第3回公認会計士制度に関する懇談会議事録

1. 日時:平成22年2月19日(金曜日)18時30分〜20時33分

2. 場所:中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

○岳野審議官

それでは、定刻になりましたので、第3回公認会計士制度に関する懇談会を開催させて頂きます。

本日は、皆様、ご多忙のところご参集頂きまして大変ありがとうございました。

大塚副大臣におかれましては、現在、この前の会議が長引いておりますが、少し遅れて入室される予定でございます。また、田村大臣政務官は、本日、急遽別の公務が入りました関係で、当懇談会は欠席させて頂きます。

本日は、開催時間の都合から、軽食を用意させて頂いております。お済みでない方は、どうぞ引き続き召し上がりながら会議にご参加頂ければと存じます。

本日の司会進行は、総務企画局市場担当審議官の岳野が務めさせて頂きますので、よろしくお願いいたします。

それでは、議事に入らせて頂きます。

まず、事務局から、配付資料の確認をさせて頂きます。

○土本参事官

それでは、配付資料の確認をさせて頂きます。

まず、資料1−1、合格者アンケート調査結果、資料1−2、合格者アンケート調査票、先ほどのアンケート調査に使った調査票でございます。続きまして資料2、これまでに出された主な意見と論点(案)について。資料3、これは石川委員のプレゼンテーションで使わせて頂きます「公認会計士制度に関する意見」。資料4、島崎委員の説明資料でございます「公認会計士制度のあり方について(産業界の視点から)」。資料5、事務局で後ほどご説明させて頂きます「公認会計士の資格取得後の質の確保に係る対策について」。横長の紙でございます資料6、日本公認会計士協会による「公認会計士試験合格後の質の確保・維持」の資料でございます。資料7、参考資料でございます。資料8、専門学校東京CPA会計学院からの「論文式試験実施方法についての提言」ということで、これは前回プレゼンテーションがございましたが、追加でご提案があるということで、今回は配付だけさせて頂くことにしております。

以上です。

○岳野審議官

それでは、本日は2つの議題につきましてご議論を頂きたいと思っております。前半は議題の1といたしまして試験・資格制度、後半に議題の2といたしまして資格取得後の質の確保という2つの議題でございます。

まず、議題1、試験・資格制度に入らせて頂きたいと存じます。このセッションにおきましては、まず事務局、それから日本公認会計士協会、それから石川委員、島崎委員より説明をお願いいたします。その上で、質疑応答、自由討議とさせて頂きたいと思います。

それでは、まず事務局からの説明をお願いします。

○内藤補佐

それでは、企業開示課の課長補佐でございます内藤でございます。土本に代わりまして説明させて頂きます。

お手元の資料1−1をご覧頂ければと思います。

公認会計士試験・資格制度のあり方の検討に役立てるために、公認会計士試験合格者の意識や実態につきまして、平成21年の実務補習所入所ガイダンスの参加者を対象にしまして、昨年12月にアンケートを実施いたしました。アンケート回答者の男女比率は、男性が8割、女性が2割、それからガイダンス参加者のほとんどは平成21年の合格者ということで、平成21年の合格者数1,916名でございますので、その約9割に回答頂いたというアンケートになってございます。

1ページおめくり頂きまして、最終学歴後の経歴でございますけれども、在学中に合格した者が全体の30.6%、卒業後就職せずに合格された方が37.6%、それから就職を一度されて、その後退職して勉強に専念された方が合わせて21.4%になってございます。

1枚おめくり頂きまして、合格者の年齢分布でございますが、平均年齢は25.8歳、最も人数の多いピーク年齢は22歳となってございます。これを経歴別に見ますと、在学中に合格した者の平均年齢が22歳、就職せずに合格した者が25.4歳、就職後に勉強のために退職して合格した者の平均年齢が29.6歳、退職後に会計士を目指して合格した者が31.2歳、それから企業・官公庁に勤務しながら合格した者が32.2歳というような分布になってございます。

1枚おめくり頂きまして、今ご説明したものをグラフにしたものがこのページでございます。

もう1枚おめくり頂きまして、次に、短答式合格までにかかった勉強期間ですけれども、平均は2.3年、最も人数の多いピークが2年となってございます。

短答式合格から次に論文式合格までにかかった勉強期間ですけれども、平均は0.9年、ピークはゼロ年ということで、短答式試験合格の年に論文式試験に合格している者が最も多いというような状況になってございます。

1枚おめくり頂きまして、これを経歴別に見ますと、在学中に合格した者の短答式合格までの勉強期間の平均は1.9年、就職せずに勉強した者は2.6年、就職後、勉強のために退職して合格した者は2.2年、退職後、会計士を目指した者については2.4年、企業・官公庁に勤務しながら合格した者は2.2年というふうになってございます。

次に、短答式から論文式合格までの勉強期間について見ますと、在学中の者は0.4年、就職せずに勉強した者は1.2年、就職後、勉強のために退職した者は0.9年、退職後、会計士を目指した者は0.9年、企業・官公庁に勤務しながら合格した者は1.1年というような状況になってございます。

1枚おめくり頂きまして、これをグラフにしたものがこのページ、それから次のページになってございます。

もう1枚おめくり頂きまして、9ページでございますが、次に、論文式試験受験時の職業が学生・無職等と答えた者につきまして、受験勉強の開始時期を聞きましたところ、最終学歴の学校卒業後と答えた者が28.4%、大学1年時が20.3%、大学2年時が19.3%となってございます。これを経歴別に見ますと、在学中に合格した者の多くは大学1年から2年に受験勉強を開始、それから卒業後就職せずに合格した者の多くは大学2年から4年もしくは卒業後に受験勉強を開始、就職後に退職して合格した者の多くは卒業後に受験勉強を開始しているという状況になってございます。

1枚おめくり頂きまして、次に、社会人の合格者に業務への応用の観点からあまり必要性の感じられない試験科目が何かということを尋ねましたところ、総じて選択式科目の必要性は低い。他方で会計学、財務会計論の必要性は高いというような回答結果になってございます。また、勤務で得られた知識や経験だけでは合格することが難しいと感じられる科目を尋ねたところ、会計学、経営学、企業法、財務会計論の難易度が高いという結果になってございます。

次のページでございます。これを職業別に見ますと、監査法人等職員では、経営学、企業法、経済学などについて必要性が低いとの回答が多くなってございます。他方、会社員・公務員につきましては、経済学、統計学、監査論などの回答が多いという結果になってございます。

難易度につきましては、監査法人等職員では、経営学、会計学、企業法などの回答が多く、会社員・公務員では、会計学、財務会計論、監査論などの回答が多いというような状況になってございます。

それから次のページでございますが、受験動機について複数回答を求めたところ、公認会計士資格の取得を挙げた者がほとんどとなってございます。それから、試験合格にとどまらず、公認会計士資格まで取得したいか、という問いに対しても、ほとんどの者が取得したいというふうに答えているという結果になってございます。

次のページでございますが、資格取得をしたい理由としましては、監査業務に従事するため、就職・転職・独立に有利なため、合格だけでは公認会計士と名乗ることができないためなどの回答が多くなってございます。

1枚めくって頂きまして、次に、学生・無職等の者のうち現時点で就職の内定が取れている者に内定先を聞きましたところ、ほとんどは監査法人、会計事務所となってございまして、それ以外についてはほとんどないという状況になってございます。

1枚めくって頂きまして、学生・無職等の者に就職活動の実施状況について尋ねましたところ、監査法人に就職活動を実施した者が全回答者の94%、監査法人以外に就職活動を実施した者は10%になってございまして、下の円にございますように、ほとんどの者は監査法人等のみに就職活動を実施しているという状況でございます。

1枚めくって頂きまして、監査法人等を希望する理由について尋ねましたところ、業務補助等の要件を満たしやすいため、実務補習所に通所しやすいためなどの回答が多くなってございます。逆に企業や官公庁等を希望しない理由について尋ねましたところ、同様に、業務補助等の要件を満たしにくいため、実務補習所に通いにくいためなどの回答が多くなってございます。

1枚めくって頂きまして、社会人の合格者に現在の仕事を続けながら資格取得・維持する上で障害となっていることについて尋ねましたところ、実務補習所に通うのが大変、実務従事の要件を満たすのが難しいなどの回答が多くなってございます。職業別にこの結果を見ますと、監査法人等職員につきましては、実務補習所に通うのが大変という回答が多くなっている一方で、その他の職業では、実務補習所に通うのが大変というのとともに、実務従事の要件を満たすことが難しいという回答も多くなってございます。

1枚めくって頂きまして、内定の取得状況ですけれども、経歴別に見ますと、在学中に合格した者は相対的に内定が取れている割合が高い一方で、卒業後、就職せずにまたは一旦就職した後に退職して会計士を目指した合格者につきましては、内定率が相対的に低くなってございます。それから、内定率を男女・年齢別で見ますと、基本的に年齢層が高いほど内定率が低い、それから全年齢層におきまして女性のほうが内定率が高いという傾向が見てとれます。

1枚めくって頂きまして、監査法人等に内定している者に、監査法人等就職後のキャリアパスについて尋ねましたところ、定年まで同一監査法人等に勤務との回答が最も多く、次いでコンサルタント会社へ転職・設立、民間企業等に就職などの回答が多いという結果になってございます。

それ以外に細かい内容につきまして、参考ということでつけさせて頂いております。

以上でございます。

○岳野審議官

副大臣がお見えになりましたけれども、今、続けさせて頂いてよろしゅうございますか。

○大塚座長

すみません、遅くなりました。

○土本参事官

幾つか補足をさせて頂ければ。

印象も交えてということでございますが、現状、学生あるいは無職の方の内定率、よく言われているように7割を下回る状態というのが事実としてわかりました。この理由も、どちらかというと現状は、学生側が企業訪問をしていないということで、企業側ではじいているわけではないというのが一つ、少なくとも現状においてはそういうことが見てとれるということでございます。

それから、資格に対しては、社会人系あるいは学生系ともぜひ取りたいと、こう言っているわけで、双方とも何が一番ネックかと聞くと、実務経験を得ることが非常に大変、それから実務補習に通うことが大変ということで、逆に言えば、これがあるがゆえにどうしても企業に就職したくないんだという意向が一つ現れていると。これは、前回、受験指導校のほうのアンケートでも出てきたものですが、それが今回確認がされたということでございます。

それから、現状の内定者はほとんどが監査法人でございますので、内定者の状況は監査法人の採用傾向というふうに考えていいと思うんですが、年齢が高いほど内定が非常に低くなっているということでございまして、他方で、最初のところの合格者の学歴を見てみると、案外、学生あるいはそのまま浪人になったというだけではなくて、一回会社に勤めて、それから一念発起して会計士を目指すと。なかなか働きながらでは難しいので、職をやめて受験勉強に専念するという、どうしても高齢の方になるわけですが、そういう方が多い。他方で、そういった方が監査法人を目指してもなかなか難しい状況にあるということが、もう一度再確認をされたということです。

