企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議議事録

1.日時:平成23年6月30日(木曜日)16時00分〜18時00分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 13階 金融庁共用第一特別会議室

企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議

平成23年6月30日

○安藤会長

定刻になりましたので、これより企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議を開催いたします。皆様にはご多忙のところご参集いただき、まことにありがとうございます。

まず会議の公開についてお諮りいたします。従来と同様、本日の総会も企業会計審議会の議事規則にのっとり、会議を公開することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○安藤会長

ご了解いただきましたので、そのように取り扱わせていただきます。

議事に入ります前に、前回の総会、これは本年の2月24日でございましたが、それ以降、本合同会議関係で委員等の異動がございましたので、私よりご紹介させていただきます。

逢見直人氏、大武健一郎氏、加護野忠男氏、河崎照行氏、佐藤行弘氏、鈴木行生氏、谷口進一氏、廣瀬博氏、和地孝氏が新たに委員に就任されておりますので、順にご紹介申し上げます。

まず、逢見委員でございます。

○逢見委員

逢見です。よろしくお願いします。

○安藤会長

次は大武委員でございます。

○大武委員

大武でございます。よろしくお願いします。

○安藤会長

加護野委員でございます。

○加護野委員

加護野です。よろしくお願いします。

○安藤会長

河崎委員でございます。

○河崎委員

河崎でございます。よろしくお願いします。

○安藤会長

佐藤委員でございます。

○佐藤委員

佐藤でございます。よろしくお願いします。

○安藤会長

鈴木委員でございます。

○鈴木委員

鈴木と申します。よろしくお願いします。

○安藤会長

谷口委員でございます。

○谷口委員

谷口でございます。よろしくお願いします。

○安藤会長

廣瀬委員でございます。

○廣瀬委員

廣瀬でございます。どうぞよろしくお願いします。

○安藤会長

和地委員でございます。

○和地委員

和地でございます。よろしくお願いします。

○安藤会長

なお、伊地知隆彦氏も委員に就任されておりますが、本日はご欠席でございます。

また幹事につきましても、法務省内の異動に伴いまして、河合芳光氏が退任され、坂本三郎氏が就任されておりますのでご紹介します。坂本幹事でございます。失礼、まだお見えになってないようでございます。どうぞよろしくお願いします。なお、委員名簿をお手元にお配りしておりますので、ご参照いただきたいと思います。

本日は、お配りしております議事次第にありますように、総会の議事として、中間監査基準等の改訂についてまずお諮りした後に、国際会計基準についてご審議をいただきたいと考えております。

本日の合同会議には、自見金融担当大臣にご出席をいただいておりますので、最初に自見大臣よりごあいさつをいただきたいと存じます。

○自見大臣

金融担当の国務大臣でございます、私が、参議院議員の自見庄三郎でございます。今日は企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議の開催に当たり、ごあいさつを申し上げます。会計・監査をめぐる諸課題への対応に当たって、委員の皆様方には格段のご協力をいただいておりまして、大臣として厚くお礼を申し上げます。ありがとうございます。

審議の冒頭に当たり、2点申し入れたいことがございます。1点は、本日、中間監査基準等につきまして、昨年の年度基準に続き、改訂基準を取りまとめていただくこととなっております。委員の皆様方におかれましては、精力的なご審議をいただき感謝申し上げます。

次に、IFRS適用に関する検討についてであります。いわゆる中間報告の発表後、国内外において、さまざまな状況の変化が起こりました。大きな変化は、米国を中心とする金融危機、いわゆるリーマンショックの発生でございます。また、民主党オバマ政権への交代でもございました。

米国では、このような大きな流れを受けて、本年5月26日にSEC米国証券取引委員会からIFRSに関するスタッフペーパーが発表されております。この中身につきましては、いろいろな見方があると思いますが、私は米国基準の存続を前提にしているIFRSを丸飲みするのではなく、コンバージェンスの方法による、例えば5ないし7年間の時間をかけて移行する、SECは報告権限を保持するという方針が示されており、IFRSの全面採用から変化が生じているというふうに私は思っております。

この点につきましては、ウォール・ストリート・ジャーナル主催のカンファレンス、CFOネットワークの中で、シャピロSEC委員長が、IFRS適用を求める 米国企業と投資家の声はそれほど多くないと語ったと報じられております。

また、例えばインドも、一時はIFRSを採用すると言っておりましたが、農業会計、金融商品会計等は別にするなど、IFRS全面アドプションをやめております。また、2010年4月に予定していた一部企業への適用は、延期になっていると聞いております。

そういったことを受けて、我が国においても産業界からの要望書、我が国のIFRS適用に関する要望が、私のところを含めて関係各所に出されております。

また、連合2012年度、連合の重点政策においても、労働者など多様な関係者の利害に関する企業法制度改革と会計基準の実現との項目で、上場企業の連結財務諸表についてIFRSを強制適用することについては、当面見送る方針を早期に明確にするという方針が示されております。

また、3月11日、未曾有の震災である東日本大震災が発生いたしました。被害に遭われた方々に、心から皆様とともに哀悼の意、そしてなおかつ、まだ被災をしておられる方に心からお見舞いを申し上げると同時に、復興に向けた足どりを着実にするためにも、環境整備が求められているところであります。

このような内外の情勢の変化を踏まえて、6月21日の会見にて新しい方針を発表いたしました。内容はお配りしてあるとおりではございますが、補足をさせていただきます。そもそも、会計基準の国際化の重要性は否定されるものではありません。金融庁といたしましても、引き続き会計基準の国際的調和に向けて、最大限の努力を払ってまいります。

一方、内外の情勢も激変している中で、臨機応変かつ慎重かつ柔軟に、対応の見直しを行うことが必要であると考えております。会計基準の国際的調和そのものが自己目的化し、経済活動が停滞するようなことがあってはなりません。国際的な要請を見きわめつつ、国全体の経済活動の活性化との両立を図っていくことが重要であります。この点については、さきに述べた米国、インドといった各国も似たような悩みを抱えていると考えており、理解が得られるものと考えております。

また、そもそもIFRSの強制適用の決定が行われていないにもかかわらず、適切な準備期間の精査もなされず、あたかも強制適用は当然の前提であるかのような状況を生じているとすれば、そのことが問題でございます。経済活動に対する不要なコスト、負担を生じさせてはなりません。当初は、米国の例に倣い3年としておりましたが、適切な準備期間の設定は、金融庁としては当然の使命であると考えております。

今回は、仮に強制適用を行った場合について、実態に即した5ないし7年の準備期間の設定を行うこととしたもので、適用の延期ではないことをご理解いただきたいと思っております。また、米国基準の使用期限を2016年3月と定めたことの撤廃を行うことといたしました。

さらに、米国SECのワークプランで対応を進めているように、制度の導入を図るものが、その必要性、影響をみずから検証、説明するのは当たり前のことであります。そもそも会計制度は、国における歴史、経済文化、風土を踏まえた企業のあり方、会社法、税制等の関連する制度、企業の国際的競争力などと深いかかわりがあります。このような幅広い視点から、ワークプランで導入の利点と影響を広範に検討するとともに、ラウンドテーブル等を開始し、国民への説明責任を果たしている米国と同様の対応が、我が国でも必要であると私は考えております。

このような状況にかんがみ、経済活動に対する不要な負担、コストが発生することがないよう、必要な措置を講ずることに加えて、中間報告でとりあえずの目標とされている2012年にとらわれず、総合的に成熟された議論を早急に開始することが、正しい国民理解を得る上で金融庁としてなすべきことと考え、今回は政治的な決断として大きくかじを切らせていただきました。

繰り返しになりますが、2009年6月の中間報告以降、内外の情勢は激変しており、IFRS適用の検討に際しましても、さまざまな立場からの活発な論議が行われてまいりました。これらのうち、中間報告等において議論されてきたものとかかわりの深いものが幾つかございます。そこで、今回の適用の検討に当たっては、中間報告等の見直しをしっかりやっていただきたいと考えております。

まず国内の任意適用の状況、中間報告において要検討とされた事項の検証をしっかり行っていただきたいと考えております。また、問題はここにとどまりません。次に、これも中間報告で示された内容ですが、今後のコンバージェンスのやり方については、IFRSの適用の話と密接にかかわります。今後予定される開発費やのれんの基準開発等、会計基準委員会、ASBJでの活動が今後の内外情勢の変化を踏まえたものとなっていくよう、ASBJの活動にゆだねるのではなく、この審議会でコンバージェンスの方向性をしっかりと議論していただきたいと考えております。

また税制等とのかかわり、日本基準の位置づけ、単体開示のあり方を踏まえ、連結先行の考えも見直さざるを得ないタイミングに来ているものと考えております。さらに、会計基準適用の前提となる多様な資本市場のあり方、単体開示の廃止といった制度にかかわる論点も、ご論議いただくようにお願いをいたします。

審議会のこれまでの取り組みにとらわれず、日本経済が心底元気になるように、自由で活発な論議をお願いする次第でございます。これまで以上に幅広い観点から、委員の皆様方の積極的なご貢献を通じ、ご議論が行われることを期待しております。委員の皆様方には、以上を申し上げました私の意のあるところをお酌みいただきまして、よろしくご審議を賜りますようお願いをいたしまして、私のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○安藤会長

どうもありがとうございました。

それでは、最初の議題であります「中間監査基準等の改訂について」でございます。昨年3月に当審議会が公表した会計基準の改訂に関する意見書におきましては、監査報告書における記載区分の見直し等の技術的な内容を中心とする改訂を行いました。今回の見直しは、年度の監査基準と同様に、中間監査基準等についても報告書の記載区分の見直し等を行うもので、監査部会において審議を行ってまいりました。この中間監査基準等の改訂につきまして、総会として取りまとめていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、中間監査基準等の改訂にかかる基準案の内容などにつきまして、監査部会の脇田部会長からご説明をお願いします。

