれておりまして、こちらのほうでは「株価変動リスクの縮減が必要である」ということが明確に書かれており、「政策保有株式の縮減に向けた取組みが着実に進展するよう、金融機関との深度ある対話を行っていく。併せて、3メガバンクグループによる政策保有先に対する取組みが、優越的地位によるものとなっていないか、企業ヒアリングを通じて確認していく」という文面がございます。したがいまして、我々の受け取り方としては、金融行政として、もう既に政策投資株式縮減を求める姿勢が非常に明確になっていると思っております。

そこで、いろいろな文献が出ているわけなんですが、今回、投資家フォーラムさんのご説明がありましたけれども、私もこれを随分読ませていただきまして、これは非常によくできていて、ぐうの音も出ないというぐらい、投資家の意見がうまく整理されていると思います。

一方、これは投資家フォーラムさんもリファーしておられますけれども、日本取締役協会が2010年に「銀行の政策投資株式について」というレポートを書いておられまして、ここでは銀行の政策投資株保有の歴史を整理されておられます。先ほど川北先生のほうからもいろいろお話がありましたけれども、この論文によると、バブル経済が崩壊する前、1988年〜89年、このころには、実は金融機関が市場全体の4割〜5割の株を持っていたとあります。非常に大きなシェアを持っていました。それから、1990年〜2000年初頭、この間にはバブルの崩壊、それから金融危機、時価会計の導入というのがありまして、それから2008年にはリーマンショック、それから国際会計基準の導入、こういうことがありまして政策投資株の売却の動きを加速したわけです。

先ほどご説明がありましたけれども、不良債権処理や、それからバランスシートの健全性回復とか、それに加えまして金融再編が頻繁に起きたものですから、5%条項にひっかかるということで、その5%を超える部分を売却するということも1つの大きな理由であったと記憶しています。それから、時価会計の導入も、収益が大幅にぶれると、あまりぶれ過ぎるというのも非常に大きな問題になりますので、これも1つの動機になったということは間違いないと思います。

これが金融行政方針に示されていますプロシクリカリティの回避ということにつながってきているわけですけれども、結局、1990年〜2000年初頭、これはバブル崩壊直後の日本の金融危機、それから2008年のリーマンショックと呼ばれる世界の金融危機、この時期に金融機関にとって自己資本の保全が最優先の経営課題になりましたから、その結果貸し渋り批判等に繋がったわけです。産業界にはその時代の記憶があり、今回いろいろご議論がほかの場所でされていますけれども、日本の大企業が巨額のキャッシュを保有している、内部留保をためているというのは、そのころに金融機関がしっかりした流動性の保管というか、それができなかったということを1つの理由として言われることがよくございます。

したがいまして、ある意味では、企業が攻めの経営が安心してできるように、とこのモニタリングレポートが言われますように、金融機関が「困難な時期における企業の経営支援ニーズの高まりにも十分対応できる」という信頼を回復する責任を負っているのではないかと思いますが、この点は、率直に申し上げて、今も申し上げた2つの大きな金融危機を経験してきた世代であります現在の3メガの経営者というのは、十分に認識していると私は思っています。

それから、国際金融規制の世界では、この点は非常に厳しくなっていまして、例えばバーゼルの規制では、株式の保有のリスクウエートは400%という形になっていますから、これは、資本の負担が非常に大幅に強化されています。こういうことから、3メガとも政策投資株式削減を明言しているわけです。ただ、先ほどご説明がありましたように、例えばMUFGの場合には、5年かけて28.5%減らしますと、いわば7割はまだ残ります、5年後に。それから、みずほさんの場合には、3年半後までに27.5%減らしますと、やはり7割強、この時点で残りますと。三井住友さんの場合は、1.8兆から5,000億減らす、つまり27.8%、5年後までに減らしますと、今回こういう発表をしているわけです。つまり、現在の簿価から約3割の削減を3年から5年かけて実施するということで、先ほど川北先生もおっしゃっていましたけれども、5年待てるのかという話がありますが、この点は1つのテーマなのかもしれません。

