金融審議会 市場ワーキング・グループ
「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」(第1回)議事録

  • 1.日時

    平成28年10月21日(金)16時00分~18時00分

  • 2.場所

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【田原企業開示課長】

それでは、皆様おそろいのようですので、やや時間よりは早いようですけれども、始めさせていただければというふうに思います。

本日は、冒頭のみ、カメラ撮影が行われます。よろしくお願いいたします。

それでは、黒沼座長、よろしくお願いいたします。

【黒沼座長】

それでは、ただいまより、金融審議会市場ワーキング・グループ「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」第1回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

私は、当タスクフォースの座長を務めさせていただきます、早稲田大学の黒沼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まずは事務局から、メンバーのご紹介をお願いいたします。

【田原企業開示課長】

事務局を務めさせていただきます、金融庁企業開示課長の田原でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、事務局から、当タスクフォースのメンバーの皆様をご紹介させていただきます。座席順にご紹介させていただきます。お手元にお配りしておりますが、メンバーの皆様の右側から、青克美様です。

【青委員】

よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

上柳敏郎様です。

【上柳委員】

上柳でございます。よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

大崎貞和様です。

【大崎委員】

大崎でございます。よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

奥野一成様です。

【奥野委員】

奥野です。よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

加藤貴仁様です。

【加藤委員】

加藤です。よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

神山健次郎様です。

【神山委員】

神山です。よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

神作裕之様です。

【神作委員】

神作です。よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

康祥修様です。

【康委員】

康です。よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

三瓶裕喜様です。

【三瓶委員】

三瓶です。よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

寺口智之様です。

【寺口委員】

寺口でございます。よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

永沢裕美子様です。

【永沢委員】

永沢でございます。よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

真野雄司様です。

【真野委員】

真野です。よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

柳澤祐介様です。

【柳澤委員】

柳澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

なお、事務局につきましては、時間の都合もございますので、お手元の配席図をもってご紹介にかえさせていただきます。

それでは、恐縮ですが、カメラ撮影の方はご退室をお願いいたします。

(カメラ退室)

【黒沼座長】

次に、議事の進め方について、幾つかご確認いただきたいと思います。

当タスクフォースは、原則公開とし、議事録も公表とさせていただければと思います。したがいまして、公表を前提としたご意見、ご発言をいただければと考えております。

皆様、このような形で議論を進めることでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【黒沼座長】

ありがとうございます。そのように進めさせていただきたいと思います。

それでは、議事に移らせていただきます。

議事次第にありますように、本日はまず、事務局から、本タスクフォース設置の経緯及び本日の討議事項等についてご説明いただきます。その後、質疑応答、意見交換を行いたいと思います。本日の議事はこのような流れで進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、事務局より説明をお願いします。

【田原企業開示課長】

それでは、お手元の資料2に従いまして、本タスクフォースの設置の経緯及び本日の討議事項等につきまして、ご説明させていただきたいと思います。

それでは、資料2を1ページおめくりいただきまして、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループでございますけれども、昨年平成27年11月から開催されました金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ、5回審議いただきまして、今年の4月に報告書を公表させていただきましたが、こちらの中で今回の議論の経緯でございます、本日のテーマであります「フェア・ディスクロージャー・ルール」についての議論をいただくというご報告をいただいたということでございます。

具体的には、2ページ目をごらんいただければと思いますけれども、ディスクロージャーワーキング・グループにおきまして、建設的な対話を充実させるというためのディスクロージャーがどうあるべきかということについて議論が行われまして、企業が株主・投資家に対して情報を積極的に提供することは重要であるということであったわけですけれども、同時に、公平・公正な情報開示というものが証券市場の健全な発展に必要不可欠であるということでありまして、企業が重要な情報を正当な理由なく特定の者にのみ提供することがあれば、市場参加者の信頼を損ねて、ひいては証券市場の健全な発展を阻害することになりかねないというご報告を頂戴したということでございます。

この中で、諸外国におきましては、企業が情報をタイムリーに公表するためのルールということで、公表前の内部情報を特定の第三者に提供する場合に当該情報が他の投資家にも同時に提供されることを確保するためのルール、いわゆるフェア・ディスクロージャー・ルールというものがあるということでございまして、アメリカにおきましては、そういった情報を開示するときに、意図的に開示するときは同時に、意図的でない場合は速やかに開示するということが求められておりますし、EUの市場阻害行為指令におきましても類似の規定が置かれているということでございます。

他方、最後の下線部のところですけれども、我が国におきましては、こういったルールがないということでございまして、1ページおめくりいただきますと、従来からこういうルールを導入すべきという意見はあったわけでございますけれども、議論があった際には、我が国においてそういう導入を必要とするような問題が、問題がなかったわけではございませんけれども、顕著な形では発生していないというようなご意見があったということでございました。

一方で、近年、この後ご紹介しますけれども、企業の内部情報を顧客に提供して勧誘を行った証券会社に対する行政処分の事案などがございまして、その際に上場会社が当該証券会社のアナリストの方に未公表の業績に関する情報を提供していたというような問題が発生していたということでございまして、こういった点には外国の投資家の方などからも問題であるというご指摘をいただいて、やはり諸外国と同じようなフェア・ディスクロージャー・ルールを我が国にも導入する必要があるんじゃないかというようなご指摘をいただいているということでございます。

こういった状況を踏まえまして、ディスクロージャーワーキング・グループにおきましては、企業による公平・公正な情報開示によりまして、株主・投資家の方の建設的な対話を促進するとともに、市場参加者の信頼を確保するために、我が国においてもフェア・ディスクロージャー・ルールの導入について、具体的に検討する必要があるとされたところでございます。

その検討に当たりましては、実際に導入した際に、企業が情報提供に消極的になるんじゃないかとか、あるいは報道機関による取材活動等が困難になるのではないかといった指摘がありましたので、こういうご指摘を踏まえながら、ルールが適用される情報の範囲ですとか、特定の第三者への情報開示が例外的に許容される場面ですとか、違反に対するエンフォースメントの内容などについて議論をしていくことが必要だというふうにされたわけでございます。

実際にこの検討を行うに当たりまして、金融審議会の岩原会長、市場ワーキング・グループの神田座長にご相談いたしまして、市場ワーキング・グループの議題として取り扱うことになったということでございまして、市場ワーキング・グループにおきましては、今、多岐にわたる議論が行われているということで、実務的な検討をこのタスクフォースで検討してほしいということで本タスクフォースが設置されることになったわけでございます。

以上が本タスクフォースが設置されることになりました経緯でございますけれどもその1つのきっかけとなりました近年の事例と、先ほど申し上げたものにつきまして、4ページでご紹介をさせていただいております。

2015年12月に行政処分を受けた例(B証券会社)ということでございますけれども、こちらのケースでは、東証1部の上場会社から、2014年12月ごろに、公表前の四半期の業績に関する情報を、公表前にB証券会社のアナリストの方が聞かれたということでございまして、そのアナリストの方が営業員の方にこの情報を伝えたということでありまして、その営業員の方が顧客に伝えて、当該会社の株式の売買を勧誘したという事例でございまして、これを原因として、B証券会社に対しては行政処分になったということでございます。

それから、2016年4月の例も同じようなケースでございますけれども、2015年9月に、東証1部の上場会社のC社から、公表前の半期の連結業績予想に関する情報というものがD証券会社のアナリストの方に伝えられまして、この方が営業員の方にこの情報を伝えて、この情報をもとに顧客の方にC会社の株式の買い付けをしてはどうかというふうに勧誘されたということでございます。

こちらの案件につきましては、この会社だけではなく、ほかにも4社について、この時期に、4社の方から半期の業績に関する情報をD証券会社のアナリストに伝達されたということですので、この際は少なくとも5つの上場会社からこのアナリストの方にこういった情報が渡っていたと。この情報をもとに、この証券会社では顧客の勧誘を行っていたというケースで、こちらも行政処分になっているということでございます。

1ページをおめくりいただきまして、それでは、米欧の状況がどうなっているかということでございますけれども、アメリカにつきましても同じような問題が過去ございまして、真ん中のところにございますが、2000年8月に、先ほど申し上げましたようなフェア・ディスクロージャー・ルールというものが導入され、2000年10月から施行されているということでございます。

この際の目的といたしましては、真ん中の黒丸3つございますけれども、情報伝達を受けた特定のアナリストの方や投資家のみが利益を得ることによって、市場の公正に対する信頼が損なわれるんじゃないか。経営陣が、特定のアナリストや投資家にのみ恩恵を与えることにより、市場の健全性及びインテグリティが害されるんじゃないか。企業からの情報獲得手段維持のために、当該企業に好意的なレポートを書かなければいけないというプレッシャーがアナリストの方にかかるんじゃないかと、こういったことを回避するためにこの規制が必要だというような説明がされているということでございます。

導入の影響でございますけれども、ルール導入当初は、企業のほうでルールが入ったことに伴って情報開示についての萎縮というものが多少認められたということでございますけれども、その後、SECがエンフォースメントについての謙抑的な姿勢を示したということで、企業が落ち着きを取り戻して、情報開示の姿勢がもとに戻ったというふうに聞いているところでございます。

具体的なルールの定め方については6ページにございます。米国におけるフェア・ディスクロージャー・ルールでございますけれども、1934年取引所法に基づくSEC規則として、Regulation FDという形で定められているところでございます。その具体的な内容につきましては、下の囲みの中にございますが、先ほども申し上げましたとおり、有価証券の発行者の方が、当該発行者又は当該有価証券に関する重要な未公表の情報を、特定の情報受領者に対して伝達する場合には、意図的な伝達のときは同時、意図的でない伝達の場合には速やかに当該情報を公表しなければならないというものでございます。

1ページおめくりいただきまして、具体的な内容でございますけれども、まず、重要な未公表の情報とは何かということでございますが、SECガイダンスでは、「合理的な株主が投資判断に際して重要と考える相当の蓋然性があること」というふうにされてございます。

ルールの対象となります情報伝達の主体でございますけれども、これは発行者と発行者のために行動する者というふうにされておりまして、発行者のために行動する者といいますのは、発行者の上級幹部役員、取締役の方、経営者の方、IR担当役員、その他同等の地位にある者というふうにされております。それから、規制対象とされます情報受領者と日常的に接触する役員の方、従業員の方、代理人の方ということになってございます。