○脇田監査部会長

監査部会長の脇田でございます。私から、中間監査基準等の改訂につきまして、簡単にご説明をさせていただきます。資料は、配付資料のうちの「中間監査基準等の改訂について」というのがお手元にあると思いますので、ご参照いただきたいと思います。

ただいま安藤会長からもお話がございましたとおり、昨年3月に年度の監査基準について、監査報告書における記載区分の見直し等を内容とする改訂を行いました。今回の改訂は、その年度の監査基準と同様に、中間監査基準、四半期レビュー基準についても、報告書の記載区分の見直し等を行うものでありまして、監査報告書の記載区分を従来の3区分から4区分に見直し、経営者の責任、監査人の責任など、報告書の記載事項をより明確に伝えられるようにするものでございます。

資料の監−1というのがございますけれども、その上にまず改訂案がございまして、4月8日から5月9日まで約1カ月間にわたりまして意見を募集し、そして寄せられましたコメントを踏まえまして改訂案を作成し、去る6月24日に開催されました監査部会におきまして審議を行いました。

具体的な改訂点は、資料監−2というのがございますが、そちらの新旧対照表のとおりでございます。監査部会における審議の結果、監査部会として最後についております資料監−3にございます「中間監査基準及び四半期レビュー基準の改訂に関する意見書(案)」として取りまとめさせていただきました。以上、ご報告いたします。

○安藤会長

ただいまのご説明につきまして、意見等はございますでしょうか。

特にご発言がないようでございますが、それでは「中間監査基準及び四半期レビュー基準の改訂に関する意見書(案)」につきまして、総会としてご承認をいただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○安藤会長

ありがとうございました。ご承認をいただいたということで、お手元の意見書の「案」を取っていただければと思います。

それでは、ただいまご承認いただきました意見書を、自見金融担当大臣にお渡しいたします。

(意見書手交)

○安藤会長

それでは次に、本合同会議の議題であります「国際会計基準について」でございます。この議論に当たっては、先ほど大臣からのごあいさつにございましたように、会計基準が単なる技術論だけでなく、国における歴史、経済文化、風土を踏まえた企業のあり方、会社法、税制等の関連する制度、企業の国際競争力などと深いかかわりがあることに注目し、さまざまな立場からの意見に広く耳を傾け、会計基準がこれらにもたらす影響を十分に検討し、同時に国内の動向や米国をはじめとする諸外国の状況等を十分に見きわめながら、総合的な成熟された議論が行えるよう努めていきたいと思います。

そうした意味で、本日は委員の皆様から、さまざまなお立場からのご意見を伺ってまいりたいと思います。この後は、委員の皆様からご意見を伺ってまいりたいと思いますが、配付させていただいております資料に関連して、4名の委員の方からまずご発言をいただきたいと存じます。

最初に萩原委員、お願いいたします。

○萩原委員

財務会計基準機構の萩原です。私からは、単体財務諸表に関する検討会議のご報告をさせていただきたく思います。お手元の資料3の単体検討会議の報告書をごらんいただきたいと思います。

この単体検討会議は、昨年8月の企業会計審議会での審議を踏まえ、昨年10月に財務会計基準機構内に設置され、10ページに記載のとおり、産業界を中心として各ステークホルダーの方々にご参加をいただき、本年4月まで合計6回の会合が持たれました。設置の経緯は、報告書の1ページに記載のとおりであります。

単体検討会議では、連結財務諸表の国際化を進める中、単体のコンバージェンスをどのように扱うべきかがテーマでありました。ASBJの検討スケジュールに合わせ、当面の重要項目として、開発費、のれん、退職給付、包括利益について議論を行いました。その議論では、おおむね単体については、当面、現状の会計処理を維持すべきとの意見が多く聞かれ、それらを報告書に単体財務諸表に関する方向性の考え方として記載し、4月28日にASBJに提出しております。

なお、単体検討会議では、単体の財務諸表の取り扱いについて、ステークホルダーの意見を聞くことをミッションとしたものでありますが、単体の処理のほかに、連結に関する意見も多く聞かれましたので、これらも参考意見として報告書に記載してございます。

また、単体の議論には直接関係ありませんが、会計制度一般に関する意見も聞かれました。これらは8ページに、その他の意見として記載させていただいております。そこでは、IFRSの強制適用に関連して、適用の範囲及び時期について、早期に議論・決定が行われ周知されることが望まれるとの意見、また十分な準備期間を設け周知されることが、過剰な反応を引き起こさないためにも大事である等の意見も聞かれました。そのことをあわせ、記載しております。

これら制度に関係する内容については、今後審議会で実りある議論がなされることを期待しております。以上、簡単ではありますが、単体検討会議の報告とさせていただきます。

○安藤会長

ありがとうございました。

次に佐藤委員、お願いいたします。なお発言される委員は、なるべくマイクを口に近づけてご発言いただけるようお願いいたします。よろしくお願いします。

○佐藤委員

三菱電機の佐藤でございます。資料4でございますが、要望書の提出企業を代表しまして、私のほうより背景と要望事項等につきご説明させていただきます。

本要望書は、ごらんのとおり記載の21社、1団体が賛同してくれておりますが、実は今年に入りまして、賛同企業の数社から、単体の検討会議に出ている企業も含め、日本はこのまま進んでよいのかという強い不安と、不満に近い悲鳴が上がり始めまして、自然発生的に要望書を出そうと、こういうことになったわけでございます。

要望書に記載した要望事項は、極めてリーズナブルな内容と私自身は思っておりますが、具体的な要望事項は資料4の本文の2ページ上段に枠で囲んだ部分に記載しております。

読ませていただきますと、まず1点目が「上場企業の連結財務諸表へのIFRSの適用の是非を含めた制度設計の全体像について、国際情勢の分析・共有を踏まえて、早急に議論を開始すること」。それから2点目が、「全体の制度設計の結論を出すのに時間を要する場合には、産業界に不要な準備コストが発生しないよう、十分な準備期間(例えば5年)、猶予措置を設ける(米国基準による開示の引き続きの容認)こと等が必要」。この2点を要望事項として出しているわけですが、2点とも冒頭の大臣のごあいさつと軌を一にする内容だと、思った次第でございます。

1点目のIFRSの適用の是非を含めた制度設計の全体像につきましては、昨年6月に開催されました企業会計審議会で、私自身参考人として出席する機会がありました。そのときに、日本の会計制度の制度的枠組みの課題、必要性につき、ご報告させていただきました。その後、今、萩原委員からご説明のありました単体検討会議が、ASBJで立ち上げられてきたわけでございますが、大臣のごあいさつにありましたような、やはりさまざまな立場から総合的な成熟された議論、これがやはり日本として不十分であったのではないかと、感じている次第であります。中でも国際情勢、とりわけ米国の動向につきましては、2009年6月の中間報告の当時からしますと、大きく変わってきており、いわば大前提が変わってきたと、私は認識しております。

米国は昨年2月に発表されたワークプランから、米国内への影響に関し、丁寧な検証を行っているのではないかと私は思っていますし、先月26日に公表されましたSECのスタッフペーパーを見ても、コメント募集までやるという、きちんとしたデュープロセスを踏もうとしております。

日本としても、個々の会計基準ではデュープロセスを踏んでいるのですが、全体の制度設計についても、丁寧な議論と検証が必要ではないかと思っている次第であります。例えばアドプションの是非の検討は言わずもがななのですが、コンバージェンスを今後どこまでやるのか。連結先行のコンセプトのもとに、今後とも単体までコンバージェンスをどんどんやっていくのか。それからまた、税制、会社法との関係で、連単のあり方をどう位置づけていくのか。証券市場の中で、IFRSとか連単の問題をどう関係づけていくのか等々、課題は山積していると思っているわけでございます。

任意適用については、日本はもう既に実施しております。一方で、アドプションの可能性も言及しています。加えて、コンバージェンス作業は並行して走らせています。こういう国は、おそらく私の知る限りでは日本だけではないかと思っております。

既にこういう状況の中で、準備作業等でコスト負担がかなり発生している企業が多くございます。こういう背景を踏まえたときに、やはり今後は原点に立ち返って、日本の企業の競争力、経済発展にとって、IFRSというのが真に意義のあるものかどうか、こういう視点から抜本的な再検討をすべきだと私は思っている次第であります。

その点から、2009年6月の中間報告及びその中で述べられております連結先行、ダイナミックアプローチの考え方、それから証券市場のあり方等々、真摯な議論とその方向づけが必須だと考える次第であります。審議会、部会の運営につき、よろしくお願いしたいと思います。以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

次に逢見委員、お願いいたします。

○逢見委員

連合の逢見でございます。お手元の資料5をご参照いただきたいと思います。これは連合が、今年の7月から来年の6月までの1年間に取り組む連合の重点政策のうち、国際会計基準IFRSにかかわる部分を抜粋したものでございます。

言うまでもないことでありますが、労働者にとりまして、賃金、労働条件というのは企業収益によって大きく左右される性質がございます。したがいまして、その表示方法を決める会計基準の変更というのは、労働者にとりましても極めて重要な意味を持つわけで、今般のIFRSの動向について、我が国がどう対応していくかということについては、強い関心を連合内でも持ち、またいろいろ議論を重ねてまいりました。その上で、お手元の資料5のような考え方を取りまとめたところでございます。

財務諸表というのは投資家だけではなくて、労働者も含めてさまざまな利用者がいるわけでございます。したがって、会計基準というのは、投資家の視点だけから検討されるのではなくて、労働者も含むさまざまな利用者の理解と納得の上に検討される必要があると思います。そういった点で、今審議会に私も参加させていただいたことを感謝申し上げます。

財務諸表というのは、作成者が恣意的に操作できない透明性の高いものである必要があると思います。したがって、会計基準はそれを実現するものとして位置づけられるべきものであると思います。また、会計基準は日本の産業構造や企業活動の実態に即して、経済成長と雇用の維持、創出に寄与するものであることが重要だと思います。

