企業会計審議会総会議事録

日時:平成29年9月8日(金)10時00分~11時30分

場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○平松会長

それでは定刻になりましたので、これより企業会計審議会総会を開催いたします。まだお見えでない委員もいらっしゃいますが、定刻ですので始めさせていただきます。

 皆様にはご多忙の中ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。私は本年2月20日付で企業会計審議会令第4条の規定に基づきまして、企業会計審議会会長に任命されました平松一夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 昨今、我が国の会計あるいは会計制度を取り巻く環境は大きく変化しております。ご存じのようにグローバル化の波は、とどまるところ知らないほど大変進んでおります。これにつきましては、安藤前会長のもとで審議を進めてまいりまして、ある程度の成果を見ているところかと思います。私どもも引き続きまた取り組んでまいりたいと思います。

 さらに、不幸な事柄でございますが、会計不祥事と一般に言われるような、社会に非常に大きな影響を与える事柄も起こっております。これも企業会計審議会として向き合うべき大きな、重要な課題であるかと認識しております。その他もろもろの課題、あるいは機会に私どもはどのように取り組んでいくか、皆様とともに考えてまいりたいと思います。もとより会長としての私は非力でございますので、ぜひ皆様方のご協力を得まして、職務を全うしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それではまず、企業会計審議会議事規則に則りまして、本日の会議の公開につきましてお諮りいたします。本日の会議を公開することといたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○平松会長

ありがとうございます。ご了解いただきましたので、そのように取り扱わせていただきます。

 本日は、越智副大臣にご出席いただいておりますので、ご挨拶をいただきたいと思います。越智副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

○越智副大臣

皆様、おはようございます。内閣府副大臣、金融を担当しております越智隆雄でございます。本日はお忙しい中、こうして先生方にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。企業会計審議会総会の開会に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

 会計基準や会計監査は企業の財務状況の的確な把握と正確な開示を確保し、その適正・円滑な経済活動を支え、日本経済の持続的な成長につなげていく前提となる重要なインフラであります。こうした機能を果たしていく上で、我が国上場企業などが使用する会計基準の質を向上させていくことは、ますます重要な課題となっております。また、近時の不正会計事案などを契機に、会計監査の品質確保や透明性の向上が強く求められていると考えております。金融庁としてもこうした課題を踏まえ、IFRSの任意適用企業の拡大促進や、監査法人のガバナンス・コードの策定などの取組みを進めてきたところであります。

 さらに近年、国際的な潮流として、金融危機の発生により損なわれた会計監査への信頼性を確保する観点から、会計監査に関する情報提供の充実・透明性の向上のための取組みが進められつつあり、我が国においても「監査報告書の透明化」など、会計監査に関する株主などへの情報提供を充実させていくことが課題となっていると考えております。

 委員の皆様におかれましては、これらの諸課題につきまして、積極的なご審議を賜りますようにお願いを申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○平松会長

ありがとうございました。越智副大臣は、この後、公務がおありでございますので、ここでご退席になります。

(越智副大臣退室)

○平松会長

議事に入ります前に、今年2月20日、委員の異動がございましたのでご紹介させていただきます。まず、伊豫田隆俊委員でございます。

○伊豫田委員

甲南大学の伊豫田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○平松会長

住田清芽委員でございます。

○住田委員

公認会計士協会の住田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○平松会長

また、本日はご欠席でありますけれども、徳賀芳弘委員、野崎邦夫委員が就任されております。委員名簿をお手元にお配りしておりますので、またご参照いただきたいと思います。

 次に、事務局に一部、人事異動がございましたので、新任者を紹介していただきます。よろしくお願いします。

○田原企業開示課長

それでは、事務局側の新任者をご紹介させていただきます。下井総務企画局企業開示課開示業務室長でございます。

○下井開示業務室長

下井でございます。よろしくお願いします。

○田原企業開示課長

伊藤同国際会計調整室長でございます。

○伊藤国際会計調整室長

伊藤でございます。よろしくお願いします。

○田原企業開示課長

以上でございます。

○平松会長

ありがとうございました。また、本日は参考人といたしまして、企業会計基準委員会(ASBJ)の小野行雄委員長に出席していただいております。よろしくお願いします。

 それでは、議事に入りたいと思います。まず会計をめぐる動向について、事務局から説明いただいた後、財務会計基準機構及び企業会計基準委員会からご報告をいただきたいと思います。続けて、監査をめぐる動向について事務局から説明いただいた後、まとめてご質問、ご意見をお伺いしたいと思います。

 それではまず会計をめぐる動向について、事務局から説明をお願いいたします。

○田原企業開示課長

それでは、お手元の資料1に従いまして、「会計基準の品質向上に向けた取組み」につきまして、前回の総会、平成26年10月ですが、それ以降の取組みにつきまして、ご説明をさせていただきたいと存じます。1ページおめくりください。

 先ほど来、会長、それから副大臣からも挨拶がございましたように、会計基準の品質向上に向けた取組みは、非常に重要性を増している状況でございます。こういった中におきまして、この3年間、金融庁並びに関係者の皆様におかれましては、この4つの柱を中心に会計基準の品質向上に向けた取組みを行ってきたところでございます。1つ目が「IFRSの任意適用企業の拡大促進」、2つ目が「IFRSに関する国際的な意見発信の強化」、3つ目が「日本基準の高品質化」、4つ目が「国際会計人材の育成」でございます。

 1ページおめくりいただきまして、まず「IFRSの任意適用企業の拡大促進に向けた取組み」ですが、こちらにつきましては累次の「日本再興戦略」におきまして、まずはIFRS適用レポートの作成ということで、金融庁におきまして当時の任意適用企業、あるいは適用予定企業などに対し、課題、導入に当たってのメリットやコスト等について調査を行いまして、その結果を2015年4月に公表してございます。この中ではIFRSに精通した人材の育成が課題ということも指摘されまして、これにつきましては関係者の皆様方と協力していろいろな努力を行ってきたところでございます。また、東京証券取引所におかれましては、「会計基準の選択に関する基本的な考え方」というものの開示を、各上場企業にお願いをするという取組みを始められたということでございます。

 2015年の「日本再興戦略」に基づきましては、IFRSに基づく財務諸表などを作成する上で参考となる様式につきまして、これを充実・改訂する取組みを行いまして、その詳細は4ページ目の「参考」に書かせていただいていますが、連結財務諸表の開示例につきましては2016年3月、四半期連結財務諸表の開示例につきましては2016年7月に、それぞれ公表させていただいたところでございます。

 また、2015年の「日本再興戦略」に基づきましては、先ほどの東京証券取引所が開示を求められた「会計基準の選択に関する基本的な考え方」につきまして、分析を始められたことも取組みとして行われているわけでございます。

 「日本再興戦略2016」に基づきましては、IFRSに移行された各企業の経験を共有する機会を持つべきだということで、まだ適用されていない企業の実際のニーズなども把握しながらセミナーを実施するという取組みを行ったわけでございます。こちらにつきましては、今年2017年3月に行われまして、5ページ目にその詳細がございます。

 この他の取組みといたしましては、6ページ目をご覧いただきたいと思います。銀行法施行規則の一部を改正する内閣府令の案につきまして、パブリックコメントを行っているところでございます。これは銀行グループが指定国際会計基準(IFRS)などを任意適用した場合に、銀行法における連結ベースの開示・報告・各種規制などにつきましてもIFRSなどで対応できるように銀行法施行規則などを改正するということをご提案しているものでございます。主な改正内容といたしましては下の四角の中にありますように、開示・報告様式の手当てですとか、それから銀行グループに対する規制の手当て、こういったものがIFRSなどで対応できるようにすることを現在、金融庁としても取り組んでいるということでございます。

