金融仲介の改善に向けた検討会議(第9回)議事要旨及び配付資料

議事要旨

1.日時:

平成29年5月31日(水曜日)14時00分~15時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室

3.議題:

(1)企業アンケート調査の結果〔速報〕について
(2)信用金庫・信用組合における金融仲介機能の質の向上に向けた組織的・継続的な取組み事例について

4.議事内容:

事務局から、「企業アンケート調査の結果〔速報〕」及び「信用金庫・信用組合における金融仲介機能の質の向上に向けた組織的・継続的な取組み事例」について説明した後、以下のような議論が行われた。

(1)企業アンケート調査の結果〔速報〕について

  •  ○ 「金融機関と企業のコミュニケーション」を見ると、メインバンクも非メインバンクも、債務者区分が下位になるほど企業とのコミュニケーションが減るという同じ傾向が出ている。このことは、金融機関間の競争が不十分であると解釈すべきではないか。他の業界であれば、競合他社が注力していない先に営業しようとする会社が必ず現れるため、全ての会社が同じ傾向になることはないと思う。地銀業界には適正な競争が不足しているのではないか。
  •  ○ 今後、マーケットシェアの小さい金融機関の経営が厳しくなっていくと思うが、どのような処方箋を出すべきかは、将来どのような業界にしようと考えるかによって変わってくるのではないか。金融庁は、地域金融機関の果たすべき役割を発信していくと同時に、産業政策的な視点を持って、将来目指す地域金融機関の業界構造についても対外発信すべきではないか。

  •  ○ 地域銀行は、リレーションシップバンキングが提唱されて以降ビジネスマッチングに注力してきたと理解しているが、本アンケートで企業の「販売パートナーの紹介」に対するニーズが高いという結果を見ると、これまでの取組みは不十分だったのではないかと考えさせられる。現状のビジネスマッチングは、表面的な顔合せをさせているだけではないのか。
  •  ○ 地域銀行の若手職員の中には、自分達の銀行の将来に危機感を抱いている者もいるが、経営陣にはそのような若手職員の気持ちに理解や共感がないという話をよく聞く。経営陣の中にも危機感を抱く者もいるが、地域銀行の行動は変わっていない。経営体力があるうちに行動を変えるためには、根幹から役職員の教育などに取り組んでいかなければならない。アンケート調査の結果も踏まえ、なぜ行動が変わらないのか、根本原因を今後、深堀りしていく必要がある。
  •  ○ 地域銀行には資質のある経営者が育成されていないのではないかと感じる。従って、なりたての役員などに対して、経営者としての資質を教育しつつ、職員に対しても金融機関に求められる役割の中で自分がどのように行動すればよいのかについて、適切に判断できる人材に育成していかなければならないと思う。どの地域銀行でも中堅や幹部職員向け研修を実施しているが、形式的なものになっているのではないか。受講者の行動を変えるような効果的な研修をする必要がある。

  •  ○ 「担保・保証がないと貸してくれない」と感じている企業が正常先上位でも23%あり、信用保証協会を利用している企業が、正常先上位で26%、正常先下位で59%あるとの結果が出た。この割合を見て、地域金融機関の融資姿勢はここまで消極的に変わってしまっているのかと衝撃を受けた。これこそ日本型金融排除の現実ではないのか。
  •  ○ 政府系金融機関は、正常先上位企業の4割と取引があり、取引理由は「民間金融機関も支援してくれたが、政府系金融機関の方が借入れ条件が良かったから」との回答が6割である。政府系金融機関の金利が低いのは、事実上国が金利差を補助金として提供しているからなのに、貸し手・借り手側ともにその意識が欠如しているのではないか。
  •  ○ 地域金融機関については、ガバナンスや役員のサクセッションプラン、トップ選定プロセスに課題や問題があると思う。これらについて、行政からも色々なアプローチで改善を促していく必要がある。

