第4回公認会計士制度に関する懇談会議事録

1. 日時:平成22年3月24日(水曜日)18時30分〜20時32分

2. 場所:中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

○岳野審議官

それでは、定刻になりましたので、第4回公認会計士制度に関する懇談会を始めさせて頂きます。

本日は、皆様、ご多忙のところご参集頂きまして大変ありがとうございます。

本日は開催時間の都合から軽食を用意させて頂いております。まだお済みでない方は、どうぞご遠慮なく、引き続きお召し上がり頂きたいと思います。

本日は、前回お話し申し上げましたように、大手監査法人あずさ監査法人の佐藤理事長、あらた監査法人の初川代表執行役、新日本有限責任監査法人の荒尾経営専務理事、有限責任監査法人トーマツの佐藤包括代表の4人の方にお越し頂いておりまして、それぞれの監査法人を代表するトップの方々でございますので、この四方からお話をお伺いしたいと思っております。

また、前回に引き続きまして日本公認会計士協会の黒田副会長、友永副会長にもご参加を頂いております。

本来であれば、お越し頂いた方お1人ずつをご紹介すべきところでございますが、時間の関係もございますので、お手元の配席図でご確認を頂ければと思います。

それでは、初めに事務局から配付資料の確認をさせて頂きます。

議事に入りますので、カメラは以降ご遠慮頂きたいと思います。

○土本参事官

それでは、配付資料の確認をさせて頂きます。

資料1、横長の表でございますが、「これまでに出された主な意見と論点(案)について」、資料2、「大手監査法人の経営陣からご意見をお伺いしたいポイント」、資料3、あずさ監査法人の佐藤様からのご説明資料です。資料4、あらた監査法人の初川様からのご説明資料です。資料5、新日本有限責任監査法人の荒尾様からのご説明資料です。資料6、有限責任監査法人トーマツの佐藤様からのご説明資料です。続きまして資料7、証券取引等監視委員会の説明資料でございます。資料8、これは事務局からの説明資料で「資格取得後の質の確保に係る対策の概要について」と、最後、資料9、参考資料でございます。

以上です。

○岳野審議官

それでは、本日の議事に入らせて頂きます。

配付資料の確認のときにご覧頂いたと思いますが、議事次第にございますように、本日は試験・資格制度について、それから資格取得後の質の確保についてという2つの議題につきましてご議論を頂きたいと思います。

なお、冒頭申し遅れましたが、大塚副大臣におかれましては、所用がございまして、入室が少し遅れることをお許し頂きたいと存じます。

それでは、まず議題1、試験・資格制度に入りたいと存じます。

説明は、まず事務局、それからあずさ監査法人、あらた監査法人、新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツと、これはあいうえお順にしてございますので、その順番でご説明をお願いしたいと存じます。その説明が一応全部終わった後で質疑応答、自由討議に入らせて頂きたいと思います。

それでは、まず事務局から説明をお願いします。

○土本参事官

まず、資料1でございますが、これまでに出された主な意見と論点ということで、前回お配りした資料に第3回で頂いた主なご意見を事務局のほうで追加してございます。ちなみに、右側の論点は前回と変えてございません。

時間の関係もございますので、資料2についてご説明をしたいと思います。

本日は大手監査法人の経営者の方々にお越しを頂いておりまして、ご意見をお伺いするということでございますが、時間の関係もございますので、効率的に議事を進める観点から、あらかじめ事務局のほうで、こういったことをお伺いしたいということを資料2にまとめてございまして、これを4法人の方々に事前にお渡ししてございます。

まず最初に私のほうから資料2をかいつまんでご説明をして、各法人からのご意見を頂きたいというふうに考えております。

資料2の1でございますが、公認会計士等の活動領域の拡大の意義についてということで、公認会計士や合格者の活動領域が監査業界以外に広がるということは、上場企業等の財務情報の信頼性を確保する観点からも有意義ではないかと考えられるんですが、監査を実際に担われるお立場から見て、この点についてどのようにお考えになりますでしょうかということです。

2番、合格者の職業選択時期の早期化についてということでございます。前回、金融庁で行いました合格者に対するアンケート調査ということでご説明をさせて頂きましたが、現在の合格者の約6割が無職、いわゆる受験浪人生ということでございまして、無職で、ある意味、勉強に専念しないと合格しにくいぐらい難しい試験という実態にあるようにございます。

合格者の平均像で言いますと、平均で約3年半の勉強期間を経て、26歳から27歳ぐらいで合格をして、この時点で初めて監査業界に対するリクルート活動を行うというのが実態のようでございます。現状、監査業界に就職できないということが明らかになった合格者の多くは、いまだに気持ちの切り替えができておりませんで、他の職業への就職活動が本格化していない人が多いんではないかというふうに言われております。中にはアルバイトをしながら監査業界の景気の回復を待ちたいというご意見もあるやに聞いております。

現在の制度は、これから数年間にわたる受験勉強を始めるかどうかということを決める若い世代にとって、ある意味、予見可能性が低くて、思いどおりの結果にならなかった場合のリスクが非常に高いという制度になっているのではないかという問題意識を持っていまして、足元で新規の受験参入者が減っているんじゃないかということを心配するご意見も金融庁には寄せられております。

他方、政策的にも合格者の就職先の多様化が進まないということは、公認会計士や合格者の活動領域を拡大させるという政策的な狙いも進んでおりませんし、また極めて難しい試験に合格したという非常に潜在能力が高い若者を日本として有効活用していないということにもなっております。資格取得のためには就職による実務経験というのが不可欠なわけですが、若い年代であれば、仮に希望どおりの就職が無理とわかった場合でも、柔軟な方針転換ということがより容易ではないかなとも考えられます。

そこで、今よりも若い年代での職業選択ということを促すというような試験制度や就職活動について、どのようにお考えになるかという点についてお伺いをしたいというのが2でございます。

3番目は、第3回で随分ご議論頂きました二段階の資格、もう一つの資格というところでございます。

経済界の委員の方々からは、企業等で働く会計専門家の能力を認定する制度というのが非常に必要であるというご意見が寄せられた一方で、公認会計士制度はあくまで監査人を育成、養成するという制度であるということを注力して考えたときに、会計能力の認定というところまで行くのはいかがだというご意見も頂いております。

他方で、実際、受験生の立場から見たときにどう見えるかということですが、先ほどもありましたように、試験勉強を開始してから会計士の資格を取るまでに平均で合格までに3年から4年、また合格後、実務補習等でまた3年から4年ということで、7年から8年の長期間を要すると。特に企業で働きながら会計士の資格を目指すという場合には、実務補習等々の問題もありまして、結構これが長期化をすることが多いと。

他方で、前回のアンケートでもわかりましたが、企業で働きながら合格をされた方も、約98%の人が資格は取りたいというふうにおっしゃっているということでありまして、他方で資格取得まで非常に長期化をする過程の中で、途中段階で、ある意味、会計については非常に詳しいんだということを言えるような資格や呼称を求めるというのが合格者のほうからまた出ているという実態でございます。

また、旧制度においては、二次試験の合格段階で会計士補という資格を得て、監査業界で監査の補助をする、あるいは企業等で財務諸表の作成の業務に従事していたという実態もございました。こういうことも踏まえながら、このような二段階の資格についてどのようにお考えになるかをお伺いしたいというのが3点目でございます。

4番目は、今の2や3とダブるところはあるんですけども、資格取得に当たっての実務経験の要件ということがありますので、合格しても就職できなければ公認会計士となることができないというのが現状の制度であります。他方で、国際教育基準では資格取得前の実務経験の必要性が明らかに示されているということで、この実務経験要件のあり方についてどのようにお考えになりますでしょうかと。

ページをおめくり頂きまして5番でございます。

公認会計士の活動領域の拡大という点では、本来であれば監査業界で経験を積んだ会計士の方々が人材移動を通じて日本経済のあちこちに散っていって頂くというダイナミックな人材の移動というのが効果的という考え方もあります。また、経済界においては、かねてより監査業界で経験を積んだ会計士を中途採用したいというニーズは強いという意見を頂いていますし、多くの企業の中途採用の条件を見ても、公認会計士求むというのが結構見受けられるということですが、現状、日本ではなかなかこれが進んでいないんではないかと。

他方で、アメリカやイギリスでは監査業界が多くの若手人材を採用しまして、そこで実務経験や資格を取得した専門人材を広く経済界に輩出をして、経済全体の会計基礎力の支えになっているという指摘もございます。我が国においても監査業界で経験を積んだ会計士が経済界等に活動領域を拡大する上で、一体何が課題なのかということでご意見を拝聴したいと思っております。

最後、6番目でございますが、上記のほか、この懇談会で議論すべき論点、テーマがございましたらお教えて頂きたいと。また、関連士業制度のあり方に係る抜本的な改革の必要性など、制度論についてのご意見やご提案があればご披露頂きたいというふうに存じております。

以上でございます。

○岳野審議官

それでは、監査法人の皆様からご意見をお伺いしたいと存じます。

まず、あずさ監査法人の佐藤理事長からお願いいたします。

○佐藤参考人(あずさ監査法人理事長)

あずさ監査法人の佐藤でございます。

それでは、お手元に配付いたしました資料に基づいてご説明を申し上げます。

まず、公認会計士が活躍するフィールドでございますが、公認会計士試験を合格して、私どもいわゆる会計職業専門家として監査法人、これは大手の監査法人、中堅監査法人、それから会計事務所があるわけですが、こちらに入るケース、それから会計専門実務家としていわゆる財務諸表作成者側であります一般企業、非営利法人、公的機関、こういった機関に就職されるケース、2通りあろうかと思います。

財務諸表の作成基準が高度化、複雑化する中において、これからいわゆる一般企業等における公認会計士資格の需要も増大するだろうというふうに推測いたしております。作成側と監査側でのそれぞれの二重責任があるわけでございますが、それぞれ間の人材の流動化も進んでいくんではないかというふうに思っております。

次でございますが、私ども大手ビッグ4と言われます監査法人は、国際会計事務所と提携し、そのメンバーファームとなっております。したがいまして、私どもあずさ監査法人といたしましては、KPMGのいろんな仕組みの中でアライアンスを保ちながら品質管理あるいは人材育成を行っております。

具体的には、こちらでチェックマークをつけております監査のメソドロジー、これは完全にこのメソドロジーに乗ること。そして、品質管理を支えるいろんな仕組みの中でも特に独立性の確保、KPMGメンバーファームによるレビューを受けること、それから社内認定資格制度、これは特に米国基準による監査を担当できる者の能力判定、それからIFRS、M&A、こういった特殊、高度化された業務については社内のアクレディテーションシステムというものがございます。

それから、研修制度に関しても、KPMGが求める研修制度、それから日本公認会計士協会が求める研修制度があるわけですが、そのいずれか高いほうの基準を必ずクリアする、こういう方針に則ってグローバルとのアライアンスを保っております。

それから、私どもが求めます人材像といたしましては、論文合格者レベルの定期採用を行っていきたい。これは、日本を代表する企業・公的機関等の監査チームを編成し、また、将来、監査チームを率いる、こういった潜在的能力のある人材をまず求めるということでございます。

それから、複雑化しております一般企業等に対して、例えばITであるとか金融分野あるいは年金等、こういった特定の専門分野に関する専門家を中途採用して、組織全体の監査のレベルの向上を図っております。また、こういった他の能力を有する者を組織に採用することによって、組織の活性化をも図っております。求めます人材としては、プロフェッショナルとしての高度な能力を養い得る資質ある人材、組織多様化に資する多様な人材、それから誠実な人材でございます。

