金融審議会「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」(第5回)議事録

  • 1.日時:

    平成26年11月18日(火曜日)16時00分~18時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【岩原座長】

それでは、そろそろ時間になりますので、決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ第5回会合を開催いたします。皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、まず、本日の参考人のご紹介を事務局にお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

それでは、私からご紹介を申し上げます。

まず、三菱UFJニコス様より、尾中委員の両隣にお座りいただいております、鳴川竜介様、松葉貢様でございます。また、三菱東京UFJ銀行より、柏木委員の両隣にお座りいただいております、大木正彦様、山中洋臣様でございます。また、ヤフーより、古閑委員のお隣にお座りいただいております、柴田慎様でございます。また、日本クレジット協会より、與口委員のお隣でございますが、大平充洋様、飯田和徳様でございます。

私からのご紹介は以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

それでは、議事に移らせていただきます。本日は、新しい決済サービスの発展に向けた課題につきまして、古閑委員、長楽委員、與口委員、尾中委員からお話をいただき、その後に一括して自由討議を行います。本日の議事はこのような流れで進めたいと存じますのでよろしくお願い申し上げます。

それでは、古閑委員から、時間の関係もございますので、恐縮ですが15分程度で時間厳守でよろしくお願いします。

【古閑委員】

ヤフーの古閑でございます。それでは、資料1についてご説明させていただきたいと思います。

まず、ページをめくっていただきまして、2ページ目でございます。本日は私ども、eコマースと決済におけるヤフーの取り組みについてということで、eコマースの現状についてまずお話をさせていただきたいと思います。日本の小売市場におけるeコマース化率というのはまだまだ低くて、今年8月に公表されております経済産業省の資料によりますと、インターネットは3.7%にとどまるということになっております。これはまだ課題がいろいろあるのでこの程度なのだろうということなので、私どもとしてはいろいろなその課題を解決していきたいと考えております。

では、なぜ、eコマースというのをお勧めできるのかということで、3ページ目をご覧ください。例えば、柿をつくっていらっしゃる農家の場合には、ニーズとしては、年中、柿というのはとれるわけではございませんので、柿の収穫期だけ柿を売りたいというニーズがございます。ところが、例えば果物屋を開くとかいうことになりますと、1年中固定費がかかりますので、この収穫時期だけにインターネットを通して売るというのが非常に効率的なのではないかということがございます。ということで、私どものほうとしては固定費をいただかずにインターネット販売ができるというようなソリューションもご提供しておりますので、そういった意味でやはりeコマースというのは意味があるのではないかと思っております。

ページをめくっていただきまして4ページ目になります。こういった形で売り手と買い手のそれぞれに課題があるとは思うのですけれども、それを解決していくことができれば、これは循環になっていって、売り手が課題が解決されてもし増えてくれば、商品数が増えることになります。そうすると競争も増えてくるということで、これは買い手にとってはいろいろなものが手に入るということにもなりますし、もしかしたら競争ができることによって価格が下がるというようなこともあることが考えられます。そうすると買い手が増えるという循環になりまして、そうすると流通額が増えることにつながりますから、ますますeコマースっていいんじゃないかというふうにサイクルになっていくことになります。そこで、私どもとしては、売り手と買い手とそれぞれの課題を解決する必要があろうと思っております。

5ページ目をおめくりください。そこで、じゃあ、今の課題は何なのかというご説明ですけれども、まず売り手のほうですが、売り手といっても、Yahoo!ショッピングというのはショッピングモールと言われておりまして、それから楽天市場という楽天がやっているようなものもショッピングモールに分類されると思うのですけれども、そういったインターネットモールに出店する場合の課題としては、モールに支払う費用であるとか、それから決済をするための決済の会社も手数料がかかりますので、そういったものであるとか、あるいは入金サイクルが長いといったようなことが今、課題として挙げられております。

それから、ショッピングモールには参加せずに、自分でホームページを立ち上げてeコマースをやるというパターンもあると思いますが、そういった場合のeコマースを運営する場合の課題ということで挙げられるのが、まず、ウエブサイト構築・維持、それから、OS・ブラウザ対応、スマホ・タブレット対応です。これも技術がどんどん進んでいくので、結構皆さん大変なのだと思います。それから、ショッピングモールと同じですけれども、決済手段のところ、それからセキュリティー対策も一緒にやることになりますし、入金サイクルが長いといったような課題が考えられます。

ページをおめくりいただきまして6ページをご覧ください。買い手のほうの課題は何かということですが、これも幾つかあるとは思うのですけれども、利便性という観点と、それから安心・安全という観点が課題として大きいのだろうと認識しております。

そこで、7ページをご覧いただきまして、Yahoo!JAPANでは、このeコマースの取り組みとしてどのようなものを展開しているかということでございますけれども、一つはYahoo!ショッピングというショッピングモールを運営しております。それから、ヤフオク!というのもありまして、これはオークションサービスになっております。ショッピングとオークション、それぞれがどんどんサービスを大きくしていっておりますので、大分その境目がわかりづらくなっているところではありますけれども、一応、2種類のサービスを、売るプラットフォームとしてはご用意しているというところです。それ以外にYahoo!ウォレットという、これは決済のプラットフォームになりますけれども、売り手としては自社サイト運営者用決済サービスというのが備わっているというのと、それから、買い手の立場で見ますと、支払いのためのクレジットカードや銀行口座を登録できるネット上の財布のような機能としてお使いいただけるという、こういったプラットフォームをご用意しております。

8ページ目をご覧ください。こういった、今ご紹介したプラットフォームにおいてどのように課題解決ができているかというご紹介になります。まず、左側のYahoo!ショッピングですけれども、お金の課題解決という意味ではこちらは昨年の10月より、毎月の出店料とか、それから売上にかかるロイヤルティーですね、幾ら売れたら何%いただくといった、そのシステム手数料のところを両方とも無料にいたしました。変更前はどうなっていたかというと、下に書かれているとおりです。先ほどご紹介した、柿のとれる季節だけ柿を売りたいといった場合には、固定費がかかり、柿の季節以外にお金を払わなければいけないということでハードルが高くなると思いますので、そういったことの課題解決につながっていると考えております。それから、同様にヤフオク!のほうも、毎月の出店料であるとか出品手数料というのを同じ時期に無料というふうにいたしました。

ページをおめくりいただきまして9ページになります。続いて入金サイクルについても課題があるとご紹介しておりましたけれども、これは、もともと月1回の入金というふうになっていたのですけれども、オプションということで、手数料はちょっとかかってしまうのですけれども、月2回とか3回とか6回というふうに変更をいただくことができるということに今なっております。それから、ヤフオク!のほうは、株式会社ジャパンネット銀行の口座を受取口座にご登録いただいた場合には、月1回だった入金が月8回というふうにすることもできるという仕組みになっております。これによって入金サイクルの課題を解決いたしました。

おめくりいただきまして10ページになります。続きまして、ヤフオク!における課題解決なのですけれども、これは売り手と買い手の両方の課題解決になると思うのですが、Yahoo!かんたん決済ジャパンネット銀行支払いという仕組みをご用意しております。こちらは、ジャパンネット銀行に売り手と買い手と両方が口座をお持ちいただくということが必要になるのですけれども、こちらをご利用いただいた場合には、まず無料で利用をいただけるということになります。それから、24時間365日、いつでも買い手の支払い手続完了後、即時に売り手の銀行口座に代金が入金されるということになります。それから、売り手は自己の口座情報を、こういった個人間でお金のやりとりをする場合には、入金される側の口座を入金する人に対して一般的には通知することになると思うのですけれども、そういった口座情報を開示しない形でやりとりができるということになっております。そういったことで安心感も高まるかと思っています。

続きまして11ページです。今ご紹介した10ページのほうは、売り手と買い手と両方がジャパンネット銀行の口座をお持ちであるということが前提になりますが、必ずしも皆さんがジャパンネット銀行の口座をお持ちではないと思いますので、そういった方のためにということで、買い手のほうが全国のATM・銀行窓口で振込をするということでも同様のことができる仕組みを考えました。先ほどご紹介したように、全てのことが、例えば24時間365日いつでも入金がということにはならないのですけれども、ただ、売り手は自己の口座情報を開示せずに済むといったようなところであるとか、自分の口座を選ぶ形でジャパンネット銀行に一々口座を開設しなくても入金ができるということで、これも若干の課題解決になっているかと思いますので、ご紹介をさせていただきます。

続きまして12ページになります。買い手の課題解決の一つに、安心を求めるというところがあると思いますけれども、この安心を解決するための仕組みとしまして、Yahoo!ショッピングあんしん取引というものがございます。こちらは、クレジットカード決済のみになりますけれども、図をご覧いただきたいのですが、まず、購入者のほうが、ご自身で買い物しようと思った場合には、カード情報をヤフーのほうにご入力いただきます。それで、ヤフーのほうはそのクレジットカードの有効性の確認ができた場合には、有効性の確認ができたということでストアのほうに注文を入れます。そうすると、ストアのほうは商品を発送しまして、商品が送られてきたという受け取り確認が購入者のほうでできた時点で支払いがストアのほうに走るということで、その後に購入者のほうから代金の引き落としがなされるということになっておりまして、こちらで確実に商品を受け取った後にお金が自分の手元から引き落とされるという形になりますので、安心感を得ていただけるのかなという仕組みになっております。

それから、13ページをお願いいたします。そのほかにも買い手の安心感を高めるために、未着トラブルお見舞い制度ということで、Yahoo!ショッピングであるとかヤフオク!をご利用の際に、商品が届かないであるとか、入金がないなどのトラブルが起こってしまったときには、お見舞いをヤフーのほうからさせていただくという制度を設けていたりですとか、それから、お買い物あんしん補償ということで、Yahoo!ショッピング、ヤフオク!で購入した商品を対象として、破損や盗難等があったときに補償金をお支払いするというような、Yahoo!プレミアム限定のサービスになりますけれども、こういったものもご用意しております。

それから、一般論になりますが、14ページ目に入りまして、Yahoo!JAPANのほうではIDをご登録いただいて、それで本人の認証をして、有償サービスも含めてご利用いただくというパターンになっているというものがたくさんありますけれども、このIDがのっとられてしまうといったような危険もありますので、これは先ほどのeコマースに限らない話ですけれども、IDを守る機能ということで、ここにご紹介をさせていただいたような、例えばログインアラートというのは、ログインをされたときにアラートが飛ぶので、もし自分がログインした覚えがなかったら、自分じゃない人がログインしてきたんじゃないかということを気づくような仕組みであるとか、それから、後から、ログインっていつしたんだっけなというのを一覧で見ることができるようなログイン履歴の仕組みであるとか、あるいはログインテーマということで、これはフィッシングなどで、ほんとうはヤフーのサイトではないのですけれども、ヤフーのサイトに見せかけてログイン画面を見せて、そこにログインをさせてパスワードを盗むというような手口もあると思うのですけれども、そういったときに、ヤフーのサイトかどうかというのをすぐにご判別いただけるように、ログインテーマといって、自分で好きな画像であったりとか背景を設定することができます。これを設定しておくと、仮にフィッシングなどで実はヤフーのサイトではないところでログインをさせようというものが飛んできたときに、ログインテーマが出ていないので、これはヤフーのサイトではないということにお気づきいただけるという仕組みですけれども、こういったようなものもご用意しております。そのほか、シークレットIDであるとか、ワンタイムパスワードなどをご用意しております。ワンタイムパスワードなんかは、最近、銀行でもよく使われていると思いますけれども、こういったものもご用意の上、ログインについてのセキュリティーも高めております。

