企業会計審議会第21回監査部会議事録

1.日時:平成21年5月14日(木曜日)16時30分~17時43分

2.場所:中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

○友杉部会長

それでは、定刻になりましたので、これより第21回監査部会を開催いたします。

皆様にはお忙しいところご参集頂きまして、ありがとうございます。

なお、本日の部会も企業会計審議会の議事規則に則り公開することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○友杉部会長

ご了解頂きましたので、そのように取り扱わせて頂きます。

それでは、議事に入ります。

監査基準の「継続企業の前提に関する注記」に係る規定につきましては、本来の趣旨とは異なる実務が行われていることから、国際的な整合性も勘案しつつ見直しの検討を行って頂き、先月9日に開催されました企業会計審議会総会・監査部会の合同会合におきまして、「監査基準の改訂に関する意見書」を取りまとめて頂いたところでございます。

その意見書の前文にも記載されておりましたが、中間監査基準及び四半期レビュー基準においても、継続企業の前提にかかわる同様の基準が規定されていることから、今後監査部会において同様の観点からの改訂を検討することが必要であるとされたところであります。

したがいまして、本日は継続企業の前提に関する注記に係る中間監査基準及び四半期レビュー基準の見直しにつきましてご審議頂きたいと考えております。

そこでまず、関連します内閣府令の見直しも含めまして、中間監査基準及び四半期レビュー基準の見直しにつきまして、事務局から説明して頂きます。

よろしくお願いします。

○三井企業開示課長

それでは、まず全体の資料をご確認頂きたいと思います。資料1から資料5の5つの資料がございます。資料5は前回ご議論頂きました年度の財務諸表の監査に関する見直しについてのポンチ絵及び既に公表されております改訂監査基準でございます。資料4は参考資料としてインテリム・フィナンシャル・レポートに関する国際レビュー業務基準、資料3も参考資料として日本の中間監査及び四半期レビューに関する規定でございまして、本日、議論をして頂く資料は、資料1と資料2でございます。

まず中間財務諸表につきましては、ゴーイング・コンサーンについての会計基準そのものがあるわけではなく、実務上は中間財務諸表等規則等に従い行われていると理解しております。 資料1の最初のページが中間財務諸表等規則、そして2ページ目以降が四半期財務諸表等規則等でございまして、それぞれ年度の財務諸表等規則と同様の考え方で改正をするという案で、文章は年度の財務諸表等規則の改正と基本的には同じでございます。繰り返しになりますが、「継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況が存在すれば開示する」というものから、「そういった事象、状況が存在する場合であって、経営者の対応策などを考慮してもなお重要な不確実性がある場合に注記をする」という形にする改正案でございます。

そして、資料2がそれを踏まえました中間監査基準及び四半期レビュー基準の見直しのドラフトでございまして、今日の本題の資料でございます。これも基本的には年度の財務諸表におけるゴーイング・コンサーンに関する監査手続と同じような見直し案でございまして、左側が現行基準、右側が改訂案でございます。

特に重要な点を申し上げますと、7ページ目から前文として幾つかの事項を書かせて頂いており、8ページから12ページにかけて「主な改訂点とその考え方」というところがございます。ここで、中間監査基準、そして四半期レビュー基準におきまして、先ほど申し上げましたように、「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在すれば直ちに注記する」としていたものから、「重要な不確実性がある場合に注記する」とし、それに伴って、注記が行われないケースが起き得るため、それについては企業内容等開示府令において、財務諸表のゴーイング・コンサーンの注記以外のところ、例えば「事業等のリスク」であるとか、「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」いわゆるMD&Aのセクションなどで開示を求めることが適当であるといったことが記載されております。中間監査基準、四半期レビュー基準それぞれの考え方に則り、中味は年度の監査基準の改訂に準じた見直しとなっております。

そして、最後のところでございますが、実施時期については、いずれも6月30日以後に終了する中間会計期間ないし四半期会計期間に関する監査証明から適用するとしておりまして、この時期以降に発行される監査証明について、基本的に新しい基準の考え方でその監査を行ってはどうかという提案でございます。

では、具体的な資料の中味につきましては、逐次スタッフの方から説明させて頂きます。

○野村企業会計調整官

ただいま中間監査基準と四半期レビュー基準の改訂案の概略につきましてご説明させて頂きましたが、両基準の改訂内容につきまして補足をさせて頂きたいと思います。

資料2の1ページから4ページが両基準の改訂案の新旧対照表でございまして、5ページと6ページがそれを図にしたものでございます。改訂案の新旧対照表よりも図の方をご覧頂いた方が分かりやすいと思います。まず5ページの中間監査基準の図をご覧頂きたいと思います。

基本的な考え方は年度の監査基準の改訂と同様でございますが、ご承知のとおり中間監査は、中間財務諸表には全体として当事者の判断を損なうような重要な虚偽の表示がなく、当事者に有用な情報を表示しているかどうかということについて監査意見を述べることになっております。したがいまして、現物確認等の実証手続も実施いたしますが、リスクの程度に応じて年度監査の監査手続を一部省略できるとされておりまして、意見の表明も有用な情報を表示しているかどうかについて行うことになっております。したがいまして、当年度の事象または状況というよりは、まず、前事業年度末の状況から検討することになっており、その変化があるかどうかを見ることになっております。

5ページの図の「旧」、「新」のそれぞれ左の上のところでございますが、現行基準では前事業年度の決算日における継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象等の存在をまず確認することになっております。新基準案では、重要な疑義を抱かせるような事象等の存在ではなく、一歩進みまして不確実性の有無を確認するところからスタートすることになっております。

