監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会(第5回)

1.日時:

平成28年12月5日(月)13時30分〜15時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

【関座長】

それでは、ただいまから監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会、今日は第5回になりますけれども、開催したいと思います。

今日は大変お忙しい中お集まりいただきまして、ほんとうにありがとうございます。前回、どういうことをこのコードに盛り込むのかということで、皆さんから活発なご議論をいただきました。それで、皆さんのご議論を受けまして、それを可能な限り織り込みまして、そして、それぞれの方と相当ご議論を深めていただきました。特に会計士協会の皆さんとは相当議論をさせていただいたということであります。

それで、今日は全部織り込んだものをご提案させていただいて、今日は最後の詰めということにしたいと、座長としては思っております。また、詰めと同時に、せっかくこれだけのすばらしい方が集まっていただいてコードができるわけですから、これを今後どういうふうに生かしていくかということについても総括的なご意見もいただきたいなと思っております。

まずは、ご提案する案につきまして、事務局からご説明いたします。

【原田開示業務室長】

ありがとうございます。それでは、お手元の資料をごらんください。1ページ目でございますけれども、今回のコードを検討しました経緯、それからコードの原則の概要、それから適用の対象や手法などに触れた文章を用意いたしました。まず、これから読み上げさせていただきます。

「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)(案)の策定について。会計監査は資本市場を支える重要なインフラであり、今後の会計監査の在り方について幅広く検討するため、平成27年10月、「会計監査の在り方に関する懇談会」が設置された。

本年3月にその提言が取りまとめられたが、そこでは、大手上場企業等の監査を担う監査法人の組織的な運営において確保されるべき原則を規定した「監査法人のガバナンス・コード」の策定が提言された。

これを受け、本年7月、本検討会が設置され――これからということで〇回と書かせていただいておりますが、にわたる審議を経て、今般、「監査法人の組織的な運営に関する原則」(案)を取りまとめることとしたものである。

本原則は、5つの原則と、それに関する22の指針から成っており、監査法人がその公益的な役割を果たすため、トップがリーダーシップを発揮すること、それから監査法人が、会計監査に対する社会の期待に応え、実効的な組織運営を行うため、経営陣の役割を明確化すること、それから、監査法人が、監督・評価機能を強化し、そこにおいて外部の第三者の知見を十分に活用すること、監査法人の業務運営において、法人内外との積極的な意見交換や議論を行うとともに、構成員の職業的専門家としての能力が適切に発揮されるような人材育成や人事管理・評価を行うこと、さらに、これからの取組みについて、わかりやすい外部への説明と積極的な意見交換を行うことなどを規定している。

本原則は、大手上場企業等の監査を担う大手監査法人における組織的な運営の姿を念頭に策定されている。その上で、本原則をいかに実践し、実効的な組織運営を実現するかについては、各監査法人の特性等を踏まえた自律的な対応が求められるところであり、本原則の適用については、コンプライ・オア・エクスプレイン(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明する)の手法によることが想定されている。

各監査法人においては、会計監査を巡る状況の変化や、会計監査に対する社会の期待を踏まえ、それぞれの発意により、実効的な組織運営の実現のための改革が強力に進められていくことを期待したい。こうした内容になっております。以上でございます。

ページをおめくりいただいて、コードの原則についてご説明いたします。本日のコードの原則は、前回の検討会でお示しした原則に盛り込まれるべき事項案をもとに作成されたものでございます。前回の議論を踏まえ、そこから変わった点を中心にご説明いたします。

まず、原則の1でございますけれども、前回の検討会の議論におきまして、監査法人の社員やパートナーの責務を明示すべきという議論がございました。これを受けて、考え方のところなんですが、前回の盛り込むべき事項の中の3パラグラフ目が若干変わっております。その3パラグラフ目の第2文のあたりからですが、「資本市場の重要なインフラである会計監査の品質を持続的に向上させるため、監査法人の社員が公認会計士法に基づく業務管理体制の整備にその責務を果たすとともに」、というのを追加いたしまして、「トップがリーダーシップを発揮し、法人の構成員の士気を高め、その能力を十分に発揮させることが重要である」、こういう表現をさせていただいております。

同様の趣旨から、指針の1−1でございますけれども、「トップ自ら及び法人の構成員がそれぞれの役割を主体的に果たすように、トップの姿勢を明らかにすべきである」の前に、「法人の社員が業務管理体制の整備にその責務を果たすとともに」ということを書かせていただきました。いずれも、トップのリーダーシップにパートナーはしっかり協力すべきであるということを明確にした趣旨でございます。

それから、指針の1−3でございますけれども、職業的懐疑心、それから、職業的専門家としての能力ということを両方書かせていただいているところでございます。職業的懐疑心は職業的専門家としての能力の内容ではなくて、並列に書くべき概念であるというご指摘をいただいております。以前は、職業的懐疑心などの職業的専門家としての能力という書きぶりだったのでございますけれども、職業的懐疑心と、それから職業的専門家としての能力を「や」ということで並列させていただきました。

おめくりいただいて、1−5でございますけれども、非監査業務の取り扱いでございます。以前は、非監査業務の監査業務に与える影響ということになっておりましたが、監査業務に与える影響と書きますと、若干悪影響サイドを想起するということをご示唆いただいたので、もう少し中立的な表現ということで、「法人の業務における非監査業務の位置づけについての考え方を明らかにすべきである」と、こういう文に変えさせていただきました。

ページをおめくりください。次は組織体制でございます。まず、考え方のところでございますけれども、経営陣によるマネジメントが規模の拡大や組織運営の複雑化に対応し切れていないという表現をもう少し前向きにできないか。各監査法人も改革努力を続けている中、これをディスカレッジしないようにとご指摘をいただきました。したがいまして、これを反映して、監査の品質の確保の観点から、「監査法人において、経営陣によるマネジメントが規模の拡大や組織運営の複雑化に的確に対応することが求められている。このため、監査法人においては、法人の組織な運営を確保することが重要である」と、こうした書きぶりにさせていただきました。

それから、指針2−2でございます。これは経営機関の役割の明確化の部分でございます。この点につきましては、まず高品質な監査とは何かということを明らかにすべきというご意見と、その定義はなかなか難しいのではないかと、こうしたご意見、さらには、双方の問題意識を包含する高位概念を設けてはどうかということから、会計監査に対する社会の期待に応えるために、社会の期待という概念を用意してはどうかと、こうしたご意見をいただいたところでございます。これらを踏まえ、指針2−2の柱書きに、「会計監査に対する社会の期待に応え、組織的な運営を確保するため、以下の事項を含め、経営機関の役割を明らかにすべきである」、こういう言いぶりにさせていただきました。

それから、指針2−2の1つ目のポイントの部分でございます。経営陣の役割について、監査品質に対する資本市場の信頼に大きな影響を及ぼし得るような重要な事項について、まず監査法人として適正な判断が確保されるための組織体制の整備を行い、経営陣がどんな案件についてどのよう役割を果たすかといった整理や、そのための情報のエスカレーションといった体制をしっかり整備して、その上で必要に応じ、経営陣が果断な判断を行っていくと、こういった趣旨を明らかにすべきではないかということから、「組織体制の整備及び当該体制を活用した主体的な関与」と、こういう表現にいたしました。

その次のポイントでございますけれども、「監査上のリスク等についての、経済環境等のマクロ的な観点を含む分析や、被監査会社との間での率直かつ深度ある意見交換を行う環境の整備」、こう書かせていただきました。もともとは、これは被監査との意見交換、またはその環境の整備と書かれていたところでございますが、経営陣が自ら被監査会社と直接に意見交換を行うのは、むしろ1つ目のポイントの主体的な関与なのではないかという頭の整理を行いまして、このような書きぶりにしたところでございます。

それから、最後のこの4つ目のポイントでございます。ITの有効活用でございますけれども、これこそ経営陣がしっかり自ら考えるべき事項であるということをご指摘いただいて、業務運営のところからこちらに移動させてきたということでございます。

