金融審議会総会(第10回)議事録

日時: 平成成13年1月29日(月) 9時58分~12時04分

場所: 中央合同庁舎第四号館(10階)共用第1特別会議室

○ 有吉企画課長

まだお見えでない方もおられますが、時間でございますので、ただいまから省庁再編後といたしましては、初めての金融審議会の総会を開催させていただきたいと存じます。

本日、皆様御多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうござます。また金融審議会委員へのご就任を快くお引き受けいただきまして、重ねて御礼申し上げます。

本日は委員改選後の初の総会でございますので、会長及び会長代理をお決めいただくということになりますが、それまでの間、私が当面の議事の進行役を務めさせていただきます。企画課長の有吉でございます。よろしくお願いいたします。

まず最初に中央省庁再編後におきます金融庁の新たな体制、そして審議会の統合による新たな金融審議会につきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。

お手元に資料を幾つかお配り申し上げておりますが、その中に最初の右の肩に総会10-1とある資料がございます。ごらんいただければと思います。

この10という数字がついておりますが、金融審議会という名前で発足してから10回目ということになります。

表紙をおめくりいただきますと、我が国の行政機構ということでございまして、中央省庁の再編によりまして、いわゆる1府12省庁の体制ということになっています。金融庁はごらんのように左からの3番目にございますが、内閣府に属するということで、内閣府の中には、その中で特命担当大臣として、金融庁所管事項を担当する金融担当大臣がいると、こういう仕組みでございます。

金融庁の組織、さらに次のページになりますが、その次のページには1月5日までの体制というのがございまして、そこと比べてごらんいただければわかりますが、かつての金融再生委員会というのがございまして、その機能が金融庁の中に吸収されていることと、また体制としては金融庁長官、次長をもとに3部というものが、今回長官のもとに3局の体制になっております。

なお、金融再生委員会の方の事務局の下にございました金融危機管理課といったものが、現在は監督局の総務課の中の金融危機対応室という形で吸収されているような形であります。

機能といたしましては、もう1枚おめくりいただきました金融行政機構の推移という方をごらんいただいた方が参考になるかと思います。それぞれ機能ございますが、要は総理府の、当時、金融再生委員会のもとでございました金融再生法に基づく破綻処理や早期健全化法に基づく資本増強、金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する企画・立案等が右側の金融再生委員会プロパーの方に入っておったわけですけれども、これが金融庁の方に統合されているということでございます。

ちょっと古い資料をそのまま使ってしまいまして、「現行」、「平成13年1月から」と、少し時代おくれの肩書になっておりますが、ごらんのように下、13年1月から金融庁と分離して、こういった形で一貫して、すべての金融関係のものをとり扱う、こんな形になっています。

この中央省庁の再編に伴いまして、審議会の方も再編ということになりまして、それが次のページにございます。

御案内のように、平成12年の6月まで、当時の大蔵省の方に金融の企画立案機能というのがございまして、それに伴いまして金融審議会でありますとか、そういった審議会、企画立案に関する審議会も大蔵省の方にあると。それから、それが平成12年7月にいわば中央省庁再編の先駆けといいますか、先取りするような形で金融庁が生まれたわけですが、企画立案機能が金融庁の方に統合されたということで、この大蔵省にございました、こういった審議会が金融庁の方に移管されたということでございます。

そしてこの中央省庁改革に伴いまして基本的には各省庁におきまして、この政策審議機能を持つ審議会を一つに統合すると、こういう考え方のもとに、金融審議会という、そこにございます、金利調整審議会、公認会計士審査会、自動車損害賠償責任保険審議会、こういったものの中の企画立案的な機能をすべて統合して、金融審議会ということになってございます。

ただ、いわゆる法施行型といいますか、実際に行政に近いような形をする、例えば公認会計士審査会の処分でありますとか、企業会計審議会における具体的な企業会計ルールの策定、自賠責保険審議会におけるいろいろな認可だとか、そういった形の行政に近いような機能をやっている審議会はそのまま独立して残るという形になってございます。

以上、ごく簡単に中央省庁再編等におきます、いろいろな審議会あるいは金融庁の体制について御説明申し上げました。

続きまして、当審議会の委員の皆様を御紹介させていただきたいと存じます。

全体の名簿につきましても、お手元にお配りしておりますので、適宜御参照いただければと思います。

それでは本日、御出席いただいております委員の皆様を御紹介申し上げます。きょうは本当に皆様、ほとんど全員という形で御出席いただきまして、大変ありがとうございます。委員の皆様の方から見て、右側、私の方から左側になりますが、まず池尾和人委員でございます。

○ 池尾委員

どうぞろよしく。

○ 有吉企画課長

岩原紳作委員でございます。

○ 岩原委員

岩原でございます。よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

江頭憲治郎委員でございます。

○ 江頭委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

太田宏委員でございます。

○ 太田委員

どうぞよろしく。

○ 有吉企画課長

岡部直明委員でございます。

○ 岡部委員

岡部です。よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

貝塚啓明委員でございます。

○ 貝塚委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

加古宜士委員でございます。

○ 加古委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

片田哲也委員でございます。

○ 片田委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

神田秀樹委員でございます。

○ 神田委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

倉沢康一郎委員でございます。

○ 倉沢委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

斎藤静樹委員でございます。

○ 斎藤委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

首藤恵委員でございます。

○ 首藤委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

関哲夫委員でございます。

○ 関委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

高橋伸子委員でございます。

○ 高橋委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

田中直毅委員でございます。

○ 田中委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

成川秀明委員でございます。

○ 成川委員

成川です。よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

浜矩子委員でございます。

○ 浜委員

浜です。よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

原早苗委員でございます。

○ 原委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

福井俊彦委員でございます。

○ 福井委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

福間年勝委員でございます。

○ 福間委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

松原亘子委員でございます。

○ 松原委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

山下友信委員でございます。

○ 山下委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

脇田良一委員でございます。

○ 脇田委員

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

なお、蝋山昌一委員が本日どうしても御都合がつかないということで、御欠席されております。

また、本日御欠席ですが、幹事として増渕稔日本銀行理事が任命されております。あわせて御紹介いたします。

続きまして、当審議会の事務局のメンバーを御紹介申し上げたいと思います。

皆様から向かいまして左側、私から左側の方、御紹介申し上げたいと思いますが、森金融庁長官でございます。

○ 森金融庁長官

森でございます。よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

渡辺総務企画局審議官でございます。

○ 渡辺審議官

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

藤原総務企画局審議官でございます。

○ 藤原審議官

よろしくお願いいたします。

○ 有吉企画課長

三國谷東京証券取引所監理官でございます。

○ 三國谷東証監理監理官

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

大久保総務企画局参事官でございます。

次に、皆様から向かって、私の右側になりますが、乾総務企画局長でございます。

○ 乾総務企画局長

乾でございます。よろしくお願いいたします。

○ 有吉企画課長

いずれも総務企画局でございますが、厚木市場課長でございます。

○ 厚木市場課長

厚木でございます。よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

大藤企業開示参事官でございます。

○ 大藤企業開示参事官

よろしくお願いいたします。

○ 有吉企画課長

樋口信用課長でございます。

○ 樋口信用課長

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

また当審議会、財務省の諮問機関といいますか、審議会でもございまして、窪野大臣官房参事官でございます。

○ 窪野財務省参事官

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

森本大臣官房信用機構課長でございます。

○ 森本財務省信用機構課長

よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

そして企画課長、有吉でございます。

以上でございます。後ほど柳澤金融担当大臣も来られる予定でございます。

それでは次に、当審議会の会長の選任をお願いいたしたいと存じます。

会長は、金融審議会令第4条というのがございまして、この規定によりまして委員の互選によるということとされておりますので、皆様の御意見を伺いたいと思います。

○ 倉沢委員

倉沢ですが、僣越ですけれども、私、貝塚委員を推薦いたしたいと思います。新しい体制ということですけれども、問題といいますか、対象とする事柄は継続性があるということですので、前の当審議会会長として的確な運営をしてこられました貝塚委員に引き続きお願いしたいと思います。

○ 有吉企画課長

倉沢委員から貝塚委員を会長にと御推薦をいただきましたが、いかがでしょうか。

それでは御異存ございませんようですので、貝塚委員の御承諾を待って会長の就任をお願いしたいと思います。

○ 貝塚委員

長いことやっていますが、引き続きよろしくお願いいたします。

また後で御挨拶申し上げますが、何分よろしくお願い申し上げます。

○ 有吉企画課長

ありがとうございました。それでは会長席の方にお着きいただいて。

それでは貝塚会長より御挨拶をいただいて、その後の議事、貝塚会長にお任せしたいと思います。

〔貝塚会長 着席〕

○ 貝塚会長

金融審議会の会長をお引き受けすることになりまして、何分にもよろしくお願い申し上げます。

一言ごあいさつを申し上げます。

金融審議会は、ここ1年半か2年ぐらい、かなり精力的に審議をいたしてまいりまして、今般、中央省庁再編に伴いまして、先ほど来、企画課長から御説明がありましたように、制度変わったわけでございます。しかし、役割はある意味では変わっていないということではないかと思います。ただし、課題は非常に目まぐるしく変わっておりまして、IT革命とか経済のグローバル化、その他、新しい金融の事態がいろいろ発生しておりまして、金融審議会も、このような現実の推移におくれずに、またなるべく先取りした今後の我が国のあるべき金融の姿について、広く御議論していただいて、その成果を内外に示して、与えられました使命を果たしていきたいということでございます。皆様方にはいろいろ、審議会の円滑な運営に御協力いただきますよう、私からもお願いいたしまして、ごあいさつとさせていただきます。

あとは私の方に議事の進行がバトンタッチされまして、まず会長代理を指名させていただきたいと思います。金融審議会令第4条によりますと、会長代理は会長が指名するということになっております。私からは片田委員に会長代理に指名させていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。

それでは、ここで新しい審議会になりました、ついての変更の重要な点は終わりまして、あとは実質的に審議の中身に入りたいと思います。

今後の金融審議会の審議について、30分程度、企画課長から御説明をどうぞよろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

お手元の番号ついた資料、10-2、10-3、それから横長の10-4、それから縦のちょっと厚めの金融制度等に関する最近の主な動き、参考資料というものがございます。

ちょっと順番前後いたしますが、まず総会10-4と、それからそれの参考資料に当たる縦長の、金融制度に関する最近の主な動きというちょっと厚めの資料がございますので、それをまずお手元に寄せていただければと思います。

これは従前から当審議会に携わっていた方にはよく御存じの話ばかりなんですが、今後のいろいろな検討のバックグラウンドとして、これまで金融審議会の方でどういったことをやってきたかというのを、少しレビューさせていただければと思います。

