スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(第8回)議事録

1.日時:

平成28年6月1日(水)10時00分〜12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

【池尾座長】

それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまからスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議、第8回になりますが、第8回会合を開催いたしたいと思います。

皆様には、ご多忙中のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、引き続き企業と機関投資家の間の建設的な対話についてご議論いただきたいと思いますが、前回のご議論におきまして、皆様から利益相反についての問題意識が多く出されましたので、本日は、特に利益相反を中心にご議論いただければというように考えております。

それで、このテーマに関しまして、フィデリティ投信株式会社ディレクターオブリサーチの三瓶裕喜様にお越しいただいております。それから、到着はちょっと後になるんですが、Asian Corporate Governance Association(ACGA)から議長のダグラス・ヘンク様と事務局長のジェイミー・アレン様をお招きしております。後刻到着されます。それで、ご案内の方も多いと思いますが、ACGAはアジアにおけるコーポレートガバナンスの促進を目的としており、100を超えるグローバルな運用機関や年金基金等からなる団体です。ヘンク様、アレン様がご到着になられましたら、お話を伺うという手はずになっております。

それで、まず、今日のテーマに関連しまして、金融庁よりご説明をお願いしたいと思います。

【田原企業開示課長】

それでは、お手元の資料1と資料2に沿いまして、これまでの議論につきまして整理したものと、それからそれを少しわかりやすくポンチ絵の形で整理させていただいたものについてご説明をさせていただければと思っております。

まず、資料1でございますけれども、本日は利益相反についてご議論いただくということで、これまでのフォローアップ会議におけます利益相反をめぐる意見をまとめさせていただいたものであります。また、パブリックコメントで寄せられたコメントにつきましてもご紹介させていただければと考えております。

まず、総論でございますけれども、1点目、利益相反一般ということで、機関投資家が、最終受益者のためにフィデューシャリー・デューティーをしっかり果たしていくことが必要である。また、フィデューシャリー・デューティーの概念は、インベストメントチェーン全体において重要な概念で、この観点を踏まえてインベストメントチェーンの中で、現実に生じる事象としての利益相反について議論する必要があるというご意見を頂戴しました。

外部からの意見募集でいただきましたコメントでは、機関投資家の利益相反の問題や、それがスチュワードシップ責任を果たす上でどのように影響するかということについて、より議論すべきだというご意見。それから、スチュワードシップ・コードを受入れた機関投資家がこれを真摯に実行しているか疑問を感じる。例えば、昨年、ある会社の種類株式発行が株主総会で承認されたことがあったが、スチュワードシップ責任を負った機関投資家株主の多くが賛成したことは理解できないといった意見が寄せられているところでございます。

こういった利益相反一般のご意見をご紹介した上で、まずもって運用機関をめぐる利益相反ということについて、2点目でまとめさせていただいております。運用機関のガバナンスがしっかりしていないケースがあるのではないか。特に、運用機関におきまして、親会社の金融機関との利益相反がある場合の対処方法について、明確な説明がないケースがある。

それから、この件につきましては、金融機関グループ内の機関投資家における利益相反というのは日本に限ったことではなく、英国でも同じ議論があるというご紹介がありました。こうした類型の利益相反は不可避でありますので、それを前提として、利益相反による影響を実質的に排除するためにどういった手続が必要かということを議論することが重要だというご意見でございます。

それから、インベストメントチェーン全体に対する不信感を取り除く上で、運用機関のガバナンスを強化すること、金融機関の子会社である場合に、独立性を向上させることが必要というご意見を頂戴しました。

また、運用機関にみずからの金融グループの販社サイドから運用経験のない社長を送り込むのではなく、バイサイドアナリスト経験やCIOの経験があり、フィデューシャリー・デューティーやスチュワードシップ精神をしっかりと理解している経営トップを選任することが極めて重要なのではないかということでございました。

この件に関しまして、パブリックコメントで寄せられたコメントといたしましては、日本の運用機関はほとんどが有力な銀行や生命保険会社の傘下にあり、親会社の利益は運用資産の委託者の利益と必ずしも一致していないのではないかというご意見。国内のアセットマネジャーの多くが金融機関の系列下にあり、利益相反管理が有効か疑問がある。親会社と運用機関の間の「チャイニーズ・ウォール」は現実には極めて脆弱である可能性があり、フォローアップ会議において、この点に注目してもよい。ステークホルダーの最善の利益のために運用機関が行動する責任が尊重されることは重要であるといったご意見を頂戴しております。

この件につきましては、後ほどもご紹介差し上げますが、ご指摘として、金融機関グループに限らず、例えば、企業年金の運用受託機関が当該年金の母体企業に対する議決権を行使する局面などにおいて、一般的に利益相反が生じるけれども、これについてどう考えるかということも考えていく必要があるのではないかと考えております。

それから、3点目でございますけれども、機関投資家と投資先企業との間に取引関係などがあるケースにつきましてもご指摘を頂戴しました。親会社の金融機関との利益相反のみならず、日本国内では信託銀行形態に典型的に見られますように、1つのエンティティ内に運用部門と法人事業部門の両方が併存しているという形の利益相反があるのではないかというご指摘。

それから、生保などにおきまして、法人取引等がある中、純粋に議決権行使をしにくい可能性もあるが、しがらみを絶ち、機関投資家として責任を果たしてほしい。

株式を発行している会社との利益相反が根底にある株主は、純粋に株主として最終受益者のために議決権行使を行うことは困難であり、例えば、生損保が、顧客に当たる発行会社に対する反対票を投じることができるかは疑問だというご意見を頂戴いたしました。

この点に関しましては、パブリックコメントでは、現在の生保・損保の開示内容が、議決権行使の結果等の開示がなくて不十分だというご意見を頂戴いたしております。

それから、4点目は企業年金につきまして、リソースの問題ですとか、母体企業との関係などもあるので簡単ではないと思いますが、今後は、公的年金のみならず、私的年金によるスチュワードシップ・コード受入れが期待されるということについてのご意見も頂戴いたしました。

最後の5点目でございますが、こういった利益相反にどういった対処をしていくべきかということで、3点ほどにこれまでいただいたご議論をまとめさせていただきました。

1つ目が、利益相反の懸念を払拭する上で、機関投資家は、利益相反管理についての明確な方針を策定・公表することが重要であり、対外的に納得性のある対応を示すことが求められる。

それから、2点目は、対処に対する考え方ということだと思いますが、利益相反の可能性があると見られる企業への議決権行使を独立した第三者にアウトソーシングするだけでは不十分ではないかという意見でございました。

それから、利益相反の懸念を払拭する上で有効な方法の一つとして、議決権行使結果の開示があると。生損保等は、具体的な議決権行使方針や、議決権行使結果の議案ごとの集計を公表している会社の割合が少ないんじゃないかというご意見を頂戴したところでございます。

以上、これまで本会議及び外部から寄せられましたコメントについてご説明を差し上げました。

資料2でございますけれども、ただいまご説明させていただいた資料1の内容のうち、特に大きな2点目のところですね、これをポンチ絵の形で整理をさせていただいたものであります。ケーススタディということで、議論の際の道具として用いていただければと思うわけですけれども、ある企業におきまして、例えば、買収防衛策を導入するという可否が株主総会の議案とされたときに、当該企業の議決権を行使する運用機関をめぐる利益相反が考えられるケースとして3つのパターン。これはよく指摘があるということで挙げさせていただいたものでございます。

ケースマル1でございますけれども、こちらは買収防衛策を企業が導入しようというときに、その取引先の証券会社に対しまして、子会社の運用機関が賛成の議決権行使をしてくれないかというような働きかけを行っているケースがあるのではないかということでございます。下のポンチ絵にありますように、企業の買収防衛策を導入するときに、右側、普段つき合いのある証券会社に、そこと親子関係にある運用会社で持たれている株式の議決権の行使ということについて、賛成してほしいという話でございます。

それから、ケースマル2のほうは、今度は同じパターンなわけですけれども、むしろここで言いますと、親会社に当たる証券会社さんが実際に買収防衛策に関与しているということで、ビジネス関係があることから、これが円滑に進むように、子会社である運用機関のほうに賛成の議決権行使をするように働きかけを行うというようなパターンがあるのではないかということでございます。

それから、3つ目のケースといたしましては、今度は企業のほうで実際に企業年金を運営されているケースが多いわけですけれども、こちらの企業年金のほうから、ふだん取引関係、運用を委託している運用機関のほうに、母体企業が買収防衛策を導入するということですので、賛成の議決権行使をするように働きかけを行うと、こういうようなこともよくあるんじゃないかというようなことが言われているということでございます。

以上、資料1と資料2についてご説明を差し上げました。どうもありございます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、フィデリティ投信の三瓶様よりプレゼンテーションをお願いしたいと思います。三瓶様からは資料3をご提出いただいております。

それでは、早速ですが、よろしくお願いします。

【フィデリティ投信株式会社 三瓶ディレクターオブリサーチ】

フィデリティ投信、三瓶です。よろしくお願いいたします。

資料3で、今ご説明のあった課題について、若干関連する部分について、海外で特にどのような対処がとられているのかということを簡単にご紹介したいと思います。

まず、スライドの3をおあけください。まず最初に、いわゆる投信のような投資ビークルについて、どんな対応がとられているかということです。ご承知のとおり、米国ではミューチュアルファンドと言われているものが一般的です。ただ、ミューチュアルファンドというのは、ある種の俗称なので、正式には、ここに書いてあるような、Open-end Investment Companyというのが形です。

そして、同様に欧州で大多数を占めているのが、SICAVというふうな表現をされています。これはフランス語なんですが、英訳すると、内容は、この括弧書きになっていますInvestment Company with Variable Capitalというものです。英国で最近どんどん増えてきているのが、OEICというふうに呼ばれているOpen-ended Investment Companyというものです。従来は、英国ではユニットトラストというものが一般的だったんですが、現在はOEICのほうへどんどん移管が進んでいます。これは欧州大陸のほうでSICAVというのがかなり一般的に広まっていることで、英国の投資家も、または英国の運用商品も同じたてつけで、わかりやすくするという意味でOEICの形に移行が進んでいます。

それぞれいわゆるガバナンスがどうなっているかというところですが、今、若干のご説明をした中で、どこの英語の説明、形態の名前にもカンパニーというのが入っていると思います。ので、これは日本語にすると、オープンエンド型の会社型投信というような感じになります。会社型になっているので、監督機能としては取締役会があります。アメリカのミューチュアルファンドに関しては、厳密に言えば、コーポレーションの形で組成しているものとトラストで組成しているものがあるので、言い方がボード・オブ・ディレクターズまたはボード・オブ・トラスティーズという言い方に分かれますが、内容は一緒です。欧州の先ほどのSICAVというものも取締役会、ボード・オブ・ディレクターズがある。英国のOEICは若干その形態が違います。

このボード・オブ・ディレクターズがある状態でどうやってガバナンスが効くかというと、これは会社のガバナンスと一緒で独立社外役員が入っています。米国のほうでは、これはSECのルールによって過半数ということになっています。ただ、実態的には過半数をはるかに超える状況になっていて、ここで1つの例として、フィデリティのマジェランファンドというミューチュアルファンドについて内容を確認しますと、独立社外の方が8名、運用機関側が2名というような構成です。