15ページはさらに一般論になりますけれども、SSLであるとか、PCI DSSであるとか、それからISMSを取得しておりますとかいったような形でも安心感を高めていただこうというふうにしております。

16ページになりますけれども、こういった課題解決をこの1年ちょっとでも大分いろいろなものを進めてきまして、13年の9月末から14年の9月末まで、もちろんいろいろなことによる効果であるとは思うのですけれども、今言ったようなものも含めてやったことによりまして、Yahoo!ショッピングのほうはストア数が10倍になりました。それから、ヤフオク!の常時出品数のほうも1.3倍になるといったような効果が見られております。

最後に17ページ目に行きまして、まだまだ課題ってたくさんあると思っています。今進めている新たな課題解決に決済に関するものが1つあるのですけれども、これは本年の4月からスタートしたものでありますが、Yahoo!ウォレットFastPayというものになっております。これは、例えば自分でホームページを立ち上げてeコマースをやろうとかというようなときに、どうしても決済という手段が必要になりますけれども、決済手段をご自身でご用意いただくのは、なかなかハードルが高いということになります。少しでも簡単に決済サービスというものを、eコマースをやろうとしている人にご利用いただけるようにということで、簡単な数行のコードをご入力いただくことで、ヤフーが提供する決済システムをご利用いただけるようになっているというサービスでございます。決済手数料のほうは3.25%かかりますけれども、月額費用は無料になっていますし、トランザクションフィーも無料ということでご利用いただけます。

こちらの仕組みでございますけれども、18ページ目に簡単に書かせていただいておりますが、この図の1番目、ここが商品購入者の方ですけれども、このFastPayの仕組みをあらかじめ入れておいていただきますと、カード情報なりYahoo!JAPAN IDでログインがなされたときに、販売者のサイトで何か買いたいということであれば、その情報がヤフーのほうに参りまして、トークンを発行して販売者のほうにそれをお知らせする形でトークン情報に基づき、販売者は確かにサービスをご提供したので決済したいという動作をしていただくと、決済ができてしまうという仕組みになっております。これもまだ始まったばかりで、これから広まればいいなというふうに思っているところですけれども、こんな形でeコマースをもうちょっと広めていけるといいかなということで今、取り組んでおります。

ありがとうございました。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

続きまして長楽委員、恐縮ですが10分程度で時間厳守でお願い申し上げます。

【長楽委員】

一般社団法人日本資金決済業協会の長楽でございます。本日は、このような貴重な機会をいただき、まことにありがとうございます。

それでは、ここにございます、前払式支払手段の発行の業務及び資金移動業を巡る現状と課題についてご説明申し上げます。1ページをお開きください。

前払式支払手段の例とございますけれども、記録媒体別に紙型・磁気型、IC型、サーバ型に分類したものでございます。資金決済法で新たに規制の対象になったサーバ型について簡単にご紹介させていただきます。サーバ型は、ここの絵にございますように、利用できる財産的価値がカード等に記録されておらず、発行者のセンターサーバに記録されております。利用者の手元に通知されるのはサーバ上の財産的価値と紐付いたID番号等でございます。ID番号等が記録されたカードの交付を受け、商品代金の支払いの際に店舗の端末にID番号を読み取らせて利用できるものや、ID番号等が記録されたシートやメールでID番号等の通知を受け、オンラインゲームとか音楽ダウンロードのサービスを利用する際に発行者のサーバにアクセスしID番号等を入力してその代金の決済に利用できるものでございます。

それでは、2ページをお開きください。前払式支払手段の発行額等の推移でございますが、平成25年度の発行額は22兆632億円となっております。サーバ型が規制対象となりました平成22年度以降の発行額の推移を見ますと、年率7%弱という順調な伸びとなっております。なお、財務局に登録・届出されている前払発行者数でございますけれども、26年10月末現在で1,824者となっております。

それでは、3ページをお開きください。記録媒体別の発行額の推移でございますが、本協会が平成10年度から毎年、全国の発行者に対し任意で調査をお願いし、取りまとめた発行事業実態調査統計の平成25年度版から抜粋したものでございます。

それでは、平成25年度をご覧いただきますと、サーバ型が7兆1,050億円。シェアで見ますと、34%強。IC型が12兆5,980億円、同61%、磁気型が1,937億円、同1%弱、紙型が7,602億円、同4%弱となっております。平成11年度でございますが、そのときには磁気型が約16兆円ございました。IC型は約600億円、紙型は約7,000億円でございました。前払式支払手段の記録媒体は磁気型からIC型、サーバ型へその主役が交代していると言えるのではないかと思います。

4ページをお開きください。これは、本協会が2013年6月に調査いたしました「前払式支払手段の利用実態調査報告」から抜粋したものでございます。現金を除く支払手段の利用経験率でございますが、ここの表の下のところ、「利用したことがあるもの」をご覧いただきますと、紙型の商品券が87.4%、次いでクレジットカードが81.2%、前払の磁気型カードが70.9%、IC型のプリペイドカードが55.8%、サーバ型が21.2%となっております。

それでは、5ページをお開きください。これも同じ調査から抜粋したものでございます。ここの一番上のメイン利用率を見ていただきますと、IC型プリペイドカードが47%と、紙型の商品券、磁気型カード、サーバ型と比べて高いものとなっております。

6ページをお開きください。資金移動業のビジネスモデルとありますが、本協会におきまして、各資金移動業者のホームページを参考に取りまとめたものでございます。なお、登録業者は26年10月末現在、37社となっております。ビジネスモデルを営業店・代理店型などと名称を付しておりますが、本協会がその送金形態の特徴から名称をつけたものであることをお断りさせていただきます。

それでは、国際送金の営業店・代理型でございますが、全世界に向けた送金サービスを提供する事業者と、特定国向けに送金サービスを提供する事業者がございます。送金手数料でございますが、送金国により異なるほか、取り扱う送金金額の金額階層ごとに一律に設定し、金額階層が上がると手数料も上がる仕組みとしている事業者が多いものとなっております。

インターネット・モバイル型でございますが、国際送金に加え、国内送金サービスを提供する事業者が存在します。モバイル型はケータイによる送金指図により送金先の提携受取金融機関宛に送金するサービスを提供しております。

カード・証書型でございますが、事業者からカードの交付を受け、当該事業者の会員専用口座に振込入金等によりチャージし、利用できます。チャージ残高の範囲内で国際ブランドの海外加盟店でショッピングやVISA、MasterCardと提携する世界中のATMで現地通貨を引き出すことができるサービスを提供しております。

国内送金でございますが、インターネット型におきましては、会員間の送金サービスを提供する事業者が多く、相手方のメールアドレス等を入力して送金できるサービスを提供しております。

モバイル型でございますが、モバイル契約のある者同士の送金サービスの提供でございまして、相手方の携帯番号等を入力して送金できるサービスを提供しております。

清算型でございますが、企業が多数の者に対して商品返品の代金支払等を行う必要がある場合に、事業者が代行して受取人のメールアドレス等の送金情報を登録するとともに、受取案内等を通知すること等によりまして、受取人が銀行口座等で受け取りができるサービスを提供しております。

それでは、7ページをお開きください。資金移動業の実績推移でございますが、年間取扱金額の欄を見ていただきますと、平成22年度、最初の年でございますが、140億円でございましたが、平成25年度は3,307億円と急速に拡大しております。

8ページをお開きください。これは本協会が2014年6月に行いました「送金サービスに関する調査」から抜粋したものでございます。海外送金利用実態の送金目的でございますが、表の下のほうでございますが、海外送金者別の欄を見ていただきますと、資金移動業者利用者でございますが、代金の支払が65.8%と高いものとなっており、外国籍の方は非常にサンプル数が少なくて参考値にすぎないのでございますが、家族への仕送りが70.8%と高いものとなっております。

9ページをお開きください。これも同じ調査から抜粋したものでございます。資金移動業者の海外送金サービスの認知・利用度をご覧いただきますと、1年以内に海外送金サービスを利用した方のうち、資金移動業者の海外送金サービスを「知っており使ったことがある」が28.0%、「知っているが使ったことがない」が11.5%、「知らない」が60.5%ということでございまして、まだまだ資金移動業者の認知度は低いものとなっております。

10ページをお開きください。資金決済業を巡る最近の動向と課題について本協会で取りまとめたものでございます。まず、前払式支払手段でございますが、1つ目が、交通系・流通系のIC型前払式支払手段が発行枚数、加盟店数、決済件数とも順調に拡大しているということでございます。

2つ目が国際ブランド付きの前払式支払手段が2011年6月のVプリカ以来、カード会社を中心に相次いで発行されております。当該前払式支払手段は、国際ブランド付きのクレジットカード及びデビットカードと同様に、国際ブランドの加盟店であれば世界中どこでも利用できます。また、クレジットカードと異なり、与信審査がなく、若年層から高齢者まで幅広い層が利用できるものとなっております。ブランドプリカは世界中のオンライン加盟店(サイト)で使えるという汎用性が高いものでございます。このため、悪質な加盟店での利用によるトラブルや、なりすましによる不正利用の発生等、インターネット取引に特有のリスクがございます。

資金移動業でございますが、1つ目が、犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部改正法案が平成26年10月10日に国会に提出されておりますが、成立に伴い、改正法への対応が必要となります。

2つ目でございますが、昨年秋以降、マネーミュールに資金移動サービスが利用されているとのマスコミ報道がございます。マスコミ報道や警視庁のホームページによりますと、「求人広告のメールやサイトで、受け取ったお金を海外の指定先に振り込むだけで手数料をもらえるというアルバイトの勧誘」があり、一般の方がこれに応じることにより、結果として不正送金に加担するというものでございます。事業者の方におきましては利用者に対する注意喚起や、犯罪に利用されない取り組みが行われております。

3つ目が資金移動サービスの一般消費者への周知でございます。先ほどご説明いたしましたように、一般消費者の方には資金移動サービスをご存じない方が多いものとなっております。協会といたしましては、引き続き広報活動を通じまして、その周知に努めてまいりたいと考えております。

前払式支払手段・資金移動業共通でございますが、情報通信技術の急速な進展に伴い、新たな決済サービスが登場しております。これらの新しい形態のサービスの中には、資金決済法の適用の有無の判断がつきにくいものがございます。協会といたしましては、このような新たなサービスにつきましては所管官庁への情報提供等に努めているところでございます。

