企業会計審議会第21回内部統制部会議事録

1.日時:平成23年2月14日(月曜日)15時00分~16時17分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 12階 金融庁共用第二特別会議室

○八田部会長

定刻になりましたので、これより第21回内部統制部会を開催いたします。

皆様には、お忙しいところご参集いただきましてありがとうございます。

なお、本日の部会も、企業会計審議会の議事規則にのっとり公開することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○八田部会長

ありがとうございます。

ご了解いただきましたので、そのように取り扱わせていただきます。

当部会では、内部統制報告制度の運用の見直しを図る観点から、当審議会で策定した内部統制の基準・実施基準のさらなる簡素化、明確化等の検討を行ってまいりました。

前回の部会で、内部統制の基準・実施基準の改訂案をご審議いただき、昨年の12月22日に公開草案として公開し、本年の1月25日までを期限として広く意見を求めてまいりました。

本日は、公開草案にお寄せいただきましたご意見を集約、整理し、内部統制の基準・実施基準の改訂案の修正の要否等につき検討を行っていただきまして、意見書の(案)についてご審議いただきたいと考えております。

まず、事務局から、公開草案に対して寄せられましたご意見の概要を紹介いただき、それを踏まえた意見書(案)について説明いただきたいと思います。その後で皆様からご意見をちょうだいし、企業会計審議会総会でのご審議いただくための当部会としての意見書(案)を取りまとめていただければと考えております。

それでは、事務局より、公開草案に対して寄せられたご意見の概要及びその対応を踏まえた意見書(案)につきまして説明してください。

○古澤企業開示課長

お忙しいところ、ありがとうございます。

お手元の資料、本日は大部でございますので、まず、資料の内容からご紹介させていただければと思います。

資料1として、最終的に整理します意見書(案)と、それから、メインテーブルの方には、「目次」がつきました分厚い資料があろうかと思います。それがまず資料1ございます。

それから、資料2が、部会長からお話のございました公開草案に対するコメントの概要と、それに対する考え方でございます。

それから、資料の3と4と5ですが、これらはセットになっております。今回の内部統制の基準が資料3、実施基準が2つに分かれまして資料4と資料5になっています。

それで、資料6ということで、これもまた分厚くて恐縮ですけれども、去年の年末、パブリックコメントに出させていただいた案そのものを、資料6-1、資料6-2、資料6-3としております。

そういう意味で、まず報告書(案)があり、それから公開草案に対するコメント・コメントへの対応があり、それを踏まえた基準・実施基準(案)がある。基準・実施基準(案)も、今回ご相談させていただこうというものと、去年の年末にパブリックコメントに出したもの、という構成になっております。

最後に、ご参考といたしまして、112件ほど頂いたコメントの概要をメインテーブルの皆様には準備してございます。

まず最初に、資料2に基づきまして、コメントとそれに対する考え方の整理についてご相談いたしたいと思います。資料3以降も適宜参照しながらまず資料2をご紹介し、その上で資料1に戻りたいと思います。

まず、資料2につきましては、頂いた主なコメントを整理してございます。セクションといたしましては、全般的なコメントを最初に整理してございます。それから、今回コメントを頂いたことを踏まえた、12月に出しましたパブリックコメントの修正案がその次のセクション。それから、今回は、特に見直しの必要はないと考えられる事項を整理したのがその次のセクション。最後にその他の事項としております。

では、全般的なコメントでございます。

まず、「改正の理由や経緯を前文で示すべきではないか」とコメントで、これにつきましては、後でご覧いただきます意見書の前文のところに含めて整理をしたいと思っております。

それから、全般的なコメントの2つ目でございますけれども、「重要な欠陥」の英訳については、「Material Weakness」のままでいいのではないかということでございますが、これもそのとおりということをはっきりしたいということでございます。

全般的なコメントの3番でございますが、これは去年もご議論いただいた持分法適用会社の取扱いの件で、関連会社につきましては、その評価範囲から除外すべきではないかというご意見を改めて頂いているものです。

今回、持分法適用会社の取扱いについては、実務に即した見直し、対応を考えておりますので、「評価範囲からの除外」は行わないと回答しよう、ということでございます。

それから、全般的なコメントの4でございますが、多少補足して説明いたします。年間の内部統制のチェックの業務を平準化するために、サンプルを用いた第1四半期での評価を可能にできないかと考えた場合、議論になっていますのが、内部統制の有効性の評価時点が期末日になっていますので、第1四半期に作業したものの評価時点はどうなるかが論点でございます。

ここにつきましては、評価時点を変えるということではなく、その右側の2つ目のパラグラフにございますように、「経営者による内部統制の評価は、期末日を基準日として行うため、期中に評価を実施した場合、その後、評価対象とした内部統制の整備状況に重要な変更がないことを確認」、つまり、第1四半期に作業を行っていただくことはもちろん構わないわけですが、期末日に、そこに重要な変更がないかの確認をお願いしたいとの回答案であります。

それから、次のページでございます。これも全般的なコメントでございますが、「経営者による内部統制の評価の理解・尊重の趣旨からは、監査人は、基準への準拠性に関する必要最小限の指摘にとどめる。指摘する場合には説明責任が伴うことを明記すべきではないか」とのコメントです。

これにつきましては、今回の見直しの中で、なるべく経営者による内部統制の評価を尊重するところからスタートしようということがありますが、このコメント、すなわち、その経営者の評価を基本的に受けとめて、それを指摘する場合には、その説明責任がむしろその監査人サイドにあるというところまで趣旨を見直そうということではございません。そこで、コメントに対する考え方の最後にございますように、経営者に対して画一的な手法を強制することがないように留意することを求めるが、適切な指摘を行うことを否定するものではないということで整理をしたいというものでございます。

それから、最後の6、「指導的機能の発揮」につきましては、留意事項として明示すべきではないか、というコメントがあり、これにつきましては、考え方の整理をやはり前文に整理するということで対応してはどうかと考えております。