 以上がこの3年間の取組みでございますが、7ページ目以降にございますように、こうした取組みもございまして、現在日本におけるIFRSの適用状況を見ますと、158社が適用あるいは適用を予定しているという状況になってございます。時価ベースで見ますと156.6兆円ということになりまして、日本の全上場企業の時価総額に占める割合は24.76%ということで、約4分の1がもう既にIFRSを適用しているという状況になってございます。具体的企業名などにつきましては8ページ目以降に掲げさせていただいておりますので、ご覧いただければと存じます。

 12ページをご覧いただきますと、先ほどの指数につきましては適用済企業、それから適用決定企業ということでございましたが、東京証券取引所で開示をお願いしている「会計基準の選択に関する基本的な考え方」によりますと、適用予定企業まで含めますと、3割になっているということでございまして、今後の適用企業につきましては増えていくことが想定されるところでございます。

 13ページ以降、2点目以下の取組みについてのご説明でございます。この2つ目の「IFRSに関する国際的な意見発信の強化」、それから「日本基準の高品質化」につきましては、後ほど企業会計基準委員会委員長からもご説明がございますが、まずは国際的な意見発信の強化につきましては、2015年6月に修正国際基準(JMIS)が公表されまして、こちらにつきましてはもちろん国際会計基準としての性格もありますが、のれんやリサイクリング処理に関しての我が国の会計に関するスタンスというものを発信する上でも、引き続き役割があると言われているところでございます。それから、のれんに関しましては累次のリサーチ・ペーパーですとか、経団連におかれましてはアンケートを取られるというような取組みもされており、これを国際的にも積極的に発信をしていただいているところでございます。

 「日本基準の高品質化」につきましては、日本基準を国際的に整合性のあるものとするという観点から、ここに掲げられておりますようなIFRSに関連する日本基準の開発・改訂について現在、ASBJで検討されているということでございますし、先般、収益認識に関しては公開草案が公表されたということでございます。

 1ページおめくりいただきまして、4つ目の「国際会計人材の育成」についてのご説明でございます。こちらにつきましても国際会計人材ネットワーク、あるいは会計人材開発支援プログラムにつきましては、後ほど釡委員からご説明があると存じますけれども、国際会計人材ネットワークにつきましては先ほど来申し上げましたように、IFRSが我が国でも非常に適用されるという状況になっている中で、これについて国際的な場で意見発信できる人材を育てる、それから、IFRSに基づく会計実務を実際に担う方を育成するという目的をもって構築に取り組んでいただいているものでございます。各監査法人におきまして国際会計人材をどう育成、確保しているかということにつきましては、第4回の会計部会におきまして、4大法人からその状況につきましてご説明をいただいたところでございます。また、従前から財団で取り組まれている会計人材開発支援プログラムにつきましては、現在第3期の実施中とお伺いをしているところでございます。

 最後に、16ページでございます。「未来投資戦略2017」におきましても、我が国において使用される会計基準の品質の向上を図るという観点から、これまで申し述べましたように、4つの柱に従った施策を引き続き推進していくことが重要であることが述べられているところでございまして、本日はこういった点も含めましてご議論を賜れれば幸いでございます。

○平松会長

ありがとうございます。それでは引き続き、財務会計基準機構の釡委員よりご報告をお願いいたします。

○釡委員

公益財団法人財務会計基準機構の理事長を務めております釡でございます。当財団の国際会計基準に関する取組みについて、資料2を用いましてご説明をさせていただきます。

 資料2の2ページをご覧いただきたいと思います。先ほど田原課長より、会計基準の品質向上に向けた取組みの4番目として、「国際会計人材の育成」を挙げておられましたが、当財団ではこれに関連して2つの取組みを行っております。まず、国際会計人材ネットワークの構築でございますが、この目的につきましては、先ほどご説明されました金融庁の資料の15ページの記載をご参照いただけますでしょうか。ここに目的、運営等の考え方が記されておりますけれども、この目的を踏まえまして、当財団に設置いたしました国際会計人材プールに関する検討会におきまして、登録者の選考方法等を検討した上で、関係する各団体のご協力を得まして、登録者の選定を行いました。その結果、本年4月27日に登録者リストを当財団のウェブサイトで公表しており、現在、8月1日更新後で772名の方にご登録をいただいております。選考につきましては、3ページの登録ガイドラインに従って行っております。

 4ページをご覧ください。このネットワークの初回のイベントとして、本年7月10日に第1回シンポジウム「国際的に活躍できる会計人材をめざして」を開催しております。シンポジウムでは、当審議会の平松会長にもモデレーターをお願いして、パネルディスカッションを行っております。約320名にご参加いただき、シンポジウムの後には交流パーティーも開催し、このネットワークの初回のイベントとしてはよいスタートが切れたと思っております。シンポジウム開催後にアンケートを取りましたが、約8割の方がパネルディスカッションについてよい評価を行っており、また今後の取組みとしてIASBなどの海外の関係者との意見交換や、セクター間の交流を期待している旨のコメントが見られました。一方で、セクター間の人数がアンバランスではないか、規模が大きすぎて交流が難しく、少人数の意見交換の機会が必要ではないか等の意見も聞かれております。今後これらのネットワーク登録者のニーズを踏まえまして、定期的に各分野の垣根を超えた交流、国際会議の場で活躍している人材との交流等、IFRSの最新の動向等について共有する機会の提供等を実施していきたいと考えております。

 5ページをご覧ください。もう一つの取組みは、会計人材開発支援プログラムで、2012年より少人数の人材育成プログラムを実施しております。スライドにありますように、このプログラムの受講を修了された方々は、その後多くの方が、会計基準の設定に関連する活動の場で活躍をされております。

 6ページをご覧ください。現在、第3期の最終段階にあり、来年1月からは第4期を実施したいと考えており、国際会計人材ネットワークと連携して実施することを検討しております。このプログラムは、スライドにありますように、IASB等の組織の活動に直接参加し、議論・意見発信のできる人材に将来的になり得る層の拡大を図ることを目的としておりますので、その目的を達成できるよう取組みを継続してまいりたいと思います。

 7ページをご覧ください。5月下旬に東京でIFRS財団のトラスティー会議が開催されたことに合わせまして、IFRS財団と当財団の共催でスライドに記載されております内容で、ステークホルダーイベントを開催しております。IFRS財団のトラスティーの方々のほか、我が国の関係者約100人にご参加いただきました。IFRS財団の方々や参加された方々から、大変有意義な内容であったとご評価をいただいているところでございます。

○平松会長

ありがとうございました。それでは次に、本日参考人としてご出席いただいておりますASBJの小野委員長よりご報告をお願いいたします。よろしくお願いします。

○小野参考人

企業会計基準委員会の委員長の小野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。お手元の資料3をご覧いただけますでしょうか。本日はASBJの活動の中で、日本基準の開発と国際的な意見発信につきましてご報告をさせていただきます。

 3ページをご覧いただけますでしょうか。まず、日本基準の開発についてご説明をいたします。ASBJは昨年の8月に作成をしました中期運営方針におきまして、活動の方針として、我が国の上場企業等で用いられる会計基準の質の向上を図るために、日本基準を高品質で国際的に整合性のとれたものとして維持・向上を図ることを掲げております。具体的には、IFRS第15号をベースとした収益認識に関する会計基準の公開草案をさる7月に公表しており、今後、金融商品専門委員会と企業会計基準委員会で金融商品、公正価値測定につきまして開発に着手するか否かの検討を開始する予定でございます。

