企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議議事録

1.日時:平成25年5月28日(火曜日)16時30分〜18時30分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 13階 金融庁共用第一特別会議室

企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議

平成25年5月28日

○安藤会長

定刻になりましたので、これより企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議を開催いたします。皆様にはご多忙のところご参集いただき、まことにありがとうございます。

まず、会議の公開についてお諮りいたします。

従来と同様、本日の合同会議も、企業会計審議会の議事規則にのっとり会議を公開することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○安藤会長

ご異議ないということで、そのように取り扱うことにいたします。

それでは、議事に入ります。

前回の会合におきまして、国際会計基準への対応について当面検討すべき課題について、事務局において整理していただいた資料をもとに質疑応答、意見交換を行っていただきました。その際のご議論も踏まえますと、当審議会として当面検討すべき具体的な課題としては、まずは、議事次第にも記載させていただきました、1、IFRSの任意適用要件の緩和について、2、IFRSの適用の方法について、3、単体開示の簡素化について、以上の3点が主要なものになろうかと考えております。

本日は、その3つの主要な論点について、より具体的なご議論を行っていただきたいと思います。

まず、IFRS任意適用要件の緩和に関して、事務局より具体的な論点等について説明していただきます。

○栗田企業開示課長

それではまず、お手元に配付させていただきました資料1「IFRS任意適用要件の緩和について」について、ご説明をさせていただきます。

表紙をめくっていただきまして、1ページ目でございます。これが現行制度の概要でございますが、現在の我が国におけるIFRSの任意適用につきましては、以下の要件を満たした会社を特定会社と定義づけまして、IFRSを適用して連結財務諸表を提出することができるという規定になっております。

具体的な要件は、イ、ロ、ハ、ニと4つあるわけでございますが、1番目が、金融商品取引所に上場されていること。それから2番目が、連結財務諸表の適正性を確保するための特段の取り組みに係る記載を有価証券報告書において行っていること。3番目が、指定国際会計基準に関する十分な知識を有する役員または使用人を置いており、当該基準に基づいて連結財務諸表を適正に作成できる体制を整備していること。このロとハが企業における体制整備の要件だというふうに考えております。

それから、4番目のニでございますけれども、当該会社等が次の要件のいずれかを満たすことということで、外国の法令に基づき、国際会計基準に従って作成した開示書類を開示していること。あるいは、外国金融商品市場の規則に基づいて、同様に、国際会計基準に従って作成した書類を開示していること。あるいは、外国に連結子会社、これは資本金の額が20億円以上のものに限りますけれども、そういう連結子会社を有していること。このニというのが、国際的な財務活動を行う、あるいは国際的な事業活動を行う企業という要件というふうに考えております。

現在は、この4つの要件全てを満たした企業だけがIFRSの任意適用ができるということになっております。

それで、このような要件が設定された背景でございますけれども、これは2009年の本企業会計審議会の中間報告にさかのぼるわけでございます。その中では「具体的なIFRSの任意適用の対象となる企業の範囲については、例えば、継続的に適正な財務諸表が作成・開示されている上場企業であり、かつIFRSによる財務報告について適切な体制を整備し、IFRSに基づく社内の会計処理方法のマニュアル等を定め、有価証券報告書等で開示しているなどの企業であって、国際的な財務・事業活動を行っている企業の連結財務諸表を対象とすることが考えられる」という報告がなされておりまして、これに基づいて、先ほど申し上げたような要件が設定されたということでございます。

めくっていただきまして3ページ目でございます。それでは、今どのぐらいの企業が任意適用ができるかということでございますけれども、有価証券報告書を提出している企業の数は、今年の3月11日現在で4,061社ございます。この中で上場要件を満たしているものが3,550社、さらにその中で外国に資本金20億円以上の連結子会社を有している企業は621社ということでございます。あと、先ほどの要件の中では、外国の法令に基づいて国際会計基準に従って開示している企業などもありますので、若干621よりは多いかと思いますけれども、基本的には、現在の制度のもとでは、この621社が任意適用できる最大限の数ということになります。

もし、現在の要件のうちで、外国に資本金20億円以上の連結子会社を有するという要件を外しますと、左側に行っていただいて、全上場企業の3,550が対象となります。さらに上場要件も外すと、一番左に行っていただいて、4,061が任意適用できる企業の最大数になるということでございます。

本論点につきましては、前回、前々回の審議会におきましても、委員の方からいろいろご意見を頂戴しているわけでございますけれども、それは4ページ目に書かせていただいております。

「企業の経営実態を踏まえた制度上の改善を図りつつ、自然体で任意適用が増加していくことが肝要。」「IFRSの任意適用を志向する企業が、より機動的・効率的にIFRSを適用できるような手当てを行うことが妥当。」それから、「外国に資本金20億円以上の連結子会社を有していることなどについては、当該要件を外したとしても、財務諸表の質などの観点から支障を来すものではないと思われる」というご意見。「任意適用の積み上げは、IFRSに対する影響力を日本が維持するためにもぜひ必要」というご意見。さらに、「IFRSの任意適用積み上げは、新興市場を育てるという観点においても非常に大事である」というように、全体的には任意適用要件の緩和に賛成のご意見が大半であったというふうに承知しております。

続きまして、この任意適用要件を緩和することのメリット、デメリットについて、簡単にまとめたものでございます。

まずメリットとして考えられますのは、IFRSに基づく適正な財務諸表を作成する意欲と能力がある企業のIFRS採用を後押しできる。さらに、上場時からIFRSの適用を希望するIPO企業の負担を軽減できる。さらに、単一で高品質な会計基準を策定するという目標に向け、我が国として具体的な行動をとることは有意義である。さらに、IFRS任意適用企業の増加が見込まれることにより、国際的にはIFRS策定への日本の発言力の確保等の効果が期待できる。また、IFRS任意適用企業については、国際的な同業他社との比較可能性が高まるというようなメリットが考えられます。

他方、デメリットといたしましては、我が国の企業間の財務内容の比較可能性が損なわれる可能性があるということで、例えば、業種の中でIFRS適用会社と日本基準等の適用会社が混在する場合には、同業他社との比較可能性が損なわれる可能性があるということ。それから、日本基準とIFRSの間で有利なほうを選択する企業が増加するのではないかということでございます。

このような点がデメリットとして考えられますということでございますが、1点目のデメリットにつきましては、前回も申し上げさせていただきましたけれども、現在、IFRS適用会社に関しましては、主要な項目についての日本基準との差異に関する事項――当該差異の概算額等でございますが――を開示することが求められているということで、ある程度、このデメリットは補われるのではないかということでございます。それから、2点目のデメリットに関しましては、会計基準が収れんしていく過程で、一時的に異なる基準を適用する企業が存在することは許容せざるを得ないのではないか。それから、企業会計原則では、企業会計はその処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならないというふうにされておりますことから、日本基準を適用している企業が一定の要件を満たしてIFRSの適用に変えるということはいいわけでございますけれども、そのIFRSの任意適用を選択した企業が、今度は合理的な理由なく日本基準へ戻るということはできないというふうに考えておりまして、両者の間を行ったり来たりということで有利なほうを選択するということはできないのではないかと考えております。

さらにめくっていただきまして、7ページでございますけれども、本日は、以上を踏まえまして、以下の点についてご議論をいただきたいと考えております。

まず1点目は、上場要件については、新規上場予定企業においてもIFRSを任意適用しようというニーズが出てきていること、また、海外上場等の要件についてはハードルが高いとの指摘や、海外連結子会社がなくてもIFRSを任意適用したいというニーズが出てきていることに関してどう考えるかということ。2点目は、任意適用要件を緩和するメリット、デメリットについてどう考えるか、また、想定されるデメリットについては、現行の規則等で対応可能なものと考えられるかということ。それから3点目といたしまして、その他任意適用要件の緩和に関連して検討すべきことはないかということでございます。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

ただいまの事務局の説明をもとに、ご質問、ご意見等を伺ってまいりたいと存じます。ご質問等のある方は挙手をお願いいたします。

小宮山委員、どうぞ。

○小宮山委員

すみません、ありがとうございます。

この新規上場の予定会社について拡大するというもの、方向性としてこれに水を差す気はないのですけれども、おそらく既に上場している企業がIFRSを適用する場合と比べると、取引所における審査と、それから金融庁(財務局)が上場申請を受けたときの届出書のチェックと、2回入るわけですね。おそらくステップが違うだろうと思うのですが、私がIPOを経験した点から言うと、取引所の審査も、多分届出書のチェックも、同業会社との会計方針の比較みたいなことがよく行われていて、現状20社しかないという前提ですので、その後の審査というのがうまくいくのかなという懸念があるのですが、その辺はいかがでしょうか。

○安藤会長

事務局で何かございますか。

○栗田企業開示課長

新規上場される際のチェックということに関して言えば、まずは主幹事になる証券会社におけるチェック、それから取引所における審査という過程が踏まれるということでございます。その詳細は省略させていただきますけれども、例えばコンプライアンス体制がきちんとできているか、ガバナンスはきちんとできているか、あるいは会計処理は適正にできる体制になっているか、そういうところが重要な審査項目になってくるというわけでございまして、IPO企業が現在年に数十社というところにとどまっている現状において、その審査がうまくできないということでは必ずしもないと思います。IPO企業が何百社になれば、それはそれでまた大変なことになるかとは思いますが、それはちょっとここでの議論とは別の次元のことかというふうに考えております。

○安藤会長

ほかにいかがでしょうか。

河ア委員、どうぞ。

○河ア委員

ありがとうございます。

ちょっと教えていただきたいのは、デメリットのところに書いておられます日本基準とIFRSの間で有利なほうを選択する企業が増加すると、こうありますが、一体この有利、不利というのは、何をもって有利、不利というふうにお考えなのでしょうか。

