金融審議会「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」(第9回)議事録

  • 1.日時:

    平成27年1月21日(水曜日)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【岩原座長】

予定の時間になりましたので、決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ第9回会合を開催いたします。皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

まず、本日の参考人のご紹介を事務局からお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

それでは、ご紹介を申し上げます。

沖田委員のお隣に、EC決済協議会ご加盟の株式会社スマートリンクネットワークより南啓二様にご出席をいただいております。

また、尾中委員のお隣でございます。三菱UFJニコス株式会社より正木秀人様にご出席をいただいております。

【正木参考人】

正木でございます。よろしくお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

柏木委員のお隣に、全国銀行協会より内田浩示様でございます。

【内田参考人】

内田でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

あちらのほう、與口委員のお隣に、日本クレジット協会より大平充洋様でございます。

【大平参考人】

大平でございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

本日の参考人の方は以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは、議事に移らせていただきます。本日は、まず、以前の会合で委員の皆様から、消費者保護に関する取り組みについてご質問がございましたので、金融庁及び各業界団体の取り組みについてそれぞれご回答をいただき、自由討議を行いたいと思います。また、銀行業と資金移動業に係る規制の整理についても、以前、委員の方からご指示がございましたので、それに対するご回答を含め、事務局から説明いただき、再度、自由討議を行いたいと考えております。

まず、消費者保護に関する取り組みについて、事務局から順に説明をお願いいたします。

【黒井総務企画局企画課信用機構企画室長】

それでは、事務局からご説明させていただきます。

昨年12月に開催しました第7回スタディ・グループにおける国民生活センター様からのご説明に関連いたしまして、3点ご質問がございました。

1つは、決済サービスに関する消費者トラブルの状況をどのように把握するかという点、2つ目として、安全性を担保する取り組みとしてどのような取り組みを行っているかという点、3点目といたしまして、消費者が新しい決済サービスを利用するに当たりまして、消費者向けの啓発をどのように考えているかという点の3点でございました。これらに関する金融庁の取り組みにつきまして、資料1に沿ってご紹介させていただきます。

まず、お配りした資料の、1枚めくっていただきまして1番目の消費者トラブルの把握をご覧ください。金融庁では、金融サービス利用者の利便性の向上を図るとともに、寄せられた情報を金融行政に有効活用するため、電話、ウェブサイト、ファクス等を通じた金融サービスに関する質問、相談、意見等に一元的に対応する、金融サービス利用者相談室を開設しておるところでございます。利用者からの相談等につきましては、専門の金融サービス相談員が対応しておりまして、相談員からは、問題点を整理するためのアドバイスや、業界団体が開設している紛争解決機関等の紹介を行っているところでございます。

相談等の件数といたしましては、今年度上半期の半年間で、全体では2万件ほどの相談等が寄せられまして、そのうち銀行等を対象といたします預金、融資等に関する為替の関係に関するものは、約400件ございました。このほか、資金移動業及びプリペイドカードに関しましては、約90件のご相談をいただいたところでございます。なお、これらの件数につきましては、送金そのものではなく、送金人、受取人間のトラブルに関するもの、あるいは詐欺的行為に関するものなども計上されているところでございますので、念のため申し添えさせていただきます。

相談内容でございますけれども、銀行の行う為替に関する相談、問い合わせにつきましては、例えば、誤って振り込んだ資金の組み戻しに関する相談でありますとか、海外送金や本人確認等の手続に関する問い合わせ、あるいは、システム障害に関する問い合わせ等がございました。

また、資金移動業につきましては、本人確認や犯罪収益移転防止法の手続に関する問い合わせ等が、プリカにつきましては、有効期間が経過した場合に、利用や払い戻しに応じてもらえるのかどうかといった相談、あるいは、プリカ業者に課せられております規制内容に関する問い合わせ、また、誤ってチャージや購入をしてしまった場合の払い戻しに関する相談が寄せられておるところでございます。

こうした相談等につきましては、検査・監督等の参考として活用させていただいているところでございます。また、預金口座の不正利用に関しましては、金融機関及び警察当局への情報提供を行っておるところでございます。