基本的に総会の資料10-4という方に従いまして、適宜、参考資料の厚い方も参照しつつ御説明申し上げたいと思います。

かつて証券取引審議会、金融制度調査会、保険審議会というような、それぞれ組織が大蔵省にございまして、この当時、銀行局、証券局とあったわけですが、それの中の最後の仕事が、日本版ビックバンというようなことでも言われましたが、金融システム改革でございました。1998年の春に審議会の答申を受けました法律が成立いたしました。98年の12月に、このかなりの部分が施行されているということでございまして、かなり大幅な制度改革が行われてございます。その後、金融監督庁ができまして、大蔵省の中では金融企画局という局に統合されまして、金融審議会も、3つの審議会が統合されて金融審議会に移行したわけでございます。

その当時の金融審議会に移行して以降、約2年半になりますが、大きく分けて3つぐらいのテーマが出てまいりました。

一つは金融システム改革時に、今後の中長期的な課題というふうに定義された問題ですが、横断的なルールの整備-いわゆる金融サービス法といった言葉、コンセプトでも語られることも多いんですが-要は当時は金融システム改革法を議論いたしましたときに、やはりこれでいろいろな商品、業態間の区別なり垣根というものがなくなってくると、そうした場合に、各業法の縦割りでそれぞれルールが違うということよりも、むしろ統一的なルールが必要なんではないか。そういう問題意識に基づいた提言が当時の審議会の報告書、答申でもなされました。

その面について御議論いただきまして、そういった横断的なルールということと同時に、取り引きの法的な安定性ないし市場のインテグリティーといった問題、あるいは消費者保護といった観点からも、こういった幅広い金融サービス法といったような概念のもとで、いろいろな考え方なりが、議論がされてきたということでございます。

2番目が危機対応策の整備でございまして、御承知のように97年の終わりごろから98年にかけての問題に対応して、金融システムの安定化のためにいろいろな危機対応策というものの制度整備が図られてまいりました。

それからさらにもう一つは、新たな制度整備と申しますか、金融システム改革時に議論されなかったわけではないんですが、少しまだ結論を得るには、もう少し検討した方がいいんじゃないかということで、金融システム改革の中には取り込まれなかったという項目がございます。この中で世の中の動きが意外に進んで緊急に整備しなければいけないものが出てきました。大ざっぱに言えば、そういったことが行われてまいりました。

以下、やや順不同になりますが、どんなことをやってきたのかというのを少し具体的にごらんいただければと思います。

総会資料の10-4にございます。まず、横断的なルール整備ということで、金融商品、まず最初の左側の項目でございますが、横断的な金融商品の販売・勧誘ルールの整備ということでございまして、これは法律として成立いたしております。

2番目が、やはりこれも当時の金融システム改革で提起された問題でございますが、金融分野における民事的な簡易な紛争処理のスキームというものを何とか樹立すべきではないかという点です。金融というのは、基本的には経済行為でございますので、刑事罰とか、そういうペナルティーだけに依存しただけでは公正性が図られないといいますか、うまく回らないのではないか。むしろ民事的なシステムの中で、紛争処理を図っていくのが一番、有望なのではない。さりとて全部裁判というわけにもなかなかいかないということで、簡易な紛争処理制度ということを考えまして、これをどういうふうにしていくかということでありました。

これにつきましては、金融トラブル連絡調整協議会というのが、現在立ち上がっておりまして、この中でいろいろな関係者、業界だけではなく消費者団体、消費者行政機関、あるいは金融当局、弁護士会といった、これにかかわる人たちが集まって、どういうふうに、どうすれば、この辺の裁判外の紛争処理、簡易な紛争処理の仕組みというものが樹立できるかというのを御議論いただいております。

現在、右にございますように、協議会は、3回開催されておりまして、その中での1つの作業として、例えば現在、苦情ないし紛争の処理についてのモデル規則といいますか、いわばベストプラクティスみたいなものをつくっていただいてはどうかということで、そういった作業が始まりつつあります。

それから金融分野における消費者教育の推進、さらにその一番最後でございますが、金融分野における個人情報保護等のあり方もございます。

これは金融審議会で議論される前からも、従来からいわゆる貸金業者など、貸金とかサラ金、銀行でもそうなんですが、個人がお金を借りる場合の情報、個人信用情報という言葉で大体言われておりますが、それの保護、あるいは利用のあり方につき議論されてきました。しかし、その右側にございますように、個人情報一般の保護ということについて立法化しようという動きになりまして、個人情報保護基本法といったものが、現在、立案作業が進められておりまして、通常国会にも提出されるというものです。

これにつきましては、実は先の審議会で申し送りといいますか、宿題といいますか、いただいておりまして、参考資料の方で申しますと、11ページ以降がこの辺の個人情報保護基本法制に関する説明になります。背景を説明いたしますと、11ページのところをごらんいただきますと、「個人情報保護基本法制に関する大綱」というのがございます。ここをごらんいただきますと、基本法とはいいながら、実は業者に対して相当具体的な義務を課しているということになっておりまして、ページの下の方、3というところに個人情報取扱事業者の義務ということで書いてございますように、利用目的の制限、適正な取得、あるいは適正な管理、次のページに移りますと、第三者提供の制限、あるいは公表等、あるいは開示、自己のデータについて開示の請求があった場合の本人への開示、あるいはその内容が間違っていた場合の訂正とか、あるいはそういったものを使ってくれるなという形の利用停止とか、苦情処理、こういったことがその事業者の義務として何らかの形で取り込まれるという構成になっております。

またこの中で、次のページに、13ページにございますが、主務大臣として幾つかの関与がございまして、次のページの5)になりますが、主務大臣の指示等とございますように、その業界、個人情報取扱事業者とか、先ほど説明し忘れましたが、苦情処理を行うような認定団体についてのいろいろな報告徴収や改善指示ができるということにしています。不適切なことをやっておったら、個人情報取扱事業者、これは別に情報を専ら取り扱うということではございませんで、要は個人情報をいっぱい、大量に例えばコンピューターの中に持っている企業であれば、どんな企業でも入るんですが、これに対する改善とか、中止命令をかけられるということになっています。

またちょっと下にいきますが、6.罰則とございますように、こういった改善・中止命令について、従わないといった場合には罰則がかけられると、こんなことになっています。

さらには、ちょっと前後して戻りますが、前のページ、12ページにございますように、政府にとっては、個人情報の保護の推進に関する基本政策の策定といったこともありますし、またその上、3)ということで法制上の措置と書いてございますが、特に厳重な保護を要するといった別途な措置が必要なものについて、法制上の措置その他の必要な措置を講ずるということがあります。例えばこれまで議論しておりました個人信用情報、則ち貸金業者が審査する際の情報といったものについては、もし必要ならエクストラの上乗せの法律なり規制というのを設けるということもすると、こんな体系になっています。

個人情報の基本法制ができる中で、従来議論されていました、個人信用情報について、どのような上乗せ規制が必要か、あるいはこういった個人情報基本法ができる中で、金融分野において個人の情報の保護の推進に関する基本施策というか方針といったものをどういうふうに策定していけばいいかということで、そういったことの作業が必要となっております。そこで次の17ページでちょっと見ていただきたいんですが、12月21日の前体制における最後の金融審議会の総会におきまして、金融分野における個人情報保護・利用にあり方に関する今後の検討の進め方ということで、最後のパラグラフになりますが、『当審議会としては、基本法制の各規定との整合性の確保や、全体としての実効性確保に配意しつつ、従来の議論の対象としてきた個人信用情報にとどまらない金融分野における個人情報の保護・利用に関して、取り扱われる個人情報の特性等に応じた重層的な措置を講ずることを念頭に、基本法制の今後の立案作業の進捗状況を見ながら、法制上の措置その他必要な措置について鋭意検討を進めていくべきと考える』ということで、いってみれば申し送りでこういうことについて、新たな審議会でもしっかり議論してくださいと、こういうことになっております。

もとの総会10-4の資料に戻りまして、2ページ目になります。金融システムの一層の安定化と利用者の保護を図るためのセーフティーネットの整備等ということが左に掲げてございます。恒久的な措置としての制度整備というのは、基本的にこれをもって完了したものと考えております。ただ、若干経過的な部分がございまして、その中で当審議会に関係しますのは、行ったり来たりして申しわけありませんが、参考資料の次のページ、18ページ目にありますが、預金保険法等の一部を改正する法律の概要に関係する部分がございます。

その中の下から2つ目の大きい項目、3.ペイオフ解禁の延長(時限措置)というのがございまして、ペイオフ解禁を1年延長するということでございます。ただ、(注)にございますように、流動性預金については、さらに平成15年3月末まで全額保護すると、こういう仕組みになっております。

これを審議会でも御議論いただきましたときに、やはりこういう預金を保護するということに伴うモラルハザードについてどう対処するのかという議論がございました。その中で、そういったモラルハザードを緩和するための一つの方策として、流動性預金が全額保護されている間は、流動性預金については金利の上限を設けるべきだ、キャップを設けるべきだと、こういう議論がございました。

これについては、金利調整分科会、これは伝統的に金利の上限設定といったことをやっていた、金利調整審議会の事務を引き継いでおりますので、ここでこれについて議論をお願いする必要があるのではないかと思っております。

それから10-4の資料に戻りますが、その2ページ目の上から2つ目、幅広い資産を対象とする集団投資スキーム法制の整備、これも金融サービス法的な考え方の系統を引くものでございます。

集団的な投資スキームについて、従来は例えば専ら有価証券に投資しているスキームについての証券投資信託とか、あるいは不動産投資スキームとか、そういった個々のものについてはルールがあったんですが、それをいってみれば、この集合的投資スキームについての統一的な法制を作ろうということで、投資法人、投資信託といったものについては従来、いろいろな資産の限定が多い、あるいはこぼれ落ちているという部分が多かったわけですし、またSPCについては、特別な目的のためだったら例外的に流動化といった発想でやってきましたが、これらをむしろ一般的な仕組みとして整理して、証券化するあるいは投資物件としても投資しやすいような形にするというものです。そういった投資スキームとか、SPCといったものを統一的な形でルールをつくるということでございまして、これは法律として結実いたしまして、2000年の11月30日より施行されております。

以降は、やや新たな対応というか新たな制度整備というものでございますが、一つは、昨年の金融審議会の第1部会で御報告いただきました、異業種参入といった新たな動きに対応するものとしての、主要株主ルールの整備、及びインターネット専業銀行といった、新たなビジネス・モデルに対応した規制緩和ということで御報告をいただきました。これは中身、別途御説明申し上げませんが、資料に入っておりますが、これにつきましては、現在、通常国会に法案を提出すべく、銀行業法、保険業法等の改正法案の提出に向けて作業を進めております。