○安藤会長

では、事務局からどうぞ。

○栗田企業開示課長

お配りしてあります資料の2ページ目、ご説明は飛ばしましたけれども、下のやや小さい字で打ってあるところの2番目の丸にありますように、「IFRSの任意適用によって、企業にとって我が国会計基準とIFRSとの間で有利なほうを選べることになり、かえって、我が国企業間の財務内容の比較可能性が損なわれる可能性もある」ということで、この点は実は2009年の中間報告において指摘されていたものでございます。おそらくここで言っている有利、不利というのは、見た目、企業収益がよく見えるとか、企業の純資産が多く見えるとか、そういう点が問題になるというふうに考えております。

○安藤会長

河ア委員、どうぞ。

○河ア委員

伝統的な会計の基準でも、幾つかの方法を選択適用できるわけですよね。例えば、今は認められなくなりましたけれども、棚卸資産でも先入先出法、後入先出法があるし、あるいは減価償却でも幾つかの方法があって、どういう方法を適用するかによって、その期間の利益の金額はおのずと変わってくるわけですね。

会計基準というのは実はそういうものであって、何を選択するかによって、ある意味で利益の金額が変わってくる。しかし、会計の分野では、全て一般に公正妥当と認められている限りにおいては、そういったものは同等だというふうに理解するのが、多分、一般的な考え方ではないかと思うんですね。したがって、例えば日本基準、そしてIFRSの適用ということを、一般に公正妥当な会計基準として認めているということであれば、何を採用しようが、有利、不利というのは実は起こり得ないのではないかと考えています。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

谷口委員、どうぞ。

○谷口委員

すみません。今年3月に、この場で経団連としての国際会計基準の当面対応という話をさせていただきました。その中で、まさに任意適用の要件緩和についても要望させていただいたというところでございます。

先ほどお話、ちょっとございましたように、6ページのデメリットについて、今議論がございましたけれども、それに対する手当てが、矢印のところで、手当てができていると感じますので、メリットはあって、デメリットはほとんどカバーされるというふうに理解できるのではないかなと思っております。そういう意味では、特定会社の要件を緩和していただいて、より多くの企業が対応できるようにしていただくほうに、ぜひかじを切っていただければというふうに思っております。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

本田委員、お願いします。

○本田委員

1つ質問と、1つ意見がございます。我が国企業間の財務内容の比較が、IFRS採用企業間と、いわゆるJ−GAAP日本基準の採用企業間で難しいという話がございましたが、日本の企業の、上場では特に、株主が3割強が外国投資家です。IFRSを適用して、海外諸競合と伍して資本調達もやっていきたいという企業については、後押しをできるとので、メリットと考えられないかでしょうか。次は、意見です。雇用機会の創造、納税額の増加につながるような事業活動の拡大には、外国投資家や金融機関を含みます資金調達のオプションの拡大は非常に大事だと思っております。そのためにも任意適用要件を緩和し、1ページの2番目のIFRSによる連結財務諸表等の適正性の確保への取り組み・体制の整備がオーケーであるならば任意適用を許可してもいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○安藤会長

よろしいですか。事務局、どうぞ。

○栗田企業開示課長

まず1番目の比較可能性については、まさにおっしゃるとおりの点がございまして、日本のある企業がIFRSを適用すると、IFRSを適用している競合の外国他社との比較という観点ではやりやすくなるということでございます。ただ、日本企業内で比べると、日本基準とIFRSということになるので、やや比較可能性がどうかということがあるわけでございますけれども、そこはまさにアナリストの方々が、どういう観点から比較をされておるのかということがポイントになってくるのかなというふうに考えておりまして、国際的に活躍する日本企業であれば、外国他社との比較のほうが重要だという側面は強いのかなと思っておりまして、そういう点で申し上げれば、ご指摘のとおりかというふうに考えております。

○安藤会長

よろしいですか。

それでは、ほかにいかがでしょうか。

加護野委員、どうぞ。

○加護野委員

実質的には、任意ということであっても、ある種の強制が働いてしまうという場合があると思います。例えば国際的な監査法人が、監査法人の中の品質基準に合わせようと思うと、IFRSを採用してもらわないと困るという条件を設定した場合、企業としては従わざるを得ない。それは任意ではなくて、強制適用の一種になってしまうので、そういうことのないように手立てを打っておく必要があると思います。

○安藤会長

ご意見ということでよろしいですか。

○加護野委員

はい。

○安藤会長

わかりました。どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

永井委員、お願いします。

○永井委員

ありがとうございます。

3月のこの会でも申し上げましたが、資料1の1ページにありますように、特にニのほうの要件はハードルが高いと思います。大手企業で既に海外に事業展開していて、海外で資金調達していても日本基準のほうがいいという企業もあるでしょうし、逆に、海外で財務活動や事業活動の実績がなくてもIFRSを使用したいという企業もあると思います。任意適用の積み上げを図りたいのであれば、監査をきちんとすれば、ニのほうの要件は緩和してもいいのではないかと考えております。

ところで、これはどなたにお伺いすればいいのかよくわからないのですが、このような要件緩和の話が出てきているということは、現時点で、非上場企業ですとか、あるいは外国に資本金20億円以上の連結子会社を有さない企業でも、IFRSを使いたいという声が寄せられているのかどうか。その辺をちょっとお伺いしたいと思います。

○安藤会長

事務局、情報ありますか。

○栗田企業開示課長

前回のご説明でも申し上げたかと思いますけれども、当方には、どの会社がというのはちょっと申し上げかねるのですけれども、例えば、外国にそんな大きい連結子会社はないのだけれどもIFRSを適用したいというご要望、あるいは、IPOを目指しているのだけれども、今の制度だと日本基準で準備をして、上場したらIFRSに切りかえるということをしないといけないので、それは非常に手間がかかる。初めからIFRSで準備をしてIPOをしたいという企業の声が幾つか寄せられているのは、事実でございます。

○安藤会長

ほかに、いかがでしょうか。

弥永委員、どうぞ。

○弥永委員

1つ質問させていただきたいのですけれども。デメリットの最後のところで、継続性の原則というのを挙げられているのですけれども、継続性の原則は、必ずしも、有利なほうを選択する企業が増加することに対する対応というよりは、その企業の期間比較可能性というものを確保する面を持っていると思われるのです。そうだとすれば、このような、いわば一般条項みたいな形で縛りをかけるだけで十分なのか。特に、先ほどおっしゃっていたIPOの準備のため導入するのだと言っているときには、IPOをやめました、だから合理的な理由があるから戻りますと、こういうようなことにならないのか、何ら制約をかけなくても大丈夫なのかという点が気になります。それとも、制約をかけないで、できるだけこの任意適用を広げたほうがよいというご提案なのでしょうか。そのあたり、もしお考えがあったら、伺えればと思います。

○安藤会長

事務局、どうぞ。

○栗田企業開示課長

企業会計原則の継続性の要件を満たすかどうかということでございますので、実際問題としては監査の段階でかなり問題になるのではないかと考えております。端的に言えば監査法人がそのような変更を認めるのかどうかということでございまして、おそらく、合理的理由もないのに変えるということは監査法人では受け入れられないので、結局は継続するか、下手をすると不適正というような扱いになるのかなということで、そこで十分な歯どめになるのではないかと考えております。

○安藤会長

ここのところで、今の、6ページの最後のところに「合理的な理由なく」ということで、現在の企業会計原則上の継続性の原則も、合理的な理由があれば、それなりの注記をすれば変えられるということでございますので、その点では質的には変わっていないと私は思います。

ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

この後も重要案件がありますので、それでは一応、第1の議事については以上にさせていただきます。

それでは、次でございます。IFRSの適用の方法について。事務局より、具体的な論点について説明をお願いします。

○栗田企業開示課長

それでは続きまして、資料2「IFRSの適用の方法について」について、ご説明をさせていただきます。

表紙をめくっていただきまして、1ページ目でございます。現行制度の概要でございますけれども、我が国におけるIFRS任意適用企業が適用するIFRSは、金融庁長官が「指定国際会計基準」として定めるということにされております。もう少し詳細に申しますと、下のほうの「仕組み」と書いてあるところでございますけれども、国際的に共通して使用されることを目的とした企業会計の基準について調査研究及び作成を行う団体であって、独立した民間の団体であることなどの一定の要件を満たすもの、これは具体的にはIASBということになるわけですけれども、それが作成・公表を行った企業会計の基準について、まず金融庁長官が「国際会計基準」として定めるということでございまして、これは現在、IFRS全体が国際会計基準として定められております。さらに、その国際会計基準が、公正かつ適正な手続のもとに作成及び公表が行われたものか、公正妥当な企業会計の基準として認められることが見込まれるかという点を確認した上で、そういう要件を満たすということであれば、金融庁長官がこれを「指定国際会計基準」として定めるという手続をとることになってございます。

上のほうに戻っていただきまして、この指定国際会計基準を定めるに当たっては、一部の基準を指定しないことも可能な枠組みとなっておりますけれども、現時点ではIASBが定めた全ての基準が採用されているということでございます。それから、一部の基準を修正する手続というものは、具体的には定められていないというのが現在の指定国際会計基準の仕組みでございます。

後ろのほうの11ページから12ページを少し見ていただきますと、具体的にどうなっているかということでございますけれども、11ページの第2条、これが国際会計基準を定めているところでございまして、国際会計基準審議会において作成が行われた基準であって、国際会計基準審議会の名において公表が行われたものとされております。これが国際会計基準でございまして、そのうち指定国際会計基準というのは、その下の別表二というところにありますものでございまして、具体的には、概念フレームワークのほかに、IFRS1号から順番に書いてあって、その後、IASも順番に書いてあってということで、個別の基準ごとに指定を行うというシステムになってございます。

それから、12ページのほうは解釈指針でございますけれども、IFRIC第1号から始まって20号まで、それからSICの7号からずっと指定がなされているということで、こちらも個別の解釈指針ごとの指定になっております。これが現在の制度でございます。