  •  ○ 今回のアンケート調査結果全般を見ると、どの地域銀行も信用リスクの取り方が同じで、顧客対応にも違いはないことが分かった。取引先が要注意先以下になったら経営改善計画の策定を支援したり、正常先下位にも何らかの支援をしていると思うが、その効果があまり出ていないのではないかと感じた。
  •  ○ 「資金繰り悪化時の支援状況」を見ると、過去1年以内に資金繰りで困ったという企業が全体の23%、要注意先以下では45%もある。本来、銀行の支援が一番必要な要注意先以下の企業にはあまり訪問しておらず、かなりの企業が資金繰りで困っているという状況は残念だ。地域銀行は、債務者区分が下位の企業に対しては、地方自治体の制度融資や信用保証協会の保証ありきで、これらを利用できなければ融資できないと割り切っているのではないか。また、信用保証額が上限に達した企業には、それ以上は融資しない、支援もしないという声も聞く。
  •  ○ 地域銀行は、制度融資や信用保証協会の保証も活用しながら要注意先以下の企業に対し、しっかりと支援していくことが重要である。債務者区分が下位の企業ほど金融機関に相談したいことが多いと思うが、債務者区分上位の先に比べるとあまり相談できていない結果となっている。債務者区分が下位の先に対する金融機関の取組み状況についても、金融庁がモニタリングした方がよいと感じた。
  •  ○ 人材育成についてはどの金融機関も取り組んでいると思うが、効果はなかなか出ていないと思う。優秀な管理職がいる部署はその部下も優秀になるので、そのような職員が本部と営業店にバランス良く配置されていればよいが、本部に集中している場合には、営業店の人材育成がうまくいかないのではないか。

  •  ○ 要注意先以下については、過去5年以内に借入条件を変更した企業のうち、過去1年以内に「特段の支援を受けていない」割合が約2割あり、過去1年以内に資金繰りに困った企業のうち、メインバンクから「特段の支援を受けていない」割合が約4割という結果が出た。経営に困っている企業に対して、メインバンクが逃げずにしっかり支援していく必要がある。
  •  ○ 貸付条件変更後に金融機関から「厳しい対応を受けた」と回答した企業が22%あり、そのうち資金繰り支援の拒否や金利減免の拒否などは「見捨て型」の否定的な対応である。別の調査事例では、同じ厳しい対応であっても、経営改善計画を綿密に作成するよう指示があったという前向きなケースは企業の経営状況も改善しているところが多いが、「見捨て型」の対応をされているケースは経営が更に厳しくなっている企業が多いという結果が出ている。経営状況が芳しくない企業に対して金融機関が厳しい対応をすることがあってもよいが、「見捨て型」の対応は非常に問題である。
  •  ○ 「金融機関と企業のコミュニケーション」を見ると、金融機関は経営状況の良い企業にはよく訪問するが、そうでない企業にはあまり訪問していない。金融理論的には情報の非対称性の大きい経営状況の芳しくない企業にこそ多く訪問する必要があるが、実際は正反対の結果となっている。地域銀行の職員に話を聞くと、企業を訪問すると何らかの相談や依頼を受けるが、経営状況の芳しくない企業であれば断らないといけないことが多いため、できるだけ訪問しないようにしているとのことである。また、今の銀行の顧客訪問の大きな目的は、投資信託や保険の販売であるため、購入見込みのある企業に訪問しなければ無駄足になるからという話も聞く。
  •  ○ 同じ時期に別の機関で行われた金融機関の支店長向けのアンケート調査結果を紹介するが、「顧客をよく訪問している」と回答した支店長は、支店において「事業性評価の取組みが進んでいる」とも回答している。また、「事業性評価の取組みが進んでいる」と回答した支店長は、「自身の店舗は社内で優良店舗として表彰を受けている」と答える傾向が高いので、最近は事業性評価の取組みが、銀行内で評価されるようになっていると見られる。どの金融機関でも顧客への訪問活動は、金融仲介機能の質を向上させるために必要と理解されていると思うので、あらゆる取引先に対し訪問回数を増やせるような仕組みを構築しなければいけないと思った。
  •  ○ 「金融機関によるサービス提供の効果」については、金融機関による助言やサービスは、プラスの効果が生じている企業が多いため、次回は、「非常に役に立った」と回答した企業がどのようなサービスに効果があったのかを調査するとよいと思う。また、サービス提供の効果については、優れた取組みをしている金融機関の評価が強く反映されている可能性もあるため、個別の金融機関ごとの企業評価についても分析するとよいと思う。
  •  ○ 「現在、銀行から提供を受けていないサービスの中で、企業が提供を期待するサービス」を、今後、金融機関がどのように取り組んで収益に繋げていくか、どのようにビジネスの中に位置付けるかを考えていく必要がある。