続きまして個別項目に対するコメントでございます。細かいところもございますので、一部についてご紹介させていただきたいと思います。

まず、「当該開示すべき重要な不備及びそれが是正されない理由、並びに当該開示すべき重要な不備が財務諸表監査に及ぼす影響」がございます。これは、基準と内閣府令の表現がずれているのではないかというご指摘でございます。

右側にございますように、表現がずれているところにつきましては整理したいと考えております。

それから、2つ目のポイントでございます。「例年と比較して連結税引前利益の金額が著しく小さくなった場合」ということでございます。これは、重要な欠陥の判定基準につきまして、「小さくなった場合」とございますが、マイナスになる場合もあり、こういうところは明示的に書いたほうがいいとのご指摘です。これにつきましても、ご指摘のとおりにしたいと考えております。

それから、3ページ目でございます。ここは、今回2カ所ほどご相談したいところがございます。

1カ所目が、3ページ目の、No.3、No.4、No.5、【実施基準 II 2(1)マル1ロ】ということでございます。

恐縮でございますが、この部分につきましては、資料を見ていただければと思います。お手元にございます資料4の5ページでございます。

先ほど話が出ました持分法の適用会社につきまして、どういう取扱いをすべきかというところでございます。長くなりますが、4ページの最後から5ページのところをざっとご紹介させていただきたいと思います。

4ページの最後から5ページにかけて、ロとございます。「持分法適用となる関連会社は、評価範囲を決定する際の対象に含まれる。ただし、当該関連会社が本基準に基づき内部統制報告書を作成し監査を受けている場合、又は当該関連会社が他の会社の子会社であって当該関連会社の親会社が本基準に基づき内部統制報告書を作成し監査を受けている場合には、イ.のなお書きに準じて取り扱う。」。

ここから先ですが、「なお、当該関連会社における他の支配株主の存在の有無、当該関連会社への投資持分及び持分法損益の状況、取締役の派遣や兼任の状況などによって、子会社と同様の評価が行えないことが考えられる」、ここは繰り返し議論のございました、持分法適用会社の場合、その会社からどのぐらいの資料を求められるかとの問題であります。

「そうした場合には、全社的な内部統制を中心として、当該関連会社への質問書の送付、それから聞き取り、あるいは当該関連会社で作成している報告書の閲覧というやり方で適切な方法により評価を行う必要がある。」というのが改正前でございます。

ここにつきまして、さらにつけ加えましたのがアンダーラインのついている部分でございまして、「当該関連会社に係る管理プロセスの確認」ということで、もともと去年の年末のパブコメの段階で、そこにございます「確認書の受領」等の適切な方法により評価を行う必要がある。」と整理をいたしました。

繰り返しになりますが、子会社と同様に評価が行えない、書類をとれない場合にどうするかということがございましたので、去年のパブコメの段階で1回ご相談させていただいたのが、その確認書の受領等のような適切な方法というのができるのではないか、ということを整理いたしまして、さらにこの(注)をつけ加えました。

「持分法適用となる関連会社が他の会社の子会社であって、本基準に基づき内部統制報告書を作成し監査を受けている場合、マル1当該親会社の内部統制報告書、又はマル2当該親会社が当該関連会社の内部統制の財務報告に係る有効性に関して確認を行っている旨の書面を利用することができる。」ということでございます。

それから、「また、当該関連会社への役員の派遣や兼任の状況などにより、同様の評価が行えないなど、特段の事情がある場合には、財務諸表に関する管理プロセスの確認等、適切な方法を利用することができることに留意する。」ということでございます。

この場でお諮りしたいのは2点ございます。

1点目としまして、「確認書の受領」につきまして、「確認書の受領」という言葉になりますと書類の名前がひとり歩きしかねないので、もう少し幅を持った表現にならないかというコメントを頂いたところでございます。

その点につきまして、今お手元にございますように、「当該関連会社に係る管理プロセスの確認など適切な方法により評価を行う必要がある。」と整理できないかが、まず1点目のご相談でございます。

それから、2点目でございますが、今の部分、最後の(注)の前の部分でございますけれども、「そうした場合には」とございまして、全社的な内部統制を中心として、まず質問状の送付というのが1つ目でございます。それから、その次に報告等の閲覧というのが2つ目のやり方としてございます。それから、3つ目に管理プロセスの確認ということでございます。

今回コメントを頂きましたのは、この3つのやり方というのはどういう順番なのか、並列なのかというところが問われたところでございます。その点につきまして、もう少し考え方をはっきりさせたいというのが今回のご相談でございます。

資料で申しますと、6-3の後に、修正別案(抜粋)というのがあろうかと思います。

その2ページ目のところの改訂案の途中からとなりますけれども、「報告等の閲覧、当該関連会社に係る管理プロセスの確認等適切な方法により評価を行う必要がある」というところは、先ほど見ていただいたところと同じでございます。

ご相談は、この(注2)でもとの案の(注)を2つに分けまして、元の案の(注)の後半部分を、今ご紹介させていただいたやり方の順番づけについて、もう少し明確に示せないかということで準備したものでございます。

(注2)のほうだけ読み上げさせていただきますと、「持分法適用となる関連会社への役員の派遣や兼任の状況などにより、子会社と同様の評価が行えないことが考えられる。そうした場合には、当該関連会社の全社的な内部統制を中心として、当該関連会社への質問書の送付、聞き取りあるいは当該関連会社で作成している報告等の閲覧等適切な方法により評価を行うことを基本とする。」

それで、今回新たな方法をこの後につけまして、「当該評価が行えないなど、特段の事情がある場合には、当該関連会社から入手する財務情報等に係る管理プロセスの確認等の適切な方法により評価を行うことができることに留意する。」ということで、もともとございます質問状の送付、それから報告等の閲覧というのがございまして、特段の事情がある場合には、今回つけ加えました、管理プロセスの確認等の適切な方法により評価を行うことができる、という整理するとの案でございます。