ページをおめくりいただいて、次は監督・評価のところでございます。原則3につきましては、監督機能を強調すべきと。今まで評価・監督と書いていたんですが、ここの原則では監督機能を最も強調すべきではないかというご意見。それから、支援という機能につきましては、監督・評価を行った上で、それを通じた結果として達成されるべきものであると、こうしたご意見をいただきまして、原則をここに書かれておりますように、「監査法人は、監査法人の経営から独立した立場で経営機能の実効性を監督・評価し、それを通じて、経営の実効性の発揮を支援する機能を確保すべきである」、このように修正させていただきました。

また、考え方や指針以下も、評価・監督機関という書き方をひっくり返しまして、監督を強調して、監督・評価機関と、こういう言葉にさせていただきました。

次ページをおめくりいただいて、ページ7まで参ります。ページ7の業務運営でございますが、これも考え方のところでございますが、最後の文章、パラグラフでございますけれども、もともとは「縦割りで閉鎖的な」という表現をしていたんですが、これも前向きにできないかというご指摘がございまして、「こうした取組みにより、法人の構成員の間で、自由闊達な議論が行われ、縦割りに陥らない開放的な組織文化・風土が醸成されることが期待されると、こういう言い方にいたしました。

また1ページおめくりいただいて、指針の4−4でございます。監査法人が被監査会社としっかり意見交換を尽くすというところでございまして、被監査会社のCEO・CFO、それから監査役等だけではなくて、業務執行部門との意見交換も重要というご指摘がございまして、「監査の現場における被監査会社との間での十分な意見交換や議論に留意すべきである」という表現を追加いたしました。

またおめくりいただいて、原則5でございます。これは実質的な修正はございません。監督・評価機関、それから非監査業務の位置づけなど、原則4までにいただいた修正を反映させた修正を適宜置いたところでございます。

今日お示しいたしました案につきまして、事務局からの説明は以上でございます。

【関座長】

ありがとうございました。それでは、ただいま説明のありました、監査法人の組織的な運営に関する原則、監査法人のガバナンス・コード案につきまして、ご意見などを承ってまいりたいと思います。今回は分けて議論するということではなくて、一括してご議論していただきたいと思いますので、どなたからでも結構ですから、ご意見を伺えればと思います。

では、石原さん、どうぞ。

【石原メンバー】

ありがとうございます。今ご説明いただきました内容について大筋で異存はないのですが、幾つかコメントさせていただく、あるいはもう一回議論ないし、お願いをさせていただければという点がございますので、申し上げたいと思います。

まず1点目、これは私、監査現場でのコミュニケーションを深めることが必要であり、とりわけ監査リスクに対してきちんと現場で議論することが、監査の質の向上につながっていくということを強く思っておりまして、これについて4−4でしっかり記載していただいた点、これは大変よかったと思っております。ありがとうございます。

あと、従来から3点申し上げてきておりましたけれども、2点目につきましては、前回、委員の皆様からいろいろな意見を出していただいたと理解しておりますが、この2−2のところです。ここで私が申し上げてきたのは、そもそも高品質の監査というのはどういうことなのか、きちんと監査法人としても議論していただきたいということでした。

やはり今回の議論の1つの大きなトリガー、あるいは目的と言うと言い過ぎかもしれませんが、それは意図的な不正会計を今後抑止していく、そういうことができる監査を目指していく、そのためにはどういう監査であるべきなのか、それが高品質な監査ではないかと、そういった議論をきちんとしていく必要があるのではないか、そういう問題意識で申し上げてきたところです。

これに関して、私が具体的なお願いとして申し上げてきたのは、この2−2の最初のぽつのところで、「意図的な不正会計の疑い等」という一文を加えてはどうかということでした。これに対して、委員の皆様からのご意見というのは、まず上位概念があるのではないかということでして、先ほど原田室長のほうからご説明があったとおりですが、これに対して私は全く異存のあるところではございません。

社会の期待に応える監査でなければならないということでありまして、そのときの議論は、それで今現在考えるならば、この社会の期待というのは意図的な不正会計を抑止していくことではないかと、そういうことで基本的には皆様の意見はそんなに違わなかったのではないかと思っております。もちろん、ここに記載されている「監査品質に対する資本市場の信頼に大きな影響を及ぼし得るような重要な事項」といえば、それは意図的な不正会計のことであり、意味合いとして包含されることは間違いないと思いますけれども、やはり今回のこの提言、コードというものの位置づけというのを、その経緯も含めて明確にするという意味では、社会の期待に応えるものとして、この冒頭に「意図的な不正会計の疑い等」と書いた方が良いのではないかと依然として思っております。

もちろん、それがなくても、ここに書いてあるのはそういうことなんだということであれば、それはそうなのですが、何を今一番問題視してきた議論なのかということを考えれば、そこにその一文が入ることで、非常に意味合いがクリアになるのではないかと思っております。最後は、この言葉の中に包含されるのだから不要だということであれば、いたし方ないところでありますが、それを1点、申し上げておきたいということでございます。

もう一点は、高品質の監査ということについてです。これにつきましても、前回の議論を振り返らせていただきますと、高品質の監査ということを議論するということ、あるいは、それをアナウンスさせるということについては、八田先生のほうから、現実的には非常に難しいのではないかというご指摘をいただいております。私も難しいとは思います。しかしながら、実際にこの検討会の第2回だったか、配付されたPwCさんの報告書の中でも監査品質ということについて非常に重視した記載がなされるようになっておりますし、先般、私どもの監査を担っていただいておりますあずさ監査法人さんのほうからも、監査品質に関する報告書が出されていて、監査品質向上への取組という副題がついております。

この中で、あずさ監査法人としての監査品質に関する記載が多くなされているわけでして、当然のことながら、監査法人の皆さんも、監査品質、どういう監査であるべきか、ということについての問題意識を非常に持たれているということです。したがって、今後、この問題をきちんと監査の現場においても議論をし、ほんとうの意味で監査の高品質化というのを進めていくためには、やはり高品質の監査というのは何なのかということについて、監査法人の経営機関の役割として記載するのは画一的過ぎるということであるならば、例えば1−2に、法人の構成員が共通に保持すべき価値観というのがありますから、その前に「高品質の監査のあり方等」と入れるなど、どこかに高品質の監査は何かということを考えていかなければいけないということを織り込んでいただけないかと思います。それが今後、今回のコードを踏まえて監査品質を向上させていく上での1つのキーワードであると考えております。

この2点、何度も同じようなことを申し上げて恐縮ですけれども、繰り返しお願いをさせていただきたいと思います。もちろん、委員の皆様のご意見を踏まえて最終的にご判断いただければと思います。以上でございます。

【関座長】

それでは、今石原メンバーからご指摘のあった、大きく言って2つ、意図的不正会計の疑い等という表現を2−1のところに、そういう表現を入れるかどうか。それから、もう一点は、高品質の監査というのは一体何か、それを監査法人としてきちっと議論すべきだという趣旨のことをどう表現するか。1つの石原さんの提案は、1−2にそういう事例を入れたらどうかということだったと思いますが、委員の皆さん、この点についてどういうふうに考えるか。一つ一つ決着をつけていきたいと思います。

八田先生、どうぞ。

【八田メンバー】

ありがとうございます。前回も申し上げましたが、まずこの2−2のところに「会計監査に対する社会の期待に応え」という表現が入ったことに対して異論はありません。ただ、これは否定しませんけれども、一般の人たちが監査結果に対して抱く期待というのは、おそらく不正は見逃していないということでしょうから、そのことを明示したほうが良いといった議論があることも承知していますが、実は監査が達成すべき目標というのはそれだけではないということです。というよりも、まず私は石原さんにお伺いしたいのですけれども、例えば経営の品質とは何ですかと問われて一義的にご説明できるというのでしょうか。

