金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」(第3回)議事録

1.日時:

平成24年8月24日(金曜日)10時00分〜12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館12階 共用第2特別会議室

○洲崎座長

それでは、ただいまより保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ第3回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。本日は加藤委員、田島委員がご欠席となっております。

それでは、議事に移らせていただきます。本日は、まず、前回までの議論を踏まえ、私のほうで事務局とも相談の上、今後、当ワーキング・グループでご検討いただきたい項目についてまとめておりますので、事務局より説明いただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○伊野保険企画室長

まず、資料の説明に先立ちまして、事務局に人事異動がございましたので紹介をさせていただきます。総務企画局参事官三井でございます。

○三井参事官

三井です。よろしくお願いいたします。

○伊野保険企画室長

総務企画局企画課長の長谷川でございます。

○長谷川企画課長

長谷川でございます。よろしくお願いいたします。

○伊野保険企画室長

総務企画局から監督局に移りました、引き続き参事官でございます小野でございます。

○小野参事官

小野でございます。よろしくお願いいたします。

○伊野保険企画室長

それでは、まず資料1のご説明をいたします。今後の検討項目についてまとめた1枚紙でございます。諮問内容に沿いまして、保険商品・サービスのあり方と保険募集・販売ルールのあり方と大きく2つの項目がございます。まず、保険商品・サービスのあり方ですが、時代の変化に伴う新しいニーズに対応するための保険商品のあり方という観点からご議論いただいてはどうかと考えておりまして、内容としましては、これまで各業界からご要望をいただいたものを整理しますと、新しい保険商品についてということで現物給付型保険ほかが、これに該当するかと考えられます。次に、保険の共同行為制度等の見直しについて。もう一つが業務範囲規制のあり方についてといったことに整理できるのではないかと考えております。本項目については本日、ご議論をお願いしたいと考えている項目でございます。

次に、保険募集・販売ルールのあり方ですが、ニーズに合った保険サービスの選択を容易にするための取組みについてという視点から3つほどに整理させていただいております。1つは、利用者目線に立って必要な情報を提供する保険募集のあり方について。利用者にとってわかりやすい募集文書のあり方等がこの項目に含まれるかと存じます。次が、利用者が多様な保険の中から安心して選択できる商品募集のあり方について。具体的には、保険仲立人・乗合代理店を含めた募集・販売主体に係る規制のあり方について等が含まれるかと考えます。次に、募集・販売時規制の適用範囲についてということで、保険募集と一体性・連続性のある勧誘行為とか、アウトソーシングに係る考え方といったものがこの項目に含まれるかと存じます。

資料1については以上でございます。

○洲崎座長

ただいま説明いただいた項目に沿って今後の検討を進めることとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○洲崎座長

ありがとうございます。それでは、このような形で進めることとしたいと思います。

ただいまご了承いただきました検討項目のうち、本日は、保険商品・サービスのあり方についてご議論いただきたいと思います。

それでは、事務局より資料の説明をお願いします。

○伊野保険企画室長

では、資料2に基づきまして説明したいと思います。資料2をごらんください。

まず、1ページ目ですが、諮問事項を載せさせていただいております。これはご存じのとおりですので説明は省略させていただきたいと思います。

2ページでございます。業務範囲規制についてということで資料を作成しております。まず、保険会社の業務範囲ですが、保険会社本体につきましては、固有業務、保険の引受けとか資産運用、付随業務等に限定をされております。子会社につきましては金融業に従属する業務、金融業に付随・関連する業務に限定をされております。このように、保険会社が行う業務に制限が課されておりますのは、保険契約者等の保護の観点から保険会社を保険業に専念させる必要があるほか、他の事業に起因する不測のリスクが保険契約者等に波及する事態を回避する必要があるためとされております。

保険会社の子会社につきましては、法人格を違えることで子会社の事業リスクは一応遮断されますが、子会社との間での利益相反行為が行われる可能性とか、経営困難に陥った子会社に対する財政支援の形で子会社の事業リスクが保険会社に波及する事態もあり得ますから、そうしたことを踏まえて保険会社が子会社とすることができる会社の範囲に制限を設けております。保険会社グループの業務範囲規制の在り方については、平成19年金融審議会報告において一定の考え方が示されております。

3ページで、その考え方について報告を載せさせていただいております。この基本的な考え方ということで整理されておりますが、保険会社グループの業務範囲の拡大を検討するに当たっては、銀行・保険会社本体の経営の健全性確保が強く求められるものと考えられる。実際に、個別の業務を銀行・保険会社グループに認めるか否かについては、当該業務が銀行・保険会社本体の経営の健全性に及ぼす影響を踏まえつつ、利用者利便の向上、銀行・保険会社グループ全体としての経営の効率化、国際競争力の確保等を勘案した上で、きめ細かく判断していくことが適当であるとされた上で、具体的に個別の業務を銀行・保険会社本体、子会社、兄弟会社、いずれに認めるかについては、他業禁止の趣旨を踏まえつつ、ここに3つあります、本来的業務との機能的な親近性、保険会社が負っているリスクとの同質性、保険会社本体へのリスク波及の程度等を勘案して決定すべきものと考えられるというふうにされております。

資料の4ページでございますが、保険会社及び子会社の業務範囲規制を書いております。ここで、右側、子会社の8にございます「従属業務又は金融関連業務を専ら営む会社」というところで、これまで子会社の業務範囲の拡大をかなり読んできているところがございまして、5ページには「従属業務について」ということで、こちらのほうは、今回との関係では余り大きな議論にならないかと思いますが、6ページの金融関連業務ということで、この中に老人福祉施設とか健康維持増進施設といったものが含まれているというような形になっております。

7ページです。「業務範囲規制の在り方に係る論点」ということで整理をさせていただいております。個別の業務を保険会社グループのいずれに認めていくべきかについては、先ほどありました平成19年の金融審議会報告において、この3つを勘案して決定すべきだという考え方が示されております。多様なニーズに応える観点から、以下のような要望がなされておりますが、そうした中で、上記のような業務範囲規制の考え方について見直すべき点はあるのだろうか。その際、以下の要望にあるように、保険会社や子会社において現に提供しているサービスと関連性や類似性がある業務や、一体的に提供される場合には利用者利便に資すると考えられるような業務については、保険会社及び子会社の業務として認めるとの考え方についてどう考えるかといった点が論点になってくるのではないかと考えております。

この下の括弧にありますのは、各業界からいただいた要望の項目を具体的に列記させていただいておりまして、我々、事務局の観点から、関連性・類似性があると考えられる業務、ないしは一体的に提供される場合には利用者利便に資すると考えられる業務というような形で整理をさせていただいたものでございます。

8ページにつきまして、(参考)ということで、個別業務について少し説明を加えております。介護関連業務ですが、保険業法施行規則において子会社が行うことができる金融関連業務の一つとして、「老人福祉施設等に関する役務その他老人、身体障害者等の福祉に関する役務の提供を行う業務」が規定されておりまして、一定の介護事業は既に認められているというものでございます。

次に保険金信託ですが、生命保険会社は、その支払う保険金について信託の引受けを行う業務を行うことができますが、損害保険会社には認められていないというのが現状でございます。保険会社は、信託契約の締結の代理又は事務の代行を行うことができ、また、信託業務を専ら営む会社を子会社とすることができるということにもなっています。

次に、9ページ、古物商・古物競りあっせんですが、いずれも古物営業法による規制が設けられている事業でありまして、それぞれ、次のように定義されております。細かいことですので説明は省かせていただきたいと思います。

次に、10ページですが、「保育所の運営業務について」ということです。これも事業範囲の問題と考えておりますが、保育所の運営業務につきましては、保険会社及びその子会社に、現在認められている業務に比べますと、保険業との関連性が必ずしも明確でないのではないかという見方もある一方、施設において福祉サービスを行う事業という点では、既に子会社の業務として認められております老人福祉施設の運営業務と類似性があるものと考えられます。

また、都市部を中心として待機児童数は依然として多いことや、少子化対策の推進の観点等から、保育所に対する社会的ニーズは強く、保育所整備は政府としての喫緊の課題となっております。保険会社グループが保育所の運営を行うことにつきましては、保険会社は都市部に不動産を所有していることが多く、不動産の有効活用が可能であるということとか、子どもの教育資金の準備等を目的とした保険を提供している保険会社が運営することで、より幅の広い子育て支援サービスの提供が可能となるといったメリットもあると考えられます。

こうしたことを踏まえまして、保険会社及びその子会社が保育所の運営を行うことについてどう考えるのかという論点があろうかと考えております。参考ですが、保育所の運営につきましては、児童福祉法上、運営主体に制限はございませんが、保険業法において保険会社及びその子会社が行うことが認められていないため、保険会社及びその子会社が参入することは現状、できないという状況でございます。民間主体による保育所の運営につきましては、認可保育所と認可外保育所の形態が考えられますが、いずれも都道府県知事の指導監督に服することになります。以上が業務範囲の論点でございます。

11ページにつきましては、「保険会社が引受け可能な「保険」の範囲について」です。具体的には、不妊治療についての問題ということになります。保険会社が引受け可能な保険のうち、いわゆる第3分野保険につきましては以下のとおり定義がなされております。四角い囲みの中ですが、次に掲げる事由に関し、一定額の保険金を支払うこと又はこれらによって生ずることのある当該人の損害をてん補することを約し、保険料を収受する保険ということで、人が疾病にかかったこと、傷害を受けたことまたは疾病にかかったことを原因とする人の状態ということで、疾病ということが要件になっております。これのほかに、ホのところで、「イ、ロ又はニに掲げるものに関し、治療を受けたこと」といったようなこともございます。ニにあります内閣府令で、「イまたはロに掲げるものに類するもの」として定めているものがございまして、これにつきましては、さらに枠の中の枠に入っております、出産及びこれを原因とする人の状態、老衰によって常時の介護を要する状態、あと、骨髄の提供といったものが内閣府令で定められている状況でございます。

規定につきましては上記のとおりですが、原因が特定できない不妊については、疾病かどうかが不明確ですので、その治療費について保険の引受けが可能であるかが不明確であります。この点に関しまして、不妊治療を受ける方の経済的負担を軽減するため、このような保険を引受けられるよう法的位置付けを明確にしてほしいという要望がございます。

(参考2)に海外の状況を書かせていただいておりますが、アメリカ、ドイツでは不妊治療費を保障する医療保険商品が存在しておりまして、イギリス、フランスでは公的医療保険の対象となっているということでございます。

(参考1)ですが、厚生労働省の事業におきまして、法律上の婚姻をしている夫婦に対する不妊治療のうち、1回の治療費が高額な特定不妊治療につきましては、国が当該治療費の一部を助成しているというのが現状でございます。

12ページでございます。不妊治療については、不妊の原因が特定できないものについても、不妊という事由の発生の有無については偶然性が認められます。また、治療によっては高額な費用が発生するため、経済的な負担をてん補する必要性が認められる。こういった点で、保険の成立の前提となる条件は満たしているものと考えられます。また、疾病を原因としない「骨髄の提供」、先ほど申しましたが、骨髄の提供につきましては、「疾病や傷害に類するもの」として既に保険会社による保険の引受けが可能とされております。