次に、事象等があった場合でございますが、現行基準では、その事象等に変更があったかどうかということについて検討いたしまして、変更がない場合には前事業年度末の注記が適切かどうかということを確認し、変わっていなければ有用な情報を表示している旨の意見を出すということでございまして、表現等が不適切であれば限定付意見または有用な情報を表示していない旨の意見を出すことになります。

新基準案では、重要な不確実性の有無をまず確認して頂き、重要な不確実性があった場合には、従来ですと合理的な経営計画の変更があったかどうかということを確認したわけでございますが、新基準案では経営者の評価・対応策について変更があったかどうかということを確認することになります。

前事業年度末において重要な不確実性がなかった場合には、一番上の真ん中の枠でございますが、当中間期も継続している場合も含みますが、当期に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が新たに発生したかどうかを確認し、新たに発生した事象等がなければ、有用な情報を表示している旨の意見を出すということについてはこれまでと同様でございます。

重要な疑義を生じさせるような事象等があった場合、これは繰り返しになりますが、継続してあった場合と当期に発生した場合の両方を含みますが、これまでですと、「あり」の下のところを見て頂きたいのですが、当該疑義に関する経営者の評価、対応及び経営計画等の合理性を検討するということで、しっかりした合理性がないとダメだということであったわけですが、新基準案の方では評価及び対応策を検討するということで、経営計画等の合理性までは見る必要はなく、その上で重要な不確実性があるかどうかを判断して頂くということにしております。その際、経営計画等を全く提示しないということであった場合には、これは旧基準も新基準案も同様でございますが、限定付意見や意見が表明できない場合があるということでございます。

新基準案のこれより下の箇所は現行基準と同様でございますが、継続企業の前提で中間財務諸表を作成することの妥当性を検討して頂き、注記の記載が適切かどうかを検討することになります。注記の記載が適切であると判断した場合には、有用な情報を表示している旨の意見、不適切であると判断した場合には、限定付意見又は有用な情報を表示していない旨の意見ということになろうかと思います。

次に、四半期レビュー手続でございますが、1ページめくり頂きまして、6ページでございます。基本的な考え方は、繰り返しになりますが、年度と同じでございます。しかし、四半期レビューはもともと年度の監査を行う監査人と同じ監査人が年度の監査と組み合わせて行うことになっており、財務諸表と開示内容が異なっていること、提出までの期間が45日間と非常に短いということを考慮いたしまして、四半期レビューでは、通常は、証拠資料を入手するいわゆる実証手続を行う必要はなく、質問や分析的手続といった手続の範囲内で適正性について問題となる事項が見つからなかったかどうかといった消極的な文言形式で監査人の結論を表明する手続となっております。現行の手続を示したものが「旧」でございまして、中間監査と同様でございますが、まず前の期の状況を確認するところからスタートしております。前事業年度の決算日における継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象等の有無をまず確認しまして、事象等があった場合には、その変更があったかどうかを質問により確認します。その結果、重要な疑義を抱かせるような事象等があるということでありますと、開示が必要ということで、注記が適切に行われているかどうかを検討することになります。適切な注記が行われていれば、一番下になりますが、無限定の結論ということになります。

一方、改訂基準案によりますと、今度は右側の「新」の方でございますが、前会計期間の決算日における継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無を確認するということでございまして、中間監査と同様でございますが、疑義を抱かせるような事象等の有無をまず確認するということではなく、一歩進めまして、さらにその重要な不確実性があったかどうか確認するところからスタートして頂くことになります。したがいまして、監査人に検討して頂く分野がより狭くなるということでございます。

ここでご注意頂きたいのは、「旧」では「前事業年度の決算日」となっておりますが、新基準案では「前会計期間の決算日」ということでございまして、例えば第3四半期のレビューの場合ですと、これまででは「前事業年度の決算日」ということでございますので、約3四半期前の状況から変化がなかったかどうかを見ることになりますが、新基準案におきましては「前会計期間の決算日」ですので、今の例で申し上げますと第2四半期の決算日の状況からの変化を見ることになります。

重要な疑義を生じさせるような事象等が認められなかった場合には、無限定の結論となることは従来と変わらないのですが、前期より続いている場合も含めまして、重要な疑義を生じさせるような事象等が認められた場合には、継続企業の前提に関する開示の要否を質問することになります。質問の結果、新基準案でございますが、注記をする必要があるような重要な不確実性があった場合には、質問の結果ということですので、事象に関する証拠等を入手する必要はないのですが、質問等によって重要な不確実性があると監査人が認めた場合には、それが適切に開示されているかどうか、注記されているかどうかにつきまして、さらに追加的な手続をして頂くことになります。適切に注記がなされているということであれば、無限定の結論を表明することになりますし、不適切な記載であるということであれば、限定付結論ということになります。

概略は以上でございまして、1ページから4ページまでの中間監査基準と四半期レビュー基準の改訂案を、それぞれ図に落としたものでございます。その考え方等につきましては、7ページ以下のいわゆる前文のところで、「主な改訂点とその考え方」として文章で表現をさせて頂いているところでございます。

この図に表れていない改訂内容がございますので、補足させて頂きたいと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、経営者の評価や対応策を検討した上で、重要な不確実性があるかどうかということを判断するわけですが、いつまでの期間それを検討する必要があるのかということを、中間監査基準等では「合理的な期間」としております。

この点につきましては、通しページでいきますと9ページをお開き頂きたいと思いますが、9ページでは中間監査基準の改訂について書かせて頂いております。その一番下に(2)とあり、その上に「なお」から始まるパラグラフがあるかと思います。そちらに書かれているところでございまして、「中間監査において監査人が経営者が行った評価及び対応策を検討する合理的な期間については、前事業年度の決算日における継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に特段の変化がなければ、少なくとも当該中間会計期間の属する事業年度末までの期間における評価や対応策の提示を求め検討する」ということでございまして、当該事業年度末までで良いということでございます。

