平成14年2月13日
金融庁

企業会計審議会総会議事録について

企業会計審議会総会(平成14年1月25日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL 03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会総会議事録

日時:平成14年1月25日(金)午後1時30分~午後2時45分

場所:中央合同庁舎4号館9階金融庁特別会議室

○若杉会長

これより企業会計審議会の総会を開催いたします。

委員の皆様方には、ご多忙のところをご参集いただきましてまことにありがとうございます。

議事に入ります前に、前回の総会以後の委員等の異動につきましてご報告申し上げます。

昨13年4月に須田美矢子委員が退任されました。また、13年8月には中地宏委員が退任され、奥山章雄氏が委員に就任されております。また13年8月に葛馬正男臨時委員が退任されております。

それでは、本日の議事に入ります。本日は、まず、平成11年10月から審議を行ってまいりました「監査基準の一層の充実」に関しまして、第二部会におきまして、「監査基準の改訂に関する意見書」につきまして成案がまとめられましたので、ご審議の上、ご承認いただければと存じます。

初めに、監査基準の改訂案につきまして、第二部会の脇田部会長からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○脇田部会長

脇田でございます。

それでは、監査基準の改訂案についてご説明い申し上げます。

初めに、審議の経過について簡単にご説明をさせていただきます。

第二部会は平成11年12月から24回の審議を経まして、「監査基準の改訂に関する意見書」の案を取りまとめました。その間、平成12年6月に「論点整理」を公表いたしまして、さらに平成13年6月に「公開草案」を公表いたしました。公開草案に対しましては各界からご意見をいただきましたが、おおむね草案の趣旨にご賛成の意見をいただきました。そこで、公開草案の考え方や基準の骨格は修正しておりません。その上で、主に前文における基準の説明を充実するとともに、用語や文章表現に関してはわかりやすく修正いたしました。また、基準の項目の順序を一部修正し、ここに成案を得たところでございます。

今般の改訂におきましては、国際的な動向を踏まえまして、また我が国の監査実務のこれまでの発展も考慮しつつ、国際的な水準に遜色のないものとすべくご審議をいただいてまいりました。その結果、まず、監査の目的を検討し、二重責任の原則、適正意見の意味などを明確にいたしました。また、監査の実務的手法のレベルでの規定は置かないで、監査手続を統制評価手続と実証手続に整理いたしました。

現在の監査基準は、ご承知のとおり監査基準、監査実施準則及び監査報告準則という構成になっておりますが、準則の位置づけがあいまいなことから、これを廃止いたしました。改訂後の監査基準は、冒頭に「監査の目的」を置き、「一般基準」「実施基準」及び「報告基準」には、それぞれ基本原則を置いた上で、各個別の規定を定める形をとっております。

次に、今般の改訂のポイントを簡単にご説明させていただきます。

まず、公認会計士監査に対する近年の社会的批判あるいは指摘の多くは、不正発見に対する期待のギャップが要因になっていると思われます。

そこで、公認会計士による財務諸表監査は不正や違法行為を発見すること自体を目的とするものではないことは前提としつつも、不正発見の姿勢の強化を求めております。すなわち職業的懐疑心を保持し、不正が存在する可能性も踏まえた監査計画を策定すること、不正を発見した場合には追加的な監査を実施すること、及び経営者等へ報告することを義務づけております。

第2に、ゴーイング・コンサーンの問題への対応でございます。基本的には、二重責任の原則を踏まえ、監査人が企業の継続の可否を判断するのではなく、経営者の行った開示の適正性を判断することとしております。具体的には、企業が将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を抱かせる事象や状況が存在する場合には、経営者がその内容や合理的な経営計画等を財務諸表へ注記することにより、まず開示することとし、その上で、監査人は、経営者の行った開示が適切であるかどうかを検討することといたしました。また、開示が適切に行われている場合においても、監査人は監査報告書において、その情報を追記することとしております。この継続企業の前提に関わる追記情報の規定につきましては、公開草案では、監査基準の7の「追記情報」の項目の例示として掲げておりましたが、最終の意見書案では6の「継続企業の前提」の項目の中にあわせて規定を置く形にいたしました。

なお、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象や状況については、前文に、売り上げの著しい減少、継続的な営業損失の発生、債務の不履行や返済の困難性などを例示しております。

第3にリスク・アプローチの徹底でございます。リスク・アプローチにつきましては平成3年の監査基準の改訂におきまして、すでに導入されておりますけれども、なお、我が国の監査実務に十分に定着していないとの意識から、改訂基準におきましては、その考え方を明確に示すことといたしました。

リスク・アプローチにおきましては、監査上のリスクに応じて、効果的かつ効率的な監査を求めることから、リスクの評価が非常に重要になります。そのため、固有リスク、統制リスク、発見リスクといった監査上の概念を定めるとともに、内部統制の概念も前文で明確にしております。このような概念を用いまして、監査計画の策定から監査の実施に各規定を整理いたしました。

第4に、新たな会計基準やITへの対応でございます。金融商品の時価評価など新たな会計基準が導入され、会計処理における経営者の見積りが重要になっております。また、ITに代表されるような新たな形態の取引の発展等を踏まえ、取引の実質に着目した適切な会計処理が行われているかの監査を求めることといたしました。

第5には、監査報告書の記載内容の充実でございます。現在の監査基準における報告基準は、監査報告書の様式を定めることが中心となっており、また、監査意見も、会計基準への準拠性、適用の継続性、表示の基準への準拠性といった形式的に判断基準がとらえられるおそれがあります。今般の改正では、適正意見、除外事項を付した限定付適正意見、不適正意見及び意見を表明しない場合に応じて、その判断規準を示すとともに記載事項を明確にいたしました。さらに、特記事項を追記情報と改め、監査人の意見とは明確に区別する形で、適正意見の場合において、会計方針の変更等に関する情報の追記を行うことといたしました。いずれにせよ、基本的に、改訂された報告基準に基づく監査報告書は諸外国で求められている記述内容と同水準の記述を求めることとしております。

