金融審議会金融分科会第一部会(第24回)議事要旨

1. 日時:平成17年1月21日(金)10時00分~12時00分

2. 場所:中央合同庁舎4号館11階 共用第一特別会議室

3. 議題:

  • ○  金融改革プログラムについて
  • ○  対象範囲・定義方法について(3)
  • ○  規制内容について(1)

4. 議事内容:

  • 事務局より「金融改革プログラム」及び「投資サービスの対象範囲・定義方法(3)」について説明。

    主な意見は以下のとおり、

    同じ種類の投資商品であっても、業法が違う、あるいは、監督官庁の違いによって規制が異なり、開示される内容が異なると、投資者から見た場合、比較検討がしにくく投資商品に対するリスクの判断ができなくなるということが考えられる。このような状況においては、信頼された投資商品の提供というのは非常に難しくなってくると思う。

    包括定義を置いた上で適用除外を設けるという方法よりも、「投資サービス法」は、現在の法制からの移行的な意味もあるので、ある程度の個別列挙をし、それが必ずしも限定列挙ではないのだということが解釈として示されればいいのではないか。さらに、LLPについて言えば、所有と執行が重なっている面は確かにあるが、極端を言えば株式会社の末端労働者であっても、持株会で株を持つことはあり得るので、程度の問題であり、LLPについても原則対象になるという考え方が適切なのではないか。

    投資家保護という観点からいうと規制の網をしっかりかけておいた方がいいというのは、当然のこととして言えるわけであるが、金融イノベーションに対して、それが制約になってしまう可能性があるので、イノベイティブな動きに対しての効果みたいな視点は投資家保護と並んで持っている必要があるのではないか。

    個別列挙と包括的な定義を併用するというやり方と、包括的な定義は置いた上で適用除外を規定するというやり方とは、同じことの表と裏という関係ではない。解釈上は包括定義に該当してしまうけれども、不都合がある場合には適用除外規定を適用するという考え方である。後者は個別列挙に該当しないものはすべて適用除外として列挙するという考え方ではない。そのうえでどちらがいいかを考えるべきである。

    また、包括規定は実質基準で定めて、個別列挙は形式基準で定めるということになると、個別列挙に当たるものとそれ以外のものと基準が異なってくるという問題が生じる。インサイダー取引の場合にはそれが大きな問題になった。アメリカでは列挙された証券については原則として有価証券とした上で判断しているが、例えば株券についても場合によっては有価証券ではないと解される場合もあるので、個別列挙に該当すればすべて投資商品と考えることの当否についても検討すべきだ。

    日本の司法の強い特色として明文上具体的に規定されていないものは刑事罰の適用がなかなかされないという傾向がある。そのため、法の運用を考えると、範囲については明確なものを個別列挙にし、それでもれてしまうものについて包括定義の方で拾っていくというやり方にならざるを得ないのではないか。個別列挙に入れるものとしては、例えばLLPは、実際上の運営は経営者がある程度やっていくことになるので個別列挙の中に入れてもいいのではないか。また、デリバティブについては、実質で考えていけばいいので、包括条項の問題になると思う。中間法人というのは実際の使われ方を見ると、配当という形では利益の分配が行われていないが、サービス等の形でのリターンが行われていたりするのでこのようなものは実質を見て包括基準等で拾っていく必要があると感じている。

    今回は証券取引法を改組してその対象を広げようという発想なので、従来の証券取引法での考え方を変える必要がある。例えば、信託や組合という仕組みを使う場合にも、投資サービスの提供が行われている場合には、「投資サービス法」の対象になるし、逆に、そこで預金受入れが行われていれば、銀行法の対象となるということだと思う。その際にその規定の仕方は、形式基準で書けるもの、形式基準だけでは書けなくて、プラス実質基準のもの、3番目に実質基準でしか書けないものといった3つの類型になると思う。株式会社の株式は原則、形式基準だけで書けて、本当に外さなければいけないものがあれば外せばいい。組合とか信託は形式基準だけでは書けないので、実質基準がそこに加わって書かれるもの。そして、実質基準でしか書けないもののために包括条項ということだと思う。

    金融商品販売法の中では、勧誘方針の策定・公表という形式的なところに委ねられてしまったが適合性の原則を明確に位置づけて頂きたい。また、販売・勧誘等は、インターネットなどが登場して非常に複雑になってきている。広告、ネットなどの非接触型勧誘、電話や訪問などの人的勧誘といった勧誘の方法に即した規制を設けて頂きたい。さらに、消費者に対する助言業務の影響はますます大きくなっていくものなので、投資顧問業だけでなくアナリストやファイナンシャルプランナーなどもその規制対象に含めるかどうかも検討していただきたい。

    エンフォースするときの体制はいろいろなバリエーションが考えられる。例えば商品先物関係について、統一したルールが適用されたとしても、エンフォースメントの機能が金融庁から経済産業省ないしは農水省に全部委任する体制をとるということがあり得る。エンフォースメントの体制、ルールのあり方といったものを分けて議論しないと混乱が生じるように思う。

    変額年金保険については商品性の問題はもちろんあるが、保険会社が自社チャネルではなく証券会社や銀行に業務委託して売っているため、消費者への責任の所在が不明確になっているのが問題。銀行で購入し、実際には銀行から助言もなく自分で投資判断をしてスィチングなどしないといけない商品であることに後から気付く消費者もいる。販売やその後の問題を考えると保険商品として扱えない実態がある。また、銀行が販売した場合には、銀行のグループ会社のファンドが中心で利益がグループに落ちるような商品が結構ある。日本の場合は、製販分離が進む中で、イギリスのようなコストの開示もない。そうした点も検討すべき。

以上

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 市場課
電話 03(3506)6000(内線3614)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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