金融審議会「金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループ」(第1回)議事録

  • 1.日時:

    平成27年5月19日(火)16時00分~18時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

【岩原座長】

それでは、予定の時刻となりましたので、ただいまより「金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループ」第1回会合を開催いたします。皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

私は、当ワーキング・グループの座長を務めさせていただきます早稲田大学の岩原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

初めに、当ワーキング・グループについてご説明いたします。当ワーキング・グループは、3月3日に開催されました金融審議会総会金融分科会合同会合において麻生大臣より諮問をいただきました「金融グループを巡る制度のあり方に関する検討」を行うため、設置されたものであります。お手元の諮問文にもございますとおり、金融グループの業務の多様化・国際化の進展等の環境変化を踏まえ、金融グループを巡る制度のあり方等について検討していきたいと考えております。

次に、当ワーキング・グループにご参加いただきます委員の皆様をご紹介したいと存じます。お手元に名簿をお配りしておりますが、委員の皆様のご紹介を事務局からお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

総務企画局信用制度参事官、佐藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、私から当ワーキング・グループの委員の皆様のご紹介をさせていただきます。座席順にご紹介をさせていただきます。委員の皆様の右側から翁百合委員でございます。

【翁委員】

よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

続きまして、加藤貴仁委員でございます。

【加藤委員】

加藤です。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、川村健一委員でございます。

【川村委員】

川村です。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、小鈴裕之委員でございます。

【小鈴委員】

小鈴でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、中村善二委員でございます。

【中村委員】

中村でございます。どうぞよろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、野崎浩成委員でございます。

【野崎委員】

野崎です。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、林田晃雄委員でございます。

【林田委員】

林田です。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、福田慎一委員でございます。

【福田委員】

福田でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、藤井文世委員でございます。

【藤井委員】

藤井でございます。よろしくお願い申し上げます。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、藤原弘治委員でございます。

【藤原委員】

藤原でございます。よろしくどうぞお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、舩津浩司委員でございます。

【舩津委員】

舩津でございます。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、松井秀征委員でございます。

【松井委員】

松井でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、宮本勝弘委員でございます。

【宮本委員】

宮本でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、家森信善委員でございます。

【家森委員】

家森です。どうぞよろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、吉崎健委員でございます。

【吉崎委員】

吉崎でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

また、大崎貞和委員につきましては、遅れてご到着される旨、連絡を承っております。また、本日はご欠席ですが、当ワーキング・グループの委員として、神作裕之委員にもご参加いただくこととなっております。

続きまして、オブザーバーをご紹介させていただきます。あちらのほうでございますが、法務省民事局より竹林参事官でございます。

【竹林オブザーバー】

竹林でございます。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、財務省大臣官房信用機構課、馬場課長でございます。

【馬場オブザーバー】

馬場でございます。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

そのお隣、日本銀行金融機構局、野村審議役でございます。

【野村オブザーバー】

野村でございます。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

なお、事務局につきましては、時間の都合もございますので、お手元の配席表をもって紹介にかえさせていただきます。なお、総務企画局長の池田につきましては、ただいま国会業務のため、若干遅れて到着する予定となっております。

私からは以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、議事の進め方について幾つかご確認をさせていただきたいと存じます。まず、当ワーキング・グループの日程でございますが、皆様のご参加いただける状況を勘案しつつ、当面は原則として月2回程度のペースで開催し、関係者等の皆様からのヒアリングを中心に進めていきたいと考えております。また、当ワーキング・グループは原則公開とし、議事録も公表させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。したがいまして、公表を前提としたご意見、ご発言をいただければと考えております。皆様、このような形で議論を進めるということでよろしゅうございましょうか。

(「はい」の声あり)

【岩原座長】

どうもありがとうございます。そのように進めさせていただきたいと思います。

次に、私が万が一、会議に参加できない場合に備えまして、座長代理を福田委員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岩原座長】

ありがとうございます。それでは、福田委員、恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

それでは、議事に移らせていただきます。議事次第にございますように、本日は、まず事務局から金融グループを巡る制度の変遷等について説明をいただきたいと思います。次にヒアリングに移りまして、小鈴裕之委員から「グローバル金融規制改革と金融グループを巡る動向」についてお話をいただき、その後に一括して自由討議を行います。本日は、このような流れで議事を進めたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

それでは、事務局からよろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

改めまして、総務企画局信用制度参事官、佐藤でございます。資料3という資料がお手元に配付されているかと思います。表に事務局説明資料(金融グループを巡る制度の変遷等)と書いたものでございます。1枚表紙をおめくりいただきたいと思います。まず、制度の変遷のご説明に入る前に諮問の背景、問題意識等について簡単にご説明を申し上げたいと思います。真ん中に背景と書いております。○を2つ書いておりますが、大きく2つの問題意識がございます。

最初のところ、金融審議会では、決済業務の高度化についての審議が進められているところでございます。これは、金融審議会に「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」を設置しまして、先般、その中間整理が公表されたところでございます。この議論を通じて、決済の高度化という問題が金融グループのIT戦略、さらにはグループ全体の経営戦略の問題と密接不可分ということが認識されるに至っております。

ページは飛びますが、19ページをお開きいただきたいと思います。ここで円グラフと棒グラフを2つ並べております。決済の高度化という文脈で、スタディ・グループで議論がなされる中、紹介をされた資料でございます。左にアメリカの銀行のIT予算の優先投資分野という表がございます。これはTechnology Business Researchというアメリカの会社がアンケートをもとにして集計した資料でございますが、中身を見ると、IT投資の中で維持への投資、レガシーシステムの維持・管理等々に対する投資よりも、変化への投資、マルチチャネル・バンキングやデータマネジメント、サービスの高度化等に向けた変化のための投資が多いという姿が示されております。

一方、右側のほう、邦銀のシステム関連経費の目的別内訳とございます。これは出所はFISC――金融情報システムセンターがこれもアンケート調査によりまとめたものでございます。内容を見ると、一番上の白抜きのところ、安全対策が約9%、その下、水色の維持・運用のところが約7割程度、一番下の赤い部分、新規開発が2割を若干上回る程度ということになっております。米国の銀行などがIT投資を積極的に行うことによって決済をはじめとするサービスの高度化に向けた動きをしているといった問題意識がこのスタディ・グループの中で登場し、そうしますと、決済の高度化というところは単にそこにとどまるだけではなしに、金融グループのIT戦略やグループ全体の経営戦略の問題と深く関係しているのではないかという問題意識でございます。

もう一度、1ページ、最初のところにお戻りいただきたいと思います。先ほど冒頭の2行をご紹介申し上げました。3行目からでございます。もう一つの問題意識としまして、足許、金融グループの多様化・国際化等が進展している。持株会社その他の金融グループを巡る現行の制度は、これらの実態に必ずしも十分に適合していないという指摘も存在している。その下に若干敷衍しまして4点ほど黒い丸で書いております。最初の丸でございますが、主要行グループを中心に、金融グループの業務のうち、例えば国内銀行本体からの収益、この比重が低下の傾向にある。他方で、近時の国際的な議論では、持株会社を中心とした金融グループ全体の健全性などを母国当局が責任を持って監視していく、監督していくという流れにある。また、グループ全体の競争力強化に向け、持株会社にはグループ全体の戦略的な経営方針の策定、的確な経営・リスク管理、そのために必要な資本・資金の調達など、より幅広い中核的な役割が求められる傾向にある。これに対し、現行の銀行法上、持株会社は金融機関の主要株主の一形態という位置づけである。さらに、グループのシナジー、コスト削減効果を高めるため、グループ全体で柔軟な業務展開を可能とする枠組みを望む声もある。

このような背景のもと、その下に薄いオレンジ色で囲っているところがございます。金融グループにおいて、持株会社が、より一層実体を持った中核的な存在として機能を発揮することを可能するとともに、銀行本業とのシナジーが期待できる分野において柔軟な業務展開を可能とするため、金融グループを巡る制度のあり方について検討が必要ではないか、このような問題意識でございます。

これにより、その下、水色で書いておりますが、左のほうですが、持株会社を通じた機能発揮ということで、持株会社による戦略的な経営方針の策定、グループ全体の経営やリスク管理の強化、その反面、右側のところですが、柔軟な業務展開ということでグループ共通業務の統合的な実施や、あるいは持株傘下の子会社の業務範囲の柔軟化、こうしたことを通じて下の緑色のところ、金融事業を巡るシナジー、コスト削減効果の拡大などが期待できるのではないか、こういうことでございます。

以上が諮問の背景、問題意識でございまして、次のページ、2ページ目をお開きいただきたいと思います。2ページ以降、制度の変遷について簡単にまとめているものでございます。制度といいますのは、金融グループに関係する制度の変遷ということでございますが、最初に業態別子会社による相互参入に関する答申が平成3年に、当時の大蔵省の金融制度調査会から答申が出されました。ここに書いておりませんが、この当時の背景としまして、金融のグローバル化、あるいは金融商品、サービスへのニーズの多様化、高度化といったような背景、また、資金の効率的な活用が時代の要請であるということを踏まえて、業態別に分かれている制度について相互参入をいかにして進めていくのか、そういうことについての答申が出されております。

最初に基本的な考え方ということで、ポイントだけかいつまんでご説明申し上げます。アンダーラインを引いておりますが、まず、各業態の金融機関が相互に他業態の業務にも幅広く参入していくことができるようにすることが適当である。次のパラグラフ、アンダーラインのところですが、国際性の観点からも我が国において幅広い相互参入を行うことが適当である。その次のパラグラフですが、一方で、預金者保護や信用秩序の維持、利益相反による弊害防止、金融機関による企業支配の回避、参入段階における競争条件の公平性や現行制度との連続性等にも配慮する必要があるという基本的な考え方が示され、次のページですが、これを踏まえて具体的に、どういう相互参入方式が適当かということで、最初のパラグラフの2行目に「しかし」とあります。当時、独占禁止法の第9条という持株会社を禁止する条項がございました。現時点においては、金融制度見直しという目的だけのためにその改正を求めることは適当とは言えないと考えられる。「従って」としまして、我が国の場合には持株会社形態に比べれば、子会社を通じて相互参入を図るという制度的枠組みのほうが相対的に問題が少ないと考えられるということで、これを踏まえて、その下にあります平成5年4月に施行されました金融制度改革法におきまして、業態別子会社による銀行・証券・信託の相互参入が可能となったところでございます。

その次のページ、4ページをお開きいただきたいと思います。一方で、金融の外の世界、独占禁止法の世界で純粋持株会社の解禁に関する議論が高まってまいりました。「規制緩和推進計画について」という平成7年3月の閣議決定におきまして、持株会社規制について事業支配力の過度の集中を防止するといった趣旨を踏まえ、系列、企業集団等の問題に留意し、我が国市場をより開放的なものにし、また、事業者の活動をより活発にするといった観点から持株会社問題について検討を開始し、3年以内に結論を得るという方針が出されました。その下にあります、平成8年の閣議決定におきまして、事業支配力の過度の集中を防止するという独占禁止法の目的を踏まえて持株会社を解禁することにし、そのための法案を提出するとされました。

その下でございますが、この独占禁止法の改正法案に対する附帯決議が平成9年5月、衆議院商工委員会でなされ、参議院でも同様の附帯決議がなされております。持株会社が解禁するという中で、金融に関する持株会社について、競争政策の観点とともに、金融政策の観点から引き続き検討を行い、解禁に当たっては金融関係法制の整備等、必要な措置を講じることとされております。

次のページ、5ページをお開きいただきたいと思います。こうした流れの中で銀行持株会社につきまして、平成9年6月、金融制度調査会の答申が出されております。ここでは独占禁止法改正法案が成立した直後ということで、2つ目のパラグラフに書いておりますが、金融分野における持株会社の活用について、利用者利便の向上等、金融システム改革の趣旨、預金者、投資者、保険契約者の保護等の観点からの検討が必要である。

