金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」(第13回)議事録

1.日時:

平成25年4月4日(木曜日)9時30分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○洲崎座長

ただいまより、保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ第13回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、川島委員がご欠席となっております。

それでは、議事に移らせていただきます。

本日は、前回会合において議論を行った「保険募集に関する行為規制・募集文書のあり方」の取りまとめの方向について確認を行うとともに、「保険募集に関する行為規制の適用除外のあり方」及び「保険商品・サービスのあり方」に関する課題について、論点の整理を含めた議論をしていきたいと思います。

それでは、本日の議題に関しまして、事務局より資料のご説明をお願いします。

○伊野保険企画室長

それでは、資料のご説明をさせていただきます。右肩に資料1とございます説明資料をごらんいただければと存じます。まず、1ページでございます。1ページからは、これまでご議論をいただきました保険募集に係る行為規制・募集文書のあり方について、これまでの議論をまとめております。

まず1つ目としまして、情報提供義務でございます。基本的な認識の部分でございますが、現行保険業法においては、保険募集に係る行為規制は第300条第1項各号の禁止行為と第100条の2の体制整備義務で構成されており、他の金融関連法令にある情報提供や狭義の適合性原則等の積極的行為義務は規定されていないというのが現行でございます。

こうしたことを踏まえまして、右下半分、議論の整理のところでございますが、情報提供義務の導入については、その内容が硬直的なものとならないように原則となる考え方を法律で規定した上で、具体的な内容等については施行規則や監督指針で規定してはどうか。

情報提供義務を導入するに当たっては、法制化を理由とした募集文書の増加が起こらないよう、わかりやすい募集文書とするための保険業界による募集文書簡素化の取り組みを踏まえつつ、顧客にとって真に必要な情報が過不足なく提供されるようにすることが重要。

上記規制を踏まえて、全募集人の募集プロセスについて一定の質を確保する観点から、保険募集人に対しても、義務規定の適切な履行確保を含めた法令遵守に関する体制整備を求める規定を導入することとするということでございます。

2ページでございますが、現行法の300条第1項第1号を根拠として、「契約概要」「注意喚起情報」が導入されているが、同号における「契約条項のうち重要な事項」の範囲については、限定的に捉える立場と広めに捉える立場が存在していることから、保険業法第300条第1項第1号における「重要な事項」の範囲について、その不告知が刑事罰の対象となっていることを踏まえて再整理を行い、「保険契約者の保険契約を締結するか否かの判断に重大な影響を及ぼす事項」に限定することとし、現行の契約概要・注意喚起情報その他の契約者に説明する必要のある事項については、保険業法第300条第1項第1号ではなく、新たに設ける情報提供義務に基づいて規定することとするといったことでございます。

次に、3ページでございます。これは顧客の意向の把握についての部分でございますが、基本的な認識としまして4つあります一番下の丸だけ読ませていただきます。保険募集に当たっては、募集人が顧客の潜在的ニーズも含めた意向を把握し、当該意向に沿った商品を提案・わかりやすく説明し、顧客自身が自身の意向に沿っているものであることを認識した上で、保険契約が締結される必要があるということを踏まえまして、右下、議論の整理でございます。

保険募集に当たっては、募集人が顧客の潜在的ニーズも含めた意向を把握し、当該意向に沿った商品を提案・説明し、顧客自身が自身の意向に沿っているものであることを認識した上で保険契約が締結される必要があるとの一般的義務規定(プリンシプル)を法律上設ける。この場合、訪問、来店、通信販売、インターネットなど様々な募集形態があることから、当該プリンシプルを満たすための具体的な方法については、それぞれの募集形態に応じた各業態・各社の選択によることが考えられる一方で、達成すべき目標水準をある程度統一することが必要であると考えられる。

こうしたことから、「全募集形態を通じて満たすべき水準」や、主な募集形態について「プリンシプルを満たすための方法」について、意向確認も含めた一連のプロセスの例示という形で監督指針において着眼点を示すこととする。

4ページでございます。「全募集形態を通じて満たすべき水準」としては、以下のマル1またはマル2が考えられる。これは前回ご議論いただいたところですので、読み上げは省略をさせていただきたいと存じます。

注1でございますが、「顧客自身が自身の意向に沿っているものであることを認識した上で保険契約を締結する」というプリンシプルに照らして、このマル1マル2と同水準ということであれば、これに限らず様々な方法があり得るものと考えられます。

注2でございますが、パンフレット等を使用した一般的な商品説明は、意向把握前でも可能と考えられます。

注3は飛ばしまして、注4でございますが、マル1マル2いずれの場合においても、顧客の最終的な意向と提案した個別プランが合致しているかの確認は併せて行っていただく必要があると考えております。

また、上記のような意向把握のためのプリンシプルを設けることとすれば、提案・説明段階から顧客の意向に沿った保険募集が行われることとなり、募集プロセス全体で顧客の意向把握の実効性が高まることとなるため、現在の意向確認書面については申込書との一体化を行うこと等により募集プロセス全体の書面の分量を減らし、顧客の意向とそれに対応した商品提案理由の記載と、当該商品が顧客の意向に沿ったものであることの確認で足りることとする。

以上が意向把握関係でございまして、6ページは募集文書のあり方についてでございます。基本的な認識のところで、これも3つ目の丸だけ読ませていただきますが、「契約概要」、「注意喚起書面」、「意向確認書面」等の募集文書に係る記載事項については、顧客が当該保険契約を理解する上で真に必要な内容に止めるなど、可能な限り簡素化することとし、具体的な記載の見直しについては、当ワーキング・グループでも報告をいただいておりますが、業界の取組みを踏まえて検討することが必要ということでございます。

議論の整理でございますが、これは今、読ませていただいた部分の考え方に基づいて、それぞれ論点1、2の再掲ですので、読み上げは省略させていただきたいと存じます。

以上が行為規制の一般的な考え方についてでございますが、次に、8ページ以降で行為規制の適用除外について、前回に引き続きまとめさせていただいております。これまでいただいたご意見を12ページまでざっと掲載しております。論点につきましては、13ページ以降でまとめておりますので、13ページをごらんいただきたいと存じます。

前回までの議論では、以下のものについて情報提供義務の適用除外を設けることについて、概ねご異論はなかったと存じますが、その具体的な内容や範囲については、さらにご検討をいただくという状況かと存じます。具体的には、事業リスクを補償する保険、顧客が支払う保険料が少額で、かつ、保険期間が短期のもの、保険契約者と被保険者が異なる保険の扱いといったものが適用除外の対象として、これまでご議論いただいております。

論点でございますが、保険商品の内容や保険契約者及び被保険者が置かれている状況は様々でございますので、情報提供義務等に係る適用除外を設けるべきケースの詳細を現時点で網羅的に確定するということは困難ではないかと考えられます。このため、情報提供義務等に係る適用除外を設けることが適切であるか否かを判断する基本的な考え方ですとかメルクマールといったものについて議論を行っていただき、当該考え方、メルクマールに基づく適用除外対象の具体的な選定については、その詳細は実務的な検討に委ねていただいてはどうかと考えております。

注1にございますが、それぞれの考え方につきましては、二通りあると考えておりまして、1つは一般原則、すなわち情報提供義務そのものがかかるということについては適用しつつ、具体的な方法、すなわち契約概要を使ってこういうことを説明してください、注意喚起情報としてこういうことを書面を使って伝えてくださいといった細かな手続につきましては適用しない、情報提供は必要だけれども、手続規定については適用せず各社に委ねるといったものです。もう1つの類型としましては、一般原則も含めて適用対象から外す、すなわち情報提供そのものが必要ないといったもの、この2パターンがあるのではないかと考えておりますので、その2つに場合分けをしてご検討いただければと存じます。

なお、意向把握・意向確認義務については、プリンシプルベースの義務としようということで、ご検討をいただきましたので、これでいきますと上記(a)の場合には特段の対応を要しない。すなわち具体的手法は各社の創意工夫に委ねられるということではないかと考えております。

次に、14ページでございます。それぞれのメルクマールとして、以下で検討をしております。まず、マル1でございますが、保険契約の内容や顧客の属性に照らして、契約内容の個別性が特に高く、かつ、顧客も一般的な消費者よりも保険に係る知識を有していると考えられる場合については、一般原則は適用しつつ、具体的な方法に係る細則については適用しないというものです。

この具体的な対象としまして、典型的なものとしては、事業リスクを補償する損害保険のうち、保険契約者が法人のものが該当するのではないかと考えております。

次にマル2でございますが、顧客の支払保険料が少額に留まる場合のように、一般に保険商品の内容が比較的単純なものであって顧客の理解が容易であり、また、保険募集人等に対して一律に法定書類の使用を強制することが過度な負担になると考えられるものについては、当該顧客に対する情報提供義務等については、一般原則は適用しつつ、具体的な方法に係る細則については適用しないというものでございます。

注3ですが、保険期間が1年以内であって更新が可能な商品については、保険料を保険期間1年当たりに換算した額ということが考えられます。

注4ですが、保険契約者と被保険者が異なる場合であって、被保険者が上記基準を満たす場合、一人一人の被保険者の負担する保険料が上記を満たすような場合というのは、当該被保険者に対する情報提供等については、保険契約者を通じて行う、すなわち保険募集人ないしは保険会社が直接被保険者に情報提供を行うということは必要ないという扱いとすることも認められるのではないかと考えております。

注の5ですが、後程ご説明するマル3-3というのがございます。これにつきましては、被保険者に対する情報提供義務は、一般原則も含めて適用除外となると思います。後程ご説明しますが、マル3-3というのは、ごく少額、ごく短期という、さらに少額短期というものからもう少し状況を狭めたものを考えております。

注6ですけれども、保険契約者が被保険者に対して提供する財・サービスに付随して保険が自動的に付帯されるものについては、保険料が高額なものは少なく、多くはここに該当すると考えられますが、その財・サービスの説明と同時に、保険についても情報提供を行っていただき、その後、被保険者が財・サービスの申込みを行うことによって、保険についても、その意向把握・意向確認を行ったと考えることもできるのではないかと考えております。

次にマル3です。保険契約者と被保険者が異なる保険における被保険者への情報提供義務について、以下のような適用除外を設けてはどうかと考えております。まず、マル3の1つ目ですが、被保険者が実質的にも保険料を負担しない場合です。この場合には、当該被保険者に対する情報提供義務等については、一般原則も含めて適用除外とする。すなわち情報提供義務が全くないということでどうかと考えております。

この具体例としまして、まず1つ目ですが、保険契約者が、被扶養者たる家族を被保険者として保険契約を締結する場合であって、保険料も当該保険契約者が全額負担する場合。2つ目として、法人が、その被用者、従業員を被保険者として保険契約を締結する場合であって、保険料を法人自身が負担するような場合でございます。この場合の被保険者は一方的な受益者という位置付けになりますので、一般的な情報提供義務は被保険者に対してはかける必要がないのではないかと考えております。

ただし、注7でございますが、死亡保険契約や保険金受取人と被保険者が異なる傷害疾病定額保険契約の場合には、保険法に基づき被保険者の同意が必要とされております。このため、当該同意の可否を判断するに足る情報は、当然のことながら被保険者に提供される必要があると考えております。

次に、マル3の2つ目でございますが、これは団体保険に関してです。保険契約者と被保険者の間に保険契約以外の一定程度のつながりが存在することにより、保険募集人等による適切なサポートがあれば、被保険者に対しては保険契約者から必要な情報提供が行われることが期待される場合には、被保険者に対する情報提供義務等については、現行の取扱いを維持することとして、保険会社・保険募集人による直接の情報提供等は求めないこととする。なお、この場合には、保険会社・保険募集人に対して、保険契約者が被保険者に対して加入勧奨を行う際に、保険募集人が顧客に対して行うのと同程度の情報の提供・説明及びニーズ確認が行われることを確保するための措置を講じることを求めるということです。

この具体例としまして、まず1つ目ですが、仮に、保険契約者となる団体が、その団体を保険者として共済事業を行うようなケースでは、保険業法の適用除外となるもの、そういう場合については、これを認めてもいいのではないかということ。

2つ目として、それ以外でも、現行の団体類別基準に該当するような団体ですとか、構成員と団体との間に、それと同視できる程度の関係がある団体を保険契約者とする団体保険については認めていいのではないかと考えております。

注の8は飛ばしまして、注の9でございますが、構成員と団体との間に、それと同視できる程度の関係がある団体というので、iiで挙げておりますが、これに該当するかどうかという点でございますが、構成員と団体との間の密接性、両者の当該団体保険に係る利害関係、構成員となるための要件、団体の活動と保険による補償内容の関係性といったものに照らして総合的に判断することが考えられます。

次に注の10ですが、例えばクレジットカード会社を保険契約者とし、その会員を被保険者として加入勧奨する団体保険のように、上記(i)及び(ii)に該当しないと考えられるものについては、全面的に行為規制が適用されることになるのではないかと考えられます。

次に、マル3の3つ目でございます。保険期間が極めて短期で、被保険者の保険料負担が極めて少額に留まる場合のように、個々の被保険者に対してまで詳細な情報提供等を行う実益に乏しいと考えられるものについては、当該被保険者に対する情報提供義務については、一般原則も含めて適用除外とするというものでございます。

ここの部分につきましては、前回は契約者も含めて適用除外となる形で整理しておりましたけれども、よく考えますと、やはり誰かは保険契約の内容を把握している必要があるのだろうと。誰も保険契約の内容を把握していないと、保険金の請求も十分できないということではないかと考えまして、こういった情報提供をする必要がないというのであれば、契約者がしっかりと保険内容は把握していただいた上で、その被保険者になる方に限っては一般原則の適用も除外するというような形の方がいいのではないかということで、あくまでも契約者と被保険者が異なる場合の被保険者に対する情報提供というところで整理をさせていただきました。

注の11ですけれども、今、申しましたことと同じことですが、この場合、保険契約者に対する情報提供というのは、当然のことながら適切に行われるということが大前提となると考えております。