一方で、欧州の典型的なSICAVとして、こちらでは規制としては独立社外取締役1名以上というふうになっています。ただ、ここもファンドによってさまざまだと思いますが、1つの例として、弊社フィデリティで運用しているファンドについては、例えば独立社外の役員が6名、運用機関側が6名ということで半分になっています。

英国はちょっと違うんですけれども、その詳しい説明はスライドの4のほうにSICAVとOEICの違いということで説明があります。英国の場合はディポジタリーという、いわゆる受託者が監督するという形になっています。ここは従来のユニットトラストの歴史を踏まえてきているというふうには思いますが、そちらは完全に運用機関から独立して監督役に回っているということです。

さて、ここで今度はスライドの5で企業年金型の場合はどんなガバナンスの仕組み、可能性があるのかというご説明をしたいと思います。

まず1つに、精神的なよりどころとして、まず機関投資家、機関というのがつくということは、それなりの公的な責任を持つわけですけれども、その機関としての責任として受託者責任というのが1つあって、これの最終的なゴールとしては、いろいろなところに書いてありますが、中長期的なリターンの追求ということがあります。

もう一つ、機関として社会的責任というのが、これが非常に大きいと思います。これは、例えば市場参加者として関与しているのであれば市場機能、価格形成機能であるとか、市場の経済合理性を考えた機能を発揮すること、それとその他幅広い社会的な影響というものに対して責任を負っているということです。こういう考え方からして、例えば、例1、2、3とありますが、例1として、ブリティッシュ・テレコムはBTPSという別途フィデューシャリーを設けています。マークス&スペンサー、ユニリーバもそうですが、そして、それぞれは社会的責任について明確に自覚を持ち、それを公表する意味合いでUNPRIに署名をしています。ここについては、次のスライドでまた追加のご説明をします。

例2、ここはちょっと古い話ですけれども、かつてBGIというインデックス運用している会社がありました。その会社はバークレイズ銀行の傘下にありました。バークレイズ銀行は英国で上場している会社です。そのときに、先ほどのポンチ絵でいうとケースマル3になると思いますが、バークレイズ銀行がここでいう四角で囲ってある企業、そしてBGIはというのは運用機関という格好です。このときに、BGIが議決権行使をする方針としてバークレイズ銀行株を持っていたらどうするかということですが、このときには、みずからの判断ですることによって、正しくやったとしても、外から見たときには、その疑念というのは残るということで、バークレイズ銀行株の議決権行使だけはみずからの判断では行わないという方法をとっています。

3つ目の例、こちらは弊社のスチュワードシップ・コードに対応する原則についての説明なんですが、弊社の場合は非上場であり、総合金融機関ではないので、アセットマネジメント専業なので、先ほどのバークレイズ、BGIのようなケースは考えにくいんですが、万が一何らかの利益相反が発生する場合には、当該議決権行使についてだけは自分たちでやらない。第三者の推奨に委ねるという方法をとる。もしくは、それでも非常に難しい場合には棄権するということで、利益相反が誰の目から見ても起こっていないという対応をするようにルールづけています。

先ほどの例1の3つの会社について、どんな記載があるのか、スライドの6以降で若干ご紹介したいと思います。スライドの6は、これはBTPS、ブリティッシュ・テレコムの年金基金です。ここで、英語の原文のままで申しわけないんですが、ボーティングのポリシーとか、コンフリクトのコントロールについて書いてあります。まず、BTPSの場合は、ハーミーズのEOSというところに外部委託しています。先ほどの金融庁の説明でも最後のほうにあったんですが、独立した第三者にアウトソーシングするだけで不十分というコメントがありますが、ハーミーズのEOSというのは、議決権行使の助言だけをする会社ではないです。エンゲージメントも請け負っています。そこが随分違うところだと思います。どのようにやっているかということは、たまたま今朝の日経の7面にフォルクスワーゲンの関連の記事がありますが、そこでハーミーズがどういう役割を担っているか若干記載がありますので、具体的にイメージが湧くのではないかと思います。

そして、7ページ、マークス&スペンサー、こちらも同様に第三者へ外部委託しています。たまたまなんですけれども、こちらもハーミーズのEOSというところを採用しています。3つ目のユニリーバも、こちらもたまたまなんですけれども、同じです。英国の会社で、特にこういった大手の上場企業でありますと、ハーミーズの知名度が非常に高いので、そういうことになってしまうので、私が恣意的に選んだわけではありません。

それと、これもご参考ですが、先ほどの投信、冒頭にお話しした投信についてのガバナンスですが、その規範となるものは、これは原則主義で、コード・オブ・コンダクトというものがあります。こちらはスライドの9ページ以降ですが、スライド9ページのプリンシプルズの1の1行目を見ていただくと、コーポレートガバナンスと同じ形態でガバナンスするというふうに書いてあります。これは会社型投信ですから明らかなわけです。そうすると、この後に書いてあるプリンシプルズもほとんどいわゆるコーポレートガバナンスと同様です。

そして、11ページをあけていただくと、赤いマークをしているところですが、ここに、ボードには、取締役会には独立役員が1人以上必要だということが書かれています。これ以上詳しくはご説明申し上げませんが、要するに海外でどんな体制がとられているかというと、まず、コーポレートガバナンスと一緒なんですけれども、監督と執行の分離を明確にするということ。これを明確にするということは、監督側には社外の独立した人間が多数入ってくるということ。それによって利益相反を回避して、説明責任を果たすということになります。

先ほど英国のOEICの話をしましたけれども、コーポレートガバナンスの考え方がいろいろな組織に応用できるということで、組織の形態として会社型にどんどん進んでいるということです。ですから、例えば先ほどご紹介したフィデリティのマジェランファンド、フィデリティのフィデリティファンズという英国のものも、社外の方がどんなバックグラウンドかというふうに見ると、いわゆる上場企業の社外取締役と同じようなバックグラウンドの方々です。いわゆる上場企業の経営者の方々または学識経験者の方、そういった方々です。ですから、どういう視点でガバナンスするかというのは、全く上場企業と同じです。

以上、ご紹介させていただきました。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

そういたしましたら、次に、ACGAのヘンク様、アレン様がご到着されておりますので、プレゼンテーションをお願いしたいと思います。ヘンク様からは資料4をご提出していただいております。

なお、ご説明は英語で行われますので、同時通訳がございます。受信機は皆様のお手元に配付してあると思いますが、日本語はチャンネル1になりますので、ご利用ください。

それでは、Please go ahead。

【ACGA ヘンク議長】

議長、ありがとうございます。皆様、おはようございます。私は英語しか話せませんので、英語でのプレゼンテーションとなりますことをお詫び申し上げます。

2ページ目にアジェンダが書かれております。私の本日の役割は導入部分のみです。私からは簡単に歴史のお話をし、そしてその後、アレンからお尋ねの点に関する詳細なお話をさせていただきます。2ページ目にアジェンダがあります。3ページ目はコーポレートガバナンスの中核原則ということで、これは我々ACGAが全ての作業において導入しようとしているものです。この点をお話すると、様々な定義や質疑があります。コーポレートガバナンスの定義が何なのか、様々な定義がありまして、多数の組織が、異なった定義を使用しております。我々は、中核的な原則を立てて、そして、それに基づいて判断しております。また、必要に応じて、ガイダンスを出しております。

1番は透明性であります。企業経営のバランスに関して、そして透明性に関して、どのようにバランスを取るのかという疑問があります。最近では、全ての産業界においてデジタルの革命が起こっておりますが、透明性が我々の日々の生活においてより重要になってきており、どうやってバランスをとるかという問題が発生しています。

2番目は、説明責任であります。企業の経営者は、株主に対して受託者責任を負っており、全ての利害関係者は、この問題に関連しています。その意味でどうやって透明性を図りながら説明責任を果たすことができるかということであります。

平等な取扱いであります。これは私の好きなテーマであります。コーポレートガバナンスを一番簡単に説明するとどういうことかと尋ねられた場合、少数株主を含む全ての株主を平等に扱うことだと答えております。少数株主というのは家族であったり、少数株主によって会社が支配されている場合があります。少数株主が不利益に取り扱われてしまった場合、勝者、敗者ということになってしまいます。ですので、私の定義によりますと、これはコーポレートガバナンス原則違反であります。

戦略的な役割における取締役会の独立性に関して、私の見解では、全ての株主は平等に扱われなければいけません。適切な会計処理、監査委員会、これらは独立取締役に関する多数の問題に関連しています。

最後に、倫理と誠実性であります。これは、全ての株主に関するスチュワードであることを思い起こさなければなりません。

次に、4頁に関して、ACGAの歴史であります。ACGAは1999年に創設されました、共同設立者の一人はアレンと私であります。投資の世界におきましては、1997年にアジア通貨・金融危機があったことをご存じだと思います。このことがコーポレートガバナンスの欠如によって起こったという認識であります。

そして、当時の地域に目を向けると、11カ国が我々の組織を設立しまして、その中でも2つか3つの例において、ルール、独立取締役、適切な監査に関するルール、コーポレートガバナンスに関するルール等が分ります。1999年に振り返ると、コーポレートガバナンスの観点が欠如していたわけです。しかし、2016年現在、多数の進展があり、特に日本においてスチュワードシップ・コードが策定されるなど顕著な進展がありました。しかし、地域全体を見ると、我々の組織における目的というのは、コーポレートガバナンスの原則を発展させることです。ある意味では、質を更に高めるということに関して、これは終わりのない戦いであります。米国、英国のような私のホームタウンにおける近年の問題を話すことができ、とても嬉しく思っております。ということで、この旅路は、進捗はあったものの、これから長い旅路になると思われます。

我々は独立した組織であります。NPO法人であります。111のメンバー組織からなっております。2000年には5のメンバーでしたが、急激に数が増えております。投資総額にしますと世界中で24兆ドルあります。そのメンバーの調査をしますと、非常に強力な金融の活力となっているということがわかると思います。

5ページ目ですけれども、コーポレートガバナンスに関してよく出てくる質問というのは、どうやって進捗を図るかということであります。1つ私の観察した点でありますけれども、これはただ単に独立取締役や監視委員会をチェックするというような項目だけをカバーするのでは十分ではないということであります。確かによくあるパターンとしまして、企業側のほうでいろいろなコンプライアンスを、形式だけでコンプライアンスを果たすということがあります。しかし、実質的なコンプライアンスになっていないことがあります。

成長があったと思います。有機的な成長であったとも言えます。例えば2005年には、一定の女性取締役を選任する又は独立取締役を設けることというようなルールが定められたとすると、これはただ単に隣の人や関連しない親族、時には友達のように、女性を雇いさえすれば良いということでした。しかし、時が流れ世代が変わってきまして、企業のほうでも独立取締役というと、真に価値をもたらすような人を雇うようになってきました。