以上のような点を踏まえて、原因が特定できない不妊の治療費を保障する保険について、保険会社による引受けが可能であることを明確化することについてどう考えるかということが論点になろうかと思います。

若干、補足いたしますと、原因が特定できて何らかの原因で不妊という症状が出ている場合には、今でもそれが疾病と認められると考えられますので、そちらのほうはもともと現在でも保険の適用範囲ではないかと考えております。

以上が保険の商品の範囲ということの論点でございます。

次は13ページ、現物給付についてです。保険会社が引受け可能な保険につきましては、現在、以下のとおり定義されておりまして、生命保険につきましては、「人の生存又は死亡に関し、一定額の保険金を支払うことを約し、保険料を収受する保険」ということで、下線が引いてありますが、一定額の保険金を支払うということに業法上なっておりますので、これについては現物給付は認められないということだろうと考えております。

次に、損害保険についてですが、「一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約し、保険料を収受する保険」ということですが、損害を填補ということで対応ができるという点で現物給付が認められていると考えられます。

第3分野でございますが、「人が疾病にかかったこと等の事由により、一定額の保険金を支払うこと又はこれらによって生ずることのある損害をてん補することを約し、保険料を収受する保険」ということで、これは契約内容によって保険金を支払うということでは現物給付ということではありませんが、損害をてん補するという形での保険契約であれば現物給付が可能ということと考えられます。

14ページです。「現物給付型保険に係る論点」です。現物給付型保険につきましては、平成20年の保険法改正時に保険法の対象とすべきか否かについて検討がなされた際に、保険業法における対応についても議論がなされております。最終的には、保険法、保険業法ともに生命保険契約及び定額給付方式の傷害・疾病保険契約における現物給付は規定しないこととされましたが、保険業法において現物給付を認めない理由として、以下のような懸念が指摘されております。現物給付については、その将来の適切な履行・質の保証に対する懸念があることから、契約者の保護に欠けるおそれがあるという点。現物給付と金銭給付の選択制でない場合には、価格変動リスクにさらされるという点。現物には将来の価格変動があり、適切な保険料、責任準備金等の算定が困難という点。将来の現物価格変動時の負担を、保険会社と保険契約者等がどう負担するかについて、規律すべきか、契約に委ねるべきかという問題がある。現物給付にかかる継続的な役務提供などの履行確保を図るための監督手法にかかる検討が必要となるという点が指摘されております。

上記のように、現物給付型保険につきましては、将来の価格変動リスク、特にインフレリスク、また、現物給付されるサービスの質の確保といった点が主な論点になると考えられます。少子高齢化の急速な進行の中で、現物給付型保険に一定のニーズが見込まれるところ、このような論点についてどのような対応が考えられるのか。また、他に留意すべき点はないのかといったことが現物給付型保険の論点ではないかと考えられます。

囲みの中に現物給付の例ということで、第1回のワーキング・グループ、梅アオブザーバーのほうから出していただいた資料で、以下のようなものが提示されております。

15ページにつきましては、20年の論点について載せさせていただいておりますが、時間の関係で説明は省略させていただきたいと思います。

16ページでございますが、保険会社による保険金の支払いスキームです。少し現物給付と似たようなところがありますが、法律構成は異なったものという位置付けではないかと考えております。保険業法においては、保険金の支払方法に関する規定は定められておりませんが、契約時に定められた保険金受取人に対して支払われることが一般的でございます。この点に関しまして、例えば医療保険や介護保険については、本人の同意を前提に保険金が医療機関等へ直接支払われるサービスが可能となれば、保険契約者等へのメリットが大きいため、このような支払方式を可能としてほしいとの要望がございます。

これにつきましては、サービス提供者への保険会社による保険金の直接支払いスキームについては、約定した保険金を代理受領するものであり、保険契約者等の同意があれば特段禁止されるべきものではないと考えられますが、保険契約者等の保護の観点から特に留意すべき点はあるのか、ないのかといったことが論点ではないかと考えております。

次に、17ページ以降は再保険とか共同行為といった新しいリスクにどう対応していくのか、1社だけで保険を受け切れないようなケースにどう対応していくのかという論点でございます。

まず、再保険の現状ですが、図の円グラフにありますように、再保険会社の再保険収入の地域別シェアということでは、欧州の再保険会社の受けが全世界で半分以上を占めているということで、かなり欧州への出再に依存しているというのが今の再保険市場の状況でございます。日本が受けているのは、ここにありますように、割合的には非常に少ない状況ということになっております。右側は個別の会社名を載せさせていただいております。

次に18ページでございます。我が国の再保険の状況はどうなのかということですが、上のグラフは国内損保から海外に再保険を出しているものでございます。上のほうのグラフが再保険に出している保険料、下が受け取った保険金ということで、日本から出しているという分には保険料のほうが受け取った保険金をかなりの割合で上回っているという状況でございます。

次に下ですが、下は海外から国内損保への再保険で、国内の損保会社が受けているというものでございます。これは、海外の子会社から再保険を本体で受けているというようなケースも多いかと存じますが、保険料を受け取るのと保険金を支払っているのが、まあ、おおむね見合っているような状況ということではないかと考えられます。そういう意味では、日本の保険会社が海外に再保険を出す、ここの部分についてどう考えていくのかということですが、次の19ページ、20ページで、少し、再保険がうまくいかなかったら困る事態が生じますという例を載せさせていただいております。

19ページの例は、イランへの経済制裁に伴ってEUがイラン産原油を輸送するタンカーについて、EU域内の企業による再保険の引受けを禁止するという可能性が、この春、出まして、それに対応するものを制度として作ったというものでございます。ここの真ん中の図にありますように、船舶の運航につきましては、いろいろな損害が発生した場合に、その賠償をするといったような保険とか、かなり保険をしっかりとつけないとなかなか船舶の運航ができないという状況にあります。そのところで、この日本船主責任相互保険組合というところが一たん、保険を引き受けまして、主に欧州に再保険を出していたというのが従来の枠組みですが、この再保険につきましては、先ほどの図にありましたように欧州に出すことが多いのですけれども、それが経済制裁で受けてもらえなくなるという事態が発生するということになりますと、この保険がうまく回らないということで、これにつきましては、法律を提出して、その部分について日本政府として対応をした。それによって解決をしたというものでございます。

次に20ページです。これもご記憶に新しいところですが、昨年、タイで洪水が発生いたしまして、日系企業も含めてかなり甚大な被害を受け、多額の保険金支払いが生じたということもありまして、海外の再保険会社がタイの洪水リスクに係る再保険の引受けに慎重になる動きが出てきたということで、タイ政府としましては、それで企業の進出の問題が生じてくるということを懸念しまして、タイ政府が資金を拠出して「自然災害保険ファンド」を設けまして、再保険がうまく回らないことに備えたという例でございます。

次に、21ページでございます。損害保険会社の共同行為ということですが、損害保険業においては、引き受けるリスクが巨額にのぼるものにつきましては、引受保険会社の健全な経営の観点から、再保険や共同行為による保険引受け、共同保険によりまして複数の損害保険会社間で保険リスクの分散を図ることが必要となります。こうした再保険や共同保険の締結を迅速に行うため、損害保険会社間で予め一定の取決めをしておくことが、円滑な保険契約の締結を可能とし、保険契約者等の利益となる場合がございます。このような場合を想定しまして、保険業法では、損害保険会社の一定の共同行為につきましては独占禁止法の適用除外となるということを定めております。

パターンとしては2つございまして、箱になっている2つですが、まず、「すべての共同行為が適用除外となるもの」という類型がございまして、これにつきましては、航空保険とか原子力保険、自賠責、地震保険といったようなものが限定列挙されて、これらについてはすべての共同行為ができるということになっております。

次に、「一部の行為が適用除外となるもの」という類型がございまして、今、申しました以外の保険の引受けに係る事業であって、危険の分散又は平準化を図るためにあらかじめ損害保険会社と他の損害保険会社の間で共同して再保険することを定めておかなければ、保険契約者または被保険者に著しく不利益を及ぼす恐れがあると認められる場合に、以下に掲げる行為の全部または一部に関し、損害保険会社が他の損害保険会社と共同行為を行えるということになっております。具体的な共同行為ができる内容としましては、保険約款の内容の決定、損害査定の方法の決定といった、ここに掲げているようなものについてはできますが、その他の部分については各社独自でやらなければいけないという体系になっております。要件としましては、先ほど読みましたが、保険契約者又は被保険者に著しく不利益を及ぼす恐れがあると認められるといった、かなり厳しい要件になっているということでございます。

上記に該当する共同行為を行うには、内閣総理大臣、これは金融庁ですが、その認可が必要であり、その認可をしようとするときは、あらかじめ独禁法との関係で公正取引委員会の同意を得なければならないという枠組みになっております。

22ページでございますが、我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループの報告書でも、こうした問題意識が述べられております。説明は省略させていただきたいと思います。

再保険市場・制度の在り方についてですが、東日本大震災やタイの洪水被害といった大規模な自然災害リスクへの対応、また、EUによる対イラン措置としての再保険の引受け禁止等に鑑みますと、我が国にとっての再保険市場・制度の重要性が改めて認識されたところでございますが、一方で、我が国は海外、特に欧米の再保険市場への依存度が高い状況にございます。上記のようなリスクに対する経済上の備えを十分に提供するという観点から、再保険市場・制度の在り方についてどのように考えるのかということが1つの論点としてあるかと考えております。

次に、共同行為制度のあり方についてですが、保険事故発生の不確実性が高く、かつ、発生した場合の損害額が巨額になる場合が多いという損害保険業の特質に鑑みますと、保険リスクの分散を図ることは不可欠でございます。こうした仕組みが円滑に運営されるよう、保険業法において共同行為に対する独禁法の適用除外制度が設けられております。しかしながら、共同行為の全てが独禁法の適用除外となるケースは、先ほどのように限定列挙となっているということ。また、限定列挙されている保険以外の保険についても共同行為が認められておりますが、その要件が厳格であり、認められる行為も限定されているということがございます。こうしたことから、保険会社が共同して引き受けなければ保険の提供が困難な新たなリスク等に対して、損害保険が十分な役割を果たすことができないとの指摘もございます。

こうしたことから、人や企業が直面する様々なリスクのコントロール機能を果たすという観点から、社会経済活動のインフラと位置付けられる損害保険の役割に鑑みたときに、共同行為制度について見直すべき点等はないのかということが論点になるかと考えております。

私からの説明は以上でございます。

○洲崎座長

続きまして、本議題に関しまして、オブザーバーの皆様よりご説明いただきたいと思います。それでは、村田様からお願いいたします。

○村田オブザーバー

それでは、「共同行為制度の条件緩和について」という表題の損保協会の資料をごらんください。

1ページをご覧ください。第1回のワーキングにおいて当協会から提言させていただいているものでございます。民間保険会社が引き受けたくても引き受けが難しいリスクに対応する方法として、まず、個々の保険会社が担保力を高め、創意工夫を凝らすということ。2番目が、保険会社が共同することで引受け能力を補完・拡充すること。さらに、それでも不足する場合には、官のサポートを得ながら官民共同で引受けスキームを整えることといったようなことを申し上げました。