そうした意味で、このIFRSについて、私どもは幾つかの懸念を持っております。1つは、資産負債アプローチという中で、固定資産や金融資産などの資産価格の増減によって利益が大きく変動する性格のものである点です。そうなりますと、そこで働く労働者の働きと利益の相関性というのが、大きく損なわれるおそれがあるのではないかと思っております。

また、製造業等におきまして、製造設備や土地なども公正価格で評価するということになっておりますが、しかしものづくりにとって、こうした土地や設備というのは市場価格がないことが多くて、そこで評価金額が大きく変動するということは、労働者がつくる付加価値というものにも大きな影響を与える点も懸念されます。したがって、そういった懸念というのをぬぐいえないということがございます。

それから日本的な雇用慣行のもとでは、長期安定雇用ということに基づいて、それが日本企業の持つ強さの源泉の一つになっていると思いますが、そこに退職給付債務というのがあるわけでございます。これがIFRSによって取り扱いが変更される可能性がありますと、退職給付債務による損益の大幅な変動や、含み損の顕在化をおそれた経営者が、企業年金制度や退職金制度を廃止するといったことを引き起こす可能性があります。現に、金融ビッグバンが行われた当時、やはりこのようなことが起こったという経験を私は持っております。そういった意味で、IFRSの強制適用によって、こうした点が大きく損なわれる心配があるということで、その資料5に記載のように、強制適用することについては当面見送るべきであると考えております。

それから、個別財務諸表についての会計基準については、注記などによる透明性確保を前提に、日本の産業構造や企業活動の実態、そして我が国の雇用慣行などに照らして、適切な事項のみをコンバージェンスすることが求められます。その結果として、連結財務諸表と個別財務諸表の会計基準が異なることも許容するということでございます。特に、今ホールディングカンパニーのような形がどんどん増えてきておりまして、連結で表示するということでありますが、しかし、そこで働く労働者にとっては、単体の財務諸表というのが自分たちの労働条件に大きな影響を与えるものでありまして、そういった意味で、個別財務諸表というのは非常に重要な位置づけを持つものであるということを強調しておきたいと思います。以上であります。

○安藤会長

ありがとうございました。

次に、廣瀬委員、お願いいたします。

○廣瀬委員

廣瀬でございます。私のほうからは、経団連という立場からお話を申し上げたいと思います。

この5月26日の経団連の定時総会におきまして、新たに企業会計委員会というものを設置いたしました。私がその委員長を拝命することになりましたので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

企業会計委員会のほうで、実は昨日急遽、本日の審議会に向けての経団連としての取りまとめをさせていただいたわけでございますが、資料は6番でございます。内容的には、そのポイントとするところは、最初に自見大臣がお話になられたところで、基本的にほぼ網羅されているわけでありますが、せっかくでございますので少しく流れも含めて、確認の意味も含めてご説明申し上げたいと思います。

グローバル化などを背景に、会計基準の国際化の動きはますます進展しているということは、先ほど言われたとおりでございますが、2008年にアメリカにおいても、将来的にIFRSの強制適用を目指すロードマップ案が公表されました。1ページ目の2の我が国の取り組みにありますとおり、経団連でもこうした取り組み、動向を踏まえまして、2008年にIFRS採用へのロードマップ作成を求める提言を公表いたしたわけでございます。これを受けて、2009年度の企業会計審議会の中間報告では、先ほど来話が出ていますように、2012年をめどに強制適用の是非を判断するとされております。

こうした我が国の積極的な取り組みの結果、2段落目以降に記載されておりますとおり、IFRS財団やあるいはIASBにおける日本の国際的なプレゼンス、あるいは一定の影響力というのは、先輩の方々の努力で確保できつつある状況にございます。

他方、2ページ目の3の現状の課題にありますとおり、IFRS強制適用の是非の判断を行うとされております2012年というのが間近に迫ってきておりますので、IFRS導入に関する米国の動向に、先ほどもお話がありましたように、不透明な点が出てきたことも事実でございまして、さらに、我が国の中間報告に基づけば、早ければ2015年からのIFRS適用があり得るのではないかと、こういう懸念も経済界には高まっております。

さらに、IFRSの中には我が国にとって受け入れがたい内容が複数含まれていることも、大きな障害の一つとなっておりまして、任意適用の動きというのは、それほど実は日本ではまだ進展いたしていないというのが事実でございます。

3ページ目の4のIFRS導入に向けた今後の対応についてごらんいただきたいと思いますが、こうした状況を勘案いたしますと、IFRS強制適用の是非に関する判断に当たりましては、海外情勢の再確認、IFRSを適用する場合の方法・手順、適用の対象範囲、日本基準における連結・単体のあり方なども含めまして、国際的な流れに十分配慮するとともに、日本の国益・国情に合致した対応を幅広い関係者の納得を得ながら的確に判断していく必要があると考えます。そういう意味で、早期に本企業会計審議会におきまして、総合的な検討を開いていただきたいと、こういうふうに思っていた次第でございます。

また、その検討の間に時間を要しますので、企業が過剰な準備対応を強いられることがないように、そして仮にIFRSの強制適用を行うと判断する場合でありましても、先ほど佐藤委員からも話がありましたように、その決定のときから準備を開始すれば、十分対応可能なだけの準備期間、例えば私どもといたしましては5年から7年をとること、同時に米国基準による財務諸表提出を認める特例扱いを引き続き容認していただくこと、これらを早急に明確化していただきたいと、こういうふうに思います。

最後に、IFRSの適用やコンバージェンスを進める上では、我が国の経営実務や慣行、それを踏まえた会計の考え方等のグローバルな意見発信が重要であります。日本の主張が今後ともIFRSに適切に反映されていきますよう、我が国としての体制の一層の強化が必要であると存じますし、経団連といたしましても精力的に取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○安藤会長

ありがとうございました。

この後は、できるだけ多くの方々からご意見を伺ってまいりたいと存じます。なお、今後、委員の方がご欠席される場合、ご意見を事前にペーパーでご提出いただけば、次回以降席上に配付させていただくこととしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

それでは、どなたからでも結構でございます。ご意見のある方は、挙手をしていただきたいと思います。

はい、鈴木委員。お願いいたします。

○鈴木委員

鈴木と申します。証券アナリストをやっています。私のほうから、3つ意見を申し上げたいと思います。

1番目は、ゆっくりやろうということに異論はありません。適切な準備期間を設けるというのは結構だと思います。けれども、先延ばししてはだめだということでして、中身、コンテンツの議論が大事だろうと思うのが1点目です。

2点目は、ではそのコンテンツの議論のポイントは何かということです。今回の財務報告基準は投資家に向けた報告ですから、何を報告するのか。そうしますと、投資家は何に投資するのか。私は、投資家は企業が企業価値創造をするプロセスに投資する、企業が企業価値創造をしていく革新性に投資するというのが、最大のポイントだと思っています。その中で物差しが変わる可能性があるということになりますと、どう変わるのか。

そこで一番大事なのは、経営者の意思決定がどう変わるのかということで、私はそれを最も知りたい。変わらないのなら変わらない。今回、物差しがいろいろ変わっていくことによって、経営者の意思決定が変わるとすれば、何が変わるのか。それが企業の価値創造に対してどう影響するのか、そこを一番知りたい。

企業価値創造の仕組み、通常はビジネスモデルといいます。製造業の方でいえば、ものづくりというのでしょうが、ものづくりということでは、ちょっと日本では狭いのです。非製造業、サービス業が8割ですから、そういう意味ではビジネスモデルを知りたい。物差しが変わってくると、見え方が変わる可能性がある。我々は形にとらわれますから、非常に注意する必要があるということで、建前ではない本音の議論が必要となる。これまでの私の感じでは、経営者の方々、多くの企業の方がどうも不満を持っているということですから、経営者の意思決定はどう変わるのかということを知りたい。

そこで3点目は、そういうことに対する不満をもう少し解明する必要がある。投資家としても、その実態をよく理解したい。そういう作業をしっかりやりましょう。そんなに難しくはないと考えていまして、検討すべき課題を、我々流に言えば、セクターごとに議論するということが大事です。

経営者1人、2人に、ここに出てきてもらって聞くのではなくて、それぞれの業界団体、30セクターぐらいに、今回のいろいろな議論は一体何が問題なのか。四大監査法人などいろいろな監査法人が、それぞれの企業の監査を担当しているわけですから、そういう監査に入っている公認会計士の方にも入ってもらう。それから、アナリスト協会は、セクターごとにアナリストが相当大勢いますから、そういう人も入って、それが分科会をつくって各セクターごとに議論をして、きちんとペーパーをまとめる。そういうことをやって、それをこの場に持ってくるというようなことで審議をしたらいいのではないかなと思うわけです。

何が大事かといいますと、そういう議論を通して、グローバルに共通することは何なのか。ものづくりの方がよく日本独特と言いますけれども、私の言葉で言えばジャパンテイストです。ジャパンテイストで大事にすることは何なのか。

企業家の方がいろいろおっしゃるのは、それは単に今まで通りやりたいという保守性だけなのか。そういったことも踏まえながら、業界ごとの違い、それから日本の競争力の向上のために受け入れること、あるいは場合によっては受け入れられないことを明らかにする。受け入れられないことは蹴飛ばせばいいと思うのです。そういう議論をきちんとやっていけば、次第にもう少し中身がわかります。つまり会計の議論を会計だけではなく、経営者の経営の意思決定にどう影響するかというところを踏まえて議論するという作業をして、何があるべき姿かということを議論したらいいのかなと考えている次第です。以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