あるいは、この不正は誰が犯しているかというと、前回も申し上げたように、企業サイドの関係者であるということを十分に認識すべきだということです。例えば、泥棒と警察の関係であれば、盗人が自分たちの犯罪を警官が見抜けないのは由々しき問題だというようなものです。非常に粗い稚拙な表現ですと、盗人たけだけしいんじゃないかと思います。そうではなくて、もっと厳格な規律づけと倫理観が企業関係者になければならないということです。そういう前提を踏まえて監査が導入されているわけですから、ここに不正という言葉を明示的に記載するということは、逆に公認会計士監査に対する価値を低下させるのではないかなとの危惧を抱くことから、逆にもっと広い意味あいでの記載をすべきではないかと思っています。

つまり、2つ目の質問にもかかわるのですが、監査に対する品質というのは誰が見るかによって大きく異なると思いうことです。まずは監査の利用者、当然これには投資家もあるだろうし、経営サイドもあるかもしれない。あるいは監査を担当している監査人、さらには監査人を選ぶときの企業側の監査役会とか監査委員会、あるいは今ですと、モニタリングや検査レビューが入っていますから、当局といったところが、どのように監査の品質というのを評価して確認をしているのかということを考えたときに、この監査の品質というのは多岐にわたるものと捉えられています。

冒頭、私の名前が出ましたから申し上げましたけれども、実はこの監査品質に関しては、既に諸外国においてはかなり研究も進められており、我が国でも一部の研究者は精力的に研究を行っています。現在、財務諸表監査の結果としては短文式監査報告書しかないため、これで監査の実態を判定するということは難しいということから、逆に、多くの人々が考えるのは何かネガティブな状況、例えば、明らかに不当な監査だと判定されたようなときに、監査の品質が悪いと捉えられているものと思われます。監査が適切に行われているときにはなかなか品質の評価はできないのです。でも、それでは監査に対する社会の本来的な信頼を得ることができないということで、この監査の品質というものを見定めるために何か代替変数が必要ではないかということで種々検討がなされています。

これについては、アメリカの場合、アメリカ公認会計士協会の外郭団体である監査品質に関する監査品質センターというのがいくつかの検討を行ってきています。あるいは、PCAOBはこの監査品質の指標について、具体的に28項目を抽出しています。それも監査の品質を誰から見るかという点で、監査専門家から見た場合の監査品質を向上させるための条件、あるいは監査の実施プロセスにおいて監査品質を高めるだろうという部分での条件、さらには監査結果が利用者にとってどういうベネフィットを与えるかという点での条件、これらについて全部で28項目、具体的に列挙しているのです。

そして、願わくは、その評価項目について各監査事務所がそれぞれに評価をした結果を個別のクライアントに対して開示することで、監査契約のときの前提にすることを推奨しているようです。したがって、今ご紹介いただいた大手のPwCさんであれ、あずさ監査法人さんは、おそらくそういった考え方を踏まえて、クライアントないしは対外的にお示しになっているものと思います。これ自体、否定するものではないのですが、今ここで策定しようとしているのは、特定の監査事務所の話ではなくて、日本の監査制度の全体的な信頼性を高めなければいけないということではないでしょうか。

そういうときに、例えば不正といった個別の項目を書き込むということは、わかりやすいとは思いますが、今まさに監査品質とは何かということが学術的にも、あるいは実務的にもまだ途中の段階ですから、それはやはり時期尚早ではないかということがあって、私はこの現行どおりの書き方でいいのではないかという気がします。

それと、もう一つは、品質という問題が示されていますが、たまたま先般、アメリカのPCAOBの方に伺う機会がありましたが、向こうは、ちょっと話は飛びますけれども、ファームローテーションについては全く考えていないということです。その一番の理由は、この監査品質指標、Audit Quality Indicatorsというのですが、このAQIを各事務所が粛々と実践し、そしてその内容がクライアントを中心とした利害関係者に見えてくるならば、自動的に被監査会社はそれによって監査法人を識別することができるんだという言い方をしているわけです。

ですから、もう少しブレークダウンして、監査品質のサロゲートである指標を作れというならば、私は今後、例えばタスクフォースといったものか何かを金融庁がおつくりになって、あるいは公認会計士協会のほうで研究会をつくって、そうした指標を示すということはあっていいと思いますが、この段階で監査品質が何かというのはやはり難しいということです。少し長くなりましたが、一応ここまでのお話をしておきます。

【関座長】

どうぞ。

【國廣メンバー】

第1の論点についてなんですけれども、前回の議論で上位概念として社会の期待ということを申し上げて、それが2−2の柱書きに入って、体系的には非常にすっきりしているなと思うんです。その中で、意図的な不正、あるいは組織的な不正というものを例示的に入れるかどうかというのが今の議論だろうと思うんですけれども、私は入れたほうがいいのではないかと考えます。これが結論です。

その理由というのは、確かに監査というのは、単に不正の発見だけが目的ではないとはいうものの、不正発見というのは極めて大きな社会の期待であることには間違いないわけです。例示としては、少なくとも現時点において、一番大きな社会の期待はそこにあると思います。

しかも、今回たまたま東芝が1件あったからこれ(ガバナンス・コード)をつくろうとしているのではなくて、その前にオリンパスもありましたし、いろいろあって、さらにカネボウまでさかのぼると、不正の系列というものがここずっと10年以上にわたってあるわけです。ですので、やはりこの流れの、このガバナンス・コードというのも万古不易のものではなくて、改正等もあり得るべしというものであると考えるならば、やはり現時点においてはこの不正の問題というのは避けて通れないし、やはり例示として明示すべきであろうと考えます。

さらに言えば、不正をなくすのはもちろん企業側の問題でもあるし、金融庁というのもありますけれども、このガバナンス・コードというのはやっぱり監査法人に対するものであるので、監査法人としては、やっぱり社会の期待としてはそれをしっかりと見てよというところは、強くあると思いますので、私は石原さんの意見に賛成です。

【引頭メンバー】

ありがとうございます。今の不正という言葉を入れるかどうかという点の議論ですが、私は八田委員の意見に賛成でございます。ここでは特段入れる必要ないのではないかと思っております。なぜかといいますと、これはガバナンス・コード、おまけにコンプライ・オア・エクスプレインのもととなる原則について書いた部分と理解しております。今回、事務局のほうでわかりやすく、「会計監査に対する社会の期待に応え」と書いていただいています。

社会の期待というのは、前回も申し上げましたが、その時代、その時代でいろいろ変わっていくわけですが、そうした変化する期待に対して監査人の方々が非常に敏感になって、その時代に応じた形で、その時代の欲する質の高い監査を提供してほしいというのが、資本市場の関係者から見た思いだと思います。

先ほど國廣先生がおっしゃったように、確かに改正すればいい、随時見直せばよいというのは、そのとおりであるとは思いますが、先ほど申し上げたように、これは原則でもございますので、しょっちゅう改正するというのもいかがなものかと思う次第です。さらに、会計基準等が変わった際に、また要請されるものが違うということを考えますと、ここは特定するというよりは、各監査法人に時代の流れを考えていただくことが重要で、各監査法人の考え方を開示するときにどういうことを気にしているのかについてお示しいただくのがよいと思います。それは、先ほど石原さんがおっしゃったような、高い質の監査、高品質な監査とは何かという答えにはイコールになっていないかもしれないけれども、何に対して気を配って、気を付けて監査をしているのかについて書いていただくことも、高い品質の監査についての、1つの説明要素にはなるのではないかと思っております。

ですから、開示のところで工夫することにして、ここではそういう特定するような文言を入れなくてもよいのではないかと思います。以上でございます。

【関座長】

関根先生や、初川先生、ご意見ありますか、今の点に絞って。

【初川メンバー】

2つの点についてですね。まず、原則2の下にくる指針の中に「不正云々」という文言を入れるかということについてですが、現状、東芝問題もあった中で、世の中の期待がどういうものであるかということを考えれば、そういう文言を入れるという案も理解できますが、私は、今のままで良いのではないかと考えています。