それから、一方、ルールの対象となります情報受領者の方の範囲でございますけれども、アメリカにおきましては、ここに4つ掲げておりますが、基本的には資本市場の関係者を中心に具体的に定められておりまして、ブローカー・ディーラーとその関係者、投資顧問業者、機関投資家の投資マネージャー及びそれらの関係者、投資会社及びその系列にある者、発行者の発行した有価証券を保有する者で、その情報に基づき当該有価証券を購入又は売却することが合理的に予想される者というふうになっております。

一方、例外的に公表が不要な情報提供ということでございますが、こちらは信認義務ですとか、契約に基づきまして守秘義務がかかっている者というものが例外というふうに定められておりまして、そこから情報が漏れることがないということが前提になっているのかと思います。

実際にどう公表するかということでございますけれども、アメリカでは臨時報告書あるいは広範かつ非限定的に情報を公開できる方法という定めになっておりまして、SECのガイダンスによりますと、企業のウェブサイトなどでもそういった方法に含まれるというふうに書いてあるということでございます。

具体的に、先ほど申し上げました合理的な株主が投資判断に際して重要と考える相当の蓋然性があるという情報でございますけれども、8ページにSECがルールを策定した際に例示として示されたものを記載させていただいております。ただ、これに限られるものでもありませんし、これに該当するからといって重要な情報となるものではないという留保がつけられているところでございますが、財務情報以下、こういった情報が掲げられているところでございます。

1ページ、おめくりいただきまして、続きまして、EUについてのご説明をさせていただきたいと思います。EUにつきましても同じような経緯でルールが入っているということであろうかと思いますけれども、まずもってイギリスで1980年代に取引所規則において情報を公平に開示するという規則が導入されたということでございまして、90年代以降にこういったものが市場のインテグリティを高めるために重要だという認識が広まってきたということだと伺っております。

実際にルールとしてEUレベルで導入されたのは、真ん中にございます2003年1月の「市場阻害行為指令」におきまして規定が置かれたということでございまして、その後、2014年4月に、これは直接各国に適用される「市場阻害行為規則」というものになったときにも、そのままルールは引き継がれたというふうに承知いたしております。

フェア・ディスクロージャー・ルール導入後の状況でございますけれども、EUにおいてフェア・ディスクロージャー・ルールを導入したことで、企業の情報開示に何か影響を与えたというようなことは見聞きをしていないということでございまして、特に大きな効果がなかったのではないかというふうに聞いているところでございます。

10ページでございますけれども、この具体的なルールの内容でございます。「市場阻害行為規則」におきましては2つ、企業は「内部情報」を適時開示しなければならないという原則と、第三者に情報を伝達する際のフェア・ディスクロージャー・ルール、この2つが規定されておりまして、アメリカでは適時開示自体は取引所規則などで定められておりますので、その点がアメリカと違っているということであろうかと思います。

適時開示の原則でございますけれども、真ん中の囲みにございますように、「発行者は、発行者に直接関係する内部情報を、できる限り速やかに、公衆に開示しなければならない」というルールがEUのほうでは明文で定められている、規則レベルで定められているということでございます。

その上でフェア・ディスクロージャー・ルールの定めがございますけれども、こちらのルール自体は、アメリカのルールに文言上非常に似ているということでございます。

1ページおめくりいただきまして、この具体的な内容と各国でどういうふうに規定されているかという表でございます。まず、ルールの対象となる情報でございますが、先ほど申し上げたような形になっているんですが、具体的には、こちらのほうは公表されれば金融商品等の価格に重要な影響を及ぼす可能性があるという定義になっているところでございます。

ルールの対象となる情報伝達の主体につきましては、発行者、または発行者のために、もしくは発行者の計算において行動する者ということで、アメリカよりも広い定義になってございますけれども、これにつきましては、職務の執行に当たってという限定がついてございますので、その観点においては、ここに書いてある定義よりも狭い考え方になっているかというふうに考えております。

アメリカと一番違うところは、ルールの対象となる情報受領者の範囲でございまして、こちらにつきましては、第三者ということで包括的な規定が置かれているところでございます。

公表が不要な情報提供につきましては、アメリカと同様に守秘義務を負っている者ということでございますし、公表方法につきましても、こちらは定めについてはここに書いてございません。各加盟国における当局のウェブサイトでの公表、EUが設けた開示システムなどということで、一般の方が迅速にアクセスできて、完全・正確・適時に情報を評価することができる方法ということでございまして、イギリスやドイツでは、日本で言えばTDnetとかEDINETに当たるようなシステムにおける開示というものも求めているわけでございますけれども、フランスなどではホームページによる開示でよいというふうにされているところでございます。

具体的な情報につきましては12ページに、まだCESRの時代でございますけれども、例示としてこういったものであるというものが公表されているということでございます。

13ページ以降でございますけれども、本日ご議論いただきたい事項でございます。まずはフェア・ディスクロージャー・ルールの導入の意義というものについてどのように考えていくかということがあろうかと思います。こちらに沿いまして、具体的な規制の中身について議論していくということになろうかと思います。

ただいまご紹介いたしましたように、欧米におきましては以下のようなものが導入の意義というふうにされているわけでございますけれども、こういったものも含めまして、どういうふうに考えていったらいいかということにつきまして、まず、ご議論をいただければというふうに考えております。

2点目は、14ページでございますけれども、その意義に即しまして、具体的に対象となる情報の範囲、対象となる情報受領者の範囲、公表が不要な情報提供の範囲、情報を公表する場合の方法など、このほかにもあるかと思いますけれども、そういったことにつきまして、具体的にご議論をいただければというふうに思っております。

ご参考までに、今、口頭で米欧の順番にご説明しましたけれども、それにつきまして、再度比較する形で右側に記載をさせていただいているところでございます。

以上、駆け足でございますが、事務局からのご説明とさせていただきます。ありがとうございます。

【黒沼座長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明を踏まえて討議に入りたいと思います。

討議は資料のスライド13及び14にご議論いただきたい事項が記載されておりますけれども、まずはスライド13の「「フェア・ディスクロージャー・ルール」の導入の意義についてどう考えるか」という点につきまして、ご発言をお願いいたします。

なお、本日は初回ということもありますので、これに限らず、本タスクフォースの進め方等も含めまして、ご発言等あればお願いいたします。

上柳委員。

【上柳委員】

ありがとうございます。このフェア・ディスクロージャー・ルールについては、前のワーキング・グループのときにも発言の機会をいただきましたけれども、早急に導入すべきものというふうに思います。その意義は、この13ページに書かれていることで尽きていると思いますけれども、一言で言えば、私の考えでは、市場参加者間の公平ということに尽きるのではないかと思います。市場参加者が全く等しい情報を皆さんお持ちであるというのが理想というわけではありませんけれども、少なくとも発行体なり、発行体関係者のほうから提供される事実については、あるいは情報については、公正、あるいは公平であるべきだと。一人の、あるいは一部の人だけが知っているような状態というのは、どう考えてもおかしいのではないかというふうに思いますので、もちろん、このタスクフォースで十分な討議をしてということではありますけれども、十分かつ迅速な討議をして、早目に法制化なり制度化をする必要があると思います。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございました。

寺口委員。

【寺口委員】

寺口でございます。ただいまご説明いただいた欧米諸国の現状を鑑みますと、やはり日本においてもフェア・ディスクロージャーについて、早急に制度設計を検討することが必要になっていると非常に強く認識しています。もちろん、市場の透明性ですとか、情報の公平性はもちろん重要ですし、それからもう一つ、欧米諸国が既に導入済みであるということを考えますと、グローバルな競争環境の中に置かれている日本の市場にフェア・ディスクロージャーというのが導入されていないというのは、ある意味、日本の証券市場がグローバルな投資家から見たときに、一部未熟な部分があるというか、不完全な部分があるというような、そういった見方もおそらくあるのではないのかと思います。

そういったことを考えると、今回こういう機会できっちりした議論をした上で、フェア・ディスクロージャーを日本の市場にも導入するべきではないのかというふうに考えております。

【黒沼座長】

康委員、お願いします。

【康委員】

私も早急に導入すべきであるというふうに考えておりますが、その理由としては何点かあります。まず、寺口委員がおっしゃったところに私も全面的に賛成でございまして、日本の証券市場というのは、国内の投資家のためだけのものではなくて、海外投資家にも幅広く開かれているべきであると。そのためには欧米並みの公平性・透明性が担保されていなければ、特に海外投資家が安心して投資ができないのではないかなと考えておりますし、また、今、東京を国際金融都市として発展させるべくいろいろなところで尽力されているかと思いますが、この国際金融都市としての発展というのが、ひいては日本経済の発展に大きく貢献するための必要不可欠なものではないかなと認識しておりますので、そういう観点からも、私もフェア・ディスクロージャーというのは早急に決めるべきではないかなと考えています。また、もう1点申し上げさせていただきますと、現在、日証協さんのガイドラインがありますが、これは情報を受け取る側がどのように取り扱うかというところで、実際の現場ではなかなか統一した動きになっていないのではないかなと考えています。それは、発行体によって対応なりがばらつきがあるというのがございますので、情報の受け手であるアナリストなりがそこの部分を注意しながら取り扱うというのは当然のことでありますが、それと同時に発行体のほうにも何らかのルールで、双方がしっかりとしたルールのもとでの金融市場の中でのプレーというのが必要ではないかなと考えております。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございました。

神山委員、お願いします。

【神山委員】

フェア・ディスクロージャー・ルールの導入について、先ほど来ご説明がありましたが、検討を進めていただくということに特に異論はありませんけれども、例えば、我々発行体としても、この重要な情報とは一体何なのかであるとか、それから先ほど来ご説明いただきました情報伝達者、あるいは情報受領者の定義をどうするのか。こういったところは、実務面においても我々にとっていろいろな負担であるとか、そういったことが起こってくるというのも現実ですので、やっぱりしっかりと議論をしていただいて、発行体としてもきちっと対応できるような現実的なものにして いく、そういった議論が必要だと思います。

それから、もう1点、先ほど座長のほうから進め方についてもというお話がありました。今回、この資料の3ページにあるように、ディスクロージャーワーキング・グループのご報告の中でも、懸念点として、例えば企業が情報を提供することに消極的になるのではないかとのご指摘、あるいは報道機関やアナリストによる正当な取材活動が困難になるのではないかというご指摘があったと報告をいただきました。

発行体が消極的になるのではないかというのは、先ほど申し上げたことが関係するのですけれども、もう一つ、ここにお集まりの委員の皆様は、基本的には資本市場に関係するメンバーが集まっていますが、ご指摘があった報道機関の方、こういった方のご意見も聞いて議論を進めていく必要があるのではないか、そのように思います。