そういう意味で、資料4を一歩進めまして、コメント対応のため、「修正別案」を準備したのがこの部分でございます。

それから、先ほどの資料2の3ページ目にお戻りいただきまして、No.3と4と5というのが今の部分でございます。

それから、No.6です。これは、実施基準(案)の中で、「良好」という言葉と、それから「有効」という言葉を使い分けるべきではないかというご指摘がございました。その点について、右にありますように、一部分、「良好」を「有効」と整理するものです。

整理の考え方ですが、「有効」の一種の上位概念が「良好」でありまして、例えば前年も「有効」、当年も「有効」、そういたしますと「良好」となるべく言葉を整理する趣旨です。

それから、No.7がローテーションの範囲、期間を明確にすべきではないかというコメントでございます。これにつきましても、ご趣旨を踏まえた対応をしようということでございます。

それから、4ページ目のNo.8ですが、評価単位ごとに前年度の評価結果の継続利用を検討するということでいいかというコメントでございます。この点につきましては、右側にございますように、ご意見を踏まえて考え方の整理をしようということでございます。

それから、No.9です。実施基準に「監査人は、経営者による会社の状況等を考慮した内部統制の評価の方法等を適切に理解・尊重した上で、内部統制監査の基準・実施基準の趣旨を勘案して内部統制監査を実施する」とありますが、監査の基準を「勘案する」という表現で受けるのはおかしいのではないかという指摘がございましたので、内部統制の基準・実施基準につきましては、右にございますように、趣旨を踏まえて、「経営者の内部統制の評価方法を理解・尊重する」と、誤解を招かない表現にしたいとの考え方でございます。

それから、No.10です。これは具体的には後で見ていただきながらご相談したいと思っておりますが、「経営者の行った重要な事業拠点の選定の過程や結果が適切でないと判断した場合には、追加的な対応を求める場合がある」とありますが、監査人が、経営者の評価範囲が適切でないと判断した場合であっても経営者に追加的な対応を求めないという誤解を招くのではないかということで、「追加的な対応を求める」というふうにすべきであるというご指摘です。

具体的に見ていただきますと、資料5でございます。同じような箇所が何カ所かございますが、例えば資料5の7ページです。7ページのポツが並んでいる部分の一番下でございます。「経営者の行った重要な事業拠点の選定の過程や結果が適切でないと判断した場合には、経営者に対し、その旨を指摘するとともに、財務報告に対する影響の程度等に応じ、重要な事業拠点の選定の見直しなどの追加的な対応を求める場合がある。」とあります。

ちなみに、現行の基準では、そこのところは「適切でないと判断した場合には、経営者に対し、重要な事業拠点の選定の見直しなどの追加的な作業を求める。」と、言い切ってございます。

ここで「追加的な作業を求める」と言い切っていること自体がやや、かえって画一的な対応を招くことになるのではないかということで、公開草案では、経営者に対しその旨を指摘するとともに、影響の程度等に応じ、追加的な作業を求める場合がある、としたわけでございます。

ただ、確かに、ポツ全体で見ると、一度「適切でないと判断している」という前段があるにもかかわらず、最後は「求める場合がある」となっておりますので、ここのところが誤解を招くのではないか、というご指摘かと思います。この点につきましても、ぜひ先生方のご意見をお伺いしたいということでございます。

この点につきましては、先ほどの資料2に戻っていただきますと、右にございますように、追加的な対応を求めるか否かは財務報告に対する影響の程度等に応じて判断され、影響の程度等によっては求めない場合もあるということなので、こういう整理を公開草案の段階ではさせていただいたということです。ここが、ご相談したいところの大きな点の2点目でございます。

次に、No.11ですが、やむを得ない事情があった場合には、十分な評価手続が実施できなかった内部統制の範囲が全体に及ぼす金額的、質的影響が、開示すべき重要な不備に該当するまでには至っていないということとあるが、これについてはQ&Aの表現と合わせるべきではないか、というコメントでございましたので、これもQ&Aの表現と基準、実施基準の表現がそろうように修正したいと考えております。

また、「対応が必要ではない等」ということでございますが、これにつきましては、必要があればご紹介をさせていただきたいと思います。

その他、6ページ目は、質問に属するものという事項がございます。これも、ご意見のとおりということを改めて確認したい、もしくは、7ページでございますが、Q&Aでさらに明確化すべきというようなご指摘を頂いたものについても、追ってQ&Aのほうで対応したいということでございます。

以上、細かいところになりましたが、ご紹介いたしました。

○八田部会長

どうもありがとうございます。

何か追加することがありましたら、事務局から、おねがいします。

○野村企業会計調査官

補足的にご説明させていただきたいと思います。

ただいまご説明申し上げましたのが、公開草案に対する主なコメントの概要と、それに対する考え方ということでございます。

そちらを反映させまして、先ほど部会長のほうからお話がございました、審議会の総会にお諮りする意見書の(案)という形にいたしましたものが資料1でございます。

資料1のいわゆる前文の部分を簡単にご説明させていただければと思いますので、そちらをご覧いただければと思います。

まず、表題でございますが、現行の基準も非常に長いのでございますが、最後の部分が「実施基準の改訂について(意見書)」という形にさせていただいているところでございます。

おめくりいただきまして、いわゆる前文ということで、一でございますが、経緯といたしまして、今回検討させていただくに至りました(1)審議の背景、それから、2ページ目でございますが、当部会での(2)審議の経緯を記させていただいているところでございます。

次に、二としまして、主な改訂点等とその考え方ということでございまして、これは、コメントを頂いているものだけに限らず、今回の基準・実施基準の改訂に合わせまして見直した主な改訂点とその考え方ということでございます。

(1)が、今回の改訂において非常に強く言われておりました「企業の創意工夫を活かした監査人の対応の確保」ということでございまして、最初のほうに経緯が書いてございます。2つ目のパラグラフでございますが、「監査人が監査人の画一的な手法を強制し、企業独自の内部統制の手法を尊重せず、各企業が構築した手法を機能させられない」といった指摘があったことがございまして、それを受けまして、「経営者等に対し、画一的にその手法等を強制することがないように留意する」といったような点を実施基準上、明記させていただいているところでございます。