その次のパラグラフですが、銀行の持株会社活用の意義・役割を整理すれば以下のとおりであるということで何点か書かれております。最初のアンダーラインのところですが、銀行の経営形態の選択肢の拡大をもたらすもの、持株会社の活用により分社化を通じた専門化・高度化した金融サービスの提供が可能、また、銀行による金融関連の新規分野への参入や銀行以外の業態からの銀行分野への参入、特定の分野からの撤退を円滑化する、さらには持株会社の傘下で金融業務を営む子会社間における相乗効果の発揮も期待できる。

その次の行ですが、金融分野での競争の促進と銀行経営の効率化が期待され、また、利便性や資産運用の効率性を高めるような金融サービスの開発・提供が促進され、利用者利便の向上にも資すると考えられるということでございます。

その次のページ、続きでございますが、6ページ。1行目のところにあります同一持株会社の傘下の子会社、いわゆる兄弟会社間は親子会社間に比して直接の出資関係が希薄である。4行ほど飛びましてアンダーラインのところですが、したがって、このリスク遮断等の面では相対的に優れている。この持株会社を通じた兄弟会社化による合併代替、業務提携の強化も可能となるため、銀行経営の基盤の強化、経営の効率化とも相まって金融システムの安定化にも資することが期待される。このように持株会社の活用は金融の効率化、金融システムの安定化及び利用者利便の向上に資することが期待され、金融システム改革の中で重要な役割を担うとされております。

一方で、一番下から2行目のところにあります、基本的には銀行を保有する持株会社が一般事業会社を保有することは必ずしも適当ではないという考え方がここで示されております。

その次のページ、7ページでございますが、事業会社の保有は望ましくないという一方で、「ただし」とありまして、ただし、銀行を保有する持株会社の一般事業会社保有を制限する場合でも、情報通信分野等の技術革新等を背景に金融サービスの高度化・多様化が進展しており、金融関連分野と一般事業の境界が必ずしも明確に区分できなくなっている面もある。こういうことから実態の変化を踏まえつつ、金融の効率化や利用者利便の向上等の視点に立って弾力的に対応していくことが必要、こういうことも記載されております。

この答申を受けまして、持株会社関連二法というものが平成10年3月に施行され、ここで銀行持株会社が解禁されております。その下に概念図を書いておりますが、銀行持株会社が上にあり、その下に子会社として銀行、証券、保険等々を置くことができ、一方で右側のところ、一般事業会社につきましては、持株会社と子会社の合算で議決権の15%以内という縛りがかけられております。

その次のページ、8ページにお進みください。今、持株会社の解禁の話を申し上げましたが、そういう流れの中で、今度は、親子会社形態での業務範囲について、金融制度調査会の報告書が出されております。2行目、アンダーラインのところでございますが、親子会社形態についてもグループ形成の際のコスト面等において、持株会社形態とは異なるメリットがある。このため、銀行がこれを活用して利用者利便の向上と国際的な競争を行い得る枠組みを整備し、組織形態選択の自由度をさらに高めていくことが必要である。

また、若干飛びまして次のアンダーラインのところですが、銀行グループは、一般事業を営む会社を含み得ないこととしつつ、金融関連分野の業務を営む会社を幅広くグループ化し得ることが必要である。銀行持株会社グループについては既に法制化されており、親子会社グループについても銀行子会社を含め、同様の業務範囲とすることが適当である。

次の行でございますが、こういうことを受け、銀行持株会社グループに課せられている一般事業会社の株式保有割合制限は、親子会社グループに対しても課すことが必要であるとされ、それで、「具体的には」という下から2行目のところですが、一般事業会社については、現行独占禁止法上5%とされている株式保有割合制限を参考に決定することが適当であるとされました。ここで「現行」とありますが、その当時、既に独占禁止法では競争政策の観点から5%という株式保有割合制限が銀行に課せられておりました。銀行に対する金融の観点からの規制としても、同様に5%のルールが定められたところでございます。

次のページ、9ページにお進みください。今の報告書を受けまして平成10年、金融システム改革法が施行され、銀行の子会社範囲の整備、また、今申し上げました銀行の株式保有割合制限、5%ルールの導入がされました。この段階での概念図を下に記載しております。銀行あるいは銀行持株会社が上にあり、その下にある子会社の範囲というのは原則同じである。ただ、一番右のところでございますが、一般事業会社の議決権をどれだけ持てるかにつきましては、持株会社グループでは15%以内、銀行のほうは銀行と子会社の合算で5%以内というルールが整備されたところでございます。

その次、10ページにお進みください。次に、主要株主に関するルールの整備というものが平成12年に金融審議会の報告に出されました。この背景としましては、1行目にあります、異業種が銀行業に参入するといった新しい動きが見られるようになった、これを受けて、まずこの動きは積極的に評価すべきであるが、こうした動きにマッチした適切なルール整備も必要であるとされたところでございます。

次のアンダーラインのところですが、既存銀行の相当程度の株式を取得して銀行経営に関与しようとする株主について、法人であれ、個人であれ、取得をしたとき、また、取得をした後を通じて行政による適切なチェックの仕組みを整えることが必要、これを受けてその下のアンダーラインですが、議決権の20%以上、原則20%以上の株式を保有する者に対して、銀行の経営に対する実質的な影響力があるであろうと。こういうことに着目して主要株主と位置づけ、株式取得に関して認可制とした上、行政による適切な監督の対象とすることが適当であるとされたところでございます。

その次に11ページでございますが、続きがございます。今、20%以上の議決権を持つ方については認可制となりましたが、特に50%を超えて保有するような主要株主の場合には単独で銀行の支配力を有している、このため、銀行経営の健全性確保のための措置を求めることが考えられるとされました。

これを受け、平成14年に施行された改正銀行法では、銀行の議決権の20%以上の保有者を銀行主要株主として規制対象にし、50%超の保有者である場合には銀行経営の健全性確保のための改善計画の提出を求めるといった権限も当局に付与されたところでございます。

その次のページにお進みください。次の12ページに、それから数年を経まして平成19年に、銀行グループの業務範囲の拡大について金融審議会で議論が行われました。「はじめに」と最初にございますが、金融グループには、自ら創意工夫を凝らしながら、多様で質の高いサービスを提供していくことが従来に増して求められている、このために銀行・保険会社グループの業務範囲規制のあり方について、今日的――当時の今日的ですが、その視点から規制の趣旨や業務の特性等を踏まえて見直していくことが適当であるという基本的な考え方でありまして、その下に1.の「基本的な考え方」とありますが、アンダーラインを引いているところでございますが、個別の業務につきまして銀行・保険会社本体、子会社、兄弟会社のいずれに認めるかについては、他業禁止の趣旨も踏まえつつ、銀行等々の本来的業務との機能的な親近性、また、負っているリスクとの同質性、本体へのリスク波及の程度等を勘案して決定すべきものと考えられるとされております。

その次のページにお進みください。このリスクの問題について若干踏み込みまして、銀行の兄弟会社の業務範囲については、銀行の子会社に比して緩和する余地があるのではないかとされたところでございます。次のパラグラフですが、十分な経営管理・リスク管理が確保されていることを前提として、銀行の兄弟会社に新たに特別の業務を認めていく制度的な枠組みを導入していくことが適当、その制度設計としてマル1マル2とございます。

マル1のほうは、米国の金融持株会社における補完的業務のように、行い得る業務に特段の限定はかけずに当局の個別の許認可のもとで新たな業務を認める方式。または、あらかじめ行い得る業務を法令で限定した上で当局の個別の許認可のもとで新たな業務を認める方式の2つがあり得るとした上で、最後の2つの行ですが、このマル2の方式、すなわち、あらかじめ行い得る業務を法令で限定した上で許認可のもとで新たな業務を認める、これを基本としつつ、金融を巡る状況の変化等に応じ、可能な限り柔軟に対応していく枠組みを確保していくことが現実的な方策として適当ということでございます。

その次のページ、14ページにお進みください。今のような基本的な考え方を踏まえて、当時、個別の業務について整理をされました。個別の業務というのはコモディティ(商品デリバティブ)、あるいはイスラム金融、排出権取引、リース、マーチャント・バンキング業務、投資助言・代理ということでございますが、これについてそれぞれ認めることが適当、あるいは今後引き続き検討ということなどが整理され、それを踏まえて平成20年施行の改正銀行法では、銀行本体の業務範囲として商品デリバティブ、排出権取引等が認められ、また、銀行の子会社の業務としてイスラム金融、リース子会社の中古物件販売等が認められ、また、銀行持株会社の子会社の範囲の特例として商品の現物取引が可能となったところでございます。

その次のページ、15ページにお進みください。長々とご説明申し上げましたが、今まで申し上げてきたような制度の変遷を踏まえて、現在の銀行持株会社を中心とした銀行グループの範囲の概要をまとめております。まず、銀行持株会社というのは、銀行を子会社とする独占禁止法上の持株会社である。その下に子会社として保有できる範囲として銀行、金融機関、外国金融機関、金融関連業務、従属業務、また、投資専門子会社、さらに、例えばベンチャービジネスや事業再生会社等は、この投資専門子会社を通じて、銀行持株会社からすると孫会社のような形で持つことができる。右下の吹き出しで書いておりますが、詳細な要件が規定されております。例えば、ベンチャービジネス会社の場合は非上場であって中小企業、なおかつ設立後の年数や研究費、研究者数等の要件が定められているところでございます。

右側の一般事業会社のところは先ほどご説明申し上げましたとおり、議決権のグループ全体で15%超の保有は禁止されております。また、真ん中より少し左側のところに三角の印がついているところがございます。外国の金融機関を日本の銀行持株会社が買収したような場合に、その外国の金融機関がいろいろな子会社を持っている可能性がございます。日本の法制に照らした場合に、その海外の子会社が規制の対象になる場合には、認可制のもとで5年以内に限って保有が可能とされており、その後、1年ごとの承認を受けた場合には引き続きこの業務範囲外の海外子会社を保有することができるという制度となっております。

その次のページ、16ページをお開きください。現行の銀行法における銀行持株会社に関する規定を簡単にまとめたところでございます。現行法上、持株会社は金融機関の主要株主の一形態という位置づけで、左側の参入規制、先ほど申し上げましたが認可制となっております。業務・組織の規制につきましては、持株会社の業務範囲は子会社の経営管理とこれに附帯する業務に限る、子会社の範囲は銀行の子会社の範囲とほぼ同一である、持株会社と他の会社、子会社である銀行等の取締役の兼職について、認可制がございます。

右側の行為規制としまして、経営の健全性確保のための諸規制。大口信用供与規制とか、自己資本比率規制、議決権の取得等の制限、先ほども申しました15%に限るといった規定があり、また、顧客の利益保護のための規制として利益相反管理体制の整備、ディスクロージャー義務、連結ベースでのディスクロージャーの義務が課され、貸借対照表とか、業務・財産の状況に関する説明資料の公開が義務づけられております。

こうした規制の実効性を確保するための監督規制として下にございますが、当局による報告を求めること、立入検査、また、銀行の経営の健全性を確保するための経営計画の提出命令、さらには認可の取り消しといった権限が付与されております。

以上が制度の変遷及び現状でございまして、最後に17ページに先般3月3日に金融担当大臣から、この金融グループを巡る制度のあり方について諮問があった際の金融審議会総会における委員のご発言につきまして、簡単にまとめたものでございます。かいつまんでポイントだけご説明申し上げますと、最初のところは日本の抱えている金融環境は大きく変わってきている。これまでのビジネスモデルのままではなかなか日本の金融業というのは成り立たない。1行飛びまして、そういう意味で持株会社中心に金融ビジネスを考えていくというビジネスモデルは正しい方向性だと思う。