さらに、金融サービス利用者からの情報以外につきましても、新聞報道や国民生活センター等の相談情報データベースでありますPIO-NET、またインターネットの閲覧による情報収集や、日々の行政対応の中で把握した情報などによりまして、トラブルを把握しておるところでございます。こうした中で、詳細な確認が必要と判断した場合には、所掌する法令に基づきまして、事業者に対して報告を求めることもあるところでございます。

続きまして、安全性の担保のための取り組みといたしましては、法令に基づき、事業者に対して利用者の保護に関する必要な措置を義務づけることに加えまして、消費者トラブルの未然防止の観点から、各種の取り組みを行っておるところでございます。

資料の2ポツの消費者トラブルの未然防止をご覧ください。まず、利用者に役立つ情報や注意いただきたい情報を、金融庁のウェブサイトにおいて公表したり、広告媒体に掲載するなどして、利用者への注意喚起を行っております。決済に関するものといたしましては、1枚めくった別添1というところにございますとおり、インターネットバンキングによる預金等の不正払い出しや、プリペイドカードの払い戻しに関する情報などを提供しておるところでございます。

戻っていただきまして、消費者トラブルの未然防止のところの2つ目の丸でございます。従来、金融サービス利用者相談室におきましては、金融機関との間の個別トラブルに関する相談や、金融行政に関する意見、要望への対応を主に行ってきたところでございますけれども、昨年5月から、金融サービスの利用に伴うトラブルの発生の未然防止ということで、予防的なガイドということになりますけれども、事前相談の窓口を開設して、運用を始めておるところでございます。

さらに、金融サービス利用者相談室に寄せられた利用者からの相談につきましては、主な相談事例のポイントなどにつきまして四半期ごとに公表するとともに、寄せられた相談のうち、利用者に注意喚起する必要がある事例につきましては、取りまとめて公表しておるところでございます。決済サービスに関する情報といたしましては、銀行振り込みの際の本人確認の手続についての相談事例と、あるいはアドバイスなどを公表しておるところでございます。

また、金融機関との関係でございますけれども、平成26事務年度、金融モニタリング基本方針におきまして、顧客の信頼、安心等の確保等を監督・検査上の重点施策に定めまして、情報セキュリティーの確保やインターネットバンキング不正送金、サイバー攻撃等への対応状況について検証する旨を明記しておるところでございます。

続きまして、決済サービスの利用に当たっての消費者向けの啓発の取り組みについて、ご紹介いたします。資料3ポツ、新しい決済サービスに関する啓発・注意喚起をご覧ください。

金融庁におきましては、幅広く金融リテラシーの向上を図るため、「最低限身に付けるべき金融リテラシーの4分野15項目」を公表いたしまして、これに基づいて金融経済教育の取り組みを推進しておるところでございます。この中で、インターネット取引に関しましては、「より簡易で利便性が高い取引が可能となった一方で、知らないうちに暗証番号が盗まれたり、誤発注をしてしまうといった対面取引の場合とは異なるさまざまな危険が伴うことを理解し、金融取引には安全が確認されていない端末は利用しないこと等に注意することが必要」としておるところでございます。

またそのほか、ガイドブックなどを作成、公表するとともに、地方公共団体などに配付するといった取り組みを行っておるところでございます。

お手元に別添2ということで、さらに2枚めくったところで、横の資料となっておりますけれども、金融庁が公表しておりますガイドブック「基礎から学べる金融ガイド」をお配りしておるところでございます。こちらのガイドブックには、例えば4ページ目でございますけれども、キャッシュカードの安全性に関する情報でございますとか、そのほかにも、別のページになりますけれども、インターネット取引を利用する際のチェックポイント等につきまして、決済サービスの利用に当たって参考となる情報も盛り込んでおるところでございます。後ほど、詳細をご覧いただければと思います。

事務局からの説明は以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、全銀協の取り組みについて、内田参考人からご説明をお願いいたします。

【内田参考人】

全銀協の内田でございます。

それでは、資料2-1に基づきまして、全銀協としてのトラブルの未然防止等に向けたお客様への注意喚起、啓発活動及びお客様からのご相談等への対応体制について、ご説明させていただきます。

