金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」(第11回)議事録

1.日時:

平成25年3月1日(金曜日)9時30分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館12階 共用第2特別会議室

○洲崎座長

ただいまより、保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ第11回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、多少遅れて来られる方がいらっしゃるようですけれども、委員及びオブザーバーの方々、全員からご出席のお返事をいただいております。また、参考人といたしまして、第4回、第7回、第9回、第10回ワーキング・グループにご出席いただいた保険代理店協議会の堀井様に、本日も参考人としてご出席いただいております。

それでは、議事に移らせていただきます。本日は、前回会合において議論を行った「保険仲立人・乗合代理店に係る規制のあり方」に関する課題について議論を行った後、第8回のワーキング・グループにおいて議論を行いました「保険募集の範囲」の取りまとめの方向性、及びこれに関する追加的な論点について議論をしていきたいと思います。

それでは、本日の議題に関しまして、事務局より資料の説明をお願いします。

○伊野保険企画室長

それでは、資料の説明をさせていただきます。右肩に資料1となっております説明資料をごらんいただければと存じます。

1ページ、2ページにつきましては、これまでいただきました委員の皆様方のご意見を掲載しております。時間の関係で、ご説明は省略させていただきたいと存じます。

3ページでございます。保険仲立人・乗合代理店に係る論点ということで整理をさせていただきました。前回までの議論におきましては、顧客が乗合代理店による保険募集の法的性質について誤解することを防止するために、乗合代理店は、法律上は保険会社側の代理人であるという自らの立場について説明をしてもらうということ、また、所属保険会社と顧客の間で「公平・中立」であることを標榜するなど、保険会社の代理店としての立場を誤解させるような表示を行うことは禁止すべきという2点については、概ね委員の皆様のご異論はなかったと考えております。

また、複数の保険商品の比較販売を行い、特定の商品を推奨する場合にはその推奨理由を絞り込みの理由も含めて説明することを求める等、乗合代理店の特性を踏まえて追加的なルールを設けることについても、概ね合意が得られたものと考えております。

しかし、どのような場合にどのような追加的ルールを設ければよいか、具体的内容については結論が得られていないと考えております。

また、『乗合保険会社間における「公平・中立」』を標榜することについては、顧客が「公平・中立」を、『所属保険会社と顧客の間で「公平・中立」』であると誤解するおそれがあることから禁止すべきとの意見もありましたが、乗合代理店による比較販売を巡る問題については、まずは、上記のような追加的なルールによって対処すべきという意見が多かったと考えております。

次の丸でございます。そのため、乗合代理店の特性に応じて設ける追加的ルールの内容については、さらなる検討が必要と考えております。また、追加的ルールが整備され、乗合代理店が行う比較販売について、顧客が期待する水準が確保されるのであれば、更に顧客の誤認防止のため、「公平・中立」と称することを一律に禁止することまでは必要ないと考えてよいかという点がございます。

なお、確認的に1点補足させていただきますと、「公平・中立」を一律に禁止しないということであっても、保険会社側の代理店としての立場を誤解させる表示は認められないということでありますと、「公平・中立」といった用語の用い方というものは、おのずと制約がかかってくるという面はあるのではないかと考えております。

次の丸でございます。追加的ルールの具体的内容については、次のような論点が考えられるのではないかと考えております。まず行為規制については、乗合代理店が、特定の商品を推奨する場合、これは複数の商品を推奨する場合も含みますが、そうした場合には、比較可能な商品の範囲を明示するとともに、推奨理由の説明を求めることとしてはどうかということでございます。

注1ですが、推奨理由の説明について、顧客から把握したニーズに合致する商品全てを提示する場合は、「ニーズに合致している」という以上の説明は不要ではないか。但し、さらに絞込みを行う場合には、その絞込みの理由についても説明することを求めるということが考えられるのではないかということです。

4ページでございます。次に、体制整備義務に関してでございます。保険募集人一般に対する体制整備義務に基づき、例えば、比較販売を行う場合は、個別の商品説明を適切に行うことに加えて、適切に商品比較・推奨を行うための体制を整備するなど、乗合代理店の規模・特性に応じた体制整備を求めることとしてはどうかという点でございます。

基本となる考え方としましては、自身の募集の仕方について、顧客に対してアピールするのであれば、その内容は責任を持って実行し、顧客の期待に応えてもらうということがあるのではないかと考えております。

参考でございますが、仮に、上記ルール案、すなわち推奨するならその理由をしっかり説明してもらう、といったことを乗合代理店の典型的なタイプに当てはめていきますと、次の3つのタイプを挙げておりますが、このような整理になると考えられます。

まず、タイプ1でございますが、顧客のニーズ等も踏まえて、複数の保険会社の商品の比較・絞込みを行って、特定の商品を顧客に推奨するという、典型的な、今ございます保険ショップのような例を考えていただければと存じます。これにつきましては比較可能な商品範囲を明示するとともに、当該商品の推奨理由を説明していただく。顧客から把握したニーズに合致する商品全てを提示する場合は、「ニーズに合致している」旨を説明してもらい、さらに絞込みを行った上で、特定又は複数の商品を推奨する場合は、その絞り込みの理由についても説明をしていただく。

このタイプの乗合代理店は、保険募集人に対する体制整備義務に基づき、全取扱商品の中から、顧客のニーズを踏まえて適切な商品を選択・推奨するための体制を整備することが求められるということにも留意が必要ではないかと考えております。

次に、タイプ2でございます。あらかじめ取り扱っている保険商品を提示して、その中から顧客が自由に選択するケースでございます。注2にございますが、提示方法は、店頭に単にパンフレット等を置くようなイメージではないかと考えられます。生命保険、損害保険、医療保険のように、顧客の求めに応じ、特定の分野のパンフレットを提示する場合も含まれると考えております。この場合は、特に何かのルールが適用されるということはないと考えられますが、顧客からの依頼を受けて特定の商品の推奨を行う場合は、タイプ1と同様ではないかと考えられます。

次に、タイプ3でございます。取扱保険商品のうち、通常はあらかじめ店頭等に掲示された特定の商品のみを提示して、顧客からの求めがあった場合にのみ、他の商品も提示するといったようなケースで、典型的には自動車販売会社が自動車保険を取り扱うようなケースが、これに該当する場合が多いのではないかと考えられます。

5ページでございます。この場合、通常は、特定の商品のみを提示することになっている旨及び当該商品のみを提示する理由を説明していただくということだと考えております。ただし、顧客からの依頼を受けて取扱商品の中から特定の商品の推奨を行うという場合には、タイプ1の場合と同様ではないかと考えられます。

注3でございますが、理由自体は保険料の水準や商品内容に限られるものではなく、特定の保険会社の資本関係や、その他の事務手続や経営方針上の理由であっても、認められるのではないかと考えられます。

当然ながら、特定の商品を保険の商品性が優位であるという説明をして、このケースで推奨する場合は、なぜ優位なのかといった説明はしていただく必要があるのだろうと考えられます。

以上のように、推奨するのであれば、その理由をしっかりと説明していただく。また、自身の募集体制についてアピールしている以上は、責任を持ってそれを実行していただく、といったような基本が守られれば、代理店の特性に合わせていろいろなパターンで対応していくということが可能なのではないかと考えられます。

次に、上記に加えまして、幾つかそのほかの論点がございましたので、整理をしております。まず、手数料開示についてです。手数料の開示につきましては、顧客に理解可能な形での開示が困難であり、結果として、誤った情報を与えることになるのではないか。手数料の多寡は、顧客ニーズと保険商品が合致しているかどうかや、顧客が支払う保険料には直接の関係はないのではないかといったご意見もございました。

乗合代理店による保険の比較販売につきましては、募集人一般に対する行為規制や上記の追加的ルールによりまして、その適切性を確保することが期待できることから、まずは、これらの効果を見極めることとしつつ、必要に応じて乗合代理店に支払われる手数料の多寡によって顧客に対する適切な商品推奨サービスが歪められていないかどうか、当局の検査・監督において検証していくこととしてはどうかということで、提示をさせていただいております。

次に、保険会社による保険募集人に対する求償についても、ご意見を頂戴しておりました。求償権の行使につきましては、保険会社による保険募集人への管理・指導の一環として捉えることができると考えておりますが、保険募集人への規律付けにつきましては、現在、検討を行っております募集人一般に対する行為規制や上記の追加的ルールによって従来よりも強まると考えられます。そうしたことから、保険募集人への規律付け強化のために求償権行使を、行政上、積極的に促す必要があるのかどうかという点につきましては、これらの規制の効果を見極めた上で、改めて検討することとしてはどうかという整理をさせていただいております。

これまでは禁止行為に該当しない限り、募集人に問題があっても保険業法上は保険会社の管理責任のみが問われる構造でございましたが、今後は募集人自体が責任を問われる法体系に移行していくということでございますので、求償の問題に関しましても、求償が行われやすい方向に動くということは考えられるのではないかということでございます。

その他でございます。上記の追加的ルールの導入に伴いまして、監督当局が乗合代理店の募集形態や販売実績等を把握するための手段として、乗合数の多い代理店等には業務に関する報告書の提出を義務付ける。あるいは推奨販売をするような場合には、そのことを明示する、届け出することを求めるといったこととしてはどうかという点がございます。推奨を行っているかどうかというのは、外形上は必ずしもはっきりしませんので、行政としても何らかの形で実情を把握できるようにしておく必要があるのではないかという問題意識でございます。

6ページに移っていただきまして、保険仲立人に関してでございます。この論点の基本的な認識と、これまでの主なご意見というのは、これまでの資料ですとか、いただいたご意見ですので、時間の関係で省略をさせていただきます。議論の整理のところからご説明をいたします。

保険仲立人が顧客の委託を受けて業務を行う者であることを明確化するとともに、新規参入の活性化を通じて、顧客が「公平・中立」な立場からの媒介サービスを受けやすくする観点から、提案のあった項目のうち、契約者保護の観点から問題ないものについて規制を緩和することが妥当ではないかという整理にさせていただいております。

これまで、あまり具体的な内容についてはご議論いただいておりませんので、その下でもう少し個別の内容を掲げております。具体的には、マル1でございますが、保証金の最低金額を4,000万円から1,000万円に引き下げる。それとともに、賠償責任保険で代替することができる範囲について、現行の4,000万円以上の部分から、1,000万円以上の部分に範囲を拡大するというものでございます。

7ページでございます。この場合、賠償責任保険で代替可能とする金額を1,000万円以上に引き下げることについて、保険契約者保護上問題はないかという論点があると考えます。特に括弧の中に書いてございますが、仲立人の故意による損害というのは通常担保されませんので、この点について、どう考えるかというのが、この論点ではないかと考えております。

次にマル2ですが、委託契約書の法制化による保険仲立人の立場の明確化。マル3結約書の簡素化。④長期の保険契約の媒介に係る認可制の廃止といったものがございます。これらについては、契約者保護上、特に大きな問題がなければ、規制緩和という方向性でいいのではないかと考えておりますが、何か問題がないかご意見を頂戴できればと考えております。

次の丸でございます。媒介手数料の契約者からの受領の解禁については、契約者保護や募集実務の観点から問題はないかどうかも含めて、引き続き検討が必要ではないかと考えております。

次に、その下の丸でございます。なお、保険仲立人と保険募集人の役員の兼任については、契約者の誤認防止の観点から、認めることは難しいのではないかと考えております。

次に、8ページでございます。8ページ以降は保険募集規制の及ぶ範囲についてという論点でございます。ここは少し時間が経っておりますので、復習的な観点で、基本的な認識についても簡単に読ませていただきたいと思います。

見込み客の発掘から契約成立に至るまでの広い意味での保険募集プロセスのうち、必ずしも保険募集の定義に該当することが明らかでない行為について、保険募集人以外の者が行うケースが増加してきております。保険契約の締結に至るまでには、必ず募集人資格を有する者による商品説明等が行われますので、こうしたケース全てについて問題が生じているわけではございません。

一方、保険募集人以外の者によって特定の保険商品について誤った説明が行われた場合など、続いて行われる保険募集人による募集行為における瑕疵の治癒が難しい事態が発生するおそれも存在しております。現在の募集行為規制は、広義の保険募集プロセスが複数の主体によって分担されることによって生じる、このような課題に十分に対応できるものとなっていないのではないかという点がございます。

右下、議論の整理でございます。従来、保険募集の定義に該当するかどうかが必ずしも明らかでなかった行為について、例えば、誤った商品説明が行われる場合など、不適切な方法によって行われた場合には、保険募集人が事後的に適切な商品説明等の募集行為を行ったとしても、当該瑕疵の治癒が困難となるおそれがあります。このため、保険募集人による顧客アプローチの前段階において行われる行為についても、保険契約者等の保護の観点から、一定のルールに基づいて行われる必要があるものが存在いたします。

現行の監督指針においては、保険契約の締結の勧誘や勧誘を目的とした商品説明は、保険募集に該当すると例示されております。一方で、いわゆる比較サイトや紹介行為等の中には、保険商品の説明を行っているものもあるが、必ずしも保険契約の締結の勧誘や勧誘を目的としたものかどうかが不明確な場合もあります。