次に17ページでございます。マル3の4つ目でございますが、いわゆるイベント保険等を念頭に置いたものですが、保険契約者と被保険者が異なる保険であって、被保険者1人当たりの保険料の額を事前に正確に提示することが困難なものについては、通常、主たるサービスに付帯して提供されるものであり、保険のみに着目した情報提供等の必要性は乏しいと考えられますので、被保険者に対する情報提供義務については、一般原則も含めて適用除外とするというものです。

注の12でございますが、被保険者1人当たりの保険料の額を正確に提示することが困難な場合とは、例えば、予め想定した参加人数やイベントの規模等により保険料が設定されるため、当該保険料に係る被保険者1人当たりの負担額を正確に算出することが困難な場合をいうというものでございます。この場合も、保険契約者がしっかりと保険内容を把握していただいていれば、被保険者になるイベントに参加した人ですとか、例えばスキー場のリフトに乗った人がけがをした場合は、その保険契約者がしっかりと保険金の請求をしてもらえるだろうということではないかと考えております。

次にマル4でございますが、既存契約の更新ですとか、一部変更といった場合には、それらの事実や更新内容等が保険契約者や被保険者に情報提供されれば十分ではないかと考えられますので、募集プロセス全体の書面の分量を減らすというようなことも含めまして、情報提供の内容や意向把握・意向確認の内容について、より簡便なものにすることが考えられます。

注13ですが、この場合、原則としてその変更内容、例えば特約を追加するというような場合では、その追加する特約の内容のみを説明していただければ十分ではないかと考えております。

以上、これまでご議論いただいたものをまとめていきますと、こんなところではないかと思いますが、このほかに何か考えられるメルクマールというものがあれば、ぜひご指摘をいただければと存じます。

18ページは、今、申しましたことを簡単に表にしてまとめたものでございますので、ご説明は省略いたします。

次に、19ページでございます。以下は保険商品のあり方ということで、昨年にご議論いただいて、少し間があいておりますけれども、残った論点について整理をさせていただいております。まず、19ページは共同行為についてです。2つ目の丸にございますが、情報・データ蓄積に向けた共同行為をどれだけやりやすくするかという観点からアプローチしてはどうかといったご意見を頂戴しておりました。

論点でまとめておりますが、共同行為については、引受ける保険リスクが巨額に上るもの等について対象としているものと考えられております。しかし、このようなケースにとどまらず、保険の引受けが行われてこなかったリスクについて、データ収集のために条件をそろえて保険を引受ける行為を、もう少し柔軟にできるようにすれば、合理的な保険料率の算定までの期間が短縮され、商品開発をより迅速かつ円滑に行うことが可能となり、社会的にも有益であると考えられます。このため、今後、必要な措置や法制的な論点について、当局において実務的に検討してはどうかということで整理をさせていただいております。

20ページからは、現物給付型保険及び保険金の直接支払いサービスについてです。基本的認識の部分でございますが、損害保険や第3分野保険では、法律上、損害をてん補することを約する保険が認められており、現行法でも現物給付を行うことが可能です。一方、生命保険及び定額給付型の第3分野保険は、一定額の保険金を支払うことを約する保険であり、現物給付は認められておりません。

生命保険については、少子高齢化の急速な進行の中で、現物給付型保険にも一定のニーズが見込まれるということではないかと考えておりまして、3つ目の丸ですが、サービス提供者への保険会社による保険金の直接支払いサービスについては、約定した保険金を代理受領するものであり、保険金受取人等の同意があれば特段禁止されるものではないと考えられます。

右側、議論の整理の部分でございますが、現物給付型保険と保険金の直接支払いサービスについては、少子高齢化の急速な進展の中で、多様な保険サービスを提供することについて、一定のニーズが見込まれます。

2つ目は飛ばしまして、3つ目ですが、現物給付については、価格変動リスクの問題や、将来提供するサービスの質の確保の問題、商品認可や監督の観点等、様々な検討すべき課題がある。

一方で、直接支払いについては、あくまで保険金の支払い先の変更にすぎず、またサービス提供者の最終的な決定は契約者が行うことから、上記のような現物給付で生じる問題は基本的には生じない。

また、現在ニーズがある事項については、全て直接支払いで整理することが可能であり、むしろ、様々な検討すべき課題が指摘されている現物給付で整理するよりも、現行の法体系の下でも実現可能である直接支払いで整理し、対応することとしてはどうかということで、ここまでが昨年秋にご議論いただいた際に、座長がおまとめいただいた内容ではないかと存じます。

これを前提に、もう少しご議論をいただきたいというところがございます。23ページでございますが、この保険金の直接支払いサービスで対応するということを前提にご議論をいただきたいところとしまして、「以上を踏まえ」というところがございますが、前提としまして、保険契約締結の際に、保険会社が提携事業者を紹介するサービスを行うことをうたって保険募集を行うとき、ご議論をいただきたい点として、保険会社に求められる体制整備と契約者への情報提供について、どういったことをやってもらうのかということがございます。

まず、体制整備という点でいきますと、保険事故発生時に財・サービスを受給できるという契約者の期待を保護する必要があると考えられますが、保険会社に対して、例えば以下のような手続の体制整備を求めることとしてはどうかと考えております。

1つ目は、ある意味、当たり前の話ではありますが、財・サービスの費用の請求先を保険会社にすることについて、提携事業者から事前の同意を得ていただくということ。提供する財・サービスの内容・水準や、連絡・支払手続き等を提携事業者と定めてもらうということ。提携事業者が行う財・サービスの質の確認や、必要に応じた提携事業者の入れ替えなど、保険事故発生時に自らが設定した水準を満たす提携事業者を確実に紹介できる状態を維持するための措置を講じるということでございます。

次に、契約者への情報提供という観点からでございますが、保険会社は情報提供義務に基づき、商品説明の際に提携事業者について、以下の項目について契約者に説明していただくということでどうかと考えております。提携事業者が提供する財・サービスの内容、これはあまり詳細な内容ということは必要ないのではないかと考えておりまして、概要で十分ではないかと考えております。

次に、提携事業者を選定する基準、これは、もし万が一、提携事業者が基準から外れるような状況になった場合は、その入れ替えといったものも含まれると考えております。

次に、保険金の支払いについては、保険事故発生時に提携事業者への支払いと、契約者自身への支払いを選択することができるということ。

保険金と財・サービスに係る費用に差額が生じた場合には、差額を受け取る、また逆に不足が生じた場合は、不足分を支払う必要があるということといったものの説明をしていただく必要があると考えております。

保険事故発生時につきましては、改めて提携事業者からの財・サービスの購入ではなくて、保険金の受け取りができますということを説明していただくということではないかと考えられます。

その他、直接支払いを行うに当たって留意すべき事項がないかどうか、ご意見を賜れればと存じます。

次に25ページ、最後でございますが、不妊治療についてでございます。議論の整理でございますが、不妊治療については、治療内容によっては高額な費用を要することもあることから、そのような費用を補填するための保険は需要が高く、社会的意義もあると考えられます。加えて、不妊という事由の発生の有無については、偶然性が認められる。治療によっては高額な費用が発生するため、経済的な負担をてん補する必要が認められるという点で、保険の成立の前提となる条件を満たしているものと考えられます。

一方で、不妊治療を受けるかどうかについては、被保険者の意思に委ねられていることから、モラルリスクや逆選択などの課題があることも指摘されております。このような課題への対応として、例えば、契約締結後の一定の期間は保障の対象外とすることや、保険金の給付回数や給付金額の上限を設けるなどが考えられますが、課題に十分に対処するために、どのような措置が必要となるか、更に検討の必要がある状況だと思われます。

また、こうした課題に対応する中で、商品が複雑になることへの懸念も指摘をされております。

以上のような点を踏まえれば、保険会社が不妊治療費を補填する保険を引受け可能とするとともに、保険会社による実際の引受けに当たって、不妊治療に関する保険の特性を踏まえ、ご指摘いただいた課題を解決できるよう適切な商品設計・リスク管理が行われるようにするための措置について、実務的に検討することが適当ではないかと考えております。

私からの説明は以上でございます。

○洲崎座長

どうもありがとうございました。

それでは、資料1の1ページから7ページにあります、「保険募集に関する行為規制・募集文書のあり方」の取りまとめの方向性について、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。

それでは荻野様。

○荻野オブザーバー

ありがとうございます。オブザーバーの荻野でございます。

1ページの一番下にございます、注意書きのところでございますけれども、これで異論はないのですけれども、ただ、イメージとしてどの程度の内容のものが求められるかということがよくわからないわけでございます。

現在、代理店は保険会社の指導・監督のもとに業務を行っているわけでございますけれども、その保険会社から受けている指導・監督の内容と、そう大きな差はない内容のものだと認識してよろしいでしょうか。

○伊野保険企画室長

ここは代理店の規模等にもよると思います。代理店さんの小さい規模であれば、普通は保険会社から指導がしっかりとなされていれば、その指導に基づいてやっていただくということで、基本的には足りると思われますが、大規模な代理店、特に比較販売を積極的にされているようなところであれば、自社の製品については保険会社がしっかりと指導していただいていると思いますけれども、比較販売の仕方等については、保険会社が具体的に指導するという立場にはあまりないと思われますので、そういうところであれば、当然、比較販売をするに当たっては、自分のところでしっかりとした、どういうやり方でやるのかということは体制をしっかり整備して、職員を指導してもらわなければいけないと思われます。そういった規模ですとか、どういった販売方法をとられているかといったところによって色合いが出てくるのだろうと考えております。

そういう意味で、小規模なところで保険会社の指導に従って、その指導の下、しっかり今でもされているというところに関しましては、あまり今と今後とで差が生じるということはないと考えております。

○荻野オブザーバー

ありがとうございました。

○洲崎座長

ほかにいかがでございましょうか。

では、事務局の整理に大体ご賛同いただけたものと理解させていただきまして、先に進ませていただきます。「保険募集に関する行為規制・募集文書のあり方」については、この事務局の整理をベースに、報告書の原案の作成に向けた作業を事務局に進めてもらいたいと思います。

続きまして資料1の8ページから18ページにあります「保険募集に関する行為規制の適用除外のあり方」について、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。

阿部委員。

○阿部委員

14ページのメルクマールマル1の具体的な対象範囲の例で、事業リスクを補償する損害保険のうち、保険契約者が法人のものとありますが、個人事業主はこれに該当しないという意味でしょうか。

○伊野保険企画室長

ここは、例ということですので、必ずしも個人事業主が対象の場合、入らないとまでここで断定しているわけではないのですが、これまで色々とご議論があったと思っておりまして、例として、典型的なものを挙げさせていただいているというところです。

個人事業主のところについて、どう考えるのかというところは、まさにここでまたご議論いただければと思うのですが、基本的には、いずれにしても一般原則は適用されますので、必要な情報は当然提供されなければいけないというのが大前提だと思っております。その上で、いわゆる契約概要とか、そういった法定書面を用いてやるのかどうかという点が論点ということになろうかと思いますので、その点について、またご議論を賜れればと考えております。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

前回も申し上げましたが、事業を行っている限り、法人と個人を区別する理由はなく、あえて区別するならば、中小零細と、それ以外ということかと思います。

そういう意味では、特に事業リスクを補償する保険の場合、当然、事業者であれば、個人も含めて同じような扱いとするべきではないかと思います。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

13ページのところに、ここの論点についての当局の方針というか、メルクマールについてワーキングで議論を行うことにして、具体的な選定については実務的な検討に委ねると、この方針についてなのですが、やはり、極めて技術的な問題ですし、この審議会、ワーキングでやっても、少し非効率な部分というのはあると思います。

それから、ワーキングの本来の大きな目的である、ニーズに合った保険サービスの選択を容易にするための取り組みという大きなテーマを議論する場だと思っていますので、この議論を延々やるのは、なかなか技術的で、時間的な制限もありますし、延々やってしまうと、少し外れてしまう気がします。

さはさりながら、やはり適用除外の線引きというのは、なかなか規制をつくる、特に当局にとってはシビアなテーマで、このワーキングにおいてメルクマールとか方向性を提言することができれば、当局の検討をお助けすることになるのではないかと思います。よって、この方針については賛成でございます。

それで、今テーマに挙がっていたメルクマールマル1のところなのですけれども、そういう前提ではあるのですけれども、そういう中で私の意見を述べさせていただくとすれば、阿部委員と私も同じ方向性でありまして、法人かどうか、個人事業主であっても、法人であっても、事業を行っているわけで、大差ない社会的活動を行っているということがありますので、ここで法人というメルクマールをつけるのが合理的なのかどうなのかというところは少し疑問がある。

ただ、実務的にそれが支障がないのであれば問題ないのかもしれないしというところに、結局帰着する問題かなと思います。

私の考えとしましては、今の契約概要の仕切り、事業活動に伴い事業者が被る損害をてん補する保険商品でない場合を対象にしたり、あるいは保険法36条4号、法人その他の団体、または事業を行う個人の事業活動に伴って生ずることのある損害をてん補する損害保険契約を片面的強行法規から適用を除外したりというのがありますが、そういうところに従って、この前の議論ではコマーシャルラインとか、そういう話がありましたけれども、商品性のところで区切るほうが、それだけで線引きをしてもよろしいのではないのかなという意見は持っております。

以上でございます。

○洲崎座長

家森委員。

○家森委員

私も同じような意見でして、法人には保険の知識があって、個人にはないというふうに切るのは、やや難しいのではないかと思います。むしろ事業リスクというのは多様で、それを一律の説明の仕方で説明することが難しく、一律で説明するよりは、実質的にお客さんによくわかってもらうためには多様な説明方法を認めたほうがいいという観点で、この事業性リスクを補償する損害保険については適用除外にすることが可能だ――一般原則はもちろん適用されるということは、この間確認しましたので――というような理解がいいのではないかと考えました。

