金融仲介の改善に向けた検討会議(第1回)議事要旨及び配付資料

議事要旨

1.日時:

平成27年12月21日(月)15時30分~17時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館 12階 共用第2特別会議室

3.議事内容:

牧島内閣府大臣政務官の挨拶

  • 本年9月に公表した金融行政方針のとおり、金融庁は、外部の専門家の積極活用等により、金融行政について民間の有識者の皆様の有益なご意見やご批評が継続的に反映される意思決定の仕組みの構築に取り組んでいるところであり、今般、その一環として、本検討会議を設置した。

  • 金融機関には、担保・保証に依存する融資姿勢を改め、取引先企業の事業の内容や成長可能性などを適切に評価した上で、融資や本業支援等を通じて、地域の企業や産業の生産性向上、円滑な新陳代謝の促進を図り、我が国経済の持続的成長や地方創生に貢献していくことが期待されている。

  • こうした状況を踏まえて、本検討会議では、融資先企業へのヒアリングや金融機関へのモニタリング等を通じて得られた事実を踏まえ、担保・保証依存の融資姿勢からの転換や産業・企業の生産性向上へ金融仲介のあるべき姿等についてご議論を頂きたい。

事務局によるメンバー紹介や資料説明等に続いて、以下のような議論が行われた。

  • 地方経済において大半の雇用の場を提供しているのが中小企業であるが、後継者のない企業は、積極的に投資を行わなくなるので、必然的に生産性が低下する。従って、事業承継については、単に退出の観点だけではなく、生産性の向上という観点でも非常に重要な課題であり、事業承継について早い段階から相談に乗れるような金融機関や支援団体と企業の関係を構築することが必要である。

  • 生産性を高めるためには、人材の教育が必要であるが、中小零細企業ほど研修の機会が乏しいため、銀行や、商工団体などの積極的な関与が必要である。

  • 日本各地の特長を活かして、それを伸ばしていくために、地域を分析してグランドデザインを描くことが必要である。そうした点でも、地域金融機関に大いに期待したい。

  • 地域密着型金融のビジネスモデルを標榜しながら、それとは矛盾するような行動をとっている地域金融機関が多い。貸出量などのノルマに基づく評価は基準が明確なために、その基準を使い続けている。企業の貸出需要が減る中で、量を求めれば低金利での貸出競争が過熱するだけであり、組織の行動が変わるためには、人事評価が鍵を握ると思う。

  • 今回の企業ヒアリングは、企業の側の声が聞けて良かった。今後、銀行の意識とのズレを検証して頂きたい。

  • 地域企業の再生においては、地域の専門家、専門団体との連携の強化が重要である。認定支援機関の数は増えたが、数の増加ほどに支援が重層化しているわけではなく、誰かがリーダーシップをとらないと、有効な連携にはならない。その役割を地域金融機関が果たせるのではないか。

  • 創業支援も含めて、ローンによる資金供給だけでは対応が難しい。法律改正で自由度が増したクラウドファンディングは、中小企業がエクイティ性の資金を調達する新しい方法であるが、地域金融機関は、投資家を募ることまでは行っていない。地域が成長資金を提供する仕組みであるが、なぜ取り組めないのかを考えておくことが必要である。

  • 地方創生に関しては、お互いに顔を見知って、ネットワークを作っていく、これを地道に広げていく取組みが重要である。

  • リレバンは、まずは取引先から何かあったときに電話1本来るような関係を作ることが重要である。そして、関係ができたら、金融機関は、取引先に伴走していかなければならない。地域銀行こそが一緒に歩ける存在である。

  • 会社が行き詰まると銀行が取引に慎重になるのは、トップの資質や地域金融への取組み姿勢の影響。しかし、そこは、トップがそのような活動を収益に結びつけるような金利体系や、リスクと金利の相関を自ら作っていくことで、取引先から遊離しないようにしなければならない。

  • 取引先に融資をした後、事業計画どおりいかないことが多いが、それを前提として、企業再生・事業再生まで含めてハンドリングすることがバンカーの力である。

  • 地方自治体のグランドデザイン作りに関しては、銀行と地方自治体の首長との信頼関係が重要である。守秘義務の中で、新陳代謝などの話ができるかどうかは、器量と才覚があるかどうかにかかっている。

