金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」(第1回)議事録

1.日時:

平成24年6月7日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○洲崎座長

それでは、ただいまより保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ第1回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

私は、吉野直行金融審議会会長兼金融分科会会長からご指名をいただきまして、大変僣越ながら、当ワーキング・グループの座長を務めさせていただきます京都大学の洲崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

初めに、当ワーキング・グループについてご説明したいと思います。このワーキング・グループは、本年4月11日に開催されました金融審議会総会・金融分科会合同会合において大臣より諮問された2つの事項のうち、保険商品・サービスの提供等の在り方に関する検討について調査、審議を行うため設置されたものであります。諮問にもございましたように、我が国における少子高齢化の急速な進行などの社会・経済の変化を背景に、保険に対するニーズが多様化するとともに、保険の販売形態も多様化しているという状況のもと、保険契約者の多様なニーズにこたえるための保険商品やサービスの提供及び保険会社等の業務範囲の在り方や、必要な情報が簡潔でわかりやすく提供されるための保険募集、販売の在り方等について、規制の全体像を視野に入れつつ検討していければと考えております。

次に、ワーキング・グループにご参加いただくメンバーの皆様のご紹介をしたいと思います。お手元に名簿をお配りしていますが、メンバーのご紹介を事務局よりお願いいたします。

○伊野保険企画室長

金融庁総務企画局企画課保険企画室長をしております伊野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、当ワーキング・グループのメンバーの方々をご紹介申し上げます。座席順にご紹介をさせていただきます。

メンバーの皆様の右側から、阿部泰久様です。

加藤広亮様です。

神戸孝様です。

後藤元様です。

田島優子様です。

丹野美絵子様です。

錦野裕宗様です。

水口啓子様です。

山下友信様です。

家森信善様です。

米山高生様です。

本日、おくれてご出席予定でございますが、沖野眞巳様、また、本日はご欠席ですが、川島千裕様にもご参加をいただく予定となっております。

なお、オブザーバーの皆様、事務局につきましては、時間の都合もありますので、お手元の配席表をもって、ご紹介にかえさせていただきます。

○洲崎座長

ありがとうございました。

次に、議事の進め方について幾つかご確認いただくことがありますので、その点については事務局からお願いします。

○伊野保険企画室長

当ワーキング・グループを開催するに当たりまして、幾つかの点を確認させていただきたいと存じます。

まず、当ワーキング・グループの運営についてですが、皆様のご参加いただける状況も勘案すれば、当面は、原則として1カ月に1回程度のペースで開催させていただくのが適当かと考えております。

また、当ワーキング・グループは原則公開とし、議事録も公表とさせていただければと考えております。

○洲崎座長

皆様、このような形で議論を進めることでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○洲崎座長

ありがとうございます。

それでは、本日は事務局より諮問事項に係る背景等について説明いただいた後、今後の議論の参考とするため、オブザーバーの皆様から諮問事項に関するご見解等についてご説明を伺いたいと考えております。

それでは、まず事務局より説明をお願いします。

○伊野保険企画室長

それでは、資料に基づきまして、簡単にご説明をさせていただければと思います。

まず、資料2をお開きいただき、1ページでございます。先ほど、座長からご紹介がありましたが、諮問事項でございます。ここにありますように、保険商品・サービスの提供等の在り方についての検討ということでございます。少子高齢化の急速な進行など、社会経済の変化を背景としまして、保険に対するニーズが多様化しているということ、特に、また後ほど資料でご説明させていただきますが、最近であれば、第3分野と言われるところへのニーズがかなり大きくなってきているというようなことがございます。また、保険の販売形態も多様化してきているということで、最近の傾向としましては、インターネット経由の販売が少し増えてきているとか、いわゆる、乗り合い代理店、銀行窓販ですとか保険ショップといったものが、最近、販売という形ではいろいろ拡大してきているという状況かと考えております。

こういった状況のもと、一、二ということで、一のところは、どちらかというと、保険商品という意味では、製造部門といいましょうか、どういった保険商品をつくっていくのか、あるいは、保険会社として、保険の周辺分野でどういったことをしていくのかといった部分。二のほうは、そういった商品をどのように契約者の方々に届けていくのかといった部分につきまして、規制の全体像を考える中で、いろいろとご議論をいただければと考えておるということでございます。

次に、2ページ、3ページというのが、生保につきまして、契約の状況ということで資料を作成させていただいております。契約につきましては、こちらは件数ということでございますが、いわゆるバブル経済のころから比べますと少し減ってきておったところですが、最近は数字的には増えてきていると。3ページのシェアでございますが、先ほど申しましたように、以前に比べれば第3分野の占める比重が大きくなってきているということが言えると思います。直近の傾向としましては、終身保険の販売件数、シェアといったものが少し拡大してきているというところがございますが、これは主に銀行窓販の中で一時払い終身の販売というのが最近行われておりまして、それが関係しているのではないかと考えております。

次に、4ページ、5ページは損保の状況でございます。4ページにございますように、損保の分野では、収入、保険料は若干減少傾向ということでございますし、5ページにありますが、シェアという意味では、それほど最近は大きな変化、目立った変化というのはないのかなと思っております。上に傷害とありますけれども、この傷害保険が減少してきているという傾向が少し見られますけれども、これにつきましては、比較的損保業界としては、第3分野は生保子会社中心で販売しているという面もあろうかと思いますので、そういったことが影響しているところもあるのかなと考えております。

次に、6ページでございます。これは販売形態ということでございますけれども、最近の傾向といたしましては、6ページの生保につきましては、依然として営業職員チャネルが過半を占めているという状況は変わりませんけれども、通販ですとか、その他代理店、これは銀行ですとか保険ショップということになろうかと思いますが、その割合が近年、拡大してきているという傾向があろうかと見てとれます。

次に、7ページでございますが、こちらは損害保険の状況でございます。これにつきましては、代理店中心という従来の傾向にあまり変化は見られないということではないかと思われます。

引き続きまして、8ページでございます。では、販売をどういった方が担っているのかという部分との関係でございますが、生保につきましては、営業職員数は減少傾向、少しずつ緩やかに減少しているという状況でございます。代理店数につきましても減少をしているという状況でございますが、一方で、上の折れ線グラフの部分の使用人は増加しているということで、これから考えますと、代理店の規模が大型化しているのではないかという推測がされますが、一方では、銀行の窓販が入ってきているという影響もありますので、そこら辺の分析というのは十分できてないということがありまして、どの程度大型化が進んできているのかというのは、数字的には必ずしもはっきりとしたことが言える状況ではないということかと思います。

なお、14年度と19年度に使用人数が増加しておりますけれども、これはそれぞれ、銀行窓販の解禁の影響が14年度、かんぽ生命が募集人登録をしたということが19年度ということで、それぞれ、少し特殊要因がございますので、このように、若干、不連続なグラフとなっているということかと考えられます。

次に、9ページでございます。こちらは損保の代理店数と募集従事者数の推移でございますが、こちらにつきましては、生保同様、代理店数は減少傾向にある一方で、募集従事者は増加しているということで、全体としては、生損保ともに同じような傾向があるということかと存じます。

次に、10ページでございます。これは、保険仲立人の数につきましてグラフ化したものでございますが、保険仲立人の数というのが全体として減少傾向にございましたが、近年は横ばいということになっております。ただ、絶対数としては、やはりかなり少ないということではないかと考えております。

次に、11ページでございます。これは保険会社及び子会社の業務範囲ということでございますが、左に保険会社、右に子会社として、それぞれどんなことができるのかということで整理をさせていただいております。保険会社としましては、当然のことながら、保険の引受け、あと、引受けた保険料を運用するといったことが中心でございますが、付随業務、法定他業ということで、関連の業務もできるということでございます。

子会社は、本体よりもかなり広いことができるということになっておりまして、基本的には、金融関係の仕事については、子会社形態でおおむねできるという形になっております。あと、保険業に直接関連する業務ということですとか、そういったことも当然できますし、あと、ここでいきますと、8というところでございますが、保険業に従属業務、あと金融関連業務ということもできます。特に金融関連業務というところでございますが、資料の次のページ、12ページで簡単に整理をさせていただいておりますが、保険に関係する事務の代行ですとか、そういったことに加えまして、5つ目にありますように、老人福祉施設ですとか身体障害者の福祉関係の業務、その次でいきますと、健康増進関係の業務といったものに関しても、現在はできるようになっておるということでございます。

次に、13ページでございます。これにつきましては、今回の中で、募集ですとか販売の部分についてご議論いただこうと考えている部分との関連で、保険の基本問題に関するワーキング・グループの中間論点整理というのが3年ほど前に出されております。それについて簡単にまとめた資料でございまして、これにつきましては、今回、販売の部分についてご議論いただくときの参考になると考えております。細かくは時間の関係でご説明は省略させていただこうと思っておりますけれども、ここで議論されたことも踏まえ、また、その後、先ほど申しましたような、いろんな状況の変化もありますので、そういったものも踏まえて、今後、ご議論をお願いできればと考えておる次第でございます。

次に、14ページでございます。こちらは、最近、金融審議会「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループ」でとりまとめられましたものでございます。そのものにつきまして簡単に説明をしておりますが、内容としましては、16ページ以降に基本的な考え方ですとか、保険に関係する部分を抜き書きしておりますけれども、幾つか、その中で触れられているものとしまして、例えば、17ページでございますが、「金融業における取組みの方向性」ということで、1つは資金運用者としての個人に対する見方。その下のマル3というところにありますが、生活者としての個人に対する商品の提供の在り方ということで、いろいろ議論がなされております。ここに書いてありますように、資金運用者ということであれば、例えば、個人の年金商品というのが保険でありますし、生活者という意味では、先ほど申しましたような第3分野というのが、自分の生活設計の中でどう位置づけていくのかというようなことが議論になっていくということではないかと考えられます。

