企業会計審議会第32回監査部会議事録

1.日時:平成24年12月11日(火曜日)17時00分~19時00分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 13階 金融庁共用第一特別会議室

○脇田部会長

定刻になりましたので、これより第32回監査部会を開催いたします。皆様にはお忙しいところをご参集いただきまして、ありがとうございます。

まず、会議の公開についてお諮りいたします。本日の監査部会も企業会計審議会の議事規則にのっとりまして公開することといたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○脇田部会長

それでは、ご了解をいただきましたので、そのように取り扱わせていただきます。

議事に入ります。前回までのご審議で、7月の部会で了承されました主な検討項目につきましては、一部を除き一通りご審議をいただきました。本日は、当部会におきまして頂戴いたしましたご意見等を踏まえまして、事務局において具体的な基準(案)を準備いたしましたので、それをもとに、委員の皆様よりご質問、ご意見を伺ってまいりたいと思います。

なお、基準(案)につきましては、本日の審議におきまして委員の皆様方のおおむねのご了解を得られましたならば、パブリック・コメントに付したいと考えております。よろしくお願いいたします。

最初に、不正リスク対応基準(案)等につきまして、事務局より説明をしてください。

○栗田企業開示課長

お手元に資料1から資料3-2までを配付させていただいております。

資料1は、「監査における不正リスク対応基準(仮称)の設定及び監査基準の改訂について(公開草案)」というタイトルをつけさせていただいております。これは、9月25日の本部会におきまして、不正に対応した監査の基準の考え方案(案)というものを提示してご議論をいただきました。その後、10月、11月と本部会においてご議論をいただいて、さまざまな意見をいただいたところでございますが、いただいた意見、それから、この部会の外でも各方面からいろいろ意見を頂戴いたしましたので、そういうご意見を踏まえて作成したものでございます。

それから、今、部会長からお話がありましたように、本日ご了解いただければ、公開草案としてパブリック・コメントに付すということを念頭に作成したものでございます。

それから、資料2-1、2-2でございますが、資料2-1は、この資料1に書いてあります内容を図解したものでございます。資料2-2は9月の部会で提示させていただいたものでございまして、後でどこが変わったかについてご説明をさせていただきたいと思います。

それから、資料3-1は、同じく9月の部会に提示させていただきました不正に対応した監査の基準の考え方(案)と今回の基準(案)とを比較したものでございます。番号に一部入り繰りがございますので、9月のほうを左に書いてそれに対応する部分を右側に書くということにしておりまして、一部番号が前後しているところがあることはご了解いただきたいと存じます。

それから、資料3-2は、これも後でご説明させていただきますけれども、現行監査基準の一部の改訂を考えておりますので、その新旧対照表でございます。

それでは、まず資料2-1と2-2で、大きな流れとして、9月からどう変わったかという点についてご説明をさせていただきたいと思います。

大きく変わったのは下の点線のところでございますが、資料2-2の9月の資料におきましては、下の点線の真ん中あたりに「不正の端緒を示す状況」というのがあって、その下に「不正リスクに対する十分かつ適切な監査証拠の入手」というのがあって、ちょっとこの2つの関係がわかりにくいというご指摘がありましたので、この下のほうの話を今回は右のほうに持ってくるような形で図を変更しております。

その部分についてまずご説明いたしますと、監査計画が策定されて不正リスクに対応する監査手続が実施される。そういう中で、もし問題があるような事項があったとすれば、その右にいっていただいて、必要と判断した追加的な監査手続を実施していただく。その結果、十分かつ適切な監査証拠を入手したかということを判断していただくわけでございますが、ここを行きつ戻りつするというのが監査の実態かと存じております。それで、もし十分かつ適切な監査証拠を入手したということであれば、それを監査調書に記載していただいて、一応それで終了ということになります。かなり手を尽くしたけれども十分かつ適切な監査証拠を入手できないということになれば、下のほうにおりていくということでございます。

それから、もう一つのルートが、不正リスクに対応する監査手続から下のほうにいっていただいて、これは当初想定していたもの、あるいは想定していないものもあるかとは思いますが、不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況があるかないかということです。これは9月には「不正の端緒を示す状況」という言葉を使わせていただいておりましたが、「不正の端緒を示す状況」という言葉では、既に何かもう不正があることが確定していてその端緒があるような用語に見えるというご指摘がありまして、まだこの段階ではほんとうに不正があるかどうかはよくわからない状況ですので、言葉を変更させていただきまして、「不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況」というものがあるかないかということをまず判断していただく。中身的には、これは付録2についている事項でございまして、一部整理させていただいておりますけれども、9月から大きく変わっているものではございません。

それで、もしそういうような状況があるということであれば、経営者に質問し説明を求めるとともに追加的な監査手続を実施していただく。そうして、関連して入手した監査証拠に照らして経営者の説明に合理性があるかという判断をしていただいて、経営者の説明に合理性があるということであれば、これはこれで終わりますので監査調書に記載していただく。残念ながら経営者の説明に合理性があると判断できないような場合は、これは下にいっていただくということで、先ほど申し上げましたルートとこのルートと2つのルートで上からおりてくる。そうしますと、「不正による重要な虚偽の表示の疑義」があるとして取り扱うということにさせていただいています。ここは、9月には「不正の端緒」という言い方をしておりましたけれども、ここも用語を変更させていただいております。

それで、不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断された場合には、その下にいっていただいて、想定される不正の態様等に直接対応した監査手続を立案し監査計画の修正をしていただき、それに沿って監査手続を実施していただく。さらに、監査事務所としても慎重な審査をしていただくという流れになります。

これが、今回の公開草案に記載されております重要なところの手続の流れでございますが、9月から大きく変更したところが1点ございまして、それは、9月の資料2-2の右側のほうにありました吹き出しで、不正の端緒として扱うかどうかの判断の基準として、追加的な監査手続の結果、明らかに重要な虚偽の表示に結びつかないと結論づけるに足る十分かつ適切な監査証拠を入手できない場合には不正の端緒として取り扱うのだということになっていたかと存じますけれども、この手続を厳格に追い求めますと、明白に問題ないと言い切る監査証拠を入手するのは実際問題としては容易ではないということで、なかなか監査が終了しないという事態も想定されますので、ここの部分は、今回は削除させていただいております。

その結果、じゃあ、どういう形になれば監査が終わるのかといいますと、これは結局、現在の監査実務と同じでございまして、監査人の方が意見表明をするに足りる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断したかどうかということがポイントとなって、そういう監査証拠を入手できたと判断した場合には、そこで監査が終わるということになるということでございます。

以上が大きなプロセスの流れでございます。

それで、資料1に戻っていただきまして、これが、まさにパブリック・コメントにかけようとしているものの本体でございますけれども、まず、1ページから10ページが前文に当たるところでございます。それから、11ページから20ページが、今回新たに設定しようとしている「不正リスク対応基準(案)」の本文でございます。それから、21ページから28ページが、今回改訂しようとしているところを織り込んだ現行の監査基準の全文でございます。

以上の構成になっておりますが、本日は、主にこの1ページから10ページの前文に従ってご説明をさせていただきたいと思います。

まず、審議の背景というところでございますが、2つ目のパラグラフにいっていただきまして、「近時、金商法上のディスクロージャーをめぐり、不正による有価証券報告書の虚偽記載等の不適切な事例が相次いでおり、こうした事例においては、結果として公認会計士監査が有効に機能しておらず、より実効的な監査手続を求める指摘があるところである。この点に関しては、監査基準をめぐる国際的な動向を見ても、財務諸表監査における不正に対応した基準の見直しが継続的に行われており、また、各国において職業的懐疑心の重要性が再認識されているところである。こうしたことから、当審議会においては、国際的な議論の動向等も踏まえつつ、我が国の公認会計士監査をより実効性のあるものとするとの観点から、重要な虚偽の表示の原因となる不正に対応した監査手続等の検討を行い、監査基準等の所要の見直しを行うこととした」というふうにさせていただいております。

その後に、「なお」でございますが、「不正に関しては、一義的に財務諸表作成者である経営者に責任があるところであり、その対応としては、公認会計士監査における監査手続等の充実とともに、企業におけるコーポレート・ガバナンスのあり方の検討などを含め、幅広い観点からの取り組みが重要である」というふうに記載をさせていただいております。

それで、1ページめくっていただきまして、2ページ目の審議の経過等のところでございます。ここでは、2つ目のパラグラフ、「なお」のところをごらんいただきたいと存じます。循環取引に対応するための手段として、取引先企業の監査人との連携ということがございました。この点については随分ご議論をいただきましたけれども、そこのところの5行目あたりですが、「解決すべき論点が多いことから、今回の公開草案には含めず、循環取引等への対応について、当審議会において継続して検討を行うこととしている」ということで、この後、時間をかけてまた議論をしていただきたいというふうに考えております。

それから、その次のところですが、「また、監査報告書の記載内容の見直し、特別目的の財務報告に対する監査の位置づけを監査基準上明確にするかどうか、といった論点も議論されたところであるが、国際的な議論の動向や利用者のニーズに関する調査等を踏まえつつ、今後、当審議会において検討を行うこととしている」ということで、これらの点につきましては、前からお話をさせていただいていますように、国際的動向等を踏まえて、少し時間をかけてご検討いただければというふうに考えております。

それから、二番目の監査における不正リスク対応基準(仮称)の設定のところでございますが、ちょっと1ページめくっていただきまして、3ページの冒頭のところが今回の新規準の趣旨でございまして、「監査をめぐる内外の動向を踏まえ、不正による重要な虚偽表示のリスクに対応した監査手続を明確化するとともに、一定の場合には監査手続をより慎重に実施することを求めるとの観点から、監査における不正リスク対応基準を設けることとした」というふうにさせていただいております。

