企業会計審議会第20回内部統制部会議事録

1.日時:平成22年11月25日(木曜日)14時57分~16時12分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 13階 金融庁共用第一特別会議室

○八田部会長

それでは、ご予定の委員全員ご出席になられましたので、定刻より少し早いですけれども、これより第20回内部統制部会を開催いたします。

皆様には、お忙しいところご参集いただきまして、ありがとうございます。

なお、本日の部会も企業会計審議会の議事規則にのっとり、公開することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

ご了解いただきましたので、そのように取り扱わせていただきます。

それでは、議事に入ります。

前回、10月28日の部会では、まず内部統制報告書の提出状況につきまして、事務局からの説明、質疑応答を行いました。次いで、内部統制報告制度の運用の見直しについての追加的な要望・意見を紹介の後に、見直しの内容や方向性につきましてご審議いただきました。

本日は、前回の部会でいただきましたご意見等も踏まえ、見直しの内容を具体的な基準・実施基準等の見直しの案文として整理いたしましたので、主として内部統制の基準・実施基準の改正案などにつきましてご審議をいただきたいと思います。

基準・実施基準の改正案などについてご審議いただく前に、前回の部会におきまして大崎委員よりご質問をいただいた点につき、事務局で確認ができたそうですので、事務局から報告してください。

○古澤企業開示課長

ありがとうございます。

お手元の資料1-1と1-2をご覧ください。

大崎委員からお問い合わせいただいた件ですが、まず1-1の1ページ目が21年6月から22年5月に提出された内部統制報告書の提出状況です。注5で「内部統制の評価結果を『重要な欠陥』とした会社は、92社の外に」とある。92社は、この表で申しますと、2.の下のほうの四角のマル2のところ、ここが92社ということでございます。この92社のほかに、訂正報告書により「有効」から「重要な欠陥」に訂正した会社が8社あるということでございます。これにつきましてはすべて平成20年度分の訂正ということになります。

次のページでございます。ご質問いただきましたのが、このページの注5のところで、内部統制の評価結果を「重要な欠陥」とした会社は、上記24社の外に「重要な欠陥」に訂正した会社が7社あり、うち1社は平成20年度分の訂正ということです。すなわち、7社のうち6社につきましては当年度の内部統制報告書の訂正で、それ以外の1社につきましては過年度分です。

具体的な内訳が資料1-2でございます。

見ていただきますと、会社名はEDINET上では見られるようになっていますが、伏せた形で資料は作らせていただきました。内部統制報告書の提出日があり、それから訂正内部統制報告書の提出日がございます。下から2番目のE社につきましては、21年6月29日と、22年6月28日提出分を、同日、今年の9月13日に提出しているということでございます。この21年6月29日分が過年度分の訂正であり、7社のうちの1社の内訳ということであります。そういう意味では、6社について、件数で申しますと7件あり、そのうち1件について過年度分というのが正確な言い方かと思います。訂正理由は、右にございますような理由が開示資料で示されております。

簡単でございますが、以上です。

○八田部会長

ありがとうございました。

大崎委員、よろしいでしょうか。

○大崎委員

ありがとうございました。

○八田部会長

それでは、事務局も交えて、見直しの内容を具体的な基準・実施基準の見直しの案文として整理いたしましたので、事務局から説明してください。

○古澤企業開示課長

お手元の資料2、それから3、4、5、6という形でご用意してございます。

資料2が、先日も見ていただきました見直しの主な内容(案)を整理したものでございます。資料2の変更点を2か所ご紹介させていただければと思います。

1つ目が、(1)の3つ目のマルです。表現を若干加えまして、「内部統制監査と財務諸表監査の一層の一体的実施」となっていたものを、「一体的実施を通じた効率化」といたしました。これは先日、久保田委員からご指摘いただきました、一層の一体的実施を行うことが、かえって効率化につながらなくては逆効果だということなので、ここについては効率化が最終的な目標だということを明示いたしました。

それから、2点目ですけれども、(4)の「重要な欠陥」の用語の見直しにつきましての今回の資料の立てつけでございますが、「開示すべき重要な不備」ということで資料3以下の案文を整理しました。前回は「重要な要改善事項」と整理していましたが、今回は「開示すべき重要な不備」ということでございます。この点につきましては、どちらの用語に見直すことが適切か、本日、ご審議いただければと思います。これが資料2でございます。

資料3につきましては、2つのポイントについて、ご確認をお願いいたします。まず、13ページをめくっていただきますと、先ほど申し上げましたように、「重要な欠陥」という用語を「開示すべき重要な不備」ということで直してございます。

それから、ずっとページをめくっていただきますと、同じタイプの修正が並んでおります。例えば16ページ、それから17ページでございますが、この改訂案のアンダーラインを引いているところが直しでございますけれども、同じ用語の変更がございます。

17ページで、もう1種類の直しがございます。17ページの下のところ、これはM&A関係のものでございます。もともとの現行の注を見ていただきますと、「やむを得ない事情により十分な評価手続が実施できなかった場合としては、例えば、期末日直前における他企業の買収等」とございますけれども、改訂案にございますように「下期における他企業の買収等により」ということで直してございます。この点については、評価及び報告の実施基準のほうでも出てまいりますので、改めて補足させていただきたいと思います。この資料3の新旧対照表の基準での改正事項といたしましては、「開示すべき重要な不備」という用語の変更、それから、17ページの注の「下期における」というところを直したということでございます。