まず、1枚おめくりいただきまして、1の注意喚起・啓発活動というページをご覧いただければと思います。私ども全銀協では、銀行サービスの利用を通じた犯罪被害の防止の観点より、振り込め詐欺やインターネットバンキングにおける預金等の不正払い戻し被害などの金融犯罪撲滅に向け、金融犯罪防止啓発活動を継続的に実施しております。被害の発生状況に応じ、さまざまな媒体によって、お客様への注意喚起・啓発活動に取り組んでいるところでございます。具体的な取り組み事例としては、裏のページをご覧いただければと思いますが、まず、金融犯罪防止啓発イベントの開催ですとか、注意喚起のテレビCM等を実施しております。

続きまして、4ページ、次のページです。全銀協の金融経済教育活動についてご紹介させていただきます。全銀協では、金融経済教育活動の一環として、全銀協のウェブサイト上に「ぎんこう寺子屋」というものを開設いたしまして、全銀協の作成した、学校の授業において無料で使用できる教材を案内しておりますほか、学校教員向けに、教材の利用方法や授業実演の模様等を案内しております。このほかに、どこでも出張講座と題しまして、学校、地域、グループ等での授業やセミナーに無料で講師を派遣し、金融犯罪に遭わないための注意点や、金融商品のリスクなど、希望に応じたテーマで講義を行う活動も実施させていただいております。

以上、さまざまな注意喚起・啓発活動についてご紹介させていただきましたが、続きまして、お客様からのご相談等の受付・対応体制について、次のページからご説明させていただきます。

まず、銀行法及び農林中央金庫法上の指定紛争解決機関であります全銀協は、全国銀行協会相談室を設置いたしまして、銀行取引に関するさまざまなご相談やご照会及び銀行に対するご意見や苦情などを受け付けております。全銀協相談室における対応としては、この図に示しておりますとおり、電話、来訪などの各手段を通じ、相談員がお客様からのご相談等を受け付けまして、ご相談等の内容についての説明、助言等を行うとともに、苦情につきましては、お客様の解決依頼がある場合には、当該銀行に苦情解決を依頼しているところでございます。全銀協相談室では、当該銀行から苦情への対応状況や対応結果の報告を受けることで、当該銀行の苦情解決に向けた取り組み状況について、適時確認させていただいております。

加えて、苦情への対応にご納得いただけないお客様などには、全銀協が設置するあっせん委員会での紛争手続を案内しております。次のページをご覧いただければと思いますが、あっせん委員会は、弁護士や消費者問題専門家等の公正中立なメンバーで構成されておりまして、お客様のご希望により同手続が行われる場合には、双方が納得した上での解決が図られるよう取り組んでいるところでございます。

なお、最後のページになりますけれども、全銀協といたしましては、他の業界団体との連携強化にも取り組んでおりまして、指定紛争解決機関の実務担当者等により構成されます金融ADR連絡協議会等を通じまして、定期的かつ実効性のある情報・意見交換などを行っているところでございます。協議会についての概要は、このページに記載しておりますので、後ほどご覧いただければと思います。

全銀協からの説明は以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、日本資金決済業協会の取り組みについて、長楽委員からご説明をお願いします。

【長楽委員】

一般社団法人日本資金決済業協会の長楽でございます。

これから、消費者トラブルに関する情報把握、取り組み及び消費者向け啓発ということでご報告をさせていただきます。

1ページをお開きください。まず、資金決済業に関する消費者トラブルに関する情報把握体制及び対応についてご報告申し上げます。本協会におきましては、資金決済業――前払式支払手段及び資金移動業でございますけれども――を営む会員をはじめ一般の皆様方からの法令等の照会・相談等があった場合には、協会の代表電話等で対応させていただいております。また、資金決済業に関する利用者の皆様方からの相談、苦情、ご意見等につきましては、「お客様相談室」を設置し、お客様相談室専用の電話回線を設けるとともに、協会ウェブサイトで利用案内を掲載し、相談、苦情等に対応しているところでございます。この利用案内でございますが、この資料の7ページ、8ページに添付をさせていただいております。ご覧いただければと思います。

次に、利用者の皆様方から、会員が行う資金決済業に係る業務に関しまして苦情等の申し出があったときは、その相談に応じて助言等をするとともに、必要に応じ、当該会員に対し当該苦情等の処理を求め、迅速な解決に努めております。