最後に、本改訂基準は平成15年3月期の決算監査から実施することとしておりますが、前文におきまして、日本公認会計士協会には、本改訂基準を踏まえ、具体的指針の検討を行っていただくよう要請いたしております。その点につきましてよろしくお願い申し上げます。

以上、簡単でございますが、ご説明とさせていただきます。

○若杉会長

どうもありがとうございました。

それでは、ご質問あるいは今後のご要望でも結構でございますので、ご発言をいただければ幸いに存じます。はい、お願いいたします。

○八木委員

作成者の委員の八木でございますが、このゴーイング・コンサーン問題というのは、私も長い間、関心を持っております。非常に長年の懸案をここまでおまとめいただいたということで、関係の方に敬意を表するものでございます。

今後のことについてという、今の先生のお話もございましたので要望を二、三申し上げたいと思うんですけれども、1つには、先ほど部会長のご説明にもあった注記開示のところでございます。特に注記開示の要件というのに関して作成者は非常にどういうものになるのか関心を持っているところでございます。今後、この細目の実務指針は公認会計士協会の方でいろいろおつくりいただくと思んでございますが、その場合に、作成者側の意見というのも十分申し上げる機会を、ぜひ持っていただきたいと思っております。ここにも幾つかモデルが書いてございますけれども、本当にいろいろな事情があるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思うところでございます。

もう一つは確認なんでございますが、この中をざっと拝見した限り、特に連結集団というような見方といいますか表現がないように思うのでございます。格別そこへ言及するのはあえて避けておられるのではないのかなと拝見したわけでございますが、例えば、親会社のもとに監査対象になるような大会社があるようなケースは、その子会社の経営を親会社で影響を受けると同時に、親が健全であれば、ある種の事業の継続性というのは保証されるような、そういう相互の関係があると思うので、そういう関係も今後いろいろなケースが出ると思うので、上場、非上場いろんなケースがあると思いますけれども、この辺も、そういう実態を十分に斟酌した細目づくりといいますか、その辺をお願いしたいなと。これが2点、ゴーイング・コンサーンの関係のお願いでございます。

それから、会計方針の変更につきまして、これも一つあるわけでございますが、会計基準が変わったことによる数字の変化とか、それから正当な理由によって企業が任意に会計方針を変えるということがあるわけですが、いずれの場合にも過年度の遡及修正というのがあると思うんですね。それがこの中に一部、慎重な言い回しで書いてあるように拝見したんですが、これは我々も実は昨年度セグメントを5つを7つに変える、そういう場合にはこうするということで、これは常時発生するわけですが、中には、例えば商法に触れるような、遡及した結果、配当の利益がちょっとおかしくなったとか、あるいは、税法の申告所得が変わるような遡及になっちゃうとか、いろいろ極端な話ですが、事情が起こり得ると思うので、その遡及、過年度修正みたいなものも、その辺も踏まえて、これも国によっていろいろなやり方があると思うので、参考にして対応をしていただきたいなと、こういうふうに思っております。その3点です。よろしくお願いいたします。

○若杉会長

はい、どうもありがとうございました。承っておきます。

ほかにご意見、ご質問等ございませんでしょうか。伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

私も作成者の側でございますけれども、実は私は二部会に所属いたしておりまして、この問題をいろいろ議論をしてまいりまして、きょう、最終版を拝見させていただきまして、私どもの、当時検討をしておりましたことが、大変きちっと盛られているというふうに思います。先ほど部会長からお話がございましたように、私どもが検討いたしましたのは、少し幅広く考えて、コポレート・ガバナンスの変化とか、あるいは国際的な監査基準の展開とか、そういったことを含めて、それから単に会計監査だけではなくて、たまたま業務内容についての違法性についてもわかれば、そういったものについても会計監査人の優れた資質というものを期待して提言をしていただく、というようなことまでも触れておりまして、私は大変よくまとまったのではないかと、ちょっと自画自賛で恐縮なんでございますが、そういうふうに思っております。

今後の問題ということでございましたので、一言ちょっとお願いを申し上げたいんです。つまり、これは最終段階に来たんですけれども、そのときにアメリカの方でエンロンの問題が起こっておりまして、これについては金融審議会の方でも話題になり、いろいろご検討をいただくことになりますけれども、やはりお手本としてのアメリカの監査のあり方についても、いろいろこれから、また、いろいろなところで問題が出てくるやに聞いておりますので、そういう問題があれば、また別途これはこれといたしまして、いろんな場でご検討を引き続き続けていただければ大変ありがたい。

もう一つは、実務指針に関して八木委員からお話がございましたように、公認会計士協会で実務指針をおつくりいただけるわけでございますけれども、現在、会計基準に関しては、新しい財団の機構で、そちらの委員会の方で実務指針まで見ておるわけですけれども、つまり、公認会計士協会さんが中心になるわけでございますが、やはり幅広く、当事者以外の方々のご意見も聞いていただくということが重要ではなかろうかというふうに思いますので、法律の面、それからまた税法の面と、そういった意味で、コーポレート・ガバナンスも、今度、変化いたしますので、そういう両面をにらみ合わせて、関係各面と幅広く、ひとつご議論をして実務指針をつくっていただきたいと、こういうふうにまとめていただきたいと思います。

以上でございます。

○若杉会長

ありがとうございました。承っておきます。

ほかにご意見、ご質問等いかがでしょうか。どうぞ。

○角田委員

今回の改正の目的にも書いてございますけれども、国際的にも遜色のない監査の水準を達成するということで、こうした基準ができたわけでございますが、監査基準と同時に会計基準全体の内容にも関連があると思いますけれども、いわゆるレジェンドがとれるようにということで、今回このように改正をしたのだということを、公認会計士協会並びに行政当局の方から、内外に周知徹底させていただきたいということを、ぜひお願いしたいと思います。

