金融仲介の改善に向けた検討会議(第3回)議事要旨及び配付資料

議事要旨

1.日時:

平成28年4月4日(月)13時00分~15時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館 12階 共用第2特別会議室

3.議題:

  • (1)地方銀行の事業戦略について

    • 静岡銀行による事例紹介「静岡銀行の取引先支援への取組みについて」
  • (2)地方銀行の収益分析について

4.議事内容:

  • (1)地方銀行の事業戦略について

    静岡銀行による自行の取組みの紹介(資料2を参照)に続いて、以下のような質疑応答が行われた。(○:メンバー、●:銀行の発言)

  • 静岡銀行の事例からも分かるとおり、銀行の意思と経営者のリーダーシップによって地域密着型の金融機関モデルは成り立つし、成長の余地もある。今後、地域の産業構造の変化によって、生産性向上などの資金需要は増える可能性があり、地方銀行はそこで優秀な企業と経営者を見極め、さまざまな支援をすることでフェアな金利による融資残高、専門性の高いサービスの対価としての手数料を伸ばすチャンスは拡大する可能性がある。

  • 地方銀行が人材育成や外部専門機関等との連携によって、目利き力を強化し、衰退産業の穏やかな退出促進と、成長余力のあるローカル企業への支援によって、ローカル経済の新陳代謝を促進し、地域の限られたリソースを成長分野へと移転、集約していくことが今後の鍵となるのではないか。そうした観点からも、静岡銀行のような取組みをもっと全国へ横展開していくべきである。

  • 静岡県の場合は、人口の社会減が大きく、東京や名古屋に出やすいこともあるが、県内の産業構造や労働環境の問題が大きいと思う。

  • そのような中で、地域金融機関が果たさなければならない役割は大きいと思う。産業全体の伸びが期待しにくい時代には、強い産業を伸ばしていくことが重要であり、競争力に劣る企業は転廃業を進めることも必要である。

  • また、農業の伸び代も大きいと考えており、農業の六次産業化や女性の起業家と農業を結び付けるなど、農業を伸ばしていくことで地域の成長力が高まるのではないか。

  • 静岡県は、大学が少なく学生も少ない。ただ、大学を作るというわけにもいかないが、何とかしないといけないという思いはある。

    農業の担い手の女性に資金を出して応援するなど、女性の起業や六次産業化の推進にも取り組んでいる。

  • 静岡銀行でこのような良い取組みができていることを踏まえて、静岡県内の金融機関の競争環境および、その競争環境が地域金融にどのような影響を与えていると考えているのか伺いたい。

  • また、民間経営者ならもっと規模を大きくしたいということで、隣接する神奈川県や愛知県での営業を強化し、これまで培ったノウハウを使って大きくなろうという発想も出てくると思うが、どのように考えているのか。

  • 融資以外に出資している企業もあると伺ったが、地方創生において出資やエクィティ性の投資などで更にリスクを取るという点について、現在、何か制約があると感じている点があるかも含めて、どのように取り組んでいくつもりか伺いたい。

  • 金利政策も含め市場環境は大変厳しい環境にあり、金利収入が減ってきているのは確かであるが、そうした中で、我々は地方銀行として地域にコミットしており、県内の様々な組織に手弁当で人を出すなど、かなりの経費をかけている。色々な事をやっていくためには収益力がなければいけないということで、更に体力をつけたいと考えているが、あくまでも地方銀行であり、スーパーリーショナルなどではなくて、静岡を基点とした銀行でありたいと、今の状況では考えている。

  • 新しいマーケットに出る時には、その市場が良いかどうかを十分検討し、良い市場だと判断して進出しており、当行が安売りして市場を悪くしないよう心がけている。

    出資については、銀行自身に資本の余裕がないとなかなかできない。加えて当行では、出資を交えて更に融資もしていくということが今の財務体質の中でできるように相応のリスク管理を行っている。