【黒沼座長】

大崎委員、お願いします。

【大崎委員】

ありがとうございます。まず、このフェア・ディスクロージャー・ルールの導入の意義についてということでございますが、もう既に多くの委員の方からご指摘があったとおり、市場における情報の公平性を確保し、海外の市場とのある種の均衡といいますか、海外でもしっかり規律されているものを日本でも規律すべきという基本的な考え方には私も全く賛成でございます。

この後、もう少し具体的な検討をしていくということになると思いますけれども、それに際して2点、私が重要と思うことについて申し上げておきたいと思います。

1点目は、フェア・ディスクロージャー・ルールは、いわゆるインサイダー取引規制とは別個のものとしてつくらないといけないのではないかということでございまして、あくまでも情報をルールに反して伝達してしまったような場合には、それは故意によってか、過失によってかはともかく、伝達してしまった場合には、直ちに発行者が開示をしなければならなくなるという、そういうルールとして検討するものでありますので、伝達と言っても、発行者が直接責任を負うべきと思われるような伝達に限って規制をするようにしないと、あまりにも発行者を萎縮させてしまうことになるのかなと思います。この辺は、インサイダー取引の場合ですと、いろいろなルートで情報を知った人が取引することを、取引という場面に着目しながら、わりと幅広く規制をしなければいけないということになると思うんですが、そことの違いは注意して議論する必要があるのではないかということでございます。

それから、もう一つは、先ほどちょっと何人かの方からご指摘あったかと思いますが、発行者が萎縮してしまっては困るねという、先ほど公平な情報というのが非常に重要だというお話がありまして、そのとおりだと思うんですが、公平に受け取る情報が減ってしまった、あるいは質的に劣化してしまったということになりますと市場のためにならないので、公平を確保しつつ、市場における情報の質や量が向上するという結果を生み出すようなルールにしなければならないわけでして、その観点からは、私はやはりルールである以上、違反者に何らかの制裁というか、不利益というか、そういうものを及ぼすことは必要だと思うんですが、それについてあまり厳しいものにすると、君子危うきに近寄らずじゃないですが、誰にも何も出さないのがベストだというようなことになりがちだと。この点については、十分留意しながら議論していく必要があるのではないかと思います。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

それでは、奥野委員、それから真野委員の順番でお願いします。

【奥野委員】

それでは、お先に失礼します。この意義については、もうほとんどここに十分に書かれているなと感じます。あと、間接的な意義として、本ルールの導入により、資本市場をより深みのあるものにできるかなというふうに思っています。株式投資は中短期のトレーディングをすることであるという見方と長期で企業をオーナーとして保有するという見方に分かれます。程度問題ではありますが、米国では後者のような見方がウォーレン・バフェットのような投資家を筆頭に相当程度いて、市場の深みを作っています。日本では株式投資とはトレーディングであるという見方がどうしても強いと感じます。

株式投資をトレーディングであるとみる場合、結局速さが全てになっちゃうんですね。日証協の早耳情報禁止も含め、フェア・ディスクロージャー・ルールをちゃんと入れることで、株式投資ってトレーディングのスピードではなく、もうちょっと深みのあるところで勝負しなきゃいけないんだなという認識を促すよい機会になると感じます。フライングするんじゃなくて、泳ぐ質を、走る質を高めるふうに、どれだけ速くスタートするかじゃないんだと。長くゴールに行くには走りを改善しなきゃいけないとか、そういう世界に多分なっていくんだろうなということです。すごく間接的な話だとは思うんですけれども、市場の深みをつくっていくような話になっていけばいいなというふうに思っています。

本ルールの導入で懸念になるのが、発行体が萎縮することと、投資家も含めた証券アナリストが健全な活動をすることに対する萎縮だと思います。これを解決するのは、具体的に情報の範囲と伝達の範囲をどうするのかというところの議論に尽きると思います。

実際に欧米企業にも長期投資を行っている実務家として今日絶対お伝えしたいなと思っているのは、既にフェアディスクロージャールールが導入されている欧米企業でも工場見学、施設見学等を当り前のようにさせてもらっているということです。フェアディスクロージャールールがあるので特定の投資家だけに工場を見せられません、と萎縮している発行体は一人もいないわけです。物を作っている現場をみないとビジネスの本質など理解できないと考えて長期投資する立場で言うなら、もし発行体が萎縮して工場等をみせてもらえなくなったら、長期投資家なんか絶対にできないということです。

済みません、長くなりました。以上です。

【黒沼座長】

どうもありがとうございます。

それでは、真野委員、お願いします。

【真野委員】

発行体側としての立場で少し申し上げさせていただきます。ルールの詳細については今後議論していくということだと思いますので、そこについてはここでは特にまだ触れませんが、導入の意義ということに関して言えば、発行体側にも非常に意義のある話だと思っています。それはなぜかというと、我々としては、長期安定株主が欲しいというふうに考えたときに、特に、個人、海外の方から見れば、安心して投資できるというインフラはどうしても重要だと考えるからです。昨年導入されたガバナンス・コードも全く一緒なのですが、ガバナンス・コードができたことによって、実は特に海外の投資家にかなり安心感が醸成され、日本のガバナンスに対する関心が増えたことは事実です。それにより、日本に投資してもいいかなと思う人が増えたということがあります。同じような効果を考えると、フェア・ディスクロージャーというのは基本的に安心して海外から投資できるインフラになるだろうと思っていますので、発行体にとっても非常に意味のあるものというふうに考えていますので、賛成です。ただ、実務上困難を伴うところまで行き過ぎないようにするということは必要だと思いますので、そこはこれからの詳細議論になると思います。

あと、議論の中で1つ、進め方についてもということでしたので、ちょっと考えていただければという、これは発行体側としてということですが、現状、既に開示ルールは東証ルールと金融庁ルールとあって、これは金融審議会でも以前議論されているようですけれども、既に2つのルールがある中で、フェア・ディスクロージャーでさらにもう一つの基準ができると、発行体側からすると非常に効率が落ちます。効率が落ちると、逆に言うと開示しにくくなるということになります。3つばらばらの開示をそれぞれ気にしなければならないということにもなりますので、なるべくそういったものを、効率性を考えていただいて、ばらばらに3つのものが並立しないように考えていただければというのが1つのお願いです。

以上です。

【黒沼座長】

どうもありがとうございました。

それでは、青委員、お願いします。

【青委員】

どうもありがとうございます。私ども取引所としまして、従来から適時適切で公平な情報開示を呼びかけてきたという立場にございます。それで、報道などで投資判断に重要な影響を及ぼす未公表情報が流れていることを把握した場合に、上場会社に対して、みずからの見解の速やかな開示を促すことによって市場全体に公平に情報が流通するように対応してきているところです。

それで、そうした公平な情報開示の活動に関しまして、このように法令で裏打ちされることになりますと、非常にそこのところがやりやすくなり、マーケットの信頼性が上がるのではないかという意味でありがたいことであると思っているところです。

それから、さらに広いところへ目線を持っていきますと、現在、CGコード、SSコード、両方のコードで投資家と企業の対話が促進されることが目指されている状況ですけれども、その建設的な対話を通じて、企業価値の持続的向上、それから企業の中長期的な要因に基づいて適切な株価形成がなされるということが期待されるところです。それを実現するために、法令で情報発信が公平に行われることを確保していくことを通じて、建設的な対話の土台としての公平開示により市場の信頼を確保するということで、市場規制当局として、姿勢を明確に示していくということは非常に大事だろうと思います。国内、国外双方からの信頼を集めていくということになるかと思いますので、フェア・ディスクロージャーをつくることに関しまして、私どもは賛成と考えております。

1点、先ほどからご指摘がありますように、対話のところで萎縮が生じないようにというところについては、やはり気になっておりまして、特に、我が国におきましては、建設的な対話の促進がまだ緒についたばかりですので、そこのところについては丁寧に議論していくことが必要ではないかと考えているところです。

以上です。

【黒沼座長】

それでは、三瓶委員、柳澤委員の順でご発言をお願いします。三瓶委員。

【三瓶委員】

三瓶です。よろしくお願いします。もう多くの委員の方々からご説明があったとおりなんですが、私のほうからあえて3つの点について述べさせていただきます。

まず、フェア・ディスクロージャー・ルールの導入というのは、早くあったほうがいいというのが結論だと思います。これは私が実際、米株投資を2000年以前にやっていたときに、アメリカの市場ではウィスパーナンバーという、ささやかれている数字というのがありまして、これを日本から投資している者からすると、何がささやかれているのか見えないと。だけど、現地にいる人たちは知っていると。非常に不公平な感じがありました。今、日本について、海外の投資家はそういう印象を少なからず持っているだろうということからすると、早期の導入というのは必要だと思います。

さて、3つのポイントなんですけれども、今現在、情報の発信者に対する規制として適時開示、それとインサイダー取引の規制も、2013年に改正された金商法の改正で発信者側にも一定の規制が入っています。それと、受領者側としてはインサイダー取引規制はもちろんですが、あと最近の日証協のガイドラインというのがあります。これがあるから、全体的にはフェア・ディスクロージャーというのは、全部合わせればできるのではないかという声も聞くことはありますが、何が一番抜けているかというと、欧州でもアメリカでも、フェア・ディスクロージャー・ルールを明確化する中で、一方で例外規定があるわけですね。その例外規定は、フェア・ディスクロージャー・ルールを明確化しない限りははっきりしないと。なので、例外規定をはっきりする上でも、これは導入すべきだというのがもう一つの意義で、ここに書かれていないことかなと思います。

もう一つ、ここに書かれていることに含まれるのかもしれませんが、フェア・ディスクロージャーの精神を励行するということは、発行体の中で不必要に長く重要事実を保持しないということにつながります。これは言い方を変えれば、開示の改善につながる。迅速に開示されていくということにつながっていくと思います。これは全体の開示の改善なので非常に歓迎すべきことです。

それと、先ほど委員の方がおっしゃっていましたけれども、注意すべき点として、開示の萎縮がないようにというのがありましたけれども、同時に対話の萎縮がないようにということだと思います。これは今後のディスカッションの中でやっていくことかなと思いますが、フェア・ディスクロージャー・ルールと対話というのをどういうふうにうまく両立させていくかということについて、ある種のスタンスというのを示していく必要があるのではないかと思います。