他方で、合格した者に、特に監査法人に内定がもらえた人に、いつまで監査法人で働きますかと聞いてみると、それ以外の職を目指すという方が結構多くて、企業への転職を希望しているという方が20%いるということがわかりました。

以上です。

○内藤補佐

続きまして、資料2でございますが、これまでに出されました主な意見と、それを踏まえました論点(案)を整理させて頂いてございます。これまでに出されました主な意見を項目・分野別に整理した上で、出された意見を踏まえまして、右側に論点(案)を付してございます。

分野ごとに順を追ってご紹介させて頂きますと、まず、前回改正の趣旨と現状における評価につきまして、これまでに、改正の趣旨と現状における評価が共有されていないと混乱した議論になるのではないかといった意見や、経済社会の多様な分野で会計士が重要な役割を果たしていくことが求められているという前回改正のときの議論についての認識にはあまり差がないのではないか、現行制度のねらいは道半ばの状況にあるのではないかといったようなご指摘がございまして、こういうものを踏まえまして、右側の論点(案)でございますが、ここは論点(案)というよりは整理でございますが、前回の制度改正の趣旨としましては、公認会計士が経済社会の幅広い分野で活躍することが期待されているとの考え方に基づき、社会人を含めた多様な人材にとって受験しやすい制度となるように改正されたというふうに思ってございます。現状における評価でございますが、公認会計士の活動領域拡大のキャリアパスとしましては、合格者が監査業界以外に就職して専門的実務に従事する、それから社会人が合格して引き続き専門的実務に従事する、それから会計士が監査業界から監査業界以外に転職するなどのことが考えられますが、いずれも十分には進んでいないという状況ではないかと思われます。

次の分野でございますが、試験・資格制度の基本的なあり方につきまして、これまで監査証明をするための試験・資格と、ある一定レベル以上の知見を持った会計専門家の一つのメルクマールとしての試験・資格があってもよいのではないかという意見や、2ページの下のほうでございますが、資格登録と開業登録を分けるなどの仕組みをつくってはどうかというご意見、それから監査証明業務を業務として独占的に執行できる資格を国家付与する資格試験であるという特徴を見失ってはならないのではないか、その他、さまざまなご意見を頂きました。これらを踏まえまして、論点(案)といたしましては、1ページに戻りまして右下でございますが、監査証明業務を担う者の試験・資格と、会計専門家の試験・資格のあり方についてどう考えるか。会計専門家向けに何らかの資格・称号を付与すべきではないか、どの段階で資格・称号を付与すべきか、短答式試験合格段階か、論文式試験合格段階か、資格登録と開業登録を分けるべきかなどの論点が考えられるかと思われます。

1枚めくって頂きまして、3ページの下でございますけれども、実務経験につきまして、主なご意見といたしまして、当初の目的である質の高い公認会計士をしっかりと我が国として抱えるということにおいて、実務経験を積む場がないという問題にどう対応するか。それから、1枚めくって頂きまして4ページの上でございますが、合格者・受験者はどうしても監査法人でなければ嫌だとこだわっているわけではなく、補習所と実務要件の条件、これは条件が整えば、これは緩和すればということかと思いますが、一般企業への活動の場が広がるのではないか。それから、真ん中あたりでございますけれども、監査が中核となる会計職業専門家には、監査分野の十分な実務経験が求められるのではないか、一方で企業内の会計専門実務家については必ずしも実務経験は必要ではないのではないかといったようなご意見、その他さまざま頂きまして、3ページに戻って頂きまして右下でございますが、論点(案)といたしましては、実務経験要件についてどう考えるか。合格者が実務経験を積む場がないという問題にどう対応するか、実務経験要件を緩和すべきか、監査証明以外の業務を担う者の実務経験要件をどう考えるかといったようなことが考えられるかと思われます。

次に、実務補習について、4ページの一番下のほうでございますが、補習の内容が監査に偏しているのではないかといったご意見や、次のページ、実務補習は一般企業に勤務する合格者も通えるよう、カリキュラムや日程を簡素化して、継続教育に重点を移すのがよいのではないかなどのご意見がございました。こういうことを踏まえまして、実務補習についてどう考えるのかというような論点があるかと思われます。

5ページに移りまして、試験科目・出題内容・免除制度等についてどう考えるかということですけれども、ご意見といたしまして、英語や数学といった科目も問われてもよいのではないかといったご意見や、国際会計基準が出題されないといった点も整理すべきではないか。それから、面接等を課してはどうか。一番下でございますが、受験免除の仕組みは一般受験者との間に不公平を招くおそれがあるのではないかといったようなご意見がございました。こうした点を踏まえまして、右側に論点(案)といたしまして、どのような能力を求め、どのような試験内容とすべきか。英語や国際会計基準等の扱いについてどう考えるか、監査法人や企業が重視するビジネスコミュニケーション能力の評価を試験に加えるべきか、大学教授等に認められている受験免除制度はどうあるべきかといったようなことが考えられるかと思います。

5ページの下でございますが、大学教育要件につきまして、次のページに進んで頂きまして、国際教育基準の議論の中で大学教育レベルの基礎知識がないとプロフェッションとして認められないという流れが起きているのではないか。最終的に公認会計士を取得するまでには少なくとも大学の卒業要件ぐらいは課さなければならないのではないか。一方で、今の大学の状況は全入時代であり、そういう時代に学歴要件を課すべきかどうか。それから、会計専門職大学院との連動性を持たせて、受験詰め込み教育だけでは受からない試験にする工夫も要るのではないかなど、さまざまなご意見を頂きましたけれども、こうした点を踏まえまして、5ページでございますが、大学教育要件についてどう考えるか。大学教育を受験資格要件または資格取得要件とすべきか。要件とすべきという場合にも大学卒業まで求めるべきか。一般教養科目の履修でよいか。専門学校における高等教育をどのように考えるか。会計専門職大学院との連携のあり方をどう考えるかといったようなことが考えられるかと思います。

有資格者の活動領域の拡大につきましてもさまざまなご意見を頂きまして、監査法人の業務範囲をどうするか、人材の流動化を図るべきではないかといったご意見がございまして、右側でございますが、監査業界で経験を積んだ人材が幅広い分野で活躍するためにはどうあるべきか。監査法人で経験を積んだ人材が企業等に供給されて役割を果たしていく上で、監査法人の業務範囲をどのように考えるかといったことが考えられるかと思います。

資格取得後の質の確保につきまして、CPEのやり方をどう考えるかなどのご意見がございましたけれども、右側でございますが、資格取得後の質の確保についてどう考えるか。CPEのあり方をどう考えるか。資格取得前教育である実務補習との役割分担をどのように考えるか。監査証明業務を行わない者に対するCPEはどうあるべきか。それから日本公認会計士協会の自主規制機能のあり方についてどう考えるか。質の確保を図る上で、監査法人による監査の実施状況などについてどう考えるかといったことが考えられるかと思います。

論点はあくまでもご意見を踏まえて簡単に整理したものでございますけれども、ご紹介させて頂きました。

○岳野審議官

それでは、続きまして、日本公認会計士協会からご説明をお願いしたいと存じます。

本日は、公認会計士協会におかれましては、公認会計士試験合格後の質の確保・維持ということで、資料説明の用意を頂いておりますが、この懇談会ではセッションが2つに分かれておりまして、合格後資格取得までの議論、それから資格取得後の質の確保・維持ということで、大変恐縮でございますが、第1セッションにおきましては、公認会計士協会からご用意頂いた資料の前半部分、実務補習のところに焦点を当てたご説明をお願いいたします。

○黒田参考人(日本公認会計士協会副会長)

日本公認会計士協会副会長の黒田克司でございます。

それでは、ご指名ですので、早速ですが説明に入らせて頂きます。

恐れ入りますが、配付資料6の2ページをご覧ください。

ここでは、公認会計士試験に合格した後の公認会計士登録までの間と資格取得後の公認会計士協会による主な取り組みを総括させて頂いております。公認会計士登録以後の取り組みにつきましては、後ほど改めてお時間を頂くこととして、公認会計士試験に合格した後の公認会計士登録までの間の3年間のいわゆるインターン期間における合格者の教育・育成についてご説明を申し上げます。

公認会計士試験の合格者を会計監査の専門家として育成していくため、まずは合格直後の実務補習と監査事務所等での業務補助等によって、専門家として実務を行っていくための基礎を培うことになります。実務補習につきましては、この懇談会でもこれまでにその概要が説明されてきていると思いますが、改めて詳細をご説明させて頂きますと、資料の3ページをご覧ください。

現在の実務補習は、日本公認会計士協会が中心となり、経済界、学会など、関係各界のご協力を得まして、昨年7月に設立いたしました一般財団法人会計教育研修機構が実務補習団体として認可を得まして、4補習所、8支所を運営いたしておりまして、総勢約7,000名の公認会計士試験合格者が、主に平日の夜間18時から21時までの3時間と、土曜日の朝9時半からの終日、実務補習を受けております。修業年限は原則3年であります。なお、当年度から、企業勤務者などに配慮いたしまして、平日の補習の開始時間を19時に繰り下げて行うグループを設けることといたしました。

補習の内容でございますが、4ページをご覧頂きまして、ここに示しましたような補習科目の体系となっております。会計監査の専門家としての公認会計士の育成という観点から、監査・会計科目の占める割合が4割強と高くなっておりますが、加えて、税務につきましても約2割を占めるものとなっております。現場の実務は監査事務所ごとに異なりますので、実務補習では、主に実務を経験していく上で必要となる制度的なバックグラウンドや一般的な処理、手続、職業倫理などの基礎を、実務経験豊富な公認会計士が中心となって指導いたしております。また、ディスカッションやゼミナール形式での意見発表などを通じまして、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を高める機会も設けております。

これらの補習を3年間で、資料の5ページにお示ししておりますとおり、試験合格初年度に7割を割いて基礎を固め、実務につき始める2年目、3年目では、2割、1割と、その実務経験に応じてバランスをとって実施してきております。実務補習を修了するためには、この5ページ右上にお示しいたしました講義など、それぞれの所定単位を修得することと、それらを総合的に確認・判定する日本公認会計士協会の行う修了考査の合格が必要となります。

修了考査の状況につきましては、6ページにお示ししてございます。これが修了考査の内容でございます。

3年間の実務補習を通じまして、試験合格者は会計監査の専門家となるための基礎を習得していくわけですが、公認会計士となるためには業務補助等の実務経験要件も備える必要があり、多くの合格者は監査事務所に就職し、2年以上の業務補助要件を満たしております。業務補助と申しましても、現場でのいわゆるオン・ザ・ジョブ・トレーニングのみではなく、監査事務所内で実務補習とは別に事務所職員としての教育研修が相当の時間をかけて行われてきております。この監査事務所での教育・研修・育成の実態につきましては、監査事務所ごとに事情が異なりますので、本日のところは説明を省かせて頂きます。いずれ機会を設けさせて頂ければと思います。ありがとうございました。