先ほど手を挙げられた、山崎委員、お願いします。

○山崎委員

日本公認会計士協会の山崎でございます。私どもは従来から、IASCの時代から、国際会計基準のグローバルな発展については十分協力をしてきております。

それで、今大臣のご発言やいろいろなご発言がありました。中身について、どういうように取り入れていくかという議論をするということは、非常に大事なことです。先ほどアメリカの話がありましたけれども、アメリカは2008年にロードマップが出てから、非常に詳しいワークプランというのを二つ、三つ出して、十分にいろんな範囲の検討をしております。残念ながら、我が国ではほとんど何もされていなかった。それで、この時期に至って、2015年3月というのはないということも、選択肢としてはあり得ると思いますが、どうしても避けていただきたいのは、2012年に将来の方針を決めるといったことの撤回はしないでいただきたい。急いでいろいろ具体的な内容の議論をする必要があると思いますが、単に撤回するということだけは避けていただきたい。といいますのは、日本は2012年にそういうことを言うのだということを、国際公約をしたわけでございますので、この公約を破るということについては、かなりの論拠とともに出さないとできない。それが、例えば日本で十分に議論がされてなかったとか、と議論の量が少なかったというようなことで、先延ばしをするということを出すことは、これは他の方がおっしゃっているように、日本のプロセスに対する信頼に傷をつけ、将来、日本の独特の慣行、経営慣行等を国際会計基準の中に取り込んでいくための道が閉ざされてしまうということになります。これは、まず間違いなくそうなると思います。

具体的なことは言いませんけれども、近隣の諸国は、今の日本がIASB、それからIFRS財団、それからモニタリングボードで培ってきた地位を、日本にとってかわりたいと思っていることは間違いございません。方法、やり方によっては、とってかわられてしまいます。そうしますと、もう二度と日本は今までの地位に戻ることはありません。そういうことを考えますと、いろいろ具体的な議論を早く始めなければなりません。私どもも、そういう主張は従来からずっとしてきたのですけれども、同時にどういうことを国際的に報道されるのかということを、慎重に考えなければいけないと思っております。以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

大武委員、お願いいたします。

○大武委員

今の山崎委員の意見に関して、私はちょっと異論を挟ませていただきたいと思います。

アメリカの公認会計士、ボブ・ハーツも、リーマンショック前と後は違うということを、明確に言っているはずであります。その点は、我々としても十分考えてみなければならない。

私は、リーマンショックの前からこのIFRS自体には反対でありました。それは、基本的にはインフレ会計、右肩上がり時代の会計で時価会計的な方向で企業運営をする。その考え方そのものが、人口減少社会に向かっている日本、そしていずれ先進国も必ずその方向に向かう、その中でほんとうに好ましいものなのかどうか。そもそも会計というのは、14世紀にイタリアのベニスで始まったものでありますけれども、それ自体がそもそも企業が収益を上げていく、そして経済を発展させるという目的のためにつくったものであって、個々の企業を売買するために、あるいはその時価で人がその会社を買うためあるいは売るためにつくったものではありません。そして、そもそも経営者は会社をそんな目的でやっているわけではありません。

あくまでも企業というのは、企業のゴーイングコンサーン、まさに続いていく前堤で従業員の方を養いながら、そしてかつ株主に対して最大の利益を還元しながら、よりよき社会をつくるために経営をしていくというのが目的である以上は、やはり収益性を第一に見る。それは、企業の資産価値を時価で表現するよりは、収益というものに一番根底を置いた会計を念頭に置かないのはいかがかと、私は思います。特に四半期ごとに必ず、会社の時価を表現する、出すという形が好ましいのかどうか。このあたりは、本気で皆さんで議論いただかなければならないと思います。

多分、製造業においては、例えば逢見委員も言われましたけれども、減価償却資産などというものは、時価と言われても、ほんとうはその価格で売買できる減価償却資産なんかありません。特に一品しかない、他に代替可能でない施設を持っているわけでございますから、それ自体を時価で表現する意味がどこまであるかというような気もいたします。

あるいは私の場合、アジアを回っていますが、中国でもどこでも、IFRSを入れると言いながら、呉越同舟のごとく中身は全く違うものを前提にして議論されている──中国は特にそうだと思いますが──議論されているように私は、中央財経大などの会計学の先生方とは話している次第であります。

そういう意味で、アメリカもこのことに気づきました。私自身、国際会計基準はできるだけ1つが望ましいと思いますが、今のようにヨーロッパのイギリス、フランスが中心になってつくった、特に右肩上がりの時代につくった基準に、それに全部が従っていくことが、これからの21世紀の日本だけではない、世界にとって好ましいかどうかという観点を第一に置いていただきたい。会計のために経済があるのではありません、経済あっての会計だと私は思う次第です。以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

はい、島崎委員、お願いします。

○島崎委員

IFRSの基準そのものについて、何人かの方からお話がありましたけれども、この辺は私も専門家でもないのですが、財団のトラスティーとして、いろいろ議論に加わっている中で、今IASBが向かおうとしている基準の見直しは変わってきていると思います。例えば、不動産などの時価会計の問題などは変わっている。変わること自体がおかしいという人もいますが、基準そのものが変わってきていると。そこのところは、もう少し専門家を入れて今のIFRSはどういう考え方でどうなっているのだろうか、いわゆる全部時価で評価して、企業価値を時価で計算して、四半期で報告するということまで考えてはいないと私は思いますが、その辺のところは、もう少し専門的な観点で議論していただいたほうがいいのではないかなと思います。

私は3点ほど、申し上げたいのですが、1つは、先ほど大臣のほうから方向性のお話がありまして、もっと議論をするということについては、もっと議論を深めたらいいと思います。その後の情勢も変わってきましたが、私がここで申し上げたいのは、2009年の夏に日本版ロードマップが出て、それで2012年にもろもろの問題を検討して、日本の方向性を決断すると。6項目ほどありましたが、その問題をクリアすれば強制適用の方向へ行くんだという方向が出ております。そのときに、企業とか監査法人などの準備とか、大学での教育はどうなっているかなど、いろんなチェックポイントがありまして、特にアメリカがどうなっているかというのは、一つ大きなチェックポイントだと思います。

ですから、この準備期間がどうなのかというのは、今回震災があって、大変だということはわかりますが、以前から金融庁のほうには3年じゃ足りないとか、3年で行けるとか、いろんな話があったと思うのです。急に出てきた話ではないように思います。改めて準備期間の問題をきちんとチェックするということは、結構だと思います。例えば2012年に決めたとしましても、実行には数年、5年から7年余裕を見るということについて、それがどういうところが必要なのかというあたりの検証はやはり要るんだろうなと思います。

先ほど、佐藤委員のほうからデュープロセスについて、アメリカでの今回のワークプランについては、公聴会等を開いてデュープロセスをきっちりやっているということですが、日本版ロードマップも1年弱時間をかけて、かんかんがくがく議論をしたわけで、経済に与える影響とか、そういうことも議論したように記憶しているのです。それを見直すには、見直すなりのデュープロセスが要るんだろうなと、私は思っています。

今回の方向性について、私は特にもっと準備のための時間をとるということについては異論はありませんが、何か唐突感が外からは見て感ずる。私のところに何人かの方からメールをいただきましたし、電話もありました。なぜこういうことになるのだろうかと、こういうことであります。ですから、この審議会での議論を通して、さっきおっしゃったように方向を決められれば結構だと思いますけれども、デュープロセスのところがどうなのかなという感じがしています。

それから諸外国の話について、アメリカ、中国、インドの話があります。私もインド、中国との関係構築ということで活動もしているんですが、それぞれの国のポリシーがあって、プロセスは違うと思いますけれども、各国ともIFRSに背を向けているわけではなくて、世界で一つの基準をつくる、その中心にIFRSがあるということは明確にしています。しかしながら、中国にとっては、今の中国の経済の発展状況からして、この基準は受けられないということで、カーブアウトしているわけですし、インドもそうです。IFRSは基本的には背を向けてはおらず、YESだけれども、BUTがあると、こういうことを言っているわけですから、そこのところはよく理解した上での議論が必要なのだろうと思っております。以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

はい、河崎委員、どうぞ。

○河崎委員

甲南大学の河崎でございます。私はアカデミックな立場から、3点ほど意見を申し述べさせていただきたいと思います。

第1点目は、上場企業に対する強制適用の問題であります。先ほど、大臣がご指摘になりましたように、私は会計士制度あるいは会計基準というのは、まさにその国の文化を反映したものである必要があると思うのです。その意味では、ある意味で地域性といいますか、ローカル性を持ったものであろうと思います。

国際会計基準も、実はそうではないかと、つまり、国際資本市場というあるローカルな場において通用する会計の基準であって、これをその国の会計基準としてその国に受け入れさせるというのは、これはいささか問題があるのではないかと。国際文化としてのIFRS、これが地域文化としての各国の会計基準と本来は相入れないはずなのです。そういうところに、一つ強制適用というところに私は問題があるのではないかと思います。

特に、我が国の文化としてのこの確定決算主義、これは我が国の文化としては非常にすぐれた文化であろうと思います。これは、ドイツもそうですし、あるいはフランスもそうですし、やはり確定決算主義というのは完全に維持しているわけです。その中で、いかにうまくこの国際会計基準、IFRSを導入するかという仕組みづくりをやっておられる。我が国もそういった思考で、連結先行という立場よりも、むしろ税務というものをある程度尊重しながら会計基準づくりが必要ではないかというのが、第1点目であります。

それから第2点目は、これ会計学の方法論とかかわり合いを持ってくるわけですけれども、IFRSはある種、私はこれは帰納論的なアプローチ、いわゆる出口論から論理を構成しているように思っております。つまり、会計情報としての効果、つまり意思決定に対する役立ち、意思決定有用性という観点から、会計の基準づくりがアプローチされていると。

しかし、我が国の伝統的な日本型の会計モデルは、実は機会論的なアプローチとでも言いますか、むしろ会計行為の入り口面からアプローチをしているように思うのです。会計行為の対象である経済事実がどうであるか、その属性に最も見合った会計の基準は何であるかという形から理論構成を行っていると。本来、会計学というのは、私は測定科学と思っております。測定科学というのは、測定対象の属性を見きわめることによって、最も適切な測定方法というものを選択していく。こういうアプローチに立ち返ってものを見てみる必要があるのではないかと思います。