なぜかといいますと、その趣旨は既に原案の指針の中で全体的に十分表現されていると考えるからです。それから、監査現場の立場から言わせていただきますと、やはり監査はバランスのとれた形でやっていかなくてはいけない。意図的な財務諸表の虚偽表示、つまり不正であれ、意図的でない誤謬であれ、財務諸表が歪むことに変わりはないわけですから。もちろん、不正の兆候があったときに、そこに重点的にリソースを投入し、時間をかけて監査を実施するということは当然のことで、今それを否定する監査法人はないと思います。

一方で、世の中があまり関心を持っていないところであっても、実は監査上重要となる局面もあるわけですから、あまりここで不正だけを強調し過ぎるのもいかがなものかと。先ほど引頭先生がおっしゃいましたけれども、ステークホルダーの目線で全体的な要求をこのコードの中で示して、あとは各法人がそれにどう対応するんだということを世の中に示していただくということでよろしいのではないかと思っています。

それから、先ほど来話が出ています監査の品質、高品質な監査の定義という点についてですが、私も、監査の品質というものが何なのかということについてはなかなか文章にしにくいところがあると思います。やはりそのとき、そのとき、その時代、その時代の世の中が求めるものもありますし、監査の考え方も変わってくる部分もあります。

私は、2ページにあります原則1の指針1から4のところ、これはこのコードの一番中心になる部分ですけれども、ここでもう全てを言い尽くしているように思います。監査の品質については、もちろんリスクを識別・評価をすることも非常に大切ですし、監査の手法を考えることも大切ですけれども、やはりこういう基本的なところ、人の育成であるとか、組織であるとか、コミュニケーションであるとか、そういうことをしっかりやっていく先に高品質の監査があるのだと思います。

ということで、そういう大きな世の中の要望というものをコードで示して、あとは各法人の特色というか、独自性というものを大いに発揮していただきたいと思います。どういうふうに各法人が考え、どういうものを大切と捉えて人を育て、監査を実施して、高品質な実効性のある監査を実現していくか。ここを各法人で考え、特色を出していただかないといけない。あまり画一的な方向に引っ張っていくのは、私は将来の監査品質の向上という観点からは、必ずしも得策ではないなと考えております。

したがって、今のままの表現が適切なのではないかと、私は考えております。

【関座長】

関根先生、いかがですか。できるだけ手短に。

【関根メンバー】

手短にということで、まず結論から申し上げます。今の2点に関しての文章は、このままでよいのではないかと思っております。

1つは、不正について、既に話も出ていますけれども、非常に期待されているということはよく認識しておりますが、期待に応えて、不正も含めていろいろな形で考えていかなければいけないというのが監査だと思っております。ともすると、不正という言葉だけを具体的な形にすると、八田先生も、検察型の監査が求められるように見えてしまうとおっしゃっていましたけれども、そこに気をとられ過ぎてしまうのではないかと思っています。もちろん、不正というのは、今現在一番重要なところかもしれませんけれども、対象となる企業によっても違いますので、そういったことも考慮すると、この形がよいのではないかと思っております。

また、高品質につきましては、これは前回も申し上げていることですが、再度考えてみましたが、前回と変わっておりません。前回申し上げなかったことをひとつ付け加えますと、私ども日本公認会計士協会では「監査品質の枠組み」という研究報告を作成し公表しており、そのときにも高品質な監査とは何かという議論を行っております。その際には、やはりいろいろな立場によって「高品質な監査」の見方が変わるという議論もしております。また、確かに監査法人がいろいろな報告書でも、品質の向上とか、そのようなことを言っていますけれども、私が気にしているのは、高品質な監査を定義するような形になると、そこがゴールになってしまうことです。品質の向上のゴールは常に動いていく、品質は常に向上していく必要があり、状況に応じて品質というのを考えていく。ですので、品質について議論することは必要ない、と言っていることでは毛頭ないとご理解いただければと思っております。

【関座長】

斎藤先生、ご意見、ございますでしょうか。

【斎藤メンバー】

大変難しい問題ですが、私自身の立場はニュートラルですから、言ってみればどっちでもいいといえばどっちでもいいんです。ただ、従来の議論からしますと、監査というのは再三議論されているように、不正の発見、摘発が一義的な目的でないのは言われてきたとおりです。しかも、会計の不正というのは、一種の確率的な事象であって、おそらくどのように制度を整えても、必ず繰り返し出てくる問題です。

したがって、不正という案件だけに特化して、それをチェックすることに注力し過ぎると、監査の本来の役割にとって一面的な方向に行かないかどうかは私も懸念いたします。基本的に監査というのは開示される情報が一定程度以上の信頼性を持っているかどうか、それを担保するものですから、一種のバランスの産物であります。

その意味で、私は、書くのであれば、不正の摘発も、その他の目的も、並列してこの中に書き込むということになると思いますし、そうでないならば、この2−2の最初のぽちに書いてある資本市場の信頼に大きな影響を及ぼし得るような重要な事項というのは、当然不正を含んでいるということで、このままにしてもいいのではないかと思っています。

【関座長】

これ、我々がどう考えたかという、前から石原さんがご指摘されていましたし、そういうことをちょっとお話しして、それでご了解をいただいたと実は思っているんです。先生方からもご指摘がございましたけれども、ここに資本市場の信頼に大きな影響を及ぼし得るような重要な事項ということを言っているわけですね。今の議論で考えると、意図的不正会計の疑いなんていうのは、まさに資本市場の信頼に大きな影響を及ぼし得る重要な事項にあたることは明らかなので、あえて例示をするかどうかという問題だと思うんです。

それで、先生方のご意見、いろいろ分かれているんですが、実質的には不正のことが入っているわけですから、これは事務局と、私も入って随分議論したんですが、あえて例示をしなくてもいいのではないかというふうに考えているということであります。

次に、高品質の会計監査とは何だという問題の取り扱いです。確かにこれをコードに書くべきだという議論が石原さんから提起されているわけですが、これは八田先生もおっしゃっているように、非常に言うべくして書くのは難しいわけです。監査法人に、考えて書いてくれということを石原さんは主張しているわけですが、私はなかなか難しいんだろうと思うんです。

また、実際書いてみても、美辞麗句が出てくる、あまり中身のないような話になりかねないのではないかという懸念もありますし、言ってみれば、2ページの指針のところに、1−1から4まであるわけです。高品質な監査というものは何だということを定義しなくても、監査法人の考え方というのは1から4までのところで相当出てくるのではないか。監査法人の運営の哲学なり、思想なりというのも、きちっと明確にしてくれということを言っているわけですから、ここに高品質の会計監査の考え方がそこはかとなく出てくるということでご理解いただいて、これも原案どおりでお願いしたいというのが、我々座長を含む事務局の意見なんですが、それで石原メンバーや國廣メンバーにご了解いただければと思いますが、いかがですか。

【石原メンバー】

委員の皆様のご意見、それから座長のご説明を踏まえますと、それでもういたし方ないと思います。ただ、最後に1つだけ、監査の品質ということについて、ひたすら監査手続を増やし、監査項目を増やし、それを全うすることが監査品質の向上であるという誤解だけはやはり避けなければいけないと思っております。そうではなくて、きちんと監査のリスクを評価して、重要なリスクに監査リソースを投入して議論をすること、これを徹底していくことが監査品質の向上につながっていくということだと思います。

ともすると過去は逆の方向で、手続を重ね、時間を増やし、調書を増やす、これが監査品質の向上と誤解されていたのではないかというところを非常に危惧しておりました。したがって、ずっとその点を強く申し上げてきました。ですが、実際に公表されておりますPwCやあずささんのレポートを見ても、また、関根先生や、初川先生、あるいは八田先生のご意見もしかりでありますけれども、高品質の監査、監査の品質ということを考えていかなければいけないということについて否定される方はどなたもいらっしゃいませんので、ここにどう書いてあろうが、なかろうが、そういうことを社会全体として目指していくということははっきりしていると思いますので、そう理解をするということで、私としては了解いたします。