それから、「前事業年度の決算日における継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に大きな変化がある場合」ということで、例えば、事象又は状況があったが、経営者の評価や対応策等を検討した結果、重要な不確実性にまでは至っていないというような場合であって、対応策等に問題があるということで大きな変化があるとされるような場合、また前事業年度の決算日において、その事象または状況が存在していない場合であっても、当中間会計期間に新たに事象等が発生した場合には、事業年度末までではなく、当事業年度の下半期から翌事業年度の上半期までの期間における経営者の評価及び経営者の講じる対応策の提示を求め検討することになります。

ここでご注意頂きたいのが、その次でございますが、「経営者の講じる対応策は、当該中間会計期間の属する事業年度末までの期間を超えて、必ずしも翌事業年度の上半期の末日までの期間に対するものである必要はないことに留意が必要である」ということでございます。変化や新たな発生があった場合には、当中間会計期間末から1年間のものを見てくださいということではありますが、その対応策については、1年間に講じられるものでよく、翌上半期に対応する、例えば1年間対応策の効果が及んでいるというところまでは求めておりません。

したがいまして、極端な話ではございますが、例えば、下半期の2月分とか3月分までの対応策ということであっても、講じられた対応策はあると判断できるということでして、翌上半期まで有効であるというところまでのものを求めているものではないということにご留意頂きたいと思います。

旧基準では、この点が翌上半期までということになっておりまして、翌上半期まで継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況がないということが確認できる必要があると理解をされ、実務が行われている状況がございますが、今般は、そこまでは求めていないということを明確にさせて頂いているものでございます。

それから、同様の点が四半期レビューにもございまして、11ページをご覧頂きたいと思います。少し長いパラグラフで恐縮ですが、一番下のパラグラフでございまして、「質問の結果」から始まるものでございます。その前に、この2つ前のパラグラフの下から4行目のところを見て頂きたいと思いますが、「当四半期会計期間末までの当該事象又は状況に係る経営者の評価及び対応策の変更を質問により確かめ、特段の変化がなければ、前会計期間の開示を踏まえた同様の開示が行われているかどうかを確認する」ということで、変化がなければ当四半期会計期間末までで良いということでございます。

変化や新たな発生があった場合については、下から5行目の「この場合の合理的な期間については」というところでございますが、「当該四半期会計期間末から1年間における経営者の評価や経営者の講じる対応策についての検討を行うが、このうち、経営者の講じる対応策については、翌四半期会計期間末までの期間を超えて、必ずしも当該四半期会計期間末から1年間に対するものである必要はないことに留意が必要である」ということでございまして、先ほどの中間監査と同様でございますが、四半期レビューの場合には変化や新たな発生があった場合については、当該四半期会計期間末から1年間における対応策を検討して頂くということでございますが、必ずしも1年間に対応するものを見て頂く必要はないということを明確にさせて頂いているところであります。

それから、四半期に関しましてもう1点補足させて頂きたいと思いますが、4ページの四半期レビュー基準の新旧対照表をご覧ください。四半期レビュー基準の報告基準のうち、今回の継続企業の前提に関する報告、結論の表明に関する部分についての規定でございまして、「重要な不確実性が認められる場合には、次のとおり結論の表明及び四半期レビュー報告書の記載を行わなければならない」ということでございまして、(1)は、注記が適切に記載されている場合には、無限定の結論ということでございます。そして、(2)は、注記が不適切である場合には、限定付結論または否定的結論ということで、適切に表示していないということを記載し、その理由を書くということでございます。

四半期レビューについてはこの2つが書かれているわけでございますが、年度と中間につきましては、これに加えまして、経営者が評価や対応策を示さなかった場合には意見の不表明を検討することが継続企業の前提に関するところで書かれておりますが、四半期レビューについては特に記載されておりません。

この点につきまして、通しページの12ページをご覧頂きたいと思います。12ページに四半期レビュー基準の結論の表明について、(2)「継続企業の前提に関する結論の表明」ということで書かせて頂いております。ここの「なお」で始まる2つ目のパラグラフのところでございますが、こちらで今申し上げました意見の不表明に相当する規定が置かれていないことについて、その理由等が記載されております。下から4行目でございますが、「理論的には、今回の改訂によっても、経営者が評価及び対応策を示さないときには、監査人は、重要な四半期レビュー手続を実施できなかったとして無限定の結論の表明ができない場合があり得るが、そうしたケースは非常に限定されたものになると考えられる」ということでございまして、ここに書かれているとおり、経営者が全く評価も対応策も示さないという場合には、監査人は十分な証拠が得られなかったということで、結論の表明ができないという場合が理論的にはあるわけですが、四半期レビューは、限定された手続を短い期間で行っており、経営者が対応策等を全く示さないというケースは非常に限定されたものになると考えられることを書かせて頂いております。実際には、結論の不表明というものがかなり出ていたということもあり、確かに理論的にはあり得るところですが、新基準案では、そのようなケースは非常に限られるのではないかということを明確にさせて頂いているところでございます。

長くなりましたが、補足の説明とさせて頂きます。

○友杉部会長

ありがとうございました。

ただいまの事務局の説明に基づきまして、継続企業の前提に関する注記に係る中間監査基準及び四半期レビュー基準の見直しにつきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、お願いいたしたいと思います。