また、資金移動業を営む会員の金融ADR措置につきましては、苦情については協会における苦情解決措置、紛争については、本協会と東京三弁護士会との間で締結した「会員の紛争解決措置として東京三弁護士会のあっせん・仲裁センターを利用する旨の協定」により、同センターを利用して対応することとし、公正かつ迅速な解決に努めているところでございます。なお、相談、苦情等の内容につきましては、分析、取りまとめを行い、その結果を会員にフィードバックしております。

2ページをお開きください。次に、安全性を担保する取り組み(トラブルの未然防止等)についてご報告申し上げます。前払式支払手段及び資金移動サービスを安心してご利用いただくために、Q&A形式で、利用者保護措置、サービスの仕組み、利用方法、利用上の注意事項等についてわかりやすく解説した消費者向けパンフレットを作成し、全国の消費生活センターや公立・大学図書館等を通じて消費者の皆様方に配布をしております。また、本協会のウェブサイトにおきまして、「消費者のみなさまへ」のコーナーを設け、クイズやQ&Aも活用しまして、上記消費者向けパンフレットと同様の内容をわかりやすく、見やすく紹介しているところでございます。

お手元に置かれているのが、前払と資金移動の消費者向けパンフレットでございます。資料の4ページにございますのが協会ホームページのトップページであり、「消費者のみなさまへ」、「事業者のみなさまへ」、「会員のみなさまへ」という形になっております。5ページが、前払と資金移動ごとの「消費者のみなさまへ」のコーナーでございます。6ページの「メニューはこちら」をクリックしていただきますと、例えば前払式支払手段でございますと、「『前払式支払手段』ってナニ?」というように、16項目について、絵をつかってわかりやすく解説しています。

2ページへ戻っていただけますでしょうか。昨年、全国紙等で報道され、また国民生活センターから注意喚起が行われた「コンビニ情報端末を利用してインターネット専用のプリペイドカードを購入させ、詐取する事例」の発生を踏まえまして、国民生活センターとも連携の上、会員に対し注意喚起を行っております。また、資金移動サービスにおいて、マネーミュール――犯罪収益の運び屋でございますが――に利用されている事例や、詐欺的なサクラサイト商法において、前払式支払手段の利用者が被害に遭った事例の発生等を踏まえまして、それぞれ注意喚起を行っているところでございます。

そのほか、詐欺的なサクラサイト商法の被害実態に詳しい弁護士の先生をお招きし、会員向けのセミナーを開催するなどの活動を行っております。このような注意喚起等を通じまして、消費者トラブルの未然防止に取り組んでいるところでございます。

また、協会自主規制規則におきましても、担当部署、処理手続の制定や適切なフォローアップなど、苦情処理態勢の整備を求めているところでございます。

最後に、消費者向け啓発の取り組みについてご報告申し上げます。消費者向け啓発の取り組みにつきましては、先ほどご報告申し上げましたとおり、前払式支払手段、資金移動サービスのそれぞれのサービスを安心してご利用いただくために、わかりやすく解説した消費者向けパンフレットを作成し、消費生活センター等を通じ消費者に配布しているほか、協会ウェブサイトにおいて「消費者のみなさまへ」のコーナーを設けて広報することなどにより、消費者向け啓発・広報活動を行っております。

また、全国の消費生活センター、消費者団体、国民生活センター等を訪問し、資金決済法の法令、サービスの仕組み、利用上の注意事項等について説明会を開催し、相談員等に対し、資金決済業に関する普及・啓発を行っております。

3ページをお開きください。本協会の相談・苦情・紛争の受付状況についてご報告申し上げます。

平成24年度は、相談が1,404件、苦情が43件、紛争が1件、25年度は相談が1,681件、苦情が37件、紛争がゼロ、26年度上期は、相談921件、苦情8、紛争ゼロとなっており、うちお客様相談室扱いは24年度が116件、25年度が98件、26年度上期が51件となっております。なお、ここには記載されておりませんが、消費生活センターとか消費者団体から寄せられた相談等でございますが、24年度は127件、25年度は129件、26年度上期は59件でございます。