それから、次の不正リスク対応基準の基本的な考え方のところでございます。

まず(1)でございますが、「財務諸表の虚偽の表示は、不正又は誤謬から生じるが、本基準においては、監査人が財務諸表監査において対象とする重要な虚偽の表示の原因となる不正について取り扱う。ここで不正とは、不当又は違法な利益を得る等のために、他者を欺く行為を伴う、経営者、従業員等又は第三者による意図的な行為をいう。したがって、本基準は、重要な虚偽の表示とは関係のない不正は対象としていない」。これは、9月のときから申し上げているとおりでございます。

それから(2)でございますが、「本基準は財務諸表監査における不正による重要な虚偽表示のリスクに対応する監査手続等を規定しているものである。本基準は、財務諸表監査の目的を変えるものではなく、不正摘発自体を意図するものでもない」。これもずっと申し上げてきているとおりでございます。

それから(3)でございますが、「本基準は、すべての財務諸表監査において画一的に不正リスクに対応するための追加的な監査手続の実施を求めることを意図しているものではない」ということでございまして、例えば、被監査企業において、先ほど申し上げました、重要な虚偽の表示を示唆するような状況がないような場合でありますとか、既に監査人においてこの基準に規定されているような監査手続等を実際に行っておられるような場合については、現行の監査基準に基づく監査の実務と基本的に変わるところはないというふうに考えております。

それから(4)のところで、監査人の責任について言及をさせていただいております。この点は、ある意味、現在と同じで申すまでもないことではございますけれども、そこのところの後段でございますが、「経営者の作成した財務諸表に重要な虚偽の表示がないことについて、正当な注意を払って監査を行った場合には、基本的には、監査人は責任を問われることはないものと考えられる」ということでございまして、新基準ができたからといって、その監査人の責任のあり方に変更が生じるということではないということでございます。

それから、1ページめくっていただきまして、不正リスク対応基準の位置付けでございますが、まず(1)は、その適用範囲について述べさせていただいております。「本基準は、企業の不正による重要な虚偽表示のリスクにより有効に対応することにより、我が国資本市場の透明性、公正性を確保することが最終的な目的となってことから、すべての監査において実施されるのではなく、主として、財務諸表及び監査報告について広範囲な利用者が存在する金融商品取引法に基づいて開示を行っている企業に対する監査において実施することを念頭に作成されている」ということにさせていただいております。「なお、本基準の適用範囲は関係法令において明確化されるものである」ということでございまして、この点につきましては、この基準の了解が得られますれば、監査証明府令に規定することを現在考えております。

それから(2)の不正リスク対応基準の位置付けでございますが、そこの3行目でございますが、「本基準は、金融商品取引法に基づいて開示を行っている企業に対する監査に限定して実施すること、不正による重要な虚偽表示のリスクに対応するために特に監査人が行うべき監査手続等を一括して整理した方が理解しやすいと考えられることから、監査基準、品質管理基準からは独立した基準とすることとした」ということで、形式的には独立した基準という位置づけにしたいと考えております。

ただ、その後でございますが、「本基準は、監査基準及び品質管理基準とともに、一般に公正妥当と認められる監査の基準を構成し、監査基準及び品質管理基準と一体となって適用されるものである」というふうに書かせていただいております。

それから、その下でございますが、ここからが不正リスク対応基準の具体的な内容とポイントについて解説をさせていただいているところでございます。

まず構成でございますが、3つのパーツから構成されるというところは9月から変わっておりませんで、1つ目が、職業的懐疑心の強調、2番目が不正リスクに対応した監査の実施、3番目が不正リスクに対応した監査事務所の品質管理とさせていただいております。

まず、その1番目の職業的懐疑心の強調のところでございますけれども、ここは、9月のときには「職業的懐疑心の強化」という言い方とさせていただきましたけれども、ちょっと言葉を変えさせていただいております。

具体的内容につきましては、資料3-1をごらんいただければというふうに思っております。新しい基準においても、ここでは5項目挙げておりますけれども、1項目は、「監査人は、経営者等の誠実性に関する監査人の過去の経験にかかわらず、不正リスクに常に留意し、監査の全過程を通じて、職業的懐疑心を保持しなければならない」というふうにさせていただいております。

それから、2、3、4は「職業的懐疑心を発揮して」というふうに、ちょっと言葉を強めさせていただいております。それぞれマル2は不正リスクの評価、マル3は不正リスクに対応する監査手続の実施、マル4は監査証拠の評価という局面でございますが、それぞれの局面においては「職業的懐疑心を発揮して」というふうに書かせていただいております。

それから、マル5は、先ほど申し上げました不正による重要な虚偽の表示の疑義に該当するかどうかを判断する場合、あるいは当該疑義に対応する監査手続を実施する場合には「職業的懐疑心を高め」ということで、もう一段強い表現とさせていただいております。

ただ、もとの資料1の5ページ目に戻っていただきまして、そこの上から3つ目のパラグラフでございますが、「職業的懐疑心の程度は、監査人の行った監査手続で判断されるものと考えられることから、監査人は本基準に基づいて監査の各段階で必要とされる職業的懐疑心を発揮し、具体的な監査手続を実施することが期待される」というふうに書かせていただいております。

それから(3)は監査の実施でございますが、その中で、まずマル1は監査計画の策定のところでございます。その2つ目のパラグラフでございますが、「本基準においては、現行の重要な虚偽表示リスクの検討に加え、監査計画の策定に当たり、不正リスク要因の検討や不正リスクを把握するために必要な手続を規定した。監査人は、入手した情報が不正リスク要因の存在を示しているかどうかを評価し、それらを財務諸表全体及び財務諸表項目の不正リスクの識別において考慮しなければならないこととした。その上で、監査人は、識別・評価した不正リスクに応じた監査計画を策定することが求められる」というふうにさせていただいております。

それから、1ページめくっていただきまして、「また」のところでございますが、ここは9月のときから少し変えておりますが、「監査人は、財務諸表全体に関連する不正リスクが識別された場合には、抜き打ちの監査手続の実施、往査先や監査実施時期の変更など、企業が想定しない要素を監査計画に組み込むことが必要になる」ということで、企業が想定しない要素を組み込むのは、ここでは財務諸表全体に関連する不正リスクが識別された場合に限定させていただいております。

それから、マル2は不正リスクに対応して実施する確認でございまして、「監査人が、不正リスクに対応する監査手続として、照会事項の内容の正否に関わらず回答を求める積極的確認を実施する場合には、回答がない又は回答が不十分なときには、安易に代替的な手続に移行してはならないことを明確にした」とさせていただいております。

それから、マル3は不正リスクに関連する監査証拠でございますが、「監査人は、不正リスクに関連する監査要点に対しては、不正リスクを識別していない他の監査要点に対するものに比べ、より適合性が高く、より証明力が強く、又はより多くの監査証拠を入手しなければならないこと、十分かつ適切な監査証拠を入手していないと判断した場合は、追加的な監査手続を実施しなければならないことを明確にした」とさせていただいております。

それから、マル4でございますけれども、ここは一つのポイントになるところですが、不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況ということでございます。これは、「付録2に例示されているような状況を識別した場合には、適切な階層の経営者に質問し説明を求めるとともに、追加的な監査手続を実施しなければならない」としております。

この付録2は、資料の3-1の17ページから20ページにつけてございますけれども、9月のときのものよりも若干項目を絞り込んでおります。それから、幾つかの項目については、「重要な」という言葉を付して軽微なものは除外するようにしております。

それで、この付録2に記載されている状況のレベル感の説明でございますが、資料1の6ページに戻っていただきまして、マル4の2パラ目に、「付録2に例示されている状況は、現行の監査基準に基づく現在の実務においても、監査人としては、重要な虚偽の表示の可能性が高いものとして、特に注意すべき状況を念頭に記載されている」とさせていただいております。

それから、その下でございますが、「なお、付録2はあくまで例示であり、監査実施の過程においてそのような状況に遭遇した場合に追加的な監査手続を求めているものである。したがって、付録2に記載されている状況の有無について網羅的に監査証拠をもって確かめなければならないということではなく、必ずしも付録2をチェック・リストとして取り扱うことを意図したものではない」。これは9月にも申し上げたとおりでございます。

それから、7ページにいっていただきまして、不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断した場合の監査手続ということでございまして、これは先ほども説明させていただきましたけれども、「不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況について、関連して入手した監査証拠に照らして経営者の説明に合理性がないと判断した場合や、識別した不正リスクに対応して追加的な監査手続を実施してもなお十分かつ適切な監査証拠を入手できない場合には、これを不正による重要な虚偽の表示の疑義と取り扱わなければならないものとした」ということで、その下のパラグラフにありますように、「不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断した場合には、想定される不正の態様等に直接対応した監査手続を立案し監査計画を修正するとともに、修正した監査計画に従って監査手続を実施しなければならない」というふうにさせていただいております。

それから、⑥は専門家の業務の利用ということでございまして、「不正リスクの内容や程度に応じて、例えば、不正リスクに対応した金融商品の評価、企業価値評価、不動産の評価、不正調査、IT等に関する専門家等の技能又は知識を利用する必要があるかどうかを判断しなければならない」とさせていただいております。

それから、次の⑦は審査でございまして、「不正による重要な虚偽の表示の疑義が識別された場合には、監査事務所として適切な監査意見を形成するため、審査についてもより慎重な対応が求められる。したがって、監査事務所の方針と手続に従って、適切な審査の担当者による審査が完了するまでは意見の表明ができないことを明記」させていただいております。