「課題への対応」ということでマル1とありますが、金融機関が顧客ニーズをより的確に捉え重視していく経営が重要であるとか、商品開発に向けた経営努力が重要でしょうとか、こういったことで、まさにこのワーキング・グループでご議論いただこうと思っておるような視点で、在り方ワーキング・グループの報告書も取りまとめられているということではないかと考えております。

18ページ上にありますが、「保険については」ということで、保険についての視点も、その中で触れられております。ここにありますように、こういったことについても検討していく必要があるでしょうと。下線が引いてありますけれども、まさにどういうサービス・保険商品といったものを提供していくのかということが、今回の議論をしていただきたいと考えております1つのポイントではないかと考えております。

その後に、マル4マル5とあります。マル4のところ、簡単に読ませていただきますと、「顧客が自己のニーズを明確に認識し、十分な情報と豊富な選択肢を基に購入判断ができるような環境を整備する必要がある」とございますが、まさに、先ほど申しました2つの部門、製造の部門と販売の部門という意味では、販売の部門で、今後いろいろご議論をいただく際の、我々としてお願いしたい基本的な視点というのはこういったところなのかなと考えております。

その下にも製販分離のことですとか、我々のワーキング・グループでご議論をいただくに当たって参考になるようなことが、在り方ワーキング・グループの報告書にもいろいろと載っておるということかと考えております。

次に、資料3のA3で折り込んでおる資料でございます。これにつきましては、現在の保険募集ですとか商品認可に関する保険業法と、その下位法令の関係を簡単にまとめた資料でございます。時間の関係もありまして、個々の制度についてのご説明は省略させていただきますが、まず、左上に業務運営に関する措置ということで、ここは保険会社に対して、どういった体制をつくるべきなのかということで、基本的な考え方、健全かつ適切な運営を確保するための措置を保険会社としてしっかりつくってくださいということを求めておりまして、それにつきまして、右側の保険業法施行規則で、重要事項の説明ですとか書面交付体制の義務づけ、保険募集人の能力向上といったことが具体的に示されております。

その左側2つ目の箱でございますが、これにつきましては、「保険契約の締結又は保険募集に関する禁止行為」ということで、保険募集に関する禁止行為を具体的に定め、さらに、その右側の箱の中で、それをもう少しブレークダウンして、施行規則として決めているということでございます。こういった中で、保険募集に関する禁止行為を決めていっているということでございます。具体的にどのような書面を交付していくのかということについては、さらに右側の監督指針で書いておるということで、この監督指針の真ん中あたり、右上の大きな箱の真ん中あたりにありますけれども、例えば、契約概要と注意喚起情報の作成・交付ということを監督指針で求めているというようなことがございます。

左側、保険業法、上から3つ目の箱につきましては、ここにつきましては、保険募集その他の関係で、保険募集人の登録ですとか仲立人の関係の規定といったものが定められております。さらに、その右側にありますが、規則で少し細かなことは決めているということがございます。

以上が、全体として保険業法の保険募集の部分がこの点線から上でございまして、繰り返しになりますが、保険会社に対する義務づけ、保険募集に関する禁止行為、その他、登録ですとか仲立人の規定、そういった全体的な体系になっております。

点線の下でございますが、これにつきましては、商品認可の体系でございまして、免許の審査基準ですとか、その際に出す書類の記載事項といったものについて、業法、施行規則といった体系の中で決まっております。これにつきましては、商品認可ということで、商品をどうつくっていくのかというところと、あと、保険募集に際して、募集する商品の質を一方でどう確保するのかという観点から、商品認可ということで枠組みがあるということかと考えております。

雑駁な説明で恐縮でございますが、事務局からの説明は以上でございます。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、ご質問、ご意見等があれば、お願いいたします。

現時点では、まだ特にご質問、ご意見ともなさそうですから、もし、最後、時間が余りましたときに、出てまいりましたら、そのときにご質問、ご意見をいただければと思います。

それでは、議事を先に進めさせていただきたいと思います。続きましては、オブザーバーの皆様からのご説明に移りたいと思います。

まず最初に、梅﨑様からお願いいたします。

○梅﨑オブザーバー

明治安田生命の梅﨑でございます。ただいまから、保険商品・サービスの提供の在り方について説明をさせていただきます。

それでは、資料の1ページ目をごらんください。本日の報告の中身につきまして、こちらに概括してあります。先ほど、ご当局から、今回の諮問事項と諮問理由についてご説明をいただきましたが、本日は、その諮問事項に沿った形で、2つに分けて報告をさせていただこうと思っております。

まず1つ目が、保険商品やサービスの提供及び業務範囲の在り方でございますが、生保事業を取り巻く環境の変化と今後の方向性について、まず述べさせていただき、その後、少子高齢化に対するこれまでの主な取り組みについてお話をさせていただきます。その後で、当ワーキング・グループで検討していただきたいことについて述べさせていただこうと思っております。

次に、2つ目でございますが、保険募集・販売の在り方につきましては、同じく、現在、これまで取り組んできたこと、それから、今後の在り方についてご説明させていただこうと思っております。

それでは、次のページをお願いいたします。早速、本論に入りますが、まず、生保事業を取り巻く環境の変化と今後の方向性でございます。こちらのほうに書いてありますとおり、少子高齢化の急速な進展によりまして、死亡保障マーケットは、現在、縮小傾向にあるということでございます。また、お客様の多様化するニーズへの対応等も今後していかなければいけないと考えております。

また、社会保障制度の見直しの話等も出ていますが、今後は私的保障に対するニーズがますます高まってくるものと思っております。その中で、生保会社は公的保障制度を補完する私的な保障の担い手としての役割をさらに発揮していかなければならないと考えております。

次のページをお願いいたします。特に今回、諮問に沿った形で、少子高齢化に対応するということでご説明申し上げたいと思いますが、まず、このページでは、当社が、明治安田生命が取り組んでおります主な取り組みについて、ご説明、ご報告させていただきます。

まず1つが、介護分野への対応でございます。その中で、まず、介護に関する経済的負担に対応するために、介護保障保険を提供いたしております。

また次に、その下に書いてありますけれども、金融業界初の試みとして、昨年、インターネットのポータルサイト「MY介護の広場」というのをオープンしておりまして、こちらで介護に関する総合的な情報を提供しているという状況でございます。

また、右上のほうにも書いてありますが、今年に入りましてから介護施設運営事業にも進出しておりまして、介護付有料老人ホーム運営会社を子会社化いたしております。

次に、子供の教育、育児に関する支援等につきましてですが、こちらに書いてありますとおり、既に、こども保険の提供という形で、教育資金ニーズ、保護者が死亡した後の養育年金、お子様の医療保障等を提供しているところです。

各社とも同様の取り組みを行われていると思いますが、少子高齢化社会でニーズに対応して役割を発揮していくということになりますと、今後さらに、もろもろの規制の見直しを、このワーキング・グループでご検討いただきたいと考えているところです。

次のページをお願いいたします。「少子高齢化社会における生命保険事業の今後の取組みの方向性」と題してありますが、こちらでは、本ワーキング・グループで皆様にぜひご検討いただきたい項目について記載しております。このページでは一応、項目だけご紹介させていただき、その後、それぞれについて詳しくお話をさせていただきます。

まず、1つ目のご検討いただきたい事項が、現物給付型保険商品の提供でございます。現行、定額保険につきましては金銭給付に限定されておりますけれども、現物給付型保険商品のご提供ができるようになれば、お客様ご自身のライフプランに応じて、金銭給付に限ることなく多様な給付が選択できるということが可能になると思っております。

2つ目が、介護関連事業の展開でございます。先ほどお話しいたしましたとおり、既に保険会社本体による介護保障保険の販売や、子会社による一定の介護サービスの提供は行っていますが、さらに子会社の業務範囲規制を緩和していただければ、今後、グループで幅広く介護事業を展開することによって、一体的な介護サービスの提供ができるようになるものと思っております。また、こういった幅広い介護事業運営の経験は、今後の介護保障保険の開発にも有益だと思っております。

3つ目が、こちらから少子化対応の話になりますけれども、不妊治療を保障する商品の提供が認められれば、安心して治療に専念できる環境の整備に貢献できると思っております。

また、4つ目は、これも子会社の業務範囲規制の問題でございますが、保育所の運営です。現在、生保会社グループとして、お客様の健康、医療、介護といった福祉関連事業に幅広く取り組んでおりますが、子会社で保育所の運営が認められるということになれば、現在、保有している不動産を活用しつつ、待機児童問題の解消に寄与できるものと考えております。

最後、5つ目は、新しい商品やサービス提供のスキームの開発です。こちらにつきましては、例えば定額保険につきましても、医療機関、介護事業者等のサービス提供者に直接給付金をお支払いするスキームが認められないかと思っております。また、ICTの利活用が認められるということになれば、お客様にとっての利便性が向上するとともに、業務の効率化も図れるものと思っております。

なお、これらの事業化につきましては、当然、各社の判断で行われることと存じますが、経営の健全性と業務の適切な運営を前提として、多様なニーズにお応えすることで少子高齢化社会に貢献できると考えておりますので、ぜひご検討をよろしくお願いしたいと思います。

それでは、それぞれの中身につきまして、ご説明いたします。次のページをお願いいたします。

まず、現物給付型保険商品の提供についてでございます。現在の保険法の制定過程において、定額の生命保険についても現物給付を認めるべきかどうかという議論がなされ、結論としては認められないということになりました。しかし、現物給付の概念そのものが否定されたわけではないと認識しております。少子高齢化社会において、ライフスタイルの多様化が進む中で、保険に対するニーズの多様化も進んでおります。特に単身者が増えておりまして、そういたしますと、身内に介護してもらうということが期待できないということで老後の介助リスクが高まりますので、それへの対処として、有料老人ホームへの入居を望む方が今後増えると考えております。ですから、例えば、老人ホームへの入居権等、介護サービスの提供を受ける権利を、生命保険による給付という形で確保しておくということは、お客様の利益に資することと考えております。