次に、主な苦情(不満を含む)の内容について簡単にご紹介させていただきます。前払式支払手段においては、先ほども金融庁から話がございましたが、有効期限を経過したとして利用できないというものが一番多く、また、払い戻しに係る申し出期間が終了したとして払い戻しに応じないといったものがございます。資金移動業でございますが、ホームページでごく短時間で着金するとしているのに対し、犯収法上の個別の問題に係る手続に時間を要したという事情があったわけですが、すぐに届かないということで苦情になったものです。次にカード購入時にパスワードの入力方法について十分な説明がなかったために、旅行先での買い物にカードが使えなかったという苦情、コールセンターがなかなかつながらないという苦情でございます。

以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、日本代理収納サービス協会の取り組みについて滝島委員からご説明をお願いします。

【滝島委員】

そうしましたら、日本代理収納サービス協会よりご報告を申し上げます。お手元の資料2-3をご覧ください。1枚めくっていただきまして2ページです。

協会の設立目的は、このスタディ・グループでは省きます。協会の組織図としまして、分科会を設置しておりまして、2ページの下になりますけれども、二重弁済の防止、不正請求の防止、新規取引先の選定基準、払込票の様式統一、収納金額の上限設定ということを、今、取り組んでおります。

1枚おめくりください。3ページです。その中で協会として取り組むべき課題としまして、そこにあります1番、二重弁済の防止、2番、不正請求の防止を挙げております。

読み上げます。二重弁済の防止についてです。代理収納サービスにおいては、委託事業者から代理受領権限を付与されたコンビニエンスストアが代金を利用者から受領した段階で、原因関係たる代金債務も決済されたものとされます。したがって、当該決済時点の後、コンビニエンスストアが倒産等不測の事態が生じても、そのリスクは委託事業者が負担することとなり、支払者の側では法律上は二重払いのリスクを負うことはありません。収納代行会社を介して収入代行を受託している場合も同様の扱いとなり、支払者が二重払いのリスクを負うことはありません。当協会としましては、二重弁済の防止に向けて取り組みを行います。

2番、不正請求の防止です。代理収納サービスにおいて公共の利益に反する利用を排除し、適正な取引の確保を図ることにより、当協会として不正請求の防止に向けた取り組みを行います。

この課題につきまして、4番に行動指針を挙げております。1番が、収納代行契約が代理受領であることの確認、2番が、代理受領を行うに当たり領収書を交付することを、今、取り組んでおります。

続いて、4ページをご覧ください。それと、不正請求の防止に取り組んでおります。

こういったことを、この行動指針に基づいてガイドラインを制定しております。ガイドラインの1つ目です。二重弁済の防止のためのガイドラインです。そのうちの1つ目です。収納代行契約が代理受領であることの確認を行っています。後ほどのページに記載例等を載せておりますが、コンビニエンスストアと利用企業との代理受領契約の締結、代行会社と委託事業者との代理受領契約の締結を推進しております。それとあわせまして、ii 払込票への記載を行っているところでございます。

それと、消費者への啓蒙というところでは、支払者が正規の領収書及びレシートを保有していれば、二重払いせざるを得ない事態は回避できます。したがいまして、コンビニ店舗での支払い時に領収書及びレシートを受け取ってもらうことのアピールを、協会として継続して行っていきます。

1枚おめくりください。5ページです。もう一つ、ガイドラインについてのご報告です。不正請求防止のためのガイドラインになります。i 不正請求の定義、購入していない商品・サービスの代金を請求された、代金を支払ったのに商品・サービスが提供されない、公序良俗に反するもの、違法なものを販売しているといったものが定義されております。

委託事業者の管理について、こちらにありますとおり、マル1新規契約先のコンビニへの申請フォームであるとか、年1回のコンビニへの報告フォーマットを統一的にすることによりまして管理状態を高めていくことを、今、推進しておるところでございます。

それと、3つ目です。消費者相談窓口の開設を行いました。消費者から不正請求についてのトラブル・相談について一元的な対応が可能になるようにするため、協会のホームページに統一的な窓口を設置しております。

次の6ページをご覧ください。不正請求の防止の運用フローになります。こちらは流れですけれども、この図では、5番、消費者から窓口に対しましてクレーム申請が上がった場合、向かって左側、代理収納サービス協会にて検討し、その内容如何によりましては、取引の停止を委託事業者に対して行うということを、運用フローとして設けております。