続きまして、資料4・5の実施基準でございます。実施基準については、資料4が評価及び報告の部分と資料5が監査の部分でございます。

まず、資料4ですが、めくっていただきまして、3ページでございますが、先ほどの「重要な欠陥」を「開示すべき重要な不備」ということで用語を変更しているというものでございます。それ以外のものが出てまいりますのは4ページ以降でございます。

まず4ページ、5ページの注のところでございます。ここは「重要な欠陥」と申しますか、「開示すべき重要な不備」の判断基準の明確化という項目でございます。(注1)にございますように、連結総資産、連結売上高、連結税引前利益などは、実績値のみならず、それぞれの過去の一定期間における実績値の平均を含むということに留意するという注を加えました。

それから、注2の前半部分は、これは現行のものとほぼ同じでございますけれども、注2の後半、5ページに入るところでございますけれども、5%という基準に余りリジッドに引っ張られないようにするという必要があるのではないかというご指摘をいただきまして、例えば5%でなく、必要に応じて比率の修正や指標の変更を行うこと、特殊要因等を除外することがあり得るということを明記したということでございます。

それから、7ページの持分法適用会社の件でございます。ここにつきましては、持分法適用会社に係る評価、監査方法の明確化という項目で従来ご説明させていただいたところですが、具体的な書きぶりとしましては、7ページの(注)にありますように、持分法適用となる関連会社が他の子会社であって、当該関連会社の親会社が本基準に基づき内部統制報告書を作成し監査を受けている場合、マル1マル2というような書面を利用することができるということを明確化してございます。それから、役員の派遣や兼任の状況などにより、子会社と同様の評価を行えないという特段の事情がある場合には、財務情報に係る管理プロセスの確認等の適切な方法を利用することができることに留意するとしてございます。これは先日、高田委員からもご意見をいただいたところでございます。

それから、10ページは全社的な内部統制の評価範囲の明確化という項目でご議論いただいたものでございます。

(注1)のほうでありますけれども、95%に入らないものは評価の対象から外すという取り扱いが考えられるが、この比率については機械的に考えるべきではないということを(注1)として補ってございます。

(注2)も、すべての連結子会社に一定の基準を適用するのではなく、連結子会社の事業の内容に応じて異なる基準を適用することも考えられるということを明確化したものでございます。これも前回の部会で鈴木委員からもご指摘いただいたところかと存じます。

次に、11ページでございますが、業務プロセスに係る内部統制の整備、運用状況の更なる絞り込みということで、いわゆる3分の2基準の取り扱いです。11ページの下からですが、この一定割合についてはということで、イ)の要素、それからロ)の要素、ハ)の要素ということについて確認できた場合には、本年度の評価対象としない。その結果として3分の2を相当程度下回ることがあるということを明確化したものでございます。

13ページにつきましても、業務プロセスにおける内部統制の整備、運用状況の評価について、評価の範囲の絞り込みに関してということでございまして、例えば銀行業の場合については通常の事業会社等で使用される3勘定ではなく、預金、貸出資金、有価証券といった業務プロセスを原則的な評価対象とすることが考えられるといった、業種に応じた考え方や判断が必要ではないかということを(注1)として補っておりますのと、それから(注2)は、先ほどと重なりますけれども、「概ね5%程度」については機械的に適用すべきではないというところが補われているところでございます。

18ページは全社的な内部統制の評価項目ということで、現行を見ていただきますと、全社的な内部統制の評価項目については、もともと各基本的要素ごとに、例えば参考1のような評価項目、いわゆる42項目というものがあるわけでございます。これにつきまして、改訂案では(注)を補いまして、前年度の評価結果が有効であるものについては、当該評価項目に係る内部統制の整備状況に重要な変化がない場合には、その旨を記録することで前年の評価結果を継続して利用することができると、これがいわゆるローテーションにつながっていくのではないかという改訂案でございます。

それから、19ページは複数会計期間というものについては、業務プロセスの重要性を勘案して、この複数の中身について適切に判断するようにということを記載してございます。

ちょっと飛んでいただいて、23ページ、24ページでございます。

これは先ほどの業務プロセスにおける評価の簡素化、ローテーションの続きでございます。4行目の後半になりますが、「前年度の整備状況と重要な変更がない場合には、その旨を記録することで、前年度の評価結果を継続して利用することができる」ということを明記してございます。

それから24ページでございます。この点につきましては、特に(注2)でございますけれども、中堅・中小に影響する注を補った部分でございます。(注2)を読ませていただきますと、「事業規模が小規模で、比較的簡素な構造を有している組織等の運用状況の評価においては、特に、それぞれの組織の状況等に応じ、評価方法を工夫して効率的に実施することができる。例えば」ということで補わせていただいております。

それから、次に32ページでございます。これはITの業務処理統制の運用評価の簡素化ということで、「ITに係る業務処理統制の評価のうち、自動化された内部統制については、上記に従い」ということで、もともとITにつきましては過年度の評価結果を利用する場合というのがございますけれども、ここにつきましては一定の複数会計期間に一度の頻度ということで、ローテーションの趣旨をさらに明確化したということでございます。

それから、39ページでございます。基準のほうで、先ほどM&Aの「下半期」のことについてご紹介させていただきましたが、先ほどのやむを得ない事情につきまして(注)を付してございます。なお、「下期」はあくまで例示であって、やむを得ず評価を完了することができない場合でその合理性が認められているときは、「下期」に限られないということを、ここの部分で明記したということでございます。