以上です。

【黒沼座長】

それでは、柳澤委員、永沢委員の順でお願いします。

【柳澤委員】

ありがとうございます。フェア・ディスクロージャー・ルールの導入の意義につきましては、記載されております各項目に対して異論はございません。これまでのご指摘と重複する点もあろうかと思いますが、補足的なコメントをさせていただければと思います。

フェア・ディスクロージャー・ルールの導入に関しましては、アナリストの視点から検討した内容といたしまして、やや古くはなりますけれども、2001年4月に証券アナリスト協会から「企業情報の選択的開示についての考え方」という提言が出されております。この提言は、米国のSECのRegulation FD施行を受けまして、ディスクロージャー研究会で検討されたものですが、公正・公平な情報開示を図るというRegulation FDの基本理念を高く評価した内容になっております。

今回のタスクフォースで議論をするに当たりまして、ここでの内容から2点ほど改めて共有させていただければと思います。

1点目は、再確認するような内容になるのかもしれませんが、フェア・ディスクロージャーで問題とされるのは、企業とアナリスト及び投資家の間のコミュニケーションの過程で投資判断、あるいは株価に影響を与えるような未公表の重要情報が提供されることでありまして、コミュニケーション自体を規制するものではないということでございます。

したがいまして、未公表の重要情報が開示されるのでない限り、企業とアナリスト及び投資家の間のコミュニケーション、対話の機会を活性化させていくという方向性につきましては、公正・公平な情報開示の精神に照らして何ら反するものではないと理解しております。

企業とアナリスト及び投資家の間の対話、これを阻害するリスクにつきましては、フェア・ディスクロージャー・ルールそのものを阻害要因と捉えるのではなく、導入するに際しての制度設計のあり方こそがキーになろうかと思います。意図的な開示の場合は同時に、意図的でない開示の場合は速やかに公表を求めるということを基本に、ルールが適応される情報の範囲、規制の程度、違反に対するエンフォースメントの内容、情報公表の方法など、こうした制度設計のあり方、仕組みに可能な限り留意することで対処ができるのではないかというふうに考えております。

2点目は、ご対応いただく企業側の開示姿勢についての要望ということになります。先ほど申し上げました制度設計の配慮がなされた上で、企業からご提供いただく情報の質と量といった観点になりますけれども、縮小均衡に陥ることなく、全体として維持・充実するような方向で進めていただければというふうに思います。選択的な開示を排除するという理由から、例えば経営者の方々とのミーティングですとか、工場見学、研究所といった施設見学等の取材、ヒアリングの機会が縮小されることのないよう改めて要望をさせていただきます。

なお、こうした点につきましては、いずれもアナリストによる、より客観的で正確な分析の基盤をなすものというように理解してございますので、十分なご配慮を賜ればというふうに考えております。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございました。

永沢委員、お願いします。

【永沢委員】

ありがとうございます。私はフェア・ディスクロージャー・ルールの導入の意義については賛成でございます。個人の投資家は、とかく今の市場の中では参加しづらい、自分たちは取り残されているのではないか、必要とされていないのではないかと思ってしまうような状況が生じているわけで、このようなフェア・ディスクロージャー・ルールが導入されるということのメッセージそのものが個人投資家も大事にされているということのメッセージだと思いますので、ルールを導入するということの意義はまずあると私は思っております。

それから、今後、何回か審議があるということでございますので、その中で取り上げていただけたらと思っておりますことを2つお話しさせていただきたいと思います。

1つは、個人の投資家につきましては、情報の届き方が昔に比べると大きく変わってきていると思います。ネット取引をする投資家も増えてきておりますし、SNSなども利用されるようになっているということで、情報の到達の仕方というのは、時間も方法も多様化し、スピードも短縮化してきていると思っております。今回のペーパーの最後のほうにホームページなのか、SNSなのかという論点も出されておりましたが、現状、どのくらいまで進化しているのかというところも、少しこの機会に確認してみてはどうでしょうか。この会議に参加されている委員の方々の多くは、いわゆる普通の個人投資家ではないので、この機会にそうした現状を確認して、発行会社にコストをかけない方法で、かつ効果的に情報発信していただく方法を模索していくことも検討する必要があるのではないかと思います。

それから、2点目なんですけれども、これは質問といいますか、素朴な疑問なのでございますが、事務局の資料の4ページ目のところにD証券のケースが出ておりましたが、特定のアナリストに対して複数の会社が情報を先に与えているというようなことがなぜ起きるのかというところが、今回ご紹介いただいた事例の中からは読み取れず、逆に言えば、専門家としてこのようなことがあっていいのかと疑問に思うのです。ある意味で職業倫理に反することのように私は思いまして、アナリストという職業の倫理というものに対してこう言った行為はどうなのかというところがなぜ問題にされないのか、なぜこのようなことが起きるのか、疑問に思いました。発行会社とアナリストの両方に原因があるかと思いますが、そのあたりのところをもう少し情報提供いただけたらと思いました。

と言いますのも、ここの分野でもやはりルールだけでは足りなくて、プリンシプルというものが必要なのではないかとも思っております。アナリストなり情報を仲介するメディアの方々の職業倫理というものについても、この機会に、これだけのメンバーが集まっている機会でもありますから、彼らにどうあってほしいのかというようなことについても意見交換し、メッセージ発信ができたら、アナリストや情報の仲介を担当されるメディアの方々にとっても指針として役立つのではないかと思います。

以上でございます。

【黒沼座長】

ありがとうございました。

もし事務局から何か発言があれば。

【田原企業開示課長】

最後の事例の点でございますけれども、参考資料の中には、両証券会社についての行政処分について発表させていただいた内容というものが入っているわけでございます。実際に端緒というのは、当然アナリストの方が企業について分析をされて取材をした。取材をしたとしか書いていないわけですが、おそらく分析をされて、それを持って取材に行かれて、その中で何らかの形で、情報の形態についてはここには書いてないわけでございますけれども、情報を伝達してもらったということでございまして、ちょっとその内容については、いろいろ守秘義務などの関係もございまして、ご説明できるかどうか中で検討させていただきますけれども、推察するに、ここに書いてあることからすれば、当然、株価に影響するような情報ということで行政処分が下っておりますので、それが推察できるようなもの、具体的な数字だったのか、上がる下がる、業績がよい悪い、それだったのか。それはちょっとわかりませんけれども、そういうものをヒントとしてもらって、それをもとに、今度、営業のほうでは、要するに証券会社内ではその管理がしっかりできていなかったということでこういうことになっていますので、今度、証券会社内では、その情報をもとに勧誘したということですので、やはり勧誘の上で意味がある情報だったということは、この文章からは推察できるのではないかということでございます。今の段階では、ご説明できるのは以上でございますけれども、中で検討させていただきます。

【黒沼座長】

よろしいでしょうか。

それでは、時間の関係もございますので、次に、スライド14に記載された「「フェア・ディスクロージャー・ルール」の導入に当たり留意すべき事項についてどのように考えるか」という点につきまして、ご発言をお願いします。

では、大崎委員、上柳委員の順で。

【大崎委員】

ありがとうございます。ここで挙げていただいている項目4つ、それぞれについて簡潔に申し上げたいと思います。まず、最初に情報の範囲という点でございますが、ちょっと私の先ほどの発言がやや誤解を生んだかもしれないんですが、私が申し上げたかった趣旨は、インサイダー取引規制における重要事実というような概念には縛られないほうが適切ではないかという趣旨でございまして、必ずしもインサイダー取引規制における重要事実より狭い範囲を規制することが適切だという趣旨ではないんですね。先ほど真野委員から開示すべき情報のカテゴリーがいろいろできると非常に困るというご指摘があって、その点は、理解はできるのでございますけれども、他方で実際に問題になった事案が、必ずしもインサイダー取引規制における重要事実を伝達したとは即断できないような事案であったというようなことも鑑みますと、ここはかなり幅広に、株価に影響を及ぼすような情報というふうに捉えるべきではないかと思います。

そうすると非常に広い行為が罰せられるんじゃないかというような不安を抱く方もおられると思いますが、その点については、むしろ今後議論する、どのような形で制裁なり不利益を違反者に与えるかというところで対処すればいいと思っておりまして、やはり投資家、あるいは市場参加者が大事な情報だと思うようなものは、基本的にセレクティブというか選択的に開示しないようなルールにしていくということが望ましいと思っております。

他方で、次の情報受領者の範囲に関しては、これは先ほど申し上げたとおり、インサイダー取引とは趣旨が違うので少し限定すべきではないか。表現の仕方はなかなか難しいんですが、この米国ということで挙げられている市場のプロフェッショナルとでも呼ぶような人たち、これをまずはターゲットにすべきではないかなと思っております。

例えば、私も欧州の状況についてちょっとヒアリングに行ったりしたんですが、聞いておりますと、欧州では広く第三者となっておりまして、守秘義務を負っている者以外は基本的に除外ではないというふうに理解されていて、例えば、新聞記者の方なんかは公表するまで書かないでねというふうに念を押したとしても、法的な守秘義務契約は結んでくれないので、したがって、新聞記者に漏らすこともフェア・ディスクロージャー違反になり得るという理解で少なくとも欧州の法律家は行動しているというふうに聞いております。そういうのでは非常に広過ぎて、ちょっと日本の場合は問題ではないかと思いまして、例えば合理的に株を売買することが予想されないような者に対しての開示は規制の対象にならないというような制度設計が要るのではないかなと思います。

それから、公表が不要な情報提供の範囲については、基本的には先ほど来出ております守秘義務ということで対処し、そこに例えば合理的に株を売買することが予想されない者に対する情報提供は除外というふうにすれば、結果的に報道の自由を制約するというようなことにはならないのかなと思っております。

それから、長くなって恐縮ですが、情報を公表する方法については、少なくとも現行のTDnetとか、2以上の報道機関に伝達してから12時間というインサイダー取引規制に出てくる公表概念にはとらわれないほうがいいのかなと。もっと幅広い方法、例えばホームページとかいったようなものは認めるべきで、SNSというのはやや議論のあるところかなと、日本の現状を考えますと思いますが、少なくともホームページにおける公表くらいは認めていくべきではないかなと思います。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございました。

上柳委員、お願いします。

【上柳委員】

ありがとうございます。多分、大崎委員とは、受領者の範囲のところが大きく見解が違うと思うんですが、1つ目の情報の範囲は、いずれにしても、私はどちらかというと欧州的な決め方がよいのではないかと思っております。対象となる情報の範囲については、米国にしても、欧州にしても幅があることで、これは多くの方が困られる面はあるかと思いますけれども、やはりいろいろな蓄積の中で決めていくしかないというところが残るかと思います。

