平成13年9月26日
金融庁

企業会計審議会第6回企画調整部会議事録について

企業会計審議会第6回企画調整部会(平成13年9月7日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第6回企画調整部会議事録

日時:平成13年9月7日(金)午前10時30分~午前10時56分

場所:中央合同庁舎第4号館9階金融庁特別会議室

○若杉会長

ただいまから、第6回企画調整部会を開催いたします。

本日は、お忙しいところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、前回に続きまして、自己株式に関する会計処理について、ご意見をいただきたいと考えております。

それでは、これより議事に入りますが、まず初めに、前回の部会でご意見を頂戴いたしました自己株式の保有に関する財務諸表等規則等の改正に関しまして改正案が公表されておりますので、事務局の方からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○細田参事官

それでは、私の方から説明させていただきたいと存じます。

お手元に資料1と書かれましたいわゆる財務諸表等規則の新旧対照表がございますので、これに基づきまして簡単に説明させていただきたいと存じます。

前回の当部会におきましてご確認いただきましたが、従来、資産計上をすることとされておりました自己株式を資本の部の控除項目とするということでございまして、こうした改正を主な内容とする財務諸表等規則の改正作業を行っておりまして、現在、パブリックコメントに付している段階でございます。そういうものをご紹介したいと思います。

主な改正内容でございますが、改正となりますのは、1の「財務諸表等規則」、それから3ページ目に「中間財務諸表等規則」がございますが、この2つの省令でございます。この新旧でご説明させていただきます。

まず自己株式の表示箇所についての改正でございます。これは新旧の1ページ目でございますが、現行の18条第1項自己株式――括弧がついているのですが、括弧は、「流動資産に自己株式の科目をもって別に掲記しなければならない」、流動資産に計上するという旨の規定がございました。それから、2項飛ばしまして真ん中より少し左に、第32条の2という線が引っ張ってあった項目がございます。これにつきましても、形容詞が長いのですが、「商法……で規定する自己株式は、投資その他の資産に自己株式の科目をもつて別に掲記しなければならない」というものがございました。この2つの、18条1項と32条の2を削除するというのが趣旨でございます。そうしますと、現行で言いますところの18条2項の部分、親会社については流動資産に計上するというのが今の規定でございますので、改正案では18条1項に記載されている部分が残るということでございます。

それから、1ページおめくりいただいて2ページ目ですが、2ページ目の真ん中の少し右に、現行では「新設」で、上の段の改正案の方では18条2の3というのを「新設」ということで定めたいと存じます。ここのところでは、「自己株式は、資本に対する控除項目として資本の部の末尾に記載しなければならない」ということでございます。すなわち、先ほどの「流動資産に計上する」という部分を削除し、「この資産に対する控除項目として記載する」という条文を設けたということでございます。

3ページ目の中間財務諸表等規則の方でございますが、これも自己資本は控除項目として記載するんだという規定を新たに設けて、改正案というふうにしてございます。

また、自己株式とは直接の関係はございませんけれども、この改正が今回の商法改正によりまして、資本準備金の改正手続が創設されましたので、これに伴いまして条文の整備を行ってございます。

まず、法定準備金のうち資本準備金の減少手続に関する改正について、ご説明いたしたいと存じます。新旧の第1ページ目の一番左側に65条というものがございます。今後、改正商法の第289条第2項で資本の減少手続を行いまして、これによって取り崩された資本準備金でございますが、これにつきましては65条第1号に規定しているもの――65条第1号というのは2ページ目になってしまうわけでございますが、2ページ目の、第1号に規定する「その他の資本剰余金」、ここに取り崩された資本準備金も含められるということで改正するという趣旨でございます。したがいまして、資本減少手続は利益処分を前提としませんので、同号の中に、現行では――傍線が引いてあるところでございますが、「株主総会の承認を得て積立てられたもの」という、利益処分による積立てを前提とする文言が今入ってございますが、そこを削除するということでその趣旨を明確にしたいというふうに考えてございます。

それから、利益準備金の方の減少手続による取崩額につきましては、この新旧対照表の2ページ目でございます。95条の6という部分でございます。ここで、先月、パブリックコメントに、これは法務省の方で付されておりました商法の計算書類規則の改正案と同様に、取崩額を未処分利益計算に含めるという趣旨で95条の6を改正したいということで、この改正部分を規定してございます。

それから、さらに施行日でございますが、施行日は改正商法の施行期日に合わせることになります。現在、改正商法の施行期日は10月1日になるというような予想がされておりますので、そういう日になるというふうに考えてございます。

それから、適用関係でございますが、これは施行日後に到来する事業年度になる財務諸表、または中間会計期間に係る中間財務諸表から適用するということになります。したがいまして、施行日前に到来する事業年度、または中間会計期間に係る財務諸表、または中間財務諸表は、従前の例によることとなると存じます。なお、中間決算と年度決算の首尾一貫性の観点から、施行期日前に到来する中間会計期間に係る中間財務諸表につきましては、早期適用を認めてはどうかと考えてございます。具体的に申すれば、例えば9月中間期、これは9月31日が中間決算期ということになるわけでございますが、新しい府令に従うこともできるということに、そういう意味で早期適用ができるようにしてはどうかということを考えてございます。

