偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ(第2回)
議論の概要

1.日時

平成17年2月25日(金)18時00分~20時00分

2.場所

中央合同庁舎第4号館9階 特別会議室AB

3.議論の概要

○ 柳田邦男氏より、「偽造キャッシュカード犯罪および被害の問題点」について、資料に基づき説明が行われた。

○ 中尾委員より、全国銀行協会の「偽造キャッシュカード問題への取り組み」について、資料に基づき説明が行われた。

○ その後、説明に対して質疑応答が行われた。その概要は以下のとおり。

  • ATM内部においてキャッシュカードを撮影し取引内容を記録する写真(ジャーナル)を調べると、ホワイトカードが使用された場合、又はカードに印字されている銀行や口座の番号とその取引記録が異なる不正取引の場合について事後的に検証可能。しかし、これを毎日調査することは、ある主要行の特定日では、ATM1台あたり1日平均約170件の利用があり、銀行全体では1日で約110万件、半年で約1億5千万件の利用となることから膨大な作業となる。これに対し偽造カードを使用した犯罪が、16年度上半期で、金融庁の実態調査結果を単純に四で割れば、主要行1行あたり約20件。ジャーナルを犯罪防止に用いるよりも、利用限度額の変更や異常な取引のモニタリング等を徹底する方が即効性があり、実効性の高い被害防止策となるのではないか。

  • 顧客に選択性を持たせることが、トレードオフにある安全性と利便性の調和ではないか。そういう視点も重要ではないか。

  • スキミングは容易になってきたが、暗証番号が分からなければ、偽造カードによる預金の引出しはできない。実態調査の結果でも、被害にあった事例では暗証番号は類推されやすいものが多かったことを踏まえ、今後は預金者にも暗証番号の管理に注意をしていただくとともに、銀行側が更なる努力、工夫を行うことで、現行のシステムは改善され、一定の安全性の確保が可能ではないか。

  • 現在のキャッシュカードに関する約款について、真正カードの盗難による不正使用の場合は、顧客にカードや暗証番号の管理に係る帰責事由を求めることは理解できる。しかし、偽造カード使用の場合は、偽造カードが造られたこと自体がシステムの欠陥であり、カードや暗証番号の管理は問題にならない。製造物責任法の考え方と同様、偽造カードが造られ使用されたと判明した時点で銀行側が負担を負うべきではないか。

  • 個別のケースでは、預金者に責任を負ってもらうべきケースもないわけではない。他方、本年1月の犯罪グループの逮捕により事件の概要が分かってきたことから、預金者の責めに帰せない事由も明確になってきており、個別に現在の約款で対応できると考えている。

  • キャッシュカードシステムの欠陥については、ある銀行の例では、当初予測しなかった犯罪が侵入してきた場合には、システムの欠陥を前提として開発責任者の方が負担すると明記している。この点は補填責任の問題が絡む重要なポイントであると思われることから、きちんと議論する必要がある。

  • 最高裁(平成5年判決)の論理では、偽造カードによる犯罪における銀行側の責任の有無については、どの時点であればシステムの安全性の欠如が一般的に認められ得るかの線引きの問題になると思われる。この場合一番遅くとも全銀協が申し合わせを行った本年1月25日以降については、約款の前提であるシステムの安全性が確保されていないということを銀行側が自認したということになると思われ、この約款により免責されるという議論はできないのではないか。

  • システムの脆弱性についての議論と約款の問題についての議論は整理すべきではないか。

  • 銀行が自発的に被害の補償を行うことは結構なことであるが、約款が全て有効で「(カード及び暗証番号の管理について預金者の責めに帰すべき事由がなかったことを)当行が確認できた場合」に銀行側の裁量で救済するということは、誤解を招くと思われる。

  • 当該事件は偽造カードの事件ではないため、この最高裁判決をどこまで偽造カード問題に当てはめることができるのか疑問あり。そもそも偽造カードに関する最高裁判決の先例はないと思われる。

  • 防犯カメラの保存期限について、業界にガイドラインはないのか。何らかのガイドラインがないと相互運用ができないのではないか。

  • おそらく3ヶ月程度は保存しているのではないか。

  • 被害救済の観点からは、救済に当たっての公平性や透明性が非常に重要。約款中の「当行が確認できた場合」における「確認」の判断基準はあるのか。あるのであれば、その基準を公開すべきではないか。