泉本委員、どうぞ。

○泉本委員

中間監査基準の方ですが、まず監査基準と同じような形になっておりますが、何回読んでも今野村さんからご説明頂いたところは分かりにくいと思います。新たな事象が中間会計期末に発生している場合に、私たちはまず1年間の資金繰り計画を出してもらうことになります。その上で、経営者にどのような対応策があるのかを聞くことになりますが、例えば資金繰りについて、来年の3月を超えて来年の5月に資金ショートするという場合に、この事業年度末を超えて必ずしも翌事業年度の上半期の末日までの期間ではないとされていますが、ここのところの読み方が分かりません。来年5月に資金ショートすると言われたときに、3月までは、つまり当期の下半期には別に何も対応策を示さなくても大丈夫なわけですが、来年の5月に資金ショートするといったときに、来年の5月までに増資する必要がありますが、それが来年の3月になるのか、4月になるのか分からない場合に、これをどのように考えればよろしいのでしょうか。

○野村企業会計調整官

ありがとうございます。ただいまの点につきましては、先生がおっしゃったように、最初から資金ショートすることを明示的に言っているようなケースについては問題だと思いますが、今回お示ししていますのは、対応策は何らかの形でお示しを頂きますが、その有効期間については当該事業年度末までで良いということです。先生がおっしゃったようなケースですと、来年の5月や6月まで大丈夫ですというところまでは求めておらず、そのような対応策を出して頂く必要はないということでございます。

○泉本委員

前文では、その前のところで、少なくとも下半期から向こう1年間という括りがございますが、5月に資金ショートすることがはっきり分かっている場合に、このまま何も経営者が対応策を示さないとなると、来年の5月には倒産することになります。

○野村企業会計調整官

記述の仕方が明確ではないのかもしれませんが、前文の前の方が講じる対応策について言っておりますので、何らかの対応策が示されているということであります。そして、後の方は期間、つまり末日までの期間に対するものである必要はないということでございまして、今の例で申し上げますと、翌上半期まで問題ないということが確認できるまでの対応策は必要ないということでございます。

○友杉部会長

何か補足的にご質問はよろしいでしょうか。

○泉本委員

もう少し分かりやすいようにここの文章を書いて頂けたらと思います。野村さんが言われていることは、なかなか理解しにくいと思います。やはり来年の5月に資金ショートするということであれば、来年の5月の少し前に増資するとか、今の事業計画よりも売り上げが伸びてくるとか、新しい取引先が生まれるとか、何かそういう対応策を示して頂かないと、来年の5月にアウトになることが見えている場合に、この上半期までに講じる対応策の提示を求めることになっておりますが、この「講じる」ということと、一方で、必ずしも翌事業年度の上半期の末日までの期間に対するものである必要はないとなっており、何が「対する」なのか、「対する」というここの表現の仕方がかなり分かりにくいものとなっています。

それから、四半期も同じように、第1四半期の末に資金ショートなど、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象が新たに発生した場合には、向こう1年間の資金繰りをやはり出して頂くと思います。そのときに、来年の2月に資金ショートしますよという月次資金計画が出されたときに、次の四半期を超えてというと、かなり先の話になりますから、そこのところは必要ないと言われてしまうと、何を見れば良いのでしょうということになります。もう少しここの表現を分かりやすくして頂けたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

○三井企業開示課長

事務局から質問するようで恐縮ですが、ここのところは議論があったところと承知しておりまして、経営計画を作るときに、例えば年度で作る場合には、4月から翌3月の期間で作ることになると思います。とりわけ売上であるとか事業計画ということであれば、年次の計画として作っており、例えば、来年の5月まで売上が伸びるという計画を作るケースは余りないと聞いておりますので、そういたしますと、売上が急激に伸びますという計画が来年の5月を含む再来年3月までしかないというケースと、そのような計画が来年の3月まではあるというケースのどちらかではないかという議論があったかと思います。このようなケースを念頭に置くと、例えばA、B、Cという事業部門があり、Aは不振、Bは収支均衡、Cは急激に成長しているとします。そうすると、Aが継続的に営業のマイナスのキャッシュフローをもたらしているため、このままでは、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況があることになります。それに対する対応策としては、マイナスのキャッシュフローですので、プラスのキャッシュフローをもたらす何かが必要になるかと思います。

その場合に、Aは衰退してしまうが、仮にCの事業部門が大幅に伸びているということを踏まえ、これを更に伸ばすといった事業計画を立て、工場を作って、計画的にこのようにしていきますというものが、今年度の3月末まではあるとします。事業計画は適宜更新していきますので、例えば10月末ぐらいになると来年度の事業計画ができあがるという場合に、9月末の時点では事業計画がありませんので、そのために、営業キャッシュフローのマイナスをもって機械的に注記を付すべきなのかどうかという問題があります。事業計画はできていないけれども、C部門が伸びており、これまでの実績と今ある計画から考えると、経営者の評価としては、会社全体としては十分に回復する見込みがあると考えられる、あるいは、現在考えている工場の拡張計画があるとすると、それは考慮する余地がある、このような事例があり得るかと思われます。

その場合に、10月末になれば翌期の資金、設備投資計画とそれに伴う売上等の計画ができ上がるため、恐らく継続企業の前提に関する重要な不確実性は完全に解消すると考えられる場合に、9月末時点ではまだその計画はドラフティング段階で、取締役会に上がっていないという場合に、その計画が取締役会の決議を経ていないという極めて形式的な事情だけをもって、継続企業の前提に関する注記をつけるべきかどうかというと、それでは必ずしも投資者に有用な情報を提供していないのではないかと思われます。