○若杉会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。

それでは、特に、ほかにご発言がありませんようでしたら、本案をご承認いただくということでよろしゅうございましょうか。よろしいですか。

〔「異議なし」と叫ぶ者あり〕

○若杉会長

どうもありがとうございました。

それでは、ご承認いただいたということで、お手元の意見書(案)の案の字を取っていただきたいと思います。

村田副大臣がお見えになりましたので、ただいまご承認いただきました監査基準の改訂に関する意見書を副大臣にお渡しいたしまして、ご挨拶をいただきたいと存じます。

企業会計審議会は、総会におきまして監査基準の一層の充実につきまして審議し、別紙のとおり監査基準の改訂に関する意見書を取りまとめましたので、ご報告申し上げます。

○村田副大臣

どうも大変ご苦労さまでした。

○若杉会長

よろしくお願いいたします。

○村田副大臣

ありがとうございました。

金融担当の副大臣の村田でございます。

それでは、企業会計士審議会総会の開催にあたりまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。

企業会計制度は、ディスクロージャー制度は、投資家の自己責任原則に基づきまして、公正、透明な市場を構築していくための基礎となる重要なインフラであると、私どもは認識しております。いうまでもなく適正なディスクロージャーを担保するためには財務諸表の作成の規範であります会計基準と、公認会計士監査の規範であります監査基準が車の両輪として機能することが大変重要であります。ここ数年の間に、国際的動向も踏まえまして数多くの会計基準が整備されてきておるわけでございますけれども、本日は、当審議会におきまして「監査基準の改訂に関する意見書」をお取りまとめいただきました。これによりまして、監査基準が全面的に改訂されることになりまして、国際的な水準と遜色のない基準が整備されたと認識しております。公認会計士監査の信頼性を確保することは、投資家保護の観点から重要な課題でありまして、今回の監査基準の改訂により、監査の充実、強化がはかられることは大変大きな意義のあることと考えております。これまで精力的に審議に当たってこられた委員の皆さん方には、この場をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げたいというふうに思います。審議会では、現在、企業結合会計や固定資産の減損会計などの課題にも取り組んでいただいておりますけれども、企業会計の分野に高い見識を有しておられる委員の皆様方には、今後とも格段のご協力をお願いをいたしまして、私のごあいさつとさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

○若杉会長

どうもありがとうございました。

副大臣には、この後、ご都合がございますとのことで、ここでご退席なさいます。どうもありがとうございました。

続きまして、この機会に各部会の審議状況及びその他の企業会計に関する内外の動向につきましてご報告をお願いしたいと思います。まず初めに第一部会の新状況につきまして、斎藤部会長からご説明をお願いいたします。

○斎藤第一部会長

第一部会長の斎藤でございます。第一部会の審議の状況につきまして簡単にご報告させていただきます。

第一部会では、一昨年の9月に企業結合会計についての審議を開始して、昨年7月に検討すべき課題を論点整理として取りまとめて公表をしました。

論点整理についてごく簡単に説明いたしますと、まず企業結合とは合併や株式の取得による子会社化などによって、従来は別々であった複数の企業なり事業が一つの企業集団になることを指している、そういう考え方に立っております。したがいまして、企業結合に該当するかどうかは、取引の法的な形式よりも実質を優先して判断すべきであり、合併や分割といった法的形式のみで企業結合の範囲を説明するという考え方はとられておりません。

ご承知のとおり、我が国の場合、株式を現金で購入して子会社化するケースにつきましては連結の会計基準が整備されておりますけれども、企業結合全般についての会計基準はないわけでありまして、商法の規定に従う範囲以内で幅広い処理が行われている状態でございます。

こういう状況に対して、首尾一貫性のある会計処理方法を整備する必要がある。または適切な投資情報のディスクロージャーの観点から、会計処理基準を整備する必要がある、そういう指摘がございました。

その一方、国際会計基準等海外の基準では、企業結合にかかる会計基準が整備されておりまして、企業結合の会計処理方法としてプーリング法とパーチェス法という二つの考え方が見られるところであります。それぞれの考え方の大きな違いは被取得会社、取得される方の会社の資産、負債をプーリング法では簿価で引継ぎ、パーチェス法では原則として、直に評価替えして引き継ぐという点であります。取得する側の会社の資産、負債はいずれの方法でも簿価を引き継ぐわけであります。現在の国際会計基準では、企業結合の会計処理方法はパーチェス法が基本とされておりまして、プーリング法を適用する局面は限定されておりますけれども、基本的には企業結合の実態に応じてプーリング法とパーチェス法とを、それで使い分けるという考え方であると考えることができます。こういった方式を採用している諸外国はほかにも見られるところであります。

最近の国際的な動向を見ておりますと、ご承知のようにプーリング法を廃止して、会計処理方法をパーチェス法だけにしようとする議論が強くなっております。ちなみにアメリカでは、このような内容の基準が昨年成立しております。こういった国際的な動向も踏まえまして、論点整理ではパーチェス法、それからプーリング法、それぞれにかかる論点を整理した上で、プーリング法とパーチェス法を使い分ける考え方と、パーチェス法に一元化する考え方とを検討して、それぞれの問題点を整理いたしました。

また、その他の論点として、のれんの会計処理や企業結合会計の適用範囲など、幾つかの論点を取り上げております。のれんにつきましては資産に計上して償却するのが従来からの原則的な処理でありまして、現在の商法の規定でもそのような定めになっておりますけれども、しかし、のれんの会計処理方法としては、それ以外にもさまざまな選択肢が考えられる訳であります。例えば、昨年定められました米国の基準では、のれんの償却を禁止して、減損したときにだけ減額するという方式が定められているところであります。論点整理では、それらについても問題点を整理しているところであります。

論点整理のご説明はこの程度にさせていただきますけれども、論点整理に対するパブリックコメントを受け付けました後、9月から部会での審議を再開しております。いただきましたパブリックコメントにつきましては、再開後の部会においてご検討をいただき、またその後の審議の参考にさせていただいております。

最近の審議の経過について申し上げますと、我が国の企業結合の事例について数件のヒアリングを実施した後、論点整理え提示されておりました個々の論点をさらに詰めるという作業を進めているところでございます。ちなみに、前回1月11日に部会を開催いたしましたけれども、ここではパーチェス法の定義を初めパーチェス法に固有の論点を検討したところであります。まだ多くの検討すべき論点が残っておりますので、さらに各委員のご協力をいただきまして、公開素案の取りまとめに向けて、着実に作業を進めていきたいと考えております。