その次のパラグラフで、「一方で」ということでございますが、「事業規模が小規模で比較的簡素な組織構造を有している組織等」ということで、いわゆる中堅・中小上場企業というふうに称しておりますが、そちらの場合には逆に、監査人の適切な指摘が必要ではないかといったご指摘がございました。今回実施基準上に「適切な指導的機能」という文言は記載されていませんが、適切な指摘を行う必要があることに留意するといった点を記載させていただくとともに、先ほどのコメントへの対応にもございましたとおり、指摘をすることによってかえって企業に過度の負担を求めるということではないということを、前文のほうで明記させていただいているところでございます。

それから、1ページおめくりいただきまして(2)は「内部統制の効率的な運用手法を確立するための見直し」ということでございまして、例えば、イロハのハでございますけれども、今回、業務プロセスに係る内部統制の整備及び運用状況について、評価範囲のさらなる絞り込みということで、結果として売上等の概ね3分の2を相当程度下回る場合があり得る、ということを規定させていただいているところでございます。

それから、ヘのところでございますが、先ほど来お話の出ております「持分法適用となる関連会社に係る評価・監査方法の明確化」ということで、持分法適用となる関連会社については、他の支配株主等の存在で、必ずしも子会社と同様の評価が行えないということが考えられるわけでして、そうした場合には、最後でございますが、当該関連会社への質問書の送付、聞き取り、あるいは当該関連会社で作成している報告等の閲覧等、適切な方法により行う必要があるとされてきたところでございます。ただし、繰り返しになりますけれども、特に海外の関連会社のうちには、そうした方法すら取ることが困難とのご指摘もございまして、今回、特段の事情がある場合には、当該関連会社に対する―投資損益というのは連結財務諸表をつくる際に必ず確認していただくわけでございますので、―当該関連会社に対する投資損益の把握など管理プロセスを確認することも、適切な方法に含まれるということを明確化させていただいたというものでございます。

それから、大きな2番目としましては、「重要な欠陥」の判断基準の明確化を今回させていただいたということでございます。

それから、マル3としまして、「中堅・中小上場企業に対する簡素化・明確化」ということをさせていただいているところでございます。

それから、(3)でございますが、「重要な欠陥」の用語の見直しということで、「重要な欠陥」という用語を「開示すべき重要な不備」ということで見直させていただいているところでございます。

それで、今のところの5ページ目の2つ目のパラグラフでございますが、ここを読ませていただきますと、「この「重要な欠陥」の用語については、制度上、基準上の用語として既に定着しているとの指摘もある一方で、企業自体に「欠陥」があるとの誤解を招くおそれがあるとの指摘があり、「開示すべき重要な不備」と見直すこととした。ただし、そうした経緯から用語を置き換えたものであり、用語の定義や「開示すべき重要な不備」の判断基準は変わらないこと、財務諸表監査において使用されている「重要な不備」とは異なること等に留意が必要である。」ということで、先ほどの英訳の話ではないのですが、「重要な欠陥」のいわゆるレベル感といったものに変更があるわけなのではないということを明確化させていただいているものでございます。

それから、大きな4番目でございますが、「効率的な内部統制報告実務に向けての事例の作成」ということでございます。前回の内部統制部会での審議においてもご説明させていただきましたが、この事例自体については、当部会で作成するということではなくて、金融庁のほうで改めまして作成させていただくということでご説明してきているところでございます。

当該事例につきましては、最後のパラグラフでございますが、基本的には、事業規模が小規模で、比較的簡素な構造を有している組織等における事例というものを集めさせていただくこととしておりますが、「事業規模が小規模でない場合であっても比較的簡素な構造を有している組織等においても参考にできるものとすることが望まれる」ということで、当部会の意見書としてはこのような表現にさせていただいているところでございます。

最後、適用時期でございますが、この改訂基準及び改訂実施基準は、平成23年4月1日以後開始する事業年度における財務報告に係る内部統制の評価及び監査から適用するということで、この4月から始まる事業年度から適用していただいてはどうかというものでございます。

それから、なお書きでございますけれども、改訂基準及び改訂実施基準を適用するに当たり、関係法令等において所要の整備を行うことが適当である、ということで、いわゆる「内部統制府令」と言っております内閣府令ですとか、先ほど来お話の出ております「内部統制報告制度に関するQ&A」、それから今出ておりました「事例集」、そういったものの整備を行うことが適当であるというのを当部会からご提言を頂いてはどうかというものでございます。

2ポツにつきましては、内部統制監査のいわゆる実務指針については、日本公認会計士協会で現在お作りいただいておりますので、こちらについても、あわせて改訂していただくということが要請されるといった形にさせていただいているところでございます。

意見書(案)につきましてのご説明は以上でございます。

○八田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいま事務局から説明してもらいました内部統制の基準・実施基準の改訂案(公開草案)に対するご意見への対応、及び寄せられましたご意見を踏まえた意見書(案)につきましてご審議いただければと存じます。

なお、改訂箇所が非常に多く、かつ各パートに分かれておりますので、ご意見等を頂くに当たりましては、資料番号及び該当ページをお示しいただいた上でご発言いただきますようお願いいたします。

どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。

では、大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

それでは、先ほどぜひ意見をとおっしゃっていた2カ所について申し上げたいと思います。まず、持分法適用会社の扱いのところですけれども、別案というものを拝見いたしますと、確かにこれで具体的な方法の例として挙げておられるものの優先順位がわかるといえばわかるのですが、逆にこの(注2)ぐらいはっきりと優先順位についての文章をつけていただくと、かえって本文のほうに「当該関連会社に係る管理プロセスの確認」という言葉が入っているのが不自然なんではないかという気がします、つまり現行の本文の「聞き取り、あるいは当該関連会社が作成している報告等の閲覧等適切な方法により」の中に、ここで言っている「管理プロセスの確認」が入るということが(注2)でかなり明瞭に書かれるわけです。

しかも、それはあくまでも、本文に挙げられたものよりは優先順位が低い、例外的な扱いであるという考えを示すということであれば、本文は現行のままで(注)の1と2を足すというほうが、より親切なのではないかなという気がいたしました。