それから次が電子商取引の推進ということで、これは審議会でこれを御議論いただいたというわけではございませんで、これはむしろ内閣全体としてIT戦略会議を中心として、IT革命への取り組みというのが行われております。そこで、電子商取引を推進するために、金融分野を含めまして、民間同士の取引で、書面、則ち「紙」の交付を義務づけている、証取法なんかにもございますが、これを一括して改正し、電子的に行えるようにする、さきの臨時国会で制定されております。施行は4月になろうかと思います。

次の3ページ目になりますが、証券取引所等の株式会社化あるいは企業内容等の開示制度、ディスクロージャー制度の電子化などについて、また相当長年の懸案でありました証券決済システムの改革、統一的な証券決済法制や無券面化のための法整備がございます。最後の点につきましては現在、CPのペーパーレス化を含めました証券決済システムの改革を図る法制整備に向けて、法務省とも現在精力的に検討を行って、何とか次期通常国会でも提出できればというふうに現在作業を進めているところでございます。

最後に金融機関等の国際的な動きに対応した制度整備ということがございまして、ここにつきましては、もちろん従前からバーゼル等の合意による国際的な自己資本ルールがあったわけですが、最近でも世界的にフィナンシャル・スタビリティー・フォーラムとか、いろいろなところで議論になったりしています。後で御説明しますが、最近、バーゼル銀行監督委員会より「自己資本に関する新しいバーゼル合意」の市中協議案という新しい銀行監督あるいは金融監督に対する考え方が示されております。かつての金制では自己資本ルールとか、議論されてきたんですが、最近は審議会であまり議論されておりませんでした。

次に4ページ目になりますが、自賠責の関係で、これにつきましては既に昨年の6月に自動車損害賠償責任保険審議会から、その制度整備のための答申をいただいておりまして、これは現在改正法案提出に向けて、その作業が進んでいるということでございます。

それからもう一つ、公認会計士における企画の関係の話でございますが、公認会計士に関する制度整備ということで、これは現在、作業が進行中のものでございます。監査制度をめぐる、いろいろな問題点、あるいは試験制度のあり方、これらについての議論が行われているわけでございます。

以上のような背景でございまして、ではこの審議会で何をするかというのが、10-2の当面の審議テーマという紙でございます。何をするかということと、どういう体制でやるかということになります。

制度整備につきましては、いろいろな世の中の要請というか、緊急のニーズに対応しなければいけないものがあり、前回の例えば金融危機に対する対応といったものはそういうものかと思いますが、必ずしも理念的にテーマが設定できるという流れにはならないかもしれません。しかし、今後何か問題になり得るんだろうということで、一種の柱的な考え方というか、視点といいますか、そのたたき台としてお示ししてございます。

後でこれらについて、またこれに限らず、どういったことが重要かについて御議論いただければと思っておりますが、まずここであげていますのは1つは情報化社会の進展に対応した金融分野における利用者保護等のあり方です。いろいろな側面があろうと思いますが、一つはさっき申しました個人情報保護。これはもうやらなきゃいけないということで申し送りを受けています。もうちょっと広くとれば、金融規制の目的というのは、情報の非対称性といったところ、特に個人等と一般の金融機関等との非対称性というのに着目したものと考えれば、情報化社会の進展ということは、情報のアベイラビリティーは向上しているだろうけれども、他方、情報洪水というところがございますので、こういった中でどのような非対称性解消のための仕組みがあるのか。あるいは従来の議論でも言われておったんですが、個人といったものをリスクから遠ざけるということではなくて、いかにそのリスクを理解していただいて、判断していただくような仕組みにするかということがあるかと思います。

それから2番目、21世紀における利用者利便と経済の効率性向上に資する金融システムの整備と、これは何でも入っちゃうんですけれども、どちらかというと、従来の制度整備といったものは比較的こういったイメージになっているかと思います。

それから3番の金融機関監督の国際的な潮流と我が国の対応、これは先ほどちょっと御説明に少し入りましたし、後ほど新たなバーゼル規制の概要説明もございますが、金融規制のもう一つの大きな目的であるシステムの安定性の維持と、その中で、特に銀行あるいは預金取扱金融機関の健全性の維持ということについて、国際的な考え方もいろいろと変遷をしていまして、その中で日本としてもどういうふうに考えていくのかといったことが一つのテーマと思います。

次は、グローバルなレベルの市場間競争の急速な進展に対応するための市場整備と、御案内のとおり非常に市場のグローバル化が進んでおりまして、特に企業活動については、いってみれば物を動かす必要もなければ、物理的なサービスを提供する必要もないということで、国境というものが余り意味がなくなってくる中で日本の市場としての競争力の維持、空洞化の防止をどうするかという問題もございます。これは制度整備といったところとも関係いたしますが、他方、クロスボーダー取引がありましたとき、どうやって国内のルールというものをうまくコンフォースするかという問題もございましょうし、国内利用者の金融サービスのアクセスといったものをどういった形で保障するかといった、いろいろな問題があると考えられます。

いずれにしろ、上の4つについては、かなり密接に絡み合ったような問題かと思います。

それから5番目、この自賠責、これについては、既に答申をいただいておりますので、当面、そんなに新たな制度整備ということにはならないのではないかと思いますが、引き続きフォローアップというものが必要だと思います。

公認会計士監査の一層の充実といったことにつきましては、先ほど言いましたとおり、現在、いろいろ進んでいるようでございます。

以上の点を経まして、今後のいろいろな優先課題についての御意見といったものも、後ほどちょうだいしたいと思いますが、こういったものを審議する体制として、どうするかということで、次のページに、金融審議会の構成(案)というページを示しております。

金融審議会の下に実は金融分科会と金利調整分科会ということについて、これは金融審議会令によって設置しなさいということで決まっておりまして、先ほど名簿をごらんいただきましたとおり、下の2枚になりますが、この分科会の所属委員は、総理の発令事項になっておりまして、それぞれの方に入っていただく分科会が既に発令されています。

それから今回の総会で設置を決定していただきたいというのが、下の2つでございまして、自動車損害賠償責任保険制度部会と、公認会計士制度部会です。前者の自賠責についてはフォローアップ中心になろうかと思いますが、公認会計士についてはこれまでのテーマを引き続き検討していただくということで、これらの設置をお願いしたいと思っております。

この場合の委員は、会長の指名で任命されるということになっています。

金融分科会のもとでは、今後、今回の御議論を受けて、またさらに金融分科会において議論して頂いて具体的なテーマをお決めいただくということになると思います。また、その中で必要に応じて、いろいろな部会なり何なりをつくっていただくことになります。

なお、部会としては、個人情報保護に関するものが必要となります。これについては、経済産業省の審議会と合同での審議といった形になろうかと思います。

図の上に金融の基本問題に関するスタディグループということがございますが、これはさきの審議会におきまして、中長期的な問題についてブレーンスストーミング的なものを行っていくべきではないかということで設置いただいたものでございまして、これまで4回ぐらい会合を開いておりますが、これもまだ作業途中というような感じになりますので、これも今回の審議会で設置をいただければと思っております。

以上が体制でございまして、すみません、大変長くなりまして、その次が総会10-3でありまして、やや事務的な話になりますが、金融審議会としての議事規則というものをお決めいただく必要があります。

そこに案を示しております。ほとんど従来どおりの話で特段びっくりするような内容はないんですが、二三点だけちょっと御説明を要する部分があろうと思います。

会議の招集では、会議は会長が招集する。議長として、会長は会議の議事を整理する。意見の聴取、意見を聞くことができるということですが、次の点がやや従来なかったことでございます。会議の公開ということで、会長は審議会に諮った上で、会議を公開することができると、まさに外の人が聞くことができるということに、オープンにするということでございます。これはまた後で御説明申し上げたいと思います。

それから次が議事録の作成及び公表。会議の議事録は、会議の都度作成し、公表するものとする。ただし、会長が必要と認めるときは、議事録の一部または公表しないものとすることができるということでございます。これももう一度後で御説明申し上げたいと思います。

次に第6条でございますが、分科会または部会への議決の委任ということで、会長は審議事項、分科会または部会の委員構成等にかんがみて、適当と認めるときは分科会または部会の議決をもって審議会の議決とするものとすることができるということでございます。およそすべて審議会の議決は、この審議会の総会まで持ってこなきゃいけないということになりますと大変です。ごらんいただいてもおわかりのように、非常に多層組織になっておりますので、機動性の観点からも、テーマの中身にはよりますが、分科会あるいは部会レベルでの自立的な運営を図っていただいた方がよいのではないかということで、議決の委任を可能とさせていただければと思います。

公開と議事録について、ちょっと簡単に補足申し上げますと、もともとは平成7年、最近においては平成11年の閣議決定がございまして、審議会については、できるだけオープンにやっていくという方針が打ち出されています。

従来、議事録なども、かつての証取審とか金融制度調査会時代は議事録の公表というのもなかったんですが、金融審議会となってからは議事録を一定期間後に、例えば議論がある程度区切りがついた時点で公表という形で進めております。

ただ、やはり情報公開法ができましたりとか、あるいはほかの省庁の審議会を見てましても、公開という方向に動いておりまして、透明性の要請という観点から、金融審議会としても今後会議の公開を実施することとしてはどうかというふうにお諮り申し上げたいと思います。議事規則では公開することができるとしておりますが、総会においては原則公開ということにしてはいかがと思っております。

ただし、率直な意見交換とか、あるいは意思決定の中立性といったものが不当に損なわれるとか、あるいは国民の間に混乱とか、特定のものに不当に利益を与えるとか、非常にマーケットセンシティブな話とか、そういったことなど会長が必要と認めるときは、これは当然非公開とすべきではないかと思っております。

そういったことで原則公開といった形でしてはいかがかと提案する次第でございます。

今後、分科会、部会におきましても、それぞれお決めいただくわけですけれども、事務局といたしましても、できるだけ公開といった方向でお諮りしたいと思っております。

公開の仕方をどうするかという点については、もちろん裁判みたいに一般に抽選で傍聴ということもあり得るんですが、ただごらんいただきますように、会場のスペースの問題もございまして、当面は当庁を担当する記者クラブに所属する記者を、各社1名を限度といった形でスタートしてはいかがかなと考えています。実施後の状況を見ながら、将来、場合によっては一般への公開ということも考えてもよいのではないかなというふうに考えています。