私自身、ここ3年余りMUFGで投資家の対応をずっとやってきました。半年に1回、世界中を回るわけですけれども、国内投資家とも随分議論してまいりましたが、特に海外の投資家の政策投資株の削減に関する期待とか要請は、ここに来て非常に強烈なものになってきております。この5月の決算発表後のIRでは、政策投資株の削減がいわば中心的議題といいますか、座った瞬間、政策投資株をどうするのだと言われるぐらいの大きなテーマになっていたことは間違いないと思います。それから、中間決算が発表されましたので、ちょうど今IR活動が始まっていると思いますけれども、同様の状況であると伺っています。

私自身、投資家との対話をしておりましたときには、例えば、そもそも自分たちは金融機関に株式を持ってもらうために金融機関の株主になっているわけではないのだとか、株式に含み益があるうちに売却して、自社株消却等の株主還元のための資源に充てるべきだという意見も非常にたくさんありました。

それから、株式保有がROEをゆがめるのだという意見も随分あります。これは、株価がいいときは含み益が多くなりますから、Eが大きくなるわけです。ということはROEは小さくなる。ところが、東証さんの基準によると、これは含み益を含めた形でEを計算しなければいけないとなりますから、株価がいいときにはROEが小さくなるという形になります。こういう意見を持ち帰りまして社内で話をしますと、特に法人取引を担当する者からは、政策投資株の売却は取引の他行移転・縮小につながるという非常に強い意見が常に出てまいります。それから、取引先との関係も非常に悪化するということが、非常に強い意見としてございます。私自身も営業をやっていましたから、何度も売却交渉をやってきましたけれども、これほどつらい交渉はほかにないというぐらい厳しいものでございまして、これを少し考えてみますと、メインバンク制度というのが背景にあります。メインバンク制度には三種の神器と言われるものがありまして、1つは貸し出しシェアがトップであるということ、2つ目は役員の派遣、3つ目がこの政策投資株で、これは言ってみれば、取引先との関係の「へその緒」みたいなものだというところがあります。先ほど政策投資株について議決権を行使するというお話が1つありましたが、私のように実際にやってきた者からすると、それは非常に遠い話だという印象を持ちます。

実際にお客様とこの話をするときには、そもそも部長ではできないんです。トップ対トップでないと、話が持ち出せないぐらいのレベルの話になります。

それから、例えばある企業では、ビジネスのシェア、例えば手数料やデリバティブ、その他のシェアというのを政策投資株の保有率で決めるというぐらいの企業も実際にはあります。今回、3つの金融グループが発表した方針は、金融行政方針のもとで、言ってみれば、お客様と投資家との狭間で最善のものをつくり上げた、私には苦肉の策に見えます。これはある意味ではもう限界値まで一生懸命やったのだろうという気がいたします。

苦肉がどこにあらわれているかといいますと、先ほど言いました削減幅、それから削減のスピード、ここにあらわれていると思いますし、今後の投資家との対話のポイントというのは、この計画の点では、今申しましたが、削減の規模とスピードというものに焦点が当たるのだろうと思います。それから、これから半年ごとに投資家と話をするときには、毎期どれだけ実際に削減されたかということがフォローされていくだろうと思います。こういう5年間の計画というのは、必ずしも5年間毎年20%ずつやるということではなく、初年度は5%、次に7%、最後に50%という計画だってあるわけで、そういう意味で投資家のほうはその辺を非常に厳しく突いてくるのではないかと、私自身が話をしてきた経験からすると、思います。

今回、そういう意味で、この3メガが出しました方針は、できる範囲ではかなり踏み込んでいると思いますけれども、まだこれを実際に実現させるということにはハードルが高く、おそらく各行の現場の皆さんは非常に悩んでいるところだと思います。この削減計画を実現させるためには何といっても株の発行体側の協力がなければ絶対できないと思います。この点については、まず産業界自身に、「金融機関が政策投資株式を保有することは、景気の後退局面において、先ほど来お話にありますように、プロシクリカリティの問題が発生して、貸し渋りその他の問題が発生し、最終的には自らにその負の側面が降りかかるおそれがある」ということをよくご理解いただくことが非常に大事ではないかと思います。