そこで問題となるのは、一連の広義の保険募集プロセスの一環として行われる行為のうち、保険募集人が募集行為を行う際に、顧客が正しく商品理解をすること等の妨げになるおそれがある行為など、当該行為に問題があった場合に、保険募集人による募集行為を通じた当該瑕疵の治癒が困難と考えられるものであります。

以上を踏まえますと、次のマル1報酬、及びマル2推奨・説明の両方を満たすことをメルクマールとして、個別具体的な事例が「募集行為」に該当するか否かについて、総合的に判断していくことが考えられます。まず、マル1報酬に関しては、報酬の受領などにより、過度・不適切な勧誘・推奨がなされる可能性が高まるという観点から、保険会社又は保険募集人等からの保険契約の成約に連動して支払われる等の報酬を受け取るなど、保険募集人が行う募集行為と一体性・連続性を推測させる事情があり、かつマル2推奨・説明に関しては、保険募集人による保険商品等の説明の理解を困難にするおそれがあるという点を踏まえ、一定の資質を要する者が行う必要がある行為に限定する観点から、具体的な保険商品の推奨・説明を行うものという、この2つをメルクマールとすることが考えられます。

上記に加え、広義の保険募集プロセスのうち、募集行為に該当しない紹介行為や、比較サイト等の商品情報提供サービスについても、保険募集プロセスが全体として適切に行われるよう、保険募集人等に対しても委託先管理責任等の体制整備義務を導入することにより、不適切な紹介行為等を排除することが考えられます。

こうした整理の背景といたしまして、募集関連行為につきましては、募集の範囲を大幅に拡大したり、募集の外に紹介行為等の新たなカテゴリーを設けて、保険業法の規制を及ぼすというよりは、むしろ募集関連行為を通じて保険会社または代理店に行き着きますので、募集人を通じた間接的な規律付けを考えていってはどうかといった委員の皆様のご意見が多かったということを踏まえまして、こういった整理にさせていただいております。

次に、12ページにお飛びいただき、募集人による委託先管理等において求められる事項でございます。募集関連行為を保険会社・募集人が第三者に行わせる場合には、当該第三者に対して募集規制は適用されませんが、募集関連行為従事者が不適切な行為を行った場合や、募集規制の潜脱となるような行為を行った場合には、顧客に不利益が及ぶこととなります。そのため、募集関連行為を第三者に行わせる場合には、保険会社や募集人に対してどのような体制整備を求めるのかを明確化する必要があるのではないかということでございます。

具体的な体制整備の内容としましては、以下のようなものが考えられます。まず、募集関連行為従事者が運営する比較サイト等の商品情報提供サービスにおきまして、誤った商品説明や、特定商品の不適切な評価など、保険募集人が募集行為を行う際に顧客が正しく商品理解をすることの妨げになるおそれがある行為を行っていないか確認すること。

こうしたところから、見込み客の紹介・誘導を受けていると、体制整備義務違反ということにつながっていくのではないかと考えられます。

注ですが、仮に正確な商品説明ということでありましても、保険会社等から成果に連動して報酬を得て行う行為といったものは、先ほどのメルクマールマル1マル2を満たして保険募集に該当すると考えられます。募集関連行為従事者がこのような行為を行うことは、無登録募集に該当しまして、保険業法違反となります。また、仮に募集人登録をしている場合でも、いずれにしても、復代理ということになりますので保険業法違反ということになろうかと考えられます。

次のポツでございますが、募集関連行為従事者が行う紹介行為において、業として特定の保険会社の商品のみを見込み客に対して積極的に紹介して、保険会社等から報酬を得ていないかという点でございます。この場合の紹介行為は、特定の保険会社の商品ということでありますと、保険商品の推奨に当たる可能性が高くなりますので、原則、メルクマールマル1マル2を満たしていると考えられるのではないかと思われます。

次に、業として複数の保険会社の商品や乗合代理店を紹介する場合であって、高額な紹介料やインセンティブ報酬を伴うものにつきましては、一般的に、具体的な保険商品の推奨・説明につながる蓋然性が高まると考えられます。これを踏まえまして、手数料の設定や委託先の業務実態の把握について、より慎重な対応が必要になるのではないかと考えられます。推奨・説明が全くなければ、募集に該当はしませんが、報酬によっては、報酬目当てに推奨したくなる、そういう誘因となりますので、慎重さが求められるということではないかと考えられます。

13ページでございます。募集関連行為従事者において、個人情報の第三者への提供に係る顧客同意の取得などの手続が、個人情報保護法等に基づいて適切に行われているか確認すること。

上記のほか、募集関連行為従事者において、具体的な保険商品の推奨・説明や特別利益の提供など、募集規制の潜脱につながる行為が行われていないか確認をすることといったことが考えられます。

募集関連行為従事者の行為と、募集人の行為を一体で見ると、保険業法違反となるようなケースですと、実質的に募集規制の潜脱ということが考えられますので、募集人の体制整備義務違反といったことにつながってくると考えられます。例えば、典型例としまして、募集関連行為従事者が、自分を通じて保険に入ったらキャッシュバックしますよといったようなことを言って見込み客を集めて、募集人に紹介するといったことは、例えばそれを一体として見れば、特別利益の提供に当たるのではないかといったことが考えられるのではないかと思われます。

続きまして、14ページでございます。業務のアウトソーシングに係る規制についてです。基本的な認識の部分でございますが、法令上は委託業務が保険募集に該当しない限り、第三者への業務委託を行うことについて制限は設けられておりません。一方で、保険会社には委託先管理責任がございますが、保険募集人に対しての業務委託先管理責任が設けられておりません。行政による委託先への報告徴求や立入検査権限も、保険募集人に対しては規定されていないというのが現状でございます。

右下でございますが、議論の整理の部分です。保険募集人による業務委託についても、委託先において不適切な業務運営が行われることによって、顧客の不利益が生じることがあることを踏まえ、保険募集人についても、アウトソーシング先の業務運営が適切になっているかどうかをチェックする体制整備を求めることが考えられます。

所属保険会社についても、保険募集人が保険募集に影響を及ぼし得る業務についてアウトソーシングを行っている場合には、当該保険募集人が適切な委託先管理態勢を構築しているかについて、保険募集人に対する指導・管理の一環として把握・指導することが求められることを併せて明確化することが考えられます。

併せて、問題発生時における当局による実態把握等を可能とするため、保険募集人の業務委託先に対しても、保険会社と同様に報告徴求及び立入検査権限を導入することが考えられます。

戻っていただきまして、上の基本的な認識の4つ目の丸でございます。平成12年の規制緩和要望を受けまして、損害保険募集人の使用人に係る要件から「代理店との雇用関係」が削除された後に、生命保険募集人・損害保険募集人を問わず、代理店と雇用関係がない者のうち、当初想定されていた派遣社員以外の者が募集人の使用人として位置づけられるケースが見られるようになってきております。

これを踏まえて、次のページでございますが、委託型募集人というものに関して、少し整理をする必要があるのではないかと考えております。右側ですが、雇用関係や派遣社員と派遣先との関係と異なりまして、委託契約の場合には必ずしも契約当事者間に日常的な一定の指揮・監督関係が存在するわけではございません。そうしたことを踏まえまして、ある者を保険募集人の使用人として位置づけるためには、通常の使用人と同水準の教育・指導・管理等を受けることが法令等により担保される必要があるのではないかと考えられます。

募集人と使用人の契約形態は、保険業法上の問題ではないと考えられますが、しっかりとした指導・管理・指揮・命令といったものがなされない限り、使用人としては認められないのではないか。そうした関係が認められない委託型の使用人と称する募集人は、復代理となって業法違反となるのではないかといった問題意識でございます。

私からの説明は以上でございます。

○洲崎座長

ありがとうございました。

それでは、続きまして五十嵐様より、少額短期保険における課題認識に関してご説明をお願いいたします。

○五十嵐オブザーバー

お時間いただきまして、ありがとうございます。日本少額短期保険協会の五十嵐でございます。資料は、資料2に基づいてお話をさせていただきます。

これまでの何回かの募集に係るご議論、また本日の議論を踏まえまして、少額短期保険としての立ち位置から現状のご報告と課題の認識についてのご説明をさせていただきたいと存じます。

まず1枚めくっていただきまして、4つのテーマについて、1つずつお話をさせていただきます。1つ目が、今もお話が出ていました乗合代理店への規制のあり方でございます。まず、本日の議論でも出ていますが、乗合代理店というところで、多くの皆様がイメージされるのは、10社とか20社の多数の保険会社を乗り合っている大型の乗合代理店というものをイメージされるというケースが多いかと思いますが、少額短期保険におきましては、実情としましては不動産業者さんなどが保険業務も兼務しているというケースが多くて、二、三社程度の小規模な乗合代理店というものが実情でございます。ですので、当議論で出ている大型の乗合代理店とは別なものとしてイメージいただいたほうがわかりやすいかと思います。

その一般的な代理店において、ニーズに合わせてお客様に最適と思われる商品を紹介しているということですので、これはごく普通の通常の例えば損害保険代理店等において行われている商売の仕方と何ら変わっていないと理解しております。

そもそも少額短期保険の場合には、非常にニッチな分野に特化した商品がたくさんございます。例えば、以前もちょっとご紹介した山登りのレスキューの保険であったり、旅行のときのお天気保険であったりと、こういったものはほかに比べる商品がございませんので、そもそも比較するということ自体が起こりにくいという実態もございます。

そういったこともありまして、現状、私どもの協会のADRにおいて、不適切な商品が推奨されたということによるトラブルというものは、見受けらません。

こういった中で、先ほどの伊野室長からのご説明にもありました手数料の開示のところについて、私どもの考え方としましては、少額短期の代理店において手数料を開示するということは、お客様にとっても特にそれが重大な関心事であるとは、ちょっと思えないかなというところでございます。

例えば、一般論でありますが、高額な不動産の取引をするということであれば、それに伴う手数料というものも相応の金額になり、お客様にとっても重大な関心事であるかと思いますが、非常に安価な少額短期の保険料の中の手数料が幾らかということよりも、むしろ簡便に加入できるというメリットのほうが、お客様にとっては重大な関心事ではないかなと考えております。

これが乗合代理店に関する現状と課題認識でございます。

それから、もう1枚めくっていただきまして、2つめの情報提供義務についてというところでございます。少額短期保険については、今のお話にも重なりますが、極めてニードが明確になっている加入目的、あるいはその保険の用途が明確になっている商品が中心でございます。例えば、以前もご紹介しました葬儀保険であったり、あるいはペット保険ということで、これらについては、お客様が保険の目的を誤解してご加入されるということは非常に考えにくいところかと思います。

また、保険の特性上、いろいろな特約を組み合わせてオーダーメードで商品をつくるという形は、ほぼあり得なくて、いわゆるパターン販売の中で、お客様が一番気に入っていただいたパターンのものを買っていただくというものが中心でございますので、そういった意味で、お客様の意向確認についても、非常に簡便にできるのではないかと考えております。

もちろん生損保のように、重要事項説明書、注意喚起情報等の情報提供、あるいは意向確認書によるお客様の意向の確認というものは、しっかりとなされております。この中でも、少額短期の特性に合わせまして、例えば高齢者、お年寄りの方を中心に売っている死亡保障につきましては、募集文書の冒頭に、「この書類はとても大切なことが書いてあるので、できれば5回ぐらい読み返してください」というような注釈が書いてある少短会社もございます。

あるいは、通販で医療保険を売っている少短会社の場合には、「告知書に書いていただくべきことの具体的な事例」を書くとともに、「告知書に書く必要がないことの事例」も具体的に書いて、これを4ページにわたって詳細にお伝えすることによって、お客様に対してミスリードがないようなそれぞれの工夫というものを凝らしております。

そういったこともありまして、実際、協会のADRにおいても、そういったことが原因となるトラブルというものは、現状見受けられておりません。

また、意向の確認ということで言いますと、ご加入いただいた後に、お客様の意向が変わるということも当然あるかと思いますが、幸い少額短期保険の場合、1年ごとに見直しができる商品特性もございますので、意向が仮に変わったとしても、1年単位で見直しをしていくことが容易にできるという特性もございます。

こういったことを考えますと、これまでの議論の中で出ていました意向把握書面の是非というところになるわけなのですが、少額短期保険においては、現状の枠組みの中でも十分に意向に沿った販売ができているのではないかと考えているところでございます。

保険の話ではなく、一般論ではありますが、例えば300万円の高額な商品を買うということになれば、当然お客様の意向というものを慎重に把握し、お互いが確認をして進めていくということが必要になりますが、例えば300万の買い物ではなく、300円の買い物だとすれば、お客様も選択に当たって、むしろ利便性とかスピード感とか、そういったものを重視するということになってくるのかと思います。

保険に当てはめた場合、必ずしもそれが当てはまるかどうかはわかりませんが、一律的なと言いますか、画一的なルールが全てに及ぶということは、必ずしもお客様の利便性にはそぐわないのではないかと考えております。