特に、問題があるのは、この実物財と金融財の属性が違うにもかかわらず、現行のIFRSの方法論というのは、この金融財のアプローチでもって実物財を測定しようというところに、大きな誤りがあるのではないかと思っております。もちろん、金融財の評価基礎として、この公正価値評価というものの有効性は十分認めております。しかし、問題なのは、それが実物財の評価基礎に最適であるとは言い難いと思います。そういう意味では、もう一度測定科学の原点に立ち返って、果たして会計基準というのはどうあるべきかという議論を展開すべきであろうと思います。

それから、3点目であります。これは中国がまさにそうなんですけれども、会計を国家戦略ととらえているわけです。つまり、会計に対する国家、国益にかなったものでないと、私は意味がないと思います。先ほど、大臣もそのようなことをご指摘されておられました。また佐藤委員も、そういったご指摘をしておられます。自国の基準とIFRSの調整、これは自己目的化してはいけないと思います。企業の実相を十分に考慮して、そして企業に負担をかけないような制度改革、これが望ましい改革ではないかなと思っております。

諸外国の状況を見ましても、巧みなカーブアウトと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、やはり自国基準を優先しており、そしてIFRSをうまく取り込んでいっている。そういった方法が、我が国の場合にも必要ではないかなと思っております。やはりこのIFRSの問題は、原点に立ち返って、ほんとうに必要なのか、必要であればどんな企業にとって必要なのかということを、検討してみる必要があるのではないかと思っております。以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

八木委員、どうぞ。

○八木委員

今回の議論(総会開催の主旨)は、2009年以降に環境変化がトリガーになったといわれていますが、それは半分の理由で、残りの半分は、今まで本質的な議論が十分でなかったという事に起因しているとおもいます。

私は、論点としては5つあるかと思います。

1点目は、我が国がIFRS導入の是非につき意思決定をするは2012年としてきましたが、いたずらに先延ばしするつもりはありませんが、2012年にこだわらなくてもいいのではとおもいます。具体的には、米国を中心にしたグローバルな動向を十分ウオッチしながら決定していくという柔軟な対応がいいのではと考えます。

2点目は、これは大臣からも言われましたけれども、適用の時期です。仮に強制適用を決定してから3年というのはあまりにも期間が短い。実際期間が短いことはわかっていますので、ほとんどの大手の上場企業は2012年を想定して、既に2年前から準備をしているという状況です。本来決定してから準備をしても間に合うという事であれば、7年は長いと思いますけれども、やはりこれ並行期間が2年ありますので、5年ぐらいの時間的な余裕は実務的には必要であろうと考えております。

3点目は、これは佐藤委員からも出ておりますけれども、本当にアドプションで行くのか、コンバージェンスで行くのかということを含めて、最終的なでき上がりということについてはしっかり議論すべきと考えます。私は、必ずしもフルアドプションという形でこだわる必要はないだろうと思います。

4点目は、IFRSを導入する場合の連結における適用範囲です。任意にするか強制にするかという論点もあります。私自身は個人的には強制適用をするということでいいかと思っております。といいますのは、個人的にはIFRSはあまり好きな会計ではありませんので、これ以上IFRSが悪くならないためには日本が影響力(発言権)を持っていただきたい。そのためには、強制適用するという姿勢は必要かなと思ってはいます。ただ、適用範囲は限定する必要があるだろうと思っています。本当にグローバルな活動をしていているところ、要するにIFRSを導入してメリットが得られるところ、これを特定するのはなかなか難しいと思いますけれども、強制適用ということに関しては、上場企業の中でも一部に限定をしてすすめることが妥当だと考えます。別の言い方をしますと、仮にIFRSが正しい会計だとしたとても、この基準で投資家が満足するかどうかということは、   この会計基準が適正な品質を維持できているかどうかということが一番重要な前提になります。今の日本の上場企業すべてを見て、企業の会計担当者の実力と、それをチェックする会計事務所の実力を含めると、いきなり全てに適用するということは、結果として上場市場の財務データに大変な品質不良がでる可能性が極めて高くなる懸念があります。   このため、適用範囲は限定すべきと考えます。幸いにして適用範囲から外れた会社も自ら望めば任意適用するという権利はありますので、問題ないと考えます。

5点目は、先ほど荻原委員からご説明がありましたけれども、個別に関してでございます。従来「連結先行」という形で言われておりますけれども、この件は、一旦連結と個別は分けて考えるということに徹したほうが、いろんな議論が進みやすいのではないかと考えております。個別財務諸表につきましては、税法、会社法など整理をしなければいけない事項が大変多くございますので、一旦別に検討すべきと考えます。今までのように、個別については連結先行という形で、二、三年すると必ずついてくるようなイメージでこの言葉を使っていくというのは、かえって混乱するのではと思っています。ただ、連単分離しても、個別についても共通化の作業は進めるべきだと思っています。先ほどの方と意見は違いますが、私は退職金関係についてはきちんとバランスシートに入れるべきだと考えております。ただし、IFRSのやり方は好きではありませんので、むしろSEC方式のほうがやりやすいと思います。今後とも連単分離でも、単独については共通化作業をやめてしまうということは何としても避けるべきだと思います。ただし、連単は一旦分離して議論すべきと考えます。

そう考えますと、これからコンバージェンスをしていくプロセスで一体どういうことが起こるのかということになります。ある意味、最終的に強制適用される会社群があって、そこは連単分離になっている。そして、これから連結のコンバージェンスを正式にしていくと、最終的にIFRSを適用しないけれども、一定のコンバージェンスされた連結と当面コンバージェンスされない単独を決算する多くの会社も連単分離になってしまうようなことは、何としても避けたいと考えます。IFRSの強制適用する範囲を明確に決めて、そこについてはきちんと連結のコンバージェンスでいいと思いますけれども、それ以外のところ(強制適用無し)については、当面は連単は日本基準で一致させて、かつ共通化の作業は必ず連単同時で進めたほうがいいのではと考えます。今後の進め方が6点目になります。

それから、会計の中身議論に関しては、これだけ大勢の方々で議論するのは大変だと思います。もう少し分科会等を含めて進められたほうがいいのではないかと考えております。

○安藤会長

ありがとうございました。

和地委員、お願いいたします。

○和地委員

私は会計の専門家ではないのですが、ものづくりのトップを16年間やってきまして、このまま進んで行ったら、間違いなく混乱を来して、日本の経済にはマイナスになるということは確信を持って申し上げたいと思います。私もいろんな医療機器業界の会長をやっておりますが、どのトップも同じような認識であります。

1つ目は、会計というものは、経営者は手続として考え、戦略として捉えていない。戦略として捉えていないので今までは本質的な議論をなされないまま、手続論で終わっている。それを経理担当から聞いているというだけの段階にとどまっているというのが現実です。

それからもう一つは、今までの日本のものづくりというのは、ゴーイングコンサーンを前提とした企業会計原則、要するに保守主義の原則とか継続性の原則等を尊重して、そこで健全な経営がなされてきた。そういう総括をされないままに、ある意味では企業の金融商品化ですよね、そういうことで日本のものづくりを行なって、本当にいいのかという議論もあいまいになっている。特に先ほどのお話で、経営者の意思決定という話がありましたけれども、IFRSのように原則主義のところは、本当に経営者が本質をわかっていないと、大きな判断間違いをすると私は思います。

このまま行くというのは大変に危険であり、ましてや強制適用といった場合には日本の国益に反すると思います。以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。ほかに。

それでは引頭委員、お願いします。

○引頭委員

ありがとうございます。引頭でございます。

3点ございます。1点目は、前回の総会で、利用者といたしましては、正しい財務諸表を使うのが願いであり、そうした点ではスケジュールを見直すこともあるのではないかとの主旨の発言をさせていただきました。客観的に申し上げまして、事業会社の大手のところは確かに対応されておりますけれども、そうでないところは手がついていないのが実態でございます。また監査に関しましても、IFRSの監査は、大変難しいかと思いますので、そうした点でやはり十分な準備期間を設けないと、結果としてマーケットに混乱をもたらしてしまうのではないかと思った次第でございます。そうした点では、今回期間をどうするかということについても、また見直すという方向性、これについては私ども利用者としても賛成の方向でございます。

ただし、2点目でございますが、国際会計基準という考え方、つまりそれは資産負債アプローチの考え方とかということではなく、会計基準を世界で一つの物差しにしていくという概念自体は、私ども投資家、利用者としては非常にうれしいことではあるのです。しかし、現在提案されていますIFRSの中身を見ますと、例えばですけれども、現在開発中のIFRS基準では、見積もりの部分が現在の会計基準以上に非常に多くなっており、それは作成者側の考え方が大きく反映されることになります。見た目は同じような資産プロファイルを持っていたとしても、実際の評価ということに関しましては、そのリスク等について経営者がどのように考えるかによって、結果として数字が変わってくる可能性もあると思います。そうしたことが、利用者としては、率直に申し上げまして非常に不安なところでもあります。

ご議論を伺っていますと、IFRSの個々の基準に対して、いろいろ問題があるのではないかというご発言も多くあったかと思います。IASBに対して、例えばASBJ、あるいは私どもアナリスト協会、過去いろいろと公開草案等に対し意見を言ってまいりました。ですが、日本として考えた場合、必ずしも十分ではなかったのではないかと思う脳です。

日本は古くからIASBに対し資金的援助も多くしてきたと認識しております。単にテクニカルな話ではなく、やはり会計は何のためにあるのかという根本的なことも含め、今後、IASBときちんと会話をしていかないと、今日本で議論していることは、所詮一国の中のローカルな話で終わってしまうと思うのです。

これは、日本だけのローカルな話ではなく、ほかの国も同様の思いを持っている国はあると思います。ですので、国際的な意見発信だけではなく是非、IASBとの会話、ディスカッションをもっと積極的に増やすべきではないか、というのが2点目でございます。