それから、40ページでございます。ここは前回の部会で錢高委員からもご指摘いただいた部分でございます。中小・中堅企業の記録保存の簡素化、明確化でございますが、ここにつきましては文書の種類を書いてございます。前回は引継書とか受注メモとかという言葉がございましたが、もう少し丁寧にと申しますか、用語が一般的になるような形で、幅広に記述させていただきました。「例えば」というところですが、会社の作成している経営者から組織の内外の者に対する質問書、業務内容を前任者から後任者に伝達するための文書、それから販売担当者が受注の際に作成した文書、ソフトウェアのマニュアル、原資料、それから販売管理システムから出力される出荷指図書、業務指示書などを適宜利用し、必要によって補足を行っていく。このような形で、少し幅広く文書の名前を出させていただいて、中堅・中小企業の記録保存の文書の現場で使われている業務文書のイメージというものが出てくるようにというふうに工夫をさせていただいたところでございます。

以上が、実施基準の評価の部分でございます。

次に、実施基準の監査の部分についてご紹介いたします。

監査は冒頭のところに新しい要素が出てまいります。2ページ、3ページでございます。

今回の見直しの4本柱の最初の点でございますけれども、2ページにございます「内部統制監査においては、内部統制の有効性の評価結果という経営者の主張を前提に、これに対する監査人の意見を表明するものであり、この経営者の内部統制の有効性の評価に当たっては、経営者が、それぞれの会社の状況等に応じて、自ら適切に工夫しつつ、内部統制の整備及び運用状況の検証を行っていくことが期待される」という、その次の段落の最後でございますが、「経営者に対し、画一的にその手法等を強制することのないように留意する」としてございます。

(注)は、基本的な立てつけを整理したものでございますが、「監査人は、経営者の評価結果を利用する場合を除き、経営者の評価方法を具体的に検証する必要はないことに留意する」。最後の「ただし」のところが中堅・中小企業の部分でございますけれども、「事業規模が小規模で比較的簡素な構造を有している組織等の内部統制監査の実施に当たっては」、「適切な指摘を行う必要がある」。先ほどの中堅・中小に対する指導的機能の発揮という点が、ここの部分に表現されております。

それから、3ページの下の行から最後の2行からでございます。「内部統制監査は、財務諸表監査と一体となって行われることにより、同一の監査証拠をそれぞれの監査において利用するなど効果的かつ効率的な監査が実施されると考えられることから、原則として、当該会社の監査人と同一の監査人により行われることとされている。したがって」ということでございますけれども、「一体となって効果的、効率的に実施する必要があることに留意する」。「また」と続き、「内部統制の評価の検討に当たっては、監査人は、財務諸表監査の実施過程において、一定の監査証拠を入手していることが通常であると考えられ、その場合には、その利用が可能であることに留意する。例えば」とありますが、「財務諸表監査において監査人が内外のIT等の専門家を利用する場合において、当該専門家が作成した監査調書等を内部統制監査において、監査証拠として利用することができることに留意する」と明確化している部分です。

それから、9ページです。同じ表現が何度か出てまいりますが、現行のところで経営者に対し、評価対象とした業務プロセスの見直しなどの追加的な作業を求めるということで、経営者が評価対象とした業務プロセスが適切でないと判断した場合の取り扱いについて、追加的な作業を求めるということで、直接的にこの場合とこの結果がつながっております。左欄で見ていただきますと、その間に「経営者に対し、その旨を指摘するとともに、財務報告に対する影響の程度等に応じ」ということで、場合と、その追加的な対応を求めるということが一対一対応にならずに、財務報告に対する影響の程度に応じというところを補ったということでございます。同じような表現が9ページ、10ページに出ております。

15ページは、先ほど実施基準の評価のところでご紹介した中堅・中小企業の記録保存の文書のことで、重複しますので省略させていただきます。

次に、16ページのサンプリングの合理化、簡素化でございます。ここにつきましては、アンダーラインの部分を読ませていただきますが、「統制上の要点として選定した内部統制ごとに、経営者が抽出したサンプルの妥当性の検討を行った上で、監査人自らが改めて当該サンプルをサンプルの全部又は一部として選択できる。」。それから、「当該サンプルについて、経営者が行った評価結果についても、評価方法等の妥当性を検証し、経営者による作業結果の一部について検証した上で、経営者の評価に対する監査証拠として利用することができる」。「なお」ということで、「前年度において、内部統制の評価結果が有効であった業務プロセスに係る内部統制の運用状況の評価に当たっては、当該業務プロセスの大きな状況の変化など新たに確認すべき事項がない場合、経営者が評価において選択したサンプル及びその評価結果を利用するなど効率的な手続の実施に留意する」としております。また、最後の部分が中堅・中小でございますが、ここについても、経営者が直接行ったモニタリングの結果、監査役の内部統制の検証結果を利用することができるということに留意するということでございます。これの部分は、前回、堀江委員からご指摘いただいたところでございます。

今回の基準の改訂、それから実施基準の改訂、前回までにご審議いただきました主な事項についての変更部分は以上でございます。

○八田部会長

では、補足がありましたら野村さんのほうからお願いします。

○野村企業会計調整官

何点か補足をさせていただければと思います。

重複する部分は省かせていただきますが、資料2をもう一度ごらんいただきたいと思います。資料2の変更点ということで、(2)に中堅・中小上場企業向けの効率的な内部統制報告実務の「事例集」の作成というのがございますが、前回と表題等を変えてございます。資料6をごらんいただきたいと思います。前回は、中堅・中小規模上場企業向け事例集という形になってございました。前回の部会で、大規模な会社でも使えるのかどうかといったご意見を複数の委員からいただき、一般的な名称にしてはどうかということで、金融庁で出しております内部統制報告制度に関するQ&Aというのがございますが、そちらと平仄を合わせ、「内部統制報告制度に関する事例集」とさせていただいた上で、中堅・中小上場企業等における効率的な内部統制報告実務に向けてという副題をつけさせていただいたところでございます。