【関座長】

ありがとうございます。石原メンバーのおっしゃることはそのとおりだと思います。そういうことも踏まえて、2ページの表現ぶりにしたというのは、そういう観点が入っていると思いますので、それでご了解いただきたいと思います。

それでは、そのほかに。この問題は、これで一応整理はついたということで、そのほかの論点にうつりましょう。

【國廣メンバー】

ほかの論点で。まず1ページの前段、下から2つ目のパラグラフなんですけれども、「本原則は、大手上場企業等の監査を担う大手監査法人」を念頭に策定されていると。その上で、本原則をいかに実践するかについては、各監査法人の特性等を踏まえた自律的な、コンプライ・オア・エクスプレインということは、これは大手だけを想定しているというふうに文脈からは読めますね。

そうすると、中堅の監査法人はこのガバナンス・コードは関係がないと読めてしまいそう。つまり、3行目で、ここの各監査法人というものは、文脈からいくと大手監査法人の一つ一つとしか読めないように見えるんですけれども、まず意図するところはどちらなのかというところを教えていただければと思います。

【古澤審議官】

前回の検討会でも申し上げましたとおり、本原則につきましては、4大監査法人は常識的に含まれるとした上で、それ以外の法人につきましては、本コードを採択するかどうか自体、各監査法人が自主的に決定されるので、4大監査法人以外も含まれると理解しております。

その上で、ご指摘のとおり、各監査法人がどうかということでございますけれども、事務局として準備させていただいた気持ちは、任意にコードの適用を行う監査法人も含まれ、そういう理解の上での文章になってございます。

【國廣メンバー】

そうすると、ここの「各監査法人」は、大手に限らずというものが含意されている。ただ、文面からいくと、どっちなのかなというのがややわかりにくい。

それと、次にコンプライ・オア・エクスプレインがかぶってくるんです。そうすると、中堅がコンプライ・オア・エクスプレインまでかぶってきちゃうふうにも読めてしまうんだけれども。つまり、大手監査法人は当然これに準拠し、コンプライ・オア・エクスプレインだと。中堅は、もちろん、これを自主的に使ってもいいよねと。ただ、コンプライ・オア・エクスプレインまでする場合も、しない場合もあるということを意味するのであるならば、あるいは中堅だって、一応これに乗っかる以上は、コンプライ・オア・エクスプレインまでワンセットだよということなんですかね。

【関座長】

わかりました。これは、國廣メンバーのおっしゃることはよくわかりますので、少し工夫をしてみます。意図は、4大監査法人は絶対これをやってもらいたい、強制ではないんですけれども、強制にほぼ近い任意だということです。また、中堅は、できるだけこういう考え方を入れてやってもらいたいということです。

【國廣メンバー】

ですよね。

【関座長】

ということですから、今後整理して、もう一遍修文し直します。

ほかに。

【八田メンバー】

今の件に関して、私も國廣先生と同じで、これ全体は大規模企業の大手監査法人を念頭に置いて策定されていると思うんです。でも、中堅、中小でも任意に採用することはあってしかるべきだと思っています。それから、もう一つ、このコードというのは、今後、機動的に見直すということも1つ、行政指導としてもあると思うんです。したがって、この前文の最後ぐらいに、なお書きか何かで適用の状況、つまり大規模法人以外のところも自主的に対応することを妨げるものではないといった文言を追加してはいかがでしょうか。と同時に、スチュワードシップ・コードなどは3年ごとを目途に見直すということのようですので、ここにも、そんなような一文を挿入してもいいのかなという気がします。

【関座長】

わかりました。ありがとうございます。

【八田メンバー】

それも踏まえて、この1ページのところで、具体的な数が書いてある箇所があります。つまり、5つの原則と、それに関する22の指針ということで。数字で示されているということで、わかりやすいのですが、例えば、指針は22だけでいいんですねという形で、画一的な議論になってしまう可能性もあります。少し意地悪な質問になりましたが、今後、実態として、このコードが運用され始めると日常会話で指針は22ですねなどと形式的な議論が先行するのではないかと危惧します。内部統制報告制度が導入されたときもそうだったのですが、そういった画一的、固定的な対応をしてほしくないということからも、原則についてはいいのですが、この文章を、例えば「5つの原則とそれを適切に履行する際に重要な指針からなっている」といったように、指針については数を明示しないほうがいいのではないかということを申し上げます。

【関座長】

なるほど、わかりました。

【八田メンバー】

それと、そういうふうに書いていただくならば、途中で社員の数が数百人とか、法人の構成員が数千人という記載についても、これ自体わかりやすいのですが、では、それに満たない場合はどうなるかという議論もあるでしょうから、どこからが大規模なのかわからないので、やっぱりもうちょっと幅を持たせるような一文が前文にあればいいなという気がします。

【関座長】

なるほど、わかりました。工夫してみます。

どうぞ。

【関根メンバー】

ありがとうございます。今の前文案の適用範囲として、大規模法人かどうかという、この下から2段目の記載ぶりは、私も同じ感想を持っています。多分、前回私が発言したことを踏まえて記載いただいたので、おそらくこの「各監査法人」というのは、古澤審議官がご説明したような意味だろうとは思ったのですが、これだけ読むとちょっとわかりづらいので、工夫していただきたいというのが1つ。

それから、それに関連して、ここで「第三者の知見を十分に活用すること」というのが丸ぽつの3つ目にございます。これも、おそらく主眼となっている大手の監査法人は、第三者の知見を活用するということになるのかなと思いますが、これだけを読むと、本文で「例えば」と言っているのと、少しニュアンスが違うように読めてしまう気がします。

もうちょっと具体的に申し上げますと、第三者について、例えば……。

【関座長】

何ページですか。

【関根メンバー】

指針3−2では「課題等に対応するため、・・・その知見を活用すべきである。」となっており、課題がなかったら、第三者の知見を活用しなくてよいという話も、当然、理論的には考えることがあると思います。おそらく大きな法人というのは、課題に対応するため、第三者の知見を活用するということになると思いますが、それ以外のところも考えるとなると、若干3−2に書いてあるのとニュアンスが違うような気がしたので、そのあたりは範囲の関係とあわせて少しご検討をいただきたいと思います。範囲のところがはっきりすれば、多分第三者の知見の記載もわかるのではないかと思っています。その点は、少し気になっています。

【関座長】

ちょっとわからないんですが、規模にかかわりなく、私は第三者の知見はできるだけ活用すべきだと思いますよ。

【関根メンバー】

できるだけということですね。

【関座長】

ですから、第三者の知見というのは規模とは関係ないんじゃないですか。

【関根メンバー】

監査法人によっていろいろな規模があるかと思います。

【関座長】

それは、1人とか、2人は論外で、ある程度の組織的な規模を持っている監査法人であれば、できるだけ私は第三者の知見を活用したほうがいいと思いますよ。

【関根メンバー】

「できるだけ」という意味であればよいのですが、少し読みづらいなと思ったということです。

【関座長】

はい。

【関根メンバー】

範囲がはっきりしてくると、おそらく理解できるかと思っています。皆さん、自分の立ち位置で文章を読みますので、違う場合もあるのではないかという議論になるように思います。したがって、その点はこの範囲のところを少し工夫していただければと思っております。

【関座長】

はい、わかりました。

八田先生。

【八田メンバー】

4ページの一番議論になっているところでしょうし、おそらく座長の強い思いも入っているのではないかと思いますが、2−2のぽちの1つ目の主体的な関与についてですが、これは前回、私、コミットメントという言葉ですねということで了解したのですが、もう一回、よくよく読んでみると、そのあとの、ぽちの2つ目、3つ目、4つ目は、全部最後が何とかの「整備」という形で文章になっているんです。それに対して、1番目はもっとダイナミックなというか、動的な関与で、ちょっと文章の並びが悪いのではないかと、まず文法的に、そういう気がします。