また2番目、議事録の公表でございますが、これまで会長の御判断のもと審議の節目節目で公開ということで、ある程度終わってからということになっていましたが、今後は原則として事務的な作業が終わり次第、逐次公表といった形にしてはどうかと思っております。ただし、もちろん先ほどと同じに特に会長が不適当と認めたときに限っては、全部または一部を非公表ということをしてはどうかと思います。

分科会、部会においてもこれと同じようなことでお諮りしていきたいと考えています。

これに加えましては、記者会見と議事要旨といったものが、公表公開の系列ではございますが、これまで同様、要請がございましたら、原則として会議直後、会長等の記者レクと、その場で提出資料等を即日公表配布し、さらにはできるだけ早く、1、2週間かかるかもしれませんが、議事要旨をインターネット等で公表するということをしたいと思っております。

ただ、今後部会の下でさらにいろいろな専門的見地からの調査検討を行うとか、あるいは部会への素材提供をするためワーキンググループを設置するといったことがあると思いますが、会合の趣旨にもよりますが、公開はいたしませんものの従来は議事要旨を公表していなかったんですが、今後は議事要旨を適宜公表するといった形で、できるだけこういったものの透明化も諮りたいと考えてございます。

あとは極めて事務的になりますが、委員の皆様、随行の方をお連れになる場合には1名として、事前に御登録いただきたいと思っております。そういった、特に随行の方、非公開の会議の場合には、委員と同じく審議内容を守秘ということでお願いしたいと思っております。

また、確認的に申し上げますと、会議中の録音といったようなことは御遠慮いただきたいと思っております。

それから最後に意見の受け付けでございますが、これまで金融審議会では、例えば中間整理を行って、国民からの意見を求めるということでやっておりましたが、この金融審議会においても、できるだけ意見の受け付けを行っていきたいと思っております。

以上、すみません、少し予定より長くなってしまいましたが、今後の審議内容の話、それから部会の設置について、そして議事規則について、その中での公開の方針、議事録の公表、またその分科会以下での議決をもって審議会の議決ということで御提案、御説明いたしました。以上でございます。

○ 貝塚会長

どうもありがとうございました。

それではただいまの企画課長の御説明、かなり内容はいろいろなものを含んでおりますが、主として今後の審議テーマとしてどういうのがいいのか、望ましいかと、10-2の資料は、これは一応こういう形で、必ずしも具体的に非常にはっきりした課題というのではなくて、むしろ問題意識を反映したものになっておりますので、そういうものとして御理解いただいて、ですから、まずは当面の審議テーマについて、皆さんからお知恵を拝借したいということもありまして、それからそれ以外のいろいろ、やや制度的な従来の金融審議会と少し違った形で、公開あるいは議事録、取り扱いがなされるということでありますが、その点に関してもどうぞ御自由に御発言ください。

○ 浜委員

ありがとうございます。ちょっと質問めいたコメントというような感じでございますけれども、2点ありますが、私、本会合ニューフェースでございますので、非常にピントの外れたことを言うかもしれないので申しわけないんですけれども、まずこの審議テーマですけれども、冒頭のところに情報化社会の進展に対応してということで、利用者保護のあり方ということでテーマが上がっていますけれども、これをあくまでも利用者保護という観点に限定して情報化社会の進展の金融分野への影響ということを考えるということであるのか、伺った感じではそういう発想のようでありますけれども、もうちょっと幅広く、この電子商取引化、情報化ということが、例えば金融政策の有効性にどういう影響を与えるのか、その金融危機管理の上でどういうふうなインパクトがあるのかというようなところから議論していくというのがこの審議会のテーマとしては、あるいは不適当なのかもしれませんけれども、その辺のところはどうなのかということをちょっと、皆さんの御意見も含めて伺ってみたいなと思いましたことが第1点です。

第2点は、非常に細かいことなんですけれども、この会議規則でありますけれども、この議事録の公開について、会長判断により公表しないこともあると、これは適切なことだと思いますけれども、その場合、ある趣旨の会合が行われたという事実、そしてその審議の内容を公開しないですよというようなことは公開するのかどうかというこの辺のところをちょっと伺いたいなと思ったところです。

○ 有吉企画課長

後者につきましては、基本的に審議会を開くということはアナウンスしますので、そこは事実上、みんなに知られるということになります。

それから情報公開法で、請求が来たときに、情報公開しなくていい場合というのは、実は限定されておりまして、審議会の場合でも、不適当と認めるというのは、まさに情報公開法で公開することが不適当とされる事実に限定されるのではないかなと思っています。則ち個人とか企業にかかる特定の話とか、あるいは場合によっては、非常に中身的にマーケットセンシティブに限られ、これも恐らく一定期間後になれば、そこは外れちゃうと思いますけれども、そんな話になろうかと思います。基本的にはぼぼすべて公表となると思いますし、また部会みたいな会議をやっている限りにおいては、やっているということすらも言わないということはあり得ませんし、やっていますかと聞かれたら情報公開法上、やっていますという話はせざるを得ない、こんな感じなんです。

○ 貝塚会長

前者のところにつきましては、もう一度、皆さんほかに御意見ありますので、それは審議テーマ、もう少し幅広に考えたらどうかという御発言ですが、その点については後で皆さんまた御意見伺いたいと思います。

○ 江頭委員

審議テーマの関係ですが、今、世間では金庫株の解禁というのが話題になっています。私は、株式消却のための自己株式取得が認められている上に、金庫株というのを導入したらどういう効果があるのか、疑問に思っている。つまり、今の日本の制度は自己株式を取得したらば消却するか、すぐ売却するかということを前提に自己株式に資産性を認めておりますけれども、金庫株ということになると、会計上、これにまさか資産性を認めるわけにはいかないでしょうから、もっともそれは企業会計審議会の仕事ですが、会計上、そういうことだとすると、消却とどこが違うのか、甚だ疑問で、どういう効果があるのか疑問に思っておりますけれども、ともかく現在の政府与党の動きを見ていますと、時期はともかく、どうも金庫株の解禁は実現しそうである。そうなりますと、目的を特定せずに会社が自己株式を買えるということは、当然、株価操作等の疑いも出てきうるわけでありまして、アメリカでも、株価操作等の違法性が疑われやすいということを前提に、セーフハーバールールをつくっているわけであります。

ですから、金庫株解禁ということになりますと、市場の公正を図るための証券取引法上の制度が現在のままでいいのかということは当然問題になってきて、それは今審議会に関係することだと認識しております。

過去に政治主導で証券取引法の改正等がなされ、しかも審議会にもかけずにばたばたと法律をつくったものについては、後で訴訟が起こることが多いのです。典型的には損失補てんに関する改正でありまして、あれは証取審に全然かけずに法律がつくられ、あとその規定の違反の効果をめぐって、非常に裁判でもめました。そういうこともありますので、制度改正をするのであれば、審議会で検討すべきだと私は思っております。

それから、この審議会にとって、金庫株の問題に関しもっと深刻なのは、政府与党の首脳、経団連の首脳、皆さんが、証券市場における現在の価格形勢は正しく企業を評価していないという前提で物を考えておられるようで、そうだとしたら、これは非常に金融審にとって深刻な問題をはらんでいるのではないかと認識しております。

また、証券市場はおよそ企業を正しく評価していない、監視していないということを一方で言いながら、他方では、株主代表訴訟は改正せよ、それから株主総会の決議事項は減らせ、つまりその種の経営者の監視制度はどんどん緩めろということをその方々は一方で言っておられるわけで、そうすると一体だれが経営者を監視するのかという、これまた非常に大きな問題を現在の法改正の話ははらんでおり、一体、政策に整合性があるのかどうかを非常に私は疑っております。最後の問題は、この審議会の枠を超える問題ですけれども、とにかくこの審議会に関係ある点、金庫株の問題はきちんと取り組んでいただきたいと思っております。

○ 貝塚会長

ほかにありますか。

○ 原委員

引き続きここの審議会を担当させていただくことになりました。消費者側としては1人の参加なので、ちょっと心もとないところもありますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

3点ございまして、1点は今回、これまでやられたことというのを出されて、確かにすごく大変、たくさんの課題を短期間にやってきたというふうなことを思っておりまして、それなりの成果というんでしょうか、出せたとは思うんですけれども、一つ心もとなく思っておりますのは、やはり目先の問題をどうするかでちょっと走り過ぎてしまったかなというところがありまして、今回、金融の基本問題に関するスタディグループということが立ち上がりますけれども、ここで中長期の課題を取り上げていきたいというお話だったんですが、ここのスタディグループというのが、単なる勉強会というんでしょうか、それにとどまることなく、そこでこういうふうにやっていったらいいよというふうに出たものが、それぞれの部会とか、分科会にうまく反映できるというような、リンクできるようなシステムというのをぜひ考えていただいて、当面の課題課題ということで追いかける形でなくて、それがうまく進展していくようなことを考えていただきたいというのが1点です。

それから2点目なんですけれども、3年間かかわっていて、やはり日本の銀行、保険、証券の国内の企業を中心とした取り組みというんでしょうか、それにやはりとどまっていた、なかなかそこから抜け出ての発想というのができなかったというふうな感じがしておりまして、後半は異業種参入の課題も取り上げましたけれども、それだけではなくて、証券を中心に外国からの資本というのも随分入ってきておりますし、それからネット上の取引というところをまだなかなか踏み込めなかったんですけれども、先ほど浜さんもおっしゃっていただいて、情報化というのはもっと保護の観点だけではなく、もっと広いものがあるのではないかという御発言があったんですけれども、そういう意味からもやはりこれまでの3年間の既存の業界団体というところからもう一歩進めて、やはりグローバル化の中でどういうふうに考えていくのかということも、ぜひ今後の課題としていただきたいと思います。

それから3点目なんですけれども、これは議事録の公表のあり方ですけれども、私がここに参加をしていて、消費者側でどうこの問題を考えるというときに、まず情報をまず知ってもらう、それと情報を共有して、それからどう考えるかということを検討したいんですけれども、やはりそれが私の1人の力で、たくさんの消費者の方に知らせるというのは大変難しいというふうに考えておりまして、それは審議会は当然公表なんですけれども、分科会、部会、やはりできるだけ、議論なさったところは、議事要旨でも当面はいいと思いますけれども、早い段階で公表していくということを、ぜひお願いしたいと思います。これからやっていくというふうにおっしゃられて、どんどん専門委員会になっていくほど、公表がおくれたり、できなかったりというような形、ともすればなりがちですけれども、できるだけ早いスピードで公表ということをお願いしたいと思います。以上の3点です。