その次のところ、持株会社自体のコーポレートガバナンスをどのように強化していくか、これが重要だと思う。これを考える上でグローバルなスタンダード、それにプラスして日本が抱えている固有の問題というものをどのようにバランスを取りながら考えていくのかということが重要である。

その次のところでございますが、銀行持株会社に対する規制が非常に厳しくなっているということについて、これまで本格的には検討されたことがなかったと思われる。規制の導入以後15年近く経過しており、その間にも銀行業務の位置づけ、銀行に期待される役割というものは随分変わっているので、現在のような規制を見直す必要はないかということを本格的に検討することはよいことではないか。

その次でございます。技術革新の動きは非常にスピードが速い。したがって、銀行グループの業務範囲について限定列挙のものを広げていくということだけではなく、個別に非常に健全性の高いところ、ガバナンスがきちんとできているところについて個別の認可をしていくというようなやり方も含めて幅広く検討していただければと思う、といったご発言がございました。

以上、若干駆け足になりましたが、諮問の背景、問題意識、また、これまでの制度の変遷等につきましてご説明を申し上げました。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

引き続きまして、小鈴委員から「グローバル金融規制改革と金融グループを巡る動向」についてご説明をいただきたいと思います。

それでは、小鈴委員、よろしくお願いいたします。

【小鈴委員】

改めまして、みずほ総合研究所の小鈴と申します。私からは金融グループに関係する海外の動向につきましてご説明をさせていただきます。これからお話しする内容につきましては、本日ご出席の皆様におかれましては既にご存じの内容も多々含まれているかと思いますが、本日は第1回目の会合ということでもございますので、これから議論していく上での基本的な事項の整理ということでお付き合いいただければと思っております。また、海外の動向と申しましても、その範囲は大変広いものとなりますので、本日は、私どもが見聞きしている範囲内でのご説明にとどまりますことをご容赦いただければと思います。

では、1ページ目の目次部分を使いまして、本日ご説明します内容の全体感を簡単にお話しさせていただきます。まず、本日のご説明につきましては、大きくは3つのパートから構成させていただいております。第1章では、国際的な金融規制改革の動向を整理した上で、日米欧の大手銀行グループの健全性ですとか、収益性が現在どのような状況にあるのかということを見ていきたいと思っております。第2章では、規制や監督・ビジネスといった面で金融グループがどのように位置づけられているのかということにつきまして、グローバルな視点から見ていきたいと思っております。そして、第3章では、金融グループの業務範囲につきまして、銀行グループにフォーカスしながら、これまでの経緯ですとか現状について整理した上で、最後に我が国が置かれている状況ということにつきましても、拙いながらも私なりに整理してみたというところでございます。

では、早速、第1章のグローバルな金融規制改革の動向から見ていきたいと思います。3ページをご覧ください。こちらのページでは、まず金融危機で明らかになりました問題点とその再発防止に向けた規制改革の全体観というものをお示ししております。下のほうのボックスで4つほど主要な改革を並べておりますが、次のページ以降でそれぞれ簡単に確認していきたいと思っております。

では、4ページをご覧ください。まず、バーゼルⅢについてでございます。バーゼルⅢにつきましては、改革の大きな枠組みにつきましてはほぼめどがついたところではありますが、右側にございますとおり、ここに来て追加の見直し案がいろいろと出てきているところでございます。特に邦銀グループにとりましては、銀行勘定の金利リスクの話ですとか、標準的手法の見直し、あとソブリンリスクの取り扱いといったようなことなど、いずれも影響の大きなものばかりでございまして、今後の議論の行方というものから目が離せない状況にあると認識しているところでございます。

続きまして、5ページをご覧ください。システム上重要な金融機関への対応ということでございます。いわゆるG-SIBsに対しましては、自己資本の上乗せですとか、あとは足許TLACと呼ばれる破綻時に備えた総損失吸収力というものを確保するようなルールが検討されているところでございます。特にTLACのほうにつきましては、その要求水準次第では追加の資本調達などの新しい対応が必要になってくるという可能性もあると思っているところでございます。

続きまして、6ページをご覧ください。今般の金融危機が世界的に拡大する原因ともなりました店頭デリバティブについてでございます。大きくは真ん中のところにございますが、清算集中義務と証拠金規制という2本立てで危機の連鎖を防いでいくという構図でございます。いろいろとクロスボーダー取引に起因する問題があることに加えまして、直接的な規制対応コストですとか、あと市場流動性の低下によるコストアップといったようなところも懸念されていると聞いております。

続きまして、7ページでございます。米国のボルカー・ルールをはじめとします、銀行からの高リスク業務の隔離についてでございます。本日、ご用意しました資料、イメージ図でございますので、正確には表現しきれていない部分がございますが、業務の禁止ですとか、業務の切り離し、またはそれらの組み合わせといったさまざまな方法で高リスク業務の抑制というものが図られております。したがいまして、銀行が以前のような高リターンのビジネスを行うことは難しくなってきていると思われるところでございます。

続いて、8ページをご覧ください。以上、規制改革のお話を申し上げましたが、そのほかにも新たなリスクですとか、脆弱性への対応ということが必要となっている面もございます。例えば、一番右下になりますが、最近、急速に拡大しており、手口も絶えず巧妙化し続けているサイバー攻撃への対応をはじめとしまして、金融グループが手間やコストをかけて今後対処しなくてはならない課題というのは、まだまだ多いと認識しております。

続いて、9ページをご覧ください。こうした金融規制改革などを受けまして、日米欧の大手銀行グループが今どのような状態にあるかを確認しておきたいと思います。まず、こちらのページでは健全性の面で普通株等Tier1比率とレバレッジ比率を挙げさせていただいております。いずれの比率につきましても、ある程度余裕を持ってクリアしている状況ではないかと思っておりますが、ただし、先ほどご説明しました、現在進んでいる各種の見直しの結果ということ次第では、やはり一層の健全性向上というものが求められる可能性もあると思っております。特に右側のレバレッジ比率につきましては、現行の3%の水準、これは試行的な段階のものでございますので、米国独自の規制が5%とか6%という目線であることなどを考えますと、やはり最終的には切り上がってくる可能性も十分考慮しておく必要があると思われるところでございます。

続きまして、10ページをご覧ください。こちらのほうは収益性でございます。全体的に見ましてもやはり危機前の水準には戻っていないということと、あと株価のところを見ていただいても、世界的な低金利の長期化ですとか、さらなる規制強化といった先行きの不透明感などを織り込んでいるためということかもしれませんが、株価の回復は遅れているという状況でございます。マーケットもそう見ているということを映しているということかもしれませんが、やはり銀行ビジネスを取り巻く環境というのは今後も厳しいのではないかということが感じられるところでございます。

以上が第1章でございまして、続きまして、第2章の金融グループをベースとした規制・監督・ビジネスの流れのほうに入らせていただきます。12ページをご覧ください。こちらのページでは、まずグループベースでのガバナンスですとか、監督に対する国際的な要請が高まっているということについて見てみたいと思います。皆様、ご案内のとおり、金融危機の際には、グループ内の1つの部門が過度なリスクをとったことでグループ全体の経営が悪化したりですとか、グループが複雑な構造になり過ぎたことで経営のコントロールが十分に効かなくなったりするといったような問題が顕在化したわけでございますが、そうした反省からやはりグループベースでの強固なガバナンス体制というものを構築していくことが大事であるということが国際的に強く認識されるようになっておりまして、バーゼル銀行監督委員会から原則が示されているところでございます。

一方、右側になりますが、金融機関を監督する側の監督当局のほうに対しましても、金融グループの全体構造をしっかりと理解した上でグローバルな銀行グループの活動というものをしっかりと連結ベースで監視していくということが強く求められているところでございます。

続きまして、13ページをご覧ください。国際的な議論という点では、金融規制改革におきましても金融グループを一体として捉えた形での規制が検討されております。先ほどの資料にもございましたし、あと3月3日の総会の資料にも盛り込まれていたお話ではございますが、例えば、破綻処理戦略につきましては、G-SIBsの多くの母国当局がSPE――Single Point of Entryという破綻処理当局が頂点の会社にアプローチしていくという方法が望ましいと考えているところでございまして、一部の国では具体的なスキームの提示もされているところでございます。こういったSPEに基づきますと、持株会社などの頂点の親会社は子会社の経営が悪化した場合、持分の棄損のみで済むという単なる大株主ということではなくなりますので、やはり子会社との一体性ですとか、あとグループとしての連関性というのはより高まっていくということになると思います。また、監督する側におきましても、母国の当局が母国以外の当局と連携してグループ全体をしっかりと監督していくということがより重要になってくるかと思われます。

一方、先ほどご説明したTLACにつきましても、破綻処理権限が適用されるエンティティに対してTLACを確保することが求められる見込みでございますので、仮にその他のエンティティがTLACに適格な負債等を持っていたとしても、規制上はTLACとして認められないということになってまいります。SPE戦略が想定される場合におきましては、頂点の持株会社等がそうした負債などをグループ分をまとめる形で発行するといったようなことなど、グループ内でより資金を柔軟にシフトしていくことが必要になると考えられるところでございます。

続きまして、14ページをご覧ください。国レベルに視点を移してみましても、金融グループを一体として捉える形での規制・監督という枠組みが導入されているということでございます。例えば左側になりますが、米国ではドッド・フランク法によりまして金融業態を中心的な軸とした監督体制に加えまして、システミックリスクの大きさを基準にして選別した金融グループというものをFRBが一元的に監督していくという体制に移行しております。そうした枠組みにおける検証項目の中には、単なるエンティティベースだけではなくて、後ほどご説明する大手銀行グループのビジネスラインといったものを軸としたチェックの方向も示されているところでございます。

一方、右側になりますが、英国のほうでも、従来は金融持株会社ですとか保険持株会社など金融機関の親会社というものは当局の監督の対象外であったわけでございますが、2012年金融サービス法によりまして監督権限を親会社にも行使できるようになりまして、グループ全体が監督対象ということになってきています。

続いて、15ページをご覧ください。次はビジネスの面ということで、大手銀行グループの経営体制を見てみたいと思います。まずは15ページ、米銀の例といたしまして、JPモルガン・チェースのビジネス展開を、これはイメージ図ということで表してみました。右側にございますとおり、持株会社のもとに3つの主要な金融機関というものをぶら下げる形になっておりますが、実際のビジネスはこうしたエンティティ単位ということではなくて、顧客セグメントごとのビジネスラインという横の串のほうで展開しているということでございまして、各ラインに置かれたCEOの指示のもとで、エンティティ間で適宜情報も共有しながら一体的に営業して、組織運営・管理もこの軸を中心に行っているというところでございます。

続いて、16ページをご覧ください。今度は欧州の大手銀行の事例ということでBNPパリバのビジネス展開を同じくイメージ図にしてみたところであります。こちらではイメージをつかみやすいように、2006年という金融危機前の一番手広くビジネス展開をしていたタイミングを例として挙げております。欧州のほうでは、ご案内のとおり、伝統的にユニバーサルバンク形態が一般的でありまして、国によっては一部の業務を子会社形態とするよう義務づけるなどやや異なる部分等もありますけれども、基本的には銀行自体が証券業務、保険業務、また不動産業務なども含めていろいろなことを行うことができるということになっております。そういう意味では、米国以上に自由度の高い形で多面的な営業が可能となっているということでございまして、こちらに示しているBNPパリバも、図のように一部子会社なども使いながら幅広いビジネス展開をしているというところでございます。