情報受領者の範囲については、私は欧州のように第三者としたほうが多分運用もうまくいくのではないかというふうに思っています。おそらく米国が限定している問題意識について、事務局のほうでわかれば、また教えていただきたいですけれども、私が考えるところ、大きく違ってくるのはメディア関係の方と、それからアナリストの方。定義がちょっと難しいんですが、ブローカー・ディーラーなり、あるいは投資顧問に関連されている方は入ってくるんだと思うんですけれども、全く独立というんですか、メディア的なアナリストというのかわかりませんが、そのあたりの方の扱いをどうするのかというのが難問になってきて、私は端的に全体が入ると。それで、これ言い方が難しいですけれども、萎縮されるようなメディアの方というのはいらっしゃらないというか、果敢に情報を取りにいかれるのではないか。あるいは発行体から獲得された情報をいかに分析するのか。そこでいろいろ競い合いをされるのではないかということで、先ほどどなたかからご指摘がありましたけれども、ほんとうはジャーナリストなり、あるいはメディアの方からもご意見を伺わなければいけないのかもわかりませんけれども、私はそのように思っております。ですので、広く第三者とすべきだと思います。

最後の情報公開のあり方ですが、私はTDnetとかいうふうに限定したほうがわかりやすいのかなと思うんですが、少なくともよく知られているような、そういう意味では確立された情報伝達手段というふうになっていれば、ホームページとか、あるいは場合によっては一部のSNS、そのほかを含めてもよいのではないかというふうに思っています。が、最後のところはあまり自信がございません。

以上です。

【黒沼座長】

それでは、神作委員、お願いします。

【神作委員】

ありがとうございます。私も、フェア・ディスクロージャー・ルールの導入は真剣に検討して、できるだけ早く導入してはいかがかと思います。

基本的な考え方としては、これまで多くの委員からすでにご発言がありましたけれども、公正・公平に情報を開示するということがもちろん大事なわけですけれども、それだけではなく、できるだけそのような情報がマーケットに速やかに出てくることが市場の効率性を高めるという観点から重要であると考えます。13ページの図では、「適時かつ」というところに括弧書きがついておりますけれども、基本的な考え方としては、フェア・ディスクロージャー・ルールによって市場の効率性が向上するという観点もあわせて前向きに検討していくことが重要であると思います。

その点に関連して、もしそうだとすると、少なくとも対象となる情報の範囲というのは、公表するに足る情報である必要があると思いますので、私も大崎委員と同様に、内部者取引規制における重要事実よりは対象となる情報は広くないとこの規律の意味が薄れるのではないかと思うのですが、他方で情報の範囲が広がりすぎることも問題で、マーケットに出て市場の効率性に資する、そのような意味で熟した情報におのずから限られてくると思います。

それから、もう1点、私が気にしておりますのは、このルールの導入によって発行体と投資家との間のコミュニケーションに何らかの萎縮的な効果が生じるということは、これはある意味で本末転倒でございますので、そのようなことがないように留意する必要があると思います。すなわち、このようなルールを入れたことによって正当なコミュニケーションまでもが阻害されることのないようにルールをつくっていく必要があると思います。

その点からいたしますと、ルールの適用範囲を絞って明確し、必要な場面に規制をかけることが考えられます。たとえば、対象となる情報受領者の範囲について一定の限定を加えることは十分に検討に値することかと思いますし、14ページの表には載っておりませんけれども、開示規制の対象となる主体が誰かということについても一定の限定を加えることもあり得ると思います。私は、米国の規制のもとでは、CEOやCFOなど非常に高い地位にある人と、それから日常的に市場の関係者に接している人々に規制の対象となる主体が限定されていると理解しております。おそらく上柳先生からご指摘がありました、なぜ対象を絞っているのかという1つの大きな理由は、発行体と市場関係者とのコミュニケーションをはじめとして、規制のターゲットを絞るとともに情報がかえって萎縮して出てこないということに対する配慮を可能にするということがあるのではないかと思います。

それから、14ページには特に明示されていないのですけれども、一応、議論の対象としては、もしフェア・ディスクロージャー・ルールを入れるときには、法令で行うのか、それとも自主規制機関による自主規制で行うのか、が問題となり得ます。そのことはエンフォースメントのあり方や、このルールの対象となる情報の範囲や規制の対象となる者の範囲、などとルールの全体像と結びつく問題であると思います。しかし、一応自主規制による規律の可能性も排除しないで議論することは検討に値するのではないかと感じています。

【黒沼座長】

どうもありがとうございました。

では、加藤委員。

【加藤委員】

2点コメントさせていただきます。対象となる情報の範囲ですが、発行体に対する過度な負担を避けることと既存のディスクロージャーに関するルールとの整合性を図ることが非常に重要だと思います。そうすると、まずは、現在既に企業が開示義務を負っている情報を対象にすることは問題ないということになると思います。つまり、取引所の適時開示規制の対象になっている情報は、当然対象とすべきということです。この情報を出発点として、どこまで拡大できるかというふうに考えるのがいいように思います。

2点目のコメントは、情報を公表する場合の方法ですが、私も大崎委員と同じく、あまり厳格な方法は適切ではないと思います。なぜかというと、公表が問題になるのは、意図的に伝達をした場合というよりは、意図的ではないけれども、伝達してしまった場合に公表をすることによって差別的な情報開示を是正することが目的だと思います。そうすると、投資家を取り巻く現在の状況を前提として、先ほど永沢委員がおっしゃったような情報の届き方なども考慮した上で、インサイダー取引規制の場合とは違った公表の仕方を考えてもよいと思いました。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

それでは、寺口委員、お願いします。

【寺口委員】

先ほどD証券の事例に関して永沢委員から、アナリストの職業倫理という、非常に重いお言葉をいただきました。私は市場仲介者という立場で今回参加させていただいていると思っているんですが、こういったことが経常的に全ての証券会社とか、全てのアナリストで行われていたのでは決してないと思っております。一方で、そういったことも受けまして、日本証券業協会で「協会員のアナリストによる発行体への取材等及び情報伝達行為に関するガイドライン」というのを業界挙げて真剣に議論させていただき、これを制定いたしました。

そこで、先ほどからの情報の範囲という議題なんですけれども、そのアナリストのガイドライン、こちらに関しては、未公表の決算期の業績に関する情報というのと、定量的情報のうち業績が容易に把握できる情報、これに関しては取材をしない、それから伝達をしないということをガイドラインで決めております。

そういったことを考えますと、今回、フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォースで情報の範囲を今後議論していく際に、今回の証券業協会のガイドラインとも整合的であると、非常に実務的にもなじみやすいのではないかと考えております。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

奥野委員、お願いします。

【奥野委員】

情報の範囲という観点でいうと、重要というのを、何にとって重要かということをちゃんと限定しておかないとだめかなと思っています。これは欧米のケースと同様に、中短期に株価に影響を与えるという観点で重要という限定的な基準にしないと、定義が広くなってしまうと出すほうも聞くほうも萎縮しちゃうと思います。僕は株価だと思うんですね。結局、中短期の株価に大きな影響を与えるかどうかというところの切り口で重要性を判断するべきであって、アメリカなんかでも列挙していますけれども、例えば財務情報でも株価に影響を与えない財務情報なんかはどんどん出してくれればいいだけの話だと思います。逆に言うと株価に影響を与えない情報もフェアに開示しなければならないとか、そういうことを言い始めると、アナリストが主体的で二次的な分析や建設的な対話も含めた健全なアナリスト活動を阻害するんじゃないかなというふうに思っているところです。

例えば、工場に行って、そこの工場の従業員が、実は去年から比べて1.5倍になっていますという情報があったとします。こういった情報は中短期的な株価にはほとんど関係が無い話でしょう。でもその情報を大きく捉えるか、小さく捉えるか、は情報の受け手次第です。中短期の株価には関係なくても、僕らみたいな長期投資家からすると、そこに大きく経営者が力を入れているんだという情報というのは、10年後の株価を決めていくという観点でいうと、僕にとってはすごく重要な情報なんですね。そういうことというのは、別にそれぞれのアナリスト、それぞれの投資家が主体性を持って重要であるかどうかというのを決めるべきであって、誰かが何かを決める話では多分ないというふうに思っているところです。

同時に、それは企業側が、それがほんとうにその株価に影響を与えるかどうかというのを主体的に決めるべきだと思っています。中短期の株価に影響を与えない情報なので、投資家に開示することに問題のない情報でも自らのコンペティターに開示したくない情報があったとします。こういった情報は情報受領者からマスコミを外すことで、一般的な開示を避けることができるはずです。つまり、株価というのを切り口に置くのであれば、当然情報受領者についても株式を売買している人にするのが合理的だと思います。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

大崎委員。

【大崎委員】

今の奥野委員のご発言に全く賛同でして、先ほど私言い忘れたんですが、情報の範囲を規定するときに、いわゆるモザイク情報という、つまり、それ一つ一つでは直ちに株価に大きな影響を及ぼすとは合理的には考えられないんだけれども、奥野委員をはじめとする専門家が、それを材料として、普通の人では導き出せないようなインプリケーションを導き出して投資判断に活用していくというような情報ですね。そのモザイク情報と、例えば業績が今期何億円で着地する見通しというような、誰が聞いても株価に直ちに影響を及ぼすような情報等を明確に区別して規制していくことが非常に重要だと思います。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

三瓶委員。

【三瓶委員】

私も基本的に奥野委員と大崎委員のおっしゃったことに賛成なんですが、なぜか結論がちょっとだけ違うんですね。先ほど大崎委員は、いわゆるインサイダー取引規制の重要事実にとどめないほうがいいとおっしゃったように思うんですが、まず1つ、早期導入というのが皆さん声をそろえて意義があるというふうにおっしゃったと思うんですが、それをするということからすると、既に発行体企業の方、また、我々機関投資家等が扱いなれている定義という意味で重要事実というのが既にわかっているという意味ではいい定義ではないかなと思っています。

例えば、アメリカのRegulation FDのいろんな項目やQ&Aを見ましたが、そこで使われているのは、一つ一つこちらで今回詳しく説明していただいた定義というよりは、もう決まり文句、合い言葉のように、Material non-public informationという言葉を使っています。これは合い言葉のように皆が「それはだめだよね」とわかっている1つの決まり言葉です。

