平成13年5月25日
金融庁

企業会計審議会第8回固定資産部会議事録について

企業会計審議会第8回固定資産部会(平成13年4月23日(月)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03−3506−6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第8回固定資産部会議事録

日時:平成13年4月23日(月)午後4時02分〜午後6時00分

場所:中央合同庁舎第4号館10階共用第一特別会議室

○辻山部会長

それでは、定刻になりましたので、ただいまから第8回固定資産部会を開催させていただきます。

本日は皆様方にはお忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

議事に入ります前に、当部会の委員に交代がありましたので、御紹介いたします。

今月19日付で原田委員が企業会計審議会幹事を退任されまして、後任として始関正光氏が企業会計審議会幹事に就任され、当部会に所属されることとなりました。始関氏は本日は欠席されておられます。お手元に新しい名簿をお配りしておりますので、御参照ください。

それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。

前回は、奥田委員から不動産鑑定の実務について、増田委員からアナリストの立場から不動産の会計や評価の問題等について御報告いただき、ヒアリング及び意見交換を行いました。

ここで、前回、増田委員の報告に関しまして、秋葉委員の発言が時間の関係もありまして途中になってしまいましたので、本日改めて秋葉委員に補足的に発言していただきたいと思います。

○秋葉委員

それでは、前回幾つか御質問させていただいておりましたうちペンディングになっておりました点がありますので、私の方から引き続き簡単にお話しさせていただいて、御回答と御見解をいただければと思います。

幾つか御質問させていただきたいんですが、本日いろんな方の御報告もありますので、一点だけに絞ってお話を伺いたいんですけれども、先日の増田委員の報告の中で、明示的じゃなかった部分もありますが、自己資本利益率を意識したディスクロージャーといいますか、会計情報の開示ということが有用であるというような御説明があったかと思います。その際には分母に自己資本、分子に利益を入れるわけですけれども、分子に持ってくる利益、御説明ですと、実現基準に基づく現状のような利益の方が将来キャッシャフローの予測に妥当なのか、それとも時価評価した結果の時価の差額、評価損益が妥当なのか、ここのあたりが御説明の中でははっきりと理解できなかったものですから、補足していただければというふうに思います。

○辻山部会長

ありがとうございました。この問題につきましては、御質問、御意見もあろうかと思いますけれども、本日の予定もありますので、ただいまの一点だけにつきましてごく簡潔に増田委員、お答えいただけますでしょうか。

○増田委員

一点に絞ってということですが、あえて言えば、分子は実現益がまず来るはずです。評価益、評価損が実現益に対して大きなインパクトを持つような重要性のあるものであれば考えざるを得ないであろうとは思いますが、原則としては実現益が重大な指標であると思います。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。それでは、この問題、引き続き議論に出ようかと思いますけれども、お手元にあります議題の方に進ませていただきまして、もし何かありましたらまた改めて御議論いただきたいと思います。

本日は、まず大津修二参考人から、米国基準における減損会計の実務について御報告いただき、意見交換をしたいと思います。次に田辺委員から、銀行業界から見た固定資産の減損会計等につきまして御報告いただき、意見交換をしたいと思います。最後に笠間委員から、保険業界から見た固定資産の減損会計等につきまして御報告いただき、意見交換をしたいと思います。

それでは、まず大津参考人から、米国基準による減損会計の実務につきまして御報告いただき、意見交換を行いたいと思います。それでは、大津参考人、よろしくお願いいたします。

○大津参考人

公認会計士の大津でございます。よろしくお願いいたします。

先日御依頼がありましてから十分な時間がございませんで、お話が若干羅列的になってしまうかもしれませんし、また、お手元にお配りした資料も若干羅列的な部分があろうかと思いますが、御容赦いただきたいと思います。

私どもの方に御依頼のあった内容は、総論としましては米国基準の適用の実務がどうなっているのかという部分に関してお話しするように御依頼がありました。私、実務をやっている中でいろいろ突き当たる部分もあるんですが、それに加えて、アメリカの財務会計基準審議会(FASB)、以降FASBと申し上げさせていただきますが、基準書121号、現行の基準の適用の実務と、FASBの新基準に関する制定過程での議論、近年SECスタッフの方からいろいろ述べられているコメント等、その辺を織りまぜて米国での会計実務がどのような方向で今、議論されているか、何が論点になっているか、その辺をお話しさせていただきたいと思っております。

御依頼のあった項目としましては、将来キャッシャフローの見積もり、資産のグルーピング、割引率、不動産、この4点についてフォーカスするようにということでございました。正直申し上げまして、この4点に関しては、資料にもありますが、各論点とも現行のFASB基準書121号では具体的な実務指針等は示されておりません。従いまして、経営者の判断にゆだねられている。判断にゆだねている部分というのは、経営者の柔軟な意思決定を前提に会計処理すべしという思想と、それに関して無理な実務指針を提供することによって、実務界での適用に当たって過度な費用負担等が生じないようにという配慮がなされているものと理解しております。これら4点につきましては、特に1、2、3番の論点については同様の局面があろうかと思います。私も実務をやっている中で、この3つの点につきましては、正直申し上げて、いろいろ苦労しているところがございます。しかしながら、どのように考えられているのか、米国では何が議論になっているのか、その辺をかいつまんで御説明できればと思っております。

お手元の資料に従ってお話ししていこうと思います。2ページのところですが、まず最初の論点、将来キャッシュフローの見積もりです。

現行のFASB基準書121号では、ベスト・エスティメート、最善の見積もりということが規定されているのみで、そのほかについては何も規定がないといっても過言ではないかと思います。しかしながら、最善の見積もりに当たっては通常用いている手法及び過程を用いるということが前提になっておりますので、経営者の内部的な意思決定と外部公表のアカウンタビリティーの一環としての会計処理、そこにおける整合性が当然要求されるということになろうかと思います。

それと、どうやって将来キャッシュフローを見積もるかという方法につきましては、現行ではいろんな方法がありまして、一番多く用いられておると思われるのは単一の見積もり、これは一般的にはトラディショナルな方法というふうに言われているようです。

2番目としましては、FASBのファイナンシャル・アカウンティング・コンセプト7号で言っておりますエクスペクテッド・キャッシュフロー・アプローチ、こちらは複数のシナリオに基づいて――そのシナリオというのは、将来キャッシュフローの金額とタイミング、これらのリスクを勘案した複数のシナリオに基づいて発生可能性の確率を各シナリオに当てはめていって、それで無理やり加重平均して、将来キュッシュフローの加重平均した後の数値を出そうという方法です。

もう一つは、見積もりの幅の上限と下限を足して2で割るという単純平均法等が用いられているようです。

「ジャーナル・オブ・アカウンタンシー」の1996年7月号による記載では、アメリカの企業ではこの基準書が出る前から同様の見積もりはやっておったはずではないか、したがって余り難しく考えずに、従来から適用している経営者の自己責任で用いている方法をそのまま使えばいいのではないかという議論がございました。

アメリカでは、大規模な固定資産の投資案件につきましては、買収、処分等が頻繁にまとまって行われているという現状からして、また買収、処分等に当たって投資銀行等が介在する余地もありますので、将来キュッシュフローを絵にかくという局面は日本よりも実務的には多々あるのではないかと考えております。

引き続きまして3ページ以降のお話ですが、先ほど申し上げたように、大事なこととしましては、財務会計で用いた色々な仮定要素等について内部的な戦略、計画等で用いているものと首尾一貫する必要がある。これが首尾一貫しないと、他の開示、財務諸表、MD&A等の開示との整合性に問題が出てくる可能性がある。その辺を首尾一貫して記載することがアカウンタビリティー上重要であり、またSECの関心があるところであると言われております。この辺を安直な方針に基づいて将来キュッシュフローの見積もりをすると、首尾一貫性というところで、言い方は悪いんですが、ぼろが出てしまう可能性があるということになろうかと思います。

キュッシュフローの見積もり対象期間、こちらについては、いろいろ議論があるんですが、10年を超える場合にはもはや見積もりとしての正確性に欠けるのではないか、場合によっては3年から5年を超えても見積もりの正確性に問題があるのではないか、ア・フュー・イヤーズ、英語でのア・フュー・イヤーズを何年というふうに日本語でいうか議論があろうかと思いますが、3年程度を超えてももはや不正確だという論者もいるようです。

キャッシュフローの見積もり期間ということで減損の存否をテストする際に用いる場合がありますので、実務的には、長い期間でスタートするのではなくて、ある程度短い期間からテストして、わかりやすくお話しすれば、そのテストの結果、不合格になった場合にはもうちょっと期間を長くする。もちろん長くするというのも合理性が説明できなければいけないですから、そのような試行錯誤が繰り返されることは実務上やむを得ないのではないかと思われます。初めから超長期を期間として設定するというのは、社内方針として確立している場合にはよろしいかと思いますが、成熟していない段階ではその点はやむを得ないところではないかと考えております。