次に、人材育成に関して、私どもあずさ監査法人として果たしている部分についてご説明を申し上げます。

大学あるいは会計専門職大学院等で勉強し、かつ試験のための受験勉強をし、論文試験に合格すると、これまでに大体1万時間近い時間を費やすというふうによく言われております。この試験に合格して、初めて会計職業専門家としての入り口に立つんでないかというふうに考えております。

監査法人に入社後も、公認会計士協会が主催します実務補習所におきまして、3年間で270時間の実務補習単位を修了する。それとあわせて、監査法人で用意しております社内研修、これは総人員平均では、私どもでは80時間ほどでございます。入社1年から3年目は100時間を超える時間を社内の研修に費やしております。座学である社内研修とあわせてOJTということで監査実務の補助を行います。社内研修、OJTを合わせて年間1,600から1,800時間、3年間で約5,000時間の研修をやって、初めて国家資格としての公認会計士のライセンスが付与され、私ども会計職業専門家として上場会社等に対する高度な品質を持った監査提供をする。

こういったプロセスにおいて、人材育成は私ども監査法人が社会的存在として、また社会からの役割期待に対して十分こたえるため、このような人材育成のために法人として多大な時間とコスト、それから各人の努力、こういったものを必要としております。

以上が、私ども、この人材育成に対する基本的な考え方でございます。

あと、参考資料といたしまして、監査法人あずさとしての基本理念、それから研修方針、人材育成の考え方、研修の実績でございます。これはカリキュラムの面での実績と先ほど申し上げました1人当たりの平均時間、それから次のページが給与体系及び人員構成、それからKPMGジャパン、あずさ監査法人グループの全体構成というふうになっております。

以上でございます。よろしくお願いいたします。

○岳野審議官

ありがとうございました。

続きまして、あらた監査法人からお願いいたします。初川代表執行役にお願いいたします。

なお、大変恐縮でございますが、ご説明は5分程度でお願いできれば幸いでございます。後ほど十分質疑の時間をとらせて頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○初川参考人(あらた監査法人代表執行役)

あらた監査法人の初川でございます。よろしくお願いいたします。

私どもの準備いたしました資料のスライド2という2ページをご覧ください。

私どもは公認会計士制度のあり方に関する議論に関しましては、社会インフラたる会計プロフェッション充実の必要性という観点から関心を持っております。ビジネスの国際化が進みまして、IFRSによる原則主義の会計、さらには会計士資格相互承認制度導入の可能性等が議論されております中で、会計プロフェッションの育成と適正配置の仕組みを急ぎ構築することが大切であると考えております。

そのためには、企業に就職した後、勤務を続けながら資格取得を目指す人が増加するような試験制度の検討、そして公認会計士が監査業界に集中することなく、一般企業等に移転しやすい仕組み作りの検討が必要ではないかと考えております。社会インフラと申します以上、監査だけではなくて、財務諸表作成側、そして場合によってはレギュレーター側にも会計の専門家が充実すると、こういう姿が望ましいのではないか考えております。

資料3、スライド3をご覧ください。私どもがイメージしております会計士試験制度と合格者ですけれども、公認会計士試験制度につきましては、やはり一貫した一つの試験制度の中で会計プロフェッションとしての基礎的専門知識を問う試験、左のほうにございます会計プロフェッション専門知識検定試験と書いておりますこの基礎的専門知識を問う試験と、右のほうにございます実践的専門能力を問う試験の2つのステップに分けてはいかがかと考えています。

実践的専門能力を問う後ろのほうの試験につきましては、受験資格に、前のほうの基礎的専門知識を問う試験の合格と、真ん中にございます監査法人または一般企業等における実務経験の2つを条件に課すことにしてはいかがと考えます。この制度のもとでは、会計プロフェッションを目指す人の就職時期は、下のほうに書いておりますけども、明らかに早期化されると思われます。また、監査人以外の会計プロフェッションを目指す人たちの受験意欲が促進される形になるのではないかと考えております。

また、監査業務の品質維持という観点からは、公認会計士資格が付与された後の段階としまして、監査業務に従事する公認会計士に対して開業登録義務を課すと。そして、実践的専門能力を問う試験の中で監査論の合格、さらには実務経験の中での監査業務への実務従事を条件とすることが必要であろうと考えます。

次の資料の4ページをご覧ください。

現時点で、公認会計士試験に合格した方が他の一般会社に移転しない理由は幾つかあると伺っておりますが、その1つとして、資格は保有しているが、実務経験がないため、企業側から見たニーズが少ないということも伺っております。監査法人の業務は監査業務だけではございませんで、非監査業務、財務諸表作成支援でありますとか内部統制の構築、そういった業務がございます。

したがいまして、監査法人におきましても会計プロフェッションを目指す人たちを財務諸表作成支援等の非監査業務の領域でも今まで以上に採用して、実務経験を積んで頂き、そのキャリアを積んでいく過程の中で公認会計士試験を受験すれば、公認会計士の資格を取得した人材が一般企業に転職する流れを促進することができるのではないかと考えております。

それから、先ほど土本さんのほうからございました関連士業制度についてということですが、一言だけ。

3ページのほうに戻って頂きますと、この試験制度の流れからしますと、ここでは公認会計士の試験制度ということでご説明資料になっておりますが、他の関連士業制度についても、言葉が適切かどうかわかりませんけど、会計プロフェッション専門知識検定試験のところを1次試験のような、共通1次のような形で、他の資格の流れの中にも乗せることができるのではないかと考えております。

それから、最後にスライド5をご覧ください。

社会インフラとしての会計プロフェッションの育成ということでございますが、今、議論の中心は試験に合格するまでのところになっているように感じますが、実は実務におきましては試験を合格した後も、スライド5にございますように、私どものケースでも最終的に監査責任を担う監査責任者としての判断ができるまでには十二、三年かかります。この間にどういうふうに人材を育てるかということも1つ、会計プロフェッションの育成という観点では重要ではないかと思います。

簡単ではございますが、私の説明は以上でございます。

○岳野審議官

ありがとうございました。

続きまして、新日本有限責任監査法人荒尾経営専務理事にご説明をお願いいたします。

○荒尾参考人(新日本有限責任監査法人経営専務理事)

新日本有限責任監査法人の荒尾でございます。本日、理事長の加藤が所用で出席できませんで、私のほうが代理で説明させて頂きます。

まず資料ですが、3部作になっておりまして、懇談会資料という資料と、それから職員の教育方針及び教育システムという資料と、それから新日本有限責任監査法人の概況という3部になっておりますが、最初の懇談会資料に基づいてご説明し、あとの教育システム、それから新日本有限責任監査法人概況につきましては参考資料ということで後ほどご覧頂ければよろしいかと思います。

それでは、まず懇談会資料というところのページをめくって頂きまして、2ページ目というところからご説明いたします。

公認会計士制度の位置づけということで、今回、公認会計士制度をいろいろ考えるに当たって、私どもの考え方としましては、まずは日本企業の健全な発展ということで、最終的には日本企業の国際競争力アップにつなげていくというために公認会計士制度がどうあるべきかというところのベースになる考え方を示した図でございます。

まず、左側の企業におけるインフラコストの適正化、またインフラの品質の向上ということが1つ挙げられるかと思います。そのために企業内公認会計士が活躍するということは非常に意義のあることであるというふうに私どもは考えております。

片や右側のところに、会計・監査のグローバル化ということがございます。ご承知のとおり、IFRSというのが2015年から適用されるということもございますし、既に会計監査の世界においては非常にグローバル化が進んできております。

したがいまして、日本の公認会計士資格につきましてもグローバル、特に西欧諸国に肩を並べるぐらいの質の格上げが必要であります。それをもって外部監査の信頼性を確保し、さらに向上していく。こういったことを通して日本の企業の健全な発展がなし遂げられ、そして日本企業の国際競争力がアップするであろうと考えております。

それで、特にそのグローバル化対応ということで次のページ、3番でございますが、これは特に大手の監査法人ではございますけれども、右側に、私ども新日本有限責任監査法人も、アースト・アンド・ヤング・グローバルというグローバルなメンバーファームの一員となっておりまして、さらに日本だけではなくて、海外の規制当局からの品質保持を求められているということでございます。

そういった監査法人の中にいる公認会計士につきましては、公認会計士資格の国際的なレベルの維持、それともう一つは各種海外の外国会計基準、IFRSの習得、それからさらにはコミュニケーション能力、これは英語の問題も含めまして、そういった能力が監査法人の中に働く公認会計士にはこれまで以上に強く求められてくるということで、1つには監査法人の内部での教育研修制度の重視ということと、公認会計士になる、資格を取る人たちの公認会計士試験制度のレベルを上げていくということもまた必要なことではないかというふうに考えております。

またページをめくって頂きまして、ページの4番でございますけれども、さらに今申し上げたような形での社会のインフラとしての公認会計士の活動領域拡大の意義ということでございますけれども、公認会計士は今、現状ではほとんどが監査法人内に入ってくるという左側の矢印のほうに進んでいるわけでございます。しかし、先ほど申し上げたインフラを整備するためには監査法人以外のところへ直接行くという矢印もあり得るかと思いますが、現実には一旦、監査法人に入って会計監査を経て、さらにキャリアパスとして監査周辺業務、いわゆるアドバイザリーのサービス業務をやったり、監査法人から出て企業に入っていく、あるいは公的機関に入っていくといったキャリアパスを経ることによって、公認会計士の活動の場が広がるとともに、社会貢献をする、それから社会のインフラのための活躍をしていくということが必要だろうと思います。

さらに、左下に書いてございますけども、会計監査そのものは今、日本の企業がご承知のとおり、M&Aとか企業統合によって数がどんどん減ってきている状況にありまして、IPOも今のところ減少している状況、さらに日本の監査法人は海外に進出して活躍するというわけにはいかないということで、監査の数自体を現状維持または縮小するであろうということも含めまして、キャリアパスを大いに拡大していくことが非常に重大、重要であるというふうに考えております。

真ん中あたりに「専門家に対する労働法制の整備」というふうに書いてございますけれども、こういったキャリアパスの拡大、流動性を維持するためには今の労働法制というのがあまりに厳し過ぎるというか、流動化に対して非常に厳しい法制になっておりますので、その辺についてもぜひ見直して頂ければというのが私どもの一つの要望でございます。

次の5ページ、6ページ、7ページにつきましては、個々のご質問頂いた項目に対する回答でございますけれども、今申し上げたところでほぼカバーしているかと思いますので、カバーしていない部分だけご説明しますと、1番の活動領域の拡大の意義につきましては今申し上げたとおりでございます。それから、2番の合格者の職業選択早期化につきましては、これは早期化という可能性もございますけれども、ただ最終的には公認会計士の資格を取った時点、あるいは取れないと判断した時点に、またそこで選択をせざるを得ないという状況になっているんではないかと思いまして、それであれば、あえて職業選択時期を早くするということに、何か意義があるというふうには私どもとしてはあまり思えないというのが私どもの考え方でございます。