この点につきましてのこれまでの審議会でのご議論は幾つかあったと承知しておりますけれども、2ページ目のほうで申し上げますと、「IFRSには、マネジメントの考え方として受け入れがたい基準があることも事実」というご意見。「最終的に日本として受け入れ困難となるIFRSについては、日本国内での取り扱いプロセスを明確化していく必要がある」というご意見。さらに、「我が国としてもエンドースメントプロセスを入れて、一部の基準をカーブアウトしたIFRSの任意適用を容認する制度を保持しておくということは、意味ある試行ではないか」というご意見がありました。

他方、1ページめくっていただきまして3ページ目でございますけれども、「米国基準、IFRS、エンドースメントIFRS、日本基準という4つの基準が並び立つというのは非常にわかりにくく、投資家から嫌気をさされる可能性があるのではないか」というご意見。「ピュアIFRSと、我が国に適したIFRSが併存するというのは、ユーザーの立場からしても、財務諸表の比較可能性という観点からちょっと懸念するところがある」というご意見がございました。こういうふうに、賛否両論といいますか、肯定的な意見、否定的な意見が出されていたと認識しております。

それでは、諸外国の状況はどうなっておるかというところが4ページ目以下でございますけれども、まずIFRSの取り込み方として、エンドースメント、自国基準へのIFRSの取り込みと、それから、IFRSの個々の会計基準の妥当性等を検討した上で採用する方法と、こういうものを採用している国のほうが多いのではないかということでございます。主要国においてエンドースメントをしていない例としては、南アフリカとかイスラエルなどがございまして、EU、カナダ、韓国等々はエンドースメントをしているということだと認識しております。

具体的なエンドースメントの方法につきましては、EUではかなり詳細な規定がございまして、EFRAGの助言を経て欧州委員会が決定するということになっておりまして、その場合には、以下の要件を満たした場合に限り承認されるということにされております。その要件というのが、そこにありますように、国際会計基準の内容は「真実かつ公正な概観」に抵触せず、欧州の公益に資するものであるということ。それから、国際会計基準の内容は、経済的意思決定を行う上で、また経営者の受託責任を評価する上で、財務情報が満たすべき理解可能性、目的適合性、信頼性、比較可能性という要件を満たしていること。こういう場合に限り承認するということにされてございます。

それから、カナダにおいては、基準設定主体でありますAcSBがカナダの自国IFRSを決定するということになっております。それから韓国では、会計基準設定主体が作成したK−IFRSというものを当局が承認することになっておるということでございます。

めくっていただきまして5ページは、個別基準のカーブアウトなどがどうなっているかということでございまして、EUにおいてはヘッジ会計の一部をカーブアウトしております。それから、カナダ、マレーシアは、直接的なカーブアウトではないのですけれども、一定の会社についてIFRSの強制適用を延期することによって、カーブアウトに近い効果を出しているということでございまして、具体的には、カナダでは料金規制活動に従事する会社、それから投資会社等についてのIFRSの強制適用が延期されております。マレーシアにおきましては、農業、不動産の建設契約の基準が適用される農業会社及び不動産会社について、IFRS強制適用が延期されているということでございます。それからインドでございますが、インドでは現在、IFRSの適用についての検討がとまっているような状況になっておるのでございますけれども、かつて提案されていたインド基準というものにおきましては、国内における会計慣行や経済状況を勘案して以下の項目をカーブアウトするということになっておりまして、これは外国為替レート変動の影響など、かなりの項目をカーブアウトすることが検討されていたということだと認識しております。

6ページに行っていただきまして、考え方でございますけれども、まずエンドースメント、自国基準へのIFRSの取り込みということのメリット、デメリットとして、どのようなことが想定されるかということでございます。メリットといたしましては、我が国が考えるあるべきIFRSの姿を示すことができ、会計基準の国際的調和を図る際に、よって立つべきところが明確となるのではないかということでございます。それから、我が国としてどうしても受け入れがたい基準があった場合に、カーブアウトを検討できるのではないかということ。それから、IFRSの個別基準に関する受け入れの適否について、会計基準の策定能力を有する者による検討の機会を設けることができるのではないか。またその際、必要に応じてIFRSの個別基準を修正して適用することが可能となるのではないかということでございます。例えば金融危機のような、極めて異常な、いわゆる非常事態みたいなものが発生したような場合において、我が国の判断で一定の基準に修正を加えるというような対応がとれるのではないかということでございます。4つ目といたしましては、IFRSの導入を検討する企業にとって導入コストの削減となる可能性が高いのではないかということで、これは、具体的にどの基準を修正あるいはカーブアウトするかによって変わってくるわけでございますけれども、企業にとってはコストの削減となる可能性が高いのではないかというふうに考えられます。

それから、次のページに行っていただきまして、デメリットでございます。これは前回の審議会のご意見でもありましたけれども、我が国で使用できる会計基準が4つとなることから、制度として複雑であり、財務諸表の比較可能性が低下するのではないかということ。それから、修正項目の数が多ければ多いほど国際的にはIFRSとは認められにくくなり、IFRS策定に対する日本の発言力の確保等への影響が生じ得るのではないかということ。3つ目といたしましては、米国証券取引委員会に登録している企業の財務諸表においては、ピュアIFRSでなければ調整表の作成が求められることになるということが挙げられると考えております。

それから、IFRSの個別基準に関する考え方でございますけれども、エンドースメントをするということになれば、IFRSの個別基準をエンドースメントするかどうかの判断をどうしていくかという基準が必要になってくるわけでございます。それは、公益及び投資者保護の観点から、例えば以下の点を勘案するということが考えられるのではないかということでございまして、1つ目は、会計基準に係る考え方の相違ということ。2つ目は、実務上の困難さということで、作成コストが非常に高くて便益に見合わないというような場合があるかどうか。3つ目といたしましては、周辺制度との関連ということで、各種業規制などと関連して適用が困難になる、あるいは多大なコストを要するという場合があるのか、そういうような点が判断基準として考えられるのではないかと考えております。

次のページに行っていただきまして、以上を踏まえまして、特にご議論をいただきたい点として、そこに挙げております。

エンドースメントの是非について、想定されるメリット、デメリットを踏まえ、どのように考えるか、特に、我が国で使用できる会計基準が3つから4つに増加することに関してどう考えるか。この点については、新たに導入される基準がピュアなIFRSと現行日本基準との中間に位置するものであり、財務諸表の比較可能性に重大な支障をもたらすものではないと言えるかどうか。また、我が国の国益も勘案しつつ、会計基準の国際的調和を図るための手段として容認できるかどうかということでございます。

2つ目は、やや確認的ではございますけれども、エンドースメントの主体については、会計基準の策定能力が必要であり、現実的にはASBJが適当と考えられるが、どうか。なお、現行の日本基準と同様、ASBJがエンドースメントした基準について、さらに当局が指定するということについてどう考えるか。3点目といたしましては、個別基準のエンドースメントに関する判断基準についてどう考えるかということでございます。それから最後に、そのほかIFRSの適用のあり方に関し、論点とすべき事項はないかということでございます。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

ただいまの事務局からの説明をもとに、ご質問、ご意見等を伺ってまいりたいと存じます。ご質問等のある方は挙手をお願いします。

黒川委員、どうぞ。

○黒川委員

ありがとうございます。確認、質問でございます。

諸外国の状況について、ここではエンドースメント手続をとっている国がずらっと並んでいるわけですが、ここに並んでいる国々でピュアなIFRSというものも併存しているのか、あるいはもうそれはなくて、全て、カーブアウトなり一部調整したものになっているのか。それを教えていただきたいなと思います。

○安藤会長

事務局でお答えいただけますか。

○栗田企業開示課長

詳細はまた調べてご報告しますけれども、この中では、例えばEUはヘッジ会計の一部をカーブアウトしておるのですけれども、これはカーブアウトしてもしなくてもいいということであって、実際にカーブアウトしている企業というのは20社とか30社とか言われております。ある意味では、EUというのはピュアなIFRSとカーブアウトしたIFRSが併存していると言えば、そう言えなくはないということでございますけれども、他の国は、併存しているというよりは、各国のエンドースメントしたIFRSに限定されているのではないかというふうに認識をしております。

○安藤会長

よろしいですか。

手を挙げておられました水口委員、お願いします。

○水口委員

ありがとうございます。

IFRSの比較可能性の確保に向けて、ピュアIFRSと、我が国の考えるあるべきIFRSとの差異を縮小すべく、グローバルに受け入れられる理論をもって、我が国のあるべきIFRSが示されて、海外の関係者などとも付加価値の高い議論が行われることを期待するところです。

ASBJが、グローバルに受け入れられるような理論に裏づけられた概念フレームワーク、また基準の考え方を整理し、グローバルな基準策定などへ貢献することや、我が国の特殊事情がもしあるならば、これをピュアIFRSで織り込みが可能となるような積極的な働きかけにつなげることで、IFRS適用にかかわる機動性、また比較可能性を含めたIFRSの有用性などが増す可能性があると考えております。

こうした、前述したようなことを踏まえまして、ASBJをエンドースメントの主体と位置づけて、ASBJがエンドースメントをした基準についてさらに当局が指定することは妥当だと考えております。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

ありがとうございます。

悩ましい論点が含まれていると思いますが、まずエンドースメントの是非の点につきましては、前回の審議会でも申し上げましたとおり、我が国の国益上、影響が大きくて、リスクを伴う基準につきましては、国内での受け入れの可否に関する審議を行う必要があると考えますので、各国同様、手続を整備することは意義があると考えます。