例えば、英国のFCAのルールでは、これをわざわざ斜字体にして、Inside     informationというのをどこでも使っています。これが決まり文句で、ここに全て入っていますよという合い言葉になっている。こういうものがあったほうがわかりやすいという感じがします。ただ、そういうふうにしていくと、若干支障があるかなと思うのは公表の定義です。重要事実の場合は、厳密に言うと、公開から公表までの12時間ルールというのがありますから、これは欧米の例を見たときに、ホームページであるとか、いろいろな違う媒体を使っていいというところとちょっとかみ合わない部分があるので、ここだけは少し考えないといけないかなというふうに思います。

情報の受領者の範囲というのは、昨今のいろいろな世の中の変化を考えても、あまり限定的に言うよりも、欧州的に「第三者」というふうにしておくのがいいのかなというふうに思います。そして、「公表が不要な情報提供の範囲」ということについては、ここでは“守秘義務を負う者に対して”という書き方なんですが、より厳密に言うと、例えば証券アナリストでも、機関投資家のアナリストでも、守秘義務さえ守れば受領していいことになっているんですね。この辺のことも明確に確認しておかないといけないかなと。それは裏を返すと、先ほどメディアの話もありましたけれども、そういうところは暗黙の了解で守秘義務があるということを明確にしておかないといけないということだと思います。

以上です。

【黒沼座長】

康委員、お願いします。

【康委員】

情報の範囲と公表方法について、私の意見を述べさせていただきたいと思いますけれども、情報の範囲については、各委員それぞれの方々のご意見がありますが、概念的なものというのでいくと、それほど大きな差はないのかなというふうに思います。要は株価に影響を与えるような、Material non-public informationというところではないかなと思いますが、ここからさらに議論が分かれるところは、それは具体的には一体何なのかというものであり、またそれをどういう形で落とし込むかというところではないのかなと思います。

例えば、これをルール化するに当たって法制化した場合にも、おそらく概念的なところは法律の中に組み込むことができるんでしょうけれども、じゃあ具体的にはそれは一体何なのかと。それは先ほど奥野委員がおっしゃったように、私も基本的には何が重要なものかどうなのかというのは企業が決めるものであるというのは全く賛成ではあるんですが、それをしっかりと持っていらっしゃる企業もあれば、それが法制化された場合に、一体何を重要な情報と定義づければいいのかというところを、十分にインフラなりが整っていないところというのも当然あると思います。

ですから、具体的なところまで法律に組み込まないにしても、何らかの形で、それが取引所なのか、あるいは日証協なのか、IR団体なのかが何らかのガイドラインというのを示すというのが必要ではないのかなと考えています。私がそのように考える理由の1つというのは、建設的な対話という中で、それは多くの発行企業さんが同じような考え方を持っていらっしゃると思いますし、IRに関してもそれぞれ努力されていると。その結果として、ディスクロージャーに関してのクオリティーの差が出ると、これは当然だと思います。

ただ、対応に関してのばらつきが出るというのは、かえって市場の透明性というのが損なわれるのではないかなと考えていますし、例えば大手の企業でしたらIR室なり部署があるということで、しっかりとした対応ができると思いますが、ベンチャー企業とか、上場したばかりの企業にとっては、ある程度のガイドラインというのを提供しながら、それぞれの企業がどのように判断するのかというのが大事ではないかなと考えております。これは、現在上場している企業だけではなくて、このフェア・ディスクロージャーが企業にとって煩雑であるというふうに思ってしまうと、これまでの皆さんの議論にあるように、企業と投資家、またはアナリストとの対話が萎縮する、あるいは、一番懸念するのは、何だか上場したら色々ややこしい手続があるから、上場はやめようというふうに新興企業が思って過度に萎縮してしまうと、これは日本の証券市場にとってはプラスではないのかなと考えております。そういう観点からも、公表方法についてもできる限り柔軟に対応して、また、これもこれからのITの発展に伴って変わってくるでしょうから、そこも幅広にすべきではないのかなと考えております。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

神山委員、どうぞ。

【神山委員】

対象となる情報の範囲で皆さんからいろいろなご意見がありました。今、議論になっているのが、株価に影響を与えるかどうかという点がフェアディスクローズの基準になるというお言葉が複数の委員の方から出ていますけれども、これには今の委員の方もありましたけれども、上場企業全てが同じレベル感で、合理的にある情報が株価に影響を与えるかどうか、ということを判断できるのかどうかという問題があると思います。株価というのは、やはりマーケットのいろいろな動きの中で決まってきますので、事前にそれをどう予見するのか。我々発行体の側にそれを判断しろ、事前に判断して何が重要かということを見きわめなさいと言われてしまうと、非常に難しい問題があると思います。

実務的には、先ほど真野委員からもありましたけれども、あるいは加藤委員からもありましたけれども、ある基準を、しかも既存の基準からそれほど増やさないというか、範囲を広げない。きちんと定義された基準というものがあって、そこを目指しながら我々が開示を進めていくということでないと、なかなか実務的にも難しいし、あるいは先ほど来出ました企業のそれぞれの幅によっても開示の質が変わってしまうというようなこともあろうかと思います。ですから、情報開示の範囲について言いますと、ガイドラインというお話もありましたけれども、一つの基準をつくっていただきたい。ただ、その基準については、既存のいろいろな基準と整合がとれた形のものにしていただきたいと思います。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

柳澤委員、お願いします。

【柳澤委員】

ありがとうございます。ここまでの議論で触れられている点も多いかと思うんですが、ルール導入に当たっての留意事項につきまして、2点ほど簡単にコメントさせていただきます。

まず1点目は、対象となる情報の範囲ということでございますけれども、これはディスクロージャーワーキング・グループの議論の中でもご指摘がなされていたと思うんですが、重要事実を対象とするということについては、総じて異論はないように思われます。では、その範囲をどこまで広げるかということに関しては、例えば法人関係情報までとなりますと、必ずしも定義が明確に定められているということは言えませんので、相当程度情報の範囲を広く捉えて対応せざるを得なくなるという可能性が出てくると思います。そういう意味で申し上げれば、法人関係情報を対象範囲に据えてルールをつくっていくというのは適切ではないのかなというふうに考えております。

2点目は、情報を公表する場合の方法に関してですけれども、企業側のご対応の面及び情報アクセスの両面を考慮する必要があろうかと思います。まず、情報アクセスの面で申し上げますと、あくまで利用者の立場からですが、少なくとも企業のホームページ上の公表であれば、特段の支障はないように思っております。この点に関しまして、事務局、説明資料でご紹介いただいた欧米の事例なども参考にさせていただきますと、米国、フランス、ドイツでは自社のホームページの公表が認められているということでございますので、こうした海外の状況も踏まえまして、情報公表の方法についてご検討いただければというふうに考えております。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

これまで対象となる情報の範囲と情報の公表方法については、かなり多くの方から意見をいただきましたけれども、情報受領者の範囲や公表が不要となる場合、適用除外といいますか、そういったものについては必ずしも十分意見が出ていないようにも思います。そういう点も考慮して、2回目、3回目のご意見でも構いませんので、ご発言いただければと思います。

真野委員、お願いします。

【真野委員】

範囲については、かなり今議論していただきましたので、そこについては、ここであまり繰り返しませんけれども、大体皆さんがおっしゃっていることの中で、最低限のところは決めておいて、あとはできればガイドライン的なものが多少ある程度がいいんじゃないのかなと考えます。企業によって重要な指標は違うので、自主的に考えるべきと。ただ、最低限のルールは必要でしょうというところで、それを既存のルールと整合性あるものにしていただければと思っています。

受領者の範囲ですが、基本的には市場関係者、先ほど他の委員の方々からご意見がありましたけれども、やはり株価に影響を与えるということが1つの大きなポイントだと思いますので、そこから考えると、市場関係者に限定していただければというふうには考えています。

メディアの方々をどうするかということがあるのですけれども、かなり難しいのは発行体は公表していないんだけれども、メディアの方々は自分たちで取材をどんどんされて、そこから集めたもので、いろいろな情報をつくり出すというところがありますので、そのときにそれを発行体側としてどう考えたらいいのかと言う点です。当然スクープとか、いろいろな形でいろいろな新聞社が出していますので、そういったものについて、例えばそれが出たら、また発行体は何か言わなくちゃいけないのかとか、そういったところをどうするのかというのはかなりあります。

あと、よくあるのは、私ども海外で結構事業していると、海外のパートナーから情報が出るパターン。フェア・ディスクロージャーの範囲外の話になってしまうかもしれないのですけれども、海外のパートナーとか外国の政府がディスクローズしちゃうというようなときもあって、それって発行体として何かしなくちゃいけないのかどうか、フェア・ディスクロージャーの観点からですね。というところまで考えると、第三者って全部言うと、どこまで広がるかちょっとわかりにくくなるということもあって、市場関係者に限定していただいてはいかがでしょうかというふうには考えます。

公表が不要な情報提供の範囲については、守秘義務を負う者ということについては除外していただく必要は、これはやはりマストだと思います。これがないと通常の事業ができなくなってしまいますので、そこの部分は入れていただければ、私どもとしては大丈夫かというふうに思っています。

以上です。公表方法は、皆さんからご意見をいただいているので、ホームページで認められれば、それが一番、今までもそういうふうにしていますし、今後も同じような形でできれば一番負担がかからない形と考えております。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

大崎委員、お願いします。

【大崎委員】

済みません、何度も。今、皆様のお話を伺っていましてちょっと感じたんですが、対象となる情報の範囲をできるだけ、例えば従来の重要事実とか、あるいは適時開示情報の対象情報とかいうふうに限定すべきという意見と、もう少し広いほうがいいんじゃないかという意見が一見対立しているようにも思うんですが、私はこの点は、違反者が何をしなきゃいけないかということについての前提が少し違っているために起きるのかなという気がしておりまして、つまり、このフェア・ディスクロージャー・ルールに違反したら、例えばインサイダー取引規制の伝達の規制のように懲役5年だと、課徴金だというような話だとすると、それはよっぽど厳格に定めてくれないと、とてもじゃないけど何もしないという結論になりますよという、こういうことだと思うんですね。

逆に、例えば株価に影響のある情報というような非常に漠とした感じであっても、故意にやった場合はちょっとどうかというところはありますけれども、思わず話が弾んでアナリストにしゃべってしまって、それがアナリストのレポートに載ってしまってというようなケースについては、例えば監視委員会から一種の警告を発してもらって、たび重なる警告を受けたような場合には、何か刑事罰みたいなところまで行くというような比較的緩やかな規制であれば、また情報の範囲についての捉え方も変わってくるんじゃないかなという気がしていまして、もちろん分けて議論しないとなかなか話が混乱するので、順番にというのは非常によくわかるんですが、これはどういう違反の効果を求めるかということと、構成要件といいますか、どの範囲を規制するかということは、わりと連動しているのかなという感じがいたしました。