それから、事例集の中身でございますが、2ページ目でございますけれども、いわゆる前文のマル3でございます。こちらで「事業規模が小規模で、比較的簡素な構造」という、中堅・中小ということについて、複数のご意見をいただいたわけでございますが、そこをより明確にするということで、そちらのマル3の2行目を、金融庁が出しておりますQ&Aの表現に合わせさせていただきまして、「事業規模が小規模でない場合であっても比較的簡素な構造を有している組織等においても参考にできる」ということで、規模ではなくて簡素な組織構造を有している組織等においては利用できるということを明確にさせていただいているものでございます。

事例集は以上でございまして、恐縮でございますが、資料2に戻っていただきまして、具体的な新旧対照表のほうは、今、課長から申し上げましたが、それに至る変更点につきまして何点か補足させていただきたいと思います。

3ページ目をおめくりいただきたいと思いますが、3ページ目の下のほうのボックスでございます。左のほうでございますが、すみません、「に」が抜けておりまして申しわけございません。業務プロセスに係る内部統制の評価の簡素化ということでございまして、前回業務プロセスの評価の簡素化という表現でしたが、業務プロセス自体を評価するというのはおかしいのではないかという高田委員からのご指摘をいただきましたので、業務プロセスに係る内部統制の評価の簡素化とし、同様のところは修正をさせていただいているところでございます。基準・実施基準の表現も同様に修正をさせていただいております。

それから、1ページおめくりをいただきまして4ページ目、サンプリングの合理化・簡素化の部分でございます。対応案でございますけれども、下から3行目の「及び」以下ですが、前回は、監査人が経営者のサンプル、それからサンプルの結果を積極的に利用すべきというふうになっていたわけでございますが、前回荒谷委員等から、監査人にも独立性があるので、積極的に利用するということを推奨するのはいかがなものかというご指摘もございまして、「その利用等により効率的な手続を実施すべきことを明確化」とし、本文のほうもそのような形に直させていただいているところでございます。

それから、この概要紙のほうには書いていませんが、資料3の基準の25ページをごらんいただきたいと思います。監査人の報告ということで、内部統制監査報告書の記載区分というところにアンダーラインがあろうかと思います。実施基準も同様でございますが、本年3月の本審議会におきまして監査基準を改訂をしていただきました。いわゆる明瞭性プロジェクトを行った国際監査基準との差異を解消するということで、監査報告書の記載区分を、これまでの3区分から4区分に変更等させていただいているところでございまして、内部統制の監査報告書につきましても、それと合わせる形で記載区分を変更させていただいているところでございます。監査報告書を監査の対象、経営者の責任、監査人の責任、それから監査人の意見という4区分に区分し直したということでございます。この点は前回の部会のときにご紹介をしていなかったものでございますが、内容の変更というよりは技術的な変更でございます。

補足すべき点は以上でございます。

○八田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいま事務局から説明してもらいました内部統制報告の基準・実施基準の改正案及び参考事例集などにつきまして、ご審議をお願いしたいと思います。

なお、改正箇所が非常に多く、かつ各パートに分かれておりますので、改訂案についてのご意見等に当たっては、資料番号及び該当ページをお示しいただいた上でご発言いただきますようお願いいたします。

それでは、どなたからでも結構です。よろしくお願いいたします。

では久保田委員、どうぞ。

○久保田委員

ありがとうございます。

この内部統制報告の監査の見直しについては、私どもから、制度の実効性を担保しつつ企業及び監査人の実務負担が過度なものにならないようにということで再三意見を申し上げてきましたけれども、先ほどご説明がありましたが、今回、大分基準に書き加えていただき見直していただいたということで、実務家の方からいろいろ聞きますと、大分改善されるということで非常に評価しているところでございます。

あと、細かい点、2点ほどご指摘というかご質問ですが、1つは資料4の7ページの改訂案で、注のところですが、この「本基準に基づき内部統制報告書を作成し監査を受けている場合」とありますけれども、海外の関連会社など、この本基準と同等と認められるような基準に基づく場合、これも当然含まれるという理解をしているんですけれども、そういうことでいいのかというのが1点と、もう一つは、資料の5でございます。資料5の2ページのところで、これはまさに運用のことになるかと思いますけれども、経営者による財務報告に係る内部統制の評価の理解・尊重ということで、これは経営者評価記録の閲覧だとか内部監査人に対する質問等では検証が困難な場合に限って、こういうことが行われ、直接監査証拠を入手していくなどということが行われていくものだと思いますけれども、企業の負担とならないようにという趣旨だと思いますので、実務について十分配慮いただきたいというお願いでございます。

以上でございます。

○八田部会長

どうもありがとうございました。

では、最初の資料4の7ページ、注のところの一番上の行でしょうか。持分法の説明のところで、「当該関連会社の親会社が本基準に基づき内部統制報告書を作成し」というところの本基準のところのご質問です。よろしくお願いします。

○古澤企業開示課長

「本基準」の意義でございますけれども、ここについては先生方に相談して、Q&Aの形である程度明確化を図れるようにと考えてございます。またご相談させていただければと思います。

