金融審議会「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」(第1回)議事録

  • 1.日時:

    平成26年10月9日(木曜日)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【岩原座長】

予定の時刻になりましたので、ただいまより、決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ第1回会合を開催いたします。皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

私、早稲田大学の岩原でございます。このたび、吉野直行金融審議会会長・金融分科会会長からご指名いただき、当スタディ・グループの座長を務めさせていただくことになりました。どうかよろしくお願い申し上げます。

初めに、当スタディ・グループについてご説明申し上げます。

このスタディ・グループは、9月26日に開催されました金融審議会総会において、麻生大臣から諮問をいただきました決済業務等の高度化に関する検討を行うため、設置されたものでございます。お手元の諮問文にもございますとおり、決済サービスの高度化に対する要請の高まり等を踏まえ、決済及び関連する金融業務のあり方並びにそれらを支える基盤整備のあり方等について、多角的に検討していきたいと考えております。

次に、スタディ・グループに参加いただきますメンバーの皆様をご紹介申し上げたいと思います。お手元に名簿をお配りしておりますが、メンバーのご紹介を事務局からお願い申し上げます。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

金融庁総務企画局信用制度参事官の佐藤でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは早速でございますが、委員の皆様を順にご紹介申し上げます。本日、50音順にご着席をいただいております。

あちらのほうから順番に、まず、沖田貴史委員でございます。

【沖田委員】

沖田でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

続きまして、尾中壱行委員でございます。

【尾中委員】

尾中でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、小野有人委員でございます。

【小野委員】

小野でございます。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、柏木英一委員でございます。

【柏木委員】

柏木でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、古閑由佳委員でございます。

【古閑委員】

古閑でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、関聡司委員でございます。

【関委員】

関でございます。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、滝島啓介委員でございます。

【滝島委員】

滝島でございます。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、長楽高志委員でございます。

【長楽委員】

長楽です。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、戸村肇委員でございます。

【戸村委員】

戸村です。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、永沢裕美子委員でございます。

【永沢委員】

よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、浜俊明委員でございます。

【浜委員】

浜でございます。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、堀天子委員でございます。

【堀委員】

堀でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、牧野秀生委員でございます。

【牧野委員】

牧野でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、松井秀征委員でございます。

【松井委員】

松井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、森下哲朗委員でございます。

【森下委員】

森下でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、山上聰委員でございます。

【山上委員】

山上でございます。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、與口真三委員でございます。

【與口委員】

與口でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

引き続きまして、当スタディ・グループのオブザーバーをご紹介申し上げます。

まず、あちらのほう、財務省大臣官房信用機構課、吾郷課長でございます。

【吾郷オブザーバー】

吾郷でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その隣、経済産業省商務流通保安グループ商取引監督課、苗村課長でございます。

【苗村オブザーバー】

苗村でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

あちらでございますが、日本銀行決済機構局決済システム課、播本課長でございます。

【播本オブザーバー】

播本でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

また、本日はご欠席されておりますが、当スタディ・グループのメンバーといたしまして、翁百合委員、加毛明委員、河野康子委員、田邊栄一委員、安田洋祐委員にもご参加をいただくこととなっております。

引き続きまして、事務局のほうをご紹介させていただきます。

メンバーの皆様方からご覧いただきまして、岩原座長の左側から順に、まず、総務企画局長の池田でございます。

【池田総務企画局長】

池田でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その左側、総務企画局参事官の中島でございます。

【中島総務企画局参事官】

中島です。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その左、監督局銀行第一課長の三村でございます。

【三村監督局銀行第一課長】

三村でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その左、監督局総務課金融会社室長の森でございます。

【森監督局総務課金融会社室長】

森でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

次に、私の右側、まず、総務企画局信用機構企画室長の黒井でございます。

【黒井総務企画局企画課信用機構企画室長】

黒井でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

その右側、総務企画局信用制度参事官室企画官の安藤でございます。

【安藤総務企画局企画課信用制度参事官室企画官】

安藤でございます。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

また、本日は、参考人としまして2名の方、NTTデータ経営研究所の佐藤哲士様、小出俊行様にもご出席をいただいております。後ほどご説明をいただく予定となっております。

ご紹介のほうは以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは続きまして、議事の進め方について確認させていただきたいと存じます。

まず、当スタディ・グループの日程でございますが、当面は月2回から3回程度のペースで開催し、有識者の方々からヒアリングを行いたいと考えております。また、当スタディ・グループは原則公開とし、議事録も公表させていただきます。したがいまして、公表を前提としたご意見、ご発言をお願いいたします。ただし、個別企業のビジネス等に言及して議論をされる際に、競争上の利益への配慮から非公開を希望する場合には、あらかじめ事務局を通じてご相談いただくことといたしたいと存じます。

皆様、このような形で議論を進めることでよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岩原座長】

どうもありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。

次に、万が一私が会議に参加できない場合に備えまして、座長代理を森下委員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岩原座長】

どうもありがとうございます。それでは、森下委員、どうかよろしくお願いいたします。

それでは、議事に移らせていただきます。

議事次第にございますように、本日は、まず事務局から、決済をめぐる状況と決済に関連する制度の概要についてご説明いただき、質疑応答を行いたいと思います。次にヒアリングに移りまして、佐藤参考人、小出参考人からお話をいただき、その後に一括して自由討議を行います。本日の議事はこのような流れで進めたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

それでは、事務局から資料に沿いまして説明をお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

私、信用制度参事官の佐藤からご説明を申し上げます。お手元に配付している資料の右肩に資料3「決済をめぐる状況と決済に関連する制度の概要」とタイトルの打たれた資料があろうかと存じます。これに従いましてご説明申し上げます。

表紙を1枚おめくりいただきたいと存じます。決済業務等の高度化に関する検討について、今回スタディ・グループでご審議いただく背景と幾つかのテーマを、例示しております。

上のところに背景という欄がございます。今回ご審議いただく背景といたしまして、まずICT、情報通信技術の急速な発展など、近年、決済をめぐる環境は大きく変化しております。さらに電子商取引、いわゆるEコマースの増大などに伴い、決済高度化の要請が急速に高まっているものと思われます。

こうした中、新たな決済サービスが登場しております。さらに、決済サービスの担い手自体も多様化しております。こうした流れは、技術革新等に伴って、今後さらに加速するのではないかと見込まれます。こうした中にあって、創意工夫を生かした決済ビジネスの展開、また、決済高度化に向けた共通基盤の整備、さらにアジアを含めた決済に関するグローバル戦略などが、今、重要な課題として浮上しているのではないかと考えております。

これを踏まえ、真ん中のところに緑の箱がございます。決済業務等の高度化に向け、将来的な決済のあり方、また、決済に関連する金融業務全般のあり方、決済の高度化を支えるために必要な基盤整備等について、多角的な視点からご検討をお願いしたいと考えております。

その下、オレンジで幾つか主立った論点を記載いたしております。左側のところは、新しい決済サービスの発展と、それに伴う課題でございます。まず、決済ビジネスの発展の方向性、また我が国の競争性、競争力の確保に向けた戦略がいかようなものであるか。さらに、多様なプレーヤーが登場している中、その連携や協働の可能性についてどう考えるか。また、決済が高度化する反面として、安全性や安定性の要請というものも高まってくるのではないかと考えられます。したがいまして、システムの安定性など、決済機能を提供する上での要請、また、高度化に向けた共通基盤の整備なども論点として考えられようかと思われます。

その右側、真ん中のところでございます。銀行等の金融セクターから見た事業戦略と今後の展開ということで、まず銀行に求められる中核的な役割、中核的な機能と、それに加えて独自に展開されるべき決済ビジネスの基盤整備をどう考えるか。また、銀行と銀行の間、さらに銀行と金融機関以外のプレーヤーとの間での、さまざまな連携や協働の可能性と、そこに存在する課題をどう考えるか。その下、電子記録債権機関についてですが、数年前に法律が制定されましたが、まだ爆発的な普及には至っておりません。これのさらなる普及に向けた課題をどう考えるかということもあろうかと考えております。

その右側、決済のアジア・グローバル戦略ということで、目をグローバルな方向に転じますと、アジアを中心として電子決済の標準化等の動きがございます。このアジアにおける共通の決済枠組み構築に対して、戦略的に我が国、我が国産業界としてどう関与していくのか。また、でんさい、電子記録債権システムや、地域レベルの決済システムなど、我が国の決済関連システムのインフラ輸出等に向けた戦略をどう考えるのか。ここでインフラと書いておりますが、いわゆるコンピューターシステムという意味でのインフラのみならず、ノウハウですとか、あるいは法制度、全体を捉まえてインフラ輸出ということをどう考えていくかということもあろうかと考えております。さらにキャッシュマネジメントサービスなど、海外展開を行う本邦企業のバックアップ機能の強化に向けた課題などがあろうかと考えております。

以下、今申し上げた全体像をやや敷衍する形で、幾つか個別にご説明を申し上げます。ページをおめくりいただきたいと存じます。

ここでは、決済高度化に向けた欧米等のグローバルな潮流について簡単にまとめてございます。上に2つ丸がございます。上のほうは米国FRB、次は欧州ECB、欧州中央銀行の関係者が、それぞれステートメント等の形で発表したところを抜粋したものでございます。

まず、米国のFRBにつきましては、決済システムの高度化を経済戦略上の主要課題と位置づける。その上で、リアルタイム化やユビキタス化、安全性確保、安価でタイムリーなクロスボーダー決済システムの構築、こういったものを、今後10年間の主要アジェンダとして特定し、改革を推進するという方針を示しております。また、ヨーロッパ、ECBにおきましては、効率的な決済がEUの競争力の成長の鍵と位置づけて、域内の決済システムの統合などを推進し、さまざまな課題を将来的な課題として取り組む姿勢を提示しております。

その下で取組みの例を図式化して記載しております。左上から申しますと、まずノンバンクプレーヤーによる新たな決済サービスの提供が進んでおります。その下でございますが、そうした中で、多様なプレーヤー間の連携やチャンネル統合、情報活用なども進められている。その下で、グローバル化に対応したキャッシュマネジメントサービスの強化が図られております。次に、右上のところでございます。こうした動きを支える制度的な枠組みとして、まず決済システムの改革に向けた各種イニシアチブが推進され、さらにその下でございますが、地域・グローバルにおけるシステムの標準化、統合化の動きがある。また、その下でございます、決済業務の高度化等に向けた共通基盤の整備について検討、推進が進められているという状況でございます。