【黒沼座長】

今、ご発言ありましたエンフォースメントの点も含めて、ここでご意見をお出しいただければと思いますので、よろしくお願いします。

奥野委員。

【奥野委員】

公表方法は、ホームページがいいなというのは思っています。その場合、企業情報、IR情報をクリックすると過去の情報も含めて一覧的に入手できるようにホームページの作り方を工夫してくれるといいなと思います。

【黒沼座長】

ほかにいかがでしょうか。三瓶委員。

【三瓶委員】

エンフォースメントのところに関連してなんですが、我々はこういう件に関して、機関投資家の立場でいつも直接日々扱っているのは、インサイダー取引規制の観点から重要事実というのを考えているわけですけれども、そこから申し上げると、例えば何らかの状況下で対象になる情報を受領してしまったという場合に、我々は何をするかというと、それを企業に対して、これはもしかしたらそういう範囲の情報ではないのかという確認をするんですね。そこで、もし、確かにそうだったな、言い過ぎしまったなということであれば、私たちがその取引を社内で禁止している間に公表していだたくと。公表していただくと、社内での取引の禁止は解除できるということになる。こういう扱いをしているわけです。そこから類推するに、もしあまりにも厳しく、つい言い過ぎてしまって情報を出してしまったときに、即座にかなりの処分というか、何かあるのであれば、企業側がもしかしてそれを認めないと。「いや、それは、私たちは重要事実だと思っていません」と言われましたときに、こちらでは重要事実だろうと思って取引を止めているときに、いつまでも解除できなくなって困るんですね。

なので、やはりそこはもともとの、欧米のルールの中でもノンインテンショナルにディスクローズしてしまった場合には、速やかに開示するという対処法がありますから、この速やかに開示すると、公表するということをすることによって救われる状況というのをはっきりと、どのくらいの期間かわからないんですけれども、しておくことによって、受領者側と発信者側でやりとりをして、これはどっちなんだろうねということをしたときに、両方が前向きに、いや、これは念のため公表しておいたほうがいいと、直ちに公表したらいいというような方向に持っていける。それは最終的に市場の健全化になって、どちら側も萎縮することなく、変な対応にならないのかなというふうに思いました。

以上です。

【黒沼座長】

寺口委員、お願いします。

【寺口委員】

項目という形でかっちりしたものじゃないんですが、先ほど永沢委員から、個人投資家のところですね、情報から一部取り残されているのではないかですとか、どういった形でその情報が個人投資家の方々に到達するか、という話がありましたが、これはフェア・ディスクロージャー・ルールという精神から言っても、個人投資家を除外しないという意味で非常に重要だと思います。例えば、これもかちっとした話じゃないんですけれども、発行体の方々、例えばカンファレンスとか、我々もいろいろお手伝いさせていただくんですけれども、そういったところでの機関投資家向けのプレゼンテーション、もしくは決算説明会等々もそうかもしれませんけれども、そういった情報に非常にたやすくアクセスできる、あるいは、そういった情報を個人投資家の方々にどうやってお届けするんだということを考えると、先ほどから出ているホームページ等々でそういったところで使った資料等を積極的に個人の投資家の方々にも広くお知らせをするというのは、今回のフェア・ディスクロージャー・ルールの精神という意味では重要なのではないのかなと思いまして、ちょっと一言だけそのところを触れさせていただきたいと思いました。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

上柳委員、お願いします。

【上柳委員】

まだ、考えがまとまっているわけではないんですけれども、今の寺口委員、それから特にその前の三瓶委員のお話のようなことから言うと、やっぱり私はEU規制のほうがいいんじゃないかなという思いを強めております。三瓶委員からのお話にあったように、一定の情報を得たときに、得られた方と発行体との間でやりとりをして、基本的にはその情報が開示される方向になるというのが、いいような気がします。むしろこの考え方の情報の範囲は広く、あるいは対象者も広くといいますか、限定があって誰がその範囲に入るかどうかという争いがないような形で広くする。

さらに言えば、EUの規制というのは、基本的には内部情報をできる限り速やかに公衆に開示すると。これももちろん限定がついていまして、直接関係があるとか、例外条項が今日の事務局資料の10ページも書いてあるように、結局は、できるだけ広くと言っても、かなりの情報がリテインされてしまうのではないかと思いますけれども、原則として、公開会社なり、公的な存在なので示していいんじゃないかという考え方に立ったほうがよいのではないかと思います。

ということを前提になんですが、そうであれば、単純なこの原則やディスクロージャー・ルール違反については、エンフォースメントはきっちりしなければいけませんけれども、例えば罰則をもって臨むとか、そこまでの必要はないような気がします。多分、私の頭の中が整理できているかどうかよくわからないんですが、フェア・ディスクロージャー・ルール違反であっても、問題が重いものについては、いわゆるインサイダー取引であるとか、あるいは極端な場合は相場操縦であるとか、そのようなことに近づいていくわけですので、重大事犯はそちらのほうで対処できるのかなというふうに思うんです。が、ちょっと抽象的に考えているので、EUとかアメリカの事例を見ているわけじゃないので自信がないところはありますけど、そんなふうに思いました。

以上です。

【黒沼座長】

康委員。

【康委員】

私も基本的に罰則的なものに関しては、それほど重いものにはすべきではないのかなと考えております。もちろん、このフェア・ディスクロージャーというもので、ある程度発行体に対しての言い方としては、それなりの規律を持って投資家なり、あるいはアナリストとコミュニケーションしてもらうというのは大事ではありますが、その一方で、これまで議論がありましたように、あまり厳しいものにすると対話が萎縮されてしまう。そもそもこのフェア・ディスクロージャーというのは何なのかというので私なりに解釈いたしますと、より公平性・透明性を確保しながらの発行体と投資家との建設的な対話を促進するものであるというのであるならば、特に、最初はトライアル・アンド・エラー、試行錯誤はあるんでしょうから、そこの部分では、基本的にあまり罰則は厳しいものではないほうがよいのではないのかな。むしろそういうのが出てきた場合に、その事例を参考にしながら積み上げていって、よりよい対話形式を、発行体と投資家、アナリストの間で確立していくというのがよいのではないかなと考えております。

ただ、その一方で、じゃ、全くそれが全て行けるのかというと、なかなかグレーなところもあるのではないのかなと思います。例えば1つの例としましては、自社株買いを行いますと。これを例えば取締役会で正式に決定した場合、その情報をインサイダーで受け取った。これは立派なインサイダー取引だと思いますけれども、例えば自社株買いを自分のところの自己資本比率がこういうふうになったらやる方針だよというような場合に、その情報を例えば選択的に受け取ったと。実は自己資本比率がそれにかなり近い状態になっている状況であるという場合に、その情報を選択的に受け取った人間は、それに基づいてトレードしたら、場合によっては非常に大きな利益を得る可能性があるわけでございます。そこの部分を、私、法律に明るくないんですけれども、インサイダーの法律で対処できるのかどうなのか。あまりにも悪質な、ある意味抜け穴を狙ったような意図的なところというのは、それなりの厳しいものも必要なのではないのかなとも思っております。

以上です。

【黒沼座長】

どうもありがとうございます。

先ほど来、公表についてはホームページでというご意見が多かったわけですけれども、ホームページで公表する場合に、同時に英語でも公表するということを考えておられるのでしょうか。それとも日本語だけでいいという、そういうことなのでしょうか。感触がわかるとありがたいと思っているんですが。

真野委員。

【真野委員】

私ども基本的に両方で開示しています。海外の投資家が非常に多いので、我々がホームページで公表するものは、全て英語で同時に公表しているんですけれども、それを全部の上場企業に義務化というと相当無理があると思いますので、基本的にはそれは望ましいとかいう程度がよろしいのではないかなと思います。

【黒沼座長】

公表が不要な情報提供の範囲ですけれども、守秘義務を負う者に対して情報提供をした場合に不要なのは当然だと思うのですが、業務上、その情報を使って取引を行ったり、業務を行ったりするときに、必ずしも守秘義務契約を締結しているとは限らない場合もあるように思うのです。そうしたときに、きちっと契約で守秘義務を負わせていないような場合に、どこまで広げるかということが多分問題になると思うのですけれども、実務的な感覚からいうと、どうなんでしょうか。インサイダーの重要事実を基準にして実務ではこうなっているというようなことをお教えいただいても構わないんですけれども。

神山委員。

【神山委員】

我々が例えばエクイティ・ファイナンスであるとか、M&Aをやるときには、基本的には重要事実だけを守秘しなさいということではなくて、あらゆる秘密情報に対して守秘義務を負うという形にはなっておりますね。そういう意味でいうと、守秘義務を負う者というのは1つの基準になると思います。

【黒沼座長】

どうぞ。大崎委員。

【大崎委員】

そこでちょっと、神山委員に質問というのも変なんですけど、ちょっと気になっていますのは、日本の場合、法人間の契約という考え方が非常に強いので、例えば証券会社と主幹事の契約を結んで、当然それは主幹事として入手する情報については守秘義務を負うということになるわけですけれども、その場合、同じ証券会社のアナリストは別に守秘義務契約を結んでいるというふうには思えないような気もするし、思えるような気もするんですが、それはどういうふうに発行者としては理解されているのでしょう。

【神山委員】

我々としては、それは証券会社さんの中でのウォールの問題だと理解しております。

【大崎委員】

なるほど。

【神山委員】

ですから、証券会社のアナリストの方と我々が直接に守秘責任を結びません。それ(自社のアナリストに対する情報管理)は証券会社さんの内部で処理していただいているものだという理解です。

【寺口委員】

内部で処理しております。

【黒沼座長】

私が想定したのは、これは対象となる情報受領者の範囲とも関係する問題なんですが、例えば、ある上場会社が取引先との間でいろいろな交渉をしているときに、その中に未公表の重要事実の伝達が含まれたような場合、それは業務上、伝達が行われていることは間違いないとは思うのですが、その情報についての守秘義務契約を一々締結していないだろうと思うんです。情報受領者の範囲を市場のプロに限れば、今のような場合は入ってこないわけですが、これを広くとると公表が不要な情報提供の範囲のほうで縛らなければいけないという問題が出てくるように思ったものですから。