それから、⑧は監査役等との連携ということでございまして、「不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断した場合や経営者の関与が疑われる不正を発見した場合には、監査役あるいは監査委員会と適切に協議する等、連携を図ることが有効である。また、監査人は、監査の各段階において、監査役等との連携を図らなければならないことを明記」させていただいております。

それから、⑨は監査調書でございまして、「不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断した場合には、監査人が当該疑義に対して実施した監査手続の内容とその結果、また、監査人としての結論及びその際になされた重要な判断については、監査調書に記載しなければならない」とさせていただいております。

以上が監査手続の実施のところでございまして、(4)が品質管理のところでございます。ここでは、まず、2パラ目の「ただし」のところですが、「不正リスク対応基準のうち品質管理にかかる規定は、現在各監査事務所で行っている品質管理のシステムに加えて、新たな品質管理のシステムの導入を求めるものではなく、不正リスクに対応する観点から特に留意すべき点を明記したものである」とさせていただいておりまして、何か新しい品質管理システムをつくってくださいということではなくて、既に現在ある品質管理システムにもし足りないところがあればそれを補ってくださいという趣旨でございまして、もしこの新基準に書かれているようなことが、既に現在各監査法人において定めておられる品質管理のシステムに既に全部書いてあるということであれば、もう何もしていただかなくてもいいということになるかと思います。

それから、その下でございますが、「整備及び運用が求められる監査事務所の方針と手続は、監査事務所の規模及び組織、当該監査業務の内容等により異なることから、すべての監査事務所において画一的な不正リスクに対応した品質管理のシステムの方針と手続が求められているものではない」ということを書かせていただいております。

そこで、ここのところでポイントとなりますのは、特にマル3マル4でございます。マル3のほうは、不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断された場合の審査でございます。ここのところは、「不正による重要な虚偽の表示の疑義があると判断された場合には、通常の審査担当者による審査に比べて、監査事務所としてより慎重な審査が行われる必要がある。このため、当該疑義に対応する十分かつ適切な経験や職位等の資格を有する審査の担当者(適格者で構成される会議体を含む)を監査事務所として選任することを、審査に関する方針及び手続に定めなければならない」というふうにさせていただいております。

ここで、「監査事務所としての審査」というふうな言い方をさせていただいておりますが、その内容は、おそらく監査事務所によって異なってくるかと存じますが、例えば、大規模監査事務所の場合には監査事務所本部における審査、それから、小規模事務所の場合には社員全員による社員会における審査などがこれに該当するのではないかというふうに考えておりますけれども、いずれにしても、その事務所のそれぞれの方針によって定まってくるものであるというふうに考えております。

それから、マル4の監査事務所間の引継でございますが、この点は今回の検討でも重要な項目であったかと存じますけれども、「監査事務所交代時において、前任監査事務所は、後任の監査事務所に対して、不正リスクへの対応状況を含め、企業との間の重要な意見の相違等の監査上の重要な事項を伝達するとともに、後任監査事務所から要請のあったそれらに関連する監査調書の閲覧に応じるように、引継に関する方針と手続に定めなければならない」というふうにさせていただいております。

また、それに対応いたしまして、「後任監査事務所は、前任監査事務所に対して、監査事務所の交代理由のほか、不正リスクへの対応状況、企業との間の重要な意見の相違等の監査上の重要な事項について質問するよう定めなければならない」とさせていただいております。

これが監査事務所間の引継でございますが、マル5は、監査事務所内において、ある特定の企業の監査業務を担当する監査実施の責任者が全員交代されるような場合、監査実施の責任者が1人である場合でその方が交代される場合も同じでございますけれども、そういう場合には、監査事務所内ではございますけれども、監査上の重要な事項が適切に伝達されなければならないというふうにさせていただいております。

以上が新しい基準に関する内容でございまして、三番は現行の監査基準の一部の改訂でございます。

2カ所考えてございます。1つ目は審査ということでございまして、これは前回の部会でご議論をいただいたところでございます。9ページ目の下から4行目あたりでございますけれども、「公認会計士の行う監査業務が多様化する中で、特定の目的のために監査が義務づけられ、社会的影響も小さく、監査報告の利用者も限定されているようなものの中には、上場会社に対して行っている監査と同様の審査を求める必要はないものもあるのではないか」というご指摘がございました。

そういうようなご指摘も踏まえまして、10ページ目の3行目でございますけれども、「品質管理の方針及び手続において、意見が適切に形成されていることを確認できる審査に代わる他の方法が定められている場合には、審査を受けないことができる」ということを現行の監査基準に書き加えさせていただきたいと考えております。なお、審査にかわる他の方法については、日本公認会計士協会の実務指針において定められるものと考えております。

それから、2番目は監査役等との連携でございます。これは、不正リスク対応基準のほうにも書かせていただいておりますけれども、不正がないような場合におきましても、監査人と監査役等との連携は重要なマターであると考えられますことから、現行の監査基準にもこの点を明記させていただきたいというふうに考えております。

それから、実施時期でございますけれども、「不正リスク対応基準及び改訂監査基準は、平成26年3月決算に係る財務諸表の監査から実施する」というふうにさせていただきたいと考えております。ただ、不正リスク対応基準中、不正リスクに対応した監査事務所の品質管理につきましては、これは各監査事務所においてそれぞれの手続の見直しをしていただかなければならないため少し時間がかかると考えておりますので、平成25年10月1日からの実施というふうにさせていただいております。

それから、その下でございますが、「関係法令において、所要の規定の整備を行う必要がある」。それから、2番目のところでございますけれども、「不正リスク対応基準及び改訂監査基準を実務に適用するに当たって必要となる実務の指針については、日本公認会計士協会において、関係者とも協議の上、適切な手続の下で、早急に作成されることが要請される」というふうにさせていただいております。

私からは以上でございます。

○脇田部会長

ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明に基づきまして、皆様から基準(案)についてご質問、ご意見を伺ってまいりたいと思います。どなたからでも結構でございますので、どうぞ挙手をいただければと存じますが、いかがでございましょうか。八木委員、どうぞ。

○八木委員

ありがとうございます。私自身は、この部会が始まったときに、この不正リスク対応基準ということで自分が注目しておりましたのは、1つは職業的懐疑心のシフトアップということ、そして2点目が監査役との連携をいかにとるかということ、3点目が監査意見の多様性ということがこれから必要なのではないかということで、ここがどう変わるのかという視点で見てきました。懐疑心のシフトアップについては、運用を強化するという対応ではファジー過ぎますので、今回提案された基準は、このことがきちっと仕組みの中に入っているのではないかということで、大分ブラッシュアップされてよくなったなという印象をまず受けました。

それから、2番目の監査役との連携でございますけれども、ここにも記載がございますが、やはりオリンパスの事例の反省を踏まえると、もう少し具体的に、監査役として不正の疑いがあったときにどういう形で動くつもりなのか、不正の疑いを解明するためにどのような協力体制がとれるのかというようなことも両者できちっと協議するという手続きを明確にすることで、監査としての漏れのないフォローアップができるのではないかというふうに思います。

それから、3点目の意見表明の多様性の問題ですが、これはなかなか難しいというふうに思っております。現在はレッドカードしか持っていない会計監査人にイエローカードを持たしてもいいのではないかと思っていたのですけれども、やはりいきなりのイエローカードというのも、結果的には出せないのだろうと、いろんなリスクがありますので。

そうしますと、今回、不正の疑いがあると判断された場合には監査調書への記載ということが明確に書かれましたので、私流に考えますと、これは“非開示のイエローカード”だなというふうに思っております。これであれば、かなり監査法人の方は書きやすいだろうと考えます。

オリンパスの事例では、監査人のレポートに対して実質的な対応をしなかった監査役の責任が問われております。ただ、オリンパスの事例の場合にはこの情報が最後まで非開示だったということで、結局、投資家が損をしたということになりました。これについては、一旦“非開示のイエローカード”を出した後、それに対して経営側から合理的な説明とか、誠実な対応が一定の時間をかけてもないということであれば、やはり開示する方向に、持っていくべきだろうと考えます。非開示ということになると投資家の方は嫌がるかもしれませんけれども、このプロセスは、現実問題としては必要と思います。もちろん、ほんとうに疑義があった場合には不適切などの監査表明をすべきですが、若干疑わしいというときには、この“非開示のイエローカード”というのは有効ではないかというふうに私は考えます。

それから、こういったことをやりますと、やはり時間切れということが出てまいりますので、これについては調査期間制度を充実させるということも必要だろうと思います。当然、この期間に入るということは事業法人にとっては大変なリスクになりますから、普通の会社であれば、誠実に対応してきちっと納得のいく説明がされるのだろうということで、ある意味でこれが企業に対する抑止力になるのではないかというふうに思っています。

それから、品質体制ですけれども、これについては、前々回、提出したコメントの中で監査法人の格付という言い方をしましたけれども、いわゆるC格といいますか、中小の場合には、社員会で、ほんとうに重要な不正があったときに対応できるだけの実力があるかどうかという懸念があります。対応方法は2つで、協会も含めて何かあればバックアップをするのかというのが1つの方法ですし、もう一つは、逆に実力のない監査法人は公開企業・金商法対象の監査はできないとするかです。私は後者のほうがいいと思います。本基準を活かすためには、そこまでやるべきではないかなというふうに思っています。