3点目は、単体の開示についてもいくつか議論がございました。これも前回または前々回の総会で、単体の財務諸表に関しては平時にはあまり必要性を感じないかもしれないですが、有事には必要だと申し上げておりました。今回は、東京電力の大きな事故があり、多くの利用者が、東京電力の有価証券報告書、特に単体の部分の情報を分析したり、それを情報発信したりいたしました。ですので、そうした有事のときの単体情報の意義について、マーケットのディスクロージャー制度としてどのようにとらえるのか、という点についても、改めてお考えいただければと思います。以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

加護野委員、お願いいたします。

○加護野委員

 経営学者として、一言だけご要望を申し上げておきたいと思いますが。会計制度というのは、企業の中の意思決定に非常に深刻な影響を及ぼすのです。その影響を考えて、会計制度を導入していただきたいと思います。

その基本的なスタンスは、投資家の利益を考えることです。日本のさまざまな会社制度改革は失敗したと思っているのですが、それは投資家の要望にこたえるような方向で改革をしてきたからですが、投資家は買わない理由を言っているだけでありまして、買う理由は言っていないのです。買う理由の基本は、企業が将来成長する、発展することだと思いますので、企業が積極的にリスクテーキングするような会計制度になっているかどうかという視点から、IFRSをぜひ評価していただきたいと思います。

基本的なスタンスは、投資家の要望にこたえるのではなくて、投資家の利益になるように制度をつくることです。

○安藤会長

ありがとうございました。

永井委員、お願いいたします。

○永井委員

お立場によっていろいろなご意見がおありのようですが、私は製造業の子会社で産業分析をしている者の立場として、今回の5年から7年、準備期間を長くとるということは大変時宜にかなったものだと思っております。震災以前から、2015年度前後から、連結強制適用という話がひとり歩きしておりまして、大手の経理担当者に聞きましても、2015年度からの財務諸表作成なら何とか間に合うかもしれないけれども、遡及となると相当厳しいという話を、実際に何人からか聞いておりました。今回、震災という非常に大きな事象が起きまして、企業により被害状況は違うと思いますが、本業の立て直しで精一杯という企業が、大変多いと思います。ここはまず本業の立て直しが最優先ということで、それが最終的には投資家の利益ということにも結びつくのではないかと思っております。

もう1点、確認なのですが、最近の報道を見ますと、2015年頃に強制適用の予定だったのが延期されたかのような、そういう受けとめ方がされる報道を目にします。強制適用は決まったわけではなくて、2012年をめどにして再度話し合うということを、ここでもう一度確認させていただきたいと思います。以上です。

○安藤会長

今の2点目について、事務局から何かございますか。

○古澤企業開示課長

2点目につきまして、お手元の資料に即しましてご確認させていただければと思います。大臣の目の前でご説明させていただくのも恐縮でございますが、資料の1でございます。

今の永井委員のご指摘でございますが、3つ目の丸にございますけれども、そこの点につきましては3行目のところ、「少なくとも2015年3月期についての強制適用は考えておらず」とあり、その次にございますが、「仮に」とございます。この「仮に」というところがまさにおっしゃっているとおりで、それは2012年どうするかということが決まっていないということが、この「仮に」に示されているということかと思います。

○安藤会長

よろしいですか。はい。

西村委員、どうぞ。

○西村委員

今までお話がありましたように、いわゆる投資家の観点ということも、もちろん重要と思いますが、私はものづくりの会社における企業経営の観点から、少し申し上げたいと思います。

私ども、会社そのものはそれほど大きくはありませんが、既に全世界8カ国で二十数カ所の事業体を経営しております。このように一定程度グローバル化した企業の経営にとりましては、やはり会計処理基準の統一、これは極めて大事であると思っています。このような観点から、私どものグループとしてはIFRSの適用が具体的となってまいりました東京合意以来、グループ内の統一した会計基準、私ども東海ゴムと申しますが、いわゆる「東海GAAP」の作成に取り組んできておるところであります。

具体的には、グループ全社で勘定科目を統一し、又IFRSに合わせて3月に決算期を統一するとか、あるいは償却方法については、定額法へ統一するというようなことについては実施をしてきております。またさらには、今年はいわゆる客先検収基準への見直しを推進してきております。また、開発費の資産化等についても、IFRS導入時に決して恣意的にならないように、会計士も入れたような委員会の設置の検討、あるいはその準備を進めてきているというところであります。

いずれにしましても、現行の日本基準の範囲内でコンバージェンスできるところはやってきましたし、やはり今後もそれは、こういう状況の中では進めていかなければならないのではないかと思っております。

ただ、皆さんおっしゃっているように、すべての資産、負債の時価評価や、その結果としての包括利益一本やりの考え方に対しては、我々としては取得原価をベースにして原価計算をやって、1ドル、1円のコストダウンをして世の中に貢献する、そういうものづくりの企業経営の立場からいうと、やはり問題があろうかと思っております。

この点は既に、日本を中心とした各方面からのいわゆる「当期純利益なしには経営も、あるいは経営の評価もできない」という申し入れをしたということもありまして、結果的に当期純利益が残るということになっています。IFRSのいわゆるフレームワークからは出てこない考え方も、こうしてきちんと導入されているということだと思います。

そういう面でいうと、今回幸いにも荻原さんや西川さんなどのご努力によりまして、東京にIFRSのサテライトオフィスができております。今後、IFRSに対して一層の提言をしていくことが、我々としては可能になったのではないかと思います。すなわち、我々はこういう極端な時価会計を中心とした考え方から、もう少しマイルドな中庸的なといいますか、ものづくりの考え方も取り入れたIFRSを目指して、コンバージェンスへ向けて今後積極的な提言をしていけばいいのではないかと思います。

これに合わせて、この間、すべての上場企業に適用するのかといったような適用範囲の問題や、日本基準との調整、さらには今回のSECのスタッフペーパーにあるような企業の負担軽減、そういう方向を検討していけばいいのではないかと思っております。いずれにしても、会計基準を統一していくというその流れは、大変重要であり、やはり断ち切るべきではないと思っています。以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

はい、西川委員、お願いします。

○西川委員

既に、日本基準のコンバージェンスにつきましてもご発言がありましたので、ASBJの立場から少しお話をさせていただきたいと思います。

ASBJでは、IASBとの間に2007年に東京合意を結びまして、コンバージェンスの加速化を進めたと。そういう中で、多数の会計基準の改正を図ってきましたが、その結果として、日本の会計基準というものはEUによる同等性評価の中で、2008年に結果が出たんですけれども、アメリカの会計基準と同様に同等であるという評価を得ているわけです。

トゥイーディー議長は今日で任期が切れるわけですけれども、先日、IASBとの定期協議がございまして、トゥイーディー議長との間で、東京合意が日本とIASBの双方にとって大きな成果があったということを確認したところでございます。IASBは、FASBと主にコンバージェンスプロジェクトを続けてきているわけですけれども、それとも相まって、日本の会計基準、あるいは日本の財務諸表というものの国際的な比較可能性というのは高められてきたと考えております。

私どもASBJとしては、国際的なコンバージェンスは資本市場の参加者に利益をもたらすということで、今後も必要と考えております。その一方で、会計制度のあり方がコンバージェンスに影響を与えるべきということは、私どももそう考えておりますので。今後のコンバージェンスの進め方や基準化のタイミングといったようなものは、市場関係者の皆様のご意見をよくお聞きした上で、日本基準の開発方針みたいなものを打ち立てたいと思っているところでございます。

それから、また本日の議論の中にありましたけれども、IFRSの規定に対する強い懸念があって、意見発信、あるいはそれ以上のことをしてはどうかというようなご発言があるわけですけれども、テクニカルな議論については、私どもが交渉当事者であるということになろうかと思いますので、議論の場に立つ場合には、オールジャパンとしてのサポートをぜひいただかないといけないということがございます。先方は、大勢体制が変わるとか、あるいは新たなアジェンダをこれから決めていくというようなことがございますので、議論を開始するタイミングというのも見計らわないといけないですし、会計基準を一つ作ったり、見直するのにも、相当時間をかけてやりますので、そういうことを達成するにしろ、失敗するにしろ、相当時間がかかるということも、ぜひご認識いただきたいということがございます。したがって、その結果と2012年の意思決定とは切り離さないといけないのかなとは思います。

○安藤会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

はい、五十嵐委員、お願いします。

○五十嵐(則)委員

私は国際監査保証基準審議会に金融庁側のオブザーバーとして定期的に参加しております。そうした側面から、IFRSの導入に関するということについて、4点ほど述べさせていただきます。

日本におけるIFRSの導入に関する議論は、十分に行うべきであるというご意見がありますけれども、このことは当然のことと思います。IFRSの導入に関するご意見を拝聴しましたが、そのご意見のほとんどは、IFRS導入のロードマップとなる中間報告の中で記述されている内容と実質的に同様と考えられる内容が多いと感じております。当該中間報告の中で、IFRS導入に向けた課題が述べられておりますので、その課題を2012年に向けて検証すればIFRSの導入に向けた方向がより明確になると思います。

2番目は、IFRSのスムーズなトランジションが必要ということになりますので、先程のご意見の中でも国際的情勢を考慮すべきであると述べられておりますが、中間報告でもIFRSの導入に向けての考慮事項の中に国際的な情勢と踏まえてと記述されておりますので、その点をさらに検討し、検証すればよいのではないかと思います。

3番目は、スムーズなトランジションのための適用方法があると思います。この中には、一斉適用か段階適用かということがありますけれども、一斉適用することが大きな問題を発生させる可能性があるならば、アメリカのように段階適用のほうがよろしいのではないかと思います。

また、IFRSの適用財務諸表について、連結財務諸表と個別財務諸表との適用方法があります。個別について、いろんな方の多様な意見があり、日本の制度などの環境下で、IFRSを個別財務諸表に適用すると大きな問題が発生する可能性があるとするならば、個別財務諸表についてはドイツと同じように、別途検討したほうがよいと思います。