以上で、簡単ではございますが、今回の財務諸表等規則等の改正の概要について、ご説明させていただきました。今後、自己株式が処分された場合につきましても会計処理が検討されることとなりますが、その際、さらに財務諸表の表示の問題に関しまして、財務諸表等規則等の改正を検討する必要が生じてくるものと思われますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

以上でございます。

○若杉会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまご説明いただきました財務諸表等規則等の改正案に関しまして、ご意見がございましたらご発言をお願いしたいと思います。

いかがでしょうか。何かご質問、ご意見等がございましたら。

それでは、また後でもご意見等をいただけますので、先に進ませて……。

何かございますか。では、よろしくお願いします。

○八木委員

細かいことですけれども、自社株取得の後の処分に関するルールみたいなものは、これから新しくできる設定主体の方で実務基準的なものはつくることになるんですか。この前ちょっと細田さんには経団連に来ていただいてこの一連をご説明いただいて、実務界としてはこの処理の流れは了解したのでございますが。

○細田参事官

その点につきましては、次の議題のところでまたお話しさせていただきたいと存じますが。

○若杉会長

それでは、先に進ませていただきます。次に、自己株式の処分も含めまして、会計処理についてご意見をいただきたいと思います。

前回の部会では、米国における会計処理をご紹介いただきましたが、我が国におきましても自己株式の取得及び処分は資本取引として認識するとの意見が多かったようでございます。また、表示の問題といたしましては、資本の部の表示区分も見直したらどうかというご意見がございましたが、これらの問題に関連しまして、どうぞご自由にご発言をお願いしたいと思います。

いかがでしょうか。

○多賀谷課長補佐

先ほどの府令の改正とも関係があるんですが、自己株式の会計処理及び表示に関しましては、現在のところ特に会計基準的なものはございませんで、ご承知のとおり、日本公認会計士協会から会計制度委員会報告第2号というのが今出ていて、これを適用しているということでございます。これは当然改正前の商法を前提としたものでございまして、資産計上というのを前提としているとともに、ストックオプション等も今後改正になるということで、今、非常に法律の改正の時期と、あるいは省令の改正の時期と、あるいはこれからご議論いただく自己株式の処分の方の話と、少し五月雨式になるんですが、恐らく適用関係が非常にややこしい中でこの会計制度委員会報告第2号の適用関係も何らか少し整理をしていただかないと、府令上は資本から控除というふうに10月からはなりますので、そこら辺はどちらかというと加藤常務理事の方のご担当かもしれませんが、ご検討をまたいただくような形になるのではないかと思っているんですけれども、いかがでございましょうか。

○加藤委員

そうですね。例えば先ほどのお話のように、9月30日の中間から仮に早期適用を認めるということになると、もうすぐですよね。この会計制度委員会報告第2号と違うことになりますので、これは直さなければいけないと思うんですが。ただ、処分の方をどうするのかが決まっていないので、2号の中には処分についても触れておりまして、処分損益は損益計算書に計上するということになっているんですね。一番早いのはこの第2号を今の時点で全部廃止できればそれでいいのですが、会計処理の方が決まっていないので、何か部分的に、表示の方は手当てができたけれども会計処理は手当てできていないということで、全部廃止するのはどうかなという気もするので、その辺はちょっと協会の方で考えます。

ただ、表示が資本の部から控除になってくるのに、処分の方は損益計算書が続くということになるのかなという気がするんですが。ですから、会計処理の基準づくりというもののタイミングとか、どのようになるのかなというのをむしろお聞きしたいんですけれども、何かご予定みたいなものがあるのかどうか。

○細田参事官

いかがでしょう、斎藤先生の方から、財団ができまして、ちょっと全体のお話や財団の方のお考えなどを。

○斎藤委員

この自己株式の取得及び処分という問題は、まだ財団の企業会計基準委員会の方で正式には取り上げられておりません。ただ、過日の委員会でも、この問題点は問題として話題に上りました。そこで、意見として取りまとめたということは全くありませんけれども、この自社株取引を資本取引と見るということについては、おおむね委員の意見は一致していると考えてよろしいかと思います。やや慎重に言えば、当面それでいいと、そういうトーンであったかと思います。今後のこの問題の取り扱いでありますけれども、これはある意味で新しい会計基準の一端でありますので、考え方としては、私どもの企業会計基準委員会で取り上げることになるのかなという感触を持っておりますが、最終的には私どものプロセスとしては、テーマ協議会というものの意見を聞いた上で委員会で検討いたしますので、それまでは正式なことはちょっと申し上げられない。ただ、私の個人的な感触としては、恐らく私どもの委員会で取り上げることになるんだろうと、そういう感じを持っております。