  • 地域のグランドデザインに関して、地域の産業政策は、ビジョンを描くだけではなくその実行支援、例えば早めの経営統合や新陳代謝など、オーナーにとってみればかなり厳しい話も含めると、それは、地方自治体ではなく、長年企業と付き合って信頼関係のある地域金融機関しかできない。しかしながら、地域金融機関は極めていいポジションにいるが、現状ではあまりできていない。

  • 事業性評価に関連する話では、各地域金融機関は、あまりオーナーとの間で、特に経営について深い話ができていない気がする。

  • 地銀の担当者に、企業オーナーと経営の話をもっとしないのかと聞いたところ、複数の銀行で「課題を聞いて、万が一返答できなかったら困るので、あえて聞かないようにしている。」という回答があった。その背景には評価基準があり、そもそもどういう評価基準で各金融機関が中の人材を評価しているのかも、当局は見た方がいいと思う。

  • 大企業には、例えばメガバンクや、コンサルティングファーム、投資銀行等から色々な情報が入ってくる一方で、中堅企業以下になると、急激に質の高いサービスがもらえなくなる環境になっている。もっと良いアドバイスがもらえれば劇的に変わる企業はたくさんある。そういった中堅以下の企業にアドバイスのできる人材を作っていかなければいけない。

  • 本来、その機能を一番に担っていたのは地方銀行だと思うが、社会や経済、ビジネスが難しくなり、それに伴い求められるアドバイスのレベルが上がってきたことに対応できておらず、質の高い適切なアドバイスが十分できているとは思えない。むしろ、貸出を増やすこと、商品を販売して収益をあげることに汲々としている印象を受ける。

  • 地方銀行に期待したいのは、例えば、優秀な人材を集めて取引先に深く入っていき、色々な知恵を出して、貸出や商品の販売以外で収益を上げることだ。貸出を増やすとか商品を売ることの大切さは分かるが、そこを超えて、取引先の本当のニーズを汲み取り、それに必死になって対応して、そのかわり「プロとしてこれだけ汗をかいたのだから、その分のお金をください」といって、気持ちよく報酬を払ってもらえる人材を育てる必要がある。行内だけで無理であれば外部から色々な知恵を出してもらい、それが結果的に行員の質を上げればよく、最終的に取引先とWin-Winのビジネスができるという関係を作ることをしなければならないと思う。

  • 2003年6月の事務ガイドラインの改正によって、銀行は取引先の本業に関与できるようになったが、それは、金融機関にいる人材と情報ネットワークを地域のために活用するという強いメッセージであった。しかしながら、金融機関は、不良債権が重過ぎて、事業再生型ではなく収益の範囲内で不良債権を処理することを優先したことや、金融検査マニュアル対応や特別信用保証の導入もあり、リレバンをプリンシプルベースで考えられず、現場力は落ちていった。

  • 現在、事業性評価に基づく融資や本業支援をすべきというメッセージが出ているが、本気でやっている金融機関の地元では結果が出始めている。リレバンは組織的・継続的にやらなければならない。提携やイベントだけではなく、本当に組織的・継続的にやっているかという点を金融庁のモニタリングでもしっかりと見て頂きたい。

  • 金融機関が持っている情報、サービス、人材は、間違いなく地域ではトップクラスであり、これをどれだけ地域のために使うかという課題は、12年前のリレバンと同じである。

  • 地方創生は、産業連関で見る必要がある。例えば、農業は生産・加工・販売のみならず、アウトバウンドとしての輸出や、食材を目的としたインバウンドの観光、それに、廃棄物からバイオマスエネルギーにも関連する。更には、最近お医者さんは医食同源であり、農業との接点がある。

  • 更に、地域の雇用や商流に影響の大きい事業者の再生を優先すべきである。金融機関の再生への取組みは、信用コストの中身に表れるため、それで本気度を見る必要がある。

  • 金融機関の経営がルールベースになったのは、不良債権の問題が大変だったからであり、金融検査マニュアルに基づいて融資したり回収したりというのが現状である。地域金融機関の場合は、メガバンクより人材の層が相対的に薄いため、失ったものを1、2年で取り戻せることはなく、5年、10年、15年かけて取り戻していくための持続性が重要である。金融行政も、ルールベースからプリンシプルベースへ持続的に転換をしていかなければならない。

  • インバウンド型企業・ローカル型企業へのアドバイスにおいて、ドアオープナーとしての地域金融機関の役割が重要である。オーナー経営者の懐に入って信頼を得るために、腹をすえて人材力を高めることが必要であり、そのために、商品を定型的に売る業務と、経営者のハートを掴んで経営の深い話をするという業務を区別すべきである。