それから次のページ、6ページの3番、「二段階(途中段階)での資格について」ということでございますけれども、これは一つ、公認会計士が国家資格であるという以上は、資格を2系統、パラレルにするということはちょっと否定的に考えております。「旧制度」と書いてございますけれども、一系統二段階にすると。下のほうに書いてございますが、サーティフィケートという形で、ある難しい試験を受かった形でのサーティフィケートを与えて、さらに実務経験を得たことによってライセンスを与えるといったような二段階の資格のあり方というのはあり得るのではないかというふうに考えております。4番の実務経験の要件につきましては、今の二段階方式を採用することによってある程度解消できるんではないかというふうに思います。

それから、7ページ目の監査業務からの人材輩出につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、やはり労働法制の問題というのが非常に重いということと、最近になって現実に私どもの監査法人に一般企業への出向ということで、一般企業さんのほうから出向者を大いに求められるということがございまして、現実には今、特にIFRSへの移行に従って、会計士の需要が大変増えているんではないかという実感を私どもは持っております。それに対して、私どもも何らかの社会的な負担をしながら外部に出向者を出していくということを積極的に進めていきたいというふうに考えております。

簡単ではございますが、私どもの説明とさせて頂きます。

○岳野審議官

ありがとうございました。

それでは、続きまして有限責任監査法人トーマツの佐藤包括代表からご説明をお願いいたします。

○佐藤参考人(有限責任監査法人トーマツ包括代表)

トーマツの佐藤です。

資料の1ページ目と2ページ目を使ってご説明したいと思います。

前回の懇談会までの資料を拝見させて頂きまして、また今日ご質問を頂いておりますので、順不同ですが、この2枚のページの中でお答えを含めていきたいと思います。これはあくまで私の個人的な見解で、法人のオフィシャルな見解ではありませんので冒頭申し上げます。

まず、論点整理ということも含めまして、前回までを拝見しますと、会計士試験の性格をどう捉えるかということがテーマになっているようです。まさにそうだと思いますが、現行の試験は大ざっぱに言うと、国家試験として権威づけをしてかなり難関なもの、難しいものにした上で、それをもとに監査証明の品質を守ると、これが大きな現行の流れだと思います。当然、それは社会の要請として資本市場を守っていくという意味で大事なことでありますが、経団連の皆様のほうからもご要請があるように、現状で今大事なのは、いかに会計のプロフェッショナルを国に増やしていくかということだと思うわけです。

それはなぜかというと、2000年以降、皆さんご案内のように会計がすごく難しくなった。さらにこれからは国際会計基準にも移行していかなければならない中で当然にプロフェッショナルを増やしていかなければいけない。その場合にはすそ野を広げるという意味もあって、二段階的な資格の導入ということは検討に値すると思います。

ただ、ここですそ野を広げて大人数になるということは、その品質というものをどう守るかということがテーマになるわけです。これは実力を持って企業内とかマーケットで評価されていくというのが筋ではありますが、残念ながら日本では、労働マーケットを含めて、マーケットがうまく評価する仕掛けに十分なっていないので、やはりこれをやる場合には行政とか会計士協会による承認とかチェックということが欠かせないと思います。

二段階的な資格を導入するとすれば、ここで新しく認定的な試験ということで、前回の懇談会でどなたかおっしゃっていましたが、准会計士のような、もしくは会計士補というような中間的な仕掛けは考えるべきだと思います。その場合には試験のレベルとか内容というのは当然に見直しが必要だと思います。

仕組みとしては(資料1ページ目の)左側の流れと右側の流れができるわけですが、あくまで二制度にしないという意味での連続性は必要だと思います。それは当然に人事の交流とか流動性を高めるためにも一制度でなければいけないと思います。

また、公認会計士を監査法人で育てて一般企業に出すということがテーマとしてあがりますが、これにはなかなか量的な制限があるということは2ページ目で説明します。会計プロフェッショナルを一般の企業内に多く作るということは、会計プロがそこに増えることで監査の効率が上がるということです。今問題なのは、会計の作成側の能力が十分でないために監査が非効率になっているということが起きているわけで、このためにも会計プロフェッショナルを一般企業内に増やしていくということがテーマだと思われます。

2ページに概略で会計プロフェッショナルの労働市場と書きましたが、問題はなぜ一般企業内に現行制度の公認会計士が増えないのかということです。大きくはマル1マル2マル3というところが一般企業に対するテーマになるわけです。まずマル1のところは、試験に全科目受かったのに何で一般企業に就職できないのかというと、これは実務経験がないということがよく理由として出ますが、日本企業の仕掛けを見ると、やはり新卒の採用者が望まれるという壁は高くて、4年生で卒業して、1年ないし2年浪人して仮に25歳で合格したにしても、それは企業の新卒採用というサイクルに入らないということで、やはり就職がしにくいんではないか。こういう意味においては、ご質問にある合格者の早期化と、在学中に合格するということは検討する価値があると思います。

マル2のところですが、現在、企業にいる人がどうして資格が取りにくいのかということがあります。これは前回の懇談会でもあったようですが、実務従事が受けにくいという壁があるということですね。先ほどあずさの佐藤さんからもご説明ありましたけど、監査法人内では全員対象に研修をやりますが、一般の企業では特定の何人かに対して研修とか実務補習ということに便宜を図るわけで、やはりこれは壁であろうと。二段階的な資格で実務補習なり、実務従事のところは簡略化もしくは簡素化することで知恵を出して、二段階的な資格を与えるということであれば、マル2のところの有資格者というのは増えるのではないかと思います。

マル3のところは、大手監査法人で一回実務経験をして、公認会計士の資格を取ってから一般企業に行くという道があるわけですが、これは非常に望ましい形ではありますが、現行ではなかなか難しい。先ほどアメリカの例が出ましたけれども、私どものアメリカのメンバーファームでは大手監査法人の離職率、回転率は15%から20%です。ところが、日本で我々の法人で回転、離職率というのは、景気がいいときでも5%ないし6%で、不景気になると当然に辞めませんから、2%程度になると思うんです。アメリカ型の人事の流動化は、日本の国の仕組みとしてそうなっていないというところがやはり大きい。

ですから、マル1番とマル3番は、労働市場のあり方の問題で、そこのところと会計士制度をどう絡めるかというのがテーマだと思います。一応、私のほうからは以上です。

私の資料でアニュアルレビューというのが入っていますが、私どもは、昨年、有限責任監査法人になりましたので、ディスクロージャー誌として、ご参考にして頂きたいと思います。

○岳野審議官

ありがとうございました。

4法人からそれぞれ非常に個性的なご意見を頂いていると思いまして、これから活発なご議論につなげたいと存じます。

まず最初に、今の4法人からのご意見を受けまして、副大臣、政務官から何かございますか。

○大塚座長

大塚でございます。途中から入りまして大変失礼いたしました。

毎回熱心にご議論頂いて大変感謝を申し上げますが、お伺いした中で1点だけ質問させて頂きたいんですが、トーマツさんの資料の1ページに、日本ではマーケットが評価する仕組みが十分でないので、行政や協会による承認、チェックは欠かせないというご説明があって、そういう記述もあるんですが、このマーケットが評価する仕組みが十分でないというのをもう少し詳しく聞かせて頂きたいんですが。

○佐藤参考人(有限責任監査法人トーマツ包括代表)

抽象的に書きましたが、資本市場を見ていますと、証券取引所の中で、ある企業が問題を起こして淘汰されていく過程とか、証券会社のアンダーライティング機能が不十分であるという問題があったときの淘汰の仕方とか、監査法人も間違いを起こしたときのチェック・評価の仕方とか。アメリカの訴訟社会がいいとは思いませんが、そういうものでチェックされて、淘汰されてブラッシュアップされるという仕掛けがあると思います。また、企業も能力主義でやっているので人の評価、スペシャリスト、ゼネラリストの評価が企業の中でダイナミックに行われるということがあると思うんです。日本の場合、どうしても年功的な評価であるし、労働マーケットが能力主義的に動くような仕掛けがもう一つない。資本市場も労働市場もですね。プライベートオピニオンですけど、実感として感じています。

アメリカはそういう淘汰の仕掛けが監査法人も会計士も会社もものすごく強いので、そこは大勢作ってもうまくなっていく。日本の場合はそういう形になかなかならないので、国なり行政なり協会が仕掛けとしてチェックしないとうまくいかないだろうし、質が維持できないと思います。

○大塚座長

更問いで恐縮なんですけども、他の業種に比べたら会計士の皆さんの世界というのは、それなりに能力主義的に評価をされやすい素地を持っていると思うんですが、それでもやっぱりなかなかそうはならないということですか。

○佐藤参考人(有限責任監査法人トーマツ包括代表)

それは2ページ目のマル3のところで書きましたが、少なくとも私どもを含めて、監査法人は中途採用というのが最近増えておりますので、能力主義的な受け入れというのはかなりやっています。例えばコンピューターが得意な人ということでIT企業から来た人とか銀行を辞めた人とか入ってきますので、そういう人を中途で受け入れるようなスペシャリスト向けの給与体系になっています。

ただ、一般企業の場合はなかなかそこまで進んでいなくて、マル3で書きましたように、どちらかというとゼネラリスト的な仕掛けで、長期にいてロイヤリティーが期待できるとか。かえってスペシャリストとして入ると、資格を取ると辞めてしまうのではないかとか。スペシャリスト向けな給与体系になっていないとかという問題があります。一般企業の場合どうしても長期雇用というのが前提になった仕掛けになっていると思います。

○大塚座長

ありがとうございました。

○岳野審議官

それでは、皆様方からのご議論に入りたいと思いますが、増田会長、もし何かご発言あるいは補足なり、あるいはご意見がありましたらどうぞ。

○増田委員

別に特にないですけど、いいプレゼンテーションをして頂きましてありがとうございました。それだけです。

○岳野審議官

それでは、ご参加の皆様方からご意見、ご質問の時間に入りたいと思います。

従来同様、ご発言なさりたい方は、恐縮ですが、挙手を頂ければ幸いでございます。どなたからでも結構でございます。

八田先生から手が挙がっております。八田先生、お願いいたします。

○八田委員

4法人の先生方に、短くていいのですけれども、今日の公認会計士の試験合格の実態で問題になってきたのは、言わば2007年から急激な合格者増が出たということ、そして、2008年が歴史的な大幅増になったことから、監査法人としてはそれらの合格者を採用した結果、ついに2009年、つまり昨年度の場合、もはや採用できなくなってきて未就職問題が潜在化しているという事態が生じてしまったことだ議論があるわけですが、この2007年および2008度の合格者を受け入れて、研修とか、あるいはトレーニングをされていると思いますけども、従来の合格者と比べてレベルないしは質的に大きな違いというものを何か感じておられるのか、もしあるならば教えてください。

○佐藤参考人(あずさ監査法人理事長)

大量合格と言われている時代が来たわけでございますが、やはり感じますところは、平均的な知識レベルが合格者が多くなったことによって下がったのかなということは、現場で一緒に仕事をしている先輩から聞いたことはあります。

○岳野審議官

ほかにございますか。

○初川参考人(あらた監査法人代表執行役)

非常に一般的な話として、やはり合格人数が増えてくると少しクオリティーが落ちたのかなという程度の話は法人内で出ておりますけども、特に具体的に明らかに品質が低下したということは感じておりません。全般的にはそういう話は出ることはございます。

○佐藤参考人(有限責任監査法人トーマツ包括代表)

八田先生のご質問にフィットするかどうかわかりませんが、大量に入ってきたので、当然、教育するには、佐藤理事長のお話もありましたが、座学的なもののほかにオン・ザ・ジョブ・トレーニングがあるわけです。今まで1人の主任が3人面倒見ればよかったのを5人面倒見なきゃならんという状況があり、2年、3年はOJTのところに負荷がかなりかかったということは正直あると思います。