11ページをお開きください。資金決済に関する法律の5年後見直しへの対応でございますが、本協会におきましては、所管官庁の5年後見直しの検討に備えまして、昨年秋に学者、有識者及び会員で構成する委員会を設置いたしまして、資金決済制度全般について幅広い観点から検討を行っているところでございます。本日は5年後見直しの要望について協会の機関決定を経ていないところでございますが、協会の事務局限りの要望ということで3点のみご紹介させていただきます。

1つ目でございますが、資金移動業者の1回当たりの送金限度額(100万円相当額以下)の引上げでございます。資金移動業を営む会員にヒアリングいたしますと、1回あたり100万円を超える送金ニーズ、例えば、商品仕入資金、海外留学資金、医療費などでございますが、そのような送金ニーズが多いとのことでございまして、100万円相当額以下では顧客のニーズに十分に応えられないとしております。協会といたしましても、資金移動業者としての役割を十分に発揮していただくために引上げをお願いしたいと考えております。

2つ目が、前払式支払手段の発行の業務の廃止に伴う払戻しに係る日刊新聞紙による公告義務の緩和でございます。前払式支払手段の発行の業務を廃止する場合には、前払式支払手段の未使用残高の払戻しが義務づけられておりまして、前払式支払手段の保有者に対して払戻しに関する必要な情報を提供するため、日刊新聞紙による公告が義務づけられていることから、その費用負担が大きいものとなっております。サーバ型前払式支払手段のうち、その利用範囲がインターネットのみでのサービス提供に限定されている場合には、利用者は発行者等のウェブサイトにアクセスして情報提供を受ける機会が多いと考えられます。このようなサーバ型前払式支払手段の発行者にあたりましては、日刊新聞紙による公告を電子公告で代替できる措置をお願いしようとするものでございます。なお、これにつきましては、26年6月に閣議決定されました規制改革実施計画におきまして個別措置事項の一つとして定められているものと同様の内容となっております。

3つ目が前払式支払手段の発行の業務を事業譲渡する場合の前払式支払手段保有者からの個別同意不要の手当でございます。前払式支払手段の発行の業務を第三者に事業譲渡する場合には、前払式支払手段の保有者から個別の同意を得る必要があるとされておりますが、前払式支払手段は無記名のものが多く、無記名の場合には保有者の個別の同意を得ることは事実上不可能でございます。こうしたことから、前払式支払手段の発行の業務を第三者に承継させる場合には、保有者の同意を必要としない合併や会社分割等の手法しか活用できないというところがございます。利用者保護等に係る一定の手続を設けることなどにより、事業譲渡の場合に保有者の個別の同意を不要とする手当をお願いしようとするものでございます。

以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、與口委員、同じく10分程度で時間厳守でお願いいたします。

【與口委員】

日本クレジット協会の與口でございます。お手元の資料3をご覧いただければと思います。本日は、クレジット業界の現状と、それから取り組み、あるいは今後の課題についてお話をさせていただければと思っております。

まず最初にクレジットカード業界の動向ということで、もう既にクレジットカードそのものについてはある程度普及をしておりまして、皆さんのほうでもクレジットカードをお持ちだと思いますけれども、今後、利用者という意味でクレジットカードのホルダーというのが必ずしも増加が見込めないという中で、今の業界としては、いかに使ってもらうかという利用率の向上というのが一つのテーマになっております。そういう意味で、副題のところで「利用シーンの拡大」というふうに書いておりますけれども、要は、使えるところをどのように増やしていくかということ、いわゆる加盟店の拡大というものと、それから、利用率の向上というのは、これは加盟店の拡大というのも利用率の向上の最たるものですけれども、実際にはおそらく、今日はご説明いたしませんけれども、利用率の拡大の最たるものはポイントの戦略だろうと思いますので、どういう形でポイントをつけていくかとか、あるいはもう既にこの会合でも1回目、2回目でお話がありましたけれども、OtoOであるとか、カードリンクドオファーみたいな、そういったマーケティングなども利用率の向上ということで言えるのではないかと思っておりますけれども、カードの支払の機会という意味では、こちらのほうの説明は今日は見送らせていただければと思っております。本日はどのような分野にそういう意味では利用シーンといいますか、加盟店を拡大しているのか、そのためにどういう工夫をしているのかということを簡単にご説明をさせていただければと思っております。

まず3ページ目の(1)少額支払いということで、クレジットカードについては比較的高額なものを決済するという概念が存在しますので、そういったものを少しでも少額なところにも広げていきたいということで幾つか取り組みをしているということでございます。マル1でサインレス取引ということで、その下のほうに黒丸がございますけれども、スーパーの食品レジだとか、コンビニ、それからアミューズメントパーク、こういったところでお客様が列に並ぶというところにおいてはやはり処理スピードというものが非常に求められるということもございますので、サインをしなくてカードの処理ができるようにということを、一定の金額の範囲内ですけれども認めていこうということで取り組んでいるというのがこの1つ目です。

続きまして4ページ目をお開けいただければと思います。少額決済の2つ目ですけれども、ポストペイという、いわゆるクレジットカードにひもづく少額決済用のカードを別途発行して、しかもこれを後払いという形で処理できるような形で普及させようというのがここでございます。

それから、次の5ページ目、少額決済のマル3のところですけれども、これは基本的には電子マネーとの連動と書いてございますけれども、あくまでも支払は電子マネーということなんですけれども、下の黒丸のところにございますように、電車の交通系の電子マネーでオートチャージであるとか、それからモバイルの電子マネーについてはネットでアクセスすることによってチャージが可能になるということです。この際にクレジットカードをあらかじめ設定するとこういったことができるということでございますので、あくまでも一義的には電子マネーが支払手段ということになりますけれども、その電子マネーが支払手段を支えるという基盤の一つとしてクレジットカードというのが利用されているということでのご紹介でございます。

続きまして6ページ目でございますけれども、公共分野への拡大というのも考えております。消費者の方々が生活をしていく上において、こういった公共分野の支払というのは切っても切り離せないというような支払先ということになりますので、こういった分野についても社会的なインフラの整備というか、責任という意味でクレジットカードができるように環境を整備していきたいと考えております。実際には入札方式で行われているため、加盟店手数料等も廉価に抑えられておりますので、利益が出ないというところはあるのですけれども、社会的使命ということで取り組んでいるというのが6ページ目でございます。

続きまして7ページ目以降で、先ほど来ご説明もございますけれども、EC取引についてでございます。7ページ目はマル1ということで、ECの市場が拡大しているというだけでございますので、これは飛ばさせていただきまして、このECの市場で、8ページ目でございますけれども、(3)のマル2ということで、このEC取引の中で、いわゆる高額なものから少額なものまで、いわゆる購入手続がその場でそのサイトでできて、支払の手続もその場で完了するということで非常に便利な決済手段ということでクレジットカードが、そのマル2のところのボードに書いてありますように、非常に多く使われているというのが、非常にECという加盟店においてクレジットカードが多用されている、クレジットカードが広がっているということでございます。

さらに、そのECについてはもう一つ、9ページ目で、決済代行業者というのが出てまいります。この存在が我々のクレジットカードをECの市場において広げていくのに非常に大きな役割を果たしてくれております。印の2つ目のところなのですけれども、比較的小規模な事業者、あるいは新規に入ってくる事業者というのはEC取引に非常に多いのですけれども、こういう方々についてはどうしてもコストであるとか労力、それか信用力という面で、クレジット会社と契約を結ぶというのは大変難しいということになります。そういう意味で、こういった事業者がそういったところについてコストだとか労力の分を補う、それから信用力についても彼ら自身がこまめなチェックをしてクレジットカードにつないでくれることによって契約をしやすくするというような働きがございます。

また、3つ目のところですけれども、大手の事業者についても同様に労力とコストについては、こういったところを利用することによってECにおける決済がスムーズに導入できるというようなメリットがございますので、こういったところの存在も非常に大きかったのかなと思っております。

続きまして10ページ目でございます。(4)ということで新規分野というところのマル1加盟店端末としてのスマートフォン決済ということで、こちらのほうはスマートフォンにカードのスライドをするための装置をつけて、スマートフォンを加盟店の端末として利用するという形で決済用のツールとして利用しようというものでございます。これについては、そちらのほうの印のところにもございますように、もともとクレジットカードの利用がどの程度あるのかという見込みが必ずしも明らかでないようなお店、あるいはそもそも中小企業でも大した利用も見込めず、コストがかけられないということで、クレジットカードの加盟店になるに際して非常に消極的な加盟店というのも多うございますし、また、2つ目の印のところですけれども、イベントであるとか移動販売、こういったようなところについては、固定の信用端末を導入するというのは動きもありますので非常に難しいということと、それから、移動専用端末というのも存在しますけれども、コストが高いというようなことで、参入が非常に難しいというようなところがございました。こういったものについて、こういったスマートフォンを使った決済端末の導入によって、こういったコンサート、イベント、あるいは飲食店といったような、従来加盟店になりにくかったところについてもカードの利用が進んでいるというようなところでございます。

それから、続きまして11ページ目でございますけれども、(5)訪日外国人の対応ということで、これは直接、日本のカード発行会社の利益につながるというものではございませんで、海外から来られる訪日外国人の方々に日本でもカードを使ってもらうための活動を我々のほうでやっているというご紹介にすぎないのですけれども、当然、訪日外国人の方が使いやすい環境というのは、日本のユーザーといいますか、カード会員にとっても使いやすい環境ということになりますので、そういう意味ではそういうところが広がっていけば日本のカード会員の利用率も上がっていくということでのご紹介ということでご理解いただければと思います。

続きまして12ページ目でございますけれども、次の項目の安心・安全への取り組みというところになります。(1)でお示しをしておりますグラフは、クレジットカードの不正使用被害の発生状況のグラフでございます。平成9年から平成25年までの17年間をグラフにしたものでございますけれども、ピーク時には平成12年に309億円ほどの不正使用が日本国内で発生しておりました。この最たるものは偽造のカードによるもので、これについては刑法の改正、あるいはICカード化の導入等によって順次減少を続けておりまして、平成24年には68億まで減ってきているわけですけれども、残念ながら25年に79億となっております。

それから次のページ、13ページをご覧いただきたいのですけれども、クレジットカードの不正使用被害の26年の1月から6月までの半年分でございますけれども、直近の部分をご覧いただきますと、先ほどのグラフの中を少し区分けをしたもので、偽造カード被害、それから番号盗用被害、それからその他不正使用被害という3つに区分をしております。この真ん中の番号盗用被害、こちらのほうは26年の1月から6月までで29億2,000万円という被害額が出ておりますけれども、ここのところが今、増加をしております。ここは何かといいますと、クレジットカード番号が盗まれて、そのまま不正に使用されるというケースでございます。ECの加盟店でカード番号が盗まれて、ほかのECサイトによって不正使用されるというのがこのような犯罪形態です。この部分について現在少しずつ増加をしているというのが我々にとっての今の危惧感というところでございます。