  • 資料2の9ページにある「経営課題の把握」は意外と難しいと思っている。当社の経験では、銀行から聞いた企業ニーズと、企業に会って分かった経営課題が結構違うことが多かった。静岡銀行において、特に支店の前線の方々が経営者と同じ目線で会話をしながら、こうした経営課題を把握するために、どのような取組みを行っているのか伺いたい。

  • 融資先へ行員を派遣されるケースが多いと思うが、派遣対象とする企業、派遣の狙い、派遣するヒトの傾向など、何か大きな方針があれば伺いたい。

  • お客様とどのような話をするかというのは、やはり経営陣の明確なメッセージが必要であると思う。メディアの取材などでも言っているが、銀行業というのは、自分自身では利を生まず、お客様の利が出て初めて我々の利が出るものである。経営陣全員が、そのような考え方を持ち、先ずは地域のためになることをやるよう話をしている。

  • また、行内の色々な取組み事例のビデオを作り朝礼などで流している。最近では、不動産賃貸業者がテナントの空きに悩んでいた際、当行の若い女性法人担当者がテナントの入居者を探し解決したという事例があり、その事例を社長本人の登場シーンを交えた一つの物語仕立てにしてビデオを流し、こういったことを当行では積極的にやっていこうと行員に伝えている。技術的なことを教えることも大事だが、行員のマインドを変えていくこともとても大事であると思っている。

    行員の派遣については、実は当行から積極的に派遣しているケースはそれ程多くない。地域や企業から求められれば、たとえ当行にとって痛手になろうとも、地域が良くなるのであれば、我慢して優秀な人材を送り出すようにしている。

  • 資料2の10ページで、事業性評価、特に再生支援等について、本部主導で行ったものが平成17年以降、170社で、それ以外に営業店で行ったものが数千社と伺った。こうした事業性評価等の銀行における展開について、営業店の担い手は、支店長・副支店長がリードしているのか、或いは、教育・研修を十二分に行っている結果として、渉外担当者も含めて推進されているのか、その辺りを伺いたい。

  • 十数年前から「1人1社運動」という取組みを続けており、一番若手の行員からベテランの行員まで1人1社、必ずここを改善するという目標を決めて経営改善に取り組ませている。担当が若い行員であれば役席が、役席であれば支店長がサポートしている。これは、一つには取引先を良くするということもあるし、一つには若手の生きた勉強にもなり、OJTの中で教えている。こうした運動もあり、数千社という数字になっている。

  • 静岡銀行では、人材育成を積極的に行ってきた結果、相当な成果を出されていると認識している。人を育てるにはコストが相当かかると思うが、静岡銀行では、継続的に人材育成に取り組んでおられる中、経営戦略上、人材育成にかけるコストについて数量的な目標などを定めているのか。また、人材育成についてどのような議論をしているのかお伺いしたい。

  • また、戦略上、メガバンクとの差別化をどのように考えておられるのか。優良な企業ほど海外に出ていく傾向にあり、地域銀行からすれば、取引がしにくい部分もあるのではないかと思うし、実際、一部の地域銀行からは、そのような企業に対しては、おつき合いの方法がなくて困っているという声も耳にするので、どのようにお考えかお伺いしたい。

  • 人材育成のコストに関して、時間的な面では集合研修を行っているが、これは他の企業や銀行でも行っている。当行の特色的な取組みとしては、人件費だけの話になるが、行員を会計事務所や静岡銀行グループの証券会社へ出向させて、M&Aなどの専門人材を育成していくほか、MBAにて経営学を習得させ、当行の企画部門で教育、キャリアを積ますといったプログラムも作っている。また、静岡県内の一般企業にも行員を出向させ、地元の企業の考えを勉強させている。

  • 大手企業には法律をはじめとした専門家が揃っているため、大手企業が海外に出て行く際に我々に手助けできることはなく、むしろ、当行が大手企業からノウハウを学んでいる。そうしたノウハウも活かしつつ、駐在員のアパート探しなども含めきめ細かい手助けをしている。この点は、メガバンクとの差別化になっていると思う。これ自体に儲けは殆どないが、県内の企業において当行の融資シェアの拡大や、為替の取扱の増加などプラスに働いている面もある。