簡単でありますけれど、私からご報告は以上でございます。

○若杉会長

どうもありがとうございました。

次に、固定資産部会の審議状況につきまして、辻山部会長からご説明をお願いいたします。どうぞよろしく。

○辻山固定資産部会長

固定資産部会長の辻山でございます。着席のまま失礼させていただきます。

固定資産部会の審議状況につきまして、簡単にご報告させていただきます。

固定資産部会は一昨年9月以降、固定資産の会計処理、中でもとりわけ減損会計並びに投資不動産の取り扱いについて審議を続けております。

部会の審議におきましては、論点整理に対する各界のコメントを踏まえまして、部会の所属委員や参考人からヒアリングを行うなど、理論と実務の両面から幅広く検討が行われております。しかしながら、固定資産の会計処理に関する論点につきましては、ご承知のように内容が広範多岐にわたっておりまして、特に投資不動産の取り扱いなどにつきましては意見が十分に集約されていない項目がございました。また、減損会計につきましては固定資産を事業活動の実態に応じてグルーピングする問題、また、将来キャッシュ・フローを見積もるといった新しい会計手法を使うことが見込まれますために、実務的、技術的に十分に対応可能な会計基準にすべきであるという意見がございました。さらに、基準の検討の段階で、その審議内容について情報を適宜発信すべきであるというご意見もございました。

そのような関係で、固定資産部会におきましては、議論の概要や考え方につきまして、昨年7月、「固定資産の会計基準に関する経過報告」 を公表いたしました。この「 経過報告」の内容につきまして、多岐にわたっておりますが、以下簡単にご説明させていただきます。

まず、固定資産の減損会計についてでございますが、減損の兆候につきまして資産の使用範囲、使用方法の著しい変化、市場価格の著しい下落等を兆候の例示として定めて、例示の、さらに具体的な内容については検討をするということとされております。

さらに、次に減損損失の認識方法でございますが、これは割引前キャッシュ・フローと帳簿価額を比較して、減損損失を認識するかとうか判定するということが記載されております。

また、減損損失の測定につきましては、帳簿価額を回収可能価格まで減額し、減額した金額を減損損失として当期の費用として処理するということが記載されております。認識や測定に際して用いられる将来キャッシュ・フローの見積りでございますが、これは、合理的に説明可能な仮定及び予測に基づいて行うこと、さらに、資産の現況、現在の状況のままでございますが、それに基づいて見積ることとされております。

また、設備投資や事業再編等の結果生じるキャッシュ・フローについては、現在、計画されているもののみが含められるということとされております。資産のグルーピングにつきましては、おおむね独立したキャッシュ・フローを生成する最小の単位でグルーピングを行うこととされておりますけれども、その具体的な判定は管理会計上の区分、投資の意思決定を行う際の単位などを考慮して定めるということが記載されております。

適用関係につきましては、将来キャッシュ・フローの見積りなど、新しい会計手法を用いることなどから、習熟期間や体制整備の準備期間など、基準の策定から実務への適用まで十分な期間を置く必要があるということが記載されております。

次に投資不動産についてでございますが、原価評価を継続し、他の固定資産と同様に減損会計を適用すること。また、投資不動産という区分が必要かどうか、その時価を注記すべきかということについては経過報告の段階では意見がまとまっておりませんでしたので、更に検討するということが盛り込まれております。

以上が「経過報告」の主な内容でございます。

さらに、昨年9月以降、この「経過報告」に対する各界のコメントを踏まえまして、残された論点の方向性を明らかにし、これを基準化すべく検討作業が進められているところでございます。現在、公開草案のとりまとめに向けて、鋭意、審議を進めているところでございます。

今後とも各委員には、ご協力のほどをよろしくお願いしたいと思います。簡単ですが、以上でございます。

○若杉会長

どうもありがとうございました。

次に、昨年の7月に発足いたしました、企業会計基準委員会の活動状況につきまして、事務局の方からご説明をいただたいと思います。よろしくお願いいたします。

○細田参事官

それでは、私の方からご説明させていただきたいと存じます。お手元の綴じてある資料3でご説明したいと存じます。

昨年の7月に、日本における一般に公正妥当と認められる会計基準の開発を重要目的といたしまして、財団法人財務会計基準機構が発足したわけでございます。ここにありますとおり、幅広い方々の出資を受けてございます。そして、この財団におきましては、(2)でございますが、会計基準等の開発を行う機関として企業会計基準委員会及びテーマ協議会を設立してございます。

この財団の組織は、2枚めくっていただきまして、図表でご説明したいと存じます。「財務会計基準機構組織図」というものがございます。財団でございますので、左側にありますように、通常の評議会、理事会という理事者サイドがあるわけでございますが、真ん中に大きくありますように「企業会計基準委員会」というものが置かれておりまして、この委員会におきまして会計基準の審議、開発、提言が行われます。13名の方が入っておられます。そして、この基準委員会に対しまして、どのようなテーマを検討するのがいいかという提言を行う組織として「テーマ協議会」が設けられている、大まかに言えばそういうことになっております。右下の方にありますように、事務局として、またスタッフが10名ほどおられるということでございます。そしてこの左下の注にありますとおり、企業会計基準委員会には、テーマごとに専門委員会を設置するということとされております。

さらにこの資料の1枚めくっていただきますと、そちらの専門委員会の関係の組織が出ておりまして、現在、4つの専門委員会が置かれているわけでございます。実務対応専門委員会、自己株式等専門委員会、新年金法対応専門委員会、国際対応専門委員会でございます。

またその次のページに理事会、あるいはこの基準委員会の名簿を出してございます。それぞれの現在の活動状況でございますが、また資料3の1ページ目に戻っていただきまして、2.(1)からご説明いたしますと、テーマ協議会でございますが、これは各委員から出されました意見をまとめまして、短期的あるいは中長期的なものと分け、優先順位を付して、この提言書を出したというふうに伺っております。

次に、その各専門委員会の動きでございますが、実務対応専門委員会というところは、会計基準の解釈、適用に関する指針という、一般的なものを取り扱うわけでございますが、後段に書かれておりますように、やや個々個別のものとしても、今後、昨年の商法改正にかかる新株予約権の承継する場合の会計処理ですとか、あるいは連結納税にかかる会計処理などの論点につきまして、今後検討を行うということとされてございます。