先ほども話がありましたが、ドイツで行われたような政策パッケージの提示というのも1つの方法かもしれません。ただ、私自身はこの6月までこの問題をMUFGの中で随分やってまいりましたが、この原則1−4を見たときに、どうも片手落ちの感じがしてしようがありませんでした。それは、これは保有者側のみコードの対象としているからです。保有されている側、または保有させている側に関するコードはないんです、条文には。したがいまして、例えば原則1−4−2のようなものをつくって、「上場会社の発行する株式について、ほかの上場会社がいわゆる政策保有株式として保有している場合、このときにはどうするか」といった項目が出てきてもいいのではないかという気がしておりました。そして、なぜそのように政策投資株として保有してもらっているのかという狙いなどを開示対象にするというぐらいコインの両面からやらないと、これは片方だけではなかなか進んでいかないだろうという気がしております。

最後に2、3補足しますと、先ほど経済効率性の説明の話がありました。これは全くおっしゃるとおりで、総合採算とか総合的判断、これは説明にならないんです。例えば、ROE3%しかないという会社で、キャピタルコストが8%。その5%の部分をどうやって埋めているのかというと、総合採算という言い方を我々はするのですけれども、その場合にはその5%を埋める商売をもらっているということになりますし、そういう意味では、そこまで踏み込まないと、本質的に経済合理性の説明というのはなかなかできないだろうという議論は確かにした覚えがございます。

それから、先ほど利益相反のお話がございましたが、貸付金利の話をされておられました。実に日本の貸出市場の金利は非常に低いということが海外の投資家からよく言われまして、そのことがそもそも日本における貸出シンジケーションマーケットになかなか海外の投資家が入ってこられない1つの原因だと言われています。したがって、そうしたことも含めて、全体像として考える必要があるのではないかということがあります。

最後に1つ申しますが、そもそも政策投資株式を売るとして、誰が買うのかという問題がどうしてもここにはあります。かつては、皆さんご承知のように、銀行等保有株式取得機構とか日銀が買うとか、いろいろな手法をやったわけですが、この問題を考えるに当たりましては、その受け皿ということも含めて、全体として考えていく必要があるのではなかろうかという気がいたします。

以上でございます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、まず岩間メンバーから。

【岩間メンバー】

ただいまのお話を身につまされる思いで伺っておりました。実は私もかつて保険会社でそちらのほうを担当する役員をしておりまして、営業との間で非常に呻吟した思いがございます。

ただ、私の感想として申し上げますと、やはりこれは漸減して妥当なレベルに持っていく必然があるのではないかという具合に実は思っております。保険会社も、いわばソルベンシーマージンの問題とか、その他もろもろ、資本コストの問題で、株の保有ということについての経営上の安定性を考えなければいけないということがあるわけですし、特にバブルの絶頂期のころの含み益というのは膨大なものがございまして、私はその担当になって、毎日毎日それが消え去っていくのをずっと眺めて終わったという苦い思いがございます。やはり何とか経営上のリスクマネジメントとしても、これは正当な手当てを考えなければいけないということであろうかと思っております。

それで、私は今、機関投資家というか、投資顧問の業界におりますので、その立場からちょっとお話を申し上げますと、私どもはスチュワードシップ・コードが先行したわけでございまして、スチュワードシップ・コードを運用機関としてしっかり遵守して活動を展開するという責めを負っていたわけでございますが、当時は、今の持ち合いの問題あるいは政策投資に対する、言ってみれば株保有の経済合理性をどうやってちゃんと発行体会社に担保してもらうかという活動については、我々の業界だけで動くのは力不足だと実は思っておりました。そういう意味で、コーポレートガバナンス・コードの中にこれがはっきりと示されてスタートしたということは画期的であろうと。もちろん、前々からこの問題はテイクアップされていて、いろいろな角度で、どうしていったらいいかということが国民的な議論になっていたというのは間違いございませんが、それが形として極めてクリアに宣言されたということに大変大きな意味があるという具合に思っております。先ほどお話がありましたように、海外の投資家のこれに対する関心というのは日々高まっているというのが実態で、これがほんとうにワークするのかということを、cautiously watchingというか、そういう感じで見ているというのが、私自身が時々、海外の人と意見交流をする際に、ひしひしと感じているところでございます。