それから、キャッシュフローの見積もりに際して考慮される項目としましては、現在では売上単価、販売量の増減等将来事象を予測しております。各企業の個別状況だけではなく、経済全体の状況、また属している産業界の状況等、マクロ経済的な部分も考慮に入れる。

それから、対象固定資産に関して現在と若干違う利用方法、将来そういうふうに利用するということを考えている場合、資本的支出を伴った結果、将来キャッシュフローがそれによって増減するという部分も実務的には考慮に入れる場合があるようです。

4ページに行きます。キャッシュフローを見積もる際、どのような支出項目をキャッシュフローの控除項目として考えるか。こちらにつきましても実務ではいろいろ幅があるようで、維持修繕費等の費用的支出を入れるというのは理念的には異論のないところだと思います。

それから、先ほど申し上げた資本的支出を入れる場合もある、利益に対する税金も入れる場合があるということのようです。

次に、FASBの新基準がどのような方向で議論されているかということですが、当部会の方で新基準の公開草案の御説明が詳細になされているようですのでここでは重複して説明はいたしませんが、現行のFASB121号と比較してどのような点が論点になっているかという観点で見ることがおもしろいのではないかと考えます。

1つは、見積もりの手法としてエクスペクテッド・キャッシュフロー・アプローチが強制適用、従いまして、先ほど若干御説明した金額及びタイミングというリスクを勘案して複数のシナリオを無理やりつくって、発生可能性の確率を分布させて、それで加重平均して将来キャッシュフローの加重平均値を求めるというアプローチになるわけですが、これに関しては、現行のFASB121号の実務上の混乱というより、FASBのファイナンシャル・アカウンティング・コンセプト基準書7号との整合性を図ったというふうに理解されます。

ただ、現在、公開草案に対していろいろ批判が出ているようで、例えば、単一の見積もりによるベスト・エスティメートという伝統的な方法を排除するということに関しての反論、あとは実務上、客観的にこれが適用できるのか、また具体的指針が余りにも不足しているのではないかという批判がなされています。

続きまして、5ページに移ります。見積もり対象期間につきましては、先ほど私、ちょっと乱暴に短い期間からテストしている会社もあるようだというふうに申し上げましたが、今度は、対象資産の残存耐用年数というより、残余使用期間ですか、こちらを利用して見積もり対象期間を設定するということになっています。御存知のとおり、グループで減損の存否をテストすることになっておりますので、その際、主たる資産、プライマリー・アセットという言い方をしているようですが、その主たる資産がどれぐらい残余使用期間があるかということで、グループ全体を代表する形でそれを用いることが規定される予定です。

こちらに関する反論としましては、先ほど申し上げたとおり、長期にわたる場合もありますので、そのような長い期間のキャッシュフローが果たして意味があるのかという議論、それから、プライマリー・アセットを無理やり定めて、それを残余使用期間の代表とするわけですが、無形固定資産を排除することが予定されています。無形固定資産の重要性がある状況の中で、無形固定資産をプライマリー・アセットから排除するのはいかがなものかという議論があるようです。

それから、これもよく議論になるキャッシュフローとして個別に識別できない、グループに入り得ないものは全社資産ということで、全社全体のキャッシュフローと比較することになっているわけですが、その際の全社資産について減損の存否のテストをする際、何がプライマリー・アセットになるか、その辺が議論になっているようです。

次の論点としましては、先ほど現行のFASB121号適用の会社の中には将来の資本的支出を考慮している会社があるということを申し上げましたが、新基準では現在存在するサービスポテンシャルを変更しない、従って、資本的支出も考慮しないし、資本的支出から得られるであろうキャッシュフローの増減も考慮しないということが想定されているようです。

次に、資産のグルーピングの論点、6ページの方に移らせていただきます。こちらも先ほどと同様に実務上の具体的な規定はございません。経営者の方針を文書化する必要もある、文書化することによってその判断に客観性を持たせるわけで、判断の介在への余地が多くなるわけですが、各社の内部的な経営方針、セグメント情報とはグルーピングの単位は違いますが、新しいセグメント情報の開示方法も、社内意思決定目的でのグルーピングと整合する必要があるということになっておりますので、そういう意味ではもうちょっと小さい単位にはなりますが、セグメント情報等との首尾一貫性、MD&A等と開示との整合性が必要になるのではないかということになります。

次の7ページの方に幾つかの例を列挙してみました。

一番上の例は、御存知のとおり、FASB基準書121号で説明されている例示でございます。A市とバス会社の間では5つのバスルートをいかなる場合でも継続しなければいけないというような契約があった場合、一つのルートで損失が存在していても、残り4ルートで利益が出ていれば、初めから5つをワンセットという契約になっているはずなので、この5つのルート全体の固定資産をグルーピングとして考えましょう。逆に、バス会社に任意にルートの削減、増加等ができ得るオプションが与えられている場合にはグループ化はできないということになろうかと思います。

その下3つに書いてあるのも同じような例ですが、要は、いろんな店舗とか、そういうものが一つのディストリビューションセンター等金額的に重要性の高いものに依存している場合、これはグループとして考えざるを得ないだろうというふうに考えられています。

逆に、ホテルというような一個ごとのプロパティーの固定資産の金額が非常に大きい、しかし予約センターなどは、金額的にはもちろん大きいんですが、ホテルチェーン、全部で20のプロパティーを一つの予約センターのシステムが共有しているような場合、金額的な比較考量からいって、予約センターのシステムをもって20のプロパティー全部がグループになっているかというと、疑問の余地が生じるというか、グループ化ではなくて単一のプロパティーで見るべきだということで、そういう意味では判断の余地が介在してしまうのはやむを得ない部分があるかと思います。

この辺で私も実務をやっていて時々、先入観に惑わされて思ってしまうんですが、グルーピングをしなければいけないというふうに考えがちですが、本来はグルーピングができないものはやってはいけないということになっております。共有目的で利用される資産の金額を配賦するとか配分するという考え方は基本的にはないと考えるべきだと思われます。もちろん金額的に重要性が余り大きくない広告宣伝費等を共有しているという場合には、その費用の按分という考え方はあろうかと思います。ただ、資産のグルーピングというふうに考える場合、基本的にはグルーピングできない場合はしてはいけないという形になろうかと思います。

次の8ページに、eビジネス等企業の無形固定資産は全社レベルより低いレベルのキャッシュフローに識別されないことが多い。このような場合、SECの方では、何でこれはグルーピングしたのかとチャレンジする場合があるかのように聞いております。同様の例示がSECのスタッフ・アカウンティング・ビューレティン100号のクエスチョン5でも例示されています。無理やりに無形固定資産を配分している例があったと思いますが、それが否定されております。

FASB新基準制定過程でのグルーピングに関する議論は、それ以外に特筆すべきことはないというふうに思われます。従って、日本ではグルーピングというのは非常に大きな議論の中にあろうかと思いますが、もちろんアメリカでも実務上、各社、頭を悩ませるところはあろうかと思いますが、表面的な議論としては余り論点にはなっていないのではないかという気がいたします。

続きまして、9ページの方で、割引率の現行の基準について御説明してあります。現行のFASB基準書121号では、キャッシュフローをディスカウントするときの割引率については、ハードルレート、すなわち新規投資に対する最低の期待収益率と考えましょうか、同様の資産に投資するとするならば何%ぐらいの収益を期待するであろうかというハードルを各社持っているでしょう、これも先ほど来申し上げている各会社の内部的な意思決定で使っているものを矛盾なくここでも適用しなさい、ということになっているようです。

それでは、ハードルレートというのは一体何なのかというと、これも各社の経営者の判断に任せられているのが実情ではないかと思われます。ただ、冒頭申し上げたように、米国企業では、投資の意思決定というものを紙に書いて、事前に慎重に議論した形跡を残すと同時に、その後その投資がどのような形で当初予定された計画と比して実績が達成できているかというフォローアップもしていきますので、これがアカウンタビリティーと申すんでしょうが、その辺の関係でハードルレートというのは、当然のことながら持ち合わせていることが経営者に求められている、社内、社外に対するアカウンタビリティーの一環として求められているというふうに考えられるのではないでしょうか。

新基準では、このレートをリスクフリー・レートというふうに規定しているようです。キャッシュフローに関するリスクについては、金額とタイミングということに大きく集約されるかと思いますが、この2つについてディスカウントする前の将来キャッシュフローの金額の見積もりの段階でリスクをある程度考慮している、従って割引率にはリスクを考慮しない。これもFASBのファイナンシャル・アカウンティング・コンセプト7号に整合した形になろうかと思います。

引き続きまして10ページ、不動産に関連してまとめてみました。不動産の御依頼があったんですが、どの辺を論点として申し上げるべきなのか私、存じ得ないところもありまして、表面的になりますが、論点となり得る部分をまとめてみました。