次に(3)自己株式等専門委員会でございますが、ここでは、昨年6月の商法改正により可能となりました自己株式の取得、処分に関する会計基準の開発を行なってございます。現在、会計基準及びその関係の適用指針につきまして公開草案を公表しているという段階であるというふうに伺っております。

それから次に、年金対応専門委員会でございますが、ここでも昨年成立しました確定給付企業年金法あるいは確定拠出年金法、こういうものの制定に伴い、企業年金制度を移行する場合の会計処理につきまして検討を進めておりまして、現在、この適用指針につきまして公開草案を策定し公表をしている段階というふうに伺っております。

それから次に国際対応専門委員会でございますが、これは後ほどご説明いたしますが、そのIASB、つまり国際会計基準委員会におきます基準作成の動き、こういう議論に対応するために、我が国としても、日本はどう対応するかということで日本の意見をサポートするための組織として設立されてございます。今現在、国際的な会議等々におきます日本の意見のサポートを行うということで活発な活動を行っております。具体的には、さらに下にあります5つの項目につきましてはワーキンググループを設置しております。すなわち企業結合、ストック・オプション、銀行開示、保険会計、解釈指針委員会、こうした動きについてはワーキンググループをつくっております。

その他でございますが、その他に調査研究であるとか、あるいは国際的貢献であるとか、あるいは広報活動をおこなっているということでございます。

以上、この新しい財務会計基準機構の動きにつきまして簡単にご紹介させていただきました。

○若杉会長

どうもありがとうございました。

それでは、引き続きまして国際会計基準審議会の動向につきまして、同じく事務局の方からご説明をお願いしたいと思います。

○細田参事官

それでは、お手元の資料の4-1からの束といいますか、4-1、2、3と書かれております資料に基づきまして、国際会計基準審議会の動向につきまして簡単にご説明したいと思います。

ご案内のとおり、昨年、国際会計基準審議会は組織改正が行われまして、新しい国際会計基準審議会ということで、4月から活動を開始してございます。当初は評議会の指名のために指名委員会が置かれておって、現在は解散したわけですが、そのもとにまず評議会が置かれ、ここではほかの理事会あるいは委員会の委員とうの指名を行うということになってございます。さらに全体の運営を監視するとか、あるいは資金を調達する活動を行うということが、この評議会の役割ということになってございます。

それから、理事会が置かれまして、この理事会におきまして具体的な会計基準の公開草案、基準づくり、解釈指針の承認といった活動が行われるということになってございます。そのほかに、下の方に出てございますが、解釈指針委員会、これは解釈指針を作成するための委員会でありますとか、あるいは、その理事会におきまして、どのような会計基準の検討が必要かというテーマ、あるいは、優先順位の助言を行うということで基準勧告委員会というものが置かれてございます。

こういう、現在では、一番上の指名委員会がなくなりまして4つの組織がこの国際会計基準審議会ということで動いております。繰り返しになりますが、この理事会が基準づくりの中心的な役割となってございます。

それから、下の方にリエゾン国基準設定主体会議というのがございますが、これは直接IASB、国際会計基準審議会の組織そのものではございませんが、主要な国が集まりまして、特にこの理事会にメンバーを出している国が中心となって設定をし、この会議が開かれまして、具体的には日本のほかに、英、米、独、仏、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド等でございますが、ここが参加して基準についての意見交換を行っている、ということでございます。

そして2ページ以下、次の資料4-2以下で、具体的なメンバーの資料をつけさせていただきました。先ほど申し上げました基準つくりを行う理事会につきましては、日本からは、一番下でございますが山田辰巳先生が理事となっておられます。

それから次のページ、これもちょっと長いのですが、基準勧告委員会でございます。ここの49名の中に、この名簿の2ページ目に我が国からは、辻山先生あるいは八木委員が委員となって参加しておられます。それから、オブザーバーとして金融庁からも出てございます。

さらにめくっていただいて資料4-4では、解釈委員会のメンバー。一番上から2つ目に日本人では多摩大学の秋山先生が参加しておられるということでございます。

そして、さらに資料をめくっていただいて、資料4-5でございますが、ここで現在のIASBの検討項目につきましてご紹介いたします。国際基準委員会では現在、下にありますような3つのカテゴリーの合計9項目につきまして国際会計基準の統合化に優先的に、今、取り組んでいるということでございます。

1つ目のカテゴリーが統合化。国際的な会計基準を統合化していこうということで、例えば保険契約、企業結合、業績報告、株式報酬、ストック・オプションの基準に取り組んでいるということでございます。

2番目には、国際会計基準、かってはIASといったものを、今、IFRSというふうに呼び変えてございますが、この適応するためのプロジェクト、すなわち、初めに適用する場合の経過措置の関係、あるいは金融機関の活動につきましての、いわゆる開示の問題というものを検討するプロジェクト、この2つのプロジェクトが行われております。

それから、既存のIFRSの改訂を目的といたしまして3つのプロジェクト、すなわち、IFRSの序文の改訂であるとか、既存のIFRS改訂ですとか、あるいは個別的には39号の改訂ということで検討が行われております。

この9項目につきましては、すべてプロジェクトが立ち上がっておりまして、検討が進んでいるわけでございますが、その中で特に急ぎのものから順にやっているようでございまして、例えば2.(1)の適用初年度の問題であるとか、あるいは3.の(1)とか(2)の序文の改訂、あるいは既存IFRSの改訂というようなことについて、さらには企業結合などの検討が、比較的その中では早く進んでいるようでございます。

そこで1ページめくっていただきまして、次の資料4-6は国際会計基準委員会の方で発表した資料でございますが、これが9項目につきましての公開草案の発出時期、あるいは基準の策定時期につきまして、この委員会の方から、理事会の方から発表されているものでございます。先ほど、比較的手前の方に初年度の問題とか、報告基準の改訂、それから、IAS39のものなどが比較的早い時期に草案ということで、現在のところ予定されているということでございます。以上が国際基準委員会の関係でございます。