また、具体的な商品概要のイメージにつきましては、こちらの資料に記載のとおりでございますが、現物給付型保険には価格変動リスクがございますので、例えば、一時金や年金といった金銭給付の選択を可能とすることや、保険期間を短くすることによって価格変動リスクを抑える等、商品面の設計の工夫ができると考えております。

また、現物給付型の保険ということでは、特に介護に限らず、こちらの右側に記載してありますとおり、葬儀サービスの提供、団体就業不能保険等に復職支援サービスを提供するといった形で、幅広い商品において活用が可能かと考えております。

それでは、次のページをお願いいたします。次が、介護関連事業の展開についてでございます。皆様よくご存じのとおり、介護分野には潜在的なニーズが存在し、今後の市場拡大が見込まれているという状況でございます。現在、弊社でも、先ほどお話をいたしましたとおり、グループ会社を通じて介護事業を展開しているところですが、今後はそれをさらに幅広く展開していくということも考えられます。また、そういった介護事業の展開における経験は、保険商品開発にも活用できると考えております。

ただし、先ほど、事務局からもご説明がありましたが、保険会社の子会社の業務範囲規制につきましては、現在、業法施行規則に規定されていますが、さらに、その下の監督指針、こちらの右側に記載してありますけれども、福祉関連業務ということで例示されております。ただ、例えば、左側に記載してあります在宅系介護関連サービス事業、施設運営主体等法人向け介護関連サービス事業が、果たしてこちらの右側の福祉関連業務の例示の中にあります「在宅サービスに関する業務」に当たるのかどうかというところは、あまりはっきりしてないと考えております。

今後、事業拡大を検討する場合、その都度、判断に窮すことが多い状況でございますので、介護関連事業については、包括的に幅広く認めていただくとともに、監督指針の例示を増やしていただくなど、業務範囲の明確化についてご検討いただければと考えております。

また、介護に限定せず、幅広く高齢者の生活をサポートするということも考えられると思いますので、高齢者の生活を支え豊かにする事業についても、子会社で展開できるということをご検討いただければと思いますので、子会社等の業務範囲規制の緩和ということもご検討いただきたいと思っております。

それでは、次のページをお願いいたします。さらに、少子化に対する取り組みについて述べさせていただきます。こちらに書いてありますが、例えば、不妊治療の受診に際して給付金をお支払いする保険の可否についてご検討いただきたいと思います。現在、保険業法では、第3分野商品については疾病を原因とするものということが求められておりますが、一般的な不妊治療は疾病を原因とするものには該当しないと解される可能性があると考えております。不妊治療につきましては、健康保険が適用されないケースも多く、治療費が高額に上りますので、治療を断念せざるを得ないというケースもあるとのことですので、不妊治療を対象とする保険のご提供によって、安心して治療に取り組めるという環境を整備することが、少子化対策として有用かと考えております。

また、その下の、その他の周辺事業につきましても、資料のとおり、出産後や子育て中のご家庭の負担を軽減するということで、生活を支援する各種サービス事業の運営にかかわっていきたいと思っておりますので、子会社等の業務範囲規制の緩和についてご検討いただければと思っております。

右の上のほうに書いてあります保育所の運営につきましては、次のページになりますので、次のページをお願いいたします。少子化と労働力減少の問題を緩和するためには、子育てしながら働くことのできる環境の整備が必要と思っております。資料の右側の「ご参考」と書いてあるところですが、アンケートの調査によりますと、やはり少子化対策として望まれていることは、出産後に子供を預ける場所の確保ということでございます。しかし、皆様ご存じのとおり、大都市を中心として保育所不足で待機児童問題が起きているという状況でございます。

生保会社としては、グループとして幅広く福祉業務に取り組んでおりますので、児童福祉に資する保育所の運営ということは親近性があるのではないかと考えております。現在、全国展開している保険会社は多くございますので、そういった会社が保育所を提供すれば幅広い提供が可能になると思いますし、保険会社といたしましても、駅前等の好立地に所有する不動産の有効活用が可能になると思っております。子会社等の業務範囲規制の緩和については、この点についてもご検討いただければと思っております。

次のページをお願いいたします。最後に、新しい商品・サービス提供のスキームの検討ということで述べさせていただきます。こちらについては2つございまして、1つが、「給付金を活用した提携先・委託先との一体サービスの提供」でございます。既に、提供先・委託先に直接給付金をお支払いするという実損てん補型の商品はございますが、定額の保険でそういったことが可能かどうかは不明でございます。こちらのスキームは、保険会社が、例えば、医療機関に対して、医療費の自己負担分を直接お支払いし、その残額分をお客様にお支払いするというスキームで考えております。そういったことが可能であれば、お客様、医療機関、保険会社にとってもメリットがあると考えております。このようなスキームについても取り組んでいきたいと考えますので、現行法制上の問題点の有無等につき、ぜひご検討いただきたいと思っております。

2つ目が、マイナンバーの活用でございます。もし、これから導入されようとしているマイナンバーが利用できるということになれば、お客様にとって利便性が向上するということになりますし、保険会社にとりましては、品質向上や事務効率化、コストの低減に資することとなると思っております。現在、国会で審議中のマイナンバー法案では、資料に記載されているような対応が認められておりませんので、民間による利活用を引き続き要望してまいりたいと考えております。

以上のとおり、少子高齢化等、生命保険事業を取り巻く環境の変化を踏まえ、現物給付型保険の提供、介護関連事業、保育所を含む子会社等の業務範囲規制の緩和等につきまして、ぜひこのワーキング・グループでのご検討をお願いしたいと思っております。

それでは、続きまして、諮問事項の2つ目にございました、必要な情報が分かりやすく提供されるための保険募集・販売の在り方について報告させていただきます。資料10ページをごらんください。こちらの資料には、現在の保険募集の実務について、その全体像を一覧形式で示させていただいております。こちらの資料の下部に記載してありますとおり、生命保険商品の特徴といたしましては、生活保障機能やニーズの潜在性などがあり、一般的な投資取引とは異なっている状況でございます。こういった生命保険の特性を踏まえ、現行実務では、募集のそれぞれの局面、こちらに記載の情報収集、ニーズ喚起、生活保障の提案、商品説明、契約のお手続といった、それぞれの販売の場面に適した募集文書を用いて、お客様のニーズを十分に把握し、丁寧なコンサルティングを行うということに取り組んでいるところです。

また、こちらの資料に記載の契約概要、注意喚起情報、意向確認書面につきましては、金融庁に設置されました保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チームでのご議論を踏まえ、平成18年から19年にかけて導入されたものでございます。現在、これらの書面を用いた保険募集ルールが整備され、その枠組みのもと、各社で態勢整備がなされ、不断の改善取り組みが行われているというのが現状でございます。

次のページをお願いいたします。現在、必要な情報を分かりやすく提供するための生命保険業界の取り組みについて、こちらのページでご説明申し上げます。

まず、業界自主ガイドラインにつきましてご説明いたします。生命保険業界では、会員各社において適切な業務運営がなされるよう自主ガイドラインを作成し、具体的な実務取り扱いの参考の用に供しております。お手元の資料には、生保協会で策定いたしております自主ガイドラインのうち主なものを抜粋して記載してあります。

2つ目ですが、募集人のさらなる資質向上のための取り組みです。協会としては、従来から業界共通教育課程として、一般課程、専門課程、応用課程といった段階的・体系的な教育制度を構築しております。この業界共通教育課程につきまして、平成21年からカリキュラムの大幅な見直しを行うとともに、継続教育制度を新設いたしております。こちらの継続教育制度とは、法令遵守、お客様重視の教育を充実させるということで、原則として、すべての生命保険募集人に対して、毎年、継続・反復的に教育を実施するという仕組みでございます。既に導入から一定期間過ぎておりますので、各社とも、この教育実務が定着している状況でございます。

なお、適正な保険募集態勢の確立に向けた業界の取り組みということで申し上げますと、当然、一旦、こういった仕組みや制度を導入してしまえば、それで終わりということではございません。各社の業務において、PDCAサイクルの中で不断の見直しや改善を継続していくということが求められていると考えております。

生保協会といたしましては、資料の下のほうに記載してありますが、各社のPDCAサイクルを後押しする仕組みとして、協会が受け付けた消費者からの苦情・相談、消費生活相談員からの意見・要望等を各社へ情報提供したり、2番の「消費者の声」の分析結果を踏まえた継続教育の標準カリキュラム等の見直しを行ったり、あるいは、3番にありますけれども、自主ガイドラインに関するフォローアップアンケートを実施し、各社の取り組み事例を共有化するという対応をいたしております。こちらにつきましては、資料をめくっていただきまして、13ページに参考資料ということで全体像を示しております。また、この図にございます参考資料マル1、左側のほうに書いてありますが、それから、図の上のほう、参考資料マル2、右下のほう、参考資料マル3と書いてありますけれども、これはそれぞれ、次の14ページの参考資料マル1、せいほ意見交換会、15ページの参考資料マル2、相談・苦情・紛争解決に係る対応、16ページ、17ページの消費者の声を各社の経営に活かすための対応、というページに対応している形になっております。

それでは、大変恐縮ですけれども、またページを戻っていただきまして、12ページをお願いいたします。ここまで主に業界の取り組みについてお話をしてまいりましたけれども、各社の取り組みということで、こちらのページでは、当社、明治安田生命の取り組みについてご紹介させていただきます。

1点目は、募集資料の改善に関する取り組みでございます。先ほどお話をさせていただきましたとおり、契約概要や注意喚起情報などの書面につきましては、業界の自主ガイドラインに沿った形で改訂等の取り組みを行っておりますが、各社とも創意工夫して、見やすさやわかりやすさの向上に努めているところでございます。特に、資料には当社が取り組んでいる内容について記載しております。

それから、わかりやすい約款ということで、約款の平明化についても現在取り組んでおりまして、専門用語の平易な言葉の言いかえ、備考欄を充実させることによる本文の簡素化、図表や箇条書きの活用等の形で対応しているところです。