それで、先程、松ア様からいろいろ貴重なお話を伺ったのでございますが、松ア様の今後の対応の中に、中長期的運用投資家との対話のお話がございました。そのときに特に海外投資家との対話だというコメントがございました。実は、我々は主に国内の機関投資家の団体ということなのでございますが、我々のメンバーカンパニーに、そういうことをちゃんとやってほしいということを積極的に働きかけしているのでございますが、特にスチュワードシップ・コードが発効して以来、国内の機関投資家の対応に変化の兆しをお感じになっているかどうか、あるいは国内の機関投資家にどういうことをご期待になられるかということについて、ちょっとご質問させていただきたいと思う次第です。

【コニカミノルタ株式会社 松ア取締役会議長】

ありがとうございます。

では、よろしいですか。

【池尾座長】

はい、お願いします。

【コニカミノルタ株式会社 松ア取締役会議長】

実は、今日は所用があって途中でお帰りになった大堀さんも参加された、コーポレートガバナンス・コードをテーマにしたスモールミーティングというのを日本の機関投資家さんと、10月ですか、やっております。これは投資家さんからの申し入れでしたので、そういう意味ではこの日本の機関投資家さんも積極的に対話の機会をつくろうとされているのかなと思っております。

【岩間メンバー】

ありがとうございます。そういうことをこれからも我々は奨励していきたいと思いますので、よろしくお受けとめいただければと思います。

【池尾座長】

それでは、川村メンバー、お願いします。

【川村メンバー】

今日の議論にあったとおり、金融機関も事業会社も、なるべく早い段階で持ち合いを、あるいは政策保有株式の解消を図っていくということに関しては、私たちもほんとうに賛成で、そうすべきだと思うのですが、途中にちょっとお話がありました受け皿の件です。金融機関が手放した株が誰の手に渡るのかというところです。そこに関して、我々事業会社としてはいろいろ対策が要るなと思っているのが一つありますのは、おそらくNISA等々を通して個人株主に渡るか、あるいは外国人株主に渡る可能性が高いであろうと。したがって、今までも中長期的な企業価値の向上というところに関して、随分短期的志向の株主以外の株主を増やそうとしている。そのような動きを今までいろいろ苦労してやってきたわけですけれども、主として企業努力による分野ですけれども、そこのところに関してさらに一層努力する必要があるなというのが、追加の感想です。ここはなかなか難しくなるかなと。中長期的な株主だけを企業側から選択的に選ぶようなことは勿論不可能ですので、中長期的な企業価値向上、経済価値向上というところの対策を中で考えていくというのは、我々のほうの大きな宿題だなと思っております。

【池尾座長】

では、キャロンさん、お願いします。

【キャロンメンバー】

ありがとうございます。4点ございます。

第1点目としては、いわゆる政策保有株における企業側にとっての弊害、機会損失の話です。私は投資家でもありますが、8年ほど日本の上場企業の会長も兼務として務めております。日本の政策保有株については、一投資家というよりは一経営者として、解消すべきであると実は思っています。と申しますのは、今までは、例えば市況性の問題でエクイティの空洞化などの問題も示されましたが、それだけではなくて、政策保有株は企業の本来ある本業に使わないお金なのです。事業を行う上では、運転資金や成長投資が必要であり、日本の再興戦略に何らかの形で貢献、寄与したいと経営者であれば誰もが考えている事だと思いますが、であれば、政策保有株を本業への資金として利用しないのは大きな機会損失です。日本での長い企業経営の歴史の中の位置づけは理解しており、遺産や財産という捉え方もあるかもしれませんが、もしかしてむしろ負の遺産かもしれません。