○洲崎座長

村田様。

○村田オブザーバー

一言だけ申し上げます。実務の観点からも、皆さまのご意見にあったように、事業か、そうでないかの線引きのほうが合理的だと考えています。法人か個人かを識別すること自体は非常に簡単なのですが、それに応じて実務を分けて、しかも合理的に設計することは難しいため、弊害が生じると思います。皆さまもそういうご意見でしたし、我々としても法人か個人かで切ることには賛成できません。保険商品に着目して、事業用かどうかで分けていただいたほうがよいと考えています。

以上です。

○洲崎座長

沖野委員。

○沖野委員

少しまた繰り返しになる面があるのですが、確認をさせていただきたいのは、その場合の事業リスクを補償する損害保険の範囲ないし内容です。前回問題になりましたものとしましては、1台の自動車の保有だけれども、事業で用いるというものは、これは事業リスクを補償する損害保険に入ると考えた上でのことなのか、それとも、それはまた違うというか、そちらはむしろ一般の自動車の保険と同じであると考えてのことなのか、この対象範囲は、どのようなものとして想定をしたらいいか、想定をしているかということを確認させていただけないでしょうか。

○伊野保険企画室長

この事業リスクというのも、様々な解釈があり得るとは思うのですけれども、典型的なのは、一般的に個人では入らない、事業に伴って損害賠償しなければいけないようなケースを補償する損害保険というのが、典型的な事業リスクを補償する損害保険と言えるのだろうと考えておりまして、そういう意味では、自動車保険とか火災保険というのは、事業に伴ってかける保険は事業リスクではあるものの、一方で、あまり個人向けに出しているものと大きな違いというのはないのだろうとは思いますので、基本的にそういう商品性をメルクマールとしながら、ここの部分を考えていくというのもあり得るのかなと考えております。

典型的なものは、事業に伴う損害賠償ですとか、そういったものが入ってくるのだろうと考えております。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

前回、欠席いたしまして申しわけありませんでした。前回の議論をしっかり伺っておりませんので、不正確なところもあるかと思いますが、今の事業リスクとは何かというところについて発言させていただきます。沖野委員のご指摘や、また今の伊野室長のご回答にありましたように、例えば自動車の保有に伴うリスクは、それは一般の人が持っている場合と同じだという理解もあるような気もするのですけれども、そうすると、法人でも自動車を持っているわけですが、自動車をカバーする保険が事業リスクを補償する損害保険ではないということになってしまいますと、保険契約者が法人である場合にも、事業リスクを補償する損害保険ではないということになるかと思いますが、それはやはり何かおかしいような気がいたします。そうすると、保険法の36条の4号にいう、事業を行う個人の事業活動に伴って生ずることのある損害をてん補する損害保険契約というのは、事業上の損害かどうかというところで実質的に判断しているかと思いますので、一般向けの商品がいっぱい売れていて、それと同じようなものを事業者にもカバーしているというものであっても、やはり事業リスクを補償すると考えてきたのではないかと思いますし、また、そうでないと、このローマ数字の小さい(i)のところの法人のところで抜こうとしているものが、抜ききれなくなるのではないかというおそれがあるように思います。

なので、もし事業を基準とするのであれば、商品ラインとかではなくて、やはり事業関連かどうかというところで切るということであるのかなとは思います。その上で、個人事業者を適用除外の例として明示されなかったのは、やはり個人事業者の中には知識が少ない人もいるだろうということをご配慮されたものと思います。債権法改正でもそういう議論は出てきましたし、また、全く関係ない話ですけれども、中小企業にデリバティブを売られて損害が多発しているという事案もあるので、事業者だからといって完全なわけではない、大企業と同じわけではないということはあるようにも思いますけれども、他方で、そうすると法人の場合であっても中小企業の社長さんは、同じように知識が少ない人もいるということもあるでしょうから、やはり法人、個人で線を引くというのは、捉えようとしているものをきれいに把握し切れていないのではないかなという気もいたします。

そうであれば、定型的な説明方法を要求されるのは、事業者以外の個人に限定した上で、事業者についても一般原則は適用されるということで、その中で規模や知識に応じて、一般原則に基づいた説明義務などの内容を、中小企業や、ほんとうに零細な企業に対しては、しっかりとした説明をしているかということを実質的に見ていくといったほうが、規制のあり方としてはいいのではないかと感じております。

以上でございます。

○洲崎座長

ここまでのご意見では、個人と個人事業主か法人かで区別するのは、必ずしも合理的ではない、事業リスクを補償する損害保険であれば、契約者の個人事業主のものも含めて適用除外を認めるべきで、もちろん適用除外といっても、情報提供義務という一般原則はかかるのだけれども、契約概要等の細則は適用除外としてよいのではないかというお考えが有力かと思います。

現在は、基本的にそうなっているのです。ですから、現在のやり方を踏襲してもよいのではないかというご意見が多数であったかと思いますが。

米山委員。

○米山委員

今のご議論をお聞きしまして、消費者というか、購入者の視点から、この事業をどう聞き分けるかということと、商品を視点にして区分するかということで、二つに意見が分かれてしまっていると思うのです。確かに購入者の側にたって、事業とは何であるか、あるいは購入者の規模や知識を踏まえた上で、手当てをするというのが、正当な方向なのかもしれません。けれども、現実には何が事業であるのか、どこに規模を定める、あるいは、果たしてこちらの個人事業主とこちらの法人と、どちらが保険に知識を持っているかとか、そういったことを見極めるのは相当難しい判断です。したがって、例えば前回お話ししましたけれども、店舗総合保険のように、個人事業主向けですが実質的には個人向け火災保険商品と同じ商品と、それ以外のPL保険などの、賠償責任保険のように、先ほど家森委員が言ったように、むしろ画一的ではなく多様な説明をしたほうがいいような商品があるように思います。このように考えますと、方向としては後藤委員が言われたように事業規模とか知識に応じて区切るやり方が、法律的には美しいのかもしれませんけれども、現実的には商品を視点としても何の問題がないというか、むしろそちらのほうが効率的ではないかと私は考えています。

○洲崎座長

山下委員。

○山下委員

理屈の上で考えれば、今日の多数の委員のご意見のように、実質的に詳細な説明、情報提供が必要な場合には、それが行われ、また、そうでない分野については、そんな強い情報提供までは義務づけないという、そういう実質で分けるというのが非常にきれいで、私も前回そういう方向で議論をしたと思いますが、さはさりながら、今の米山委員のご意見のように、法律上の規制ですから、あまり実質的な判断が具体的なケースについて難しくなるというのも、なかなか難しいところがあるというところですが、そこでなかなか悩ましいのですが、今の14ページの時計数字iだと、法人かどうかですぱっと適用されるか、されないかが分かれることになっているのですが、実質は、そういうことを基本としながら、何かより具体的な政省令、監督指針、それから自主規制というのでしょうか、そういうあたりで、一応適用除外だけれども、必要があるような類型については情報提供内容を全く適用除外の何もない一般原則だけとするよりは、もう少しきめ細かくしていくというのですか。

それから、適用があるとされるほうについても、そこはある程度類型化を図ることによって、何か少し軽いものにするとか、そういう具体的なレベルに落としているところで何か工夫ができないかというか、より細かく、面倒は面倒なのだけれども、そういう作業をしていけないのかなという印象は持っています。

○洲崎座長

ただいま山下委員からいただいたご意見に通ずる話は、前回の議論のときにも、たしか村田様からあったかと思います。この資料で言いますと、10ページの上から2つ目のポツです。つまり、個人事業主向けや法人向けの商品であっても、実は個人向け商品と実質的に同じような商品を売っていることもあって、それについては実務上も現在でも契約概要的なものを渡しているということであったかと思います。

したがって、保険契約者が法人であっても、実際には個人向けの商品と同じような商品であって、現実の実務でも、そういう契約概要や意向確認書面のようなものを渡しているものについては、原則適用除外としつつも、適用除外の適用除外にするとか、あるいは、個人事業主向けであっても、個人向け商品と実質的に同じものについては適用除外はせずに契約概要等を渡すけれども、特殊な賠償責任をカバーするような、テーラーメードではなくオーダーメード的な商品については、むしろ細則を適用するよりも、契約交渉の場での情報提供を充実させるほうがいいという、そういうやり方も考えられるかと思います。

錦野委員。

○錦野委員

前回おっしゃられた村田オブザーバーの発言よりしても、実務はまさしくそういう形で運用されていると思うのです。ただ、ここでは、法律の適用除外を定めるので、ある程度、法律としては明確で具体的なほうがいいのかなと。ただ、実務においては、当然、保険会社も事業者であって、効率性を求めますから、個人に対していい説明書類をつくれば、それと同じような類型の販売勧誘の局面ですとか、同じようなトラブルが想定されるような法人とかに売る場合にも、せっかく一生懸命つくった同じような説明書類を使う、そのほうが効率的だという、それが実務でやられることは、何ら阻害されることにならなくて、むしろそれは望ましいことになるかもしれませんし、それはまた法律の線引きとはちょっと違うところで実務が動くわけですけれども、それは何ら否定されるべきものには思いません。また、保険会社監督の局面におきましても、確かにここの個別のルールの適用除外にはするのですけれども、まさに監督を行っていくに当たって不利益性が高いものが出てきた場合、ここはどうしても事業性の保険でも説明すべきだというところが出てくれば、監督指針に書くなり、行政指導するなり、あるいは場合によっては規則をつくってしまうなりということは可能だと思いますので、そういう意味では、ここではそういう大きな法律としては、わかりやすい事業性の保険とリスクをてん補する保険ということで線引きを行い、実務ですとか金融監督は、少しその周辺のものを柔軟にやっていってはどうかな、という気はしております。

○洲崎座長

この14ページにある時計数字のi、「事業リスクを補償する損害保険のうち、保険契約者が法人のもの」とあるのはあくまでも1つの例であるということで、個人事業主相手の保険であっても適用除外される可能性は排除はされていないということなのです。

報告書にどう書くかというのは、なかなか難しい問題ですね。事業リスクを補償する保険については適用除外ですよと、その1文だけでよいのか。具体的にどういう場合が適用除外になるかがその1文からだけでは想像できないような、そういう報告書でいいのかというと、そこはまた難しい問題があるかと思います。

錦野委員。

○錦野委員

報告書の書き方というか、私は先ほど申し上げたように、この適用除外としては事業リスクを補償する損害保険だけでもいいと思っているのですけれども、そこに不安があるのであれば、何かこの書きぶりだと、保険契約者が法人のものと書いてありますと、どうしても裏読みをしてしまって、個人事業主に対しては適用除外とならないんだなと、そのイメージ感が先行してしまうと思いますので、例えば、事業リスクを補償する損害保険と、またその下に、例外等については、また実務的に検討すると、そういうふうにしてはいかがかなという気がいたしました。

○洲崎座長

この事業リスクの問題について、ほかにご意見がございますでしょうか。

適用除外に関する他の問題については、いかがでしょうか。

家森委員。

○家森委員

すみません、17ページの問題について教えていただきたいのですけれども、ここでは、被保険者1人当たりの保険料の額を事前に正確に提示することは困難なものを適用除外にするということなのですが、その理由づけは、それは通常主たるサービスに付帯して提供されるものであるからだと書いているのですけれども、そうすると2つ質問があります。こういう形になっているものは、本当にいつもそうなのかということです。そして、逆に、むしろこの理由づけからすると、主たるサービスに付帯して提供されるものを適用除外にするということのほうが自然ではないかと思うのですけれども、この2つの関係を教えていただけますでしょうか。

○伊野保険企画室長

ここで考えていますのは、さっき申しましたようにイベント保険みたいなものを想定しておりまして、要は何人乗っても、保険料は1シーズン幾らです、このイベントを開くと、入場者が100人でも130人でも幾らですという、もちろんそこのイベントに参加したり、コンサートに参加したり、スキー場のリフトに乗る人が間接的には料金の支払いの中で込み込みの世界で負担はあるのだと思いますけれども、明確にこの人1人に対して幾らと保険がかかっているわけではありませんので、そこは実質的には主催者側ですとか、リフトの所有者の会社が負担していると見なすことができるだろうと考えております。そういう意味では間接的な費用負担はあるとはいえ、相当程度、契約者側の負担と言い得るものというのは、ここのカテゴリーだと考えております。

そのメルクマールとして、1人当たりの保険料が正確に事前には出てこないものというところで考えてはどうか、という趣旨でございます。

そういう意味では、たとえ料金の支払いの中で込み込みであっても、1人当たり幾らと保険料が明確に算定できるようなものについては、実質的にその同額が料金にオンされていると考えられますので、そういう意味では何らかの形で、その保険の内容について被保険者になる方が知っているべきなのではないかなということで、ここは、先ほど申したようなものに限定してはどうか、ということでございます。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

今の点、マル3-4に関連してなのですけれども、私もこの1人当たりの保険料の額を事前に正確に提示することが困難なものというのは、どういうご趣旨で書かれているのかなということを少し考えていたのですが、今の、例えばイベント保険のようなものですと、おそらく被保険者に対する情報提供義務があまり必要でないというところの一番大きな要素としては、イベントに来る人は選択の余地なく被保険者にされてしまう、してもらえるというべきかもしれませんが、そこに被保険者の判断が介在する余地はなくて、イベントの主催者の側が一律にかける。そうすると、そこに選択の余地がない以上、そこに情報提供するというのはあまり考えられないし、その機会もそんなにないということだろうと思います。この場合、結局保険料は最終的にはおそらくイベントのチケット代の中から払われるのでしょうけれども、そこで費用負担が正確に算定できるかどうかということよりは、やはり一番大きなのは選択の機会がないということではないかと思います。