この点について、気になったのは、先ほどの意見書(案)の4ページで、「特に海外の関連会社のうちには」という文言が入っているんですが、実施基準の文章でいくと、「在外子会社等についても」というのが別項で掲げられていますけれども、このロのところというのは、必ずしも海外に限らず、持分法適用であれば国内外問わずということだと思います。

だから、何でそれなのに意見書(案)に「海外」というのが断定的に出てくるのかなと。テクニカルではありますけれども、「海外の関連会社等」など何か一言、海外に限った話ではないんだということを入れたほうがいいのかなと思いました。

それから、もう1点、追加的な作業云々の話です。資料2の10番でありますけれども、この点についてのご指摘は、私はこのコメントをされた方のおっしゃることが何となくわかるような気がいたしまして、現在の改訂案ですと、「財務報告に対する影響の程度等に応じ」という言葉が入るわけですよね。現在は入っていないわけですから、これが入ると、「追加的な対応を求める場合がある」ではなくて、「追加的な対応を求める」でいいのではないかと思います。

なぜそう思うかといいますと、今回いじらない、上に挙がっているほかのポチが全て、「確認する」、「入手する」というような、そういう断定的表現になっているわけです。それが最後のところだけ「場合がある」と二歩、三歩引いた形になってしまうと、「財務報告に対する影響の程度等に応じ」というのが入っている意味が何か減殺されてしまうんじゃないかなという気がしまして、私は、この文章は、「影響の程度等に応じ」というのを入れるというのであれば、「追加的な対応を求める」でよろしいのではないかなと思いました。

以上でございます。

○八田部会長

どうもありがとうございます。

事務局から何か。よろしいですか。

ほかに、ご意見はございますでしょうか。

では、持永委員、どうぞ。

○持永委員

今の2番目の論点、資料2の4ページの10番になります。

この「追加的な対応を求める場合がある」ということで、今、大崎委員からの解説、解釈もございましたけれども、例えばこの文章、やはり先ほど課長からのご説明にございましたとおり、資料5のほうですと7ページの一番下のほう、8ページも下のほう、9ページも真ん中よりちょっと下のほうに、「場合がある」ということでございます。基本的に、7ページ、8ページ、9ページ、その文章の立てつけというのは、何々が適切でないと判断した場合には、語尾は「場合がある」ということになっています。

大崎委員のおっしゃるとおり、影響の程度という話はあるのですが、我々監査人の立場からしますと、やはり、適切でないと判断したのに場合があるのかというのは、構文上ちょっと不適切ではないかと思いますし、直観的にも合わないのではないかというのがございます。

そして、この適切でない場合の判断と、「財務報告に対する影響の程度」とございますが、この適切でないという判断、さらにはこの「財務報告に対する影響の程度」の判断は、基本的には同じ判断基準だと思います。

判断基準は別途あるものではなくて、2つ同じですので、結果として、判断は同じなのに、「財務報告に対する影響の程度」を勘案するのは同じなのに、例えば前のほうでは、適切でないと判断したら経営者にその旨を指摘して、さらに、影響の程度に応じて対応を求める場合があるということですから、同じ判断なのに結果として求められる行動が違うのではないかという心配がございます。

その心配を裏返しいたしますと、例えば、影響の程度に応じて追加的な対応を求める場合がある。適切でないと判断した場合、もっと広く、要は影響の程度に関係なく適切でないと判断した場合には経営者に対してその旨を指摘するということになります。

そうなりますと、指摘された経営者はどうされるのですかという問題になりまして、制度の適用初年度に、なかなか監査人と会社のコミュニケーションがうまくいかなかった、基準等の咀嚼に足りないところがあったという形で、制度運用を行った会社があったわけですけれども、この点については、会社と監査人が適切に協議されておればほとんどの懸念はないと思いますので、その意味では現行の文章、そして、もし改訂案で「場合がある」とするのであれば、この「適切でない」と「影響の程度」の関係をもう少し明らかにされたほうがよろしいのではないかと思います。

以上です。

○八田部会長

どうもありがとうございます。

ただいまご指摘のように、最初のご説明では資料5の7ページのところだけ、「場合がある」について改訂の経緯を課長のほうからお話しされましたけれども、同じように末尾のところで、一部このような婉曲的といいますか、緩和的な形での記載になっていますが、これにつきまして、ほかの委員の方、ご意見はございますでしょうか。

では、橋本委員、どうぞ。

○橋本委員

私は学者というか中立的な立場から言っても、この「求める場合がある」という、「場合がある」というのはちょっとおかしいと思いまして、「求める」と言い切ったほうがいいと思ってございまして、「求める場合がある」というのは、求めるのが多いのか、求めない場合が多いのかというのが、ニュアンス的に言うと、求めない場合のほうが多いというふうに感じがいたします。

それは、上のほうの「適切でない」とかそういうような言葉との兼ね合いでいってもここは言い切ったほうがいいと思いますし、もし「場合がある」を使うのであれば、「求めない場合がある」といったようにするのも一つの案かと思いますが、そのようにしてしまうと今度は基準の文言としてはいささかちょっとどうかなと思いますので、そうであれば「求める」と言い切ってしまって、求めない場合があるというような、例外のところは実務指針か何かの紹介のほうで対応することでもいいんじゃないかと、そういうふうに考えております。

○八田部会長

ありがとうございます。

ほかに、この点につきまして。

では、高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

高橋でございます。

経営者の行った重要な事業拠点の選定の過程や結果が適切でないと判断した場合が前提となっておりまして、この場合、重要な事業拠点が不適切という問題が絡むがゆえに、監査人は経営者にその旨を指摘した上で追加的な対応を求めるもの、というふうに理解しております。

したがいまして、先ほどからご意見が出ておりますように、適切でないと判断しても、何ら経営者に対応しないケースでは、監査人の責任はどうなるのかという問題もあり、かえってあやふやなゾーンが増えるような感じもいたしますし、実務上、経営者側にもその区分に混乱が生じるのではないかということで、従来どおりとし、「場合がある」というのは削除されたほうが、より実務が円滑に進むものと考えます。