  •  ○ 現在、金融機関、特に地域銀行は構造不況業種と言っても過言ではなく、企業再生の原則からするとゼロベースでビジネスモデルを再構築する必要がある。「現在、銀行から提供を受けていないサービスの中で、企業が提供を期待するサービス」についてはビジネスモデルを再構築する上で参考になると思う。銀行の顧客が求めていることは二つであり、一つは「販売パートナー紹介」、「マーケティング」などの販売力を強化する支援、もう一つは「人材育成」であり、経営力を強化するための支援である。逆に、これまで銀行が得意だと言われてきた「コストダウン」、「生産管理機能の充実」といった守りの部分への支援はあまり期待されていない。銀行は、顧客企業の販売力や経営力の強化をどのようにサポートできるか、考えていく必要がある。
  •  ○ 「支店が近くにあった」がメインバンクの選択理由の一位となっているように、従来は店舗政策のみで顧客を獲得できたが、90年代以降は情報と人材を集めて、金融仲介機能の質を向上させていく必要がありながら地域金融機関はその取組みを進めてこなかった。今後は、こういった取組みを進めていかなければ生き残っていけないと思う。顧客に対してより良いサービスを提供していくためにも、銀行の中だけで経験を積むのではなく、事業会社・コンサル会社などとの兼業や、それらの会社に出向できる仕組みを構築するなど、行員の人材流動性を高めていく必要があると思う。
  •  ○ 現在、金融庁が金融機関に対して取組みを促している事業性評価については、活用方法を進化させていく必要があると思う。事業性評価は分析することが目的ではなく、その分析結果を活用して顧客ニーズであるマーケティングや販売などへのアドバイスに活かしていくことが重要である。従って、金融機関が事業性評価の結果を活用して、どのように顧客とコミュニケーションをとっているかといったところまで、金融庁のモニタリングも進化させていく必要があると思う。

  •  ○ 今年のアンケート調査では、「過去1年以内」と期間を区切って金融機関の融資やサービス提供の状況を質問したが、期間を定めなかった昨年の調査結果とあまり変わらず、地域金融機関から何らかのサービスの提供を受けたと回答した割合は、企業全体の約7割を占めており、地域金融機関の取組みは十分に行われていると感じた。他方、サービス提供を受けた割合は、正常先上位の企業の76%、要注意先以下の企業の62%となっており、債務者区分が下位の企業に対する取組みについては、これからの改善に期待したい。
  •  ○ 金融機関のサービス提供の内容を見ると、比較的多いのは、「業界動向等の情報提供」、「ビジネスマッチング」などとなっており、個々の企業のことを十分に理解していなくても提供できるお手軽なものが多いと感じた。一方、個々の企業のことを十分に理解していなければ提供できないサービスは割合が低くなっている。その中で比較的高い割合となっているサービス内容を見ると、正常先における「事業承継支援、Ⅿ&A支援」となっており、比較的短期間で銀行の収益に貢献するサービスである。このほか、要注意先によく提供されているサービスを見ると、「財務内容の改善支援」、「経営改善計画の策定支援」となっており、経営支援に力を入れていることが分かる。金融機関が事業性評価を活用し、本気で企業毎にサポートしていけば、正常先に対しても中長期的な観点からアドバイスが出来るのではないかと思う。こういう取組みが今後の地域金融機関の金融仲介機能の質の向上に向けた指針になると感じた。
  •  ○ 地域金融機関の役員にインタビューする機会があるが、よく聞く話として、次の頭取、理事長になると思われる人は比較的早くから分かっていると思う。経営トップになる資質のある人を早目に見つけ、早い段階からより良い経営者となるための教育をしていくことが必要ではないか。