続きまして、具体的な我々の業界の取り組みを簡単にご説明いたしますけれども、14ページ目が、まずは先ほど申し上げました偽造の防止ということで、ICカード化に取り組んでいるというご紹介でございます。業界では2016年12月までにICカード化率80%という目標を掲げて今やっておるというところが14ページ目です。

それから、15ページ目が、クレジットカード情報の管理強化ということで、カード情報が流出しない、盗まれないというようなことで守っていこうというような取り組みでございますけれども、ここ、ちょっと訂正がございまして、お手元の資料ではECの関係のところだけ書いてあるのですけれども、実際には業界としましてはEC以外のリアルな加盟店、あるいはカード会社そのものについてもカード情報の管理強化のためにクレジットカード情報のPCI DSS準拠、こういったようなものについて取り組んでおるというところでございます。

それから、次に16ページ目、安心・安全の最後のところですけれども、マル3ネット取引における本人なりすまし防止策ということで、ECの取引において水際で不正使用を防止するということで、本人を確認するための何らかのなりすまし防止策というのをECの皆さんに導入をしていただくようにお願いをしております。そういった特殊な対応ができない中小のECのサイトの方々には、業界のほうで3Dセキュアという認証の仕組みを持っておりますので、こういったものを業界で推奨しているというのが安全対策のところでございます。

続きまして17ページ目、今後の課題と展望ということで幾つか課題といいますか、思っているところについて述べさせていただければと思います。(1)のほうは「クレジットカードに求められる役割の転換~キャッシュレス社会へ~」ということなのですけれども、下のほうに2つの図を書かせていただきました。左側のほうの図が現金、右側のほうがキャッシュレスの電子取引というようなイメージで書いてございます。左側のほうで、皆さんのほうの給与も口座振込で銀行に入るかと思いますけれども、そういった給与データについて、わざわざ銀行がATMの中に現金を入れて、消費者の方は銀行まで赴いて現金をおろして、そのときにはATMの手数料まで払って、現金を抱えながらお店のほうに行っております。お店のほうは当然ながら、現金取引をするためには釣り銭も準備しなければなりませんし、お金ですと売上の計算をする、それを保管して銀行に持ち込むというような、さまざまなところでそれなりのリスクとコストをかけていかなければいけないと。それを右側ですと、電子データのままやりとりをすることによって、そういったリスク、コストというような発生を最小限にとどめることができるのではないかと思います。そういう意味で、社会的なインフラという意味からも、そういったキャッシュレスというようなものを推奨していく必要が今後あるのではないかというようなところがこのページでございます。

続きまして18ページ目、(2)でございます。クレジットカードの安全性に関する当事者の責任というところでございます。我々のほうのクレジットカードについては、クレジットカードのネットワークにぶらさがっているカード会社以外に、当然、加盟店、あるいはカード会員、それ以外にもネットワーク会社、決済代行業者等々、いろいろな当事者がつながっておりまして、これらが全てきちんと安全対策を守らないと、どこかに穴があると、そういう意味では全体が崩壊をしてしまうと、こういうことになりますので、そういう意味では当事者がみずからの責任において安全性を確保するというのが最低限必要ということになります。これは海外ではごくごく当たり前なことということで、言わずもがなのことになるわけですけれども、残念ながら日本の場合については、一部歴史的な問題があって、例えば加盟店について当初、カード会社がこのカードの導入について加盟店になってもらいたいということで非常にお願いをしてなってもらったという関係もあって、こういったセキュリティーについても、全ての加盟店というわけではありませんけれども、カード会社のために行うというような意識をお持ちでございますので、加盟店はあくまでも協力する立場ということで、なかなか当事者意識を持っていただけないというようなことがございます。

それから、決済代行業者、右側のほうに置いてありますけれども、こちらについても、日本の場合、加盟店の代理人という立場で存在をしているケースが多くて、カード会社の思い、意向では必ずしも彼らが動いてくれないというような問題もございます。そういう意味では、なかなかそういう当事者の方がそれぞれ自分の責任でセキュリティー、そういったものを整備していただくというのには厳しい部分があるということが2つ目でございます。

最後でございます。19ページ目、(3)ということで消費者保護とのバランスというところでございます。基本的にはカードホルダーから指示をいただいて、カードホルダーのかわりに加盟店に確実に支払を行うというのがクレジット会社の役割ということになるわけですけれども、残念ながらそれだけではその役割を日本の場合、果たすことができないというのがここの問題でございます。

マル1というところで、加盟店についてなんですけれども、国際的に言いますと、違法な行為をするような事業者というのを加盟店にするということはもちろんありませんけれども、基本的には現金が使えるところは全てカードが使えるというのが望ましい姿だというふうに考えられています。ただ、日本では、必ずしもそういうふうには考えておりませんで、ある種、加盟店に対して健全な取引──この健全な取引というものの概念が必ずしも確立しているわけではございませんけれども、おそらく、消費者とトラブルを起こさないようなところというのが期待をされております。

それからマル2で、クレジットカードの機能が基本的には支払手段の提供ということになるわけですけれども、実際には加盟店との消費者トラブル、こういったところについて解決に対してカード会社に対しても協力を求められるというようなことが日常的に行われております。

消費者保護についてはとても重要なことだというふうに我々も理解をしておりますけれども、よりそういった消費者保護を手厚く対応しようということになりますと、労力、コスト、そういったものもそれ相応に当然発生していくということになります。目指すべきリテール決済の姿というものがどういうものかということはわかりませんけれども、例えばカード1枚持って全ての取引が行えるというようなことを目指す社会というふうに考えたときに、この消費者保護とどういうふうにバランスをとりながら進めていくのかというのはとても重要なことではないかなということで挙げさせていただいておるというところでございます。

以上です。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、尾中委員、同じく10分程度で時間厳守でよろしくお願いします。

【尾中委員】

三菱UFJニコス、尾中でございます。では、時間もございますので、早速資料4に基づいてご説明をさせていただきます。なお、本日のご説明資料に関しましては、基本的に当社としての取り組みを中心に記載をさせていただいておりますので、あらかじめご了承ください。

早速、2ページ目、目次をご覧いただきたいのですが、本日は、3つのパートに分けてご説明をさせていただきます。

4ページをご覧ください。クレジットカードの仕組みに関してですが、まず、クレジットカード会社の事業をまとめております。大きく2つの事業に大別されますが、アクワイアリング事業とイシュイング事業でございます。アクワイアリング事業というのは、クレジットカードが使える加盟店の募集、また、その加盟店にカードを精算するための機能を提供することを中心に行っております。一方、イシュイング事業といいますのは、クレジットカードを持つ会員の募集、それからカードの発行、こういったものを行っている事業を指します。

当社の場合は、(2)のほうで記載しておりますが、加盟店のアクワイアリング事業は、VISA、MasterCard、銀聨の取り扱いを行っております。イシュイング事業は、今申し上げた3つのブランドに加えてJCBとAMEXの発行を行っております。

5ページをご覧いただけますでしょうか。クレジットカード決済の流れと契約形態をまとめておりますが、クレジットカード会社は、今申し上げたイシュアとしてのイシュイング事業、アクワイアラとしてのアクワイアリング事業を行うことによって、カード会員と加盟店へのサービスを提供しております。これによってカード会員は、加盟店に行ってカードを提示することで商品、サービスの提供を受けることができるという成り立ちになっております。

次のページ、6ページをご覧いただきたいのですが、加盟店との契約形態について大きくまとめております。取引形態としては、下の図にありますとおり、基本的には店頭での取引と、通信販売等の取引に大別されます。その中で契約形態としては、カード会社が直接加盟店と加盟店契約を締結する方式と、もう一つは、百貨店やショッピングセンター、またはインターネットでのモール事業者等と契約を締結して、その先にあるテナントは店子としてそのクレジットカードを取り扱うという、包括加盟店契約という方式の大きく2種類がございます。

8ページをご覧いただきたいのですが、ここから安心・安全なクレジットカードの取り扱いについてのご説明になります。不正利用対策として取り組んでいる中身としましては、大きく4つにまとめておりますが、まずモニタリングシステムを活用して、24時間365日、クレジットカードの利用動向をチェックしております。それから、先ほどのJCA様でのご説明でもありましたが、ICカードの発行を推進することによってクレジットカードの偽造対策、それと本人確認の強化を行っております。

それから、(3)では、加盟店の委託先を含めたカード情報管理体制の強化を要請するといった加盟店啓発を行っております。

(4)番でも同じく業界の動きと一緒になりますが、インターネットショッピング等に対して3Dセキュア、それからセキュリティーコードの入力等を求めるように、こういった取組みを行っております。

9ページをご覧ください。当社の加盟店関係業務の概要をまとめております。加盟店関係業務の目的としては、当社のお客様や一般の消費者の方の権利・利益を保護し、安心してクレジットカードをご利用いただくために行っております。当社では営業部門から独立した専門部署を立ち上げて業務を行っております。加盟店関係業務の種類というのを簡単にまとめておりますけれども、大きく2つございます。一つは加盟店の新規契約審査、もう一つは契約した加盟店の途上管理を行っております。加盟店関係業務の最近の課題としては、海外アクワイアラが契約するサクラサイト等での消費者被害の増加に対する対応、EC加盟店の本人認証、カード情報等セキュリティー強化というものが挙げられます。

10ページをご覧いただけますでしょうか。次は、クレジットカードシステムに関するセキュリティー基準ということでまとめております。下の箱書きに入れておりますけれども、主に大きく3つございまして、まず1つ目がPCI DSS。こちらはクレジットカードを取り扱う事業者全体を対象にした基準でございます。次にPA DSSというものがございますが、こちらは決済アプリケーションを開発・提供するソフトウエアメーカーなどが対象になるものであります。3番目がPCI PTSと言われるものになりまして、これは暗証番号入力を行う機器を提供するような端末メーカーが対象になるセキュリティー基準でございます。

11ページをご覧いただけますでしょうか。当社におけるセキュリティーの高度化への取り組みということで、現在、次世代の個人認証技術の研究・検討を行っております。こちらのほうでは昨年4月1日より東京大学と個人認証技術口座を開設して共同で研究を行っております。

12ページ以降で当社における決済の高度化の取り組みをご説明させていただきます。まず、現行決済インフラの課題と解決の方向性をまとめておりますが、大きく左の箱書きにありますとおり、決済ニーズの多様化、決済処理スピードが遅い、高まるセキュリティー要求への対応、決済システム対応コストの削減といったものが挙げられます。これに対して我々は、拡張性の高い決済インフラの提供、ブロードバンド回線を活用することによる決済スピードの短縮、カード情報等のセンター一元管理による非保有化、それから、決済システムのアウトソースによるコスト削減というものを打ち出しております。世の中の潮流とあわせまして、弊社としてはクラウド型決済システムを提供することによって、このような課題を解決しようと取り組んでおります。