続きまして、17ページをご覧ください。以上のようにグローバルに見渡してみますと、金融に関係するさまざまな場面でグループを一体として捉えて、その機能をより強化していくということへの要請というものが、金融グループの内側からもそうですし、外側からも高まっていると思っております。こうしたグローバルなトレンドに対しまして、我が国はそもそも他の主要国と比較して遜色ない水準にあるのか、また、こうした動きに柔軟に対応できるようになっているのかといった点で再点検していくということは非常に大事なことであると考えております。例えば、邦銀のグループベースでのガバナンスというものは欧米と遜色ない水準にあるのかといった点ですとか、あと日本企業のグローバル展開というものが今後より加速していく中で、それを支える邦銀グループにおきましても、グローバルな競争力を高めていくことが求められていると認識しておりますが、一方で、邦銀グループはライバルである欧米の大手銀行と戦略上、同じようなオプションをチョイスできるのかといったような点もあると思われるところでございます。

以上が第2章でございまして、続きまして、最後の第3章になりますが、銀行グループを中心に業務範囲を巡る動向ということについて見てまいりたいと思います。19ページをご覧ください。初めに、欧米における銀行グループの業務範囲規制と出資規制の概要について見てみたいと思います。まず、米国でございますが、詳細は後ほどご説明させていただきますけれども、銀行グループの業務範囲は原則として法令で限定列挙ということになっておりまして、銀行と一般事業会社間の出資というものは基本的に制限されている、つまり、銀行と商業、コマースの部分での銀商分離というものがとられているところでございます。

一方、下の段になりますが、欧州につきましては、EUの規定を見てみますと、金融業務以外の事業を営む会社の株式というものを10%以上保有する場合は、1企業に対する出資は自己資本の15%以内、それらの合計というものが自己資本の60%以内という制限がございまして、これを超える場合につきましては自己資本比率規制上、超過部分のリスクウェートを1,250%という自己資本控除相当にするか、超過部分の保有自体を禁止するかということを各国当局が選ぶことになっております。また、一般事業会社から銀行への出資に関する規制につきましても、適格性に問題がないということであれば特に制限はないという状況になってございます。

続きまして、20ページのほうに移らせていただきます。ここからは、海外における業務範囲規制ですとか出資規制の経緯、現状ということにつきまして、もう少し細かく見ることとしたいのですが、欧州のほうは伝統的にユニバーサルバンキングでありますので、我が国と同様に業務範囲規制や出資規制が存在する米国の事例を見ることにしたいと思います。まず、こちらのページにおきましては、銀行と商業の分離を巡る経緯でございます。下の表にございますとおり、まず、1933年のグラス・スティーガル法、こちらのほうで銀行と証券、セキュリティのほうの分離が導入されたわけでございますが、それと同時に、銀行による一般事業会社の株式の保有を禁止したり、銀行の株式を50%超保有するものを銀行持株会社として規制したりするといった形で、銀行と商業の分離もこのタイミングで導入されたということでございます。

その後、1956年に銀行持株会社(BHC)法を制定しまして、銀行の株式を25%超保有するものなどをBHCと規定し、BHCグループの業務範囲というものを銀行業とそれに密接に関連する業務ということに限定することによりまして、銀商分離をより厳格化するということになっております。その後の法改正でも、銀行と商業の間にあった各種のループホールなどをふさぐ作業ということも続けられている状況でございます。

続きまして、21ページをご覧ください。次にグラム・リーチ・ブライリー法によりまして枠組みが整備されましたFHC――Financial Holding Companyについてでございます。1999年に成立したGLB法によりまして、BHCの中でも、傘下の金融機関の自己資本ですとか、経営状態が良好といったような一定の条件を満たすものにつきましては、FHCとなることができまして、より広い業務をグループで行うことが可能となりました。具体的に申し上げますと、株式や社債の引き受け、あと保険の引き受けですとかマーチャント・バンキングと言われる企業向けの投資ビジネス、こういったものはBHCでは従来扱えなかったのですが、これらも本源的金融業務またはそれに付随する業務ということで行うことが可能となっております。これに加えまして、下のほうにございますが、FRBによる個別の認可に基づきまして、金融業務を補完する業務を行うことも可能となっております。

続きまして、22ページをご覧ください。前のページのFHCの業務のうち、「本源的金融業務またはそれに付随する業務」についてご説明いたします。具体的な業務につきましては、連邦規則集、12CFRのセクション225、いわゆるレギュレーションYというところに列挙されておりますが、銀行の固有業務ですとか、証券業務、保険業務といった本源的な金融業務ですとか、あと銀行業務に密接に関連する業務といったものが並んでおりますけれども、特徴的なのが、上から3番目にございますFRBが認めた業務というところでございます。

右側の吹き出しに詳細を載せさせていただいておりますが、限定列挙の中に入っていない業務が本源的金融業務またはそれに付随する業務というものに該当するかどうかの判定を、FRBに要請することができるという手続がございます。現在では、商品やサービスの売り手ですとか買い手を銀行が集める「ファインダー業務」というものが、FRBが認めた業務の(1)ということで示されておりますが、(2)につきましても「Reserved」という形で既に番号が用意されておりまして、今後追加することができるようになっているなど、非常に柔軟性が高く、拡張性がある枠組みとなっております。

また、本日の資料には記載させていただいておりませんが、銀行本体の業務範囲につきましても、今年2月5日の決済高度化のスタディ・グループのほうで翁委員からご説明いただきましたバーチャルモールの例のように、規制当局の解釈で実施できる業務があるなど、非常に柔軟な運営が行われているのではないかという印象を持っているところでございます。

続きまして、23ページをご覧ください。こちらのページでは、FHCの業務のうち、もう一つの「金融業務を補完する業務」についてのご説明でございます。こちらの業務は、本源的金融業務またはそれに付随する業務のように列挙されておりませんで、FRBが個別認可するものでございます。連邦規則集のほうには認可の手続ですとか、認可における考慮事項といったものが規定されております。この枠組みでこれまで認められている補完的業務というのは、右側にございますが、実際にはほぼ全てが商品現物関連業務ということでありまして、これまで13のFHCが同業務の認可を条件つきで取得しております。なお、商品現物関連以外に認可を受けた事例としましては、我々が調べた限りにおいては、大手医療保険会社が医療関連業務の認可を取得した1件のみということでございました。

なお、最近の動きとしましては、FHCによる商品現物業務の規模ですとか範囲というものがこれまでかなり拡大してきた中で、コモディティビジネスのリスクの大きさというものが改めて再認識されたことなどもありまして、FHCの商品現物業務を今後どのようにしていくのかということが議論されているところでございます。

続きまして、24ページをご覧ください。こちらのページでは、以上でご説明申し上げました米国の業務範囲規制ですとか、あと銀行と商業の分離規制につきまして、ご参考までに日米比較したものを載せさせていただいております。詳細の説明は割愛させていただきますが、大くくりに申し上げますと、まず、業務範囲につきましては両国ともに限定列挙を原則としておりながらも、米国につきましては先ほどご覧いただいたように、より柔軟で拡張性のある枠組みがいろいろ用意された体系になっていると言えるのではないかなと思います。右側の規制の対象につきましても、日本は銀行持株会社と銀行主要株主とを区分しておりまして、それぞれの規制の内容が大きく異なっているのに対しまして、米国は主要株主といった概念ですとかカテゴリーはございませんでして、BHCもしくはその内枠であるFHCの枠組みの中で一元的に規制する形をとっております。

一方、下の図につきましては、銀行と一般事業会社の間の出資について日米比較したものでありますが、まず、銀行から一般事業会社ということにつきましては、数字の若干の違いはありますが、日米でそれほど大きな差はないと思われる反面、一般事業会社による銀行の保有につきましては、少し違う部分もあるように見えるところでございます。こういった点につきましても、今日的な観点からどのように考えるのかといったようなことも、今回のワーキング・グループの論点の1つかなと認識しているところでございます。

続きまして、25ページでございます。こちらは少しこれまでと視点を変えまして、金融危機と銀行グループの業務範囲に何らかの関係があったのかということにつきまして、簡単に考察してみたというものでございます。お手元の資料には、G20の首脳会合の宣言ですとか、あと米国金融危機調査委員会の報告書というものを載せておりますけれども、その他同種のものも含めまして、やはり金融危機の原因ということに関しましては、基本的には金融機関の過度なリスクテイクですとか、金融商品の複雑さ、あとレバレッジの拡大といったようなことが指摘されているところでございます。現在行われております業務範囲規制の見直しということにつきましても、ボルカー・ルールに代表されますように、やはりリスクの高い個別業務にフォーカスしたものになっているということでございまして、業務範囲の枠組み自体を大きく見直そうという動きは、私としては特段見られないと認識をしているところでございます。

また、先ほどの23ページでご紹介した商品現物関連業務に関する米国の現在の議論につきましても、リスクの高さというものがその出発点になっておりますことから、ボルカー・ルール等とやはり同様の文脈ではないかと理解しておりまして、FHCの補完的業務の規定そのものを見直すという方向にはないのではと認識しております。

続きまして、26ページはご参考でございまして、過去、金融危機時に経営が悪化したり、破綻したりした主な金融機関を載せさせていただいておりますので、後ほどご参照いただければと思います。

そして、最後になりますが、27ページでございます。これまでずっとグローバルな視点で見てまいりましたが、そうしたものも踏まえつつ、最後のこちらのページで我が国の銀行グループが置かれている状況につきまして、拙いながらも私なりに整理してみたところでございます。

冒頭ご説明申し上げましたように、グローバルな金融規制は今後一層の強化が見込まれているところでありますが、左のほうにありますように、その求めるところというのは、大くくりで言えば過度なリスクテイクを行わずに市場のショックに耐えられるだけの分厚い自己資本を持てというこの2点と考えられるところでございます。こうした要請に銀行グループとして応えていくには、安全性重視のアセット運営を行いつつ、収益の増強によって自己資本をどんどん積み上げていくのか、足りない場合は外部から調達するのか、もしくはそのミックスということになるかと思いますが、やはり安全性重視のアセット運営というものと資本の積み上げというものは、やや相反する部分もあるのではないかと思われるところでございます。

加えまして、日本の状況について見てみますと、そもそものアセットの安全性というものは比較的高いということの中で、ここに来てリスクテイクをより進めていこうという金融機関側、銀行側の動きも出てきているという一方で、低金利の長期化で過去の比較的リターンの高いアセットがリターンの低いアセットに入れかわるという状況も続いておりますので、両者が綱引きをする形でなかなか改善をしていかないという部分もあると認識しております。こうした状況をブレークスルーしていく中では、やはり既往の銀行グループのビジネスモデルということでは、やや難しいのではないかと考えられるところでございます。

こうした状況に加えまして、現在の日本経済が置かれている状況につきましても、よくよく踏まえておく必要があると思われるところでございます。

右側のほうにお示ししておりますが、アベノミクスを通じまして、今、デフレ脱却というものが視野に入りつつある中で、これから日本経済を本当の成長軌道に乗せていくためには、地方創生の実現をはじめとしまして、個人金融資産等の有効な活用、あと企業の成長支援、ICTの活用といったようないろいろなことが必要になってくると思います。こうした状況におきまして、我が国の金融機関、中でも銀行グループに対しましては、地方創生における中心的な役割をはじめとしまして、各方面で中核的な機能というものを発揮することが求められているのではないかと認識しております。こういった期待に銀行グループが応えていくには、各銀行自身ですとか、あと地元地域のリソースなどそれぞれの特長、特色を生かした形で多種多様なビジネスモデルを追求し、実現していくことができるという環境が整っていることが望ましいのではないかと思われるところでございます。

以上を踏まえますと、グローバルな金融規制の対応という面もありますが、それに加えましてというか、それ以上にやはり地方創生をはじめとする日本経済の成長・発展への貢献という面から創意工夫の余地を広げる形で、銀行グループの規制のあり方を見直す必要が高まってきていると感じているところでございます。なお、資料には記載しておりませんが、業務範囲規制以外にも金融グループを巡る規制全般につきまして、これまでそうした規制が置かれてきたことの論拠ですとか論点というのもあろうかと思いますが、そういったものを振り返りつつ、今日的な観点からしっかりと再点検してみるという必要もあるのではないかと感じているところでございます。