  • また、静岡県内から海外に進出した中小企業の人達の集まり「静友会」というものを各地に作ることで横のつながりを構築しており、静友会メンバーに対して税務などの勉強会も行っている。

  • 静岡銀行に対しては、県内の他の金融機関の面倒を非常によく見ておられるトップバンクという印象を持っている。他の地域では、トップバンクが信用金庫のシェアを奪うことに熱心になっている話をよく耳にする。地域を活性化させるため支援団体等へ積極的に人材を派遣している静岡銀行の姿勢は、全ての地域で行っていくべき模範である。

  • ビジネスマッチングや再生支援、創業支援など、どの地銀でもやっているが、実を上げるために一番力点を置くべきなのは経営層なのか、中間層の人材なのか教えて頂きたい。

  • 地震への備えや人口減少など10年、20年、あるいは50年くらいの課題に対して、銀行として出来ることには限界もあると思うが、今後、取り組まなければならないと思っていることを教えて頂きたい。

  • 人材よりも「仕組みつくり」が重要であると思っている。当行では、プロジェクトなどを始める時に必ずその仕事におけるミッションを持たせている。例えば、ビジネスマッチング業務では「地域の繁栄」と「融資の実行」としている。どれだけ売上げが上がり融資が実行されたのか数字で把握し、結果については頭取を含む役員で評価を行い、PDCAを回している。

    長期的な課題について、理想としては、ATMを個々で開発することは止めて、銀行業界全体で作れば良いのではないか。また、システムをオープン形にすれば、お金が掛からなくなるのではないかと思っている。

  • (2)地方銀行の収益分析について

    事務局による資料説明(資料3)に続いて、以下のような議論が行われた。(○:メンバー、◇:当庁の発言)

  • 預金金利と市場金利の金利差に圧倒的に依存している収益構造は、極めて脆弱であり、マイナス金利下においてはますます危険である。そもそも、預金金利と市場金利の金利差で稼ぐのは、機関投資家モデルであり、銀行本来のビジネスではなく、ここに銀行の社会的な存在意義はない。

  • 大企業や地公体向け融資などによるボリューム拡大に頼らず、足元の業況が不芳であっても再生可能な地域の中小企業に対し再生支援を行いながら融資を伸ばしていくといった取組みを通じて、収益構造を再構築することが急務である。

  • 貸出や有価証券等の運用利回りが著しく急低下している状況にあっては、有価証券の売却益、過去繰り入れた貸倒引当金の戻入益、退職給付金積立ての取崩し益、預金保険料の戻入等により、利益を何とか確保しているというのが今の地方銀行の決算の実態と思っていた。ALMへの依存度が非常に高いと、マイナス金利によって生じたイールドカーブのフラット化により収益は非常に厳しくなる。この収益分析の結果は自身が予想していた通りであった。

  • 地域銀行は、過度なボリューム競争、有価証券でのリスクテイク、高リスク商品の販売や、大企業・地方公共団体向け、信用保証協会保証付融資に過度に依存することなく、地元の中小企業にきちんと向き合わなければならない。こうした取組みを行っている一部の銀行では金利も下げ止まっており、少しずつではあるが数も増えてきているので、頼もしく思う。

  • 今後、地域銀行が生き残っていくには、地域と共栄共存のリレバンモデルの継続的・組織的な取組みに懸かっていると思う。すなわち、地域の顧客に対して付加価値のあるサービスを提供することで、貸出金利のスプレッド収入や手数料収入を確保できるような持続可能なビジネスモデルへと転換していくことが必要である。

  • 金融庁には今後の監督や検査において、このような持続可能なビジネスモデルを地域銀行が構築できているのか見て頂きたい。

  • メインにしている中小企業を増やす収益上の効果については、例えば、非メインの金融機関からデータを取得し、非メインの銀行はメインの銀行より安い金利になっていることがダイレクトに分かってくると、より確実に言えるようになるのではないかと思った。