そうすると、9月末の時点では何が起きているかというと、計画のドラフトらしきもの、あるいはドラフトの少し前段階のものはある。A事業部門からは大幅な営業のマイナスキャッシュフローが出ているが、C部門は大幅に伸びており、工場の建設予定もある。計画の段階までは行っていないけれども、対応策は考えられており、これらに対する経営者の評価としては、C部門のプラスのキャッシュフローがA部門のマイナスのキャッシュフローを十分に補うであろうと評価することができるというケースがあり得ると思われます。

このようなケースでは、事業計画が正式にはできていないために、現行基準では継続企業の前提に関する注記を行うことになると思います。一方、改訂後の基準では、現状ある計画と、それに関する合理的な材料や見込みがあるため、キャッシュフローのマイナスは相殺され重要な不確実性が払拭されると考えることはできるかと思います。

ご指摘が仮に客観的にみて資金繰りがつかなくなることが確実であるというケースであれば、それに対して何らかのキャッシュフローの手当てをしなければいけないため、対応策以前の問題として、評価の段階で継続企業の前提に関する注記が必要と判断される可能性がある事例ではないかと思われます。したがいまして、計画はないため検討しなくて良いのかというと、経営者の評価としては、1年間、例えば中間期ですと来年9月までの評価は求めているわけでございます。換言致しますと、評価の段階で客観的にみて資金繰りがつかなくなることが確実であると判断されるという仮定ですので、このケースでは対応策以前の問題として、評価の段階で継続企業の前提に関する注記が必要と判断されるということではないでしょうか。

しかしながら、多くの場合は、もっと微妙なケースではないかと思われます。監査の時点で、客観的に資金繰りがつかないことがはっきりしているのであれば、基準の改訂前、改訂後にかかわらず、恐らく継続企業の前提に関する注記を行うことになりますが、実務の現場では、多くの場合、資金繰りがつくかつかないかの微妙なケースをどのように考えるかということになってくるかと思います。6対4とか55対45ぐらいの可能性で資金繰りがつきそうであり、お金を出すつもりの人は出てきている。そして、資金を提供する場合のスキームとしてはA、B、Cのプランが考えられ、サインはしてくれていないが、口頭ではコミットメントがあるといったケースを考えると、明確なコミットメントのサインはないが、その蓋然性と経営者の評価からどのように評価するか微妙な判断が必要になる可能性はあろうかと思います。

十分かどうか分かりませんが、ドラフティングした者の気持ちとしてはこのようなものでございます。もし不足がありましたらご意見を頂ければと思います。つけ加えるべきことはこういうことであると、ご提案なりご示唆を頂ければ非常にありがたいと存じます。

○友杉部会長

今事務局から説明頂きましたが、さらに何かご質問等はございますか。

泉本委員、どうぞ。

○泉本委員

今、三井課長が仰ったことをもう少し文字にして入れて頂けると分かりやすいと思います。

○友杉部会長

分かりました。ありがとうございます。

友永委員、どうぞ。

○友永委員

四半期レビュー手続の方で確認させて頂きたいのですが、6ページの図の真ん中にある「継続企業の前提に関する開示の要否を質問」というところがございます。ここで、重要な不確実性がなく開示が不要というときは右に行き、重要な不確実性があり開示が必要というときは下に行くということになっておりますが、開示の要否の質問だけでは不確実性があるかどうかという判断は多分できないと思います。

一方前文では、11ページの真ん中から下の「質問の結果」から始まる段落の中で、「前会計期間の決算日において・・・存在していなかったが、当該四半期会計期間に継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を認めた場合」に該当すると思いますが、ここでは、「当該事象又は状況に関して合理的な期間について経営者が行った評価及び対応策について検討した上で、なお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められると監査人が判断したとき」という文章が入っております。この新旧対照表の中の「継続企業の前提に関する開示の要否を質問」という文章で、今申し上げたような評価及び対応策を検討した上で不確実性の判断をするという部分を全部読まなくてはならないとすると、あまり明瞭ではないという気がいたしますが、いかがでしょうか。

○友杉部会長

これについて説明頂けますか。

○野村企業会計調整官

図においても「(重要な不確実性があり)」と書かせて頂いておりますが、先ほど申し上げましたとおり、四半期レビュー基準は質問等により行う簡便的な手続でございますので、必ず「重要な不確実性があり」というところまで確認するというのは、なかなか難しいのではないかということもございます。開示の要否について質問をし、監査人としてそういう心証を得た場合には、追加的な手続を実施し、さらに検討して頂くという流れをとっております。おっしゃるように前文の表現と若干差があるのかもしれませんが、気持ちといいましょうか、考え方としては今申し上げたようなとおりでございます。

○友永委員

素直に読むと、開示の要否、つまり開示する必要があるのかないのかということを経営者に聞いた場合に、「必要がありません」と言うと、重要な不確実性の判断は行わずに右に行くと読めます。やはり重要な不確実性があるのかないのかという判断を監査人がすることにより、質問に対する回答を得たところでの判断を限定された手続の中で行うことになると思います。そこのところが、例えば左側のところでは、これは変化の場合ですが、経営者の評価及び対応策の変更と開示の要否を質問するということになっており、開示の要否だけを質問して、その評価及び対応策、それ自体を聞かないで不確実性があるのかどうかという判断を監査人ができるのかは疑問です。ですから、もう少し書いて頂いた方が良いのではないかと思います。

○友杉部会長

ありがとうございます。

そうしますと、真ん中の白い開示の要否の質問の後に、経営者の評価、対応策についても質問するという言葉を追加したほうが分かりやすいのではないかということですね。分かりました、検討させて頂きます。