  • 地域の産業政策・競争戦略のための資金は、全部地方公共団体が税金で出すわけにいかないため、地域金融機関がディシプリンの利いたお金を出すことが必要であり、この間の連携が重要である。経営感覚を持っている首長と、それを促すような金融行政を考える必要がある。

  • 地方創生では、企業の新陳代謝をもっと促していかなければならない。人口減少、まちづくり、地域経済、社会保障など色々な分野に絡んでくるが、転・廃業が遅れた企業が非常に増えている。転・廃業は、当然会社が自主的に判断することであるが、金融機関が積極的にサポートする役割を果たすということも必要である。

  • 一方、持続可能である企業との間では、尖ったところをどう伸ばすかという事業戦略に関するコミュニケーションが、今一番地方創生で求められている。

  • 金融機関には、持続可能な企業に対して、財務やリスク管理、コンプライアンス面での支援を期待する。従業員への賃金の支払いなど、守るべきコンプライアンスは守り、それが難しいなら転・廃業するなど、企業のガバナンス力向上のために、人材や相談先を紹介するなどして欲しい。

  • また、創業に関しては、様々な分野の絶対量が地方では不足している。東大は大学発ベンチャーで相当な実績を出しているが、地方の大学とは途切れているので、そこを地域銀行にノウハウやアイディア、人材などをつないで欲しい。

  • 更に、地域は人口減少で色々な分野の人材が枯渇するので、人材教育と外から人材を入れるための壁を低くする努力が重要である。

  • 地域金融の活性化は、リレバンから始まりながら、10年ぐらい経ってまだ同じことを言うのは情けなくもあるが、全く進歩していないわけでもなく、リレバンを現場に落とし込むために、幾つかの金融機関は知的資産経営報告書を活用している。例えば、ある信用金庫では知的資産経営報告書を作る作業を現場でやっており、それによって、企業の良いところ、悪いところを早めに発見し、早期の事業再生に取り組んでいる。

  • 信用保証に関しては、現在約140万社が保証を使っているが、100%保証が半分である。そのうち、18万社ぐらいが条件変更をしており、抜本的な経営改善まで至っていない企業が多いが、信用保証協会の収支でみると、責任共有という部分保証制度にしたところはそんなに悪くなく、緊急保証でやったところが悪くなっている。地域金融機関は、信用保証協会にリスクを転嫁してしまうと事業再生や経営改善に真剣に取り組む姿勢が見られないところもあり、リレバンがきちんとビジネスモデル化されていない。

  • 地域の企業を見るのに、誰が見ても同じ目線で企業を見て、支援の必要性が判断できるような仕組みが重要である。

  • 地方創生に関して地方自治体の話を聞くと、経済問題の理解が進んでいない。経済の問題を地方自治体に伝えていくためには、地域金融機関の役割は大きい。一方、地域金融機関は、20何年間厳しい不良債権処理をやってきたということもあって、地方創生に関しての意気込みや意識が高まっていないところも多い。ただ、地域経済の改善の具体論を提示することができれば、地域金融機関の本業にはね返ってくるため、一生懸命になれるものと考える。

  • 事業性評価は、どう考えても金融機関のミッションたるものであり、これを具体的にどう金融機関の経営に落とし込んでいくのかというのを、金融行政の立場としても十分深めていく必要がある。

  • 1990年代後半から2000年代前半にかけて銀行の業務効率化の一環としてシステム導入が進んだ。結果、担当者は取引先から決算書を受領しシステム部へ送付、融資評価をスコアリング化される仕組みが構築された。このシステムが、銀行員の考える力を低下させた。また、検査マニュアルに基づく金融検査もそれを後押しした。本来、金融機関の一番の役割は信用創造であり、取引先のキャッシュフローを生み出すための源泉が何にあるかということを考え、貢献していく必要がある。

  • 地銀の信用創造の力を上げるということは、地方創生に限らず、日本の力を上げるために不可欠であり、事業性評価の取組みを一時的な流行に終わらせず、今後、長期に亘り取り組まれるようにするため、取組みが永続されるような仕組みが必要である。そのためには、当然、金融庁も腹をくくって変わっていかなければいけない。

以上

配付資料

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監督局総務課 地域金融企画室

(内線2244、2246)

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