次の3ページをご覧いただきたいと存じます。今度もグローバルな潮流ということですが、欧米ではなくて、アジアについて若干記載しております。

上の欄に、決済をテーマとした地域統合に向けた動き、APNと記載しております。APNと申しますのは、Asian Payment Networkというもので、アジア独自の地域共通のリテール決済ネットワークの確立を目指し、2006年、ASEAN主要国の中央銀行主導で設立されたネットワークでございます。各国の決済インフラ業者が参加し、ATMシステム等の標準化や相互接続等について検討、対応を進めているということでございます。2010年以降、ASEAN以外の韓国あるいは中国等も参加し、また、日本からは本年1月より民間事業者1社の方が参加されているという状況でございます。こうした決済の標準化等々について我が国としてどう考えていくのか、これも重要な課題であろうかと思います。

その下に、参考と書いております。これは、アジア諸国の金融当局と私ども金融庁との間の金融協力の状況を簡単にまとめたものでございます。各国の当局と覚書を締結いたしまして、決済を含むさまざまな面で具体的な協力関係を構築していくという動き、取組みを行っております。

次の4ページをお開きいただきたいと存じます。今度は、グローバルというよりは国内に目を向けまして、決済をめぐる最近の展開がどうなっているか、主だったデータ等をまとめたものでございます。

まず、電子商取引、電子決済がどのように普及しているかということで、上段に、家計における決済手段の変化ということでグラフを描いております。これはアンケート調査の結果でございますが、左のほうは、日常的な買い物等の支払いの際に決済手段として何を使っているかを示しております。これにつきましては、クレジットカードや電子マネーなどが徐々にそのシェアを広げております。右側、定期的な公共料金等の支払いにつきまして、ここにおきましてもクレジットカード等のシェアが増加しているという状況にございます。

左下のところで、BtoC-EC取引の市場規模というグラフを描いております。棒グラフにつきましては市場規模、額の推移でございます。左のほうに兆円単位で記載しております。折れ線グラフのほうはEC化率ということで、全ての商取引市場規模に対するEC市場規模の割合を出したものでございます。額で申しましてもシェアで申しましても、着実に増加しているということがうかがわれようかと存じます。

右下のところでございます。インターネットにおける決済手段ということで、インターネットで何を使って決済を行っているか。トップがクレジットカード、続いて代金引換、コンビニ支払い、振り込み等といった順でございます。

次のページをおめくりいただきたいと存じます。続きまして、決済をめぐる最近の展開としまして、ICTの発展等を背景に、どのようなサービスの展開がなされているか例を示しております。

上の欄、銀行と書いております。まず銀行による多様なサービスの普及・登場があります。1つは国内決済ソリューション、さまざまな企業向けのサービスの提供の強化。さらにリテールの一般利用者も含めて、インターネットバンキングやモバイルバンキングの展開、また国際ブランドつきデビットカードの登場等がございます。さらに、金融サービス業への異業種から参入としまして、流通系企業との連携ですとか、あるいは電子商取引市場との連携なども進んでおります。

右のほうにグラフを提示しております。いわゆる新しい形態の銀行という、ネット専用銀行や流通系の銀行。口座数で見ましても預金残高で見ましても、着実に増加しているところでございます。

その下につきましては、クレジットカード、あるいはプリペイドカード・資金移動業、その他ということで、それぞれの額などを、わかる範囲で記載したものでございます。詳細の説明は割愛させていただきますが、いずれにしましても着実に増加しているところでございます。

次の6ページ目には、決済をめぐる最近の展開ということで、図式化したものを記載しております。後ほどNTTデータ経営研究所様から詳細にご説明をいただくと思っていますので、詳細は割愛させていただきますが、要するにいろいろな電子技術等を活用して、さまざまなサービスが続々と登場しているという状況でございます。

次の7ページ目をお開きいただきたいと存じます。今まで主にリテールの面での決済の話を中心にお話をしてきましたが、今度は企業向け、ホールセールの面での展開について簡単にご説明申し上げます。

まず、背景的なところでございますが、上の欄、日本企業のサプライチェーンの拡大・深化ということで、日本企業の現地法人数が近年急速に増加していると。2003年度、2012年度を比べた場合に、2003年度、合計で1万3,875社、これはアンケートに回答された企業に限った数字ですので、正確な数字とは言えませんが、2012年度では、2万3,351社となっており、特にアジアにつきましては2倍を超える伸びが見られるところでございます。

こうした企業グループが海外展開を行っていきますと、グループ全体の資金管理ということも重要な課題になっていると思われます。その下に、CMS、キャッシュマネジメントサービスということで簡単に記載しております。左側にグループ会社と箱で示しております。これは非常に単純化した図でございますが、まずグローバルな統括会社、本邦企業の場合ですと、仮に東京にあるとして、国内のいろいろな事業会社を統括する統括会社があり、さらに海外の拠点を統括する会社があると。その下にまたいろいろな国内子会社、海外子会社がぶら下がっている。そうしますと、いろいろな通貨を取り扱い、さらに、子会社によっては資金余剰の子会社もあれば、資金不足の子会社もある。こうしたグループ全体の資金をどう管理していくのか、どう効率化して経営につなげていくのか、こうした観点が重要になっており、効率化の観点から、キャッシュマネジメントサービスのニーズがあるというふうに考えられます。

右のほうに銀行と書いております。こうしたニーズに応えるために、銀行のCMS、キャッシュマネジメントサービスとして、例えば、まずグループ会社全体の資金過不足を把握するサービス。さらに、資金不足の子会社に対して、各種通貨によって資金融通を行い、一方で資金余剰がグループ全体としてあれば、その余剰資金を運用する。さらに海外、国内含めてさまざまあるグループ会社の支払い等の代行といった形で、金融サービスとしてキャッシュマネジメントサービスを提供する。これによって企業グループの海外展開をサポートするということも重要な課題になっているのではないかと考えられます。

次の8ページをお開きいただきたいと存じます。今度はまた話が若干変わりまして、先ほど若干触れました、電子記録債権について、その導入の背景と状況でございます。

まず上の欄、制度の概要とございますが、右のほうに参考で運用開始の経緯等と書いております。2007年6月に電子記録債権法が成立、公布され、2008年12月に施行されました。それ以降、約6年間が経過しようとして、各銀行、また全銀協がサービスの提供をそれぞれ開始されております。

左の制度の概要のところに書いておりますが、既存の指名債権、手形債権等とは異なる新たな金銭債権として、電子債権記録機関の記録原簿に記録することにより発生、譲渡等が行われる、こうした制度でございます。その狙いとしては、紙の手形から電子手形への切りかえを可能とする、それによってリスクや負担を軽減し、また売掛金の流動化を通じた産業金融の高度化の推進等を図るということを目的としたものでございます。

その下の欄に電子記録債権の利用状況と記載しております。右のほうにグラフなども表示しておりますが、要約したところを左下の丸に書いております。でんさいネットで見ますと、利用登録者数は約38万件まで順調に拡大し、利用者は増えておりますが、発生記録の請求件数について、今年末までに毎月10万件を目標としているものの、足もとでは約5万件と低迷しております。総じて申し上げますと、紙の手形から電子手形への全面的な切りかえや爆発的な普及とはまだ言いがたい状況にあると思われます。一方で、今後の利便性ということを考えた場合に、この電子的な手法を使うというのは重要なことであろうかと考えておりますところ、この普及に向けた課題やその解決策がいかなるところにあるか、そういうことも重要な論点であろうと考えております。

その次のページ、ここは、でんさいネットの取引イメージを簡単に図式化したものでございますので、説明は割愛させていただきます。

次に10ページにお進みいただきまして、ここでは、決済システムのリスク管理の要請とタイトルをつけておりますが、ここで図式化いたしましたのは、私ども金融庁の監督指針ですとか事務ガイドラインという、いわゆる免許、登録等を受けた業者に対して、その監督上の指針あるいは要請などを記した文書をまとめたものでございます。決済のサービスがどんどん高度化していく反面で、安全性や安定性の要請というのはさらに高まってくるものと思われます。

左の欄、主要行及び中小・地域金融機関と書いておりますが、上に丸で書いております、背景としまして、高機能、大量処理、大規模で構成が複雑である。障害があれば我が国経済全体、金融システム全体にも極めて大きな影響があるおそれがあると。業態によってやはり視点は少しずつ異なるかと思われますが、次の電子債権記録機関では、例えば不正アクセス等のリスクがある。こういうことを防ぐことによって、信頼性確保をどう図っていくかということが重要である。また、清算機関、振替機関等につきましては、清算機関のシステムは市場基盤そのものであって、その障害はシステム全体に影響を与えるおそれがある。前払式支払手段等々につきましては、やはり利用者や発行者が損失をこうむるリスクがある。ここについて適切な管理を行う必要があるという視点を書いております。

その下に、例えば重要な点としまして、まずシステムリスクに対する認識をしっかりして、リスク管理体制を整備する、データ管理体制を整備する。また、システムリスクの評価を行って、安全対策や運用管理に役立てる。外部監査、外部委託管理の外部委託先の管理なども必要であり、さらに、危機が発生したときのコンティンジェンシープラン、障害発生時の対応なども的確に行っていくといったことを記載しております。今後さまざまなサービスが提供されていく中で、こういったリスクの管理をどう行っていくのか、そこも重要な論点であろうかと考えております。

もう1枚おめくりいただきたいと存じます。11ページでは、参考としまして、決済業務等の高度化に関する主な提言等ということで、本年6月に閣議決定されました日本再興戦略、また、私ども金融庁と財務省が合同で事務局を務めております金融・資本市場活性化有識者会合が本年6月にまとめました重点的に取り組むべき事項を抜粋しております。詳細な説明は省略させていただきますが、いずれにしましても、決済の高度化を我が国全体としてどう進めていくのか、さらに外に目を向けてグローバルな展開等との連携も含めてどう考えていくのか、そこを重要な点として提示しているところでございます。

次の12ページをお開きいただきたいと存じます。ここは、先般9月26日に金融審の総会で本スタディ・グループの設置が決められましたときの委員の方からのご発言の要旨を簡単にまとめたものでございます。

2つほど丸を書いておりますが、最初のところでは、国際的な協調は非常に重要である。金融技術も発展している。経済統合もすごい勢いで進んでいる。そのわりに金融の統合というのは遅れがちであると、特にアジア地域について統合が遅れているという印象を持っている。ぜひ日本も遅れないようにやっていただきたいとの発言がございました。下のところでございますが、アジアの金融統合に関しては以前から日本主導としてやっていた面もあるが、なかなかうまくいっていないと思う。ぜひ日本が主導する形でシステムの設計などもできるような形の工夫をしていただければいいと思うと、このようなご発言がございました。

次の13ページ目以降は、決済に関連する制度の概要ということで、関連する主な法律の関係部分を抜粋したものでございます。簡単にご説明申し上げますが、まず最初に銀行法を書いております。