続きまして、さらに監査の国際的な状況につきましてご説明させていただきたいと思います。資料をさらに1ページおめくりいただきまして資料4-7でございます。国際の監査の基準につきましては、従来、国際会計士連盟の方で検討を行っておりまして、具体的には国際会計士連盟の組織がいろいろあるわけでございますが、一番下の段に箱が幾つかあるんですが、左から2つ目の箱、すなわち国際監査実務委員会(IAPC)、ここで監査の基準の検討を行っておりましたが、このたび、このIAPCの組織改革ということが合意されましたので、ご紹介させていただきたいと存じます。

それが、この資料の上の方からになるわけでございますが、このIAPCにつきまして、まず、その名前を変えてIAASBとするということでございます。それから、議長を常勤といたしましてスタッフを増強するということ。それから、委員は10名から18名に増員するということでございます。この委員構成につきましては、次にありますように、監査人以外から、あるいは大手会計事務所のメンバー、それから各国の団体の職業会計士団体のメンバー等々からということでございます。選考基準は能力を第一とするが、地理的事務所間のバランスも考慮し、リエゾン国設定主体と協力し、基準の統合化を推進するということになってございます。メンバーの選任等はこれからでございます。

それからこのIAPCの組織改革のほかに、全体的な監査の質の向上を目指した動きも進んでございます。目指しましてIFAC、国際会計士連盟の改組の問題ということも議論されてございます。これは現在、大枠の合意がされたという段階でございますが、さらに議論が進められておりまして最終的な結論になるまでは、今しばらくかかるのではないかということでございます。

この大枠を申し上げますと、その絵の一番真ん中に、公的監視委員会(POB)と書かれてございますが、これを新たに設立して、IFAC会計士連盟のさまざまな活動を見ていくというようなことが1つの柱。それから、もう1つは左側の各会計士事務所によります会計士事務所フォーラム、FOFフォーラム・オブ・ファームズなんですが、こういうものを設置し、あるいは一番左下の国際多国籍監査委員会(TAC)、これらは協会の中に設立しまして、FOFと協力しながら国際的な監査の監査ピアレビューを進めていこう、こういう動きということが大枠として定められているということでございます。

以上、国際的な動きをご紹介させていただきました。

○若杉会長

どうもありがとうございました。

それでは最後に、企業会計やディスクロージャーにも関係する事柄といたしまして、金融審議会の第一部会あるいは公認会計士部会などの議論をご紹介お願いしたいと思います。

○細田参事官

ではまた私の方からご紹介させていただきます。

お手元に資料5の資料がございます。金融審議会の構成ということでございます。金融審議会もかなり多段階的な構成になっておるのでございますが、特に金融企業会計審議会との関連で言いますと、一番上の金融分科会の中に第一部会という部会がございまして、その中で2つのワーキングがあるわけでございますが、そのうち、まず、こちらと特に関連が深いという意味でディスクロージャーワーキンググループの動きをご紹介したいと思います。

ここのディスクロージャーワーキンググループにおきましては、昨年、数回の会合が開かれまして、資料の1ページをおめくりいただきますと出てまいりますが、まず投資信託目論見書の記載内容の改善ということにつきましてご議論いただきました。そしてここにありますとおり、昨年の11月29日に第一部会に報告が出されておりまして、第一部会としてもご承認いただいたものでございます。ここでは、この考え方におきましはタイトルのとおり、投資信託の目論見書につきまして次のような改善事項の提言を行っていただいております。1つは、ここに書いてあるとおりなんですが、重要項目をわかりやすく書いてもらうようにすべきだある。特に投資家に重要である事項をわかりやすく書いてもらいたい。ファウンドの目的とか、投資方針、リスク、運用体制等の重要事項の記載を明確化する。

一方、不要な情報は必ずしも削除することが適当ではないか。さらにグラフ等の使用や表現表記をいろいろ工夫しまして、より読みやすい投資信託目論見書としてはどうかということ。

それから、手数料の引き下げの環境整備のために目論見書に手数料を書き込むことになっておるんですが、この場合、上限を記載するということにして、それより下の、低く手数料引き下げをやりやすくしようというようなことをご提言いただきました。これは、現在の投資信託の目論見書は非常に大部なものになっておるんですが、なかなかわかりにくい面があるのではないかというようなご指摘がありましたので、これを改善するためにどうしたらいいのかという点でご議論いただいたものでございます。

なお、こうした記載内容を改善するためには内閣令の改正ということが必要になるほか、作成者自身の努力が必要だということで、投資信託における自主ガイドラインの整備も必要であるというようなご提言がなされております。

現在、このご提言といいますか、この考え方をいただきまして、私どもの方で、現在、内閣令の改正作業、これは最終段階まで来ております。今後、投資信託協会におきましては、ここにあります自主ガイドラインの検討を行っているということでございます。

この1ページ下に部会のメンバーがございます。第一部会のメンバー、それからワーキンググループのメンバーでございます。

それから、さらにまた最初の資料5の一番上に戻っていただきまして、こちらとの関係の深いという意味では公認会計士制度部会というのが金融審議会の中の部会、この図でいいますと一番下に書かれてございます。従来、公認会計士制度につきましては、公認会計士審査会の中で議論を行っておったわけですが、中央省庁改革法とともに、その制度に関しましては金融審議の中で議論するということになりまして、この金融審議会の中に公認会計士制度部会というものを設けて公認会計士制度について検討をすることといたしてございます。

そして、ちょっと右側にありますように、この部会における検討におきましては、監査制度と試験制度と大きく分ければ検討すべき点が、2つあるということで、現在この2つのワーキンググループに分けて、この監査制度、あるいは試験制度につきまして検討を開始しているところということでございます。まだ、具体的な成案はもちろん出ている段階ではございません。この資料の一番最後のところに、その所属メンバーの資料をつけさせていただいてございます。

私どもの説明は以上でございます。

○若杉会長

どうもありがとうございました。

それでは、予定した時間もまだございますので、せっかくの機会でございますので、ただいまのご説明につきましてご質問などございましたらご発言お願いしたいと思います。

○奥山委員

公認会計士協会の奥山でございます。

実は先ほどの監査基準の改訂のところで、できれば発言すればよかったのかもしれませんが、改訂されるまではじっと身を潜めていた方がいいという気持ちで、あえて発言しませんでしたので、若干、そのことについて発言させていただきたいと思います。