○荒尾参考人(新日本有限責任監査法人経営専務理事)

非常に感覚的な問題かもしれませんけれども、いわゆるマネジャーとかの話を聞きますと、逆に今年少なく入ったんですけれども、少なく入った新人の目の色が違うという、非常にきらきら輝いていると。去年、おととしのはちょっと何かどんよりしていたというか、というような話を、これは多分、非常に競争が激しいということを、今年入った人はまさに本当に自分の意識として、競争をつけていこうということで、何でも貪欲に前に進んでいこうという気持ちを持っているという意味だと私は解釈しております。

○岳野審議官

ありがとうございました。

ほかにご意見、ご質問ございますか。

友杉先生、お願いします。

○友杉委員

最後のトーマツさんのお話の中で、会計プロフェッションを企業内に増やすということは非常にいいという話が出ておるんですけども、私は、日本の上場している大手の会社では経理部は意外と経理水準が高いんではないのかなと思います。あえて公認会計士までを採用しなきゃいけないぐらいの要請というのが果たしてあるのだろうかなという気がするんですね。

もしあっても多分、企業側はやっぱりコスト意識が強いですから、コンサルに出したりとか、それからあとはアウトソーシングをいろいろしたりすることによって、その辺はカバーしていくんじゃないだろうかと。内部統制とかIFRSが入ってくればですけど、それがある程度落ち着くと、あえてそういう企業内の会計士を養成というか、採用しなきゃいけないぐらいの状況にあるのかどうかというところをちょっとお聞かせ頂きたいんですけど。

○佐藤参考人(有限責任監査法人トーマツ包括代表)

まさにページ2で書きましたけど、マル2のところです。2つの意味を私は申し上げたいと思っています。1つは、今、友杉先生がお話しになったように、企業の中で非常に優秀な経理の方がいらっしゃるわけですね。ある意味では会計士よりもよく知っていらっしゃる方がいるわけで、そういう人に資格を与えたらいいんじゃないかと個人的に思うわけです。公認会計士という形で、現行のように監査法人で育てて雇ってくださいという話ではなくて、一般企業にいる人に、優秀な人には資格を与えたらいいんじゃないかというのが1つあります。

もう一つは、そういう人を増やすためにインセンティブとして何か中間的な資格を与えれば、そこでまた増えると、2つの意味を私は申し上げたいのです。優秀な人がいっぱいいるのに何で公認会計士でないんだというと、その試験がアメリカに比べるとフィットしていないんじゃないかという気もします。慎重に検討すべきですが、優秀な人に資格を与えるということもやっていかないといけないと思います。

○岳野審議官

ありがとうございました。

松井さん、お願いします。

○松井委員

トーマツさんのレジュメ2ページ目マル1で、「合格者の早期化(在学中合格)は検討する価値がある」と述べられていますが、非常に重要なポイントだと思います。すなわち、就職浪人なり受験浪人なりが大量に発生するということは、現実問題として大変な社会的コストですから、こういった状況を出来るだけ解消していくという仕組みが必要だということです。そのためには、資格という目に見える形で、自分には適性があるのか、あるとすれば企業で活躍したいのか、監査法人に進みたいのかといった点をはっきり考えさせるタイミングを早めに与える必要があります。つまり、受験者側、つまり採用される側に選択肢を増やすという仕組みが必要なのではないかということです。

ちょうど今は来春入社の新卒採用の時期で、各社ともに採用活動を本格化させています。残念ながら、これからもますます就職事情は悪化していくでしょう。そういう中で、就職活動に飛び回る人たちを傍目で見つつ勉強に打ち込む会計士の受験者たちは、内心穏やかではないのではないでしょうか。厳しい就職事情の中あえて難関試験に挑もうという気概を持った有為な人材ですから、出来ることなら就職浪人や受験浪人という形で負担を強いたくはありません。そのためには、例えば短答式合格といった段階で資格を与えることで、選択肢を増やすということは、どうしても必要なのではないでしょうか。

そういう意味で、あらた監査法人さんのレジュメのスライド3に「会計プロフェッション専門知識検定試験」が提案されていますが、これが短答式試験合格者をイメージしているのかどうかを教えて頂きたいと思います。仮にこれが短答式合格者に何らかのサーティフィケートを与えて、ある程度早い段階で踏ん切りをつかせるといった趣旨であるとすれば、十分検討に値すると思います。事務局の事前質問にもありましたように、短答式試験ということであれば、就職活動に取り組む時期までに合格できる学生も少なくないと思います。

○岳野審議官

今、あらた監査法人の初川さんの資料の件でコメントがございまして、何か初川さんのほうからございますでしょうか。

○初川参考人(あらた監査法人代表執行役)

試験に合格するまでにかなりの年数を要するということから考えますと、試験に受かる、そのために有利な方法ということから、仕事に就かないで受験勉強をやるということが現状だと思いますけれども、私どものスライド3で申し上げたいことは、資格を取るプロセスもありますけれども、就職を早くしてしまうという、そして仕事をしていくプロセスの中で試験を受けていくと、キャリアを積み上げていく中で試験に受かっていくということを考えていけば、資格が取れたけれども就職先がないというふうなことも解消できるのではないか、ということでございます。

私どものスライド3の中では「会計プロフェッション専門知識検定試験」と仮に書きましたけれども、これが左側に来ていますので、これが条件で就職すると読めるかもしれませんが、ここに意図していることは、最終的な右側にございます国家試験を受けるまでにどちらが先になってもいいのではないかということでございます。実務経験が先でも専門知識検定試験が先でもどちらでもいい。そういうちょっとフレキシビリティーを持たせていく制度であれば、就職時期はおのずと早くなってくるのではないかなと、こういうふうに思っています。

○松井委員

現行の試験制度においては、例えば短答式に合格したというだけでは何の肩書きも与えられませんから、多分、就職面接の際にそんなことを言う学生は少ないでしょうし、採用側としても、言われてもどう評価すべきかに悩むでしょう。とはいえ、学生に限らず、たとえ監査までは考えないような人であっても、実はそういう能力が自分にはあるのだということは主張したいわけです。だからこそ、例えばUSCPAといった資格を取って、それを代わりに用いているのでしょう。会計士資格が日本にないわけではないのに、外国の資格であるUSCPAという肩書きを名刺に堂々と書く人が少なくないというのは、これはある意味ではわが国にとって大変シェイムな話ではないでしょうか。ですから、例えば短答式合格に対してサーティフィケートを与えるということになれば、USCPAに変わるものとして能力の目安に使えますから、それはそれで企業は評価するはずです。一旦企業に採用されさえすれば、その後に実務要件を満たすために経理等の経験を積む機会はあるでしょうから、今あるいろいろな問題も多少は解決されます。もしさらに希望するなら企業で勤めながら論文試験にトライする道も当然出てくるわけです。そういう意味では、やはり試験を受ける者の立場に立っていろんな選択肢を与える、こういうビューポイントが非常に重要だと思います。

○岳野審議官

ありがとうございました。

古賀さん、お願いします。

○古賀委員

これは半ば質問なんですが、どうもずっと聞いていると、やっぱり公認会計士の資格試験を受けようという人は、監査業務に携わりたいというのがあって受けていらっしゃる方が圧倒的に多いんじゃないかと思います。したがって、どう違う道を用意しても、違う道には仲々誘導できないんじゃないかという気がします。

逆に企業サイドから言いますと、企業で働くためにはどういう能力が必要かというと、これは私も人事に大分携わりましたからずっと見ていますけど、あんまり定型的な、何とかという資格があるから十分だとかいうよりは、やっぱりもう少し幅の広い、全人格とは言いませんが、いろんな人間の要素、これで多分企業は採否を決めているんじゃないかという気がします。

したがって、これは実態はわからないんですけど、恐らく受けていらっしゃる方は否が応でも通りたい、通った暁には監査業務というか、公認会計士として、ある種のステータスを維持しながらという職業に就きたいという人ではなかろうか。そういう人を、いくら企業が努力しても、多分それはなかなか変わらないんじゃなかろうかと思ってしまう訳です。そうすると、非常に端的に言っちゃうと、人数を増やし過ぎた弊害みたいなものが物すごくあらわれているように思えます。。

例えば公務員試験などでもそうですけど、公務員として採用する人数の2倍合格させて、あとは各省庁で採否を決めようやといったら、あぶれる人が半分出てくるわけです。せっかくここまで勉強した人だから有用なはずだ、企業にもっと流れるようにしようといったって、何年かかってでも公務員になりたいと思っている人にとっては、全く余分なことにしか見えないのではなかろうかという気がするんです。だから本当は質問したいだけなんですけど、受けていらっしゃる方でいわゆる監査法人に勤めたい、それ以外は余り眼中にないと思っている人はどのぐらいいらっしゃるのかというのが、質問です。実感どのぐらいですかというのを伺えたらと思います。

○佐藤参考人(有限責任監査法人トーマツ包括代表)

まさに古賀さんがおっしゃるように現行の公認会計士制度の仕掛けというのはページ1の左側の流れなんですね。ですから、左側の流れを作って右に移すという発想は限界があると思うんですよ。まさに移っても少ない数字で。企業側の受け入れも大量にはないと思います。

私が申し上げたいのは、それはそれとして、もう一つ右側の流れを作る必要があるかということです。それは企業として、資格があろうがなかろうが、中に会計プロフェッショナルがいるんだからいいんだと言い切ってしまうかどうかなんですね。ただ、何らかの資格があったほうが、会計プロフェッショナルが世の中に増えるということを期待したのが私の右側の線です。経団連のほうからの意見もそういう意見だと聞いています。

左と右は思想が違うような気がします。ただ、それを何かうまく国として一体化できないかという提案です。だから、左側の会計士制度が目指すのは監査制度なんだと言い切ってしまえば、それはそれだと思います。

○古賀委員

もうちょっとだけ言わせて頂くと、何故左から右のほうにもっと移転しないんだというのが素朴な疑問なんです。本来なら職業会計士としてやった人が企業で働く場というのはもっと多いはずなんですね。端的に言うと、会計士の試験に受かっただけでなり損なった人を対象に企業が一生懸命何か発掘しようとするよりは、むしろ公認会計士からもっと企業側に流れ易くして足りなくなる分を、新しい力でどんどん補充するような構図にしないとなかなかうまくいかないんじゃないかというのが素朴な印象でございます。

○岳野審議官

ありがとうございました。

先ほど、島崎さん、手が上がっておりましたので、島崎さんの後で、松井さんにお願いします。

○島崎委員

先ほど監査法人の方から説明があって、共通していたのは今の制度を一制度、二段階資格でどうかというような意見が多かったと思います。これにつきましては先日来私ども産業界から申し上げていることに、若干多少ニュアンスは違うところはありますけれども、基本的には同じような趣旨のご意見であったと受け止めております。

特にトーマツさんのほうからお話があった企業内にいかに会計プロフェッションを増やす必要があるのかという点ですが、この資料の1ページの右に書いているようなところがやはり現実起こっているということであり、前回の公認会計士法の見直しのときもまさにこういう認識のもとに見直してきたということだと思います。

企業の中においてはそういう専門家の活動領域が広がってきているということは紛れもない事実でありますが、そういう中で流動性というか、左から右、右から左への人材の移動が当初考えていたほど出てきていないという現実があります。そこに何か問題があるだろうと思うんですが、それは次のページの右のほうに書いてますけれども、1つは企業の制度そのものにも途中から入っていきづらい制度が確かに過去あったと思いますね。年功序列、シニオリティシステムがあると。だから、そういう資格を持った人が入ってきても、なかなかすぐに仕事ができる環境になかったということだと思います。