今回説明させていただくのは、共同行為制度の条件緩和というテーマの部分で、いま申し上げたうち2番目に当たります。「民間保険会社間における共同行為をより円滑に行うための制度的なインフラを整備」というところを説明させていただきます。

現行の共同行為制度については、先ほどの当局のご説明とも重なりますけれども、次のページでごらんいただけるとおり、保険業法では一定の行為について独禁法の適用を除外する、すなわち、違法なカルテルに当たらないとする規定がございます。今日の説明においては、この適用除外によって許容されている行為を、「共同行為」と呼ばせていただきます。共同行為は、保険会社単独では引き受けたくても引き受けられないリスクにも、保険会社が共同で対応したり、どの保険会社も標準化されたサービスを提供したりすることで引受けが可能になれば、保険契約者等の利益にかなう場合について認められます。

本日は、便宜上、上の表の、保険業法の条文の番号にある1号、2号という言葉で呼び分けをいたします。1号のほうが、事業を法律上、限定列挙してその事業の範囲内ではすべての行為ができるもの。2号は、共同で行ってよい行為の範囲について限定しているものでございます。いずれも、この制度を利用する場合には、認可、同意といった事前の手続をクリアする必要がございます。

現在、認可をいただいているものについては続く3、4ページで紹介をいたしておりますが、先ほどの説明とも重複しますので省略をさせていただきます。

日本ではこのような制度があるのですが、ここで海外に目を転じて、EUの競争法における新規リスクを対象とする保険プール制度についてのアイデアを紹介いたします。5ページをご覧ください。EUの競争法においては、原子力リスクのような巨大リスクに対応する保険プールをつくる場合に保険会社間で協定を結んで条件を統一する行為などについて、特段の事前手続を課すことなく、あらかじめ競争法の適用除外としています。さらに、ここでお示しするように、新規リスク(new risks)についても一定範囲の共同行為について、認可などの事前手続を経ることなく競争法の適用を免除する仕組みがございます。対象とする新規リスクの定義は、表の中と一番うしろのページのところにございます。新規リスクに当てはまるリスクについては、この制度によって保険カバーの提供を迅速かつ円滑に行うことが可能になると考えられます。

翻って、我が国ではどうかということなのですが、我が国の現在の共同制度に加えてEUの新規リスクのようなアイデアを何らかの形で取り込むことによって、今以上に契約者利便の向上に役立つことができるのではないかと思っています。欧州とは、競争法の体系も異なりますし、いろいろな法環境が違うので、そのまま持ってくることはできないかと思いますけれども、例えば、新規リスク、または新しい分野の迅速かつ円滑な対応に役立つことを中心に考えた場合には、1つのアイデアとして、現行の1号に新規リスクに関する事業を追加し、共同行為を行うことができる期間等を限定した上で、対象となる事業(保険種目)にも、対象となる行為の範囲にも制限を設けず、事前手続も簡素化されたものを導入することが考えられるのではないかと思います。

新規リスクの要件と、手続、期間等との組み合わせがいろいろと考えられると思いますし、片方を厳格にすれば片方が緩くなる、片方を緩くすれば片方が厳しくなるということも考えられます。いずれにせよ、保険契約者にとっては、素早い商品の供給、そして商品に関する市場のスピーディな発展が期待できるのではないかと思います。

7ページをご覧ください。共同行為が認められたからといって競争を阻害するなどの悪影響がないように留意が必要であるということは、もちろん私どもとして認識しております。また、現実には、資料にも記載がありますが、保険会社が力を合わせたとしても対応能力には限界がありますので、みんなが集まればあらゆるリスクに対応できるというわけではございません。それでも、共同行為の条件緩和によってリスクの分散や平準化を図りながらデータを蓄積することや、必要な再保険を確保することが容易になるなど、そういった仕組みをつくりやすい環境を整えることは、今まで引き受けられなかったリスクに対する保険会社の対応能力を向上させ、ひいては、国民ニーズに合った商品の提供という目的にも資するのではないかと考えております。

先ほどの新規リスクの定義の原文が最終のページに載っているものでございます。

以上でございます。

○洲崎座長

ありがとうございました。

それでは、続きまして、五十嵐様、お願いいたします。

○五十嵐オブザーバー

少額短期保険協会の五十嵐でございます。私のほうからは、先ほどのお話の中にあった現物給付保険の在り方のところに関して少し補足をさせていただきたいと思います。

既に先ほど伊野室長のほうから非常に詳細なこれまでの検討の経緯であるとか、課題等についてご説明いただいておりますので、強いて言いますと、私のほうからは、これまでのいろいろな検討の中で、唯一、補足するとすれば、少額短期保険という立ち位置といいますか、目線でこのことを考えたときにどんな考え方とか、どんな見方ができるのかというところを本日、資料のほうにまとめてまいりましたのでご説明させていただきたいと思います。

お手元の資料4を1枚めくっていただきますと、まず、「多彩な少額短期保険」というページがございます。ここにつきましては、前々回のワーキングの1回目のときにも少額短期保険のご紹介ということでお話ししたところと重なる部分ではございますが、現状、少額短期保険、2006年からスタートいたしまして、現在70社、お客様の数にしますと四百数十万人のお客様が既にご加入されており、間もなく500万人のお客様が見えてくるところまで発展してきております。

一方、商品につきましても、非常に多彩な商品が提供されておりまして、お手元の資料の右側の四角の中でありますが、介護費用補償保険、葬儀保険、孤独死等の清掃費用保険等々も含めて、今までにない新しいユニークなニッチな商品が非常にたくさん誕生しているという状況がございます。

このような新しい保険が続々と出てきているという1つの背景というのは、やはり、一般の消費者の方、お客様がそういう新しい保険を求めるというお客様のニーズ、あるいは、その保険の多様なあり方に対する期待というものが、こういった少額短期の発展、あるいは、新しい商品の誕生の背景になっているのではないかというふうに考えております。

その辺をまとめたものが、もう1枚めくっていただきますと、「現物給付が求められる背景」というところでございます。私どもの少額短期保険というのは、ご案内のとおり、少額で短期間の保険というような1つの枠組みがございますので、その少額で短期の保険という中でどのような新しい保険の提供、あるいは新しい保険のあり方のご提案ができるのかということが、私どものこれからの創意工夫の必要なところでございます。一方で、お客様につきましては、先ほどのお話とも重なりますが、新しい保険のサービスの提供に対する期待、その1つが現物給付ということになろうかと思いますが、こういったお客様の期待があります。私どもの思いと、お客様、消費者の方の期待を掛け合わせたときに、少額短期保険として現物給付というサービスの提供が可能なのではないかというふうに考えている次第でございます。

1つの例として挙げたのが、この下の四角の中にあります商品例ということです。死亡保険の場合です。葬儀保険という名前の保険が少額短期の分野ではたくさん販売されておりますが、この葬儀保険を例に挙げますと、万が一の保険事故、死亡されたというときに葬儀の施行という形で保険のサービスをご提供するということができないかというようなことでございます。もちろん、葬儀をしたときの差額部分といいましょうか、それについては現金で受け取っていただく、あるいは、お客様の事情によっては全額、現金で受け取っていただくということも含めての、こういった葬儀等の一体サービスということができないかということを考えております。

今のこのペーパーの右側の四角の中に「現物給付型保険と少額短期保険の親和性」というところがございますが、そもそも、この少額短期保険というのは、皆様ご承知のとおり、もともと任意でやっておられた共済、互助会であったりとか、会員組織であったり、そういったところが母体になっているケースが多いということもありまして、もともとのマーケットの特性として、そういった相互扶助、あるいは葬儀の施行というものに非常に近しい状況、土壌がございます。また、新規に参入されている少額短期保険会社の、いわゆる親会社として、例えば、介護事業を行っている事業者がございます。こういった場合は、親会社が行う介護事業と子会社の保険事業の中で何らかのシナジーといいますか、一体的なサービスの提供ができないのかなということもあろうかと思います。

また、商品の特性としましても、先ほど来のお話のとおり、葬儀保険とか山岳、山登りのレスキューの保険、ペット保険とか孤独死の保険というような、いわゆる汎用的な商品だけではなく、目的を限定とした、お客様が求めるサービスの非常に具体的になっている商品というのがたくさんございます。こういったものについては、やはり、お金で受け取っていただくのではなく、サービスをお客様が期待する役務として受け取っていただくということも必要なのではないかというふうに考えております。

1枚めくっていただきますと、ちょっと見づらいのですが、こちらの4ページ目と5ページ目を見比べながらごらんいただきますとわかりやすいと思います。4ページ目のところには現行商品での事務フロー、保険を受け取っていただくための流れでございます。1枚めくっていただいたところが、仮に現物給付としてこのサービスができた場合にどのように手続の流れが変わるかというのをまとめさせていただいております。

見比べていただきますとおわかりいただけるかと思いますが、現行の事務フローですと、お客様が最終的に保険金を受け取っていただくための間にさまざまなステップがございます。お客様ご自身が必要とするサービス、例えば、葬儀であれば葬儀の施行、介護であれば介護のサービスの実施と、こういったことをお客様ご自身が発注なり委託をし、サービスを受け、かかった費用をお支払いし、というような流れがございます。これが、この図で言いますとマル2マル3マル4マル5というようなことをお客様自身の責任でやっていただき、最終的に、その最終精算として保険を受け取っていただく、マル8のところ、このような流れになりますので、保険の事故が発生してから保険金を受け取るまでの間に相当のやりとりが発生するということとともに、その手続に必要な作業についてお客様ご自身がみずから手を動かして対応しなければいけない、こういう状況が現行の事務フローでございます。

一方で、1枚めくっていただきまして、現物給付型の事務フローの場合にはどのようにそれが変わるかといいますと、事故が起こった場合、お客様は保険会社にその事故のご連絡をしていただきますと、保険会社のほうからサービスの提供の手配をして、例えば、葬儀であれば葬儀の施行を行います。最終的に差額があれば保険会社のほうから差額をお客様にお支払いするという格好になりますので、この事務の流れといいますか、サービスの流れがきわめてシンプルでわかりやすく、かつ、お客様にとって必要な、例えば葬儀であれば葬儀の施行というものについて非常にショートカットでサービスを享受いただくことができるということがポイントかなと思います。

また、1つの言い方として、お客様が求めているのは葬儀の施行であったり、介護のサービスを受けたいということだとすると、これを確実に保険会社がお客様にお届けできる、お客様の自己責任で業者を手配したり、見積もりを取ったりということはなく、保険会社がきちんと責任を持って、お客様の求めているサービスをきちんと施行するところが一体となってできるのかなと。このような保険のあり方というのも1つあっていいのではないかなということで、この現物のフローを考えてみた次第でございます。