現行のFASB121号では、FASB基準書66号の関連規定を改定するような形で、不動産プロジェクトの減損の評価に関して取り扱いを示しております。これ、誤字というか、誤りですが、「開発目的及び販売目的」と書いてありますが、英語の訳としては「開発及び販売の目的で」というふうにした方がよろしいかと思います。開発及び販売の目的で保有する不動産、いわゆる開発中の不動産に関しては、保有・利用目的の固定資産に関する減損の評価の基準を適用する。それから、開発がほぼ完了し、意図した利用目的に供することが可能な状態、従って開発が完了した不動産プロジェクトに関しては、処分目的の固定資産に関するFASB基準書121号の規定を適用する。すなわち、この瞬間に公正価値の方が低ければ評価減しましょうという規定になっております。

これを読むと、例えば、賃貸目的、投資目的、自社利用目的――自社利用は不動産プロジェクトの定義には入らないかと思いますが――特に賃貸目的等の投資、不動産について、開発が完了した段階で処分目的の会計基準を適用するというのはちょっと疑問に思うところですが、実務では、こちらに若干添付しました開示例等で見ますと、賃貸目的等の固定資産については、当然のことながら保有・利用目的の固定資産の会計処理を適用しているということになっております。新基準でもそれが追認されるような形で、明確な記載になっているように思われます。

不動産プロジェクトに関しては、個々の投資プロジェクトごとに減損評価するというのが実務上のアプローチです。また、基準の想定しているところもそこにあるのではないかと思われます。

議論になるのは、自社利用の固定資産についてどう考えるかということになろうかと思います。こちらに関しては、個別のキャッシュフローにならない限り、全社目的ということですので会社全体のキャッシュフロー、もちろんキャッシュフロー自体がダブルカウントにならないように減損評価の対象になったところに使ったキャッシュフローについては除きますが、全社のキャッシュフローをベースに判断される。従って、その会社全体のキャッシュフローの収益性がある程度確保されている場合には、自社利用目的の固定資産が減損評価の対象になるということは少ない場合が多いのではないかと思われます。

次に、11ページ以降、周辺の論点について思い当たるところでまとめてみました。これは当然のことですが、今まで申し上げてきた論点、経営者の方の判断、また開示情報等の整合性、社内意思決定目的の要素、過程等との首尾一貫性が要請されておりますので、監査人に対する期待は大きいのではないかと思われます。

アメリカでは、御存知のとおり、オーディット・コミッティーと会計監査人が頻繁な連絡をとって協議するということが要請されております。従いまして、監査人の判断もオーディット・コミッティーとの間での牽制機能があって、より慎重な判断にリードされていくということも考え得るのではないかと思われます。

12ページにあるんですが、これは割とおもしろい論点というか、確認した方がよろしい論点だと思いますが、最近、SECスタッフからいろんなコメントが出ております。特にアーニングス・マネジメント、日本語に訳すと利益操作と申しましょうか、アーニングス・マネジメントに対して警告を鳴らしています。

そこでは、会計処理の適時処理、用いられる仮定等の首尾一貫性、減損会計と割と似ている、しかし論点とは違うリストラの会計、FASB EITF94−3と95−3に見られるわけですが、そちらとの整合性、それから過度な保守主義の排除、減損会計と減価償却に関する見積もりの変更の誤用の排除、減損の兆候と会計処理の関連性等ということになろうかと思います。

今、SECのスタンスは、先ほど含めたところがより上位概念になろうかと思いますが、「過度な保守主義の排除」というのが大きな論点ではないかと思います。従いまして、減損会計につきましても、減損会計を促進するというのではなく、減損会計の適用が適時であるか、また余りにも過大な金額が不合理に計上されていないか、そういうようなスタンスで見る場合も多々あるかのように聞いております。

また、減損の兆候が不明確だけれども、念のため減損会計を適用するということもあってはならないことになっております。減損の兆候がない減損の会計というのは不合理な会計処理、というふうにSECは考えているようです。

減損に関しては適切な開示をするようにという要請もあるようで、つい先だって私の手元に届いたんですが、今年の3月二十何日だったと思いますが、アメリカの各会計事務所の方にSECスタッフが、減損会計に関連して適切な開示がなされるようにという注意喚起、また協力要請を配布したようです。これは営業権の減損の処理についてより力点を置いているように私は理解しました。

以上の論点に鑑みて、1999年11月、SECは、スタッフ・アカウンティング・ビューレティン100号を発行しまして、減損会計に関する考え方をFASB EITF94−3、95−3のリストラ会計等との整合性を持たせたと考えられます。

FASBの減損会計に関連する新基準でも同様の論点が織り込まれているというふうに考えられます。

13ページ、最後のページになりますが、最近のSECスタッフのコメント、FASBの新基準等を見ていきますと、減損会計の中でも保有・利用目的の固定資産の減損会計というより、どちらかというと処分目的の固定資産に関する議論の方が相対的には多いのではないかという気がいたしております。特に処分目的の固定資産は、いつをもって処分というタイミングと考えるか、そのタイミングが非常に議論されておるようで、むしろタイミングが早過ぎることの警告がされているのではないかというふうに私は個人的には理解しております。

逆に解すると、現行のFASB121号での処分目的の固定資産の処理は、SEC等が考えるところではタイミングがちょっと早過ぎるのではないかということもあったようで、今度のFASB新基準では、処分目的の中で売却目的の固定資産だけが処分目的に該当する、その中で売却可能な状況に至るまではその会計処理は適用しないということになっているようです。従いまして、廃却目的、交換目的等の固定資産は、その行為が実際に行われるまで、例えば廃却処分等が行われるまでは、保守主義の名のもとで事前に減損会計を適用しちゃったというのは基本的にこれからは否定されることになろうかと思います。

本日は時間の関係でお話しできなく、またほかの部会の方で恐らく検討されております営業権、こちらも非常に議論の多いところであろうかと思います。SECスタッフのコメントの一つを御紹介しますと、企業結合のあった年に営業権の全額を償却してしまうということは言下に否定しているようです。ただ、ドッグイヤーと言われるような中で事業をされているネット関係については例外だよということが議論の中で導き出されているようですが、原則として営業権を買った年に全部償却するということは否定されているようです。

あと、企業結合の会計処理と同じ中で、現在、新基準の公開草案が出ておりまして、これは少し間違っているんですが、「2001年第3・四半期」ではなくて、2001年6月ぐらいに発行予定と聞いております。こちらに関しては、報道等もされているように、企業結合等に伴って生じた営業権に関しては、償却することではなく、減損会計を全面的に適用しよう、若干アプローチが違うところがあろうかと思いますが、そういうことになっているようです。

また、営業権に関しては、SECのスタッフ・アカウンティング・ビューレティン100号に準拠した開示、これは全社レベルの営業権に関して要請されているということもここで確認できると思います。

要は、SECスタッフが注意を喚起しているのは、アメリカの企業がリストラ等の機会を利用して、またリストラの会計と相伴って減損会計を乱用しているということに関して非常に大きな危惧を持っているようで、121号が出る前からアメリカでは任意で各社が同様の趣旨、同様の思想で、保守主義の名のもとに任意の減損会計に近い処理をしていたとは思いますが、121号が出た段階である程度乱用に歯止めをかけ、各企業、首尾一貫したやり方でやるようにと。加えて、今度の新基準並びにSECのスタンスも、減損会計がリストラ会計等とともに乱用されるということに大きな警鐘を鳴らしている。従って、どちらかというと、あえて言ってしまうと、過度な保守主義というか、場合によっては保守主義そのものを否定するような側面もあろうかという気がしております。

非常に羅列的な御報告になって心苦しいんですが、私の用意した情報は以上です。

○辻山部会長

ありがとうございました。それでは、ただいまの大津参考人の御報告に関しまして御意見、御質問のある方は御自由に御発言ください。

それでは、太田委員。

○太田委員

最後の御発言の御趣旨で、121号が適用される前から固定資産等についても評価損の計上が行われていたのではないかということであったかと思いますが、それについて明らかな会計基準ですとか、そういうものが存在していたかどうか、もし御存知であればお教え願いたいんですが。

○大津参考人

明らかな会計基準というのは明確にはなかったと思います。ただ、営業権については以前から、APB意見書17号等でその議論がありますので、またFASB基準書121号が出た後も、APBオピニオン17号に従って会計処理するべき部分はあろうかと思います。しかし、基本的な、会計基準というより、会計の考え方として、そういうような保守的な会計処理が行われていたのがあったのではないかと思われます。

○太田委員

そうしますと、そういう基準がなくても、会計慣行として評価損を計上していくような会計のやり方がアメリカではあった、そこでどういう場合には評価損を計上して、どういう場合には計上してはいけないかというところで121号が出てきた、というような理解をしてもよろしいでしょうか。

○大津参考人

と思われます。私、実務はやっておるんですが、浅学で学術的な部分の研究が不足して申しわけないんですが、最近の流れと従来の考え方、特に保守主義に対する考え方が米国ではかなり変わってきたような気がしております。最近は、我々監査等をやっている中でも、減損会計、リストラの会計をやる場合には、米国での話ですが、どちらかというと会社側の保守的な処理を抑制するというアプローチが多いのが現状です。しかし、何年前というふうには申し上げられませんが、以前は保守主義が伝家の宝刀であった部分がアメリカでもあったかと思いますので、その段階では、学術的な部分は別として、そういうようなことが会計実務ではあったというふうに思われます。