○岳野審議官

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、中央大学の石川先生からご説明をお願いしたいと存じます。

○石川委員

中央大学商学部の石川でございます。本日は意見表明の機会を与えて頂きまして、誠にありがとうございます。

資料3をご覧頂きたいと思います。実は意見を表明せよということが事務局からございましたので、3ページ以降、下にページ番号をつけておきましたが、〔本文〕という小さい頭出しのところをまず最初に書き上げたのですが、10分程度の時間の中でポイントだけ意見表明したいということで、最初の2ページが、中身はほとんど一緒でございますが、〔意見要旨〕という2ページ、ここを中心に本日はお時間を頂戴して、私なりの意見を表明させて頂ければと思います。なお、私は、会計士も過去、2次試験は通って、会計士補として、今、士補は頂いているんですが、その後の実務従事等は全く経験ございません。送り出す側でございます。ずっと大学院、そして教員という形で来ておりますので、あくまでも学生に接している立場、教育者としての立場から意見を述べさせて頂きたいと思います。

また、私が在職する学部は、公認会計士を目指す学生が非常に多くおります。また私のゼミも、二十五、六年、ゼミをとっていますが、1学年15名から20名ぐらいのゼミ生については、2年生後半から3年生になる時点では大部分が会計士をとりあえず目指しています。その中で自分の将来を考えて就職に変わる者、別の資格、公務員試験に変更する者、それから受験浪人する者、または在学中比較的早めに受かる者と、そういう形で相談に乗ったりしている立場にございます。そんなところも交えながらまとめたものでございます。

そういう意味で、狭い経験でございますので、一般的な学生なり、あるいは学生からの延長の受験浪人生の一般的な、平均的な表明になるかどうかわかりませんが、標準的な学生はこんな形で会計士試験に取り組んでいるんだということで、あくまでも個人的な私見という形でお聞き頂ければと思います。

それでは、資料3のところから順序よくご説明と意見を述べさせて頂きたいと思います。

まず最初に、金融審議会での提言に基づいて今般の公認会計士試験制度の改正は行われたわけですが、そこにおける根本のところの考え方は私も賛成でございます。公認会計士あるいは会計そのものが経済社会あるいは日本全体の中で重要性を増して、また、いろんなところで専門家が力を発揮するというのは、これからますます重要になるだろうと、その認識は私も全く賛成であります。それを踏まえて制度について考える必要があるだろうという立場でございます。

2番目のところは参考までに書かせて頂いたのですが、まず公認会計士を目指すタイミングですが、これは非常に早いと言えます。大学ではキャリア教育という大くくりの言葉で呼ばれていますが、最初は就職支援だったものが、だんだん職業意識を持たせる、具体的にはコミュニケーション能力等を身につけさせる取り組みなど、大学ではキャリアセンターあるいは就職部というところにカウンセラーの専門家も配置して、面接の仕方からいろいろな相談に乗る体制ができております。これは大学によって多少違うでしょうけれども、そのような取り組みの中で、早い段階から職業意識を持たせる形になってございます。

また、高校生についても、高校生を学生として受け入れる立場でございますが、入試その他で、あるいは高校へお邪魔して説明会などで感じる印象では、相当早い段階から公認会計士を具体的にイメージしたり、また、インターネットでいろいろ調べる機会がございますので、公認会計士という職業については、進路担当者や父母のほうがむしろよく知らない、そういうことで、高校生本人のほうが一生懸命情報を集めて目指そうとしている、そういう状況でございます。ですから、大学入学前の結構早い段階で、特に私のところは商学部でございますが、また会計学科という学科も早くから設けている、そういうこともありますけれども、公認会計士を目指すためにこの学部学科を受験しましたという学生が結構多くおります。

また、大学入学後に公認会計士を目指すことを決める場合でも、結構早い段階で将来のことを考えて受験を決意することが多いと思います。

それから、会計教育については、正課と課外活動に分けて考えることができます。正課はいわゆる単位を付与する通常の授業のことですが、正課としての会計教育では、そこにも書かせて頂きましたように、専門職大学院を除くと、会計の分野あるいは公認会計士という職業を意識して、そして明確なカリキュラムに基づいて授業をするという形にはなってございません。むしろ商学とか経済学とか、もっと幅広い分野の教育の中でその一部として正課としての会計教育は行われているのが現状です。ですので、公認会計士を意識した会計教育については、ダブルスクールという言い方をしますけれども、正課の会計教育とは別に課外活動として受験勉強をするというのが実際でございます。目標意識を持っている学生は、そこに書きましたように、大学入学後ほぼ毎日10時間近くあるいはそれを超えるぐらい勉強して、二、三年後に結果を出すということになります。

在学中に合格という結果が出ない場合、どういう見通しを持って会計士試験の受験勉強を続けるのか。受験浪人というのは非常にリスクが高いということができます。大学からの就職支援は受けられなくなりますし、年齢も就職には相当不利になってきてしまいます。後のほうに、4ページから5ページでしょうか、受験浪人のリスクというのをちょっと書かせて頂きました。また、受験浪人後二、三年を過ぎますと、受験勉強そのものが徐々にだれてくるというのでしょうか、なかなか前向きに進んでいかないということもございます。ですので、実際に学生を見ていますと、4年生のときに、あと一、二年で合格できる見通しが持てるかどうかで受験浪人についての判断をしている学生が多いのではないかと私は見ております。

それから、実際の進路でございますが、簿記検定試験の1級を途中の段階で取る学生が多くいますので、それを生かして企業等の経理に進む学生、それから資格をあきらめて一般の就職、一般の就職は日本の場合ゼネラリスト志向が強いですので、営業でも、総務でも、いろんなところに配置転換されながら経理のほうに最終的に行くかもしれませんが、そのような形の採用にアプライするという場合が多くなっています。

それから、税理士試験への方向転換、こちらは意外に少ないです。在学生の場合、最初から会計士か税理士かを決める学生が結構多いです。ただ、税理士の場合は働きながら少しずつ試験にチャレンジできる、そういうタイプの試験になってございますので、30歳ぐらいまでに最終的に資格登録できればと考えて、そういう形で受験浪人をしたり、あるいは税理士事務所等に勤めながらチャレンジするという学生が、割合から言うと多い印象を持っています。会計士のほうはそういう形にはなってございません。

それから、課題のところですが、経済界等への進出ですが、まず環境整備ですね。公認会計士試験に受かっただけでは、あくまでもこれは会計士の卵にすぎませんので、一人前のキャリアがないだけじゃなくて、いろんな能力もまだスタートラインについたという位置づけで私は見ております。そういう意味では、経済界等で文字通り大卒の新入社員、新人社員と同じように育成するという部分、これをどう意識を持って環境整備できるかがポイントではないかと思っております。

それから、資格取得については、やはり高校生や大学生が目指す場合は、途中の資格で十分であるとは全く考えませんので、公認会計士という最終的な資格の取得にたどりつくことが重要になると思います。したがって、あまり中間資格が強調される制度改正では、若い人々はむしろ公認会計士を目指さないことになってしまうのではないかという印象を持っています。

それから、就職支援です。これは大学生の場合、大学では就職部等の支援からは全く切り離されて、合格者は独自に就職活動をしています。一般の就職、公務員試験等は、本学ではキャリアセンターと言っていますが、旧就職部ですが、そこでは対応しますが、会計士試験に合格した場合は通常は監査法人に行くことになるので、合格者が自分で準備をして監査法人の面接を受けてくださいという体制になってございます。ですので、経済界等へ行くルートができるのであれば、早い段階から、在学生については大学の就職担当あたりと協力・連携を持ちながら就職支援の体制を整備することが必要になるかと思います。それから、もっと大変なのは受験浪人です。受験浪人の受験生は、全く大学からも離れてしまいますので、しかも年齢がだんだん20代半ば、後半にいきますので、就職は一般の就職でも厳しくなる。そこら辺をどう考えるかということで、相当な支援が必要になるのではないかと思います。

それから、周知・広報ですが、今年度の初めから8月ぐらいまで、報告書を出されて資料も出ていますが、あの取り組みは非常にいいと思います。ただ、ターゲットについては、合格者、それから今受験に取り組んでいる学生その他の若い人たちに周知・広報しても、戸惑うだけだと思います。その人たちは、3年、4年前に、場合によっては高校生のときに会計士を目指そうとしていますので、そのときに、会計士は監査の専門家で監査法人に行きますということで目指しているわけですので、急に受かってから経済界等へのルートもありますと言われても、よほど切り替えができないと難しいのではないかと思います。ですから、多少、中長期的というか、もうちょっと長期的な視野に立って今の高校生あるいは中学生を対象として周知・広報を行う、そしてそのための前提となる環境整備に取り組む、これがいいと思います。

前回、専門学校でしょうか、アンケートが出ましたが、私は、これも狭い経験で恐縮なんですが、今年度というか、この4月から入ってくる入学生については、推薦入試等で面接をしたり、どうしてここを目指したのかということで、エントリーシートというのを書かせています。附属の高校生、あるいは商業高校、その他指定校というのがございます。そこからの学生に対してはそういう形で接していますが、面接をした同僚、それから私自身もそういう印象を持ったんですが、中には監査法人ではなくて、企業内会計士を目指したい、そのために会計士試験にチャレンジしたいので商学部入試に出願しましたという学生が結構目立ちました。同僚からは、何か中央大学で宣伝をしたのではないかと尋ねられましたが、どうもインターネットなどで、金融庁その他のホームページで、自分で調べたのだろうと思います。ですから、非常に活発に周知・広報活動を行えば、若い人たちは結構好意的に反応してくれるのではないかという印象を持っています。

それから、資格は最後まで取れるルートを確保することが重要だろうと私は思います。資料の本文のほうには書かせて頂きましたけれども、全く素人ですが、医者にも内科医と外科医、勤務医と開業医、あるいは専門医がいるように、そんな形で、公認会計士にも資格を取ってからいろんなルートがある、そのようなイメージに近いものであれば、若い人にはわかりやすいのではないかという感じがします。

それから、社会人の合格者ですが、ここでいう社会人というのは、この懇談会に参加するまでは私はよく承知していなかったのですが、既に経理その他で専門的な仕事に就かれていて一定のキャリアもある人々のことであり、その人たちをさらに伸ばしてあげたい、活用したいということのようでございます。そうしますと、ちょっとマイナスというか、そんな形での印象になってしまって申しわけないのですが、やはり今、公認会計士試験は、まず学問的な知識や能力を判定する試験だということ、それから難関な国家試験というのは、詰め込み教育とか受験勉強でけしからん、問題があるというご意見もたくさん頂くのですが、多少それを議論していきますと、初等・中等教育のゆとり教育あたりをめぐる議論と似たような議論になるんですね。やはり入り口の試験として、ある程度ハイレベルな試験というところは確保するのが、これは日本とアメリカでは少し社会の仕組みが違うところがありまして、日本の公認会計士の質保証の根幹はハイレベルな国家試験、相当程度の受験勉強をした上で、それが入り口になっているというところが重要なのではないかと思っております。そういう意味では、こちらも、むしろ若い人たちの合格者が企業等へどんどん進出するというのを待って整備をしていくのがいいのではないかという感じがしております。