もちろん、先ほど伊野室長のほうからもご説明のとおり、いろいろな課題もあろうかと考えております。その辺をまとめたのが、もう1枚めくっていただきましたメリット・デメリットというところでございます。こちらを見ていただきますと、メリットのところとしましては、繰り返しになりますが、お客様から見たときに必要なサービス、お客様が本当に求めているサービス、葬儀であったり介護であったり、そういったものをダイレクトにお客様が享受していただくことができる。それから、そういったサービスを得るための手間暇というものが保険の手続の流れの中に入っていますので、その手間暇を軽減することができるというメリットがあろうかと。

一方で、デメリットとしましては、例えば、サービスの質の問題であったりとか、地域格差の問題であったり、あるいは、サービスを提供する事業会社の破綻とかのリスク、インフレリスク等も含めて、そういったことも当然あろうかと思います。ただ、この場合、少額短期保険ということで考えますと、そもそも、1つは、少額な保険でございます。例えば、死亡補償に限定しますと、法令上、300万円という枠がございますから、300万円の中で、一般的には十分、葬儀の施行が賄えると考えます。また、短期の保険ということで、生保系の商品であれば1年更新になりますので、例えば、20年、30年先の葬儀の施行をお約束する、あるいは、30年間にわたっての介護のサービスをお約束するという保険ではございません。ですから、1年1年で適正な保険の価格とか、料率の見直し、あるいはサービスの見直しといったことも可能になります。そういった意味において、この現物給付の保険の1つの取っかかりといいますか、トライアルといいましょうか、そういったことを考える上で、少額短期という枠組みの中でそういったことをお考えいただける1つのきっかけにしていただけたらありがたいと考えております。

昨今、皆様もご承知のとおり、例えば、「無縁社会」とか、あるいは、「独居老人の孤独死」という言葉がいろいろな新聞の紙面を賑わすというような残念な時代に今なっております。このひとり暮らし、身寄りのない老人の方が、万が一お亡くなりになったときに、だれに葬儀を頼んで託しておけばいいのか。あるいは、逆に、保険の担い手の立場から見たときに、そういった事態が起こったときに、ご本人と基本的に戸籍のつながりしかない、余り縁のない遠い親戚の方に保険金をお届けすることが本当に亡くなった方の思いにつながっているのか。こういったことを考えたときに、やはり、お金を渡すだけではない保険のあり方というのも、今後はぜひ皆様でご議論いただければということをお伝えして説明にかえさせていただきます。

以上です。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局説明やオブザーバーの皆様からのご説明を踏まえまして議論に移りたいと思います。論点が多岐にわたっておりますので、少し論点ごとに分けて議論をさせていただければと存じます。

まずは、伊野室長からご説明いただいた資料2の2ページから10ページにかけて業務範囲規制のあり方についてご説明をいただきましたが、この論点についてご質問、ご意見をお願いできればと思います。梅ア様。

○梅アオブザーバー

議論の冒頭、一言だけ述べさせていただきます。第1回のワーキングにおきまして生保会社から、ご議論いただきたいことをまとめて述べさせていただきました。それらについて、本日、ご当局のほうから検討課題としてまとめていただきどうもありがとうございました。

生保会社といたしましては、少子高齢化社会の急速な進展に伴い、ライフスタイルが多様化し、お客様ニーズが多様化しておりますが、そういったニーズにこたえたいと考えています。そのために新しい付加価値のある商品やサービスの提供をしたいと、そういったことを積極的にとらえて対応したいという思いで今回、こういったお話をさせていただいております。特に、今日ご議論いただきます業務範囲の規制のあり方につきましては、介護関連事業の範囲の拡大や保育所運営などをご提案させていただいておりますけれども、こういった事業は生命保険事業と大変親近性が高く、これまでの経験やノウハウを生かして、より質の高いサービスが提供できるのではないかと考えております。

新しい保険商品の提供としてご提案いたしました現物給付型保険につきましては、お客様のライフプランに応じて、多様な給付の中から選択することができるようになると考えております。また、不妊治療を保障する保険につきましても、お客様が安心して治療に取り組める環境を提供することによって少子化対策に貢献できるのではないかという思いでございます。

そのような趣旨でございますので、急速に進展する少子高齢化社会の中で、自助、あるいは共助の担い手である生保会社として役割を果たしたいと考えておりますので、ぜひ、その点を踏まえてご議論をいただければと思っております。

以上です。

○洲崎座長

はい、ありがとうございました。まず、生命保険業界からの補足ということで理解させていただければと思います。どうもありがとうございます。

それでは、水口委員。

○水口委員

10ページまでということですか。

○洲崎座長

そうですね、はい。

○水口委員

10ページまでのところ、業務範囲のところで、保育所についてお話しいただいておりますが、保険会社が営業職員よるコンサルティングセールスのプロセスにおいて、契約加入者のみではなくて、その世帯の家族のライフサイクルも勘案することになると考えております。この際に、営業職員などが、学資保険などを含む保険商品をいろいろ提案する中で、共働きなどに伴ってさまざまな保育所ニーズがあるということを認識する機会も多々あるのではないかと考えております。

また、保険会社が営業拠点に加えて投資用のものも含めて、駅前などの立地条件のよいところに不動産を所有していることもあるのではないかと想定しております。こうした保険会社の本来業務にかかわるところのコンサルティングセールスとか、不動産の運用・開発の2つの観点から、共働きが一般化している現在の時代におけるニーズの変化への対応に向けまして、保険会社が保育所事業者と連携して不動産活用することは、保険会社の本来的な業務と一定の親近性が認められるのではないかと考えております。

保険会社が既に保有している不動産の有効活用を行い、それで消費者の信頼を既に獲得している高い専門性を有している保育所事業者との提携を伴う事業展開であれば、保険会社全体へのリスク波及の程度はおおむね限定的になるのではないかと考えておりまして、利用者の利便に資するような展開というのも考えられるのではないかと思っております。

以上です。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

子会社の業務範囲規制なのですけれども、事務局の説明資料の3ページにある考え方、基本的には、機能的な親近性、リスクの同質性、本体へのリスク波及の程度、この3つの要素を考えていく必要はあるのだとは思いますが、その前の2ページにあるように、本体と子会社とでは、私の感覚としては厳然たる違い、やはり、法人格が違うわけですから、事業リスクは一応遮断されるとありますけれども、本体の業務を検討する場合と子会社の業務を検討する場合、これは大きく分けて考えてもいいのではないかというふうに考えております。

それで、資料の7ページのところにいろいろな業務が並べられているわけですけれども、まず、介護関連事業とか健康増進コンサル、こういう役務提供とかサービスとか、コンサルティング業務的なもの、こういうものはやはり金融業はサービス業ですから、親和性があるのではないかと、健康増進コンサルなんて今の法制でもできるのではないかと思ったりいたしますし、こういうものには全く違和感はございません。

その下に、ちょっと保険金信託は本体ということで飛ばしまして、古物商とか、物の販売とか修理、製造、そういうものについては、私のこれまでの感覚の中には、保険業とちょっと異質というか、瑕疵担保責任とか、製造物責任とか、そういうものが保険業とは異質なのだ、みたいな考えがあったのですけれども、ピュアに考えてみますと、これだけ世の中に物の売り買いをする人がいる中で、今までみたいに厳格に考えなくても少し考え方を緩やかにしてもいいのではないかと。現状、子会社の業務範囲規制の中でも、物の販売が認められているのは保険関係の電子計算機のプログラムの作成の販売くらいしかないのではないかと思うのです。しかし、もう少し緩めても、そういう意味では利用者利便に資すると考えられる、保険業に近しいものについては認めてもいいのではないかというふうに考えています。あとは職業紹介、旅行代理業、そういうものも全く違和感はございません。

あと、加えて言えば、今、水口委員から発言があった保育所の運営業務についても、10ページに書いていただいている事務局の論旨、この論旨、結論とも、こういうものを子会社の業務範囲として認めることに全く異論はございません。

以上でございます。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

業務範囲に関する規制の緩和については、今の段階で具体的なニーズがあるものはどんどん認めていくべきだと思います。その上で、前回の保険ワーキングの中で、日本の保険会社が海外の保険会社を買収するときに、当該グループ内に、国内では業務範囲規制の対象となる業務が含まれる場合についても、一定の要件、条件のもとで、認めるということでした。そこで、現段階で、海外であれば認められるようなものと、国内で今、禁じられているものとの間の関係、海外で認めているのだから国内でも認めるようにするとは、すぐにはならないとは思いますが、今後はどういうふうに考えていけばいいのでしょうか。

それから、海外における業務範囲規制緩和については、個々に認めるかどうかを判断するということでしたのですが、国内でもそういうやり方、個別に考えることがあるのでしょうか。この2点の質問です。

○伊野保険企画室長

今の、海外で子会社化するときに、日本で認められていない、孫会社的なものがくっついていても当面5年間は大丈夫ですよと、そういうことにしている、日本でも、どこか買収するときは同じようにしてもいいのではないかというご趣旨だと思います。いろいろ考え方はあり得るのだろうと思います。企業の拡大をしていく中で、そういう不都合をどう取り除いていくのかということであります。基本的には、保険会社を買収するというときに、日本国内であれば、そもそも、その先は持っていませんので、そういう意味で、保険業を拡大するという意味での買収という意味では、もともと問題が起きないだろうということで、日本国内は、手当てはそこは特段、必要ないだろうということです。そういう意味で、海外とは事情が違う部分があります。海外の場合は、日本と規制が違うのでもっている場合があるということで手当てをさせていただいたというものでございます。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

単に、合併、買収だけでなくて、海外では、業務範囲を超えてはいるものの、保険会社と子会社の関連する業務として認めているのであれば、国内でも同じような整理ができるのではないでしょうか。あるいは、具体的な認め方の仕組みとして、個々に審査して認可することはあり得るのでしょうか。

○伊野保険企画室長

そういう意味では、繰り返しになりますが、海外で認めたというのは5年間だったと思います。その間で、基本的には整理してくださいということです。何か海外で、5年間なら新たなものを自分で積極的にやってもいいですよというわけではありませんので、そこは日本の体系と違うところを整理したということかと思います。我が国はどうかということですけれども、そこは、基本的には他業禁止ですので、他業というか、業務範囲規制以外のところはやってはいけないことになっておりますので、基本的には範囲内でやっていただくということになります。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

今の阿部委員と先ほどの錦野委員の発言とほとんど同じかもしれないのですが、前回の海外進出の話のときにも若干申し上げましたけれども、たしか、諸外国では子会社の業務範囲規制については、基本的に何をやってもよろしいということにしておいた上で、問題があればそれをやめさせることができるという法制になっているのが一般的だったかと思います。我が国のように、限定列挙をして、それで業界から要望が出るたびに、それを逐一、含めるかどうかを検討していくというやり方が果たして今後もずっととられていくべきなのだろうかということに私は個人的には若干疑問を感じております。保険会社のガバナンスがきちんとできているということをもちろん前提としてではありますが、自分で経営をされている方が、ニーズがあって、それにこたえるほうが利益になると考えているのであれば、少なくとも私のような経営に全く関与したことがない人間が言うよりは、その判断を信じてもよいのではないかという気がするところでありますので、長期的には子会社業務範囲規制のあり方自体をもう少し見直してもよいのではないかということを感じております。ただ、今回は、今の枠組みを前提に検討するということですので、そうしますと、先ほどの錦野委員とほとんど同じことではございますけれども、ここに挙げられたもので、何か問題がありそうなことは特にないように思われますので、これは積極的に認めていっていいのではないかと感じております。