本基準が導入されましたら、不適格な監査法人は金商法監査からは撤退するということになってくるのだろうと思いますし、結果として問題企業は公開市場からは退出せざるを得ないという形にして、公開市場の品質、財務諸表の品質を上げていくということが重要だと考えます。その意味では、ここには書いてありませんけれども、協会には上場会社の監査資格制度、これにつきまして、やはり厳格な運用をここで改めてお願いしたいというふうに考えております。

以上です。

○脇田部会長

ありがとうございました。引き続きましてご意見を。荻原委員、どうぞ。

○荻原委員

ありがとうございます。非常にこの公開草案は、私はすばらしいと思っておりまして、最初、監査が過度になる心配があるということがありましたけれども、そこがしっかりと区別されているという点、それからもう一つ、経営者にとっても、不正追及ということで、これが非常に戒めになっているという点、あともう一つは、不正ありと判断した場合に、会計士の先生方に対して不正に対する対応モードを後押しするという意味において、この3つにおいて非常にこの基準というものはすぐれているなというふうに思っておりますので、特にご指摘するようなことはございません。

以上でございます。

○脇田部会長

ありがとうございました。引き続きまして、どうぞご発言いただきたいと思います。引頭委員、どうぞ。

○引頭委員

ありがとうございます。今回の基準は、まだ残された問題、具体的には監査人間の連携であるとか、監査報告書の書きぶりなどがあり、こうしたものはまた議論が続くということだと思いますけれども、9月と比べまして、かなりブラッシュアップされて有意なものになったかと存じます。

質問が1点だけございます。9ページ目のマル4の監査事務所間の引継ぎですが、今回のオリンパスのケースでも引き継ぎの問題は大きな問題の一つでした。これに関しまして、「監査意見の形成にかかわらず」ということで良いのでしょうか。従来は、一般的には、監査意見の形成にかかわる部分については引き継ぎの対象ではないというふうに理解されていたように思いますが、今回の基準においては、そうしたことにもかかわらず引き継ぎが行われるといった理解でよろしいのでしょうか。

○脇田部会長

お願いします。

○栗田企業開示課長

今回の新しい監査基準におきましては、そういう制約なしに監査調書の閲覧に応じていただくというふうに考えております。なお、ご指摘になったところは、公認会計士協会の「監査基準委員会報告書900」に記載があるところでございますけれども、その点については、必要があれば公認会計士協会のほうで見直しをしていただきたいというふうに考えております。

○脇田部会長

よろしゅうございますか。

それでは、引き続きまして、どうぞご発言ください。井上委員、どうぞ。

○井上委員

ありがとうございます。以前この部会で提出されました考え方(案)につきましては、不正の疑いのない企業にまで監査の効率性が失われてしまうのでないかという懸念が多くの企業から寄せられていたところでありました。今回、きょうご提示いただきました公開草案では、このような懸念を払拭するような記載が、特に3ページのあたりに明記をされております。また、チェック・リスト化するのではないかという懸念もありました付録2につきましても、その取り扱いとか内容が修正をされているところでございます。

このような修正によりまして、今回のこの基準で、最終的に不正による重要な虚偽の表示の疑義として取り扱われるケースというのは、経営者でも合理的な説明がつかないような、相当黒に近いものに限定されて、内部統制が整備されている通常の企業にとりましては、その監査工数が著しく増大するというようなことはないというふうに理解をしております。

ということで、今回の公開草案に至るまでの取りまとめに対する事務局の労を多としたいと考えております。経団連といたしましては、公開草案がパブリック・コメントに付された段階で、また適切に対応してまいりたいと存じます。

また、本基準と一体として適用されることになります日本公認会計士協会の実務指針につきましても、その整備に当たりましては、産業界の現場の意見をよく踏まえながら進めていただきたくお願いをいたします。

以上でございます。

○脇田部会長

ありがとうございました。どうぞ、引き続いてご発言をいただきたいと思います。町田委員、どうぞ。

○町田委員

本日の審議の中心課題は不正リスク対応基準の方だと思うのですが、それ以外のことで、1点だけ、学者の立場から意見を申しあげたいことがあります。それは、本日の資料1の9ページのところにある審査のところです。

今回、監査基準本体の改訂として、監査の様態に応じて審査を受けなくてもいいような、これまでこの部会ではなぜか幼稚園監査の話がさんざん出てきましたけれども、そういった場合においては審査に代わるものであっても構わないというような修正が入れられているわけですが、もしもこれを入れるとなると、席上備置の資料に品質管理基準が入っていますが、この品質管理基準というのは監査基準と一体となって適用されるわけですが、品質管理基準の4ページのところの4番では監査業務に係る審査、さらに3番の3のところでは審査の担当者との協議が一致しない限り意見は出せないという、こういった規定がありますので、ここをどうするのか、ここも修正する必要があるのかという議論になってくるのではないかと思います。

もしも親基準である監査基準の方でこういった多様性を認めているのであるから、品質管理基準のほうは修正しなくても良いのだというふうに理解するんだとすると、これからは、いろいろな監査の様態に応じてこの監査基準は適用されていますので、ここは幼稚園監査では必要ないんじゃないか、ここは何とか監査では必要ないんじゃないかといった形で、さまざまな監査の多様性を監査基準本体の修正で対応していかなきゃいけないことになってしまうのではないか、という危惧を持ちます。

私は、監査基準本体は、原則を示すものとして、監査とは本来こういうものなんだというものを述べておいて、あとは実務指針なり、あるいはさまざまな監査を求めている行政上の規則のほうでバリエーションを認めるという形にすれば良いのではないか、と思っておりまして、監査基準本体は、あくまでも原則主義的に純化したものとすべきではないかと考えます。

そのような意味で、私はこの監査基準本体の改訂は必要ないのではないかと思うのです。

あともう一つ、ちょっと気になった点ですが、本文中にSPCとかITという言葉がむき出しのまま出てきていますけれども、一体どこまでそういった略語をこの基準上認めることにしたのか、ちょっと気になりましたので、その点についても教えていただければと思います。

○脇田部会長

ありがとうございました。そのSPC、ITの言葉を含めて課長から説明していただけますか。

○栗田企業開示課長

SPC、ITという言葉は、前文、付録にはあるかと思いますけれども、基準上は外しております。どこまで横文字を使っていいのか悪いのかということについて、法律ではないので明確な基準があるわけではないのですけれども、ここは、必要があれば日本語に置きかえるなり、ちょっと考えさせていただきたいと思います。

○脇田部会長

それから、今、審査の点について、これを本基準に入れるのは適当ではないのではないかというご発言がありました。この審査をめぐっては、平成3年の改訂基準のときに初めて審査機構という言葉で入ったのですが、このときは、特に公認会計士協会からの要請で、いろいろな場合が想定されるので審査という言葉だけ残すという方向で定められたわけです。

これまでのいろいろな事例を見ていきましても、必ずしも審査が適切に運営されていなかったと思います。ですから、この点について、今、町田委員の危惧される点も十分理解できますし、それからもう一つは、監査基準の体系の上からのご指摘も、そのとおりの面もあるかと思いますけれども、しかし、これは審査の実務を緩和しているのではなくて、逆に言えば、審査もしくはそれに準ずる仕組みの実施をより明確に示すという意味でこの文章がつけ加えられたと理解しております。

先ほど申しましたように、平成3年以来審査ということが行われてきたはずなのですけれども、幾つかの不適切な例が見られた、これは事実でございますので、今後、先ほど課長から説明がありましたように、日本公認会計士協会で実務指針をつくられる場合に、その点を十分に意識し、そして審査規定の趣旨を踏まえていただきたい。あくまでも「意見が適切に形成されていることを確認できる審査に代わる方法」と規定しているのですから、それは単に簡易なものにするということを規定しているものではないと理解しております。

よろしいでしょうか。

○町田委員

ご趣旨はわかりましたけれども、やはり私の意見としましては、こうした改訂であれば、協会の実務指針のほうに委ねてさまざまな監査の様態ごとの実務指針の方で対応していただくということで十分なのではないか、と思います。他の委員の方はどうお考えになるのかわかりませんが、意見として申し上げます。

○脇田部会長

引き続きまして、どうぞご意見がございましたらご発言ください。

宮本委員、どうぞ。

○宮本委員

ありがとうございます。日本監査役協会の宮本でございます。

本来は6回の議論の中でお話を申しあげるべきだったと思いますが、新基準として改めて全体を読んで検討してみました結果、確認を含めまして3点ほど、お話をさせていただきたいと思います。

第1点目が、資料1の14ページ、項目17の監査役等との連携、あるいは項目18との関連でございますが、経営者とのコミュニケーションがあることは実務指針では明らかですが、この基準ではそのような書きぶりになっていないものですから、監査役等との連携の前に経営者とのコミュニケーションという項目を入れていただくことをご検討願います。これが1点目でございます。

それから2点目は、同じく14ページの項目17、18における「協議」という言葉でございます。確認をお願いしたいと思います。

原案(ISA 240)で協議というその部分は、ディスカス、あるいはディスカス・ウイズとなっておりますが、新基準で言っている協議とは、最終的な一つの結論をそれぞれ出していくということよりも、議論をする、意見交換をする、こういった趣旨で理解をしてよいかどうか、この点について念のための確認をお願い申し上げたいと思います。

それから3番目、これは大変に細かいことでございますけれども、同じ14ページの項目18、経営者の関与が疑われる不正への対応という項目の2行目でございます。協議するためには報告をいただかなければならないということは当たり前の話ですが、その上の17番との書きぶりの平仄を合わせることも含めまして、2行目の「監査役等と協議の上」という部分を、例えば、「監査役等に報告、協議の上」というふうに平仄を合わせるようご検討をいただければと思います。