お時間を大分頂いていますので、最後、簡単に済ませたいと思います。

その他として、試験制度についてですが、今日の論点整理にもございましたが、短答式と論文式の間にたとえば一定の実務要件を入れるということを考える場合には、一回仕事に就いてとなりますと、いわゆる受験勉強に集中するという態勢になりませんので、その場合は実務に就いた後の試験は文字通り実務経験を生かすような総合的な試験にすべきだろうと思います。今の論文式試験というのは多少実務的な知識も入っていますが、基本的には学問的な知識や能力を判定するハイレベルな試験となっています。したがって、短答式と論文式を切り離すことを考える場合は、試験の性格なり中身を慎重に検討することが必要となるのではないかという感じがいたします。

試験科目につきましては、IFRS、そちらを書かせて頂きましたが、いわゆるルールベースからプリンシプルベースに変わりますので、基本的な会計や監査の考え方と、それを実際に適用する際の専門的な判断能力が問われることになると言われています。そうしますと、その観点から試験科目も見直す必要があるのではないかとも思います。経済学等を必須の科目に入れるべきだというご意見がございましたが、経済学そのものが重要なのではなくて、会計の考え方を適用する場合、経済とか経営とか、その知識がなくて大丈夫かというちょっと違う意味合いから必要になるのではないかと思います。ただそうしますと、社会人の受験・合格が非常に難しくなりますので、そこはむしろ、実務補習等、合格後に対処するというのもひとつの考え方ではないかと思っております。

最後に、会計教育のあり方ですが、これはむしろもうちょっと中長期的にじっくり取り組んだほうがいいのではないかと思っております。先ほど言いましたように、大学の正課の教育は、まだまだ会計教育が前面に考えられる状況にはございません。経済学、あるいは商学、経営学の一部門として、しかも人材育成目的というのが文部科学省の中央教育審議会などで強調されており、我々大学の関係者もそれを踏まえて改革に取り組んでおりますが、その中に会計プロフェッションとか公認会計士というのを前面に出して教育をするというのは、まだまだ専門職大学院を除くと難しい状況にあると思います。ですので、もうちょっとカリキュラム等を、国際教育基準の話題が出ていますので、それらを踏まえて会計士にとって必要な教養、一般教育とは何か、そんなところも含めて、長い目で連携をとりながら検討したほうがいいのではないかという印象を持っております。

長時間頂きまして、申しわけありませんでした。

以上でございます。ありがとうございました。

○岳野審議官

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、住友商事の島崎さん、お願いいたします。

○島崎委員

島崎でございます。本日は、公認会計士制度のあり方につきまして、産業界の視点から意見を述べたいと思います。

資料4をご覧ください。

まず最初に、平成15年の公認会計士法改正時の議論を振り返りたいと思います。

私は、当時の公認会計士制度部会のメンバーでしたので、当時のことをよく覚えております。当時申し上げたのは、今後、会計プロフェッションのニーズが飛躍的に高まるので、そういう人材の育成が喫緊の課題であるということでございました。それは、会計をめぐる環境の変化を予見しての主張でありまして、その後に実際に起こった環境の変化を見ますと、当時の主張は間違っていなかったと思っております。

今日配付されました資料7の11ページに、当時の報告書の要約がございますのでご覧頂きたいと思います。

平成14年12月17日付の公認会計士制度部会報告の4の公認会計士の資質の向上と公認会計士試験制度のあり方という部分の(1)基本的な考え方という部分をもう一度見て頂きたいと思いますけれども、ここにこう書かれています。「公認会計士については、量的に拡大するとともに質的な向上も求められている監査証明業務の担い手として、拡大・多様化している監査証明業務以外の担い手として、さらには、企業などにおける専門的な実務の担い手として、経済社会における重要な役割を担うことが一層求められている。」と記載されております。さらに同じページの下の段の、4の(3)の公認会計士試験制度の見直しの具体的な方策というところでは、社会人も含めた多様な人材にとっても受験しやすい試験制度への見直しが必要であると記載されています。

ここで指摘された重要なポイントは、公認会計士に期待される役割は監査証明業務だけではないということであります。監査証明業務以外のコンサルテーションや経営サポートといったような業務の担い手及び企業などにおける専門的な実務の担い手としての期待が膨らんでいるということが、当時の議論での重要なポイントでございまして、この点について、産業界の視点は今も15年改正当時と何ら変わっておりません。むしろ内部統制、四半期開示、IFRSの導入といったように、会計プロフェッションに対する企業でのニーズは増大しておりまして、会計のプロフェッショナルの人口の底辺拡大が必要であるという業界の思いはますます強くなっております。したがいまして、安易に合格者数を減らしていくべきではないと私は考えております。

では、何ゆえ会計プロフェッションへのニーズが増大しているにもかかわらず、今、公認会計士試験合格者の就職浪人といったような問題が出てきているのでしょうか。その原因の一つに、監査ライセンス資格と企業のニーズのミスマッチがあると思います。

平成15年の改正時の議論では、公認会計士の役割は監査業務だけではないということがあれほど強調されていたにもかかわらず、残念ながら最後の制度設計のところで、公認会計士は監査ライセンス資格であるという枠組みを取り払うことはできませんでした。

具体的に申し上げますと、公認会計士試験合格者は、試験合格者というタイトルだけでは何の社会的地位もありませんので、どうしてもその先に進まなくてはなりません。そして実務補習や実務従事要件を満たして、修了考査に合格して初めて公認会計士という資格にたどり着くわけであります。ところが、最後の実務補習や実務従事要件、あるいは修了考査などが、一般企業に勤めている社会人にとっては非常に高いハードルとなっているわけであります。結局このハードルを越えなければ、名刺に書けるような意味のある資格に到達することができませんので、試験合格者は一般企業には入社せず、監査法人への就職を目指さざるを得ないという構造になっているわけであると思います。

このように、平成15年改正では、試験制度について、社会人にも受験しやすいようなさまざまな改善がなされたにもかかわらず、公認会計士イコール監査ライセンスという枠組みを取り払うことができませんでした。片や、企業が必要としているのは監査ライセンスではありません。企業が必要とする人材は、会計の体系的な知識に裏打ちされた実務経験が豊富でかつビジネスコミュニケーション能力の高い人材、潜在能力の高い人材であります。恐らくこの点については、監査法人が求める人材の資質も変わらないものと思います。

企業は、そういった人材を確保するために動いています。当社での事例を少々紹介させて頂きます。

当社、住友商事では、公認会計士資格保有者を積極的にキャリア採用しておりまして、現在、東京の本社だけで12名の資格保有者が活躍しております。この人たちは、この5年ぐらいに途中入社した人たちであります。また、活躍する場所も経理だけではなく、リスクマネジメントですとか、IT部門、あるいは海外、営業といったところで働いております。単なる経理の専門家ではなく、経理の知識を持ったビジネスマン、ジェネラリストとして採用し、ジェネラリストとして活躍をして頂いているわけであります。子会社も含めますともっと多くの公認会計士資格保有者が活躍しております。

資料7の35ページのところに、ニューヨークへトレーニーとして派遣した中途採用者の体験談が掲載されていますので、後ほどご覧頂きたいと思います。

もとの資料に戻ります。

試験合格者の採用についてですけれども、住友商事では、今年度から公認会計士試験合格者のための採用スケジュールを別途新たに設ける予定です。一般に新卒採用は4月、5月ごろがピークで、夏に海外の大学卒の人を採用していますが、公認会計士試験の合格発表が11月ですので、公認会計士合格者のために、通常の新卒採用と全く同じプロセスで採用活動を行いたいと思っております。したがって、他の新卒採用者と全く同じ条件で採用試験を受けて頂いて、合格された方には来年の4月に他の新入社員と同じ立場で入社して頂くということを考えております。また昨年は、会計専門職大学院の卒業生も採用いたしました。しかるべきタイミングで公認会計士の試験にチャレンジしたいと、こう言っております。

また、こういうケースもございました。住友商事に途中入社した女性の経理課長が、監査法人にUターンしてさらなる活躍をしているという例であります。この方は監査法人から当社に来られて数年間、経理課長として活躍していたのですが、ジェネラリストではなくて会計のスペシャリストとしてまた働きたいということで、もとの監査法人に戻られたわけであります。その後、パートナーに昇格されまして、現在、IFRSデスクの責任者としてその監査法人で活躍しておられます。パートナーに昇格されたときに、わざわざ私のオフィスまで来られたんですが、彼女いわく、住商での経理課長としての実務経験が高く評価されましたと、こういうことを言っておりました。こういう会計専門家の流動性が以前に比べ増えてきているということであります。

このような活動を始めているのは当社だけではなくて、会計プロフェッションのニーズを感じている企業は、同じような活動を積極的に始めていると思います。

ただ、基本的なニーズのミスマッチがある以上、こういった企業努力には限界があると思います。企業が求めているのは、監査ライセンスを持った人ではなく、体系的な会計知識を持ったプロフェッショナルです。今の日本には、名刺に印刷できるような会計プロフェッションを証明する資格はありません。

そのため、米国公認会計士試験を受ける人が多くいます。当社でも、二、三十名、合格者がおります。ご存じのとおり、米国公認会計士資格は海外の資格であって、米国公認会計士資格を取得する人は、本気で米国で監査をしようと考えているわけではないと思います。彼らが欲しているのは監査のライセンスではなく、自分の力を証明して名刺に書けるような資格が欲しい、そういうニーズであると思います。

米国公認会計士の試験はコストも大変かかる資格ですが、それでもある会計予備校のデータによりますと、過去数年間は毎年25%の比率で受講者が増えていると言っております。そのようなニーズが現実にあるということであります。ただ、単なる能力検定試験では、名刺に書けるような資格とはなりませんので、やはり資格として意味のあるものでなければなりません。そうすると、資格に優劣をつけるという趣旨ではございませんが、その会計プロフェッション資格を母集団として、その中から監査ライセンス資格を目指していくというような、いわゆる二重段階構造が望ましいのではないかと、こう思っております。

こういったことにつきまして、経団連で企業会計部会の委員会会社54社に緊急アンケートを行いました。回答率は40%で22社から回答がありまして、これをまとめたものが添付されております。

まず、Q1の監査ライセンスとしての公認会計士資格とは別に、会計関連知識を備えている能力証明としての資格は必要ですかという質問に対しては、68%の企業が必要と考えています。

Q2のそれは従業員のインセンティブとして重要かという問いにも、64%の企業が重要であると答えています。

Q3の資格を二段階構造にすることについても、同様に64%の企業が賛同されています。

Q4の短答・論文の難易度については、85%の企業が現行水準を維持すべきと答えています。この点については、平易にすべきであるという意見も多くなるのではないかと思っておりましたが、結果的にはそうではなく、資格としてのステイタスは維持すべきとの意見が大半だったわけであります。