以上、大変駆け足で恐縮でございますが、私からのご説明とさせていただきます。ありがとうございました。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは、これから自由討議に移りたいと存じます。今回は初回の会合でございますので、委員の皆様から幅広くご自由にご発言いただければと考えております。事務局や小鈴委員からの説明に関しまして、ご質問、ご意見があればあわせてお願いいたしたいと思います。それでは、どなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いいたします。いかがでしょうか。家森委員、お願いします。

【家森委員】

1つ教えていただきたいのですが、事務局からいただいた資料の最後のほう、25ページのところにFHCに関して金融業務を補完する業務について個別に認可が得られるということでした。そこの前には、IT投資等を積極的に欧米の金融機関がやっているという話があったのですが、小鈴先生のお話では、特にこの補完的業務としてITを認めているというような事例はないようでありました。今、アメリカの金融機関はこのIT部分で積極的に投融資をやっているというのは、どういう形でやっているのでしょうかということを教えていただきたいのですけれども。

【岩原座長】

事務局のほうから。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

まず、米国の状況、悉皆的に把握しているわけではないところでございますが、おっしゃるとおり、この補完的業務の中で認められているものは、先ほど小鈴委員のご発言にございましたとおり、コモディティ取引とか、医療関係という限定されたものと認識しております。一方で、数字として見た場合にIT投資というのがかなりの額になっておりまして、私の推測が相当入っておりますけれども、銀行本体としてIT投資を進めているというところと、5%とか、そういう制限がございますけれども、そういうところで投資を進めているところがあろうかと考えられます。また、銀行本体が投資を進める中でも、銀行独自の判断として行うだけではなしに、いろいろなIT関係の企業との提携とか連携をしながら進めているという背景もあるのかなと思われます。内容につきまして、悉皆的に把握しているところではございませんので、大分推測が入りますが、そのような感じかなと思っております。

【岩原座長】

小鈴委員、何か。

【小鈴委員】

私のほうも同様な認識でございまして、各銀行グループが実際にどのような法規制に基づいてフィンテックビジネスのようなことを行っているかという開示がございませんので、正確なところは不明なのですけれども、関連しそうな法令を幾つかお伝えさせていただきます。

まず、IT関連事業のうち、例えばデータプロセッシング業務と呼ばれているようですが、データ処理とかデータ蓄積、あとデータ伝送といったような業務につきましては、一定の条件を満たす場合には先ほどのページでいくと21ページの図を見ながらお聞きいただければと思うのですが、BHCの中にある銀行業務に密接に関連する業務ということで出資等が可能ということでございますし、あと先ほどのバーチャルモール等の業務に代表されるようなファインダー業務ということにつきましては、先ほどご説明したFHCの本源的な金融業務またはこれらに付随する業務というところの3つ目のところに入ってございますし、あとBHCにつきましても今と同じ銀行業務に密接に関連する業務として出資が可能ということになっていると思っております。

そのほかにも、米国の銀行の監督当局であるOCCがエレクトロニックバンキングということで、解釈によって銀行業務に密接に関連する業務として認めている例も多数あると認識しております。その他、こういったルールに規定されていない業務につきましても、マーチャント・バンキング業務の枠組みの中で出資が可能ということでございます。先ほど佐藤信用制度参事官からお話がありましたとおり、恐らくこの事例は補完的業務ではないということでございますので、以上整理して申し上げますと、可能性としては、1つ目は銀行及び銀行グループに認められる業務の枠内ということで出資しているのか、もしくはマーチャント・バンキングの枠組みで出資しているのかというところでございます。

以上でございます。

【岩原座長】

よろしいでしょうか。

【家森委員】

はい。

【岩原座長】

ほかにいかがでしょうか。中村委員、その後、福田委員。

【中村委員】

若干文言に関する質問と捉えられてしまうかもしれないのですけれども、コーポレートガバナンスについて少しお聞きしたいのですけれども、資料3の17ページの丸の2つ目で、「その際、持株会社自体のコーポレートガバナンスを」とありまして、それプラス、「日本が抱えている固有の問題」ということで下線が引いてあるのですけれども、私、日本とその外資系の金融機関と両方働いたことがあるので、コーポレートガバナンスで十分、かなり違いがあるというのは私の認識でございますけれども、ここで言う「日本が抱えている固有の問題」というのはどういうものを指しておられるのか、ご教示いただければと思うのですが。

【岩原座長】

佐藤参事官、お願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

これは総会の際の委員のご発言ですので、その趣旨たるところを私のほうとして、必ずしも把握しているところではないと思っております。推測も含めて申しますと、この総会では、先ほど私がご説明した1枚紙の全体的な問題意識、背景等に関連して、先ほどここではご説明を省略したのですが、資料3の23ページをお開きいただきたいと思うのですが、この資料をご説明いたしました。この資料3の23ページは先ほどご説明したページ1のところで、銀行グループのいろいろなあり方が変わっていることの参考として提示しているものでございます。

上の図は、グループ全体として銀行以外のさまざまなビジネスを行っていて、なおかつ海外での業務展開も進めているような、比較的大きな金融グループ、そうしますと、伝統的な銀行がそのグループ内で占める比重が高い、一方で、銀行が持株会社の下にぶら下がっている子会社、業態の違う証券ですとか、あるいは海外の現地法人等について、いわば兄弟のような立場で十分な経営管理が可能であるのか、こういった問題が1つあるのではないかということでございます。

下のほうは、地域金融機関などで見られますが、銀行同士が経営統合を行って、その際に持株会社を上につくることによってグループを形成する。そうした場合に、このグループのシナジー効果、コスト削減効果を高めるためには、単純に持株会社をつくるだけではなしに、例えば銀行の共通部分を持株会社、あるいは別の子会社に切り出すなり、そうしたコスト削減のための取り組み、そういうことを可能とするような枠組みを望む声もある。このようなご説明を総会の際にさせていただきました。

こういった最近見られるいろいろなグループのあり方ということも見据えた上でグループ全体の制度のあり方を考えていく必要があろうかということを受けて、その後、ご発言をされていたと記憶しておりますので、日本国内でのいろいろな金融グループ、業態のあり方とか、そういうことも考えた上で議論を進めていくことが大事だという、そういうご発言なのかなと思います。すみません、少し発言が長くなりましたが、推測も含めて、そのように考えております。

【岩原座長】

中村委員、よろしいでしょうか。

【中村委員】

はい。結構でございます。

【岩原座長】

それでは、福田委員、お願いします。

【福田座長代理】

3点ほどコメントとご質問と含めてさせていただきます。まず、第1点は、家森委員のポイントは非常に重要ではないかと思うのです。日本の企業のIT投資は遅れているというのは事務局の問題意識のとおりだとは思いますけれども、それが現行の制度の問題なのか、そもそも現行の制度でできるのだけれども、やっていないのかということでは改革の方向性は大分違うとは思うんです。後者の部分もかなりないわけではないとは思いますので、本当にこういう制度の改革が必要なのかどうか、ITだけが全てではないのですけれども、ITを促進する上でどうして、制度が制約になっているのかどうかということは、もう少し調べていただき、あるいは銀行の方にヒアリングするなりしていただくことは大事なのではないかなとは思います。

それから、2点目はご質問なのですけれども、これは小鈴委員の24ページの資料にもある点ですけれども、日本の場合には一般事業会社が主要株主として100%銀行保有できているけれども、アメリカはそうなっていないということが指摘されています。もしそうなっている経緯というか、過去の議論というか、私の不勉強で申しわけないのですけれども、もしあるようでありましたら教えていただければと思います。

それから、3番目は単に私の個人的な意見ということなのですが、日本の場合には、確かに個々の会社に関しては5%の保有という形で銀行の企業に対する保有というのは非常に制限されているのですけれども、他方で、総量に関しては世界の銀行の中でもたくさん持っているという特徴があります。これは過去の日本の系列、あるいはメインバンクの流れ、あるいは株式の持ち合いの経緯からそうなっているということはあるのだとは思うのですけれども、他方で、ご存じのようにそういう持ち合いの解消なり、あるいは昔ながらの系列、あるいはメインバンク制というのが大きく変わってきている。株式の持っている総量に関する規制というのは諸外国と少し違うのではないかと印象を持っておりますけれども、そちらに関しても、もし何かございましたら教えていただければと思います。

【岩原座長】

それでは、佐藤参事官。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

まず、最初のほうのご質問、一般事業会社が日本の場合は銀行の株を100%持つことが可能で、米国のほうは25%以内ということについてですが、まず、日本のほうの制度の変遷、経緯について申しますと、先ほどこの資料でご説明を申し上げました、まず、銀行持株会社については独占禁止法の改正の際に認められました。その後に、これは当時の時代背景として、資料3の10ページにございます異業種からの銀行参入というのが当時、現実の動きとしてございました。異業種が銀行に参入するということについてどのように考えるのか、私の記憶する限り、当時、特に異業種が銀行を保有するということについて特段の明示的な規制はなかったと認識しておりますが、銀行の主要株主というか、親法人が存在するときに、この銀行の業務の適正な運営とか健全性が確保されるのかということで、ルール整備が図られて主要株主規制というものが導入された。そういう流れでございます。

この際も恐らくいろいろな見方はあったかと思うのですが、先ほどの資料の10ページの最初にございますが、異業種が銀行業に参入するなどの新しい動きは、基本的には積極的に評価すべきであるとした上で、ただ、評価するだけではなしに健全性確保などの観点から、こうした動きにマッチした適切なルール整備が必要という、そういう評価をするということと、健全性などを守るためのルールは必要という、その両方の観点を踏まえて、銀行の議決権の原則20%以上を持つときには認可が必要であり、50%を超える場合には健全性確保等のための、場合によっては改善計画の提出を求められるといったような制度になったということでございます。

米国のほうは、私も不勉強で米国の制度をよく知らないところがありますので、記憶する限りでのご説明になりますが、相当昔は、米国の銀行持株会社というのは規制されていなかった。一方で、米国におきましては銀行の州際規制というものがあり、州をまたいで銀行は営業をすることができないという規制となっていたこともあり、州を超えて複数の州に銀行をつくって、その上に持株会社をつくるという形態が登場し、そこに規制が課せられるようになったという経緯がございます。更に、銀行が1つだけあって、上に持株会社があるという、1対1の関係のような形態も登場してきた。そういう時代背景も受けて、銀行持株会社全般に規制を課そうという動きになって、何で25%かという点は私も不勉強で認識していないのですが、こういうような米国の制度になったと認識をしております。

3つ目のご質問の総量に関する規制ということですが、先ほど説明が不十分だったのかもしれないのですが、銀行法では5%規制というのがございますが、もう一方で「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」というのが制定されておりまして、総量で銀行の自己資本の100%までしか株式を持てないという規制がございます。一方で、保有株全体を対象として同じように規制する総量的規制は、私の記憶する限りでは例えばヨーロッパなどでは必ずしも導入はされていなくて、その点におきましては、日本の総量的な規制が必ずしも緩いというわけでもないのかなとは思っております。