○八田部会長

2つ目のご質問は、ご要望ということで伺っておきます。ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

では町田委員、どうぞ。

○町田委員

2点お伺いしますが、1つは資料2の(4)ですけれども、「開示すべき重要な不備」または「重要な要改善事項」ということで2つ挙げておられまして、前回は「重要な要改善事項」ということで資料をおつくりいただいたところ、今回は「開示すべき重要な不備」ということで資料がつくられているわけですけれども、まだ2つ候補が挙がっている状態かと思います。これについて、それぞれまだ迷っておられるというか、まだ議論があるというふうにお考えなんだろうと思うんですけれども、それについて、こちらにするとこういう問題があって、逆にこちらにするとこういう問題があるということがあるのであれば教えてください。また、用語の問題ですから、どちらも全く同じならば委員の方々に、特にこの件に関しては以前から、久保田委員からどのような用語が良いと思うかについて座長との間でディスカッションがあった点かと思うので、久保田委員のご意見を伺う必要もあると考えたところなんですが、いかがでしょうか。また、これは最後の最後まで、例えば公開素案云々という段階まで両論併記が続くのかどうかということも含めてお答えいただきたいというのが1点です。

それからもう1点は、少しさかのぼりますけれども、本日冒頭に前回の大崎委員へのご回答ということで、訂正内部統制報告書のことについてご説明いただいた点についてです。訂正内部統制報告書に関して私がわからないのは、内部統制の評価というのは必ずしも100%の評価ではないはずなんですね。しかし、何か決算経理で問題が発覚すると訂正の内部統制報告書が出るというのは、どういうことなのでしょうか。内部統制をちゃんと評価していなかったということで内部統制報告書が訂正されるのか、それとも結果論で、何か決算経理に問題があったら内部統制報告書の訂正版を出さなければいけないのか。その点についてどういうふうに考えたらいいのか。確かに訂正内部統制報告書に挙げられている理由としては、決算上不適切な事項がありましたということで訂正されているのはわかったんですが、訂正内部統制報告書のあり方について、お教えいただきたいと思います。

○八田部会長

ありがとうございます。

それでは、最初のこの重要な欠陥について、資料2では順番が今回変わりましたけれども、まだ2つの置きかえが用意されているということについて、この段階でお話しできる範囲でお願いします。

○古澤企業開示課長

ありがとうございます。

「開示すべき重要な不備」「重要な要改善事項」と両案を並べてあるのが資料2でございますけれども、今回ご提示しました基準・実施基準案は「開示すべき重要な不備」ということで整理をいたしました。公開草案のときには両論というわけにはいかないと存じますので、本日、ぜひこちらにということがあればご意見を伺えればと存じます。

また、町田委員からご指摘がございましたが、一応念のため「開示すべき重要な不備」と「重要な要改善事項」の関係でございます。前回も申し上げましたが、「重要な欠陥」と言っているレベル感を変えるという趣旨は今回ございません。したがって、定義も変えるつもりはございませんし、目線もこの水準について変えないとの前提でございます。「開示すべき重要な不備」といたしましたのは、もともとの定義規定がございます。資料3の13ページ(4)でございます。「『重要な欠陥』とは、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高い内部統制の不備をいう」ということで、ここで「不備」という言葉を使ってございます。そこで、用語につきましても、まず「重要な不備」という表現はどうかということでございます。他方、前回も申し上げましたが、アメリカの基準が不備の区分が3段階になっておりまして、その2段階目が「シグニフィカント・デフィシェンシー」ということです。さきほど申し上げた「目線が変わらない」との前提の下、「重要な不備」という用語との関係で誤解があってはいけないのではないかということがございましたので、「開示すべき」というのを補ったというのが、この用語が出てきた背景でございます。

もう一つの案の「重要な要改善事項」につきましては、夏以来ご議論いただいている案と承知してございます。ただし、「欠陥」については「是正」、「不備」については「改善」という、関係を整理した上で用語は使っておりますので、その用語の見直しが、仮に重要な要改善事項とした場合には出てくるという問題がございます。ただ、これまでの部会でも相当ご議論いただいた話でございますので、これも大事な案として考えているところでございます。

ご案内のとおり、本のタイトルとか、いろいろなところでこの用語が使われておりますので、両論を何回か見ていく形で丁寧に決めたいという趣旨でございます。次回には、片方の案でご提示したいと思いますので、ぜひご意見をいただければと思います。

○八田部会長

2つ目の訂正報告書の件に関しましてお願いします。

○野村企業会計調整官

内部統制報告書の訂正報告書についてでございますが、今、町田委員からご指摘がありましたように、先ほどご紹介しました訂正内部統制報告書が出されている事例を見てみますと、有価証券報告書自体の訂正報告書が出されている際に、あわせて訂正内部統制報告書が出されるというケースが多いというふうに承知しているところでございます。ただ、制度の立てつけ上は、あくまでも内部統制というのは適正な財務報告を作成するための体制ということでございますので、決算等で修正があって有価証券報告書を訂正した場合に、必ず内部統制報告書も訂正をするかということになりますと、必ずしもそうではないということだと思います。と申しますのは、体制はしっかりしていたという場合であっても、ミス等で決算を訂正するといったようなケースもあろうかと思いますし、また逆のケースで、内部統制は余りしっかりできていないのだけれども、決算のプロセス等をしっかり把握して適正な財務報告を作れたというようなこともあり得るとは思っております。

ただ、訂正報告書を後から出せばいいんだということにはなっていないと思っておりまして、ちょっと適切ではないのかもしれませんが、虚偽の有価証券報告書を提出した場合と、虚偽の内部統制報告書を提出した場合というのは別のペナルティーになっておりまして、本来内部統制が有効でないにもかかわらず有効であるという内部統制報告書を提出した場合には、それを信頼した方々に虚偽の情報を与えたということになりますのでペナルティーの対象になるということだと思います。したがいまして、お答えになっているのかどうかわからないのですが、実態はそういう面があろうかと思いますが、制度の立てつけとしては訂正内部統制報告書と有価証券報告書の訂正報告書というのは別ということに位置づけられているということでございます。