先ほど川北先生からご紹介があったのですけれども、政策保有株はレガシーであるのです。なので、企業の将来の持続的成長を考えた時に、今、本当に上場企業として必要なのか、次の成長投資としての有効な資金利用の方法は他にないのか、もう一度考えていただきたいと思います。政策保有株については、例えば関係構築とか関係強化のための保有が中心かと思いますが、お客様や取引先様のために他社に負けない有益な製品・サービスの提供が重要なので、本当に政策保有株が必要なのか、もしかしたらそれは担当者の言い訳に過ぎないかもしれない。日本企業の多くはグローバル競争を行っている中で、今後もグローバルで戦える真に強い製品・サービスを磨きあげていかなければならないと思います。日本は、お付き合いの社会ではあると分かっていますが、やはり企業活動は政策保有に依存するようなものでもないと思っております。

2点目ですが、先ほど正に三瓶様よりお示しいただきましたが、保有させられた側を守らないといけないと思います。言ってみれば、株式版の下請法のようなものが必要ではないのかと思っています。他社さんの株式を持ちたくないのに、力関係があって、無理矢理に持たされているということです。これは運用会社のほうの話ですけれども、例えば先日、私どもの投資先企業とお話しをさせていただいた際に政策保有株のお話を伺ったのですが、最近、銀行の持ち合い解消の影響で、ある事業会社から取引条件として保有の受け皿となることを要求されたとおっしゃるのです。それはそもそもあるべきではございません。力関係の濫用、パワハラの一種という捉え方もできますので、1つの課題としては、持ちたくない企業をどのように守るのかではないかと思います。

3点目は、小口さんもおっしゃっておられた政策保有株の議決権行使についてです。政策保有株の最大の問題は議決権が付いている事です。株主はその企業の本業の価値に投資をしているのであって、政策保有株に投資をしているのではありません。しかし企業が政策保有株を保有しているのであれば、その議決権行使には合理性のある議決権行使の方針と、透明性の高い議決権行使結果の開示を株主に行う責任が生じると思います。おそらく取引所の規則で定める必要があるのではないかと思いますが、上場会社が議決権行使結果の開示をすることは、かなり大きな進展、前進になるのではないかと思います。持っている方も持たされている方も、プロの経営者としてより高い理念の下、企業価値を高め、日本経済に貢献するための企業経営を実行する、それこそ日本らしいと思いますので、ぜひお願いできればと思います。

最後ですけれども、政策保有株にも上限を決めるというのも考えうる施策かと思います。私は伊藤レポートのメンバーでもあったのですが、ROE向上策においてはその目指すべきROEの水準について議論になりました。その際の企業側の方からのご意見は、企業としてはある程度の数値目標があったほうがやり易いというものでした。なので、1つの提言としては、政策保有は例えば、原則として株主資本の10%まで、1割以内に収める。それを超えている企業は、そこまで徐々に削減していく。政策保有株の議論はいつも平行線で、「持ち合いはけしからん、けしからん」と、「いやいや、ビジネス上必要だ」という議論に終始しますので、やはり歩み寄るやり方としては、数値目標を入れて、それを達成する企業を褒めて差し上げる仕組みがあればいいのではないかと思っております。

すみません、長くなりましたが、以上でございます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

上田さん。

【上田メンバー】

ありがとうございます。政策保有株式というのが本日のテーマで、コードでは政策保有株式“Cross-Shareholdings”と記述されていますが、コードがめざす企業と機関投資家の実効的な対話の観点からは、先ほど三瓶様もおっしゃっておられましたが、安定株主の問題も大きいと思います。ただ、コードでは政策保有株式を持つ側についての記述だけで、持たれている側についての記述はなく、後から出てきた課題というか、策定時点では後回しになっていたことなのかなと思います。