以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○脇田部会長

この点についてどうしましょうか。課長から説明を。

○栗田企業開示課長

まず1点目の経営者とのコミュニケーションという話でございますけれども、監査役と経営者とは、やはり位置づけが大きく異なっていると考えておりまして、特に不正ということになりますと、経営者は多くの場合それをするほうに回っていることが多いと思われますので、その方と監査人がコミュニケートするというのは、ちょっとこの新しい基準(案)にはなかなかそぐわないのかなというふうには考えておりますが、例えば、資料1の11ページに第二の2というのがございまして、不正リスクに関連する質問ということの後段でございますけれども、「監査人は、経営者に対して、当該企業において想定される不正の要因、態様及び不正への対応策等に関する経営者の考え方を質問し、リスク評価に反映しなければならない」というふうにさせていただいております。これは、あくまでリスク評価をするために聞くということではございますけれども、その中で、要するに経営者がどういうお考えなのかということについては、当然コミュニケーションがなされるものであるというふうに考えております。

それから、2番目の14ページの17番、18番に出てきます「協議」ということは、何か特定の結論を出すことを求めるものではなくて、委員がおっしゃるように、意見交換という趣旨に理解していただければいいのかなというふうに考えております。

それから、3番目にご指摘のありました18のところに「報告」という言葉を入れるということでございますけれども、今お話がありましたように、当然、協議の前提として報告は入っているわけでございますけれども、より明確化するという観点から、18の2行目のところでございますが、「監査役等に報告し、協議の上」というぐらいの案文で修正を検討させていただきたいと思います。

○脇田部会長

今、課長からお話がございましたように、事実上、ここの項目を見ますと、経営者単独というわけではありませんけれども、経営者に対していろいろと質問したり、説明を求めたりする事項がございます。その中でのコミュニケーションが図られていくのだろうというふうに思っておりますが、いかがでございましょうか。

よろしゅうございましょうか。

○宮本委員

ありがとうございます。

○脇田部会長

どうぞ、ご発言ください。

○林田委員

ありがとうございます。全体の感想で言いますと、不正発見の精度を高めると期待できる内容がいろいろ盛り込まれ、よかったと考えています。

こちらで議論になった監査人等との連携の問題とか、その他重要な論点が継続審議の形になったということですので、これから鋭意検討しなきゃと。とりわけ監査法人間の連携については、一般の方々の期待が強いと思っておりますので、公認会計士協会も含めて、実務家の方々から具体的なご提案をいただきながら検討が進められたらなと思っています。

それから、資料2-1の流れ図で、大きな変更というご説明がありました。もともと「明確に白でなければ次へ進む」というところが、「十分かつ適切な監査証拠を入手したか否かによって」という変更、これはかなり大きな変更だと思います。

ご説明にもありましたように、明確に白と断定する証拠を見つけるのは難しいと思いますので現実的な対応とは思いますけれども、この点に関して、この審議会でもあまり突っ込んだ意見交換がなかったかと思いまして、その辺、専門家の方々のご意見をもう少しお伺いできたらよかったなという感想を持っています。

それから、この草案の3ページ目に代表されるように、いろいろと皆さんから出たご懸念に沿って、過重な監査手続を求めるものではないということは強調されております。議論を踏まえた結果だと思うのですが、何か過重な監査手続を求めないということばかりが強調されて受け取られると、これまでとあまり変わらないのかと一般の方にとられてしまうおそれもなきにしもあらずだと思います。これまでちゃんとやっていた監査法人は問題ないけれども、逆に、ちゃんとやっていなかったところはこれから厳しい責任を問われるというところを、広報等も含めて十分に説明していくべきと思います。

以上です。

○脇田部会長

ありがとうございました。これからの作業、もしくは実務指針等々において検討もされていくかと期待しております。

続きまして、どうぞご発言を。関根委員。

○関根委員

ありがとうございます。9月の部会で提示されました考え方(案)につきまして、日本公認会計士協会会長からの意見書を10月のこの部会で提出させていただきました関係で、既に、幾つかお話もございましたけれども、今回提示された基準(案)についての私どもの理解を少し確認させていただければと思っています。

意見書にも記載させていただきましたように、また今までの話でも少し触れられていましたように、私どもは、考え方(案)の記載について、改訂の意図よりもより過重な実務を招く懸念を持っていました。

例えば、先ほど説明がございましたように、考え方(案)では、付録2に記載された不正による重要な虚偽表示を示す状況が識別された場合は、適宜不正の端緒に該当するか否かを確かめるための監査手続の実施が義務づけられ、かつ、財務諸表に重要な影響を及ぼす不正の端緒ではないと結論づけるに足る十分かつ適切な証拠が入手できない限り、不正の端緒とみなすこととされていました。加えて、不正の端緒として扱う場合は、不正の端緒の内容を徹底調査し、さらなる追加手続の実施を義務づけている、というようなふうに、理解していました。しかしながら、実際には、付録2で例示されている事象には、単独で識別された場合には、直ちには不正にはつながらない場合が多い事象も含まれていました。そのため、全ての監査業務において不正の端緒を示す状況が識別される可能性が生じ、実態としては不正リスクの高くない監査業務を含め監査手続の増加に結びつく懸念があるということで意見書を出させていただきました。

これは、特に決算日近くに例示事象を発見した場合には、監査報告書の提出時期にも影響を及ぼすことになり、実務上さまざまな問題が出るのではないかというふうに懸念されました。

しかしながら、本日ご提示された基準(案)においては、付録2に例示されているような不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を識別した場合には、不正による重要な虚偽の表示の疑義が存在していないかどうかを判断するために、経営者に質問し説明を求めるとともに、追加的な手続を実施しなければならないという記載になっております。また、付録2の例示についても、ご説明がありましたように、一定の絞りがかけられたものとなっています。

したがって、基準(案)においては、考え方(案)において私どもが懸念したような過重な手続となる可能性は薄まり、監査の過程で付録2に例示されている事象が識別された場合には、経営者に説明を求め、一定の手続を行うことを求めるとなっております。この点は、現在の実務指針等には明確には記載していないところですので、あらたな規定として明記されたということかと思っております。ただ、これは現在でも行っているという実務もあり、また、あくまで職業的懐疑心を発揮して監査人の判断に基づき手続を実施することを求めるものであるというふうに理解しております。

また、同じく意見書で懸念を述べさせていただきました監査事務所の品質管理につきましても、先ほどご説明がございましたけれども、基準書の前文において、現在各事務所で行っている品質管理のシステムに加えて、新たな品質管理のシステムをつくるというのではなくて、それぞれにあわせて、不正リスクに対応する観点から、特に留意すべき点を明記したものとされていますので、この点についても、私どもが懸念した点は払拭されたと思います。

その他細かい点も含め、当初の考え方(案)は、監査人の判断の幅が狭く、結果として押し並べて重い負担になると読める懸念があり、そういったことから、そのままでは受け入れは困難ではないかと懸念して意見書を提出させていただきましたが、今回提示された基準(案)では、意見書に記載した懸念事項の重要な部分がほとんど解消されているのではないかというふうに考えております。

また、先ほどのご意見にもありましたように、基準書に記載されていることは、日本公認会計士協会で作成している監査の実務指針に既に記載されていたり、実務で実際に行っている部分も多いのではないかと理解しています。しかしながら、基準(案)に記載することにより、先ほど申しました付録2の取り扱いとあわせて、不正による重要な虚偽表示のリスクに対応した監査手続を明確化することとしており、また、一定の場合は監査手続をより慎重に実施することを求めるものとなっていると理解しています。そうした観点から、金商法に基づく開示企業、主に上場企業だと思いますけれども、その監査において基準を設けることにしたものと思っており、実務においても、こういったことを明確にしたことにより実務の適用というのをきちんと行えるようなものにしていくものというふうに理解をしております。

私のほうからは以上でございます。

○脇田部会長

ありがとうございました。課長からご発言はありませんか。よろしいですか。

引き続きまして、どうぞご発言ください。八田委員、どうぞ。

○八田委員

どうもありがとうございます。2つほどお尋ねしたいと思います。まず1番目が、そもそも今回のこの監査における不正リスク対応基準というものが正式に設定された暁には、これは、いわゆる我が国における一般に公正妥当と認められる監査の基準の中の、どういう立ち位置というか、位置づけになるものなのでしょうか。

つまり本体としての監査基準が既にある。そして、そこに並列するのか、その品質管理に関する部分だけを抜き出した横基準として品質管理基準がある。今回は、本体の監査基準の中での職業的懐疑心に関することも出てくるし、品質管理に関することも出てくる。したがって、でき上がってくるものはどういう位置づけにあるのか、少なくとも公認会計士協会の実務指針よりは上位の概念だとは思うのですが、並列なのかどうなのか、これを後で伺いたいというのが1点であります。

それから2つ目は、私の感想ですけれども、今回、これは非常に、ある面では読みやすいといいますか、わかりやすい公開草案になっているということで、関係者のご努力に対しては大変敬意を表するものであります。少なくとも「不正の端緒」という言葉がなくなったことだけでも、私は高い評価をしているものであります。

実際にこれを読んでいったときに、やはり企業関係者の方が、監査人じゃない方がお読みになって、そのときに疑義を生じさせるような文言があるというのはあまり望ましくないと思いますので、私は、今回ご提示のものは非常にいいと思います。

ただ、必ず議論になってくるのは、監査が過重になるんじゃないかどうかと。こういった議論はおかしい話でありまして、監査人が最終的に納得いく監査証拠を入手するために、やるべきことは絶対やらなきゃいけないし、やる必要のないことはやる必要がないわけです。そしてそれも、重要性、場合によっては経済性の効率化を図りながらやらなきゃいけないわけであって、前回の部会のときもお話し申し上げましたが、ある程度監査報酬の設定が画一的になされていること、個別企業の段階ですけれども、これが改正されない限り実際の運用面で機能しないのではないかという気がします。