○洲崎座長

山下委員。

○山下委員

子会社の業務を拡大するということは、一般論としては結構なことが多いのではないかと思います。10ページで保育所について述べられていますが、項目によって、「保険会社グループが運営を行う」と書いてあるものと、「上記を踏まえ、保険会社及びその子会社が」と書いてあるものがあり、そこら辺は本体でやるのか、子会社でやるのか、一応、子会社がやるということが前提なのか、それとも、一定の態様のものについては保険会社本体でも何らかの業務として取り上げるということもありうると考えられているのでしょうか。

○伊野保険企画室長

論点としては、もちろん、こう書いてはあるのですけれども、今の法体系からすると、一般的には子会社でという話になっていくのではないかとは考えております。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

余りに当たり前のことでどなたもおっしゃらないので、ちょっと1点だけ確認させていただきたいのですが、保険会社本体でやる保険というものは保険数理に基づいて、その積算の上で商品化するということですよね。それで、子会社のほうが行う、たくさん並んでいましたけれども、それは別に保険数理に基づかないで子会社がそのガバナンスの関係上、これは先ほど3つの要件がありましたけれども、そういうものをクリアしたものを業務として行っていくという切り分けは厳然としてあるのですね。すみません、余り当たり前のことなので、ちょっと確認をしたくなりました。

○伊野保険企画室長

もちろんそういうことです。

○丹野委員

はい。

○洲崎座長

ほかにいかがでしょうか。山下委員。

○山下委員

先ほど、7ページにいろいろ要望のあった業務の例というのがあって、錦野委員から本体、子会社それぞれにどう振り分けをするかというご意見があったかと思いますが、このあたり何か一定の方向性みたいなものを当局としてお持ちなのでしょうか。

○伊野保険企画室長

この中に、例えば、物品の販売というものがありますが、一般的に保険会社が子会社で食品スーパーをやりますというのには多分皆さん違和感をお持ちなのではないかと思います。そういう意味では、物品の販売でも、ここの下にありますように、例えば、高齢者向けの老人ホームをやっている中で、その中の全体的な一環としてやるとか、あるいは、そういった高齢者向けの何らかの関連で、関連する高齢者向けの何らかの物品販売をするとか、そういった、今でもできる業務と近いところでやっていただくものに、ある程度は限定しておかないと変なことになるのかなという意識は持っております。

そういう意味では、関連性、類似性ですとか、一体的に提供されているとか、何らかの、ある程度の限定をかけた上で一定のそういうものについては幅広くやっていかれるようにというようなことが多分今後、中心的な議論になるのかなというふうには考えております。

○洲崎座長

損害保険業界から出てきている要望としても、一般的に物品販売業をしたいということでは決してなかったと思いますし、ここにありますように、保険代位で取得した自動車をオークションで処分しようとしても、現行法律上は、古物商業になって保険業ではないので、保険会社本体としてはできなくなる、これを何とかしてほしいと。あるいは、その下にある海外旅行で壊れたスーツケースの修理についても海外旅行傷害保険の契約者に対するサービスを充実させるために、こういうこともあればよいかなということであったと思いますので、余り一般的に物品販売修理その他を考えておられるということではないというように私は理解しております。山下委員。

○山下委員

そういう意味では、保険に関連性が強いものであれば、もう本体で付随業務というカテゴリーとして認めることもあり得るのですかね。

○洲崎座長

そうですね。特に保険代位で取得した自動車を処分するという場合に、一たん、これを子会社に移してから子会社がオークションに出すとか、そういう迂遠なことはとる必要はないし、とるべきではないと思いますので、ケースバイケースではあろうと思いますけれども、本体で付随業務として認めてよいものもあるのではないかというふうに思います。そういうことでよろしいでしょうか。

○伊野保険企画室長

はい。

○洲崎座長

ほかにございますか。沖野委員。

○沖野委員

7ページ、あるいは3ページに基本的な観点としての3つの標準が出されています。親近性と同質性と波及の程度の3点がありまして、これを標準に考えていくということからしますと、保険会社本体の場合と子会社の場合との振り分け方というのも、この部分から、ある程度おのずと決まってくるという部分があるように思われます。もちろんそれを踏まえて割り振りをしていくという前提でよろしいのかということを確認させていただきたいと思います。

その観点から、個別の問題で、保育所の運営ということなのですけれども、例えば、保育所の運営というときに、既に負っているリスクとの同質性ということを考えたときに、本体でこの部分をクリアするということができるのだろうかというのは疑問に思ったりもするものですから、それを例に挙げた場合に、なおこのような観点からいずれかということもあり得るというご説明があれば、このような標準の適用のあり方についてわかりやすいように思うのですけれども、いかがでしょうか。

○伊野保険企画室長

ご指摘いただきましたように、まさに保険会社としての本業は何なのかというところといかに近いものなのか、ないしは、その業務の一環でやるようなものについては保険会社本体でということはあると思います。先ほど座長からありましたように、まさに古物商の話というのは、保険会社が保険業務を行う中で、例えば、取得したものについて売らなければいけないというような関連の話についてやるのであれば、保険会社本体でというようなことがあり得るとは思いますし、一方で、先ほど出ていましたように、保育所の運営が、どこまで保険そのものと関連があるのかというところでは、そういう意味では、今のような例とは一歩下がっているという面はあろうかと思いますので、そういったところを、まさに保険の本業とどの程度近いのかというのは重要なポイントなのだろうと思っています。

そういう意味で、ここに書いておりますようなところをよく判断して、保険会社本体でできるところと、子会社にやってもらうところというのは振り分けていくということかと考えております。

○洲崎座長

川島委員。

○川島委員

質問を1つさせていただきたいのですが、この業務範囲規制のあり方については、特に3ページに記載のある、基本的考え方としては特に違和感なく受けとめています。ただ、1つ気になるのは、契約者の保護という原点に立ち返ったときに、そのリスクをどのようにとらえて業務の範囲をどこまで認めるのか、総体としてはリスクの波及をある程度抑えることができるとしても、A社、B社、C社という個々の会社に焦点を当てたときに、その業務が非常にうまくいく会社もあれば、そうではない会社もあって、中長期的にうまくいかない会社は淘汰されていくのでしょうけれども、現実に起こりうる問題に対して、最悪のケースまで想定したところで業務の範囲の拡大を認めていくということなのか、あるいは、大体、全体を平均したところでリスクをとらえて、この種の拡大を認めていくのか、その点、事務局、あるいは専門の先生方に、何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。

○伊野保険企画室長

当然そのリスク管理ということですので、日常の金融庁による監督という部分も当然あろうかと思います。いずれにしましても、企業として当然、過大なリスクを負って、もうかる見込みのないようなものをやっていただくわけにもいきませんし、当然、各保険会社がしっかりとそこのリスクと将来見通しをよく考えてやっていただく、それを日常の監督の中で金融庁としても見させていただくということを通じて過大なリスクを契約者の方に転化するようなことがないようにしっかりやっていただくというのが当然基本だと思っています。そこは保険会社そのものがしっかりとしたリスク管理、経営管理と金融庁による監督という中でしっかりやっていくべきものと考えております。

○洲崎座長

米山委員。

○米山委員

今までのお話を聞いていまして、また、10ページまでを読ませていただきまして、業務範囲規制のこの一連の中で、何か流れが2つあるような気がしています。1つは、AIG以降のグループ経営に関する国際的な規制のあり方で、グループ経営の中でリスク管理をどうしようかというすごく大きな問題があって、子会社は独立した法人としてリスクが遮断されているはずであるが、AIGのように、実務的には必ずしも遮断されているわけではない、そういうこともあり得るわけで、そういう流れが1つある。

一方で、多様なサービスの提供のためには子会社の業務範囲は柔軟にすべきだという流れがあり、この2つというのが何となく渾然一体で議論されているような気がするのですが、そのポイントは、恐らく現在の業務範囲規制について、基本的に業務範囲規制によってリスク管理を規制しているというところではないかと、私は考えます。各保険会社のリスク管理というのはとても大事ですから、何らかの形でリスク管理に規制を加える必要はあるのですけれども、これまで金融庁がやってきたように、業務範囲規制においてリスク管理をやる必要は必ずしもないのではないか。保険会社のリスク管理を業務範囲規制と独立させて行うということもありうるのではないかと考えます。

この考えにもとづけば、多様なサービスの提供のための子会社の範囲は、リスク管理のためにこれができないとか、リスク管理は大丈夫だからこれができるという発想から離れて、むしろ、保険会社の資産、保険負債に対応する資産を有効に活用し、しかもそれが国民経済にとってプラスになるものは柔軟に認めていくという観点から、リスク管理とは切り離して考えていくということもあり得るのではないかと思っております。質問ではないのですが、業務範囲規制とリスク管理を切り離して考えるというのはいかがでしょうか。

○洲崎座長

恐らく今おっしゃったとおり、保険会社が持っている資産を有効活用するということが、ひいては財務の健全性につながるというところは当然あり得ると思いますので、そういう視点で保険会社、あるいは保険子会社ができる業務を考えていくということはあり得ると思いますし、特に子会社の業務範囲については、そういう視点を重視するということも考えられるところだろうと思います。

保育所業務に関しては、老人ホーム等に関する役務が現在の保険業法施行規則で子会社には認められていることとの関連で保育所についても認めることが考えられるのではないかという整理でございますし、保険会社本体でするとなると、保育所業務のリスクを管理することはそう簡単ではないと思いますので、事務局としてもそういうことは考えておられないと思いますし、かりに認めるとしても、これは子会社でということになるのだろうと思います。

○吉野会長

関連で、米山先生のお話に似ているのですけれども、業務範囲を広げるということは、やはり、エコノミーズ・オブ・スコープといいますか、それをやることによって事業全体に効率性が上がるということであれば私は認めていただいていいのだと思うんです。ただ、一番の問題は、そこにリスクが生じて経営が行き詰まったときにどういう形でそれを処理するかということを事前に決めておきませんと本体に影響をするような気がいたします。そこの中で本体でやるのか、子会社でやるのか、どこまでどういうふうに経営が悪くなったときにいつ遮断をするかということを事前に決めておきませんと、後で本体に影響するような気がします。

○洲崎座長

この論点について、どうぞ。

○後藤委員

先ほど言おうかどうかちょっと迷ったところなのですけれども、今の吉野会長のご発言は、今、既に認められている業務についてもまさに問題となるはずのものでして、今回広げるかどうかというのとは別に、今まで既に認められている子会社の業務範囲についても、今、吉野先生がおっしゃったような、事前の段階での経営状態が悪化した場合の処理方針の決定ということは今後考えていく必要があるのかなというふうに感じております。