それから、もう1枚めくっていただきまして、3ページ目でございます。募集文書の簡素化につきましては、前回、前々回においてもいろいろ説明等があったかと思いますが、少額短期保険におきましては、そもそも商品内容、保障内容がシンプルでございますので、そのために募集文書自体も、おのずとシンプルな形になっております。大型保障、長期保障ができないということがありますので、お客様にご注意をいただかなければいけない項目というのも、おのずとある程度限定されてくると考えております。

例えば、これも一例ではございますが、特約の全くついていない医療保険というものがありまして、この場合ですと、契約概要と注意喚起情報がA4裏表に全部おさまっております。ですから、お客様にとっても、お読みいただくときの負担感は非常に少ないと思います。それから、あるペット保険については、約款自体も10ページです。頑張れば何とか読み切れるぐらいのボリュームになっております。

このように少額短期保険という特性上、募集文書も簡素化されており、そのことによってある程度問題を回避できているところがあるのかなと思っております。

今後の協会としての取り組みでございますが、少額短期保険の場合、さまざまな商品がございます。商品の特性、あるいはチャネルの特性、それから、どういうお客様に販売するかという顧客の特性等に合わせて、現状も各社が創意工夫をして、それぞれに見合った表現の仕方というものをしておりますので、こういった取り組みは今後も尊重していきたいと思いますし、また、それに加えて、協会がきちんと情報を集約し、そのノウハウ等を全社で共有する中で、モデルフォームであったり、あるいはガイドラインというものをさらに整備していきたいと考えております。

それから、最後の4点目でございますが、先ほども出ていました比較サイト等の規制についての現状をお話しさせていただきたいと思います。少額短期保険の場合は、やはり規模の小さい利用者が多いということもありますので、独自の販売網を持たずに、比較サイトであったり、あるいはコンビニエンスストアにパンフレットを置くというような方法でプロモーションしているケースが多数ございます。

幸いにも商品内容がシンプルで、保険の加入目的も明確なものが多いために、いわゆる非対面募集であったとしても、逆にそういうものになじみやすい商品特性かなと考えております。

今のお話のとおり、できるだけプロモーションコストをかけずに、安い商品を手軽にご利用いただきたいというところから、成果報酬型の広告費、あるいは設置料というものを設けているというケースもあるように把握しております。この場合、成果報酬プラス商品説明ということで、募集に該当するという、先ほどの整理との兼ね合いで考えた場合、例えばファイナンシャルプランナーの方が商品をご紹介して、それに対して原稿料を払うという場合に、これがその2つを満たしてしまうということになると、ちょっと実情と違うかなという、少し違和感を感じることもございます。あくまで少額短期保険業者が非常にコストのかからないプロモーションをしたいという意図から、創意工夫をしながら新しい販売のあり方とか、多様な販売手法を研究し、導入しようというところもございますので、一律に概念だけで、どこからが募集で、どこからが広告ということではなく、実質的にはケース・バイ・ケースでご判断をしていただければありがたいかなと考えております。

今後の議論の中で、この点も踏まえてご討議いただけたら幸いでございます。

以上でございます。

○洲崎座長

ありがとうございました。

それでは、続きまして梅﨑様より、募集規制の及ぶ範囲に係る残された論点について、補足説明をお願いいたします。

○梅﨑オブザーバー

明治安田生命の梅﨑でございます。本日は、プレゼンテーションの機会をいただきまして、まことにありがとうございます。お配りしてあります、資料3「保険募集の範囲」と題します資料に沿って、私どもの問題認識につきましてご説明させていただきます。

それでは、1枚めくっていただきまして、1ページから説明いたします。本日も事務局からご説明いただきました先般の第8回のワーキング・グループの資料を抜粋しております。資料上段にございますとおり、募集行為として位置づけられるメルクマールについて、今般2つご提示いただいております。また、下段には紹介行為の規制ということで、保険募集人への体制整備義務と、これに基づく委託先管理責任についてご提示いただいております。

私どもといたしましては、このような問題点につきまして、当ワーキング・グループでご議論を深めていただくことは、保険契約者、お客様保護の観点から大変有意義であると考えており、議論の大枠の方向性については異論はございません。この点を、まず大前提として申し上げたいと思います。

一方、各論的な若干細かい部分になりますが、今日は2点ほどご検討いただきたい論点がございますので、次のページ以降、私どもの問題意識についてご説明させていただきます。次のページをお願いいたします。そもそも今回保険募集の範囲の議論がスタートした背景には、保険の比較サイトなど、これまで想定できなかった新たなビジネスモデルの進展を踏まえ、ルール整備を行おうという問題意識があったものと認識しております。この点につきましては、以前、事務局の説明資料でも問題提起があったところですので、皆様ご認識のことと思います。

一方、このような近年の動向に加えまして、過去の経緯という視点から資料に記載しております法人紹介代理店についてもお話をさせていただきたいと思います。法人紹介代理店と申しますのは、法令などに定義のある用語ではございませんが、一般的には、保険会社や募集代理店などから見込み客の紹介を委託された法人代理店という意味で使われております。この法人紹介代理店は、募集行為は行わないということが前提となりますので、募集人登録はされず、募集規制もかかりません。このようなことから、過去、平成8年の改正保険業法以前のことになりますけれども、法人紹介代理店を通じた募集規制の潜脱ということが問題になりました。

具体的にどのような問題かと申しますと、例えば平成8年の保険業法施行前は、厳格な一社専属制の下で、生命保険募集時には保険会社の乗合が認められておりませんでしたが、そのような募集規制のかからない法人紹介代理店につきましては、一社専属規制の適用を事実上逃れることができるという問題がございました。

また、ある企業が自社職場へ生命保険募集人の出入りを許可する条件として、自社を法人紹介代理店とし、保険会社から事実上の場所代ないしはリベートのような形で紹介手数料を受領するというような不適切な事例もかつては存在しておりました。

このような問題の適正を図るという観点から、平成8年の保険業法改正に合わせて、資料記載の大蔵省通達が発出されて、当時既設の法人紹介代理店は収束するに至ったという経緯がございます。

この大蔵省通達の内容は、その後、事務ガイドラインに引き継がれ、現在は資料に記載してあります監督指針の規定によって、法令等を潜脱する行為を排除する措置などが保険会社に求められているという状況でございます。

したがいまして、新たなビジネスモデルの進展ということに加えて、今述べました過去の経緯も踏まえますと、無登録募集や募集規制の潜脱を未然防止するという観点からも、これから述べますようなことについて検討が必要なのではないかというのが私どもの問題意識でございます。

では、次のページをお願いいたします。ご検討いただきたい事項といたしましては、2点ございます。まず1点目が、募集行為のメルクマールに関連してでございます。事務局からは資料に記載のとおりメルクマールとしてマル1かつマル2ということをお示しいただいておりますが、私どもといたしましては、このような募集行為の範囲を明確にするためにメルクマールをお示しいただくということは必要なことだと考えております。

一方で、このメルクマールをあまりに画一的に当てはめてしまいますと、かえって募集規制の潜脱を容易にしてしまうことがあるのではないかと懸念しております。例えば、具体的に申しますと、A保険会社はお勧めとか、B保険会社の保険料は安いという商品イメージに関する推奨行為が、メルクマールの具体的な保険商品の推奨・説明を行うものに該当するかどうか、かなり微妙な判断を要するものと思われます。仮に、このような推奨行為がメルクマールのマル2に該当しないということになりますと、高額の報酬や成果連動型の報酬を受け取るなどのメルクマールマル1募集行為との一体性・連続性を推測させる事情が認められるケースであっても、募集規制はかからないということになりかねません。募集規制の潜脱を防止する観点から、こういったことはやはり慎重に考える必要があるのではないかと思っております。

したがいまして、募集行為のメルクマールを設定することは望ましいことだと思いますけれども、それをあまりにも形式的・機械的に適用することは、やはり適切ではなく、本日、事務局からも説明がございましたとおり、メルクマールを前提とした上で、個別の状況等に応じた総合的な判断によって募集行為に該当するかどうかを判断するということが必要ではないかと考えております。

次のページをお願いいたします。続きまして、ご検討いただきたい事項の2つ目でございます。こちらも第8回ワーキング・グループで事務局からご説明いただきました、募集人の体制整備義務・委託先管理責任として、委託先が募集行為に該当するようなことを行っていないか等を確認することや、顧客を害するような不適切な紹介行為を行っている業者等からの紹介を受けないよう募集人に求めることといった内容を例示いただいております。

このような募集人の体制整備義務、あるいは委託先管理責任の導入については、我々としても異論はございません。ただ、先ほど述べましたように、保険会社の直接の委託先である法人紹介代理店において、募集規制の潜脱が問題化したような経緯を踏まえますと、募集人については、さらに資料に記載してありますような義務等を導入することもご検討いただく必要があるのではないかと考えております。

例えば、募集規制の潜脱防止の措置といたしましては、こちらの資料に記載しておりますとおり、募集人が委託先を通じた募集規制の潜脱を行わないことや、委託先が紹介行為等と称した規制の潜脱を行わないことを確保する措置が考えられるかと思います。

さらに現行の保険会社向けの監督指針、先ほど資料の2ページで示しました法令等を潜脱する行為を排除する措置と同様の措置を、募集人に対しても規定するということも考えられるかと思います。

次に、報酬につきましては、これも事務局から示されております募集行為のメルクマールマル1において、募集行為との一体性・連続性を推測させる事情の1つとして例示されておりますけれども、やはり過大な報酬というのは無登録募集などを誘発する要因の1つであると考えますので、体制整備義務の側面からも措置することを提案させていただきたいと思います。

また、次に、適正表示という点でございますけれども、こちらは現行、募集人が募集文書などによって商品表示をする際は、基本的には所属保険会社の審査を受けるという実務になっており、募集人の委託先においても同様の適正表示の確保を図ることとしてはどうかという趣旨でございます。たとえ紹介行為しかしない者による商品表示であっても、お客様に誤解を与える表示をすべきではございませんので、こういった措置も必要ではないかと考えております。

最後に兼営防止でございますけれども、募集人の委託先が紹介と募集を兼業しているような場合は、相手に応じて都合よく立場を使い分けることができてしまうという問題がございます。お客様の誤認を防止する観点からも、兼営の防止といった措置も必要ではないかと考えております。

以上、募集行為のメルクマールおよび募集人の体制整備義務・委託先管理責任という観点から、私どもの問題認識についてご報告させていただきました。

以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、資料1の1ページから7ページにあります保険仲立人・乗合代理店に係る規制のあり方について、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。

水口委員。

○水口委員

ありがとうございます。乗合代理店についてですが、追加的ルールが整備されて、乗合代理店が行う比較販売について、顧客が期待する水準が確保されるという前提で、顧客が乗合代理店の保険募集の法的性格について誤認をすることを防止することを意識して、事務局にお示しいただいた2つの観点を軸に対策を考えることについて異論はございません。

追加的ルールについては、商品を絞り込んで提示する場合には、当該絞り込みの理由を説明することや、また比較販売を行う場合は、個別の商品の説明を行うことに加えて適切に商品比較、推奨を行うための体制整備をするなどの乗合代理店の規模・特性に応じた体制整備義務を求めるということをペーパーに示していただいておりますが、これも妥当であると考えております。

具体的な乗合代理店の類型ごとの対応については、タイプ1に係る整備については、妥当なアプローチだという考えを持っております。一方で、タイプ3については、当該類型で分類される代理店が相当数存在するのではないかとの印象を持っておりまして、タイプ3は積極的に比較販売をする事業モデルではないのではないかと思われますので、顧客からの依頼を受けて取扱商品の中から特定の商品の推奨を行うといった事例は、限定的なのではないかと推測いたします。

こうしたまれなケースに備える情報提供、または体制整備のあり方については、費用対効果の観点から十分留意することが妥当ではないかと考えます。

以上です。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。3ページから書いていただいている推奨理由の説明というのは、やはりこれは顧客の保険商品の選択に資する、利用者利便に資するものでありますし、こういう一定の規制が導入されることには、ほんとうに賛成でございます。

この4ページのタイプ1につきましては、おそらくこういうタイプの乗合代理店自身が、例えば20社の40商品を取り扱っていた場合に、そういう商品を全て検討した上で、一番いいものを推奨しますと、そういうのを標榜しているような類型、そういうものについては、やはり実際にそう自分が言っているわけですから、40商品の中からいいものを勧めますよと言っているわけですから、タイプ1は現状に比べればプラスアルファの義務というのは課されることになるのですが、このような規制にも私は賛成でございます。

以上でございます。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

5ページの整理は妥当だと思います。その上で、6ページから7ページにかけてのまとめについてお伺いしたいのですが、保険仲立人協会さんからの規制緩和要望について、「議論の整理」で丸、あるいはバツという仕切りがされていますが、今このような形で「議論の整理」で示されたことができれば、保険仲立人という業界は少しでも活性化するのか、あるいは、このぐらいだったら変わらないのか、事務局と協会双方からお聞きしたいのですが。