仮に大会社であって、そして支店数がかなりあって、これまでは何億円という監査報酬を支払っているところにしても、ほんとうにいい内部統制と善良な経営者と品質的に落ち度がないようなところであるならばどんどんコストカットされてもいいと思うんですね。ところが、そういうところは財務的にも基盤が強いので、監査人サイドとしてはもらえるところからもらっておこうという考えがあるのかもしれない。ただ、新規上場、あるいは中小であっても、やはりリスクの高いところには徹底的にやるんだと、こういうめり張りをつけた監査を実践すること、これは形式ではなくて実態の部分なので、今般の基準を契機に、ぜひ実際面ではそうしていただきたいということを希望しておきたいと思います。

最後ですけれども、これも質問なのですが、公開草案の段階では私はどちらでもいいと思っているのですが、今回のリスク対応に関する監査の議論が始まった一番のきっかけは海外からの不信感にあったということです。したがって、日本が、金融庁はまさに本気で監査に対する対応をしているのだということを明示するためにも、できればこれを海外に発信していただきたい、つまり英語で、公開草案であっても、当然ながら最終版は英語で発信していただきたいと思うのですけれども。

なぜならば、海外で日本企業に関係する人、あるいは関連会社で働く監査人の方がおられますので、外から見るとこれはちょっとおかしいんじゃないかという視点が出るのかもしれない、そんなことがありますので、せっかくここまで時間をかけて、エネルギーを費やしてされているわけですから、ぜひ海外対応ということで、金融庁としても自信を持ってこれを海外に発信していただきたいと思いますので、それが可能なのかどうか。

以上、2点伺いたいと思います。

○脇田部会長

ありがとうございました。今、2点ご質問がありましたけれども。

○栗田企業開示課長

まず1点目でございますけれども、現在は監査基準と品質管理基準が並列のものとして存在しているというふうに認識しておりまして、今回の不正リスク対応基準というのは、まさにご指摘がありましたように、監査基準のほうの要素もありますし品質管理基準の要素もあるということで、監査論から言うとどうなのか、ちょっと自信はないのですけれども、逆に法律的な考え方で言うと、今回の基準というのは、この監査基準と品質管理基準の一種の特則であると、要するに公開会社に関する監査における特則を設けたものという位置づけで考えております。

それから、もう一つのご指摘の海外発信の点でございますが、この点について、今、全文を訳せるかどうかわかりませんけれども、少なくとも要旨をきちんと訳す程度のことはさせていただきたいと考えております。できれば全文も訳したいというふうに考えております。

○脇田部会長

八田委員、よろしゅうございますか。

では、海外発信についても努力をしていただきたいと思います。

続きまして、どうぞご発言いただきたいと思います。どうぞ、後藤委員。

○後藤委員

今回の基準(案)ですが、監査の実効性を高めるという高い目標のもとに、かつ実務で実際に動くように、不正リスクの対応基準につきましては、重要な虚偽の表示の原因となる不正についてのみ扱うとか、不正摘発自体を意図するものでないとか、正当な注意を払って監査を行う場合には基本的には監査人は責任を問われることはないとか、一定程度、実効可能性を持たせてつくられた案だと思いますし、資料2-1に対してのフローについてもかなりわかりやすく整理されたと思っていますので、こちらについては高く評価したいと思っております。

それで、1つだけ、実施時期のところなのですが、10ページに記載されていますとおり、「不正リスク対応基準及び改訂監査基準は、平成26年3月決算に係る財務諸表の監査から実施する」とのことなのですが、平成26年3月決算ということになりますと、平成25年4月1日から開始されるかと思うのですが、既に平成24年は終わろうとしています。今、基準というかたちで大枠のところは、パブリック・コメントをして通ればでき上がると思うのですが、実際、実務にどう落とすか、基準のもと各監査法人がどういう手続をするかというのを考えるのには、それなりにまた時間も必要なのかなと思います。来年に入ってからの3カ月程度で、監査をすぐに実行できるのかどうかといったところについてご見解を栗田課長もしくは日本公認会計士協会の方にお聞きできればと思います。

○脇田部会長

ありがとうございました。いかがでしょうか。

○栗田企業開示課長

平成26年3月決算に係る財務諸表の監査から実施するということですので、おそらくこの新しい基準がほんとうに一番きいてくるのは平成26年の4月とか5月とかいう局面ではないかというふうに考えておりますが、平成26年3月決算ということは平成25年4月1日から始まるということで、実際問題としては、一番早く出てくるのは監査計画の策定の話だと思います。春の終わりか初夏ぐらいには多くの企業で監査計画の策定ということになりますので、そのディメンションでまず少しきいてくる場面があるかと思います。そういう意味では、確かに準備期間がちょっと短いわけではございますけれども、まだ監査計画の段階なので何とかいけるかなと思っておりまして、これをさらに1年延ばすとなると、せっかくつくったのに1年間古い基準でやるというのもどうかと思われるので、ちょっとしんどいところはあるかもしれませんけれども、できればこれでいかせていただきたいというふうに考えております。

○脇田部会長

逆瀬委員、どうぞ。

○逆瀬委員

本公開草案が成案となって、実施されるときに、私ども作成者発行体の立場からすれば、今や連結が主体の財務諸表に切り替わって久しいわけであって、連結ベースで捉えないと機能はしないと思います。

本公開草案の議論においては、連結に強くフォーカスを当てて検討したものではないのだけれども、これが来年度決算監査から適用ということですから、そうそう時間も与えられてはおりません。連結においてこれを読みこなせばどういうことになるかというのは、実務指針のほうでも反映されるべき事項であるとも思います。その辺のところを作成者発行体は懸念をしているということでございます。

付録2の読み方にしても、単体として読むのと連結として読むのとでは、また意味合いが変わってくるということがございますので、この辺を読み解いていく作業が必要と思っております。

そこで質問ですが、JICPAにおいて早急に手当てすべきとされている実務指針についてです。親会社単体、それから関係会社の監査も頭に入れるということになりますので、監査計画策定時までに新ルールに対応した実務指針ができないと実務が混乱する懸念があります。早急にという意味を具体的に教えていただければ大変にありがたいのでございます。

以上です。

○脇田部会長

ありがとうございました。

住田委員、ご発言ありますか。指名して失礼ですけれども。

○住田委員

日本公認会計士協会の実務指針の改正のスケジュールについては、これまでも部会の進行と同時並行的にある程度の改正作業は進めさせていただいておりますが、この基準(案)の公開草案が公表された後、来年2月か3月ぐらいには公認会計士協会から実務指針の改正の公開草案を公表できるのではないかと考えています。

最終版の公表がいつになるかという点については、3月決算監査の繁忙期を挟んでしまいますので、少し時間があくかもしれませんが、おっしゃっていただいているように新年度の監査計画の策定の時期までには間に合わせたいと考えております。

○脇田部会長

どうぞ、逆瀬委員。

○逆瀬委員

ぜひ早めに、それが合理的な監査につながると思いますので、よろしくお願いいたします。

○脇田部会長

住田委員、ありがとうございました。どうぞ。

○住田委員

適用対象については、前文の4ページ目に、この新しい基準は広範囲な利用者が存在する金商法に基づいて開示を行っている企業に対する監査に適用することを念頭に置いてつくっているということが記載されています。

金商法の監査が求められておりますのは上場企業のほかに非上場の会社もありまして、現在、この非上場の会社は約500社程度あると聞いております。この500社程度のうちの半分は、金商法ではなく公認会計士法上の定義になりますが、公認会計士法上の大会社の範囲には入らないということです。公認会計士法上の大会社は監査人の独立性を強化するという観点から設けられているものですが、2007年の監査責任者のローテーション・ルールを導入した際に、公認会計士法上の大会社の範囲の見直しも行われ、従来ですと金商法監査対象会社が全て公認会計士法上の大会社に入っていたわけですけれども、一定規模未満のものを除くという見直しが行われています。

この一定規模未満の範囲というのは、現行では、負債総額が200億円未満で、かつ資本金5億円未満かあるいは売上高が10億円未満と決められておりまして、この規定ぶりからも、大半が会社法の監査の対象でもないというような企業でございます。

この2007年の公認会計士法上の大会社の範囲の見直しが行われたときに、なぜこの一定規模未満の会社を除いたかという説明を金融庁のほうからされていますが、会社法の監査の適用対象でもなく、債権者等の利害関係の状況も簡素であると考えられることというのが理由の一つとして掲げられていたと理解しております。

したがって、今般、この新基準の適用対象を広範な利用者が存在する企業の監査の場合という想定を置いておられるということなので、この公認会計士法上の大会社等に該当しない金商法監査の適用会社に対しても、一律上場会社と同じように適用対象とするかどうかということはぜひ検討をいただきたいと考えているところです。

以上です。

○脇田部会長

ただいま指摘されました点について、ご発言はございますでしょうか。

ただいま新基準の適用対象について、適用することの意味が乏しい企業についてのご指摘がございましたけれども、課長から補足をお願いします。

○栗田企業開示課長

今ご指摘がありました点ですけれども、公開会社ではあるのだけれども、非上場で規模も小さい企業があるということで、確かに、ご指摘のように、そういう企業は公認会計士法上の大会社からは除かれておるということでございまして、その実態は、おそらく多いのはゴルフ場と、あとは、例えば地方の新聞社とか放送局のように、初期に設備投資をするために社債なり、株なりの公募をしたのだけれども、その後、大きな変化がなくてずうっと企業規模は変わらないということで、世の中の流れから言うと、相対的に企業規模は小さくなってきているけれども開示義務は残っているような企業が多いんだというふうに認識しております。