4番目は企業会計の質ですけれども、IASBの基本的な考え方は、概略となりますが、企業の経済的な実態に基づいて将来情報を含めて財務諸表を作成します。IAASBの会議では、定期的にIASBの理事からプレゼンテーションを受ける機会が今までありましたが、その中に財務諸表の目的について、スチュワードシップから投資家の有用性の議論があると個人的には理解しています。したがいまして、日本は多くの製造業があり、財務諸表の視点からの適正性について課題があると考えられる内容があるしたならば、日本のコンバージェンスとは別の視点で、当該内容をIASBでさらに検討することを提案したほうがよいと思います。以上、4点述べさせていただきました。

○安藤会長

ありがとうございました。

はい、八田委員、お願いします。

○八田委員

ありがとうございます。今までのいろんな方のご意見を伺っていて、端的に申し上げて、ちょっと唖然とした感じを持っております。

まず1つは、経営の目的と会計の目的というのを何か履き違えているのではないかということです。経営は経営者の主体的な判断と自由意思によって、そして独自のビジネスモデルを遂行すればいいわけであって、そうした実態を忠実に客観的に描写するのが会計の目的であり、それを規制するのが会計基準だということです。したがって、会計基準はいわゆる社会的統制手段の一つの物差しであって、公正な尺度ということから、少なくとも合意によって決められた限り、関係者は押しなべて適用を受けるということです。

では現在の制度において、会計がどういう目的を持って存在しているかと考えたときに、これは金商法の第1条の理念、これを考えれば分かることです。つまり、市場を支える株主や投資家の方たちに対して、真実かつ公正な情報を開示する社会的責務が企業サイドにあるのだということ、これをまず自覚させなければいけないわけであります。今日、議論が混在しているのは、この国際会計基準に対する立ち位置、すなわち日本がどういうあるべき方向性で進んでいくのかという議論と、もう一つはIFRSの中身の問題が整理されないで議論されているということです。中身についてはいろんな議論があるわけで、日本も精力的にコミットしながら、今後の見直しも含めて対応していかなければならないという部分と、そもそも日本がIFRSに対してどう向き合っていくのかということは明確に分けて議論すべきだということです。ただ、この方向性については、2009年の中間報告で、ある程度明確に方向性が示されたと思うのです。

ただ、実際の適用部分に関して時期の問題とか、あるいは強制なのか、任意で行くのか、段階的な適用で行くのか。こうした問題は今後の運用の問題ですから、また別途考えればいいわけです。そういったものが、すべてごちゃごちゃになって議論されてきていると思います。

それと、先ほどおそらく山崎会長が言われたかもしれませんけれども、日本がこのIFRSといいますか、国際会計基準に対してどういう取り組みをしてきたのかということ、すなわち、過去40年の歴史、1973年から始まって、20世紀、そして21世紀とどのように対応してきているのかということを十分に斟酌すべきだということです。これに対しては、やはり莫大なコストといいますか、時間とエネルギーと人的な投入をしてきており、それを今回突然、唐突な感じでブレーキが踏まれたような状況が見てとれるとなると、国際的な視点からどういうふうに見られるのかということに危惧を抱いています。少なくとも現場は、時間的に間に合うかどうかは別の問題として、ある程度真摯にこの国際会計基準の導入に対して取り組もうとしている企業が多々あるということです。

それに対して、どういう方向性をとるか。基本的なあるべき方向性が見えないままにブレーキを踏んでしまうと、もう一回アクセルを踏み直すというのは大変なエネルギーを必要とする。実際の現場サイドの人たちは、すでにお金もかけ、人的資源も投入して、この新しい会計基準というものに対して真正面から向き合いながらはかなり頑張って対応してこられている。ただ、それが時間的に間に合うかどうかということについてのご心配はあるかもしれないですけれども。

これに対して、はっきり言って水を差すような状況が見てとれると、現場サイドはおそらくインセンティブは大いに下がるだろうし、そこまでかけたコスト、広くは社会的コストはものすごいものが喪失していくんではないかということです。もう一回これを仕切り直しをしようとか、あるいは再発進しようとしても、なかなかうまく動かない可能性があると思います。

先ほど島崎さんも言われたように、我々教育の現場は何をしているかというと、もう既に2009年の中間報告により方向性が示されたときから、そして将来に向けての会計人を育成するという観点から、少なくとも私が所属している大学は完全に国際会計基準を教育の中で中心に据えて、研修、教育をしていくという方向に大きく舵を切ったわけであります。これが、やはり国家的な利益につながると考えて、今進めている教育の現場の実態だということです。したがって、これも、先ほど申し上げたように、この際あるべき方向性というものを明確に示していただかないと、非常にぶれた、少なくとも多くの関係者に対して多大な迷惑を与える可能性が出てくるということは、ご理解いただきたいと思うわけであります。

今回の見直しといいますか、少し延期をするという考え方の一つに、東日本大震災があるとのことです。しかし、これは、もう3カ月以上たっており、今もって大変だということは我々も熟知しているわけですけれども、海外からの声を聞きますと、やはりこういった復興プロセスの中であまり内向き志向に特化し、例えば常に日本の利益、目先の利益ばかりを考えて対応するのではなく、もっと開かれた国づくりとして、世界における日本のプレゼンスを高めることが必要なのであって、それを知らしめるような状況を確保しないと、ほんとうの意味での日本の価値は喪失するんだということが言われています。

ですから、私が強く申し上げたいことは、ものづくりの方々のご不満はあるかもしれませんけれども、目先の利益を得ようとすることによって、将来に莫大な負の遺産を先送りする可能性があるということ、つまり将来のマーケットの関係者に対して多大な不幸を先送りする可能性があるのではないかということについては、十分に留意していただきたいということです。

IFRSの中身については、縷々議論することは当然必要だと思います。私はIFRSのすべてを了と理解しておりません。ただ、これは激動する経済社会において、何度も何度も見直さなきゃいけないし、そのために日本が力強くコミットしていかなければいけない。そのためのプレゼンス、立場を維持していくためにも、やはり見える形の行動をとるべきだと思います。以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。ほかに。

はい、関根委員。

○関根委員

ありがとうございます。

ただいまの八田委員の発言と若干重なるところもありますけれども、少し意見を述べさせて頂きます。私も皆様の意見を聞いておりまして、このような場でいろいろな方々の幅広い意見をお聞きするというのは非常に大切なことだと思っておりますし、やはりこういったことは皆様が納得した形で進めていくべきだと思っております。

ただ、議論に当たってはやはり2つのポイントに分けたほうがいいのではないかと思っております。1つは、IFRSに対するスタンスをはっきりさせることです。先ほど会計基準としてIFRSについて問題があるという発言もございましたし、私もIFRSが完全ですべて最高のものかというと、これから直していくものだと思っております。ただ、IFRSにコミットするか否かというのは、それとはまた別の視点ではないかと思っております。

それと、あともう一つは、具体的な適用の仕方です。具体的な適用を懸念をすることによってIFRSに対するスタンスを変えてしまうと、これはまた別の議論になってしまうのではないかと思いますので、この2つは分けるべきではないかと思っています。

私は、最初の1つ目のスタンスの方は、中間報告ではもちろん強制適用を決めてはいないですけれども、そちらの方向性はあるものだと思っておりました。もちろんそれから状況が変わって、いろいろな意見があるということであれば、それを議論するというのはよいかと思いますけれども、ただ、このとき気をつけなければいけないのは、やはり他の委員の方の発言にもございましたけれども、IFRSに対して日本が長年IASCの時代からずっと支え続け、意見を発信して関わってきたということで、この議論をしている間に、IFRSに対して日本の姿勢が変わってくるとなってしまうと、これは非常に大きな影響があるのではないかと思っており、この点は注意をする必要があるのではないかと思っております。

IFRSへのスタンスということを考える場合、今実際にどこの国の基準でもない、もちろんEUが先に適用しているからEUの基準のように思うという方もいらっしゃるのかもしれませんけれども、国際的な基準とされているのは、IFRSしかなく、IFRSにコミットすることは、単一の会計基準に向かうということのコミットということとして、まず考えていく必要があるのではないかと思っております。

もし、単一の会計基準に向かわないということになると、ではどうするのかということになります。例えばIFRSに比べて、日本の基準が非常に優れていて、日本にとって非常に合っているということもあるかもしれません。ただ、そうした場合には、先ほど何人かの方の発言もありましたように、海外の投資家というのは日本の会計基準がわからないということ、このことを重く受けとめるべきでありまして、海外の投資家が見るような会社というのは、やはり単一の会計基準が必要なのではないかと思っております。

それと、スタンスとかコミットということに関係して、コミットをしていないと、IFRSを修正したいと思っても、国際的な事業を行って、グローバルに展開している企業がIFRSを使おうとしても、日本としての意見発信を行う機会が非常に少なくなってきてしまうのではないかということを懸念しております。

先ごろ、IFRS財団から発表されましたIFRS財団の次期戦略レビューでは、IFRS適用国、あるいは採用予定国の強い要請で、今後IFRSにコミットメントしない国からは、IFRSを支える三層構造の構成員であるIFRS財団の評議員やIASBの委員等、IFRS財団のモニタリングボードのメンバーなどを減らすという趣旨の記述が書かれていました。もちろんこれはおかしいという議論もあるかと思いますけれども、しかしIFRSを使っている国、使おうとしている国からそういう要望があるということも理解をしていかなければいけない、もし、これがおかしいということであれば、これをひっくり返していかなければいけないと思います。

従いまして、私自身は、国際的な会計基準へのコミットということは必要だと思います。この点は異論のある方もいらっしゃるかと思いますけれども、いずれにせよ、その点はまず切り離してきちんと議論すべきだと思っております。