○洲崎座長

では、まず葛石様。

○葛石オブザーバー

いいご発言をいただきまして、ありがとうございます。

先ほどのご意見について、少し要望事項につきまして、若干補足の説明をさせていただければと思います。実は、要望事項の第1項目の、保証金の最低金額の引き下げというところでございます。ここの整理にもございますように、慎重論の論拠といたしまして、賠償責任保険では仲立人の故意等は担保されないということが挙げられております。しかし、実際的な契約者保護の観点から考えますと、契約者の被害例といたしまして、例えば保険料の横領とか着服とかいうことが考えられますけれども、仲立人には保険料の受領権というものがございませんので、基本的にはこれは考えられません。

では、保険料の横領以外、あるいは故意に与える損害というものが一体何が想定されるかということでございますけれども、例えば保障カバーが不十分な保険を手配をするというようなことを想定しても、故意にそうする動機というものは、基本的に仲立人には見当たらないのでございます。

また、仲立人に契約の締結権とか、あるいは告知の受領権ということがないということを勘案をさせていただければ、契約者保護の観点で考えますと、保証金の意義は極めて小さくなると考えたところでございます。

いずれにいたしましても、詐欺とか横領等の犯罪行為は、これは刑法の適用によって抑制されております。他の職業とか商業との比較においても、著しく高額な保証金の根拠は乏しいと考えております。

また、海外の事例からも、損保総研さんの調査によればなのですが、賠償保険が義務づけられる一方で、保証金は求められていないというのがグローバルでございます。

以上のとおり、実態といたしまして、保証金の上限を引き下げても、契約者保護上の問題は生じないと考えております。むしろ新規参入の障壁を低くして、仲立人制度が活発にご利用されるようになる利用者側のメリットのほうが、私どもは大きいと考えておるわけでございます。

それから2つ目の代理店の経営の問題については、これはいかがなものかというご意見がございますが、役員の兼任につきましては、契約者の誤認防止の観点から、認めることはできないということでございますが、仲立人への新規参入を考えますと、ゼロベースから参入するというのは現実的ではございません。保険代理店からの転換とか、または一部門の分社というようなことが現実的でございまして、実際にそのような事例で、今現在仲立人は成り立っております。

そうしますと、その際には経営管理ができる人材を代理店会社と、いわゆる仲立人会社の両方に配置をするということが極めて障害になります。そのために役員の兼務を、募集に従事せずという条件つきで解禁をお願いをしているところでございます。さらに、仲立人は自己の立場を書面で顧客に交付することが保険業法の296条で義務づけられております。また、ファイアウオールにつきましても義務づけられております。そういうことから、誤認の心配はないと考えております。

議論になっている公平、あるいは中立的な募集を正々堂々とするために、乗合代理店が仲立人に転換するときの基本的なハードルは、やはり下げておく必要があるということで、消費者の選択肢の拡大、あるいは利便性の向上の観点から、極めてこれは意義があると考えております。

要望の3項目、要望の4項目につきましては、これは一応ご承認をいただけるような感じになっておりますので、これはこれでということでお願いをして、要望の5、結約書の簡素化につきまして、これもご承認をいただけるものと思いますけれども、商法上これが可能かということを検討するというご意見もございますので、これは商法の特別法である保険業法でそういう規律を定めることは可能でないかと、実は考えております。法律作成の詳細については、私ども専門ではございませんので承知はいたしませんが、商法の546条第2項にかかわらずといった規定を業法の中に、あるいは施行規則の中に設けていただければと考えておる次第です。

基本的に事務の合理化ということがございまして、契約者の利便性を高める趣旨でございますので、書類が最近は極めて電子化になっております。そういうところからもご検討願ったらと思っております。

要望の6でございます。媒介手数料の契約者からの受領のところでございます。これは先般申し上げましたけれども、保険仲立人はバイヤーズエージェントでございます。いわゆる契約者の代理人ということでございます。保険仲立人は契約者のために媒介を行うものでございますので、その媒介手数料を契約者より受領することは当然のことでありますし、保険会社から受領することは利益相反にもなるということでございます。

そうしますと、そのことにつきましては、お客様に対してもそういうことを聞かれたときには説明が非常に困難な状態になっております。

以上のことから、保険仲立人は契約者のために媒介するものであって、その立ち位置を明確にするために、契約者からの了解のもとに契約者からその報酬を受領する道を開いていただきたいということでございます。

媒介手数料は、保険会社から受領するほか、契約者の了解を得た場合には契約者からも受領できるのが、特に企業契約においてはグローバルスタンダードでございます。したがいまして、そういうことでぜひご検討を賜りたいということでございます。

それから要望の7につきましては、一応ご承認をいただけるような方向かなと理解をしております。

全体を申し上げましたら、この7項目の全部のご承認をいただければ、極めて仲立人は活性をするということを申し上げて締めくくらせていただきます。

ありがとうございます。

○洲崎座長

それでは事務局から。

○伊野保険企画室長

ここでの規制緩和を行ったらどうなのか、これはやってみないとわからないわけですけれども、規制が少なくなれば、当然その分やりやすいと感じる方か多くなると思います。既に仲立人でやっておられる方も、やりやすくなるという意味では、少なくとも、どの程度かは明確にはわかりませんが、活性化する方向であるのは当然明らかだろうと考えております。

若干補足させていただきますと、マル1の注につきましては、一応論点としてあり得ると考えておりますが、これをもって事務局として否定的に捉えているという趣旨では必ずしもございません。ただ1点、ここはこういう問題があるだろうなとは思いますので、明示しておいたほうがいいのではないかという趣旨で書いております。

また、役員の兼任につきましては、内部管理だけであれば、契約者の誤認という問題は生じないので、特段問題は生じないと考えておりますが、内部管理だけでなく、お客さんと接するということになりますと、誤認の問題というのは生じてくるということではないかと考えております。

以上でございます。

○洲崎座長

加藤委員。

○加藤委員

ありがとうございます。乗合代理店についての議論ポイントですが、難しい論点をうまくまとめていただきました。私自身も事務局ご提案の方向性に賛成です。

それを踏まえ、4点ほど質問させていただきたいと思います。まず1点目の質問ですが、事務局説明資料3ページの後段にありますような行為規制、比較をするときには推奨理由を説明するといった行為規制と、4ページの冒頭にあります体制整備義務が組み合わさった形での事務局提案だという理解でよろしいでしょうか。

続いて2点目の質問は、一点目の質問への答えがイエスとしたときに、行為規制は比較行為そのものにかかわるわけですが、体制整備義務は、これは代理店等の組織にかかわってくる規制だと捉えております。そういった意味で考えたとき、比較行為を全くしていないという代理店だったらよろしいと思いますが、仮に1%でも比較行為をやっている代理店においては、やはりこの体制整備義務というのはかかってくると捉えてよろしいのかという点です。

続いて3番目の質問です。ある商品群では比較行為をやっていない。例えば具体的には、自動車保険においては、ある特定の保険会社商品を推している。一方、医療保険という商品カテゴリーにおいては、その代理店で3社、4社扱っていて、その比較をやっている。こういった、ある商品群では比較していないけれども、ある商品群では比較行為をやっているといったときには、2点目の質問に対する考え方と同じ筋で考えて行った場合、この代理店への体制整備義務はかかってくる。こういう理解でよろしいのかということが3点目です。

最後は質問というより意見に近くなりますが、推奨理由説明をすること自体は、消費者の観点からいいことだと私も思います。しかし、この推奨理由説明責任は、乗合代理店に閉じた話でいいのだろうかという疑問です。

と言いますのは、専属の営業職員、専属チャネルと言われていても、保険会社自身が複数会社の保険商品を取り扱っている事例というのはたくさんあると思います。そういった場合、乗合代理店だけではなく、そういった複数商品を取り扱っている保険会社、いわゆる専属と言われるチャネルにおいても、今回の推奨理由説明責任は援用、もしくは適用される方向で検討すべきではないかと。

最後の部分は意見でございます。以上です。

○伊野保険企画室長

まず、行為規制と体制整備義務との組み合わせかという点については、そのつもりで書かせていただいております。比較をする場合は、体制整備がフルでかかるのかという点と、まさに自動車は比較していないけれども、医療は比較しているというようなケースも含めてどうなのかということですが、ここはまさに個別具体的な状況次第ということだと思います。したがって、比較する場合には、一般的に体制整備義務がかかりますけれども、自動車は比較しないのであれば、自動車の保険については、自動車保険を適切に比較するような教育は、例えば社内でしていただく必要はないと思いますので、先ほどのようなケースであれば、医療保険については比較販売がしっかりできるように社内で教育をしていただく。自動車については1社だけであれば、その教育は不要というような、個別具体的な対応ということではないかと考えております。

そういう意味では、体制整備義務が、その会社、代理店にはかかるということだと考えますが、その内容は、比較販売をする商品の部分についてのみかかっているという理解ではないかと考えております。

最後の点につきましては、基本的にはやはり比較をする以上は、しっかりとした説明をしていくという点については、乗合代理店に限らないということはあろうかと思います。それは同じ商品の中であれ、意向を把握しながら、どっちの商品を勧めていくのかという、ニーズを最終的に固めていく段階で、同じような問題はあろうかと思いますので、ここだけというよりは、全体の中でそういったことは考えていく必要があろうかと考えております。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

乗合代理店と、仲立人のところについて幾つかお話をさせていただければと思います。まず乗合代理店ですが、基本的にお示しいただいた方向で、追加的なルールを設けて、まずそれで対処していくということでよいのではないかと思っております。

細かいことなのですが、乗合代理店は何を言っていいのかというところで、前回、たしか荻野様でしたか、保険会社のためではなく、お客様のためだということはよいのか、「ため」とは何かというお話があって、よくあるセールストークを阻害されると、かえってお客さんのほうでも何を言い出すのだと憤慨して、トラブルになりかねないということはあるのではないかと思います。先ほど伊野室長がおっしゃっておられた、保険会社側の代理店であると誤解させるのはよくないというのは、例えば乗り合っている範囲内からお客様にとって一番いいものを中立・公平に選びますというようなことには問題はなくて、あなたの代理人になりますとか、そういう法律的なことを言うのは、よくないというような範囲であれば、それはそのとおりだろうと思いますが、普通の保険会社さんの営業職員さんでも言うようなことまで阻害するのは、ちょっとかえってトラブルを生むかなという感じがいたしております。

具体的な追加ルールの中身ですが、手数料の話を私は何度か申し上げましたけれども、当局がチェックされるということで、最初のステップとしては、これでいいのかなと思っております。ただ、求償のほうなのですが、これも前回、義務づけてはどうかと強いことを申し上げましたけれども、そこまで一足飛びに行くのは難しかろうと思いますが、ただ、やはり問題になる行為をどうやって規制するかというときに、監督だけでやるというのも、おそらく限界はあるでしょうし、当然責任だけでもうまくいかないところはあるわけですので、両方補完するということが、よくある考え方ではないかと思います。そうすると、大規模な乗合代理店さんとかについては、そこが求償をされない結果として事実上責任を負わなくて済むということでインセンティブがゆがんでしまう状況になってしまっていないかということは、募集人への監督と、それに対応する所属保険会社のほうへの監督の中で適宜見られていくということかなと思っておりますので、そのような前提で、義務づけるというところまではいかないということでもよいのではないかと感じております。

仲立人のほうでございますけれども、前回保険のことをお伺いして、今日もどうもありがとうございました。先ほどの4,000万か1,000万かというところなのですけれども、故意の事件がどれだけあるか、先ほど葛石様から、保険料はそもそも受け取れないことになっているので、横領というのも本来ないはずだと。本来ないはずなのですが、やったやつがいたときにどうするかという場合に備えるのが、ここでの問題かと思いますので、もちろんそれはないのでしょうけれども、あったときにどうするか。そのときに、もちろん刑事罰はあるわけですけれども、刑事罰だけでお金が返ってこないということだと、取られてしまった人が困るということなのかなと思っております。

そういうことから、やはりここは考える必要はあろうかとは思っているのですが、他方で、4,000万あれば足りるという保証も、今現在でもどこにもないわけでして、こういう話はどこで線引きをするかというのは、理屈で答えが出る話ではないかとは思っております。ただ、今のタイミングで引き下げるというのが、どういうふうに見られるかという問題はあるのかもしれません。これをやってほんとうに仲立人が新しく増えていく、特に今現在の乗合代理店や、もしくは全く乗り合っていないような代理店がこっちに入ってくるようなことが、ほんとうに見込めるのであれば、それはそれでもいいかなとも思うのですけれども、ここは最後はなかなか難しいご判断なのかなと思っております。

あと、商法の話が出てきましたので、一応マル3のところだけコメント申し上げますと、結約書のところですが、今現在でも商法は契約書を当事者が取り交わす場合には、そこに仲立人が署名すれば、それでこの546条の要件は満たされるという学説があるかと思いますけれども、そういうことを考えますと、そもそも保険契約では保険法上は保険証券の交付が義務づけられているわけですから、それが契約書に相当するものだとしますと、仲立人がつくるということが、そもそも必要なのかなというところからさかのぼって考えてもいいのかなと感じておりまして、ただ、保険会社が作成する保険証券が確実に契約者の手元に渡るということを、どうやって確保するというお話になっていくのかではないかと思います。それは葛石様がおっしゃっておられたように、保険業法に書けばよいような話かと思っております。