○洲崎座長

どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、資料2の11ページ、12ページの不妊治療に関する保険サービスについて、ご質問、ご意見をお願いしたいと思います。水口委員。

○水口委員

事務局からの資料にもお示しいただいておりますように、不妊治療については、不妊という事由の発生の有無について偶発性が認められるとか、不妊治療そのものにかかわる経済負担が発生するといったこと、それはそうなのかと思います。一方で、不妊という事由が発生した人すべてが不妊治療を受けて、その保険支払いを請求するとも限らないかもしれませんし、さまざまな観点から恣意性が働くこともあり得ると思っております。また、不妊治療を何度受けるか、多様な不妊治療の手段の中でどの不妊治療を受けるかといったことについても、契約者の意思が異なり得ると考えております。こうした諸観点からリスクをどのように管理し得るかということを十分留意した上で商品開発について検討していくことが肝要であろうと考えます。

以上です。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

この不妊治療の保険というのを単品の保険でお考えなのか、特約でお考えなのか、そこはわかりませんけれど、例えば、ご夫婦がいらして、なかなかお子さんが生まれなくて、じゃあ、不妊治療を受けましょうというふうにいったときに、それがいわゆる契約前発病みたいに、そういう、どこの時点でそういうものを認識したというか、そういうことをするのだろうということを考えると、非常にセンシティブかつ難しい保険になるのではないかと思って読んだのです。そういうことについて、これはまだ認められてはいないのだけれど、そういうことについて何かお考えがあればお教えいただきたいと思います。

○洲崎座長

私自身も、この種の保険のモラル・ハザードにどういうふうに対処するのかということについて関心がありましたので、この辺について説明をいただければと思います。

○梅アオブザーバー

当然、こういった商品でございますと、モラルリスクの問題はかなりあるのではないかということは認識しております。よって、ご契約の入り口のところで不担保期間を設けることや、告知書の内容を工夫するといった対応が必要ではないかと思います。また、支払いのご請求の際には、当然ながら、医師の診断書が必要になりますので、そこのところでどういったことを医師から情報提供をいただくかということで、支払うかどうかを判断するということもあるかと思いますので、商品性で、ある程度工夫ができるのではないかと思っております。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

私は、消費者トラブルをたくさん扱うのが本業なものですから、非常にトラブルがたくさん起こるのではないかということも懸念しているということを申し添えます。

○洲崎座長

そうですね。告知書で処理するといってもなかなか難しいのではないかと、直感的に思っただけで深く考えたわけではないのですけれども、こういう懸念を持っておられるのは、どうも私だけではなさそうでありますので、この点については十分にまたご検討いただければと思います。ほかにございますか。米山委員。

○米山委員

確かに逆選択は防げると思うのですけれども、モラル・ハザード、つまり契約後の行動はやはり変化すると思うのです。でも、それは考えてみると、少子化から見ると、モラル・ハザードとはいえ、いい方向のモラル・ハザードですから、ちょっと言葉は矛盾するかもわかりませんけれども、ねらい自体は、モラル・ハザードを駆使してもらって人口を増やしてもらうのがいいことだと思います。なお、少し話がずれますけれども、このようなことについて、広くデータを集めてプールするとか、ある種の共同行為をする必要があると思います。つまり、個々の会社が独自でやってもなかなかうまくいかない保険ではないかなという気がいたします。ちょっと関連する別のトピックになりますが、以上です。

○洲崎座長

はい、ありがとうございました。

それでは、続きまして、資料2の13ページから16ページにあります現物給付型保険及び保険金の直接支払いスキームについて、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。先ほど五十嵐様からも少額短期保険業における現物給付保険についてプレゼンテーションがございましたので、その点についてもあわせてご質問、ご意見をお願いできればと思います。水口委員。

○水口委員

事務局のほうからいろいろご説明をいただいて、勘案すべきリスクについて列挙していただいておりますけれども、その中で内包されているとは思いますが、今後の公的介護の保険制度が変化していく可能性を排除することはできないのではないか、そうしたことに伴う介護サービスの形態が変化することもあり得るのではないかと思っております。そういう認識に立ちますと、契約者の保険の加入時と実際に給付時に契約者が求めている介護サービス・施設が大きく乖離してしまうといったリスクも考える必要もあるのではないかと思っております。

現物給付を考えていくためには、そうしたリスクに対応する仕組みも、考えることも必要であろうと思っております。例えば、保険期間のあり方、期間の短期化等を含めた様々な手段があるしれませんが、現物給付にかかわる諸リスクに十分に留意し、管理するための手段を考える必要があると思います。

以上です。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

事務局資料の15ページ、20年のときの金融審の報告書、ここでは生命保険契約の現物給付についてかなり否定的な議論だったということだと思いますが、この内容を見直してみますと、やはり、1つのポイントは、選択制にできるか、できないかというところにあったかと思います。現状の要望等を見ても、一律に現物給付をしなければいけないようなものは少なくて、保険金の支払いか現物給付の選択を認めることで顧客の保護という観点からは問題は解消可能なものが多いかと思います。であれば、1つの考え方として、選択制で現物給付があり得るという方向で議論を進めていってはどうかと思います。

○洲崎座長

神戸委員。

○神戸委員

生活者側には間違いなく現物給付のニーズがあると思いますので、今お話があったように、保険契約者側が現物給付を受けるか、あるいは、現金給付を受けるかというところが選択できるのであればいいと思います。例えば、実際に先ほど少額短期保険のほうでお話があった葬儀の問題なんかでも、基本的には、現物給付では特定の業者に必ずこれが依頼されてしまうということになると、その価格は適正なのかみたいな話が生じる可能性もあります。そのときに保険契約者が給付方法を選択する権利を持っているという状況であれば問題はないと思いますが、実際には契約者自体が亡くなられてしまい、保険金の受取人が認知症状態になっているようなとき、どういう対応をすることができるのか、というところまで考えておかないと、その最後の選択方法や手順に関してはちょっとまだ議論する必要があるような気はします。

ただ、ニーズは大変大きいということは間違いありません。実際、弊社はお客様と顧問契約を結んでいただいてずっとアドバイスを行っていくわけですが、ビジネスとして、ここ十何年やってきて思うのは、ファイナンシャルプランナーというのは、お客さんと一緒に年をとっていく仕事だという気がしております。そうすると、その長いつき合いの中で、介護付きの施設に入りたいとか、あるいは、青年後見について検討したいという話が出てくることになります。弊社でも何人かのお客様から具体的に、「この施設に入りたい」と申し出があったのですが、その施設の運営主体の永続性、継続性を考えたときに、ちょっと推薦しにくいというケースが出てきていますので、今後、この現物給付型の保険へのニーズは更に大きくなるだろうという実感を持っています。だからこそ、給付の選択方法については慎重に検討する必要があるという気がいたします。

以上です。

○洲崎座長

顧客との関係では、現物給付と金銭給付の選択制にすれば、相当程度、問題は解消可能かなと。現物給付保険に関しては、ほんとうに給付されるサービスが約定どおりになっているのかどうかというところに大きな問題があるわけですけれども、実際に保険事故が発生した時点で、いや、どうも自分が期待したとおりのサービスは給付が受けられそうにないと顧客が感じれば、その時点で金銭給付を選択するということが可能になります。その意味では、対顧客との関係では、この選択制ということで問題は解消できるのかもしれません。しかし、逆に、選択制ということになりますと、保険会社側は現物給付をする義務はずっと負い続けるわけで、つまり、顧客がその現物給付を選択する可能性がある以上は現物給付をしなければならない。それは特に老人ホームの入居権のようなことを考えますと、相当長期間、何十年にもわたってそういう現物給付をするという義務を負うことになりますので、そのリスクは果たして適正に算定できるのかということが、やはり、平成20年のときの議論では問題になったと思います。むしろ、保険業法として、ここの監督が相当難しいのではないかということで、保険業法上、現物給付保険というものを積極的に押し進める、認める方向には進まなかったのではないかというふうに私は当時の議論を記憶しております。山下委員、こちらから指名して恐縮なのですけれども、当時座長でおられましたので、そのあたりの補足説明をお願いいたします。

○山下委員

事業のリスク管理というか、健全性の観点から問題があるというのは今、洲崎座長がおっしゃったとおりであります。その点は今でも事情は変わらないのかなと思います。今日出てきた少額短期の中で限られたサービスとして提供するようなものはどうかを考えれば、そういう方向性は1つあり得ると思います。

それから、平成20年の当時は、保険法の制定との絡みで議論が出てきて、保険法では、定額現物給付というものを認めるかどうか、要するに生命保険、傷害疾病定額保険として、現行法で認められている損害保険の給付として現物給付を認めるものと違ったタイプの定額現物給付というものを認めるべきかどうかというところが盛んに議論されて、こちらの金融庁のワーキング・グループでも、そういう観点からの議論があったと思います。今でもまた生保業界のほうでそういうことを主張されるのかどうかわかりませんが、現物給付で一定のサービスを提供するというものであっても、今の生命保険で考えているような定額給付という概念となじむかどうかというのは、多分に今でも疑問だなというふうに思っています。何か考えるにしても、定額現物給付という枠では余り考えないほうがいいのかなということです。

それから、損害保険の給付としては現物給付が認められているということなのですが、これが実際、どれくらいのものがあるのか、例えば、ロードサービスなんて盛んにやっていますが、あれは多分保険給付ではないという理解だろうと思うのです。そうすると、監督上、本当に保険給付として現物給付というのを提供するとした場合、サービスの質の監督がどうなるのかということは当時から議論されていましたけれども、そこを本当にどうするのかということも保険監督の観点からきっちり考えておかなければいけないのかなと、そんな感じです。

○洲崎座長

米山委員。

○米山委員

現物給付についてはおっしゃるとおりだと思うんですけれども、ここで新しく出てきた点としてちょっと考えなければいけないことは、保険会社による保険金支払いのスキームで解決できるようなものはありそうだと思います。これをもって現物給付というのだったら、今まで議論してきた現物給付とちょっと違う。例えば、国民健康保険で3割負担がありますけれども、実際にはあれを「現物給付」と我々は呼んでおります。そういう形で保険会社からサービス提供機関に直接保険金が支払われるというものをもって「現物給付」と呼ぶのだったら、かつて定額保険で現物給付ができるかとか、そういう議論とはちょっとまた別ではないかと私は考えます。この点、いかがでしょうか。

○伊野保険企画室長

現物給付と、この保険金の支払いスキーム、この16ページは基本的には別物だと我々も思っておりまして、これは、あくまで保険金の支払いがサービス提供者に行くもので、保険としては、まさに金銭給付が内容になっているものだと認識しています。現物給付は、まさに現物をそれに代えて提供するという点、根本的に違うものと認識しております。

○米山委員

そうしますと、先ほどの少額短期保険のご報告の中で、事務フローが改善されるという、こちらの4ページから5ページにかけてのものというのは、むしろ現物給付をするということよりも、支払いのフローを変えることによって、あたかも現物給付的なサービスをするということで解決できるのではないか。また、私が聞いた話ですと、実際にペット保険などを、例えば、提携の獣医さんだと保険金は実損分払うということですけれども、それを契約者に払わなくても実際に獣医さんに払ってしまえば、国民健康保険と同じような意味で現物給付ということになりますので、そういうところで改善できることは改善できる余地があるのではないか。ただ、それを現物給付と呼ぶかどうかは定義の問題ですので、ここでは深く入るつもりはありません。