14ページをご覧いただけますでしょうか。クラウド型決済システムの特徴の一つとして、デバイスフリー、それから高い拡張性の実現というものをまとめております。この絵にありますとおり、クラウド型決済システムのセンター側にクレジットの機能、それから電子マネー、その他、販促の機能として電子クーポンやポイント等の機能を全て一元で管理しております。クレジットの利用に加えて、真ん中の吹き出しに記載しておりますが、今後の対応としてはWallet決済等、新たなスキームの取り組みも検討しています。かつ、我々のクラウド型決済システムはPCI DSSに準拠しています。

下のほうを見ていただくと、加盟店に設置してある決済機器との間を公衆インターネット網で接続しておりまして、いわゆるPOS端末やスマートフォン、タブレット端末、そのほか決済専用の端末にパソコンと接続できるようになっております。将来的にはテレビですとかゲーム機、またはマルチメディアキオスク端末等の接続も考えられると思います。特徴としましては、スマートフォンと同等の機器スペックの機械であれば、クレジットカードの読み取り等に必要な周辺機器を接続するだけで簡単にカード決済をすることができるような仕組みになっております。

15ページをご覧ください。最近話題によく出ておりますWallet決済について簡単にまとめました。スマートフォン、タブレットをベースとしたWalletスキームが登場しておりまして、この決済には大きく2つのパターンがあると思っています。一つがクレジットカード決済型と呼んでおりますが、先般発表されましたApple payに代表されるようなWalletアプリ内に安全にカード番号を格納して、その情報で決済処理を行うような方式と、もう一つがID決済型と呼んでいる、PayPalに代表されるような自社サービスで付与しているIDをキーに決済を行う方式です。Walletのアプリがございますが、このアプリと決済端末とのインターフェースは多数あると認識しておりまして、現状把握しているだけでも非接触ICチップ、もしくはBluetoothを使ったような無線通信、それから取引番号を入力して認証するようなパターン、あとはバーコード情報を読み取るもの、顔を含めた生態認証を使うようなものもございます。我々のシステムではWallet決済の対応も視野に入れて、各インターフェースの準備を開始しておりますし、決済用の業務アプリケーション自体はセンター側でつくり込みをすることで順次追加すればすぐに使えるようになるということで高い拡張性を確保しております。

16ページはインターネットにおけるID決済の参考資料ですので、後でご覧いただければと思います。

17ページから、クラウド型の決済システムの安全性についてまとめています。我々の中ではオープンインターネットを使うと、公衆インターネット網を使うということを大前提にしておりまして、カード決済を行う機器、こちらのほうには我々のセンターで発行したクライアント証明書をインストールしてもらいます。これによってセンターと決済機器の個体認証を行っております。このようなアクセス制御と合わせて、SSLによる通信経路の暗号化、加えてクレジットカード情報自体を暗号化するという二重の暗号化を用いることによって強固なセキュリティーを担保し、公衆インターネット上で安全な決済サービスの利用を提供しています。

18ページをご覧いただけますでしょうか。iOSソリューションの安全性ということで、こちらも個別にまとめております。基本的なセキュリティーの考え方は同じですが、iOSを搭載したようなソリューションに関しては、個人の方も利用されるような機器になる為、クレジットカード情報の暗号化は取引ごとに独自の暗号鍵を生成し、取引つど常に違う鍵で暗号化をするという方式を用いることでさらに強固な対応をとっております。

19ページをご覧いただけますでしょうか。スマートフォン・タブレット端末の可能性を記載しておりますが、基本的にクラウド型決済システムで実装している決済系の機能に加えて、いわゆる流通小売業の加盟店が自社の業務に使うようなPOS機能ですとか、こういったものも対応できる、極めて可能性のある機器だと認識してこの取り組みを行っております。

20ページでは、弊社にてご提供しているiOS用、スマホ・タブレット用の決済用のスリーブを記載しております。クレジットカードや電子マネー処理に必要な機能に加えてバーコードリーダーと、通常の店舗業務に必要なハードウエアとしての機能も備えております。

最後、21ページからは、訪日外国人向けのサービスのご紹介ということで、DCCというサービスのご説明になります。こちらは、Dynamic Currency Conversionというサービスの略でございまして、通常、カードをご利用いただく場合、海外からお客様が来ると、日本の場合は日本円で決済をさせていただくという流れになっており、後日、カード会社からの請求書を見て自国通貨で幾らになっているというのを確認するというのが一般的なクレジットカードの流れですが、このDCCでは店頭でクレジットカードの処理をするときに、そのときの為替レートで、そのお客様、海外の方の自国通貨に換算して金額計上して、その自国通貨でお支払いができるというサービスになります。このサービスを提供することによって、決済金額が自国通貨でわかる安心感、それからビジネスで来ている方は経費精算等が自国通貨単位ですぐにできるということで非常に簡便になるというメリットがございます。

22ページをご覧いただきたいのですが、現在、弊社ではUSドル、ユーロ等々、主要10通貨に対応したサービスを提供しております。右のほうのオレンジの頭書きになっていますけれども、今後、来年4月に9通貨を追加する予定でございます。これによって海外クレジットカードの97.3%程度をカバーできるということになり、サービスの汎用性が高まると考えております。かつ、真ん中に説明用レシート(サンプル)というのを入れておりますが、外国人のお客様にこのサービスの中身をきちんと理解していただくために、このような伝票を印字して、このサービスを提供する前に外国人のお客様に見ていただくことで丁寧なサービスを提供しております。

23ページになりますが、クラウド型決済システムが提供する販促支援機能ということで、電子クーポン機能を記載しております。チラシや紙、携帯電話の画面を提示するようなクーポンの課題としては、店員の運用の徹底、効果分析を定常的に且つスピーディーに行うことがなかなか難しいという課題がございます。弊社が提供する電子クーポンは、カード決済と同時に割引を自動適用してしまうという仕組みでございまして、当然、この利用結果は決済システムにて全て保管しておりますので、データで還元することが可能になります。これによって利用分析等がかなり高度なことができるようになると思っていまして、加盟店のほうでも、よりお客様に対してスピーディーで、皆さん喜んでいただけるようなサービスが提供できると考えております。

24ページ、最後になりますが、この電子クーポンに関しましても、クレジットカード決済とセットで提供する形になっておりますが、クレジットカード番号を加盟店が取り扱うのは望ましくないということで、加盟店様の会員IDみたいなものと、そのお客様のクレジットカード番号をあわせて弊社側でお預かりすることによって安全な保管を実現しております。利用結果等々に関しては、加盟店様の会員IDで全てお返しするため、クレジットカード情報は外部には漏れないという対応をとっております。

以上になります。ありがとうございました。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは、自由討議に移りたいと存じます。どなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いしたいと思います。翁委員、どうぞ。

【翁委員】

説明どうもありがとうございました。ヤフーの方にお伺いしたいのですけれども、8ページのところなどでeコマースの特徴をお伺いしたいということにもつながると思うのですけれども、先ほど、昨年ぐらいから出店料とかロイヤルティーとかを無料にしてeコマースの拡大を展開されているということなのですけれども、リアルのマーケットと比べてシェアを取っていくというようなことがeコマースの取引では重要な要素になってくるんでしょうか。こういう形でコストを引き下げてやっていくということに伴う、先ほど随分伸びているというお話がございましたけれども、そのシェア拡大ということが非常にeコマースでは重要な要素になっているのか、その競争状況もあると思うのですけれども、リアルの取引と比べて、何かそういったeコマースの特徴がありましたら教えていただきたいというのが一つです。

それから、いろいろな顧客に対してジャパンネット銀行の支払とか、クレジットカードを活用したYahoo!ショッピングとか、そういったさまざまな支払手段を提供されておられますけれども、一方で先ほど日本資金決済業協会からお話を伺った中では、サーバー型の電子マネーもインターネットショッピングにかなり使われているというお話があったのですけれども、こういったものはむしろ少額のゲームとかそういったものが中心に使われていて、ヤフーとかはこういった電子マネーについてインターネットショッピングで使っていくというようなことについてどういうふうにお考えなのかということをちょっと教えていただきたいと思います。

【岩原座長】

それでは、まず古閑委員。

【古閑委員】

まず1点目ですけれども、シェアを伸ばすという表現が必ずしも我々の目指しているところと合っているかどうかというのがありますけれども、シェアといいますと、もともとあるパイが一定で、それを伸ばすというイメージなのですけれども、先ほどの、例えば柿の例でもそうなんですが、今までは例えば広くあまり売っていなかった人たちが、気軽に店舗を構えないでもできるのだったら売り物になるかなっていうことで売るとかっていうこともあると思っておりまして、なので、もともとあるところにシェアを取りにいくというよりは、売っていなかった人に売ってみてもらうとか、そういったこともできるようになるといいのかなと思っています。

今、昨年から始めた無料のビジネスモデルにして、ただちには利益が上がっていないというのはあるのですけれども、ここの4ページ目でご紹介したようなサイクルをまずつくるということが重要だと思っていまして、これによっていろいろな方が、例えばほんとうに地元でしかやっていなかった人が、全国に売れるようになったことで売上が伸びるとか、そういったサイクルがまずできてくることについて、リアルで売るよりもインターネットのほうが広まりはあると思っているので、そういう世界を目指せるといいのかなと思っているというのが1点目です。

2点目につきましては、今のところ、ちょっとサーバー型電子マネーとかという手段については私どもは取り入れておりませんで、それがほんとうに有効なのかとか、今後研究していくことにはなると思っておりますけれども、現時点ではご用意できていない状況です。

【岩原座長】

よろしいですか、翁委員。

ほかにいかがでしょうか。安田委員、どうぞ。

【安田委員】

ちょうど今の件と関連して古閑委員に幾つかお聞きしたいのですけれども、まず、同じ8ページで、売り手のサイドに関して出店料とか手数料を無料にするというキャンペーンを去年から行われているということなのですけれども、そうなってくると、素朴な素人の疑問として、どこから収益を上げているのかというのが気になるのですけれども、おそらく買い手の手数料とかだと思うのですが、買い手サイドがどうなっているのかということをお聞きしたいというのと、あと、これは16ページのまた違うグラフなのですけれども、おそらくキャンペーンの効果もあってストア数や出品数はすごく増えたというグラフなのですけれども、実際の取引額がどれぐらい増えているのかというのを、もしもデータが出せるのであればちょっとお聞きしたいです。

どうしてかというと、基本的に出店料を無料にしているので、実際に売らなくても登録だけすれば、一応、損することはないという形で参入者が増えることは想像できるのですけれども、実際どれぐらい取引ボリュームの拡大につながっているのかという点にちょっと興味があります。