あと、媒介手数料を契約者から受け取るというところについてですが、おそらく問題があるとすると、今現在、一般の消費者は代理店に自分がお金を払う必要があるとは考えていない、もちろんトータルでは自分が払ったお金から出ていくわけですけれども、自分がキャッシュを払うということは、おそらく考えておられなくて、それは旅行代理店などの場合でも一緒かと思いますけれども、そうすると、こういうことを認めたときに、仲立人から手数料を払ってくれと消費者が請求されると、不意打ちのような形になって、トラブルがということはあるかと思うのですが、企業の場合であれば、それはそこまで気にしなくてもいいのかなと感じておりますので、そこは線引きの問題として考えればいいのかなと思っております。

以上でございます。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

乗合代理店のほうの話ですが、乗合代理店のほうは追加的ルールという、非常によく考えられていると思いまして、今、乗合代理店に対する、例えば銀行も、町の保険ショップもそうですが、トラブルの多さから考えれば、やっぱり本来こういうことをふだん建前的におやりになっているはずのことを、ちゃんとルール化していただくというのは非常にありがたいことだと思っておりまして、この方向に基本的に賛成でございます。

この中で、そこは賛成なのですが、5ページ目の保険募集人に対する求償云々かんぬんというのは、もともとは募集人がここに書かれていることで、こういう形の整理以外は、今は難しいのだなということを踏まえつつではありますが、もともとは募集人が募集締結上に一定の瑕疵があって、それに対して、どうも直接的に責任を取っているのだか、取っていないのだかよくわからないというような部分があって申し上げた部分ですので、募集人が販売に関して一義的に責任を取ることを、ある程度何らかの形で明瞭化するような方向でお願いできたらありがたいとは思います。

それから、仲立人の話ですが、仲立人がなかなか消費者の保険に登場しないというのは、それはそのとおりだと思うのですが、そういう意味から言うと、私、よくわからないのですが、参入規制である4,000万を1,000万に下げるということで、たくさん参入するのだということがほんとうに行われるかどうか、よくわからないのですけれど、素朴に考えますと、独立して顧客側の代理店として活動なさるということなので、素朴に考えると、何かあったときに保険会社の庇護がないわけですから、独立しておやりになる以上、そこのところの金額を下げてしまうと、これは幾らならいいかはわかりませんけれど、一旦下げると、今度上げるという方向にはなかなか向かいにくいのだろうなと思っておりまして、感想めいたことで申しわけないのですけれど、ここは慎重のほうがよろしいような気がいたします。

以上でございます。

○洲崎座長

沖野委員。

○沖野委員

ありがとうございます。乗合代理店につきまして、私も、ご提案になっている形の方向で検討するのが適切であると考えております。3ページから5ページにかけて、全般的にということです。その際なのですが、ちょっと関連しまして、少し確認させていただきたいことがございますので、2点伺いたいと思います。

1点目は、行為規制と体制整備の際に想定されている、4ページの典型的なタイプに当てはめると、このようなことだけれども、乗合代理店の規模、特性に応じてということが前提とされていますので、典型例はこうだという形で、これ自体も適切な形ではないかと思っておりますけれども、一方で、従前の議論の中に、保険会社がコントロールをし、指導・管理していくという面もあると。その観点からすると、総合判断的になって、どこがどうなるのかということが曖昧だとやりにくいという問題もあり、その意味で、例えばタイプ1とタイプ2に分けて、どっちであるかを明確にするという考え方もあったように思うのですが、その問題は、この考え方の中でどのように対処されることになるだろうかというのが1点です。

もう1点は、他方で、タイプ1の標榜しているようなものが、かなり普及をしますと、例えばタイプ2やタイプ3についても、顧客のほうは、聞いたらいろいろ答えてくれるのだと、同じサービスになるという誤った期待が生ずる可能性もありますので、そのような顧客の誤認防止というのは、どこで図られることになるだろうかという、この2点です。

それで、すみません、仲立人のほうもあわせてお伺いしてもよろしいでしょうか。保険仲立人のほうなのですけれども、丹野委員がご指摘になりました保証金の点で、私も同じ問題意識を持っております。賠償責任保険で代替可能かどうかという点につきまして、そもそも損害が発生する可能性というものがどのくらいあるのかということで、もともとが行為規制等によって、保険料の授受を含めて、それがあまり起こらないようにされているということなのですが、ただ他方で、全ての期待される行政上あるいは司法上の規律を遵守していれば、故意等による損害発生ということはおよそないということになりますので、しかし、そうは言っても、あったらどうかということの備えが、やはりこの部分だといたしますと、こういう形でよろしいのか。

新規参入が最終的な顧客サービスへつながっていく利便性ですとか、選択肢の拡充につながっていくということですけれども、他方でそれは信頼性の確保とあわせてでないと、逆に新規参入ありきというそれ自体が目標ではないので、それなりの慎重さというのが、やはり要るのではないかと思います。

そうしたときに、これは4,000万から1,000万にするというのは、保証金と賠償保険を組み合わせていくということですので、その組み合わせ額の4,000万、1,000万円が果たして唯一のものであるのかどうか、これからの参入の動向などを見ながら、段階的に組み合わせを変えていくというようなこともあり得るのではないか。

例えば、最初は4,000万を3,000万とか2,000万ぐらいにして状況を見るとか、4,000万を1,000万に一気に引き下げるということだけが唯一ではないのではないかと思われますので、そのような考慮もあわせてお考えいただければと思います。

それから、保証金ですとか、保険によるカバーについて、念のための確認なのですけれども、手数料の点で、現在も保険契約の媒介とは別に、顧客のために行ったサービスに対する報酬については、受領が可能だということになっているのですが、例えばこの報酬は受領したけれども、サービス提供せずにトラブルが起こったというような、この部分についても保証金や賠償保険でそもそもカバーされるものになっているのでしょうか。それとも、これは全く別建てなのでしょうか。エキストラのサービス提供に対する報酬部分ということなのですけれども、これは現行法の確認の問題としてお伺いできればと思います。

○洲崎座長

事務局、お願いします。

○伊野保険企画室長

まず1つ目の、どのようにして、どういったタイプの勧誘をしているのかを見分けるのかという点でございますが、まだしっかりとした検討ができているわけではございませんけれども、例えば、金融商品の販売等に関する法律第9条で、勧誘方針の策定をするということになっております。そういうことで、それぞれの代理店において勧誘方針を決めて、それを示していく、公表するということになっておりますので、そういったことを通じて明らかにしていくということが考えられます。

また、推奨販売をするという場合には、例えば届け出義務を課して、行政に報告をしてもらうといったようなことも、方法としては考えられるのではないかということもありまして、少しそこは何らかの形で、お客さんないしは行政も含めて、どういった販売をしているのか、少なくとも、例えば推奨販売をする場合には、自分たちは推奨販売をしていますよということがわかるような形というのを工夫していく必要があるという問題意識は、同じく持っております。

例えばということで、今申しましたようなものが、方法としては考えられるのではないかと考えております。

○洲崎座長

それでは、賠償責任に関して。

○葛石オブザーバー

ご説明をさせていただきます。先ほどのサービスに対する保証も、いわゆる仲立人の賠償保険でカバーされているのかということについて、ちょっとお話を申し上げますと、現時点での保険約款は、仲立人の業務にかかわる行為に起因して、いわゆる賠償請求がなされたときには、支払いますという約款になっております。その中に、どういう行為について有責かという取り決めがございまして、その中は、保険契約の締結の媒介という言葉が入っております。

それから、いわゆる保険契約の維持管理に関する助言、援助とか、あるいは保険事故の受付に関する業務だとか、それから保険金請求にかかわる助言または援助等、契約の締結の媒介から、最終的に保険金の請求に関する援助までの非常に幅の広いカバー内容が、現在の普通保険約款の内容でございまして、今、先生ご指摘のところの、いわゆる保険業法の中で定められて、法律の中に定められておる行為でございますので、私どもとすれば、当然のこととして、この保険約款の中でカバーされているという認識でございます。

それから、先ほどの4,000万の問題について、非常に疑義があるということもございましたので、少しだけ補足をさせていただきますと、今の現行の保証金は、私どもの解釈でございますので、間違っておったら失礼するのですけれども、例えば犯罪に近いような行為とか、そういうようなもの、当然これも含むのですけれども、それにつきましても保証金というのは有責になっているのです。当然、賠償保険の世界は、これは無責になっておりますので、そこに多少違いがあるということは事実だと思います。

ただ、もし私どもの立場から申し上げると、では、なぜ仲立人だけが保証金を積まなければならないのか、そういうものを担保しなければならないのかという根本的なところを、私どもとすれば逆に疑義を感じておるわけです。

と言いますのは、保険会社というのは2つの仕事があって、いわゆるリスクを引き受ける部門、アンダーライターの部門と、それから俗にいう保険を販売する部門と2つあるわけです。それがダイレクトであれ、代理店を通じた販売であれ、当然これは募集ということでやっております。お話の中に、保険会社が保証するのだから、仲立人が積む例えば保証金、あるいは賠償保険は心配なのだというようなご意見があるように思いますけれども、私どもからすれば、保険会社も、大きい保険会社もあれば、極めて小さい保険会社もあるわけでございますから、利用者、いわゆるお客様にとっては、いわゆる保険というものの信頼性のほうが、私は非常に高いものだと思っておりまして、保証金であれ、いわゆる賠償保険であれ、そういうものをきちっと積む。もし、保証金を積まなければいけないというのであれば、同じように保険会社においても積むようなことが、募集上の公平性から言えば、そういうものではないかという想定はしております。

したがいまして、グローバルでは、先ほどから言いましたように、仲立人が保証金を積むというのは通例ではございませんので、ここらあたりは、一挙にそれをゼロにするのは難しいのでしょうけれども、当面引き下げをいただいて、引き下げたところを賠償保険で逆にカバーをするような制度に置きかえていただければと、要望しておるわけでございます。

先ほど言いました、金額においては4,000万がどうなのかということについては、先ほど後藤先生もおっしゃいますように、明確にこうでなかったらいかんのだという基準は、昔からもないと思います。この仲立人制度ができたときからも明確なものはなかった。ただ、この辺ぐらいでと始まったように、私どもは認識しております。したがいまして、正直なところ、参入規制的な要素が極めて強いという主張をしておるわけでございます。

以上でございます。

○洲崎座長

事務局から。

○伊野保険企画室長

保証金のところで若干補足をさせていただきますと、この1,000万円、4,000万円というところで議論になっております、最低限の額ということでございまして、取り扱いの保険が増えていきますと、比例してそれが上がっていくということで、一定の計算式に基づきまして、1,000万円を超えるとその額が適用されるという意味で、通常であれば、多分この1,000万円というところは参入当初に適用されるということで、その後、一定の業容拡大がなされていけば、1,000万円から積まなければいけない保証金は上がっていくという構造にはなっておりますので、そういう意味で、問題が起きて大きい額の賠償が必要になるようなケースですと、多分この1,000万円という状況ではないのではないかなと、一般論として言えるかとは思っております。

○洲崎座長

今のお話の確認ですけれども、仮に1,000万円に引き下げるとしても、保証金の額を1,000万円にするだけであって、賠償責任保険と組み合わせれば8億円まではカバーされる。それが前提でございますね。

○葛石オブザーバー

はい。

○洲崎座長

ただ賠償責任保険は故意について免責となっていますので、仮に故意による事故が起こった場合は、保証金を1,000万円まで下げていれば、1,000万円までしかカバーされないということでございますね。

○葛石オブザーバー

はい。そういうことだと。

○洲崎座長

この点に関して。では、後藤委員。

○後藤委員

今の伊野室長のお話と洲崎座長のお話で一つ確認ですが、業容を拡大すると額がだんだん上がっていくというのは、責任保険で代替できない部分も上がっていくのでしたか。私の勘違いかもしれないのですが、全体として積まなければいけない額は、だんだん受け取った保険料とかに応じて上がっていくのだけれども、ただ上がっていった分は、賠償責任保険契約でカバーができて、ただコアなところの、今で言えば4,000万という保証契約もしくは供託金でやらなければいけない部分は、その業容がどれだけ広がっても4,000万のままという理解でよろしかったでしょうか。

○伊野保険企画室長

すみません。失礼しました。そこはそのままということです。

○後藤委員

そこはそのままですね。わかりました。そうすると1,000万にすると、それは1,000万、故意の場合にも確保されている額は1,000万のままということになりますね。