本日、監査基準の改訂に関する意見書が確定いたしまして大変ありがとうございます。私ども、今後、具体的な指針を作成するということでございますけれども、それが監査の基準を形成する大変重要な部分として十分認識しております。

それで、先ほどお話がございました作成者側の意見も十分入れてほしい、というふうなことは大変納得をしておりまして、今後、具体的な指針の作成についてはJICPA、公認会計士協会で全力を挙げるとともに、十分外部の意見を伺う機会を持ちたいと思っております。また、国際的にもアピールできるようにしていきたい存じます。

今回の改訂を受けまして、一言言わせていただきたかったので、以上、発言させていただきました。

○若杉会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○林委員

当審議会には直接関係ないと思いますけれども、金融審議会の第一部会ディスクロージャーワーキンググループで、投資信託の目論見書の記載内容の改善についてというのは、これは当たり前のことが、なぜ今ごろこんなことをやっているのかなという素朴な疑問があるんですが、何がきっかけでこういうことをおやりになっているんですか。

○若杉会長

事務局、お願いいたします。

○細田参事官

目論見書制度というのは前からあったわけでございますが、金融システム改革法の後におきまして、投資信託についても、いわゆる証取法上の目論見書を使用しなければいけないということになったわけでございます。そしてその改正は金融システム改革法ですから、三、四年前に行われておったのですが、二、三年の間、経過措置ということで従来からあるものについては、必ずしも目論見書を使わなくてもよかったということがございました。

ところが、一昨年の12月から、すべての投資信託について目論見書を用いて販売しなければいけないということになりまして、制度的には既に変わっておったわけですが、昨年あたりから、すべての投資信託においてその目論見書を使うということになりますと、もともとそういう意味では目論見書のわかりにくさというのはあった問題かと存じますが、それが全部がすべて使うということになったときに、顕在化の度合いが激しくなって、それで改定作業に取り組まさせていただいたということでございます。

○林委員

恐らくマイカルとか、あるいはエンロンとかの不慮の事故が起こったりして、その関連でいろいろお考えになった部分もあろうかと思うんですけれども、あるいは審議されたこと自体はずうっと前からだと思うんですけれども、それに関連して、私、ちょっと証券会社から目論見書を取り寄せてみたんですよ。そうしたら、全くこれでは一般の投資家は理解のしようがないというか、読みたくなくなるような、まさにここに列記してあるような課題が山積みになっておりまして、是非こういうディスクロージャーを通じて、ほんとに一般の投資家がわかりやすく、投資したくなるような、あるいは安心して投資したくなるような、そういう記載にしていかなければ、日本の資本市場というのは、いつまでたっても立ち上がらないんじゃないかなという感想です。よろしくお願いします。

○若杉会長

はい、ありがとうございました。

ほかに何かご質問、ご意見等ございませんでしょうか。どうぞ。

○安藤委員

報告事項で、先ほど、(1)の第一部会と固定資産部会の今までの審議状況をご報告いただきましたけれども、もしも可能なら今後の審議の予定というか日程を、差し支えなければ知りたいというのが1点でございます。

もう1点は、ちょっと細かいことなんですが、資料4-1で、この見出しが国際会計基準審議会の組織図となっております。次のページの4-2では、例えば議長の英国のトウィーディーさん、これを見ますと、2行目に国際会計基準委員会、この違いをちょっと教えてほしい。

以上です。

○若杉会長

お願いします。

○細田参事官

最初の方の1つ目の各部会の審議日程でございますが、まだ審議が続いている段階でございまして、いつごろということは、ちょっと今の段階ではまだはっきりしないということでございます。

○若杉会長

どうぞ。

○平松委員

恐らく資料4-2のアフィリエーションは、以前の職務ということで、IFC時代の名称ですから、国際会計基準委員会でいいのだと思います。サー・デビッド・トウィーディーは、以前は英国会計基準審議会の議長であり、かつ国際会計基準委員会の理事だったわけです。現在、IASBのチェアマンであるということです。前任ですよね。ですから、これはこれでいいんだと思います。

○若杉会長

ありがとうございました。

安藤委員、いかがですか。

○安藤委員

訳なんですけれども、そうすると資料4-1の国際会計基準審議会の原文はコミッティですが、それともボードですか、これは。

○篠原主任企業会計専門官

申しわけございません、平松先生のご指摘のとおり、1ページ目の審議会の訳はボードでございます。2ページ目のトウィーディー旧理事のところは、IASCのコミッティーの訳で、旧ポジションの理事ということを示させていただいております。

○安藤委員

大学の教壇で教える都合があるので、ちょっとこだわりますが、そうすると、IASCはなくなったということですか。あるんでしょう。

4-1の3つ目の括弧の理事会がボードだと私は認識しているんですが、全体としてはIASCはあるんだとどこかで読んだことがあるんです。あるいは山田理事の説明を聞いたことがあるんですけれども。

○若杉会長

お願いします。

○辻山固定資産部会長

たまたまSAC のメンバーで出ておりますのであれですけれども、全体を指して日本の財団といいますか機構みたいなもので、IASCという名前は残っていて、その中にボードをどう訳すかもいろいろ、「理事会」と訳したり「審議会」と訳されたりするようですけれども、ボードが中核になっているということでございます。それが4-1の1ページ目です。

2ページ目は、アフィリエイションとなっているんですけれども、現在のボードのメンバーというのは全部前職をやめて、現職はボードに所属しているわけですね。国際会計基準理事会か審議会がわかりませんけれども、ボードに。ここにあるのは、恐らく前職を指している。そのときはコミッティーが今のボードに……。

○安藤委員

それはわかります。ありますよね。

資料4-1なんですが、国際会計基準審議会の組織図という場合に、これは、じゃあ、指名委員会から含めて全部の場合はIASCじゃないか。その理事会がIASB、真ん中のじゃないのかなという疑問ですよね。それが今、お尋ねだと思うんですが。