Q5の監査ライセンス資格の要件については、緩和すべきという意見とすべきでないという意見が完全に割れました。

最後にQ6で資格相互乗り入れについても尋ねてみましたが、意見は割れております。

以上がアンケートの結果ですが、アンケートの中で寄せられたコメントも、次のページに紹介しておりますので、後ほどお読みください。

このようなコメントを見ても、資格制度というものの設計の難しさというものを感じます。ただ、現状を打開するには、やはり監査ライセンス資格の位置づけと会計プロフェッション資格としての位置づけを分離して、会計プロフェッション資格を監査ライセンス資格の母集団とすることであると思います。そのことによって、監査法人以外の職場で働く会計のプロフェッショナルの底辺を拡大する、それが重要です。その上で、その中から監査を目指す人が監査ライセンス資格を取得し、後年、再び企業などで活躍できる人材を育てていく、そういった大きな人材のローテーションのプログラムをつくっていく必要があると思います。

私からの報告は以上でございます。ありがとうございました。

○岳野審議官

ありがとうございました。

本日は、石川先生から、学生がどのように物を考えているかといったこと、それから当初事務局からご説明いたしましたが、合格者の実態から見てどうかということ、さらには試験合格後の実務補習の状況につきまして、公認会計士協会からご説明を頂いております。また、島崎さんからは、資格取得の基本的な構造のあり方についてご意見を頂戴した次第でございます。

これまで2回、本日3回目でございます。冒頭に事務局から資料2という形で、これまで出された主な意見と論点(案)という形で、少し議論を整理するための骨格のようなものを用意させて頂いております。もう一度資料2をご覧頂きますと、左側の項目・分野といたしまして、前回改正の趣旨と現状における評価、それから試験・資格制度の基本的なあり方について、それから3ページでございますが、実務経験について、4ページ、実務補習について、それから5ページ、試験科目・出題内容などについてといったあたりが、一つの大きなまとまりになっているかと存じます。

本日、この資料2をもとに詳細な論点を踏まえた議論をするにはまだ早いわけでございますが、本日はこれまでの皆様方のご意見を土台にさらに議論を進めるという観点からいたしますと、ここで整理させて頂きましたような、前回改正の趣旨と現状における評価、試験・資格制度の基本的なあり方、それから実務経験、実務補習、場合によっては試験の中身といったあたりを中心に、建設的なご意見を頂ければと存じます。

基本的に自由討議でございますので、皆様からご発言を頂きたいと存じますが、ご発言なさりたい方は、恐縮ですが挙手を頂ければと存じます。それでは、ご意見のある方、どなたからでもお手をお挙げ頂ければと存じます。

石川先生、もう一度どうぞ。

○石川委員

先ほど報告させて頂きましたが、資料2について若干の意見を述べたいと思います。

資料2の論点(案)にある前回の制度改正の趣旨についてですが、先ほど最初に申しましたように、この趣旨は私はいいんじゃないかと思います。それから、現状における評価ですが、その中の社会人が合格して引き続き専門的実務に従事という点については、多少難しい部分があるのではないかという印象です。ただ、長い目で見ると、監査業界以外のところに進出していくのは重要ですし、いずれはそうなるだろうという意味で、長期的にはそれほど難しいことではないかもしれないという感じを持っています。

次に、試験・資格制度についてですが、まず公認会計士という資格・職業は国際的に通用するような質の高い資格・職業であってほしいということ、そしてそれを踏まえて、若い人々にとってあこがれる資格・職業であってほしいというのが重要なポイントであると思います。

それから、試験制度については、先ほど言いましたように、日本とアメリカで大分違います。日本では入り口の試験として会計士試験があって、それが非常に難関な国家試験の一つとなっています。この点については長期的には日本の社会そのものが変わるべきだというご議論もありますので、ずっとそのままでよいということではないのですが、当面はやはりそこが根幹で公認会計士制度の質が維持されているというのが私の認識でございます。そういう意味では、入り口の試験というのを踏まえて、ハイレベルで、シンプルで、そして安定性のある試験、これがわが国の公認会計士試験にとっては重要であり、その後に課される実務試験等についてはいろいろと工夫ができるのではないか、そう思っております。

たびだび発言してすみません。

○岳野審議官

どうもありがとうございました。

それでは、大崎さんと小山田さんから手が挙がっておりますが、先に手の挙がった大崎さん、次に小山田さんということでお願いします。

○大崎委員

ありがとうございます。

私、公認会計士協会からご説明頂いた実務補習の現状に若干驚きまして、質問をしつつ感想を申し上げたいと思うんです。先ほど石川先生からもお話があったように、公認会計士試験は非常に難関だと知られているわけですが、その非常に難しい試験を突破した方が実務補習を受けた結果の修了考査の合格率が7割ぐらいということですね。そうすると、逆に言いますと、試験に合格した方のうち3割の人は、就職できるできないというのとは別の問題として、実務補習に行ったけれども資格が取れないということになるわけですね。もちろん何回かチャレンジされるということもあるのかもしれませんが。

これはどういうことなのかなというのが気になりまして、つまりそれだけの難関試験を突破したにもかかわらず、箸にも棒にもかからないような実は無能な人間であった、したがってはねられたという、こういうことであれば、ある意味しようがないということだと思うのですが、私も自分の若手サラリーマンの時代を振り返って考えますと、この実務補習の内容を見ておりましても、それを2年、3年続けて、さらに修了考査を受けるというのは、これは相当な精神力がないとなかなか難しいのではないかなと正直に思いまして。そこでちょっとお伺いしたいのは、このぐらいの合格率というのは、採点をされる側からすると、レベルに達していないからもうしようがないんだというふうにお考えなのか、ある意味では人数調整みたいなものがどこかにあってこういうことになっているのか、その辺の率直な感触を教えて頂ければと思うのですが、いかがでしょうか。

○岳野審議官

公認会計士協会さん、よろしゅうございますか。

○黒田参考人

黒田でございます。

この修了考査につきまして、確かに非常に難関と言われる試験の択一、そして論文を通って、さらに3年間の実務補習、そして修了考査と、こういう形で、その合格率が今約70%となっておりますけれども、これはそういった人数的な調整等々というようなことは一切行っておりませんし、6ページにも書いてございますように、総点数の60%基準ということで運営をいたしております。これは、いわゆる旧試験は3段階、5回の試験がございまして、国家試験としての3次試験というのがございました。これと実務の経験を踏まえたところをアセスメントするというのが新制度における日本公認会計士協会の役割でございますが、それと、基本的にはやはり質の維持という観点から同じレベルの運営をしているという結果、当時の3次試験の合格数とほぼ同レベルの結果になっているというのが実情でございます。

以上です。

○岳野審議官

大崎さん。

○大崎委員

今のお答えを伺って、私の意見なんですが、そうしますと、旧の3次試験ですと、仮に不合格ということになっても会計士補ということだったわけですけれども、この実務補習の修了考査ですと、これは何なんですか。要するに公認会計士試験合格者に戻っちゃうわけですよね、公認会計士ではないということですよね。

○岳野審議官

黒田さん、お願いします。

○黒田参考人

追加させて頂きます。

修了考査で3割ぐらいが不合格になるという結果でございますけれども、この修了考査を受けますのは公認会計士試験合格者でございまして、修了考査に受かりませんとその状態が継続するということでございまして、ただ、3年間、いろんな生活設計あるいはプランを持っている方がいらっしゃいまして、結構別途に税理士の資格を持っていらっしゃったり、あるいは別の業務に入っておりましたり、あるいはまた別の分野、先ほどの石川先生のように大学にいらっしゃるというようなことがございまして、その間、いろんなプランがあるのではないかなというふうには想像しております。

○大崎委員

それは確かにそうだろうと思うのですが、やはりこういった実態と、公認会計士協会の皆さんから見たら、従来の監査証明業務に従事する方としての水準をきちっと備えて頂くにはこのくらいのことをやらなきゃいけないというのとの調整を図る必要があるんじゃないのかなと思います。そういう意味で、先ほどの島崎さんのご意見と、私は基本的に同じでして、今の論文式試験まで合格したところで、きちっとした、難関の国家試験を突破したことを証明する、表立って書けるような肩書きを与えて、しかし監査業務をやりたいという人に関してはこういう補習所に行って頂くというような考え方が望ましいのではないのかなという気がいたします。

○岳野審議官

どうしましょうか、今、増田さんから手が挙がりまして、大崎さんと公認会計士協会のやりとりを踏まえたお話であれば、小山田さん、すみませんけれども先に増田さんからお願いします。

○増田委員

会計士協会の補足をさせて頂きたいんですけれども、実は実務補習という制度は、世界じゅうで日本しかない制度なんですね。これをまず理解して頂かなきゃいけない。それと、監査法人制度というのも世界じゅうにない制度です。これも理解してもらわなきゃいけない。今の実務補習において実務経験の座学によるものですけれども、補習をしています。例えば監査法人は税務業務をできません。だけど税務の知識は必ず監査業務にも必要です。だから、それも税務の実務という形で実務補習の座学ということでやっています。

最初に申し上げればよかったのですが、今の公認会計士試験というのは知識と技術といいますか、技能の試験になっておりまして、実務経験に裏打ちされたような知識の試験ではありません。そのために会計実務だとか、監査実務だとか、税務実務というものを教えるわけです。そこが実務補習なんですけれども、経営分析等もそうです。分析実務というのを教えるわけです。これはそこでやらないと、監査法人ではできないということもございますし、監査法人等で必ずしも経営分析の実務もやりませんから、そういう一般的なことを教えるということを3年かけてやっています。これをやらないと、本当に机上の空論だけの知識だけになってしまう可能性があります。

そういうことがありますので、従来は3次試験という形で国家試験をやっていたのですが、それに代わるような形で、こうした実務知識の確認を実務補習修了確認という制度をとっています。そういう状況です。

○岳野審議官

ありがとうございます。

それでは、小山田さん、お願いします。

○小山田委員

今、私ども、三菱東京UFJ銀行では、財務会計の分野に約100人以上の人材を充てて様々な業務をやっているわけですが、先ほどありましたように、IFRS、国際会計基準が入ってきますと、おそらくそれを1.5倍からもっと人を増やさないといけないんだろうというふうに思っております。

これも先ほどお話がございましたけれども、ルールベースから、どちらかというとプリンシプルベースということで、要はビジネスの実態を踏まえた様々な会計判断をしていくニーズがどんどん高まっていくだろうという大きな環境変化が一つあるということ。それからもう一つは、グローバル化がどんどん進んでいるという中で、グローバルに通用する会計人材を計画的に育成していかないといけないということがございます。それからもう一つ、日本ですとオーガニックといいますか、社内で成長していくだけではなくて、ノンオーガニックといいますか、様々なところでのM&A、経営統合という、一緒になっていくための様々な財務会計の負荷もいろいろかかってくると思われます。あるいは逆にそういうことをしっかりやらないとなかなか成長できないということで、私どもとしては、財務会計の体系的な知識を持った人材を計画的にぜひ育成していきたいというふうに考えております。