あわせて、海外からは、先ほどIRでは最初にこれがテーマになるというお話もございましたが、確かに政策保有株式は日本特有の話題として言われています。ただ、いつも海外の話をして恐縮ですが、海外でも同様の問題はあります。アメリカ、イギリスというのは、市場の90%以上の株式が流動化しているといわれますが、欧州は日本と同じ程度の流動性のようです。ただ、そうはいっても、一定の大きな支配株主ではなく、安定株主という薄く広く持ち合っている構造というのは日本特有でございます。支配株主がいる場合は、これは解消なり、少数株主保護なり問題点は明確になりやすいのですけれども、少しずつみんなで持ち合ったり、お互いにグループ内で持ち合ったりとなっていると、解消に大変時間がかかるということで、ここは少し力を入れて解消させる必要があるのかなと思います。

日本とよく似た海外の例としては、例えばフランスがあります。1980年代に、ミッテラン政権で大企業の国有化が進められましたが、その後左派政権が誕生すると、その反動として民営化を進めました。その際に、会社はどんな投資家が入ってくるかわからないので持ち合いをしたというのが、30年ぐらい前にあったわけです。それが現在ではなくなっている。

会社というのは、どういう投資家が入ってくるかわからないというのは大きな懸念としてあるわけで、過去の上場直後にアクティビストにつけ入られた会社の事例などを見ていると、重大な経営の局面において、経営のリソースのほとんどが投資家対策とかアクティビスト対策に行ってしまう。これは投資家にとっては不幸なことです。こういう会社の苦労というか、心配を排除しつつ、グローバルな金融自由化という中で、残念ながらこの安定株主の存在というか、持ち合いと言われているものについては、もう時代が終わっていますので、ここをどうバランスをとるかということかと思います。

この問題に関係する立場として、企業、そして一般の機関投資家、政府・行政などがあると思います。第一に、企業にお取り込みしていただきたいと思うのが、安定株主についての透明性の向上です。先ほど三瓶さんが私の調査の結果をご報告いただきましたが、大体日本の上場会社の40%弱の株主というのは安定株主であろうといった推測の結果が出たわけです。これに対して機関投資家の比率というのは25%ぐらいである。となると、どんなに25%の機関投資家が頑張られたとしても、しかも、日本版スチュワードシップ・コードには集団的エンゲージメントの規定が入っていませんので、原則、各投資家が頑張っても、40%の岩盤に打ち勝つにはどうしても効果が薄いということです。

さらに、パッシブ運用をしている場合には典型ですが、全体の岩盤が薄くならない限り、いくら対話を促しても、効果が得られづらい。さらに言うと、今後このコードの結果、持ち合い解消が進んだとしても、どの程度が持ち合い解消として市場にインパクトを与えるのかというのが現状把握できない。そのため、ぜひ安定株主と言われている存在、これを推測するのはいろいろ定義づけはあると思うのですが、これが捕捉できるような形にして、まずそこから議論してほしいということです。そうすれば安定株主のなかでも、戦略的に必要なもの、必要でないものといった分類ができるのではないかと思うのです。このように、まずは企業に対する、ぜひ安定株主の透明性を高めてほしいということが1つです。

2つ目は、メインストリームの機関投資家の皆様への期待でございます。日本企業は、どうしてもアクティビストにつけ入られるという経験が比較的最近のことですので、懸念があるわけです。また、先ほど来、持ち合い解消の受け皿はどうするのかというお話がございました。その際に、アメリカなどを見ていますと、公的年金や長期投資家のようなメインストリームの機関投資家が企業側に味方をすることで、要は短期の撹乱要因である投資家を排除するという事例も出てきているわけです。したがって、ぜひアクティビストを排除するために、アクティブシェアホルダーであるメインストリームの長期の機関投資家が、ぜひ企業との対話の相手として、その存在感を高めていただければと思っています。これはいずれこのフォローアップ会議のテーマになるところかと思います。