 4ページをご覧いただけますでしょうか。収益認識に関する公開草案の開発の方針でございますが、国内外の企業間の財務諸表の比較可能性の観点から、IFRS第15号の定めを基本的に全て取り入れるとともに、適用上の課題に対応するために国際的な比較可能性を損なわせない範囲で、代替的な取扱いを追加的に定めております。

 5ページを見ていただきたいと思いますが、強制適用時期につきましては、2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとしており、これまでの会計基準に比べまして長い準備期間を想定して、提案をしております。また早期適用につきましては、IFRSまたは米国基準を適用しております企業のニーズも踏まえまして、スライドに記載のとおり提案をしているところでございます。これらの早期適用を可能とするために、来年の3月までに最終基準を公表することを目標としております。

 6ページを開けていただきたいと思いますが、こちらにはその他の日本基準の開発の状況につきまして記載をしております。

 次のページに行っていただきまして、国際的な意見発信に移ります。のれんの償却についてでございますが、IASBがのれん及び減損をリサーチ・プロジェクトとしております。IASBは昨年の夏以降、審議を中断しておりましたけれども、今年の3月から審議を再開しており、スライドに記載のとおりの審議が予定されております。

 8ページをご覧ください。ASBJの対応でございますが、のれんの償却に関して意見発信を続けており、直近では今年の7月のASAF会議におきましてリサーチ・ペーパー第3号「のれんを巡る財務情報に関するアナリストの見解」を議論していただきました。それから、のれんの償却の選択適用に関する提案も行い、ASAFで議論が行われました。のれんの償却の再導入につきましては、IASBのボードにおきましてもASAF会議におきましても、大きく意見が分かれているところでございまして、必ずしも容易ではございませんが、今後も引き続き意見発信を続けていく予定でございます。

 9ページをご覧いただけますでしょうか。IASBの概念フレームワークの見直しは、公開草案と大きく変わらず年内に最終化する見込みでございます。当期純利益に関するIASBの暫定決定は、この9ページに記載したとおりでございまして、純利益の有用性が確認されるとともに、リサイクリングが原則であることが記載されておりますが、残念ながら純利益の定義はなされない方向でございます。今後、OCIの表示につきまして基本財務諸表プロジェクトで扱われる予定となっておりますので、引き続き主張を継続していきたいと考えております。また、ASBJの意見とほぼ同じ主張をしておりますフランスの会計基準設定主体と協働してリサーチ活動を行っており、同じ意見を有する国と連携をして主張を行っていく予定でございます。

○平松会長

ありがとうございます。続きまして、監査をめぐる動向につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

○田原企業開示課長

それでは、お手元の資料に従いましてご説明をさせていただきます。1ページおめくりいただけますか。会計監査は企業による財務状況の的確な把握、それから適正な開示を確保しまして、適正かつ円滑な経済活動を支えて、日本経済の持続的な成長につなげていく前提となる重要なインフラであると考えております。このため、これまで関係者におかれましては、会計監査の充実に向けて累次の取組みが行われてきたわけでございますが、残念ながら最近の不正会計事案などを契機として会計監査の信頼性が問われる事態に至ったということでございます。そういった環境のもとに平成27年10月に「会計監査の在り方に関する懇談会」を設置いたしまして、会計監査の信頼性を確保するために必要な取組みにつきまして、幅広い議論をいただいたということでございます。

 その提言内容につきましては1ページにございますが、監査法人の有効なマネジメントのもとに高品質で透明性の高い会計監査を提供するということ、それから、そういった法人が評価、選択される環境を確立することによりまして、高品質で透明性の高い監査を提供するインセンティブの強化、それから市場全体における監査の品質の持続的な向上を意図して、大きく5つの柱について提言がまとめられたということでございます。1つ目が監査法人のマネジメントの強化、2つ目が会計監査に関する情報の株主の方々などへの提供の充実、3つ目が企業不正を見抜く力の向上、4つ目が第三者の眼による会計監査の品質のチェック、5つ目が高品質な会計監査を実施するための環境の整備ということでございまして、それぞれの中で必要な施策について述べられているということでございます。

 1ページおめくりいただきまして、このうち1つ目の監査法人のマネジメントの強化に関連いたしまして、監査法人のガバナンス・コードを策定すべきというご提言を頂戴したわけでございます。監査法人のガバナンス・コードにつきましては、組織としての監査の品質の確保に向けた5つの原則と、それを適切に履行するための指針からなっておりまして、監査法人が公益的な役割を果たすためにトップがリーダーシップを発揮すること、監査法人が会計監査に関する社会の期待に応えて実効的な組織運営を行うために経営陣の役割を明確化すること、監査法人が監督・評価機能を強化し、そこにおいて外部の第三者の知見を十分に活用すること、監査法人の業務運営におきまして、法人内外との積極的な意見交換ですとか議論を行うとともに、構成員の職業的専門家としての能力が適切に発揮されるような人材育成、人事管理・人事評価を行うこと、また、こういった取組みにつきまして、わかりやすい外部への説明と積極的な意見交換を行うことが規定されております。これまでに14の監査法人におきまして採用することを表明いただきまして、現在、各法人におかれまして取組みが進められている状況でございます。

 1ページおめくりいただきまして、提言の順番でいきますと4番目の第三者の眼という中に含まれておりますが、監査法人のローテーション制度につきましては、それを導入した場合のメリットとデメリットなどについて、金融庁におきまして欧州・米国の最近の動向も踏まえて深度ある調査・分析を実施すべきというご提言を頂戴いたしました。これにつきまして私どもで調査をいたしまして、本年7月に第1次の調査報告を取りまとめさせていただいているところでございます。なお、監査法人のローテーション制度につきましては、2006年の金融審議会公認会計士制度部会におきましても検討が行われたわけですが、監査法人の交代によって監査人の知識・経験の中断が生じ得ることや、大手監査法人の数が限られ、現実的に交代が困難になるおそれがあるといった観点で、導入が見送られた経緯がございます。

 調査報告の中におきまして大きく3つの点を指摘させていただいております。1つ目に「パートナーローテーション」の有効性の検証ですが、残念ながら過去の不正会計事案において、パートナーローテーションは抑止効果を発揮できなかったのではないかという結果となっております。それから、2点目といたしまして、企業と同一監査法人との監査契約の固定化ということが指摘できるのではないかということで、企業による実質的な監査法人の交代が進まなかった結果として、東芝のケースでは同一監査法人が47年継続して監査を行っていたこと、それから、TOPIXの上位100社を見ますと、この10年間で監査法人が交代したのは5社ということで、監査契約の固定化が指摘できるのではないかということでございます。それから、3つ目の欧州における監査法人のローテーション制度の導入でございますけれども、EUでは上場企業などに対して、会計監査を担当する監査法人を一定期間ごとにローテーションさせる義務を課す規則が、2016年6月から実施されているところでございます。まだ導入されて日が浅いということですので、導入の効果については見極めに時間を要するということであろうかと思いますが、欧州当局からのヒアリングによりますと、これまでのところ導入した結果として混乱のようなことはなく、粛々と導入されているのではないかというようなことでございました。

 監査法人のローテーション制度につきましては、ほかにもいろいろ調べるべきことがあるということでございまして、今後、国内の監査法人、企業、機関投資家等関係者からのヒアリングを実施いたしまして、さらなる調査・検討を進めていくことが適当であると考えておりまして、引き続き調査・検討をしていく方向でございます。