そのときに、一つ大事になりますのは、資格とのリンクをどう考えていくか、これはやはりインセンティブという意味もそうですし、体系的な知識をちゃんと持っているかどうかの一つの検証手段にもなるということで、そのすそ野を、こういう試験制度を変えて頂いて広げて頂くということは非常にありがたいことだと思います。むしろ日本がベースとしてそういうものを強くしていけば、今後いろんなグローバルな制度変更、あるいはグローバル化という流れにもきちんと対応できていくのではないかと。監査は、その土台の上にさらに監査を目指す人に対してさらにプロフェッショナルを追求していくというようなたてつけをとっていくことが、今、求められているのではないかと。日本の公認会計士制度を何のために直していくのかというと、やはり日本の経済とか、そういったものを視野に入れてグランドデザインをつくっていかないといけないということで、その接点として、先ほどからお話がある二段階論みたいなものは、十分意義のある話だろうと思いますし、そういう中で、いろいろその後の実務補習であるとか、実務経験とか、そういったものをうまく位置づけていけば、これは制度としては非常に新しい時代に耐え得るものになっていくのではないかと思っておりまして、ぜひそういった観点からグランドデザインを考えて頂ければと思います。

以上でございます。

○岳野審議官

それでは、八田先生。

○八田委員

今日、島崎さんのお話を伺って、大体のご趣旨はわかってきたんですけれども、どうも、公認会計士試験を会計知識を有する人材育成のための例えば能力検定試験とか、専門知識確認試験という性格の試験でいいのだといった理解による発想が見られると思うんですね。ただ、その場合にあっても今の監査独占業務を行う会計士資格制度とは相入れないので、その前段階の、そしてそれもできるならば社会人等の受験者のインセンティブを高めるために、会計士資格に準ずるような資格というものを与えたほうがいいんじゃないかという、多分こういったご意見だと思うんですね。

私自身、そのような考えについては、非常によく理解できます。しかし、本来の会計士資格の前段階かもしれないですが、会計とか財務に関して一定以上の知識を有する専門家に対して、いわゆる国家資格というものを、ここで言っている資格とは、単なる能力の判定ではなくて独占業務を担うという意味での資格ですが、それを与えるということは、当金融庁がやる仕事ではないと思います。そういった能力認定等は、民間の団体とか、あるいはほかの機関等でやればいいわけであって、それとごちゃまぜになった形で、ましてや二段階方式での会計専門家を容認するとなると、いわゆる監査独占業務を担う公認会計士とそれ以外の者を擁することになり、日本公認会計士協会の例えば会員とそれ以外として扱うようなことになると、それこそ大変混乱が起きると思います。

詳細については十分に知りませんが、例えば中国とかイギリスでは、同じようにセカンドティアといいますか、会計プロフェッションとは認知されていないアカウンティングテクニシャンと称されるような会計専門知識を持った人たちの集団があります。しかしそれは監査独占業務はできないし、国際的にもレベルが合わないということで、国際会計士連盟のメンバーシップも取れないということです。となると、例えば今の話を展開していきますと、第2公認会計士協会とか、そういうのもできるのかとなると、ますます考えられない状況があるということです。

したがって、そもそも能力検定といった性格の試験になってしまっているという新試験制度自体に、実は大きな課題があるわけであって、どういうふうに監査独占業務を担う国家資格を維持していくかについて真剣に考える必要があります。例えば一つの例ですけれども、私がなぜ会計士資格にこだわるかというと、監査独占業務を行う権限を有する公認会計士資格については実はものすごい権限が他にも与えられているんです。例えば税理士業務もできる、あるいは大塚先生もご存じだと思いますが、国会議員の政策秘書の資格、これは大変難しい国家一種試験にも相当するといわれていますが、その受験資格要件としては大卒というのがあるんですね。しかしこれは司法試験とか公認会計士の試験合格者であれば、認定だけでなれてしまうという、そういうような特典がいっぱいあって、ものすごい高い認知度が与えられて、評価が与えられているわけですよ。

したがって、そういうものとの整合性をちゃんと踏まえて公認会計士資格というものをどうやって維持していくのかという議論をして頂かないと様々なところで禍根を残すことになるのではないかと思います。先ほどから出ているご意見もわからなくもないし、そういうのも必要なんだろうなとは思いますけれども、何も会計や財務に係る業務は独占業務として扱う必要は全くないわけですから、まずその辺の識別をして頂きたいとおもいます。したがいまして、論点整理でも資格・試験制度のあり方ということで、能力試験なのか資格試験なのかということが示されているのだと思います。前回の懇談会では、公認会計士監査審査会の脇田委員と金子会長が、期せずして同じようなことをおっしゃられたのは、やはり最終的に独占業務を担う資格制度の試験ですよということをちゃんとわきまえて議論しないと、あらぬ方向に行ってしまうという考えがありますから、ぜひそこのところは厳密に議論して頂きたい。

それから、もう1点は、なぜか私が、若い人たちの参入を阻害するような制度改正を指向しているのではとの誤解が見られるようですが、全くそうではないということです。そうではなくて、かつての旧試験制度のときには1次試験として、これは一般的な学力の保持つまり大学教養段階程度の知識の修得という議論があって、大体大卒が基本的な受験要件になっていたわけですけれども、1次試験をやめるときに議論があったようで、当時にあっても、1次試験についてはもう受ける人がほとんどいないということ、だから役割を終えたということがあったと思うんですね。ただやはりあのときに一般的な学力を問う制度を廃止してしまったこと、例えば、英語力とか論文力とか国語力、こういうのが今の試験にはないということが、まず一つ大きな欠陥になっているということです。

それから、現実に2次試験に受かって業務補助をやる場合には、会計士補登録するためには未成年はできないということで、成人でなければいけないということがあったために、基本的に10代で参入はできなかったということがあります。現実に今、公認会計士法を調べましたら、第4条で欠格事由がありまして、公認会計士の最終資格登録は未成年はできないんですね。したがって、その辺は基本的に成人になった段階だということで、あまり早く仮に資格試験が受かったとしても実際に役立たない、つまり貢献できないという流れもありますから、その辺もわきまえて国際的に整合性ある形の一定の水準を維持するための方策を考えるべきであると、こう思います。

○岳野審議官

松井さんと宮口さんから手が挙がっておりますが、松井さん。

○松井委員

今の八田先生のお話はよくわかります。整理すると、監査業務という公認された独占業務がある一方で、会計という、必ずしも独占の必要性が認められない業務をどのように位置付けるか、こういう議論でしょう。一方で、住友商事の島崎さんがご説明されたように、会計という専門的能力について、一般企業のニーズは大いに存在するわけです。この能力にはさまざまな要素がありますが、例えば先ほど話題になりましたM&Aですとか、最近ではTOBも珍しくない中、こうした能力への企業のニーズは今後も拡大していくでしょう。こうした動きに歩み寄った形での公認会計士資格を目指すならば、島崎さんが資料の2番目に挙げられているように、ライセンスというものをめぐる企業のニーズと現状とのミスマッチに目を向けざるを得ません。

ところで、先ほど実務補習の説明がありましたので、科目の内容を見てみましたところ、例えば会計分野においても非常に重要な金融商品取引法に1コマしか割かれていないことや、M&Aの観点から言えば証券分析といった科目が含まれていないことに気付きました。証券アナリスト試験は委員の皆様はご存知でしょうが、財務分析、証券分析、あるいは経済といった、会計のみならず資本市場や経済理論に関わる科目が含まれています。この証券アナリスト試験を活かした上で、例えば簿記検定1級を組み合わせてパッケージとして考えれば、いま議論されているような資格としては、ひょっとしたら事足りてしまうのではないかとも思ってしまいます。何も改めて別途資格をつくる必要はなくて、実はそういった組み合わせで間に合ってしまうのではないか、こういった議論もあり得るのではないでしょうか。

というのも、島崎さんの経団連のアンケートにも、制度を頻繁に変更することを危ぶむ意見が挙げられています。特に、年毎に合格者数が大きく変動することなどは、難度を一定に保つ努力をしていると説明されても、受ける身からすればなかなか釈然とはしないでしょうし、国家が与える資格としての権威や信頼性が損なわれるのではないかと危惧しているからです。以前の会合で、私は、会計に特化した資格に対して安易に公認という言葉をつけてよいのかという問題提起をしましたけれども、公認という定義をもう一回整理してみないと議論は先に進まないのではないかと思います。さらに原点に立ち返れば、監査と会計を安易に分離していいのかどうか、一番大事なこの点をきちんと議論しなければ、この先の議論に、そもそも進んではいけないのではないかと思うのです。

○岳野審議官

それでは、先ほど手を挙げられました宮口さん、お願いします。

○宮口委員

ありがとうございます。宮口でございます。

先ほど八田先生がお話しになられましたように、公認会計士試験の意味はどこにあるんだということを改めて考えてみましたら、一番初めの論文試験で学問的知識を問うんだと。だから非常に若い人の合格者が多いんだというふうに,我々税理士会のほうでは認識をしております。その後、実務アセットを取得するために実務補習をされて、その実務補習で考査を受けられて、公認会計士の資格を有する者、いわゆる公認会計士試験合格者のその上の段階ですが、そういう方を税理士会としてはお迎えして税理士としての独占業務をやって頂いてもいいんじゃないかということで、公認会計士の方を税理士資格でお迎えしているというのが現状だろうと思います。したがって、もし今おっしゃるような学問的知識を持った肩書きで何らかのインセンティブを付与するんだということは、もしそのような議論が進むのであれば、税理士の公認会計士さんを受け入れる条件も当然変わってくるだろうというふうに考えております。

したがいまして、実務補習の修了考査が7割程度であるということも当然であると思いますし、また、公認会計士試験が、もともと15年の改正、あのときに目指されました試験の合格者を多くして質を上げるんだということの矛盾を正すことに対してどのようにやっていくべきだということをご議論頂くほうが適当かなというふうに思います。すなわち、税理士のほうは、公認会計士の先生方を我が業界に入ってくるなということではありません。ただ、そのように入ってきて頂く公認会計士の先生方というのは、実務にもたけて、しかも学問的知識を持っておられるんだという大前提を持っておるということをつけ加えさせて頂きたいと思います。ありがとうございます。

○岳野審議官

それでは、阿部さん。

○阿部代理委員

先ほど、島崎委員の説明と八田先生からのいろいろご意見があったんですが、それに対するまた反論という意味でございます。

私どものアンケートを題材にして島崎から説明させて頂きましたけれども、企業のニーズというのは、一定のレベルでの会計の知識を持っているということに対する何らかの能力検定みたいなのが必要だということと、それから、だからといって監査をやってもらうための資格では必要ないということであります。現実に今、米国公認会計士資格というのが非常に評価をされておりまして、恥ずかしながら私どもの事務局でも、日本資格の会計士も弁護士もいないんですけれども、ニューヨーク州弁護士と米国会計士はいるんですよ。それは、それが意味がある資格として認知されているので、現実にそのような資格を取りに行かれる方がいて、それを企業のほうが評価しているわけであります。