ただし、エンドースメントプロセスを整備することとは別に、国際的な影響や国内的な位置づけを、ある意味曖昧にしたまま、このタイミングで第4の基準を表明することは、我が国の国益上、逆な意味でリスクが発生する可能性があるのではないかと考えます。とりわけ相当数の企業が採用するであろう日本基準、かつ長年にわたってコンバージェンス作業に注力し同等性評価を得た日本基準を、グローバルに認知させるべきであろうと私は思っているのですが、中途半端に第4の基準を意思表示することにより、これが逆に作用し、日本基準をローカル化する方向に働かないか、大いに懸念するところであります。

また、エンドースメントプロセスでどういう基準をカーブアウトするかどうかという事とも関わりますが、中間的なIFRSを導入する場合、IFRS移行企業が増えるかどうかもある程度見極めた上で実施しても遅くはないし、加えて、ピュアIFRSとエンドースメントプロセスを経たIFRSとの関連も、並列でよいかどうか、明確にすべきであろうと考えます。

少なくとも4基準を併存というイメージはわかりにくいし、国際的信任を高めることにはならないのではないかと考えます。したがって、まずは我が国としてエンドースメントプロセスを整備する旨の情報発信にとどめ、MoU項目の動向や概念フレームワークの検討状況を踏まえて、過大に情報発信することなく、ステップ・バイ・ステップで進めていけば良いのではないかと考えます。他国もおそらくこういう対応だと思います。

なお、エンドースメントの主体につきましてはASBJが適切であると考えますが、具体的にどの個別基準をエンドースするか否かの判断に関しましては、例えば、「アジェンダ協議会」のような、広い視野から判断できる、官民のメンバーから構成された委員会で、影響等を慎重に審議して、ASBJに諮問する方法も考えられるのではないかと考えます。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

斎藤静樹委員、どうぞ。

○斎藤(静)委員

ピュアIFRSの任意適用を容認した上で、さらに一部の基準をカーブアウトしたJ−IFRSの任意適用を認めるということですと、実際のニーズがあまりないのではないかというのが私の印象です。前回、黒川委員が言われましたけれども、このJ−IFRSというのは、結局、一部企業に強制適用することになった場合に備えたものであって、それ以外の使い道はあまりないのではという気がします。

私は任意適用には賛成で、それを促進すべきだと思っていますし、また十分なニーズがあるものであれば、4つや5つ併存してもちっとも構わないと思っております。ただ、こういう性質を持ったJ−IFRSをつくって使わせる、仮に誰も使わないにしても使える状態にしておくということは、結局、一部強制適用の方針をまだ決めたわけでもないのに、事実上なし崩し的にその方向に進めるということになりかねないわけで、あまりフェアな方法ではないという感じがいたします。

加えてJ−IFRSというのは、任意適用を考えるのか、あるいは一部にせよ強制適用になるのかによって、多分つくり方が違ってくると思うんですね。単なる任意適用であれば、大抵の方はどうせ使わないということで、その程度のかかわりしかないと思いますが、そうやって決めたものを突然強制適用ということになりますと、それは、言葉は悪いですけれどもだまし討ちみたいな感じにもなりかねないので、ちょっとその点も懸念しております。

そういう観点からしますと、もしJ−IFRSを任意適用しようというのであれば、ピュアIFRSを本当に使いたい企業にとっては不本意な結果になりますけれども、ピュアIFRSの任意適用は断念すべきでありますし、もし仮にピュアIFRSの任意適用を優先するのであれば、J−IFRSというのは、一部強制適用の方針を合意するまでは、少なくとも公的には検討に着手すべきではないだろう。もちろん準備を進めるのはいいのですけれども、公的には認めるべきではないだろうという感じがいたします。

もう1点、私が心配しますのは、こういうJ−IFRSのようなものをつくった場合、さっき佐藤委員が言われたこととは別の意味になりますけれども、日本基準が非常にローカルになるのではないかという点です。ローカルになるというのは、日本基準をこれ以上国際化する誘因が働かないということです。J−IFRSができているのだからいいではないかということで、どんどん日本基準が国際的な基準から離れていく。それは、この間、大変な犠牲を払って日本基準のコンバージェンスを図ってきた努力を、すべて無にすることになりかねないと私は思います。

日本の資本市場に対する国際的な信認を高めるうえで最優先の課題は、日本基準をどうやって国際化していくかということであって、結果として日本基準を現状で凍結して置いてきぼりにするような方針はとるべきではない。もちろん、そんなことはさせないのであって、日本基準もどんどん国際化しますよと言うのは簡単ですけれども、私は、金融庁にもASBJにも、それを進めるだけのリーダーシップがあるとは思っていないです。それが私の意見です。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

西村委員、どうぞ。

○西村委員

現在、私どもは、いわゆるグローバル化を推進しておりまして、内部管理上も、あるいは外部の方に対しても基準の統一、すなわちIFRSを適用したような形でやっていきたいと考えており、任意適用に向けて準備をいろいろ行っているところであります。

任意適用するに当たってのガイダンス、手続等については、また別途お願いすることになると思いますが、仮に現在議論が進んでいるJ−IFRSができるのであれば、必ずしもピュアIFRSを適用する必要は、ある意味ないので、できれば、早目にJ−IFRSの方向性を示していただいて、それに合わせて我々としては準備をして行きたいと考えます。

基本的に、アジェンダにあったように、IFRSは日本基準とそれほど大きな差があると思えませんので、そこを早目に詰めていただいて、例えば2年ぐらいで、J−IFRSはこうなるんだというのを示していただければ、これはこれで、今、任意適用しようとしている多くの会社は大変ありがたいのではないかなというふうに思っていますので宜しくお願いします。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

それでは、五十嵐委員、どうぞ。

○五十嵐委員

どうもありがとうございます。

配布資料の3頁に、開示する財務諸表に適用する基準として、米国会計基準、IFRS、エンドースメントIFRS、日本基準の4つの基準が記載されておりますが、資本市場に開示する基準として、4つは、利用者にとってわかりにくい側面があると思います。基準設定機関が作成した米国基準、IFRS、日本基準という3つの基準に基づく財務情報を提供したほうが、資本市場に関与する投資家または作成者から見ると、わかりやすいのではないかと思います。

なお、米国基準の場合は、ご案内のように数十年にわたりましてセグメントレポーティングが、日本の企業が、開示するのは好まないということで、SECが当該基準の免除(エグゼンプション)を容認し、監査報告書は限定意見であっても、財務情報を開示した例がありますが、そういった事例はまさしく例外として考えるべきと思います。基本的な考え方としましては、やはりその国(米国)の基準、またはIFRSのつくった基準、そして日本基準という3つの基準で、資本市場に開示される財務報告としたほうが良いと私は思います。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

山崎委員、どうぞ。

○山崎委員

今のご発言、いろいろございまして、それぞれもっともだなと思うのですが、私が一言だけ、ちょっと私の考えを申し上げたいのは、仮にエンドースメントを行うという場合に、これをASBJが行うというのは何となく変だと思います。エンドースメントというのは、国の主権によって、それぞれの国が自国の会計基準を何にするかということの議論の先に出てきたものでありますので、どういう会計基準を使うか、あるいはその中で使わないかというのは、これはやはり金融庁といいますか、当局の責任において行うべきだと思います。当然のことながら、そのための材料はASBJが提出する、あるいはいろいろな議論をするという枠組みをつくるということは必要ですけれども、ASBJが単独で行うということは若干変な議論かなというふうに思っております。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

八木委員、どうぞ。

○八木委員

事前にコメントを出しておりますので、ダブるところは避けます。どうもJ−IFRSというものに対するイメージが、皆さんの中で相当幅が広いように感じます。「何となく今の日本基準にもうちょっと我慢してコンバージェンスをすればJ−IFRSに届くのではないか」、こういうイメージだと、何をしようとしているのかよくわからないということになります。私自身は、今の日本基準をコンバージェンスして、IFRSのレンジに入るということではなくて、我々として何とか受け入れられる基準にするためには、ピュアなIFRSから何を引くのかというアプローチが、J−IFRSのイメージです(カーブアウト)。日本基準とピュアIFRSの中間というより、むしろピュアIFRSに近い形のものとして考えています。日本基準との折衷案的なJ−IFRSをつくり、結果的としてIFRSとして認めてもらえないなんていうことになると、何のためにJ−IFRSの検討をしたのかわからなくなります。

個人的には、リサイクリングのところがきちんと整理されれば、それがJ−IFRSだと考えています。日本基準もこれからコンバージェンスはしていく必要が一部であるかもしれませんけれども、それとはアプローチが違うものだと思います。今の日本基準から何かを改訂してJ−IFRSをつくり込むというような形の発想は多分ないと思います。ピュアIFRSをJ−IFRSに統合できるというくらいの基準にしなければJ−IFRSをつくる意味がないと考えます。

今日の日経新聞に出ておりましたけれども、例えば、個人的な意見ですけれども、リース会計をオフバランスにするということはJ−IFRSでやるべきではないと考えます。これはあまり、細かい話ですから、ちょっと詳細になり過ぎますけれども。それくらいのイメージでJ−IFRSを考えていかないと、にっちもさっちもいかないのではないかなというふうに思います。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

関根委員、どうぞ。

○関根委員

ありがとうございます。

今の議論と若干関連するところもありますが、まず、エンドースメントを行うということは、個別基準を1つ1つ採択するプロセスをとることになり、現在行われている指定告示手続の強化につながるのではないかと考えております。このようなプロセスでは、IFRSの各個別基準を理解し、各個別基準を適用した際に企業に及ぼす影響、また、逆にIFRSの個別基準を適用しなかった際に及ぼす影響などを調査する必要があります。これは、既に行われている部分も当然あると思いますが、前回の審議会でも発言させていただきましたけれども、個別基準の内容を深く検討していくということになると思います。