○辻山部会長

ほかの質問もございますので、よろしいでしょうか。

それでは奥田委員、どうぞ。

○奥田委員

ちょっと教えていただきたいんですが、5ページのところ、将来キャッシュフローの見積もりということで、長期にわたって見積もりを行うのはかなり難しいというお話があったかと思いますが、9ページの割引率の適用のところですが、割引率を適用する期間についても前半と同じように例えば3年から5年、あるいは2、3年というようなイメージで考えていらっしゃるのか。その場合には割引率が適用される期間の終了時点、例えば2、3年の期末時点の価格はどういうふうに算定することを考えていらっしゃるのか、教えていただければと思います。

○大津参考人

まず、キャッシュフローの期間が長期というのは難しいんじゃないかという議論は、割引率を適用する前の減損の存否を判定する割り引かないベースでのキャッシュフローの話です。先ほど乱暴な言い方をしたんですが、短いところから始めて合格していくかどうかという部分が実務上とられる場合もあるのではないかということですので、この場合、期間についてそれほど神経質に一番最初のトライアルの段階ではやらない。長くなっていくに従ってそれの合理性という論拠が必要になってくるわけですが、減損が必要になったということになれば、期間というものはある程度覚悟して、合理性をはっきり立証できなければいけないですから、今度は割引率をその期間に合わせて適用する。

従って、論理的には、割引率については、数年間のキャッシュフローを見積もる場合には、1年後に適用する割引率と2年後、3年後、場合によっては10年後に適用する割引率、いわゆるイールドカーブを考慮して利率が変わってくるということになろうかと思います。それから、売却予定で入ってくるキャッシュフローの金額も、その期間に対応する割引率を適用するということになろうかと思います。

○辻山部会長

今の御質問の中で、ターミナルバリューをどういうふうに考えているのかという点についてはいかがでしょうか。最終年度のターミナルバリューについて御質問があったと思いますが。

○大津参考人

ターミナルバリューについては、アメリカの今の考え方からすると、ウイリングパーティー、好き好んで取引をする二者間での売買予定価格と、それが10年後に予定されるのでしたら、10年後に適用すべき割引率ということになろうかと思います。

○奥田委員

そうすると、割引率については、経営者の方のハードルレート等を参考にして、ターミナルバリューの算定に当たっては市場のレートを使うということでよろしいでしょうか。

○大津参考人

ターミナルバリューについてはハードルレートでいいと思います。

○辻山部会長

よろしいでしょうか。

○奥田委員

はい、わかりました。

○辻山部会長

それでは、ほかに。

どうぞ、品川委員。

○品川委員

ここに書かれている記述のことで簡単に質問したいんですが、5ページの真ん中から下に「電気・ガス会社の場合には減損が生じ得ない」というふうに書いてありますが、この具体的な意味を教えていただきたいことと、9ページ、やはり真ん中辺のちょっと下に「追加負債利率よりも相当程度高い」と書いてあるんですが、追加負債利率というのは、通常の企業の借入金利子率でよいのか、あるいは相当程度の相当は何%ぐらいを意味するのか、その3点について教えていただければと思います。

○大津参考人

まず、「電気・ガス会社の場合には減損が生じ得ない」、これは乱暴な表現なのかもしれないんですが、電気・ガス会社の場合には長期間の固定資産に対応する将来キャッシュフローを見積もることになるであろう、従って、資本的支出を一切考慮しなかったら、超長期の期間でのキャッシュフローを前提にしますので、現在の簿価と超長期のキャッシュフロー収入と比較すると、割り引かないという前提ですから、減損のテストをするときにはそういう減損は出てこないであろう、しかし、実務的には、このようなインフラ企業の場合、資本的支出の要素に近い部分は将来多額に予定されるべきであって、それを考慮すると場合によっては減損が生ずることもあるのではないか、というのが反対論者の意向だと思います。

それから、9ページのところの「追加負債利率よりも相当程度高い」、日本のことを考えていただきますと、各会社がこれから追加で資金調達しようという場合、何%で借りられるかというと、今日の0%金利政策のもと、かなり低い利率が適用されるのではないかと予想されます。しかし、各企業の目標の投資に対する期待収益率はそれよりもかなり高いはずですので、そういう意味で高いという言い方をしてあります。

何%かというのは、一義的に申し上げられるわけではなく、各会社ごとのハードルの設定の仕方にもよるということになろうかと思います。ただ、新基準ではハードルレートではなくて、リスクフリーでいこうということになっているようですので、それが最終に行った場合には各社、日本でいうならば結果としては低い金利が適用されるということになるのではないかと予想されます。

○辻山部会長

どうもありがとうございました。それでは、議事を先に進めさせていただきたいと思います。

次に、田辺委員から、銀行業界から見た固定資産の減損会計などにつきまして御報告をいただきたいと思います。それでは、田辺委員、よろしくお願いいたします。

○田辺委員

私ども銀行界といたしましては、昨年の8月に論点整理に関する意見書を提出させていただいておりますので、この審議会の場でも御紹介いただいている部分もあるかと思いますけれども、本日はそれについて簡単に御説明させていただいた後、土地の再評価法との関係で考えられる論点について少しお話しさせていただきたいと思います。

まず、資料2の1ページでございますが、これは私どもの意見書の内容を取りまとめたものでございます。まず総論として5つ挙げさせていただいておりまして、1つ目は、後ほど各論のところでも御説明させていただきますけれども、固定資産以外に関する類似の会計基準、特に棚卸資産にかかわる強制評価減とのバランスについて十分な配慮をお願いしたいということであります。2つ目は、関係する諸法規、主に商法、税法、土地再評価法との調整や取り扱いの明確化でございます。3つ目といたしまして、例えば土地に対する意識など我が国固有の問題への対応を考える上でも、諸外国における実際の適用実例について詳細な検討をお願いしたいということでございます。4つ目は、土地に関します我が国の特殊性あるいは減損会計が地価や経済全体に与える影響についても念頭に置いて検討を進めていただきたいということでございます。総論の5つ目ですが、企業会計に携わる者として実務負担等についても十分な配慮をいただきたいということでございます。以上が総論でございます。

続きまして、各論について御説明させていただきますが、まず他の評価減とのバランスでございます。

先ほど総論のところでも触れさせていただきましたが、固定資産以外の資産に関する評価減等との整合性に配慮して、著しい地価の下落等明らかに帳簿価格を切り下げる必要があると認められる場合に限って固定資産も減損を認識すべきであるということでございます。回復可能性のないものについてすべて減損を認識するという考え方もあるのかもしれませんが、棚卸資産については、取得原価を帳簿価格として、著しい下落が生じた場合のみ評価減を行うというのが現行の会計でございますので、これに対しまして回収可能額が簿価を少しでも下回った場合に帳簿価格を減額する必要ありという基準を固定資産について導入いたしますと、棚卸資産より固定資産に対して厳しい評価基準を課すことになりましてバランスを失することになるかと考えられます。

また、すべての資産について毎期減損の測定まで行うことは実務上負担が発生するということが予想されますので、こうしたことも踏まえまして、一定の要件を満たすものについてのみ減損を認識して、減損の測定を行うこととするべきではないかと考える次第でございます。従いまして、減損対象を抽出する基準である減損の兆候につきましても、全体の整合性や、ほかの評価減の適用要件との平仄を合わせる必要があると思われます。

次の論点といたしまして、グルーピングを行う際の個別財務諸表と連結財務諸表との関係について挙げさせていただいております。親会社の資産と子会社の資産が連結ベースで同一のキャッシュ生成単位にあると見られるような場合につきまして、減損会計の適用を連結財務諸表に限定するというような考え方もあるのではないかということは、今までの御審議でもお話が出ているように聞いておりますが、私どもとしましてもその点の御検討を御要望申し上げているものでございます。

また、3番でございますが、グルーピングに関しましては、銀行のように、ある特定の地域あるいは業務の種類というより、店舗のネットワーク全体で顧客サービスを提供・実現させているようなケースがあると思われますので、こういった場合、必ずしも個々の店舗あるいは何らかのセグメントによって回収可能性を測定するということがなじまない例も出てこようかと思われますので、画一的ではなく、そうした実態が適正に反映できるような基準にしていただきたいという要望でございます。

次に、税制との調和でございますが、減損会計を導入いたしますと、財・税の不一致が生じることも想定されます。これについては、税効果会計によって損益の調整がなされることになるわけですけれども、繰延税金資産を計上しますためには回収可能性を検証する必要がございまして、一時差異の解消のスケジューリングが合理的に行えなければ計上することができないわけであります。

減損対象資産が減価償却対象の資産であれば税務上の損金算入のスケジューリングは可能かもしれませんが、土地などの場合には売却が予定されている等の例外的なケースを除いてはスケジューリングを行うのは困難でありまして、繰延税金資産の計上が認められない可能性がございます。このような場合は、損益の調整が図れないばかりか含み損を抱えた物件については、税効果が適用できないのであれば、売却による処理に傾斜がかかって、それが売り圧力になって、結果として地価の下落を招くということも起きないとはいえないと思います。