銀行法の第2条に定義がございまして、第2条の2項に、銀行業とは次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。預金または定期積金の受け入れと資金の貸し付けまたは手形の割引とをあわせ行うこと、次が為替取引を行うこととあり、為替取引というのが重要な柱として規定されております。さらに10条以下で銀行の業務範囲の規定等がございます。一定の業務を行い、さらに附随業務を行うことができると、銀行の健全性確保の観点から、こういう業務規制がございます。また、16条の2以降では、健全性確保の観点から、銀行の子会社の範囲についても規定がございます。次の14ページでございますが、先ほど銀行の子会社と申しましたが、銀行持ち株会社の子会社につきましても業務規制がございます。銀行関係は、簡単に申し上げて、以上のとおりでございます。

続きまして、資金決済に関する法律、平成21年に制定された法律がございます。内容的には資金移動業、資金清算業、また前払式支払手段の発行業、いわゆるプリペイドカードの発行業でございます。これについて、届け出、登録等の義務がございます。また、資金清算機関については免許を受けるということになってございます。

次の16ページにつきましては、電子記録債権法でございます。第2条に定義がございます。電子記録債権とは、その発生または譲渡について、この法律の規定による電子記録を要件とする金銭債権をいうと。この電子記録債権を行う電子債権記録機関につきましては、主務大臣の指定を受けた株式会社がなるという建て付けになってございます。

次の17ページ目には、犯罪による収益の移転防止に関する法律、いわゆるマネーロンダリングを防止するための法律について規定をしております。この犯罪による収益の移転防止に関する法律の第2条の2項で、まず特定事業者というものが定められ、この特定事業者にマネロンの防止のためのいろいろな義務が課されております。特定事業者は、例えば第2項第1号では銀行とあり、それ以降の号でさまざまな金融機関、資金移動業者とか電子記録債権機関なども記載されております。また第38号では、長々と書いておりますが、要するにクレジットカード会社でございます。これ以外にも例えば貴金属商ですとか不動産取引を行う業者等が規定されております。

次に18ページをごらんいただきたいと思いますが、ではこの特定事業者が何を行うかにつきまして、まず、第4条で取引時確認等と書いております。一言で言いますと、取引を開始する際の本人確認等でございます。次の19ページで、取引記録の作成義務と、疑わしい取引の届け出とございます。本人確認等を行った取引記録について作成を行い、マネーロンダリング等が疑われる場合には当局に対して届け出を行うということが課されております。

以上、簡単でございますが、制度の概要と最近の状況についてご説明申し上げました。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

ただいまのご説明について、ご質問、ご意見等ございましたらお願い申し上げます。いかがでしょうか。ご質問等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

では、後でまとめて皆様にご自由にご議論いただきますので、その折にでも、またご質問、ご意見いただければと思います。

それでは、とりあえず先に進ませていただきたいと思います。

ヒアリングに移りたいと存じます。佐藤参考人、小出参考人にお願いしたいと思います。時間の関係もございますので、恐縮ですが20分程度でご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【佐藤参考人】

NTTデータ経営研究所の佐藤でございます。本日はよろしくお願いいたします。

私どものほうからは、お手元に資料を配付させていただいております、資料4、決済の構造変化と銀行への影響ということで、先ほど事務局からご説明がございました決済業務等の高度化の中でも、新たな決済サービスの台頭であったり発展であったり、今、個人の支払い手段はかなり多様化が進んでおりますので、例えば国際ブランドが発行するようなプリペイドカードであったり、デビットカードであったり、もしくはドングルタイプと言われるような決済端末であったり、そういった状況につきまして、私どものほうで公開情報を中心に、事例などを中心にざっとまとめさせていただいておりますので、そのあたりにつきまして担当からご説明をさせていただければと思います。時間が限られた中で、駆け足のご説明になるかと思うのですけれども、何とぞご容赦いただければと思います。

では、中身につきまして、担当の小出のほうからご説明させていただきます。

【小出参考人】

NTTデータ経営研究所の小出でございます。座ったままで失礼させていただきます。

本日、資料4の決済の構造変化と銀行への影響という題でご説明させていただきますけれども、ここでいう決済は、先ほどの説明の中でもリテールとホールセールがあったかと思うのですけれども、リテール決済側のお話を中心にさせていただきたいと思っております。

1枚おめくりいただきまして、中身の構成でございますけれども、まず最初に決済の構造変化というところで、民間最終消費支出におけます非現金決済比率がどうなってきているのかといったところを示させていただいております。それを受けまして、今後、非現金決済比率がどうなっていくのかというところを説明させていただいた上で、国内外の決済サービス事例というところで、特にITの高度化に伴っていろいろなサービスが出てきておりますので、その事例につきまして説明させていただきたいと思っております。3つ目も決済サービスの事例の1つではあるのですけれども、最近のトレンドといたしましては、決済データを使ったサービスといったところが注目されていると認識しておりますので、そこに特化した説明をさせていただきたいというふうに考えております。

では早速、決済の構造変化といったところで、さらに1枚めくっていただいて4ページ目でございます。民間最終消費支出における決済手段の変化というグラフを示させていただいております。2006年から2011年の部分を示しておりますけれども、こちらは統計情報として、決済サービスを提供されているいろいろな会社が数値を出されておりますので、そこを集めまして、民間最終消費支出分からわかっているところを引いたものを現金その他という形で青で描き、推計したものになっております。

これを見ていただきますと、現金比率は2006年に87.4%ぐらいだったものが、2011年時点では79.9%、このときからさらにまた2年ぐらいたっておりますので、多分この現金比率というのは下がってきているのではないかと考えております。当然ですけれども、現金比率が下がってまいっておりますので、非現金決済手段のほうが上がってきているところでございます。2011年時点では20.1%ぐらいというふうに書かせていただいておりますけれども、この中の17%、18%ぐらいはクレジットカードという流れになっているところでございます。

具体的な数字は、下の5ページ目に書かせていただいているところでございます。ですので、やはり日本国内におきましても非現金決済での決済といったところがどんどん広がってきている傾向にあるということが、ここからも見受けられるかと考えております。

では、この非現金決済率が今後どうなっていくのかといったところでございますけれども、1枚めくっていただきまして6ページ目でございます。非現金決済手段の動向というところで、ここでは、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、電子マネー、共通という形で、それぞれについての動向を書かせていただいております。背景を青地にしているところは、7ページ目以降で個別に説明させていただくところでございます。

まずクレジットカードでございますけれども、やはりこれが一番、目につくところだと思うのですけれども、ドングルタイプの端末の普及が進んでいるところでございまして、それに伴いましてクレジットカード加盟店の数の増加が見込まれているというふうなところでございます。クレジットカードの取引はずっと右肩上がりで上がってきている傾向がございますけれども、当面この流れは続くのではないかと考えております。また、EC市場の成長に伴いと書かせていただいておりますけれども、日本の産業の中でずっと成長を続けている産業は、今だとEC市場ぐらいと言ってもいいのではないかと思っているのですが、EC市場がずっと成長しておりますので、先ほどの事務局の資料にもございましたけれども、EC市場での決済手段というのはクレジットカードが一番多いわけでございまして、EC市場の成長に伴いましてクレジットカードの利用もあわせて増えていくことが想定されるというところでございます。

続いて、デビットカードでございます。デビットカードは日本国内ですと、今はJ-Debitとブランドデビット、2種類のデビットカードがあると考えておりますけれども、やはり今ですとブランドデビットが注目されているところかと思っております。クレジットカードブランド、VISA、Master、JCBのほうがブランドデビットカードというのを発行されておりまして、現時点では国内金融機関に対して積極的に営業をかけていると認識しております。特に、後ほど説明させていただきますけれども、ブランドデビットカードは2006年ぐらいから、楽天銀行を中心として発行はされておりましたけれども、やはり昨年、三菱東京UFJ銀行がブランドデビットを発行されたといったところを契機にして、今注目が集まっているのかなというふうに認識しております。

続きまして、プリペイドカードでございます。こちらも今、ブランドプリペイドカードといったところを積極的に展開しているという動向にあるのかと思っております。特にプリペイドカードの場合ですと、その保有に対しましては年齢制限等の制約がございませんので、若年層向けの非現金決済手段として注目されていると認識しております。特に、先ほどのインターネットショッピングでの決済手段でも、一番がクレジットカードでございましたけれども、クレジットカードですと当然使える方には制限があるわけでございまして、若年層がネットで購入するための決済手段というものはなかなか限られているところがございます。そういった意味でも、若年層向けの非現金決済手段としてはプリペイドカードといったところが注目されていると認識しております。

続いて、電子マネーでございます。動向といたしましては、nanaco、WAONを中心として、流通系の電子マネーにつきましては、囲い込みの手段及び購買情報を収集してのマーケティングに使うというふうな流れがある中で、どんどん発行して使うような傾向になっているといったところでございます。

あとは共通するところといたしまして、先ほどの事務局の資料にもございましたけれども、日本再興戦略の中で、オリンピックに向けてクレジットカードをはじめとした非現金決済手段を広めていくという流れがございますし、ここのところでいいますと、観光庁で出されている訪日した外国人へのアンケートでも、クレジットカードが使える場所が少ないですとか、決済に関する不満というところも高まっていることがわかっておりますので、そういった意味でも非現金決済の率といいますか、クレジットカードを中心にしてだと思うのですけれども、今後も需要が広がっていくことが想定されると考えております。

7ページ目以降、決済手段別に、具体的にどんな動向があるのかといったところを説明させていただきたいと思います。

7ページ目がクレジットカードのドングルタイプの端末でございまして、今日本国内で使えるドングルタイプの端末は、この4種類でございます。もともとはアメリカでSquareが始めまして、そこから日本に入ってきているといったところでございます。特徴を右側に書いておりますけれども、これまでのクレジットカードを使うための端末と比較してというところでございますが、基本的にはこの4つのサービスともに、ほとんどサービス性は同じというふうなところでございまして、端末の費用につきましては基本的には無償、PayPal Hereは1,200円と書いてありますけれども、これもキャンペーンで大抵無償にしておりますので、基本的には無償であります。決済手数料でございますけれども、これまで決済手数料は、アクワイアラーのカード会社と加盟店の相対の契約でもございますので、あまり表には出てきていなかったところでございますが、そこも、アメリカの場合ですとSquareが2.75%と明記したところから始まっておりますけれども、日本ですと今は3.24から3.25%ぐらいというふうなところで、この加盟店手数料を公表したといったところについても、これまでとは違うところでございます。