しかし少なくともここ5年ぐらいの動きを見ていますと、会計士だけではなく弁護士とかITの専門家などのキャリア採用が、先ほど監査法人からもお話がありましたように専門職の採用が企業においても増えています。そういう方を採用して即戦力にするということです。年令には関係なく、その人の能力にフィットした給与体系に変えていっている企業が増えていますが、この流れは恐らく加速してくると思います。今はまだその途上にあるんじゃないのかなと思います。

問題はやはり佐藤さんがご指摘になったマル1の新卒採用が望まれるということですね。大学3年生、4年生で試験に合格している場合はいいんですけれども、合格したけども27歳だったという人が、企業の新卒採用者と同じような条件で企業の入社試験を受けて入ってこられるかどうかということです。この辺のところについては企業サイドの採用制度などを少し見直していかないとまだ難しい問題はあるのかなと思いますが、採用のタイミングを変える、時期をずらすとかいろんな方策は考えられるのではないのかなと、こう思っております。

それから、USCPAの話が先ほど松井さんからありましたが、USCPAというものの評価については、かなり日本で定着してきているというか、評価が定まってきていて、この試験に受かっている人はこの程度の能力があるんだろうなということで我々は見ているということです。日本において一制度、二資格が制度化されれば、公認会計士でなくても、そういう資格を持っておれば、あるレベルの会計人材であるという評価がされるようになってくると思います。

以上です。

○岳野審議官

それでは、次に松井さん、先ほど、手を挙げておられましたのでお願いします。

○松井委員

島崎さんが今おっしゃられた日本の労働慣行については、これを見直していく必要があるということは重々承知しております。その上で、やはり採用される側の立場をもう少し考えてやらないとまずいなとつくづく感じます。

受験する大学生の側は、在学中に何らかのけじめを付けたいと切実に感じているわけですから、そういった仕組みを彼らに提供するというのはやはり重要なことではないでしょうか。区切りとなる資格を設けるとしても、その難度をどうするかといった問題はこれからよく考える必要があるとは思います。ちょうど大学入試のセンター試験と同じようなもので、試験の母集団は多ければ多いほど淘汰と選別のメカニズムは機能しますし、各大学は足切りなどを実施した上で、別途個別に二次試験を実施しているわけですから、入り口に過ぎませんが、短答式試験合格レベルという形で能力を認定された母集団が多ければ、やはりそれなりに質の維持にもつながってくると思います。企業側からしても、短答式試験を通ったというサーティフィケートがあったら、それはそれで採用の上でも考慮に値すると思います。ともあれ、受験者側の立場を考慮する視点、彼らに選択肢を与えて追い詰めない施策の重要性を重ねて強調したいと思います。

○岳野審議官

ありがとうございます。

第1の議題につきましては、あと10分ぐらいで一旦閉めたいと思っております。議論を少し急ぎたいと思います。

それで、先ほど太田さんと小山田さんから手が挙がっておりましたので、それでは太田さん、お願いできますか。

○太田委員

企業側に会計プロフェッションのニーズがますます高まっているということについては、これも疑いのない事実だと思います。そうした中で、最近3つだけ新しい変化というか、お話ししたいと思うんですけれども、1つは、今、採用の面接が始まっているピークというか、そういうシーズンだと思いますけれども、試験の合格者が我々の企業にも何人か、1人、2人じゃない数の方が申し込んでこられていると。これは全く初めてのことじゃないかと思うんですね。今までそういう目で見ていなかったということもあるかもしれませんけれども、明らかにそういう試験を受けられた方が企業を目指す動きが、新制度になって何年かたって、そういう動きが出てきたのかなというふうに思っております。ぜひ採用に結び付けられたらなと思っているのが1つですね。

それから、企業側もやはりいろいろ努力していかなきゃいけないということで、我々、通常は採用活動が終わってしまってから試験の結果がわかると、こういう状況なわけですけれども、時期をずらして、去年の秋にはもう一度、この試験に受かった人だけを対象にしまして採用活動いたしました。そういうことも企業として今後ますますやっていく必要があろうと。ニーズがあれば当然やるんだと思います。

それから3番目に、先ほど、企業にも優秀な会計マンがいるというお話もありまして、事実そうだと思います。そういう面も当然あると思いますけれども、企業は適性を見ながら人を育てていくというところがありますけども、こういうフィールドを最初から目指している方がいらっしゃれば、余計そこについてはそういう観点から採用していくということについてもぜひやっていきたいと思います。

それからあわせて、企業の中で育った会計プロフェッションが今この試験を目指していると。短答式に複数受かっているという話を前回いたしましたけども、そうしたこともありまして、我々としてはそういう努力をしていけば、新しい制度の精神にマッチしてくるんじゃないかなというふうに思います。

最後に、やはり試験そのものを魅力的なものにしていかないと、要は活力ある、やる気のある人がぜひ受けたいという試験にしていかないといい人は集まってこないと思うんですね。それが根本だと思います。先ほど、1万時間というお話だとかいろいろありましたけれども、受験浪人だとかですね。ですから、なるべく早く早期合格者というのは、魅力ある人を集めるという意味でもぜひやっていかなきゃいけないことなんだろうと思います。

以上であります。

○岳野審議官

ありがとうございました。

続きまして、小山田さん、お願いします。

○小山田委員

今の太田さんがおっしゃったこととかなり重なりますが、企業といいますか、銀行の立場で一つ意見を述べさせていただきます。

今、IFRSという新しい大きな動きがありますが、例えば銀行ですと、一部専門的になり恐縮なんですが、今回、貸倒引当金のやり方がかなり変わるということで、これが導入されるとかなりインパクトが大きいということで、海外に何名か行っていろいろヒアリングをしたんですが、改めて、同じ国際会計基準という世界の中でも銀行によって対応はかなり違うんですね。ですから同じルール、一つの大きな原則を踏まえながらも、結構ルールはいろいろそれぞれ各行によって違っているということは、多分我々の会計のあり方も、日本ですと一つのきっちりしたルールがあって、それに合うか合わないかという世界なのですが、むしろIFRSという世界の中では企業の戦略と会計をうまくリンクさせながら、本質や原則を押さえた上でいろいろなバリエーションがあり得るということであろうと思います。そのため、やはりしっかりと対応できる人材を企業の中にも作っていく、あるいは監査法人とそういうことがしっかりコミュニケートできる人材を作っていくというのが非常に大きなニーズであろうと思います。それは今までの日本の会計のあり方とちょっと変わってくるのではないかなということが改めて実感としてあります。

そういった意味で、我々もかなり会計人材を早目にしっかり育成していきたいということで、二、三年前から戦略財務会計コースという専門コースを作っています。これは我々としても、会計を一生懸命やりたい人を採りますということで、ただ、それは別に公認会計士になってくれとかそういうことではないんですけれども、メインはやはり会計分野において頑張る人を採っていくということで、そのときの一つのメルクマールは、例えば短答式試験を受かっているとか、やはり何らかのコミットメントがあると我々は採用しやすいということであろうと思います。

ただ、その方々全員が別に公認会計士試験を受けてくれとは思ってはいないんですね。ただ、そのスキルを磨いていってほしいと。でも、場合によっては監査法人に移るということもあるかもしれないし、公認会計士になりたいと思うこともある。それは精いっぱい応援したいと思うんですけれども、そういうフレキシビリティーのある制度を作る。その中でやはりインセンティブを与えるという意味では何らかの、公認会計士ではないですが、一定のそういう資格といいますか、准会計士なのかわかりませんけど、対外的に言えるようなインセンティブとうまくリンクをさせていくというのが1つ在り様としてはあるのかなと。それがさらに公認会計士につながっていくかもしれませんし、非常に大きな一つのプラットホームを共有しながら、ツインタワーではないですが、企業と監査法人がそれぞれあって、それがお互いブリッジがうまくかかっていくような、そんな制度がうまく作れると非常にありがたいなと思っておりまして、そこを今、私どもとしてもなかなかうまくいかない部分もありますが、試行錯誤しているというのが実情でございます。

○岳野審議官

ありがとうございました。

それでは、久保田さんと平松先生から手が挙がっております。先にお手を挙げられた久保田さんからお願いします。

○久保田委員

今日、4大監査法人の代表の方からお話を伺っていて、基本的な方向は大分認識が一致しているなということで、非常に安心したというか。どこまでの試験でどうするかということは別として、一系統、二段階方式というんですか、そういう方向での理解が大分進められたということが一つの認識でございます。

それから、前回の改正のときに、経済界のほうは別に量を増やせという話ではなくて、もう少し日本の会計レベル全体を上げるために、もう少し競争とか柔軟性があっていいんじゃないかという話と、もう一つは先ほどトーマツの佐藤さんが言われたように、企業の経理の方が、優秀な方がもう少し公認会計士資格を取れるような、そっちの方向の流動性ということでこういう制度を発足したんですけど、現実は、一部先ほど太田さんとかあるいは三菱UFJの小山田さんが言われたように、企業のほうも柔軟にはなってきていますけど、これほどの今の大量の合格者には対応できていないという事態で、今日出たような方向性で改革が具体的に進んでいくということになれば私は一番いいかなというふうに思います。

○岳野審議官

ありがとうございました。平松先生、お願いします。

○平松委員

これまでの議論と少し異なる観点からご意見申し上げます。

それは、1つは国際教育基準のことです。これは資格取得の前と後のどちらにも関係があるわけですが、教育の中身にかかわることがらがあるということです。

それからもう一つは、幸い大塚副大臣がいらっしゃるので、今、文部科学省が中央教育審議会で専門職大学院の学位課程についても議論をしているとです。それは中央教育審議会から4月になれば報告書が公表される思いますが、そこに会計専門職大学院も含めた専門職大学院の話が出てくるということです。

今日のこの議論で申しますと、1つはグローバル化が非常に重要な話題になってきているということです。4大法人ともそのことに触れられました。そしてさらに、国際教育基準が非常に現実的なものになっていることです。その前に国際会計基準というのが話題になっているわけですが、資格試験とのかかわりの中では一つ国際教育基準が非常に重要であると思います。

先ほどから議論にあります実務経験3年の中に、国際教育基準では1年間、例えば大学院で実務的な教育を受ければ、それを3年のうちの1年分にみなすことができるというような規定もあります。あるいは、ほかにもさまざまな事柄、教育基準が述べられているわけですけれども、資格取得前に限っても、さまざまな科目についての規定が盛り込まれてくると思われますので、今日は議論の対象じゃないのかもしれませんが、試験ということでありますので、ぜひ国際教育基準への配慮をお願いしたいということが1つであります。

それから、文部科学省との関連で申しますと、やはり現在、我が国として非常に優れた仕組みとして高度専門職業人育成のための専門職大学院ができている。その中に会計大学院も、あるいはロースクルーもあるわけですけれども、必ずしも会計については資格試験制度と高度専門職業人育成の会計大学院とのリンケージというものがうまくいっていないという認識があって、とりわけ国際会計基準、国際会計教育基準が出てきている時代にあって、その会計専門職大学院というものの意味付けをさらに考える必要があるわけです。そういう意味ではここだけの議論じゃないので、あえて大塚副大臣、お名前を出させて頂いて恐縮ですが、ぜひ文部科学省との連携もお願いしたいと思うわけであります。やはり教育にかかわることですので、金融庁と文部科学省がそういったことを含めた、高度専門職業人の教育、会計大学院を含めた議論も十分に視野に入れて、試験制度との関連を議論して頂きたいというふうに思います。