一方、減価償却資産についても、税効果会計は適用できますが、財・税不一致のため二重の簿価管理や償却計算を余儀なくされるという実務負担が生ずることになってしまいますので、こうした問題点を回避する観点から、減損会計と税制の調和は不可欠であると考えている次第です。

次に、土地に関する意見でございますが、固定資産の減損を考えます場合、固定資産の種類ごとに検討していく必要があるかと思われますが、諸外国において減損会計の対象として想定されているのは、キャッシュフローによる評価方法が用いられているということからもわかりますように、実際に何らかのキャッシュフローを生み出すであろう種類の資産ではないかと考えられます。これはそうした種類の資産のウエートが高いためではないかというふうにも考えられますが、一方、我が国において比重が高いのは土地ではないかと思われます。そういった点を含めまして、海外で実際に減損の認識や処理が行われているケースに関する調査や検討が必要ではないかという趣旨でございます。

6番の土地再評価法の問題でございますが、税法同様、土地の再評価法についても減損会計時の取り扱いを明確化していただきたいというお願いをここでいたしております。ここで土地評価法に基づく土地の再評価についてのお話をさせていただきたいと思います。資料の2ページをごらんください。

平成12年3月末時点におきまして、銀行界では145行中106行、約7割の銀行が、土地の再評価法に基づく事業用土地の再評価を行っております。また、一般の事業法人の中でも再評価を実施されている会社が150社以上いらっしゃるというふうにも聞いております。この場で御説明申し上げるのは釈迦に説法かとは存じますけれども、銀行が行います土地の再評価時の会計処理について簡単に御説明させていただきたいと思います。飛びますが、資料の5ページをごらんください。

まず、左側でございますけれども、事業用の土地について評価を行います。評価の方法としましては鑑定評価、あるいは路線価、公示価格などを補正する等の手法がございますが、どのような評価方法によったかは貸借対照表に注記することになっております。この評価に基づきまして再評価前の簿価を当該評価額まで増減額しまして、一方で旧来の簿価との差額について税効果を考慮した上で土地再評価差額金として資本の部に計上いたします。

例えば、資料の左側の例ですと、再評価前の簿価30の土地の評価額が100であった場合、実効税率を仮に40%としますと、土地の簿価の増加額70の40%である28を再評価にかかわる繰延税金負債として負債の部に計上いたしまして、再評価差額金42を資本の部に計上することになります。

なお、BISの自己資本比率規制の比率算定上は、旧来の簿価と再評価後の簿価との差額、すなわち貸借対照表上の土地再評価差額金と再評価にかかわる繰延税金負債の合計額の45%を自己資本の補完的項目に算入することになっております。

さて、再評価の後の取り扱いですけれども、土地再評価差額金が変動いたしますのは、土地を売却した場合または実効税率の変動によって税効果の考慮額が変動した場合などでございます。土地に評価額の変動がある場合には、事業年度ごとに含み損益相当額を財務諸表に注記することになっております。

次に、売却した場合の仕訳でございますけれども、土地の簿価を引き落としまして、再評価後の簿価と売却価格との差額を当期利益の一部として認識しまして、一方で土地再評価差額金と繰延税金資産あるいは負債の取り崩しを当期利益の下の未処分利益計算で認識することになっております。

5ページの右側の例ですと、再評価後の簿価100の土地を売却価格80ですべて売却いたしました場合には、売却代金の80を受け取りまして、これを対価に再評価後の簿価100を引き落として、再評価後簿価100と売却価格80との差額20を売却損として認識します。

また、売却に伴いまして再評価にかかわる繰延税金負債28を取り崩して、法人税等調整額に計上いたします。

再評価差額金についても取り崩すことになりますが、こちらは当期利益の下の未処分利益として計上することになります。

以上の結果、でき上がりの損益計算書では、土地の売却にかかわる損益以外で経常利益が100あったとしますと、これに売却損が20減算され、税引前当期利益は80になります。一方で税務上の土地の簿価は再評価前の30のままですので、これを80で売却したとして50の益が計上されまして、税率40%として、20の法人税が計上されます。また、この場合、経常利益100に対して40の法人税が計上されますので、法人税の合計は60になります。これに再評価にかかわる繰延税金負債の取り崩しによる戻りが28ございますので、税金関係はマイナスの32になりまして、税引後当期利益は48になります。ここに再評価差額金取崩益の42が加算されて、未処分利益は90となります。

以上が土地再評価と売却時の仕訳でございますが、若干わき道にそれるようですけれども、再評価を実施した土地について現行の会計ルールを前提にしまして減損処理がなされた場合の仕訳について考えてみましたので、御説明申し上げます。次は資料の6ページをごらんください。

ここにお示ししました例は、あくまでこうなるのではないかという個人的な考えであることをお含みおきください。左側が減損処理に伴って再評価差額金取り崩しが認められない場合で、右側が認められる場合です。

まず、左側の取り崩しが認められない場合ですが、再評価を実施した土地に減損処理20を実施いたします。再評価後の簿価から20を減額しまして減損損失を計上いたします。先ほど御説明させていただきましたとおり、繰延税金資産の回収可能性の議論は別途ございますけれども、繰延税金資産8を計上するということにしてあります。これについては既に計上済みの再評価にかかわる繰延税金負債を取り崩すという仕訳も考えられるかと思いますが、その場合には再評価差額金を取り崩さずに繰延税金負債が取り崩せるのかという問題が別途あろうかと思います。

以上によりでき上がりのBSとPLはごらんのとおりになります。この場合に問題ではないかと考えられますのは、当該減損の対象となった20の部分の再評価時の差額金12でございますが、これがそのまま資本勘定に計上され続けているということでございます。

次に、右側の再評価差額金取り崩しが認められる場合ですが、減損処理と繰延税金負債、再評価差額金の取り崩しが発生しまして、減損損失20、法人税等調整額8、取崩益12を計上することになりますが、このうち取崩益12のみが未処分利益計算ということになります。この場合の問題点といたしましては、減損の損失が計上される一方で取崩益が計上されますので、再評価の範囲内での減損については最終の未処分利益に対する影響はないわけですけれども、このことについてどのように財務諸表上表示を行うのが適切なのかという点があろうかと思われます。

以上、はなはだ簡単でございますが、土地再評価に関する御説明をさせていただきました。

さて、銀行界の意見といたしまして、土地の再評価法に基づき再評価を行った土地について減損を行う場合に3点御検討いただくお願いをいたしております。戻りまして恐縮ですが、資料の2ページの右側でございます。その3つの点は、1番が再評価差額金等の取り崩し、2番が減損戻入時における再積立、3番が財務諸表における表示上の問題でございます。

まず、再評価差額金の取り崩しについてでございますが、再評価を行った土地について減損処理を行う場合、再評価差額金の取り崩しが認められる点を明確にしていただきたいということでございます。現在の土地再評価法の規定では、減損時に再評価差額金が取り崩せるとは明確に規定されておりません。

資料3ページの右側をごらんいただきますと、土地再評価法の第8条が出ておりますが、ここでは売却の場合と商法34条第2号の規定による帳簿価額の減額の場合以外、再評価差額金取り崩しは認められておりません。さらに、資料の4ページの左側を見ていただきますと、商法34条を載せてございますが、ここの第2号にあります「予測スルコト能ハザル減損」と、現在御審議いただいております減損会計における減損との関係が必ずしも明確になっておりません。

先ほど御説明させていただきましたとおり、減損によって簿価を減額する一方で、資本直入された再評価差額金がそのままということになりますと問題でありますので、この点を明確にしていただきたいということであります。

次の減損戻入時における再積立ですけれども、論点整理の中に挙げていただいております収益性が回復した場合の過年度減損損失の戻し入れを御検討いただく際に、減損によって取り崩した再評価差額金の再積立の要否についても併せて御検討いただきたいということでございます。

最後に、財務諸表上の表示の問題ですが、資料4ページの右側をごらんいただきますと、IAS36号が出ておりますが、ここでは、再評価された資産の減損損失は、その減損損失が当該資産について再評価剰余金として保持されている金額を超過しない範囲で、直接に同一資産の再評価剰余金に対して認識されるというふうに規定されております。

我が国では、現在の表示ルールに従って減損処理を表示いたしますと、先ほど御説明させていただきましたように、再評価差額金の取り崩しによる益が当期利益の下の未処分利益計算に計上されますが、一方で減損処理損と再評価にかかわる繰延税金負債の取崩益は当期利益に含まれて表示されまして、泣き別れのような状態が発生することになります。これにつきまして財務諸表の利用者に誤解を与えないように、損益の相殺表示などの是非について御検討いただきたいということでございます。