あと、中小の加盟店にとって一番インパクトがあるところでいいますと、入金のタイミングでございます。これまでのクレジットカードですと、月末締めで翌月入金というのが一般的でございますので、入金のタイミングは半月から1カ月ぐらいかかっていたところでございます。これが、このドングルタイプの端末ですと、翌営業日もしくは翌日というふうな形で、中小の、資金繰りといいますか、早目の入金が当然求められるところでございますので、そういった加盟店にとっては、この入金のタイミングが早いといったところが響いて、使われているという現状があると認識しております。

1枚めくっていただきまして、さらにクレジットカードに関連する動向といたしまして、2つ書かせていただいております。1つが、左側でございますけれども、PayPalの顔パス支払いでございまして、これは決済という、大して楽しくもないようなところを、決済自体も楽しませようという考えもあって、顔パスで支払えますよというサービスを展開しているところでございます。PayPalはインフラ的にはクレジットカードを使っておりますので、1つのクレジットカードに関連するサービスとして記載させていただいております。もう1つは、右側でございますけれども、CLO、カード・リンクト・オファーというものでございます。これは後ほどの決済情報のマーケティングへの活用の事例の1つになるのですが、購買履歴を使って、その方の消費の行動ですとか嗜好というのを分析しておきまして、カードを使ったタイミングを利用して、その人に合ったお得情報を出すといったサービスで、これもアメリカで8年ぐらい前に始まりましたが、また1つ、クレジットカードの利用が進むようなサービスかと思っております。日本におきましても、クレディセゾンですとか三井住友カード、セディナといったところがサービスを展開し出したところでございます。

次に9ページ目でございますけれども、デビットカードの動向でございます。J-Debitのほうは何となく、あまり日本では進んでいないというところで、最近ですとトピックスがない中で、デビットカードといいますとブランドデビットのほうが今は注目されているのかなと思っております。ここでVISAのデビットとJCBデビットの2006年からの年表を書かせていただいているのですけれども、先ほど話したとおり、スルガ銀行や楽天銀行が2006年ぐらいからVISAデビットを開始されていらっしゃいまして、今に至っているわけでございますけれども、2013年以降、急速にブランドデビットの発行が増えてきているところでございます。今やはり一番注目されているのが三菱東京UFJが昨年発行されたといったところで、銀行のほうでブランドデビットを発行すべきかどうかというふうなところで、話題になっているという状況なのかなと思っております。

下に特徴を書いておりますけれども、基本的にはクレジットカードが使える場所、VISA、Master、JCBのアクセプタンスマークがあるお店であれば、リアルの店舗でもネットでも使えるといったところがブランドデビットの特徴になってございます。

1枚めくっていただきまして、続いてプリペイドカードでございますけれども、これまでは日本でプリペイドカードといいますと、NTTが発行していたテレホンカードですとか、あとは図書カードが一般的でございまして、統計情報的にもプリペイドカードというと、その辺の数字がずっと載っておりました。これが2010年、まさに資金決済法が施行されたタイミングでございますけれども、これ以降でブランドプリカの発行が増えてきているところになっております。

ブランドプリペイドカード、これはバーチャルでだけ使えるものですとか、海外で使えるものですとか、リアルでも使えるもの、いろいろな商品性があるわけなのですけれども、それぞれについて、いろいろなサービス事業者が発行しております。最近ですと、au WALLET、KDDIが発行されているものでございますが、これはMasterCardのリアルのブランドプリペイドカードでございます。発行枚数的には500万枚ぐらい発行されているところでございまして、ブランドプリペイドカードの中では一番、今、注目され、利用が進んでいるサービスだと認識しております。これまでは結構、バーチャルですとかトラベル系が多かったのですけれども、リアルのほうまでブランドプリペイドカードの使える範囲が今は広がってきているといったところが、プリペイドカードの最近の動向になっていると考えております。

続きまして11ページから、今度は国内外の決済サービスの事例といったところで、リテール決済の分野での動向についてご説明させていただきたいと思います。

まず初めに、PayPalでございます。日本で使われているかというと、まださほど使われていないとは思っているのですけれども、海外、特にアメリカですと相当いろいろなことで使われております。ここではPayPalをご紹介させていただいております。

PayPalは、ご承知のとおりアメリカのオークションサイトのイーベイの決済の子会社でございまして、主要なサービスは3つあって、そのうちのPayPalというのは、クレジットカード番号のかわりにPayPalアカウントを使いまして、それで決済をするサービスでございます。日本国内では、この3つのサービスの中ではPayPalというサービスだけが入ってきているところでございます。PayPalはクレジットカードのインフラの上で成り立っているサービスでございますので、基本的にはクレジットカードが使える人でないとPayPalも使えないというふうな条件があるところでございます。

13ページ目ですけれども、PayPalはアメリカでいろいろな使われ方をしているということを話させていただきましたけれども、その1つといたしまして、ATMを使って、PayPalアカウントにPayPalで送金するといったようなサービスをしていらっしゃる銀行などもあるという事例でございます。さらには、今日はここに事例は載せていないのですけれども、ツイッターで、PayPalアカウントで送金するような使われ方もしておりまして、柔軟な金融サービスを、まさに実行するためのソリューションとして、PayPalはアメリカではいろいろ使われているという現状がございます。

続いて、1枚めくっていただきまして14ページ目でございます。これも、日本国内ですとおサイフケータイがもう始まっておりましたので、日本からするとさほど真新しくもないのですけれども、一応リテール決済の動向としてはウォレットサービスといったところは外せないと思いまして、書かせていただいております。

ウォレットサービスも、2011年にグーグルがGoogle Walletをやりますといって、世の中でも話題になったサービスでございます。実際、現状はどうなっているかといいますと、Google Walletにつきましては、グーグルでこのGoogle Walletをやっていらっしゃったチームの方がみんなやめてしまったみたいでございまして、Google Walletサービス、もともとNFCを搭載したスマートフォンを使って、その中でクレジットカードのデータですとかポイントカードのデータ、クーポンのデータというのを一元的に管理して、NFCを搭載しているスマホがあれば、どこへ行っても何でもできますよというのが売りといいますか、思想だったのですけれども、Google Wallet自体は止まっているというような状況でございます。

Google Walletが出てきたところで、アメリカの通信大手がグーグルに対抗すべく提供を開始したのが、15ページに書かれておりますIsisというサービスでございます。Isisのほうが、Google Walletを見て危機感を覚え、サービスを展開し出したのですけれども、こちらのほうが順調にサービス展開はしておりまして、もうアメリカ国内ではサービスを開始しているというようなところでございます。ただ、これも、ブログなどの情報なのでどうなのかというのもあるのですけれども、操作性の問題で、あまり使い勝手はよくないという評価も見受けられるところでございます。

サービスとしては、日本国内ですと、おサイフケータイで今までに実現したような内容でございますので、日本人にとってはさほど真新しくはないようなサービスでございます。やはりスマートフォン等を使った決済サービスですと、日本が一番進んでいると認識しております。

続きまして16ページ目でございます。ここからはP2Pの送金サービスの事例を書かせていただいておりまして、これはアメリカのシティバンクですとかPNC Bankをはじめとした銀行がP2Pでの送金サービスができるようにしたサービスでございまして、Popmoneyというサービスでございます。また、アメリカでも金融グループが分かれておりますので、16ページ目のPopmoneyに入っていないような銀行がやっているサービスとして、17ページにあるclearXchangeというサービスもございます。こちらもオンラインバンキングを使って、銀行口座のかわりに携帯番号ですとかメールアドレスを使ってP2Pで送金ができるようなサービスでございます。これは、現時点ですと、ここに書いておりますアメリカの大手4行で使えるサービスになっているところでございます。アメリカですと、金融機関のほうでP2Pの送金サービスといったところが、このような形で広がりつつあるという事例でございます。

1枚めくっていただきまして、18ページ目がイギリスの、同じようなP2Pの送金サービスでございまして、イギリスのほうでも同様に、銀行口座のかわりに携帯電話の番号を使ってP2Pの送金ができるようなサービスが始まっているという事例になっております。この辺はもうサービス性としてはほとんど同じでございまして、これを銀行がやっているところが特徴的なサービスになっているというところでございます。

19ページ目、今度はフェイスブック送金というところでございまして、トルコのデニズバンクという銀行でございますけれども、ここはフェイスブック上にデニズバンクの法人のアカウントを持っておりまして、そこの中で、フェイスブックのアカウントを持っている個人同士でいろいろな金融サービスが使えるようにしているというふうな事例になっております。

1枚めくっていただいて、日本国内におきましても、まさに今年の8月でございますけれども、楽天銀行がフェイスブックで送金するようなサービスを開始されているといったところでございまして、こういったSNSと連動したような金融サービスの提供といったところも国内外で始まっているという事例になっております。

続きまして、21ページ目からは決済データを活用したビジネスといったところでございまして、これまではリテール決済手段の高度化みたいな事例でございましたけれども、ここからは、決済情報を使ってサービスを提供するというお話をさせていただきたいと思っております。

決済というのは、消費者が何かしらのサービスですとか商品を買った際に初めてできる行動でございまして、その人がどんなものに興味があるのかといったものがわかるような情報源でございます。そういう意味で、決済の情報をマーケティングに活用するような事例が国内外でも増えてきているところでございます。

22ページ目はその流れを書いているものでございまして、これは、消費者の購買行動でAISASという考え方がございますけれども、それを私のほうで日本語にしたところでございますが、決済というのは最後の最後といいますか、いろいろ悩んで、どうしようかなと思って、購入するのを決心して、お店から請求されて決済する、そこで初めて出てくるわけでございますけれども、今の流れとしては、ここをより高度化するというふうなお話と、そこに入る手前のところまでも購買履歴情報を使ってマーケティングに活用して、お店に送客するといったことから入るという、大きく2つの流れが今あるのかなというところで、ここは書かせていただいております。

この決済データを使ったビジネスの事例といたしまして、23ページ目でございますけれども、これはアメリカの会社でございますが、SIMPLEというサービスがございます。これは、お客様、消費者と銀行の間に入って、お客様のニーズに合った銀行のサービスを提供してあげる、銀行サービスのエージェントサービスをやっていらっしゃる企業でございます。全てここのSIMPLEのところで顧客の購買行動がとられて、SIMPLEが最適なサービスを提携している銀行から選んで顧客に提供するというサービスなのですけれども、この流れが進むと、SIMPLEのところに全部の顧客の購買履歴ですとか嗜好がたまっていって、銀行はその裏にただいるだけという形になって、どの銀行も存在意義が薄くなってしまうようなサービスでございまして、銀行にとっては結構脅威なサービスなのかなというふうに思っております。このサービスが広がりますと、銀行はSIMPLEと提携せざるを得なくなってまいりますので、そういう意味でも、このSIMPLEというサービスは、いろいろなところで多分事例として紹介はされているのですけれども、銀行にとって脅威になってくるようなサービスではないかと思います。