その結果、IFRSの個別基準において、理論的にも実務的にも受け入れがたい点については、IASBやIFRS解釈指針委員会といったところにしっかり意見発信をし、議論をしていく、これも既に行っていることかと思いますけれども、これと連動する話なのかと思っております。その際、ASAFとかサテライトオフィスも当然利用することになると思いますけれども、グローバル化した我が国企業がきちんと成長を続けていくために、IFRSと向き合っていくための手続というふうに私は考えております。

とはいっても、今までの議論の中で、ご心配、懸念事項として挙げられていましたように、会計基準がまた1つ増えるのかということもあるかと思いますが、これは、私自身はこういう改善要求をしていく中での経過的な取り扱いかと思っております。そういう意味では、ASBJの名前が出ていましたけれども、会計基準を検討したり策定したりする能力があるASBJが個別基準ごとに評価をするとともに、ただし、このASBJの意見を踏まえながら、国の決定として行っていくというのがよいと思っております。

なお、IFRSの個別基準に関する考え方についてはもちろんさまざまな見方があって、皆さんからいろいろな意見が出てくると思いますが、このデメリットにも出ていますけれども、やはりカーブアウト項目が多い場合には、もはやIFRSと認められなくなると思うと共に、先ほど八木委員がおっしゃっていましたように、私も、IFRSから出発することに意義があるのかと思っております。そういう意味では、今申し上げました改善要求をあわせて、国際的に合理的に説明できる範囲で行っていく必要があると理解しております。

私のほうからは以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

辻山委員、どうぞ。

○辻山委員

ありがとうございます。

今日改めて感じたのですけれども、いま日本基準として別表に掲げられておりますのは、指定国際会計基準とASBJが公表する会計基準です。この指定国際会計基準というのがどういう意味を持っているのかということですが、これは米国会計基準を使っている会社が米国基準の使用が認められているのとは違って、国際会計基準が国内基準化しているという意味ですね。別表指定するわけですから。このスキームを作ったとき、例えば私などの理解は、当初からエンドース手続が入っていたはずだ、結果としてピュアIFRSになるかどうかは別ですけれども、これがそもそもエンドースメントプロセスを経ているものだった。当初からそのような含意であったというのが私の理解です。

これまで結果的に全てすっすっと入ってきているのがまことに不思議なことなのではないかというふうに思います。ですから、現在のピュアIFRSと言われているものは、ピュアIFRSに対して日本が指定国際会計基準として指定しているこの「国際会計基準」は、そもそもエンドースメントプロセスを経たものであるはずである。それが米国会計基準と違う、そういうスキームだったと思います。

そうしますと、今のピュアIFRSというのは、ここで言われているのがどちらのことを言っているのかちょっとよくわからないのですけれども、今の指定国際会計基準を論じているのであれば、これがそもそもエンドースメントプロセスを経たものであって、これはカーブアウトもあり得べしという、もともとそういう含意だったのではないか。すると、本日、J−IFRSというふうに議論されているものが、もし一部のカーブアウトの範囲にとどまるのであれば、新たにまた別のスキームをつくる必要がよく理解できないということです。でも一方、このJ−IFRSというのが、かなり日本的な考え方をベースにして、どこまで譲歩できるのかということで考えられる、そういう内容が含意されているのだとしたら、日本基準とどこが違うのか、ASBJのつくる基準とどこが違うのか、そこもちょっとよくわからなくなるというのが私の意見でございます。

1つ質問は、今日、第1議題がございました。先ほどのピュアIFRSというのが、ピュア、全く手つかずの、ロンドンでつくったものがそのままというものなのか、あるいは日本でもエンドースメントされた「国際会計基準」を指しているのかわかりませんけれども、この任意適用の範囲が広がったということですね。そうしますと、今、ここで議論されようとしている適用の方法、新たに出てきたエンドースメントされようとしている会計基準が、もしフルセットであったとしたら、これの任意適用の範囲はどのようになるのか、第1議題と第2議題の関係はどういうふうに整理したらいいのかなと、これについては質問でございます。

以上です。

○安藤会長

では、事務局からお答えをお願いします。

○栗田企業開示課長

まず、現在の指定国際会計基準がエンドースメントプロセスかどうかというと、ここはちょっと微妙なところがございまして、確かに、先ほどもご説明申し上げましたように、カーブアウトはある意味で予定されているというか、カーブアウトすることができる枠組みになっているという意味ではエンドースメントプロセスであるということが言えるかと思います。ただし、先ほども申しましたように、今のシステムはその基準を丸ごとカーブアウトすることしか考えていないという枠組みでございまして、これを会計基準設定主体などが議論をして一部を修正するとか、そういう手続は想定をされておりません。そういう意味では、ほかの国のやっているエンドースメントというのとはちょっと違う、質が違うのかなというふうに考えております。

それから、ご質問にありました1番目の議題と2番目の議題でございますけれども、1番目の議題で、IFRSの任意適用が認められる企業を増やしますということでございます。その増えた企業は、この2番目の議題との関連で言えば、ピュアIFRS、今の指定国際会計基準を使うか、新たにエンドースメントされたIFRSを使うか、どちらかを使うということになるということだと考えております。

○辻山委員

すみません。

○安藤会長

辻山委員、どうぞ。

○辻山委員

そうしますと、国際的に言われているエンドースメント、例えばEU等、でもカーブアウトされていますけれども、一部カーブアウトされているもの、これは国際的にはエンドースメントと言われていますが、ここではそういう意味ではないと仰っていたと思うのですけれども、エンドースメントという意味もかなり多様な解釈があることになりますね。

それから、もう1つ重要なことは、IFRSの中に第16項、要するに何一つカーブアウトしてはいけない、カーブアウトされているものはIFRSと呼ばないということですから、カーブアウトした途端に、これはピュアというふうには基本的には呼ばないと思うんですね。そうしますと、先ほど何人かの方が指摘されましたけれども、アメリカ、海外で使われるというか、特にSECが認めるIFRSは、一応ピュアIFRSというふうに言われていますから、そのニーズがない。すると、やはりニーズの問題というのがちょっとよく理解できないなという感じを持ちました。

○安藤会長

今のはご意見でよろしいですか。

○辻山委員

はい。

○安藤会長

はい。ほかにいかがでしょうか。

岡田委員。

○岡田委員

ありがとうございます。

私どもも今IFRSの導入に向けた準備を行っており、現在のいわゆるピュアIFRSというのが完成されたものではなく、改善の余地があることは身をもって認識、実感しております。

現在議論されているエンドースメント手続きを導入するのであれば、ピュアIFRSに至る過程という位置づけで、我が国市場関係者の広範な視点からの議論を一層深めて頂き、あるべきIFRSというものを内向きだけではなく、外に向けた発信をし、ピュアIFRSそのものの改善につなげて頂きたいと思います。そういった議論を深めるためのエンドースメント手続であれば、大いに意義があるのではないかと思っております。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

谷口委員。

○谷口委員

先ほどからいろいろ厳しいご意見が出ていますけれども、8ページにありますエンドースする際の判断基準は、公益及び投資者保護の観点と書いていますが、現実的には、やはり日本基準がどういう基準なのかというところが、スクリーニングの1つになるのではないかと思っております。その下に書いてあるノンリサイリングだとか、のれんの非償却というのは、まさに日本基準との差でございますので、日本基準そのものを、今後同等性評価が得られる範囲にどうやってキープしていくのか。

先ほどちょっとご意見がありました、日本基準がローカル化してしまうというのは、我々としても最大避けるべきだと思っています。したがって、日本基準そのものをどういうものとして認識していくのかというのを、やはりまず第一に考えること。その次に、その日本基準と、J−IFRSがどんなリンケージがとれるのか、それを考えていく必要があるだろうと思います。

今のままの国際会計基準というのは、やはり使いにくいというのがベースにございまして、アジェンダ協議でも、直していただきたい点を指摘をしているわけですから、そこの点について今後議論がどう進むかというのはございますけれども、やはりしっかりと日本基準と国際会計基準の間の差を詰めていくこと、その努力が日本の貢献の1つではないかというふうに思っています。まず、繰り返しになりますが、日本基準の体系整理もしっかりやりながら、国際会計基準と日本基準の間をどうやって詰めていくのかがJ−IFRSにつながると、私は認識しております。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

もう1つ議題がございますが、特に、ご発言、今まで出た意見に漏れがあるような、埋めるようなご意見があれば、ぜひ出していただきたいのですけれども、よろしいですか。

そうしましたら、第3議題に移らせていただきます。

単体開示の簡素化についてでございます。これについて、事務局より具体的な論点を説明していただきます。

○栗田企業開示課長

それでは、資料3「単体開示の簡素化について」という資料について、ご説明をさせていただきます。

まず表紙をめくっていただきまして、1ページ目でございます。これはもう言わずもがなのことではありますけれども、我が国で上場会社が作成する財務計算に関する書類には、金商法に基づいて作成する財務諸表と会社法に基づいて作成する計算書類の2種類がございます。これらの書類には、個別財務諸表・計算書類と、連結財務諸表・連結計算書類があるということでございます。

それぞれの法律における連結と個別の財務諸表の位置づけがどうなるかというのが、その下の表でございますけれども、金商法では連結が主たる財務諸表で、個別が従たる財務諸表という位置づけになっております。会社法では、これはある意味で逆でございまして、全ての会社は個別の計算書類を作成しないといけないけれども、連結計算書類については、大会社かつ金商法対象会社のみが義務づけられているという建て付けになってございます。

金商法と会社法の制度趣旨の違いでございますけれども、金商法では、投資者保護の観点から、投資者が投資判断を行うための情報を提供するということを目的として財務諸表に関する規定が定められているということでございます。片や会社法におきましては、株主及び債権者の保護という観点から、株主及び債権者に対して情報提供するということに加えまして、分配可能額を算定するということを主な目的にしているというところが違いでございます。