逆に、通常主たるサービスに付帯して提供される保険には、ほかにも例えば大きな家電量販店に行って、何ポイント分か使うと保険期間を延長できますけれども、入りますかと聞かれることがあるわけですが、この場合は、主たる目的は家電を買うということにあるわけですけれども、そのときに、おまけで保険にも入るかということがついてきて、そこには選択の余地があるわけです。この場合は1人当たり何ポイント分使うかということは計算しているはずですので、この保険料の額を事前に正確に算定することは困難というわけではないでしょうからマル3−4には入りにくいように思います。しかし、その場合にも、保険の内容について詳しい説明を家電量販店で受けた記憶は、私にはあまりありません。そうすると、そこで長い説明をするというのは、現実的には考えがたいのかなと思いますけれども、ただ選択を一応している以上、ある程度の最低限の、例えば何年間延びるのかとか、そういう最低限の説明は要るのかなという気もいたします。そうすると、おそらくマル3-4が言わんとするところは、おそらく選択の機会が被保険者にないというようなことを言っているのではないかなと推測をいたしますが、事前に正確に算定することは困難なものという基準からは、主たるサービスに付帯しておまけのような保険がくるのだけれども、そのときに一応入りますか、入りませんかということを被保険者になる人に選択の機会を与えてはいても、そこまで詳しい説明をすることは想定していないというものは、このメルクマールの中で言うと、マル3―4よりは多分マル2のほうに入ってきて、一般原則は、やはりかぶってくるのだけれども、説明は額とか重要性に応じてするということになるのなと思っています。

ただ、マル2については、顧客の支払保険料が少額にとどまるというときの、少額とは幾らかという話をすると切りがなくなってきますが、例えば今の家電量販店の保険のようなものは、おそらく保険の中身もそんなに複雑なものには多分なっていなくて、比較的シンプルだとすると、このようにメインの商品を買ったときに追加でそれなりのカバーをつけることを選択するというようなものも、このマル2のほうに入り得るのかなと、何となく想像していたのですけれども、これはマル2マル3-4の理解としてそんなにおかしくはないだろうかということをご確認させていただければと思います。よろしくお願いします。

○伊野保険企画室長

すみません。おおよそおっしゃっているとおりだと思っております。ただ1点、選択の余地がないかどうかというところをメルクマールにするのかどうかという点については、実はそれも考えたのですけれども、そうすると、選択の余地がなければ、例えば会員になることに伴って、この保険が付いてきますというところに選択の余地がないだけで大丈夫だとなると、事実上、保険募集規制の脱法行為が行われる可能性があるかなと思いまして、ちょっとなかなかそれを単純にメルクマールにするのは難しいだろうなと思い、こういう形でやってはどうかなという整理をさせていただいております。ただ、基本的には後藤委員がおっしゃっていますように、実質的に選択の余地もなく、およそここで想定して対象になるなと思っているのは、選択の余地がなく、かつ一方的な受益者に被保険者がなるというようなケースを想定しているのは間違いございませんで、そういう意味では、おっしゃっている全体像としては、多分そのとおりなのだろうなと思います。繰り返しになりますが、単に選択の余地がないというだけだと、ちょっと怖いかなということで、こういったことをここでは書かせていただいているということです。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

どうもありがとうございます。

今、後藤委員の発言を聞いていて、なるほどなと思ったのですけれども、この事務局ペーパーの中に、上記マル1からマル4までの他に、メルクマールとして設定すべきものはあるかというところで、私、予習してきたときは思いつかなかったのですけれども。事務局ペーパーの10ページのところです。いろいろな意見が書いてあるところの、10ページの一番下のポツのところに、加入勧奨が行われているものは任意加入型の商品です、と現状の制度の説明をされているところなのですけれども、現状では任意加入型の商品については、法制上、情報提供として契約概要等の交付というのが求めているわけなのですけれども、全員加入型については求めていない、こういう現状があります。

ですから、1つのポイントとして、結論としてそれを採用するかどうかは別として、メルクマールとして頭の中に置いておくという意味では、1つのポイントとしては検討に値するものかなと思いました。

以上でございます。

○洲崎座長

村田様。

○村田オブザーバー

メルクマールマル3-4は、ご提案のとおりですと、やはりうまくワークしないと思います。先ほどお話があった入場者包括保険の中には、保険料の総額が固定されていて、人数の変動を問わないというものも一部ありますが、スキー場総合保険の例をとりますと、1人当たりの保険料はあらかじめ決まっていて、総額だけがリフト券を購入した人数に応じて後から決まります。このメルクマールに沿って申しますと、あらかじめお客さまに伝える方法はないが、1人当たりの金額があらかじめ決まっているものであり、総額固定方式の入場者包括保険はメルクマールに合致するけれども、1人当たりの保険料による確定精算方式を採った契約は合致しないということになります。技術的な議論をするようで恐縮ですが、メルクマールとして置くにあたっては考え方をもう少し整理する必要があると思います。

こう書かれたのは募集ルールの潜脱や抱き合わせ販売を避けようという趣旨だったと思いますし、それ自体は重要な観点だと思います。ただ、この文言どおりだと、いま申し上げた問題があります、商品付帯の損害保険契約も、1人当たりの保険料は明確に決まっていますけれども、必ずしも説明できている実態にはないので、メルクマールとして加えるべきもの、あるいは修正すべきものが残るのではないかと思います。

○洲崎座長

このマル3-4というのは、あるイベント参加者や施設の利用者については、自動的に全て被保険者にするという、そういう保険で、誰が被保険者になるかということが事前にわからないケースですので、被保険者に対して情報提供しようとしても、その情報提供する機会を捉えることが非常に難しい、そういう類型だと思うのです。

ただ、その類型をうまく言葉で説明できればいいと思うのですが、そこの説明が難しいということから、現在はマル3-4のような書きぶりになっているのですけれども、今のような類型、要するに自動的に被保険者になることが決まってはいるけれども、事前に誰が被保険者になるかはわからない、そういうものについては、基本的に適用除外を認めていいのではないかとは思うのです。何かこの点について、ほかにご意見ございますでしょうか。

丹野委員。

○丹野委員

聞かれているのはメルクマールのお話で、メルクマールとして設定すべきものはあるかということを、今、議論しているのですが、それ以前でございまして、実は、例えば宅配便は宅配便会社が保険に入っていて、そこの一定の、例えば30万なら30万の金額までは補償するけれども、破損だとか滅失だとかに対して、さらに消費者側が任意の保険料を払って高くすることができるというような保険があったり、それから引っ越しも、引っ越し業者さんがやっているほかに、消費者側が任意に保険料を払って、もっと補償を拡大するものがあるとか、例えばレンタカーも同じようで、世の中にそういう、どちらかと言うとあまりトラブルはないのだけれども、さまざまな保険契約が行われていて、消費者が任意加入しているようなものは、それはこれの中のどれにはまるのかというのは、多分これから報告書をお書きになるときにどうなるか、今のままではわからないです。

これで言うと、例えば団信は、今、錦野先生に横で教えてもらったのですけれども、マル3-2にはまるんじゃないかと教えていただいたのですけれども、そういう意味の、世の中でさまざまに行われている保険が、それがどれに該当するのか、もう少し具体を示していただくとよりわかりやすいのではないかと感想を持ちました。メルクマールと別の話ですが。

それと、1つお聞きしたいのは、17ページのマル4でございます。マル4で書かれている既存契約の更新や一部変更の場合には、より簡便なものによることが考えられると書いてあるのですけれども、これは、お考えになっていらっしゃるのは、例えば生命保険のように主契約があって、特約だけ更新するタイプのことをお考えになっているのか、例えば1年ごとの自動車保険のように、その都度終了していくのだけれども、同じ保険を繰り返して加入しているようなものを想定しているのかというところは、どちらを想定しているのかを、ちょっと教えていただければありがたいと思います。

○伊野保険企画室長

基本的には、どちらもここに入ってくるかとは思っておりまして、基本的には、内容が変わらず、単に延長するだけというようなものであれば、また一からさかのぼって全て説明するというよりは、もし変更があるのであれば、どこに変更があるのか、同じであれば、以前と同じですよということをお伝えしていただければいいのではないかと思っております。

その上で、お客さんがもう忘れたから、もう1回説明して欲しい、ということであれば、当然そこはお客さんの要請に応じて説明をしていただく。お客さんが、同じならもう説明聞かなくて延長してもらって結構ですということであれば、単純にそこから手続を進めてもらってもいいのではないかと考えておると、そういう内容でございます。

○丹野委員

ありがとうございます。つまり、例えば自動車保険の場合だと、理屈上は、それはそこで保険期間が満了して保険が終わるのだけれども、また新しい保険が始まるのだけれども、それをここで言う更新と捉まえているということですね。ありがとうございます。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。

メルクマールのマル3-2のところなんですけれども、ここの部分は端的に言うと、団体性が希薄でない場合というのを想定しているのだと思います。そういう場合というのは、保険契約者から被保険者への一定の情報提供、団体性が希薄ではないですから、一定の人的な、社会的な関係がありますから、情報提供も期待できますし、あるいは団体内自治と言いますか、その団体内で何をするかということは団体内で決めるべきだということに対する一定の配慮、保険会社や保険募集人があまりそこにかかわっていってしまうと、何かちょっと違和感が生ずる場合もあるというようなところもあって、この考え方には賛成でございます。こういうものを適用除外にするというところは。

それで、注10のところで、この前の議論の中で、私、長々としゃべってしまって、今日はちょっと短めにしゃべろうと思うのですけれども、クレジットカード団体等に関することが書かれておりまして、こういう場合には結論として全面的に行為規制が適用と。この前のお話だと、銀行団信はマル3-2で、先ほど丹野委員がおっしゃられたように、適用除外にしてしまうのですが、クレジットカード団体に関する場合には全面的に行為規制が適用されるのだと。

以前の当局の説明もあわせると、そういう団体性が希薄な団体契約ですとか、あるいは、一般に世の中によく普及している一般包括契約の場合には、保険会社ですとか、登録を受けた保険募集人から説明がなされることを確保する必要があるのだと、何かそういう意図といいますか、そういうものを私としては読み取っているところでございます。

そもそも、募集人の登録制度というのは、保険商品の説明というのは間違うことは許されませんし、一定の能力が必要とされますので、やはりそれに見合った能力を備えた有資格者により行われるべきことを確保するためのものだと私は考えておりまして、先程申し上げた当局の意図、考え方は合理的なものだと思います。

一方、現状ではクレジットカード団体のような場合には、保険契約者たるクレジットカード会社からの情報提供、登録していないところからの情報提供で許容されているというようなこともあります。ですから制度変更に当たるわけですから、要するに法規制を変えるわけですから、実務への一定の配慮というのは必要かなと思っております。

私のイメージ感をお伝えするとすれば、法律が変わるわけですから、現状のやり方を全く変えないということではなくて、一定やり方を変更したりですとか、工夫したりすることによってクリアできるものであれば、それは仕方がないことだと思いますけれども、現状やられていて、あまりトラブルにないものが全くできなくなってしまうとか、そういうサービスを完全に殺してしまうということは、利用者利便の観点から、できればしないでほしいなというところはあります。

私は弁護士にすぎませんし、保険実務に対する知識というのは断片的なのですが、そういう中で心配しておりますのは、そういうクレジットカード会社が、例えば保険募集人になることを強制されるというか、例えば、こういう団体契約を行う場合に、保険代理店になることを強制される。

保険会社とか別の保険代理店から説明等をやってもらうということで許されるのであればいいのですけれども、どうしても団体契約者は保険募集人の資格を取るべきだ、登録すべきだということになってしまいますと、保険業法の規制上、支障が出てくるのかなと思います。自己・特定契約規制ですとか、あるいは銀行窓販規制、その中の融資先募集規制ですとか、あるいはクレジットカード会社というのは、銀行の子会社ですとか、関連会社の場合が多いですから、ちょっとマニアックな規制なのですけれども、銀行の特定関係者の知りながら規制というところで支障が出てくるのかなと思います。

そうではなくて、保険契約者の募集人登録は、すべからくしなくてもよくて、説明する人が保険会社からの直扱いの場合は直接やったりとか、あるいは別の代理店からやるということでいいのであれば、何とかなるのかなという気はしております。

今の考えは、私の実務の把握が断片的であることを前提としたものです。これ以上私の意見を申し上げることも、私の能力を超えてしまいます。そのようななか、当局や業界にお願いしたいのは、実務をきちんと認識していただいた上で、業界としては現状の実務をきちんと当局に伝えていただいた上で、さっき申し上げましたように、多少のスキームの変更は必要だとしても、余儀なくされるにしても、そういう世の中にあるサービス、それがすごい悪いサービスですとか、苦情が多いサービスとかであれば別ですけれども、支障なく世の中に受け入れられているサービスを完全に殺してしまうことのないようにしてくださいということだけで、あとは私としてはお任せしたいと思っております。

長々と申しわけございませんでした。以上でございます。

○洲崎座長

今、ご意見をいただいた16ページの注10ですけれども、クレジットカード会社からカード会員のところにダイレクトメールが来て、クレジットカード会社が保険契約者となる団体保険に加入しませんかという勧誘があり、入ろうという人は、その書面に記入して送り返す。団体保険の被保険者として傷害保険契約等の被保険者になるという、そういうケースですね。

クレジットカード会社が保険募集人であれば、保険契約者であると同時に、保険募集人として加入勧奨をするということなのですが、現在は必ずしもそうはなっていないということです。

それについて、適用除外を認めないとすると、現在の実務を変えていただく必要がある。クレジットカード会社が保険募集人の資格も取って、保険契約者であり、かつ保険募集人として加入勧奨をすることになるか、あるいは、別の代理店にダイレクトメールを送らせるという形をとらなければいけなくなるということかと思いす。

前者のやり方については、ひょっとすると、現在あるその他の何らかのルールと抵触するおそれがあるかもしれないというのが錦野委員のご懸念だったかと思います。

米山委員。

○米山委員

特段意見ではないのですけれども、今のクレジットカードで、今のような保険以外に、当局の方はご存じかもわかりませんけれども、例えばゴールドカードに付帯しているサービスとして海外旅行保険がついている、そういうのは、むしろこれはマル3-4にかかわってくるものかなと思います。だとするとなかなか難しい問題ではないかと思います。