(2)信用金庫・信用組合における金融仲介機能の質の向上に向けた組織的・継続的な取組み事例について

  •  ○ 全国財務局長会議の報告資料を見ると、地域金融機関、特に信用金庫・信用組合などの協同組織金融機関については、経営やガバナンスがしっかり機能することが重要だと感じる。金融包摂への取組みについては、地域銀行のみでは限界があると思うので、地域ニーズの堀り興しは協同組織金融機関がしっかり取り組んでいくことが必要である。各地域で地域銀行と協同組織金融機関が相互に補完ししっかり取り組めば、大部分の金融排除は解決できると考えているので、協同組織金融機関の取組みについても、この検討会議でしっかり議論していく必要があると思う。
  •  ○ 信用金庫・信用組合は、狭い地域の中で地域密着で営業するというのが基本戦略であるが、預金量が大規模になると、地域銀行の真似をして、広域になって経営状態の良い顧客しか相手をしない、不動産で業容を増やすといった悪い経営になる傾向がある。先日、業界の人と会う機会があったが、立地の良い町工場や小売業を業種転換させて不動産業に変えているという話を聞いた。大都市近郊の状況を見ても、利便性の良い耕作地にどんどん賃貸アパート・マンションが建っている。地域金融機関として貸出さえ増やせば将来の地域経済の状況は考慮しないのかなど、今後、ベンチマーク等の客観的指標を活用した対話の中で、地域金融機関の融資姿勢を議論していく必要があると思う。また、信用金庫や信用組合がむやみやたらに広域化した経営を行わないよう、地域や店種におけるシェア・先数の在り方みたいなものを考えるとともに、今回報告のあった好事例を更に深化させるような方向性を考えていくべきではないかと思う。
  •  ○ 信用金庫が本気で地域密着型営業を展開すれば、金融排除もなくなり、地域銀行を脅かす存在になると思う。信用金庫や信用組合の弱点である海外進出や高度な商品・サービスの提供についても、信金中央金庫などの中央組織が補完できる。このような体制を構築できれば、協同組織金融機関と地域銀行との適切な競争が生まれると思う。従って、中央組織が傘下の信用金庫をしっかりと支援していくことが重要であると思う。また、首都圏等メガバンクのシェアが高い地域は経済規模も大きいことから信用金庫も広域化しやすく、中小企業の事業再生や金融包摂の取組みが脆弱になりやすいので、各地域金融機関が中小企業に対してしっかりと取り組むよう促していく必要がある。

最後に、本日の議論を踏まえた越智内閣府副大臣の挨拶

  •  ○ 本日は、専門的な立場から、貴重なご意見を頂き、心から感謝を申し上げる。本日の議論を踏まえ何点か感じたことを申し上げる。経営状況が悪くなってきている先、債務者区分が下位の先にこそ銀行は足繁く訪問し、情報収集して与信リスクを軽減させるとともに、アドバイスを通じて顧客の経営改善に努める必要があると思う。しかしながら、銀行員は、顧客と親密になり過ぎることに躊躇がある。本日、紹介頂いた事例から、事業性評価が得意な支店長は躊躇なく顧客を訪問できる、すなわち、合理的な判断ができる尺度を持っている行員であれば、情実に流されず、真に顧客に寄り添った与信やサービスが提供できるのではないかといった示唆を頂いたと思う。金融機関は与信とサービスをどのように切り分けて提供していくべきか考えていく必要があると思った。
  •  ○ 将来目指すべき地域金融機関の業界構造について、金融機関間の競争と、与信・サービスの提供とは深く関係しており、顧客との共通価値の創造を目指す適正な競争を促すために、今後の金融行政にどのように落とし込んでいくのかという課題を頂いたと思う。また、政府系金融機関の役割について頂いたご意見についても、今後の金融行政の参考とさせて頂きたい。
  •  ○ 行員の人材流動性を高める必要があるという意見についても、行員の能力の底上げを図るひとつの手法かと思うが、どのように仕組みを作っていくのかが課題と考える。また、真の経営者を育成していかなければいけないとの意見や、金融機関のビジネスモデルの在り方をゼロベースで考えていく時期に来ているという意見について、改めて、金融庁としてしっかり検討していかなければいけないと感じた。

以上

配付資料等

お問い合わせ先

監督局銀行第二課地域金融機関等モニタリング室

 Tel 03-3506-6000 (代表) Fax 03-3506-6174   (内線2242)

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