 1ページおめくりいただきまして、「在り方懇」の提言の中では2つ目の柱になりますが、「会計監査に関する情報の株主等への提供の充実」について、本日はご議論をいただければと存じます。「在り方懇」の提言の中にもございますように、会計監査の最終的な受益者は企業の株主の方でございまして、株主総会において監査人の選解任を最終的に決定する役割を担っているわけでございます。株主の方々の判断が適切に行われますためには、監査役会・監査委員会・監査等委員会による監査人の評価といったものも含めまして、株主に必要な情報提供が行われることが前提となるわけでございます。そういった観点から、これまで諸外国でもいろいろな取組み、あるいは我が国でも取組みが行われてきたわけなのですが、企業、監査法人、当局のそれぞれにおきまして、会計監査に関する情報の株主等への提供の充実に引き続き取り組んでいく。会計監査の透明性向上に努めるべきであるという提言を頂戴したということでございます。

 1ページおめくりいただきまして、「在り方懇」の中ではいろいろな開示の情報提供の充実方法についてご提言を頂戴いたしておりまして、企業側、監査側の話というのは両方あるわけですが、その中に監査法人などのガバナンス情報の開示ですとか、監査人の交代時における開示のあり方、それから当局による会計監査に関する情報提供の充実といったことも指摘をされておりますが、その中でなかんずく「監査報告書の透明化」について検討すべきというご提言を頂戴したわけでございます。

 1ページおめくりいただきますと、この会計監査報告書の透明化でございます。諸外国におきましては2000年代後半の金融危機の教訓を踏まえまして、まず英国で2012年10月1日以降開始事業年度から適用となりまして、次いでオランダにおきましては2014年12月以降終了の事業年度から適用されているところでございます。こういった流れの中で、国際監査・保証基準審議会(IAASB)におきましても、2016年12月15日以降終了事業年度から適用するという合意がされまして、ここに書いてありますオーストラリア、香港、ニュージーランドなどの国々でこういったものの導入が決まっておりますし、下の赤い星のところに「早期適用事例あり」と書いてございますが、ここに掲げられているような国においては、既に適用されているということでございます。また、EUでは2016年6月に関連規則の適用が開始されたということで、2016年6月17日以降に開始する事業年度について適用されているということでございます。それから、アメリカのPCAOBがちょうど今年に案を提案されておりまして、監査上の重要な事項、透明化につきましては、大規模早期提出会社、時価総額7億ドル以上の企業につきましては2019年6月15日以降に終了する事業年度から適用する。それ以外の企業につきましては、2020年12月15日以降終了する事業年度から適用するということで、これにつきまして今現在SECが最終化に向けた検討を行っているということでございます。

 1ページおめくりいただきまして、現行の監査報告書の文例におきましては皆様ご承知のとおりでございますけれども、独立監査人の監査報告書には適正に財務諸表が財務内容を表示しているかどうかという一点を記載することになっているわけでございます。今回、透明化として議論されている中身につきましては8ページ目以降にございますように、監査におきまして監査上のリスクというものについてどう考えたかということとその理由、それからそれに対してどういう監査上の対応をとったか。また、それが企業の開示する情報上、どういうところに書いてあるかということを記載することが実務として諸外国で入ってきているということでございまして、その具体的な義務づけの内容については、国によってやや異なっているところがございますが、今ご紹介させていただきました記載事項は、先ほど申し述べたIAASBにおきまして合意をされた内容でございます。

 8ページ目の一番上でございます。例えばKAMであると判断した理由ということにつきまして、のれんの例としてどんなことが書かれているかということですが、IAASBの例においては、例えばグループは国際財務報告基準に準拠して、のれんの金額に関して年次で減損テストを実施することが要求されている。20X1年12月末の残高について財務諸表上重要である。したがって、監査上も減損テストの検討が重要であった。また、経営者の評価プロセスが複雑で判断の度合いが高くて、さまざまな仮定が使用されているので、いろいろな将来の市況や経済状況による予測による影響を受けるようなリスクがあるという判断理由をまず書かれるということでございます。

 1ページおめくりいただきまして、監査人がそれに対してどういう対応を取ったかということでございます。例といたしましては、私たちはグループが使用した仮定と手法の評価に際して評価の専門家を利用しました。私たちは減損テストの結果の感応度が最も高く、よってのれんの回収可能額の決定に最も重要な影響を与える、仮定に関するグループの開示の適切性にも特に注意を払ったということで、どういったことに着眼してのれんの適切性について監査をしたかということについての説明をするということでございます。

 1ページおめくりいただきますと、10ページにございますように、会社の開示がどこで行われているかについても記載をすることにされているわけでございます。

 1ページおめくりいただきまして、こういった提言を頂戴いたしまして、私どもといたしましては、経団連、監査役協会、日本証券アナリスト協会、日本公認会計士協会と意見交換会を開催させていただきまして、その導入のあり方について議論をさせていただきました。その結果につきましては、6月26日に取りまとめをさせていただいております。別紙で右の上に「平成29年6月26日意見交換会取りまとめ」と書いてございます紙を用意させていただいておりますが、その2.にありますような議論となっているということでございます。意見交換の参加者の方々からは、監査報告書において監査人が着目した会計監査上のリスクに関する情報が示されることについては、監査報告書の情報価値を高め、会計監査についての財務諸表利用者の理解を深める意義があるのではないかというご意見、それから、そういったことに加えまして、監査報告書におけるKAMの記載が、企業と財務諸表利用者の対話の充実を促す、それから、そういったことが監査計画の前提として組み込まれることが企業と監査人のコミュニケーションの充実、ひいては監査品質の向上につながるのではないかという意見が出されたということでございます。

 1ページおめくりいただきまして、同時に参加者の方々からは、財務諸表の利用者の方々にとってそういった情報を有用な情報とするためには、記載されるべき事項はどう選ばれて、どういう中身にするかが大事ではないか。また、それぞれの情報にどれぐらい有用性があるのかというような議論、意見もございました。それから、こういった情報を含む監査報告書が円滑に作成、開示されるために、監査人と企業のそれぞれ、また両者の間でどういう手続きが必要となるのかといったことについても検討する必要があるのではないかというご意見。それから、この監査報告書におけるこういった情報の開示と、企業による開示との関係をどう整理していくのかということについての実務上の課題が提示されたということでございます。

 11ページに戻っていただきまして、先ほども「在り方懇」の提言について申し上げましたけれども、会計監査の透明性向上が重要な課題でございまして、この取りまとめでも指摘されておりますように、今後この点につきましては、企業会計審議会におきまして、実務上の課題も含めて検討いただければと考えているところでございます。また、この実務上の課題につきましては、この取りまとめの中でも実際に試行して、どういう問題があるのかということ、あるいはどういう課題があるのかということについて検討すべきではないかというご指摘を頂戴いたしまして、現在、日本公認会計士協会にお願いしまして、企業の方々と連携して実際にそういうものをつくってみる取組みをしていただくということを今現在、取り組んでいただいているという状況にございます。

 以上、駆け足でございますけれども、「会計監査に関する信頼性向上に向けた取組み」についてご説明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

○平松会長

ありがとうございます。大変幅広い盛りだくさんの内容を非常に短い時間でご説明いただきました。お手元の資料を整理していただきまして先ほど来の事務局の説明及び財務会計基準機構、そして企業会計基準委員会のご報告につきまして、ご質問、ご意見を承りたいと思っております。