○ 貝塚会長

一点だけ、私はスタディグループについては、蝋山さんも出ておられるんですけれども、私も出ておりまして、何らかの形でその成果といいますか、議論の概要あるいは政策的なことに関する限り、非常に興味ある議論がまとまり次第、まだ形は、やはり総会ないし分科会、いろいろなところで報告して、皆さんの御参考にしたいというふうに考えております。

それ以外のことは、おっしゃるとおりだと思っております。

○ 倉沢委員

浜委員にちょっと関連するんですが、私、表現上の少し疑念ということで恐縮ですけれども、1の利用者保護のあり方というのが、前からの、平成12年12月21日の検討の進め方というときには、保護・利用といって、保護と利用というものがある意味でいえば、調整されるような対立するものと、利用者保護というと、本人ではなくて使う人を保護するみたいな感じで、それも一つ等というんでしょうけれども、その一番先に出てくるのが利用者保護等というような表現でいいのかどうかということがちょっと気になりましたものですから。

○ 貝塚会長

そうですね、私は法律論は苦手ですが、多少何となく違和感があって、もう少し幅広な表現が必要だと、そういうふうに感じております。

○ 片田委員

先ほど江頭先生から銀行株の問題について御発言がございまして、セーフハーバールールの充実をすべきだと、それを議題にすべきだというようなお話がございましたことについて、全く異論はございません。しかし、今、経済界に席を置く者の一人として感じますことは、金融ビックバン、つまり間接金融から直接金融の大きな流れが必ずしも順調にいっているとは言えない。その理由は直接金融への流れを支えるような制度なりインフラというものがまだ十分にできていないからではないかというふうに感じておるわけです。一言でいえば、証券市場活性化のためのインフラがまだ不十分だと、その辺のことを検討するのが金融庁なり審議会の一つの重要なテーマではないかと思っております。

諸外国、特にアメリカに比べて、個人の直接金融市場への参加がおくれておる。これを改善するためにどうするんだというようなことは非常に重要なテーマで、そのことが実現して初めて、本来のビックバンが実現されていくんじゃないかと思っております。

金庫株というのは、その中の一つの項目でありまして、これに関連するセーフハーバールールの検討は当然必要ですけれども、もう少し幅広く関連の議論をしていく必要があるんではないかと思います。

○ 貝塚会長

ほかに。

○ 高橋委員

2点、御検討をお願いしたい点を申し上げたいと思います。

1つ目は金融分野における消費者教育の推進について部会の設置をお願いしたいという点でございます。平成12年6月27日の審議会答申に貯蓄広報中央委員会のネットワークを活用するなどで、その取り組みについての具体的な検討の必要性というのが盛り込まれております。それから半年たったわけなんですけれども、金融庁のホームページにこの1月から消費者情報コーナーができたり、財務局の講演あるいは貯蓄広報中央委員会で出している金融商品に関するパンフレットがネット上で見れるとか、進んできた面というのはあると思うんですが、一つはそれが肝心の消費者に知らされていないのでないかと、ほとんどこれが一般の消費者の方に認知されていないという状況がございます。これは早急にお答えをいただけることだと思うんですけれども、この答申に盛り込まれた際に、やはりいろいろな機関が個別に実施するのではなくて、やはり体系的に実施することが必要であって、その検討の過程の中では、その体系的な教育のプログラムが必要だということを私は何度か申し上げてきたというふうに思うのですけれども、これに対しての具体的な取り組みが現在見えてないというふうに思います。

例えばアメリカでは連邦政府が学校教育において、経済教育に関するスタンダードというようなものを作成したと、あるいはイギリスでは、97年から2、3年間、金融分野に関する一般の利用者への理解を深めるために、いろいろなアクションプランをつくって実施したと、やはり今、片田委員からも御発言がありましたけれども、日本でも個人とか家庭に、そういった具体的な教育なり学習の機会というのが提供されませんと、金融ビックバンで期待されるような行動というのはなかなかとられないのではないかというふうに思います。ですので、さらなる取り組みというのをもっと実現するためには金融審で金融分科会の下に作業部会を設けて、各分野の専門家による検討を必要とするのではないかと思います。これが1点です。

2点目は、金融システムの安定化と利用者保護に関するセーフティネットに関連したことなのですけれども、保険業法で定めております保険契約者保護機構の制度の見直しについての検討の必要性に関することでございます。

保険契約者保護機構というのは現在2つあるのですけれども、生命保険に関してはもう既に破綻がかなり多く発生しているということで、更生特例法とか、いろいろな見直しがされたのですけれども、不備な点が今明らかになりつつあるのが、損害保険の契約者の保護制度だというふうに思います。昨年、1社破綻して、その処理が著しくおくれているわけなのですけれども、これを検討してみますと、やはり損保の契約者の保護の制度というのがつくられたときに、生保の制度に右へならえという形でつくられたんですね。生保の場合は継続性ということを非常に大切にしていて、病気とか高齢で新たに保険に入れない人のことを重視してつくられた制度なんですけれども、損保の場合には、それがそういう病気とか高齢ということよりも、火災とか自動車とか障害という分野はそこの辺と関連しておりませんので、どうも右へならえでつくった制度の不備が、今、破綻処理のおくれに一つ結びついているのではないかということがございます。

それとやはり損害保険特有の問題というのが幾つかありまして、例えば共同保険の契約者保護というのは、今、ほとんど図られない状況になっております。ですので、その辺を含めまして、保険業法の中で、生保重視できてしまった、その保護制度というのを、損保は特有の問題として取り上げて見直しというのを必要ではないかというふうに思います。

○ 貝塚会長

ちょっと時間が限られてきたんですけれども、どうぞ御意見はなるべく手短にお願いします。

○ 首藤委員

先ほどの原委員と片田委員の議論に引き続いての点でございますけれども、非常に重要な問題というのをやはり金融審として、どういうふうに議論されていったのかと、専門家としての立場からの議論、それは必ずしも統一された見解を出す必要はないわけですけれども、部会なり分科会でも結構ですから、重要と思われる課題、政策決定に結びつくような課題については、金融審としてどういった議論が出ているかということは明らかにして、そして公表すべきではないかと思います。

ですので、非常に今、中長期的なインフラ等にかかる議論、これはもちろん重要なテーマでございますけれども、やはり金融審議会としての現在、直面している日本の金融システムの問題ということが出てきたときには、やはり一定の見解あるいは議論というものを、まず行うべきではないかと思います。ですので、このテーマといたしましては、その都度、必要と思われるものを取り上げて議論するというような場を設けるべきではないかというふうに思います。

○ 福井委員

福井でございます。今回から初めて参加させていただきましたので、継続的なことが少しわかりませんけれども、せっかく21世紀、新しい、しかも官庁のシステムも新しくなりましたものですから、新しい金融審議会、装いをやはり明確に出すべきではないか。つまり、より戦略性のはっきりした金融審議会にするのがいいのではないかというふうに思っておりまして、的を絞って、どういったことを問題を先取りしながら提案し、解決していくのかと、非常に情報発信が明確であった方がいいと思うわけです。

先ほどお示しいただきました、あの6つの紙を見ましても、1番目は進展に対応したと、それから3番目は我が国の対応と、4番目も対応と、5番目も対応とありまして、やはり問題を後から追いかけるというのは、前世紀の話じゃないでしょうか。やはり問題を先取りするぐらいの感じの戦略性があった方がいいというふうに思いまして、では具体的に何をするかというと、非常にこれは多くの意見があるだろうと思いますが、私は2つぐらい意識しておりまして、最大の問題はこれからの日本の経済とか産業ということと、今ある金融の姿に非常に大きなミスマッチがあるということじゃないかと思います。

今のように、預金貸し出しを通ずる金融のパイが余り大きくて、今後の日本の経済とか産業に対して、きちんとリスクマネーを提供できていくシステムになっていませんので、大きく変換していくというところに戦略性を求めて、強いメッセージを世の中に出していく必要があるのではないか。それが1つでございます。

それからもう1つは、グローバル化にいたしましても、あるいは情報化の進展のもとにおける金融のルールですね、ここではプライバシーの保護、あるいはセキュリティーの保護、さらには会計の原則とか、あるいは本当は税制も入ると思うんですが、そのほかに著作権あるいは特許権という問題があると思いますが、これらはいずれも国際的な潮流に対応してという発想じゃなくて、できる限り積極的に提案できるような要素というのが、そうしませんと、国際的なルール、いつまでたっても後追いですと、日本の金融システムにとっては決していいルールの受け入れということにならないんですね。少しでもいいから、積極的に先取りして提案できるものは何かというふうに絞って議論していく姿勢といいますか体制といいますか、そんなことの方が価値があるし、そういう姿勢をふだんからとっていますと、時折出てまいりまして、個別具体的な問題に当然、金融審議会は対処しなければいけませんが、そのときの対応の仕方もきっと従来よりは早い対応になっていると思うし、問題の切り込み方も鋭くなるんじゃないかなと、そういうふうに思っております。

ぜひ戦略的なテーマの取り上げ方、そして金融審議会というのは世間から見て何をやっているんだという太い骨があった方がいいと思いまして、何でもできるんだというふうなテーマの立て方ではない方がいいと思います。

○ 貝塚会長

どなたか特に発言があるでしょうか。

よろしゅうございますでしょうか。いろいろ御発言いただきまして、かなり銀行株に関連する、非常に具体的な話から、もう少しテーマに関して、福井委員の御発言もある意味では私は同感するところもありまして、ですから、きょうお示ししました、これは物事の考え方の柱みたいな部分が多いので、もう少し工夫させていただきまして、なるべく絞り込みたいような話、それから大きな問題もかなりあって、やはり日本の証券市場とか、日本のコーポレートガバナンスというのは、やはり依然としてアメリカその他と相当の違いがあって、それが相当反映して、銀行が強いということも、ある意味でそういう部分もあるわけですが、その辺の検討はできれば多分スタディグループでもある程度議論をされていますね。その辺のことも活用させていただきたいと思います。

とりあえず御意見を伺って、今後の審議テーマを考える際に、きょうの御意見、大変参考になりました。お礼を申し上げたいと思います。

一応、予定はそういうことでございまして、先ほど来、課長から御説明した点ですが、公開につきましては原則公開ということで、委員の御希望はなるべく早くということでもございますので、その点は事務局としてもそういうことに努力したいと思って、御要望に沿いたいと思います。

それからあとは自動車損害賠償、先ほどの組織のフローチャートですか、部会がございまして、自動車損害賠償責任保険制度部会、それから公認会計士制度部会、これはもともとの審議会を統合したときの、それぞれの以前の審議会の役割をそのまま受け継ぐ必要がありますが、そういう部会と、それから先ほどのスタディグループですね、これを設置するということでよろしゅうございますでしょうか。