○洲崎座長

では、自動付帯について。

○伊野保険企画室長

それも一人一人の額が多分決まっているので、単純に今のマル3-4ということではないとは思っておりまして、どちらかと言うと自動付帯の場合は、そんなに多額の保険料ということではないと思います。むしろ少額であれば情報提供義務はあるけれどもということで、先ほど14ページの一番下の注6というところで少し触れておりましたけれども、少額とほぼ想定されますので、ここの中に入ってくるのだろうと。

その上で、情報提供の程度という意味では、情報提供義務の一般原則はかかりますけれども、そのやり方は問わないという世界に入ってくるとすれば、そういう場合は事前に、例えばクレジットカードの紹介の中に、こういう保険がついてきますよと書いていれば、一般的な情報提供義務としては満たされているというように、その辺は柔軟に考えていくということが可能なのかな、と考えております。

○洲崎座長

もう1つ補足させていただきますと、マル3-2は適用除外と言いましても、他の適用除外とはちょっと性格が異なっているのです。マル3-2でも情報提供義務自体はあるのですが、通常であれば保険者または保険募集人がこの情報提供義務を履行し、かつ細則も履行しなければいけないところ、マル3-2については、この要件がある場合は保険者または保険募集人ではなくて、保険契約者を通じて情報提供義務を履行することを認めようというものです。

なかなか難しくて、私も何度かこのワーキングでこの問題を取り上げているうちに、ようやく全体の構造がわかってきたという状況でございます。

荻野様。

○荻野オブザーバー

ありがとうございます。前回の事務局資料に、適用除外の例として、たしか海外旅行の傷害保険のことが記載されていたと思うのですが、今回それが削除されているように思いますけれども、そのことにはこだわらないのですけれども、お客様の中には、やはり時間的な制約とか、また知識、経験等によって契約締結を優先してほしいというニーズというのは、損保の商品の場合は結構、往々にしてあることなわけです。

つまり、お客様自身が情報提供を要望されないといった場合に、やはり、あまりしつこく申し上げるのも、実務的には違和感がございますので、何らかの形でメルクマールに、そういった要望されない場合を規定していただければと思います。

以上です。

○伊野保険企画室長

今いただいたご意見も含めまして、少額であれば、情報提供は必要だけれども、そのやり方は問わないという類型を設けておりまして、その中で大体どんなものが入るのかというところを考えながら、少額の水準を決めていくということだと思っております。今おっしゃいましたように、あまり時間的な余裕がなくて、空港で、旅行にもう行くので、すぐ入りたいのだというような時にくどくどした説明を、あと1時間でチェックインしなければいけないのにという時に求めても、それは現実的ではないというのはよく分かっておりまして、さはさりながら、海外旅行傷害といっても、例えば私もそうでしたけれども、海外に赴任する時に、そのときに1年間、2年間を補償しますというようなものもありますので、ある程度そこら辺は少しちゃんとした説明はしてもらう必要があるかな、余裕も時間的に赴任まではあると思いますので、そこら辺をよく考えながら、少額という水準を考えていきたいと思っておりまして、どちらかと言うと、その中で拾っていく話かなと思っております。

○洲崎座長

ほかにいかがでございましょうか。では、沖野委員。

○沖野委員

先ほどの16ページのマル3-2の注10のクレジットカードの関係なのですけれども、現在問題なくプラクティスが行われているところを、利便性を損ねることがあってはいけないという一般論はわかるのですけれども、他方で、しかしなぜこの例が問題がないのかというのも、十分によくわからないところがありまして、保険契約者という立場になるならば、保険の勧奨ができるという、ただ、その相手方というのが限定されているということなのですが、それは相手方が会員に限定されるので、幅広く多数を相手にするものではないから許容されるということなのでしょうか。つまりそれが許容されるべきだという理由がどこにあるのかということなのですが。そのように会員という形で範囲が限定されるのであれば許容されるということなのか、それともクレジット会社は信頼性があり委ねてよい主体であるということなのか。

ただ、そのような理由だとすると、現在行われているものに対して影響を与えないようにというだけではなくて、一般的にも相手方が限定されて、かつ登録をしなくてもそれなりに適切にできるだろうという主体であれば構わないというところにもなりそうです。そもそもどういうふうな考え方なのだろうかというのがちょっとわからないように思われまして、もし、もう一言ご説明いただければと思うのですが。

○洲崎座長

それでは、まず事務局から。

○伊野保険企画室長

ここで想定しておりますのは、契約者が一定の団体で、そこに密接な関係がある場合、被保険者がその団体のメンバーであれば、当然その団体に密接な人たちが集まった団体であれば、契約者がその団体として構成員に対して、通常しっかりした説明をできるだろうなとおよそ想定される場合には、団体の属性として、適用除外ということでいいのではないかという趣旨ですので、そういう意味では、注10にありますように、クレジットカードのメンバーというのは、一般的にそういったものは想定されないのだろうと考えております。

そういう意味で、クレジットカードの会員向けに加入勧奨ということでされているものについては、基本的には募集とほぼ同じだと思いますので、今後は募集ルールに基づいてやっていただくということになるのだろうと考えております。

○洲崎座長

沖野委員のご質問は、現在の実務では、クレジットカード会社が説明をするということでよいとされているようなのだけれども、それがどういう理由に基づくのかという、そういうことでございましたでしょうか。

○沖野委員

むしろ錦野委員にご説明をいただいたほうがいいのかもしれません。一方の意見だけが出ているように思われまして、他方の意見も出しておいたほうがいいのではないかという趣旨で申し上げました。問題意識は、今の事務局のご説明の考え方にむしろ共感してのものです。

ただ改めて、確かに現在許容されているのはルールが違うからだと言えば、そうなのでしょうけれども、現在は、これはもうおよそ許容されていて、規律上問題がないという位置づけ自体も、そうなのか理解の十分でないところがありますので、それもあわせて、事務局に確認させていただければと思います。

○伊野保険企画室長

現在は、これが団体保険ということで、団体保険であれば被保険者に対する保険の紹介というのは加入勧奨ということで、保険募集の外という世界になっております。基本的には、その体系というのは維持するのだろうとは思っておりますけれども、現行もう一度いろいろなことで、今回募集規制、募集ルールの見直しをするに当たって、ちょっとやり過ぎのところがあるのではないかなということで、見直すべきところは見直していこうという、その一環ということでございます。

○洲崎座長

現在は団体保険というメルクマールで一応適用除外にしている。しかし、その団体性をいろいろ見ていくと、クレジットカード会社のケースについては、団体性が非常に弱いのではないか。よって、ルールを変えたほうがいいのではないかというのが事務局の考え方ですね。

錦野委員。

○錦野委員

現状の制度の話がありましたので、この事務局資料の15ページの下から2行あたりを見ていただきたいのですけれども、この場合には保険会社に対して、保険契約者が被保険者に対して加入勧奨を行う際に、保険募集人が顧客に対して行うのと同程度の情報提供・説明を確保するための措置を講ずることを求めるとあるのですが、こういう情報提供の300条周りの規制だけではなくて、保険会社に対する体制整備義務というのも保険業法にはありまして、現状の法制度においては、保険会社に対して監督官庁はというか、法律は保険契約者から適切な、保険募集人がやるのと同程度の質の情報提供が行われることを確保するための措置を、保険会社に対して要請というか、体制整備を義務づけているわけです。

ですから、現状も確かに保険契約者からは行われてはいるのですけれども、全く保険契約者任せに、保険会社なり行政がしているかと言ったら、そうではなくて、そこでの書面のチェックをしたり、あるいは保険会社みずからがつくったりとかいうことは、保険会社としても、この法律に基づいて、あるいは監督指針に基づいてやっているはずですし、おそらく当局もそういうところを監督している。

だから、全く野放しではないのですけれども、今般の制度変更というのは、もうそれを直接的に行為規制のところで、むしろそういう情報提供というのは保険会社ですとか、保険募集人からやるほうがよりいいのではないか、行為規制のところで確保しようという、そういう変更だと思います。

○洲崎座長

よろしゅうございますか。

葛石様。

○葛石オブザーバー

先ほどのマル3-3あるいはマル3-4、16ページ、17ページのところなのですが、損保協会さんからのお話もありましたように、イベントとか、そういう参加人数云々というのがあるのですが、例えば国際会議を開くとか、大きい会議のときに、その参加者に対してそこそこの高額な保険料をかけたような傷害保険を主催者が設定するようなケースは、やっぱりたくさんあるのです。

もし、そういうようなケースがあるときに、例えばマル3-3ですと、極めて期間は短期ですから、これはこれでいいのだろうと思うのですが、結局、保険料が極めて少額という言葉が少し引っかかるような気はしますし、それから、マル3-4になりますと、保険料の額を事前に正確に提示をするというようなことになりますと、これは現実には保険料の額を事前に正確に提示することはできるわけなのです。

では、そういうようなことになりますと、やはりこのメルクマールとして使い勝手のところで少し何か知恵、工夫が必要なような気がしているのでございますけれども、いかがでございましょうか。

○伊野保険企画室長

別に、ここに書いているものに限るという趣旨ではそもそもなくて、最後にありますが、ほかに何かあるのであればご提案くださいということですので、村田様にしてもそうですが、積極的にご提案をいただければ、我々としてはそれを何もこれ以上入れませんよという趣旨ではございません。まさにこういった基本的な考え方に基づいて、実務的には色々とあると思いますので、そこは基本的な考え方にのっとったものであれば、今、思いつかないものがあっても、実際の施行に向けて実務的に色々とご相談させていただく必要があるのだろうと思っております。

○洲崎座長

ほかにいかがでございましょうか。

五十嵐様。

○五十嵐オブザーバー

すみません、今のお話にもちょっとつながるのですが、例えば少額短期保険においても、いろいろな販売形態とか保険のつけ方がありますので、これを今ここで一つ一つ、これはどれに当てはまりますかとやっていると切りもないですし、そもそもそこまで決める会議ではないのかなとも思いますので、今、伊野室長がおっしゃられたとおり、細かいところは今後いろいろこちらからも情報提供させていただいて詰めていくという理解でよろしかったでしょうか。

○洲崎座長

よろしゅうございますでしょうか。

細かい点については実務的に詰めていくといたしましても、本議題に関しては幾つかの点でまだ各委員のご意見分かれていたように思いますので、再度事務局に論点を整理していただいて、次回以降の会合において、改めて議論を行いたいと思います。

それでは、次に資料1の19ページから26ページにあります「保険商品・サービスのあり方」について、ご質問、ご意見をお願いできればと思います。

水口委員。

○水口委員

保険金の直接支払いサービスについてですが、保険会社が保険金の直接支払いサービスによって、現物給付に近い方法で財・サービスを提供できることを可能として、保険会社に対して適切な提携業者を紹介するための留意点などの一定のルールを策定して対応するということは妥当だと思っております。

追加的な留意事項についてですが、保険会社に求められる体制整備に関しては、財・サービスを提供するものが、多くの場合、複数にわたることも想定されると考えておりまして、提携業者への適切な支払いを担保するような体制整備を求めることが、妥当だと思っております。

それから、契約者への情報提供については、ここでお示ししたような内容が妥当であると考えております。消費者が求める財・サービスの内容が、制度変更などさまざまな要因を受けて、将来にわたって変化し得ることから、保険金の直接支払いサービスが、消費者の求める財・サービスの内容の変化に柔軟に対応し得ることにも意味があると思っております。こうした柔軟性の確保の手段は、金銭の選択にとどまらず、財・サービスの選択や入れかえの基準などにも反映されるということも想定されると考えております。

お示しいただいた内容が、こうした柔軟性についても消費者の理解につながることを期待するところでございます。

以上です。

○洲崎座長

加藤委員。

○加藤委員

ありがとうございます。直接支払いサービスについてですが、23ページに体制整備、情報提供について事務局案をお示しいただいているかと思います。水口委員がおっしゃいましたように、基本的にはこういった体制整備、情報提供は必要だと私も思っております。

ただ1点、表現の問題かもしれませんが、少しきついと感じているところがあります。23ページ一番下のポチの部分ですが、「保険事故発生時に自らが設定した水準を満たす提携事業者を確実に紹介できる状態を維持するため」という表現。要するに、10年、20年先にわたって、このサービスを提供してくれる事業者が本当にいるかどうかを100%保証しなさいと言う意味だと解釈するなら、なかなか現実の商品開発はできないのではと思います。

そういった意味で、「確実に紹介できる」ではなく「極力維持する」という表現だったらいいのかもしれません。というのは、そもそも今回のサービスの位置づけは、保険金を現金で支払うということがメインにあって、それの代替手段としての直接支払いを行える、現物で支払ってもいいよというオプション性だという理解です。仮に、現物給付のみを対価として提供するときには、確実にサービスを担保するということが必要と思うのですが、今回はあくまで現金でもお支払いすることを前提にした代替手段、オプションという位置づけだと考えたときに、「確実に紹介」というのは、トーンとしてきつくないかという意見でございます。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

ありがとうございます。今の点についてですけれども、私も、今回のこのご提案の内容で基本的にいいかなと思っております。ただ、そのときに考えておく必要があると思いますのは、保険金を直接支払って、提携事業者を紹介するというのには、おそらくいろいろなバリエーションがあるのではないかということです。今回の議論は現物給付というところから始まって、そのときによく例に出てきましたのが、例えば20年先に老人ホームに入れますというようなことを現物給付としてやるのはどうかというところから始まり、それはなかなか難しいということがあったのですけれども、それを直接支払いという形でやるとしますと、おそらく商品の売り方として、この保険に入ると20年先には保険会社が提携している老人ホームの中から、そこに保険金を直接支払うという形で入ることができて、ただ、差額があったら追加でお支払いいただく可能性がありますというようなことを1つの売りにして、販売していくのだろうということが想定されるわけですけれども、そういうものと、そこまで中核の売りにはしなくても、保険金の支払いのときに、こういう使い方もありますよという、一種のおまけのようなサービスをして付加的についてくるという、二種類があるかと思っておりまして、それぞれかなり違ったタイプになるかと思います。