 まず、ご発言なのですけれども、今のご説明、ご報告の順にかかわらず、あるいは内容にかかわらず、ご意見をお持ちでご発言をしたい、してみようという委員の方は、挙手をしていただいてご発言いただきたいと思います。何分、先ほど申しましたように非常に幅広く密度の濃いものでございましたので、落ち着くのに時間がかかるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。何かご質問も含めてご発言はございますか。川村委員、どうぞ。

○川村委員

枯れ木も山の賑わいではないですけれども、意見というより感想めいたところが、特に私は非常に重要だと、全部重要なのですけれども、この最後の信頼性向上に向けた取組みの中のステークホルダーに対する情報提供が、従前に比べて内容面で一段と充実してきているなと。これまでの当審議会等でのいろいろな検討の成果がよく出てきている、非常によい方向だと思っております。

 その点について2つ、今後の問題意識として感じていることがありまして、法律でも会計の世界でもそうなのですけれども、非常に専門性が高まり、正確性を期して親切にすればするほど、みんなが読まなくなってしまうという傾向が、残念ながらあると思います。特に上場会社が次第にIFRSの適用を増えてくる中で、企業会計開示と金商法に基づく開示のレギュレーションの範囲の中でどこまでわかりやすくできるのか。これが投資家かプロの機関投資家等であれば、一定程度以上のレベルの会計の知識、リテラシーが備わるとみなされるわけなので、ありていに言えば、昔でいう適格機関投資家のような方が相手であれば問題ないと思うのですけれども、いろいろネット取引等が広がる中で個人の投資家の皆さんが、他方でまだ金融のリテラシーが不十分であって、これは何とかしなければいけないということが、金融庁を筆頭に関係業界等もずっと努力しているわけでありますが、同時にその中に会計リテラシーというのも含まれてくるだろう。このリテラシーを向上させなければいけないという、先ほど釡委員からご報告があった、さまざまなプロの人材トレーニングという大きなテーマと、もう一つはこちらなのですけれども、プロではない普通の人々に対するリテラシーの向上はどうやってしていくのかということ。そういう中で一般、普通のレベルの人を対象にしたときの、わかりやすく効率的な開示のあり方というのは、まだまだ研究の余地、検討の余地があるのではないかなと。

 私自身が今具体的なアイデアがあるわけでも何でもありませんが、かつて投資信託等も非常に親切な開示を考え、ものすごく詳しいものと簡明なものと2つに分けたらいいではないかということで現にやったところ、結局は仲介者としては全部詳しいものも用意しておかないとオンデマンドで来たときにということで、実は全然手間が変わらなかったみたいなこともあって、これは試行錯誤の世界ではございますけれども、ここはぜひ検討していただきたいなと思っている点が1点です。

 もう1点は、昨今いろいろ話題になっているフィンテックに絡む、これは金融庁でもさらに対応、体制を充実させられると仄聞しておりますけれども、よくわからない世界がだんだん広がってくると。というのは、では例えばフィンテックによってロボアドバイザーとかいろいろ言われている既存の金融商品というか既存の会計、既存の金融取引の枠の中に入るものであれば、それはあくまでも手段の効率化の世界でありますけれども、例えば暗号通貨とか新しい決済の仕組みであるとか、こういうものに対して会計上どう対応をしていくのだろうか。

 最終的には多分、暗号通貨、日本では仮想通貨と呼ばれているものも、最終的には円なりドルなりに交換をするところに意味があるわけですけれども、発行以来値段が160万倍になるとか、そういう我々の通常の想定していないものが、しかも従前であれば真ん中に信頼性の極めて高い仲介者、例えば取引所というものが置かれ、この取引所は法律諸規制のきっちりとした管理、監督、制限のもとで行われているので、信頼の原則で入って来られる。その中で不信頼のものをどう除外する、あるいは対応していくという建てつけだったのですけれども、今のフィンテックのスピードでいくと、そもそも信頼していいのかいけないかがわからないというか、実在しているかしていないかがわからない。あるいは、取引がたどっていけるという大変難しい理屈はあるのですが、一部専門家を除いて、本当にその理屈が正しいのか。そもそも実態資産と本当に最終的に結びついているのか。本当に単なるバーチャルなものなのか。これにさまざまなレバレッジ等を効かされて点々流通したときに、かつてのサブプライム問題の何倍も難しい問題を惹起するのではないか。それに会計上どう対応し、それを先ほど1番目で申し上げた、わかりやすさということと結びつけたときに、これはなかなか難題であり、グローバルな協業というのでしょうか、コラボというのも必要でしょうし、かつ急がなければならないなというところを、意見というよりも感想めいたところでございますけれども、申し上げさせていただきました。

○平松会長

ありがとうございます。事務局から何かございますか。

○田原企業開示課長

開示についてご指摘を頂戴いたしました。今ご指摘いただいたのは、恐らく金商法上の法定開示だけでなく、全体的な任意開示も含めた開示のあり方ということではないかと思います。こちらにつきましては、今年の未来投資戦略でも今後しっかり検討していくべきだということになってございますので、金融庁としてもしっかり検討してまいりたいと存じます。

 それから、フィンテックに関しまして、会計上いろいろ課題があるということについては、今ご指摘を頂戴したわけですが、先ほどのASBJの資料の6ページの、仮想通貨に関しての会計上の取扱いに関する指針についてご検討されているということで、必要な検討についてはしっかりしていくことが必要ではないかと考えているところでございます。

○平松会長

小野参考人、どうぞ。

○小野参考人
 ありがとうございます。ご参考までですけれども、今、田原課長からお話がございましたように、6ページにあるように、仮想通貨に係る会計上の取扱いに関する指針の開発を今進めており、特に資金決済法で業者に会計監査が義務づけられるということもございまして、作業を進めております。この秋ごろを目安に公開草案を公表することを目標として作業を進めているところでございます。

○平松会長  
 ありがとうございます。現在、取り組んでおられるということでありますね。よろしいでしょうか。岡田委員どうぞ。

○岡田委員  
 ありがとうございます。私からも何点か意見を述べたいと思います。まず開示に関してですけれども、IFRSの会計基準開発は概ね一巡しておりまして、これからは開示原則を含む投資家との対話の改善というほうに重点が移ってきております。IFRSとしては投資家の観点から適切な開示を整理するという考えでおります。そうした意味で、IFRSはテルユアストーリーという形で開示のフレキシビリティーを認めていこうという方針なのですけれども、一方、そうなるとコンパラビリティ(比較可能性)が損なわれるという悩みも同時に持っております。こういう取組みはまだ緒についたばかりでございまして、金融庁がやられているIFRSに基づく財務諸表の開示例の取組みというのは、この議論のスタートとしては大変有意義なものだと私は思っております。長い目で見ればタクソノミの進化を通じて、投資家が自由にデータ加工をしてコンパラビリティを確保できるというのが理想だと思いますけれども、当面は開示例を参考にしながら企業が同業他社と積極的に情報交換を行って、開示の考え方を整理して収斂させていくことで投資家視点での開示の改善に寄与すると考えます。そこで比較可能性の確保を投資家の観点でやっていくというのが1つの方法かなと思います。

 次に、国際会計人材の育成でございますが、国際的な場で意見発信できる人材とか、あるいはIFRSに基づく会計監査の実務を担える人材等の育成を今、財務会計基準機構を先頭にして進めていることはご紹介があったとおりなのですけれども、IFRSの評議員の立場で、特にIASBの理事、IFRSの評議員、それから解釈指針委員会(IFRIC)の委員について申し上げますが、これらの代表は、既に相当経験を積んで知見があることが条件なので、これはこれから育てるというのではとても間に合わないと思います。これが1つの悩みであります。一方、ただ長期的にはこういった場で活躍できる人材を育成することが求められております。