以上でございます。ありがとうございました。

○辻山部会長

ありがとうございました。ただいまの田辺委員の御報告に関しまして御意見、御質問がございましたら、お出しいただきたいと思います。

小宮山委員。

○小宮山委員

一つだけ確認させていただきたいんですけれども、資料2の1ページ目の右側の上に「対象資産のグルーピング」というふうに書かれていまして、「店舗ネットワーク全体でサービスを提供しているような実態が適正に反映できるようなグルーピングの基準としていただきたい」というところの意味を確認したいんですが、これは銀行の店舗用の土地とか、そういう話をされているのか、それともオンラインのネットワーク、コンピューター設備みたいな話をされているのか。個人の感覚からいうと、コンピューターネットワークは確かにネットワークとして機能しているんですが、店舗がそれぞれネットワークとして機能しているという認識は余りないんですけれども、この辺の意味を教えていただきたいんですが。

○田辺委員

イメージしているものとしては店舗用の土地等を念頭に置いているんですけれども、ネットワーク全体でサービスを提供しているというその背景にありますのは、必ずしもそこのお店を訪れるお客さんがそのお店に口座を持っているとは限らないというような点、また商品の提供等につきましても、そこの支店で必ずしも完結しているのではないものもあるという意味でここに申し上げているわけでございます。

○辻山部会長

小宮山委員、よろしゅうございますか。

ほかにございますでしょうか。品川委員、どうぞ。

○品川委員

1ページの(4)税制との調和ですが、先ほどの御説明ですと、土地を減損する場合、繰延税金資産の計上が困難だという御説明だったと思いますが、現在、土地再評価に関する法律で、評価益を計上した場合には繰延税金負債を計上しているわけですけれども、それと同じようには考えられないんですか。

○田辺委員

減損会計の場合には損失を計上するのが前提になると思われますので、繰延税金資産をグロスのベースで計上することになると思うんですが、その場合には具体的な売却計画ですとか、そういったスケジューリングがないと繰延税金資産の計上は認められないのではないかということを我々は懸念しているわけでございます。

○辻山部会長

品川委員、よろしゅうございますか。

○品川委員

今、土地の再評価に関しても処分のスケジューリングが予測できないわけですよね、それと同じように考えられないのかなと思ったものですから。今の説明でわかりましたけれども、疑問がそこにあったものですから。

○辻山部会長

ほかにございますでしょうか。

では、ただいまの田辺委員の御報告に関しまして質疑がもしございましたら、後でまた続けさせていただきたいと思います。

それでは、次に笠間委員から、保険業界から見た固定資産の減損会計等につきまして御報告いただきたいと思います。笠間委員、よろしくお願いいたします。

○笠間委員

住友生命の笠間でございます。よろしくお願いいたします。

昨年8月の論点整理に対する業界の意見を実務的に取りまとめました立場からお話しさせていただきます。お手元の資料をごらんください。目次のとおりの順番で御説明させていただきます。1が生保会社の不動産投資の現状と課題、2が生保会社の経理と財務構造、ここまでは御紹介ということでございまして、3が減損会計導入の生保会社への影響、4が要望事項ということでございます。

1ページをお願いいたします。まず、生保会社の不動産投資の現状でございますが、左下の表をごらんください。生保会社全社の保有資産構成でございます。業界全体で見ますと、総資産190兆円のうち、総資産の4.8%を不動産資産が占めておりまして、金額の規模といたしましては、平成12年3月末の残高で約9兆2,000億円ございます。不動産投資は保険負債の長期性に適した運用資産として中核的な位置づけにございます。

また、内容的には首都圏、近畿圏等都市商業地を中心に投資用不動産を有しております。投資用不動産と申しますのは、保険会社の場合、オフィスビルの賃貸が主なものでございまして、その規模は大手不動産会社に匹敵するレベルにございます。右の方の表に大手生保5社と大手不動産会社の賃貸不動産の延床面積を記載しております。

次、2ページをお願いいたします。左下の表をごらんください。昭和60年以降の生保全社の年々の増加資産と、そのうち不動産の増加資産の比較の表でございます。長期安定的な不動産賃料収入を得るという目的で、平成7年ごろまでは毎年の増加資産の大体5%程度を不動産投資に振り向けているということでございます。いわゆるバブル期におきましては、全体の増加資産が大きいということもございまして不動産投資金額も大きなものになっているということでございます。

右の方の表をごらんください。商業地の地価動向の推移と生保の不動産残高の推移を記載しております。日本の商業地地価は、平成3年をピークに一貫して下がり続けている状況にございます。昭和51年を100とした場合の指数で、平成3年は754でございます。平成12年の地価水準は、昭和五十七、八年当時とほぼ同レベルにございます。昭和58年度以降取得した残高増加分が約7兆円ございます。保有残高が現在9兆円でございますので、その77%程度を占めておりまして、不動産マーケットの低迷による影響は大きなものがあるということでございます。

3ページをお願いいたします。このような状況の中で、生保不動産投資の課題でございます。

土地の含み益につきましては、当然減少してきておりまして、平成12年3月末で見れば、大手5社でネットで2,323億円の含み益を確保しております。しかしながら、グロスといいますか、含み損だけを取り出してみれば、かなりの額がございます。

一方、不動産投資利回りの方は、簿価ベースで1.9%と2%を切っております。右の表の方でございますけれども、先ほど増加資産のところで少し触れましたが、平成8年以降の不動産の売却の実績でございます。平成8年以降は売却を進めているということが顕著にあらわれております。含み損を着実に解消しまして、収益、利回りを維持向上させることが最大の課題でございまして、各社その対応を進めているところであります。

次に、4ページをお願いいたします。話がちょっと変わりまして、保険会社の会計制度でございますが、保険事業の特性として、保険契約者保護の観点から保険期間を通じた支払い能力の確保が要請されます。一般事業会社と大きく異なる点といたしまして、保険契約の性格ということでございますが、負債の超長期性・不確実性・非市場性といったことがよく挙げられております。したがいまして、資産運用につきましても長期安定的な運用が求められております。

以上のことから、当然のことながら会計の枠組みといたしましては業法会計ということでございますが、現実には、記載しておりますとおり、商法の公正なる会計を斟酌いたしまして、基本的には企業会計審議会が策定する基準に従っているという状況でございます。

次、5ページをお願いいたします。全生保の平成11年の貸借対照表、損益計算書の要約でございます。

まず貸借対照表の資産の部でございますが、先ほど不動産9兆円というお話をしましたが、土地が約5兆円強、建物が約4兆円弱ございます。そのほか、BSのポイントといたしまして、総資産が全社で190兆円でございますが、1つは、時価評価の対象資産である有価証券が50%強を占めている。負債の部では、超長期の負債である責任準備金というものがあるんですが、それを主とする保険契約準備金が90%強を占めている。資本の部が4兆4,000億円ということでございまして占率は2.3%、資本の部は資産が大きい割に非常に小さい、他業態に比べましても資本のバッファーが薄いという特徴がございます。これは、相互会社の場合、当期に発生します剰余の大部分を御契約者に配当として還元してきたという歴史があるからでございます。

PLの方ですけれども、経常利益の規模が1兆8,000億円、当期剰余が約8,000億円でございます。当期剰余と申しますのは株式会社でいうと当期利益に当たるものでございまして、これは全社ベースでの表でございますので、相互会社の当期剰余と株式会社の当期利益が含まれております。表示としては当期剰余とさせていただいているということでございます。

6ページに参りまして、以上のような状況の中で、不動産の減損会計が単純に導入された場合、生保にとってその影響は極めて大きいものがございます。

大手5社では土地について、含み損を越える含み益がありまして、経営の健全性という点から見れば問題はございません。しかしながら、損の部分にのみ着目する減損会計の基準・範囲次第ではかなりの額の影響があるということでございます。

先ほど土地の簿価が5兆円というふうにお話ししましたけれども、大手5社では簿価が4兆円でございまして、それから推測いたしますと、相当な額が減損の対象になるだろうことが推測されるということでございます。仮に範囲を公示価格の50%下落というふうに限定いたしたとしても、かなりのものが該当するというふうに考えられるということでございます。

さらに、減損会計が導入された場合、決算への影響をいたずらに恐れることによりまして物件を売り急ぐ懸念もあり、そのことがさらに地価の下落を招くという悪循環に陥っていることもあるということでございます。

繰り返しになりますけれども、含み益と含み損が両方あるわけでございますが、それに対応する簿価というのは約4兆円でございまして、その場合、4兆円の簿価に対してでございますので、相当の額が減損対象になるだろうというふうに業界では推測しているということでございます。

7ページでございます。要望事項を説明させていただきます。これは読み上げさせていただきます。

まず、導入時期の慎重な検討でございます。不動産市場、ひいては日本経済に与える影響を慎重に検討した上で導入時期を決定していただきたいということでございます。減損会計導入への事前準備の手段としては、不動産の売却・処分しかないため、結果として望まない売却を早急に進めざるを得ず、不動産市場への悪影響も大きいということがございます。

次に、減損処理基準と手法の十分な検討と十分な広報及び準備期間の設定をお願いしたいということでございます。お話にもございましたけれども、例えば見積もり将来キャッシュフローの割引現在価値の算出につきましては、見積もり誤差が発生する可能性が非常に高いと思われ、現時点では会計上の測定値とするのは実務上困難というふうに考えられるということでございます。まずは日本の不動産市場の実態を踏まえた客観的かつ統一的な基準・手法の確立が必要というふうに考えます。