おまけのような、付加的なサービスのものであれば、それは今現在もいろいろなサービスを保険会社は提供しているかと思いますけれども、それは大体パンフレットの片隅に、都合によって断りなく廃止したり変更したりすることがありますと書いてある。付加的なサービスであれば、それはそれでいいのですが、この保険に入ると老人ホームを紹介してもらえますということを宣伝文句にして販売している場合には、それに期待して入る保険契約者がいるだろうと思われます。この体制整備のところに、契約者の期待を保護する必要があると書かれているのは、まさにそういうことを念頭に置かれたものかと思うのですけれども、その2類型を、おそらくある程度どこかで区別する必要があるかなと思います。期待を生じせしめるような宣伝の仕方をして、それを1つの売りとした商品設計をした場合には、それは撤回されては困るだろうと。撤回させなくするためには、約款に書くということを要求していけば、撤回できなくなるわけで、それは、ここでの話というよりは、約款認可のところとか、募集の仕方のところのお話になってくるかと思いますけれども、そういう容易に撤回させるべきではないタイプの、例えば老人ホームを紹介しますというような保険だった場合には、私は今の加藤委員のご発言とは違っておりまして、それは確実に紹介できる状態を維持しなければならないだろうと思っております。それは、都合によってできなくなりましたというのでは、おそらく保険契約者の期待が害されてしまうだろうと。

ただ、加藤委員のご懸念は十分理解できるものでして、20年先にどんな老人ホームがあるかわからないと。それは事務局のご提案の23ページの一番下のところで言いますと、それはおそらく23ページの一番下の行の一番左側で、保険会社みずからが設定した水準を満たすものを確実に提供しなければならないということになっているのでありまして、自分の首を絞めるような水準を設定してしまえば苦しくなるということがわかるのであれば、もちろん一定の水準は書くのでしょうけれども、それが現実的に見合わない、もしくはそれをやろうとすると、追加で何千万も払っていただく必要があるということになり、そのようなものしか紹介しないのでは、それはかえって利便性を害するでしょうから、そうすると現実的でなくなった場合には、例えばそのときの、今想定されているのと同じようなランクなのか、そのときのベストのものなのか、もしくはそのときの中ぐらいのランクなのか、その書きぶりはいろいろあるでしょうけれども、そういうことを、おそらく保険会社は事前に考えてやらなければならないのだろうと思っております。

それを簡単に引き下げることがあってはならないというのは、予定利率を高めに設定し過ぎると、保険会社が後で苦しくなって引き下げるときにどうするか、簡単には引き下げられないというのと同じような問題ではあるのかなという気がいたしまして、約束したものは確実に紹介できる状態を維持するための措置を講じなければならないのだけれども、そのことを考えてどういう水準のものを紹介するかというところで、あらかじめ十分に考えた基準を設定するということで、そういうことからしますと、この事務局のご提案は非常によく考えられたもので、これでいいのではないかと思っております。

ただ、そういう老人ホームを紹介しますということを中核に据えたもの以外の直接支払いに、提携先紹介サービスと直接支払いを組み合わせるというものが、全て確実にやれと言われると、それはやや苦しかろうというところもあるかと思いますので、その辺の柔軟性はどこかの段階で確保されればいいのではないかなと感じております。

以上でございます。

○洲崎座長

加藤委員。

○加藤委員

いま、後藤委員のおっしゃったこと、保険会社が約束したことを守るというのは、これは商道徳というか、そういうレベルで当然必要なことだと思います。ただ、その商道徳を前提としたときに、それを法律でまで規定すべきかどうかという話かと思います。今おっしゃったことですが、この部分の読み方として、自らが設定した水準という表現に、「提携先の業者さんが存在しなくなったときには、その契約は維持できなくなりますよ、ご紹介できなくなりますよ」というようなことがきちんと明示されていた場合、ご契約者の方にもそれがきちんとご説明されている場合には、その説明自体が「自ら設定した水準」であって、そういった状況も含めて読んでいいのだということであれば、それで結構だと思います。

ただ、そうだとすると表現として、「紹介できる」なのか、「担保できる」なのか、どちらがいいのか。紹介というといかにも提携業者さんがいることを前提にしての言葉遣いですが、そういった「ご紹介できなくなる可能性もある」という自ら設定した水準を担保するという読み方も含んでの文章だとすると、全く違和感はありません。

○伊野保険企画室長

大体後藤委員からお話しのあったところで、我々も色々考えている内容ではあるのですけれども、多分加藤委員のおっしゃっているのは、通常で、例えば10年後が今とあまり状況が変わらない場合は、大体今の約束した水準でできるけれども、例えば10年間でがらっと状況が変わってしまって、今そもそも想定しないような、例えば老人ホームというのは全く変わったような形になった場合に、約束した老人ホームに入るということを言っても仕方がないではないかということだろうと思いますので、そこは、先程、水口委員からも少しお話があったかと思いますが、やはり約束をしていただいたことが、必ず全てそのとおりということは、現物給付と変わらないわけで、まさにそこで柔軟に時代に合わせて、ある程度保険金の額なんかを見ながら、時代に合ったものということで変化していくことは、むしろ契約者の方の利便に資する面があると思いますし、そういう意味では、ある程度時代の変化に合わせて提供していただく、提示していただく提携事業者さんが変化していく、あるいは提携事業者さん自体がサービスの内容を変更していくということは大いにあり得ることだと思っております。

そういう意味では、最初にある程度お示ししていたものが、そのものを確実にやらなければいけないのかというと、確かにちょっと確実という言葉がきつ過ぎるような気もいたします。そういう意味では、約束したものそのものの内容が変わってはいけないということではなくて、やはり時代に合わせて、契約者のためになるように柔軟にそこは対応していただく。万が一、何か状況の劇的な変化で、そもそもそういったサービスが提供できないような大きな事情変更があるときにまで、全てやらなければいけないというのは、それは酷な面があるという場合は、金銭での支払いという最後の手段が残っておりますので、そういうことはもちろんあり得ると思います。

ただ、あまり状況も変わらないのに、3年でやめましたというのは、それはちょっといかがかなと。多分、皆さんおっしゃっていること、基本的には同じということかなと受けとめさせていただきました。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

単に質問ですが、提携事業者に医療機関というのは入り得るでしょうか。例えば、がんになったとき、がん保険で保険金をもらうのではなく、病院に入れて治してくれるようなことはあり得るでしょうか。

○伊野保険企画室長

基本的には支払いということで、直接支払いですので、この中に入ってくると思います。ただ、あまり提携事業者という意味では、多分病院の場合は一般的には公的保険でどこに行っても手術を受けられるという状況ですので、そういう意味では、どこまで実益があるのかというと、一般的な老後の介護とか老人ホームとかというものよりは、少し利便性という意味では落ちるような気はしますけれども、ちょっとそこは今後の検討課題だろうと思っております。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。先ほどの加藤委員とか後藤委員の議論を聞いていますと、おそらく想定する事案が少し違うところがあって意見が分かれているだけで、根本はそれほど変わらないのかなと思ったのですけれども、少なくともこの場合に保険会社はある一定の提携事業者というのを顧客に紹介するわけですから、そういう紹介をする保険会社において、提携事業者の選任ですとか監督について、一定の責任を持ってもらう、これは紹介する以上、当然のことだと思いますし、こういう義務というのは認めていただくということに賛成でございます。

一方で、こういう紹介行為にしてもそうですけれども、今回の直接支払いサービスについてもそうですけれども、留意しなければならないのは、保険会社の他業制限と言いますか、やはり本業は保険業ですから、保険業と違った異質のリスクをできるだけ負担しないようにする、レピュテーションも含めて。本業に専念する必要がありますので。

ですから、例えば24ページのところの、提携事業者が提供する財・サービスの内容ということで、室長はこれは概要でもいいとおっしゃられたので、それで結構だと思うのですけれども、これも保険会社のほうが自分のリスクを低減するために、詳細な説明をしてしまえば、結局保険会社としては、例えば老人ホームがどういう内容でやっているのかとか、本業ではないわけですから、よくわからないわけです。ですからそこで誤った説明をしてしまって、保険業と違ったリスクを負担してしまうおそれがあったりということで、概要ぐらいであればできるのかもしれませんけれども、そういう観点ですとか、あるいは事業者のほうに直接顧客に説明してもらうような措置を講ずる。自分が説明しないわけですから、その分リスクは低減できるわけです。

そういうきめ細やかな配慮になってくるのですけれども、保険業とは違ったリスクをできるだけ低減していこうとするような試みというのは求められるのだろうと思います。

そういう意味では、訴求という言葉ひとつとりましても多様な観点があるのですけれども、あまりに保険会社が、例えば提携事業者の事業をやっているかのようなもの、そういう極端な訴求の仕方と言いますか、約束してしまうような訴求の仕方というのは、僕はちょっと控えたほうがいいのかなという感覚は持っているのです。

ですから、その場合にも、あくまでも保険会社としては保険金はその事業者に払いますし、一定の提携はしているのですけれども、あくまで保険会社の立場というのは、その事業者を紹介するだけですよという立ち位置をできるだけ崩さないというか、そういう配慮は必要になってくるのかなとは思っております。

以上でございます。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

この直接支払いは、結局は現物給付をやることが保険会社にとっても非常にリスクがあり、リスクがあることは保険契約者にとっても好ましくないことであるので、それを緩和的なこととして、直接支払いにというところで、議論が進んできたんだという理解をしています。直接支払いで、21ページにあるように議論の整理ということで、おまとめいただいたことを書いていただいているこの時点までは、そうなんだろうなとあまり異論はないです。ただ、先ほどの後藤先生もおっしゃいましたし、それから錦野先生もおっしゃっていますけれども、直接支払いというのがあくまで保険金が払われるときの代替のサービスで出てきます、つまり、後から出てくるサービスであれば、それはほとんど多分問題がないかなと。つまり、事実上の支払い指図といいますか、私の口座に入れないで、あの事業者の口座に入れてと。チョイスは全部、契約者自身が自分でやりますよというのであれば、それはそうなのかもしれないけれども、ビジネスという観点で考えると、当然、保険会社にとって、ビジネスチャンスでしょうから、こういうサービスをチョイスすることもできますよということを保険会社が紹介するという形で、世の中にアピールをしていくということだと思うんです。

そういうふうに考えると、ここにおまとめいただいているように、消費者の期待と書いてらっしゃいますけれども、期待権は法律上は非常にささやかなものなのだろうと思いますが、契約者の期待を保護する必要があるという部分では、ず結局は、例えば介護でも、有料老人ホームでも、今挙げられているものについて、保険金を選ばないで、サービスを選ぶという人に対しては、その人の割合が100%なのか、50%なのか、0%なのかわからずに、提携業者を担保しておいて、いつでも手を挙げたら、そこを紹介できますよというふうにしないといけないし、それからさらに紹介されて、現金でもらわずにサービスをチョイスしたお客様が実際にそこのサービスを受けてみたら、不満だというときの矛先も、やはり紹介というのが法律的にどこまでを担保しているのか、私はよくわかりませんが、その不満も結局はさかのぼって保険会社に行くのではないかと思われます。いや、うちは紹介しただけだから、知らないよというふうにほんとうに言えるかどうかというのは非常に難しい話になるのだと思っていますので、そういう意味では、今、生命保険会社に対する苦情は一定程度減らないということは再三申し上げてきました。

保険金を払う、払わないだけでもこれだけトラブルがあるのに、今度はサービスという保険会社にとっては直接ご自分でなさるわけでもないんですけれども、そこの未知の分野に足を突っ込むということは非常にリスクの大きいことで、そのリスクの大きいことを保険会社がおやりになることがほんとうに保険契約者にとって、いいことなのだろうかというのがまずあります。そういう思いがあって、これを読ませていただくと、少なくともこれは外してもらったら、困る。「自らが設定した水準を満たす提携事業者を確実に紹介できる状態を維持するための措置を講じること」は、ある意味では、契約者にとって約定されたことはちゃんとやってねということでございまして、そこは外せないと思いますし、実際になかなか難しいことなのではないかなと思います。

○洲崎座長

神戸委員。

○神戸委員

このタイプの保険に対しては、多くの場合サービスの内容を主目的に加入するということになると考えられますので、後藤委員がおっしゃったように、提携先を確実に紹介できる状態の維持というのが非常に重要な要素になると思います。その際、24ページの説明する事項の内容として、提携事業者を選定する水準であるとか、財・サービスの内容、これらについてどういう説明を実際に行うかが問題となるでしょう。これらは、ビジネス環境の変化、あるいは技術の進歩などによっても、後々変容していく可能性があると考えられますので、そのあたりの説明をきちんと行っておかないと、丹野委員がおっしゃったように後日トラブルになる可能性があると思います。基本的には、体制整備と情報提供に関しましては、一定水準以上のサービスを提供できる提携業者を確実に紹介できる状態を維持するというのが、このタイプの保険では顧客にとって一番大切な部分になると考えておりますので、重要なポイントとして残していただいたほうがいいと思います。

以上です。

○洲崎座長

米山委員。

○米山委員

今の2つの委員の意見の流れの中で、24ページの商品説明の際の契約者の説明の一番最後の点がやはりひっかかる説明です。物価が変わらないというニュートラルな条件であれば、確かに差額があれば受け取れるということで、正しいことなんですけれども、通常は我々が心配しているのは、物価が上がって、実際には提示された夢というか期待としてのサービスのほうを受け取れず、やむなく保険金を選択するよりしかたがないということを我々心配していますから、契約者にこの種の商品を説明する場合には、インフレによってこのサービスが受け取れないことがあるということをきちっと契約者にわかってもらった上で、購入していただくということが大事かなと思いました。