以上でございます。

○大塚座長

せっかくお名前を出して頂きましたので。

ぼちぼち2番目の話題にいきそうなタイミングですので、ちょっとここまでお伺いしたところで感想を申し述べさせて頂きますと、たまたま政務官の田村さんと私は今、規制改革というのも担当しておりまして、今日、それにご参加頂く松井さんもおいで頂いておりますし、公認会計士協会の皆様にも規制改革のほうでもご協力を頂いているんですけども、資格というのは言ってみれば一つの規制でありますので、つまり自由にその職業をやってはならないのでハードルを越えなさいという規制であります。この規制改革、今回、来週ぐらいから本格的にまたスタートするんですが、経済的規制と社会的規制があって、経済的規制のほうは、これはやっぱりその規制があることで経済が活性化すればいいんですが、その規制があることで経済が不活性化するんであれば、ないほうがましということであります。

そう考えると、これだけのお歴々にお集まり頂いて、これだけの時間をかけて議論をしている試験制度、この公認会計士の試験というこの規制は大変重要な規制で、この規制があることによって、例えば貴重なマンパワー、しかも知的マンパワーである労働力がいたずらに就職しないで浪費をされてしまうとか、あるいはこれがあることによって、結果として経済が不活性化するというようなことであれば本末転倒な話でありますので、そういう視点であえて今までお伺いしていた話をちょっと私なりに整理させて頂くと、3つぐらいポイントがあるなと思ってお伺いしていたんですが、1つは、まずこの規制のハードルを越えようとする人たち、この入り口のところで、いたずらに労働力が遊休化するようなことがあってはならないというふうに考えると、まず遊休化しないためのハードルにしなきゃいけないなと。これは日本の就職マーケットの慣行とかそういうことも配慮しながら、第一関門のハードルを作っていかなきゃいけないなと。

2番目は、あまり今日話題には出ていないですし、これまでも話題に出ていないんですが、第一関門を越えた後の試験の内容ですね。つまり、二十七、八歳で今の制度で試験をクリアされた方がなぜなかなか就職できないかというと、試験に受かっているだけでは即戦力にならないから就職に困るわけですよね。ということは、第一関門をくぐった方々が実務をやりながら、あるいは実務をやっていたほうがより受かりやすいような試験制度であれば、あるいは試験の内容であれば、サラリーマン生活をやりながら一生懸命受けようという意欲も湧いてくるわけですし、また、まさしく実務を知っていた上での専門性ですから戦力としても役に立つと。このことが2点目で、つまり内容の話ですね。

最後に3点目、じゃそういう方々が例えば、小山田さんが先ほどご説明してくださいましたが、例えば東京三菱さんの中でそういう方が就職して、せっかく育ったのに転職をするというのに対して、企業がネガティブな風土を持っていたら、これはなかなか外に育った人材が全体に散っていって、日本経済全体の会計のクオリティーを高めることに寄与しませんから、囲い込んだ人たちがいざそういうことになったときに、どれだけ流動化に協力できる企業風土があるか。

だから、1番目が入り口の問題、2番目が実務をやりながらのほうが受かりやすいような、そういう試験の内容であるかどうか、3番目に、再就職のときの、あるいは転職のときの日本の企業社会の文化がどういう文化であるかと。それに加えて、今、平松先生がおっしゃってくださいましたように、国際教育基準という問題も無視できない状況になってきていますから、それをどういうふうにアレンジしながら、今申し上げたような点を工夫して頂けるかということだと思いますので、いずれにしても毎回大変貴重なお話を拝聴させて頂いて、大分頭の整理ができていると思いますので、どうもありがとうございます。

○岳野審議官

それでは、増田会長、一言どうぞ。

○増田委員

会計プロフェッションを企業に増やしていくというのはある意味で賛成なんです。ただ、先ほどお話がありましたけども、公認会計士である必要があるかということです。要するに、公認会計士という資格は、国から独占的に監査業務を担うということになっているわけですね。そのために非常に厳しく規制されている。監督も厳しくされているわけです。そういう資格だということであって、その資格がある人が企業内でどんどん増えていくという必要はないというのが先ほどの経済界の方もおっしゃられているわけですよね。だから、その辺のところをまず履き違えてはいけないと思っていて、企業内で会計プロフェッションを増やしていくということは我々は反対は全くしてません。ただ、それが会計士である必要があるかどうかということなんですね。

国際的に見て、前から申し上げていますように、監査のできない会計士という資格はないんです。そのために会計士制度ってあるわけで、そういう意味じゃ、大塚副大臣がおっしゃられたように、最初の入り口のところの試験と、それから実際に監査ができる会計士として開業するときの資格要件といいますか、それは峻別して考えるべきだと思っています。しかも、そのときはそれなりにきちっとしたアセスメントをしなきゃいけないということになると思います。今の試験制度は1回で全部、すべて終わりになっているわけです。会計士協会で実務補習の修了確認ということをやっているわけですけども、それで何とか歯止めをかけようというふうにしてるわけですね。それでなくても会計士の監査の質の問題がいつも問われるわけですから、これからも問われると思いますので、その辺のところを皆さんご理解頂きたいと思います。

○岳野審議官

ありがとうございました。

それでは、増田会長のご発言もちょうどいい内容でございまして、資格取得後の質の確保も大事だということでございます。

○岳野審議官

本日の議題の2に移らせて頂きたいと思います。

議題の2に関しましては証券取引等監視委員会事務局、金融庁の事務局、それから前回、大変恐縮でしたが、時間がなくて質疑の時間が十分とれなかったものですから、公認会計士協会の黒田、友永両副会長からのご説明、この3つを最初に説明させて頂きました後、意見交換とさせて頂きたいと思います。

それでは、時間も押しておりますので、事務局からまず説明をいたしますが、手短にお願いいたします。

まず、監視委員会の事務局、佐々木総務課長、お願いします。

○佐々木課長(証券取引等監視委員会総務課長)

証券取引等監視委員会の佐々木でございます。

資料7に則して簡潔にお話をさせて頂きます。

2ページ、監視委員会の仕事の中で、公認会計士・監査法人とどういう接点があるかと申しますと2つございます。当然、有価証券報告書等の虚偽記載への関与という問題、2番目にこうした監査業務とは別の非監査業務におきましてもいろいろな接点が我々の仕事の中でございます。

それぞれについて簡単に申し上げます。

スライドの3ページ、有価証券報告書等の虚偽記載への関与。これまで粉飾の事例に対して、監視委員会として告発あるいは課徴金の納付勧告をしておりますけれども、幾つかのパターンに分けさせて頂いております。

1つは公認会計士・監査法人が企業の粉飾に積極的に関与するという事例でございまして、この場合には共犯として刑事告発の対象になっているケースでございます。具体的には近年の事例ですとカネボウ、ライブドア、プロデュースの粉飾に関与いたしました会計士が告発をされております。他方、そこまでの共犯性はない、積極的な関与はないと認定されるケースでございましても、幾つかの類型に分けることができます。

1つは消極的な関与といいますか、会計士としては適正な会計処理を主張はいたしますけれども、一方で会社の主張に根負けをして、結果的に会社の粉飾に関与するという事例でございます。この場合には共犯と言える内容ではございませんので、我々の告発の対象になったケースはございません。さらに、もう少し関与が低いところで申し上げますと、粉飾について必ずしも十分な監査手続あるいは監査計画を立案する際のリスクアプローチがとられていない、その結果、粉飾を見逃している事例です。その見逃しているという点について、監査法人・会計士の責任なしとはいたしませんけれども、当然、刑事責任を問うようなレベルのものではありません。例えば、毎回毎回、従来と同じ監査手続を実施しているとか、あるいは会計処理を裏付ける証憑、商品等の実在性を確認しないといった監査手続上問題があるのではないかというケースでございます。

さらに、一番最後の事例は、会計士・監査法人としては十分、最大限監査手続を行っているものの、残念ながら会社の偽装工作があまりにも巧妙で見抜けなかった、あるいはだまされてしまったという事例でございまして、例えば、ある建設会社の粉飾に関連いたしまして、未完成物件に会社側が監査のときだけ表札とかカーテンを設置するという形でごまかすとか、あるいは契約書をいろいろな取引先も含めて偽造するということで、相当な偽装工作を行っていた結果、だまされてしまったという事例でございます。

以上が粉飾に関する関与でございます。

スライドの4ページ、監査業務以外の分野でも監視委員会の仕事と会計士・監査法人との接点はいろいろございます。1つは、過去何件かございましたけれども、会計士の方がインサイダー取引の当事者になっているケースでございます。それから、デューデリジェンス、例えば株価の算定に当たるデューデリジェンスの上で、会計士の方が必ずしも十分なデューデリジェンスを行っていないというケースが見られます。

それから、不公正ファイナンスと言っておりますけれども、第三者割当増資の悪用であるとか新株予約権の悪用、これはいろいろな規制が最近は強化をされてきておりますけれども、こうしたファイナンスの問題に関連して会計士が登場するケースとしまして、例えば割当先が海外のSPCである場合の国内における常任代理人として会計士が登場してくるケース、あるいはこうしたファイナンスをアレンジする立場で公認会計士が登場するケース、あるいは先般の証券取引所のルール改正によりまして、希釈化が25%以上の第三者割当増資等の場合には会計士あるいは弁護士等の第三者の意見書を入手するということが求められておりますけども、そうした第三者意見書を出している会計士、弁護士も含めて、内容を見ますと、とても独立した立場で、また十分な精査をした意見書とは思えない、そういったものが出されております。また、先ほどの監査の話と関係いたしますけども、こうした不公正ファイナンスを行います企業の監査を行っております特定の監査法人、会計士という問題もございます。

それから第三者調査委員会、これは我々の仕事の範囲で申し上げますと、インサイダー取引あるいは特に企業の粉飾が発覚いたしますと、最近では弁護士あるいは会計士その他第三者を交えた第三者調査委員会が作られるケースが非常に増えてきておりますが、残念ながら、そうした第三者調査委員会の活動が独立性、中立性、公正性の観点から問題があるというケースでございます。これは会計士に限った話ではございません。弁護士のほうがむしろ問題の事例が多いんではないかと思っております。

それから、全く違う観点ですけれども、監視委員会の証券検査の対象の一つでございます2種業者、集団投資スキームの中には、詐欺まがいのファンドが結構ございまして、これについては現在、検査をして、金融庁のほうで処分を頂いておりますけれども、こうしたファンドの組成などに会計士が関与しているというケースが散見されております。

最後に、スライドの5ページでございますけれども、我々監視委員会といたしまして、今申し上げたような形で公認会計士・監査法人といろいろな接点がございますけれども、公正な証券市場を構築する上で公認会計士・監査法人の役割というのは非常に重要であると考えています。監査証明、監査業務の中での役割、それから先ほど申し上げました非監査業務におきましても、公認会計士・監査法人は、証券市場の公正性の上で極めて重要な役割を果たしていると認識しております。