 私は自分の経験からいって、若手にどんどん場数を踏ませることが大事だと思います。先ほどの国際人材の登録を見ますと相当数監査法人に登録されている人数がいるということなので、IASBなどへの派遣を積極的に推進していただきたいと思いますし、事業会社もできればそういう場に、あるいはASBJに派遣とかいろいろなやり方があると思いますが、例えばGlobal Preparers Forumという、これもまた作成者の意見を聞くような場もありますので、そういうところへの派遣をご検討いただきたいと思います。

 最後に、KAMについてなのですけれども、私としては制度の有無にかかわらず、個々の監査現場で監査人と会社が監査リスクや決算の不正、誤謬リスクについて真摯に議論するということは大変有意義なことだと思っております。一方で、私は監査役協会の副会長という立場もありますが、利用者への情報提供、監査役等とのコミュニケーションの強化など、監査報告の透明化の狙いは協会内部での説明会を通じ十分に理解をしております。導入する場合は監査役等としても所期の狙いが達成できるよう努力する所存でございます。

 しかしながら、海外では、UKなどの例はございますが、日本では企業統治、ガバナンスに係る制度が違いますので、監査役等に何が求められるかということなどが明確にならないと、実務における混乱も懸念されます。日本の制度に合わせた調整は必須だと思います。

○平松会長  
 ありがとうございます。これにつきまして、もし何かございましたら事務局からご説明をお願いいたします。

○田原企業開示課長  
 最初の開示の話でございますけれども、もちろん会計についての開示を踏まえて、組み上がってきますので、そういたものを踏まえて開示制度あるいは任意開示も含めて、そのあり方についてよく考えていかなければならないと思いますし、タクソノミですとか使い勝手の充実という意味では、EDINETにおきましてもできるだけXBRL化を推進するということでできるだけ情報を使いやすくするという取組みを行っているところですが、ご指摘がありましたように、私どもとしても比較可能性の確保というものを十分に頭において、いろいろ検討を進めていきたいと考えております。国際会計人材への取組みにつきましてもご説明したとおり、私どもとしてもその重要性については十分認識をしておりまして、引き続き皆様と一緒に努力をしてまいりたいと考えております。KAMにつきましては今後よく検討させていただきたいと存じます。

○平松会長  
 ありがとうございます。水口委員、どうぞ。

○水口委員  
 どうもありがとうございます。先ほど、財務諸表利用者にもいろいろな人がいますねというお話もありまして、確かにそれはそうだと思うのですが、今、企業の活動もグローバル化が進んでおりますし、それから会計実務の国際化、先ほどもIFRSの適用企業が増加してきています。さらに、経済取引も非常に複雑化しているといったことも考えますと、会計上の見積もりにかかわる不確実性というのは高まっているとしかいいようがないかと思っております。財務諸表利用者としては、そこをよくわからないけれど、そのままにしておくというのはどうだろうと。そこには課題があると思います。そうした中で、会計監査に対する信頼性向上に向けて監査報告書の情報価値の向上、または品質の向上、透明性の向上を図るといった施策を検討することには、大きな意義があると考えます。

 財務諸表利用者といたしましては、会計監査上のリスクに関する情報、つまり通常KAMといわれているものによって、注目すべきリスクの所在の勘所を押さえつつ、有益な企業との対話を何度も積み重ねることで、先を見据えた形でさまざまなリスクがどのように企業の財務を圧迫し得るかということなどについて、理解がより深まることを期待するところです。

 先ほど来話がありました制度等に係るさまざまな課題もあるとも思いますが、中長期的な視点から、そういったところも踏まえてKAMなどにかかわる財務報告サイクルの改善、実効性のある監査機能などについても検討するといった形で、よいPDCAサイクルに期待するところです。

○平松会長  
 ありがとうございます。関根委員、どうぞ。

○関根委員  
 ありがとうございます。私からは大きく2点お話させていただきたいと思います。

 1つ目は、今もお話が出ました、会計監査に対する信頼性向上に向けた取組みでございます。私ども公認会計士が、監査業務を担う者として、社会の期待に応えて監査品質をどうすれば向上できるか、これは私どもにとって現在の非常に大きなテーマとなっております。監査品質に責任を有するのは監査人ですが、各関係者との関係も非常に重要であると考えております。先ほど説明をいただきました「会計監査の在り方に関する懇談会」の提言も、資本市場の関係者の方々が検討してつくられたものであり、その趣旨を踏まえて、私どもは今さまざまな施策により真摯に対応しているところですが、先ほどから出ていますように、監査品質の向上のためには透明性が非常に重要であると考えております。

 私ども監査人には守秘義務が課されますので、どうしても内容の説明ができない部分があります。また、先ほど、開示について専門的でわかりづらいというお話がありましたけれども、監査についてはもっとわかりづらいということをよく言われているところです。 もちろん、守秘義務は非常に大切にしなければいけないことでございますけれども、一定の透明性、わかりやすい説明が必要と考え、心がけているところでございます。

 先ほどご説明のありました、3月に公表された監査法人のガバナンス・コードにおいて、各監査法人は、コードの趣旨を踏まえて、組織運営の実現を実効的なものとしていくことが肝要です。それとともに各監査法人の取組みをしっかり開示していく、開示するということだけではなく、それによってフィードバックを受けて、実際にわかりづらいところはわかりやすくしていき、自らを改善していくことが非常に重要であると思います。今まで述べた話は監査法人の運営の透明性ということになりますけれども、先ほど来、話が出ています監査報告書のKAMといわれるもの、これは監査業務レベルでの透明性の向上といえるのではないかと思います。透明性の向上として両者はリンクをしており、監査業務自体の透明性を高めるとともに、監査法人の透明性の向上への取組みの双方を市場関係者に理解していただき、信頼を得ていくことが必要だと思っております。日本公認会計士協会自身もなかなかわかりづらいということが言われておりますので、今、透明性ということを旗印に掲げているところでございます。

 ただ、同時に注意にしなければならないのは、KAMは諸外国で導入されていますけれども、それをそのまま導入して、日本で実効性のあるものになるのかどうかは、よく考えていかなければいけないことです。先ほどご紹介がありましたように、実効性のあるものにするために、私ども日本公認会計士協会において、監査人及び作成者の方々のご協力をいただきながら、試行的な取組みを進めているところでございます。こうした私どもの取組みを世の中に理解していただき、また、さらに叱咤激励していただくことで、財務報告の質の向上を考えていきたいと思います。以上が監査についてでございます。

 2つ目として、会計人材や会計に関する教育についてもお話しをさせていただきたいと思います。国際会計人材が非常に重要だということにつきましては、会計部会でも意見を述べさせていただいておりましたが、それとともに先ほど川村委員からも話があったように、会計の専門家だけではなく、我が国全体として会計リテラシーを上げていくということも重要と考えております。私ども公認会計士は、これまで、どうしても会計の専門家を育成するということにフォーカスしがちでしたが、専門家の育成に限られない非常に広い範囲での活動も行っていきたいと考えており、会計基礎教育の普及の推進ということで、昨年から準備を進めているところでございます。この点につきましても、こちらにいらっしゃる方々にもご意見をいただきながら進めていきたいと思っております。一朝一夕にはできないものですから、いろいろとご意見をいただきたいと思っております。以上、2点になります。