2点目が、商品開発における取り組みです。募集文書のわかりやすさとあわせて、現在、保険商品のわかりやすさの向上にも努めているところです。例えば、入院医療費の自己負担分に対応した給付を行う医療保険の開発ということで、支払事由のわかりやすさの向上等を図っているところです。

3点目が、募集人のさらなる資質の向上に向けた取り組みでございます。生命保険契約におけるアフターサービスの重要性というところに着目いたしまして、弊社では、「安心サービス活動」と称する制度を導入いたしております。こちらは、ご契約者に対する訪問回数、サービス内容を標準化して、その活動状況を営業職員の処遇に反映させるという仕組みでございます。また、アフターサービスの高度化に加えて、ご加入いただく前のお客様へのコンサルティングということで、ビフォアサービスの充実ということにも取り組んでおりまして、複数のプランの中から、お客様ご自身が最適と思う商品を選んでいただくという「提案力革新」の取り組みにも努めております。

特にコンサルティングにおきましては、お客様のニーズを的確にとらえることが大切かと思い、資料には記載しておりませんが、マーケティング調査を行った結果、お客様は社会保障制度を含めた総合的なアドバイスや、人生設計ニーズを加味した提案ということを強く要望されていることが明らかになりました。そこで、弊社では、「スリーステップ活動」という名称で、新しい仕組みを今導入しております。何がスリーステップかと申しますと、リスクに対する社会保障制度をまずご説明する、これが1つ目です。リスクに対する必要保障額の説明を通じて、お客様のニーズを確認する、これが2つ目でございます。3つ目が、ご要望に沿った複数の設計プランをご提案する。こういった3つのステップを踏むというコンサルティングを現在標準化しているという状況でございます。この活動によって、生命保険加入の納得感や満足感の向上に取り組んでまいりたいと思っております。

また、先ほどお話しいたしました安心サービス活動制度の導入により、処遇体系もあわせて見直しましたので、営業職員の定着率が現在向上しているという効果も出てきております。

それから、募集人の資質の向上の取り組みということには直接関係がなく、若干趣旨が異なるかと思いますが、昨年発生した東日本大震災への対応につきましても、一言お話をさせていただきたいと思います。

生保会社の最大の責任は、保険金や給付金を迅速・確実にお支払いするということであり、東日本大震災の発生に際しては、全社一丸となって、被災地域のすべてのお客様の安否確認活動に取り組みました。特に、自分の家を失いながら、被災者である営業職員が車の中に泊まりながら、1軒1軒、お客様のご自宅や避難所を訪問し、安否のご確認や必要なお手続のご案内に活動したということはテレビ等でも取り上げられて、皆さん、ご存じかと思います。業界全体の取り組みにつきましては、資料末尾に参考資料をつけておりますので、ご一読いただければと思います。

4点目は、販売チャネルの多様化に対する取り組みでございます。当社では、基幹チャネルということで、営業職員チャネルが販売チャネルのメーンでございますけれども、現在、チャネルの多様化に取り組んでいるところでございます。具体的には、いわゆる銀行窓販に加えて、金融機関以外の代理店チャネル、最近は来店型店舗の展開にも力を入れているという状況でございます。

弊社の取り組みの例として、以上4点お話をしましたが、最後に、先ほど各社のPDCAサイクルによる業務改善というお話もさせていただきましたので、当社の業務改善の取り組みにつきましてもお話をさせていただきます。これは資料の下のほうに書いてあります、「お客様の声」を経営に活かす取り組みということで、業務の改善の取り組みを現在、こういった形で構築しているという状況でございます。

それでは、次のページをお願いいたします。現在の業界の取り組みについてお話をさせていただきましたが、最後に、保険募集の今後の在り方についてご説明させていただきたいと思います。これまでご説明いたしましたとおり、現在、生命保険の保険募集ルールは整備され、その枠組みのもとで各社が態勢整備を行っている状況です。今後の保険募集の在り方としては、生命保険協会の後押しのもと、各社がお客様の声をお聞きしながら、PDCAサイクルに基づく不断の改善の取り組みを継続していくということが大切であると思っております。さらに、お客様のニーズが多様化しているということを踏まえますと、保険募集の在り方について、各社の創意工夫によって新たな取り組みも模索し続けていくことが必要と考えております。

最後になりましたけれども、1点、ご意見を申し述べさせていただきたいと思っております。現在の保険業法は平成8年に施行されておりますけれども、近年、ご当局の先ほどのご説明にもありましたけれども、業法施行当時に想定されなかった新たなビジネスモデルが進展してきている状況でございます。例えば、インターネットなどのIT技術を活用した情報提供や、多数の保険会社が乗り合う大型の保険代理店が伸びてきている傾向がございます。弊社ほか生保会社は、既にこういった新しいビジネスモデルを積極活用しておりますし、今後も当然、引き続き活用していきたいと思っております。

ただ、そのためには、利用者の利便と消費者保護のバランスを確保しながら、新たなビジネスモデルの健全な発展に資する環境整備についてもご検討いただければと考えております。

以上をもちまして、私の報告を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

○洲崎座長

ありがとうございました。

それでは、続きまして、村田様、お願いいたします。

○村田オブザーバー

日本損害保険協会のプレゼンを担当させていただきます三井住友海上の村田です。

では、早速ですが、お手元の資料に従い、始めさせていただきます。1ページ冒頭に諮問事項を掲げさせていただきましたが、ご承知のとおりですので、内容は繰り返しません。気候変動や人口の構成など、ここに掲げたような環境変化に応じて、我々に求められていることは何かと考えますと、巨大災害や新たなリスクに対する備えを提供するということ、多様なニーズにこたえていくこと、より普遍的な要請として、堅固で健全な社会インフラとしての損害保険の仕組みを維持していくことだろうと思っております。

次のページに進ませていただきます。こういう前提に立って、求められていることを具体的に考えてみますと、例えば、保険会社の担保力の拡充、高齢者ニーズの対応、簡潔な情報提供といったことになります。諮問事項と1対1対応をさせていなくて恐縮ですけれども、「ご検討をお願いしたいテーマ」ということで、諮問事項に沿って、これらを置いてみました。この後のページでは、それぞれにつき、もう少し詳しく、1ページ1項目で説明をさせていただこうと思います。

次のページに移ってください。最初の小項目でございます。本ページの「あるべき姿」に掲げましたように、大災害やパンデミック、あるいはネットワークリスクなど対処の難しいリスクに関しても、損害保険会社としては、お役に立てるということがあるべき姿だと思っております。ただ、こうしたリスクに関しましては、財務体力、あるいは我々自身の経験やノウハウ、過去のデータなどの点で、健全性や収支を傷つけることなくカバーを提供するということになると、これはなかなか困難というものも少なくございません。解決の方法として、プールなど保険会社自身の引き受けにおける協働、さらに進めて、民間のみでは引き受けたくても引き受けられないリスクというものについては、官民協働による担保力の増強、補完といったこともあろうと思っております。これらに関しては、業法はじめ現行規制上の障害もございますので、規制の見直しのご検討をお願いしたい、これが1点目の項目でございます。

では、次のページに移らせていただきます。表題にありますように、保険の不正利用の防止という観点でございます。これまでも、自動車盗難の防止、事故多発交差点情報、洪水ハザードマップなど、防犯・防災の取り組みを通じて、いわゆる社会的損失の低減を図ってまいりました。これらに加えて、今、保険の不正利用防止の強化を取り組み課題と考えております。不正の請求等に関しましては、我々保険会社自身で、そのおそれのある事案に対し慎重かつ丁寧にチェックを行うというのが基本ですけれども、証拠資料等は、すべての請求人の皆様に対して公平に求め確認していかなければなりませんので、結果として、多くの善意のお客様に円滑なお支払いをしにくくなるという憾みもございます。保険会社の情報収集取り組み強化、これは、自分たち業界自身の強化であり、あるいは不正利用事例の公表といったようなことでアラームを鳴らしていくということもございますが、さらに官民の情報共有など制度の整備も必要であると思います。官で保有されている情報が出せないものであったり、あるいは個人情報保護法上の制約等も見られるところでございますので、情報共有などのための制度整備も検討いただければと思っています。

次のページに参ります。私ども損害保険会社は、古くは戦前から、主として日系企業の海外展開を追う形で外国に事業展開を進めてまいりました。現在は、お客様のグローバル化に対応したグローバルなサービス提供と新興国の成長力を取り込んだ事業基盤の強化ということを課題として海外事業に取り組んでおります。中長期のワーキングの報告でもご指摘いただいておりますけれども、海外の規制により国際展開が妨げられることがあり、金融当局による現地当局に対する規制改革の働きかけが必要である、あるいは、我が国の制度の海外への普及を官民協力で図っていくとよいというようなことが記載されておりまして、このような観点でご検討をいただければ幸いと思います。現在、国際室という組織が金融庁の中にはございまして、国際監督規制等をめぐって大変なご尽力をいただいております。ただ、進出支援というところまで分掌事務には含まれていないようでございますので、ここはひとつご検討いただければと要望させていただこうと思っております。

次へ参ります。保険商品やサービスの多様なニーズに対して適時・適切に応えていくためにということで、やや細かいことが書いてございますけれども、私ども、多様なニーズに対応すべく、さまざまな保険商品を提供するとともに、周辺サービスをあわせて提供している場合が多々ございます。このようなプロセスの中で、業務範囲として列挙がないために、手がけることをやめたり切り離したりということをしている業務が次々と生じてまいります。挙げておりますのは細かいものばかりのようで恐縮なのですが、会員各社に事例照会したものを問題意識の中に列挙をさせていただきました。個々には大した問題じゃないとごらんになるかもしれませんけれども、それぞれ実際に事を進めていく中で、これはやめなきゃとか、切り離さなきゃといったことが一々あるということについては、やはり合理的ではないと考えておりますので、附帯・周辺サービス等について業務範囲の拡大をご検討いただきたいということで、ここに挙げました。