当然、そうした観点からは公認会計士・監査法人が異動される、あるいは交代されるという事象、これは何かあるんではないかということで、我々の監視の中で十分関心を持って見ております。また、近年におきましては、公認会計士協会あるいは個別の監査法人も含めまして、連携を強化させて頂いておりまして、例えば協会の主催します研修に我々が講師を派遣したり、あるいは協会のほうから我々の内部の研修に来て頂く。あるいは、先ほど申し上げましたようないろいろな問題事例をもとに意見交換をさせて頂く。さらに、当委員会には現在20名弱の公認会計士の方が来て頂いておりまして、そうした人材の面でも連携を強化させて頂いております。

以上でございます。

○岳野審議官

続きまして、金融庁の事務局からご説明申し上げます。

○土本参事官

それでは資料8、縦長の資料をおあけください。前回もご説明させて頂いたものの補足になります。資格取得後の質の確保に係る対策の概要と現状での私どもの問題意識ということでございます。

会計士の資格取得後の対策として1ページ目、3つございます。1つは継続的専門研修というのを受ける義務があります。それから、左下でございますが、監査を実際にされる監査法人あるいは個人事務所に対する品質管理の体制維持という対策、それから右下、先ほどの証券取引等監視委員会からの説明もありましたが、企業が粉飾等を行い、その際に虚偽証明をしてしまったという事案に対する処分と、この3点ございまして、この懇談会ではその3点ともに現状のご評価と必要な場合の対策ということでご示唆を頂ければと思っております。

幾つか補足をさせて頂きます。まず継続的専門研修、CPEでございますが、平成20年度までは年間40単位を義務付けておりました。先ほどの非監査業務でのいろんな問題等もございますので、倫理等が入っているということでございまして、1年間できなくても、翌年、義務を履行すれば遡及できるというのが20年度でございましたが、21年度からは3年間で120単位の受講という義務付けになってございます。これは15年度まで協会の自主規制でやっていたのを前回の法改正で義務化をしたということでございます。その際の、ある意味我々に対する申し送り事項がございまして、5ページをおあけ頂ければと思います。

これは15年の法律改正のもととなった報告書でございまして(2)のマル2のところでございます。下線を引いてございますが、監査証明の質の確保というために、「公認会計士の登録については、法制度上、一定の有効期間を設けるとともに、引き続き登録する場合には、登録の更新を必要とする「更新制度」を導入する方向で検討することが適正である。ただし、その導入に当たっては、本年4月から導入された公認会計士協会の「自主規制」による「継続的専門研修」の義務づけの効果を適切に評価することが必要である。また、併せて、法制度上、「継続的専門研修」の受講を義務づけるとともに、当該受講を「更新制度」における要件の一つとする方向で検討することが適切である。」と、これが14年のときの議論でございまして、この懇談会におきましてこれについてもご議論頂きたいというふうに考えております。

現状でございますが、次の6ページをおあけ頂ければと思います。

これは公認会計士協会のほうで作成頂いた資料をもとに作っておりますが、CPEの義務不履行者の推移ということで、毎年度、一番上の段でございますが、こういった方々が義務を果たしていないということでございます。3行目のところに、義務不履行者ということで、協会のほうで氏名等の公表をして努力をして頂いておりますが、現状こういう形になっているということでございます。

義務を履行しない方の理由ということが次の7ページにございます。これは20年度に氏名公表された120名の方について、協会が悉皆的に調査をして頂いたところ、CPEに対してそもそも必要ない、否定的だとか、業務を行っていないのでとか、多忙だからとか、あと理由がわからないのが非常に多くて、中には連絡がとれない、あるいはなかなか連絡をとろうとしないと、こういったいろんなパターンがございます。ちなみに、これを公認会計士法に基づく処分を行おうと思いますと懲戒処分しかございませんで、ご本人を呼んで審問、聴聞を行った後に戒告を経て改善指示とか改善命令、さらには業務の一部停止というような多くの段階を経ていくことになりまして、非常に時間と手間がかかるということで、数百名の方を対象に行政処分を行っていくことの限界がそろそろ来ているのかなというふうにも思っております。

それから、虚偽証明の処分でございます。前回、上柳委員からもご指摘を頂いております。

15ページをおあけ頂ければと思いますが、先ほど監視委員会事務局から粉飾ということで、監視委員会から金融庁に対して、企業が粉飾を行ったということで課徴金納付命令を出すようにという勧告をもらったり、あるいは刑事告発を受けたりという件数が年々こういう形で増えておりまして2桁台になっていると。

こういった事案につきましては、会計士あるいは監査法人の側に過失がなかったかどうか、あるいは故意で虚偽証明をしていないかどうかということを金融庁側で調査して、過失あるいは故意がある場合には処分をするということになっているわけですが、次の16ページをおあけ頂きますと、これが近年の虚偽証明に係る処分の実績でございまして、一番左の処分年月日を見て頂きますと、1年間で大体数件程度の処分ということになっていまして、現状、年間十数件、監視委員会側で告発あるいは勧告という件数にまで達していないということで、ある意味、金融庁側でしかるべき対応をすべく体制の強化なり抜本的な対策が必要かなというふうにも思っております。

以上でございます。

○岳野審議官

それでは、続きまして公認会計士協会から、前回の積み残しと言っては申し訳ございませんが、ご説明を頂ければと思います。

○友永参考人(日本公認会計士協会副会長)

前回、品質管理レビューの制度についてご説明をした際、平成20年度品質管理レビュー実施結果において、未了事務所数2件という記載につきましてご質問がございました。これはレビュー対象会社の決算期、これが11月でございましたけれども、その関係でレビューを実施したのが3月下旬ということで、その後、レビュー報告書原案の作成、品質管理委員会での審査等が未了となったため、レビュー報告書を交付しておらず、翌年に繰り越したというものでございます。当該事務所に義務違反や特段の問題があったということではございません。

以上でございます。

○岳野審議官

ありがとうございました。

それでは、意見交換に入りたいと存じます。

この資格取得後の質の確保のテーマにつきまして、事務局からご説明した内容につきましては、ここにございますような継続的専門研修などについてご説明を申し上げておりますが、最初の議題の中で、各監査法人の皆様から監査法人における会計士さんの育成モデル、例えばあらた監査法人の初川代表執行役からご説明頂いた資料4のスライド5などにも、資格取得後のプロフェッショナル監査業務責任者の育成の問題といったこともプレゼンテーション頂いておりますので、幅広く、そういったことも含めまして意見交換をさせて頂ければと思います。

増田会長、お願いいたします。

○増田委員

先ほど土本参事官のほうからご説明のあったCPEの不履行者の話で、理由が不明なのが非常に多いという、これは資料の7ページでございましたけれども、これについて、会計士協会は実は自主的にできる処分が限られているんです。

どういうことかというと、会計士協会の会員は住所の変更、登録変更をやらなきゃいけない。あるいは当然、会費を納入しなきゃいけないです。しかし、会費を納めていなくても除名できないんです。会計士協会自身では登録抹消だとか業務停止はできない。だから、30年以上会費を納めていない会員が平気でいるわけです。会員権の停止にはなっていますけど。そういう問題があって、ここで理由不明だとか連絡がとれないだとかとんでもない話が出てきちゃう。この辺については金融庁、行政のほうとも相談して、その処分ができるように今進めているという段階にあって、非常にだらしないじゃないかと言われると困るんで、ちょっと補足してこの点だけはご説明させて頂きます。ぜひともこの点だけはご理解頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○岳野審議官

そういうことでよろしいですね。

公認会計士協会におかれても大変ご努力頂いているということでございます。お間違いのないように。

それでは、どなたからでも結構でございます。

それでは、八田先生と上柳先生から手が挙がっておりますけれども、これまでご発言していなかった上柳先生から先にお願いいたします。

○上柳委員

恐れ入ります。資料8、金融庁のほうからご説明あった中で、特に16ページのところについて、さらに補足して伺えればというふうに思います。

先ほど土本さんのほうからも、監視委員会の数とずれているというお話があったんです。おっしゃったのは金融庁のほうの体制の問題を理由にされたんですが、具体的にどういうことかということで、単に体制だけではなくて、故意であるとか過失であるとか、そういう認定上、これほど違わないかもわからないけれども、おのずから違いはあり得るんだということなのか、本来かなり近接してくるようなものなのか、そのあたり、どう認識されているか伺いたいなと思います。

私の感じから言うと、もっと全体の数が多くて、ある程度、もちろん例えば刑事処分になるものというのはその中で限られているのかもわかりませんけれども、もう少し案件数としてはあるんじゃないかなという、これは単なる印象ですけれども、思いますので、そのあたりの感触がもしありましたら教えてください。

○土本参事官

ご質問の点は、数というのは、粉飾の数がもっと多いのではないかということですか。

実際上の数は多いのかもしれませんが、現状、監視委員会側の調査で粉飾ということがはっきりして、行政処分の勧告なり刑事告発されたのがこの数字であるというふうに認識をしております。

こういう粉飾、ここに載っていますのは、企業側が監視委員会の勧告なり告発を受けて粉飾を認めているケースについては、もう粉飾自体は事実ですので、あとはそれをご担当された会計士なり監査法人側に職業的な専門家として当然払うべき注意を払ってもなお見つけ切れなかったのか、あるいは過失があったのかと。故意というのはもちろんあるんですけども、なかなかあまり例としてないものですから、通常はこういう過失があったかないかということになりますが、その過失があったかないかというのを金融庁側で調査するということになります。

ここの作業がなかなか難航しておりますのは、粉飾であったかどうかというのは結果だけが立証できればいいので、数字が合っていたかどうかということだけなんですが、過失ということですので、職業専門家としてみれば、本来気づいたはずであるかということを指摘しないといけないということで、結局、当時の監査人の方が行われたのと同じ作業、膨大な監査証書を監査法人の方から頂いて、ダンボール箱何箱にもなるんですけども、個別の帳票と帳簿とを比べていって矛盾なりほころびみたいなものが見えてきたときに、どうしてこれ、気付かなかったんですかというのを個別に審問なり聴聞の形でお聞きして、過失であったのか、あるいは企業側が巧妙にだましたのか、監査人側に過失がなかったのかどうかを一つ一つ認定していかないといけないということで、一件一件の処理に非常に時間がかかるということで、残念ながらこういうような結果になっているということでございます。

○岳野審議官

八田先生、よろしくお願いいたします。

○八田委員

今、会計士の処分の話が出ましたけれども、先ほども非監査業務における問題点の指摘ということで証券取引等監視員会の佐々木さんのご説明と今の処分の話が出て、これが会計士がかかわっている案件だということで、その数を多いと見るのか少ないと見るかは別な問題として、こういうのが出てくると非常に社会問題になるわけですよね。

なぜかというと、それは公認会計士というのは、やはり監査独占業者を公共の利益を守るために非常に崇高な立場で業務を担っている人であるにもかかわらず、こんなことをやっているのか、ということで大きな責任を問う議論があるわけですよ。したがって、会計士になりたいという学生などについては、先ほどご質問がありましたけど、やっぱりお医者さんが例えば生命を守るとか、法律家が正義を守ると同じように、会計士はやはり公益を守ると、公共の利益ですよね、投資家保護という、こういった高邁な社会的使命を守りたい、あるいはそうした職業に就きたいと強く願っているのであり、そしてそれを独占的に担っているのが日本の場合は監査法人であり、アメリカはアカウンティングファームですけど、第一にそうした職場を希望するのです。