そういう意味では、これはまさに八田先生のご指摘もありましたけれども、もともと日本市場の信頼性の問題が原点にあったということですので、そういう企業の監査にまでこの不正リスク対応基準の適用を求める必要は、おっしゃるように、あまり大きくはないのかなと言われればそのとおりだと思います。もしここでご異存が特になければその方向で、最終的には、先ほど申しましたように監査証明府令で規定をいたしますけれども、必要であれば、今回の公開草案の文言上も、そういうことを何らか書き加えるということを考えたいと思います。

○脇田部会長

今、実態につきましては課長からご説明したとおりでございます。この適用範囲は関係法令において明確化されますが、ご指摘の趣旨を踏まえる方向で作業をしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

○脇田部会長

では、ご異論はないようでございますのでよろしくお願いします。

引き続きまして、布施委員、どうぞ。

○布施委員

私からは、不正リスク対応基準の内容そのものについてのコメントではないのですけれども、7月25日の監査部会で配付された主な検討項目(案)の中で、(8)関連して検討が必要と指摘された事項の中に、上場廃止ルールのあり方(不適正意見や意見不表明の取り扱い)というのが記載されています。

これには、開示書類の提出遅延も含まれるのかもしれませんが、不正リスク対応基準が適用されると、こういったものも含めて何らかの影響があるのではという配慮から、ここに検討項目(案)として記載されたのだとは思うのですけれども、今後この点について何らかの検討予定はあるのでしょうか。

○脇田部会長

この点は、課長から説明をお願いします。

○栗田企業開示課長

まさにその点につきましては、この監査部会でも早い時期にご指摘をいただいた論点だというふうに認識しておりまして、現在、東京証券取引所のほうでその点についてご議論をいただいているところだというふうに認識しております。まだ結論が出るに至っていないということですので、ここでは特にメンションはしておりませんし、直接基準に反映する話でもありませんのでここには載せておりませんけれども、東京証券取引所さんのほうでのご検討が何らかめどが立てば、それは何らかの形でこの場でもご報告をさせていただきたいというふうに考えております。

○脇田部会長

布施委員のご指摘の点は、この審議が始まりました最初の時期に大きく取り上げられていましたので、今、事務局で対応がなされているということでございます。

引き続きまして、どうぞご発言を。吉見委員、どうぞ。

○吉見委員

ありがとうございます。今般、このような形で公開草案に監査における不正リスク対応基準がまとめられまして、その内容につきましては、大変事務局のご努力もあって、適切なまとめ方をしているとまず考えているところでございます。

全体としましては、現行の監査基準の考え方から大きく変化する、あるいは踏み出すといったものではなく、むしろ現行の考え方について、不正リスクについてのものをまとめて、あるいは強調しているということと私自身は理解をしているところでございます。

しかしながら、この不正リスクにフォーカスした、焦点を当てた基準を策定するということは、現行の環境の中で、監査人及び経営者に対するアピールになり、あるいは警鐘になるという点で非常に大きな意義があると考えておりますし、また、社会一般に対する表明といいましょうか、大きく言えば、我が国のこの不正問題に対する監査の立場からの対応を表明したということで、大きな意義があるものと考えるわけであります。

現行の基準から踏み出すものではないと申しましたけれども、しかしながら、この案の中では、職業的懐疑心の強調が特になされていることや、あるいは監査調書に、不正のリスクについての記載をするということが明示されている点などは特に評価すべきポイントではないかなと考えているところであります。

全体として、そういう意味では、この基準でよいのかなと考えているところではありますが、ここで質問でございますけれども、それは特に職業的懐疑心に関連する部分であります。

ご説明がございましたけれども、この職業的懐疑心の強調について、9月の考え方(案)から基準(案)になった段階で、職業的懐疑心の「保持」、それから「発揮」、さらに「高める」というように修正されており、先ほど課長からも、これはどちらかというと後者のほうがよりレベルが高くなっているのだというご説明があったかのように理解しております。これら用語が、9月の考え方(案)ではいずれも「発揮」という表現であったものが、このような形で、ある種職業的懐疑心のレベル感を示したものとなったのかなと理解したわけでありますが、一方で、監査基準のほうは、一般基準の中で「保持」という用語が使われておりまして、そことの対応を考えたときに、監査基準に言う「保持」概念の中に、ここで書かれているような、保持や発揮や、あるいは高めるという概念が含まれるというふうに理解すべきなのか、それとも、保持というのは、監査基準においては、いわゆるここで言いますところの一番最低水準のものを示しているのであって、対して本基準(案)においては、それからさらに一歩踏み込んだ形で発揮なり、高めるという概念があるということになっていくのか、このあたりの監査基準との関係でございますね、その点をご質問したいと思います。

あわせましてもう1点は、これもご説明がありましたけれども、考え方(案)のところで「強化」というタイトルから、基準(案)では「強調」というふうに変わっているわけでありますが、一般的に基準を読むときには、基準を使うほうが、これで自分は何をしなければならないのかという読み方をするのではないかと思います。そこで「強化」と言われれば、「あっ、自分の懐疑心を強化しなければいけないのかな」と思うわけですが、「強調」という表現になると、監査人が強調するというよりも、むしろ基準設定をする立場から強調しているというふうに見えますので、この表現の変化によって、むしろ監査人が何をすべきかという意味からは変わってしまっている気がしますので、このあたり、この「強調」という言葉にされたところの意味づけといいますか、もしそれがありましたらお教えいただければと思っております。

以上2点、この職業的懐疑心に関するご質問でございます。

○脇田部会長

 吉見先生が全部解説してくださったように思いますけれども、特に、確かに現行の監査基準の中の一般基準のところは保持で、ここは、今おっしゃったように、だんだん具体的に不正リスク対応ということで段階的に強調していると思っておりますが、いかがでしょうか。

それで、「強調」につきましては、もう一度、課長のほうからお願いします。

○栗田企業開示課長

「強調」という言葉に変えさせていただきましたのは、今、先生からご指摘がありましたように、どちらかというと監査基準をつくる側としてこれはしっかりやってほしいんだという意味があります。「強化」というと、懐疑心は何かすればレベルが上げられるとか、そういうようなもののように捉えられるのですけれども、それはおそらくそうではなくて、あくまでマインドセットの問題ですから、ちょっと言葉としてあまりよくないのかなというところがあったので、今回「強調」という言葉に変えさせていただきました。

○脇田部会長

よろしいでしょうか。

○吉見委員

わかりました。

○脇田部会長

続きまして、熊谷委員、どうぞ。

○熊谷委員

どうもありがとうございます。皆さん、おっしゃっておられるとおり、9月のものよりも、すっきり、わかりやすくなったという印象でございます。

それで、今、吉見先生のほうからも職業的懐疑心についてのご発言がございましたが、この点につき、ちょっと私自身、どういうふうに考えたらいいのかというのがわからないところがあり、教えていただけたらと思います。まず、この職業的懐疑心ということが正当な注意義務とともに列記されております。4ページ目の一番下の欄を読みますと、「職業的懐疑心の保持は、正当な注意義務の行使に含まれる要件であり、監査人が職業的懐疑心を持って監査に臨むことこそが重要な虚偽の表示の指摘につながること云々」とあります。たしかこの職業的懐疑心を、英語に訳すとプロフェッショナル・デューケアと言うのだと思いますが、デューケアというのはまさに正当な注意ということではないか思います。これは日本語として、やはり区別して使っておられるということで、それぞれどういう意味の違いがあるのかというのが1つ。

次に、この5ページ目の第3段落に「職業的懐疑心の程度は、監査人の行った監査手続で判断されるものと考えられることから」とあります。例えば、結果として、監査人の方々が職業的懐疑心を持って監査手続を行ったけれども、不幸なことに事後になって不正が発覚してしまったような場合、これは十分な職業的懐疑心を発揮したことになるのかどうか。つまり、この監査手続におけます不正対応の監査手続基準を、形式的に満たしていればそれでオーケーということなのか。多分そういうことではないとは思うのですが、仮に不正が後で見つかったとしても、一応この不正リスク対応基準に従って監査されたということであれば、それは十分な職業的懐疑心を発揮したというふうに考えられるのかということであります。

それからもう1点、ちょっとこれはまた別のお話でありますけれども、先ほど海外発信につきまして八田先生からご発言がございました。この点は、私も全く同感でありまして、例えばドイツでもコーポレート・ガバナンス改革を2000年の頭ぐらいに行いました。このとき、KODEXというドイツにおけるコーポレート・ガバナンス・コードを策定するデュー・プロセスにおいて海外の投資家から意見を募りました。KODEXはドイツの国内法におけるソフトローという位置づけですが、このように、その策定プロセスに海外の投資家が参加できたということで、ドイツの資本市場に対する海外からの信頼性が非常に高まったということがございました。

我が国でも、こういうデュー・プロセスを実施していただけると非常に海外からの信頼度というのは高まるんじゃないかなというふうに考えております。今回間に合うかどうかわかりませんけれども、今後こういう大きな改訂をされるとき、ぜひ金融庁もそういうプロセスを入れることをご検討いただけないかなと思いました。

以上です。

○脇田部会長

ただいまのご発言、今、課長からまたお答えしていただこうと思っておりますけれども。

特に2番目のところですが、この基準に形式的に従うということはないと思います。ここでは具体的に手続は何も書いてありませんので、不正対応の監査業務を構築していく一つの筋道が書かれているわけですから、職業的専門家として判断を下して、最善を尽くすという問題だと思います。形式的にここに書かれているとおりにということではないと思います。