○洲崎座長

現物給付保険ではないので、24ページの最初の矢羽根の最後の点が重要ですね。このことは当然わかっていただいた上で、加入していただくということになろうかと思います。

家森委員。

○家森委員

もともと直接払いに関しては、最初は一時的な支払い立て替えの不便さをなくすという意味なら、オーケーということで、次に、ただ、そうなると財・サービスに期待して保険に加入するという、期待が出てきて、それを確保するためにいろいろな方策が必要だということになってきているようです。確かに、常識的に考えると、この直接支払いサービスができるようになると、先ほど後藤先生とかがおっしゃっていたように、保険会社がこれを1つの商売上のアピールポイントにされることは十分あり得るので、期待をむしろ膨らまさせるような、営業戦略が、当然、あり得ると思われます。だから、それに対して消費者をいかに保護するかというのは非常に重要になってくるので、現物給付という法律上の新しい制度は使わないにしても、そういう売り方をされる商品については、やはり何らかの規制が必要だなと私も思います。そこで、若干、それに関して、ほかにいろいろな心配事はないかという観点で質問すると、例えば保険金の直接支払いの場合には、50万円のサービスは35万円分でよろしいですとかというような一種の割引のような約束もこの中に含めていいのかとか、それから、もともと議論されていたような優先的に紹介してもらえます、混んでても列の最初に入れてもらえますというような約束が、この中にうたってもよいのかというのは、どういうふうにお考えでしょうか。

○伊野保険企画室長

まだ、あまり細かくは考えてはいないのですが、基本的には保険会社と提携業者さんとの間での創意工夫によって、ある意味、色々なことがやってもらえるのは基本的には、様々なニーズに応える顧客利便の観点からすると、良いのではないかなと思っております。ただ、どこまでやって良いのかどうかとか、それに伴うリスクですとか期待をどう守っていくのかという部分もありますので、そういったものも考えながら、やっていくということになれば、実務的によく検討していく必要があろうかと思っております。

○洲崎座長

五十嵐様。

○五十嵐オブザーバー

すいません。ちょっと聞き漏らしてしまったのかもしれないですが、今、お話が出ている、いわゆる体制整備義務といいますか、直接払いするための体制整備義務なんですけれども、これは今回、新しく考えている第1分野と定額型の第3分野に限ったお話ではなく、おおよそ全ての分野においても直接払いする場合に共通するルールという考え方になるのでしょうか。

○伊野保険企画室長

基本的には、そのように考えてあります。ただ、もちろん、ものによって、例えば先ほども少し出ておりましたけれども、事前に提携業者を示しながら、顧客募集をされるケースと、どちらかというとおまけ的についてくるようなものとでは、多分、そのレベル感は随分違うと思います。そこは個々具体的に、それぞれのレベル感に合わせて考えていくということではないかと思っております。

○五十嵐オブザーバー

ありがとうございます。

○洲崎座長

ほかにいかがでございましょうか。錦野委員。

○錦野委員

どうもありがとうございます。

23ページの下から6行目に契約者の期待を保護する必要があることからとあるのですけれども、私は契約者の期待はいろいろあるんですけれども、その中でやはり保護に値すべき合理的な期待というのは保護すべきだし、そういう合理的な期待が生じるような状況、保険会社がまさにその提携する事業者のサービスを売り物にして、保険商品を訴求していくような場合、そういう場合には、このメルクマールというのは、極めて妥当だと思うんです。ですから、そこの言葉で言ってしまえば、契約者の合理的な期待を抱くような場合とかいうことになるんですけれども、法律的にどういう言葉で表現するのか。一方で、今室長おっしゃられたように、単に保険の支払いの利便性の観点から、直接払いますというぐらいであれば、このメルクマールは適用しなくても逆にいいと思いますので、適用場面はすべからく直接支払いサービスをする場合でなくて、事業者のサービスを訴求していく場合のような、契約者がその事業者のサービスについて合理的な期待を抱くような場合に限定されるのだと思います。ですから、そこの書きぶりを工夫していただければ、各委員の意見というのもある程度統一されるというか、まとまっていくのかなという気がいたしました。

○洲崎座長

阿部委員。

○阿部委員

別のところですが、よろしいですか。

○洲崎座長

ちょっと待ってください。直接支払いサービスについて、何かございませんか。

はい。それではどうぞ。

○阿部委員

19ページの共同行為ですが、今回の論点で前向きなニュアンスを示しながら、実務的に検討していくということで、この結果は差し支えないと思いますが、非常にニーズがある話ですので、実務的な検討を始められたら、当局の責任と判断で実現できるようにぜひお願いしたいと思います。

○洲崎座長

共同行為について、ほかにいかがでしょう。よろしゅうございますか。

それでは、不妊治療について。では、水口委員。

○水口委員

ありがとうございました。不妊治療に関して、モラルハザードとか選択に関する懸念があるということで、そういった面も示していただいているところですが、不妊治療に関する保険サービスは、保険商品設計にとって、非常に重要である要件でありますところの、信頼性の高い統計データに基づいたプライシングを実施して、収支管理を行うということになかなかなじまない特性を有しているという考え方もあるかと思います。つまり、不妊治療にかかわる信頼性を伴う統計データは、必ずしも十分ではないのではないかと思っておりまして、その整備は困難、なかなか容易ではないのではないかと思っております。

その理由の一つといたしましては、不妊治療に関する対処については、支払事由は、契約者の不妊治療を受けるという意思であるということで、恣意性を伴うものであって、プライシングの裏づけとなる有用な統計データが、なかなか存在していないのかとも思っています。つまり、がんなどに罹患した大半の人は、医療機関で受診することが想定される一方で、不妊については、医療機関を訪れて治療を受ける選択をする人と、しない人があるということが、網羅的な統計データ構築を困難にするということも考えられるのではないかと思っております。また、不妊治療の原因は女性にあるとも限らないでしょうし、男性に原因がある場合もあると考えられるので、これは、しっかりした裏づけのある商品の組成の障害となり得る事象ではないかと思っております。

こうした諸観点から、不妊治療に関する保険サービスについては、健全な保険会社の経営の核となる、信頼性の高い統計データなどに基づいた、収益リスク管理などについて大きな課題があって、十分に慎重に検討すべき事項であると考えます。

以上です。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

ありがとうございます。

以前、この議論があったときには、私も今の水口委員と同様に、やや消極的なことを述べたのですけれども、その後少し考えを変えましたので、前回の発言の補足とともに、少し意見を申し上げさせていただきたいと思います。

この不妊治療につきましては、資料に書いてございますように、モラルリスクや逆選択の問題として、特に既に不妊治療の必要性を感じている人がこの保険に入って、直ちにそれを使うという可能性が非常に懸念されているわけですけれども、それに対しては、ここで提言されていますように、例えば、この契約に入ってから5年間は使えませんという待機期間を設けることによってそれなりの対処はできるでしょうし、また、1回幾らかかるのか十分に勉強しておりませんけれども、例えば1回何十万円のものを3回とか5回までとか、そういう回数制限をつけるということをすると、マキシマムの負担は想定ができるわけです。

前回申し上げましたのは、そのように、制限を非常にきつくしていきますと、前回の議論が出たときには、例えば、今現在、不妊で悩んでいる方が使えるかもしれないという報道があったように伺っているのですけれども、それはおそらく無理だろうと思いますが、そういう期待先行になるおそれがありますので、説明の際にはほんとうに気をつけないと、トラブルを招くおそれがあり、また、保険会社に無理をさせて、こういう制限なしに引き受けさせようとするのは妥当ではなく、それは本来であれば国がやるべきことではないかということなのですが、ただ、こういう待機期間や回数制限をしっかりと設けた上で、それを十分説明して、誤解のないようにした上で、それでなお採算がとれ、かつ需要があるのであれば、それは引受けをおよそ否定することは、あまりよろしくないのではないか。そういう意味で、引受けの窓を開くということについては、基本的にはそれでよいのではないかと思っています。

前回は、そこまで限定した上で、ほんとうに需要があるのかと考えてもいたのですけれども、考えてみれば、もちろん女性だけに原因があるということを申し上げるつもりではありませんけれども、例えば、これから仕事をあと10年は頑張ろうと思っておられる30代ぐらいの女性が、10年たった後に子供が欲しいと思っても、それは年齢的に難しいことがあるかもしれない、そういう方が全てそうなるわけではないでしょうけれども、自分のキャリアのことを考えて、5年間の待機期間があっても、そういう保険に今、入っておくというニーズを、どれだけあるのかは分かりませんが、想定できないわけではなかろうとすると、そこをつくっておく必要はあり得るのかもしれません。

ただ、そのときにモラルハザードがないとしても、今、水口委員がおっしゃられたような懸念はあるわけでございまして、おそらく、こういう保険ができると、契約者はそれを前提として、保険があるのだったら使おうという行動をとることは考えられますので、それを踏まえたデータをどう採っていくかというのは、実際にそういう保険を販売してみないとわからないというところもありますし、また現在、不妊治療をどれぐらいの割合の人が受けているのかというデータはあるのかも、私には分かりません。しかし、そうであったとしても、先ほど、阿部委員からご発言がありました共同行為のところでは、データがとりにくいけれども、やはり社会的には需要があって採算を見込めるのであれば、何とかしてデータをとるために共同でやってみるという議論がありましたが、まずこういうものをやっていくということも考えられるのかもしれません。

また、待機期間をしっかりつくった上で、その時点で不妊に悩んでいる人はだめという、告知義務の話になるかと思いますが、それをしっかり整備すれば、今から5年後に不妊で悩んでいるということは、それはデータがどこにあるかわかりませんけれども、一定の確率で生じる偶然の事象であり、その確率が判断できるのであれば、5年後に不妊で悩んでいる人は全員、最高回数の治療を受けるという想定をして、保険料率を算定することは、素人考えではできるのではないかとも思います。ただ、その辺は非常に難しい事柄も多いでしょうから、この事務局のご提案のように、引受けは一応可能とした上で、おそらく実務的に検討するというのは、約款の認可やその料率の認可の際に、そういうことがちゃんとできているかを慎重にご判断されるということではないかと思いますので、最後の認可の段階でのコントロールがしっかりと確保されるということを踏まえまして、私としては、このご提案に賛成したいと思っております。

以上でございます。

○洲崎座長

錦野委員。

○錦野委員

ありがとうございます。

私も今の後藤委員と同じように、この提案には大賛成でございます。時代の変化に伴う、新しいニーズに対応していく、そういう保険商品のあり方の検討というのが、このワーキンググループの大きな目的であったと思います。不妊治療を検討する人、そういう方の悩みはほんとうに千差万別だと思いますし、しかしながら、想像ですが、ほかの人にも相談できず、孤独な悩みを抱えている人というのも少なくないのだと思います。そういうときに、たとえ小さな力かもしれませんけれども、保険会社が金銭的な面で、大きな金額ではないかもしれませんが、バックアップしてあげることができれば、そういう人の心の支えにもなりますし、金銭的にも助かることにもなりますし、そこにはまさにニーズがあるのだと思います。

確かに、ここに記載されているような諸々の困難な問題、逆選択ですとかモラルリスク、あるいは医学的な、保険事故に当たるかどうか、そういうところも理念的にはクリアできない課題ではないと私は思います。医学の発展ですとか、キャップを設ける、引き受けるリスクをできるだけコントロールすることによってです。

ですから、この事務局提案はすばらしいと思うのですけれども、以上のような点を踏まえれば、保険会社が不妊治療費を補填する保険を引き受けることを可能とするとともに、やはり、ほんとうにやる気のある事業者に対して、門戸を開く。そういう人たちが、結局、門戸が開かれていなければ、真剣に検討したいと思っていても真剣に検討しませんから。ですから、門戸を開いて、そういう人たちが出現する道を開いてあげるということは、ほんとうに小さな一歩かもしれないですけれども、将来の偉大な飛躍というか、そういうのを期待させてくれる、ほんとうにいい提案だと思います。ですから、私は、大賛成でございます。

以上でございます。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

やや異なる意見でございまして、不妊治療というのは、おっしゃるように結婚年齢が上がりましたし、お子さんを持つ年齢も着実に上がっていますので、不妊治療を受けられて出産に至ってという方が、個人的に言えば、私の周りにもたくさんいますし、少なくない需要だと思っています。

ただ、ここに書かれているとおりでございまして、それこそ、先ほど水口委員がおっしゃったように、データもないし、危険選択もそもそも難しいし、もっと平たく申し上げれば、この保険に関心を持つ人は、ある意味で、もう既に契前発病であるという可能性が非常に高い。そういう意味では、商品としてそもそも成り立つのか。不妊治療も自由診療ですので非常に千差万別で、実はちまたではいろいろなことが言われていて、あまり披露できないような話もたくさんあるのですが、そういうことを踏まえると、どうしてもここには消極にならざるを得ない。

先ほど、待機期間を5年間というお話がありましたが、例えば待機期間を2年間だとしても、2年間保険料をただ払っていなければいけないのですよ。ただ払っていて、その待機期間が済んで初めてというのが、ほんとうに保険として適切なのだろうかと考えると、いたずらに消費者に期待させて、空振りになる可能性がたくさんありそうで、今、これだけマスコミでちやほやされるぐらいですから、非常に注目を集めていることは間違いないので、この手の保険は、つくりました、やはりやめましたと言われては困るので、そういう意味では非常に慎重にも慎重の上に検討を重ねて、今後の医療水準だとか統計データだとか、そういうものをちゃんと蓄積した上で、初めて検討に値するのではないかと思っておりまして、むしろ26ページの、以上のような点を踏まえれば、保険会社が不妊治療費を補填する保険を引受け可能とするとともにというところに、私は、この書きぶりは積極に過ぎるのではないかと思っていまして、もうちょっと、この辺は、今後の情勢の推移等を検討し、慎重に検討すべきであるとするのが望ましいのではないかという、非常に消極的な意見でございます。