1枚めくっていただきまして、次は、ポイントカードのデータ分析による金融商品の販売促進という事例でございまして、これは、イギリスにテスコという大手の小売チェーンがございまして、そこがテスコ銀行という銀行子会社を持っております。テスコという小売のほうは、世界で最初にポイントカードをやって、顧客分析をしてマーケティングをやったという企業でございまして、ですので、このポイントカードを使った顧客データ、購買データの分析といったところにつきましては非常に強みがある企業でございます。その強みを生かしまして、それをテスコ銀行、子会社の銀行のほうでも金融商品の販売促進のために使っているという事例でございます。

ポイントカード、小売のほうでもいろいろな分析をして、顧客を27のライフサイクルに細分化いたしまして、その細分化したところを利用して、まずは小売の商品のクーポンを出すなどというふうに使っているようなところがあるのですけれども、これを金融商品の販売のほうにも活用している事例でございます。こちらは、やはり小売の場所と、またみずから金融サービスを提供しているところがあるからこそできるようなサービスでございますけれども、こういった事例がございます。

では、それが日本国内でいったらというふうなところで、25ページは、まさにテスコに対するテスコ銀行のような形で、イオンにとってのイオン銀行といったところで記載させていただいているところでございます。イオンは小売業がメインで始まっていますけれども、今は金融業もやっていらっしゃるといったところでございます。イオンとしては、やはり小売業と金融業を融合させまして、顧客の生活をトータルで、流れが見えるわけでございますので、囲い込みながら情報をとっていって、金融サービス、あと小売のほうにもつなげていくというふうなビジネスを展開されていらっしゃるところでございます。まさに電子マネーのWAONなんかも、先ほど電子マネーの利用も増えていくという話をさせていただきましたけれども、WAON、nanacoともにですが、発行を増やしていって、囲い込みプラス、その方の購買の行動というところを収集するような方法としても電子マネーを活用しているといったところでございます。

26ページ目は、先ほどAISASという購買行動の流れを書かせていただきましたけれども、それと金融事業としてのイオンという流れの中で、小売業と金融事業がどこでどういうふうに連動しているのかを図示させていただいたところでございます。小売事業からしますと、支払いのところに来る前に集客のためのレコメンドを上げたりといったところが、決済情報から使えるところでございます。小売のところで商品を買う情報だけではなくて、金融業のほうでも、その方がどういった金融サービスを受けているのかというところがわかってまいりますので、そこの情報も集めた上で、両方にシナジーを効かせるような形で営業されているといったところでございます。

27ページ目は、イオン銀行だけではなくて、異業種の方にとっても同様なことができるのではないかといったことで書かせていただいているところでございます。Eコマースの分野ですと楽天銀行ですとか、あと、場を持っていて、決済の部分を持っているところでいいますとドコモですとか、最近ですとSNSのフェイスブックといったあたりが場を持っていますので、そういった方々は、支払いとか決済を主軸においているような事業をやっているわけではないのですけれども、顧客の接点がいろいろございますので、顧客行動に合ったサービス展開の一環として決済サービスを提供するという流れも当然出てくるのかなと思っております。ですので、こういった方々は決済のところでもうける必要があるというわけではございませんので、決済をやってもうけようと思っているような決済サービス提供事業者にとっては脅威になる事業者になってくるという形なのかなと考えております。

1枚おめくりいただきまして、ここからが、異業種の金融事業への参入という形の事例でございます。28ページ目が、PayPalのサービスの事例になっております。PayPalは、先ほどお話ししたとおり、イーベイというオークションサイトの決済子会社でございまして、イーベイの加盟店がいっぱいいるわけでございます。そのイーベイの加盟店が今どういった商売の状況なのかをPayPal側で認識して、PayPalのほうで加盟店に対しての融資審査を行って、提携している銀行からその加盟店に融資するという流れができ上がっているところでございます。PayPalのほうで法人の決済の流れといったところを見て、融資につなげるサービスを展開しているということで、PayPalというふうな、まずはリテールから始まっているところが、法人向けの融資、自分自身がやっているわけではないのですけれども、それに関連するようなサービスも展開しているという事例でございます。

29ページ目は、これも同様でございますけれども、Amazonの事例になっております。本国のほうでもやっておりますけれども、アマゾンジャパンでも今年の2月から、アマゾンジャパンに仮想モールを出店している方向けの融資制度を開始しております。これも融資を実行する条件といたしましては、販売実績のある出店者というふうに決まっておりますので、恐らく、先ほど28ページ目に書かせていただいておりますPayPalの事例と同じように、出店者の動向といったところをアマゾンジャパン側で見まして、そこでリスクを考えた上で、最大5,000万円まで融資するというふうな融資スキームを提供されていらっしゃいます。

同様に、楽天銀行、楽天のほうでもやっていらっしゃるというのを、最後の30ページ目に書かせていただいているところでございまして、楽天のほうは、アマゾンよりもさらに先に、昨年から実施されていらっしゃるようでございまして、グループの楽天カードのほうから融資をするわけでございますけれども、楽天市場に出店されている実績のある出店者向けに3,000万円を上限とした融資をされているところでございまして、楽天は銀行業もやっていらっしゃるところでございますけれども、こういった形でモールを運営されていらっしゃる方が、法人の決済動向を使って融資につなげるような金融サービスのほうにも入りつつあるという事例でございます。

このように、日本国内ですと銀行以外のケースで、サービス提供会社の方が徐々に金融業に入りつつあるような動向も見られるところと、あと、日本ですと銀行業法と割賦販売法とかで分かれている現状があるので、一概には言えないのですけれども、欧米ですと銀行自身もいろいろな、リテール決済の分野でいいますと高度化と言われるようなサービスを展開しているといった流れが今あるのかなというふうなところでございます。

私のほうからは以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは、自由討議に移りたいと思います。今回は初回の会合でございますので、委員、オブザーバーの皆様から幅広く、ご自由にご発言いただけたらと存じます。どなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いいたします。

先ほどの事務局からのご説明や、ただいまの佐藤参考人、小出参考人からのご報告についてのご質問等でも結構ですし、ご意見等、どうぞご自由にお願いいたします。いかがでしょうか。

小野委員、どうぞ。

【小野委員】

詳細なご説明ありがとうございました。3点ほどご質問と事務局へのお願いを申し上げたいと思います。

最初に2点、細かい質問を佐藤様、小出様にさせていただきます。細かくて恐縮なのですけれども、ご報告いただいた資料の5ページ、6ページで、デビットカード、プリペイドカードが今注目されているというお話がありました。ただ、5ページの表の数字を見る限りはデビットカード、プリペイドカードともに伸びていなくて、これは、1つには表に記載されていない12年以降実は伸びている可能性、それからもう1つは、金額ベースではなく件数ベースで見た場合、2011年まででも伸びていた可能性、の2つぐらいが考えられるのかなと思ったのですけれども、実感とマクロの数字との整合性をどう考えているのかということを教えてください。これが1点目です。

それから2点目も細かいのですが、資料の23ページ、SIMPLEの事例です。これはアライアンス先の銀行があるというお話だったと思うのですが、このサービスを利用するときには、アライアンス先の銀行で預金口座が開設されていることが前提になっているのかどうなのかというのが質問です。アメリカでは、銀行口座を持てないアンバンクトと呼ばれる人たちがかなりいるかと思うのですけれども、そういう人たちをターゲットとしたサービスなのかどうなのかが知りたいというのが質問の趣旨になります。

3点目ですけれども、これは事務局の方に対するお願いになるかと思うのですが、可能であればということで結構ですけれども、今日事務局からのご説明を伺っていて、リテール向けと企業向けのサービスという軸、それから国内と海外という、2掛ける2の4つの軸があるのかなというふうに理解いたしました。私の理解では、決済というのは国によって個別性が非常に強い。それは新しい決済もそうでしょうし、その前提となっているような古い決済のあり方というのもそうだろうと思うのですけれども、個別性が強いので、これから何人かの有識者の方をお招きして新しい動向についてお話を伺うのだと思うのですが、その前提となるような知識が欲しいと考えております。

具体的には、B to B、それからB to Cで、それぞれ国ごとに決済件数なり決済金額というのがどうなっているのか。今日のご報告の資料の中でも、例えば家計向けですと現金の割合がどれぐらいでというような話がありましたけれども、では、それはほかの国でどうなっているのかと。それからB to Bの場合だとどうなっているのかというような話、資料のようなものが、有識者の方からお話伺う形でも結構ですし、事務局の方から資料をまとめていただくということでも結構ですけれども、お願いできればということです。古い話ですけれども、昔、自分でも調べたことがありまして、BISで、たしか決済のデータというのはある程度国ごとにまとめていたと思いますので、ご参考になればと思います。

以上です。

【岩原座長】

ただいまの小野委員からのご発言について、まず最初の2点のご質問は佐藤参考人、小出参考人に対するご質問かと思います。よろしくお願いします。

【小出参考人】

1点目の5ページ目のプリカ、デビットが伸びてくるけれども、数字的にというところでございますが、まずデビットのほうからでございますが、ここに載っているデビットはJ-Debitの分でございまして、ブランドデビット分については、現状は精緻な、公知情報がございませんで、数字としてはまずJ-Debit分のだけを書かせていただいているというところで、少なくなっております。

ブランドデビット分が今どのぐらい広がっているのかというのが、正直、数字はわからない状況でございますので、増えている認識ではありますが、一概に、今、正確にこうだと言えないものですから、消しているといったところでございます。

プリカも同じでございまして、統計情報上のプリカは、やはり図書カードとかテレホンカードの数字しか公知情報がなく、かつプリカですと小売業者の囲い込みとかで独自発行しているものも結構ございまして、その辺は一切、企業で出されているところもあるんですけれども、出されていない場合もありますので、そのあたりもわからないというところと、ブランドプリカにつきましても現状公知情報がないというふうなところでございますので、動向的には、世の中で熱が帯びてきているという動向はあるんですけれども、実際、では消費者がどのくらい使っているかにつきましては、残念ながら統計情報的なものはないというふうなところでございまして、数値としてはこのような形になっているところでございます。

もう1点、23ページ目のSIMPLEの事例でございますけれども、これは基本的にアンバンクトは狙っていないサービスになっております。基本的には、小野委員のご認識のとおり、使うためにはアライアンス先の銀行の口座を持っていることが前提になっているようなサービスになっているところでございます。

以上でございます。

【岩原座長】

まず、今のお答えについて、小野委員、よろしいでしょうか。

【小野委員】

ありがとうございます。

【岩原座長】

それでは、第3点につきまして、事務局のほうに。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

今お話ございました3点目につきましては、どこまでデータがアベイラブルかどうか、そこも含めて調査をしまして、できる限りご要望にお応えするようにしたいと思っております。