不十分かもしれませんが、以上でございます。

【福田座長代理】

ありがとうございました。

【岩原座長】

今、福田委員が御質問になった3点のうち、第2点について言えば、平成10年の銀行法改正で大体今のような主要株主規制や銀行持株会社規制の規制体系ができたわけでありまして、先ほどの事務局の資料にある金融制度調査会、平成10年1月30日の「銀行グループのリスクの管理等に関する懇談会報告書」、これをベースに銀行法改正が行われたわけであります。この懇談会の座長として加わっていたので、そのときの議論の経緯を少しお話しさせて頂きたいと存じます。さっき佐藤参事官がお話になりましたように、それ以前は銀行の主要株主に事業会社がなるということを想定した規定はなかったわけであります。解釈論として言えば、50%を超えて銀行の株を持てば、これは銀行を支配することになるから、みずから銀行業を行うことになるので、免許を受けずに銀行業を営むことになり、許されないだろうという解釈はあったのですけれども、それ以上の規制はなかった。ある意味で言うと、銀行が事業会社に支配されるということをあまり想定していなかったのではないかと思います。

ところが、現実にそういう問題が出てきたわけであります。特に、平成10年というのは日本の金融危機のまさに一番大変な時期だったわけでありますが、そのときに事業会社からセブン銀行ですとか、銀行業に進出しようという動きが出てきて、さっきも佐藤参事官がおっしゃいましたように、基本的に銀行を活性化するためには異業種からの参入をある意味歓迎したいという面があって、かつ、既に一部は事業会社が事実上、銀行のかなりの大株主になっている例がある。そういう中で新たに法規制をするというときに、そういう異業種からの参入を歓迎しながら、かつ一方では、それによる弊害が起きないようなチェックもしたいということを考えた結果として、銀行のほうは一般事業会社を子会社として持てないのに、一般事業会社は銀行を子会社にできるというアンバランスな規制になってしまったのです。そして銀行持株会社の定義に独禁法上の持株会社の定義をもってきて、銀行持株会社は、子銀行や金融関連業を営む子会社と銀行の従属業務を営む子会社しか保有できず、その業務は子会社の「経営管理」に限定することにしたのです。

これに対しアメリカの連邦銀行持株会社法は、銀行を実質的に支配している者は全て銀行持株会社になるという考えに立っていて、銀行のある種類の株式の議決権の25%以上を保有するというのは、銀行の「支配」があることの一つの例とされています。そして銀行持株会社は、銀行の経営と銀行業に密接に関連した活動等しかできないとされているので、銀行持株会社が事業活動(Commerce)をできないだけでなく、事業会社が銀行を「支配」することも禁止されているわけです。

すみません、私が余計な説明をしましたが、宮本委員、どうぞ。

【宮本委員】

ご説明いただいた検討の方向性、よく理解できるなと思っております。といいますのは、産業のサイドから、私、鉄鋼業ですので一言言わせていただくと、日本の産業の競争力を支える――当たり前なのですけれども、金融、極めて重要なインフラだと思っております。日本の企業は国内だけでなく、今、海外にかなり出ておりまして、我々もアジア、中国、北米、南米、インドを含めて子会社をつくったり、ジョイベンをつくったり、あるいは会社をM&Aですけれども買っていろいろな事業をやるわけなのですけれども、まず、そこで最初に出てくるのが投資銀行業務で、どうやって会社を買うかとかって、これがあるわけなのですけれども、その後にすぐついてくるのは、ファイナンスのアベイラビリティであります。今、日本の金融機関、非常に健全でアベイラビリティも十分ありますので、これが日本の企業の競争力を支えているのかなと思います。何千億というファイナンスを非常にスピーディーにできるというところであります。そのためには、議論いただいたようにきちっと規制されて安全な、健全な状態であるということが非常に重要なのかなと思っております。

会社を買ってすぐに次に出てくるのは、あるいはジョイントベンチャーを立ち上げて次に出てくるのは、日々の資金繰りでありましたし、それから、キャッシュマネジメントであったり、物を売ったり買ったりしますので為替が起こってくる。決済が起こってくるということで、インフラというか、IT関係、キャッシュマネジメントシステムを含めた、そういうインフラ投資が非常に重要だと思っています。この辺はかつて米系の銀行が先を行っていたような気がするのですけれども、それを今、キャッチアップしていただいているのかなと思っております。そういった意味で、今後、ユーザーサイドとしてこの議論に参加させていただければなと思っております。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

【藤原委員】

よろしいですか。

【岩原座長】

藤原委員、どうぞ。宮本委員……。

【宮本委員】

すみません、1点だけ言い忘れました。それに加えてワンストップで先ほどのキャッシュマネジメントから、為替から、あるいは従業員の年金の運用からできるようなワンストップ、これは特に日本の金融機関であれば日本語でできますので、こういったところが今非常にありがたいところだなと思っております。

【岩原座長】

どうも失礼しました。それでは、藤原委員、どうぞ。

【藤原委員】

今いろいろお話をいただく中で、我々も高い問題意識の中で、今回、この審議会に参加させていただいているわけですけれども、まずはやはり社会インフラとしての重要性、金融システムをしっかり安定的に維持する。さらには銀行法等々で書かれている信用秩序の維持、金融の仲介、さらに今日的にはアドバイザリー、あるいはコンサルティングの業務は非常に重要になってきております。そういった意味では、まず、この議論をするときに大事なことは、利用者の方々、利用者の志向というのを忘れてはいけないということだと思っております。さらに、やはりこういったインダストリー4.0、あるいはイノベーションがこれだけ進む中で未来志向、これについてももう一つのポイントだと思っております。さらにグローバル志向、これは世界中の金融機関と戦う、あるいは世界中のスタンダードが変わってくる、あるいはボーダレスな経済、社会の環境になってくるというときに金融機関が果たすべき役割、そういう意味では利用者志向、未来志向、グローバル志向、この3つの志向が非常に重要なキーポイントだと思っております。

当然、これまでの金融審議会等々でいろいろ議論いただいている守りのところというのは、決して忘れてはいけない。これは大前提であります。そういう中で、いかにこの3つの志向でもって前向きな議論に出ていけるかというところがポイントだと思っています。これまで出たご質問、ご意見の中で、IT投資について銀行が、日米比較というのが出てまいりました。確かに、過去を振り返りますと、どちらかというと日本は決済の厳格性ですとか、例えばATMネットワーク、これは世界に冠たるATMネットワークを保持していて、時間の問題というのは1つイシューにはなっておりますけれども、こういったインフラとして世界にはなかなかないようなインフラを今まで投資をして育ててきたというところもあります。

一方で、もう一つの投資の観点という意味では、例えばビッグデータですとか人工知能、こういったものが出てきております。みずほフィナンシャルグループでも人工知能を使ってコールセンターの運営を始めている。こういったところについては、もしかすると米銀が一歩先んじているところかもしれません。そういった意味で、データのプロセッシングのみならず、こういった規制対応、MISといいますマネジメント・インフォメーション・システム、さらにマーケティングという世界、データの世界、あるいはインフラの世界というのはどんどん発展してきております。そういった意味で、我々も手綱をもう一度締めて、こういった米銀に対してはぜひ打ち返していきたい。せっかく経済の状況が相対的にはよくなってきております。我々金融界の世界でもグローバルをリードするような、そういった気概を持ってこの問題には対処したいと思っております。

以上です。

【岩原座長】

ほかにいかがでしょうか。大崎委員、どうぞ。

【大崎委員】

ありがとうございます。まず、初回からいきなり遅刻しましたことをおわび申し上げます。大変申しわけございません。大学の講義を引き受けておりまして、それの関係で遅れてしまいました。大変失礼いたしました。

そういうわけで、せっかくのプレゼンテーションを全く伺っていないので、それについて直接どうのこうの申し上げることはできないのでございますが、事前に資料を頂戴しておりましたし、私自身、お題をいただいて、それなりの問題意識のようなものを持ちましたので、一言だけ申し上げたいと思いまして、それは今回、金融グループを巡る制度のあり方に関する検討ということで諮問を頂戴いたしまして、そこでは金融グループというのは基本的に銀行持株会社とそのグループが大前提になって議論されているというふうに理解しているのですけれども、証券会社に関しては、証券会社といいますか、今の法律ですと金融商品取引業者に関しては、もともと業務範囲規制がそんなに厳しくないということもありますので、あまりこの問題にはかかわらないのだろうなと思っているのですけれども、私、少し気になっていますのが、特にITとの兼ね合いにおけるシナジーとか、幅広いITのいろいろなものへの出資とかという話になってきますと、取引所というのはどうなのだろうなというのが非常に気になっておりまして、世界の取引所は今まさに完全にIT産業化しておりまして、そこにおける行き過ぎではないかと言われるくらいの高度技術の追求競争をやっているわけです。

その中で、IT関連の新しい会社、ベンチャーなどを取引所グループの傘下へおさめていくというのは、世界中、ものすごく活発なわけです。ただ、これ、日本の金融商品取引法では、金融商品取引所持株会社、あるいは金融商品取引所自身がそういったものを大胆に買っていって、取引所の市場運営そのものに直接は関係しないような形でITビジネスをやるというのは、業務範囲規制で非常に厳しく制限されているわけです。これはある意味銀行よりも厳しいと言ってもいいぐらい厳しくなっているとも言えるわけです。ですので、せっかくその金融グループについての見直しをするということであれば、何となくこの銀行法と金商法と章立てが違いますと一緒にやりにくいというような感じもあるのかなと思ったりもするのですが、そういったものも視野に入れた検討になればいいなということを個人的には思っているということでございます。いずれにしても、私、あまり十分この今回の問題意識について勉強ができていないので、まずはいろいろな方のヒアリングなどを聞きながら考えを深めていきたいと思っております。

以上です。

【岩原座長】

どうも。翁委員、どうぞ。

【翁委員】

ご説明、ありがとうございました。先ほど家森委員と福田委員が、IT関連会社が現状補完的業務の認可事例にないということについて、米国の事情、どうなっているのかというご質問があったのですが、そこに関連して、現状の米国と我が国の銀行が出資できる、または銀行の子会社となり得るIT会社の業務範囲がどのぐらい違うのかということについても、きちんと確認しておく必要があるのではないかと思います。つまり、オープンイノベーションがやりやすいようになっているのか、それともクローズドな形になっているのか。それによって、もし米国のほうがその業務範囲が多少広いとしますと、そういったところで、補完的業務としての申請が出ていない、認可事例が出ていないという可能性があるのではないかというように思います。

私が以前調べたところによりますと、補完的業務については、補完的と言えるかとか、銀行本体のリスクを及ぼさないかとか、あと競争条件とか、利益相反とか、そういったことをチェックするというようなことをFRBはしているということで、何らどういう業務ということで限定的にやっているわけではないと思いますので、その意味では、IT会社に関しましても、もし現状のもので不完全な場合には補完的業務ということで申請される場合があり得るのではないかというような印象を持ちますので、その点についても米国の制度についてご確認をいただければというように思います。よろしくお願いいたします。

【岩原座長】

ありがとうございます。アメリカとの比較、詳しい検討はこの後行われると思いますけれども、一般的な印象として言えば、日本の銀行法にも、銀行は付随業務を行えるという一般条項が入っていますし、アメリカの国法銀行法も銀行はインシデンタル(付随的)な業務は行えるということになっていて、先ほど申し上げましたように、銀行持株会社法によれば、銀行持株会社ですと、closely related to banking (銀行業務に密接に関連した)活動を行えるという限定の仕方になっていますので、条文上は日米で銀行や銀行持株会社の業務範囲はそれほど違わないように思います。ただ、アメリカの違いは、銀行監督当局、例えばFRBが 、closely related と言えるかの決定を行えることになっていたりして、相当大胆な解釈を行ってそれを広く認めているという点が日本とかなり違うところではないかと思います。日本は一般的に条文の規定の解釈に非常に慎重で、金融庁に限らず、規制当局が規制法、監督法を大胆に解釈して業務を広く認めるということが一般的にあまり行われていない、慎重であると言えるかと思います。監督当局が拡張解釈に非常に慎重であるということから実際上の違いが出ている面がかなり大きいのかなという感じがします。そういうことを含めて、どうしたら日本でより柔軟にやれるのかとか、考えていく必要があるかと思います。