【岩原座長】

古閑委員、お願いします。

【古閑委員】

まず1点目の点ですが、収益をどのようにというところですけれども、出店者、要はストアが増えると、自分のところの商品が埋もれてしまうというのがありますので、ぜひ広告を出してくださいということで、広告が伸びるといいなというところで見込んでおりますが、これをやる前の状態にまで利益が出せているかというと、現時点では残念ながらそういう状況にはないというところです。

取扱高ですが、2013年の7月-9月の3カ月が809億円だったのですが、これを2014年7月-9月、同じ時期で比べてみますと890億円ということになっております。これがショッピングの取扱高です。

【安田委員】

1割ぐらい増えたということですか。

【古閑委員】

そうですね。

【安田委員】

ストア数ほど劇的には増えていないですけれども、取引高のほうもきちんと増えているということですね。

【古閑委員】

はい。

【安田委員】

どうもありがとうございます。

【岩原座長】

ほかにいかがでしょうか。小野委員、どうぞ。

【小野委員】

ありがとうございました。最初にヤフーの古閑委員に1点細かい質問になるのですが、資料の17ページで、ウォレットFastPayについて、決済手数料が3.25%ということだったのですけれども、これは何に対して3.25%取っているのか教えてください。

それから、もう一つは、日本資金決済業協会の資料になるのですけれども、資料の11ページで、要望事項ということで、1回当たりの送金限度額の引き上げについて、これは顧客からのニーズがあるんだということでしたけれども、そもそも法制定時にこういう規制を設けた根拠が何だったのかというのを教えてください。この質問はもしかしたら事務局の方に対する質問になるかもしれないですけれども。

以上です。

【岩原座長】

それでは、まず古閑委員。

【古閑委員】

3.25%は、商品代金の3.25%という形になります。

【岩原座長】

黒井室長、どうぞ。

【黒井総務企画局企画課信用機構企画室長】

資金決済法を制定したときの考え方についてのご質問がございました。こちらについては、資金決済法制定に当たって、これまで銀行等のみに認められてきた為替取引に関する業務を新たに銀行等以外の者に認めることとなったということで、まずは業務遂行の実態を十分見極める必要があるということも考えられまして、まずは、少額の取引として政令で定めるものということで100万円以下ということで定めることとなったということでございます。

【岩原座長】

よろしいですか。

たしか金融審で議論したときは少額取引の制限は入っていなくて、後で立法化する段階で入ったという記憶があります。

ほかにいかがでしょうか。戸村委員、どうぞ。

【戸村委員】

今の小野委員のご発言に追従する形で、事務局への要望なのですが、私の個人的な理解ですけれども、前払式支払手段の使用は日本は世界の中でトップランナーだと思っていますが、まだまだクレジットカード等の決済金額に比べると伸びる余地が多いと思います。今後、長楽委員からのご要望にもありましたように、今後、決済金額の上限等の引き上げ等、より大きなボリュームでの使用が見込まれるのではないかと思うのですが、そうするとナローバンク、現在の銀行との境界がだんだんぼやけてきて、岩原座長も初回におっしゃっておりましたが、銀行のアンバンドリング化ということで、規模が大きくなったときの資金決済業のあり得べき規制について議論するべきかと思うので、もしできればで構わないのですが、現行の銀行規制と資金決済法の資金移動業者等のプリペイド型業者の規制の違いについて取りまとめいただけると私としては議論が進むと思うので、ご検討いただければ幸いです。

【岩原座長】

戸村委員のご発言はご要望ということで、これからここで検討していくということかと思います。

森下委員、どうぞ。

【森下委員】

資金移動業者に関してですけれども、資料2の9ページを拝見しますと、導入から4年半が経過しているにもかかわらず、信頼性に不安があるという方の割合というのはまだ伸びているというような数字があると思います。これは具体的な根拠のない、漠然とした不安なのか、そうではなく、例えば協会のほうになかなかうまく外国への送金が行かなかったというようなことでのトラブルですとかクレームというのが寄せられる例があるのか。あとは、例えばそういうようなものがあったときに、誰がロスを負担するというような仕組みになっているのか。例えば、お金が届かなかったというときに、利用者がそれを負担せざるを得ないような形になっているのか。外国にお金を送る以上、なかなかうまく届かないケースというのもあってもしかるべきかなと思うのですけれども、金額を増やすというと、他方でやはりそういったリスクという点も考えておく必要があるのかなと思いまして、ご質問させていただければと思います。

【岩原座長】

長楽委員、どうぞ。

【長楽委員】

資金移動業者に対する、そういう意味でトラブルというのが、我々協会にどの程度来ているかということですが、年間で10件ぐらいです。具体的には、例えば最短10分で着金するとHPに書いている。ところが犯収法上の問題等がございまして、ブラックリストに近い名前の方の場合はチェックしなければならないということがございます。そこで時間がかかってしまい苦情になることがございます。そういう苦情はありますが、今のところ、合理的な理由もなく送金が届かないということで我々のところに来ているものはございません。

【森下委員】

どうもありがとうございました。それでは、漠然と信頼性に不安があるということでしょうか。

【長楽委員】

信頼性の話ですが、これ自体がインターネットで調査したものでございまして詳細はわかりません。資金移動業者は非常に大きな事業者もあるのですけど、小さい事業者もございます。そういうところもあって、漠然としたご不安が示されているのではないかと思います。また、銀行のように、自己資本比率規制というのはないわけですけれども、まだ着金していない債務については全て供託等する仕組みになっていますので、供託等がおかしくなければ、倒産したとしても、払い戻しに時間はかかるかもしれませんが、保全はされていることになります。私としては信頼性に不安があるというのは漠とした不安かなと思っております。

【森下委員】

ありがとうございました。

【岩原座長】

ほかにいかがでしょうか。永沢委員、どうぞ。

【永沢委員】

ありがとうございます。私は、日本クレジット協会様に質問させていただきたいと思います。このスタディ・グループの第1回のときに、先ほどアンバンドリングというお話が出てきましたけれども、クレジットカードの取引の構造というのがアンバンドリングといいますか、複雑化、重層化というふうな表現をする方もありますけれども、イシュアとアクワイアラとが分かれてきており、決済代行業者というものも介在するような構造になってきていて、それが利便性を増している一方で、いろいろなトラブルの原因になってもいるのではないかという指摘が消費者委員会のほうから8月に出されております。これはもう既に経産省に建議されており、こちらの場で詳しく議論すべきことではないと思いますが、そのような指摘もされているということで質問をさせていただきたいと思います。本日の資料の中ではクレジットカード不正使用の被害の発生の状況については触れていただいてますが、この他に、消費者委員会の指摘では販売店との間の消費者のトラブルというものが増えていたり、あるいは解決するのが大変難しい状況が生じており、その理由として、販売店とイシュアとの間の契約関係がないため、悪質な販売業者と契約をしてしまったときに、十分な原因究明や調査ができないままとなり、消費者救済ができていないという指摘がされていたと思います。そのような指摘があるということを踏まえた上で、19ページのところで、利便性と消費者保護とのバランスというお話をされましたが、その点について、おっしゃりたかったことをもう少し詳しくお話しいただけたらと思います。利便性との兼ね合いでどんな消費者保護を、どのように犠牲にしなくてはいけないのかという点をもう少し詳しくお話しいただけたらと思っております。

それから、今後、オリンピックなどが開催され、外国人の方が日本を旅行されるときのことを考えると、クレジットカードがどこでも利用できるようになることが望ましいとは思うのですが、一方で、クレジットカードの利用をすることを前提として価格が形成されるのではないか、中に手数料というのが込みで商品価格が決定されるのではないか、ということが気になります。実際高額なものを買おうとするときに、現金で払いますと言うと8%ぐらい値引いてくれることが多いと思いますが、そうすると、定価が高く設定されているのではないかと思うのです。アメリカでは時々見かけますけれども、現金払いの場合とクレジットカード払いの場合と、定価が2種類あるのだということが消費者に知らされることが必要なのではないかと思っております。現金決済が主流の社会でいいのかどうか、決済の電子化が進んでいくということが望ましいという考え方に逆行するかもしれないのですが、消費者側からすると、電子化が進むことによって価格そのものが高く設定されていくのではないか、中身が見えていないので、そのような懸念を持っておりまして、この機会にご意見をお聞かせいただけたらと思います。以上でございます。

【岩原座長】

それでは、與口委員。

【與口委員】

最初のご質問の消費者保護とのバランスというところですけれども、申し上げたかったのは、要するにこういった決済の高度化というようなテーブルで議論をするときに、我々のほうはまさに経済産業省のほうで消費者保護とか、いろいろな点も踏まえながら議論をしていくわけですけれども、一方で、こういった高度化をしていくという観点で議論をしたときに、そういう高度化の中と、それから消費者保護というのはどのようにバランスをとって議論がされていくのだろうというのがとても気になったものですから、我々自身が今、まさに別のテーブルで悩んでいる部分を、このテーブルではどのように捉えてこれから議論されていこうとしているのかというのを投げかけたかったという意味ですので、あまり私自身がこういうところを、例えば消費者が我慢すべきだとか、そういうふうに思っているわけでは全然ありません。それが1つ目です。

【永沢委員】

ありがとうございます。

【與口委員】

それから、もう一つのほうの価格の件ですけれども、手数料が上乗せされた二重価格ではないかというのは、おそらくこれだけ世の中がいろいろな情報がいっぱい出ている中で、かつては、それこそ昭和30年とか40年とかという世界の中では、まさに手数料無料みたいな言い方をして、実際には手数料が加えられた価格が表示されていたということで、逆に言うと手数料は取らなければいけないという通達が存在していた時代もあるのですけれども、今、価格競争が激しい中で、中にはサービス業みたいに、例えば飲食みたいに果たして定価が幾らなんだろうとわかりにくいものもございますので、その辺まではわかりませんけれども、一般的にはもはや上乗せをしていればもうばればれだということですので、おそらく二重価格で商売ができるほど世の中甘くないのではないかなと思いますので、そこはおそらく大丈夫なんじゃないかなと個人的には思います。

【岩原座長】

よろしいですか。

ほかにいかがでしょうか。河野委員、どうぞ。

【河野委員】

ありがとうございました。私も、今後に向けて安全で便利な決済、キャッシュレスであるということで今日は非常に興味深く仕組みと、それから今後の考え方等、お話を伺いました。

それで、ヤフーの古閑委員と三菱UFJニコス株式会社の尾中委員のお二人にお聞きしたいことがございます。こういう便利さには当然のことながら手数料というのはつきものであって、そこのところは私たちも理解して、手数料はどこかで発生しているのだろうと思っているのですが、例えばYahoo!ショッピングのサイトですと、おそらくほかにも利益を生むところがあって、例えばインターネットを利用しますと、すぐに検索結果が反映されて、行動ターゲティング広告みたいな形で、あなたにはこれがいいだろうっていうふうなお勧めサイトががんがん上がってくるような状況があります。そういったところで、決済を通じて得られた情報というのを今後どういうふうに扱っていくのかという点がございます。一方では総務省のほうでビッグデータの扱い方、利活用についてさまざま整理が進んでいると思いますが、今、現状得られた情報というのをどういうふうに今後管理していかれるかというのを古閑委員に伺いたいと思います。