【岩原座長】

よろしいでしょうか。

それでは、ほかにご質問、ご意見等ございませんでしょうか。

関委員、お願いします。

【関委員】

詳細なご説明ありがとうございました。これは事務局のほうへの質問になります。

NTTデータ様のご説明の中に、キャッシュレスの現状の割合が20%と、消費支出ベースでそういうグラフが4ページに示されておりました。一方、事務局のほうの説明には、成長戦略の中でキャッシュレス決済の普及ということがうたわれていて、年内に対策を取りまとめるというふうになっているというご説明がありました。

この20%という現状、2011年の数字ですか、これを今後どういう形でKPIとして設定されるのか。現状何か具体的なKPIがあれば、それを教えていただきたいと思いますし、もしなければ、今後そのあたり、年内の対策という意味でどういう形で決めていくのか、そのあたりをちょっと教えていただければと思います。

【岩原座長】

それでは、佐藤参事官。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

まず、このキャッシュレス決済ということですが、例えば私ども金融庁のほうではプリペイドカード、あるいは振り込みなどは所掌しております。一方でクレジットカードなどにつきましては、経済産業省の所掌ということもありまして、全体のところにつきまして私どものほうで、例えば目標を決めているというわけではございません。キャッシュレスに関し、東京オリンピックにどう向けていくのかというところは、我々の所掌を超えているところもありまして、具体的に今お答えできるところはないというのが正直なところでございます。

苗村課長、もし何か付け加えることがあればお願いします。特段ございませんか。

【岩原座長】

よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

永沢委員、どうぞ。

【永沢委員】

ありがとうございます。本日は参考人のお二方には大変詳細なご説明、ありがとうございました。

2つ質問があります。1つは、ここに座っていらっしゃる皆様は詳しい方ばかりなので、私だけがわからない個人的な質問かもしれません。もう1つは全体に関しての質問でございます。

資料の7ページの、ドングルタイプの端末の特徴というところに関係してなのですけれども、ほんとうに初歩的な質問ですが、クレジットカードを使っておりますと、店に行くとカードを通すあれが端末ですよね。それにかわってドングルというものが出てきているということですが、この表の上のほうにあるSquareや楽天スマートベイ、Coiney、PayPal Hereというのは、これは業者に当たると思うのですけれども、一般にクレジットカードの業者と私たちが認識している業者と、こちらの表にある端末業者の関係というのはどうなっているのかということ、つまり、このクレジットカードサービス業界というものがどのような構造で成り立っているのかということを、もう少しわかりやすく説明いただけたらと思っております。 2つ目の質問は、全体のお話を伺って、自分にはこのような新種のサービスは関係ないと思いながらも、私もWAONを使っておりますし、こういうサービスの中にすっかり入ってしまっているということを実感しましたが、同時に、すごく便利になっていくことは分かったのですけれども、一方で、やはり新しいサービスゆえのもろさとか懸念すべき点もあるのではないかとも思いました。参考人からお話を伺う機会は今日だけだと思いますので、このような内外のいろいろなサービスを研究されているお立場から感じておられるもろさ、懸念される点等ありましたらお話をいただけたらと思います。

以上2点、お願いいたします。

【岩原座長】

それでは、佐藤参考人、小出参考人、お願いします。

【小出参考人】

では、私のほうからまた回答させていただきたいと思います。

7ページ目のSquareですとかPayPal Here、楽天スマートベイ、Coineyの話でございますけれども、この方々は、事業者的にいうと決済代行事業者という位置づけになっておりまして、カード会社と契約した上でこのサービスを提供しているという構造になっております。ただ、このドングルタイプの端末を提供する主体はこれらの会社になっていて、クレジットカードの仕組み自体はきちんとカード会社と契約した上で、クレジットカードの一般的な流れの中で決済がされるようになっているという形でございます。一般的な日本国内の加盟店と言われるクレジットカードが使える端末が置いてあるところにつきましては、日本ですとカード会社が設置しているわけなのですけれども、そのかわりにこういった方が決済代行事業者というふうな位置づけで、こういう端末を提供している形になっております。

【永沢委員】

済みません、そこでちょっと質問させていただいてよろしいですか。

そこに新しい業者がどんどん参入してきているという理解でよろしいでしょうか。

【小出参考人】

現状ですと、この端末のところでいいますと、そのとおりでございます。特にアメリカですとSquareが結構成功したというふうに思われていまして、ベンチャーが同じようなサービスを積極的に提供していまして、Squareだけではなくて、いろいろな会社が同じようなサービスを提供しているというところでございます。

【永沢委員】

ありがとうございます。

【小出参考人】

もう1点の決済サービスのもろさというところでございますけれども、セキュリティー面ということで回答させていただきますが、決済サービスそのものにつきましては、各決済サービス提供者は万全の態勢でやっていると認識しております。セキュリティーの面では、当然悪徳業者等がいるので、100%防げるとかというのはないかもしれないのですけれども、今、世の中に広がっている決済サービスそのものについては、基本的にはそんなに不安はないのかなというふうには認識しております。

特に日本ですとクレジットカードが一番使われているわけでございますけれども、クレジットカードにつきまして、ブランドのほうでも、リアル店舗、ネットの両方にセキュリティーの基準を設けておりますし、そういった形でセキュリティーについては安全な態勢をとっておりますので、決済サービスについて、今いろいろなサービスが出てきてはいるんですけれども、これがちょっと心配だとかというのはあまりないのかなと思っております。特にPayPalも、クレジットカードのインフラの上に成り立っていたりしますので、そうしますとやはりクレジットカードの仕組みというのは、セキュリティーの面でいったら比較的安全性の高い仕組みというふうに考えておりますし、クレジットカードの仕組みに乗っかったサービスが多いというところからも、そういったことがうかがえるのかなと思っております。

【永沢委員】

済みません、よろしいですか。

【岩原座長】

どうぞ、永沢委員。

【永沢委員】

済みません。消費者に与える影響とか、こういった新しいサービスが導入され広がっていくことによって何か消費者行動が変わるかもというようなことはないのでしょうか。

【小出参考人】

消費者行動ですと、例えばnanacoですとかWAONというようなところについては、当然自分のお店で買ってもらうためにやっているところがございますので、消費者は知らぬ間にといいますか、徐々に使うお店とかが誘導されているというようなところはあるかとは思います。

【永沢委員】

ありがとうございます。

【岩原座長】

今の永沢委員からのご質問に対するお答えで、クレジットカードは、セキュリティーは万全の態勢で問題はないというようにお答えになったと思いますが、不正使用などの問題は現に起きているわけで、そこはどのように評価されていますか。

【小出参考人】

不正使用等は、先ほども話させていただいたように、100%防ぐのは困難です。リアルのほうですと、クレジットカードの業界ですとEMVという基準がございまして、PIN入力で、IC取引のほうを進めることによって不正利用を防ぐというふうな対策をとっていらっしゃいます。それも、カードを物理的に盗まれてしまってPIN番号を知られてしまったら、当然それは破られるわけでございまして、仕組みとしてはきちんと整ってはいるのですけれども、人的なミス等で破られる可能性は否定できないといったところでございます。

ネットのほうでも、非対面でございますので、当然、不正はネット側のほうが今はよく見受けられると思うのですけれども、対策としても仕組みとしてもクレジットカードだと、今、3Dセキュアというセキュリティーの方式をブランドとしては一応推進し、対策をきちんととっております。それも、ハッカー等によって元々の情報をとるなどをされてしまうと、当然それは防げなくなってしまいます。当然セキュリティー対策はしているのですけれども、破ろうとする人もいますので、そこは若干イタチごっこのところはあると思うのですけれども、きちんとやっていらっしゃるというふうな認識ではおります。

【岩原座長】

非常に努力されていることはよくわかっているのですが、むしろ被害は増えている状況にあるのではないかというように感じております。

ほかにご質問、ご意見等。

戸村委員、どうぞ。

【戸村委員】

ありがとうございます。事務局側からの説明は大変詳細でわかったのですが、少し質問がありまして、3ページ目のAPNについてちょっと質問させていただきたいのですが、簡単な質問で、このようなリテール決済ネットワークを接続するということの背景としては、東南アジアとして長期的にはヨーロッパでのような経済統合を狙っていて、決済面での統合から始めようという動きなのかというのが1点と、附随して、そのような場合、この動きに全銀ネットのような中央清算機関を地域で1つつくるというような動きも入っているのかという、2点について質問させていただければ幸いです。

【岩原座長】

それでは、佐藤参事官。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

まず、私がこの動きを全て把握しているわけではないという大前提で申しますと、推測は入りますが、このアジアンペイメントネットワークの議論は、やはり将来のASEANの経済統合という大きな背景の中で始まった話であると思っております。ただ一方で、経済統合そのものがEUのように進むか進まないか、その如何にかかわらず、リテールの面で、それなりに人の移動の多い地域でありますので、利便性をどうやって提供するか、ATMを、どこの国に行っても同じように使えるという利便性を提供すると、そういう目標もあって話が進んでいるのではないかと思っております。仄聞するところによりますと、ATMの話だけを記載しておりますが、いろいろな面での決済システムの統合というのは視野に入れており、ただ一方で、やはりできるところから優先ということで、ATMシステムの標準化とか相互接続ということから話が進んでいると、そのように思っております。

ご質問にありました全銀システムのようなところとの接続というところは、私も詳細は把握していないところでございます。

【岩原座長】

よろしいですか。

山上委員、その後、森下委員、お願いします。

【山上委員】

今のご回答に対して少し補足させていただきます。と申しますのも、APNで直接いろいろな活動を私自身がしておりますので、まず第1点目なのですが、これはさまざまな理由がございまして、1つは、ASEAN統合のシンボルにしていきたいというような中央銀行の思いがあったというふうに聞いております。もう1点は、もともとこういったアジアの新興国における決済インフラが、みずから整えることができなかったことによって、VISA、Masterの米国系の大手の決済ネットワークを利用していて、新興国の決済が成長してきたときに、決済ボリュームが大きくなればなるほど、そういった自国外の業者に対しての支払いがかさんでいったというような背景があったということも伺っております。

2点目に関してなのですが、現時点でこのAPN自体がバイラテラルという個別接続をしておりまして、それがいろいろな意味で手続に時間がかかるということもありまして、ハブと言われるような真ん中に、1カ所につなぎますと全部につながるような仕組みを構想しようという動きは確かにございます。ただし、全銀システムは送金のシステムでございまして、これはATMとかPOSのシステムでございまして、そのまま同じものだというふうには言えないところもあって、果たしてそういう形になっていくのかどうかは、これからの検討の範囲なのかなとは思っております。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。よろしいですか。