また、基準の複雑化・専門化に伴いまして細部公表から適用開始まで十分な準備・周知徹底期間が必要というふうに考えます。現実に金融商品の会計基準の適用に当たってもかなり混乱が見られたというふうに考えております。この問題は、単に会計実務の問題ではなく、その数値等の与える影響というものが経営レベルの問題であるという点がございます。

3つ目は激変緩和措置であります。これは企業の方の話でございますが、長期にわたり評価されていなかった固定資産を一度に評価減するというのは不合理であると考えます。今年度導入されました退職給付の会計基準変更時差異の償却の影響も大きいものがございます。従いまして、退職給付の会計基準変更時差異と同様に相当期間で均等償却する方法や、導入時に含み益、含み損を相殺できる仕組み、例えば導入時に土地再評価法の適用を可能にするということでございますが、そういう検討をお願いしたいということでございます。

また、先ほど話に出ておりましたけれども、土地再評価後の減損処理についての取り扱い、例えば再評価後の簿価を基準に減損の判定をすること等の取り扱いを明確にする必要があるというふうに考えます。

最後、8ページでございますが、税法・商法・他の会計基準との調整でございます。御承知のとおり、税法・商法等の検討は会計基準が決まってから検討が始まる、適用開始後に取り扱いが決まるというのが通常でございます。影響が小さいものについてはそれでもよいわけでございますけれども、最近の会計基準の見直し全般にいえることでございますが、決算数字、経営に与える影響が大きいものにつきましては企業としても非常に困るわけでございまして、適用開始前までにすべての取り扱いが明らかになっていることが望まれるというふうに考えます。従いまして、総合的、同時並行的な検討を行っていただきたいということでございます。

税務上の措置につきましては、結局のところは土地の評価損ということになってしまうと思いますが、基本的には会計上の損失処理と税務上の損金処理の整合性を確保していただきたいということでございます。例えば、有価証券の減損につきましては、一部乖離が生じている部分がありまして、実務面では混乱があるものの、ある程度の整合性は図られているというような面がございます。

最後に、生保業の特性への配慮ということでございまして、この場ではそぐわないかもしれませんけれども、読ませていただきます。生保会社は、契約時に約定しました予定利率を長期にわたり毎年履行するという責務を負うとともに、有配当契約に対する長期的かつ安定的な配当を支払うことが期待されております。また、契約者保護の観点から、生保の財務諸表は長期に安定的な支払い能力を表示するものでなければなりません。従いまして、超長期の負債を有し、長期安定的な運用が求められる生保に対しては、その影響面を十分踏まえた措置が必要であるというふうに考えております。

後ろ2枚につきましては、8月の論点整理に対する業界の意見でございますけれども、昨年8月時点のものでございまして、その後の土地再評価法の再延長等もございましたので、現時点のものではないということを申し添えます。

以上でございます。

○辻山部会長

ありがとうございました。ただいまの笠間委員の報告に関しまして御意見、御質問のある方はお出しいただきたいと思います。

○伊藤委員

6ページの生保会社への影響のところですが、これを拝見すると、資産のグルーピングという考え方がここに現れていないんですが、資産のグルーピングというのを加味した上で相当の損が出る、そういうお考えなんでしょうか。

○笠間委員

先ほど説明いたしましたけれども、投資不動産というものが大きい比重を占めておりますので、自社店舗というより投資不動産が大きい。投資不動産につきましては、個別のビル単位で考えておりまして、そこに何らかのグルーピングというものが検討できるのであれば非常にいいわけでございますが、そこは特段の知恵が現時点ではございませんで、賃貸用のオフィスビルはビルごとに判定するだろうというふうに考えておりまして、そうするとこのような含み損の額になるということでございます。

○辻山部会長

そのほかにありますでしょうか。

秋葉委員、どうぞ。

○秋葉委員

数字の面で恐縮ですが、3ページのところで大手5社ベースの利回りのお話がありまして、5社ベースの簿価をお話ししていたように思ったんですが、聞き漏らして、こちらのペーパーですと、全社ベースの時価は9兆円というお話があったんですが、5社ベースの簿価がどのぐらいかということと、あと、ここの1.9%というのは、当初予定していた利回りと比べて低下しているという方向にあるのか。先ほど昭和58年以降の増加は不動産が占めているというお話がありましたが、当初からこのぐらいの話であったのか。もし1.9というのが当初の予定に比べて下がっての利回りということになれば、それが収益性の低下ということで、ここで話している減損の対象に明らかになるというものだと思いますし、片や長期性の負債の方は、変額保険のようにパススルーであればともかく、ある程度の利回りを約束しているのであれば、それに合わせるということの方が妥当かなとも思うんですけれども、激変緩和措置の話は別にしまして、お考えをお聞かせいただければと思います。

○笠間委員

まず、不動産の残高の方でございますけれども、業界ベースの9兆円という数字に対しましては、土地、建物等を含めまして5社ベースでは7兆円ぐらいでございます。

それから、これは土地でございますので、若干借地権も入っておりますけれども、5社ベースの含み損益に対する土地は約4兆円、従いまして含み損益に対しては4兆円が分母となるということでございます。

それから、不動産投資利回りは、平成11年ベースの総分母は不動産勘定の平残でございまして、分子は不動産賃料収入から諸費用を引いたものが1.9%になるということでございます。

増加資産の一定割合について不動産投資を行っていく中で、五十七、八年から平成何年というふうに投資している段階では、もうちょっと高い利回りを想定して投資してきたものでございます。そこで減損の対象になるかどうかということであれば、もちろん想定した利回りよりは低くなっているということでございますが、先ほどから申していますように、長期の負債に対応して長期の資産を持っていくという生保のスタンスといった点から、あるいは時価ベースで見れば、かなりいい利回りの物件もあるということで、話が違いますが、売却したくないものまで売却していくというのは妥当ではないと考えているということでございます。

○辻山部会長

そのほかにございますでしょうか。

川村委員、どうぞ。

○川村委員

投資不動産として不動産を認識されていらっしゃるような御説明だと思ったんですが、そのようなケースですと、益と損を両にらみで考える。そうすると、国際会計基準で言っているような時価モデルというものがこういう場合にはぴったり合うのかなという印象を持ったわけですが、不動産会社の方のお話を聞いたときとは、同じ投資不動産と言われているものでも大分感じが違うなと思ったんですが、生保のお立場として投資不動産について全面的に時価モデルを適用するようなオプションはどうお考えか、御意見をいただければと思います。

○笠間委員

投資不動産の時価会計ということに対しては両論ございますが、安定性がなくなるので、先ほど申しました生保の特性ということから考えたら、なかなかとり得ないのではないか。収益の安定性といいますか、変動が激しいという意見もございます。

ここは考えですが、JWG、金融商品の時価会計がございますが、それは今、議論されているわけでございますけれども、投資不動産と金融商品の時価会計ということであれば、金融商品の時価会計、PLを通すということの方を先に議論して、そこが議論されないと投資不動産だけ先に時価を行うということはなかなか難しいのではないか。つまり、価格の公正価値の問題とか、あるいは流動性の問題がございますので、先に投資不動産を時価会計に持っていくということは議論としては難しいのではないかと考えております。

ただ、激変緩和措置的なものの一つとして、不動産含み益、含み損を両建てするために投資不動産の時価会計が選択肢の一つであれば検討する余地はあるのではないか、というのが昨年8月の我々の議論でございました。何回も申しますけれども、その後、JWGの議論とか、土地再評価法が再度延期になったということを考えますと、若干状況は変わってきているのかなというふうに思っております。

○辻山部会長

品川委員、どうぞ。

○品川委員

今の御質問にもちょっと関連するんですが、算定の基準になる時価はそもそも何をもって時価としているのか。

○笠間委員

公示価格が中心でございますが、鑑定評価額も含まれています。

○品川委員

5社ばらばらですか。

○笠間委員

基本的には公示価格です。ただ、鑑定評価をとっているものもあるということです。

○品川委員

7ページで公正価値算出をやるのは困難であるということで、公示価格をそのまま使えば特に問題がないということですか。

○笠間委員

公正価値算出と書いていますけれども、比較可能性という面では公示価格の方がより一本化しやすいと思いますが、減損の価格としては公正価値がいいのか、それとも企業固有価値といいますか、先ほどお話がございましたが、経営者の見積もりとか、そういうのを入れたものがいいのかというところは、これからの議論だというふうに考えておるんですけど。

○辻山部会長

そのほかにございますでしょうか。

この段階で、本日御報告のありました大津参考人、田辺委員の御報告につきましても、途中審議を先に進めさせていただきましたので、戻りまして御意見、御質問がございましたら、あわせて出していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