形式主義、これは必ずしも悪いことではありません。しかし、そうではなく、その内容を充実させるということが重要です。それが正しい道でありまして、そして、時間はかかりますが、そういった意味で進捗はあったと思います。形式主義ということでは、5ページ目にありますようによくありますのが、様々な地域において、コンプライオアエクスプレインを含むコーポレートガバナンス・コードは導入されましたが、これは現在の問題であり、その後スチュワードシップ・コードの導入が必要となります。興味深いことに、日本は逆の場合であります。スチュワードシップ・コードが先に導入されており、賞賛すべきことと考えております、この地域で初めてでありますので。しかし、コーポレートガバナンス・コードということになりますと、言い方は難しいですが、日本よりも進んでいる国が幾つかあります。日本はスチュワードシップ・コードを先に導入していましたが、2つのコードが一緒になったときに、どのようにこれらをコンプライするのか、さらに前進させるのかといった過程がとても重要です。既に述べたように、ともすれば項目にただチェックを付けるだけになるおそれがありますが、そうならないように注意すべきですし、それでいいという考えはすぐに止めるべきです。ただし、私の見方では、こうした取組みは、それをやれば終わりというのではなく、やらないよりはいい、というものに過ぎません。

6頁目、これが私の最後のスライドになりますけれども、それでは全体的なアプローチでどういうものを我々は見ていかなければならないのかということです。取締役もマネジメントチームもいろいろな方向から見ていかなければならないということです。より透明性を高めなければならないという話もしました。それから、アカウンタビリティー、説明責任も持たなければならないということをお話しいたしました。これからどこに正当性の目標を定めていくかというのは、これはバランスをとっていくということは非常に大変なことであり、チャレンジングなことです。

私の経歴書をご覧になればお分かりかと思いますが、アジアにおきましてもいろいろな地域において、取締役のメンバーになったこともあります。毎日日常的な問題にかかわるということはなかなかできないわけで、もちろんそれができれば、それにこしたことはないわけですけれども、バランスをどうやって図るかということです。例えば収益に関して、四半期ごとの報告が来たときに、私としてはそれにどのようにかかわるのか、取締役会のほうで、どこで我々が全ての株主を平等に扱うことができるか、この責任を果たすことができるかということをよく話をいたしました。フェアであるこということをベースにしなければならないということです。

機関投資家の役割は大きいものです。一人のステークホルダーとして、ガバナンスの進展において重要な役割を果たしてきたものであります。アジアではトップダウンの方式でなされることが多く、業界におきましては、投資家のほうからボトムアップの形で企業のほうに対話がなされるということがあまりないというふうに思われます。避けられないことといたしまして、株主は適切なコーポレートガバナンスを要求してくるでありましょう。それは当然のことであります。投資家のお金を運用する者としては、最終的に同じ立場にあるわけです。年金基金であれば、最終的には、年金というのは個人に対して支給されるものであります。ですから、平等に株主、それから自分たちの投資を扱うということが非常に重要だと思います。

簡単に紹介をいたしました。私は、具体的なこのグループにとって関心のあることをお話しせよということでありましたのでまとめました。ここでアレンに交代致します。

【ACGA アレン事務局長】

利益相反について、さらに機関投資家、そして企業が利益相反の問題の解決にかかわってくるかということにつきまして、お話ししていきたいと思います。特に議決権の行使の場面において、日本のアセットマネージャーが、利益相反をどのように対処し、そのリスクを軽減するかが課題になってまいります。彼らは、どのようにして、潜在的な利益相反に対処しているのでしょうか。まず、独立委員会を設け、議決権行使をレビューするということであります。これは、興味深いアイデアです。このアイデアが実際にどのように日本おいて実施されているのかということを見てまいりました。

しかしながら、全ての議決の結果を見るということはなかなか難しいということがわかりました。委員としては、株主総会シーズンは非常に忙しい状況です。一つのアイデアとして、社外の者に独立委員会の委員に就任してもらうという方法があります。一旦委員会ができましたら、重要性のしきい値をベースにして、あるいはリスクベースのアプローチを確実に見ることによりまして決定をしていくということが非常に重要だと思っております。そして、運用機関との間の利益相反のみにフォーカスするだけではないということが必要だと思います。

次に、議決権行使結果の開示です。議決権を行使するだけではなく、議決権の行使結果の開示をすることは、一つのアイデアです。しかしながら、これは有益なことだとは思いますけれども、総計だけを出すというのであれば、あまり意味がないものだと思います。全て賛成が何票、反対、そして棄権ということだけであれば、限定された利用としての情報という意味合いしかないと思います。そうではなくて、実際の会社毎の議決権行使の結果を開示するということのほうがよりよいものだと思います。会社毎の議決権行使結果を開示することによって、他の国でどのような状況が発生しているのかを示すことができ、議決権行使がより透明性が高いものになり、アセットマネージャーとしては、利益相反の問題をより深く考えることができるようになると思います。

8頁に移ります。3つ目のアイデアとして、まず初めに明確な議決権行使の政策をつくるということが第一歩であると思います。マーケットでの信頼性を得られるような、内部的なガイドラインをつくることによって、アセットマネージャーのクライアントや受益者のために最善の議決権行使をすることができるということになります適切に実行することによって、アセットマネージャーは、一貫した議決権行使の判断をすることができ、親会社からの恣意的な圧力を軽減することができます。親会社によって支配されているアセットマネージャーであっても、明確な議決権行使の方針を持つべきであり、当該方針に従って議決権の行使がなされたとしても、親会社からの恣意的な圧力から解放されることとなるでしょう。

それから、アセットマネージャーは、利益相反に関して、なぜ親会社のために、クライアントのためにそのような議決権行使をしたのかということに対して説明を行うよう要求することも重要です。センシティブな問題であったとしても、このような特別な状況において、なぜアセットマネージャーはこのような議決権行使に至ったのかという説明を求めるということであります。

4番目の問題として、親会社レベルでの開示です。金融庁が、親会社の機関投資家に対して、どのようにしてアセットマネージャーが受託者責任を果たすために独立して議決権行使をしているのかを説明を求めることは一つのアイデアです。なぜなら、アセットマネージャーは、幅広い範囲の受益者のお金を預かっているのであり、単に親会社の代理人ではないからです。したがって、親会社に対して、アセットマネージャーが独立した方法において、どのように受託者責任を果たしているのかを説明させるべきです。

9頁に入ります。我々は、投資家メンバーに対して、実際にどのような議決権行使を行っているのか、議決権行使の方針を定めているか否か、そして、会社単位での議決権行使の結果を開示しているのか否かを調べるという方法で、調査を行っています。111のメンバーのうち、75の機関投資家がありまして、84%が議決権行使の方針を定めており、48社、すなわち64%が会社毎の議決権行使の結果を開示しております。なぜ100%のメンバーが、議決権行使の方針を有していないのか、なぜ100%レベルで会社毎の議決権行使の結果を開示していないのか、疑問を持たれるかもしれません。その理由は、メンバーの中には、小規模のファンドであったり、ブティックファンドであったり、個人投資家のために資金を運用しているファンドであったり、または同族経営者であったりするわけです。そのため、大規模のアセットマネージャーや、ペンションファンドのように、彼らは同様の責任や義務を負っている訳ではないのです。そのため、84%が議決権行使の方針を定めており、64%が開示しているような大規模ファンドであるということができます。

一つの例を示すと、アメリカのファンドは、個々の会社毎の議決権行使の結果を開示しています。これは、アメリカの法律で定められていることで、取締役のそれぞれが、実際にどのように議決権行使をしているのかを見ることができます。一つ面白い例を示しますが、これは常に起こる訳ではありませんが、我々のメンバーのうちのいくつかは、時に取締役の提案に対して反対するような議決を出すということもあるわけでありますけれども、この議決権行使の結果を見ると、詳細にどういう背景があったか、どのような議決権行使がなされたのかという開示が詳細になされているということがわかります。

10頁に移りますと、これはオーストラリアのファンドであるAMPキャピタルの例を見ることができます。それらの会社の1つのファンドとして、ブルーチップファンドというファンドがあります。これは1ページ目だけを見せておりますが、ブルーチップのファンドのレポートであります。実際どの会社を保有しているか、議決権行使として賛成をしたのか又は反対をしたのかが全て開示されております。レポート全部を見ると、詳細な賛成票、反対票があります。時に棄権の場合もあります。オールトラリアにおける現在の詳細な例であるということができます。

11ページを見ていただきますと、機関投資家の議決権行使に関する市場の役割や実務のいくつかが記載されていますオーストラリア、アメリカ、インドを見てみると、全て議決権行使の方針、議決権行使結果の記録、会社毎の議決権行使の結果の開示が義務づけられています。韓国、マレーシア、タイに関しましては、議決権行使の方針や議決権行使結果の記録の開示が求められておりますが、最後の会社毎の開示だけが求められていない状態です。

12ページをごらんください。これが最後のスライドになります。こちらはパッシブ運用の投資家に関してですけれども、コーポレートガバナンスと言ったときに、パッシブ投資家にどうやってコーポレートガバナンスを真剣に取り扱っているかという多くの議論があります。彼らはパッシブ運用の投資家ですので、あまり真剣に扱っていないんじゃないかというような声も多くあります。やったとしても、違いがないんじゃないかというふうに言われることがあります。しかし、それは間違っている見方であると言えます。コーポレートガバナンスにおいて、パッシブ運用の投資家は、世界中で長い歴史を有しております。そのため、実際には積極的な関心を持っています。なぜかといいますと、パッシブ運用の投資家、よく言われますのは、銘柄選択をして株式を売ることができないからと説明されています。ですから、エンゲージメントをすること及びコーポレートガバナンスを真剣に取り扱うことは、会社におけるガバナンスの問題を実際に取り扱い、会社に価値を付与するという様々な側面があります。

2番目は、パッシブ運用の投資家というのは、通常長期の保有をするわけです。企業の価値が向上することは、彼らにとってのインセンティブになるわけです。

それから、3番目、大多数のアセットマネージャーとかアセットオーナーは、ペンションファンドのようなパッシブ運用の投資家です。だから、彼らは長い間、議決権行使の方針を有しております。彼らは、実際に議決権行使をし、エンゲージメント増加しております。我々が組織を立ち上げたころ、設立当初のメンバーのいくつかは、パッシブ投資の業界出身でした。彼らは、彼らは最初のころから、もう既に市場の中でもコーポレートガバナンス・ポリシーをきちんとつくって議決権行使をしていた最初のメンバーでした。

そして、パッシブの投資家というのは銘柄数が非常に多い。100銘柄、1,000銘柄持っているのです。従って、彼らは、どの会社とエンゲージするか厳選しなければいけません。世界で9,000の銘柄に投資しているような我々の加盟機関は、そういったところは全てに関して、9,000社全てに対して議決権行使をすることができますが、実際には全社に対してエンゲージメントをして、そして議決権行使をすることは難しいのです。そういった意味で、彼らはリスクベースアプローチをし、重要な投資先に対してフォーカスをして、議決権行使をするかをきちんと通知し、そしてエンゲージメントもしているという形です。

以上です。ありがとうございます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、討議に移りたいと思いますが、これまでのご説明を踏まえて、事務局から説明のあった議決権行使をめぐる利益相反のケーススタディ等につきまして、皆様にご議論いただければと思います。

なお、本日、冨山メンバーがご欠席ですが、意見書が提出されておりますので、席上配付させていただいています。メンバーの方々には事前に送付させていただきましたので、この場で読み上げる等は省略させていただきたいと思いますが、必要に応じて冨山メンバーの意見書の内容も踏まえてご議論いただければ幸いに存じます。