そしてもう一つの議論である、IFRSをもしコミットした場合、そのときにどのように適用していくかについてですが、国際的にグローバルに展開している日本の企業については、日本の会計基準では、残念ながら海外の投資家がわからないということであれば国際的な会計基準を使うことになるのかと思いますけれども、必ずしもそういう企業だけではないということもあるかと思います。そうした場合には、基準を使うところを分けるということもあるかとも思います。では、必要なところは任意適用すればいいのではないかという議論もあると思いますけれども、任意適用だとコミットしたことに本当になるのかという議論を、十分にしていく必要があると思います。

先ほど他の方からも発言がございましたけれども、グローバルに展開している企業においては、IFRSの適用ではないけれども、IFRSに近い形、国際的に理解される形の基準で準備を進めているところもたくさんあります。この点については強制適用が決まっていないのだから準備をする必要がないのではないかという議論はあると思いますけれども、そういうようなニーズもあるということも含めて考えていく必要があります。

実際の適用の議論というのは、一斉の強制適用ということをイメージするととても大変だということになると思いますけれども、それが唯一の道とは全く思いませんし、段階適用などいろいろな適用の仕方があります。適用の仕方の議論というのはまた別途分けて、きちんと考えていくべきではないかと思っております。以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございます。

辻山委員、お願いします。

○辻山委員

ありがとうございます。

2009年6月に中間報告が公表されまして以来、内外の情勢がダイナミックに変化しているということは、先ほど大臣がご指摘のとおりだと思います。アメリカにおきましても、2009年の時点では、準備期間を当初3年と言っておりましたけれども、去年は4年、そして今年のスタッフペーパーでは5年から7年というふうに、準備期間を精査すればするほど、現実のものとして考えれば考えるほど長くとるというふうになっておりますので、日本でも早急に妥当な準備期間に関する再検討が始まるべきだと考えておりましたので、本日の会議は非常に時宜にかなったことであると思っております。

本日、3点申し上げたいと思ったのですけれども、今お2人の方から発言がありましたので、少しその点について触れさせていただいて、後で私の意見を述べさせていただきます。

1つは、そのコミットメントというものが自己目的化するということはいかがなものかということです。ニーズがあるからコミットするのであって、コミットメントが目的になるということは本末転倒であろうと思います。

私、2001年から8年間、IASBのSAC委員として日本から出ておりましたけれども、この2001年当時からIASBの中では、IFRSを使っている国だけで議論をしましょうということは既に言われておりました。

今のような意見が、例えばもうIFRSを使わないと、IASBに対する影響力がないということがほんとうであるならば、今年の5月に出ましたSECのスタッフペーパーで検討されておりますけれども、おそらくアメリカは近い将来、この10年以内にIFRSをフルアドプション、全面的に受け入れることはないと読み取れますので、そうするとアメリカもIFRSにコミットメントすることはできなくなるというロジックになりますけれども、必ずしもそうではないんではないかと思っております。

次に私が申し上げたいことというのは、まず1点目でございますけれども、IFRSの導入問題を議論する際には、議論となっている争点について、かなり明確にした上で議論しないと、話が非常にレトリックに流されてしまうと考えております。これは、この間の議論、それから色々な報道等を見ておりまして感じることでございますけれども、先ほど永井委員からのご指摘がございましたように、IFRSの導入が延期になったという報道は、普通の一般的なパーセプションではIFRSの導入が決まっていて、それが延期になったと読み取るわけでございます。

2009年6月の中間報告がございまして、私もこのときには臨時委員でございましたので、この議論にも参加しておりましたけれども、中間報告のどこをひっくり返しても、導入が決まったというような強制適用の方向性というのも出ておりません。これは、何回も読み直し、また今回の報道等もございまして何回も読み返してみましたけれども、どこにも書いてございません。アメリカの動向を見きわめて、当時はアメリカの結論が出るのが2011年ということになっておりましたので、そこからアメリカの動向、帰結を見きわめて、慎重に2012年を目途に判断しようということが書かれているのみで、もう導入の方向性が出されたというふうにはどう見ても、冷静に一語一句読み直してみましても書かれておりません。これが、既に2009年6月の中間報告で日本は強制適用の方向性が出されたと読むということは、無理があるのではないかと考えております。

さらに、諸外国でフルコンバージェンスが進んでいる、ゆえに日本はフルアドプションすべきであるという、この議論も非常に論理の飛躍があると思います。フルコンバージェンス、これはまさに日本がこれまで進んできた道ですし、アメリカもその方向性を模索しているところでございますけれども、その問題とフルアドプションというのは全く別の問題でございまして、IFRSをそのまま自国基準の中に入れていくということでございますから、IFRSの導入をめぐる議論というのは、いろいろな言葉がひとり歩きして、対象が明確にされないまま混乱が続いているということであると思いますので、これから議論を始める場合には、1つ1つ議論の中身、対象になっている概念を詰めていかないと、議論があらぬ方向に行ってしまうと考えております。

それから2点目ですが、アメリカの場合にはスタッフペーパーではコンドースメントアプローチについて詳細な解説がなされておりましたけれども、自国基準とIFRSをクロスさせるといいますか、一部かけ合わせるような形で何とか段階的に受け入れていこうということでございますが、あくまでも自国基準は残るということであります。

では、いずれアメリカが、IFRSそのものを受け入れるようになるかというと、私はそのように考えておりません。なぜならば、ご承知のとおり2006年にMOU項目が出ましたけれども、当初は11項目でしたが、今は既にもう4項目まで減っております。途中で11項目から9項目になった時点で、減損会計と無形資産がアジェンダからドロップアウトしております。ということは、少なくともこの2つの基準については、IFRSをアメリカが受け入れられないという判断が当時あったんだろうと思います。

そのほかにも、基準の中身を精査してまいりますと、アメリカがIFRSを受け入れられない基準が幾つも出てまいります。したがいまして、アメリカは何とかして、相互に収れんさせようという努力はしておりますけれども、アメリカがIFRSをそのまま導入するということは、1つ1つ基準を精査すればするほど、無理だと私は考えております。

さらに、シャピロ議長の発言についても、先ほどご議論がありましたけれども、アメリカの国内において、内国歳入法、会社法との関係も慎重に見なければいけないということですから、アメリカはIFRSをそのままアドプションするということは、現時点では可能性としては非常に薄いんではないかと思っております。

しかし、国際協調の問題もございますので、何とかして受け入れられる基準と受け入れられない基準を組み合わせていこうというコンドースメントというものが、アメリカの戦略なのかなと考えております。

それから3点目に、最後に申し上げたいことは、IASBがコンバージェンスという旗印を2001年に掲げまして、これまで進んできたわけですけれども、私にとって不思議でなりませんのは、11年続いてなぜコンバージェンスが達成されていないのか、アメリカ基準とIFRS、それから日本もそ同様ですけれども、なぜ完全に一致できないのかということなのです。

これは、既に2001年の時点で日本も会計ビッグバンを経まして、かなり日本基準が国際的になっている。そして、日本はアメリカの基準を範としてこれまで近代化を進めてまいりましたので、非常に似通った基準を持っており、欧州基準もそこまで異なるものではありませんでした。なぜ10年間かかったのか。これが非常に大きな問題であろうと思いますし、これからもこの難しさというのは続いていくと思います。

先ほど来、何人かの方がご指摘になりましたように、新しい会計モデルで世界の会計基準を変えていくということが、これほどまで世界の会計基準のコンバージェンスが長引いた理由の一つではないかと考えておりますので、もし日本がこのIFRSをそのまま導入するようなことがあった場合には、かなりの覚悟が必要になり、果たしてそれが可能なのかどうかということを、これからじっくり議論していただきたいと思います。ありがとうございました。

○安藤会長

あとお一方ぐらいにお願いしたいのですけれども、特にご発言ありませんか。

○加護野委員

簡単に一言だけ。

○安藤会長

では、加護野委員。

○加護野委員

 先ほどの八田委員のご議論に反論しておきたいと思うのですが、今回のように新しい制度の見直しということをやるときに、過去のサンクコストが大きいという問題を持ち出すというのは、必ずしも適切な考え方ではないと思います。過去のサンクコストにこだわらずに、将来の利益を考えて、制度の見直しをするべきだと私は思っています。

○安藤会長

はい、大武委員。それでは、今日はこれで最後に。

○大武委員

最後に、今までいろんな方の議論を聞いておわかりのとおり、国際会計基準を作成する中に、やはり政府がもっと関与してほしいということです。これは金融庁も、あるいは経済産業省も含めて、会計士の方々以外に官庁そのものがいろんな国と対話し、そしていろんな国の意見も動向も調べて、これだけ調査するわけですから、国際的に議論を行い、自分の意見を入れられるような方向へ誘導していっていただきたいなと思っております。これは個人的な意見ですけれども、自分の期待でございます。

○安藤会長

はい、ありがとうございました。

この総会、本日限りでございませんので、少なくともまだ数回はあるのではないかと、考えております。先ほど、大臣が横でいろいろと言われていましたので、ここで大臣によろしくお願いします。

○自見大臣

私ではなく、局長です。

○安藤会長

失礼しました。

○森本総務企画局長

先ほどご質問が出ましたときに説明があった、仮に強制適用する場合であっても、その決定から5〜7年という意味でございますが、正確に申しますと、従来は2012年にその適用を決定した場合には、それから最短3年という意味で2015年3月期から適用があり得るということがあったわけですが、そういうことは今後は考えず、仮に強制適用する場合であっても、その決定から5〜7年程度の十分な準備期間ということでございます。いずれにいたしましても、適用が決まっていて、それを延期するということではないということでございます。

○安藤会長

ということで、そろそろ時間でございます。まだまだご発言があろうかと思いますが、当審議会では引き続き委員の皆様のご意見を幅広く伺いながら、IFRS適用に関する検討を行ってまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

次回以降の日程につきましては、後日事務局よりご連絡させていただきます。

それでは、本日の総会はこれにて終了いたします。大臣には、最後までご同席いただきましてありがとうございます。委員の皆様には、審議にご協力いただきましてありがとうございました。

これにて閉会いたします。

○自見大臣

どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

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総務企画局企業開示課(内線3672、3656)