○洲崎座長

私も米山委員がご指摘されたところと同じような感想を持っております。少額短期保険協会が用意された資料4の5ページです。サービスを提供するのはサービス提供事業者となっております。そしてそれに対する費用を保険給付Aで支払うということですが、これは資料2の16ページの、保険会社の保険金支払いスキームということで解決できるもののようにも思えますし、サービスの提供をするのが、この資料4の5ページの図で言うと、少額短期保険業者自身であるというのが従来考えてきた現物給付保険ではないかと思いますので、それとは違うような形で対処することも、つまり、サービスを提供するのは別のサービス提供事業者であって、それに対する支払いを少額短期保険業者がする、それによって顧客の事務を減らすということは、現在の枠組みのもとでもやろうと思えば可能なのかなという気はいたしておりますので、現在の枠組みのもとでできそうなことと、やはり、これはできないということについての整理を、もし可能であれば、今後の議論の中でしていただければと思います。また、事務局のほうでも整理をお願いします。

○伊野保険企画室長

この直接支払いと現物給付の違いは、まず、保険金の受取人の方に対して、その方がどういうふうに行動するのかということにもよると思います。まさに受取人の方が、自分でどの業者にするとか、例えば、葬儀をするのであれば、亡くなった人は判断しようがないのですけれども、ご親族の方がどういう葬儀をしたいかを亡くなられたときに考えるのが多分、直接支払いのほうになじむのだと思いますが、ある程度、こういう葬儀をサービスとして提供しますというのを保険契約のときに、あらかじめ取り決めておいて、それに従って保険業者なのか、ないしは提携しているところに実際はやってもらうのかはともかくとして、ある程度、最初から取り決めたものを事象が起きたときに実行されるというのが現物給付の基本型なのではないか。その辺に少し違いが生じているのだろうと思います。それをやるのが、どっちがいいとか、悪いというのはいろいろなリスク等も含めて今後ご議論をいただきたいという部分ではありますが、根本的にはそこに違いがあるのかなというふうには感じております。

○洲崎座長

家森委員。

○家森委員

ちょっと制度のことを教えてほしいのですけれども、現物かどうかという点では、要するにインフレが起こるときに問題になると書いてあるのですが、例えば、ハンバーガー1個分を10年後にもらいたいと思っていて、今、100円を払っておいた。ところが、10年後にハンバーガーは10万円になっていたとすると、10万円の現金をもらえるという保険はあり得るのですか。実質価値を払うという保険はできるのですかということです。結局、現物というのは実質価値を保障するということですから、それが保険制度としてできるものかということを、まず教えていただきたいのです。

○伊野保険企画室長

まさに現物給付としてどういう保険設計ができるのか、それがいいのか、悪いのかということだと思います。100円でハンバーガー1個というものについて、仮に、お腹がすいているかもしれないので現物給付を受けたいという保険があるとしますと、そのリスクを保険会社が仮に負ってもいいというような結論であればそういう保険というのはもちろんあり得るのだと思います。この議論の中で、さすがにそのリスクというのは保険会社が負い切れないのではないかとか、あと、肉質が何年か経ったら標準が変わるから、今、その商品性はわからないじゃないかとか、そういう議論があってなかなか難しいのではないかというのがこれまでの議論だったと思いますので、そういうことが、商品としてはもちろんあり得るけれども、それがいいのかどうかということではないかとは思います。

○家森委員

本質として聞きたかったのは、要するに、インフレのリスクを保険会社が負う商品をつくることは今でもできるのですかということです。例えば、インフレ、消費者物価指数に連動するような支払いをするというような保険商品をつくってもいいのかということを聞きたかったのです。それができないのなら、そういう問題もあわせて議論する必要があるかと思ったので、教えていただきたい。

○伊野保険企画室長

ページで行きますと資料の13ページにございますが、生命保険については一定額の保険金を支払うということですので、多分、想定しているのは、ある程度、最初から決まっていて、運用がうまくいきましたから配当をそこに上乗せしますというような制度はもちろんありますが、基本的には一定額ということで、それがインフレになったから自動的に引き上がりますということは想定しにくいということだろうと思います。

一方で、損害保険の場合は損害をてん補するということですので、ちょっとそのハンバーガーを食べたいのに食べるお金がないというのが損害なのかどうかはちょっと別としまして、仮にそういうものがあれば、そこは損害保険であれば、理論上はあり得るということかと思います。現実にはそんなに長い損害保険というのはあまりないとは思いますので、現実的な議論ではないとは思いますけれども、論理的にはそういう整理になるのではないかと思います。ちょっと勉強してまたご返事いたします。

○洲崎座長

はい。損害保険に関しては、いずれにしても保険金額によって上限が定められますから、その範囲内での損害をてん補するということで、先ほどの10万円のハンバーガーのような極端な話が生じることはないのではないかと思います。つまり、保険会社が想定できないようなリスクを負うことにはならないのではないかと思います。

それから、生命保険その他の定額保険については、確かに基本は一定の金額を定めて、それを支払うということになると思いますけれども、その一定金額の定め方として一定の算式に従って、この算式によって出てきた金額を支払いますというような定め方も可能だと思いますので、そのインフレリスクを、ある程度、保険会社側が負うような保険金額の定め方というのも、およそできないということではない、可能ではないかと、これは個人的な意見ですが、そういうふうに考えております。水口委員。

○水口委員

今のお話の流れですけれども、現物給付と金銭給付との選択制ということで、インフレリスクのオプション性の計算が困難であるけれども、もしかして可能かもしれないということで今お話しされているという意味ではないですよね。

○洲崎座長

ということではなくて、一般論としてです。ただ、そもそも老人ホームというような現物給付をする場合は、インフレリスクは当然、保険会社が負うことが前提になっているのだと思います。

○水口委員

ええ。そうしたときに、事務局のほうからプレゼンテーションをしていただいたところで、保険会社がインフレリスクを負い、選択権を契約者に与えることを前提して、それにかかわるオプションコストを計算するということは困難でかもしれないというお話もあったわけです。それに加えて、アナリストとして気になるところで、もしかしてオプション料の計算が可能だとしても、そのリスクを何らかの形で抑制したりとか、移転したりとかするような手段が存在し得るのかどうかということも、ちょっと興味があるところです。

○吉野会長

国債のほうで保険会社の方にお聞きしたことがあって、今、インフレ連動債というのが出ているのです。ところが、今はデフレですから全然売れなかったのですけれども、そのときに、将来、インフレになるかもしれないので、保険会社の方がそういうものを運用すれば、インフレ連動債ですから、商品のほうだってインフレ連動の商品ができるのではないでしょうかと。だから、今のオプションで、インフレを期待するのであれば、運用を全部インフレ連動債にしておいて、それで最後、現物給付が必要なときに、20年、30年後にインフレの分だけもらえるということは可能だと思います。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

今までのお話、議論を聞いていますと、インフレリスクに対する保険会社の対応が一番の問題なのかなと思うのですけれども、そういう観点からすれば、少額短期保険業協会のほうから発表されたような、少額で、しかも短期のものというのは、リスク管理の専門家ではないのでわかりませんけれども、リスク管理が比較的しやすいのではないか。あるいは、14ページに載っているようなものでも、例えば、有料老人ホームとか、保険会社が持てるかどうかは別にして、持っていたとしたらあまりインフレリスクというのはないような気がしますし、グループ会社で持っていたとしたら、ずっとその物件を保有していれば、そういうものってインフレリスクは余りないような気もしますので、保険会社が自分で持っているものを提供するとか、あるいは、グループが持っているものを提供するとか、そういうものについてはそのリスクは低いのではないか。

一方で、そういうことを考えていきますと、先ほどの他業制限の、業務範囲規制との関係も出てくるのでしょうけれども、いずれにしても、リスク管理というのは全くできないものではなくて、場合によってはできる場合もあるのではないかというふうに、感想めいたことですが、ちょっと思いました。

○洲崎座長

神戸委員。

○神戸委員

今回の現物給付型の保険というのは、生命保険業界さんのほうで、こういうものをつくってみたいということでお出しになっておられるわけです。もしつくるとすればインフレのリスクを負われるのが生命保険会社さん自体ですから、せっかくオブザーバーで来られておられますので、具体的にどういう商品を考えておられ、どういう形でリスクヘッジを行なおうとされているのかというところを、もう少し具体的にお話しいただいた方がいいのではないかと思いますが。

○梅アオブザーバー

いろいろなアイデアがあると思いますが、あくまで、例えばですが、やはり、長期の保険というのはなかなか考えづらいということがあります。ですから、やはり短期の保険で対応するのが1つだと思っています。老人ホームの話がどうしてもメインになりますが、例えば、20年後に有名な老人ホームの、この部屋に入りたいという権利が、イメージとしてはすごくわかりやすいと思うのですが、当然そういうものは無理な話だというのは我々もわかっております。我々がイメージしている現物給付というのは、やはり、会社としてリスクの取れる範囲のものを現物で提供させていただくことができないかなというような考えでお話をさせていただいています。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

先ほど来、いろいろなお話の中で、例えば、金銭給付と現物給付の選択制にすれば、消費者側、契約者側としては余り不利益はないのではないか、むしろ会社の云々というお話が多分続いていたのだと思いますが、老人ホームについてコメントがありましたが、実は、今、考えられているようなものは、みんなサービスとか、そういうものなので、そういう意味では、質を問われる、結局は、受けてみないとわからないという部分がございます。例えば、入り口で選ぶときに選択制にしておいて、じゃあ、金銭給付じゃなくてサービスのほうを選びましたというふうになったときに、その質が自分の想定していたもの、顧客のイメージしたものと異なれば、やはりそれは違うという話になります。いわば契約者側も金銭給付という、お金であれば間違いがないと、そういうものと比べると非常に質がどうなのかという部分でリスクをとることになりますので、その点は顧客にとって問題がないとは思っておりません。

○洲崎座長

山下委員。

○山下委員

16ページのスキームで、単純に考えれば、これは民法上、特段、何の問題もないような気もするのですが、現在の仕組みだと、保険契約者としては医療機関に行って、病院に行って医療を受けて、それは自分の判断でどういう医療を受けるかということを決めて医療を受ける。それで費用がかかれば、あと、保険会社に対して保険金を請求する。それに対して保険会社がどういう払い方をするかは約款等で決まっているということなのですが、このスキームだと、単に医療機関が保険金の代理受領をするということだけであれば、それと変わらないのかなという気もするのですが、やはり、保険会社と、この医療機関などのサービス提供者との間に直接の関係が何かできて、提携関係に立つなどのことが起きそうな気もするのです。その場合一番悪く勘繰っていけば、アメリカの医療保険のように、保険会社と病院が組んで医療のコントロールをするとか、そういうことも考えられないではないというスキームかなと思います。だから、保険会社とサービス提供者との間の関係がどういうものかということを十分検討した上で考えるということが重要なのではないかと思います。