【大崎委員】

そこについてちょっとよろしいですか。

【黒沼座長】

大崎委員、お願いします。

【大崎委員】

私も必ずしもほんとに実務をやっているというわけではないんですが、私の理解では、例えば、まさに重要事実に直接該当するような大きなことをやるときは、いろいろなところへ事前にご説明に行ったり、例えば会社のOBに話したり、あるいは所管官庁とか関係者に説明に行ったりということは実務上あり得るわけですよね。それが全部選択的開示だということになってしまうと、とてもじゃないけどやれないわけでありますので、これは情報受領者の範囲を限定するというやり方で、そういう変な効果が出ないようにしていくべきなんじゃないでしょうかね。

【黒沼座長】

三瓶委員。

【三瓶委員】

事務局の資料の6ページとか5ページですか、違いますね、これ何だろう。事務局の資料じゃないのかな。それぞれのEUにおけるフェア・ディスクロージャー・ルールと米国におけるフェア・ディスクロージャー・ルールの原文の資料がどこかにあったように思うんですが。

【田原企業開示課長】

参考資料です。全文ではないですけれども、抜粋になっております。そちらの5ページ、6ページです。

【三瓶委員】

例えば、EUにおけるというところの下から2行目にあるんですけれども、これは英国の場合もそうですけれども、守秘義務というのは、必ずしも書面とは限っていないんですね。口頭でも確認ができればいいというような形になっていて、意外にも非常にここは緩いというか、かちっとした書面がなければいけないわけでもないですね。それでSECのQ&Aにもあったと思いますけれども、例えば追加的に何か情報のやりとりをするといったときに、追加でまたメモランダムをつくる必要があるのかというと、そうでもなくて、これも口頭でお互いが「わかりました。絶対これはコンフィデンシャリティを守ります」と言ったら、それで済むという。その辺は意外に思うかもしれないんですけれども、そんな感じであると。

例えば、そもそも業として守秘義務があるであろうと思われている場合に、わざわざ契約書を交わすわけではないというところが一つ鍵になるのかなと。だからこそ、受領者として対象にしていない。なぜ受領者の対象になっていないかというと、そもそもフェア・ディスクロージャー・ルールの中では前提として、むしろ例外となっている方々こそ、守秘義務がもともと課せられていると。それを暗黙の了解としてわかっているからであるということだと思うんですね。そこを明確にしておく必要があるのではないかというのが1つです。

あと、先ほど申し上げた、必ずしもペーパーで守秘義務契約を交わしてはいないというところについては、これもSECのQ&Aにあったように記憶していますけれども、例えば大株主に対して、発行体がこれからある種のコーポレートアクションを考えていると。そのときに賛同してほしいために、あえて事前にその話を相談するというときに、守秘義務の関係を確認してセレクティブなディスクロージャーをするということがあると。これは発行体にとって大事なディシジョンであり、大株主にそこでサポートしてもらわなきゃいけないので、そういうことがあるというので、そもそもの業としてエグゼンプションになるのもありますけれども、非常に近い、本来だったら、まさかこの人がセレクティブ・ディスクロージャーとしてもらっていいはずがないなと思う対象者でも、コンフィデンシャリティの確認ができれば、そういうやりとりができるということが、このフェア・ディスクロージャー・ルールの非常に大事な部分ではないかなというふうに思いますので、そこについて明確化しておくことが必要じゃないかなと思います。

【黒沼座長】

どうもありがとうございます。

加藤委員、お願いします。

【加藤委員】

1点、情報受領者の範囲ですが、理論的には、対象となる情報の範囲と連動しているような気がしています。欧州には、未公表の重要情報を開示しなければいけないというルールがあります。つまり、会社は未公表の重要情報を全ての人が平等に利用できる状態にしなければいけないというルールが先にあるからこそ、選択的情報開示の受領者は広く解すべきということになります。このような考え方は、筋が通っているような気がします。

これに対して、アメリカでは、詐欺禁止規定に基づき、誤解を避けるために未公表の重要情報を開示する義務が生じない限りは、法令上は、未公表の重要情報を開示する義務は存在しないと思います。ですから、欧州と異なり選択的情報開示の対象者の範囲を広く解することは論理必然ではなく、別の観点から受領者の範囲を限定することが可能になるのだと思います。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

それから、神作委員からご指摘がありました情報提供者といいますか、誰が情報を伝達した場合に、発行者による公正な開示の規制の対象にするかという点も重要だと思うのですが、こういった点については、皆様からご意見ありますか。

大崎委員。

【大崎委員】

そこについては私も言い忘れたような気がするんですけど、どういう効果を生むルールにするかにもちろんよるんですが、基本的な発想としては、違反するようなフェアでないディスクロージャーが行われてしまった場合には、直ちにその情報を公開してくださいというのが最初に来るんだと思うんですね。それをやらない場合は、さらに警告なり罰則なり何かが出てくるという、そういうたてつけになると思いますので、じゃあ誰が公開するのかと言ったら、これは当然会社ですよね。ですから、漏らしてしまう行為も、会社がやったと同視できるような範囲に限定しないと、例えばたまたま重要な情報を知ってしまった平社員が友達に喜々としてしゃべったとかというのが、直ちに会社が開示しなきゃいけないという効果を生むというようなことになると収拾がつかないと思うんですね。もちろん、今のような例でも、そのしゃべられた相手がそれで株を買えば、当然インサイダー取引で罰則があるわけですから、それは全然別の問題として処理するべきで、この開示の問題としては、あくまでも会社の者として開示をする担当者に限定するべきではないかなと思います。ただ、もちろん代表者に限定するとかいうと、ちょっと狭過ぎるので、もう少し実務担当者も入れるべきだと思いますが、例えば奥野委員がおっしゃっていたような例でいくと、例えば工場を見学に行ったときに、その工場について説明した人が言ったことまでが選択的開示とみなされるというところまでいくと行き過ぎではないかと思います。

【黒沼座長】

上柳委員。

【上柳委員】

恐れ入ります。今の点ですけれども、これもEUの11ページの表の読み方が、必ずしも私は自信があるわけじゃないですけれども、やっぱり広めなんでしょうかね、EUのほうが。具体的にはこの発行者のために、もしくは発行者の計算において行動する者というものが発行者の社員全部になるとも思えないんですが、ただ、あえて言えば、神作委員が今挙げられたような例の場合で、やっぱり会社の組織として工場見学とかやっておられたら、そのときに担当の説明員が不用意な発言はしないようにというのは、会社の情報管理上、必要のような気もして、会社にとってそれを問題にするということが酷というところまでは言えないような感じがします。

ついでに先ほどの守秘義務の範囲の問題で一言つけ加えたいんですが、これもEUがそうなのか。先ほどのご紹介もございましたけれども、必ずしも守秘契約というのは明示のもの、あるいは法令に基づくものだけではなくて、事実上慣習的に守秘をすることになっているようなことも含むというふうに解釈できれば、多分、取引先であるとか、あるいは資本提携を考えているようなところについては守秘義務がかかっているというふうに考えてよいのではないかと思うんです。が、これまた、これを言うと範囲がはっきりしないとかいうことで、アメリカの情報などもexpresslyとかと書いて、そこをはっきりさせようとしているのかなというふうに思いました。

以上にします。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

【田原企業開示課長】

1点よろしいですか。説明の中で簡単に触れたので、ちょっと聞き逃されたかもしれませんけれども、10ページの一番下にEUの場合の適用の場合ということにつきまして、フェア・ディスクロージャー・ルールは、内部情報を雇用または職務上の通常の履行の過程で伝達するということになっていますので、情報を伝える、先ほどの大崎先生の出された例などは、対象には基本的にはならないということであろうかと思います。

それから、もう1点、情報の範囲のことでご検討いただきたいのは、やはりタイミングの問題がありまして、これは日本の重要事実ですとか、あるいは適時開示情報の難しいところかと思うんですけれども、決定して発生したりという時点を実務的にどう考えるかとか、解釈上どう考えるかということに少し乖離があるように思っておりまして、したがいまして、問題になったケースなどでは、こういった情報というものは、情報の質としては重要事実に当たり得るのかもしれませんけれども、適時開示ルールに明確に違反したというふうには言われておりませんので、考えようによってはまだ決定していなかったと。ですから、そういう意味ではタイミングという、情報の種類というものはおそらくそろえていくというのが1つのお考えとして今日示されたかと思うんですが、そのタイミングの話なども少しお考えいただければなというふうに思っています。

済みません、失礼いたしました。

【黒沼座長】

神山委員。

【神山委員】

今のタイミングという意味で言えば、例えば適時開示ルールにあるような重要事実とはもちろん決定事実ですから、経営陣が機関決定(意思決定)した後にしか重要事実にはならない。合理的に考えると、重要事実になり得るような情報、たとえば重要な情報というようなものを範囲に含めるというのは、今回のフェア・ディスクロージャー・ルールを制定するという観点からは必要なのではないかと思います。そのような意味で既存の適時開示ルールとの整合という意味では、将来的に適時開示ルールに規程された重要事実になりそうだというものについては、フェア・ディスクロージャー・ルールの範囲に含まれることを前提として、タイミングを意思決定のもう少し前まで持ってくるというようなことは十分考えられるのではないかと思います。

【黒沼座長】

真野委員、お願いします。

【真野委員】

今のお話に基本的に全く賛成なんですが、その意味においては、先ほど寺口委員がおっしゃられたとおりで、タイミングという問題でいうと、多分今回2つの問題案件が出たのは、ほとんどプレビュー取材だと思うんですね。プレビュー取材そのものを基本的には禁止する方向に、多分証券業協会もあると思います。我々は2年前からプレビュー取材はやっていないんですけれども、そういった意味では、その年のまさに決算見込みなど業績に関する情報などの範囲を明確にすれば良いのではないかと思います。これ自体はもう既に証券業協会のほうでガイドラインにしていただいているところと理解していますが、それに沿って考えれば、同種の問題は避けられるというふうに私は思います。

【黒沼座長】

よろしいでしょうか。これから議論していきますので、今後ともご意見をお寄せいただきたいと思いますけれども、本日、ほかにご意見、ご質問がございませんようでしたら、討議を終わらせていただきます。

本日いただきましたご意見を踏まえ、次回以降、さらに議論を深めてまいりたいと思います。

最後に、事務局のほうからご連絡等がございましたら、お願いします。

【田原企業開示課長】

次回の日程につきましては、皆様のご都合を踏まえて、再度調整させていただいてご案内させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

【黒沼座長】

どうもありがとうございました。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局企業開示課(内線3665、3802)

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