  • 補償については、米国の50ドル・ルールの他に、ドイツでは被害額の10%を預金者が負担するルールがあり、預金額に応じた責任分担が可能となっている。

  • 50ドル・ルールは一つのモデル。他国の事例を参考にしつつ日本のモデルを考えればよい。預金者がどのように保護されるかという大きな枠組みを作っていくことが重要であり、預金者のある程度の負担は止むを得ないとするのであれば、どの辺りまで負担を求めるかを考えていけばよいのではないか。

  • 50ドル・ルールでは、預金者の負担を抑えることで預金者保護に繋がると考えられているが、裏返せば、被害額が50ドルを超えた分について銀行側は損失が発生することになり、銀行は自らの損失を抑えるために、より積極的、自発的な取組みを行うようになると思われる。また、このようなルールが無い場合は、被害が発生した際の責任の分担について紛争が残ることとなり、その紛争解決にかかるコストや預金者保護の観点からそれでよいかという点が問題になるのではないか。

  • 50ドル・ルールには、「紛失盗難にあって、その人が2日以内に銀行に届け出た場合」という条件が付いており、2日を過ぎると預金者の負担が500ドルに上がる等といった細かい取決めがある。今後、50ドル・ルールに準じた補償責任に関する議論をする際には、それぞれの過失の程度を考慮し、預金者もある程度責任を負うことについて検討すべきではないか。

  • 保険制度については、預金者がカード保険に入れば、盗難にあった際に査定で補償されなかった場合にも保険で補填されることとなり、二重の安全性の確保が可能。また、同様に銀行側も事故に備えて保険制度を設けるべきであり、それにより経営負担を減らすことができる。保険制度の開発については、その両者を同時にやるべきではないか。

  • 日本の銀行が海外に進出した場合には、現地の金融ルールに従うと思うが、50ドル・ルールや被害者への補填について、当該国の現地支店はそうしたルールに従って運用してきたのではないか。

  • 約款の但書きでは、「(銀行の責任については)このかぎりではありません。」と規定されているが、本文の免責の規定が適用されないだけ(民法478条の原則に戻るだけ)との解釈も可能になると思われ、それで真摯な対応なのかという問題もある。

  • 被害にあっている顧客に対して早急な対応が必要との認識から、現在の約款の下で相応の対応を行っている。

  • 不動産取引の場合、瑕疵の具体的な明示がないと契約が無効になることがあり、そのため契約締結時に読み上げ説明を行っている。現在の銀行の約款をみると、一般的な注意義務についての記載はあるものの、具体性に欠ける。具体的な危険性の明示に踏み込む方向で今後検討がなされるべきではないか。

  • 約款の中にどの程度具体的な危険の明示をしていくのか、あるいは現実に店頭での説明はどこまでやるのかについては、顧客数が多く膨大な作業になりうるが、真剣に検討すべきではないか。

  • 手形や小切手の取扱いに関しては、当座勘定規定の他に約束手形用法や小切手用法において記載上の注意事項等を定めている。キャッシュカード利用に当たってのカード用法を銀行界で検討することも考えられるのではないか。

  • 利便性の裏側には危険性も広がっており、どの商品にも一定のリスクがあるならば、そのリスクについてある程度開示を行い、それを避けるための方法をアドバイスするなり、警告するというのがサービス提供者としての義務だと思う。製造物責任法の世界では、欠陥の認定の際に警告表示上の欠陥という概念があり、米国では警告表示について、どのように危険なのか、あるいは、危険に対してどう対処をすればいいのかを記載しなければならないとされている。カードの場合も同様の考え方をすべきではないか。

  • 銀行の磁気ストライプカードと暗証番号というシステムは、日常の取引量から考えると、必ずしも脆弱だとは言えないのではないか。様々な問題に対応していかなければならないのはもちろん認識している。

  • 銀行取引については約款に関する法規制がない。約款の内容は十分なものであるか、ディスクローズが十分行われているかについて、銀行側の自主的な努力だけではなく、行政側の対応を含めて今後改善する余地があるのではないか。

  • 利便性と危険性について顧客に選択してもらうことについては、どこまで選択してもらうのかということも大きな論点。今は一定のリスクのあるものが自動的について来るなど、銀行が提供しているサービスの中でどれだけ顧客に選択の余地を与えているかという問題もある。さらに、仮に顧客が選択できるとして、例えば、高齢者の方がどれだけ自己責任において判断できるかといった、顧客の方でどれだけ選択できるかという問題も生じるのではないか。

以上

本件に関する問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
監督局銀行第一課(内線3322、3388)
本議論の概要は暫定版であるため、今後修正があり得ます。


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