と同時に、そういったオフィスというか職場、職業に対して社会の人たちは非常に高いステータスとかレピュテーションを与えているわけですよ。だから、お金の問題もあるかもしれないけども、やはりそういう道を目指した人はまずそこに行きたいと考える。ですから、監査法人は無理だからそれをあきらめて一般の企業に行きなさいとはなかなか酷で言えないわけです。ただ、私は、今回の試験制度の見直しの問題もありますけども、ある程度一般企業に勤められる年齢あるいは状況にある人はそういったところへ行って視野を広めたほうがいいと思います。それを経たうえで、その後監査人をやっても一向に遅くないというようなことを若い学生には話しています。

こういう話をしますと、それまでの議論とちょっと違うので、もう少し視野を広めることで大分考え方が変わって、企業などに行く人がいるんですね。したがって、そのためには資格は若い段階で取れるという方向性を一つ見せることはいいと思います。

ただ、問題は全員が監査人に向いているかどうかという問題があって、それが多分今日の後半のほうの資格取得後教育というところで、これは厳格にやっていかなきゃいけないということだと思います。CPEは、今現実には公認会計士協会が開業登録制度を持っていますから、全員が無条件で受けなくてはならない。しかし、すでに実際に現業作業をやっていないとか、もうリタイアしているとかいった会計士の場合には、それなりの対応があってもいいと思います。つまり最近ですと、例えば運転免許証も、高齢者は危なくて乗らないのだから、じゃ免許証を返上して、でも、その何か代わるべき身分証明書としてのライセンスは与えますよと。私はそういうのがあってもいいと思います。例えば監査業務を遂行するための一定年限を区切っての更新制の採用ですよね。これはCPEを効果あるものとしていくためにはそういった方向性は当然あっていいと思うし、実際にリタイアした人はそれなりの称号をちゃんと与えてあげて、その代わりCPEとか、あるいは場合によっては会費の一部免除とか、こういったものの識別をつけるとともに、本当の意味での監査人はちゃんと日本として誇らしい監査制度の構築に寄与していくということ。そのための会計専門職業のすそ野を広げるということに対しては、大いに賛成の意を表明するものです。

ただ、増田会長が言われたように、全世界でいわゆる会計士と名のつく人が監査業務を担っていない国はないわけですから、少なくとも会計士という職業が国際社会で認められていくためには、前段階の資格であっても、名称の問題もあるでしょうし、その人たちが持つべき一定の学力ですか、それらを明確にすべきであって、決して今の短答式試験の内容をそのまま受け入れるものではないと私は認識しているわけです。少なくとも、ここのところをもう少し信頼性ある試験の中身ですね、これが一般にも受け入れ可能な内容およびレベルのものとなれば、企業サイドの要請にもこたえられるのではないかと思います。企業に就職して、松井さんがおっしゃったように企業の中でまた淘汰されていけばいいわけであって、その辺の仕組みを考えて頂きたいと思います。

○岳野審議官

ありがとうございました。

石川先生、お願いいたします。

○石川委員

今の八田先生のお話にも関連しますが、前回もご報告しましたように、今、経理のプロフェッションではないですが、そういうスペシャリストを多少志向しながら、しかし資格試験は選択しないという形で実際に企業に就職するルートというんですか、それはあるんですね。先ほどトーマツの代表の方からのプレゼンテーションにあったかと思いますが、いわゆる検定試験、各種ありますけれども、それらをとりながら、一般のゼネラリスト志向の就職の枠組みの中において、通常のタイミングよりも遅い場合でも一定の人数枠で採用を実際にされていますので、そうしますと短答式なのか、あるいは論文式までで中間の資格を与えて企業で実務を積んで、それから監査なりそちらにというのは制度としてわかるんですが、実際、そうしますと現在、そういうスペシャリスト的な形で採用されている、そういう人たち、あるいはそういうルートをどうするのかというあたりはちょっと調整が必要ではないかと思われます。

要するに、入り口の試験を検定試験に近い形にすれば、もっとすそ野が広がって、多くの人が会計士試験を目指すことになるかもしれませんが、やはりレベルが問題になると思いますし、また先ほど企業の慣行というような話がありましたけれども、企業の側で幅広い形で受け入れて、その中でいろいろ適性を見ながら育てていくのでしょうが、入り口の試験としての会計士試験に受からないと、今度は経理あたりはもう採らないんだということになるのであれば、普段大学生を見ている立場からだと、少しいろいろ検討しないと難しいのではないかと思います。ですから、検定試験と資格試験ですね、そこら辺の境目というのは考える必要があるのでないかという印象を持ちました。ありがとうございます。

○岳野審議官

それでは、トーマツの佐藤さん、お願いします。

○佐藤参考人(有限責任監査法人トーマツ包括代表)

倫理の問題については、やはり試験で縛るのは限界があります。一般の企業に入ったらその企業の、監査法人に入ったらその監査法人の教育とか文化とか、先輩を見習ってとかが背景になければいけないわけです。そこを資格を剥奪するとかペナルティーということで縛るのは半分で、あとは一般企業に行こうが、監査法人に来ようが、教育をちゃんとやるとか、文化にしていくということでないと結局は無理だと思います。それはブランドということで、そのブランドを傷つけないということが我々のテーマになっているわけで、一般企業も監査法人も同じだと思います。

○岳野審議官

ありがとうございました。

島崎さん、お願いします。

○島崎委員

ページ6のCPEの義務不履行者の数の推移というのを見ているんですが、法定義務不履行者というのはどういう人たちと理解したらいいんでしょうか。要は、そういう法定義務を果たしていない公認会計士有資格者が、法定義務を履行しなくても免許は与えられて、企業の監査証明をやっている人たちがこれだけいるという理解でよろしいんでしょうか。

もしかそうだとすると、こういう方に対して、例えば氏名を公表するとか、何かそういう対応をとらなければ、非常に高いレベルの国家資格であるという割には全く尻抜けになっていて危なくて仕方ないと思うわけです。証券市場の基本インフラであるという割にはこういうところが非常に甘いのではないのかなという印象をちょっと持ちました。その中でも倫理ですね。公認会計士法においての職業会計士の倫理というのをうたっていますよね。こういうものも受けていない人たちが本当にアンパイア的な仕事をする資格があるのかどうかというのは非常に疑問に思うんですが、これはいかがなんでしょう。

○岳野審議官

事務局からご説明いたしましょうか。

増田会長から手が上がっていますので、増田会長からお願いいたします。

○増田委員

これは法定監査といっても、幼稚園の監査とかそれも全部入るわけなんですよ。上場会社なんてとてもじゃないけど非常に厳しく、倫理研修をやっていないなんてあり得ない。要するに、いわゆる法定監査の範囲の中に上場していない会社もあれば、会社法の監査もあれば、幼稚園の監査とか非営利法人の監査とかあるわけですね。そんな中でやっていない人が出てくる可能性があります。

幼稚園の監査なんていうのはそれこそ何千とあって、個人の人が多いわけですけど、そういう人もいますし、それから法定義務の不履行者のうちの例えば自主規制である職業倫理をやっていないという人がいますが、これは当然全員やらなきゃいけない。これは監査をやっていなくても、先ほど八田先生からお話があったように全員やらなきゃいけないんですね。会計士の業務はいろいろありますが、監査はやっていなくても、会計士としての名称を使ってやっているという仕事、コンサルの仕事をやっていても、これは受けなきゃいけない。基本的に全部そうなんです。全員で今2万人ぐらいいますけども、その中での話なんですね。ただ、先ほど申し上げたように、それでも確かにおかしいじゃないかと。監査をやっている人は2万人の半分以下ですから、1万人もいっていないと思いますけども、そういう人以外の人たちに対して義務を課しているわけですね。だから、逆に監査をやっていない人の反発がものすごくあるわけです。そんなの何でやらなきゃいけないんだと言う人もいるわけですよ。

CPEは法定化していますけども、職業倫理に関して義務化したのは、会計士協会が自主的に義務化したわけですね。だから、自主規制になっているんですけども、ただ法定でやらなきゃいけないといのは、40単位というのはもともと決まっていますから、その範囲の中でこういうふうなことになっていて、氏名公表の後は、次は今度は行政処分の申請ということになっていっちゃって、業務停止になるか資格の登録抹消になるかと、こういうふうに行くわけですから、これは時間の問題だと思うんですね。ただ、始まったのは平成16年から法制化されていますので、これは平成16年からの動きを書いてあるわけですね。

それともう一つは、先ほどちょっとお話がありましたけど、監査をやっておらず、一定の年齢になっていれば軽減され、年間40時間じゃなくてもいい、20時間でもいいとか、そういうふうな軽減免除という制度もあるんです。それは届け出れば免除できるという仕組みになっている。そういう意味じゃ、法定義務不履行者というと非常に大変なこととおっしゃると思います。確かにちゃんとしなきゃいけないというのは我々よくわかってます。

○島崎委員

私はちょっと安心しましたけど、要はそれじゃ法定義務不履行者は、例えば上場会社は別としても、会社法の大会社とか中小の企業などを会計士資格を持って経理指導することはできるんですよね。要は理屈から言うと、大会社の監査もできるわけですよね。

○増田委員

理屈的にはできますね。

○島崎委員

そこがちょっと問題じゃないかと私は思うんですけどね。理屈上できるということ。

○友永参考人(日本公認会計士協会副会長)

上場会社、大会社等につきましては品質管理レビューで、すべての監査事務所においてCPEの単位をきちんと監査従事者がとっているかどうか全部チェックをしております。3年ごとに基本的にはやっておりまして、そういったところで問題があれば、指摘事項として改善勧告をするというシステムになっておりますので、まず大会社等以上のところは協会できちんとチェックをしているというふうにお考え頂いていいと思います。

○大塚座長

今ご議論頂いている話は、僕も島崎さんの印象にちょっと近いんですけど、法定だと言う以上、CPEをちゃんと受講していなければステータスを変えればいいと思うんですね。だから、資格は資格としてお持ち頂ければいいんですけども、ある一定以上の未履行の状況であれば、例えば少しリビングステータスでないようなステータスで業務をやって頂くとか、単にレビューしている、チェックしている改善勧告だけで本当にいいのかなというのは何となく今のお話をお伺いしていて思いました。

だから、大変クオリティーの高い資格だからこそ、これだけ皆さんにご議論頂いているわけで、ある意味で、先ほど資格というのは規制だというふうに申し上げましたけども、それが既得権益を守るための規制であっては困るわけでありまして、当然、それで付与されているバリューに合致するだけの自己統制をきかせて頂いたほうがいいのかなという、感想めいたことで恐縮ですが、そんなふうに思いました。

○岳野審議官

定刻になりましたので、そろそろ閉めたいと思いますが、本日ご参加頂きました方でまだご発言頂いておりません日本商工会議所の青山さん、あるいは日本税理士連合会の宮口さん、何かご発言がございましたら、最後このお2人にお時間を差し上げたいと思います。

それでは、宮口さん、お願いいたします。

○宮口委員

本日は時間がありませんので発言は控えさせていただきます。

○岳野審議官

青山さんもよろしいですか。

それでは、定刻になりましたので、本日の懇談会を終了いたしたいと思います。

次回、第5回の懇談会につきましては4月13日の火曜日、また18時30分からお願いしたいと存じます。

皆様、本日はお忙しい中ご出席頂きまして大変ありがとうございました。

特に大手監査法人の経営者の皆様にはお時間を合わせて頂きましてありがとうございました。皆様方から頂いたご意見あるいはここでの質疑をもとに、引き続き懇談会の検討を進めさせて頂きます。

本日はどうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課開示業務参事官室(内線3679、3661)