それでは、どなたからでも結構ですが、ご意見はいかがでしょうか。

岩間メンバー、お願いします。

【岩間メンバー】

運用会社のガバナンスというか、利益相反の構造というのがかなり大きなテーマとして挙げられておりますので、私どもの協会で、前回もちょっとご紹介いたしましたけれども(アンケートを行っております)。いわゆる金融機関の100%子会社、あるいは大多数を持たれている子会社としての運用会社が利益相反の発生可能性が非常に高いという状況に置かれているのは、全くそのとおりであると認識しております。けれども、実際に利益相反を排除するためにかなりの努力をしておるというのも実態でございまして、例えば、私が元おりました会社では、議決権行使は完全に分断して、子会社は子会社で独自の判断をするということで、そこにボーティングをめぐって利益相反が起こるという構造は実際ないということでやっておりました。

問題は、機関投資家であるお客様の利益と、利益相反が起こるという状況をどういう具合に完全に遮断するかということでございまして、これは経営のあり方ということに繋がってくるわけで、例えば客観的な判断ができるような組織を置くとか、役割を置くとか、あるいは社外取締役を入れるとか、普段の経営には親会社はタッチしないというようなことを図るというようなことは、徐々に、着実に前に進んでおるというように思っております。ただ、これが外から見たときに、きっちりそういう具合に理解されるかということについては、やはり根本的な構造から見て、まだ疑わしいという面が感じられる面はあると思いますので、そこら辺をこれからどういう具合に我々として努力していくかということであろうと思っております。

協会としての役割としましては、前回もご紹介いたしましたけれども、毎年やる調査の中でそういうものを浮き彫りにして、改善していくべき問題というのを業界の中でディスカッションし、いい方向に持っていくという努力を続けるということだと思っております。

【池尾座長】

ありがとうございました。

それでは、江良メンバー、お願いします。

【江良メンバー】

ありがとうございます。本日の議論を踏まえまして、当社の取り組み、ブラックロックとして利益相反についてどう考えているのか、あるいは対処方法についての実務をご参考までにご紹介することで、議論の活性化に貢献したく思いまして発言させていただきます。

まず、極めて重要なポイントだと考えている点は、意識です。我々の企業目的、行動規範、ミッション・アンド・プリンシプルズと呼んでおりますが、その中にフィデューシャリー・トゥ・ユア・クライアンツという言葉があります。これは日本語に直訳する言葉が見たらないので、どういうことかご説明すると、我々のお客様、最終受益者の利益が常に何よりも優先するという概念です。この概念を、先ほど申し上げたとおり、当社では行動規範としてあらゆる局面において価値判断の基準とすることで徹底浸透を図っておりますので、議決権行使のみならず、さまざまな局面においてこれを非常に重要視して行動しているということが1点目です。

次にご紹介したいのが、議決権行使判断において、いわゆる利益相反というものが懸念されるような局面において、実務的にどういう対応をしているかということを4つほどご紹介したいと思います。

1つ目は、議決権行使ガイドラインという、議決権行使に当たって、議案判断する際の原則を定めること。当社としては、このガイドラインをウェブのほうで全文開示して、そしてさらに議決権行使の結果についても開示することで、方針と結果というところの透明性を高めているということです。ガイドラインの全文開示については、利益相反管理ということもありますが、それよりも、当社の考え方をより適切に、より多くの投資先企業様にご理解いただくいただくためのツールとして捉えておりまして、その目的に照らし合わせた場合、明示的にウェブのほうで開示する形で積極的に対応しました。

2つ目は、議決権行使ガイドラインに基づいて判断を行う専門部門、チームの設置です。私が日本の議決権行使業務については責任者として担当しておりまして、インベストメント・スチュワードシップ・チームという名前ですが、議決権行使ガイドラインに基づいて議決権行使を行うチームとなります。そして、同チームの活動を執行と捉えると、それに対して、さらに独立した会議体、インベストメント・スチュワードシップ委員会という独立した会議体が、執行である我々のチームの行使結果や、議決権行使の方針などを監督する形を採用することで、いわゆる執行と監督の分離を図っているということです。

3つ目が、投資先企業と当社自体の関係を考慮することがないように、我々の専門チームは、営業責任から隔離されています。すなわち、営業面における責任は一切負うことがない組織体制になっているということです。当然、我々のチームもお客様へのご説明などのために、社内の営業スタッフと連携、接触するということは当然ございますが、その際は一般的な考え方、方針または全般的な動向の共有にとどめ、原則としては、議決権行使の判断については、株主総会前には特定のお客様と共有することはしないという方針を採用しています。

最後に、これは先ほども言及がございましたが、特に利益相反の懸念が強いと考えられる場合は第三者の機関に議決権行使の判断を委ねます。ただし、単純に委ねるだけではなくて、我々のガイドラインを第三者機関に共有した上で、我々の考え方、方針に従って議決権行使判断を第三者機関に実施してもらうというところで透明性を担保しているということでございます。

そして、これらの取り組みについて、当社の議決権行使のガイドラインや、スチュワードシップ責任を果たすためのガイドラインなどに全て明記するような形で、開示しています。非常に簡素ではありますが、一企業の取り組みをご紹介させていただきました。

【池尾座長】

ありがとうございました。

それでは、西山メンバー、お願いします。

【西山メンバー】

ありがとうございます。利益相反のところで非常に重要な問題であると思うんですが、もう一方で、日本の中で形式主義にどうしても議決権行使であるとか、そういった陥ってしまっているということも一方で批判があるわけでして、ともすれば利益相反という問題をあまりにも深く捉えてしまうと、そちらのほうでまた問題が出てくる可能性もあるのかなという印象を持っているんですけれども、三瓶さんにご質問したいんですけれども、先ほど海外の議決権行使のところのご説明をいただいたんですけれども、中で運用側の方が出てくるという、いわゆる独立した方と運用サイドのほうが出てくるというふうにおっしゃっていたんですが、運用サイドの方というのはどういった方が出てこられて、その一方で、例えばアナリストであるとか、ポートフォリオマネジャーが企業を見る上での議決権行使の判断などはそういったところに反映されてくるのかどうか。あるいは完全にコミッティーの中で決めてしまうのか。これはどうなのかということを1つお聞きしたいということでございます。

それから、この中に入っている生命保険会社とか、損保の議決権行使の結果の開示というところに関してでありますけれども、最近、個別方針、個別の各社の特徴を捉えた形で、事例という形で開示をされているということが多いわけでありますが、それはそれで非常によいことだと思っているんですが、その一方で、そこにフォーカスしているがために、全体として、生命保険会社でありますとか、損害保険会社はどういうポリシーで議決権行使をしているのかというのがわかりづらくなっているというところがあるのではないかなと思います。ですから、個別を見るというのも非常に大事ですし、特徴を見るというのも非常に大事なんですが、全体としてどうなのかというものもわかるということから、そういった議決権行使の開示というところにはもう少し踏み込んでもらいたいなということも考えています。

以上です。

【池尾座長】

ありがとうございました。

ちょっとご質問があったのでお答えいただけますか。

【フィデリティ投信株式会社 三瓶ディレクターオブリサーチ】

ご質問ありがとうございます。おそらくご質問は、先ほどのスライドの3のところですね。そこの内外の、社内と独立の役員のところですね。運用機関側の例えばマジェラン・ファンドで2名、フィデリティ・ファンズで6名、こちらはそれぞれ運用、アセットマネジメント業務をやっているところの経営陣です。かなり上の経営陣になります。ただ、これは会社型投信というファンドですけれども、会社という扱いにしていて、それ全体の業務執行についてガバナンスしているということであって、議決権行使の一つ一つを見るコミッティーではないです。全く通常の上場会社の取締役会と同じように考えていただいたらいいと思います。それでよろしいでしょうか。

【池尾座長】

それでは、小口メンバー。

【小口メンバー】

ありがとうございます。2点ほど意見と、ジェイミー・アレンさんに1つ質問したいと思います。まず意見のほうですが、1点目は議決権行使の結果の開示の話です。本日の議論は利益相反ということで、利益相反の懸念を払拭する上で最も有効な方法の一つは議決権行使の結果開示であるというご意見が、たしか資料1の最後のところでしたかね、書いてあったと思います。そのとおりだと思いますけれども、一方で海外の状況を見ますと、先ほどジェイミーさんからもご説明がありましたが、ACGAさんの資料の11ページによりますと、米国をはじめ、たしか米国は2004年からだと思うのですが、カンパニーレベルでのディスクロージャーがなされているということです。

それから、スチュワードシップ・コードについては、我々イギリスのスチュワードシップ・コードというのを一つ参考にしているわけですが、その中ではたしか個別開示、カンパニーレベルの開示までは求める書き方にはなっていないと思うのですけれども、英国の投資運用業協会が昨年6月に公表した実態調査によりますと、議決権行使結果を開示する運用機関の4分の3.75%がカンパニーレベルまでの開示に踏み込んでいています。上田メンバーがスチュワードシップ・コードの有識者会議でも以前の数字を出されていたと思うのですが、それよりもさらに比率が上がってきていて、カンパニーレベルの開示がグローバルな潮流にあるということを一つ確認しておきたいと思います。その上で、資料2のポンチ絵ですか、こういった利益相反の疑念、これが実際起こっているかどうかは別にして、こういう疑念がある中で、やはり議案ごとの集計開示では利益相反の懸念払拭には不十分じゃないかなという声が上がってきて、そしてやはりグローバルな潮流に沿った形でカンパニーレベルの開示まで踏み込む必要があるのではないか、こういう声が出てくるのは極めて当然だと思っています。そうしますと、日本として個別開示、カンパニーレベルの開示をどう考えるのか。できないなら、なぜできないのかを含めて、これこそ国としてのコンプライ・オア・エクスプレインだと思いますけれども、真摯に考える必要がある。そうしないと、先ほどのジェイミーさんのご懸念には応えていけないのかなと思います。

2点目は、資料1の企業年金等の、いわゆるアセットオーナーの役割という部分です。今日の事務局ペーパーの利益相反一般のところに書いてありますとおり、フィデューシャリー・デューティーというのはインベストメントチェーン全体において重要だと、これはまさにおっしゃるとおりで、そうするとインベストメントチェーンのチェーンを途切れさせないというのが極めて重要なポイントになります。インベストメントチェーン全体を見たときに、アセットオーナーはどんな役割かというと、それは企業における取締役会と同じ役割だと思うんですね。監督機能を担っていて、執行自体は実際に使っているアセットマネジャーとか、あるいは我々もそうですけれども、スチュワードシップに関するサービス提供会社が行うわけですが、この執行に対してアセットオーナーが実効性の高い監督を行うことが、最終受益者に適正なリターンをもたらすのに不可欠だと、そういうふうに考えています。

2ページの企業年金のところにリソースの問題とか、あるいは利益相反の問題がありますけれども、インベストメントチェーン全体のフィデューシャリー・デューティーを考えなければいけない。パーツ、パーツでしっかりやったところで、どこかが欠けていたら機能しないということを考えたときに、確かに指摘されたような問題はあるかもしれないけれども、インベストメントチェーンにおけるアセットオーナーの役割を考えるということは、これはコーポレートガバナンスにおいて取締役会の役割を果たすのと同じように真摯に考えなきゃいけないのではないかと思っています。