それよりも、この思いは2−2の本文の2行の中に織り込むべきではないかと思います。例えばどういうことかというと、この「社会の期待に応え、組織的な運営を確保し、かつ、経営トップが主体的な関与を図るため、以下の事項を含め」云々ということで、全体にかかるような記載にしたほうがより良いのではないかと思います。

【関座長】

なるほど。

【八田メンバー】

そうすると、このぽちの1番目は今のような動態的ではなくて静態的な書き方、つまりスタティックな感じの表現になるはずです。そうすると、ここは例えば2行目、「適正な判断が確保されるための有効な組織体制の整備、及び運営に対するコミットメントの表明」といった記載になりますから、経営トップの使命として、いわゆる内部統制の統制環境の議論と全く同じになるということです。それをダイナミックに、あるいは主体的にトップがかかわるべきだというふうに読み取ることのほうが、私は自然だと思います。

あともう一個あるんですけれども、申し上げていいですか。

【関座長】

はい、どうぞ。

【八田メンバー】

2つ目のぽちです。この監査上のリスク等について云々というのですが、これは、それ以下の経済環境等のマクロ的な観点を含む分析や、意見交換をするための環境整備に向けての話なわけであって、もっと具体的に監査上のリスク等について云々ではなくて、「監査上のリスクの評価とそれへの対応等を図るために」必要な分析や意見交換を行い環境の整備ということで、ここでも内部統制の議論と全く同じ理解ができます。このように、もう少し具体的に置きかえていただかないと、監査リスク等についての分析というのはよくわからないわけです。

実は同じ表現は、後半のほうにも監査等リスクというのは出てくるのですが、ここはそのままで自然に読めると思います。8ページの4−4、ここでは、監査上のリスク等について云々というのは、全般的な話をトップレベルでお話ししていただくということですから、そんな個別の評価、対応なんて考えなくていいのですが、ここの前のほうは、もうちょっと個別具体的な話だと思いますので、もう少しブレークダウンした表現のほうが理にかなっている気がします。以上です。

【関座長】

2つ、問題提起されたと思うんです。これ、私の取りまとめたサイドの意向のようなものをお話しして、後で事務局のほうから補足していただきたいと思います。八田先生がおっしゃった後のほうは、私はそれはそれで結構だと思うんです。しかし、最初のほうは、主体的な関与というものを前文に入れて全部にかかるようにしろということで、この4つの一番上は、主体的な関与というのは、もう少しスタティックに書けないかということなんですが、これは私なんかが意図していることとは少し違うんですね。

といいますのは、ここに言う、一等最初に皆さんにご議論いただいた、監査品質に係る資本市場の信頼に大きな影響を及ぼし得るような重要な事項について、これを適正に判断するために経営のトップが、やっぱり主体的にかかわってもらいたいという強いメッセージを今回何としても出したいということで、ここに入れているんですね。

ですから、上のほうに入れるのは私はいいと思いますけれども、ここはダイナミックにやっぱり書くということが、これは私は監査法人構造の生命線だと思っているんです。それはどうしてかということは、前少しお話ししましたけれども、やっぱり自分が当事者意識を持って、責任を持って、例えば東芝事件であれば、それは数回にわたってそういう疑いがあればあるほど、トップが自らかかわるということを担保しないと、ああいうような事件は私は防げないと思うんです。

監査チームのトップというのは、それは有能な方々が担当しているんですけれども、相手も相当な経営者で、経営者とほんとうに対等に渡り合うということがなければ、つまりそういう主体的な関与がなければ、なかなか不正会計を含めて資本市場に大きな影響を及ぼし得るような重要な事項を解決していくことは私はできないと思うんです。

ですから、これはぜひここに座長としては書かせていただきたい、そう思います。八田先生、よろしいでしょうか。

【八田メンバー】

いや、異論はありますけれども、座長権限でお決めいただければと思います。

【関座長】

何かありますか。

【原田開示業務室長】

ありがとうございます。1つ目の議論は、今お伺いしたと思います。2つ目の八田先生からいただいた、監査上のリスク等についての表現でございますが、事務局も、もともと意見交換にかけていたものですからこういう書き方だったんですが、経済環境等のマクロ的な観点を含む分析にかけるとすると、監査上のリスク等についてマクロ的な観点を含む分析、読めなくはないかもしれませんが、少し趣旨が曖昧なのではないかと思う部分がございます。

例えば、監査上のリスクを把握し、これに適切に対応するために分析を行う、こういう言いぶりでいかがでしょうか。

【八田メンバー】

結構です。

【関座長】

それでは、ほかに。初川先生。

【初川メンバー】

今の議論になっている4−2の1つ目のパラグラフですけれども、今議論にあったこととちょっと違う観点で、若干細かい点になるんですけれども。組織体制の整備ということは、言ってみれば内部統制の一部のようなものですから、普通に考えますと、組織体制の整備及び運用と来て、並びに当該体制を活用した主体的な関与というような。要するに、整備、運用という言葉を入れたほうがわかりやすいなと思ってしまうんですけれども、何かここはお考えがあってこういう表現になっているのではないかと思いますので、ちょっとご説明をいただければと思います。

【原田開示業務室長】

我々の思いでございますけれども、組織体制の整備、運用と、それから、ここの1つ目のぽちの肝である当該体制を活用した主体的な関与という表現がございます。当該体制を活用した主体的な関与というのは、例えば組織体制に関すると、これは運用と少し重複があるのではないかと思いまして、今回、当該体制を活用した主体的な関与というのを強調する上で、前半の組織体制の整備及び運用、並びに関与としますと、その前半の組織体制の運用の部分と主体的な関与の部分がどういう関係になるのか、少しはっきりしなかったものですから、今回まさに経営陣にやっていただきたいことを明確にするためにも、前半は整備だけにしたと、こういう議論の経緯でございます。

【初川メンバー】

よくわかりました。ただ、私の意見としては、やはりこれは組織体制の整備、運用というのは1つの言葉、意味合いのある言葉というふうに捉えて、やはり整備及び運用、並びに当該体制を活用した主体的な関与と言うほうがいいのではないかなと思いますけれども、意見として申し上げさせていただきます。

【関座長】

よくわかりました。もう一遍考えてみます。

石原メンバー、どうぞ。

【石原メンバー】

私は今の点に関しては結構重要なポイントで、やはり原案のほうがいいのではないかと思います。もちろん、一般的な用語として整備、運用というのは一体的に使われるのかもしれませんが、ここでの記載においては、後半の「当該体制を活用した主体的な関与」、これが新たな問題提起であり、経営機関が、重要な個別事案の問題も含めて、しっかりと内容を把握して対応していくということに、議論の経緯からしても主眼があるということだったと思います。組織体制の整備、運用としてしまいますと、並列的な意味合いが非常に強くなって、主体的な関与ということが弱くなってしまうと思います。

今回の議論はそういうことではなくて、もともと前半の部分というのは書いてなくても、今までだって経営機関の役割としては当然あって、組織体制を整備するのは何かの目的で運用するためです。ただ、きちんと組織体制を活用するのは経営機関であり、またトップが主体的に関与していくということ、その意味合いが経緯的に非常に重要なので、原案のままのほうがいいと私は思います。

【関座長】

斎藤先生。

【斎藤メンバー】

あまり本質に関係ない、文章の表現になってしまってもよろしゅうございましょうか。まず2ページ、そもそもの原則1の文章なのですが、これは監査法人はという主語があって、監査法人の本来の仕事である会計監査という言葉が一番最後に出てくるのですね。それがちょっと気になっています。それが1点です。

それと同時に、並行して気になりますのは、冒頭の企業の財務情報の信頼性を確保し、資本市場の参加者等の保護を図り、国民経済の健全な発展に寄与する、といった要素が幾つか並んでいますけれども、ここは前の要素が後の要素の内容を限定しているという関係にありますので、その限定している流れがはっきり出るほうが、私は文章としてはいいのではないかというふうに思います。