最後に、これは、例えば政府・行政の皆様のご指導力に期待するところなのですが。まず1つ目は、政策保有株式を売却したい会社、解消したいと思われている会社に、ぜひ「もう解消していい時期に来ているのだ」と後押しするような広報活動というか、ムーブメント、あるいは雰囲気を変えるというか、そういう雰囲気や環境づくりをしていただければと思います。つまり、持ち合いを解消しようとする会社に対して、「持ち合いを解消すれば取引関係がなくなるけれども、いいですか」というような暗黙の圧力を、それは悪いことであるといった雰囲気になれば、ほんとうに必要な売却というものは進むのではないか。そして、合理性のあるものだけが残るのかなと思います。

また、海外の例などでもあるように、例えばドイツのキャピタルゲインの非課税、軽減税率といったものもセットで施策として入れれば、より売りやすい環境になるのかと。マーケット全体で解消を進めるのが目標であるとすれば、そういった政策パッケージのようなものもご検討されてもいいのではないかなと思います。

会社、投資家、あとは公的な皆様への期待というところを申し述べさせていただきました。ありがとうございました。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

ほとんど時間がなくなってきているのですが、まだご発言されたい方がおられますので、していただいていない方もおられますので、では、江良さん、最後にちょっと。

【江良メンバー】

では非常に簡単に。投資家フォーラムも含めて、いろいろな方々からもご意見があったとおり、基本的に持ち合い、政策保有株式については、少なくとも減少方向にというのが、もう合理性の観点からも投資家の期待という観点からも望ましいのだろうということを改めて強調したいということが1点目です。

ただ、特に企業サイドの方々からもご意見があったように、受け皿をどうするのか、あるいは新しい株主ベースをどうするのかというのは、ごもっともな論点かと思いまして、そのあたり、実は松ア様のプレゼンテーションというか、ご説明の中に、1つそういった観点から興味深い点があって、“当社がターゲットとする投資家との対話”ということに言及いただいていたのです。これは非常に企業サイドにとっても重要な発想なのではないかと思いまして、株式の政策保有を対応した後において、どういった形で自身の長期戦略を支えるような投資家にアピールしていくのか。あるいは、先ほど上田さんのほうからもありましたとおり、長期の戦略をきちんと遂行するにあたって、短期志向の投資家からきちんと守ってくれるような投資家にアプローチしていくのか。こういった点についてもう少し方向性が見えると、他の会社様にとっても非常に参考になるのではないかと思いまして、そのあたりを最後にお伺いできたらと思います。

【コニカミノルタ株式会社 松ア取締役会議長】

ありがとうございます。では、簡単にいいですか。

私が社長になってから、投資家を訪問するに当たって、これはビジネスでも、お客さんを定めないと、どういうサービスを提供したらいいか、どういう商品をつくったらいいかというのは定まらないんです。それと同じで、投資家さんと良好な関係をつくっていくためにも、ターゲットを定めるべきであるということを私のほうで言いまして、それ以降はリストをつくってもらって、重ねてきたのです。それを繰り返すことによってお互いの理解が深まるようになって、そういうタイプの投資家さんはどういうところに関心を持つのかということもこちらが理解するようになって、私が社長時代、その経験を通じて非常に勉強になりましたので、だから日本でもそういうサイクルが生まれるといいなと思っております。当然、川村さんがおっしゃったとおり、そうはいってもコントロールはできないのですけれども、毎回決算ごとにコンセンサスとのギャップで売り買いされる投資家さんもおられるので、そういうところはコントロールできないわけですけれども、ただ、どういう投資家さんにより理解を深めてもらいたいか、その努力は必要だと思っております。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、時間が尽きてしまいまして、まだまだ意見をお伺いしたいということもあるのですが、定刻を過ぎましたので、本日の討議はこれで終わらせていただきます。

本日議論いただきました内容につきましては、事務局において整理していただいて、それでまたそれを踏まえて次の議論をするという形にしていきたいと思います。

それでは最後に、事務局からご連絡等がございましたら、お願いします。

【田原企業開示課長】

本日はありがとうございました。

次回の日程につきましては、前回同様、皆様のご都合を踏まえましてまた決定させていただきますので、ご案内をお待ちいただければと思います。

以上でございます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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