それから今の部会、あるいはその他の部会の委員の選任、それから具体的な事務を始めさせていただきたいと思います。

審議事項につきましては、先ほど来、私が申し上げているようなことです。

以上のようなことを、きょうの総会の了解事項とさせていただいてよろしゅうございますか。

それでは、あと事務的な説明、重要な規制の変化で、BIS規制の第二次市中協議案が公表されまして、事務局から御説明いただきたいと思います。なるべくわかりやすく簡略にというのもおかしいけれども、よろしくお願いします。

○ 大久保参事官

大久保でございます。

それではお手元に、総会10-5-1、10-5-2、10-5-3という資料を用意させていただいておりますが、10-5-1を中心に御説明させていただきたいと思います。

「BIS規制」見直しに関する第二次市中協議案の公表についてという文書でございます。

まず経緯と日程が書いてございますが、1988年にバーゼル銀行監督委員会が国際的に活動する銀行の自己資本比率に関する最低基準を公表いたしました。これはいわゆるBIS規制というふうに呼ばれておりますが、実はBIS規制と呼んでいるのは日本だけでございまして、バーゼル銀行監督委員会がつくったものですから、バーゼル合意というような形で呼ばれることが多うございます。国際決済銀行はバーゼル銀行監督委員会の事務局として機能しているわけでございますが、BIS規制という名前が定着しておりますので、ここであえて使わせていただいております。

1988年にこの規制ができた後、10年以上たっておるわけでございますけれども、基本的にこの枠組みが維持されたまま現状に至っているわけでございます。この間、国際的に活動する銀行の監督にかかわるさまざまな事件もございましたし、それから国際的に活動する銀行のリスク管理の手法といったものも、大幅な進歩を見せておりまして、現在の規制が実情にそぐわなくなったのではないかというような機運が高まってまいりまして、その間若干の改正はございましたけれども、本格的な見直し作業が1998年に開始されたわけでございます。

1999年、1昨年の6月にこの見直し作業の骨格を決めまして、第一次市中協議案という形で市中に明らかにしまして、各方面のコメントを求めました。全世界から200 以上のコメントが寄せられておりまして、そういったコメントを踏まえて、さらに作業を進めた結果、ことしの1月16日の火曜日、第二次市中協議案という形で発表になったわけでございます。

今回発表になりました第二次市中協議案につきましては、5月末までに各界からコメントを求めまして、年末ごろに最終案を公表するという予定で作業していく予定になっております。なお、この見直しにつきましては、2004年、平成16年に適用を開始しようということが、今回の第二次市中協議案の中に盛り込まれております。

今回の見直しの大きなポイントでございますけれども、3つあると思います。

第1は当局管理型の監督から自己管理と市場規律を中心とした監督に移行するという考え方でございまして、銀行自身による資本戦略の策定、リスク管理の向上、ディスクロジャーの充実に重点を置くこと、また、銀行に多様な選択肢を提供して、銀行自身の内部管理手法を規制上利用するという道も開くというのが第1のポイントでございます。

第2のポイントは、銀行経営上のリスクをより正確に計測するということでございます。信用リスク量や事務リスク量の違いを分母に反映していくということでございます。上の方の注にBIS自己資本比率規制の概要が、四角のなかに書いてございますけれども、ここにあるように、この規制では、分子の方に自己資本、分母の方にリスクアセットがとられているわけでありまして、リスクアセットに対して8%以上自己資本持ってる必要があるという基準でございます。今回、この分子の自己資本や、あるいは最低比率の8%ということについての見直しは行わず、分母のリスクアセットについての計測というのをより精緻化していこうというものでございます。

一方で負担の水準は、平均的にも軽くも重くもしないという方針も今回の第二次市中協議案の中にはっきり明記されております。銀行にいろいろな選択肢を認めていくわけでございますけれども、進んだ計測方法を選択する銀行については、経営上のリスクの違いに応じて、自己資本の充実が必要になってくるということでございまして、国際的に活動する主要行を中心として、全体としてこういった国際的な考え方の変化に対応いたしまして、例えば内部格付けの手法等につきまして、積極的に取組みができるような体制づくりも含めた対応が必要になってくるというふうに考えております。

3番目のポイントは、個人・中小企業向けの融資の取り扱いを最終案の確定までに検討していくということでございます。個人や中小企業向けの融資のうち、一定のものについては必要とされる自己資本額を標準的な融資よりも小さくするという可能性について検討を進めることが明らかにされております。

この第二次市中協議案、実は大変大部なものでございまして、バーゼル委員会から今回発表された文書は、10の文書になっております。全体としますと、数百ページになっておりまして、その文書そのものは、きょうお配りしておりませんけれども、金融庁のホームページに載せさせていただいております。

10のうち、その1つは説明文書ということで、事務局が今回の見直しの説明用につくったものでございます。次に概要という文書がございます。それから一番分厚いのがルールブックと呼んでおりますが、自己資本規制の規則を書いたものでございます。更に、それに7つの補論がついてございます。大変大部なものになっておりまして、お手元にお配りするということはしておりませんけれども、この大部になっている原因と申しますのは、銀行自身のリスク管理について、できるだけ選択肢をもって認めていくという結果、いろいろな側面について選択肢のそれぞれを検討しているというところが分厚くなる原因の一つとなっております。

この案を御説明する過程で、さまざまな質問がなされておりますので、そのよく出される質問につきまして、総会10-5-2という資料でQ&Aの形で整理させていただいておりますので、これをさっと御説明させていただきます。

まず見直し後のBIS規制の構成はどうなるのかということでございますけれども、見直し後の姿は3つの柱からなっておりまして、これは第一次市中協議案と同じでございます。すなわち第一の柱が最低自己資本比率の規制、第二の柱が監督上の検証、第三の柱が市場規律ということでございますけれども、第一の柱に対して大変注目が集まっているということでございます。信用リスクの計測の精緻化ということがその中心にあるわけでございますけれども、銀行に標準的手法と内部格付け手法という2つの手法の選択を認めるということで、標準的手法では格付け会社など、外部の格付けを利用して信用リスクを評価するという方法で、これは現行規制に比較的近い内容となっております。したがって、現行規制に近いものとしてこれを選択するという場合には、必ずしも複雑になっているというわけではございません。

他方で内部格付け手法ということにつきましては、この銀行が内部管理のために行っている格付けをできるだけ活用しようという考え方を盛り込んでおりまして、この中でもさらに基礎的なものと、先進的なものとの選択を認めていくということが示されております。

それから信用リスクだけではなくて、オペレーショナル・リスクの計測もこの自己資本の規制の中に取り込んでいこうという考え方が明らかにされております。

次のページでございますが、なぜ見直しが必要なのかということが書かれております。細かい説明は省略しますけれども、具体的な理由を掲げてございます。銀行自身の内部管理や市場規律に重点を置く必要が高まっていること、あるいは多様な選択肢を認めていくという必要が高まっているということ、それからリスク計測自体を精緻化していくという必要が高まっているということが挙げられると思います。

それから次の問3でございますけれども、日本の金融当局としてはどのような点を主張してきたのかということでございます。我が国の金融機関の内部管理の手法の実態等を考慮しまして、一律の規律というのを見直しまして、多様なリスク管理方法をできるだけ活用できるようにするということを主張の重点の一つとしております。

この点につきましては、日本の金融機関の幾つかの銀行につきして、直接バーゼル委員会の部会等でリスク管理の方法を発表していただくといった機会も設けておりまして、我が国のリスク管理手法のよい面については取り入れ得るように今回の中に盛り込まれております。

それからもう一つの重点事項として取り組んでおりますことは、小口貸し付けのリスク分散効果など、個人向けの融資、中小企業融資の特性を考慮した扱いを盛り込むということです。

3ページ目でございますけれども、邦銀への影響についてどう見ているのかということでございますが、標準的手法を使う銀行についていえば、格付けのない企業に向けた融資の扱いが現行どおりとされていることにかんがみれば、現状の規制と大きな隔たりは想定しがたいわけでございます。他方、内部格付け手法を使う銀行については、定義とか計数にまだ未確定のところがございますけれども、銀行の資産内容等によるリスクの違いがより正確に自己資本の比率に反映されてくるということが見込まれます。2004年の適用開始までに向けて積極的に取り組んでいくということが必要になってくるかと考えております。

問5は、見直しによって貸し渋りが生じることがあるのではないかという質問でございます。第二次市中協議案では、平均な自己資本の負担水準については、軽くも重くもしないという方針が示されております。また個人向けとか中小企業向け融資については、その特性を考慮した取り扱いを最終案策定までに盛り込むという方針も盛り込まれております。従って、今回の見直し自体が貸し渋りの原因になるとは考えていません。

なお、現状でも住宅ローンにつきましては、8%ということではなくて、4%という規制になっておるわけでございますけれども、例えばリテールに対する貸し付けというののリスクは、非常に小口で分散しているということも考えれば、8%の資本を求めるという考え方を見直してもいいのではないかということが今回の中にはっきり盛り込まれておりまして、当方もこうした点についても主張してきているところでございます。

このことは、問6により詳しく書いてございますけれども、これは省略させていただきます。問7は、今回の見直しの地域金融機関や協同組織機関に与える影響如何ということでございます。また、今回の見直しは国内基準にもそのまま適用するのかということでございます。我が国の自己資本比率規制は、国際的に活動している金融機関、現在28行庫ございますが、これを対象とした国際統一基準と、その他の金融機関、地銀の多くや第二地銀、信金、信組を対象とした国内基準からなっております。

今回のBIS規制の見直しは、専ら分母の計算にかかわるものでございますけれども、現行の国内基準は、分母の計算の仕方について基本的にBISの規制にそのまま準拠した形となっておるわけでございます。

今回の見直しを国内基準にどのように適用していくのかということにつきましては、見直しの最終案を見きわめつつ判断していくべき問題だろうというふうに考えております。

問8は金融行政のあり方に対する影響ということでございます。今回の見直しは「自己責任・市場規律を中心とした行政への転換」という当庁の基本方針に沿った内容のものでありまして、当庁としてこれまで進めてまいりました検査や監督体制の充実に向けた努力を一層続けていきたいと考えておるわけでございますけれども、今回の改正案は考え方の大きな変化を伴ったものになっておりますので、これに対して積極的に円滑に実施できるような体制をとっていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。

以上、簡単でございますが御説明とさせていただきます。

○ 貝塚会長

もし何か御質問ございましたら、柳澤金融担当大臣がお見えになっているので、御挨拶いただいて、その後でお願いします。

柳澤金融担当大臣がお見えになりました。大臣より御挨拶及び当審議会への諮問をいただきたいと思います。

〔柳澤金融担当大臣 入室・着席〕

○ 柳澤金融担当大臣

このたびの中央省庁の再編に伴い、1月6日に金融担当大臣を拝命いたしました柳澤伯夫でございます。

今般の審議会の統合による新たな金融審議会の初回総会の開催に当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。