○辻山固定資産部会長

それはなかなか難しい問題だと思いますが、ホームページを見ましても両方使っているんです。

○安藤委員

それはわかります。国際的に混乱しているということですか。

○辻山固定資産部会長

ホームページにもIASCも残っておりますし、IASBで、今はIASBがホームページのメインですけれども、委員会についてはIASCの各種委員会というふうに表現されています。

○安藤委員

それならわかる。

○若杉会長

安藤委員、よろしいですか。

○安藤委員

わかったつもりになりました。

○若杉会長

ほかに何かご質問ありませんでしょうか。どうぞ。

○伊藤委員

この企業会計審議会、先ほど来、いろいろご報告等もあったのでございますが、今後の方向について何かご意見がありますかということなので……。この企業会計審議会のさらなるテーマと申しますか、今されている報告内容だけでよしとするのか、どういうような方向を将来考えておられるのか、これはご当局のご方針もあるでしょうし、もしお差し支えなければ、全般的な話をいただければ大変ありがたいんですが。

○若杉会長

ただいまのご質問は、当審議会の今後のあり方といいますか、それをご質問されたと思います。

○伊藤委員

あるいはどういうふうにお考えになっているかということです。

○若杉会長

これは事務局から説明していただければよろしいですかね。

○細田参事官

これも今後のご相談ということかと思いますけれども、企業会計審議会のいろいろな役割の中に会計基準、監査基準、それからその他会計に関するいろいろな事項、こういうことがございますので、会計基準の方は財団ができますと、そちらが中心になっていくかと存じますが、監査基準の点につきましては、これは今回、おまとめいただきましたが、今後、いろいろな展開があることかと思いますので、その点をよく見てまいりたいと思っております。

それから、さらにその他会計制度に関わるいろいろな事項、問題、これは、今、具体的にこれと申しませんが、さまざまな大きなことからいろいろなことがございますので、その点につきましてまたご相談、この審議会でご検討いただければというふうに考えてございます。

○若杉会長

どうぞお願いします。

○三國谷審議官

特にこの企業会計審議会に限らず、金融全体が難題山積で、曲がり曲がりながら真っすぐに進まなければいけないという状態でありますが、最近の傾向といたしましては、いろいろな側面がありますけれども、まずスピードが速いということ、もう1つは非常に幅広い、1つのテーマをするにも、あらゆる問題がすべて相関してくるという問題、それからもう1つは国際化、3点目になりますと、だんだん国際的な動向がそのまま国内に直に影響を及ぼすというような傾向が、会計基準に限らず非常に強まってきている。そういったものにどう対応していくか。

そういった中で、ここにお示しいたしましております資料5というのがございますが、「金融審議会の構成」というところで書いてございますけれども、金融審議会だけでもこれだけ、非常に広範な活動をしている一方で、これらのほかに、企業会計審議会がありまして、さらに財団という新しい会計基準設定主体と、そういったところでいろいろな審議が行われているということでございます。

1つの現象といたしまして、この新しい財団ができたということであれば、当然、国際舞台も含めまして、その機能を本来的に十二分に発揮していただくことが必要でございますし、それぞれのこれまでの企業会計審議会の役割が、そちらの方へ相当移るところもございますが、一番大事なことは、やはり日本国が日本国内の問題だけではなくて、日本のそれぞれの役割、そういった総力を結集して、日本の制度というか、そういうものが国際社会の中でかじ取りを間違えないように、かつ発信していくようなことを、どう考えていったらいいか、こういうことかと思います。

そういうことで、いろいろな役割とかは変わっていくかと思いますが、それぞれこの時代の流れに応じまして、それぞれの果たすべき役割とか、あるいは支え合う部分、あるいはそちらにお譲りする部分、いろいろなことがあろうかと思いますが、何も方法論がメインなのではなくて、日本としてよき結果を出すということが一番大事だと思っております。

この資料5につきましても、この審議会に絡みますものだけでも、このディスクロージャーワーキンググループ、これは直に関係してまいります。

それから、証券決済システムというのがございますが、今のところはオン・ザ・ウェイの話でございますが、いずれ日本の決済システムというか証券の取引全般に影響して、これがまたいつ会計とか監査の問題にはね返るかもしれないという流れ、それから銀行等でも同じでございます。

こういった中で、これから先、どういうことをするつもりかというのは、非常に余りにも話のテーマが大きくて、ここでこうだと私が言うには、余りに役不足でございますけれども、資料5に掲げられてあります項目自体が、毎年毎年テーマが変わって新しい発展の方に、流れの方に向かっているということは事実だと思います。

私も縁ありまして、この企業会計審議会に四、五年前に一度顔を出させていただきましてから以来出ているのでございますけれども、当時と今と比べますと、少なくとも議論の前提が相当変わったということが実感として言えます。当時、いろいろな念書等の問題があったときに、脚注をどうするかということの大議論がございまして、それを当時協会の研究会の方から始まり、それから、特記事項、さらにゴーイング・コンサーンという時代に入ってきました。当時、私は最後の証券局におりまして、それから最初の金融企画局に参りまして、最後の金融企画局になりまして、最初の金融庁に参りまして、この5年間に名刺だけでも五、六枚変わっておりますけれども、ただ、時代の流れを踏まえながら、一方で流されないように頑張ってまいりたいと思っておりますので、この審議会もそういった方向で、いろいろなお互いのそれぞれのポジション、ポジションで助け合いながらいいものをつくっていくことが一番肝要かと思っております。やや抽象の精神論でございますが、そういう気持ちでやりたいと思っておりますので、また伊藤先生、よろしくご指導お願いしたいと思います。

○若杉会長

ありがとうございました。

伊藤委員、よろしゅうございましょうか。

○伊藤委員

どうもありがとうございました。

○若杉会長

ほかにどなたかご質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。特にご発言がございませんようでしたら、そろそろ予定の時刻に近づいてきておりますので、この辺で議事を終了させていただきたいと思います。

委員の皆様方にはお忙しいところをご参集いただきましてまことにありがとうございました。

それでは、以上をもって閉会といたします。

どうもありがとうございました。

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