○平松会長  
 今ご発言がございました会計リテラシーの向上ということは、先ほど川村委員からもご指摘がございました。会計基礎教育はもともと、ある時期に、公認会計士試験を通っても就職できないという問題が起こり、注目されるようになりました。その頃から特に大学などでは学生の会計離れが深刻になってきた。大学にもよると思うのですけれども、一般的に、よくそのように言われております。その後は会計士合格者が就職待機者にならない環境が整ったにもかかわらず、なかなか会計人気が回復しないという現象がいまだに続いているかもしれません。そのあたりで大学関係者なども苦慮しているところかと思うのですが、八田委員、いかがでしょうか。

○八田委員  
 ちょうど発言させていただこうと思っていましたので、ありがとうございます。教育の観点というのであれば、本日はASBJの小野委員長のご説明や、あるいはほかの場面であっても最後に行きつくところ、つまり、こういった専門的な領域の議論のたどり着くところは、必ず人材の育成、すなわち教育、研修の充実とか専門能力のレベルアップ、さらには国際対応できる者の育成であるということです。残念ながら日本の教育機関に対して責任を有する文科省サイドにおいても、これは私の感想めいた発言ですが、そこが会計教育に対して真正面から取り組んできていないどころか、どうも取り組む姿も見えないということです。

 一つ端的な例として、これは会計専門職大学院だけではなくて法科大学院もそうですけれども、例の専門職大学院が当初の意図どおりに全く機能しなかったということで、法科大学院は当初の半分の数になったと聞いております。会計専門職大学院も最大18校あったのですけれども、恐らく半分は撤退ないしは、撤退する予定であると思われます。実際に現存している会計専門職大学院も定員が充足できているのはほんの僅か、こういうレベルだと思います。そう考えると、ただ会計に関しての人材育成といっても、2つの観点があると思っています。川村委員とか関根委員がおっしゃったように、まず会計の基礎教育という側面での充実を図ること。これは会計士協会がやるというのではなく、日本の正規の教育機関全体の底上げとレベルアップを踏まえて、例えば、大学の経営学部、商学部におけるカリキュラムの見直しを行うことが決定的に重要であると思います。私自身、現在は大学学部の授業を持っていませんのでわかりませんが、いずれの大学も大体外から見ていても旧態依然とした、簿記教育をベースにした会計教育を行っているはずです。それでは、どこにも国際的な視点が見えてこないというのがありますから、まず、そういったことをやらないと、会計リテラシーを備えた個人投資家の裾野も広がってこないと思います。

 一方、会計監査の世界にあっては、専門性と国際性が求められており、加えて複雑な取引や見積もり・予測といった判断要素さが高まってきていることから、まさにエリート教育、あるいは最先端教育が求められてくるということです。恐らく、専門職大学院はそちらに特化したニーズがあったのかなと思うのですけれども、なかなかそれが機能していないのが現実です。したがって、会計士協会は傘下に財団として会計教育研修機構がありますが、そこが主導するよりも潤沢なリソースのある会計専門職大学院の活用を推進していただきたいと思っています。つまり、数はそんなに多くない全国の会計専門職大学院には教員、教材、教授法等について膨大なリソースがあるわけですから、これとリンクする形で対応するのが望ましいのではないかなということで、ぜひ教育の現場に対して、この審議会においても、そういったメッセージを発していただきたいというのが第1点であります。

 2つ目の監査の透明化という議論ですが、すでにこれは周知のことのように議論されているわけですが、ひとつ誤ってならないのは、今、金商法であれ、あるいは会社法であれ、会計監査人が行った監査の結果の監査報告書は、教科書的に申し上げると、短文式監査報告書という形式のものになっています。それに対して、長文的監査報告書というのがある。これは任意の監査の場合、特定の目的の依頼があった場合の監査結果に対して当事者、つまり依頼主に対して報告するために、そこにはかなり機密情報とか、あるいは非常にナーバスな情報も入っていて、個別的な改善ないしは勧告が含まれているということから、内部情報的なものとして長文式で作成されるということです。

 今回のKAMの議論を見てみると、どうもそういった方向に行きたいのかなと。つまり、監査人が提供する情報を増やすとともに、さらにその情報利用者との対話あるいはコミュニケーションを強化するためには、もっと多くの情報がいるのだと捉えられています。しかし、実はこれについても昔は議論があって、外部監査の場合、一般大衆投資家保護に対して、本当に長々とした監査報告書が必要なのか。そうではなく、結論だけを端的に表明することの方が分かりやすいし、投資家はその監査結果がどういうものなのかを踏まえて、財務諸表の利用度合いを考えていくことになる。これも一理あると思うのです。ただ、これは非常に難しい問題で、その一文というのが単に「適正である」という、一般の方たちからすれば良くわからない言葉で説明しようとしている。これは「フェアー」という英語を適正と訳しているわけですが、なかなかこのフェアーという言葉が、使う人、聞く人、あるいは利用する人によって大分、温度差があるのではないかということです。

 思い起こしますと、1970年代にアメリカでも監査人の責任追及の厳しいときに、この適正という言葉に秘められている意味合いが、関係者の間でもあまりにも違うのではとの疑問が発せられたわけで。監査人は、当時は一般に認められた会計原則に大体準拠して行っていれば適正だと言ったのだけれども、外部の利用者は違うというわけです。つまり決算書が正しいのならば、その企業の経営も健全であって、そこには何ら不正も存在しないと考えていたため、経営者不正などが起きた場合には、監査人の責任を問う訴訟が提起されてしまうということです。そこで、例の米国公認会計士協会が設置した監査人の責任に関する委員会、通称、コーエン委員会が、78年に最終報告書は出すのですけれども、1年前の公開草案では、もう外部監査人は適正という言葉をやめようとの提言が盛られていました。では何を記載するかというと、監査人がやった事柄だけを個別意見形式で書こうというのです。かつての商法の会計監査人監査報告書とよく似ているのですね。そうした変更をすべきだとの議論があったのですが、結果的に、歴史の中でも適正という言葉がある程度成熟しているから、変更せずにそのまま使おうということで現在に至っているわけです。日本ではそういう議論は全くなかったのですね。

 したがって、考えなくてはならないのは、現行の短文式監査報告書はやはりだめなのか、どこに欠陥があるのか。そして、それを補強、補充するために本当に長文式にするべきなのか。そうではなくて、このKAMの部分は単なるアペンディックス、すなわち補足資料とか附属資料という形での開示でも良いのではないか。ただ、プロの投資家、アナリスト、こういう方々は、それなりの知見もありますから、別枠で、詳細な監査関連情報を開示すれば十分なのではないかなという視点もありますから、ぜひ監査報告書のありようについての議論を深めるべきだと思います。先ほど関根委員がおっしゃったように、海外ではこうだからというよりも、日本の投資家、市場、あるいは利害関係者にとって納得いく方向の姿を見届けていくことが極めて重要だと思います。

 長くなってすみませんが、アングロサクソンの方々と日本人と決定的に違うのは、アカウンタビリティー概念が日本人は非常に希薄だということです。自分たちの請け負った仕事を自分たちの言葉で、そして客観的エビデンスをもって正しく説明し、その相手方に対して納得をしてもらうというアカウンタビリティー概念です。こういう責任意識については海外ではかなり小さいときから植え付けられているので、みんなそれぞれに意見を言うし、また、他人の意見も十分に受け入れる。でも、日本人は、こまごましたことをいちいち話さない。寡黙であることが美徳なのだという文化があると思いますから。仕事や業務を任せたら、いちいち、その結果についての報告も求めないような場合も多い。それどころか、もう何も言わなくてもわかっているよ、理解しているよということで、まさに、あうんの世界というのがありましたが、今はもうそういう時代ではありません。その辺も見極めて、日本的な、そして世界に説明できる監査報告書の形を見届けるためのKAMの議論をしていただきたいと思います。

