金融審議会総会(第14回)・金融分科会(第4回)合同会合議事要旨

1. 日時:

平成14年9月30日(月)14時00分~15時35分

2. 場所:

中央合同庁舎4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

「中期的に展望した我が国金融システムの将来ビジョン(案)」について

4. 議事内容

  • 貝塚会長より、開会の挨拶があった。

  • 蝋山分科会長(「中期ビジョン」に関するスタディグループ座長)より、「中期的に展望した我が国金融システムの将来ビジョン(案)」について概要説明があった。説明の要点は以下のとおり。

  • 今回のビジョンにおいては、「我が国金融システムは、産業金融モデルも存続するが、市場金融モデルの役割がより重要になるという意味で、市場機能を中核とする複線的金融システムへ再構築していく必要がある」ということを、ビジョン懇報告書の時以上に明瞭にしている。

  • 複線的金融システムへの再構築に向けた取組みとして、金融仲介機関については、適正なリスク評価に基づくリターンの確保、機能の分化・専門化、様々な魅力ある金融商品の提供とアクセスの改善を課題として挙げている。企業には、成長段階等に応じ多様な資金調達が提供される必要がある。個人は、多様な金融商品を入手できる環境の整備が重要。行政は、金融仲介機関の競争促進のための環境整備とともに、金融仲介機関の機能分化・専門化の進展に応じ機能主義の観点から行政を実行することが必要。また、市場整備、消費者教育、利用者保護、システミックリスクへの対応が必要。

  • 複線的金融システムを具体化させるためのプロセスとしては、金融仲介機関のビジネスモデルの転換、証券市場の改革の促進、複線的システムを早期に構築するための施策への積極的な取組みの3点を挙げている。

  • 金融仲介機関のビジネスモデルの転換については、預金取扱金融機関、証券会社、保険会社、投資信託等の機関投資家のそれぞれについて、内容を説明している。

  • 合併等促進策については、特に地域金融機関の将来像を考えたときに、合併等による組織再編は有力な選択肢となるものの、それには手続き面等の障害があることから、これに対し支援策を講じることが重要と指摘している。

  • ペイオフ解禁と決済機能の安定確保については、金融システム全体の効率化の観点からは預金保険制度が小額預金者保護の原則に戻ることが適切だが、一方、決済機能の安定確保は必要不可欠な公共的使命であることから、金融機関が破綻したときに全額保護される決済用預金を設け、決済途上にある取引を確実に完了させることが必要としている。

  • 不良債権の処理については、それぞれの金融機関が市場原理を活用しつつ、迅速に処理を進めることが不可欠。銀行監督行政については、銀行の経営の健全性を確保すべく、引き続き厳正に検査監督を行う必要がある。

  • 証券市場の改革促進に向けた取組みとしては、市場の公正性・透明性の確保を通じた市場への信頼性の確保、市場自体の安定性・効率性の向上、国民の市場参加の促進が必要。

  • 公的金融の改革については、特に政策金融機関による貸出債権証券化の推進は、複線的金融システムの早期構築に資することから重要。また、郵貯・簡保については、民間金融機関とのイコール・フッティングの確保が必要。税制については、簡素でわかりやすい税制とするとともに、当分の間、貯蓄優遇から投資優遇への流れを促進するための税制とすることが重要。

  • 意見交換、質疑応答での発言で主なものは以下のとおり。

  • 証券市場の重要性を考えると、証券市場を担う業態別な機能が金融庁内にあってもよいのではないか。先般、証券市場行政統括官が設置されたが、もう一歩踏み込んだ形で対応いただきたい。また、証券教育に対する積極的な対応が必要。証券教育だけを担当とする部局が、金融庁にあってもよいのではないか。

  • 競争促進と利用者保護のバランスある環境整備が進められるべき。報告書に、機能に着目した横断的なアプローチが求められるとの記述があるが、行政はこれをより明確に意思表明してもらいたい。横断的アプローチのひとつである金融商品販売法は、消費者への認知度が非常に低く、問題点の検証が必要。また、現在の金融審議会の部会制度では、消費者対策のような横断的問題を扱うところがないので、これを扱えるようにしてほしい。変額年金保険に対する証券規制の検討は、早急に進めていただきたい。

  • 今回のビジョンでは、貸出債権の流動化について、政府系金融機関の役割を少しプレイアップしすぎているように感じる。政府系金融機関の改革において、政府系金融機関の有する流動化のノウハウは、機能見直しの中である程度の位置を占めるだろうし、またそれがビジョンの実現の一助となるという点はそのとおりと思うが、政府系金融機関の役割に少し依存し過ぎた文章になってはいないか。

  • 貸出債権の流動化は、そのインフラ整備を人為的・政策的に推し進めていくにふさわしい分野である。金融庁としてももっと研究が必要。市場行政については、民事・行政・刑事といったエンフォースメントの複線化について、一層の検討が必要である。

  • 消費者を市場に呼び込むためには、消費者教育とあわせて、消費者をきちんと守るための社会的なルールの制定が必要。包括的・横断的な法制度の議論を、是非具体的に始めてほしい。

  • 審議の後、「中期的に展望した我が国金融システムの将来ビジョン(案)」が答申として了承され、金融庁長官に提出された。

  • 金融担当大臣に代わり、金融庁長官より挨拶があった。挨拶の要点は以下のとおり。

  • 本答申は、今後の金融行政を進めていく際の指針として活用していきたい。また、金融仲介機関が新たなビジネスモデルを考える上での方向性を示すとともに、企業・個人などにとっても今後の対応の指針となるものと考えている。

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 企画課調査室
電話 03(3506)6000 (内線 3514,3515)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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