1枚おめくりください。7ページです。先ほど触れました代理受領契約の覚書の記載例でございます。記載例1としまして、コンビニエンスストア本部と利用企業――代行会社を含みますが、代理受領の覚書の例です。こういったものを、今、締結するように推進しております。それと、記載例2、これは同じようなものですが、代行会社と委託事業者の代理受領契約にも、こういった内容のものを覚書に含めるように進めております。

続いて、8ページです。払込票に記載する言葉、文言の例です。ここにありますとおり、もう既に、大体今、発行されている払込票にはほぼ載っておりますが、いずれにせよ、代理受領である旨を記載するようにしております。それと、記載例4、電子データに記載する文言等も、今、進めているところでございます。

それと、最後になりますけど、その他の取り組みにつきましては、下にございます、代行の多重化に対する管理の徹底、払込票の様式統一、収納金額の上限設定等を、それぞれ進めているところでございます。

報告は以上になります。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、日本クレジット協会の取り組みについて與口委員、三菱UFJニコスの取り組みについて尾中委員からご説明をお願いします。

【與口委員】

日本クレジット協会の與口でございます。ご質問いただいたときの会は欠席してしまいましたものですから、もしかすると、ご質問のご回答としては不十分かもしれませんけれども、ご回答させていただきたいと思います。

まず、表紙をめくっていただきまして、消費者トラブルの実態の把握というところなのですけれども、1つ目が、私どもも消費者相談室というところを設置しておりますので、そこにございますように、昨年度ですと約3,000件ぐらい、もちろんこの中には単純な問い合わせとか普通の一般的な確認事項もありますので、全てがクレームとか非常に辛辣な相談というわけではございません。

2つ目のところでございますけれども、全国の消費者相談機関のほうも、北は北海道から南は九州まで、各地区を回って意見交換をさせていただいております。これについては、昨年45機関ほど訪問させていただいておるところでございます。

それから、3点目でございます。こちらのほうは有志の集まりではございますけれども、協会のメンバーであるクレジット会社に集まっていただいて、それぞれ事例の交換、あるいはそれの研究といったようなものを、年間に7回から8回ぐらいやっているというようなこともございます。

そのほかということで、行政の方と連絡会を設けて意見交換をしたり、あるいは国民生活センターとも、いろいろな形での場でもって調整・連携をさせていただいているとか、そういうこともやらせていただいているところでございます。

それから、3ページ目でございますけれども、こちらのほうの安全性の担保の取り組みと、それから3番目のご質問と、ほぼニアなところがあるので、若干重複の部分がございますけれども、2番目のほうのトラブルに対する未然の取り組みということでございますけれども、これについては、協会のホームページにおいて、それぞれ問題が発生するおそれのあるものについては、適宜掲載をさせていただいておるところでございます。特に、非常に被害等のリスクが高いものについては、目立つように、マル2にございますようにバーナーを設けて、注意の喚起をさせていただいておるというのが、そこの部分でございます。

続きまして、もう1枚めくりまして、4ページ目でございます。消費者の啓発ということでございますけれども、1つは今申し上げましたように、ホームページで、ベーシックなクレジットにおけます知識といったものについては、基礎知識、あるいはQ&Aというページを設けて、消費者の方がわかりやすく理解いただけるようなページを設ける、あるいは、DVD等もご覧いただけるような環境をつくっているというのが1つ目でございます。

それから、5ページ目、もう一つは、パンフレット等の作成ということになります。5ページ目のところにちょうど写真が載っておりますけれども、例えば、若い方だとなかなかパンフレットを手にとっていただけないということもございますので、漫画のような形で啓発紙をつくって、大学であるとか自治体等を通じて配布させていただいております。

それから、3番目で、マス媒体を利用した啓発ということで、いろいろな、年間を通じてキャンペーンですとか、あるいは新聞、雑誌、そういったところに啓発用のものを載せて、消費者に対する啓発を行っております。

それから、4番目で、市民講座であるとか相談員の研修といったところに、お呼びがあれば講師という形で参上して、ご説明させていただくということもやらせていただいております。