○伊野保険企画室長

そうです。失礼いたしました。

○後藤委員

ありがとうございます。

あと、先ほどの葛石様のお話ですが、何と何を比較するかというところで、確かにほかの業種と比べるとか、いろいろあるのかもしれないのですが、保険会社の場合には保証金を払う必要はないわけですが、それよりも多分もっと厳しい健全性規制がいろいろかかってきているわけでございまして、そっちがあるからいいのだけれども、それをかわりに仲立人にかけるのは非現実的だろうと私は思いますが、そことのバランスをどうとるかということで、代理店はそういう健全性規制がかかった保険会社がバックに控えているから、そちらが既に現行法上前提になっていたので、それとそろえるために、ほんとうは4,000万で足りるのかというところもあるのかもしれませんが、そこはそこで線を引いたということで、ここの比較は、ほんとうにそれが見合っているかどうかは、また同じように答えはないわけですが、理念としては一応整理ができているのかなとは思います。もし比べるとすると、ほかの例えば旅行代理店などの場合にはどこまでなっているのかとか、そういう比較はあり得るのかもしれませんが、保険会社との見合いということでは、一応理屈では説明がつくのではないかと考えています。

○洲崎座長

家森委員。

○家森委員

2点あります。1つは確認ですけれども、従来からも代理店について当局は監視・監督することができるが、実際には数が多いのでそういうことはほとんど行われていなかったと聞いたように思うのですが、5ページで、乗合代理店に払われる手数料の多寡について、これから当局の検査・監督において検証していくということは、ある程度の乗合代理店については、当局みずからが今後は検査・監督に入るというイメージで考えられているのかを教えていただこうというのが、1点目です。

それから2点目は、今、盛り上がっている仲立人に関してですけれども、経済学者は、普通、参入規制に関しては、入っている側の人たちはなるべく規制を上げておいて自分の既得権を守ろうとするので、下げて競争を促進するのはあまりあり得ない主張だと思うのです。私は基本的に緩和してもいいのではないかと思うのですが、ただ今これまで意見が出ているように、何人もの委員の方々が、顧客の保護が図られるのかという心配をされているという現実からすると、結局これを引き下げたことで、逆に仲立人制度の信頼性が下がってしまう心配がないのかと、現時点では感じております。

そもそも仲立人制度が、今十分マーケットに広がっていないのは、新しい仲立人が入らないからなのか、それだけでしたら、確かに今回こうすると盛んになるかもしれないのですが、現にいらっしゃる方々がぐっと大きくなれないのは、もっと別の理由があるのではないかという気がして、これが今回我々が考えているような問題の解決策になるのかなという点にも、やや疑問も持っていることを付言させていただきます。

以上です。

○小原保険課長

1つ目のご質問でございますけれども、代理店に直接、監督・検査の権限を積極的に行使しようとしているのかというご質問だったと思います。従来、例えば検査でいきますと、保険会社の検査に入ったときにあわせて代理店を見るという形は、基本的にそういうスタイルだと思いますが、ここ数年はそれに加えまして、代理店のみに着目した検査も実際に行っております。それから何か問題等が発覚した場合には、当然それは報告徴求なども行っているところでございまして、今後もそういった方向でいこうと思っています。

○洲崎座長

5ページでは、「手数料開示について」のところで、「当局の検査・監督において検証していくこととしてはどうか」とあり、最後の「その他」のところで、「乗合数の多い代理店等には業務に関する報告書の提出を義務付けることとしてはどうか」とありますので、このあたりの組み合わせですかね。乗合数が多いところについては、どういう立場で販売するのか。まさに扱っている商品の中から顧客にとって最適の商品を選んで売るのですよと、そこまでそれを標榜して売るのかを、報告書の提出によってその販売姿勢を明らかにさせた上で、そこまでいって売るところについて、やはり検査・監督も厳しくなるのだろうとは想像しております。

では、神戸委員。

○神戸委員

ありがとうございます。

前半の乗合代理店についての進め方は、私もこの方向で間違いないと思いますが、おそらく議論が必要となるのが、4ページの一番上にあります「乗合代理店の規模・特性に応じた体制整備を求める」という、「規模・特性」が具体的にどうなるのかというところだと思います。どれくらいの規模の乗合代理店までこの方法を適用するのか、さらにフランチャイズ形式のものについて、どう対応するのかというところについては、いろいろな意見が出そうな気がします。

それから仲立人制度に関してですが、ご要望にある保証金の最低金額の引き下げは、契約者保護の観点から問題がないものについて緩和するという趣旨に照らすと、私もやはり問題なしとは言いにくいかなと思います。引き下げた分については保険で代替されるということですが、例えば保険ではカバーされない故意のものについて保険仲介人協会さんが、少なくとも協会加盟会社の分については対応する仕組みを、各社からお金を集めるなり何なりして作られるといったような、契約者の保護に関して後退しない形で、同時に各社の負担が減るという工夫をされることが必要なのではないかと思います。

今回の論点の中には入っておりませんが、強くご希望されている要望2の代理店との兼営については、今でも別会社で生保の代理店をやられるのは可能だと思うのですが、もしも兼営した場合、バイヤーズエージェントだということで名刺を渡して説明した上で、ここからは帽子をかぶり直して今度はセラーズエージェントですというのでは、お客さんにしてみると、誤認が生じないように幾らなさるとはいっても、区別がかなり難しいのではないかと思います。少なくとも違う名刺を使って、違う社名でという形が、現状では限界かなと思います。

以上でございます。

○洲崎座長

兼営に関していうと、賠償責任の観点からも少し難しいのではないかと思います。例えば、4,000万円の資本がある代理店を考えた場合に、代理店としての活動と仲立人としての活動をして、代理店としての活動で4,000万円の損害賠償責任を負った場合には、それで仲立人としての保証金に当たる部分は消えてしまうわけですから、代理店としての活動については保険会社が仮に283条で責任を負うとしても、求償される可能性は十分にありますので、兼営するという点については、なかなか難しいのかなという気はいたしておりますが。

ほかに。では米山委員、どうぞ。

○米山委員

仲立人に関して2点と、あと一つ、先ほどのメルクマールについて確認したいことがあります。

仲立人に関しては、先ほど家森先生から指摘がありましたけれども、何が解決策かというのが結構難しいのですが、もともと使えない制度をつくったということを考えますと、今の時点では、できるだけ参入障壁を下げて使いやすくするか、あるいは廃止するかどちらかではないかなと考えております。個人的にはできたら前向きに考え、廃止するよりは使えるようにしたほうがいいと思います。せっかくできたものですから、原則としては不必要な規制をなくして、できるだけ保険販売チャネルを効率化するための一つの手段になればいいということから、2点、意見というか質問がございます。

1点は供託金ですが、供託金に対してシビアな意見が多いのですけれども、私は故意とか犯罪を前提にしてこの制度をつくったのだったら、もっと供託金を積むべきだと思います。しかし、この供託金は、もともと業務の中で忠実義務を果たせないことによって生じた賠償責任に対して対応するという趣旨で設けられたと思います。ですから、忠実義務を果たさないことによる賠償責任に対しては、供託金のみで縛るという発想からはなれて、もっと柔軟な方法を図ることが適切、合理的ではないかと考えています。額が幾らかというのは難しいですけれども、この忠実義務ということに絞るならば、損害賠償の手当てさえできていれば、それほど大きな額は必要ないと思います。

一方で、契約者保護を重視するという立場から、もし仲立ち人の故意により損失をこうむったらという心配があります。しかし確かに契約者保護は大事ですが、以前に葛石委員から統計が示されましたが、実際の仲立人による保険マーケットは極めて小さいという現実があります。契約者保護という以前に大変小規模なマーケットですので、まずは現在の仲立ち人制度を活性化し、使いやすくする方向を考えることが重要ではないかと考えています。そのため過度な契約者保護の立場から供託金を維持することに関しては、あまり賛成できません。

第2点は役員の兼任ですが、先ほど葛石委員のご意見ですと、仲立ち人に転換するときに兼任が有効だとおっしゃっていましたけれども、単に移行期に必要なものであれば暫定的な措置で可能ではないでしょうか。代理店から仲立ち人に移行後になおかつ役員の兼任が必要なのかというと、私は少し否定的です。契約者の誤認もありますし、保険会社との業務上との問題もあろうかと思います。一方で契約締結権のある代理店の顔をし、他方で締結権のないバイヤーズエージェントであり、それが同一の役員であるとなると、契約者からだけではなくて保険会社からも問題があると思います。そこで移行期に暫定的な措置として必要であるというならば理解できますが、未来永劫的に葛石委員のいう「兼営」が必要であるということは、説得的ではないと感じた次第であります。

3点目は、先ほど梅﨑オブザーバーのメルクマールの危惧の点ですが、潜脱防止については確かにおっしゃるとおりだと思うのですが、3ページの、メルクマールを画一的に当てはめることによって事業規制の潜脱を容易にしてしまうという点について1点だけ確認させてください。

○洲崎座長

保険募集の話はこの後でお願いします。

○米山委員

はい。これは後にします。どうもすみません。

○洲崎座長

では錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。

保険仲立人の保証金、今議論が大分進んでいるところですが、私は今、米山委員がおっしゃられた方向性と同じ方向性を持っておりまして、保険仲立人の保証金を考えるに当たって、やはりポイントの1つは、葛石オブザーバーがおっしゃられたのですが、保険仲立人は人からお金を預かる存在ではないというところです。それともう一つは、8億円まで賠償責任保険で担保されている。故意は担保されないわけですが、しかし故意のものはあまり起こることは想定されないと思うのです。ベストアドバイス義務を尽くしていく上で、そう想定されないわけですし、カバーしたいものは保険でカバーされるのが通常だと思います。

私ども、自分のことですが弁護士も、弁護士は仲立人と違って人からお金を預かる存在でもありますし、一方で人にアドバイス、公正中立な立場から人にアドバイスをする、その人の立場に立ってアドバイスをするところは、仲立人とよく似ている職種ですけれども、こういう保証金制度は導入されていません。一定の資力の確保は必要と思えるお金を預かる存在でありながら、そのような規制は存在しないわけです。そこはやはり弁護士個々人の倫理や法律的な能力でカバーしております。

それからよく似ているのはないかと思って探してみまして、宅地建物取引業は建物の売買などの代理媒介を行う。媒介を行う意味において少し仲立人に似ているわけです。これにも営業保証金という制度が導入されています。これが幾らかといいますと、主たる事務所で1,000万円、その他の事務所は事務所ごとにプラス500万円の割合で積みなさいということになっています。そういう意味では、1,000万で、今回の当局の提案と似ていますし、どこにこの線引きをするかはなかなか難しい問題ではありますけれども、1,000万円というのも合理的な結論の一つではないかと思っております。

以上でございます。

○洲崎座長

山下委員。

○山下委員

ただいまの保証金の点については、いろいろな議論はあるのですが、一つ参考になるのは、既にこのワーキングの最初のほうで説明があったのかもしれませんが、今少し記憶にないのですが、外国の規制ではこのあたりはどうしているのか、それとの比較も一つの視点かなと思います。その際に、なぜ日本で仲立人があまり広がっていかないのかというあたりに関しては、この制度ができたころ、イギリスのブローカーなどと比べると、保険料を顧客から受領できないとか、いろいろ縛りをかけていたと思うので、どういう業務を日本では規制・制限されている、そのあたりの比較も踏まえながら、少しこういうビジネスについて大体グローバルにはどの程度の要求をしているのかを比べてみるのも、一つの視点かなと思ったところでございます。

それから乗合代理店のほうは、委員の皆様方、大体今日の3ページから5ページのまとめでご賛成の方向かと思いまして、私もそれで結構かと思いますが、なかなか微妙なのは4ページのタイプ1で、推奨する際には推奨する理由を説明するということで、それで大変結構なことだと思いますが、この当該お客さんのニーズに合致しているので推奨するという説明がきちんとつくことと、その説明はつくけれども、やはり報酬の多寡も代理店にとっては重要な動機になっている。これは論理的には両立し得るので、ほんとうの動機にそういうところが仮にあったとすると、推奨理由は一応論理的に成り立つとしても、やはり一種の不実表示があるのかなという気もします。そこは相当微妙なので、今断定的に申し上げる気はないのですが、そんな問題もあり得るということは考えて置いてもよいと思います。

それに関係して、やはり手数料開示を一律に義務づけるのは困難だろうという5ページのまとめは、それはそれで現状と照らしてやむを得ないかなと思いますが、やはりここに書いてある当局の検査・監督で十分モニタリングすることが必要で、そういう中で見ていくと、推奨理由を述べて推奨しているけれども、見えないところではこういうこともあって、やはり不適正なことが一応あるとすれば、そこは当局として何か考えていただくということだろうと思います。

その次の保険募集人に対する求償についても同様なことかと思うので、募集上の法令違反行為があれば事故届として当局に届けが行くのかもしれませんが、募集に関する損害賠償責任が民事的に追及される、これが当然に事故届の対象になるかどうかというのは、何か微妙なところがあるように伺っていますので、このあたりも、求償のところでは当局の検査・監督において検証とは書いていないのですが、少し何かフォローというかモニタリングをする必要があるのかなという感じを持っております。

○洲崎座長

田島委員。

○田島委員

乗合代理店に関しましての追加的ルールの具体的内容は、ご提示いただきましたとおりで妥当だと考えます。またタイプ別に1、2、3と例示していただいておりますが、このような形で分類しますときに、指導・監督の実効性を担保するためには、やはり先ほどお話のありました届け出制のようなルールを、新たに考えていただくことが適当ではないかと思います。