そのためには、書かれてあるとおり、まずはスチュワードシップ・コード受入れというのが前提になるとは思いますし、先ほどボックス・ティッキングは必ずしも悪くないというお話があったと思うのですが、まずは形から入るというのも大事なアプローチだと思うのですけども、そこに止まるのではなくて、やはり実効性のある形ということが求められる。まさにここで議論した、取締役会の役割は形式じゃないですよねというのと全く同じ議論だと思うのですが、そのために何が必要かというと、企業にとっての株主に当たる人たちがこのインベストメントチェーンで役割を果たすということが大事だと思うのです。誰がそこに当たるかというと、それは受益者、最終受益者が企業にとっての株主に当たると思いますので、その人たちがアセットオーナーのフィデューシャリー・デューティーの実質をチェックすべきじゃないかなと思っています。

本日、冨山メンバーご提出のペーパーで、第1から4までの第3で資産保有者としての機関投資家について書かれていて、委託先である資産運用者としての機関投資家に、資産保有者としての機関投資家、アセットオーナーは丸投げするだけではフィデューシャリー・デューティーを果たしたことにならない。さらに、アセットオーナーは、年金基金なら年金加入者に対して、その状況を開示すべきと提言されていますが、その背景には、受益者がアセットオーナーの活動をチェックする役割を果たすべきということがあるのではと読ませていただきました。実は、スチュワードシップ・コードの原則6の指針6−2に、「資産保有者としての機関投資家は、受益者に対して、スチュワードシップ責任を果たすための方針と、当該方針の実施状況について、原則として、少なくとも年に1度、報告を行うべきである。」とあるんですね。ですから、そのような報告の場を通じて、企業における株主に当たる受益者がアセットオーナーに説明責任を追及することがインベストメントチェーン全体の活性化に貢献するような仕組み、考え方、あるいは制度、そういったことも考えていかなければいけないのではないかなと思います。

最後に、今日の本題とは違うのですが、パッシブインベスターによるエンゲージメント、先ほどジェイミーさんの資料でいきますと12ページですかね。これはまた今後の議論の重要なポイントになるかもしれないので、せっかくなのでヒントを頂戴したいということでご質問させて下さい。

ここに書かれてあるとおり、パッシブインベスターの保有銘柄数は非常に多いので、どうしても選択してエンゲージメントしなきゃいけない。これは道理だと思うんですね。そういった意味で、先ほど三瓶さんも紹介されていましたが、ちょうど今日の新聞に、フォルクスワーゲンに対してハーミーズEOSが社長とか取締役、監査役に不信任投票を投じるように勧める活動を起こしているという記事が出ていますが、パッシブマネジャーが、限られたリソース、コストの中でエンゲージメントするとなると、このように、市場にインパクトを与えるような銘柄を選んで、そしてその活動をオープンにして、ほかの投資家の賛同とか活動を呼び起こすということが、パッシブインベスターのエンゲージメントとして有効ではないかと考えたのですが、その点、グローバルのパッシブインベスターの方々はどういうふうにお考えなのか教えていただければと思います。

【ACGA アレン事務局長】

ちょっと確認ですが、アセットオーナーがエンゲージメント先を選定するという観点からのグローバルな投資とは何なのかということですか。

【小口メンバー】

そうです。マーケット全体のアップを図るのがパッシブインベスターのエンゲージメントであるとすると、市場の中で大きなボリュームを占め、なおかつその対応がほかに波及するような効果を与える企業を選んでいく、インパクトのある企業を選ぶことになるのかなと思いました。つまり、時価総額の大きな企業であったり、象徴的な問題を抱えた企業を選んでいくというのが、一番効率的なパッシブのエンゲージメントではないかということです。アクティブであれば、自らの保有する銘柄に対象が絞られますが、パッシブではそのようにエンゲージメント先が選定されることが合理的ではないかと考えた次第です。

【ACGA アレン事務局長】

パッシブ運用の投資家はどのように選ぶかというと、やはり持株数が一番多いようなところ、セクターによって選ぶこともありますし、地域によって選ぶこともあるかと思います。それから、これまでの経験によって選ぶこともあると思います。ヨーロッパのファンドというのは一番大きな保有数があるわけですが、エンゲージメントは、多くはアジアよりもヨーロッパで行っています。通常そのようなことが言えると思います。それから、アジアには人もそんなにいなくて、ローカルの知識もなくて、言語も分らないという問題もありますし、また出張費もかかってしまいますので、ヨーロッパのファンドでしたら、ヨーロッパでエンゲージすることが多いわけです。リソースも限られているということですね。

アセットオーナーに関しましては、アセットマネジャーと比べると、やはりリソースもかなり限られているわけです。そういうことで、アセットマネジャーはアセットオーナーよりも組織として大きいということで、予算も大きいということができ、重要な役割を果たしていると思います。アセットオーナーには様々な課題があります。アセットオーナーにも戦略的に投資先が重要か、国、地域、企業、三択はより難しくなっているかと思います。いろいろなアプローチをとっておりますけれども、通常社会的なファクターなんかも鑑みて意思決定をしております。様々な違いはありますが、影響を及ぼせるかどうかによって決めることもあります。例えばオランダの企業であれば、中国の企業よりもオランダの企業により大きな影響を及ぼせるということで、選定します。また、どのように運営することができるか否かによって、選定も変わってきます。

株主総会に関して、アジアよりもヨーロッパのほうが行きやすいというのがあります。距離もありますし、文化的・法的な問題、それから政治的な理由もあります。中国の株主総会に出て反対票を投じるのは非常に難しいことであります。中国で実際それをやった投資家もいるわけですが、反対票を投じて、会社がその投票を受入れないといったことがありました。なぜかと言ったら、理由も言わずに議決に反対したからだと言ったわけです。これは法律上の問題ではないと思っていますが、中国に対してはこういった議論はできないといったこともあります。ですので、強烈なインパクトが実際に及ぼせるところ、効率的なところを選定するということに重きを置き、検討する必要がありますが、これは非常にタフな仕事です。大きなアセットオーナー、アセットマネジャーにおいても同様に、やはりリソースが限られているということで、タフな仕事となる場合があります。

【池尾座長】

それでは、上田メンバー。

【上田メンバー】

ありがとうございます。まず、意見の前にACGAのプレゼンテーションに対してですが、アレンさん、ありがとうございました。

実はACGA資料の7頁にあるのですけれども、個別開示がいいのじゃないかというご提案があったかなと思います。グローバルには今こういう動きであるということ、小口様からもございましたけれども、例えば9頁に、ACGAであればメンバーの64%は、こういう個別の企業で各議案ごとに賛否を公表しているということなのですが、例えばスチュワードシップ・コード、UKでサインをしている会社全体で見ると、これはかなり比率が低くなっているのかなと思います。

私が思うに、ACGAのメンバーは皆さん、リソースもそれなりにあって、意識も高くて、実際に行動している人たちであるので64%であろうと思うのです。ただ、中小のところも含めると、この比率は下がるのかなというふうに思っています。それとともに、これは、すみません、私、企業側の思いというのがなかなかわからない立場なのですが、例えば、企業は個別開示で、ある投資家、ある年金がある会社の各取締役の候補者に対して、賛成した、反対したということを公表されることについて、まだ日本の企業はその受入れ態勢というものが整っているのかなと。これは慣れの問題なのか、心の問題なのか、というところもあります。なので、一般公表が必ずしも日本の企業経営者にとってコンフォタブルなものなのかどうかというのは、ちょっと私はわからないなという思いもあります。他方で、そこまで行かなくても、例えば企業として、自分の会社の議決権行使に対して投資家がどう判断したか知りたいという要望は大変強い。対話が重要になって強い中で、自分たちが認識する投資家、株主が自分たちにどう行使したかという、これは知りたいと思っているはずなのです。

ただ、残念ながら、対話だ、透明性だと言いながら、企業が投資家に議決権行使内容を問い合わせしてもなかなか答えてくれないケースもどうもあるらしいと。私が聞いたところでは、投資家さんは皆さん「企業には答えます」と仰っていると言うと、ある日本を代表する会社が、「それは上田さんにはそう言うかもしれませんけど、実際会社からファンドマネジャーとかアナリストを通して訊いても、教えてくれないケースが半分ぐらいあります」ということです。まずここの、一般公表は大事で、将来的なゴールとしてはあるのかもしれませんが、まず、会社からの問い合わせに対して投資家が答えるという、こういった情報の共有ですね。これはまず必要なんじゃないでしょうか。その上で企業が一般公表に準備ができていれば、そういう流れでもいいのかなと。すみません、私はジェイミーの意見に大方賛成するところが多いんですが、ちょっとここは私とは意見が違うなと思ったので、コメントさせていただきました。

すみません、本題の利益相反についてでございます。この利益相反なのですが、おそらくこちらの、資料2のケーススタディなのですが、こちらについて拝見しますと、金融グループ全体の収益性というものとフィデューシャリー・デューティー、そもそも次元も全く違うものがぶつかり合うという現実があると。おそらく相当具体的な例が出て、何かこういう懸念が示されたんだろうなと思っております。金融グループの経営という観点からいうと、顧客事業会社からの収益のほうが高いわけで、機関投資家、特に日本のアセットオーナーはフィーが低いと有名なので、そういったところもあろうかと思います。しかも、上場している場合にはどうしても金融グループとしての収益追求という圧力をマーケットから受けるという、循環になっているのかなと思います。

出口をとめるといった仕組みをつくる必要があるのではないかと思っています。これは私が何度か申し上げたことです。つまり、顧客企業、あるいは親会社から運用会社に対して何らかの圧力がかかるような状況があったとしても、運用会社側で、「いや、おっしゃることごもっともです。よくよくわかるのですけど、できないのですよ」という言いわけをできるような仕組みをつくる必要があるのではないか。運用会社に対しては、スチュワードシップ責任果たせ、フィデューシャリー・デューティーが大事だと求めながら、一方で別の圧力がかかってしまう。なかなか気の毒なところですので、ここの仕組みの整備と、あるいは明確化というのでしょうか、意識づけが大切だと思います。運用会社さんだけではなくて、それを囲む顧客の企業であるとか、親会社も含めた環境づくりというのが必要なのかなと思っています。

ここは意識改革ということも一つあろうかと思うのですが、冨山メンバーのペーパーにもございましたが、日本人って忖度してしまうので、別に顧客企業がうちの買収防衛策に対して子会社の運用会社に賛成させろと圧力をかけなかったとしても、証券会社の営業の人が気を使ってやってしまうということだって十分あるわけなんです。これは多分、優秀な営業マンであればそうする可能性があるわけなので、そういったことをなくすために、仕組みの上でこういうものが影響を及ぼさないということを考えるべきであるということです。

ケースマル1マル2なんですが、この2つに共通の解というか、こういうやり方があるかなと思うのは、これはジェイミーの7ページに同じようなことが書いてありますが、1つには、そういった委員会の設置、議決権行使委員会のようなものの設置です。ただ、設置しただけでは形式に陥ってしまうので、ここの客観性、つまり、社外の意見が反映されているということが1つと、透明性、この2つが必要ではないかと。客観性は社外の人が入るということなんですが、透明性のほうは、例えば議事録なんかをつくって、そういったものを備置すると。要は、圧力がかかって、「いや、この投資先企業は親会社のお客さんなのですよ」なんていう発言が出ないようにすることです。これは別に公表するものではなくて、そういうことをやっていますという体制づくりだと思っています。