続きまして、3ページ目以下に、金商法と会社法の具体的な差異がどこにあるかということを書かせていただいております。

まず、財務情報に関してでございますが、そのうちのマル1貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書という、いわゆる本表につきましては、金商法では統一的な様式があり、項目の区分掲記が要求されているわけでございますけれども、会社法では統一的な様式に関する規定はございません。ただ、例えば経団連さんがひな形を策定されておりまして、多くの企業はそれを参考にして計算書類を作成されているということでございます。それから、注記についてはかなり差異がございまして、有価証券、資産除去債務、棚卸資産及び工事損失引当金、そういうようなものに関しては金商法においてのみ開示が求められております。それから、重要な会計方針ですとか会計方針の変更等に関しましては、金商法のほうが会社法よりも多くの記載を求めているということで、違いがございます。

続きまして、附属明細表・その他明細書類でございますが、この中では、まず製造原価明細書、有価証券明細表、これについては金商法では作成が要求されているということでございまして、さらに有価証券については、金商法では、非財務情報の中でも、純投資目的以外の株式の銘柄別開示が必要となっております。会社法ではこの2つの明細書、明細表については、明文では求められていないということでございます。それから、有形固定資産明細表、引当金明細表については、金商法、会社法、いずれも作成が必要となるわけですけれども、金商法では統一的な様式がある一方、会社法では様式の定めがないというところに違いがございます。

次のページに行っていただきまして、これは非財務情報、財務諸表とは別の開示項目になっているところでございます。ここにおきまして違いますのは、主な資産・負債の内容ということで、現預金、売掛金、買掛金、受取手形、支払手形、棚卸資産について、金商法ではそれぞれ、例えば預金の主な内訳ですとか、売掛金とか買掛金の相手先別の上位5社の残高とか、そういうものの記載が求められているわけでございますけれども、会社法では明文でそのような開示が求められていないということでございます。

単体の簡素化に関しましては、これも前回、前々回の審議会で、委員の方からいろいろなご意見を賜っているわけでございますけれども、そこに紹介させていただいておりますように、「開示負担に関しては、IFRSが過大な負荷となっている」「日本基準を適用している企業であっても開示負担が大きい」それから、「単体開示の廃止・抜本的簡素化が必要」というご意見がある一方で、「財務諸表ユーザーにとって、連結開示のみならず単体開示も重要であると考えており、十分に慎重な検討をすることが妥当である」というご意見をいただいております。

次に、この単体開示の簡素化に関する基本的な考え方でございますけれども、そこに大きく3つ書いてございます。

1つ目は、簡素化の具体的内容ということでございます。本表、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書に関しては、経団連モデルを使用している場合など、会社法の計算書類と金商法の財務諸表とで開示水準は大きく異ならないため、会社法の要求水準に統一することを基本としてはどうか。それから、注記事項、附属明細表、主な資産・負債の内容に関しましては、会社法の計算書類と金商法の財務諸表とで開示水準が大きく異ならない項目については、会社法の要求水準に統一することを基本としてはどうか。会社法の計算書類で開示されていなくても、金商法の連結財務諸表において連結ベースで情報が開示されている場合には、金商法の個別ベースの開示を免除することを基本としてはどうか。さらに、上記以外の項目については、その有用性、財務諸表等利用者のニーズ、作成コスト、国際的整合性等を斟酌した上で、従来どおりの開示を要求するか否かについて検討することとしてはどうかということでございます。

それから、2番目といたしまして、本件に派生するといいますか、関連する論点でございまして、単体開示のみの会社、連結財務諸表を作成していない会社の取り扱いをどうするかということでございます。

単体開示の簡素化の基本的な考え方としては、金商法上の開示が連結中心となる中で、金商法上の単体財務諸表等の作成負担の軽減を図る。それから、連結財務諸表で入手可能な情報を単体でも要求する必要性は乏しいということでございます。単体開示のみの会社については、連結財務諸表の作成負担はなく、単体の簡素化に伴い代替する連結財務諸表の情報もないということでございますので、仮にこういった会社に対してまで簡素化を行うとした場合には、連結財務諸表を作成している会社との間で情報量の格差が生じてしまうおそれがあることから、単体開示のみの会社については見直しを行わないこととしてはどうかというふうに考えております。

3つ目といたしまして、規制業種に係る単体開示の取り扱いでございますけれども、規制業種については、まず所管省庁が政策目的を達成する観点から、法令において必要な財務情報の作成及び報告を義務づけております。他方、財務諸表等規則における規制業種への対応につきましては、各業法に基づく開示が当該業種の実態を理解する上で有用との観点から、規制業種を別記事業と位置づけまして、各業法で求めている内容を優先して適用することを定めているということでございます。また、規制業種につきましては、特に単体の有用性が高いというご意見もございます。こういったことを踏まえて、まず、所管官庁の意見を聴取することとしてはどうかというふうに考えているところでございます。

めくっていただきまして、9ページ目でございます。論点といたしましては、そこに5つ書かせていただいております。

金商法開示と会社法開示との二重の負担を軽減するという趣旨から、金商法上要求されている貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書を会社法の計算書類で代替することについてどのように考えるか。注記、附属明細表、主な資産・負債の内容について、金商法開示固有の事情、または利用者のニーズが大きい項目等については、引き続き開示を要求する必要があるか。また、具体的にどのような項目がこれに該当すると考えられるか。その際、連結財務諸表で連結ベースの情報が開示されていれば単体開示は要求しないと考えることはできるかということです。

それから、3点目といたしまして、日本基準を適用して連結財務諸表を作成している会社と、指定国際会計基準を適用して作成している会社とでは、連結ベースの開示内容に差異が見受けられますことから、こうした差異の程度に応じ、単体開示において異なる取り扱いを定めることについてどう考えるかということでございます。もう少し具体的に申し上げますと、日本基準に比べて連結でIFRSを使っている会社のほうが開示量が多いのが一般的でございます。その点を勘案して、IFRS適用会社については、単体開示をより簡素化するというような取り扱いをすることが適当かどうかということでございます。

4点目につきましては、単体開示のみを行う会社については、見直しを行わないことについて、どう考えるか。5点目は、規制業種の取り扱い等、その他検討すべき事項はないかということでございます。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

ただいまの事務局からの説明をもとに、ご質問、ご意見等を伺ってまいりたいと思います。ご質問等のある方は挙手をお願いいたします。

久保田委員、お願いします。

○久保田委員

ありがとうございます。

この単体の簡素化については、経団連の長年の要望でございまして、今回このような形で取り上げていただけるということで、非常に感謝しております。

簡素化という枠を超えて、国際的な整合性を踏まえて、ぜひ連結で一本化するという視点で取り組んでいただきたいということが1点目でございます。現在、持ち株会社とか分社化など、多様な経営形態が存在する中で、親会社単独の財務諸表というのは重要性が低下しておりまして、連結ベースでなければステークホルダーに対する十分な情報提供は行えません。加えて、海外に目を転じましても、資本市場における企業のディスクロージャーは連結財務諸表であって、国際的な比較も単体開示ではできません。一方で、単体情報のニーズについては会社法の計算書類を活用するということで、十分な情報提供が可能ではないかと思っております。

したがいまして、金商法上は、財務諸表のみならず、注記、附属明細表等も、会社法計算書類で代替するということを基本的な方向としていただきたい。その上で、どうしても必要な単体情報は何かという視点で、投資家ニーズと作成者負担のバランスを考慮しながら、具体的に議論していただきたいと思います。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

水口委員、どうぞ。

○水口委員

ありがとうございます。

事務局にお示しいただいた、本表、注記事項、それから附属明細表、主な資産・負債の内容の取り扱いについては、おおむね妥当であるとは考えます。その一方で、財務諸表ユーザーの中では、現行の金商法ベースの財務諸表規則による開示の中で、重要かつ連結で代替できないものは開示を続けてほしいとの意見が少なくないことにも十分留意することが肝要であると考えます。

コスト・ベネフィットを理由として前面に出した開示の緩和や廃止には抵抗感が強く、非財務情報として取り扱っても構わないので、既存項目を引き続き開示してもらいたいとの財務諸表ユーザーの声も少なくないと認識しております。さまざまな財務諸表ユーザーのニーズを十分踏まえた上で、セグメント情報なども含め、今後の開示のあり方について慎重に検討することが妥当と考えます。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員

連結中心で単体を簡素化するということに関しては、それでいいと思います。ただ、重要なことは、投資家、アナリストが知りたい項目といったときに、単体にしかない項目で、それが有用である場合があります。製造原価明細書とか、いろいろあると思います。そういったものを、あるセクターではこれが必要だといって、和集合をとると、何でも広く開示してくれとなってしまいます。単体の中で本当に必要なものといっても、それぞれのセクターに特殊なものなのかもしれません。全業種に共通でないものも多いと思います。共通なものに関しては、考えておく必要があります。IFRSのセグメント情報などでは、そちらのほうに結構詳しい情報が載っているということもあります。

そういった意味で、1つのポイントは、連結におけるセグメント情報の充実というところも考えてほしい。IFRSで既にやっていることがあるかもしれません。例えば、私でしたら、生産性の分析をしたいので、セグメント別の人件費を知りたいということが現実には出てくるわけです。そこまで開示するかどうかは別にして、投資家、アナリストが知りたい項目に関しては、連結ベースを充実させるということで、その単体がないと困ると言っていることを吸収する余地はあるのではないかと思います。

もう1つは、会計制度ではなくて、どうしてもその会社やそのインダストリーを理解するのに、こういう要素がないと困るというような、業種固有のものがあるとすれば、それは会計という枠組みを離れて、もっと大きな視点で、そのビジネスモデルをどう理解するか、そのときのキー・パフォーマンス・インディケーターとして必要なデータというのは、それぞれの会社が必要に応じて公表していくと思います。現実に、既に大手の企業においても、セグメント別に必要なデータを出して、自社のことをよく知ってほしいということをやっている会社は多数あります。そういう中で吸収していくということも十分可能だろうと考えています。