私ども、一定の会計能力を備えた者を、何も全員公認会計士協会に入れてくれとか、あるいは公認会計士と称させてくれと言っているわけじゃないんですが、もし何か新たな資格検定制度みたいなものを置くのであれば、現状の公認会計士試験と中身がそれほど変わらないものになるはずなんですよね。それなのに、国が関与する試験制度と、別途、民間がやるんだったら私ども経団連がやってもいいんですけれども、そういうものをつくっても全く意味がない話でありまして、できることであれば、今の公認会計士試験の考え方をもう少し広くとって頂いて、一定の会計の能力に対する検定試験と、そこから監査業務を志す方は別途先に進むということで、十分、今の試験制度あるいは領域の拡大ということで、私は対応できるんじゃないかと思うんですが。

○岳野審議官

複数の方から手が挙がっておりますが、誠に恐縮でございますが、本日、夜もふけてはおりますけれども、この懇談会はまだまだ先がありますので、この議論は、先ほど松井さんからお話がありましたように、少し整理をしないと同じことの繰り返しになりますので、また次回以降、整理をしながら煮詰めてまいりたいと思っておりますので、第2セッションのほうに移らせて頂きたいと存じます。ご理解頂きたいと思います。

議題の2、資格取得後の質の確保についてでございますが、まず、事務局、それから日本公認会計士協会から説明をお願いいたしまして、その後、質疑、自由討議とさせて頂きたいと思います。

それでは、まず事務局から説明をお願いします。

○内藤補佐

事務局から手短に説明させて頂きます。

資料5を見て頂ければと思います。

公認会計士の資格取得後の質の確保に係る対策についてということで、資格取得後の質の確保を図るための事項として、1ページ、それから2ページ目の6項目に分けてございます。そのうち1、2、3、6につきましては、後ほど日本公認会計士協会のほうからもご説明あると思いますので、ごく概略だけご説明させて頂きたいと思います。

1つは、継続的専門研修(CPE)でございます。これは、公認会計士が資格取得後においても、公認会計士法に基づいて、資質の向上を図るため研修を受けることが義務づけられているものでございます。3事業年度で120単位以上を受講することになってございます。実施は公認会計士協会のほうでされております。協会の自主規制として行っていたものを、平成16年度から法定化したものでございます。なお、平成15年の改正当時の議論としまして、公認会計士の登録の有効期間及び更新制度の導入については、CPEの効果を適切に評価した上で、導入する方向で検討することが適切ということになってございました。

それから、2つ目でございますけれども、品質管理レビューというものがございます。これは、協会が監査業務の公共性にかんがみ、会員の監査業務の適切な質的水準の維持、向上を図り、もって監査に対する社会的信頼を維持、確保するため、公認会計士法に基づき品質管理レビューを行うということになっているものでございます。品質管理レビューというのは、業務の運営の状況の調査をするということでございます。これも協会の自主規制として行っていたものを、平成16年度から法定化してございます。

それから、3つ目、これは公認会計士協会の自主規制として行っているものでございますが、上場会社監査事務所登録制度というものがございます。これは公認会計士協会が上場会社の監査を行う監査事務所の品質管理体制への指導・監督を強化し、監査の信頼性の向上を図るため、平成19年度から上場会社監査事務所登録制度というものを行っているものでございます。登録事務所数は約150事務所でございまして、そのうち取り消しが今まで行われたのは1件ということになっているということでございます。

それから、4つ目でございますけれども、公認会計士・監査審査会によるモニタリング制度というのがございます。これは、4ページをあけて頂ければと思いますけれども、公認会計士・監査法人が上場会社等に監査を行いますけれども、これに対しまして、先ほど2.でご説明しました日本公認会計士協会は品質管理レビューを行うわけでございますが、これに対して、この結果を日本公認会計士協会が公認会計士・監査審査会に報告いたしまして、これを受けまして、公認会計士・監査審査会が監査法人・公認会計士等を検査するものということでございます。検査の結果、必要があれば処分勧告を金融庁に対して行うということになってございます。この制度も、公認会計士法の法律に基づく制度となってございます。

8ページを見て頂ければと思いますけれども、実際の状況でございますけれども、協会による品質管理レビューにつきましては、平成20年度は120件行われまして、そのうち特に問題はないというような結論になりましたものが83件、それから品質管理に適合しない重要な事項が含まれるという指摘がありましたものが37件という状況になってございまして、それに対しまして、監査審査会による検査の実施状況としましては、報告徴収が37件、それから検査を6件、勧告を1件行っているというような状況でございます。

次のページでございますが、公認会計士等に対する行政による処分でございます。公認会計士法に基づきまして行うものでございますが、大きく分けまして業務管理体制の不備、それから虚偽証明、それから法令違反の3つに対するものがございまして、業務管理体制の不備に対する処分の結果としましては、9ページに一覧を載せてございます。それから、個別事案に基づきます処分につきましては、10ページを見て頂ければと思いますけれども、監査法人もしくは公認会計士が上場会社に対しまして監査をし、それにつきまして虚偽証明がある場合や、脱税等の法令違反がある場合には証券取引等監視委員会や国税庁その他の端緒を受けまして、金融庁のほうで公認会計士・監査法人に対して調査を行い、その結果について公認会計士・監査審査会に意見を聴取した上で処分を行うと。この金融庁による処分とは別に、また日本公認会計士協会のほうでも調査・処分をするというスキームになってございます。

このスキームに基づく結果でございますけれども、11ページを見て頂きますと、公認会計士法に基づく処分事例としまして、18年度以降、9件の処分が行われております。

それから、12ページでございますけれども、法令違反というのはご覧のとおりの結果になってございます。

続きまして、13ページでございますけれども、証券取引等監視委員会による虚偽記載の勧告・告発ということで、これは公認会計士に対するものではございませんで、会社の開示書類に虚偽記載等があったものでございますが、証券取引等監視委員会の体制が強化されたことですとか、課徴金制度が導入されたということもございまして、近年、勧告・告発件数は増えているということで、虚偽記載の件数というのは増えているというような状況でございますけれども、一方で虚偽証明に対する処分の状況というのは、先ほど11ページでご説明いたしましたように、年間でいくと二、三件という状況にとどまっているという状況でございます。

2ページ目に戻りまして、日本公認会計士協会による自主的処分でございますけれども、この点につきましては、後ほど公認会計士協会のほうからご説明があると思います。

以上でございます。

○岳野審議官

それでは、公認会計士協会からご説明をお願いいたします。

○黒田参考人

日本公認会計士協会副会長の黒田でございます。

それでは、改めまして、今度は公認会計士登録後の公認会計士の質の確保・維持に係る日本公認会計士協会の取り組みをご説明させて頂きます。なお、一部品質管理レビューに関しましては、担当の友永道子副会長にお願いすることといたしております。

改めまして資料6の2ページをご覧頂きたいと思います。

先ほどご説明申し上げました公認会計士試験の合格直後の実務補習と監査事務所等での業務補助等によって、専門家として実務を行っていくための基礎を培い、公認会計士としての登録を行った者は、公認会計士として実務に従事していくことになります。この実務を経験していく過程では、協会が制度化しております公認会計士の生涯教育としての継続的専門研修、CPEでございますが、日々研さんを積むことになります。このCPEでは、年間20時間20単位以上、3年間で120単位以上を履修し、これを協会に報告することが義務づけられております。職業倫理は、全会員必須の科目になってございます。

また、公認会計士の独占業務である監査業務の質的水準の維持・向上を図るため、品質管理レビュー制度を設け、公認会計士法上の大会社等の監査を担当している監査事務所の品質管理体制を定期的に確認し、必要があれば改善を勧告し、改善状況の報告を受けております。CPEが公認会計士個々人の資質の保持・向上であり、一方品質管理レビュー制度は、公認会計士で組織する監査事務所としての資質の向上を目的とするものであると考えております。品質管理レビューにおきましては、さらに上場会社監査事務所登録制度として特に社会的影響の大きい上場会社の監査を担当している監査事務所につきまして、一段ハードルを高くし、監査事務所の概要や品質管理の状況を開示する制度を設けております。

こうした取り組みに加え、自主規制団体としての公認会計士協会の規律を確保していくための制裁制度を設けております。ただし、これはあくまでも協会会員としての規律を維持していくためのものであり、公認会計士法によって公認会計士に与えられている業務上の権利を制限するものではございません。業務上の規制は、行政による制裁、すなわち業務停止や登録抹消の懲戒処分を行うということになるわけでございます。

それでは、CPE制度、品質管理レビュー制度、制裁制度につきまして、もう少し詳しくご説明を申し上げたいと存じます。

公認会計士として登録した者は現場の戦力として活動していくわけですが、当然に日々刻々と変化する経済情勢を踏まえ、各人が日々の研さんを積んでいく必要があるわけでございますが、これを支援するために、日本公認会計士協会ではCPE制度として一定の単位数の研修の履修とその結果の報告を義務づけております。

資料の7ページをご覧頂きたいと思います。

資料7ページにCPE制度の概要をお示ししてございます。ここにも記載してございますように、今年度から3年間で120単位以上の研修を受け、その中では職業倫理やさらには法定監査業務に従事する公認会計士への品質管理に関する研修が必須化されております。日本公認会計士協会のCPE制度の履修率は、次の8ページにお示ししておりますとおりでございますが、平成20年度では約96%強になってございます。

自己研さんの方法はさまざまでございますが、その次のページの9ページでございますが、ここにお示しいたしましたとおり、集合研修、いわゆる講義形式の研修に参加することが中心になっております。ただし、研修の機会のすべてを協会で用意するわけにもまいりませんので、監査法人などの会員事務所が自発的に行う事務所内の研修への参加も単位として認めることとしております。9ページの右側の表をご覧頂ければおわかりのとおりでございますが、協会本部や地域会が提供する研修機会以上に、会員事務所が自発的に研修に取り組んできております。

CPE制度のカリキュラムにつきましては、その次の10ページに抜粋をお示ししてございますが、体系的には実務補習の補習科目を引き継ぐような形になってございます。

以上が、公認会計士個々人の資質の維持・向上を支援するために展開している協会の施策でございますが、公認会計士によって組織される監査法人などの監査事務所における監査業務の品質の確保という観点からの施策、品質管理レビュー制度につきまして、友永副会長にご説明頂きたいと思います。それではお願いいたします。

○友永参考人(日本公認会計士協会副会長)

日本公認会計士協会の友永でございます。よろしくお願いいたします。

資料の11ページをご覧頂きたいと思います。

日本公認会計士協会では、平成11年から自主規制の一環として品質レビュー制度を導入しております。当初、上場会社の監査を担当している監査事務所を対象に、その品質管理状況をチェックするものとしてスタートいたしました。平成15年の公認会計士法の改正により、独立性を担保するための業務制限の対象となる大会社等の概念が導入されたということ、それから公認会計士・監査審査会が創設され、協会の品質管理レビューがそのモニタリングを受けるようになったことから、レビュー対象の監査事務所の範囲を、大会社等の監査を担当している監査事務所にまで拡大をしてきております。