あわせて、ジェイミーが全く同じことを書いてきて、私は大変心強かったのですが、どういった事案をそういった委員会に提案するかというプロセスもきちんとつくっておくということです。今はちょうど6月株主総会が集中している時期なのですが、それを全部委員会で対応するとパンクしてしまって、多分それこそ形式主義に陥ってしまうので、あらかじめ利益相反が懸念されるようなケースと、少しそれを網羅的にカバーできるようなものというものを明確にしておく必要がある。これを例えばアセットオーナーに対しても説明できたりすると、信頼性も高まるのじゃないのかなと思っています。

問題はケースマル3です。お客である企業年金が母体企業の利益を忖度して、何らかの圧力のようなものをかけてくるというような事例だと思うのですが、これはアプローチが2つあって、1つは企業年金自身に対するものですね。今日こちらにいらっしゃらないと思われる、企業年金さんを見ている厚労省さんにも協力をしていただけないか。まず1つには、スチュワードシップ・コードの趣旨を理解してもらって署名をしてもらうといったやわらかなアプローチもあると思うのですが、それとともに、より積極的にはフィデューシャリー・デューティーというものをもうちょっと明確化、具体化するような手はずが整えられないかということです。例えば、厚生年金については金融商品の個別指図、個別の商品の取得とか処分についての売買指図というのは禁止されているというふうに聞いたのですけれども、これを例えば議決権行使等について個別の母体企業等についての圧力、賛成する、反対するというのは個別指図の範囲内なのか、範囲外か。たぶん範囲外なのでしょうけど、今の運用ではどう理解するべきかということがあるかと思います。ただ、これはここの会議のテーマの外になってしまうかもしれません。

そこで、例えばイギリスでどういうケースがあったかという紹介なのですが、イギリスの公益事業企業の業界年金のボードメンバーに業界のCEOが入っているところがありました。その年金は、上場会社のCEOである年金のボードメンバーに対して反対票を投じたそうなのです。当人はちょっと渋い顔をしていたけれども、仕方がないということで、自分は年金のボードメンバーとして理解したそうです。でもちょっと渋い顔をしていたという。このダブルハットの意識というのがイギリスではあるという話を聞いたのですが、なかなかこういう意識というのは時間がかかるものなので、その意識変化を待つ前に何か仕組みが必要なのではないかというふうに思ったわけです。

長くなりすみません。最後にケースマル3で、運用会社側に直接働きかけるようなアプローチはないかということなのですが、1つの問題として、企業年金が大変大きな資金を持っていて、単独口座を運用会社に開設しているということであれば、単独のアカウントだけ、賛成しようが反対しようがという結果になるかもしれません。しかし、多くの場合には合同口座で運用されていると思います。そうすると、ある特定の会社がうちの買収防衛策に賛成してくれよというような提案をした結果、その合同口座に入っているほかのお客さんのお金も全部、賛成に回ってしまう。これは問題かなと思います。受託者責任という観点からすれば、特定の利益相反から受けた影響によって全体の受託者責任が影響を受けてしまうということで、ここについては指針のようなものを作るとか、そういうことができないということを明確化する必要があるのではないか。そうしないと、運用会社の中でお客さんとの間で板挟みになってしまうんじゃないかなと思いました。

すみません、とりとめもないことなんですが、そのような例えば何か運用会社を少し助けてあげるというか、板挟みから解放してあげるような手はずを整えてあげるようなことも必要なんじゃないかなと思った次第です。すみません、長くなりまして、ありがとうございます。

【池尾座長】

Do you have any comments?

【ACGA アレン事務局長】

上田さんの今のコメントについて、投資家が企業に対して答えなければならないという点、そのとおりだと思います。スチュワードシップ・コードという興味深いものは、企業と投資家との対話を促進し、企業に対してエンゲージメントをし、企業から情報を得ることも含まれます。スチュワードシップの一環として、投資家が取締役と対話することは、全体的に企業を助けることにもつながります。この意味において、三瓶さんがお話されたように、投資家はガバナンスに焦点を当てる必要があるという責任を有しており、どのようにすべきかという明確な方針を持つべきであり、どのようにエンゲージすべきか、どのようにコーポレートガバナンスを実践するか、どのように議決権行使をするかという点について株主のために更なる透明性を確保すべきです。したがって、スチュワードシップ・コードは、そのプロセスの過程に参加すべきという負担を投資家に課しているのです。企業との対話を拒絶する投資家はいないことを望んでいます。もしそのような投資家がいれば、私に教えてください。私はその投資家と直接お話を致します。

【上田メンバー】

現実には、運用会社としては開示をするというポリシーでも、各アナリストレベルにおいては、僕が反対したということを投資先企業に知られないというケースがどうもあるようです。反対したことを投資家はなかなか企業に言いづらいようです。信頼関係に影響があるのではないかということもあるようで、なかなか思ったほど透明性というのが高まっていないだろうなと思います。それを結果的に個別開示にすればいいじゃないかという意見もあるのですけれども、それよりも、まずはそういう対話のベースとして、お互いに、情報を提供し合ってもよいのではないかと思います。企業に対してもマーケットに対して透明性を高めろ、アカウンタビリティー果たせと圧力があるのであれば、せめてまず投資家は、自分の顧客だけではなく、投資先企業とも同じレベルの透明性を持って対話してはどうかと思います。

【池尾座長】

ちょっと短くしていただけませんか。

【上田メンバー】

すみません。運用会社の方針としては出していても、個別にアナリストレベルで逃げているケースがあるという話を現実に聞くので、こういった実務の改革を期待しています。長くなりすみません。

【池尾座長】

局長から何か発言の要請がありましたので。

【池田総務企画局長】

議決権行使の個別開示か、集計の開示かという点ですが、現在の集計開示が業界のルールで、保険会社については議論がありますが、他の保険以外の業界では業界ルールで集計開示がされているんですけれども、そういうことに至った経緯をいうと、2009年に金融審議会でこの問題が議論されて、池尾先生が座長で、私が課長として事務局をやっていたときで、そのときに、当時もアメリカでは個別開示がSECによって投資会社に義務づけられているということで、日本でも個別開示の可能性も議論がされましたが、最終的には、とりあえずは集計開示というのが審議会の報告になっています。そうなったのは、経緯的にいうと、必ずしも企業サイドから何か反対があったからそうなったということではなくて、当時の議論の中では、むしろ運用サイド、運用会社のサイドから我が国において同様なルールを入れると、発行会社やいろいろな外部の団体等から投資会社等に対して議決権行使に関する圧力がかかるリスクが増大し、議決権行使の自由がかえって阻害されるおそれがあるという指摘があった。

これは圧力がいろいろあったときに、運用会社の例えば社長さんが、そういう圧力を排除しようとすると、「いや、うちはもう全部、独立した委員会のほうで決めていますから、社長は何もできません」と答えることで独立性を守っていると。そのときに会社としてディスクローズみたいなルールがあると、「いや、会社だってちゃんと把握しているじゃないか」というような指摘が出て圧力が増大するから、そういうルールは懸念があるという指摘があって、とりあえずは集計の開示ということになったというのが経緯としては経緯です。いずれにしても、これはもう何年も前の議論ですので、今日的にどう考えるのかというのは、ぜひ今回のフォローアップ会議の中で再度検証してみる必要があると思いますが、経緯的にはそうなったと。

【池尾座長】

どうも。私も経緯は忘れていましたけれども、ご説明いただいたということで。

それでは、佃メンバー、お願いします。

【佃メンバー】

ありがとうございます。まず、フィデリティの三瓶さん、それからACGAのヘンクさん、アレンさん、すばらしいプレゼンテーション、ありがとうございました。非常にインサイトフルな内容でした。今回は利益相反への対処というのがテーマという理解ですが、私はもともと銀行に勤めていて、子会社の資産運用会社の戦略であるとか、人事施策とか、そういったところも関与していた経緯がございます。基本的なスタンスとして、前回も申し上げましたけれども、資産運用業は、日本にとって非常に戦略的に大事な産業であり、それを大きく育てるべきという観点から若干コメントさせていただければと思います。

まず、以前議論された最高経営責任者の選解任、このときにすばらしいキーワードがあったと思うんですね。客観性、適時性、透明性です。私どこへ行っても念仏のようにこれらの3つのキーワードを唱えているんですけれども、今回、利益相反への対処を考えるときのキーワードは何かなと、つらつらとずっと考えたんですけれども、個人的には「透明性」、それから「説明責任」、こういったキーワードが大変重要だろうと考えました。

ところが、今日ACGAさんのプレゼンテーションを聞いて、ACGAさんのプレゼンテーション資料の3ページに模範解答があって、ここにCore Principles of Corporate Governanceとありますけれども、このプリンシプルというのは、実は利益相反の対処を考える上で、全部適用可能じゃないかなと思いました。まず、第一が、今申し上げた「透明性」です。トランスペアレンシー。透明性というのは、100%透明な場合もあれば、50%濁っている透明性もあるかもしれませんが、いずれにしても程度の問題はありますけれども、トランスペアレンシーが大事であります。

2番目がアカウンタビリティー、これは「説明責任」です。

それから、3番目、Fair treatment of shareholders/stakeholdersとありますけれども、親会社の取引先あるいは他部門の法人取引先の利益と受託者の利益とをバランスさせていく上で、まさにフェアトリートメントが大事になるでしょう。

それから、4番にBoard independenceとありますけれども、これは私的に解釈すると、アセットマネジメント会社としての経営のインディペンデンス、独立性。前回ここの会議で人事の独立性が必要であり、親会社から資産運用会社に人が降ってくるんじゃなくて、資産運用会社の中で人を育てて、フィデューシャリー責任が体の隅々まで行き渡っているような人が経営者をやるべきだというふうに申し上げましたけれども、人事の独立性だけじゃなくて、広く経営全般に関して、経営の独立性というのが大事だといった意味での4番のインディペンデンスなのかなと理解しました。

それから、5番目にEthics and integrity、これも非常に重要なポイントだと思います。以上5つのポイントが利益相反への対処を考える上でのキーワードになっていくように思います。

それでは次に具体的にどう利益相反へ対処すべきかの話ですが、先ほど上田さんからも問題提起があり、池田局長からも過去の経緯のご説明がございましたけれども、これはACGAさんの資料の7ページ、8ページに書いていただいていまして、1番のインディペンデント・コミッティーというのは、なかなか現実的には難しかろうと。2番の今まさに議論になったDisclosure of voting recordsが重要であると考えます。カンパニーレベルのボーティングのディスクロージャーが今日現在適切かどうかというのは、いろいろ議論があると思います。

一方で、例えば昨今の社外取締役に関して、賛成票が急激に70%台に落ちましたとか、あるいは議案によっては60%しか満たないような議決権行使状況がある中で、日本の機関投資家は、引き続き賛成票を投じている状況があり、ほんとうにそれでいいんですかという話になりつつあると思います。そういった意味では、どこがどういうふうにボーティングするかというのは、アセットマネジャーサイドに配慮しつつも、何らかの形で個別の方向に向かうような政策が非常に大事になってくるのかなと考えます。それが多分、今日現在我々がやるべきことじゃないかなというふうに思いました。