○八田部会長

では大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

先ほどご質問しておくべきだったかもしれませんが、今の点についてなんですが、個別の事案についてはコメントしにくいんだろうと思うんですけれども、この訂正内部統制報告書が提出された事例というのは、結局初年度から数えると14社か15社になっているわけですよね。これらについて、当初の内部統制報告書なり、それに対する監査報告書が虚偽記載があったのではないかというような調査が監視委員会によって行われたとかいうようなケースはございますでしょうか。

○古澤企業開示課長

個別の件でございますので、ここの場ではお答えは差し控えさせていただければと思います。

○八田部会長

よろしいでしょうか。

では持永委員、どうぞ。

○持永委員

できましたら会社の方からご発言いただいたほうがよろしいんですが、会社の近くにいる会計士としてご説明をさせていただきます。

この部会では内部統制制度の趣旨から、今、訂正の内部統制報告書をテーマとして取り上げられたわけですけれども、訂正報告を出された会社の内部統制報告書については、8割から9割は技術論的な観点から会社としては訂正を出さざるを得ないというケースが多いと思います。といいますのは、有価証券報告書の財務諸表の訂正ですと、例えば粉飾がありました、不正がありましたという形で売り上げ、利益等を訂正されるわけですが、監査報告書は財務諸表監査報告書と内部統制監査報告書が一体になっております。財務諸表を訂正いたしまして、内部統制に関しては確かに制度の趣旨からすると訂正しなくていいのですが、財務諸表が訂正されて、訂正内容が重要であれば再監査して監査報告書を再発行するという手続になります。このときに財務諸表の監査報告書だけ再発行するという場合に、一体型の監査報告書になっていますので、では内部統制の監査報告書はどうするのですかという悩みが生じます。内部統制監査報告書は、例えば22年6月28日の日付のものがEDINET上有効になるとしまして、その後、粉飾等が3カ月後に発見されて訂正した場合に、22年9月末の日付で訂正財務諸表に関する監査報告書だけ発効する。これで投資家がわかりますかというような点を悩まれています。一体型で監査報告書を発行するのが基本的なスタンスという中で、やはり内部統制についても、内部統制報告書を訂正して、内部統制監査報告書も訂正すべきではないかという、どちらかというと技術論で判断されているところが多いかと思います。

会計基準につきましては、過年度遡及修正の基準が公表され、監査の取り扱いについては運用上の話も含めて検討されていると思います。協会の高橋常務理事がおられますので、もし可能であれば、その辺、ご発言いただければありがたいと思います。

○八田部会長

では高橋委員、お願いできますか。

○高橋委員

高橋でございます。

この問題につきましては、やはり実務慣行というのがまだ必ずしも明らかになっていない、まだいろいろな個々の会社等の状況を踏まえて対応しつつあるというような状況でございますので、なかなか明確な形では、ご回答はできかねます。しかしながら、それぞれの制度の対応状況、おのおのの関係をしっかりした形で見きわめながら、今後も対応していきたいと思います。

○八田部会長

どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。若干、今後成熟する実務慣行が求められるんじゃないかと思います。

できましたら、この「重要な欠陥」につきまして、やはり私どもの耳に届くのは、企業サイドの方々からやはり余りよろしい用語ではないというお声が強いようで、もう時間が迫ってまいりましたが、せっかくですので、久保田委員、少し付言していただければと思うんですがいかがでしょうか。あるいは、この2つであるならばどちらかという個人的見解で結構ですけれども。

○久保田委員

まだうちでも決着がついていないかと思いますので、ちょっと時間をいただいて検討します。

○八田部会長

突然のご指名失礼いたしました。

ほかにいかがでしょうか。

もう既に時間をかけてこの用語の整理をしてまいりまして、コア会議等々でもこの2つに実際には絞られているというのが現状だと思います。先ほど古澤課長のご説明がありましたけれども、そもそもこれは、言うならば投資家向けの開示情報としての意味があるんだということで、企業側の会計責任、説明責任の強化という視点で入ったことから、今回、この開示すべきという点に力説を置いた用語が採用されたんだというふうに私自身は理解しております。同時に、定義上、不備というものに直結する定義にかなっているということもあって、こちらが最初に、コア会議のほうではこちらでよろしいんではないかという段階なわけでありますが、きょう時間的に少しゆとりがありますので、もしあれでしたら各委員の方々のお考えいただきたいと思いますけれども、多賀谷委員、いかがでしょうか。

○多賀谷委員

私も確固たる理由づけというのはないですが、今回「開示すべき重要な不備」という用語で統一していただいて、特に違和感がないといいますか、文章的には非常につながりがいいと思います。それから定義の面でもわかりやすいし、アメリカの基準との誤解というのが若干指摘されておりますけれども、一般的な不備があって、その中に重要なものがあるというのは感覚的というか、理解のしやすさは非常に高いのではないかというふうにも思います。要改善事項というのも、改善しなくてはいけないということですので、それはそれなりに意味があるということでございますので、本質的な差はないと思いますが、いろいろな不備があるけれども、それを全部報告をするのではなく、特に重要なもの、投資家に伝えるべき重要性があるという意味合いという意味では、きょうお示しいただいたものも非常にしっくりするかなというふうには思います。