初めに皆様方には御多忙のところ、委員への御就任を快くお引き受けくださいましたことを厚く御礼申し上げます。

金融庁は、昨年7月1日、金融監督庁と大蔵省金融企画局を統合して設立されましたが、さらに、この度の中央省庁の再編に当たり、改めて内閣府の外局として設置されるとともに、金融再生委員会の廃止に伴い、同委員会が担ってきた金融安定化に向けた業務を引き継ぐこととなりました。

金融庁は銀行、保険、証券等にかかる制度の企画立案から検査・監督・監視までを一貫して担うとともに、これらの分野の全てを監督する立場として、我が国金融の機能の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を図るとともに金融の円滑化を図ることを任務といたしており、これを的確に遂行して参りたいと考えております。

次に、我が国の金融システムの現状について申し上げます。

金融再生法に基づく破綻金融機関の迅速な処理や早期健全化法に基づく公的資本増強の実施等に加え、金融機関に対する厳正な検査・監督等により、不良債権の処理や金融機関の再編等も進んできていることから、我が国の金融システムは一時期と比較して格段に安定性を取り戻してきています。景気回復の足取りがなお本格化しないこと等から、不良債権残高は横這いで推移しておりますが、各金融機関は引当など適切な処理を行っており、金融機関の健全性についてかつてのような問題があるわけではないことを確認をしておきたいと考えます。また金融機関の再編・統合については、大手行において、国際的にも遜色のない高い自己資本比率を持った金融機関に再生し、強い金融機関を目指す方向での大胆な動きが見られており、今後は、その成果が現実のものとなるよう業務・機能本位の更なる改革が進められていくことが期待されます。

また、地域銀行においても、各行の自主的な取組み等により健全性を高める動きが見られており、今後、さらに徹底したリストラ、業務再構築へつながっていくことが期待されます。

私は、当面の金融行政の課題として、1)平成14年4月のペイオフ解禁を控え、さらにゆるぎのない金融システムの構築、2)金融機関が自らの経営判断により創意工夫を発揮し高収益を目指すことを可能とするための環境整備、3)健全な中小企業や次代を担う新規産業等に対する円滑な資金供給を可能とする直接金融市場等の多様化・活性化、4)国民が高度で多様な金融サービスの便益を安心して享受するための枠組みの整備等が重要であると考えております。

さらに、金融技術や情報通信技術の発達、金融・経済のグローバル化の進展等に伴い、業態間の垣根を越えた多様な金融商品・サービスの開発が急速に進んでいるほか、大量の資金がより利便性の高い金融市場を目指し国境を越えて移動しており、この傾向は、今後、ますます加速するものと考えられます。このような展望を踏まえ、国際的なルールづくりに積極的に貢献するとともに、利用者にとって一層利便性が高く、国際的にも重要かつ安定的な地位を保持し、新世紀をリードする金融インフラの整備を図ることが肝要と考えております。

また、自動車損害賠償責任保険を取り巻く状況の変化に応じた制度整備や、公認会計士監査の一層の充実・強化及び環境の変化に適合した公認会計士制度の整備も重要であります。

金融審議会におかれましては、引き続き、昨年8月に行いました、「経済・金融を取り巻く環境の変化を見据え、安定的で活力ある金融システムの構築及び金融市場の効率性・公正性の確保に向けて、金融に関する制度の改善に関する事項について、審議を求める。」との諮問を受けてのご議論をお願い致します。

また、公認会計士制度に関しましては、本日、「公認会計士制度を取り巻く環境の変化を見据え、公認会計士監査の一層の充実強化及び環境の変化に適合した公認会計士制度の整備に向けて、公認会計士制度の改善に関する事項について、審議を求める。」との諮問をさせていただきます。

これらの分野につき高い見識を有しておられる皆様方の格段の御協力をお願い致しまして、私の御挨拶といたします。

それでは、ただいま御挨拶にございましたとおり、総理及び長官連名での公認会計士制度に関する諮問を貝塚先生に。

それではどうもありがとうございました。

〔柳澤金融大臣より貝塚会長に諮問文を手交〕

○ 貝塚会長

もしお時間があれば、御質問を受け付けたいところですが、大変お忙しいと思いますので。

○ 柳澤金融担当大臣

それでは大変恐縮ですが、失礼させていただきます。どうもよろしくお願い申し上げます。

〔柳澤金融大臣 退席〕

○ 貝塚会長

それではBIS規制の第二次規制につきまして、田中委員、御質問があると。

○ 田中委員

バーゼル合意の見直しというと、日本ではキャピタルクランチがまた起きるのではないかという、そういう関連から専ら議論されているように思います。先ほど福井さんが言われましたように、本来、中長期的に考えれば、我が国の金融システムが一体どういうノウハウを身につけて、今後21世紀の中でどういう役割を果たすのかということと、それからそこでできた基準というものを、国際社会にどう持ち出すのかという議論があると思いますが、このバーゼル合意の話は、やはり少し考えた方がいいと思うんですね。

ここにありますように今度の見直しの中で出ている幾つかあるんですが、例えば信用リスクを市場リスクを議論したり、あるいは市場における規律を問題にするということなんですが、もし銀行のこれまでのプラクティスに意味がないと考えると、意味がないといいますか、ここに出てきています、格付け会社のレイティングを使うというリスク評価の話があるんですが、これはもともと社債を初めとした債権にかかわるものであって、レイティングサービスは一般投資家向けなわけです。もし、商業銀行がその手のものを使ってしかリスクの評価ができないというのであれば、これはモニタリングの能力というのは一体何なんだと、日本でまさにリスクを直接とる資金がないということは、間接金融が優位しているということですから、 200万人ぐらいの従事者がいて、格付け会社が発表する格付けを使って、貸し出しリスクの一部について、あるいはかなりについてリスク評価をしているということならば、一体何だったんだということになるわけですね。

ですから、ここのバーゼル合意の見直しでも、当然、個々の金融機関ごとに信用リスクについての評価基準を持つべきだと、それがどのようなものになっているのかということになるわけですが、これはひょっとしたら、それが日本で不十分だということならば、一般投資家が得ている情報以上のことを、日本の商業銀行は持っていないのかという話になるわけです。極めて、そういう意味では、これは受け身でバーゼル合意の見直しで、これを通じて、現在の株価下落が起きて、強制評価権の問題が起きる、そうすると銀行が自己資本不足になる、キャピタルクランチ起きるんじゃないかと、このルートだけで議論していて、中長期的に見た日本の銀行は一体どうあるべきなのかという議論を抜きにバーゼル合意の見直しに、我々それを見ているということでは、先ほど報告されましたように、そんな大部なものを読めるのかという話が先にきちゃうと、そういう話ではなくて、本来、日本の銀行の内部にどういう機能があって、事業会社あるいは借り主との間にどういう形でリスクをマネージしてきたのかという、それがプラクティスとして抽出され、それが理論化された場合に、バーゼルの場で、我々は少なくとも、もちろん幾つかの失敗がありますが、失敗も含めてですが、理論的な貢献ができるということだと思うんですね。

しかも、最近のように、アジアの明確に幾つかの国は、ボンドマーケットがなくて、アジア危機のときに横波を受けた国々は、グローバルスタンダードというものがバーゼル合意も含めて、これは自分たちを封じ込めるという言い方までしているわけです。考えてみると、ボンドマーケットも発育していないという意味からいくと、割合日本に似ているんですが、中国を除くアジアはそういうマーケットになっているわけで、しかし、問題は、ただ単に押しつけられたのが困るというだけではなくて、では貸し付けを中心とした分野において、どういうプラクティスが成立し、借り主や事業会社との間で、金融機関はどのようなノウハウを身につけたのかということの実績といいますか、それを形式化したものがなければ、国際社会の場に出て主張できないわけです。

そういうことの中で、日本は何か言うべきものがあるのかどうかということが、このバーゼル合意の見直しのときに、私は日本からの貢献ということにかかってくると思います。福井さん言われましたように、中長期的に見て、一体どういう基準を出すのかというのは、ものすごく重要で、そのことについて必ずしも、こういう場でやることかどうかわかりませんが、私はやはり間接金融で少なくとも、これまでやってきて、失敗もありますし、リスクマネーがうまく配分できないという問題あるんですが、貸し出しに関しては、何かやはりこういう議論をされるときに、日本からの積極的な貢献がないとすれば、大変残念だというふうに思っているんです。

○ 大久保参事官

田中委員の御指摘、大変ありがとうございます。

まず、いわゆる標準的手法といいますか、格付け会社の評価を使っていくという考え方ですが、実は第二次協議案では、格付け会社という言い方をしておりませんで、クレジット・アセスメント・インスティチューションという書き方をしておりまして、必ずしも民間のものだけでなくて、そういう格付けを行っている公的機関も取り込みうるような仕組みになっているわけでございます。この点については、第一次市中協議が出たときの背景から申し上げます。現行の規制では企業に対する貸し付けは、すべてについてリスクウエートは 100%にするという形になっておるわけでございますが、幾ら単純な銀行でも、すべての企業に対して同じ貸し出しリスクがあるというふうに考えているわけではないということは明らかであるわけでございまして、これが現行規制の第1の欠陥として考えられていたわけでございます。それではできるだけ規制自体を余り複雑化しないで、しかし、そういう信用の何らかの指標を入れるというのにはどういうやり方があるかという観点から、外部の格付け機関を利用するという考え方が、第一次市中協議のときには中心的な考え方として出されたわけでございます。これを若干精緻数値化したものが今回、第二次協議案として出されているわけでございます。