それから手数料開示につきましては、私はできるだけ開示されることが望ましいと思いますけれども、なかなか手数料の組み立てが、いろいろなパターンがあって公正に比較することが難しいという現状もあるようでございますので、当面はこのような当局の検査・監督における検証という形での対応で、始めていただくのが望ましいと考えます。

保険仲立人の問題につきましては、私は、仲立人が飛躍的に増えて、消費者のためにその立場でよい商品を選択することが一般的になることを望んでおりますけれども、保証金の最低金額の引き下げの問題については、現時点で反対でございます。やはり消費者保護という観点は大事なものだと思いますし、また犯罪については別枠だというご意見もございますが、例えば故意による忠実義務違反となりますと、背任罪となるわけでございまして、そんなに明確に線引きしてそれを対象外にしているとも考えられませんので、そのあたりも視野に入れて、現状特にこの4,000万を1,000万に引き下げなければならない理由も考えられないと思いますので、これは維持していただきたいと考えております。

以上でございます。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

長時間ご議論をいただきましたけれども、本議題につきましては、まだ一部ご意見が分かれているところもございますが、基本的には事務局の整理にご賛同いただく意見が多かったかと思います。一部ご意見が分かれているところについては、とりわけ山下委員からご指摘いただいた、外国との比較についても少し考えてみてはどうかという整理もさせていただきたいと思いますが、基本的にはこの事務局の整理をベースにして、今後、報告書の取りまとめに向けた作業を事務局に進めていただきたいと思います。

以上で、よろしゅうございますか。では、堀井参考人。

○堀井参考人

私ども、4ページの話でございますが、日常、我々の乗合代理店の業務を行っているのは、ほとんどがタイプ1に該当します。これを少し、現場でのイメージも含めまして考えていたわけですが、基本的には当該商品の推奨理由を説明ということで、日常の業務の中でも、これは比較的口頭レベルではされているケースがかなり多いと認識をしているのですが、現実的には、合致する商品全てを提示する場合はニーズに合致している旨を説明、さらに絞り込みを行った上では当該絞り込みの理由となりますと、ほとんどが当該絞り込みの理由のほうに多分いくというのが、イメージとして近くて、例えば5社の乗り合いをしていると仮定しまして、医療保険のニーズがあったことになりますと、この5社全てを開示することをもって、ニーズに合致しているという旨を述べるという意味だと理解しているのですが、現実的に、これは意見といいますか質問に近いのですが、当該商品という定義が、医療保険といいましても、1つの保険会社でも例えば3種類、5種類の医療保険を販売されているところも存在いたしますので、5社あれば5つ説明していいのかというと、1社に対して3つの医療保険という商品があれば、掛ける3というものでもって、全てを開示してニーズに全て合致しているとみなすのか。このあたりの具体的な現場での運用のところは、どのように解釈した上でこういう表現になっているのかが、少し理解しづらいのです。

それを踏まえますと、これは乗り合いのみの問題なのかというところになってきまして、例えば1つの保険会社専属でも、医療保険というニーズに対して3つなり5つなりの商品を販売されているところがあれば、そのそれぞれになぜそれがニーズに合っているのかという説明をしなければ、多分お客様の視点だけで判断すると、納得がいかないという判断にならないでしょうかというところが、逆に皆さんの印象とかご意見をお聞きしたいところかなと思っているのですが。

乗り合いをしていれば、それぞれの保険会社の商品を全て開示するということと、1つの保険会社の商品でも、医療保険なら医療保険で幾つものパターンの商品を販売されている。お客様の立場からすれば、1社であっても3つなり5つなりの商品を全て開示することが、趣旨としてはそのようになってこないでしょうかというところを、どのように捉えられるのか。これから我々がこういう形になっていくことそのものについては、さほど違和感はないとは認識しているものの、その解釈についての何か定義をどのようにされるのかを少し聞きたいと思いました。

すみません、長くなりました。以上です。

○伊野保険企画室長

ここで想定しておりますのは、通常は大体絞り込みをした上で販売されるということだと思いますので、その際は絞り込みの理由をしっかり説明してくださいというのが基本だと考えております。逆に、その絞り込みの理由を説明しない場合は、唯一あり得るのは、ニーズに合致する商品を全て机の上に並べる場合だけだというのが、ここの基本的な発想です。そういう意味で、絞り込む以上はその理由を説明する。それを説明しないケースは、繰り返しになりますが、ニーズに合うものは全て一度お示しいただくケースのみということです。

その中で、保険会社の中で似たような商品が幾つかある場合もあるということで、ただ、やはり何らかの微妙なニーズの違いに応じて商品性が違っているというのが、本来のあるべき姿だとは思うのですが、実際そうなっていないケースがあるのかないのか、細かくは私も存じ上げませんが、そういう場合であって、基本的なニーズに合致するものがあれば、そこはニーズに合っているものがあるのであれば、一旦は並べるということではないかと思います。その中で、繰り返しになりますが、そんなことを5掛ける3で15、机の上に載っても困りますというのが通常だと思いますので、通常はそこで販売される募集人の方が絞り込みを行って、理由をしっかり説明していただくのが、通常のケースではないかと考えております。

○洲崎座長

よろしゅうございますでしょうか。

これに関連してですか。では、錦野委員。

○錦野委員

今、堀井参考人がおっしゃられたところで、確かに顧客の立場から見た場合には、保険会社が複数社であっても、あるいは保険会社が1社であっても、医療保険という分野で3つの商品がある場合には、乗り合いであろうが、通常の1社の営業職員であろうが、同じような要請はあるのだと思いますし、それがこの分類の中で、別途、乗合代理店でないほうの通常の推奨理由の説明などのところでカバーされるのかもしれません。しかし、私はいずれにしましても、今の堀井参考人の意見には非常に賛成でして、顧客の立場からやはり見るべきだと思いますし、それを見た場合には、同じような要請はあるのだろうという感覚を持っております。

以上でございます。

○洲崎座長

それでは、村田様。

○村田オブザーバー

手短に申し上げます。

タイプ1、2、3の区分について、代理店を指導・監督する立場にある保険会社としては、実務的に混乱することは避けたいと思っております。原案、事務局ペーパーによりますと、タイプ2、タイプ3の代理店であっても、顧客の求めに応じて推奨するのであればタイプ1と同じとされています。求めを受けることは当然、どのタイプの代理店にもあり得ますので、求めに応じる場合には結果的にタイプ2、タイプ3の代理店がすべてタイプ1と同じ体制整備をしなければいけないことになるとしますと、意味がない区分になってしまいます。私自身は、そういう趣旨のご提案ではないと理解をしていますが、この理解のとおり、ご提案いただいたメルクマールによって区分が客観的に定まる、外形的にはっきりわかると考えてよろしいでしょうか。たとえば、先ほど伊野室長からご説明いただいたように、比較販売方針を策定して公表するなどして、外形上もタイプ1であれば、タイプ1のルールを適用する一方、外形上そうでなければ、たまたま顧客に求められて推奨したからといって、あらかじめタイプ1と同じ体制整備をしなければならなかったということになるわけではない、このように考えてよろしいでしょうか。もちろん適切な説明が必要であることはどのタイプであっても変わりがないと理解をしていますが、これまでの議論を十分踏まえた上で、確認的に質問をさせていただいております。

○伊野保険企画室長

例えば車のディーラーが、最初にお買いになられる方に対して自動車保険をお勧めになるケースで、「通常ここの会社を勧めています」というときに、「別のところはないのですか」と求められた場合、全ての人が多分それに対応されるというよりは、むしろ「では、誰それさん、出てきてください」という形で、募集店側で比較するときにはこの人にお任せするということであれば、その人だけが比較販売できる状況になっていれば十分だと思いますし、いろいろな販売形態に応じて様々だと思います。保険ショップのケースであれば、多分全職員の方がしっかりと比較販売をされているということだと思いますし、通常はあまり比較販売をしないというケースであれば、別に全ての職員の方が比較販売に対応されているわけでもないと思いますので、そういう状況に応じて、全ての人がそれだけの勉強をしていただく必要はないと思いますし、個々の状況に応じて必要なことをやっていただくということではないかと考えております。

○洲崎座長

では、加藤委員。

○加藤委員

今の件で。すぐ終わります。先ほど私が質問したのは、まさにその点です。体制整備義務は、組織全体に係ってくるはずだと認識しています。

仮に、こっちの商品群は比較をやっているが、こっちの商品群ではやっていない。ある保険商品群では完全に比較行為をやっていないのであれば、商品群ごとの体制整備という考え方もあるのでしょう。しかし、仮に、例えば自動車保険の商品群で、1%でも比較行為をやっているのだとしたら、室長がおっしゃったように、比較行為をやっている販売員だけで合理的な区分をして切り分けることができればいいですが、そうできないなら体制整備義務は代理店組織総体に対して掛かっていくものだと認識しています。この意味で、村田さんがおっしゃっているのと全く違う認識で、私はこの事務局案に賛成だと申し上げましたので、そこは記録に残していただければと思います。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

残り時間が20分ほどしかございませんけれども、もう一つの論点についてご議論いただきたいと思います。資料1の8ページから15ページにあります、保険募集の範囲の取りまとめの方向性及びこれに関する追加的な論点について、ご質問、ご意見をお願いできればと思いますが、先ほど、米山委員がこの点について既にご質問されておりましたので、米山委員から。

○米山委員

簡単に1つだけ確認させていただきたいと思います。梅﨑委員の資料の3ページで、募集規制の潜脱についてはおっしゃるとおりだと思うのですけれども、ここでご心配されている根拠が、メルクマールの「マル1またはマル2」なのでご心配されているように思います。ところがこの二つのメルクマールの関係が「マル1かつ/またはマル2」であるならば、どちらかが問題であれば禁止されうるということになります。そこで文面通り「または」なのか、「かつ/または」なのかを確認させていただければと思います。

○洲崎座長

まず事務局からお願いします。

○伊野保険企画室長

募集に該当するかどうかという意味であれば、マル1かつマル2ということですので、両方を満たす場合が募集に該当するということでございます。ただ、先程も説明いたしましたけれども、募集の潜脱という観点からは、募集人がやっていることだけではなくて、その前の段階で募集関連行為従事者のされている行為も含めて考えると、そこで募集規制違反になるようなケースは、基本的には募集人側の体制整備義務違反となると考えておりますので、そういう意味では、「かつ」なのか「または」なのかということと少し外れますが、いずれにしろ一体として問題があるようなものは、やってはいけないということには変わりないと考えております。

○米山委員

わかりました。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

今のメルクマールをどうするかというところでございますが、梅﨑さんからの資料の3ページでしょうか、確かに、何とか会社はいいですよとか、何の根拠もなく言っていて、それで頭ができ上がってしまうという問題があるのかもしれませんが、3ページの下半分に書かれてありますように、総合的な判断で判断することになりますと、募集行為に当たるのを登録しないでやると刑事罰がかかってきますので、総合判断でやりますというのは、多分、罪刑法定主義の観点からだめだと言われる可能性が高かろうと思います。もしこういうことをやるのであれば、具体的な保険商品の推奨説明を行うもの、または特定の保険会社を推奨するものとすることはあるのでしょうけれども、それがいいかどうか私は判断しかねますが、やはりここは総合的にというのではなくて、基準ははっきりとしておかなければならない話かと思っております。

もう一つですが、今の米山先生のお話で、マル1だけでいいかというと、高額の報酬をもらっていれば、それですべからく何か問題かというと、そこはいろいろあるだろうと思っていまして、どういう場合に高額な紹介料を払うかよくわかりませんが、保険商品の中身を説明しなくても、ほんとうに入りたがっている人か、冷やかしかということを選別することが何かの仕組みでできるのであれば、その情報に対してお金を払うことは十分合理的なわけでして、ただ、それでそこに若干の怪しさはあるかもしれないとすると、それを一律で刑事罰がついてくる規制をかけるよりは、今の当局のご提案のように、外縁部分にしておいて、そこは問題があることをやっていないかを、きちんとチェックさせるというような形でよいのではないかと感じております。

もう一つ、ご質問ですが、最後の13ページのところでして、特別利益の提供を外縁部分の人がやったときにどうなるかというお話で、先ほど伊野室長からお話があったのは、私を経由して入ってくれたら、私からキャッシュバックがいきますという、入ったらという条件がついているので、これは確かに潜脱だろうと思われるわけですが、よくあるのは、入らなくてもいいので、話を聞きにさえ来れば、クオカード1,000円を上げますみたいなものがあるかと思うのですが、これは大体「契約しなくてもいいから」という点が強調されているかと思っておりまして、そういう場合には、おそらく特別利益の提供の趣旨が当てはまりにくいようにも思うわけですが、そこは潜脱とまでは評価されないという理解でよろしいでしょうか。

○伊野保険企画室長

非常に限界的な事例だと思いまして、にわかに絶対こっちですという自信が正直ございません。そこはよく詰めなければいけないと思っております。一般的には、明らかに先ほど申したものよりは違法性は薄いのだろうと思いますが、その薄さがどの程度なのかというのは、有識者の方々のご意見をお伺いする必要があると考えております。