以上です。

○安藤会長

ありがとうございました。

川島委員、どうぞ。

○川島委員

ありがとうございます。単体開示の簡素化について、財務情報の一ユーザーの中で労働者、労働組合の視点から、若干コメントをさせていただきたいと思っております。

結論から申し上げますと、この簡素化については否定するものではありませんけれども、十分慎重に検討をお願いしたいということでございます。特に今回、論点の1番目にある、二重の負担を軽減するという趣旨からの簡素化というのは理解できるところでありますけれども、どなたかも指摘されたように、現在のこの仕組みの中で得ることができる単体の情報について、今後、形を変えても得ることができるような、その範囲において検討をお願いできないかということが一番申し上げたいことでございます。

私ども、働く者の賃金ですとか労働条件は、働いている会社の収益ですとか財務体質に大きく影響を受けるというのが現実でありまして、連結、単体、両方とも重要ですけれども、何といってもまずは単体の財務情報というのが重要であるということでございます。今得られている情報を漏れなく得られるということを前提に、繰り返しになりますけれども、慎重な検討をお願いしたいと思います。

1点、これは質問めいたことにもなるのですけれども、7ページ目の5番目の考え方の(1)に、本表で経団連モデルを使用している場合など、この開示の水準が大きく異ならないため、会社法の要求水準に統一することを基本としてはどうか、とあります。なるほどなとは思いますが、これはあくまで「開示水準は大きく異ならない」というのが前提になっていることだと理解をしておりまして、その裏打ちとなっているのが、この「経団連モデルを使用している場合など」ということではないかと思います。

ちょっと揚げ足取りみたいになるのですが、であれば、経団連モデルの使用をしていなくて、そのことによって開示の水準が異なるというような可能性、あるいはケースがあるのか、ないのか。あるいは、そのことによって今まで得られた情報が得られなくなるような可能性があるのか、ないのか。その点についても、コメントがあればお伺いしたいと思います。

以上です。

○安藤会長

事務局、お答えできますか。

○栗田企業開示課長

上場企業が会社法の単体開示において経団連モデルをどの程度使っておられるかということについては、詳細に調査したものはございません。大企業は使っておられるということは確認しておるのですけれども、具体的に、では何社ということはまだ調べがついておりませんので、その点についてはもう少し詳しく調べていきたいというふうに考えております。

○安藤会長

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

経団連の久保田委員と若干重複するかもしれませんが、前回の審議会でも申し上げましたけれども、単体開示につきましては、まずその有用性やニーズが著しく低下してきているという認識が必要だと思います。それと、コストとベネフィットの関係、先ほど水口委員は抵抗感が強いと言われましたけれども、やはりこれも当然考慮すべきだと思います。また、規制緩和による開示量の削減という視点から、二重開示の解消を、前回の審議会でもお願いいたしました。

しかしながら、7ページの、先ほど取り上げられました5の「考え方」の(1)簡素化の具体的内容に関しましては、よく読みますと、私どもの要望に対して不十分ではないかと考えています。金商法と会社法とで開示水準が大きく異ならないものは会社法の要求水準に統一し、それ以外の項目は今後検討してはどうかというふうにしていますが、これは金商法の開示と会社法の開示が依然として併存して、可能な部分のみ統一するという考え方ではないかと読み取れます。

この論点に関しましては、諸外国の状況を概観しますと、ご承知の方は多いと思いますが、米国、カナダは単体開示はありませんし、英国はじめ欧州主要国でも単体開示は非常に簡素で、かつ会社法と金商法は全く同一の内容となっています。海外の開示レベルがそういう状況ですので、海外の機関投資家にとっては、日本の細かい開示を果たして活用するかどうかという問題もありますので、まず海外とも合わせるという視点も必要だろうと私は思います。

私どもが要望しているのは、諸外国にもほとんど類を見ない詳細な金商法の単体開示を会社法の単体開示へ全面的に統一してほしいということでございます。ぜひ、ご検討いただきたいと思います。

なお、単体開示のみの会社については見直しを行わないこととしてはどうかという点に関しましては、やはり開示量の削減という視点から、全く検討しないということは合理性を欠くのではないかと思います。できるところは考慮すべきだと考えます。

以上でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

川村委員。

○川村委員

ありがとうございます。

全般のご議論、伺っていて、確かにコストに見合わないもの、重複するもの、これは無駄を省いたほうがいいというのは決まっている話だと思いますが、他方で、今日の前段のいろいろな議論にあったさまざまな基準の併存なり、その中の選択をどうしていくのか。そして、それぞれの開示内容と今回の単体開示のところを比べたときに、目的が、配られたこの簡素化についての、まさに2ページですか、金商法と会社法の目的の違いということに照らしたときに、本当に単体開示をもうほとんど、何というんですか、軽視してしまっていいんだというふうに言っていいものかというのは、やや慎重であるべきではないかなと考えています。

というのは、現実問題として、この開示全般について言えば、投資家と一言でくくってしまうのですけれども、そのときに個人の投資家を見るのか、あるいは機関投資家を見るかによって、実は質的に全く違っていると思います。非常にこれは乱暴な言い方ですが、個人の投資家は、極論すれば、簡素化しても詳しくしてもあまり関係ないというのが現実だと思うんですね。要するに、わかりません、幾ら細かくしても。一部の個人を除くと。他方で、やはり機関投資家であれば、できるだけ詳細な情報が欲しいのは当たり前であって、それは極論すれば、コストがかかろうが情報量が多いほうがいいというのが多分機関投資家の判断の側だと思うんですね。

そこで、どこで線を引くかということなのでありますけれども、この2ページにあるように、会社法をどちらかというと、解散価値といっては何ですけれども、それをどう見るかということが中心であるとするならば、金商法の場合、投資家と言っている場合には、既存の株主もあれば、これから株主等になろうとしている潜在的な株主もあり得るわけで、その判断をするときの情報というのは、単純に現状を見て、単体を軽視していいというものではないと思います。

現に、相当金商法と会社法で開示内容が違っている項目、かなりのものがあると思うんですね。個別の項目についてはこの資料に書いてあるとおりでありますけれども、これを本当にオミットしてしまっていいのかどうかということについては、もう少し精査が必要だと思いますし、また別記事業などに関しては、おそらく基本的には単体で見ているケースが、投資家としては多いんだと思うんですね。

ですから、コスト・ベネフィットということとともに、特に機関投資家を介在させて、さまざまな、例えば投資信託であれ何であれ、個人投資家もそこに介在させて、いわば間接分析によっている部分もあるわけでありますので、ここは長らくいろいろ、経団連さん等、事業者からの要望があるということは承知しているわけでありますけれども、もう少し慎重な議論をしてもいいのではないかというふうに考えます。

○安藤会長

ありがとうございました。

黒川委員、どうぞ。

○黒川委員

ありがとうございます。

1点は確認ですけれども、8ページの単体開示のみの会社についてなのですけれども、単体開示のみの会社という場合には、投資意思決定をする場合に、他の会社が連結財務諸表をつくっていれば、それを主たる情報として利用するわけですけれども、その連結がないわけですから、この単体情報を使って、連結情報の会社と比較しながら投資意思決定をするような情報だろうと思うのです。そういうことを念頭に置いた話としてでよろしいのかどうか確認です。

それから2点目は、9ページの規制業種。今も規制業種のディスクロージャーについて若干言及されましたけれども、この規制業種の中には非常に簡素なディスクロージャーが見られるわけです。それがそのままでいいのか。これは、今日の1つ目、2つ目の議論とも若干関係するとは思いますけれども、現状の規制業種、別記事業のディスクロージャーのレベル、こういうようなものが今のままで本当にいいのかどうか。

それがIFRSの導入論議とかかわってくる。例えば、カナダでしたか、電力関係の別記事業、特殊な業界は別の基準にしているというようなこともありますから、我々として現状を把握する必要があるのではないか。事務局のほうに調査をしていただきたいなと、これが要望です。

○安藤会長

ありがとうございました。

まだ手を挙げている方、こちらで確認して。

まず、山崎委員ですね。お願いします。

○山崎委員

ありがとうございます。

皆様方の発言なんですが、若干この資料の整理の仕方に混乱があるのではないかというように私は感じております。私の誤解であれば申しわけないと思いますが、IFRSを何らかの形で導入するということになりますと、注記あるいは開示の内容というのはIFRSに基づいて行われることになりますので、現在の財務諸表規則に書いてあるような開示が全て――これは、重要性はもちろんあるんですけれども、そのまま機械的に認められるという世界ではなくなってきますので、ここで、例えば3ページから4ページ、5ページに例として出されていることを比較するという議論は、ちょっと混乱を来すのではないかというふうに思います。

IFRSで絶対に開示しなければいけない、例えば附属明細表のようなものがあるかどうかはちょっと、私はあまりないような気はする、そういう規定はないような気がするのですが、IFRSにおいて必要とされる開示と会社法との開示というふうな比較をしないと、議論が混乱するのではないかという、これが私の感想なのですが。

○安藤会長

ありがとうございました。

勝尾委員、手を挙げておられました。

○勝尾委員

ありがとうございます。意見を1つと、質問を1つさせていただきたいと思います。

7ページに、簡素化の具体的理由ということで、最初の矢印のところに、会社法の計算書類と金商法の財務諸表とで開示水準は結果的に大きく異ならないため、会社法の要求水準に統一するという内容が書いてございますけれども、これは同等のものへの置きかえということですので、簡素化といってよいのかという疑問がございます。それよりも、先ほどの川島委員のご発言内容に少し関連いたしますけれども、金商法開示に比して、本来の意味での簡素化を行った場合に損なわれる情報内容について、慎重に吟味を行うべきなのではないかと思っております。