○八田部会長

ありがとうございます。

ほかに、いかがでしょうか。

では、高田委員、どうぞ。

○高田委員

半分質問で半分は意見なのですが、この「経営者の行った重要な事業拠点の選定の過程や結果が適切でないと判断した場合」のコメントに対する回答として、事業拠点の重要性、重要な事業拠点に対する経営者の判断に対しては、重要でないと監査人が判断した場合に追加的な対応は求めないこともあり得るわけで、そういうふうにこのコメントに対する回答をしているのかなと考えましたけれども、そうじゃないのですか。だから、「場合がある」としてあるのではないのですか。

言っていることは、わかります。前段の、経営者の行った重要な事業拠点の判断ですね、これが、ひょっとしたら、経営者は重要だと判断したかもしれないけれども、これは重要でないと監査人が判断する場合もあって、その場合は、追加的な措置の対応は求めないことも含んで、「場合」と回答したのだと理解したのですが、そのように理解しますと、この回答で良いと思います。

○八田部会長

古澤課長、お願いします

○古澤企業開示課長

その点は、おっしゃるとおりだと思います。もともと、現行は「重要な事業拠点の選定の過程や結果が適切でないと判断した場合」とされておりますが、この場合に、必ずしも一対一対応で追加的な作業を求めるということにはならないのだろうという理解で見直しを行っているものです。その際、もう一つのスクリーニングとして、「財務報告に対する影響の程度等に応じ」という文言が入っているので、先生のおっしゃるとおりだと思います。

○八田部会長

ほかに、いかがでしょうか。

町田委員、どうぞ。

○町田委員

今の整理に私は同意しないんですけれども。経営者が評価したいというのであれば評価してもらって全く構わないと思います。経営者の判断なわけですから。

今論点になっている「場合がある」というのを入れるか入れないかの議論は、別の問題だと思います。少し極端なことを申し上げますと、監査人が「だめだ」と判断したものを、少しバッファーを置いて、会社に要求する場合も要求しない場合もありますよというふうに弱くするのか、それとも、やはり財務報告への影響の程度を監査人が検討した上で、これではだめだと、不適切だというふうに判断したものについては、監査人から経営者に対して「これは不適切ですよ」と言って修正を求めるべきか、そういう議論だろうと思います。私は、少なくとも財務報告に対する影響の程度を勘案した上で監査人が不適切だと考えたものについては、会社側に「それは不適切ですよ」と言う役割といいますか、財務報告の番人としての権限を監査人に与えない基準のつくり方というのはおかしいと思いますので、ここで「場合がある」という形で緩和するのは、そもそもおかしいんじゃないかなというふうに考えます。

もちろん、それ以外の評価の仕方とか、あるいはサンプルのとり方とか、そういったところの緩和措置というのはそれは適切な範囲で設けられてもしかるべきだとは思いますけれども、財務報告の信頼性という一点だけにおいては、監査人は譲れないのだろうと思います。そこまで緩くしてしまうのであれば、そもそも監査人による関与を求める意味がなくなってしまうのではないかなというのが私の理解です。

○八田部会長

ありがとうございます。

恐らくこの改訂案に至るまでの経緯は、経営サイドのほうから緩和的なというようなニュアンスの申し出というか、コメントがあったことに対する回答ではないのかなという気がするのですけれども、基本的にはもうその途中の段階でかなりバッファーを置いていますので、末尾のところは現行の形のほうが文法的にも正しいのではないかという気がします。これに関しまして、ほかにいかがでしょうか。

では、大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

今部会長がおっしゃったような考え方で見直しをするとすれば、これは確認なんですけれども、先ほど来議論になっている7ページ以外の8ページ、9ページ等々の「影響の程度等に応じ」、「場合がある」は、すべて同じ扱いという理解ですよね。それをちょっと確認したいと思いますが。

○八田部会長

先ほど課長のほうからお話がありましたように、文法的な、修文に関しましてはまた持ち帰って事務局のほうで見直しをさせていただきますけれども、今日はご意見を承るということでお願いしたいと思います。

では、どうぞ。

○古澤企業開示課長

今、大崎委員からお話があったとおり、ここを直すとすると、ほかの箇所にも波及するかと思います。

その上で、1点は、去年の年末、既にこの「求める場合がある」という案でパブコメを出させていただいて、それに対して、「この案自体、全体として読んでみるとどうだろう。」というご意見を頂いたため、本日その点を改めてご議論いただいているという整理です。

○八田部会長

ほかの箇所でもよろしいですから、ご意見いただけましたら。ご発言をお願いします。

では、柴田委員、どうぞ。

○柴田委員

本質的な議論ではないと思いますが、資料1の4ページの1行目で「海外の関連会社」云々というくだりがありますけれども、これは単なる事実の描写ですから、これをここに残すということで大きな問題は生じないと思われます。 特に海外の関連会社の場合であっても本当の支配権が及ばないような会社については、「みずからのライアビリティをふやすような書面は出したくない」という意思が働いて、協力することに難色を示す場合が大いにありうるかと思います。現象の指摘としては大いにあり得るケースですし、今回の一連の緩和に至る理由との一つとなるような事象の表現ですから、残しても大きい問題は生じないと考えます。

○八田部会長

ありがとうございます。

ほかに。では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

持分法のところで、資料1の4ページの一番上のところで、情報がとれない場合に、特段の事情がある場合には、当該関連会社に対する投資損益の把握などの管理プロセスを確認することも適切な方法にとありますが、これは割とわかりやすくて、いわゆる相手から情報が直接とれないから、管理側の投資側のほうの管理体制を見るということで、わかりやすいんですけれども、先ほどの修正(抜粋)のほうの文章、修正(抜粋)の2ページですか、その最後のところに書いてありますけれども、こっちのほうは逆にちょっとわかりにくくて、とれない特段の事情がある場合には、当該関連会社から入手する財務情報等に係る管理プロセスの確認、と書いてあるんですけれども、投資側なのか相手側なのか、わかりにくい部分があって、これは趣旨としては恐らく、全般統制のところは、まず、向こうからとれればとってほしいけれども、実際はそれがとれない、だから投資側のほうの管理体制を見るという趣旨だと思います。それでいくと、先ほどの資料1のほうの投資損益の管理というほうが、投資側の立場に立った感じで非常にわかりやすいんですけれども。