○平松会長  
 挽委員、どうぞ。

○挽委員  
 ベテランの八田委員の後で少し発言しづらいのですけれども、今のご発言に同意するところがございまして、意見を述べさせていただきます。会計リテラシーといった場合、私も2つあると思います。本学で最初にエグゼクティブプログラムを始めたときに、始められたのは経営学をご専門とされる先生なのですけれども、その先生の問題意識というのは、欧米企業に比べると、日本企業では社長はもちろん部長クラスの方々も会計に対する知識だけではなくて、会計の重要性に対する認識に問題があるのではないかということでした。エグゼクティブプログラムの中で、会計としては財務会計のみならず、管理会計もプログラムに入れていただいて、教育を行っております。

 監査報告書の透明化のお話なのですけれども、論点としては情報利用者である株主様などを見たものですが、企業の監査法人に対する監査への協力姿勢にばらつきがあり、透明性を高めることが実は企業の会計や会計監査に対する姿勢に正の影響を及ぼすのではないかと考えております。監査法人はサービスを提供しているわけですが、そのサービスの品質に影響を与えるのは、監査法人のみならず監査を受ける企業自体です。公認会計士の先生方は多分、大きなクライアントであったりすると、必ずしもこういう場で発言はされないけれども、多分そう考えていらっしゃると思います。

 その場合、どのように企業の姿勢を正していくべきかを考えるうえで一助になるのは、7ページの監査報告書の文例にありますように、監査法人側はきちんと個人名でサインをしているわけで、その結果に対しても責任を負うという明らかな姿勢を見せているからサインをしているわけです。これは評価すべき点であります。もしも、結果だけではなくて、その結果に至る監査プロセスを開示することになれば、企業の側も今まで以上に監査法人の方とのコミュニケーションも増えるでしょうし、監査プロセスを開示することが企業の側にいい影響、つまり監査法人による監査への協力姿勢が改善ないし向上され得るのではないかと期待されるわけです。つまり、透明化というものは情報利用者だけではなくて、情報作成者側である企業にも影響を与える。監査法人が監査をする際に、重要なリスクがあるところに集中できるように企業側が情報を積極的に提供したり、インターラクティブなコミュニケーションをはかることにつながるのではないかと考えております。

 透明化が監査法人側にとって非常に大きな負担となるのであれば問題かとは思いますが、もしも監査法人側の合意が得られるのであれば、そのようなことがいえるのではないかと考えています。大学側としても、専門家としての会計士輩出にももちろん力を入れていきますが、広く一般にマネジメントになるような方々への会計教育というのも力を入れてまいりたいと思っております。ありがとうございます。

○平松会長  
 ありがとうございました。住田委員、どうぞ。

○住田委員  
 公認会計士協会で常務理事として監査基準を担当したのが2010年で、その頃にちょうどIAASBで監査報告の改革のプロジェクトがスタートになったと記憶しております。最初は監査人にとって守秘義務が非常に重要ということで、監査意見以外の情報を監査報告書に記載するプロジェクトの方向にかなり驚きましたが、その経緯をいろいろと調べていくうちに監査の長い歴史の中で監査報告書のあり方については、監査意見を端的に述べることに非常に価値はあるけれども、もっと監査の中身について、監査人のインサイトを提供するということが重要なのではないかという議論が、かなり前からあったということに気がつきました。海外でも監査の失敗が取り上げられるたびに、八田委員もおっしゃっていたように、いろいろな委員会が立ち上がって監査の品質向上についての議論がなされてきていたわけですけれども、その中のメニューの一つとして監査報告書の改善、改革というものが取り上げられてきたという歴史があると理解しております。UK、ヨーロッパ諸国、あるいは国際監査基準をそのまま導入している国ではKAMの入った監査報告書が既にたくさん出ておりますが、一監査報告書の読者として実際の監査報告を読んでみますと、大変興味深いと感じております。

 今まで監査報告書の記載内容について、監査法人の同僚や作成者の立場の方等と議論をするというようなことはまずなかったと思うのですけれども、実際に出されている監査報告書のKAMの記載を読んで「こんなことまで踏み込んだ記載をする」と思うものと、至極あっさりとした記述で「利用者にとっては追加的な情報価値はないかも」と思うようなものまで、内容も数も千差万別です。この千差万別ということがKAMにとっては非常に重要なことなのだろうと思います。いろいろな立場の人が監査報告書を読んで、いろいろな感想を持って、それを議論し合う。そういう情報提供機能ということが今、求められてきていると感じております。あらゆる産業で顧客志向に基づく改革というものが起きてきましたが、その波が監査というサービスについても波及してきたと受け止めています。

 日本の社会は横並び意識が強く、人と変わったことを言うのを控えるという文化の中で監査人も育ってきておりますから、それを踏み越えて、監査人がきちんと仕事をしたということを世の中に対して説明していくというような空気、それを後押ししていくような好循環の流れというものをぜひつくっていかないと、KAMの趣旨というのは達成できないのだろうと考えております。そういう好循環の土壌をつくるにはどうしたらいいかということも含めて、この審議会でご議論いただければ、大変ありがたいと考えております。

○平松会長  
 ありがとうございます。時間の関係で、意見交換はここまでにさせていただきます。ただいまたくさんご意見をいただきました。全員の方にご発言いただくことができなかったのは、司会進行役の不手際としてお詫び申し上げたいと思いますが、例えばKAMをそのまま日本に持ち込むというより、日本の特徴を考案してというのは、複数の方からもご発言がございました。あるいは会計人材の育成についても、専門家だけではなくてより幅広く教育ということを考えるべきだというようなことも、複数の委員の方からご指摘がございました。その他もろもろ、貴重なご意見を賜りました。これを踏まえて、次回以降の議論の参考にさせていただきたいと思います。

 ひとまずここまでとさせていただきまして、この後続きまして、本日は委員が改選されまして初めての総会ということでありますので、本審議会の今後の運営につきまして、お諮り申し上げたいと申します。お手元に現在の組織と審議事項をお配りしております。

 これまで本審議会では会計部会、監査部会、内部統制部会という3つの部会を設置して審議を行ってきております。本審議会の今後の運営について、私といたしましては引き続き現在の3部会の組織、そして審議事項のもとで審議を進めるということといたしました。本日ご審議をいただきました「監査報告書の透明化」については今後、監査部会でご審議をいただくこととしてはどうかと考えておりますけれども、そのようにさせていただくということでよろしいでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
○平松会長  
 ありがとうございます。それでは、そのように取り進めさせていただきます。

 それから、最後になりますが、会計部会長及び監査部会長の指名を行いたいと思います。会計部会につきましては、本年2月に会計部会長を務めていただいておりました安藤委員が任期満了ということで退任されており、現在、空席となっております。企業会計審議会令では、会長が部会長を指名することとなっております。従来から会長が部会長を兼務しておりますので、私が務めさせていただきたいと思っております。

 また、監査部会でございますが、これも同様に本年2月、監査部会長を務めていただいておりました脇田委員が、任期満了に伴い退任されており、現在、空席となっております。つきましては、伊豫田委員に監査部会長をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、各部会に所属する委員等につきましては、企業会計審議会令において会長が指名するということになっておりますので、後日、事務局を通じてご連絡申し上げます。何卒よろしくお願い申し上げます。

 それでは、本日の議事を終了させていただきます。本日はお忙しいところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。これにて閉会いたします。
 

以上

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金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3845、3657)

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