それから、もう1枚めくっていただきまして、6ページ目でございます。こちらのほうは、消費者教育という形で、さらに少し長い時間、長いスパンをかけてやっていくという取り組みでございます。協会としては、昭和50年代から延々と、もう30年、40年とこの取り組みをやっております。実際にはそこにございますように、全国の高等学校を中心にこういった消費者教育をやらせていただいておりますけれども、全てにお声がけをしても、昨年で350校からご要請があって、いろんな、下にありますような教材をお配りするということでございますので、実際には一部の学校に限られますけれども、そういった取り組みを長いことやらせていただいておるというのが1つでございます。

それから、7ページ目、同じ消費者教育の2番目でございますけれども、学校の先生に、そもそもクレジットについての知識をお持ちでない方がいらっしゃるということもありますので、こちらのほうも限られた地区、限られた回数ではございますけれども、夏休みに学校の先生方の勉強会という形で開催をさせていただいております。

それから、3番目、教育機関等への講師派遣ということで、大学、高等学校、こういったところからも授業等の要請があれば、こちらについてもお応えをさせていただいておるというところでございます。

以上が私どもの取り組みでございますけれども、これ以外にも、例えば自主規制を設けるとか、あるいはインフラを整備するということでの安全対策として、ICカード化だとか本人認証のための取り組みとか、そういったことについてももちろん取り組んでおるというところも、言わせていただきたいと思っております。

以上でございます。

【岩原座長】

尾中委員、お願いします。

【尾中委員】

では、続きまして、今、日本クレジット協会様より、業界全体の取り組みについてご説明いただきましたので、私どもは、三菱UFJニコスの個社としての取り組みに焦点を当てて、ご紹介をさせていただきたいと思います。

資料2-5に基づいてお話をさせていただきますが、まず、お客様のトラブルの状況をどのように把握しているかという点は、弊社のクレジットカード等をご利用いただいているお客様からのお問い合わせ等に対して、東京に2カ所、名古屋に1カ所、全国で3カ所のコールセンターを準備して、対応を行っております。

これに加えて、お客様からの苦情や、より深いご相談に対応する部門として、お客さまご相談部という専門部署を設置して、こちらの電話番号を公開することで、直接お客様からのお話を受けております。

また、お客さまご相談部にいただいたお客様からのお話しやコールセンターに入ったお客様の改善要望等々は、情報を集約して、定期的に弊社の経営陣に対して情報共有を行っております。

具体的な取り組みとして、6年前、平成21年より取り組んでおりますが、このお客様のご意見等々を収集する試みを行っており、この収集した意見を分析して業務改善を行っています。2014年の4月から9月、先上期の数字になりますが、半期で2万4,500件強のお客様の声を収集しお客様の声から弊社の業務やサービスを改善した事例等をお客様にお伝えするために弊社のホームページに掲載しています。

もう一つ、第5回のスタディ・グループのときに、弊社のプレゼンテーションでご説明をさせていただきましたが、弊社では、加盟店様が適正に業務をやっていただく為の啓蒙や業務内容の確認をするために、営業部門から独立した加盟店業務関係の先端部署を設置しております。こちらの部門では、加盟店様の新規の契約調査、それから、加盟店様の途上審査、加盟店様に対しての啓発等を行っております。

次のページにいっていただきまして、トラブルの未然防止としてどのような取り組みを行っているかという点では、こちらも、前回プレゼンテーションでご説明をさせていただいた内容と重複しているところがございますが、まず、取引のモニタリングを行っています。これは24時間オンラインで、お客様の利用されているカードの状況を全て見つつ、不正な利用がないかをチェックしております。不正な利用が発覚した場合は、その取引の中身をお客様に確認する等をして、取引についての停止を行う等の対応を行っております。

それから、(2)ですが、接触ICカード、このEMV仕様によるIC取引の推進を行っています。これによって、クレジットカードの偽造対策等、本人認証の強化等を進めています。

(3)では、非対面取引の不正使用対策で、クレジットカード番号や有効期限の入力以外に、3Dセキュアの利用、あと、クレジットカード券面の裏に記載されているセキュリティーコードと言われる、お客様しか知り得ない情報をご入力いただくことで不正利用を防止しています。