どういう文章の表現にするかはお任せしますけれども、私の感じでは、冒頭、監査法人はの後、「会計監査を通じて」企業の財務情報の信頼性を確保し、としたうえで、資本市場の参加者等の保護を図って国民経済の健全な発展に寄与するという流れのほうが、さっき申しましたように、前の要素が後の要素の内容を限定するという意味合いははっきりすると思います。

そうでないと、例えば財務情報の信頼性といっても、例えば会計監査の枠外になることもあり得ますし、それから資本市場の参加者等の保護といっても、監査法人がやるのはごく限られた一部ですから、それが明確になるほうがいいだろうと思います。

それから、同じ原則1の部分で、後の方ですが、法人の構成員による自由闊達な議論を確保し云々となっています。議論だけするというのもちょっと気になりますので、自由闊達な議論と相互の啓発を促して、その能力を十分発揮させるとか、そういう文章のほうがいいのではないかという感じがします。

【関座長】

わかりました。ありがとうございます。

【斎藤メンバー】

それから、もう一点は、7ページの原則4であります。2行目に「法人内及び被監査会社等との間において意見交換や議論を積極的に行うべきである」という文章になっていますが、法人内については原則1で言っているのですね。ですから、ここでまた繰り返すというのも、原則の書き方としては、ちょっと引っかかる感じがします。むしろ書くとすれば、法人内はもとより、被監査会社云々という感じのほうがいいのではないかと思います。

【関座長】

なるほど。

【関根メンバー】

すみません、2点あります。1点目は、先ほど議論になっていました2−2の「主体的な関与」と「整備及び運用」の話です。検討されるということだったのでそのままにしておこうかと思っていましたが、また別のご意見も出たので、私の意見もお伝えしておきます。

確かにすべて並列に並んでいると、この「主体的な関与」の位置づけがわかりづらくなってしまうような気がする一方で、やはり「組織体制の整備」といったら「運用」も当然あるべきものです。「運用」がないと、監査人としては何か抜けている感があるので、ぜひもう一度ご検討いただきたいということです。

それから、もう一つは、監督・評価機関のところで、これは確認です。ここで、「監督・評価し」というのと「支援」というのは、前回いろいろと議論があったことを踏まえてこういう形になったと理解しておりますが、この「監督・評価し」と、「機能」、そして「外部の第三者の知見を活用する」――これは先ほど確認しましたけれども、大規模のところでは当然必要ということは理解していますが、そのときに、この組織のつくり方というのが何か一律に考えられているようにも読めますが、実際はいろいろなつくり方が考えられますので、そのように理解してよいかということです。

すなわち、監査法人のガバナンスをしっかりするために、監査法人が組織的な運営を確保し、公益的な役割を果たすために、監督・評価機関における外部の第三者の知見の活用の仕方についてはそれぞれが設計する、という趣旨でこのような書き方をされているのか、趣旨を確認しておきたいと思います。

【原田開示業務室長】

少し整備・運用の論点は置いておいて、今伺った後半の話でございますけれども、原則3の監督・評価機関のお話でございます。具体的にこれ、監査法人におきましては、いろいろな監督・評価を行う、または、いろいろな機能と分化しないけれども、監督・評価機能も担っている機関というのがある監査法人がおそらくございます。

それから、これから監査法人の中でこういう機関をどういうふうに設計していくかということも考えられていくんだと思います。その中で、例えば既存の機関、いろいろな名前がございますが、そういう機関と、それから、第三者の方を雇えば、それが公益委員会なりの形になるのか、それとも、既存、もしくは新設の機関の中に包含されるのか。いろいろな自由度があるかと考えております。

このコードにおける監督・評価機関がどのような新しくできる機関なり、既存の機関なり、それから公益委員会なり、どのようなミックスで、どのような形でガバナンス機関として機能していくかということは、繰り返しになりますが、これからの監査法人の自由度を妨げないということを我々、考えておりますので、それはそのような機能を担う機関全体としてこれから監査法人が自分で考えて開示していただければと、そのように考えております。

【関根メンバー】

ありがとうございます。ということは、監督・評価機関のつくり方、そして、「例えば」の前提で、外部の第三者の知見を必要とすべきである点は、非常に大きい法人は当然としても、ただ、その活用の仕方、活用をどういう形にするかというのは、まさに効果が出るような形で設計するという趣旨であることを理解しました。

【関座長】

局長、どうぞ。

【池田総務企画局長】

関根先生からのご指摘の趣旨、必ずしも正確に理解できているかわからないんですけれども、そもそもこのコード自身は、最初のほうの議論であるように、大手監査法人の場合であってもコンプライ・オア・エクスプレイン・ベースでの適用というのを想定しているので、そもそもこういうコードに対してどう考え、どう対応するかというのは各法人が考えるべきだというのは、そのとおりだと思います。

その上で、監督・評価機関をつくるときのつくり方についても、あまり画一的な書き方はしていないつもりですので、相応の幅がそもそもコードでは想定されているんだろうとは思います。

ただ、そもそもこの指針の出発点であるのは、原則3の原則があるわけです。この原則は監査法人の経営から独立した立場で経営機能の実効性を適切に監督・評価すると、それが目的で、全ての指針はそれに連なって存在しているので、設計の仕方、あるいは運用の仕方、あるいはそこの知見の活用の仕方は幅があるわけですけれども、まさにこの原則の考え方に沿った活用の仕方が行われるということを期待しているということだろうと思います。完全にそういうものを離れて、自由度があると原田室長が言っているわけではないと思います。

【國廣メンバー】

別の論点になりますけれども、3ページの1−5、非監査業務の部分です。これについては、非監査業務の位置づけという言葉でポジティブな面も、ネガティブな面だけではなく入れたというのはいいんだろうなと思います。ただ、このコードそのものの文言をどうするかという、より大きな話になるかもしれないんですけれども、結局監査法人に対するコードなので、あくまでも監査法人の中の業務の非監査業務なんですね。

【関座長】

そうそう。

【國廣メンバー】

でも、実際は別な株式会社をつくっちまったらどうなんだということになってしまうのだろうと。実は、実質的な利益相反というのはそっちにあるんだろうと思います。

ただ、このコードで別法人までつかまえにいくということは難しいとは思うのですが、ほんとうに真剣に監査法人側がその位置づけ、ポジティブ、ネガティブの両方をしっかり見てやろうとするのであるならば、自発的に監査法人内の非監査業務だけではなくて、同じグループの非監査業務も見に行くということになるんでしょうね。ただ、それはこれで強制する話ではないけれども、エクスプレインの中でそこまでちゃんと考える監査法人と、そうでないところというのは、おのずから真剣度というのが見えてくということにならざるを得んのかなと。

すみません、ここの文言をどうしろという話ではないんだけれども、実はでかい問題はそこにあるのではないのかなという問題意識を持っているということまでしか言えないかなと思います。

【関座長】

そういうことを含んで。

【國廣メンバー】

書けますかね。

【関座長】

いや、法人の業務における非監査業務の位置づけというのは、別法人にするということも含めての話ですね。

【國廣メンバー】

そうなんですか。ただ、文言が「法人の業務における」となっているから、法人自体の非監査業務に限定していると見えちゃうんです。もし、今座長がおっしゃったように、そこまで入るという解釈も、もちろん可能だということなんですかね。

【関座長】

分けてやるか、自分のところで全部やるかという話ですから、それは法人の業務における非監査業務の位置づけに入っていると理解しているのですが。

【國廣メンバー】

ああ、それであれば非常にいいなと思います。

【関座長】

何か言葉を補わなきゃいけないのかな。

【國廣メンバー】

とするならば、少し言葉を補ったほうが。これ文言解釈をすると、「法人業務における」という文言が、法人が直接やる業務というふうに読めるので、座長がおっしゃるような趣旨というのは私は大賛成です。もしそうであるならば、少しここをワーディングで、今おっしゃった余地を入れるような、やや幅広なものにしたほうがいいのかなと感じます。