さらに、次に参ります。大きな項目の2つ目に当たる保険募集・販売の在り方になります。損保協会として、さまざまな自主的な取り組みを積み重ねてまいりましたけれども、一番下の枠内に書いてあるように、その蓄積を生かしつつ、これからも取り組みを続けてまいりたいと考えておりますので、こうした実務の工夫を、許容といいますか、自主的な取り組みを促すような制度の在り方が望ましい、そういうふうにしていただきたいと思っております。詳細は8ページ以降で説明いたしますけれども、まず、これまでの取り組みを概略申し上げますと、「消費者の声」諮問会議で頂戴した提言や会員各社における実務を踏まえて作成した自主的なガイドライン等がありまして、PDCAサイクルを回しながら多数運用しております。個社の取り組みとしてもさまざまございます。これからの取り組みとして、当然これまでのPDCAサイクルを継続していくことに加えまして、共通化・標準化の推進による消費者利便の向上、業務効率化を目指すプロジェクトを業界として推進していきます。その中で、特に募集文書・説明のわかりやすさに焦点を当て、外部専門家、たとえば募集ツールのわかりやすさを、人の認知といったレベルで分析しようといったような方々もおられますので、そういった方々にもご参画いただいて、従来の常識にとらわれないアイデアを取り入れて検討していくような枠組みを考えております。従来の枠組みにとらわれず検討した結果として、従来の枠組みの前提となるルールの改正について要望させていただくことも出てくるだろうと思っております。

今、8ページ以降と申し上げましたけれども、これまでの自主的な取り組みは、8ページに掲げた7つの項目でございます。次ページ以降で具体的な内容を追いかけてまいりたいと思いますので、1ページ先へ進めてください。

それぞれに関して、左の欄に取り組みのテーマ、右の欄に個々の項目を書いておりますので、詳細はごらんになっていただこうと思いますけれども、1番目のテーマについては、募集文書の表示に関するガイドラインや契約概要・注意喚起情報に関するガイドライン等を策定ということで、要は、各社でばらばらの取り組みが行われた場合に、かえって理解を阻害することになりますので、こういうことがないようにしていこうということでございます。

2番目は、お客様のニーズに合った保険契約をしていくために、個々の契約にご加入いただく際に説明することは当然ながら、これとは別に、保険全般についての理解を進めていただくための、リスク啓発、保険啓発の取り組みを進めております。本日は、サンプルとして、高齢者向けを意識して作成した「知っ得!ガイドわかりやすい損害保険の入りかた」というものをご参考に供させていただきたいと思います。内容は一々触れませんけれども、要は、大きな字で少ない項目をお年寄りの方にも読みやすくという観点で、私も大分老眼になってきたもので、これぐらい字が大きいと助かるんですけれども、というものでございます。

先へ進んでいただきまして、3番以降、項目をまた同じように立てておりますけれども、文章だけで説明してもイメージがわきにくい点もございますので、恐縮ながら17ページ以降をめくっていただきますと、それぞれの部分にかかわる事例がサンプルとなっております。17ページをあけていただけますと、これが項目の3番についての1つの例でございますが、我が社の事例でございます。自動車保険に関して特約を70個から44個に削減をし、商品のラインナップについては、GKブランドというのに統一しまして、火災保険は6つを1つ、傷害保険は13を1つとしたということが、この17、18ページにございます。

さらに19ページに進んでいただきますと、これは4番のテーマ、募集人のレベルアップということで、募集活動の内容を、ここにありますコンプライアンスガイドで、ステップごとにトーク事例を交えて標準化しております。これは標準でございますので、これに沿って、各社における募集人教育の中で、個々具体的に、募集人の資質向上に役立てていただいております。

次が、5番のテーマの保険金のお支払いの項目でございますけれども、ここは、21ページ、22ページのところをご参考としてごらんください。各社で、事故の連絡をいただいたお客様に対しては、お支払いの手続フロー、お支払いをできる可能性がある保険金について丁寧にご案内をお届けし、保険金請求の全体像についてご理解をいただくようにしております。約款を読まなくても、一応これを見れば、可能性がある保険金についても全体像をご理解いただけるということをコンセプトとして、このようなものをお届けしております。

その後、資料としては23ページ、24ページのところを開いておいていただきたいのですが、ここが6つ目の項目、お客様の相談・苦情への適切な対応の部分でございます。23、24で事務フローのイメージを示させていただいております。この事務フロー、限られた時間の中で一々追いかけはいたしませんけれども、ご参考としてごらんいただければと存じます。

その後に、25、26ページについては、苦情の受け付けの件数の状況、紛争解決手続の受け付けの状況についてのデータを示させていただいております。これは、ADRセンターの情報でございます。数値データ、この場で一々解説はいたしませんけれども、ご参考に供させていただければと思います。

27ページが、最後の7番目の項目になります。お客様の声を生かした募集品質の向上というところで、これも個社の事例で恐縮ですけれども、当社の苦情対応に関するPDCAサイクルについての例をここに掲げさせていただいております。

駆け足で申しわけございませんでしたが、既に取り組んでおり、公表しているものですので、ここで多くの時間を割くことは控えさせていただきました。ページをもとへ戻っていただきまして、12ページのこれからの取り組みに進めます。

12ページに項目を掲げておりますが、今年度、損保協会として、共通化、標準化の推進による消費者利便の向上と業務効率化ということをメーンの取り組みとして取り組みを進めます。損保協会では3年ごとに中期基本計画というものを策定して、いろいろな取り組みを進めてりますが、今年度がその第6次中期計画の1年度目ということになります。この中で、12ページに掲げております5つの項目の各テーマについて取り組んでまいります。1項目を見ていただきますと、事務処理、事務帳票のところで、帳票類の標準化と書いております。4つ目、募集ルールのところで、募集に関するルールの業界共通化といった書き方をしております。競争領域については、各社の工夫で商品を差別化し、あるいは、それぞれ新たなサービス等を開発していくということなのですけれども、どの会社で請求をするにも、あるいは、どの会社で加入をするにも、同じ情報を同じように伝える必要があるものについては、帳票やルールを標準化、共通化していくことのほうが、お客様にとってメリットも大きいですし、業務効率化を通じて、コスト低減ひいては保険料の低減にもつながるということで、こういった観点から、取り組みを進めていきたいと考えております。

次のページをめくっていただきますと、今申し上げたことを概念整理させていただいております。

以上のようなことで、自主的かつ精力的に進めてまいりたいと思いますし、これらの過程で、業界の中だけではなく、外部専門家、有識者の方々のご意見等を伺う場も活用しながら取り組んでまいりたいと思いますので、こういった協会と会員各社における取り組みを促し、かつ、そこから得られた実務の工夫を、先ほども申し上げましたが、許容するというのか、生かすというのか、促進するというのか、そういった制度のあり方を検討いただければと思います。このような取り組みの過程が進んでいけば、また報告の機会もあると思いますので、ぜひそういう観点でお願いしたいと思います。

最後に、「ご参考」のところにあります、東日本大震災のことについて若干ながら触れさせていただきまして、以上とさせていただこうと思います。

損害保険は、被害に遭ったお客様に迅速かつ適正に保険金をお届けするということが基本的な機能で、国民生活の安定のために欠かすことのできない、そういう意味では社会的なインフラだと思っております。時代が変わって環境が変わっても、この点は変わらないと思っております。こうした損害保険の意義が、今般、改めて問われたと思っております。この一連の過程で、代理店の皆様には、地域密着を生かして、安否確認、契約確認などに活躍をいただきました。ありがとうございました。金融庁の皆様にも、さまざまな例外措置とか緩和措置などについて、私どもの相談に対して迅速に対応、ご指導いただきまして、ありがとうございました。今後、自然災害の多発や景気・経済の不透明さといった形で不確実で厳しい環境が続くと思いますけれども、我々損害保険協会及び損害保険会社は、損害保険が信頼できる制度として機能し続け、国民のニーズを満たしていくということが必要だと、やや大上段で恐縮ですけれども、そのように考えております。そのための一助というか、一環として、これまで申し上げたような業界としての取り組みを進めてまいりたいと思いますし、制度面で、ここは要望として各項目で示させていただきましたけれども、ぜひお助けいただければと思います。

以上でございます。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、瀧下様、お願いいたします。

○瀧下オブザーバー

外国損害保険協会、瀧下でございます。私ども外国保険業者、22社が会員である団体でございまして、再保険とか信用保険、通販、あるいは企業向け保険とか、特化したビジネスモデルを持つ会員が多い団体でございます。細分型自動車保険が導入されました97年当時、私ども会員のマーケットシェアの合計は3%に満たなかったわけでございますが、現在、6%程度に上昇しております。これは、自動車通販、あるいは信用保険等、私どもの会員が日本に導入した新しい保険、これが大きく貢献しているものと考えております。

それでは、私どもの考え方を申し述べたいと思いますが、私どもの考え方の基礎となっています現在の保険の募集制度について確認してみたいと思っております。先ほど、当局からもご説明がありましたが、大宗は保険代理店経由で売られておりまして、一部直扱い、それと仲立人ということで、大宗、92%は代理店経由で売られているということでございます。

それでは、損害保険代理店というのはどういうものかというので、若干、中を見てみたいと思うんですが、いわゆる専業の代理店というのが16.7%、3万4,000店弱ございます。それ以外の、いわゆる兼業でやっている代理店の内訳なんですが、自動車関連業、ディーラーとか整備工場、これが10万店で約5割、銀行、生命保険会社等が約1%で1,800、そのうち銀行が1,100ということになっております。大宗は、他に職業を持つ兼業の代理店であるということでございまして、募集従事者で見ますと、200万人のうち、自動車、金融関係で過半となっております。また、専属とか乗り合いという概念で区分いたしますと4分の3、4店に3店は専属、要するに、どこか特定の保険会社に所属する代理店でございまして、それ以外、複数の保険会社が乗り合っているというのが4店に1店ということになるかと思います。