ほかにいかがでしょうか。林田委員、その後、松井委員、お願いします。

【林田委員】

ご説明、どうもありがとうございました。今日から議論に参加させていただいたので、今日お話を伺って概括的な感想めいたことで恐縮なのですが、先ほど岩原座長もおっしゃられたように、1990年代後半は非常に厳しい金融の環境で、そのころから考えますと、日本の金融機関は非常に高い健全性を持っていますし、利益も先ほど小鈴委員からのご説明のグラフにもありましたけれども、収益力も大分高いということで大変結構なことだと思います。ただ、収益構造がどうなっているのかということを考えたときに、本業の融資ということを考えますと、利ざやは非常に超低金利の中で縮小しておりますし、収益、多くを稼いでいる債券のディーリングでこれからもやっていけるのか、いつまでやっていけるのかという問題も多分あるのだろうと思います。そうした中で、将来に向けてどう収益力を高めていくのかというのが日本の金融界にとって大きな課題なのだろうと思います。

そういう点で言えば、IT化が90年代後半から見ると非常に進み、サービスもいろいろ多様化し、イノベーションも進んでいるということで、そうしたものを取り込んで金融サービスを高度化できなければ、厳しい言葉で言えば日本の金融業は衰退してしまうということだろうと思います。先ほど小鈴委員の資料の最後のところにあるように、日本経済の成長、発展ということを考えると、金融が担わなければいけない役割というのは非常にいろいろあるということですので、新しい時代に対応して金融規制のあり方を見直していくというのは非常に日本経済の成長力の強化であるとか、あるいは利用者の利便性向上とか、そうしたことを考えたときに非常に意義のあることだろうなと今日の説明をお聞きして、そういうふうに思ったわけであります。

総論としては、そういう妥当な方向だとは思っているのですけれども、各論となりますとやはりIT分野というのは非常に変革も激しいですし、IT企業を担っている経営者ですら一寸先はよくわからないというぐらい変化がある。そうした中で、事業リスクをどう把握して、それにどういう備えをするのかとか、あるいはどういう種類の業務をどの程度の深さというか、大きさで認めていっていいのか、この辺はいろいろ議論が分かれてくると思いますので、そこのあたりも皆さんと議論したいなと思っています。

最後、つけ加えみたいで恐縮なのですが、先ほど来、日本の銀行のITの投資が云々というお話が幾つかあったと思うのですが、事務局の資料3の24ページを見ますと、銀行グループに、左側の下ですけれども、電子商取引ビジネスへの出資等を可能にしてほしいという議論からの要望があるという話があります。この場合のいわゆるITへの出資という話と決済を高度化とか、システムを安定的に運営するためのIT投資というのとちょっと種類が違うのかなという気がしておりまして、新聞報道の話を引き合いに出してあれですけれども、どちらかというと事業会社は銀行ができるのに銀行側は事業会社のほうは入っていけない、少し片務的ではないかという、その中で、もっと銀行にも事業をやらせてよというような観点で報道されておりまして、そういった観点での例が、例えばアメリカではどうなっているのか。もちろん、アメリカでやっていないから日本はやってはいけないとか、そういうことではないとは思うのですが、電子商取引などに、アメリカの銀行が積極的に投資しているという実態があれば、それに伴う問題点であるとか、メリットもよくわかると思うので、もしそういったことが今後調査の対象になるのであれば、詳しく知りたいなと感じています。

長くなりましたが、以上です。

【岩原座長】

いずれも非常に大切なご指摘だと思います。大きくは3点あったかと思いますけれども、第1点について言えば、確かにこの銀行の収益構造が変わってきていて、銀行本体の利ざやがどんどん小さくなってきている。事務局資料3の20ページをご覧いただきますと、金融グループの業務状況というのが出ていますが、その中で、例えば三菱UFJフィナンシャルグループに関して言えば、業務粗利益のうち三菱東京UFJ銀行、銀行本体が占めている利益は半分にしかすぎなくなってきて、それであるのにさっきから出ておりますように日本は子銀行が親である持株会社をつくったという沿革、歴史から、非常に銀行中心のグループの運営が行われている。

ですから、全体として見れば、銀行グループの中で銀行単体以外の重要性が高まっているのに、それに見合った全体のガバナンス体制になっていないということが、この本ワーキング・グループで金融グループとしてのコーポレートガバナンス体制を見直そうという1つの視点になっていると思います。

最後の第3点は何か佐藤参事官から。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

アメリカで、電子商取引ビジネスなどどうしているかというところ、可能な限りで私ども実態を調べたいと思っております。今現在知るところでは、先ほどの小鈴委員のお話にもございましたとおり、アメリカではこのファインダー業務、マッチング業務として整理をされているようであります。私自身もアメリカの金融グループのそういったサイトを見たところ、あるアメリカの大手銀行、その中で商品がいろいろと表示されており、クリックをすると、その商品の販売をしているようなサイトに飛んでいって、そこで買い物ができて、その銀行の発行しているカードを使って決済を済ませると、購入額の何%相当分がサービスポイントとされるといったようなサービスは提供しているようでございます。量的にどのぐらいかというのはよくわからないところでありますが、それをどういう業務と観念しているかというと、ファインダー業務、つまりマッチングしてお客さんとお客さんを媒介してあげる、そういうサービスとして認められているようではございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

ほかに。それでは、続いて松井委員。

【松井委員】

詳細なご説明をいただきまして、ありがとうございました。私から確認のためのご質問とコメントを1点ずつさせていただければと存じます。

まず、1点目の質問についてでございます。事務局から、従前の規制の変化について、ご説明をいただきました。印象といたしまして、基本的に銀行に関する業務範囲規制というのは、固有業務と、それと機能的に密接に関連する付随業務とがあり、機能的にこれらの業務と等価であるものについてどこまで広げられるかという視点で議論をしてきたのではないかという感じがいたしました。もちろん銀行法10条2項の個別列挙事項には以上の視点から若干説明しにくいものもありますが、基本的にはそうなのだろうと。

今回、この業務範囲の規制の問題を持株会社との関連で考えるときに、何らかの従前から銀行業務の担っている機能――もちろん銀行業務はアンバンドリング化していますから、その機能はさまざまなのですけれども――との等価性でやはり今回も考えていくのか。あるいは、事務局資料の1ページ目にございますけれども、決済のスタディ・グループで出てきた議論ですと、決済業務とセットでやることによって非常に効率的に行える事業、例えば電子商取引といったものもやはり視野に入れていくのか。後者は、従前からの金融機能との等価性、あるいは決済業務との等価性という視点ではどうしても議論しにくい部分があるかと思います。さらに、恐らくこれが答えではないかと思うのですけれども、事務局としては、そこは中立の立場であって、以上の点については忌憚なく議論してほしいということなのか。今回は第1回目ですので、このあたりの今の事務局としての議論のスタンスを確認させていただきたいというのが1点目の質問でございます。

それから、2点目のコメントでございますけれども、従前からの機能的な等価性で議論をするのであれ、あるいはそこから一歩踏み出すのであれ、金融グループ、銀行グループに関するガバナンスのあり方はこのワーキング・グループで考えようということかと推察いたしました。これはもう言わずもがなのことではございますけれども、金融グループのガバナンス体制をどうするかという話になれば、これはどうしてもベースには会社法の問題が出てくる。会社法の先般の改正でも、グループ規制に関して非常に難しい問題があったと仄聞しております。今回、この場でその議論をされるときに、まず会社法の問題として何が可能で、どこに限界があるのか。銀行法の改正として、そこに何を上乗せし、何を変えることができるのか。こういうことを常に意識しながら議論をしていただけたらということを考えております。既にそのことに関しましては重々配慮してくださっているかと存じますけれども、確認までコメント申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

それでは、佐藤参事官、お願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

最初の点、銀行の業務を機能的な等価性ということで考えていくのか、何かそれよりももう少し広がりを持ったことと考えるのかということですが、私ども事務局としては基本的には、それはこれからご議論をいただきたいことと思っております。若干補足で申し上げますと、事務局資料の12ページのところで、これは平成19年に銀行グループの業務範囲規制のあり方について検討した際の、12ページの下のところに幾つか視点を書いております。銀行、あるいは保険会社本体、子会社、兄弟会社のいずれかに認めるにしても、他業禁止の趣旨を踏まえつつ、最初にあります機能的な親近性を勘案する、これは等価性というところに近いのかなと思われます。もう一方で、リスクとの同質性とか、本体へのリスク波及の程度等も勘案して総合的に決定すべきということは書かれております。

では、具体的にこのときの議論で、どういう業務範囲が拡大したかというのが14ページに書かれております。例えばこの排出権取引とか、これは等価性の観点に近いと考えるのか、これもまたいろいろご意見があると思います。あるいはリース子会社の中古物件販売という、これ自体は恐らく等価性ではなくて金融業務を営む上で相当程度必然的に伴うものであり、こういうことができるのであれば金融業務を行いやすいのだという視点がああろうかと思います。その下にあります商品の現物取引、これも恐らく等価性というよりは、商品デリバティブなどをやるときに現物の取引もあわせて行うことによってリスクヘッジですとか、そういう観点も踏まえて認められたようにも思われます。したがいまして、その等価性ということも大事ですし、一方で、等価性ということだけではなしに、どういうメルクマールで考えていくのかというところは、多かれ少なかれ金融業務との関連性とかシナジーなどという観点も踏まえて検討していくのかなとも考えています。

若干蛇足かもしれませんが、この商品現物取引が導入されましたが、量的な制約もあわせて導入されておりまして、商品の現物を自由にできるというとリスクも高まるということで、Tier1のたしか5%という、そういう量的な縛りも入れることによって範囲を画しているところでございます。したがいまして、お答えになっているかどうか分からないところがありますが、等価性ということではなしにそういう関連性とかシナジーといったことも含めて、どういうところが金融グループの業務として考えられ、あるいは線引きのあり方が考えられるのか、そこは多面的にご議論いただければと思っております。

【岩原座長】

今、佐藤参事官からご指摘のございました14ページの平成20年の銀行法改正のときの議論に参加しましたけれども、そのときはそもそもなぜ銀行の業務範囲は限定されなければならないのかという根本問題にさかのぼって検討しました。さっきご指摘のあったアメリカもやっぱり同じような観点から、さっきのclosely relatedですとかincidentalとかいう範囲を解釈論として議論しています。平成20年改正の際は、そのアメリカの解釈論、例えばExcess Capacity Doctrineとか、そういうようなアメリカでの議論等も参考にしながら、業務の拡大の範囲を検討し、決めたという経緯がございました。今回もそのときの議論を参照しながら、そういう根本論にさかのぼった検討ができればと思っております。

よろしいでしょうか。野崎委員、その後、藤井委員。

【野崎委員】

手短に2点だけコメントをいたします。まず、業務範囲の拡大についてなのですけれども、必ずこの議論があるときには2点あって、1つはやはり健全性、銀行の健全性に及ぼす影響という視点、もう1点が、これが公共財ですね。要は預金保険、あるいはセーフティネットに対するフリーライドの問題があります。ただ、そもそもとして、アメリカの規制と違って、日本の規制は先ほどの小鈴委員からの説明もあったとおり、2本立てである。要は主要株主規制と、それから、銀行ないしは持株会社というような視点の2本立てであるというところから、先ほどの林田委員からのご指摘のとおり、かなりそこは片務的、あるいは非対称である。ですから、その辺の非対称性を踏まえたより柔軟な議論というのがこれから必要なのかなというのが1点目です。