そういう面から考えると、このスキームには本当に契約者にとってメリットがあるのかどうかというのも気になってくるところです。

○洲崎座長

何かございますか。特になければ、もう、よろしいですか。

○伊野保険企画室長

はい。

○洲崎座長

ありがとうございました。

それでは最後、もう1つ論点が残っておりまして、再保険、共同行為の問題です。資料2で言いますと、17ページから23ページまでの問題についてご質問、ご意見をお願いできればと思います。阿部委員。

○阿部委員

共同行為に関して損保協のご説明資料の5ページのEUの新規リスク保険プールに関する表について、これは具体的にはどういうものがあるのでしょうか。それから、3年間の期間限定ということですが、3年経ってしまうとどうなるのか。

○洲崎座長

では、村田様、よろしいですか。

○村田オブザーバー

まず、調べた限りにおいて、EU加盟国の中で具体的な明確なものは把握できておりません。

それから、3年経った後どうなるかにつきましては、引き続き共同行為で対応するというケースもあれば、個々の会社が個別に対応できるようになればそういう形に移行していくケースもある、あるいはなくなってしまうケースもあるということだと思います。

○洲崎座長

ちょっとよろしいですか。EUの例ではまだないということですか、調査された限りでは。

○村田オブザーバー

はい、調べた限りでは具体的な個別事案は把握できておりません。法体系として、競争法上、条件を満たすものは保険会社の判断でやっていいということであって、やっていいものを個々に許可する仕組みではありません。競争を司る機関、日本では公正取引委員会になると思いますが、そういう機関で届け出等を受け付けて押さえてあるということであれば調べるのは簡単なのですが、そういうことではないので、容易に調べられなかったということではないかと思います。我々の力不足で申しわけありません。

○洲崎座長

わかりました。それでは、逆に、例えば、新規リスクとして損保業界としてどういうものを考えておられるのか、ちょっと具体例を挙げていただくほうがわかりやすい、イメージしやすいかなと思うのですが。

○村田オブザーバー

座長のご要望なのですが、今、焦眉の急としてこれをやりますというものは、私の知る限りにおいては、承知しておりません。思いつく、イメージできるものは皆さんそれぞれにお持ちかも知れませんが、個別の契約、個別の団体等が特定されるものはなかなか申し上げにくいので、具体例は、申しわけないのですが、ご容赦いただきたいと思います。

やや定性的に申し上げれば、新規技術、ITであるとか、ネットワークであるとか、人の移動に伴って生じる従来なかった感染症のリスクとか、いろいろなものが世の中に起きてきています。そういったものの中で、例えば、賠償補償であれば関連する責任法理が整理されていないとか、リスクがどこまで広がるのか技術的な知見が全くないとかいう場合に、それでもなお保険で対処しようとしますと、リスクのあり方はよくわからないけれども、とりあえずやってみるかという話になる。それを小さい所帯で、データもなかなか積み上がらないまま取り組むよりは、リスクをシェアしつつまずはより早く着手して、より早く大きなデータベースができ上がって、正常な状態に持ち申し込めるといいだろうということを考えております。それに至るプロセス等についてはいろいろな制度設計が必要だと思うのですけれども、コンセプトとしてお答えをするとすれば、ただいま申し上げましたように、ネットワークであったり、人の移動であったり、新規技術であったりというものがもたらす新しいリスクについて、1社で飛び下りるというのはつらいものがありますが、少しでも大きな懐をつくって処理をするならば、さばきやすくなるはずだということでございます。今、既に制度として定着している自賠責保険を例にとっても、50年前はニューリスクであったわけです。定性的なご説明ですが、ご容赦いただければと思います。

○洲崎座長

はい、ありがとうございます。水口委員。

○水口委員

一義的には損保各社が引き受けているリスクにかかわる蓄積データを考慮した内部モデルを利用し、ストレステストなどさまざまな手法を用いて、リスク分散の考慮、リスク抑制の手段の活用を含めたリスク管理の高度化、健全性の維持を裏づけとして、公正な競争を通じて切磋琢磨することが大原則であり、それが消費者の利便に資するものだということが前提だとは思います。

ただし、今お話があったような、蓄積データを全く持ち得ないような新規のリスクについては、消費者などにとって保険カバーが不可欠であり、社会経済活動などの観点からも、我が国の在り方に支障を来すような事象であり、いかなる保険会社、個社ではもう引き受けられない場合、新規リスクに関して迅速に円滑に対応できるような、期限つきの共同行為を可能とするような制度の改定を限定的に検討することが考慮に値するのではないかと思います。

原則としては、仮に構築をした共同行為が認められたとしても、当該スキームの期限を経過するプロセスでだんだんデータが蓄積されていくはずだと思いますので、プールされたデータを参加各社が共有し、それぞれの会社のリスク管理の枠組みの中で、当該リスクの引受け方針を策定するのに活用し、公正な競争につなげていくということが消費者の利便に資するということになると思いますので、こういった時限的な仕組みが考慮に値するのではないかと思います。

以上です。

○洲崎座長

先ほどの阿部委員のご質問との関係では、結局、期間が過ぎてしまえば、もう共同行為はできなくなる、そういうスキームであるという理解でよろしいですね、期間限定で共同行為ができると。

○村田オブザーバー

はい、私どものご提案申し上げた中身は、ある要件のもとで一定の期間が過ぎれば終了になるという仕組みです。ただ、その状況が変わらなければ延長するとか、更新するということは考え方としてあり得るのでしょうけれども、そこまでの細かい制度設計について、何年にすべきなのかということについては我々自身もまだコンクリートなアイデアを持っておりません。ただ、ことの性質上、ニューリスクが100年たってもニューリスクのままであることはないはずで、もはやニューでない、既知のものになったときには共同行為はサンセットになる、そういう制度イメージになるのだろうと思います。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

以前このお話を伺ったときは、「保険プール」という言葉から、私は、みんなでお金を出し合って何かファンドみたいなものをつくるのかなという誤解をしていたのですが、そうではなくて、これはあくまで、ある意味、カルテルと言われかねないようなことをやる、約款の内容をそろえたりとか、値段をそろえたりするということを独禁法上、違法ではないことにしてあげるよという趣旨であり、ファンドができるわけではないということをまず確認させていただきたいというのが1点。

それを前提にしますと、では、この共同行為というのが何のために必要なのかというところを確認させていただきたいのですけれども、事務局の資料の23ページですと、共同行為があると、これによって保険リスクの分散を図ることができるのだということが書いてあるのですが、ファンドを皆で出し合ってつくって負担をするということではないとすると、直ちにはリスクの分散にはつながらないだろうと思われます。考えられるのは、最終的には再保険という形で分散をしていくというときに、その再保険をしやすくするために約款の内容をそろえるとか、また、先ほど水口委員からお話がありましたように、そもそも、どれくらいの料率にすればいいのかわからないから、みんなでデータを共有しようというときにそれをやりやすくするということかと思います。これらであれば元請けの保険を引き受けやすくするという意味でわかるのですが、それからさらに一歩踏み込んで、ではその売値である元受保険料、今の1号と2号との違いというのは元受保険料率をそろえられるかどうかというところかと思いますけれども、ある意味、一番競争抑制的な行為である、元受保険料をそろえるということが、保険リスクの分散をしやすくする、もしくは、そもそもの引受けをしやすくするというところの説明はどのようになされるのだろうかというところを考える必要があると思います。

競争法が専門ではございませんので誤解をしているのかもしれませんが、例えば、今の1号に列挙されていることで言えば、原子力ですとか地震とか、あと自賠責もそうですが、これはかなり公的色彩が強いものについて、これはもう元請保険料率で競争するというよりは、そもそも、このカバーがないとみんな困るのだから、競争して叩き合うのではなくて、みんなでカバーを提供しましょうというような発想に近いのかなという気がしまして、航空保険も、大規模な事故が起きかねないという話だとしますと、それに近い面があるのかと思われます。

そうすると、今回ご提案になっておられる新規リスクというものについて、これも確かに社会的には何らかの対処が必要だというのは感覚的に何となくわからないでもないのですけれども、それが今、1号に列挙されているようなものと同じような理屈なのか、もしくは違った理屈なのか、何であれ、値段までそろえていいよということの説明は何かしら必要になってくるのではないかという気がしているところです。

先ほどから出ておりますのは、データを共有するとか、もしくは再保険を組みやすくするというのは、それはむしろ2号で認められているようなお話であって、それから一歩踏み込んだ対応まで必要だというところの説明が、もし何かあればお聞かせいただければと思います。

○洲崎座長

今のお話に関して、水口委員。

○水口委員

済みません、ちょっとはっきりお話をしなくて声が通らなかったのかもしれないのですけれども、新規リスクにかかわるデータ蓄積ということもありますけれども、やはり、消費者にとってそのカバー不可欠であって、社会・経済などの観点から、我が国のあり方に憂慮すべき支障を来すような場合にこういったスキームが考えられうるのではと思っております。

以上です。

○洲崎座長

米山委員。今の話ですか。

○米山委員

ええ、今の話です。今の後藤委員の話で、新規リスクに対してプーリングするというのは、かなり合理的なことだと思います。なぜかというと、価格というよりも、リスクの原価自体がわからないので、つまり、言い換えれば、期待保険金支払額がわからないですから、個別でリスクを引き受ける場合には、リスクをカバーするために保険料が割高になってしまって、実際には売れない可能性が大きい。だったら、みんなで引き受けることによってリスク分散して、つまりリスクの原価を、ある程度わかるところまでやってみて、リスクの原価がわかったら、個別で事業にしましょうという発想だと思うのです。そういうふうに考えると、まあ、保険理論からみれば、合理的な考えではないかなと思います。

○水口委員

欧州の保険会社も、新規リスクについては、不確実性が高過ぎて、単独ではなかなか受けられないと考えているようで、それが通常の保険会社の行動だと思いますので、そのとおりだと思います。

○洲崎座長

後藤委員、よろしいでしょうか。

○後藤委員

ありがとうございます。そうしますと、結局それは最終的には、1社では怖いので、みんなで分けて受けるということが大前提にあって、そのために、みんなで受けるのであれば、その前提として値段もそろっていないと、そもそもの話が始まりにくいというご趣旨だと理解してよろしいでしょうか。

○米山委員

そうですね。プールするのですから同じ値段で。

○洲崎座長

ほかにいかがでしょうか。

はい、どうもありがとうございました。本日は司会の不手際で時間を延長してしまいまして、どうも申しわけございませんでした。本日ご議論いただいた項目につきましては、皆様のご意見を踏まえまして論点を整理した上で、次回以降、引き続き議論をしていきたいと思います。

最後に次回のことですが、次回は、利用者が多様な保険の中から安心して選択できる商品募集のあり方、及び募集販売時規制の適用範囲について議論をしていきたいと思います。また、次回の日程ですが、皆様のご都合を踏まえた上で、後日、事務局よりご案内を差し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)