保険ブローカーは、現在で35社でございます。最近、話題の来店型ショップについても若干ご説明させていただきたいと思いますが、これ、各社ウェブから得た情報でございまして、ブランドとして大きく4つ掲げさせていただいておりまして、複数のブランドを持つ会社もございます。運営会社は、そこにあります4社でございまして、アドバンスクリエイトにつきましてはジャスダックに上場している、その他については未上場の会社でございます。アドバンスクリエイトは上場企業なので開示が進んでおりまして、代理店手数料が70億円程度あるということでございます。店舗数も、そこに書きましたように、会社によって考え方が違って、直営でどんどん進めるところと、他の系列と協力して店舗を展開するところといろいろございます。保険会社数なんですが、アドバンスクリエイト、生損合わせて63社、その他、右にありますように、30とか40とかいう保険会社が乗り合っているということでございまして、アドバンスクリエイトの一番下のところに書きましたAgency Captiveという言葉なんですが、保険代理店が海外に再保険会社を持っておりまして、そこに日本の保険会社から保険契約を獲得して得ているということで、販売の手数料のみならず、アンダーライティング(引き受け)の収益も得ようという、そういう作戦かと理解しております。

それで、日本の募集制度の監督ですけれども、代理店については金融庁なり財務局が直接監督するという構えではございませんで、保険会社が責任持って監督するということで、代理店に対して当局から直接の監督権はない。それに対して、仲立人は当局が直接監督する構えになっているという、そういうことでございます。これに基づきまして、私どもの考え方を申し述べさせていただきたいと思います。

まず、商品開発でございますが、私どもの会員、申し上げましたように、自動車通販とか信用保険とか新しい商品によりまして伸長してきたということもありまして、商品認可に関心が非常に高うございまして、商品認可の手続のスピードアップ、あるいは簡素化を強く望んでおります。例えば、EUでは、保険商品料率の事前認可制度が1994年に廃止されておりますが、それ以降、格別問題があるやに聞いておりませんし、イタリアで1例、ストによる休業損害を担保する保険、これが事後的に当局から差しとめられたというものを聞いているのみでございます。

また、1996年の日米保険合意によって自動車細分型の通販が認められ、ユース&ファイル、要するに料率認可手続の簡素化を図ることが約束され、実行に移されたわけですが、それ以降、大変失礼ながら、はかばかしい簡素化は行われてないと理解しております。

例えば、細分型自動車保険、当時、9つのリスクの区分が認められております。性別、地域等、認められておりますが、それぞれについて、その幅が定められております。それ以降、これの見直しも行われておりませんが、もう15年ほどたちまして、各保険会社もデータ蓄積が進んでいるかと思いますので、この辺の見直しなどを行ったらどうかと考えております。

続きまして、保険の募集、販売についてでございますけれども、現在、乗り合いにつきまして格別のルール、規制というものはありませんで、唯一、代理店業務委託契約書の中に、会社法に基づく競業避止のための、先行する保険会社の承諾を得るという、そういう規定のみがございます。そこで我々考えていますのは、乗り合いというのは、競業避止ではなくて、むしろ代理店の内部管理体制の問題ではないかと。やはり乗り合いの数が増えていく、保険会社の数が増えていく、商品が増えていくということになりますと、商品管理、事務管理、コンプライアンスの管理が大変になっていくかと思います。そういう能力に基づいて乗り合いというのは行われていくべきではないかと考えております。したがいまして、そうなりますと、保険会社が、次の保険会社が乗り合わせるか乗り合わせないかという判断ではなくて、やはり消費者の保護のために、この代理店がこういう乗り合いをしていいかどうかということを当局が何らかの形で関与すべきではないかと考えております。

あわせて、ブローカーにつきましても、現在、日本の保険仲立人、保険ブローカーというのが商法による媒介商と定義されておりますが、世界では媒介商という理解ではございませんで、お客様の代理人、バイヤーズエージェントと規定されております。何が違うかというと、現在の日本の保険仲立人は保険料にもさわっちゃいけないし、保険証券にもさわっちゃいけないし、要するに、何もできない。こういう契約ありますよ、どうですかということをご紹介して、あとはお客様が保険会社と直接手続すると。保険金請求についてもそうなんですが、外国のブローカーというのは、そういう過程にすべて関与しておりまして、お客様から保険料を預かって保険会社に支払うとか、告知をお客様のかわりに行うとか、通知を行う。事故の通知を行う。場合によると保険金請求も行うというような広範な役割ができております。こういうグローバルスタンダードに沿った保険仲立人制度にぜひとも改めていただきたいと考えております。

それと、産業政策的な観点から、私どもの会員が関心を持っておることについて申し述べさせていただきたいと思います。本ワーキングの直接の主題ではないんですけれども、自賠責保険とか地震保険につきましてはノーロス・ノープロフィット、社会公共的な保険であるという位置づけで運営されているわけでございます。したがって、利益が出れば積み立て、損失が出れば、それを取り崩すというような運営をされているんですが、そのような積立金につきましては、一般の企業会計では負債性が認められない。日本では認められているようですが、世界的には一般的には認められないということで、私どもの会員会社、本社は海外でございますので、その国の企業会計原則に従って会計しているわけですが、日本の支店では経費になり損金になるんですけれども、本社ではできないということで、そのまま利益になってしまって税金を払っていると。逆に、損失が出れば単年度の損失になるという、そういうことでございまして、私どもの会員としては、いわゆる日本の企業とは競争条件が同一ではないということになっております。

あわせて、日本の保険会社にとりましても、ノーロス・ノープロフィットのリスクを背負わされているわけなので、先ほどの日本損害保険協会のお話にありましたグローバルな展開、あるいはグローバルな競争を考えると、大変お気の毒な状況になっておりまして、過大なリスクを負わせると、国際競争力をそぐような結果になるのではないかと考えております。

それと、私どもの会員が今、一番関心を持っておりますのが消費税の増税問題でございまして、私ども保険会社、保険業というのが、消費税上は非課税の事業でございまして、非課税、何かというと、購入するものについての消費税はお支払いするんですが、それは私どもの商品、すなわち保険料に転嫁できない。要するに、保険会社がすべて自分のポケットから払わなきゃいけないという、そういう事業でございます。これで消費税が上がりますと、例えば、自動車保険の修繕費、これの消費税というのが上がってしまって、お支払いする保険金がその日から増える格好になるんですが、現在の料率にはそこの部分は盛り込まれていないということになっております。したがいまして、消費税が増税することを条件にして、あらかじめ料率の改定を認可いただくとか、あるいは、私ども保険会社グループでは、子会社というのが、主に損害調査とか事務処理の労務系の子会社でございますので、グループとして仕入れの消費税を控除することが少ない産業でございまして、子会社の仕入れで発生する消費税も、そのままグループとして損失に回ってしまうということで非常に大きなインパクトがありますので、例えば、グループとしての総合的な消費税の課税とか、何らかのそういう措置をとっていただけないかと考えております。

最後の点につきましては、直接、ここの課題でないものも含まれておるかと思いますが、私どもの会員の関心についてお話しさせていただきました。ありがとうございます。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、五十嵐様、お願いいたします。

○五十嵐オブザーバー

皆様、初めまして。日本少額短期保険協会の五十嵐と申します。

私にとりまして、このような会議に出させていただきますのは今回初めてでございますが、実は私ども少額短期保険協会、あるいは少額短期保険業界として、このワーキングに出させていただきますのは、おそらく今回、初めてのことかと思います。このような貴重な機会に業界の声を出させていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、少額短期保険として初めてこういうお話をさせていただくということもございますので、これまでのオブザーバーの皆様のお話とは若干色合いが違うかとは思いますが、少額短期保険の概要、それから、現在の状況ということにつきまして、ワーキングの委員の皆様、ご専門の方々かと思いますが、釈迦に説法と思いますが、改めて少額短期保険の概要についてご報告させていただきたいなと思っております。

お手元の資料、資料7というところをめくっていただきたいと思います。まず1枚めくっていただきますと、少額短期保険の制度の概要というのが書いてございます。これはもう既に、もちろん皆様、よくご存じのところかと思いますが、少額短期という保険は、その言葉のとおり、少額で、かつ短期の保険ということになっておりますので、保険金額につきましては、トータルで1,000万、細かく言いますと、死亡保障ですと300万とか、医療については80万というように金額が細かく刻まれております。ここが通常の生命保険さん、損害保険さんと大きく異なるところでございます。

それから、もう一つが、少額短期の短期というところですが、こちらについても、保険期間が、種目によりますが、1年または2年ということで、このように少額で短期な分野をカバーするのが我々少額短期保険業界の担い手としての立ち位置と考えております。

少額短期保険、2006年に初めて第1号の会社が誕生したわけでございますけれども、現在、69社の少額短期保険会社がございます。お手元の2ページのところに書いてありますように、死亡保障とか医療保障というような非常にオーソドックスな商品を扱っている会社から始まりまして、ペット保険、あるいは地震の費用保険、山岳のレスキューの保険とか、最近は、コンサートに行けなくなったときのチケット代金をカバーする保険とか、お天気保険とか、さまざまな、非常にユニークな保険が誕生しております。こういう既存の保険のプレーヤーの方々がなかなか提供しにくかった分野といいますか、そういったものに積極的に商品を投入させていただくというのも、私どもの1つの役目かなと考えております。

1枚めくっていただきますと、3ページのところですが、少額短期保険と既存の生命保険様、損害保険様との違いというところを書かせていただいております。こちらに書いてあるとおりでございますが、保険金額、あるいは保険期間の違いはもとより、生損保さんというのは、いわゆる認可制でありますけれども、私どもは届け出制という、ライセンスのとり方の違いもございます。資産運用についての制限も異なっております。