もう1点が、これは私の銀行を長年見てきた経験から申し上げますと、銀行は銀行員だなという点があります。要は金融コングロマリットになったという実感を持てないでいる印象があります。これはどこから来ているかというと、やはり先ほど座長からもお話があったとおり、銀行が出発点になっているというところもあるのですけれども、私は制度的な問題よりも、むしろマインドセットの問題が大きいのかなと考えております。あるとき、銀行の経営者とお話をしていると、銀行と持株会社の経営陣の兼務というのがありますけれども、その兼務がなぜ必要なのかという議論の中で、顧客基盤が一番大きいのは銀行である。銀行の従業員は銀行の頭取でないと言うことを聞かないという部分がある。これは、やはり制度的な問題というよりは人事的な問題、モチベーションのつけ方、あるいはゲームのルールに起因しているのかなと考えております。ですから、今回の議論というのは非常に重要でありますけれども、この銀行のガバナンスというのは制度的な側面と、それから、銀行の仕振りであるとか、そういったところのマインドセットの部分も勘案する必要があるのかなと。

以上2点です。

【岩原座長】

バーゼル銀行監督委員会は、銀行のコーポレートガバナンスの改革を提案している中で、銀行のカルチャーということを非常に問題にしておりまして、まさに野崎委員がご指摘された点が問題になってくるのかなという気がいたします。

それでは、藤井委員、お願いします。

【藤井委員】

私のほうから少し、初回ですので、全体の今回のテーマの検討範囲に関するご質問をさせていただきたいと思います。事務局から過去経緯、詳細にご説明いただきまして大変ありがとうございました。それから、小鈴委員からも、主として海外の事情も丁寧なご説明をいただきまして、内外の比較も含めて概略が非常によく理解できたところでございますけれども、今回のテーマの、この事務局資料で言いますと表紙の「金融グループを巡る」という、この金融グループの捉え方に関してなのですが、これまでのご説明と、それから、資料の中で、基本的には典型として持株会社方式による金融、銀行を中心とした持株会社、このグループの業務範囲というふうに受けとめておりますけれども、ところどころで兄弟関係ではない、親子関係の、これもまた銀行グループということで、これは持株会社方式が後になって解禁されたことによって、持株会社方式の典型を例示されている資料は多いのですけれども、これに準じるということで従来の親子関係の銀行グループについても検討の対象として、これは含まれているのか、それとも持株会社のグループということで検討していくかによって大分範囲が違ってくると思います。

ここのところを冒頭で少しご確認いただきたいということで、私見を申し上げますと、今回の業務範囲の拡大については、我々ローカルエリアの金融機関としても非常に、先ほど藤原委員や林田委員がおっしゃったような利用者利便の観点から言うと、できるだけ幅広く業務の範囲の見直しが行われて、結果的により多くの利用者、ユーザーの利便向上につながるという視点というのは非常に重要だなと思っておりまして、一方で、随所にありますように、新しい業務に伴う事業リスクを銀行本体にどうやって影響範囲を限定的に抑え込むかという観点から言うと、兄弟会社のほうが望ましいというこれまでの結論もありますので、この辺を含めた上で、できるだけ幅広く検討対象を広げていただきたいなというのが私見ですが、まず、冒頭でその範囲についてご確認いただければ。

以上でございます。

【岩原座長】

佐藤参事官。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

まず、念頭に置いておりますのは、やはり銀行の持株会社を中心としたグループについて検討を進めるということで考えております。議論の出発点として最初に申し上げました決済の高度化ということ、あるいは国際化の視点等も踏まえて、持株会社を中心とした金融グループのあり方というものがよりクローズアップされているという背景もありますし、そこを中心的にご議論いただきたいと思っております。なお、先ほどもご説明しまして、今の藤井委員のご発言にもございましたとおり、過去の整理などでもリスクの関係では親子会社よりも兄弟会社のほうがリスクの管理といいましょうか、そういった面では望ましい面があるという考え方が出されております。

ただ、もちろん議論の進展の中で整理をしていって、こういう業務を行う子会社が考えられるかとなったときに、そこから得られるインプリケーションがもし持株会社に限られうものでないのであれば、その点も考えていることになるかもしれません。あまり幅広くやり過ぎでもなかなか議論は収束しないというところもございますので、持株会社を中心とした金融グループについてご議論を進めて頂きたい、このように考えております。

【岩原座長】

事務局としてはあまり議論が拡散してほしくないというのはよくわかります。

では、池田局長。

【池田総務企画局長】

正確に言うと、まずはそこを中心に議論をしていただくということかと思います。ただ、最終的にここでの議論を踏まえて我々が何らかの制度の整備につなげていくとすれば、当然、銀行法制の全体の体系の中で、そのいろいろな形態のグループ間の制度的な整合性も確保していく必要がありますから、佐藤参事官が言ったように、持株会社を中心としたグループの議論をしていくと、それが他の形態にはどういうインプリケーションを持つのかというのは絶えず考えていく必要があるし、それは必要に応じ、ご意見は賜っていきたいと考えております。

【岩原座長】

まさに今、局長のおっしゃったように法制を変えていくとすれば、銀行持株会社グループについては業務範囲を現在よりも拡大することが考えられます。現在は銀行持株会社が持つことのできる子会社の範囲と、銀行本体が単体で持つことのできる子会社の範囲がほぼ同一です。ただ、ほんの少しだけ違いがありますが、それをかなり違えるような改正を、銀行持株会社の子会社の業務範囲を拡大することにより行いますと、なぜ銀行単体の子会社についてはそのような業務範囲の拡大が認められないのかということの説明が必要になってきます。だから、論理的にはそこは考えなければいけないということになってくると思います。現に、金融コングロマリット監督指針は、経営管理会社という概念の中で、銀行持株会社だけでなくて、そういう子会社を持っている銀行単体も経営管理会社に含めて規定しているわけですから、当然、そういうことも視野の中には入ってくるとは思います。

ほかにいかがでしょうか。加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】

最初の事務局の資料の1ページにありますとおり、業務範囲、特に銀行持株会社グループにおける業務範囲の見直しと持株会社のガバナンスの見直しが主な検討課題になるかと思うのですけれども、この両者の関係について意見を述べさせて頂きます。ある面では、持株会社の業務範囲が見直されれば、それに応じてガバナンスの見直しも必要となると思うのですけれども、その一方で、両者の問題には独立している面もあるのではないかという気がしております。

つまり、先ほどご説明がありましたとおり、持株会社の監督を通じた金融グループの監督を金融規制の中止に据えるのであれば、その監督を受ける側である持株会社に対して、責任を持ってグループ全体を管理できるだけの手段というものが与えられているかどうかが重要になります。この問題については、先ほどの松井委員のご質問とほぼ同じ趣旨であります。ですから、業務範囲の拡大に応じて見直されるべき事項と、それとは独立して現行法の、例えば持株会社を中心とした監督に対応した持株会社のガバナンスの見直しを、一応、分けて検討していくのがよいのではないかという意見を持っております。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

ほかに何かございますでしょうか。川村委員、どうぞ。

【川村委員】

オーバーしていてすみませんけれども、銀行としても今までいろいろ付随業務を含めて業務範囲を広げてきている中ですので、こういった形で新しいビジネスに取り組めることは非常に将来の収益構造、あるいはお客様へのサービスアップということで期待をしているところです。

あわせて、地域金融機関については、先ほどの事務局資料で23ページに持株会社、A銀行、B銀行、C銀行があるようなときのシナジーみたいなところも集約できるとあるのだという資料がございましたけれども、まさに、地域金融機関は地方の人口減がある中で、経営のあり方とか、業務のあり方、今非常に見直しをしているところで、そうした中の1つのスタイルとしては、こういう持株会社をベースとした金融グループをつくって、効率化をして地域の金融システムを従来どおり維持していくということも検討している最中でございます。前向きな部分とそうした部分と両方に何かプラスが出てくれば、私ども非常にありがたいと思っておりますので、これからのご議論の中で、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

【岩原座長】

ほかにございますか。少し時間もオーバーしてしまって大変申しわけないのですが、私自身が1つ、ぜひ教えていただきたいことがありまして、よろしいでしょうか。

小鈴委員に教えていただきたいのですけれども、資料4の15ページのところに、欧米の大手銀行グループにおける経営体制が紹介されております。欧米の大手銀行グループにおいては、法人としての持株会社とその子会社である銀行や証券会社やアセットマネジメント会社といった法人格の違いではなくて、提供しているサービスないし顧客の違い、リテールですとか、法人投資銀行とか、それに応じて横串的に実際の業務を行っているというご指摘ですが、これはガバナンスの体制として見ると、持株会社の子会社である銀行や証券会社やアセットマネジメント会社はどのような経営管理体制をとっているのか。つまり、持株会社の取締役会やCEOに直属する形でこういう各分野の業務の執行がなされているのか。それとも、経営管理体制としては、やはり子銀行や子証券会社が独自の取締役会やCEO、その他の体制を持ってその指揮命令を受けるような形になっているのか、そこら辺の実際はどうなっているかということを教えていただきたいのですけれども。

【小鈴委員】

私も実際の情報は持ち合わせていないのですけれども、恐らくエンティティを分けている以上は、エンティティ単位でのガバナンスということもございますし、あと一方で、例えば14ページでございますけれども、先ほども少しご説明の中にも入れさせていただきましたが、大規模金融機関の場合、ビジネスラインというものが収益、収入の非常に大きなドライバーであるということで、中核となるビジネスラインの管理がFRBの検証項目にも入ってございますので、両軸で管理しているということなのかなと。お答えになっていないのですが、以上でございます。

【岩原座長】

先ほど、持株会社の社長と子銀行の頭取の兼職、兼任の問題のご指摘がありましたけれども、そういったことを含めて、こういう持株会社グループにおいてどういうガバナンス体制が求められ、望ましいのかということは、ここで多分、検討する必要がある大きい問題だろうと考えます。

中村委員、どうぞ。

【中村委員】

今、15ページのご質問、座長からのご質問ですが、これがいわゆる一般的な金融グループのマネジメントのやり方でございまして、金融庁の方もよくご存じで、マトリックスマネジメントと呼んでいる1つの手法でございまして、縦串と横串、会社によってどっちを縦と、どっちを横と呼ぶかは違いがあるのでございますけれども、各エンティティは各エンティティで取締役会があり、きちんとしたマネジメント、主にレギュラトリー顧客を中心に対応している。ビジネスラインはビジネスラインで、その長がいて、これだと4人のCEOがいるという形になっていますけれども、経営会議はその両方のヘッドが経営会議で議論をするということで、いわゆるリーガルエンティティとビジネスラインがマトリックスの形でマネージしていくというのが一般的な体制ですね。どちらかというと、いわゆる海外のグローバルハウスはこの絵で言いますと横串が強く、日本のエンティティで言いますと若干縦串が強いということになっているかと思います。

【岩原座長】

そこら辺のところ、実際、日本でどうしたらいいかということは、ここでぜひ議論していただければと思います。アメリカもグループによって大分違いがあるようですし、いろいろなあり方があると思いますので、ここで検討していただければと思います。

ほかによろしいでしょうか。大分オーバーしてしまって、大変申しわけございません。特にさらにご発言がないということでありますと、本日の議論はこれぐらいにさせていただきたいと思います。

本日は、大変活発なご議論をいただきまして、まことにありがとうございました。本日いただきましたご意見も踏まえまして、次回以降も引き続き検討をしていきたいと存じます。

なお、次回は金融グループの状況等について、三菱UFJフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3社からご説明をいただく予定でございます。

それでは、事務局から連絡事項がございましたら、お願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

私から、日程につきましてご案内申し上げます。次回ワーキング・グループの日程でございますが、皆様方のご都合を踏まえまして、来週火曜日、5月26日の14時から約2時間程度ということで予定をしております。1週間後ということで間が近接しておりまして大変恐縮ですが、何とぞよろしくお願いいたします。

事務局からは以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3538、3582)

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