【関座長】

わかりました。じゃ、検討しましょう。

【引頭メンバー】

3点ございます。1点目は、今の國廣メンバーの意見に大賛成ということで補足になりますが、もともと私はグループにおける位置づけという意であると思っていたのですが、確かにそういうふうに読めてしまう可能性があるのではと思った次第です。例えばですが、法人の業務と限定しているのが問題であり、「グループ内の」といった表現にすればよいのではないでしょうか。監査法人グループのグループの形は、持ち株会社になっているところもあるなど、多様になっております。

また別の問題としてグループのトップと、監査法人のトップが異なることもあるのではないか、という議論はあるかもしれませんけれども、やはり外から見るとすれば、企業グループ、企業集団としてどう考えているのか、という考え方のほうが知りたいわけであって、だからこそ、法とは少し違ったアプロローチとして、今回のガバナンス・コードが策定されていると思っております。

最後に、この「位置づけ」と書いていただいたのは非常にいいと思います。やはり人事ローテーションなどを含めて、幅広な位置づけについての考え方が示されることを大変期待したいと思います。

2点目ですが、いくつかの箇所で第三者の経営に対する支援という表現がありますが、前回、私はそれについて大変疑問を持っていたという話をさせていただきました。今回、監督・評価という表現になり、そういう機能を通じて経営の力を発揮していただくということが明確になりましたので、紛れがなくなったと思います。

これら2点についてはよかったことです。最後の1点ですが、4ページの指針2−2です。主体的関与とは何か、監査において主体的に関与するのか、というように思えたのですが、今回、組織体制を整備し、またその体制を活用して関与していく、ということで、この組織体制の中で行われる行動として、大変わかりやすくなったと思っております。この点は大変よいと思います。

しかし、8ページの4−4について、これは異議というより確認ですが、ここに書いてあることは、2−2において書いてあることの内容の一部のように見えます。業務運営をしている中では、監査法人のトップの経営陣、あるいは現場の人たちはこういうことをしなければいけない、という内容について特別に記載されているように私には見えたのですが。そういう意味では、先ほど整備するだけではなく、運用もというご意見がありましたが、まさにこの4−4の内容が私には運用の内容の一部のように見えております。

つまり、既に品質管理基準があり、その基準をきちんと守るために、組織や経営陣、現場でいろいろ工夫してください、ということが書いてあるわけです。そうした工夫については基準に書いておらず、具体的に何かと言えば、先ほど関座長がおっしゃったような、被監査会社のCEOやCFOといった経営陣と会話をしているか、そうした時間を作っているか、あるいは被監査会社がおかれている外部環境等について理解するために活動しているか、という具体的な行動に関して、経営者がきちんと関与して、場合によっては経営者自身がその行動を共にするなどして関与することによって、監査をするうえでの判断材料をきちんと集めているかということだと思っております。

ですので、これがそういうことであれば、2−2の言葉は整備だけでも逆に良いのではないかという感じがしております。4−4は特出しで運営の具体的な内容だというのであれば、私にとっては少し違和感がありますが、このままで全体としてバランスがとれるのではないかと思います。以上でございます。

【原田開示業務室長】

幾つかご意見をいただきました。國廣先生、それから引頭先生からいただいたご意見でございますけれども、まず法人の業務における非監査業務の位置づけのところでございます。グループ内の趣旨としては、それはグループ内に入るべきだと思いますし、我々も入れているつもりでございます。ただ、グループ内のことを書けば、わかりやすい一方で、コードの位置づけとの関係もあると思いますので、いずれにせよ、その趣旨がはっきりできるような言いぶりを考えてみたいと思います。

それから、支援のところは4−4のところでございますけれども、2−2に書かれているようなぽち1、ぽち2と、4のところの関係というのは、どっちかがどっちを含むという関係ではなくて、2−2のところは組織体制ということでございますから、経営機関の役割を明らかにせよと。4のほうは業務運営ということなので、引頭先生がおっしゃられたとおり、ここは業務運営にかかる部分だと、そういうご理解でよろしいかと思っております。

【関座長】

ほかにございますでしょうか。どうぞ。

【関根メンバー】

文章のことなのですが、念のため確認させて下さい。まず、この4−4のところは業務運営ということですので、2−2とあわせて読みますと、監査法人は通常、監査チームがしっかりとCFOなりCEOと議論すべきと言っているという理解でよいでしょうか。このことは、当たり前といえば当たり前ですが、それをあえて記載して、深度ある議論を尽くすようにといったことを言っており、監査現場における被監査会社との間で十分な意見交換や議論を行うことに留意すべきであり、そのために2−2で組織としてそのような体制をきっちり整備して、いざというときには、トップも含めてしっかり対応するという、両方がつながるイメージを思ったのですが、その理解でよいかどうかということが1つです。

それから、非監査業務についてですが、監査法人の運営を考えていけば、例えば監査法人そのものだけではなくて、監査法人が自らの業務に関連して会社をつくっていればそれも含まれてくると理解しています。ただし、グループというと、確かに事業会社の連結子会社のような形だとわかりやすいですが、監査法人の場合は、いろいろな形態があり、書き方によってまた誤解を生むことになるといけないので、その記載ぶりについては十分ご検討いただければと思っております。

【関座長】

ご意見など、よろしいでしょうか。どうぞ。

【石原メンバー】

今議論されておりました点についての、私も理解の確認ということになりますけれども、この2−2の最初のぽちというのは、監査品質に対する資本市場の信頼に大きな影響を及ぼし得るような重要な事項なので、非常に大きな事案が出た場合に、それをきちんと捕捉できるような組織体制を整備し、それが経営機関に報告されて、経営機関が主体的に関与していく。

これは、そういう大きな事案が発生した場合についての対応と理解しております。4−4につながるのは、その下のぽちのほうで、4−4のような業務運営を進めていくに当たって、経営機関は、監査上のリスク等について、経済環境等のマクロ的な観点を含む分析や、被監査会社との間での率直かつ深度ある意見交換を行う環境をきちんと整備をしておく必要がある。もちろん、そういったことを法人内で発信することも含めて。そして、それをベースに4−4でしっかりと、経営陣もそうだし、現場もそうだし、日常的な監査の問題として十分意見交換をしていこうと、そういう趣旨だと理解していますが。

【関座長】

それで結構です。石原メンバーに十分解説していただいたと思います。

【石原メンバー】

上のぽちからつながってくる話ではないと理解していましたので確認させて頂きました。

【関座長】

よろしいですか。それでは、私といたしましては、本日お示しした原則について、この案について、おおむね大勢的にはご賛同を得たのではないかと思っております。しかしながら、今日は随分私が予想した以上に活発なご議論があったわけでございます。本日いただいた意見を踏まえて、事務局を通じて各委員の方々と必要な調整を行ってもらいながら、本日の案文に所要の修正をさせていただいた上で、本検討会の原則案とさせていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。

ありがとうございます。先ほど申し上げたとおり、事務局を通じて必要な調整をさせていただきたいと思いますが、最終的な修正や原則案の公表時期や方法につきましては、私にご一任いただきたいと思いますが、いがでしょう。よろしゅうございますか。ありがとうございます。

本原則の今後の取り扱いなど、連絡事項があれば、事務局からお願いいたします。

【原田開示業務室長】

ありがとうございます。この原則案をいただきまして、調整等の後、金融庁のほうで、おおむね1カ月間のパブリックコメントの手続を行うことになります。そうさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

【八田メンバー】

すみません、ちょっといいですか。パブリックコメントを出すというお話ですが、今後、最終の確定版が作られた後、旧来の流れからいっても、あるいはグローバルなマーケットの議論ですから、英文のものも公表になると思われますが、では、パブリックコメントについても英文バージョンもで出されるのでしょうか。

【原田開示業務室長】

コードの英文も用意しようと思いますが、パブリックコメントの過程でどのように扱うかというのは、これから少し検討させていただければと思います。

【関座長】

当検討会での議論は今日で一区切りになります。メンバーの皆様方には、大変ご多忙のところ精力的なご議論をいただきました。まことにありがとうございます。それでは、これで閉会いたします。ありがとうございました。

―― 了 ――