金融審議会「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」(第37回)議事要旨

1. 日時:

平成19年10月3日(水)14時00分~16時30分

2. 場所:

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

○銀行等による保険募集に関する関係者からのヒアリング

4. 議事内容:

○ 銀行等による保険募集に関し、金融庁から銀行等による保険募集に関するモニタリング結果についての説明を行った後、以下の関係者から意見聴取を行い、その後、自由討議を行った。

  • 生命保険協会
  • 日本損害保険協会
  • 外国損害保険協会
  • 全国生命保険労働組合連合会
  • 損害保険労働組合連合会
  • 生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会
  • 日本損害保険代理業協会
  • 日本保険仲立人協会
  • 在日米国商工会議所
  • 全国銀行協会
  • 全国地方銀行協会
  • 第二地方銀行協会
  • 全国信用金庫協会
  • 全国信用組合中央協会

【自由討議における主な意見等】

  • 融資先は金融機関より弱い立場との前提がなされているようだが、最近は貸出競争が激しく、融資と保険を抱き合わせた圧力販売はできない。逆に、顧客からは、預金情報を見て良い提案をしてほしいという依頼も受けているが、対応できない状態。このため、融資先に関する弊害防止措置について再検討してほしい。

  • 問題事例については、金融庁に申し入れる前に、内部で浄化するための有効な措置をとるべき。利益よりも消費者利益を優先させた商品や業務運営を行うことが不可能であれば、銀行に対して、自社では銀行窓販はできないと申し入れればよい。

  • 製販分離を進める中で、銀行が保険会社と同様に、しっかりとお客様に責任を負う態勢整備を願いたい。

  • ルールが細かすぎると販売ができないという意見があったが、できなければ販売をしなければいい。また、検査・監督を通じてモニタリングをしてほしいとのことだが、最終負担者である国民に迷惑をかけないよう内部で対応してほしい。

  • 商品が非常に多くあるため、細かいルールを作っても実効性は確保されないのではないか。細かいルールよりも本来どうあるべきかを検討すべき。また、募集に関する態勢を自分で検査し、内部監査し、経営管理をするのが第一義であることは認識しており、これらが検査・監督を通じても並んで確保されるべき。

  • 弊害防止措置のうち非公開情報保護措置を緩和すべきとの意見があったが、機微情報、すなわちセンシティブ情報が対象ということで3年前に議論し、厳格に顧客保護を図るための同意を必要としているわけで、それまで緩和すべきという意見には疑問。

  • いわゆる非公開情報を使ってアドバイスできるようにしてほしいという話もある。情報が用いられることについて懸念があるのならば、いったん解除をして、モニタリングをしてみればいい。

  • 銀行窓販では圧力募集があるとの指摘がなされたが、立場の弱い消費者や企業が不要なものを買っているという話は、代理店や営業職員からであっても同じではないか。また、組合員の雇用を守るという発言もあったが、営業職員のターンオーバーは解消したのか。さらに、問題事例を収集したのならば、まず所属保険会社に持ち込むべきではないか。

  • 労働組合という立場からは組合員の雇用面には最大限配慮する必要がある。ターンオーバーについては鋭意研究しており、精力的に取り組んでいる。銀行は優越的地位にあり、選択の自由のない保険に加入させられているという実態がある。お客様が銀行が持つ特有の圧力を感じているかどうかが重要。

  • 労働組合という立場で、弊害があれば現場から経営側に報告し、経営判断を行う際の材料を提供することが、健全な保険業界マーケットの発展、組合員の労働条件の維持向上につながるはずであり、主体的な意見集約をしていきたい。

  • 変額年金は、クーリング・オフが適用になっており、金商法で改善が見られているところであるから、トラブルに関する報告は事例として古いのではないか。最近の問題事例にしても、金融庁に報告書を出すのではなく、保険会社に出すべきではないか。業界を守れ、営業職員の生活を守れ、というように聞こえる。

  • 変額年金のトラブルについては、金商法ほかの問題ではなく、あくまでもモラルの問題として取り上げた。中小法人にとってみれば、保険に入ることは、質権を設定させられるということ。解禁反対は、営業職員を守るためではなく、あくまでもお客様の立場に立っている。便利性だけではなく、コストの面だけでもなく、顧客にしわ寄せが来ないような方向性で、再度考えてほしい。

  • 公正取引委員会の調査結果を掲げて圧力販売を指摘している報告があったが、抜粋の仕方が恣意的ではないか。

  • 報告した公正取引委員会の資料については、公正取引委員会の報告書をそのままコピーしたものであり妥当なもの。

  • 弊害防止措置緩和の意見は、銀行性善説に立ち過ぎているのではないか。センシティブ情報として保険だけにかかる規制というのは、保険は生命や健康に関わることなので、預金よりも非常に取扱いに気をつけてほしいと話し合って決まった結果であり、尊重すべき。

  • 弊害防止措置は利用者保護の観点から重要ではあるが、合理的かつ必要最低限のものでなければならない。一部の情報を使用することで販売員がより適合した商品の提案ができるという観点から、弊害防止措置を見直すべき。