以上です。

○八田部会長

ありがとうございました。

堀江委員、いかがでしょうか。前回は2つ使えないかというご提案もあったんですが、検討の結果、なかなか難しいということでした。

○堀江委員

前回の発言内容と考え方は変わっておりません。どちらか1つというご提案は、恐らくこの2つの言葉を一つの基準の中で同時に使いますと、使い分けという点で混乱が想定されるだろうという配慮で行われたと思います。けれども、私は、先ほど町田委員がちょっとご発言されていた財務諸表の修正と内部統制の不備との関係も踏まえて、用語を厳密に使い分けるのも一つの考え方かなというふうに思ったわけです。相対的な判断として、どちらか、いずれかにすべきだということであれば、投資家等に開示すべき不備があるんだという注意喚起の意味、ここを強調する意味で「開示すべき重要な不備」という用語に賛成であります。

以上です。

○八田部会長

ありがとうございました。

高橋委員、続けてお願いいたします。

○高橋委員

この用語につきまして、私としましては、やはり重要な不備、これに深い関連を持たせた用語、したがいまして、ここでは「開示すべき重要な不備」、こちらの用語のほうが、よりそれとの区分、あるいはそれとの密接な関連が示されるということで、流れとしては「開示すべき重要な不備」という用語のほうがよろしいのではないかと思っております。

○八田部会長

ありがとうございました。

では久保田委員、最後にお願いします。荒谷委員、お願いします。

○荒谷委員

私も、非常にこの文章はわかりやすくてよいと思うのですが、1点だけちょっと気になったので教えていただきたいのですが、例えば4ページと5ページのところで「内部統制の不備や開示すべき重要な不備」あるいは「内部統制の不備および開示すべき重要な不備」と、同じような用語が2つ並んでおりまして、いわゆる一般投資家から見ますと、内部統制の不備や開示すべき重要な不備、次のページにも内部統制の不備や開示すべき重要な不備と分けておりますが、これを一つにまとめることができればすごくわかりやすいと思うのですが。「内部統制の不備および開示すべき重要な不備」あるいは「内部統制の不備や開示すべき重要な不備」と、2つの不備を併記している意味といいますか、内容がどう違うのかを説明していただければと思います。

○古澤企業開示課長

すみません、資料4の4ページですね。

○荒谷委員

失礼しました。資料5の5ページです。その枠の中の下から2行目ですが、「実施過程で内部統制の不備及び開示すべき重要な不備を発見した場合には」と、同じ言葉が並んでいる印象を受けます。次の6ページですは「内部統制の不備が、開示すべき重要な不備に該当するか判定するための」と書いてありますので、わかりやすいのですが、5ページと4ページで、わざわざ「内部統制の不備や開示すべき重要な不備」、あるいは「内部統制の不備および開示すべき重要な不備」としたことには、何か意味があるのか、先ほど部会長が、一般投資家向けの開示情報としての意味があると話ておられましたので、そこのところをわかりやすく説明していただければと思います。

○古澤企業開示課長

わかりました。不備と今の重要な不備の関係につきましては、先ほどの定義のところが一番はっきりしているかと思います。資料3の13ページにございますが、不備というのが一般的な不備で、その範囲を絞るという意味で、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いというところで絞っているということでございます。その意味で、確かに先生がおっしゃるように「不備及び開示すべき重要な不備」ということですと、確かに含まれているものが並んでいると言えるかもしれません。

○荒谷委員

そういう言葉の違和感です。内容については、もちろん定義を見ておりますのでよくわかりますけれども、大きな定義の中に小さな定義を羅列して書いているような気がして、そこが非常に気になったものですから、もう少し改善していただければと思いました。用語自体は非常にわかりやすくなっていると思います。

○古澤企業開示課長

確かに以前からあった問題なのかもしれません。ありがとうございます。

○八田部会長

ご指摘ありがとうございます。もっとここのところを簡素化して書けるのではないかと思いますので、検討させていただきます。ありがとうございます。

それでは柴田委員、いかがでしょうか。

○柴田委員

内部統制に不備があって、しかもそれが重要な不備であり、重要であるからにはそれは開示されるべきであるという点で論理も一貫しているかと思いますので、この選択が適当かと思います。

○八田部会長

ありがとうございます。

鈴木委員、いかがでしょうか。

○鈴木委員

私も特に「開示すべき重要な不備」ということで違和感はないと思います。要改善事項といった場合には、普通の不備でも当然直さなければいけないわけですし、企業の経営者にとってみると重要なという判断はまちまちだと思いますので、開示すべきというのは結構いいコメントじゃないかなと思いますけれども。

○八田部会長

ありがとうございます。

高田委員、いかがでしょうか。

○高田委員

私はもっと簡単に、「開示すべき」なんて要らなくて「重要な不備」でもわかりやすいと思います。今、国際会計士連盟等により国際基準が各種作成されていますけれども、その中でshouldシュッドという言葉からshallシャルという言葉にどんどん切りかえが進んでいます。それで、「すべき」という言い方はやめよう,つまり、こうしなければいけない、こうあるものとするという表現がかなり一般化しつつあります。「すべき」というのは、遠慮している言い方ですよね。できたらこうしていただけないでしょうかというような意味が入っています。私は、内部統制基準がすでに実施に移されていて、今それの見直しに入っている段階で、欠陥という言葉が焦点になっているわけですから、欠陥を不備に置き換えるだけで十分ではないかと個人的には思っております。

以上です。

○八田部会長

その点につきまして、どうぞ。ご説明ください。

○野村企業会計調整官

ただいまの高田委員のご意見でございますが、前回の部会でもご意見があったかと思うのでございますが、「重要な不備」ということだけにしてしまいますと、今、財務諸表監査のほうが「重要な不備」という用語を使っておりますので、そちらが3段階の2段階目ということを指していますので、今回の改訂で「重要な不備」ということだけにしてしまいますと、レベル感が変わったということにもつながりかねないかと思いまして、それで今回「開示すべき」というのを頭につけさせていただいたというのが、ご提案させていただいている案の趣旨でございます。