以上です。

○若杉会長

何か、どうぞ。

○加藤委員

まだ協会内部でよく審議していませんので、あくまでも私個人の感触なんですが。会計制度委員会報告第2号の部分手直しを何らかの形で公表すると。それは表示だけについて触れるのか。表示だけについて触れたとしても、そこだけ直る、資本の部から控除になると。ただ、処分の方はそのままにしておくということは、しばらくの間、表示は資本から控除だけで、処分損益は損益計算書に計上するという1つの――実際にそういうことが起きるかどうか知りませんけれども、ルールとしてはそういうものがずっと行くということで。今度は、それが将来に基準ができて、仮に損益計算書を通さなくなったときに何か理論的な裏づけというんですか、なぜそれが変わったかというような。資本控除というものもスタートするわけですから……、ところが処分損益は損益計算書という状態が、一応ルールとしてはそれが続くわけですね。もし仮に将来変えるとしたときの理論づけとか、何かそういうものがうまくいくのかなと、何となくそういう気はしているんですけれども。個人的な感想なんですけれども。

○斎藤委員

自己株式取引を資本取引として自己資本から控除しておいて、その売却損益が損益計算書を通るということ自体、これは矛盾しているわけですね。ですから、その矛盾はどうしようもないわけでありまして。当座その処理が残るとしますと、それはひとえに会計処理に関する基準ができていないからだということだけでありますので、恐らく理屈は何もないわけで、直すときにはできていなかった基準ができたから直したと言うしかないのではないかと私は思いますけれども。

○多賀谷課長補佐

今のことで、私が先ほど申し上げましたのは、恐らくそういう形、今斎藤委員がおっしゃったような形だと思うんですが。その間……、今、商法の適用関係が付則等で、例えば従前から持っているストックオプション目的のものとか、10月1日以降に取得する分は来年の3月末までは処分ができないということになっているんですが、それ以外のものもあるので、要は非常にその端境期で取り扱いが区々になっていると。そういうことを前提として今はこの会計制度委員会報告はできていませんので、つまりその期間の取り扱いをとりあえず、府令も変わりますし、商法の計算書類規則も変わりますので、何か言っておかないと法令と不整合になってしまうので、そういう意味で、「当面の」と私が申し上げた趣旨はそういうことです。

○若杉会長

ご意見をいろいろとありがとうございました。

皆様のご意見を集約いたしますと、これまで商法で厳格に制限されておりました自己株式の取引につきまして、原則自由となることから、企業会計といたしましては、基本的に資本取引として取り扱うことが妥当であるというコンセンサスがあろうかと存じます。このような考え方を確認する旨の文章を用意いたしました。読み上げていただきますので、確認の方をよろしくお願いいたします。

それでは、よろしくお願いします。

○細田参事官

それでは、恐縮でございますが、お手元に資料2というものが用意してございますので、読み上げさせていただきたいと存じます。

「自己株式の取得及び処分に係る企業会計上の取扱いについて

我が国においては、これまで商法上自己株式の取得が厳格に制限されていたことから、企業会計上も基本的に商法の規定を踏まえた会計処理が行われてきたところである。しかしながら、先般の商法改正により、自己株式の取得及び処分が原則的に自由となることから、企業会計上の取扱いを明確にすることが必要である。

従来から、企業会計の理論としては、一般的には、自己株式に係る取引は損益取引には該当せず資本取引であると考えられているところである。

したがって、先般の商法改正により、自己株式の取得及び処分が原則的に自由となることに伴い必要となる企業会計上の取扱いについては、資本取引として整理することが適当である。

また、自己株式の取得及び処分に係る具体的な会計処理については、資本取引を前提に検討されることが適当であると考える。」

○若杉会長

ありがとうございました。

ただいま読んでいただきましたような考え方になりますと、新しい会計上の取扱いを検討することが必要となりますが、先ほど斎藤委員から、企業会計基準委員会でも検討する用意があるとの発言がございましたので、自己株式の会計処理基準につきましては、委員会で検討していただくということでよろしゅうございましょうか。

よろしいですね。

それでは、そのような形にさせていただきます。なお、資本の部の表示の問題のほか、今後の商法改正により、また企業会計上も検討を要する事柄が生じてくるものと思われますので、そういった課題につきましては適宜また皆様のご意見をちょうだいしていきたいと考えております。

以上、私の方で整理いたしましたけれども、これをめぐりまして何かご意見あるいはご質問等がございましたらお願いしたいと思います。予定した時間がまだ十分残っておりますので、お願いいたします。

斎藤委員としては何かご発言がありましたら。

○斎藤委員

何もございません。

○若杉会長

いかがでしょうか、何か。自由にどうぞご発言いただきたいと思います。

本日、用意しております審議事項は以上でございますので、特にご意見、ご質問等がございませんようですので、このあたりで本日の企画調整部会は終了いたしたいと思います。

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