それから、3番目のClear voting policyというのは、これは言わずもがなだと思います。ボーティングポリシーを明確に、かつ具体的に出していくというのが大事だと思います。それから最後のParent-level disclosureというのは、実は私、反対のことを考えていまして、親会社として、資産運用会社に対してフィデューシャリー・ロールをウィズアウト・インターフェアレンスでエクスプレインしていくというご提案をいただきましたけれども、私は、先ほど申し上げたアセットマネジメント会社としての経営の独立性というのを強化していく観点では、逆に、親会社じゃなくて子会社レベル、すなわちアセットマネジャーが自ら考える、あるべき利益相反に対する対処の方針をつくっていくというのは、アセットマネジメント会社としての経営の独立性を強化する上でやってみてもいいんじゃないかなと考えます。そこで、子会社レベルと親会社レベルでギャップが生じるでしょう。そのギャップをどうやって埋めていくかというのを議論していくことが大事であると考えます。

以上でございます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、川北メンバー、お願いします。

【川北メンバー】

全体の利益相反に関しましては、今日のメーンのテーマである議決権行使、これは重要なテーマではあると思います。しかし、より重要なテーマとして、いわゆる機関投資家と言われている、特に投資信託というかアセットマネジメント会社が今までのやってきたことを反省することがまず重要だろうと思っています。それは、日本の証券マーケットが現在のように、特に投資信託のシェアが非常に低くて個人に対する信頼性に乏しいというのには過去の歴史がある。そこをまず考えるべきであって、そういう意味での利益相反をいかに排除していくのかがより重要です。その排除の結果として、日本の証券市場をよりよきものにしていって、金融機関の子会社であるアセットマネジメント会社ももっと活躍していくような、そういう議論がまずあるべきだと思います。その中の1つの項目としての議決権行使というものを位置づけるべきかなと思っています。

それで、議決権行使に関しまして、大体ほかのメンバーの方がおっしゃったと思いますが、個別に議決権行使をどう行使したのかを開示することは、これは1つの方法だろうと思います。それによって各アセットマネジメント会社がどういうふうなことを考えているのか。機関投資家がどういうことを考えたのか。それが明らかになる。この意味では、一つの参考情報にはなると思います。しかし、膨大な数を開示されても、特定のところはそれを分析されると思いますが、一般的にはなかなかわかりにくい。

そうすると、もう一つあるのは、これもいろいろな意見が述べられたと思いますけれども、第三者委員会というのか、取締役会というのか、そういうところで利益相反の起こりそうな案件に関して、それを精査することだと思います。事前に議論し、もしくは議決権行使状況を見直してみる。その結果を各機関投資家が公表していく、そういう方法との組み合わせなのかなと思います。

それともう一つは、ポンチ絵にあったケースマル3のようなケースへの対応ですけれども、これも何人かの方がおっしゃっていましたが、アセットオーナーである企業年金がスチュワードシップ・コードにサインすることが重要なのかとは思います。とはいえ、フィデューシャリー・デューティーへの認識が、まだ一般に不足しています。といいますのは、GPIF自身が自分たちの運用結果を7月末にようやく公表するというのが、適時性という意味でフィデューシャリー・デューティーを果たしているのかどうか。これはやはり考えないといけない問題です。単にスチュワードシップ・コードにサインをしたことだけでは十分ではありません。ですから、サインした後も何らかのフォローが引き続き必要になってくると思っています。

以上です。

【池尾座長】

それでは、高山メンバー、お願いします。

【高山メンバー】

行使結果の開示に関連して、企業と投資家の対話の現状について、若干情報を提供させていただきます。

スチュワードシップ・コード以前は、ほとんどの日本の機関投資家は、企業から聞かれても開示結果を伝えることはありませんでした。しかし、この数年間、スチュワードシップ・コードが制定され、ガバナンス・コードが制定された後、多くの機関投資家は、企業が自社に対する行使結果を開示してほしい、教えてほしいと頼めば、開示するというスタンスに変わっています。そういう投資家は非常に増えています。大手では、数社を除いて、ほとんどが「そのように対応します」とおっしゃっています。

ただし、開示のタイミングなんですけれども、総会前にはどのように議決権を行使したかについては言わない、総会が終わった後に開示します、というところがほとんどです。ですので、先ほど上田さんがおっしゃられた、開示してくれないという話は、もしかしたらタイミングも関係しているのではないかと思います。

一方、企業側では、総会の担当者、議決権行使関連を見ている担当者の側からすると、一番知りたいのは、総会前に重要な議案について投資家が賛成しているのか、反対しているのかというところであり、それを教えてほしいというニーズは非常に高い。ただし、さきほども述べたように、それを開示する投資家は限定的です。では、総会後に、企業がどの程度行使結果の開示を株主に求めているのか。これは統計はないんですけれども、総会前は議案が通るかどうかを予想するために非常にそのニーズが高いのですが、一旦総会が無事に終わってしまうと安心してしまって、その後、株主に「どうでした?」と聞く企業の数は、総会前に比べて少ないというのが実態のようです。

行使結果というのは、投資家から企業に対する非常に重要なメッセージなので、ここのところは企業のほうもスタンスを変え、投資家から結果を聞き、それをベースに総会の後も継続的に長期的に対話をしたほうがいいのではないかと思います。

以上です。

【池尾座長】

ありがとうございました。

じゃ、キャロンさん。

【キャロンメンバー】

私も議決権行使の個別開示はするべきだと考えておりまして、またそのタイミングにも来ていると思います。それが、さきほど佃メンバーがおっしゃった透明性と説明責任だと思います。当然、運用会社・発行会社の双方の都合もありますが、インベストメント・チェーンを考えるべきであり、顧客は運用会社にお金を預ける以上、運用会社の議決権行使について知る権利があると思います。と申しましても、議決権行使の開示を義務付けるのは大きな判断であることも十分に認識しておりますので、今日の有識者のお三方に個別開示に関するグローバル・ベストプラクティスや、ご経験の有無などについてご意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【フィデリティ投信株式会社 三瓶ディレクターオブリサーチ】

ご質問ありがとうございます。個別開示をするかしないということについては、例えば弊社の場合、ロンドンでは全部個別開示をしています。なので、社内的に個別開示ができるかできないかというとできます。なので、例えばグローバルファンドで日本株に投資しているものについては、既に開示されているわけです。なので、弊社の中で言えば、半分は開示されていると。だから、そこから、もし会社全体でどのファンドも同じ方向性で行使しているんだったら、こういう結果なんだろうなというのは、今現在でも類推はできます。ただ、1つだけ難しいのは、弊社の場合は不統一行使ということをします。ファンドごとにそれぞれ最終的な意思決定を下しますので、同じ議案について、賛成するファンドと反対するファンドということがあり得ます。このときに若干ややこしいというのがあります。

もう一つは、今現在、じゃあなぜ開示していないか。日本では個別開示をしていないかというと、エンゲージメントというのが広く始まったばかりだということにあります。例えば事前に、先ほど高山メンバーがおっしゃったように、事前説明に来られて、議案について賛成または反対どうするんですかというときに、私たちは基本方針を伝えます。基本方針を伝えるのは簡単です。こういうそもそも基準があって、方針があるから、これについてはどうしたって反対になります、などの説明をします。議案をこういうふうに変えてもらったら賛成ができますとか、そういう会話をします。そういうのがどんどん始まったところで、企業側もだんだん問い合わせをすることが多くなってきました。そういう意味では、ほんとうはこれがもう少し煮詰まってきて、いい形で対話が進んでいったところで、対話を踏まえた上でもまだ距離があるのであれば、会社提案に反対するがあって、それが開示されて、広く世の中に伝わるということがいいと思います。けれども、まだ、やっと対話が始まった段階で、その段階でいきなりノーはノーだというふうに見せるのがいいのかどうかという議論の余地が若干あると思っています。

【ACGA アレン事務局長】

今、お話しになっているのは、どうやって資産運用会社に開示をさせるかと、開示していないところに開示させるかということだと思いますが、一つの解決策として、法令で開示を求めるということが考えられます。ただし、これは単純かつ容易なものではありません。全ての市場において急速に発生させることは、難しいのではないかと思われます。また、業界団体もあります。オーストラリアでは、例えば金融協議会はメンバー機関に対して、会社毎に議決権行使の結果を開示すること、議決権行使の方針を定めること、議決権行使の記録を開示すること、そして会社毎の議決権行使の結果を開示することを定めています。これは業界団体での自主規制であって、法令上の規制ではないというものです。

もし、ある大規模なアセットマネージャーやアセットオーナーが、議決権行使の記録を開示し、他方で別の大規模なアセットマネージャーやアセットオーナーが当該記録を開示しなかった場合、通常メディアは開示をしなかったアセットマネージャーやアセットオーナーに関心を持ち、自社の記事にそのことを書くでしょう。それから、NPOなどが圧力をかけることもあります、受益者自身、ペンションファンド、ペンションファンドの受益者又はアセットマネージャーのクライアントが、投資家に対して、議決権行使や議決権行使の方針に関して圧力をかけるということもあります。イギリスでは、自己の受益者から圧力をかけられて、我々のメンバーは、コーポレートガバナンスに関する方針を有しています。 また、商業的に利益があるから、それをしているということもあるかと思います。誠実に運営を行っている資産運用会社であるべき、徐々にそういったところが自然な形で、そちらから自分たちのために開示をし始めるというようなこともあると思います。

【池尾座長】

それでは次に、武井メンバー、お願いします。

【武井メンバー】

ありがとうございます。まず、三瓶さんにご質問なのですけれども、プレゼン資料の5ページ目でフィデリティの例ということで、利益相反が生じる可能性のある議決権行使に関しては、利用する外部リサーチ提供者の推奨に従って行使を行うか、そもそも行使しないこともあり得ますとあります。そこで、ここまでの対応を行わないといけないレベルの議案、利益相反性が強い議案というのは果たしてどういうものがあるのかというのが一つ目のご質問です。

2つ目のご質問ですが、日本において総会議案の中では役員選任議案が一番重みがあるように思いますが、こうした役員選任議案について、今日議論されているような利益相反が懸念されるような事態が日本でどのくらい起きているのか、そういう実態論のイメージを教えていただけましたらと思います。正確な統計ということでなく、現場のイメージを教えていただければと思います。意見は、その後、若干申し上げます。

【フィデリティ投信株式会社 三瓶ディレクターオブリサーチ】

ご質問ありがとうございます。1つ目のこういう事案がどんなときにあるのかというと、弊社は金融グループとして上場していないという意味ではそういうのがないんですけれども、なので、これはもし万が一ということの条項で、実際にはまずありません。ただ、あり得るとすると、弊社が運用しているファンドの中で、社債ファンドと株式のファンドがあったときに、何らかのコーポレートアクションによって社債ホルダーにとってはプラスだけれども、株主にとってはマイナスであるとか、そういったときにどういうふうに対応するのかということですね。そのぐらいです。

ただ、よいか悪いか、厳密にいうと、日本のスチュワードシップ・コードでは、社債インベスターのことが一応範囲に入っていないと思います。UKのスチュワードシップ・コードでは入っています。なので、一応日本のは入っていませんけれども、広く捉えて、そういうところも一応想定しているということです。