○八田部会長

どうもありがとうございます。検討させていただきます。

ほかに。久保田委員、どうぞ。

○久保田委員

今回の見直しにつきましては、経団連からも、制度の実行性を担保しつつ、実務負担が過度にならないようにという観点からいろいろ意見を言ってきたり、パブコメ等を出させていただいたりと、その間いろいろご配慮いただいて、概ね私どもの趣旨が通った案ができているんじゃないかなと思っております。

問題は、それが実際の現場でそういう趣旨に沿った改訂が行われるかどうかということで、特に今日の資料1で配られている改訂の考え方の一丁目一番地に、企業の創意工夫を活かした監査人の対応の確保というのがあるわけで、これに沿って監査が行われるように監査人の方々にはお願いしたいと思いますし、金融庁でもいろいろご指導いただければと思っています。

それから、先ほどご丁寧にご説明いただいて、持分法のところも、いろいろやりとりがあったようでございますけれども、基本的には原案で、私どもとしては異論がないというところでございます。

○八田部会長

どうもありがとうございます。

ほかに、いかがでしょうか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

ご相談ということの2項目以外のその他の項目で、1点確認をさせていただきたいのですが、資料2の6ページ、上のほうのNo.5というコメント項目がございます。

評価範囲の決定の「結果として、売上高等の概ね2/3を相当程度下回ることがあり得る」というところですが、このコメントに対する考え方のところの記載内容の確認でございます。

「経営者は、内部統制報告書に記載することになるものと考えられる」とありますが、このコメントに対する考え方の欄の5行目、左側のコメントの概要欄では「2/3を相当程度下回る」、この右のほうは「2/3を相当下回る」というのは、何か意識された点でしょうか。「程度」がこちらにも入るというふうに理解させていただいてよいかという確認でございます。

また、ここのところは、投資家等にとりましても重要な情報ではないかというような観点からしましたら、「評価範囲の決定方法等」の「等」には、この2/3を相当程度下回る状況、その状況である旨とか、あるいは例えばカバー率などというのも含まれるというような理解でよろしいのでしょうか。

それから、このコメントに対する考え方ということで記載されている内容の対応につきましては、実施基準にもこのような考え方の記載が織り込まれるというふうに考えてよろしいのでしょうか。

以上、確認をお願いいたします。

○八田部会長

では、お願いします。

○古澤企業開示課長

失礼いたしました、「相当程度」は、御指摘のとおり我々のミスでございます。

「等」の書き方、それから実施基準の書き方は、再度検討させていただければと思います。

○八田部会長

ほかに、いかがでしょうか。

では、錢高委員、どうぞ。

○錢高委員

お話を伺って、今日のこの方向性について、長年の皆様のご努力に大変感謝いたしますが、大企業とか中堅・中小ということにかかわらず、本質的な問題は、日ごろどれだけそれぞれの経営者が努力しているかという部分の見方も、監査人の方にはよく理解していただきたいというのが経営者サイドからすれば基本的にあるわけでございます。今回のこのケースは、ちょっと別の話になりますが、例えば建設業をやっておりますと、事故や安全ということに関しまして絶えず教育をし、現場の一次下請、二次下請までいろんな教育もし、安全第一を基本にやっています。しかし、偶然にも、何か物が落下して事故が起きてしまうとか、非常に努力をしたにも関わらず、努力の中では予測不可能のような状態もあるかもしれないということが発生するかと思います。これは大企業に限らず、中堅・中小であろうが一緒だと思うのであります。

たまたま業務プロセス、大企業の中ではいろんな会社のシステム、制度があると思いますが、資料1の4ページのマル3の中堅・中小企業云々というところで、中堅・中小であろうが大企業であろうが基本的に変わらないのは、日ごろどれだけ鋭意努力をしておられるかという部分をどういうふうにご覧いただき、そして、プラスの面もあり、マイナス面もありということで修練していくというのが企業人の経営者の努力であると思います。日ごろのプロセスというのをどういうふうにプロセス管理という部分でお考えなのかということでありまして、端的に言いますと、従来からこの部会に出していただき、何となく引っかかってはおりましたが、このマル3の中のハのところに、「利用できる社内作成書類」として、括弧書きで「(後任者への伝達文書、受注の際の作成文書等)を例示する」とあります。

「等」という言葉から、かなりいろいろな尾ひれがついているということは想像いたすわけでございますが、このあたりの例示が何となく狭いセグメントの中に入っていないかなということを申し上げたいわけであります。例えば経営者としての基本的な考え方だとか、社内の平素の教育だとか、伝達だとか通達だとか、何かそういったものの基本の、経営者としての概念とかコンセプトというものがあって企業は運営されていくという、その部分に、この事例としての表現がもう少し何か・・・。ちょっとセグメントのディテールの瑣末のところに入ってしまっていないかなという感じを受けるものであり、おっしゃりたいことは何となく感覚的にはわかるのですが、これが例示として出てしまうということが果たしていいのかどうか。

日ごろの教育をどうしているかとか、日ごろの社内通達だとか規則の改訂だとか、いろんな形で努力をしておられるという部分が、やはり一番大切なプロセスじゃないかなと、こう思いますと、実務といいますか実業の世界から見ますと、この辺りにちょっと何か工夫があってもどうかなということを意見として申し上げさせていただきます。