また、レビュー対象の監査事務所のうち、特に社会的影響の大きい上場会社の監査を担当している監査事務所については、上場会社監査事務所部会への登録を会則上義務づけ、その監査事務所の品質管理状況などを一般投資家の方に開示する上場会社監査事務所登録制度を創設し、平成19年度から運用を開始しております。

品質管理レビューは、協会の品質管理委員会の中に置かれた専任の27名のレビューアーが実際に監査事務所に赴きまして、公認会計士法などの諸法令、監査基準、監査に関する品質管理基準、協会の会則・規則等の中の品質管理に関する規定等のいわゆる品質管理の基準に準拠して監査業務を遂行しているかどうかをレビューし、その結果を監査事務所に通知し、必要に応じて改善を勧告し、さらにその改善状況の報告を受け確認をしているものでございます。

品質管理レビューでは、監査事務所が定めた品質管理のシステムが基準に適合しているか、監査事務所が当該適合したシステムに準拠して運用しているかをチェックするため、監査事務所を代表するような監査業務をサンプルとして抽出をいたしまして、品質管理の基準への準拠状況をレビューしております。

昨年の9月時点で対象監査事務所は250事務所、これは大会社等の監査事務所でございます。大監査法人は2年に一度、その他の監査事務所は原則3年に一度、レビューを受けることになりますが、そのうち上場会社監査事務所の場合には、レビューの結果、限定事項にかかわらず改善・勧告事項などの指摘があった場合には、その改善状況をフォローアップするためのレビューを受けることになりますので、大監査法人は毎年、その他の監査法人は3年に2度は協会の品質管理レビューを受けることになっております。

平成20年度の品質管理レビューの実施状況に関するデータは12ページにお示ししております。平成20年度につきましては、120事務所がレビューの対象でした。レビューの結果、限定事項のない結論を付された監査事務所が81事務所、限定事項付きの結論を付された監査事務所が37事務所ございました。限定事項は、事務所の定める品質管理のシステムの整備または運用に不備があり、そのために品質管理の目的の実現が阻害されていると判断された場合に付されるものでございまして、それほどの重要性がない不備で改善を要するその他の改善勧告事項と区別をしております。現在、レビューの結果、すべての監査事務所に改善勧告、これはその他の改善勧告事項のみが対象のものもございますが、それを勧告しております。また、平成20年度中には、その前年に改善勧告事項が指摘された上場会社監査事務所に対するフォローアップ・レビューなど、再フォローアップも含めまして実施しております。

上場会社の監査を担当している監査事務所は、上場会社監査事務所部会に登録をして、こうした協会の品質管理レビューの状況や監査事務所の概要、品質管理体制を一般に開示することになっております。昨年9月時点で登録している監査事務所は186事務所でございます。

13ページをご覧頂きたいと思います。

このうち上場会社を監査している事務所は146事務所、まだ品質管理レビューが終了していないので本登録にはなっていませんが、その審査中の事務所が40事務所でございます。上場会社の監査を担当しているにもかかわらず会員登録しない監査事務所や、品質管理体制などに問題があり登録が認められない監査事務所、登録の取り消しの措置を講じられた監査事務所、業務の全部停止等の処分を受け登録が取り消しとなった監査事務所は、未登録監査事務所としてその事務所の名称が開示されることになっております。

また、上場会社監査事務所部会に登録している監査事務所が品質管理レビューで会長報告となるような重要な限定事項を付された場合、行政処分や協会の懲戒処分を受けた場合には、その旨を開示する仕組みとなっており、その後の改善が不十分である場合には登録の取り消しとなります。こうした措置は、14ページにお示ししております。

以上です。

○黒田参考人

友永副会長、どうもありがとうございました。

時間が切迫しているところ、大変申しわけございません。最後になりますが、日本公認会計士協会の自主規制としての会員に対する制裁制度、懲戒処分につきまして、再び黒田からご説明を申し上げます。

15ページをご覧頂きたいと存じます。

協会の会員が関係する問題事案が発生した場合には、まず監査業務審査会で事実確認が行われ、その段階で必要があれば会長から当該関係会員に対して指示・勧告が行われます。しかし、協会の会則や倫理規則に違反する行為が行われていた可能性が高い事案につきましては、会長から綱紀審査会に対して懲戒処分の審査要請がなされます。この綱紀審査会は、日本公認会計士協会の会務執行を担う役員会から独立したものとして位置づけており、委員7名のうち2名以上は会員外の委員とすることとして、外部性を高めております。また、綱紀審査会の結論は直接関係会員に申し渡され、一定の不服申し立て期間、30日でございますが、これが経過した後、確定した処分を会長から関係会員に言い渡すことになっております。こうした監査業務審査会あるいは綱紀審査会などの活動につきましては、委員6名中5名が会員外委員という極めて外部性の高い監査業務モニター会議に定期的に報告され、モニタリング評価を受けております。

時間の関係もあり、駆け足となってしまいましたが、公認会計士の資格を取得した後の質の確保・維持に関する日本公認会計士協会の取り組みをご報告させて頂きました。どうもありがとうございました。

○岳野審議官

ありがとうございました。

資格取得後の質の確保というテーマにつきまして、それぞれご説明をさせて頂きました。

時間の関係で、残り5分ということになりましたので、大変恐縮でございますが、このテーマについての深みのある質疑は次回以降ということにさせて頂きまして、本日、ご出席の皆様の中でまだご発言の機会のなかった井上さん、上柳さん、伊地知さん、それから友杉先生、何かご発言がございましたらと存じます。このテーマに限らず広く、第1セッションも含めて何かございましたらお願いいたします。

それでは、上柳さん。

○上柳委員

すみません、ご配慮ありがとうございます。

一つは、後半のほうの関係で、質問というか、次回以降教えて頂ければと思うんですけれども、資料5で言いますと、13ページの虚偽記載と11ページの虚偽証明の資料を頂いたんですが、すごく大ざっぱに言うと、上場企業等が虚偽記載をやっているのが十数件、告発あるいは勧告されていて、他方、その中で公認会計士さんが過失あるいは故意があったものというのが11ページの表じゃないかと思うんです。差があるからおかしいと言っているわけじゃないんですけれども、この違いの内容であるとか、あるいは分析であるとか、それからさらにはどういう過失なのかというあたりについて、これは協会のほうからは少しお話し頂きましたけれども、監視委員会なり、あるいは金融庁のほうがどう見ておられるのか、次回以降で結構ですのでお願いしたいと思います。

それから、前半のほうで一言だけなんですけれども、最後、阿部さんがおっしゃったところなんですが、仮に阿部さんのような論理であれば、現在公認会計士試験を受けたが実務補習の修了考査に合格しなかった人がもっと企業に採用されるのではないかと思います。しかし実際にはそうでもないようで、同じ試験で一段階、二段階とするのは現実には機能しないのではないかと思いました。そこがうまく機能するならば、二段階の試験というのも十分考慮に値する意見だというふうに思いますし、まだ結論を決めたわけじゃないんですけれども、感想です。

○岳野審議官

今のご質問に対する当局の説明、あるいは阿部さんからのご意見につきましては、恐縮ですが次回ということで。残りのお三方で今日ご発言しておきたいということがございましたら。

それでは、井上さん、お願いします。

○井上委員

前半の件でございますけれども、八田先生からお話がございました能力試験か、資格試験か、公認会計士にとって、非常に大事な問題だろうというふうに思いますけれど。やはり公認会計士としての監査職務というものを全うするということにおいては、試験というものをよほど厳しくしていくべきであろうと。それから、特にIFRSに近い将来コンバートしていくというようなことであるわけですし、英語の能力も日本人の場合に欠けているということから言うと、そういう能力をもっともっと高めた資格に持っていくべきではないのかなということを感じます。

それから、最後の、2番目の問題ですけれども、品質管理レビューで上場会社の監査事務所が当年度未了事務所数が2件もあると。これはどうしてか、上場会社でありながらそういう未了であるというのはどうしてなのかなというようなことを感じておりますし、もう少ししっかりしたものであっていいような気がするので、その辺もちょっとお聞かせ頂ければと。次回でもお願いしたいと思います。

以上です。

○岳野審議官

はい。恐縮でございますが、今のご質問に対するお答えも次回以降ということで、もう定刻がまいっておりますので、ご発言のなかった方のご意見、ご質問を頂戴したいと思います。

友杉先生から手が挙がっておられましたので、先生、お願いいたします。

○友杉委員

たまたま監査をやっている立場から言いますと、会計と監査というのは車の両輪だろうというふうに思っているわけです。ですから、会計があって、その評価という監査があって、初めて自己完結ができるという立場を取っているものですから、先ほど島崎委員の話を聞いていまして、会計士資格の二段階方式みたいになると、前の試験制度の会計士補みたいな制度に戻っていくんじゃないのかなというふうにちょっと危惧したんですね。そうじゃなくて、資格試験ではなく、能力試験というのであれば、国家試験としてやるべきじゃなくて、何かの協会で認定試験をすればいいような話になっていくんじゃないかということで、ちょっとやはり後戻りするというのはどうなのかなと気がしたということでございます。

○岳野審議官

伊地知さん、お願いします。

○伊地知委員

公認会計士試験、資格試験としての質の維持といったようなものについて、重要であるということは十分認識しておるところでございます。やはり企業のニーズとしては、先ほどの島崎さんのご提案というのは非常に現実的なものではないかというふうにも考えております。別の物差しをつくっても、外から見るとなかなかわかりづらいという点もあるので、ミスマッチの点についてはもう一度ご整理頂けるということでございますので、また議論する機会を頂ければと思います。

○岳野審議官

ありがとうございました。

定刻も過ぎておりますので、この辺で本日の懇談会を終了いたしたいと存じます。

副大臣から何かございましたらお願いいたします。

○大塚座長

遅くまでありがとうございました。さすがにこういう問題をこれだけ長時間ご議論頂ける忍耐強い方ばかりがお集まり頂いておりますが、大変よく皆様の問題意識もわかりましたので、引き続き検討作業の参考にさせて頂きたいと思います。どうもありがとうございました。

○岳野審議官

それでは、これをもちまして懇談会を終了したいと思いますが、次回の第4回の懇談会でございますけれども、3月24日水曜日、午後6時30分からを予定しております。次回は、今のところ、大手の監査法人の経営陣の皆様にお越し頂きまして、監査法人としてのお考え、現状などについて説明を頂きたいと思っております。そういったことも含めて、また第4回も充実した意見交換ができるようにしてまいりたいと思っております。

本日はお忙しい中、このような時間に最後までおつき合い頂きましてありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

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総務企画局企業開示課開示業務参事官室(内線3679、3661)