  • 法令遵守への努力をしている銀行もあるようだが、すべての銀行がそうだとは思えない。変なことをしたら市場から淘汰されることになるので、保険会社が銀行をきちんと選ぶかどうかという問題ではないか。

  • 各銀行では、法令遵守に関して同様の枠組みによる取組みをしており、意識は高いと考える。

  • 1千万円の中小企業金融特例について、1千万円という部分を撤廃するというのは、慎重に検討した方がよい。なお、融資先の従業員に対しては、実務としては、融資先だということを言って断っているのではなく、諸般の事由で、というように総合的に判断して断っていると聞いている。

  • 保険会社が実施する抜き打ち検査を銀行が拒否していることや、銀行は銀行員の不適切販売による損害賠償を負担しないと書かれているとの意見があった一方、銀行側の発表資料には、所属保険会社から保険募集に対する求償権の行使を妨げないとの条文が引用されている。相互の関係はどうなっているのか。

  • 銀行による抜き打ち検査の拒否については、銀行は企業秘密のこともあるのでいきなり来ても困るというところがあるのだと思う。また、今後、保障性商品が出てくると、例えば告知義務違反を行っていた場合、責任の所在はどちらにあるのかという問題が現れてくるので、しっかり明確化していくべき。

  • 保険業法等に基づいて銀行は生命保険会社からいろいろな調査・照会を受け、書類を提出している。また、保険業法283条では、所属保険会社の方から保険募集人(銀行窓口で販売した場合は銀行だが)に対する求償権を行使できるという枠組みになっている。具体的に、例えば説明が不十分であるため実際に賠償している事例もある。

  • 販売責任があいまいな管理態勢のまま今まで販売してきたと主張する保険会社は、販売をやめ、あるいは委託契約をかえるべきではないか。銀行・保険会社双方の間の契約で、全体としての販売責任を両者で分担すればよいのであり、本来そういう契約でなければ、コンプライアンス違反として摘発すべき。

  • これまで、保険会社という大きいメーカーがあって、そこが代理店だとか募集人だとかを全部コントロールする形であった。その中に保険会社よりも力の強いものが入ってきていることで、いろいろな問題が発生しているのだと思う。製販分離をきちんと議論して、責任の問題も含め日本の保険流通市場をもう1回考え直す時期に来ているのではないか。

  • 製販分離と言いながら、消費者の立場からから見ると、一体誰を相手に文句を言えばいいのかよくわからない。今後全面解禁されるのだろうが、その時でも、新しい企業間を越えてのコンプライアンス態勢をどのように作るのかということで、何らかのルールを作ったほうがいいのではないか。企業間の契約ではなかなか難しいと思う。

  • お客様の立場で考えると、コールセンターのみで処理した契約では、不払いの問題が非常に多く発生している。今後、銀行窓販解禁となり、転勤の多い銀行員が販売する状態になると、結局コールセンターに頼る顧客が多くなることは明白。その時に、問題をきちんと解決するルールが現状なく、そこを明確にする必要があるのではないか。

  • 銀行はストックのビジネスであり、特に地域金融機関は、地域の顧客と運命共同体で、顧客との継続的・永続的な信頼関係というのがベースとなる。銀行は、売りっぱなしになるとの趣旨の指摘はあたらない。

  • いままで保険に入ったのは義理・人情・プレゼントといういわゆるGNPを背景にしており、消費者はどういう保険に入ったかほとんど分かっていない。保険に対して消費者が目を向けてきたというのは、窓販の一つのメリットだが、いろいろなトラブルも起きているのも事実。銀行と保険会社の利害が表に出ており、その真ん中に消費者が落ち込んでしまっているのではないか。両者の責任と役割の範囲を見極め、両者が本当に話合いを持って向上した上で、きちんと消費者を網に乗せるようにしてほしい。

  • 全面解禁に反対している方の論調は、自分たちの利益を消費者の利益よりも優先させているように感じられる。また、保険会社は、そんなに心配ならチャネルとして銀行を使わなければいい。金融庁は国民の代理人として金融機関の監督や政策の立案をし、その金融庁が「時期尚早ではない」と判断したなら、それを信じるのが普通なのではないか。この議論にもう10年もかけて、日本の市場は本当に国際競争力が落ちているのに、その点に言及した方は、米国人の参考人のみであったことが残念。

  • 銀行と契約者の関係で、銀行がどのようにして消費者の利益を損なわないようにするかという工夫が必要。究極的にはブローカー、ベストアドバイス義務、これが理想なのかもしれないが、こういった複数の商品を売るときに消費者の利便を損なわないような内部統制などの措置を考えているのか。

  • 優越的地位の濫用に関し、当行では、独占禁止法モニタリング室という専属の室があり、そこでお客様に販売した商品の販売の仕方についての独禁法上の問題の有無などのチェックをした上、内部監査、金融庁の監督・検査でも見てもらう、こういう形で内部統制システムを作っている。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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