ただ、御指摘のような点も、まさに今回の見直し作業の本質的なところにかかわるんですけれども、実はこの第一次協議案を出した後の段階で、いろいろな金融機関からバーゼル委員会に直接リスク管理の現状について説明を受けるような対話を行いまして、その結果、国際的な活動をしている金融機関というのは、当然のことながら、規制のあるなしにかかわらず、貸手先の信用度を当然評価するような仕組み、いわゆる内部格付けの仕組みというのを、相当持っていることが判明したわけです。これは、日本の場合でも同じでございます。そういった内部格付けの方法は内部だけの情報を使うわけではなくて、格付け機関の情報もチェックの形で使ってあり得ます。いずれにしましても、そういった内部格付方法をより積極的に、当然銀行としてやっている部分を、より明示的に規制の中に取り込んで、きちんとしたリスク管理を、むしろ自分自身で行うことを強化していこうというふうな考え方から、内部格付けを充実させたものが、今回の協議案になっております。その結果、内部格付けの補論というのは英語で約100ページあります。内部格付けといったときには何を内部で推計するのか、倒産率なのか、倒産のときの損失なのか。倒産時の損失というのは担保のあるなしで変わってまいりますし、また、保証のあるなしでも変わってまいります。それから倒産時のときにエクスポージャがどうなるかということも推計しうるのか、企業の指標としてはそういうものを銀行自身が本当に持っているのかというようなところが検討の中心になってきているわけでございまして、それをよくチェックしようじゃないかということが今回の提案であります。つまり、リスク管理の進んだ銀行が行っているリスク管理の手法をいかに規制の中に取り込み得るのかというところが今回の見直しのポイントです。しかし、一方で競争条件の均等という観点もあり、A国の銀行はそういったが取り込めるけれども、B国の銀行はできないというふうな場合にはどうなるのかというようなことも真剣にいろいろな側面から検討したものが今回のペーパーになっております。また金融機関の内部の管理だけではなくて、銀行の活動している環境自体も各国によって、かなり違いがございまして、担保の利用の有無ですとか、あるいはクレジットカード業務というような業務の重要性ですとか、あるいは銀行の保有している株式の取り扱いといったようなものが、各国の中で違いがあるわけでございまして、そういった違いにも耐え得るよう、しかし、リスク管理はしっかりと銀行自身が行うことを促進するような形にしようというのが今回の見直しの本質にあると思います。

それで第2の御質問に入りますけれども、我々の担当者としましては、そういった各国の実態というものを踏まえて、一律の規制になるということではなく、他方で全体として現実に即して、しかもより良いリスク管理を促進していくというような観点に立った、積極的な提案をいろいろな局面で行ってきております。確かに国際的な規制の潮流に対する我が国の対応という表現は、私自身もそういう受け身的にとらえられるということは意味だとすると忸怩たるものがございますけれども、実際問題としては国際的な議論の流れに、日本の実情を踏まえたものをいろいろな側面から提案していくということを行っておりますし、今後ともいろいろなお知恵をおかりして、いろいろな局面でそういった積極的な提案を行ってまいりたいというふうに思っております。

○ 成川委員

このBIS規制、日本の今後の銀行のあり方、大変大きな影響を与えると、こういうふうに認めているところですが、今後の予定では5月ごろまでにコメントを集めながら、最終案は2001年末までにまとめると、そういう日程に入ってございますが、金融審では日本の政府としては今後これに対して、今まではいろいろな努力されて、今も御説明ありましたし、個人なり中小企業向け等ある程度配慮されていると、こういう評価のようですが、今後、これに対してどのような日本政府あるいは金融庁として対応しようとしているのか、あるいはこの審議会でこれをどう議論すべきだとお考えなのか、その点を第1の質問とさせていただきたい。

2つ目には、オペレーショナル・リスクの計測について、今回書いてあって、ITなどにかかるオペレーショナル・リスク等もかなり検討されているということなんですが、これと今回の結論、自己資本規制との関係とはどういうふうになっていますかについて、第2点としてお尋ねしたいと思います。

○ 大久保参事官

まず第2点の方からお答えしたいと思いますが、横長の大きな資料の方を見ていただきますと、オペレーショナル・リスクのことを書いています。後ろから5ページ目でございますけれども、オペレーショナルリスクの計量化というふうに書いてあります。

まず、オペレーショナルリスクの計量化を図りまして、これを今回の自己資本規制の中に盛り込んでいこうというふうに考えるようになってきた議論の背景でございますが、これは大きく分けて3つあると思います。

1つはオペレーショナルリスク自体が銀行業務の中で増大しているのではないかという認識でございます。すなわち金融業務が高度化しているということとか、アウトソーシングが拡大しているとか、ITへの依存が高まっているとか、あるいは訴訟のリスクができているというようなことがございます。

2番目に銀行ごとのリスクの特性が非常に多様化しているのではないかということでございまして、信用リスクや市場リスク等オペ・リスクの比重が銀行によって異なってきているというようなことをもっときちんと認識しなきゃいけないじゃないかというのが第2番目でございます。

3番目は、信用リスクの計測の精緻化に対応ということでございまして、信用リスク自体を精緻化してはかっていこうということになりますと、今までいわばどんぶり勘定のような形で8%の中に盛り込んでいたものの中もよく見てみなければいけなくなります。この中には、実はオペ・リスクに対応したものも含まれているというふうに考えられていたわけでございますけれども、信用リスクを精緻化してはかっていこうということになると、オペレーショナル・リスクもより精緻化してはかって、それを明示的に取り込んでいく必要があるんではないかというのが今回の議論の背景にあります。

次のページ、ごらんいただきますと、では具体的にオペレーショナル・リスクというのはどうやって計測するのかということでございますが、これはいろいろな議論がありまして、はっきりとした結論が出ているというわけではございませんけれども、3つの手法というのが提案として盛り込まれております。すなわち、まず、基礎的指標の手法ということでございまして、これは一番単純なやり方でございますけれども、銀行全体の粗利益に一定の掛け目を掛けて、それでオペレーショナル・リスクに代替したものとするというような考え方。2番目はビジネスラインごとに定義された指標に一定の掛け目を掛けるというような考え方。3番目は内部計測の手法ということで、業務規模をあらわす指標に加えて、過去の損失データを用いて計算する方法です。このような指標で、オペレーショナル・リスクの計測に代替するというような考え方が示されております。

銀行ごとに業務のラインの重要性が違っております。例えばインベスメントバンキング業務とかを活発にやっているところとか、あるいはむしろリテールに特化しているとか、そういった様々な業務形態がありますので、それぞれの特性が配慮できるようにしているということでございます。

いずれにしましても、このオペレーショナルリスクと信用リスクと合わせて、市場リスクがありますが、この3つを合わせて、現行よりも全体として重くなったり軽くなったりしないようにしようというのが現在の見直しの考え方でございます。

○ 貝塚会長

最初の御質問につきましては、乾総務企画局長、今後の対応をどういうふうに考えているかということですが、どうぞ手短にお願いします。

○ 乾総務企画局長

先ほどの資料総会10-5-1のスケジュールにありましたように、今後パブリックコメントを求めまして、またバーゼルの場で意見を述べ、いろいろな議論が行われていくわけでございまして、最終的に2004年から見直し基準の適用が開始ということになるわけでございます。

その間、金融庁といたしましては、各界の意見の取りまとめ、また各界は直接このバーゼル委員会に申し出ることもできますので、両方でということになると思いますけれども、そうした意見を踏まえながら、今後の最終的な調整に向けての議論に参画をしていきたいというふうに思っております。

それと同時に、今回のこのバーゼルの合意の見直しは、先ほど来、田中委員初め御議論がございますように、銀行のリスク管理ということが前面に出ております。先ほど大久保参事官が言いましたように、日本の銀行、とりわけ主要行がこうしたリスク管理について、相当精緻なものを持っておりまして、そういうプレゼンテーションをバーゼルの場において行ったことが、今回のような案につながってきているわけでありますけれども、日本の金融界の全業態がそういうことに対応可能かと言えば、まだまだそうではないのかもしれません。そうした新たなリスク管理手法に基づいた銀行経営ということについて、どういうふうにそれを達成していくかということは、一つのこれからの銀行経営上の大きな課題でございます。

それと同時に今成川委員がおっしゃいましたけれども、現行のBIS規制というものが、例えば早期是正措置ということと結びついておりまして、それが銀行監督行政の中でいろいろな監督の手法のメルクマールとして使われているわけでございますけれども、バーゼル合意というものがこういうものになってきたときに、それをどういうふうにやっていくかということも、これは今後の金融監督上の重要な課題であるというふうに認識をしております。

そこで先ほど資料総会10-2に当面の審議テーマというところで、たたき台を提出しました中の第3番目に「金融機関監督の国際的な潮流と我が国の対応」と書かせていただきましたけれども、これはそうした問題意識を書いたつもりでございまして、今後のバーゼル合意の見直しが日本の銀行経営及び銀行監督にどういう影響を与えるのかということの問題意識をこの金融審議会でも御議論をしていっていただきたいということで書いたものでございます。

○ 貝塚会長

そうですね、日本の銀行業はアングロサクソンと違って長期貸し付けとか、そういうもののウエートが高いです。ですから、おのずから違った手法を持っているはずなんですが、そういう点の何といいますか、ノウハウもきっちりしておく必要があるというふうに思います。

それから、時間がございませんが、ごく簡単にお願いします。

○ 浜委員

恐れ入りますが、時間が過ぎようとしているところで質問させていただきますが、30秒ぐらいでいきたいと思いますが、今、御指摘のもろもろの点に関連してくるんですけれども、このきょうのペーパーの10-5-1の2の2)の黒丸の3番目のところの書き方、進んだ計測手法を選択する銀行については、経営上のリスクの違いに応じて自己資本の充実が必要というのを読むと、あたかもこれは正直者はばかを見るような感じの、あるいはより先端的な手法を持っているものほどばかを見るような感じに読めないことはないのでありますけれども、もしそうであれば、日本の金融機関、あるいは先ほど田中さんが御指摘になったアジアの金融機関たちはそう戦々恐々とすることはないわけでありますが、その辺について補足的な説明をいただければありがたいなと思います。

○ 大久保参事官

この文章がやや簡単に書き過ぎているようなところがございまして、誤解を与える点があるかもしれませんけれども、趣旨はいろいろなリスクの計測の方法について選択肢が認められるということでございまして、経営上のリスクに応じて、進んだ選択肢を使う銀行については、例えば内部管理のあり方、監督当局による検証のあり方、それからディスクロージャーというような点につきまして、より難しい対応が求められるということが、今回の中で見込まれております。そうした体制の整備に積極的に取り組んでいく必要があると、段階的なもので考え方が盛り込まれているという趣旨を書いたものでございます。

○ 貝塚会長

時間がもう既に経過いたしましたので、本日は、大変活発な御議論をいただきまして、今後の審議の方針を決める際に大変参考になりました。

今後の分科会及び部会の審議の細目につきましては、事務局から追って御連絡させていただきます。

以上でもって予定の議事はすべて終了いたしました。本日の総会はこれで終了いたします。

なお、後に記者レクで本日の総会の模様を説明する予定でございます。

それから今後の日程につきましては、事務局より後日御連絡させていただきます。

皆様、本日はお忙しい中、どうも議事の不手際もございまして、時間が超過いたしましたが、どうもありがとうございました。これで閉会いたします。

以上

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