○洲崎座長

では錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。

当局の資料の9ページに、募集行為の概念を書いていただいているわけですけれども、後藤委員と同じ意見を持っていまして、やはりこれは刑事罰の対象ですし、現状の監督指針の記載ぶりからしても、必ずしも一般の人がこれは募集行為なのかどうかは、非常にわかりにくい状況になっているわけです。そういうものは一定の限界はあるのでしょうが、望ましい状況かといえば、そうではないのだと思います。ですから、私の願いとしては、これが少しでも明確化すればいいかなと。そういうことでは、9ページ、マル1マル2が「かつ」という条件で結ばれておりますので、そういう意味では非常に、少なくとも現状よりはものすごく明確になることだと思います。ただ一方で、「総合的に判断」と本文に書いてありますので、ここに一定の懸念は覚えるのですが、少なくとも現状よりはよくなる、明確になるという意味では賛成させていただきたいと思います。

一方で、少し当局資料の12ページに紹介行為のことが書かれておりますが、保険業界はともかく、他の業界では非常にビジネスマッチング業務が盛んに行われているなという印象を、私が弁護士として業務を行っていて、非常に、そういうところに接する機会は立場上本当に限られている中でだとは思うのですが、そのような印象を持っております。クレジットカード会社一つをとっても、さまざまな顧客紹介業務に自分が紹介したり、あるいはされたりというのに関わっているわけです。そういう顧客が一定のサービスを求める場合、そのサービス提供者を紹介してあげる行為は、いろいろな見方もあるのかもしれませんが、素直に考えれば顧客の利便性に資する行為でありまして、私は望ましいのではないかと、銀行もやっておりますし、考えております。その顧客紹介業務はいろいろなものがあるのですが、営利目的のものから公益目的のものから、さまざまなものがございますが、いずれにいたしても、近時の流れとして何年か前に比べますと、3年前、4年前に比べまして、こういうビジネスが広く普及していて、国民からも受け入れられていることは認識すべき前提ではないかと思います。

それで私が恐れるのは、この募集行為概念が広がっていって、世の中で広く行われているビジネスマッチング業務の枠の中から、保険会社を紹介してもらうことが、なぜか保険会社だけ抜け落ちてしまうようなことを、すごく気にしてしまう、心配してしまうわけであります。保険会社だけですね。例えばある銀行を紹介してくださいと言えば、紹介してくれるわけですけれども、保険会社だけは紹介してくれない。保険会社だけがこの世の中の流れから少し疎外、除外されてしまうようなおそれを持っております。そのようなこととなれば、利用者の利便性の観点からも疑問ですし、日本の保険業の発展のためにもマイナスなのではないかと。極端なもの、怪しいものは別にしまして、通常の適切なビジネスマッチング業務、特に保険会社を紹介してくれるような業務、顧客紹介業務を阻害しないような形での結論を、強く私は要望する次第であります。

以上でございます。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

9ページの募集行為の要件については、総合的に判断するしかないなとは思いますが、それでもよくわからないことが2つあります。マル1の報酬についてですが、保険会社または保険募集人等からの報酬というのは、保険会社が直に報酬を出しているときはわかるのですが、保険募集人が報酬を出していることについて、保険会社が必ずしも把握しているかどうかわからないことがあり得ます。その場合でも、マル1は、保険募集人等からの報酬があれば、これは当てはまるという趣旨かと理解しました。何か無理があるのではないかという気がします。それからマル2は具体的な保険商品の推奨・説明ということについては、例えばこちらの会社のほうが大手だからいいですよとか、あるいは民間よりもかんぽのほうがいいですといったような、会社の勧めという意味での相対的なお勧めと、ここで言っている具体的な保険商品というのは違うわけですよね。もう少し細かく、個々の商品を比べた推奨を想定されているのだと思います。そうすると、マル1マル2の要件もグレーゾーンがある中を、合わせた数で総合的に判断していくということになると、要は、確かに最後は総合的に判断するしかないとは思いますが、これで何と何が募集行為に該当して、何と何が外れるかというのは、きちんと外から見てわかるようになるのかは、かなり疑問だと思うのですが、いかがでしょうか。

○伊野保険企画室長

何事にもどうしても、どこが限界なのかという問題がございますので、そこはやはりいろいろな面で考えないといけないということだと思いますが、マル1につきましては、基本的には保険会社ないしは募集人から報酬を受けている、あとは、どこまで高い報酬だったらいいのか、悪いのか、どの程度なら広告費程度だと考えられるのかは、それぞれの時代時代というのもあると思いますし、ケース・バイ・ケースということもあろうかと思います。ただ、基本的には何らかの報酬を受けていることが前提ですとは言えようかと思います。マル2は、基本的には推奨・説明を行うということですので、比較的こちらはわかりやすいのかなとは思っております。

○洲崎座長

マル1の報酬の受領に関しては、実際に募集行為というか、マル2の行動する人にとっては、自分が受け取る報酬が保険会社から来ているのか、あるいは募集人の考えだけで支払われているのかはわからないかもしれませんが、保険募集に関連して自分がこの報酬を受けることはわかると思いますので、そうである以上は登録を受けて募集をしてくださいと。それを登録せずに募集すれば、無登録募集として罰則の適用がありますよということだと思いますので、保険募集に関連した報酬であることがわかれば、それで大丈夫ではないかという気がいたします。

では、神戸委員。

○神戸委員

おそらく本日の梅﨑部長様からのプレゼンの中にありました危惧ないしご懸念というのは、私が存じている範囲ですと、以前、職域などの営業に関して、企業が社員の紹介を行うという仕組みで、保険会社さんや代理店から別途コミッションなどを受け取っていたようなケースがあり、応じない保険会社さんがその職域から締め出されるみたいなことにまでつながってしまい、慣習化してしまったということがあったようです。それがせっかく一度きれいになったといいますか、禁止された状況であったのが、今回の議論で逆に、ちょうど梅﨑部長様の資料でいけば3ページのメルクマールで出ています、マル1かつマル2でなければよいということだと、とにかく保険商品の推奨・説明をしなければ、紹介しただけでは募集行為に当たらないわけで、再度同じようなビジネス形態が復活してしまいかねないと危惧しておられるのではないかと思います。ネット上のサイトなどで顧客に商品の説明をせず、顧客の情報を代理店などに渡して紹介するだけならば、募集人に当たらないでオーケーというのと、仕組みとしては同様の形態と考えられますので、「かつ」条件だけで判断するということだと、かつて紹介料を支払っておられた保険会社さん側にそういう懸念が生じるのも理解できるのですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。

○伊野保険企画室長

募集行為に該当するかどうかで、紹介をされている側の人に刑事罰がかかるかどうかという点については、募集に該当しなければ刑事罰にはならないとは考えております。一方で、先程申しましたように、募集人と募集関連行為従事者、紹介をしている人との行為を一体として捉えた場合に、保険業法に違反するようなケースは、募集人側の体制整備義務違反になります。今のようなケースですと、一般的には構成員契約という形になっていくのではないかと思われますので、そういったことであれば、当然募集人側に問題があるということで、募集人側の体制整備義務違反になり、当然そういうことはやってはいけないという結論になっていくのではないかと考えております。

○洲崎座長

梅﨑様。

○梅﨑オブザーバー

若干誤解を招いているかと思いますので、確認で発言をさせていただきます。基本的には我々といたしましては、今回事務局から9ページでご提案いただきましたマル1マル2のメルクマールを、個別具体的に該当するか否かを総合的に判断していくということは賛成でございます。その点をきちんとご理解いただくために、今回説明させていただいた次第でございます。

以上です。

○洲崎座長

では、家森委員。

○家森委員

一つだけお願いします。少額短期保険協会からの資料の最後のページに「募集と広告の認識について」ということで、「FPが商品を紹介し原稿料を支払うような形態まで募集とするのは実態にそぐわない」と書かれていますが、今回の今日の事務局のご提案は、こういうことになるのでしょうかということだけ、少し気になります。

○伊野保険企画室長

FPの方に原稿料を払って商品を紹介してもらうというケースですと、少しここの内容がどういったものを想定しているかということだと思いますが、一般的に自社のパンフレットにFPの方が書くということであれば、そもそも別にFPの方は自分がお客さんに対して紹介しているというよりは、むしろ単に広告の中に現れているというだけですので、普通の少短業者としての広告そのものという位置づけになるのではないかと思います。そういう意味では、原稿料を払って、自社の広告の中に「何々少短の広告です」とはっきりわかる形で出ていただく分には、多分問題とはならないのではないかと考えております。

○洲崎座長

五十嵐さんは、ここでおっしゃっている「FPが商品を紹介し」というのは、少短業者のパンフレット等に原稿を書いてもらうというケースを想定されたものでございますか。

○五十嵐オブザーバー

はい。ここでは当然いろいろなケースが想定されると思うので、例えばということで出させていただいているのですが、例えば雑誌等で記事を書いていただいて、その原稿料ということもあるかと思います。その辺のいろいろな微妙な境界線はどのようになるのかなということでの、一つの問題提起として出させていただきました。

○伊野保険企画室長

今のようなケースですと、雑誌にFPの方の名前で記事を書く。それに対して裏で原稿料を払っている、原稿料というのか、お願い料を払っているというのは、正直いかがなのかなというのが、一般の考え方ではないかと思います。そこはやはり「広告です」と正々堂々と銘打ってやっていただくというのが、社会的に一般常識ではないのかなと考えております。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

梅﨑オブザーバーの資料のページ2に、法人紹介代理店がございまして、私もこれをきちんと理解できていないかもしれないのですが、私の理解ですと、これは単なる紹介者が法人という意味ではなくて、むしろ会社とか関連会社がその従業員に生命保険商品を紹介する、その会社が、例えばそこの従業員に保険会社が保険を進めようとした場合に、場所代みたいなものを取って、それを払わないと出入りを禁止したり、独占禁止法とか何か圧力募集的な、そういうのが行われたりですとか、あるいは会社が例えば代理店になっている場合に、別の営業職員さんを募集人扱いにするのですけれども、結局、紹介料名目で会社のほうにお金がキックバックされることによって、構成員契約規制が潜脱されたりと、そういうところの問題意識が当時の中心だったのではないかと考えております。

ですから、単なる紹介者が法人という場合ではなくて、むしろ会社がその従業員に対して紹介するときに保険会社から紹介料をもらえる、そういうスキームではないのかなと私は思っておりました。それでないと、単なる紹介をする場合にという意味だと、どうして法人だけ、こういうふうに留意点として指摘されるのかというのが、いま一つよくわからないところがあります。もし誤りがあるのであれば、委員の間で共通認識を持ちたいと思いますので、教えていただければと思い、発言させていただきました。

○石川オブザーバー

先ほど梅﨑からも申し上げましたとおり、法人紹介代理店というのは、法令などに定義がある言葉ではございませんので、私どもから解釈をお話しするということは差し控えたいと思っております。先ほど梅﨑から申し上げたような一社専属規定の適用がかからず、免れてしまうような行為や場所代の話のような問題の事例が発生したということが事実でございまして、それが収束に向かったというのが事実でございます。

○洲崎座長

資料3の2ページの一番下のところに、監督指針が引用されていますけれども、結局、先ほどのマル1マル2をメルクマールとして、募集行為を定めた場合に、この監督指針がどうなるのか。そのまま生き続けるのか。私は別に生き続けてもおかしくはないと思うのですけれども、ただ、ここで言う法人等に対してというのは、法人形態をとっている代理店一般ということではないと思います。先ほど錦野委員がご指摘になったように、多数の従業員を抱えている会社が実質、その紹介代理店的な行為をする場合を指していると思いますので、この監督指針をどうするかについては、また整理していただくということで、どうかと思います。

はい。では、山下委員。

○山下委員

紹介行為というのは従来、先ほどの法人代理店の監督指針や何かに出てくるようなことはあるのですけれども、基本的にはあまり法令上位置づけが明確でなくて、それがかえって、いろいろ柔軟なビジネスを展開できるという意味もあったと思うのですけれども、今回のご提案では規制体系のどのレベルなのかというのは別として、一応制度的にも紹介行為の位置づけ、それからどういうものが不適切な行為か、そこが少し整理されて、明文化されるということになるのかと思います。それは大変結構なことだと思いますし、また、明確化を図ることによって、先ほどの錦野委員のご懸念されていたような、逆に不適正でもないビジネスを不当に阻害しないようにする、そのあたりの整理もついていくのかなと思います。

今後もいろいろ世の中に知恵のある人はたくさんいるので、そこはまた柔軟に規制を追加できるとか、実態に応じた規制の体系を整備するというのが必要なのかなと思いました。

○洲崎座長

ほかにご意見ございますでしょうか。

よろしゅうございますか。それでは、第2の論点についても、基本的には事務局が提示した取りまとめの方向性にご賛同いただく意見が多かったと思いますので、これをベースにして、報告書の原案の作成に向けた作業を事務局に進めてもらいたいと思います。

最後に次回の会合に関してですが、第10回会合において議論いただきました「保険募集に関する行為規制・募集文書のあり方」及び「保険募集に関する行為規制の適用除外のあり方」について議論をしていきたいと思います。

それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)

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