ほかにご質問、ご意見はございませんでしょうか。岸田委員、どうぞ。

○岸田委員

実務をよく知りませんので、間違っているかもしれませんが、この基準が年度の基準に合わせてほぼ同じように作られているとすると、実際の実務では、第1四半期に何もなければ次の四半期もこの前提で考えることはできると思います。一方で、第1四半期で継続企業の前提に重要な疑義があるという場合には、第2四半期は第1四半期のことを全く無視して第2四半期だけを考えるということは、実務上ないのではないかと思いますが、年度の基準と同じように、この短期間の基準においても3カ月前のことを全く考えなくてもよろしいのでしょうか。実務を知らないので教えて頂きたいのですが、前の期間で継続企業の前提に重要な疑義がある場合でもない場合でも、次の期間ではそのことを考えずに行うように読めるのですが、それでよろしいのでしょうか。

○友杉部会長

ありがとうございます。今回の改訂案では、「前事業年度」となっていたものを、前事業年度の他、中間、第1四半期、第3四半期も含めて、「前会計期間」と変更をしております。この新しい改訂案では、常に3カ月前を見ることになると思っておりますが、この点について実務的にご説明頂ける先生方はいらっしゃいませんでしょうか。直接実務を担当されている公認会計士の先生方、何かご意見ございませんか。

篠原委員、どうぞ。

○篠原委員

ご回答になっているかどうか分かりませんが、先ほど野村さんから、例えば第3四半期では、今までは9カ月遡って変化を見ていたところを、今回は3カ月遡るだけで良いと説明がございました。恐らくその場合でも実務的には、その3カ月の前の6カ月間における累積的な結果というものを考慮して見ているはずですので、その3カ月だけを取り上げて何か判断するということはなく、それまでの累積の結果というものは考慮すると考えます。

○友杉部会長

ありがとうございます。今のご説明でよろしいでしょうか。

○三井企業開示課長

参考になるかどうか分かりませんが、先ほどの例示ですと、継続的に営業赤字が出ていることや、キャッシュフローがマイナスであること、このような事象を考えますと、当然一定程度の期間のトレンドを見ていると思います。他方、重要な工場や、唯一の工場が全部燃えたり、地震で倒壊してしまったとか、そういうような事象を念頭に置くと、これは突然の大事件といった材料ですので、当然事象なり状況ごとに考えていると思いますので、ケース・バイ・ケースという面はあろうかと思います。

○友杉部会長

ありがとうございました。ほかにご質問はございますか。

内藤委員、どうぞ。

○内藤委員

内藤でございます。既に3つ質問が出て議論になった9ページの部分ですが、説明いただいてなお質問するのもどうかと思いますが、この文章を素直に読んだときに、矛盾とならない表現をとるべきではないかと思います。「少なくとも1年間の経営者の評価及び経営者の講じる対応策」という箇所はこれで全部つながっておりますので、「少なくとも1年間については評価も対応策も検討しなさい」と言っておきながら、「経営者の講じる対応策は半年間でも場合によっては良いですよ」という書き方は、やはり、少し分かりにくいのではないかと率直に思います。

また、この対応策は、現行規定の通り、翌事業年度の上半期の末日までの期間に対するものである方が望ましいのではないかと思います。それにもかかわらず、今回の見直しで「そうでなくても良い」とあえて書く理由は、実務的にそうすることによる問題が生じているからという趣旨なのでしょうか。これが1つ目の質問です。

2つ目の質問は、友永委員からもご質問があった点です。四半期レビュー基準改訂案の第9項の「質問の結果」という箇所ですが、この「質問の結果」というのは、その前の箇所では2つの質問をしておりますので、この2つの質問を受けてのことだと思っております。事象又は状況に係る経営者の評価及び対応策の変更について質問し、そして、開示の要否について質問した、この2つの質問を受けているという理解でよいのでしょうか。

この理解が正しいとすれば、2つの「質問の結果、・・・重要な不確実性が認められると判断した場合には」ですから、変更の有無を尋ねたとき、あるいはその回答をもって開示の要否を尋ねたときに、開示が必要との経営者の回答をもって重要な不確実性が認められると監査人は判断することになります。この判断が四半期レビュー手続によるゴーイング・コンサーンに対する監査人の対応ではないかと思います。

それはなぜかと言いますと、中間監査基準では、「重要な不確実性が認められるか否かを検討しなければならない」と第9項で定めております。明らかにこれは監査人の独自の判断を明文化しているわけです。一方、四半期レビュー基準ではそのようなことは規定していないにもかかわらず、先ほどご案内があり、議論にもなっておりましたが、前文の11ページで、「経営者が行った評価及び対応策について検討した上で、・・・不確実性が認められると監査人が判断したときは」と、中間監査基準と同じような対応を前文で求めているわけです。

これは求め過ぎではないでしょうか。むしろ、質問に対して経営者が開示は必要だと回答したときには、それをもって重要な不確実性があるという前提で監査人は対応するだけで終わるのではないか。その結果、中間監査の場合と四半期レビューの場合とで、監査人の責任に差が生じるのではないか。その差が生じるというのは、四半期レビューでは手続が限定されているため責任に差が生じるということと整合するのではないか。このように考えますので、もう一度確認をお願いしたいと思います。

3つ目の質問は、12ページの前文の説明によれば、四半期レビューでは、意見の不表明は理論的には非常にまれなことなので、報告基準には規定を入れなかったと読めるのですが、まずこの文言について、「理論的には」というところの2行目でございますが、「重要な四半期レビュー手続を実施できなかったとして無限定の結論の表明ができない場合があり得るが」と書いてありますが、これは「無限定」とは限らないと思います。これは「無限定」とつける必要はないと思いますので、それは削除して頂くとして、「ケースは非常に限定されたものになると考えられる」で終わっておりますが、だからどうなのかという記載は要らないのでしょうか。