それでは、森下委員。

【森下委員】

ありがとうございます。2点ございます。ただいまのAPNに関して、今ちょうどお話が出たので関連してお伺いさせていただきたいのですけれども、複数の国の間のシステムを繋ぐといった場合、特にアジアなどはかなり通貨も異なると思うのですけれども、そういった通貨の違いなどによる何か問題というものは既に認識されているようなことがあるのかどうかという点について、お伺いできればと思います。

あともう1点、金融審議会の委員の方からもアジアにおける金融統合というお話があったと思うのですけれども、アジアでの、特にクロスボーダーでの決済などについても視野に入れていこうといったときには、通貨という問題が出てくると思うのです。今、アジアにおける日系企業、あるいはその他の、日本が関連を持つであろう取引における通貨がどのような状況になっているのかということについて、今日である必要はございませんけれども、もし可能であれば教えていただければと思います。

【岩原座長】

佐藤参事官、お答えいただけますか。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

まず通貨の違いということの認識、私もちょっとそこはよく把握していないところで、もしよろしければ、山上委員からお話をお願いできればと思うのですが、2つ目のところにつきましては、今すぐにデータ等ございませんので、少し整理や調査をした上で、何らかの形でご回答させていただければと思います。

【森下委員】

ありがとうございます。

【岩原座長】

山上委員。

【山上委員】

APNは現在、11カ国が加盟しております。そういう意味で11通貨ということも考え得るのですが、実際に通貨の流動性の面からいたしますと、例えばマレーシア・リンギットのような、国内でしかほとんど使えないようなものもたくさんございますので、現時点で、このAPNの中で実際に決済通貨として使われているのはUSドルでございます。ただし、例えばタイの方が日本に来られて、まだつながっていないのでそういうことはできないのですけれども、日本円を引き出して、反対の取引としてタイにある自分の銀行の口座が引き落とされてというような通貨の関係はあるんですけれども、現時点では残念ながら、裏側の取引はドルでさせていただいていますと。ただし、私どもが現在進めております接続に関するMOUのようなものの中には、できればドルではなくて円を決済通貨にできないかというような議論も含まれておりまして、それはもうバイラテラルで検討しているものなのですが、できればそういったもの推進していけるようになるといいなという意思は持っております。

【森下委員】

大変ありがとうございました。USドルが使われているという点も含めて、非常に勉強になりました。ありがとうございました。

【岩原座長】

ほかに。

沖田委員、どうぞ。

【沖田委員】

 事務局の皆様、ご参考人の皆様、非常に詳細なご説明いただきまして、ありがとうございます。私のほうから数点、ご質問とご意見を申し上げたいと思うのですけれども、まず1点目は、非常に細かい部分で恐縮なのですけれども、ご参考人の方の資料の4ページ目、5ページ目のカードに関する全体の消費支出の割合で、2011年、20%超えているというふうにあるんですけれども、おそらくこれは、業界内の細かい話で恐縮ですが、イシュイングとアクワイアリング両方まざっているようなデータではないのかなというふうに思っておりまして、おそらく厳密にカウントしていくと、こういった比率はもう少し小さい数字になるのではないかなというふうに考えました。

それから、そういった観点で申し上げますと、こういったカードの比率もそうですし、それから事務局の資料にもありましたEコマースの消費全体の割合というのも、今、日本は3%台というところですけれども、このカードにしてもEコマースにしても、北米と比べますと非常に小さい数字であるというところ。それから、今日はどちらかというと事例は欧米のものが中心でございましたけれども、必ずしも北米だけでなくても、アジアの例でいくと韓国では非常にクレジットカードが使われておりますし、それからEコマース比率というところも、正確な統計がないのできっちりとした数字はうかがい知れませんが、中国等々はおそらく日本よりも高い数字になってきているというふうに感じております。

そういった意味では、もう1つ、NTTデータの28ページ目から30ページ目にございました、いわゆる決済の会社、Eコマースの会社が銀行融資をしていくのに近い動きというのも、中国のアリペイがこういった企業に若干先駆けて始めております。加えてホールセールの融資だけではなくて、いわゆる預金に相当するような活動というのも、プリペイドの残高を、MMFを活用するという方式で行っておりますので、何を申し上げたいかというと、非常にこれまでは金融のイノベーションというのは北米から始まるケースが多かったかと思いますし、日本もアジアにおいてのリーダーシップは非常に強かったかと思います。ただ近年は、アジアの中でもそういったイノベーション、それから日本を上回るようなケースというのも増えておりますので、もともと、事務局の冒頭のご説明にもあったように、本スタディ・グループはアジアも1つのテーマであるというふうに伺っておりますので、そういう意味では今後、欧米の事例はもちろんですけれども、アジアの事例等々も含めたディスカッションをさせていただくと、今後日本がアジアでどういうリーダーシップをとっていくのかといった観点でも有意義ではないかなと思いましたので、感想として申し上げます。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

堀委員、どうぞ。

【堀委員】

詳細なご説明をいただきまして、ありがとうございました。

小出参考人にお伺いしたいのですが、デビットカードの動向について、資料でいきますと9ページ目でございますけれども、ブランドデビットが増えてきているというお話がございます。ここで、ブランドとしてVISA、JCBが挙がっておりますが、MasterCardもブランドとしてあるのではないかと思いまして、また資金移動業者ではMasterCardと提携している事例もあるかと思うのですが、銀行の提携事例はあるのかどうかという質問が1点目でございます。

もう1つは、地域金融機関が、独自のインフラを持たなくても、こういった業者と提携することによって、例えば海外で引き出しができ、国際キャッシュカード化することができるという意味では、非常に有用な連携が可能となるのではないかと思ってお伺いしていたわけですが、実際の導入事例というのがあるのかないのか。あるとすれば、どのぐらいの導入事例なのかということをお伺いしたく、ご質問させていただきます。

【岩原座長】

小出参考人、お願いします。

【小出参考人】

お答えさせていただきますけれども、MasterCardを使ってのデビットカードの国内の金融機関での事例というのは、公知情報等、調べている限りでは今のところないという形でございます。

地銀の事例でございますけれども、この「2014年(予定含む)」というところに書いております北洋銀行が、JCBデビットを発行するというところはわかっておりますけれども、それ以外につきましては、今ここに書かせていただいているような金融機関のことしかわかっていないところでございます。もしかしたら、もう検討されている方がいらっしゃるかもしれませんけれども、現状、報道発表とかをされているところは、ここに記載しているような金融機関だけというところでございます。

【岩原座長】

堀委員。

【堀委員】

関連して、地域金融機関の事例も今後増えていく見込みなのか、そこまでの情報はまだお持ちでないということなのか。もし増えないということであれば、何か理由はあるのかどうかということをお伺いします。それから、先ほども出てまいりましたがJ-Debitに関して、これが普及はあまり進んでいないというご説明がありまして、それはまたなぜなのでしょうか。

その2点、お伺いできますでしょうか。

【佐藤参考人】

地域金融機関のブランドデビットなのですけれども、我々もいろいろと日ごろ、地域の金融機関と会話をさせていただく中で、感覚的なご回答にはなるのですが、やはりブランドデビットの話題が少しずつ増えてきているといいますか、先行で導入されているような金融機関の評価が今どうなのかとか、実績はどうなのかというようなことを、直接的にいろいろとディスカッションさせていただく機会も増えておりますので、多分、どうしても銀行の場合は、まずは都市銀行が先行で導入されて、様子を見ながら地銀がという、ちょっとそういうような順番といいますか、階層がございますので、地域の銀行は、今、先行で導入されているような銀行の評価であったり評判であったり実績を、ちょっと様子を見られながら、これから具体的な検討を進められていくところは増えていくのではないかなというふうには思います。

J-Debitがなぜ普及しなかったか、あまり普及されていないようにというようなお話だったのですが、我々、そこのあたりの答えはちょっと持ち合わせていないところがあるのですが、やはりいかんせん使える加盟店の端末がちょっと少なかったといいますか、ブランドデビットの場合は、当然クレジットカードが使える端末は全て、加盟店は使えるんですけれども、J-Debitの場合は独自の端末を設置していかないといけないというようなものがございましたので、そのあたりがもしかしたら障壁になったのかもしれないのかなと思います。

【堀委員】

なるほど。

【小出参考人】

J-Debitが普及していないかどうかというのは、どのぐらい使われたら普及しているかというのもあるのですけれども、あと、よく言われるのは、やはりデビットカード、キャッシュカードを使えるので便利な反面、やはりキャッシュカードを人前で出すといったところに対してちょっと抵抗があるのではないかというふうなこともございまして、BTMUが発行されていますVisaデビットなんかは、Visaデビットカードという、キャッシュカードとは別のカードを発行されたところが、そういうふうな障壁を減らすためにそうされているのかなというふうにも思っております。

【堀委員】

ありがとうございます。

【岩原座長】

尾中委員、どうぞ、お願いします。

【尾中委員】

ご説明、ほんとうにありがとうございました。私から2点ほど、情報を持ち合わせているようでしたら教えていただきたいことがございます。

7ページと8ページになるのですけれども、ドングルの決済に関しては、どちらかというとこれまで日本で普及していなかったような、事業規模で言うとかなり小さい、かつ数が多いマーケットへの新規参入という捉え方をしております。電子的なシステムのセキュリティーはある程度確保されているということは理解しておるのですが、とはいいながらも、運用するのはやはりいろいろな人が絡むところになりますので、初めてこういう現金以外の決済手段を導入されるような小売業のこの管理といいますか、正しい使い方を含めた啓蒙のようなものを、例えば何か課題があるのかないのかとか、何か取り組みをされているのかどうか。

あともう1つ、8ページのPayPalの顔パス支払いというので、これは顔で認証するという新しい取り組みで、非常に面白いものだと思っているのですけれども、これまでクレジットカード等の支払いの場合には、例えばご本人様の署名ですとか、先ほどもお話が出ましたが、ICチップを使った決済ですと暗証番号で本人を確認するという手段がとられているかと思います。これが、新たに顔を認証するといったときに、顔認証で出てくる課題だとかそういったものがもし何かいろいろあるのであれば、ちょっと参考までにお聞かせ願えればと思います。

【岩原座長】

では、小出参考人。

【小出参考人】

まずはドングルタイプの端末でございますけれども、ご認識のとおり、ターゲットとなるのは中小の加盟店で、イメージ的には直接カード会社が契約しないような小さいところというふうに思っております。そこのところにつきましては、各社ともに当然、そういう加盟店だとわかっておりますので、そこはしっかりされていると伺っておりますので、基本的には問題ないのかなと思っております。かつ、皆さんそうだと思うのですけれども、どちらかというと途上与信のほうをしっかりされていて、途上与信側のほうで怪しい動きがあったらとめるというふうな管理をされていると認識しておりますので、これまでの方式とはちょっとそこが違うのかなと思っております。