監査の失敗が起こったとしても、それは、具体的にはどのような監査手続を、どのような職業的判断を下しながら監査を実施したかということで問われていくと思っております。

あとの2つの点については栗田課長からお願いします。

○栗田企業開示課長

まず、後者の海外発信の件につきましては、先ほどの八田先生のご指摘もありますので、できるだけ海外に広く発信していくように努めていきたいと考えております。

それから、もう1点の職業的懐疑心の件でございますが、訳語を当てれば、おそらく職業的懐疑心はプロフェッショナル・スケプティシズムで、正当な注意義務がデュー・プロフェッショナル・ケアみたいな言い方になるのだと思いますけれども、ここに書いてありますように、正当な注意義務の中に、ある意味では職業的懐疑心の保持というのは入ってくるということで、不幸にして不正があり、重要な虚偽表示があった場合であっても、その監査人が正当な注意義務を払っていれば責任は問われない。ということは、結果としては職業的懐疑心はきちんと保持されていたということになるんだというふうに考えております。

○脇田部会長

続きまして、どうぞご発言をいただきます。

では清原委員、どうぞ。

○清原委員

ありがとうございます。この今回の公開草案は、皆さんがおっしゃっているように、かなりすっきりとしたもので、非常によくまとまっているということは言えると思います。それで、総論的にといいますか、まとまったものとしては結構だと思うのです。

それを前提としながらも、あえてコメントをさせていただくならば、この公開草案が実際に実施されて、じゃあ、どれだけほんとうに有効に機能するようになったかということを考えたときに、実際の実務の運用のところに関わる部分、各論的なところの細かな技術的な、テクニカルなところで、言ってみれば、もしかしたら基準の書き方が漠然としていることによって漏れが生じる、もしくはそこが、言い逃れといったらあれですけれども、監査人のほうが十分なことをしないで終わってしまうことにつながることもあり得るのではないか、そういう意味で、今回この基準の中の細かなところにもう少しフォーカスをした検討の必要が残っているのではないかと思います。

その中の一つ気になっている点ですが、公認会計士協会の実務指針のほうであるのだとは思うのですけれども、監査証拠の評価、「十分かつ適切」とは言いながらも、どういう場面ではどのぐらい集めることをやらなければならないかというところ、ここの議論が、実は特にあるわけではないし、全般的なところは、監査基準や品質管理基準に規定されているものを、不正に特化して、これをまとめたということであれば、それだけだと今までの延長にすぎないとも言え、あえてここで時間をかけて議論するのであれば、じゃあ、どこまでやればいいのかというような話も、もしかしたらほんとうは必要なのかなというところもありまして、その意味で、もう一段深掘りが、もしかしたら必要かなと。ここでの議論か、もしくは公認会計士協会のほうでの対応の中での議論かもしれないのですが、そこが1点、気になっているところでございます。

もう1点申し上げたいところが、今回新たに入るということで大きなステップだと思うのですが、監査役等との連携というところの「連携」の内容ですけれども、連携のあり方が具体的にどうあるべきかというところは、研究報告その他のペーパーであるのは承知しておりますが、この基準の中での連携の部分について、必ずしもまだスポットライトが十分に当たり切っていないのではないかと思われるところもあって、付録が、今1つ、2つとついている中で、じゃあ、監査役等との連携というところについて、例えば、こういう項目についてはきちっと監査役に報告をしたり連携をすべきだというような、そういった具体的な項目も検討してよいのか、と。それは公認会計士協会や監査役協会のほうで一部対応され、また現在も検討されているとは思うのですが、この監査部会のほうでも議論したほうがいいものもあるのではないか、と。

このように、今回のこの公開草案の続編といいますか、その先のほうにまだほんとうの意味での重要なポイントというのは、少し残っているのかなという印象をもっております。

取りまとめとして、非常にまとまっているということでは評価している点は申し上げたいのですけれども、まだ心配が尽きないといいますか、実はこれで終わったわけではないというところもありまして、水を差すつもりは全然ないのですけれども、少し心配として残っているところについて若干コメントをさせていただいた次第でございます。

○脇田部会長

ありがとうございました。これから公開草案が公表され、皆様方のご意見が集約されてくると思いますけれども、今ご指摘のように、それから先ほども委員の方からご指摘がありましたけれども、監査証拠の評価といった問題については実務指針等々において議論されていくところでございましょうし、監査役等との連携については、それぞれの実務についていらっしゃる方々のご意見を集約されたものが日本監査役協会とか、日本公認会計士協会とかのところで検討されていくだろうと思います。清原委員のご指摘は大変貴重なものだったと思っております。

この点につきまして、ご発言は特に、よろしいですか。

○栗田企業開示課長

貴重なご意見をいただきましてありがとうございます。1点申しあげますと、実は監査証拠の評価というところは、中でもどう書くか随分議論もあったのですけれども、やはりいろんなシチュエーションがあって、その中でどういう監査証拠があれば十分なのかというのはなかなか書きおろすのが難しい作業でございまして、その結果、今のような表現になっているところもございます。さらにいろいろ勉強はさせていただきたいと思いますけれども、ちょっと予防線を張るわけじゃないのですけれども、その点はご理解を賜ればと存じます。

○脇田部会長

ただいま申しましたように、これはちょうど平成3年の監査基準の改訂のときに、監査実施準則(第二 通常の監査手続)というのをご存じだと思いますけれども、極めて具体的な、手続一覧表的な、規定が削除されました。その点については実務家の立場での職業団体のところで英知を集めていただいて、実行可能な、そして効果的な手続を構築していただく。監査基準は包括的な監査規範として純化され、それを受けて日本公認会計士協会が実務指針をつくっていくという、そういう枠組みをつくったものですから、その中で今ご指摘の点は消化されていってほしいと思います。

続きまして、どうぞご発言ございますでしょうか。八田委員、どうぞ。

○八田委員

すみません、もう一言。もとに戻す話ではないのですけれども、この職業的懐疑心というのは、実は我々学会レベルでも十分な究明がなされている概念とは思っていないんですね。ただ、既に長い間、監査の基準などの中で使われてきて、それなりの共通認識を少なくとも監査人サイドは持っているのかなという気がするのですけれども、今回こういった形で、特に日本の基準の中で再三強調される言葉として出てきましたので、やはり監査関係者といいますか、市場関係者の、ある程度共通認識が必要だろうと思っています。

つまり懐疑心という言葉の内実、あるいはレベル感、さらにはそれとの関係での責任関係、度合い、これはどこかで明確にする必要があるということもありまして、これは補足ですけれども、日本監査研究学会のほうもそういった認識を持ちまして、既に9月に職業的懐疑心に関する研究部会を2年のスパンで立ち上げています。部会長には前日本公認会計士協会の会長を務められた増田先生がおなりになって、私も委員の末席を汚しておりますので、多分そちらのほうである程度学術的な研究もなされるということで、今しばらく待っていただけたらと思います。

ただ、これは言葉のあやですけれども、ほんとうの意味で監査現場の一線でかかわっている監査人の方たちと「この懐疑心というのを監査人側にほんとうにわかってもらう、あるいは体現するためにはどういうふうに理解すればいいんでしょうね」と話したときに、こういう話を聞きました。「それは職業的恐怖感、あるいは恐怖心だ」と。つまり監査の失敗を招くことはできない、ちゃんとやらなきゃいけない、これを訴えているのが職業的恐怖心だと思いますから、きょうのところを全部これに置きかえても、全部通用するんですね。ただ、それは基準の中では書けないだろうということを思いますので、ちょっと私見を挟んで発言させていただきました。

以上です。

○脇田部会長

ありがとうございました。そろそろ終了の時間にも近づいてまいりました。基準(案)につきまして、ご質問、ご意見はよろしゅうございましょうか。

本日、基準(案)について多くのご意見を頂戴いたしました。皆様方から、基本的な方向性としては、この基準(案)でおおむねご了承いただけたと思っております。

私といたしましては、本日いただきましたご意見を踏まえまして、所要の修正を行った上で、不正リスク対応基準(案)等をパブリック・コメントに付させていただいてはどうかと考えております。また、その際の具体的な文言の修正につきましては、部会長である私にご一任いただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

○脇田部会長

ありがとうございました。それでは、今後のスケジュール等につきまして、事務局から説明をお願いします。

○栗田企業開示課長

ただいま部会長からもお話がございましたけれども、本基準(案)につきましては、本日いただいたご意見を踏まえまして部会長とご相談の上、所要の修正を行いまして、できるだけ速やかにパブリック・コメントに付させていただきたいと存じます。パブリック・コメント期間は約1カ月間を考えてございまして、コメント募集期間の終了後に再度監査部会を開催させていただきましてご審議をお願いできればというふうに考えております。

なお、今月の20日の日程を確保させていただいておりますけれども、本日ご了解をいただけたということで、20日の会議はキャンセルということにさせていただきたいと存じます。

それから、本日の意見等を踏まえまして修正したコメント募集(案)につきましては、改めて委員の皆様に送付させていただきたいと思いますので、その時点でご確認をいただければと存じます。

それから、パブリック・コメント終了後の監査部会の日程につきましては、年明けになりますけれども、事務局から改めてご連絡をさせていただきたいと存じます。

○脇田部会長

それでは、本日の監査部会を終了いたします。お忙しいところをご参集いただき、また審議にご協力をいただきまして大変ありがとうございました。

これで閉会いたします。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3672、3656)

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