また、四半期レビュー基準での意見表明が、監査基準と中間監査基準で違うところとしては、継続企業の前提に基づいて四半期財務諸表を作成することが不適切であるという場合の否定的結論の表明は四半期レビューの場合にはないことになっております。現行基準でもそうなのですが、これはなぜなのでしょうか。「意見の不表明」については今のように詳しく説明があるのですが、継続企業の前提に基づいて四半期財務諸表を作成することが不適切な場合には、否定的結論を述べるという報告基準がないことについて、前文での説明は不要なのでしょうか。

というのは、継続企業の前提の問題というのは、いわゆる会計公準が満たされているかどうかについて疑義が生じている場合に、その状況をきちんと示すことによって、情報利用者が誤導されないようにするということであり、それは、監査基準であっても、中間監査基準であっても、四半期レビュー基準であっても全て同じだと思うからです。四半期レビュー基準の場合には手続が限定されているのでそれが確定できないという趣旨でその判断を除いているのか。継続企業の公準に関する監査判断をしている場合に、レビュー手続は限定されていますが、四半期財務諸表が継続企業の前提に基づいて作成されていることが不適切であると判断されるような重要な不確実性が分かったときに、なぜ不適切ですと否定的結論を述べないのか。その理由については説明を入れる必要があるのではないでしょうか。

以上3つの質問です。

○友杉部会長

ありがとうございました。答えられるものから答えていただけますでしょうか。

○三井企業開示課長

まず、9ページの件については、文章の修正を検討したいと思います。ここは問題があったため、変更する必要があると考えたところです。とりわけ年度の監査基準で議論させて頂きましたが、合理的な計画というものが、当初の軽い感じではなく、かなり重たいもの、いわゆる経営計画というものとして受け止められてしまっており、ここで意図していたものではなく、国際監査基準などで言うところの経営者によるコンシダレーションやプランではなく、いわゆる「経営計画」でなければならないと解釈されるケースがあったということが問題ではないかということから、見直したことに関連しております。

したがいまして、経営計画は四半期ごとには作られていないというのが実態でございまして、その中で、会社経営上の経営計画がこの四半期レビュー基準によって求められているということになりますと、問題があるのではないかということで、ここは明確な路線変更でございます。

文章はまた部会長とも相談し、もう少し分かりやすいものにできないか検討させて頂きたいと思います。なお、この経営者の評価と対応策というものは、かなり近いものになろうかと思います。経営者は座してぼっと見ているだけではなく、経営者として常に経営というポジティブな行動をしているのではないかと思われます。そして、その経営とそれを取り巻く環境というものの評価がここでいう「評価」だと思われますので、経営者の評価といった場合にも、その経営者が今取り組んでおられることがらも含まれ得ると思われます。先ほどの例で言いますと、A、B、Cの3つのラインのうちCを一生懸命稼動させようとしているということも経営の努力であって、それがいわゆる「経営計画」には該当しない場合もあるとは思われますが、恐らく外国の基準で言われているプランなりメジャーズには相当しますし、これに対するコンシダレーションは行われることになろうかと思われます。従いまして、そういう意味では、この「評価」と「対応」というものは1ワードにしても良いのかもしれません。このあたりは、文章的に難しいところもあり、悩みながらやっているところでございまして、検討させて頂きたいと思います。

それから、11ページのところでございますが、ご指摘のとおりでございまして、文章が長くなってしまっておりますが、上から7行目のところで「積極的に継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かを確かめることは求められていない」としており、国際レビュー業務基準でも四半期レビューにおいてゴーイング・コンサーンを積極的に調べるということは求められておりません。ただし、監査の途中でたまたま気付いた場合にはこういうことをやってくださいということであります。このページの全体としては、積極的に確かめることは求められていないということがヘッドラインとしてあり、「すなわち」以降では、積極的に確かめることは求められていないことを前提として、質問や分析的手続により仮に見つかった場合には、このようにやってくださいと書いたところでございます。改めて精査いたしまして、修正について検討させて頂きたいと思います。

○野村企業会計調整官

2つ目のご質問の3ページの四半期レビュー基準の9項の件でございますが、1つ目のパラグラフでは「質問しなければならない」という箇所が2つ出てきており、2つ目のパラグラフの「質問の結果」が、この2つを受けているのかというご質問でございます。ここの趣旨としましては、1つ目の「質問をしなければならない」とは、前会計期間の決算日の状況に変化があったかどうかを質問するということで、その質問の結果どうするのかということについては特段書いてはいなく、変化がなければ前期末の記載と同様かどうかということを確認するということになります。次のパラグラフの「質問の結果」に対応するものは、「また」以降の「質問をしなければならない」ということと対応するということでドラフティングさせて頂いたと思いますが、再度確認の上、検討をしたいと思います。

○友杉部会長

内藤委員、どうぞ。

○内藤委員

今の第9項のところの説明では、問題があるのではないかと思います。「また」以降の質問の結果だけではないのではないでしょうか。事象または状況に変化があり、経営者が評価、対応策を変更していた場合には、監査人としてレビュー手続をどのようにするのかということで「質問の結果」というところにかかってこないと、先ほどのフローチャートとも合わないと思いますので、考え直して頂けないかなと思います。

それから、先ほど言い忘れたのですが、この「質問の結果」のところの、「重要な不確実性が認められると判断した場合には」の続きの部分についてですが、このような具体的なことは監査基準でも中間監査基準でも、わざわざ書いてはおりません。開示の適切性について検討するのはごく当たり前のことであるため、監査基準、中間監査基準では一々書いていないのです。「重要な不確実性が認められるか否かを検討しなければならない」で両方とも終わっておりまして、あとは報告基準となるわけです。一方、四半期レビュー基準では、質問の手続しか実施していないため、追加的な質問や関係書類の閲覧等の追加的な手続も必要であることを強調するために、もしこれらを規定するのであれば、もっと簡潔に表現されるほうが良いのではないかと思います。