一方で、下のほうに書いてありますが、検査・監督に関する部分、あるいは、300条等も含めた募集の制限につきましては、生損保様と同様の、きちんとした枠組みの中でやらせていただいております。このように、ある部分においては生損保様と同じような位置づけでやらせていただく部分もあり、また一方で、少額短期保険固有のいろいろな枠組み、あるいは緩和といったものの中で、この商売をさせていただいているというところでございます。

この少額短期保険ですが、最初に誕生しましたのが2006年ですので、ちょうど今、6年ぐらいたったところでございます。この6年間といいますのは、私どもにとっても初めての新しくできた保険制度でございますので、試行錯誤の6年間でありました。その中で、23年度、昨年ですが、規制の緩和についてのご要望というのを出させていただきました。これが4ページに書いてあるところでございます。新しくできた法律について、やはり実際に事業者としてやっていく中で、お客様、消費者の皆様とのやりとりの中で、もう少しこういうふうに変わったら、お客様にも喜んでいただけるのかな、あるいは、商売についても少しやりやすくなるのかなということも含めて、昨年、お手元にあるような5つの要望事項というものを金融庁様にご相談させていただいた次第でございます。

この中には、保険金額を少し、当初の規制よりも上げていただけないでしょうかとか、あるいは、被保険者の人数の制限というのも実はありますが、1つの団体に対して100名までという制限がございますが、こういった部分について、見直しのことをご検討いただけないでしょうかというようなことをお話をさせていただきました。

その結果も踏まえて、もう1枚めくっていただきますと、5ページ目のところでございますが、これも、皆様、もう既にご案内のとおり、このたび、3月、新しく保険業法の一部の改正というものが国会を通りまして、その結果としまして、少額短期保険にかかわる規制についても、お手元の2点につきまして見直しをしていただくことができました。

1つは、いわゆる経過措置と言われている上限金額の部分の措置について、一定の期間、延長していただくことができたという点と、それから、2点目としましては、先ほども出ました、1つの保険について100名という制限があったわけですが、ここについては、いわゆる総保険金額での上限にするという新しい考え方をご導入いただきまして、私どもにしましては、保険の販売の枠組みといいますか、工夫の余地が広く拡大することができたかなと感謝しておる次第でございます。

ここまでは、これまでの少額短期保険の成り立ちといいますか、あるいは現状ということでございます。本日は、保険ワーキング・グループとして、保険商品、サービスの提供についての在り方ということでございますが、既に、先ほどオブザーバーの皆様からご説明いただいた、いろいろな現物給付の問題であったり募集の問題であったり、私どもは生保と損保の商品を一緒に扱えるという非常にユニークな立ち位置の業界でございますので、当然これまで、本日ご説明いただいたことについては相通ずる部分も多々ございます。

一方で、少額で短期という私ども固有の問題があるがゆえの、私ども独自のいろんな制限、制約であったり問題意識というものもございます。こういった点につきまして、今後のワーキング・グループの中で、委員の皆様にも頭の片隅に1つ置いていただいて、ご議論いただけたら幸いかなと考えております。

今回、新しい保険の商品、サービスの在り方ということを考えますと、2006年からスタートした少額短期保険というもの自体が、ある意味、1つの新しい保険の提供の仕方、あるいはサービスの仕方ということそのものなのではないかなとも考えております。ですから、これからの議論の中で、私どもの少額短期保険業界というものが、どのように消費者の皆様に、私たちの立ち位置からどんなことができるのか、あるいは、一般の消費者の皆様が、私たちにどんなことを望んでおられるのか、そういうことも含めて、お話の中でいろいろ参加させていただけたら幸いかなと考えております。

以上でございます。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、これまでのオブザーバーの皆様からのご説明等に関しまして、ご質問、ご意見等をお願いできればと思います。

なお、今回は、当ワーキング・グループの初回の会合でありますので、委員の皆様より、保険商品・サービスの提供等の在り方や保険募集、販売の在り方に関する論点、そして、それ以外の論点についても幅広くご自由にご発言いただければと存じます。

それでは、委員の皆様、どなたからでも結構ですので、ご発言をお願いいたします。水口委員。

○水口委員

ご説明ありがとうございました。急速に進行いたしております少子高齢化を背景として、私の業務の視点立場からも、やはり消費者のニーズの変化、多様化とか、消費者の意識の高まりというものは感じるところがあるところです。保険業界が、こうした事業環境の変化に、従前からの商品、サービスの延長線上で対応していくということには限界があるなとは常々考えておりましたので、制度を含めた体制整備が望まれるところだと考えております。

ちょっと各論的にはなってしまいますけれども、例えば、実務家からご説明がありました介護施設への入居権を付与した介護保険などについては、消費者がそうした特性のある商品を選好するということも想定されますので、こうした商品を考えることは大いに意味があると考えております。その一方で、こうした商品には留意すべき事項もさまざまあると思いますし、それは実務家の方々もいろいろ工夫はされるという話があったところでございます。

私が現時点で、簡単に考えたところでは、消費者の観点から言いますと、20年とか30年先に給付が支払われるような事象が起こるということも考えられる介護保険に関しましては、介護施設に実際に入居するという段階では、その施設の運営状況が、保険加入時に想定していたものと大きく異なってしまう可能性ということとか、消費者の求める施設についてのサービスの在り方というのが、介護保険加入時と実際の施設に入居する段階では異なってしまっているということもあり得るのではないかと思います。

また、保険会社の健全性という観点から考えますと、介護保険の契約の締結時の金銭価値と実際加入の段階での金銭価値が異なりうるというリスクもあると思います。

こういった留意事項もありますが、いろいろ工夫すればクリアできるものはあると思います。介護保険に限ってということではなく、保険会社の健全性の確保を前提といたしまして、さまざまな留意事項に対応するための創意工夫をして、そして、業務範囲の在り方とか、業務範囲に即した監督の在り方、責任の所在とか説明義務の在り方などを検討して、保険会社が消費者のニーズの変化、多様化などに対応する新たな保険及び親和性のある周辺サービスなどを提供することによって、消費者の利便性の向上、ひいては保険会社の事業基盤の強化につながりうるシナリオが考えられるのではないかと思っております。

以上です。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

感想のようなものを3点述べたいと思うんですけれども、1つは、中長期ワーキングでも、金融機関が顧客のニーズをより的確にとらえ、重視している経営が必要と言われておりますし、今般の諮問事項の中にも、保険契約者の多様なニーズにこたえるために何ができるかということが、まさに諮問されているわけです。そういう中で、保険会社には、保険業法上、他業制限、業務範囲規制、子会社にもそのようなものが課せられていまして、私が心配していたのは、保険会社のほうが、業界のほうが、こういうことで思考停止していないかと。法律でできないのだから、アイデアもない、考えたこともないということになってないかなということを心配していたんですけれども、今日、オブザーバーの方の発表を聞いていて、弁護士である自分の頭では到底思いつかないようないろいろなアイデア、こういうものが記載されていて安心したわけであります。日本の保険業界もまんざら捨てたものでないなと安心したわけでございますが、こういうアイデアは、まさに実務者のオブザーバーの方から出していただかないと、少なくとも私のような知恵のない者にはわからないものでありまして、今日発表していただいたものに限らず、どんどん、こういう球出しというのは、まさにオブザーバーの方から行っていく、そういう役割を担われているのではないのかなと思いました。

そういう球出しを受けた私のほうでも、原則だめというのではなくて、まさに今回の諮問事項は多様なニーズにこたえるためということでありますから、やはりどうしたらできるんだろうかとか、問題は何なのかと、それをクリアするにはどうすればいいのかというのを真摯に議論していく必要があると考えております。喫緊のニーズがないから後回しというような、そういう考え方は、それは今、こういうフェーズに入っている、諮問事項とか中長期ワーキングで求められているようなフェーズに入っているわけですから、それはもうごまかしと評価されても仕方がないことだと思いますので、私のほうでも、思考停止しない自由な発想を持ち続けるように心を新たにした次第でございます。

2つ目なんですけれども、中長期ワーキングには東日本大震災やタイ洪水被害、事務局説明資料の16ページなんですけれども、といった国内外の顧客の保険サービス需要にこたえるべく、再保険市場制度の活用や整備等を含め、さらなる対応が望まれるということが書かれていまして、今日の損保協会さんの資料の3ページにも同じ方向性のことが書かれているものと理解しております。東日本大震災においては、聞いた話によると、直接の経済被害が16.9兆円だったということなんですが、保険等からの支払い額というのは2.7兆円、15%程度にすぎないということ、私はこういう分野については素人ですが、人から聞いております。ですから、やはりこういう部分についても保険契約者のニーズというのがあるのではないかと。

それで、保険会社がそういうことを引き受けるためには何が必要なのか。例えば、再保険の安定性の確保という、いろんな課題はあると思うんですけれども、そういうことについても検討していく必要があるものと考えております。

3つ目は、私が大好きな販売、勧誘のテーマなんですけれども、諮問事項の2番で、「必要な情報が簡潔で分かりやすく提供されるための保険募集・販売の在り方」とあります。契約概要という制度が、先ほど、オブザーバーの方のご説明の中にもありましたが、販売勧誘検討チームから提言をされて、平成18年から実施されているわけですけれども、その中にも、less is moreという考えですね。「過ぎたるは及ばざるがごとし」と訳されるのですが、要するに、顧客が理解しようとする意欲を失わない程度の情報量じゃないと、結局は、いくら説明をしても、当然、説明が多くなると利用者利便にも反するわけですし、利用者保護上も、結局、説明するだけが能じゃないと。逆に、それは利用者保護にも反することになる考えですよという新たな考えを用いまして、どういうふうに削っていくかという、監督指針では、理解する意欲を失わない程度の情報量にしてくださいということが書いてあるんですけれども、それと通ずる考え方で、まさに首肯し得る考え方だと思います。

ただ、削るということはほんとうに難しくて、場合によっては、利用者保護上、問題がある場合もありますので、そういうことが問題ないかを検証しつつ試みていくと。これもまた高度なレベルなことなんですけれども、これも取り組んでいく必要があるなと思います。