○洲崎座長

賛成意見、反対意見、2つの意見に分かれておりますけれども、神戸委員。

○神戸委員

私もこれまでの議論を伺ってきた中で、不妊治療目的の保険に関しては、やはり多くの問題が存在していると思います。まず、告知審査などについての、保険を引き受けるときの条件設定が非常に難しかろうという点と、不妊の原因が男性にある場合など、支払要件について、要は保障範囲をどこまでにするかという部分の整理もなかなか難しいでしょう。また、待機期間をたとえ設けるにしましても、その間も、妊娠、出産された方は、おそらく解約していくでしょうから、それに伴って、おそらくリスクがどんどん濃縮されていくと考えられ、料率の設定は、データがないのが現状ということですが、たとえデータがあったとしても非常に難しいものになるのではないかと思います。

かなり慎重に検討しないと、トラブルの発生の可能性が大変高い商品になってしまいかねないということを直感的に感じます。そこで、1つは、金融庁さんのほうに、この商品について、こういうふうにすれば監督できそうだという、イメージがおありになるのかどうか、次に、実際に業界さん側が要望されたわけですけれども、多くのトラブルの発生が予想される、あるいは非常に難しい問題が多いという意見があった中で、今、実際、どのように考えておられるのかということをお聞きできればと思います。

以上です。

○洲崎座長

そうですね。では実務界から、いかがでしょうか。

梅﨑様。

○梅﨑オブザーバー

これまでの本ワーキングでの議論もそうでしたし、今日の議論でもお話が出ておりましたが、不妊治療を保障する保険については、現時点で、発生率の算出基礎となるデータがきちんと整っているかというと、そういうことはなく、商品化は困難ではないかという面があることも十分、承知しております。また、実効性のある危険選択の方法が確立しているかどうかという点についても、やはり難しいのではないかというご意見があることも十分、認識いたしております。

一方で、公的保険適用外の不妊治療に係る医療費については、自治体の助成制度がございますけれども、治療を受ける際に金銭的に大きな負担があるということも事実でございますから、ニーズがあるのではないかという報道がなされているものと思っております。

そういった観点から、私どもとしましては、少子化対策に資すると考え、不妊治療を保障する生命保険について、本ワーキングでご提案させていただいた次第でございます。

今般、ご指摘いただきましたような諸課題を踏まえて、検討が必要であると認識いたしております。

○洲崎座長

検討が必要であるというのは、どちらでしょうか。結論的には、26ページの最後の○にある2つのポツの上のポツのことを、報告書に書いてもよいのか、あるいは書くことを希望されるのかというところは、いかがでしょうか。

なかなか難しいということですか。

○梅﨑オブザーバー

開かれるのであれば、そういった諸課題が解決できるように、検討したいということです。

○洲崎座長

必ずしも積極的に望まれているわけではなさそうだという印象を受けたのですけれども。

○梅﨑オブザーバー

そういった意味では、開いたから、必ず諸課題が解決できるかと問われれば、今、お話ししたとおり、かなり難しい問題があるというのが事実だということでございます。

ただ、開かれるのであれば、ニーズはあるので、しっかり検討させていただくということになります。先ほど委員からご意見もありましたが、閉じられていれば誰も検討しないというのが現状でございますので、開かれれば、それから検討が始まるのではないかと思っております。そのうえで、諸課題がクリアできるのであれば、認可申請という話になるのかもしれませんが、諸課題が解決できないとあれば、認可申請はできないということになるのではないかと思っております。

○洲崎座長

石川様。

○石川オブザーバー

追加ですけれども、商品政策の話でございますので、今、梅﨑からも申し上げたとおり、一般論として、商品を開発するかどうかというのは各社の経営判断でございますので、現時点で、商品開発をする、しないということについては、我々の立場から申し上げることはできません。繰り返しになりますけれども、データの問題や、危険選択の問題といった、ご指摘いただいている難しい問題があるということは、十分承知しておりまして、その点については慎重な検討が必要だと考えております。

○洲崎座長

山下委員。

○山下委員

最後の、以上のような点を踏まえればとあって、最初のポツでは、もうここで、こういう新しい保険を引受け可能とするとともにとあって、ここが先ほどから少し断定的で、下のポツは、検討する。順番から言えば、やはり、もう少し検討する課題はいろいろあるのではないでしょうかというのが、多くの委員のお考えではないかと思いますし、その引受けを可能とするというのは、例の骨髄移植を給付対象とできるとしたときは、要するに、施行規則、内閣府令を改正すればいい話で、それと似たような処理になるのかと思いますので、あまりこの時点で、この書き方だと、もうすぐ施行、内閣府令を改正して開きますというようにも読めるので、そこは実質的な検討が進んで、何か、これなら安心だというものが、どこかの保険会社から出てきたら、その時点で、また引受けを可能とする措置をとるということも考えられるのかと思いますが。

あまり、現時点で、では一切、この保険は危ないから、これはもう今回の報告書からは全部削りましょうと、却下とするのも、これまでの議論からいかがなものかと思いますので、そういうふうに、少し先送りということもあり得るかと思います。

○洲崎座長

ありがとうございます。錦野委員。

○錦野委員

もう、ここは価値判断の問題だと思うのですが、私としては、もうすぐに施行規則を変えていただいてもいいのだと思います。それは、幾ら待っても、やはり法律の門戸が開かないと、皆、事業でやっていますから、いつ解禁されるかわからないものを真剣に検討する事業者などいないわけです。社内でもそういうのは通りませんよね。ただ、法律としては門戸が開かれている、要するに保険会社として引き受けられるのだという土台が整えば、実際に、会社として、組織として、検討していくに当たっても、大きなことだと思いますし、でも金融庁の商品認可もあるわけですから、そこで、2つ目のポツに書いてあるような、措置というのは、保険会社として引き受けられる、コントロールできるリスクの範囲内なのかどうなのかというのは、具体的に検討されるわけですし、私はもう、その施行規則を変えるということが、まさに、それでも小さな一歩だと思うのですけれども、小さな一歩だけれども、そこに意義があるのだと思いますし、先送りするのであれば、ここで議論した意味がないのだと思いますので、私としては、施行規則を変えてもらいたいという強い思いは持っております。

以上でございます。

○洲崎座長

加藤委員。

○加藤委員

ありがとうございます。

私も錦野委員と同じで、本事務局提案について賛成です。理由を3点だけ。

まず1つ目は、社会的意義が非常に大きいというところ。2点には、今も再三ご議論のポイントと思いますが、あくまでこれは門をあけるというだけで、保険会社に「必ず二、三年後に商品を出しなさい」と命令をするとか、もしくは「商品認可を必ずします」ということではない。当然、そこは慎重な、今後の手続、認可検討があるということも事務局案に想定されています。それを踏まえた上で、門戸を開くことについて反対する理由は余り存在しないのではないか、ということが2点目です。

最後に3点目の理由です。この不妊治療という議論を、少し超えてしまうかもしれませんが、継続審議をしていただければという趣旨で、あえて申し上げます。私自身、当初、この議論のたてつけがよくわからなかったところがあります。例えば骨髄移植にしても不妊治療にしても、大切な医療行為ですので、わざわざ法律上で認める、認めないの審議をしなくてもいいのではないか。商品開発するかどうかは個社判断ですが、これらの医療行為は民間保険の対象であるはずと、一般人的な感覚で捉えておりました。しかし、どうもよく聞いてみますと、いわゆる病気でないものについては、法律上は保険の対象にしてはいけないらしい。

病気ではないが、人間のクオリティー・オブ・ライフを向上させるような医療行為、例えば、骨髄移植、不妊治療、もしくは、終末医療というのも一部入ってくると思いますが、そういった領域に対しては、法律上は民間保険の対象にならない。何度も言いますが、商品を出す、出さない、できる、できないは、個社判断だと思います。しかし、そういった病気や疾病ではないものの、人間のクオリティー・オブ・ライフにかかわる医療行為に対し、個別に法律上の認可を議論するということではなく、そもそも、これら全て含んで民間保険の対象としてもいいのではという議論も、今後必要と感じます。

3点目については、不妊治療の話から一歩出てしまっている話なので余計かもしれませんが、個人的な意見ということで申し上げました。

○洲崎座長

米山委員。

○米山委員

今の2つの意見に、やや反対するような意見になってしまいますけれども、確かに社会的な意義が大きいことは確かですし、意義があることも確かだと思うのですけれども、社会的に意義が大きいからといって、私企業たる保険会社に、リスクの保険可能性のかなり困難なものに門戸を開くこと、つまり、保険技術的に難しいものを推奨するということについては、やはり慎重に考えるべきではないかと思います。保険会社はディープポケットをもっているという議論がありますけれども、多分、大きな会社だったら、この程度の不妊治療は、主契約などで内部補助によって吸収できる程度のリスクですが、ほんとうにそういうことでいいのかということは、慎重に考えていただきたいと思います。ですから、この問題はむしろ、例えば先ほどの共同行為などを利用して、仮に逆選択が入ったとしても、このくらいの保険料率ならばノーロスノープロフィットで運用できるかもしれないとか、さらに不妊治療の損失分布を確かめるとか、いろいろな試行錯誤的な経験をしながら、データの共通化をはかり、保険会社全体で困難を克服していくような問題ではないかと私は思っています。

○洲崎座長

後藤委員。

○後藤委員

もう既に、議論には出ているかと思うのですけれども、私が先ほど賛成だと申し上げましたのは、少なくとも窓をあけるということであって、窓をあけたからといって、手を挙げる保険会社がいなければ、結局、そういう保険商品は生まれないということは、それはそれで仕方がないことであろうと思っております。

他方で、これがほんとうに採算がとれるかわからないリスクであることは、そのとおりなのですけれども、採算がとれるかわからないリスクについては、保険業法で引受けができないことになっているかというと、それはおそらくそうではなくて、どちらかというと、損害保険の話になるかもしれませんけれども、例えば気象災害リスクは、今後、どう気候が変動するかわからないという中でデータはおそらく非常にとりにくくなってくるかと思いますが、それでも枠としてはあいていて、それで、もしカバーができると思って、保険会社がそれで計算できるのであれば、それでやってよいということにはなっていると思います。この不妊治療保険については、社会的意義が強調される傾向にはありますが、別に社会的意義があるというだけで窓を開くというのではなくて、ニーズがあって、それが私企業でできると判断しているのであれば、それはその判断を尊重して、あとは約款と健全性の監督に委ねてもいいのではないかという趣旨で、先ほどのことを申し上げました。

以上でございます。

○洲崎座長

水口委員。

○水口委員

すみません。後藤委員のご発言で確認させていただきたかったのですが、今、おっしゃったのは、損保の、例えば巨大災害リスクとかに言及されているということですか。

○後藤委員

はい。

○水口委員

私は、専門家ではないのですけれども、私の理解では、損保についても、全くリスクモデルを持っていないわけではなくて、いろいろなシナリオも用いて、リスクモデルを活用しつつ、リスク調整後のリターンが得られるように努めていると認識をしているので、全く裏づけがなくて、プライシングしているわけではないと思っているのですが、いかがでしょうか。

○後藤委員

今の点ですけれども、保険会社が現実にそういうことをやっておられるのは、そのとおりだろうと思うのですが、ここでの問題は、保険会社がどうやっているかではなくて、やれるかどうかというのは保険会社が判断すべき事柄であるという前提で、法律上、その枠をつくっておくかどうかということかと思います。もちろん保険会社が何もやらずに、当てずっぽうの勘で、えいやと決めているということを申し上げるつもりではなくて、保険会社がもしできると思ったのであれば、それはできるということになっているし、できないと思ったのであれば、単に商品をつくらないだけであって、ただ法律上は、枠としてはできることになっているのではないかという意味でございます。

○水口委員

ありがとうございました。損保でも、それなりにリスクモデルはあるということに言及したかっただけなので、すみませんでした。

○洲崎座長

丹野委員。

○丹野委員

すみません。時間が延びていますのに。

入り口をあけておかなければ、保険会社が検討しないではないかという趣旨のお話があるのですけれども、それは、機が熟しているかというお話でもありまして、保険会社の中でそういうことが検討されて、これだったらやれるというところで門戸を開いてくれというのであれば、先ほどの一定の需要はあることは認めておりますので、理解はするのだけれども、門戸を開かなければ検討もしないではないかというのは、何かどうもしっくりこないことでございまして、しかもここで、これについて、これだけ時間をかけて検討していることは、決して無駄ではないことだと私は思っておりまして、これについても皆さんが非常に関心を寄せられて、今できると誰も言っている人はいませんから、そういう意味では、十分検討することは価値があると思っております。ただ1つ、門戸を開いておかなければ、真面目に検討しないというのは、どうも違和感があるような気がします。生保業界さんの発言を聞いていても、慎重に検討するというのにとどまっている以上、やはり、その機がまだ熟していないのではないかと言わざるを得ないのではないかと思っております。

○洲崎座長

山下委員。

○山下委員

門戸を開かないと何も検討しないかというと、あの骨髄移植の例にしても、私の知る限りでは、ある保険会社がまず商品を考えて、内閣府令の改正を働きかけたということがあったのではないかと思っていますので、こういうレポート、報告が、今後まとめられる中で、ある程度のことが書かれれば、今すぐ、先に門戸を開かないと、何も進まないというわけではないと思います。

○洲崎座長

ありがとうございます。この問題については、積極説、消極説、そして折衷説ですか、内閣府令で考えるという折衷説、いろいろご意見をいただきましたが、いずれにせよ、今回で結論が出たわけではございませんので、さらに事務局で取りまとめの方向性について整理をしていただき、次回以降の会合において、改めて議論を行いたいと思います。

本日も、時間を超過いたしまして、どうも申しわけございません。以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

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総務企画局企画課保険企画室(内線3571)

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