○友杉部会長

ありがとうございます。内藤委員のご指摘されました9項の後段のところの説明については、これは報告基準的な内容も含めて書かれているところもありますので、本来それを外すべきではないかということも議論は一応してきたのですが、基本的には継続企業のところだけを修正する方針で来ております。しかし、やはりいろいろと齟齬が出てきておりますので、検討させて頂きたいと思います。

池上委員、どうぞ。

○池上委員

池上でございます。今回の四半期レビュー基準の改訂は、国際基準(ISRE)との整合性を図ろうとしておりますが、私は、そのISRE2410の起草の際に、IAASBの委員(日本代表)をしておりまして、起草委員会(タスク・フォース)のメンバーとして最初から議論に加わっておりました。このゴーイング・コンサーンの記載箇所はどうしようかとかなり議論していたわけでございますが、記載内容についてはレビュー基準であるということが最後ポイントになりました。やはりISA570という監査基準とは異なるため、監査人の責任の観点などから、監査基準と同様の記載内容にしてしまうと、適時開示の問題、また、あくまで質問、分析的手続がベースであるために手続等に限界がある点、その辺を考えて、ISRE2410の中でもかなり記述はしましたが、具体的なことはあまり触れないようにしたという経緯がございます。

そういうことから考えまして、本日の議論の内容を反映して修正を加えられると思いますが、国際基準(レビュー基準)との整合性を考えた場合には、あまり監査基準に近くならないように是非お願いしたいと思います。

○友杉部会長

ありがとうございました。まだご意見、ご質問等はございますでしょうか。

内藤委員、どうぞ。

○内藤委員

私の3つ目の質問は、そのまま棚上げになるのでしょうか。一応それだけ確認したいのですが。

○友杉部会長

3つ目というのは無限定のほうですか。

○内藤委員

3つ目というのは、四半期レビューにおいて、継続企業の前提に基づいて四半期財務諸表を作成することが不適切である場合に、その旨、否定的結論を述べるということが四半期レビューの報告基準にはございません。監査基準、中間監査基準にはあるわけですが、それがない理由について、その前の意見の不表明については丁寧な説明がある一方で、継続企業の前提に基づいて作成することが不適切である場合の対応については記載がないことに関して、説明をする必要があるのではないでしょうかということを申し上げました。

○友杉部会長

分かりました。どうぞ。

○野村企業会計調整官

お答えしておりませんでした。

内藤委員からお話がありましたとおり、ここの部分については従前から四半期レビュー基準に規定がないところでございまして、先ほど部会長からもお話がありましたが、今回は継続企業の前提に関するところだけを改訂しようという基本的な考え方に基づいて検討しております。先ほど、前文で意見の不表明についてはなぜ説明しているのかというご指摘があったところでございますが、今回、実務におきまして、四半期レビューの結果として結論の表明をしないケースがかなりあったということもございまして、今回、考え方の変更を行っていることから、あえて結論の不表明について記載をさせて頂いた次第でございます。継続企業の前提に基づいて作成することが不適切である場合の対応についても書くということも考えられるかと思いますが、結論の不表明の部分だけ書かせて頂いた経緯は、このようになっております。

○友杉部会長

内藤委員のご質問のところは、少し検討させて頂きたいということでよろしいでしょうか。

○内藤委員

結構です。

○友杉部会長

篠原委員、どうぞ。

○篠原委員

篠原でございます。これは質問というよりご確認ですが、今回の合理的な期間、1年間という評価期間がございまして、それに対応策が満たない部分というのが出てきた場合に、そのカバーされない部分というのは、恐らく四半期レビューですと質問によって手続が行われると思います。中間監査でも、やはり主たる手続は質問になるのかなと考えておりますが、このような理解でよろしいでしょうか。

○友杉部会長

私はそれでよいのではないかと思いますが、どうでしょう。補足説明はございますか。

○野村企業会計調整官

リスクの程度に応じてということだと思いますが、そのような理解でよろしいかと思います。

○友杉部会長

ありがとうございました。特にご質問等はございませんでしょうか、よろしいですか。

それでは、本日、中間監査基準及び四半期レビュー基準の改訂に多くのご意見等を頂戴いたしましたが、基本的な方向性としましては、この案の内容で検討していきたいと思っております。私としましては、本日頂いたご意見等も踏まえ、所要の修正を行った上で、中間監査基準及び四半期レビュー基準の改訂案をパブリックコメントに付させて頂いてはどうかと考えております。また、その際の具体的な文言の修正につきましては、部会長である私にご一任頂きたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

それでは、今後のスケジュール等につきまして、事務局からご説明して頂きます。

○野村企業会計調整官

本日ご審議を頂きました改訂案に所要の修正を行った上で、できるだけ速やかにパブリックコメントに付させて頂きたいと思います。約1か月間コメント募集を行いまして、コメント募集期間終了後に再度監査部会を開かせて頂き、ご審議をお願いできればと考えております。なお、本日のご意見等を踏まえた修正したコメント募集案は委員の皆様に改めてお送りさせて頂きたいと思いますので、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

○友杉部会長

ありがとうございました。パブリックコメント期間終了後の監査部会の日程等につきましては、事務局から改めてご連絡させて頂きたいと思います。

それでは、これにて閉会いたします。お忙しいところご参集頂きまして、本当にありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3672、3656)

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