  • 以前の金融モニタリングレポートで、地元と地元以外では貸出金利にかなり差があると言っているが、このような収益分析の手法によって、県外貸出の採算性についての検証も行って欲しい。

  • 大変面白く拝見した。おそらく地方銀行がビジネスモデルの転換が必要ということに皆さん異論はないと思う。その時に何をどうすれば組織として変わるのかというところが大事であって、例えば、法人部門で利益を上げている銀行とそうでない銀行のガバナンスや組織運営において、どこに違いがあるのかもう少し深堀しても良いのではないか。

    地域銀行全体に分析対象を広げることも大事だと思うが、一つ一つのケースを事例研究として深堀し、具体的に組織の中で、どこがどう違うのか、所謂組織の因果律を因数分解すると、金融庁の指導のポイントが見えてくるのではないかと思った。

  • 収益分析結果を見ていると、ガバナンスの違いや地域の産業構造に違いがあるのではないかと思う。12行の分析を他行にも広げた結果を見てみたいのと、銀行ごとの違いを深堀して、違いの理由を示唆できるようにして頂きたい。

  • 昔の銀行は、資金需要が資金供給を上回っていたので、付加価値を提供する必要がなかったが、今は経済社会が成長しなくなったので、お金を借りてもらうためにはリレバンによって付加価値を提供する必要がある。

  • お金を必要としない企業へ貸すのは止めて、お金を取ってコンサルティングをやるということも必要であると思う。

    企業が銀行を必要としなくなっていく時代に、どのようにして身を処していくのかを、銀行の頭取はしっかりと方針を示していかないといけないと思う。

  • 資料3の4ページを見ると、法人の利益と個人の利益の相関は必ずしも高くないように見える。今回は、法人利益の高低を切り口とした分析をされているが、地銀のビジネスモデルは当然ながら一つではない。様々な形に分かれ多様化していくことが望ましく、法人利益に必ずしも重きを置くものではない。銀行によっては、個人に特化・集中していくような経営戦略も当然にある。それがどのような銀行にとって望ましいのか、或いは、どのようなやり方が望ましいのか、数字で議論を進めると非常に良いと思う。是非、個人部門についても同様の分析を進めて頂きたい。

  • この分析は非常に優れたもので、いろんなことが分かって良いと思う。

  • 気になった点として、間接経費を資金量案分で試算していることから、法人部門・市場部門に比較的厳しい数字になるので、現状のこのスポットを見たときに、間接経費は後で回収しようというロジックを立てると、また違った風景になるのではないかと思った。

  • また、これは平成26年度決算の数字であり、今後、貸出については生産年齢人口とリンクしている度合いが非常に強いので、多分10年ぐらい経つと、2割ぐらい減る地域があってもおかしくない一方で、預金側は常に50代、60代が牽引するので、それ程減らない。その辺りを勘案したときに、これからの銀行モデルがどうなるかという議論をしていくのも良いのではないかと思った。

  • ご指摘のとおり今回は26年度決算の財務データの分解に注力して試算している。やや法人部門に間接経費の配分が多く、個人部門がプラスになっている銀行も、間接経費の差でプラスとなっているケースもあると思う。ただ、個人部門に注力している銀行も複数行含まれており、そうした銀行の傾向も併せて分析できればと思っている。

  • 金融庁はリレバンを2000年代の初めから10年以上やっているのに進んでいない理由には、例えば、ABLをやりなさいとか、地方創生をやりなさいというと、多くの地銀は1~2の優良事例を作って形式を整えるという具合に、形式対形式になってしまっていたのではないかとの反省がある。

  • 回り道となっても、企業ヒアリングや収益分析などにより事実がどうなっているかを正確に把握し、それらをベースに政策面での議論を深めていきたいと考えている。

以上

配付資料

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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

監督局総務課 地域金融企画室

(内線2244、2246)

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