質問させていただきたい点は1つございまして、単体表示における貸借対照表、損益計算書等を会社法の計算書類で代替するということになりますと、例えば、会社法等において、統一的な様式や項目の区分掲記といった規定を整備することを求めていくことをお考えなのかどうか、ということをおきかせいただきたいと思います。

○安藤会長

これは事務局でお答えになりますか。

○栗田企業開示課長

まず1点目のお話でございますけれども、会社法の要求水準と金商法上の要求水準が同じであれば簡素化にならないのではないかという話でございますけれども、一緒にすることだけでも企業の負担は大分違うというご意見もございます。つまり、同じようなレベルのものでも少し違うものをつくるというのは結構手間だというご意見もありますので、そこはそろえることが、ある意味意義があるということだというふうに考えております。

2点目につきましては、今のところ会社計算規則自体を変えるという発想ではなくて、あくまで金商法の中で会社法の計算書類を取り込むという発想でございます。

○安藤会長

小宮山委員、どうぞ。

○小宮山委員

2度目ですみません。ありがとうございます。

論点の丸の2つ目なんですけれども、単体の簡素化の議論というのは、97年に連結財務諸表が主たる財務諸表になってから何回議論したかよくわからないぐらい、議論しているのですが、この議論をすると感じるのは、おそらく実務をやっている方は結構感じていると思うのですが、持ち株会社の形態になっている事業形態と、それから親が本業をかなりやっているという事業形態で、大分、これ、違うと思うんですね。

おそらく親が本業をやっているケースというのは、附属明細表とか主たる資産・負債の明細を見ると、かなり有用な情報が入っているということが多いのだろうと思うんです。そういう意味で、これは一律に議論するのでなしに、親会社の比重がどのくらいとかそういう、ちょっとワンクッション入れて議論したほうが、議論の整理がしやすいのではないかなと私は思います。

それともう1つ、丸の1つ目で、株主は、どんな資料を送ってもどうせわからんという、さっきご意見があったんですが、私は一応、会計が多少わかる株主として計算書類を見せていただいているのですけれども、実は会社法の参考書類として送られる計算書類というのは、実にまちまちなんです。本当に貸借対照表、損益計算書と株主資本等変動計算書しか入っていないところと、それから個別注記表の一部を取り込んでいるものと、個別注記表の中でも相当充実した情報を入れて、金商法の開示に近い形で開示される会社と、いろいろあるんです。会社法でやはり、書類が封筒に入らないといかんというニーズがあって、ああいう開示になっているのだろうと思いますけれども、少しあの辺をそろえていただけると、特に経団連がひな形をつくっていらっしゃるので、推奨版で少しあの辺の開示内容を広げていただくと、もう少し、会社法の計算書類を金商法に取り込むという議論がしやすくなると思うんですね。

これは金融庁の議論ではないかもしれません。法務省の議論かもしれませんが。

○安藤会長

ありがとうございました。

本田委員、どうぞ。

○本田委員

ありがとうございます。

今、日本国の安倍政権におきましては、第3の矢の話が出ているかと思います。、やはり成長力を増していくということに関しましては、日本企業における経営の効率化ということが1つのポイントだと思います。それには、優秀な人材をいかに前線の要所に立たせるよう動かしていくかが重要です。という欧米はエンタープライズ、日本はリーガル・エンティティー・ベースと言われているものの、日本企業におきましても資金、設備等の固定資産、それから人材についても、グループ内である程度動かすということが可能であることはもう確認されております。したがいまして、この期に及んで、現在ほどの細かい単体の決算を要求することによって、そこに経営資源を使わせるということが、ステークホルダー全員にとっても、それから日本国にとっても本当に必要なのかというのが、私は問われるときが来ていると思っておりまして、個人的には、単体の詳しいものは不要なのではないかと思っております。

もう1つ、今、金商法、会社法の話が出ておりますが、その法律をどう直していくかという話だけだと思っておりまして、山崎委員がおっしゃったことに非常に同意しております。

加えまして、業法で管理されている業界というのがございまして、金融庁におかれましても、銀行や生命保険会社も監督しておられるわけですが、ここにも会計の基準というのがあるんですね。多分、その他規制業界はみんなそうだと思うんですが、このあたりもまとめて、この会計基準が変わったときに全部きっちり見直しをして、わかるような形でもっていけるというと、非常に望ましいと思いますが、そういう検討は今までされてきたのでしょうか。教えていただけると幸いです。

○安藤会長

事務局で何かコメントございますか。

○栗田企業開示課長

銀行、保険は金融庁の所管業種でございますけれども、もともと銀行法、保険業法に詳細な経理規定がございまして、それに基づいて単体、連結の財務諸表をつくっていただく、あるいはそれに関するいろいろな附属資料をつくっていただくということになっております。それぞれの時期に、例えば報告書類の簡素化というプロジェクトがあって、そういう中でいろいろ議論されることはあったのですけれども、根本のところについては、私の承知する限り、議論はあまりされてこなかったのかなということでございます。ただ、国際会計基準との関連もあるのですけれども、こういう業者が国際会計基準を採用するとなると、各業法で求めている規則とどう折り合いをつけるかというのは、今後、検討課題になってくるというふうに考えております。

○安藤会長

ほかにいかがでしょうか。

谷口委員、どうぞ。

○谷口委員

すみません。先ほどから議論になっている話で、会社の形態で開示が大分変わってしまっているというところがあります。先ほどありました製造費明細は、ホールディングス形式をとっている会社は、開示しないわけですね。例えば事業会社形式で、親単独が事業会社であれば開示するということで、どちらかというと企業形態によって開示情報にギャップが出てしまっているというのが現実でありまして、その辺のところをどういうふうに整合をとるか。先ほど小宮山委員は、その会社の違いをベースに開示情報をもう一回整理するというのがございましたけれども、それをやったとしても、結果としてその差がやはり続くのではないか、そこは、対外的な、外国の企業との比較ということも含めて、頭を整理する必要があると思います。

それから1点、これは正確ではないかもしれないのですけれども、東証に上場している外国企業がありますが、ここは単独開示していますよね。私、1社しか、同業他社しか見ていないのですが、IFRSで決算をやっている会社ですけれども、相当な量の単独開示を行っている。例えばそういうところに単独開示を求めるということになると、やはり上場の機会というのが損なわれていないかという懸念です。まさに日本の市場の、入るところに規制をかけてしまっているということにもつながっていないか、ちょっと気になる点であります。その辺はご参考にしていただければと思います。

○安藤会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。時間がだんだん迫っておりますが。

万代委員、どうぞ。

○万代委員

1つ質問なのですけれども、この簡素化というのをどういうレベルで考えていけばいいのかという質問です。どう言いますか、IFRS導入に絡んで、大変だから少し単体を簡素化しましょうよというレベルで考えるのか、それとも、今日の2つ目の議題でもあった適用の方法という、そこらあたりも見据えて、例えば連結でそのIFRSを受け入れる方向、単体は別の方向というような、もう少しIFRSの受け入れ方も含めた上で、会社法と金商法の財務諸表の体系までどうあるべきかという、そのあたりまで考えて、この簡素化ということを考えていくのか。どちらで考えればよろしいのかという質問です。

○安藤会長

では、事務局で、どうぞ。

○栗田企業開示課長

我々の認識といたしましては、今おっしゃっている、多分真ん中ぐらいかなと思いまして、金商法と会社法の体系そのものまで根本的に変えるというところまでは考えておりません。ただ、今後IFRSを連結で適用する企業は増えてくる、そういうところは見据えて、連結、単体の負担のあり方について検討しないといけないであろうということは考えているということでございます。

○安藤会長

辻山委員、どうぞ。

○辻山委員

今のことですけれども、実は、会計ビッグバン、1990年代から日本の会計の見直しが始まりまして、2000年に連・単の主従が変わりました。そのときに、むしろそれまで単体が主体であった主従、連・単の関係が入れかわったときに、この議論がされるべきだったということで、その問題はIFRSとの絡みで出る問題ではなくて、主従が入れかわった時点で単体をどう見直すかという議論があってしかるべきで、これをIFRSと絡めますと、いかにも露骨だというのが、私の感想でございます。

○安藤会長

ありがとうございました。大体出尽くしましたでしょうか。

それでは、これで最後に、お願いします。

八木委員、どうぞ。

○八木委員

私も今の辻山委員に賛成です。単体開示の在り方については、別にIFRSを導入するから、どうかするという問題ではなくて、金商法における情報の開示をどうするかという問題だと思います。IFRSを任意適用するか、しないかということは、本質的な問題ではないだろうと、思っています。

そういう意味では、金商法の開示に関しては、基本的に、今の段階であればもう連結一本でいいのではないか。金商法では、連結をやっているところは連結のみとし、単体開示だけの会社は当然単体が金商法開示の対象になるということになるのではないか。単体については、会社法で必要な開示をするのでいいと思います。もし金商法開示で追加の情報が必要であれば、それは連結財表の中で工夫すればいいと考えます。投資家と開示内容の要望についてきちんと議論すれば済むだろうというふうに思っています。

この問題を、IFRSをするからここで考えなければいけないということではなくて、あくまで金商法における開示はどうあるべきかということで議論しないと、混乱がまた混乱を生むのではないかと思います。

○安藤会長

ありがとうございました。

本日の審議はこのあたりにさせていただきたいと思います。

国際会計基準への対応について当面検討すべき課題につきましては、委員の皆様からさまざまなご意見をいただいております。次回の会合においては、これまでのご意見等を整理させていただいた文書をお示しして、取りまとめに向けた審議を行っていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

次の日程につきまして、事務局より、どうぞ。

○栗田企業開示課長

次回の日程につきましては、改めて事務局からご連絡を差し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○安藤会長

それでは、本日の合同会議を終了したいと思います。

委員の皆様には、活発なご審議、ご協力いただきまして、ありがとうございました。これにて閉会いたします。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3672、3656)