大塚委員。

○大塚委員

住友生命の笠間さんにちょっとお伺いしたいんですが、5ページに生保のBSとPLがございますね。先ほど説明で、資産の有価証券が時価評価の対象になるというふうに聞いたような気がするんですが、負債の保険契約準備金、責任準備金とのかかわり合いにおいて、ヘッジで持っているような場合については時価評価の対象としないと考えられているんじゃないかなという感じがしたんですが、その辺のところを。

○笠間委員

伊藤先生がよく御存知ですが、業種別監査委員会報告21号が出まして、円建て債券の一部について責任準備金と対応関係にあるといいますか、デュレーションが一致しているものについては第4の区分と申しますか、償却原価が認められるという取り扱いができております。ただ、それはあくまで円建て債券のうち負債とデュレーションマッチングしているという一部のものでございまして、株式とか外国証券とか、そういうものは基本的に時価評価する。つまり、基本的には時価評価でございまして、そういう例外が一部認められているということになっております。そういう整理でございます。

○大塚委員

まだこれからということになるかと思いますけれども、その割合は大体どのくらいなんでしょうね。

○笠間委員

平成12年に始めるか、13年に始めるか、そういうものを必ずしなければいけないということでもございませんので、今年やる会社、来年やる会社、それが幾らぐらいになるかは全然わからないということでございます。

○大塚委員

それから、これは私の勘違いかもしれませんけれども、不動産の含み損益のことですが、ソルベンシーマージン比率の計算の段階で入ってくるので、たしか住友さんはディスクロージャー誌で開示されていませんでしたか。

○笠間委員

当社に限らず、全社かどうかわかりませんが、少なくとも大手は、ネットの含み損益は自主ディスクロで開示しております。ここでいう2,323億は開示されておりますが、グロスでは開示されていないということです。

○辻山部会長

そのほかにございますでしょうか。

平松委員、お願いします。

○平松委員

大津参考人、ちょっと抽象的な質問になって申しわけないんですけれども、ニュアンスとして、アメリカと日本の対比で申しますと、一般論として、我々、長く日本の会計の方が保守的であるというニュアンスがどこかにあったように思っております。きょうの御報告で非常に参考になったんですが、アメリカの方がむしろ過度の保守主義を戒めるようなニュアンスで121号等がある。今、日本で行われている一般的な、特にマスコミで議論されております減損会計につきましては、日本の状況の中では減損をしたくないというニュアンスが伝わってくるんですね。アメリカの方は、逆に減損したいという意味ではないと思いますけれども、基準の方がそれを抑える方向に行っている、そのあたりの背景の違いを実務をなさっていてお感じになったことがあればお教えいただければというふうに思います。

○大津参考人

今おっしゃられた中で、121号が適用された段階で既に保守主義を戒める傾向が顕著だったかどうか、この辺については何ともいえない部分があろうかと思います。ただ、最近のSECのスタンス等を見る限り、私は個人的にはそのように理解しております。恐らくアメリカの経営者としましては、例えばリストラ等何らかのきっかけがあった場合、そのきっかけを契機に大なたを振るいたい部分は、会計処理上、誘因としてはあろうかと思います。そこにおいてリストラ等をプレスリリースする段階で、将来の負担を軽減しておきたいという誘因のもとに、保守主義という名のもとで本来の資産、負債の概念から逸脱するようなものをベースに会計処理することが実際のところ多々見られるということで、SEC側としても警鐘を鳴らし始めたというふうに思われます。

アーニングス・マネジメントの考え方というのは、利益操作という言い方になっているんですが、私の理解するところでは、SECは、資産、負債をもうちょっと厳密にとらえて、資産として上げるものは上げるし、負債として上げてはいけないものは上げない、資産として評価減すべきものはするということで非常に厳密に見ようとしておりますので、損益計算書を重視するというより貸借対照表の部分をより注視して適切な会計処理をするように、というところだと思われます。

○平松委員

そうすると、もう一度少しだけ確認ですが、この御報告にもございましたけれども、概念書第7号を含む理論的なフレームワークにかなり忠実に追随するような形で新しい基準の方向も考えられていると考えていいんでしょうか。

○大津参考人

と私は思っております。

○辻山部会長

そのほかにございますでしょうか。

高野委員。

○高野委員

先ほどの大津参考人の話の中で3ページのところですけれども、2つ目のポイントのところに「キャッシュフローの見積もり対象期間」というのがございまして、大きな字で「対象資産が減価償却されるならば残余償却期間」と書いてございますが、その下の小さい字では5年から10年とか、あるいはかなり短目の年数が書いてございます。経営者側が長期のプロジェクトと考えたものであれば、例えば10年以上も採用は可能なんでしょうか。

○大津参考人

ここでの書き方としましては、要は、現行FASB121号の適用においては、対象期間を画一的に見積もる慣行には至っていないということになろうかと思います。ある論者というか、太字で書いた残余償却期間もしくは残余使用期間を使いましょうという通説的な部分があろうかと思いますが、個別の実務にあっては、監査人との協議の上、余りにも長期というのはいかがなものかということで、先ほど乱暴な言い方で申し上げましたが、テストをする段階で短か目なところから始めていくというのがあろうかと思います。

それからすると、前置きが長くなって恐縮ですが、結果として現行の121号の基準のもとで、長期固定資産に関して長期期間、例えば20年、30年という期間を置いて減損の存否のテストをするというのは許容されると考えてよろしいかと思います。ただ、長期になればなるほど説明責任というのは生じ得ますので、会計処理だけではなく、MD&A等でどうやってそれを合理的に説明できるかというアカウンタビリティーは当然のことながら伴ってくるのではないかと思われます。

先ほど申し上げたように、新基準では、短い期間でやるのではなく、対象固定資産の見積もられる残余使用期間でやるということになっておりますので、先ほどおっしゃられた部分が認められるかではなく、むしろその方向でやらざるを得ないということになろうかと思います。

○辻山部会長

増田委員。

○増田委員

大津参考人に伺いたいんですが、プレゼンテーションの9ページの真ん中ごろのグレートポイントで「追加負債利率よりも相当程度高い」、話の勢いでおっしゃったことなので正確な表現ではないと思いますが、今のような日本の超低金利の世の中では高いけれども、金利が落ちつけばリスクフリー・レートと同じようになるという御説明がちらっと出たと思いますが、私は明らかにそれはおかしいんじゃないかと思います。

例えば、会社のインターナル・レート・オブ・リターンがリスクフリーで稼げるような金利であるところを最初から目指すことが論理的に矛盾していますし、その会社に投資する立場からいっても、会社の収益のボラティリティーがある分だけリスクプレミアムを要求するのは当然だと思います。そこでの解釈がおかしいと、アメリカでの新基準がなぜリスクフリー・レートを使っているのかということの解釈もおかしくなるんじゃないかと思います。アメリカでなぜリスクフリー・レートを使うのかといえば、EVAあるいはエコノミック・プロフィット分析を使って会社が自分のインターナル・レート・オブ・リターンを規定するときに、その会社の自己資本のリスクプレミアムを考慮に入れたモデルを使っているから、その上に屋上屋を架すような形でリスクプレミアムを科す必要はない。

ただ、日本の会計でいいますと、インターナルレート・リターンをリスクプレミアムをつけて考えている会社の方がむしろ少ないですから、同じようにリスクフリー・レートにしたらちょっとおかしいんじゃないかなという気がしますが、いかがでしょうか。

○大津参考人

私の話し方が悪かったのかもしれないんですが、私の考えるのもまさにそのとおりです。現行では明らかに0%金利政策のもとでかなりの差がある、かといって私、逆説的には申し上げなかったと思います。もし仮に日本の経済危機がある程度緩和されて、あえていうならば金利が適正水準になったとき、リスクフリーとここで言っているハードルレートが同じになるということは申し上げていないので、おっしゃるとおりだと思います。

○辻山部会長

そのほかにございますでしょうか。

どうぞ、奥田委員。

○奥田委員

アメリカの会計のことはよくわからないので教えていただきたいんですが、日本の場合には不動産というと土地と建物と分けて出ていると思いますが、アメリカの場合には、例えば不動産の世界では土地と建物を一体として価値を把握するという考え方が主流ですが、会計上は土地と建物は別々に計上して、減損する場合にも土地、建物というふうにやられるのか、あるいは土地と建物を一体として減損の対象とするのか、その辺を教えていただきたいと思います。

○大津参考人

もちろんのことながら個別事情で両方あり得るとは思いますが、私、個人的に思うには、プロパティーという言い方で総称するように、土地、建物をワンセットで考えるケース、それがキャッシュフロー創生の最低単位というふうに考えられるケースの割合は日本より相対的に高いと思います。

○辻山部会長

そのほかにいかがでしょうか。

それでは、そろそろ定刻が参りましたので、本日の部会はこれで終了とさせていただきたいと思います。

また、本日はお忙しい中、大津参考人には大変貴重な御報告、ありがとうございました。

なお、次回の当部会の日程でございますが、5月11日金曜日の午後4時からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。正式には改めて事務局から皆様方に御連絡させていただきたいと思います。

本日は皆様方には大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。これにて散会とさせていただきます。