○八田部会長

ありがとうございます。ご意見を承っておきます。

ほかに、いかがでしょうか。

では、堀江委員、どうぞ。

○堀江委員

まず、意見に先立ちまして、1点確認させていただきたいと思います。

資料2で申し上げますと、2ページ目のNo.6のコメントに関するところであります。監査人の「指導的機能の発揮」云々に関するコメントであります。

これに関しまして、資料1、今回の意見書の前文でございますが、2ページ目、下から4行目あたりにこれに関する記述があるかと思います。

それで、まずこの記述に関連して確認させていただきますが、監査人の「指導的機能の発揮」のこのコメントに対する対応として、基準及び実施基準におきまして、何かこのニュアンスをにおわせるような字句等、文言等の修正があったかどうかということを、まず確認させていただければと思います。

○八田部会長

よろしくお願いします。

○野村企業会計調査官

今回のコメントを受けまして修正をさせていただいた部分は、資料5をお開きいただきたいと思いますが、資料5の2ページ目でございます。

先ほどご紹介させていただきましたコメントへの対応でいきますと、資料2の4ページの9番のところのコメントで、「内部統制監査の基準・実施基準等の内容や趣旨を勘案して」という表現になっておりましたが、基準・実施基準を勘案するのではなくて踏まえるのではないかというご指摘でございましたので、そこの部分を修正しているものでございます。修正点は以上でございます。

○堀江委員

それでは、資料1の意見書前文でございますが、2ページ目、下から4行目の文言になりますが、この監査人の「指導的機能の発揮」という非常にデリケートな部分をどのように表現するかということでお悩みになられたのかと思いますが、前文2ページ目、下から4行目で見てみますと、「経営者からの相談に対しては、内部統制の有効性を保ちつつ、適切な指摘を行う必要があることに留意するとしたものであり、企業に過度の負担を求めるものではない(適切な「指導的機能」の発揮)。」、こういう文言が記載されておりまして、先ほども申し上げましたように、多分、ここはいろいろと工夫されて書かれたところかと思いますが、かえってあいまいにしておいたほうがいいという意思がちょっと強く働かれたのか、文章自体が、「経営者からの相談に対しては」、「過度の負担を求めるものではない」と、文章のつながりがちょっとおかしいように思います。

それで、「経営者からの相談に対して」、この次に、「内部統制の有効性を保ちつつ」と、こう書いてありますが、もし指導的機能の発揮ということであれば、これは「監査の過程で」という文言を補う必要があるかと思いますし、その次、「内部統制の有効性を保ちつつ」というのは、「内部統制の有効性と効率性が保てるよう」という表現か、あるいは「監査人の独立性を保ちつつ」というならば意味がわかるのですが、相談に対して「内部統制の有効性を保ちつつ」というのは、経営者が何か無理な相談をしているような言葉の受け方になってしまうように思います。

それで、もう1点、これに関連して気になりましたのが、相談に対して「指摘を行う」という表現です。「相談」があって「指摘」をするというのは、言葉としてもう少し工夫が必要ではないかというふうに思いました。

特にここは被監査会社側で非常に気にされている箇所かと思いますので、もう一段の書き方の工夫をお願いできればというふうに思います。

○八田部会長

どうもありがとうございます。

では、よろしくお願いします。

○野村企業会計調査官

ご指摘ありがとうございます。

1点だけ、最後の「指摘」という用語についてでございますが、ご承知のとおり、平成19年にこの基準をつくりましたときに、内部統制監査と財務諸表監査の関係ということで、有効な内部統制の構築等に向けて、監査人が何らかのアドバイスといいましょうか、サポートができないかということが議論になりまして、ただ、「指導」ということになりますと、監査人の独立性という観点で非常に問題があるということで、現在の実施基準の中でも「有効な内部統制の構築等に向けて適切な指摘を行うことを妨げるものではない」として、「指摘」という言葉を基準・実施基準上の中で使ってきているところから、ここでも「指摘を行う」ことに留意するという表現にさせていただいているものでございます。

ただ、先生がおっしゃられましたとおり、相談に対しての指摘ということの対応関係についてはちょっと検討させていただきたいと思います。

○八田部会長

柴田委員、どうぞ。

○柴田委員

その修文の中で一つご確認いただきたいのは、「適切な指摘を行う必要がある」という、この「必要」という言葉がどうなのか。例えば「場合」なのかもしれないと思ったりもしますけれども、少しお考えになっていただけたらと思います。

○八田部会長

どうもありがとうございます。

先ほどの堀江委員のご指摘も踏まえて、もう少しここは推敲させていただきたいと思います。

ほかに、いかがでしょうか。

よろしいでしょうか。ご質問、ご意見はよろしいでしょうか。

それでは、特にご発言がないようでしたら、意見交換はこの辺で終了させていただきたいと思います。

本日頂きましたご意見等を踏まえまして、一部字句上の問題も含めまして修正をさせていただきたいと思います。

また、事務局から説明がありましたとおり、現在金融庁のほうで、今回の見直しに関連する内部統制関係の内閣府令及びガイドライン、「内部統制報告制度に関するQ&A」の見直し、及び「内部統制報告制度に関する事例集」、一応(仮称)でありますが、その作成が行われていますので、それらとの整合性を図る観点から、本日ご審議をいただいた意見書(案)を修正させていただく必要が出てくる可能性がございます。

そうした前提を置きました上で、この「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について」を、内部統制部会としての意見書(案)としてさせていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。

(「賛成」の声あり)

○八田部会長

ありがとうございます。

なお、ただいま申し上げましたように、今後の字句や文章の修正につきましては、適宜皆様にご報告させていただきますが、私にご一任いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

(「了解」の声あり)

○八田部会長

ありがとうございます。

それでは、安藤会長ともご相談の上、企業会計審議会の総会にお諮りさせていただきたいと存じます。

なお、最終的な意見書(案)につきましては、後日、皆様に送付させていただくこととしたいと思います。

これにて本日の審議は終了させていただきたいと思います。

なお、内部統制の基準・実施基準の改訂に関する当部会での審議は、本日で一区切りになります。委員の皆様には、昨年5月以降、精力的にご審議を賜り、誠にありがとうございました。

それでは、これにて閉会いたします。お忙しいところご参集いただきまして、大変ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3672、3656)

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