金融審議会総会(第13回)・金融分科会(第3回)合同会合議事要旨

1. 日時:

平成14年9月9日(月)15時00分~17時10分

2. 場所:

中央合同庁舎4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

  • (1)「『中期ビジョン』に盛り込むことが考えられる事項」について

  • (2)「証券改革促進プログラム」及びその進捗状況について

4. 議事内容

  • 貝塚会長より、開会の挨拶があった。

  • 柳澤(やなぎさわ)金融担当大臣より挨拶があった。

  • 事務局より、「『中期ビジョン』に盛り込むことが考えられる事項」について説明があり、続いて自由討議が行われた。

自由討議の概要は以下のとおり。

  • 損害保険会社は、「市場機能を中核とした複線的金融システム」という将来ビジョンの実現に中核的存在として参加するとまではいかないが、これに積極的に参加していくし、そうすることが損害保険事業の効率性向上につながると考える。今後は、損害保険固有の機能である損害てん補を核としつつ、あらゆるリスクについての解決策を提供するリスクソリューションビジネスへと進化し、市場金融モデルと整合的な形で多くの金融サービスを提供することを、新たなビジネスモデルとしていきたい。

  • 従来の産業金融モデル偏重の金融システムに限界が生じており、複線的金融システムへの移行が必要との認識は有している。しかし、ビジネスモデルの転換は各金融機関の経営判断であり、これを後押しするための環境の整備として、公的金融の抜本的見直し、業務規制について不断の見直し、投資家の育成が重要である。

  • 生命保険会社が機関投資家と呼ばれることには違和感がある。生命保険会社は資金の限界供給者と呼ばれ、基幹産業向けにシンジケートローンを引き受けてきた以外は、自らベンチャー企業を発掘・育成し、融資先として確保してきた。生保の仲介機能は、産業を育成することにより生保の20、30年の成長を確保するという長期的なもの。市場活性化については、一時的な対応策ではなく、株を売却せずに済む仕組み、株を買いやすくする仕組みを総合的に構築することが重要だが、時価会計は株を売却したくないのに売却せざるを得なくなり問題。金融機関の公平な競争の確保については、例えば簡保と民間生保とでは税制面の不公平が存在している。

  • 証券市場は、このままでは機能不全に陥るような危機的状況にある。証券市場を活性化させる上で一体何が阻害要因なのか、その相互関係や解決の優先順位はどうなのかということを、広く金融システム全体の観点から公的金融の問題、間接金融の問題を含めてきちんと整理してもらいたい。

  • 販売チャネルの多様化について、投資家層の拡大のため最も重要なのは証券市場それ自体の魅力の向上であり、販売チャネルの多様化は二次的な問題ではないか。また、販売チャネルの拡大に伴い、仮に銀行がその有する莫大な預金者・取引先企業に関する情報を軽々しく利用できるとすれば大きな問題だし、利益相反の問題もある。証券会社のビジネスモデルについては、証券会社の登録制への移行後、多くの新規参入会社が多様なモデルを展開しており、既存の証券会社もそれぞれ様々なモデルを構築していくと思われる。その中で、資産管理型モデルの展開を制約している規制の存在について議論をお願いしたい。

  • 地方銀行と協同組織金融機関は、その歴史的経緯、組織構造などにおいて異なっており、ビジョンにおいてはホールセールとリテールの区分のみでなくリテールの中で協同組織金融機関と地方銀行を区分して記述してほしい。今後のビジネスモデルについては、預貸ビジネスがその中核となりつづけるが、手法の高度化が必要。合併促進策については、合併はあくまで経営の一つの選択肢であり、これが全ての経営課題を有効に解決するものではない。不良債権については、大手金融機関のそれと協同組織金融機関のそれとでは性質が異なり、前者はバブル期の過剰投資によるものであることに対し、後者は経済のファンダメンタルの悪化により発生したものであることに留意してほしい。

  • 中期ビジョンには、是非「消費者」の観点を入れていただきたい。消費者保護を後回しにしてはならない。その際、契約後だけでなく勧誘段階も含めた広い意味での「消費者」の概念で議論をすることが必要。

  • ビッグバンと今回の中期ビジョンとはどこが違うのかということを明確にすべき。また、単にビジョンを描くというのではなく、その実現のための戦略的ポイントを示す必要がある。

  • 金融制度改革の実行にあたっては、市場参加者が認知した改革の必要性を最終的に制度改革にまでつなげるメカニズムを、内在化させることが必要。資本市場の機能を検討する際には、公的年金も含めた公的セクターの役割をきちんと位置付けることが必要。また、税制は資本市場の発達を図る上で大きな役割を有する。

  • 公的金融・政府信用を利用した改革には反対。暗黙の政府保証の下で発行される証券化商品は、市場のベンチマークとしてふさわしくないし、その分野における資源配分を歪めることにもなる。

  • 中期ビジョンには、現在のデフレ不況に対する問題意識や、経済の活性化のため金融に何ができるかということを盛り込みたい。公的金融については、他のプレーヤーに活力がない現状においては、我が国金融システム改革の唯一の担い手と考えている。

  • 事務局より、「証券市場の改革促進プログラム」及びプログラムの一部である「銀行と証券会社の共同店舗、銀行の有価証券売買等の書面取次ぎ、信用取引に係る価格ルールの導入に伴う内閣府令及びガイドラインの改正(案)」、「公認会計士制度を巡る議論について」について説明があり、続いて自由討議が行われた。

自由討議の概要は以下のとおり。

  • 証券税制については抜本的な制度改正、例えば、個人金融所得に関する税はあらゆる商品について一本化するというようなことも早急に検討すべきではないか。会計について、日本の会計は時価会計や税効果会計等において判断や裁量の余地が大きいが、その判断等を客観的にどのように担保するのか議論する必要がある。四半期開示については、企業の活動実態や産業の実情を踏まえ、よく議論していただきたい。

  • 証券市場活性化の一番重要なキーは個人マネーを大量にマーケットに動かす税制面でのインセンティブをどう付与すべきかである。最近の証券税制改革、とりわけキャピタルゲイン課税が複雑になり、結果的に望ましくないこととなっている。投資家が簡単に理解できるようなわかりやすい税制にすべき。

  • 銀行と証券会社の共同店舗に係るガイドライン改正案については、親会社である銀行等の持つ莫大な利用者情報が乱用されることがないよう充分な手当てを願いたい。信用取引に係る価格ルールの導入については、マーケットの流動性に対する危惧は本当にないのか疑問である。

  • 投資家教育については昔からいわれているがなかなか進んでいない。プログラムに書かれていても実際にやって頂けるのか懸念もあるので、深い議論をお願いしたい。

  • 銀行と証券のファイアーウォールについては、ぜひ利用者の目線に立った議論をお願いしたい。

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 企画課調査室
電話 03(3506)6000 (内線 3514,3515)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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