あとは、プラスアルファのところなんですけれども、契約概要等というのは平成18年から導入されて、実務に根づいていると思いますので、その制度自体が悪いという話も、少なくとも私のレベルでは聞きませんし、形式的な話ではありますけれども、法規レベルで、書面交付義務を法定化してもよいのではないかと個人的には考えております。

以上でございます。

○洲崎座長

加藤委員。

○加藤委員

ありがとうございます。

1点目の諮問事項の商品・サービスないし業務範囲の在り方ということですが、先ほど、保険会社も捨てたものではないというご発言がありました。私自身も、今日、非常にいろいろな商品があるということで勉強になりました。ただ、一方で、いろいろなご要望とか事例が出てきたなと、感じております。当初、この諮問事項を見たときには、少子高齢化という国にとって非常に重要なこととのリンケージの中で、商品・サービスないし業務範囲の在り方という議論をしていくのかなと感じていました。

ここから以降は意見でございますけれども、少子高齢化ということは非常に重要だと思っておりますが、今日のご意見をお聞きしますと、少しそこは幅広、柔軟にとらえて論点設定をしていったほうがいいと感じました。但し、あまり広げ過ぎると、すべての保険商品、サービス提供、業務範囲の在り方というスコープの議論になってしまい、少し不安に思いますので、今日この時点ではないと思いますが、少し議論のスコープというのをご整理いただいたほうがいいのかなと感じました。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

意見と質問を申し上げます。1点目は、諮問事項と、今日のオブザーバー、各業界団体からのご説明をうかがっておりますと、法改正を要するまでもない事柄がかなりあるのではないかという印象がしております。もちろん法律、保険業法の改正が必要となることもあると思いますが、特に募集・販売方法に関するご要望については、むしろ監督指針や規則レベルでできることがあるのではないでしょうか。当然、法律改正を要する事柄であれば、金融審議会の答申を得て法律を改正するという作業になるかと思いますが、そこまでの手続を踏まなくてもできるようなことや、わかり切ったことは、答申を待つまでもなく、迅速に進めていただければと存じます。

2点目は、このワーキングと金融審の我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループとの関係です。中長期ワーキング・グループは、日本の金融業の国際競争力向上ということを非常に強調しておられました。この大きな流れの中で、本ワーキング・グループに出されている諮問事項の2点というのは、どうかみ合うのか、あるいは、それとは別に、これはこれで検討するという話なのか、ご説明をお願いします。

○小野参事官

2点目のご質問についてお答えさせていただきたいと思います。当局の資料、資料2の14ページを見ていただきますと、もともと、金融審議会の中長期的な在り方に関するワーキング・グループというのは3つの視点がございまして、真ん中の○でございますけれども、3つの視点、すなわち、我が国における金融業の国際競争力の強化、地域経済における金融機能の向上、3番目に、国民のニーズに合った金融サービスの提供という、この3つの視点から議論いたしまして、報告書を取りまとめたところでございます。

報告書につきましては、参考ということで皆様のお席に配付させていただいておりますので、後ほどお時間があれば、一度、ご一読いただければと思いますが、したがいまして、もちろん国際競争力の強化というのも非常に打ち出しておりますけれども、それのみではございません。したがいまして、特に今回、保険のワーキング・グループでご議論いただくところで関連するところにつきましては、もちろん我が国における金融の国際競争力の強化もありますが、それに加えまして、国民のニーズに合った金融サービスの提供という、この視点からもぜひご議論いただければと思っています。

そういう観点から、先ほど、伊野室長がご説明しましたように、16ページ以降の資料で抜き書きしているところがございますけれども、そこは主に、16ページも見ていただければわかりますように、企業向け金融サービスのグローバルな展開、つまり国際競争力の向上という観点、それから、もう一つは、個人向け金融サービス、つまり国民のニーズに合った商品サービスの提供という観点、この観点から今回の議論の参考になるようなことを抜き書きしているところでございます。

○洲崎座長

では、丹野委員。

○丹野委員

今回の諮問事項2点につきまして一般消費者の立場から、お話を申し上げる立場だと思っておりますので、それについて、ご当局の説明があり、それから、オブザーバー各社の、各業界のご説明を承って感じたことを申し上げます。消費者の視点から申し上げれば、後ろのほうの、必要な情報が簡潔でわかりやすく云々という、ここの部分に非常に関心を持っておりまして、現実に保険に関するトラブルは相変わらず減らない状況にございますので、そういう意味では、そこの部分が一番問題だろうと、まずは思っております。

ご当局のペーパーで言いますと、13ページ、3年前のワーキング・グループの中間論点整理を、あれから3年になるんですけれども、13ページの「検討のあり方」のところに書いてありますが、「単に募集時の説明をより適切なものとするといった対応だけでなく、複雑な保険商品そのものをもっと分かりやすいものにしていくためにはどうすべきか」云々というのがございます。つまり、この当時、既に保険は複雑であって非常にわかりにくいというのが前提で、ここを書かれたものだと認識しておりまして、その基調低音は相変わらず今も消えてないのではないかと思っております。ですから、そういう意味では、募集の在り方云々のほうにつきまして、今後、特に損保協会さんがお出しになったペーパーなんか非常に関心がありますので、そこら辺も含めて真摯に検討していただきたいということと、それと、返す刀で1番目を見ますと、多様なニーズ、多様なニーズと言われると心配になります。なぜかというと、多様はどうしても複雑になりがちだというところが常でございまして、そういうところに行ってもらっては困ると。例えば、今出されている介護の現物給付を本体の保険会社で行う云々という提案は、一見、非常に魅力的ではありますが、先ほど、水口委員がおっしゃった懸念事項というのは、たしか、保険法の審議会の中でもさんざんに議論をされた事柄でございまして、その懸念を払拭して今回出てきたのかというと、そこは心もとないのではないかと思って、これから慎重に議論をしていかなくてはいけない。もちろん思考停止をしないというのは非常に大事だと思いますが、さはさりながら、保険会社の強靭性というのは、今、他方で地震保険の議論をしていますけれども、そこも含めて非常に大事なことだと。そこが、消費者が保険会社に信頼を寄せるよすがでございますので、そこの部分をほんとうに維持できるんだろうかという部分も含めて、今後検討されていくものだと理解をしております。感想です。

○洲崎座長

神戸委員。

○神戸委員

私は、このワーキンググループのメンバーの中では異質な存在かもしれません。学者や法律の専門家ではありませんし、オブザーバーとして加わっておられる保険会社側の立場でもなく、ファイナンシャルプランナーという職業に就き、お客様向けに乗り合い代理店として保険を販売したり、あるいは、保険会社さんの社員さん向けの研修の講師などもやらせていただいております。メーカーと顧客を結ぶ接着剤的な職業といえるかもしれませんが、実際に個人のお客様と対応させていただく中で強く感じますのは、経済が成長期の社会におけるリスクとそれに対して必要な保険と、今、日本が迎えている成熟社会におけるリスク、必要な保険というのは大分変わってきているなということです。そのような変化に対応すべく中長期的な在り方というのをこれまで検討されてこられたのだと思います。

基本的に、以前の日本人にとっては、企業が倒産しにくい、終身雇用制度や、公的年金もしっかりしていたという中では、おそらく家計にとっては、ご主人の死亡リスクというのが最大のリスクだったと思うんですね。それが収入途絶となる一番高い確率のものだったと。それに備えるためのリスクマネジメントというのは何だったかと考えれば、保険商品についてはどうしても死亡保障中心の商品構成になりますでしょうし、販売チャネルも職域営業が一番マッチしていたのだと思います。それが今、弊社のお客様なんかも一番感じておられるのは、収入途絶につながる最大のリスクは、ご主人の死亡リスクではもうなくなっていると。むしろ会社がつぶれるとかリストラされる可能性のほうが、ご主人が亡くなる可能性より高い社会になってしまっています。それを実体験された方も多いでしょう。あるいは、重病になる、要介護になると収入が途絶えた上に医療費負担が増えてしまう。だから、それに対する備えというのがどうしても必要になってきているのだと思います。いわゆる成長社会では対企業のビジネスが中心となり、企業の成長に必要な資金を供給する、調達するというのが、保険会社さんなども含めた広義の金融機関の一番大きな役割だったと思います。しかし、現在の成熟社会の中では、ある意味、今、日本が世界に誇れるのは、1,500兆円弱の個人金融資産ぐらいしかないような状況に、残念ながらなってきていると思うんですが、その有効活用の手段を提供するということも含めて、金融機関にとって個人に対する、生活者に対するビジネスの比重が高まりつつあります。その生活者向けのビジネスのあり方、商品開発や販売チャネルがどうあるべきかというところが、今回のワーキング・グループのテーマの中で一番重要なのではないかなと思っています。

少子化対策というのは、女性、あるいはそのパートナーの意思が大きく関わってくる部分もありますので、制度や法律だけでどうこうというのは難しいのかもしれませんが、加齢というのは、人間の意思とは関わりなく必然的に進んでいくものですので、高齢社会にとって果たしてどういう商品、あるいはサービス、チャネルが必要なのかというのをきっちり見きわめていくということが求められており、生保さんも損保さんもその方向性で、本日プレゼンをしていただけたのではないかと思っております。

以上です。

○洲崎座長

ほかにございませんか。

今日は第1回ということでございますし、後でご説明しますが、また近々、第2回ございますので、今日、言い忘れたということがございましたら、また次回にでもご発言いただければと思います。

本日はここまでとさせていただきたいと思います。次回は、当ワーキング・グループの委員及び有識者の方から、諮問事項に関するご見解等についてご説明を伺うこととしたいと存じます。ご説明をいただく委員の方には、事務局を通じ個別にお願いさせていただくこととしたいと思います。

最後に、次回の日程でございますが、6月27日水曜日、10時からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)

サイトマップ

ページの先頭に戻る