もう1点の顔パス支払いのほうでございますけれども、これはまだ、生体認証としての顔パスというよりは、POS側に出てくる写真、もともと登録した写真と本人を店員が見るといったところでございますので、生体認証的な課題は、このPayPalの顔パス支払いにはあまりないのかなと思っております。一方で、今年の5月にカルテというカード系のカンファレンスがアメリカであったのですけれども、そこでの1つのトピックスとしては、生体認証を使った認証というのがございましたので、アメリカのほうでは、今、この生体認証を使ったようなセキュリティーでの認証という方法も広がってきておりますので、それが日本に入ってくるかどうかというのもあるのですけれども、今そこはアメリカのほうでは検討されているという状況と認識しております。

以上でございます。

【尾中委員】

ありがとうございました。

【岩原座長】

ほかにご質問、ご意見ございますでしょうか。古閑委員、どうぞ。

【古閑委員】

ご説明ありがとうございました。資料4の今の7ページのところで、追加でお聞きしたいのですけれども、先ほどのご説明の中で、例えばSquareのドングル、USでは手数料が2.75%ぐらいというご説明で、日本はここに書かれている数字ということなんだと思うのですけれども、こういった電子的な決済が進むかどうかというのは、使える場所がどの程度増えるかというところにかかってくるわけで、では使える場所が増えるかどうかというのは、多分手数料の問題が結構大きいんだと思うのですけれども、この手数料というのは、結構国によって大体の料率が違っているものなのか、あるいは大体このくらいというのがあるのか。各国の状況がもしおわかりになれば、教えていただけますでしょうか。

【岩原座長】

小出参考人。

【小出参考人】

各国については今まであまり調べたことがないのでわからないというのが回答でございますけれども、基本的にはカード会社、欧米の場合ですと銀行がそのまま、日本でいうところのカード会社でありますので、アクワイアラーである銀行と加盟店の間の直接、相対での契約でございますので、そもそも公表もされていないというところがございます。そういった意味で、Squareが2.75というふうな数字を出したといったところが、1つトピックス的なところだったというふうには認識しております。

【岩原座長】

古閑委員、よろしいですか。

【古閑委員】

はい。ありがとうございます。

【岩原座長】

ほかに何かございますでしょうか。

松井委員、どうぞ。

【松井委員】

2点ほどお伺いさせていただければと思います。

まず1点目として、事務局にお伺いしたいと思います。これは可能な範囲で結構なのですけれども、このスタディ・グループでどこまでの議論ができるかということでございます。決済の高度化の話をすると、どうしても銀行の固有業務の話に関係してくると思うのですけれども、決済との関連で、例えば預金を取り扱うことそれ自体の話まで議論が踏み込むということがあり得るのでしょうか。あるいは、その話はまた別の問題であって、あくまでも為替取引、ないし決済という枠組みの中で議論をすることが想定されているのでしょうか。これがまず1点目でございます。

2点目は、参考人の方にお伺いできればと思います。資料の23ページで、アメリカのSIMPLE社のお話をご紹介くださったのですけれども、日本でこれができるのかなということを考えたときに、なかなか今の規制上難しいだろうという気がしております。その観点からお伺いしたいのですが、まずこのビジネスモデルで、アメリカのアライアンス先の銀行はなぜこれを受けるのでしょうか。このビジネスモデルの中に、預金量の増大といった銀行にとってのメリットが書いてあるのですけれども、このメリットだけで銀行がビジネスを引き受けるというのは、なかなか私には理解ができなくて、何かそれ以外に「アメ」のようなものがあるのかどうかが気になる点でございます。

それと表裏の関係で、SIMPLE社は、銀行のある種の業務を切り出し行っているところがあるのだと思います。例えばネット振り込みができるというようなことが書いてあるのですが、SIMPLE社はネット振り込みのどこまでの部分を業務としてやっているのでしょうか。要は、銀行のどの業務をこのSIMPLE社が引き受ける形になっているのか、このあたりがちょっと気になったものですから、もしおわかりになればで結構ですので、ご教示いただければと存じます。

【岩原座長】

佐藤参考人。

【佐藤参考人】

SIMPLE社についてご回答させていただきますと、ネット振り込みのところは、どこまでかというのは、ちょっと我々も把握していないところではあるのですけれども、なぜアライアンス先銀行がここと提携をするのかについては、基本的にこれはもう製販分離の考え方だというふうに認識していただいていいと思っておりまして、基本的には顧客接点であったり集客の部分を、全般的にSIMPLE社に任せるといいますか、預けるといいますか、アライアンス先銀行は、そういう意味では製造に特化して、SIMPLE社が集客をしたお客さんに対して預金を提供する、貸し出しを提供すると、そういった形での連携といいますか、そういった提携のモデルだというふうにご理解いただければと思います。

【岩原座長】

よろしいですか、お答えとしては。

今の点について、佐藤参事官から何かありますか。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

最初のご質問で、議論はどこまでかというお話ですが、私どもの問題関心としましては、決済全般の高度化ということであり、そのために何が必要なのかと、一言で言えばそれに尽きます。したがいまして、どの点を排除するということは特にございません。今ご質問にありました預金に関するところについても特に排除するわけではなくて、決済の高度化全般についてご議論いただければと思っております。

【岩原座長】

確かに銀行業務がアンバンドリング化していく中で、どこまでのことをやったら銀行の排他的な業務を他の業者がやったことになるのかというのは、なかなか難しい問題ですね。次のPayPalのところでも、28ページで、PayPalが事実上銀行業に進出しましたという表現を使っていらっしゃるのですけれども、PayPalは銀行の許可は取っていないのですか。このWebBankはPayPalとどういう関係にあるのですか。

【小出参考人】

提携している銀行はここだという形だったので、こういう書き方をさせていただいておりまして、これまでこことよくやっていたかどうかとか、そこまでは調べておりません。

【岩原座長】

PayPalは資金決済業の登録はしたのですか。

【小出参考人】

日本国内の登録はしております。

【岩原座長】

でも銀行業の免許は受けていないということですね。業規制との関係でもどう整理して、業規制の背後にある金融システムの安定性等を維持する上でどういうことが必要なのかというのは、多分ここでも議論が出てくるところかなと思います。

ほかに。

はい、山上委員。

【山上委員】

先ほど松井委員のほうからご質問があった件と、今のアンバンドリングという話とも絡んで、これは質問というよりも問題提起的になってしまうのかもしれないのですが、今ご紹介があったケースといいますか、SIMPLEというもの自体は、多分にドッド・フランク法が入ってきたアメリカにおいて消費者保護的な傾向が強まってきているというのが多分背景にあると思っているのですが、特に消費者保護、もしくは消費者に利便性を提供するような金融サービスであるべきであるというような議論は、欧州のSEPAの基本的な骨格であるPSD、ペイメント・サービシズ・ダイレクティブ、これはまだ欧州議会の承認を得られていないので、どこまで現実的になるかどうかは別として、2017年には第三者が銀行口座にアクセスできるようにすべきであるというようなお話がもう出てきている中で、これは多分、単にシステム的につながるとかというお話ではなくて、先ほど岩原座長のほうでおっしゃったアンバンドリングというもの自体が、消費者利便とかいうお話の中で具体的な法制度化されつつある流れなのかなというふうに思っております。

実際にそういったことを実現させようとしますと、この人が真正な第三者なのかとか、どうやって銀行口座にアクセスさせて、では個人情報保護だとかセキュリティーといったようなこともクリアしなくてはいけないということで、かなりいろいろなハードルが存在していて、それに対して、EBAという、ヨーロピアン・バンキング・アソシエーションという銀行の団体がございますが、そちらで、いわゆるアクセスしてきた人がほんとうに正しい人なのかどうかのアイデンティフィケーションをするための仕組みというのを、ヨーロッパ共通でつくる動きがございまして、これはEBAのマイバンクというような構想で、もう既に世の中に出てきています。

一方で、そういったものが出てくると、そこに出てくるアプリケーションといいましょうか、いろいろなものとつなぎたくなるというのが消費者のニーズの1つの流れでございまして、非常に足もとの例で恐縮なんですけれども、例えばアップルのアイフォンなんかを使っておりますと、アイチューンズストアとかというのがあり、そこでいろいろな自分好みのアプリケーションを使って、いろいろなことができるようになるわけなのでございますが、そういうものについても一定の標準化をしていかなければいけないというようなことが、これもヨーロッパのほうで流れが始まっていて、オープン・トランザクション・アライアンスという、ITのベンダーも入っていますし、実際の消費者に近いような団体の方たちもいらっしゃったかと思うのですけれども、そういう標準をつくろうという動きがヨーロッパでもう既に始まっていると。

ですから、SIMPLEという流れは、たまたまアメリカの事例がご説明いただいておりましたが、それはそこにとどまるものではなくて、非常に世界的な流れなんだというふうに認識すべきかと思っております。

【岩原座長】

ありがとうございます。今、山上委員が指摘された個人情報保護は、個人情報保護法との関係で、こういうネットワークをつくっているものの間で個人情報をどういうふうに共有できるかとか、非常に難しい問題が多分出てくると思います。

よろしいでしょうか。

特になければ、時間もほぼ参りましたので、自由討議を終わらせていただきたいと思います。多分皆さん、もっとご意見、ご質問等されたいことは多いかと思います。考えられる課題だけでも、決済ということになりますと、それこそデジタルマネーから含めていろいろなトピックがあり得ると思いますので、今後このスタディ・グループでご議論していただきたいと思います。

それでは、本日いただきましたご説明やご意見等を踏まえ、引き続き検討を進めていきたいと存じます。なお、次回は、決済をめぐるグローバルな潮流等につきまして、関係者の方からヒアリングを行いたいと考えています。

最後に、事務局から連絡事項がございましたら、お願い申し上げます。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

それでは、日程につきましてご説明申し上げます。

次回以降のスタディ・グループの日程でございますが、第2回目を10月20日、今月20日月曜日の13時から行うことを予定しております。第3回目につきましては、10月29日水曜日、13時からということで予定をしております。

場所につきましては金融庁内を予定しておりますが、会議室等の詳細につきましては、決まり次第ご連絡を申し上げたいと考えております。

事務局からは以上でございます。

【岩原座長】

それでは、以上をもちまして本日のスタディ・グループを終了させていただきます。熱心なご議論をどうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3558、3560)
本議事録は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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