また、同様に、尾中委員には、最後の23、24ページのあたりで、電子クーポン等で非常に便利に、これは消費者側も使えるわけですけれども、やはりこのあたりでマーケティングに利用できるデータの収集というのが進むと思いますが、そのあたりのデータ管理をどういうふうに考えていらっしゃるか伺えればと思います。よろしくお願いします。

【岩原座長】

では、まず古閑委員、お願いします。

【古閑委員】

インターネットのサービス、ヤフーの中でもいろいろございまして、今、多分、幾つかのことが混ざっておっしゃられているかなと思ったのですけれども、まず、決済を使って得られた情報ということでございましたが、決済そのものについての情報を何かに使っているというよりは、多分、決済をするに当たって、何か商品をお買い上げいただいているので、そのお買い上げ商品についての購買履歴みたいなものについての情報ということだというふうに理解をしますと、これはその情報に限らずですけれども、どういった情報を取得していって、それを何に使っているかというのは、弊社のプライバシーポリシーに載せております。結構長いので今ここで詳細にご説明する感じでもないのかなと思っておりますけれども、基本的にはここに書かれている目的に利用しておりまして、どちらかというと、決済で得られた情報を何かにというよりは、インターネット上で、例えば検索もまさにそうなのですけれども、ご利用者にはお金をいただいていなくて無料でご利用いただいておりますので、それは何で収益を上げているかというと、テレビとかと同じで広告収益によるということになっておりまして、そのときになるべく、インターネットの広告はテレビとかみたいに高額ではないので、適した広告が表示されるほうがクライアントとしても、適した人に適した広告が届くということになるので、そういったことにご利用させていただいているというところになります。なので、広告というのが一つございます。

情報をどういうふうに管理しているのかというところが今ございましたけれども、これは、いろいろな業界の方がどんどんインターネットをご利用になっていて、その情報管理というのを皆さんすごくご苦労されていると思うのですけれども、弊社においては個人情報に当たるような情報はかなり厳格に管理をしていまして、それをアクセスできる人というのももちろん限られていますし、セキュアルームで、ゲートを通って、荷物も全部置いてみたいな、そういう管理になっておりますけれども、それだけではなくて、やっぱり悪いことをする人というのはいろいろなことをしますので、かなり常時監視も走らせていて、ちょっとおかしい挙動とかがあった場合には感知できたりというようなことをやっております。

今日も幾つかご紹介した中に、個々のストアが自分で情報管理するのも大変だというところもありまして、私どものほうで決済をすることによって管理をしているというような部分も当然ありまして、それでちょっと安心度を高めていただくとかっていう部分もあるのかなと思っております。

【岩原座長】

よろしいですか、古閑委員についてのご質問は。

次に、尾中委員お願いします。

【尾中委員】

情報の取り扱いについてご説明させていただきます。

こちらのマーケティング情報の活用という形の考え方なのですけれども、23ページをご覧いただきますと、基本的には加盟店様、提携先様の会員サイトから始まるサービスの流れという形をとっております。クラウド型決済システムとしては、この機能を提供するという立場を取っておりまして、あらかじめこの提携先様の会員サイト等で、お客様のマーケティング情報がどのように活用されるかということを事前に同意を取っていただくことを大前提で考えております。加えて、我々のクラウド型決済システムでは、クレジットカード番号を安全にお預かりいたしますが、そこで個人を特定するということはできません。ここは安全に管理するというのが大前提になっておりまして、クレジットカード番号等、いろいろ外で使えてしまうようなものは提携先には返さないということでその辺の安全性を担保したいと考えております。

【岩原座長】

よろしいですか。

ほかにいかがでしょうか。堀委員。

【堀委員】

長楽委員にお伺いしたいと思いますが、資金移動業者が新しい決済サービスの担い手ということであらわれてきてから、約4年半以上が経過しているところでございますけれども、もともと制度整備された当初の目的というのは、銀行以外の事業者に対しても登録によって為替取引を営ませることによって利用者利便に資するということが目的であったかと承知しております。この点、銀行の海外送金の手数料が以前から高いというお話がありましたけれども、資金移動業者が提供している送金サービスの手数料水準というものはどのような推移であるのか、その点、協会として把握されていることがもしありましたら教えていただければと思います。

【岩原座長】

長楽委員。

【長楽委員】

個別の資金移動業者の手数料について報告を受けているわけではなく、各資金移動業者がホームページに掲載しております。送金が非常に多いところは、おそらくアジアと思いますが、特にフィリピンに送っている事業者が多いと思います。そこでフィリピンの例をお話させていただければと思います。

私の記憶ではございますけれども、資金移動業者の手数料は各社で違いまして、階層別に金額が上がるという形になっているところが多いわけでございますけれども、例えば送金金額が大きい場合は手数料が高いところもございますし、送金金額が小さい場合は、手数料は低いものとなっております。例えばフィリピンの場合、送金金額が10万円でございますと、たしか1,000円から2,000円の間だったと思います。銀行の手数料については、詳しいところは承知していませんけれども、おそらく数千円だろうと思っています。まあ、5,000円ぐらいかなと思っていますけれども。

【岩原座長】

よろしいですか。堀委員。

【堀委員】

そうしますと、各社が設定している手数料によるとは思いますが、場合によっては銀行の手数料よりも低い金額で提供されることがあって、全体としては利用者の選択肢は増えている状況だというふうにお伺いしてよろしいでしょうか。

【長楽委員】

小口送金においては絶対に低いと思います。

【堀委員】

ありがとうございます。

【岩原座長】

加毛委員どうぞ。

【加毛委員】

與口委員、長楽委員、古閑委員、3人にそれぞれ別の質問がありまして。1つずつ質問するほうがよろしいでしょうか。

【岩原座長】

そうですね。1つずつお願いします。

【加毛委員】

まず、比較的大きな話からということで、與口委員にお伺いします。先ほど永沢委員からもご質問が出たところですが、19ページの消費者保護とのバランスというのが非常に大きな問題なのだろうと思います。お伺いしたいことは、(3)のマル1に関連して2点あります。まずマル1において「国際的には、…現金が使えるところではクレジットカードが使えることが望ましいとされる。」と書かれているのですが、ここでいう「国際的」とはどの範囲においてなのだろうかということと、「される」というのは、誰がそう考えているのかということをご質問したいと思います。

私の乏しい経験によりましても、例えば、ヨーロッパのドイツなどでは、クレジットカードが使えないお店がまだ相当数存在するように思います。「国際的」というときにアメリカなどを念頭に置けばよくわかる話なのだけれども、しかし、本当にこのような潮流があるのだろうかということを確かめておきたいということが1つ目の質問です。

この点は、おそらくクレジットカードに対する各社会の心性・メンタリティーにもかかわっているところがあるような気が致します。私は専門家ではありませんけれども、クレジットカードの利用が広がれば消費者が安易にお金を使ってしまいやすくなり、別の形で社会問題が生じるということもあるだろうと思います。アメリカの社会とドイツの社会もだいぶ違うところがあるわけで、それは日本の実態を考える上でも重要なのではないかということが背後にある問題意識です。

2つ目の質問も今の点と密接に関係するのですが、その下の矢印のところについてです。日本では「健全な取引が行われることが期待される。」という記述について、與口委員はご報告の中で非常に慎重に留保されたのですが、ここで言う「健全な取引」とは一体何を意味しているのだろうかということをお伺いしたいと思います。ご報告ではいろいろな意味があるのだということをおっしゃったわけなのですけれども、その意味をもう少しお伺いしたいということになります。

あまり信用力がなさそうな人に大きな買い物をさせてはいけないという意味なのか、それとも、矢印の上のところにある「違法な行為を行う事業者」を排除するという意味なのかで、だいぶ「健全な取引」という言葉が持つ意味・ニュアンスが異なると思いますので、この点についてもう少しご説明いただけますでしょうか。

【岩原座長】

與口委員、お願いします。

【與口委員】

まず1つ目の「国際的に」というのと、「望ましいとされる」というところなのですけれども、すみません、そういう意味ではまさにごまかしているところなので何とも言えないところなのですが、いわゆる国際ブランドのお考えではそういうのが望ましいとされているというだけです。そういう意味では、おっしゃられるとおり、それぞれの国によって状況というのは違ってくると思いますので、必ずしもそれを望ましいと考えない国があってもそれは当然のことだろうというふうに思っております。

ただ、我々のほうでも、先ほど申し上げましたように、どんどん利用率を高めていきたいというような願望の中でそういう国際ブランドのものを引用させていただいているという考え方です。

それから、2つ目のご質問の「健全な取引」というところは、まさに、先ほど言葉を濁してしまったようなところでご質問いただいたのだと思うのですけれども、少なくとも使い過ぎを防ぐとか、そういう意味で申し上げているわけではありません。そういう意味では、上にあるような違法な行為というようなものであればまだ客観性があるのですけれども、非常にそういう意味では、我々も健全な取引とは一体何を言っているのかというのは実はよくわからなくて、要は何かが起こるとお叱りをいただくという事実の中で経験則的に積み上げていくしかない世界なものですから、ただ、どうもおっしゃっているのは、健全な取引という形でクレジット会社が、こう言うとちょっと言い過ぎだといって怒られるかもしれないのですけれども、クレジットカードの加盟店になっている店というのはある種安心なんだ、中にはクレジットカードの加盟店になっているということはクレジットカードがそのお店を保証しているのだと思うというような、何か不思議な都市伝説が存在していて、そこからおそらく発生してくる問題だろうと思うのですが、実際にはそういうようなことはないので、我々自身も経験の中で、いかに健全な取引というものを消費者との間で、まさにどの部分で接点を持ってやっていくのかというは考えていかなければいけないと思っています。

【岩原座長】

加毛委員、よろしいですか、與口委員について。

【加毛委員】

はい。

【岩原座長】

それでは、次に、第2の質問をお願いします。

【加毛委員】

今、與口委員からお話があったこととおそらく関係するのではないかと思うのですが、古閑委員にお伺いしたいと思います。資料の13ページなのですが、2つ目の四角の「お買い物あんしん補償」は、盗まれた場合の盗難補償とか、届いた後に壊れてしまった場合の破損補償等にも及ぶとされています。このあたりの補償は、本来売り手側が負担すべき事柄であるように思われます。そのような補償をヤフーが行っているというのは、先ほど、與口委員からクレジットカード会社に加盟しているお店であれば安心なのだという意識があるというご指摘があったこととの関係で、ヤフオク!とかYahoo!ショッピングに出店している以上は、ヤフーが一定の補償を行うことが利用者から期待されていることの現れと理解してよいのだろうか、ということをお伺いしたいと思います。