2つ目のご質問で、役員選任議案について利益相反があるか。

【武井メンバー】

金融機関グループが、本来、例えば反対すべき役員選任議案について賛成に回ったということを感じた事案ですね。

【フィデリティ投信株式会社 三瓶ディレクターオブリサーチ】

世の中的にですか。

【武井メンバー】

特に日本においてですね。

【フィデリティ投信株式会社 三瓶ディレクターオブリサーチ】

というか、感じるという意味では、要するに反対が例えば20%とか30%という、30%はないかな。20%ぐらいの反対票が入っているというのは、かなり大きな意味があると思います。かなり固定した票があって、なかなか否決されないんですけれども、20%反対がある議案というのは、相当何かの疑義があるということだと思います。これが、ただ、通過してしまうので、この辺が結果的には問題として取り上げられていないのではないかと思います。なので、そういう賛成率の低いものについては、金融グループだけじゃなくて、何らかの問題ありというふうに見るべきかと思います。

【武井メンバー】

わかりました。ありがとうございました。

では少し意見を申し上げますと、今日議論されている金融機関の利益相反は確かに大事な問題だと思いますが、今日は議決権行使の部分に切り取って議論しています。議決権行使に関しては、もともと結論が賛成・反対・棄権という三択しかないという狭い世界でして、前回も申し上げた論点ですが、この利益相反の問題への対処のためにいろんな対応を行うことで、かえって別の形式的な対応を促してしまうとしたらそういう対処策は良くないという点があります。議決権行使というのは、例えば誰かの目から見てこれは反対すべき提案である、例えばさっきの顧客やアセットオーナーとかから見たら本来反対すべきだと見える提案があるということの議論を始めたら、賛成なのか、反対なのかと解が2つしかないものですから、形式的対応が起きてしまう構造的懸念があります。先ほどの議決権行使結果の個別開示についてもその副作用の話につながるのですが、たとえば賛成票を投じることが親会社の利害を考えていると見えてしまうことを懸念すると、だったら逆に反対票を投じようという形式的対応を生みかねないリスクもあると思います。こうした形式的な対応を生じさせない丁寧な対処をしなきゃいけない論点だと思います。そしてこうした対処を考える前提として、そもそも議決権行使の局面において、親会社との関係の利益相反がどのくらい顕在化する、深刻な問題なのかも冷静に分析しておかないといけないと思います。

冨山さんのご意見の中でも出てきていますが、例えば運用機関の方が自分に利益相反が外観的に懸念されるから、そもそも自分で判断しないで第三者の判断や推奨結果に委ねてしまうというと、これまた形式的な対応となります。今、三瓶さんにお伺いしたら、そこまでしないといけないほど利益相反性が強い事案はほとんどないということでした。第三者に委ねてしまうという形式的対応もやはり慎重であるべきなのだと思います。先ほど岩間メンバーのほうから、実質的ないろいろな選択肢を個別具体性に踏まえて進めていらっしゃいますというお話がありましたので、そういった線での実質的対応を運用機関さんのほうで進めていただくことが大切で、利益相反の度合いに応じてきめ細かな対応を考えてやっていくことが重要だと思います。何か一つの、この方策をすべきだとしてしまうと、逆に形式的な対応を惹き起こしかねない懸念があるという点を指摘したいと思います。以上です。

【池尾座長】

はい。よくわかりました。

【ACGA ヘンク議長】

すみません、私のほうから簡単に答えたいと思います。投資家は、議決権行使をすべきであると結論付けることに関して、我々非常に注意すべきだと思います。例えば、株主に有利な投票は、もしかしたら社会には不利かもしれません。ですので、やはり投資会社だって人間ですので、こういうふうに投票すれば短期的な配当は増えるかもしれないけれども、もしこういったことがずっと続くと長期的には良くないかもしれないと考えかもしれないことを考慮する必要があります。短期的な価値に焦点を当てているアセットマネージャーもいるということです。

想定される利益相反と実際に起こる利益相反との間で疑問が生じ、ハーミーズみたいな会社が入ってきますと、親会社のために議決権行使をしたかもしれないが、コンサルタントに聞いたら、それは合理的だと言われたと。そういった形で投票したと言うかもしれません。ですので、常にステークホルダー間のバランスをとらなければいけないということがあると思います。全てのアセットマネジャーが、長期的な視点ではなく、短期的な視点で意思決定をしている場合もあると仮定することについては、慎重に考えるべきと思います。

【池尾座長】

だんだん時間がなくなってきております。

神田メンバー、お願いします。

【神田メンバー】

ありがとうございます。3点簡単に申し上げたいと思います。

1点目は、武井さんのおっしゃったことと重複するのですけれども、私も今日のテーマが難しいのは、利益相反をどう管理するかというよりも、議決権行使の局面における利益相反問題だからだと感じます。利益相反の管理の仕方については、情報の開示ですとか、私どもいろいろ手法を知っているわけです。ところが、議決権行使というのは、対話という言葉で言えば、対話の対極なわけですね。私どものこの会議でも大いに対話はしますけど、最後にボートはしません、通常は。ボートというのは、賛成か反対か棄権かしかないわけなので、そこだけを取り上げて利益相反というのではなくて、対話のプロセスがあって、その結果としてボートがあるわけですから、対話の全プロセスを含めた利益相反の管理という中で、議決権行使の際の利益相反の管理も考える必要があると思います。

それで、若干細かいことなのですけれども、賛成・反対のほかに棄権というのがされることがあるというふうに三瓶さんから伺って非常に興味深く思いました。ACGAの資料では、9ページから10ページには賛成か反対かだけで棄権の欄はありません。それから、不統一行使というお話がありましたけど、私の読み方が悪いかもしれませんが、ACGAの資料の9ページ、10ページでは、フォーかアゲインストしかないので、不統一行使という欄は見当たりません。

さらに、議決権行使と言っても、会社が提案してくる、あるいは別の株主が提案するものに対して、賛成・反対・棄権の、武井さんの言葉で三択なのか。自分から新しい提案をするということも株主は通常会社法上で一定の要件を満たせばできます。さらに株主提案権の行使というような行動をとるべきなのか。さらに言えば、議決権行使について、他の株主に働きかけをして、自分と同じような議決権行使に同調するように説得するなど、いろんな行動が場合によっては求められると思うのですけれども、そのあたりがどうも実態をもう少し知りたいなという気持ちがします。いずれにしてもアプローチとしては、利益相反が全くない場合に、そもそも議決権行使についてどう考えるかというのが難問だと私は思います。そこがはっきりしないと、利益相反がある場合の議論もなかなかまとまらないなと思います。以上が1点目です。

2点目と3点目は簡単なことなのですけども、2点目は、機関投資家という概念がやはりよくわからないところがあるように思います。三瓶さんによれば、欧米では、欧米というか、アメリカ等では会社型なんだから取締役会がある。そのとおりなのですけれども、では一般の事業法人はどうなんだと。一般の事業法人は議決権行使についての利益相反、あるいは利益相反についてのルールの適用は一切受けないのかと。一般の会社だって背後に株主はいますし、お金を出している人はいるわけですから、そういうふうに考えますと、今日のテーマは、一般の法人株主に当てはまらなくていいのかというのは気になるところであります。

3点目は、機関投資家の中での分担の話ですけれども、機関投資家にはアセットオーナーとアセットマネジャーがいて、さらにスチュワードシップ・コードを読みますと、このコードは、議決権行使助言会社等に対しても当てはまるものであると書いてあるのですけれども、そして冨山さんのペーパーには、オーナーからマネジャーへ、マネジャーから助言会社へと丸投げはだめだと書いてあって、それは全くそのとおりだと思うのですけど、丸投げでない投げ方というのが議決権行使で何なのだろうかと。いっそのこと棄権するというのがいいのかというと、これまたちょっと、棄権は場合によっては賛成か反対かどちらかを意味することが多いのですね。完全に中立とは限らないのです。そうしますと、最終受益者というか、これは小口さんが使われたと言葉だと思うのですけども、例えば年金の受給者からすれば、もう丸投げするしかないと思うのですね。ですから、もうちょっとそこのところは細かく、投げる話というのはある種のデリゲーションの連鎖というか、フィデューシャリーの複層化とでもいうのでしょうか、そういう状況の中におけるフィデューシャリー・デューティーの濃淡ということをもう少し細かく整理しないといけないし、とりわけ議決権行使の局面における利益相反管理となると、各論が重要というか、細かく整理する必要があると思います。

以上です。

【池尾座長】

もうほとんど時間がなくなりましたが、最後、ちょっと岩間さんに発言していただかないと。

【岩間メンバー】

よろしいでしょうか。

【池尾座長】

はい。

【岩間メンバー】

すいません、ありがとうございます。投資顧問業協会が議決権行使についてどういうルールで臨んでいるかということについては、投資顧問業協会のホームページに公表してございます。「投資一任契約に係る議決権等行使指図の適正な行使について」というものでございまして、平成14年につくっておりまして、ずっとフォローして協会のメンバーの行動をウオッチしております。それが先般ご紹介したアンケートの結果として皆様にお渡し、開示されているということなんですが、この中で利益相反、議決権行使に関する利益相反には厳正に排除しろということはきっちりとされておりまして、これを毎年フォローしている我々の感触からすれば、この点はかなり会員の間に浸透しておると。これはご安心いただきたいと思うんですね。

私が懸念しますのは、このポンチ絵で見ますと、企業と企業年金の間ということですね。これは企業年金というのは、米国ではERISAがあって厳格なフィデューシャリー・デューティーがあって、そういう意味でいうと、企業が勝手に企業年金に対していろんなことを要求できない状況になっているわけですが、ここの間で企業年金のほうが弱い立場でいろいろなinfluenceを受けるということがあるのではないかという懸念が(私はあるとは断言いたしませんが)、あるんじゃないかと思います。

ですから、そういう意味でいいますと、年金基金のあり方、あるいは一般的にアセットオーナーのあり方ですね。これがかなり鍵を握るので、アセットオーナーサイドはこういった問題に対してどういうポリシーを持って臨むのかということがもう一つ必要な検討課題ではないかと思います。

私どもは基本的に、厳格な受託者責任を負っておりますので、それをしっかり果たしていくということは当然な話になるわけですね。そうなると利益相反は絶対排除しなきゃいけない。利益相反になればいくら子会社であろうと、親会社の言うことは聞けないと。そういう構造にあるということははっきり言えるわけで、そういう目で見ていただければと思います。

【池尾座長】

申しわけありません、ちょっと私の進行が悪くて時間がなくなってしまいましたので、まだまだご発言されたいことがあるとは思うんですが、ご容赦ください。

それで、いつも申し上げていますが、今回で全て議論が終わるわけではありませんので、引き続き議論を続けていきますので、本日に関しては以上ということで終わらせていただきたいと思います。

最後に、事務局からご連絡等ございましたらお願いします。

【田原企業開示課長】

次回の日程につきましては、また再度調整の上、ご連絡をさせていただければというふうに考えております。

それから、現在議論いただいております企業と投資家の間の建設的な対話につきましては、国内の意見はもとより、海外の投資家の方の意見というのを聞く必要があるというふうに考えまして、前回までの議論をもとに質問票を、今スチュワードシップ・コードにサインしていただいた何十という海外投資家の方、それから今日いらしていただいているACGAさんと、ICGNさん経由で世界的に意見を聞くということを今やっておりまして、それにつきましても次回以降、紹介できるところでご紹介させていただければというふうに考えております。

事務局からは以上でございます。

【池尾座長】

それでは、本日の会合は以上で終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局企業開示課

(内線3836、3671)