○八田部会長

どうもありがとうございます。

それでは大崎委員、いかがでしょうか。

○大崎委員

今の高田委員のお話があったんですが、私は、不備のうち特に重要で開示すべきものという、その位置関係は非常にわかりやすいと思いますので、この「開示すべき重要な不備」という用語でいいのかなというふうに思っております。

○八田部会長

ありがとうございます。

町田委員、どうぞ。

○町田委員

私も、この2つの用語であれば「開示すべき重要な不備」がいいと思います。ただ、もう実務でも大分定着している部分もあっての話ですので、「重要な欠陥」のまま変えないという選択肢もあるのかなと考えています。

しかしながら、私も以前から何度もこの部会でも申し上げているように、「重要な欠陥」について十分に啓発活動を進めてきたものの、それでもなお「重要な欠陥」ということだと企業側においてどうしても社内の理解が得られないということであるならば、用語の変更も仕方ないんではないかと考えております。

なお、「要改善事項」の方に関しては、これはQ&Aの48が公表されたときにもご意見申し上げましたが、要改善事項があるから内部統制報告書で内部統制が有効ではないというのは、やはりどうしても私は納得いかないんですね。有効ではないとするなら「改善」が必要という程度のことではないのではないかという気がいたします。言うならば要是正事項かなと。また話を広げてしまうようで申しわけありませんが、そのように思います。

○八田部会長

どうもありがとうございます。

持永委員、いかがでしょうか。

○持永委員

私も基本的な考えは、先ほど荒谷委員のご議論のときに、再びスポットライトが当たったのですが、ある意味ではこの部会の議論でマテリアルウイークネスに強い語感を与えて「重要な欠陥」としていましたので、定着等も含めて「重要な欠陥」を残してもというような思いはございます。ただ、二者択一という話をされますと、企業が投資家に対して、例えばリスク情報なり会社の対処すべき課題として、もう既に定性的情報を提供していますので、その意味では企業がみずから重要な不備を把握して、しかもみずから改善をしていくんだという姿勢を明らかにする意味合いからしますと、やはり「開示すべき重要な不備」のほうが語感としては積極性が出るんではないかというふうに考えております。

○八田部会長

どうもありがとうございました。2つの択一でご質問しましたので、限定的なご回答になったかもしれません。

その辺を踏まえまして、久保田委員、何かご感想があればということでお願いします。

○久保田委員

再三にわたり私の意見を尊重していただいて恐縮でございます。「重要な欠陥」というのは余りにも強い、ということで私からは申し上げておりまして、「開示すべき重要な不備」か、あるいは「重要な要改善事項」かということで、これについてどちらかでなければいけないという話は実務家から特に聞いておりませんので、いろいろご苦労されて事務方も検討されているようでございますし、皆さんのご意見を伺っていると前者ということですので、その方向で進めていただければと思います。

○八田部会長

どうもありがとうございました。ただいまの各委員のご意見をいま一度参考にさせていただきまして、次回ご提出ということにさせていただきますので、よろしくお願いします。

では、ほかにこの資料3、4、5、そして、この6の事例集まで含めまして、何かご質問、ご意見ございましたらよろしくお願いいたします。

大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

甚だ細かいことですが、でも文言を変えるんだから細かいことでいいと思うんですけれども、資料4の13ページの注1でございますが、銀行を例示して、預金、貸出金、有価証券の3勘定に至る業務プロセスを評価対象とするというようなことを書いていただいている部分についてですけれども、この気持ちはすごくわかりますが、何か、「例えば、銀行等の場合には、個々の業容等に応じて判断されるべきことであるが、預金・貸出業務等を中心とする多くの銀行等においては」という、ここについて何とかならないかなというふうに思います。注に注をつけるというのは非常におかしいので、何か技術的に難しいと思うんですけれども、おっしゃりたいことは何となくわかるんですけれども、「個々の業容等に応じて判断されるべきことであるが」というのを、やはり残しておかないといけないんですかね。非常に読みにくいなという気がいたします。見ようによっては何かミスプリじゃないかと思われるような文章になっているという気がしたものですから。

○八田部会長

ありがとうございます。検討させていただきます。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、こちらで用意しました時間は少々残っておりますけれども、特にご質問、ご意見がないということで、これでよろしいということで承っておきます。

本日いただきましたご意見等も踏まえ、基準・実施基準の改訂案等につきまして、再度整理をさせていただきたいと思います。

なお、本日ご発言できなかった点やお気づきの点がございましたら、事務局にご連絡いただきますようお願い申し上げます。

次回の部会におきましては、再度整理をさせていただいた改訂案をご審議いただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

今後のスケジュール等につきまして事務局から説明してください。

○古澤企業開示課長

次回の部会におきましては、部会長から今お話がございましたように、本日のご意見を踏まえた上での改正案のご審議をいただきたいと思っております。きょうの感じで伺いますと、お忙しい先生方にどのぐらい集まっていただくかという点も踏まえ、部会長とご相談させていただきたいと存じます。何かがあればまたご相談させていただきたいと存じます。

いずれにせよ、次回の部会は12月10日ということで予定はさせていただければと思います。具体的にどうするかは、部会長とご相談の上ご連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○八田部会長

ありがとうございます。

それでは、これにて閉会いたします。

お忙しいところ、ご参集いただきまして大変ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3672、3656)

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