【岩原座長】

古閑委員、いかがですか。

【古閑委員】

Yahoo!ショッピングをご利用いただくに当たっては、どなたでもご利用いただけます。IDを取らなくてもご利用いただくこともできます。あんしん補償につきましては、その中で全てのお客様にご利用いただけるわけではなくて、Yahoo!プレミアムという会員サービスがございまして、有料のサービスですけれども、そのお客様にご利用いただけることになっております。ヤフーとしては、有料会員になってくださっていない方に対しては、有料会員になっていただきたいというのももちろんありますし、有料会員になっていただいている方に対してはそういうリテンションも含めてちょっと手厚くサービスをしたいというところもございまして、このような制度を始めました。

【岩原座長】

いいですか、加毛委員。どうぞ。

【加毛委員】

わかりました。有料会員を集めるために特別なサービス提供としてある種の補償を提供しているにすぎず、利用者からの期待に応えるという趣旨のものではないということですね。

【岩原座長】

一種の保険業務ということですね。

【古閑委員】

その点は、サービスを始めるときに、そういった懸念がない立てつけかどうか、金融庁にご相談をさせていただきました。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

加毛委員、第3点目をどうぞ。

【加毛委員】

最後に、長楽委員に小さな質問を差し上げます。資料の11ページの3つの要望事項のうち一番最後の点についてです。「個別同意不要の手当」ということで、誰が前払式支払手段保有者なのかわからないという現状のもとで個別同意を取るのは難しいので、事実上、事業譲渡をすることができなくて困っているという問題なのだと思うのですが、他方で、事業譲渡をする場合には、当然、前払式支払手段保有者の保護の必要性は残ると思います。個別同意を不要とした場合に、どのような保有者保護の手続を置くのかということについても、おそらく協会において検討されているのではないかと思いますので、教えていただければと思います。

事業譲渡に反対する保有者は、異議を申し立てて、オプトアウトする権利を認めるという手続がありうるかと思うのですが、そのような手続を考えていらっしゃるのかについて教えていただければ幸いです。

【岩原座長】

それでは、長楽委員、お願いします。

【長楽委員】

非常に難しいお話なのだとは思いますけれども、銀行ではそういう形での、個別の承諾を取らなくてもよい形の手当があるものですから、それに準じた形で、もしできるのであればありがたいなというところでございます。詳細はちょっと省略させていただきます。

【岩原座長】

今、佐藤参事官からも言われたのですけれども、銀行法の34条に銀行の事業譲渡の際についての債権者の異議に関する特則規定が置かれていまして、事業譲渡について債権者の個別同意を不要にしています。それと同じような手当ができないかというご提案ですね。

これは、事業譲渡をする銀行が異議催告の公告をしまして、1カ月以上の異議催告期間の中で債権者が異議を述べなかったときには譲渡について承認したものとみなすと、そういう規定が入っているので、それと同じような扱いが資金移動業者についてできないかという、そういうご要望ですね。

【長楽委員】

事業譲渡の事例について我々がわかる範囲内で調べてみますと、事業譲渡したいのだけど結果的にはできなくて、会社分割を使った事例は多かったということがございます。これは非常に難しい話とよく承知はしているわけでございますけれども、1つの検討事項ということでお願いをしたいということでございますので、そこはよろしくお願いしたいと思います。

先ほど、堀委員からありました話なのでございますが、データがございましたので、A社、B社、C社という形で申しわけございませんがご報告いたします。送金金額が10万円で、フィリピンでございますと、送金手数料はA社は2,000円、B社は1,400円、C社は2,000円、D社は1,450円、E社は1,350円となっています。大体1,000円から2,000円の間であり銀行がどれぐらいかというのは詳細は知りませんが、これよりは高いと思います。

【岩原座長】

柏木委員、どうぞ。

【柏木委員】

手数料の議論が第2回でもあったと思いますので、ちょっとコメントをさせていただきたいと思います。

第2回の参考人の方の説明では、ワールドバンクの調査に基づき、日本の銀行は高いほうに位置しているというようなご報告があったかと思います。我々もちょっと調べてみたのですが、あの調査は、必ずしも銀行だけではなくて、今、お話がありました資金移動業者も含めての調査で、むしろ銀行は調査の中ではかなり少ないほうでございました。それから、金額も、たしか200ドルと、かなり少額の送金に限った話でございます。手数料を比較するというのはなかなか難しくて、先ほど、長楽委員からご説明がありましたとおり、会社によってかなり違っておりますし、銀行によって考え方が違いますので、段階的にしているところ、あるいは固定的にしているところ、いろいろありますので、一概に比較するのは大変難しいというのが印象でございます。我々も信頼に足るほかの調査がないか調べてみたのですが、なかなかないということで、我々もほかの銀行がどうされているかというのは情報がないですし、そういう意味では手数料の比較というのはかなり難しいというのが印象でございます。ほんとうに日本の銀行が高いかというのは、少なくとも、我々が現在、海外の銀行と競争している中で、日本の銀行は飛び抜けて高いというような競争関係にはないというのは事実なのですけれども、それが統計的にどうかというのはなかなか難しいというのが、我々の感想といいますか、印象でございます。

以上でございます。

【岩原座長】

ほかに何かございますでしょうか。山上委員どうぞ。

【山上委員】

ヤフーの古閑委員にお伺いします。まず、プレゼンテーションを見開いた1ページ目に、日本の小売市場におけるeコマース化率の話が出ているのですけれども、海外のマーケットはどうなのかということについて、もしご存じでございましたら教えていただきたいと思います。

もう1点、これはあくまで日本の話をなさっているのだと思いますけれども、例えば海外からYahoo!JAPANのサイトに越境してアクセスしてくるケースというのがもしあるのでしたらば、その状況が最近どうかということについてお聞きしたいのと、そういった場合の決済というのはどういうふうな仕組みでなされているかについてもぜひ教えていただきたいと思います。

【岩原座長】

古閑委員、お願いします。

【古閑委員】

すみません、海外の網羅的なデータは持ってきておりませんで、2012年のイギリスという、大分スペシフィックなデータですけれども、この時点で9%というデータになっております。

それから、海外からYahoo!JAPAN上のショッピングであるとかeコマースをご利用いただけるかという点ですが、これはストアにお任せを基本的にはしておりまして、一切禁止ということはしておりませんが、多分、量としてはほとんどないというふうに思っております。そのための特別な決済の仕組みを何か整えているかというと、それは特にやっておりませんので、通常、国内のお客様が買われるのと同じ仕組みが使える方のみ、多分、お買い上げいただけているのではないかと思っておりますが、すみません、データは当社では持っておりません。

【山上委員】

ありがとうございました。

【岩原座長】

ほかに何かございますでしょうか。

よろしいですか。私からも1点だけ、単なる質問なのですけれども、古閑委員に、資料1の11ページのところで、Yahoo!かんたん決済でジャパンネット銀行で取引専用口座が1取引にのみ利用可能ってアンダーラインが引いて書いてありますけれども、これはどういう意味なのかちょっと教えていただけますか。

【柴田参考人】

参考人の柴田でございますが、こちらはまさに売り買い1取引においてのみ、その取引の代金を払い込むにおいてのみ有効という口座でございます。

【岩原座長】

それはお客さんとの関係で1取引についてということで、多数のお客さんについてこの口座を1取引ずつに使うと、そういうことですか。

【柴田参考人】

そうですね。こちらの図表にあります売り手と買い手、その間で1回何か物を売りましょう、買いましょうというのができたときの、その取引ごとになので、無数にというか、その取引があるごとにこの口座ができ上がるというような形でございます。

【岩原座長】

それはヤフーが持っているジャパンネット銀行における特定の口座がそれに該当するということでしょうか。

【柴田参考人】

ジャパンネット銀行様がご用意される口座です。

【岩原座長】

その1取引が行われるごとに新しい口座をつくるというわけではなくて、ある口座がそれに…。

【柴田参考人】

1取引を行うごとにその口座がつくられるわけですね。仮想というか、ワンタイム口座と呼んでおります。

【岩原座長】

そうすると、すごい数の口座がジャパンネット銀行ではできていくということですか。

【柴田参考人】

はい。ただ、つくられても、取引が終わればそれはもうなくなりますので。

【岩原座長】

そういうふうに扱っているのは、どういう理由からされているのですか。

【古閑委員】

ヤフオク!というオークションですので、お客様と売り主が毎回いろいろな組み合わせになるのですね。その決済を済ませるための目的のためだけにつくるので、また、たまたま同じ組み合わせの売買が成立するというのは、もちろんなくはないのですけれども、オークションはそもそもそういう性質のサービスではございませんので、1つの取引というのは毎回違う売り主と買い主がつくということで、それで完結させていくという仕組みが一番、多分、売り主、買い主が混ざるということもなく効率的であろうという考え方でこういった仕組みにしております。

【岩原座長】

柏木委員、どうぞ。

【柏木委員】

ジャパンネット銀行のサービスの詳細はわからないのですけれども、これは今、提供している銀行が多いサービスでございまして、取引ごとに口座をつくるものです。なぜかというと、たしか花王の牧野委員のお話でも出てきた話なのですけれども、売掛金の消し込みなのですね。この場合も、売掛金の消し込みを行う際に、全てがヤフーオークションの口座になってしまうと、どの取引分かの判別がつかないので、1取引ごとに口座を分けることによって、これはこの分ですねという形で消し込みを行っていけるというものです。この場合ですと、どこのオークション分の支払が済んだという管理ができるということで、現在、これは多くの銀行が日本では提供しているサービスでございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

ほかにないようでしたらば、そろそろ時間が参りましたので、本日の自由討議を終わらせていただきたいと思います。

本日いただきましたご説明やご意見等を踏まえ、引き続き検討を進めていきたいと思います。

なお、次回は引き続き新しい決済サービスの発展に向けた課題について、楽天の関委員、EC決済協議会の沖田委員、日本代理収納サービス協会の滝島委員、及び日本商工会議所からヒアリングを行いたいと考えております。

最後に事務局から連絡事項がございましたらお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

それでは、私のほうから日程についてご説明を申し上げます。次回、第6回の会合は、既にご案内いたしておりますとおり、今月、11月27日、木曜日、10時からを予定しております。

それ以降の日程でございますが、第7回は12月8日、月曜日、9時半から、テーマといたしまして、決済サービスに共通する要請ということで、具体的には銀行システムのセキュリティーやあり方、また、決済に関する利用者・消費者保護についてご審議いただくことを予定しております。

その次、第8回目は12月16日、火曜日、15時30分から、テーマといたしましては、アジアを中心としたグローバル戦略、及び電子記録債権の諸課題についてご審議をいただいた後、これまでの当スタディ・グループでのご議論を踏まえた自由討議をお願いすることを予定しております。

事務局からは以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

以上をもちまして、本日のスタディ・グループを終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3558、3560)

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