それと、(4)ですが、ホームページやお客様へのご請求書、またはメール等で、このような不正利用の事例等をご案内し、注意喚起を行っております。

次に、(5)ですが、弊社では情報セキュリティーの専門部署も設置しております。これは、昨今、ネット上での様々な攻撃や犯罪の巧妙化というものが進んでおり、弊社のシステム自体もこの手の被害に遭ってしまうと、当然、その先にいらっしゃるお客様の不利益につながる為、この手の攻撃に対する監視の強化、対策を行っております。

それと、(6)では、次世代の認証技術の研究に関して記載しております。先ほど(2)でご説明をさせていただいたとおり、接触ICを推進することを本人認証や偽造対策を進めておりますが、この接触ICだけでなく、新しい技術を取り入れて、より便利でより高度なお客様の認証を目指していく取り組みも研究しております。

最後に、啓発に関しては、2番でも申し上げた請求書等でご案内をしているところもございますが、一番大きなところでは、弊社のホームページに様々なクレジットカードのトラブル事例を掲載し、お客様が被害に遭わないように注意喚起を行っております。

下に8つほど喚起事例がございますが、全事例のご説明は時間の関係で割愛をさせていただき、一例として申し上げますと、(1)に記載してあるように、例えば不正にログインされ、何かしらのサイトに登録していたお客様のID・パスワード情報が盗まれてしまったことにより、オンラインショッピングでクレジットカードを不正に使用されてしまったような事例があります。このように、お客様に注意をいただくよう情報を掲載して、注意喚起を行っております。

簡単ですが、以上になります。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、EC決済協議会の取り組みについて、沖田委員からご説明をお願いします。

【沖田委員】

それでは、私のほうからは、EC決済協議会を代表いたしましてご報告を申し上げます。

こちら、弊社ベリトランスの取り組みをケースとして取り上げてございますけれども、EC決済協議会に参加しておりますペイメントサービスプロバイダー、いわゆる決済代行業全体に共通のものとご認識いただければと思います。お時間の関係もありますので、簡潔にご説明させていただきます。

裏をめくっていただきまして、PSPの消費者対応の取り組みについてまとめさせていただいております。ただ、まず大前提といたしまして、私どもPSPというのは、EC事業者、eコマースでの販売店の方々と、それから銀行やカード会社などの金融機関の間に立ってやりとりをするというのが一般的な業務でございます。そのため、消費者の方々に直接向き合うのは、そういったEC事業者や金融機関の方々でございまして、私どもが直接消費者の方々と向き合ってお話しするというのは極めてまれでございます。そのため、ここへ書かせていただいておりますけれども、現状におきまして、消費者、それから消費生活センターの方々からお問い合わせをいただくということは、特に弊社におきましては年数件レベルということで、繰り返しになりますけれども、消費者対応というのは、主に加盟店、EC事業者、もしくはカード会社等々の金融機関の方々が担っておられるということで、私どもに直接お問い合わせが入ることはまれでございます。

ただ、お問い合わせいただく場合の例といたしましては、加盟店との連絡がとれない、もしくはスムーズにいかないということで、そういった際の仲介に入ってほしいというようなケースが発生しております。

一方で、カード会社からのご相談、問い合わせ、これはもう日常的に発生しております。これは、主には利用内容の調査ですね。例えば、使った覚えがないのだけれどもという部分ですとか、どういった商品を買ったかというところで、これは、カード会社が実際には加盟店、店舗に問い合わせるんですけれども、その際に我々で間に入らせていただくことで、より迅速かつスムーズにお答えできるといった役割を果たしてございます。

その上で、私どもが消費者保護に向けて行っている取り組みに関してですけれども、こちら、3点書かせていただいております。1点目は、比較的トラブルの温床になりやすいクロスボーダーの取引を我々は行っていないというところでございます。それから2点目、これは非常に重要ですけれども、情報漏洩といった分野を防止するということで、これは我々が比較的主体的に活動させていただく部分でございまして、PCI DSSというグローバルなデータセキュリティーの基準のほうに準拠するといったものを行わせていただいております。それから3点目、先ほど申し上げましたように、一般的には少ないのですけれども、消費者、もしくは消費者センターの方々からご連絡をいただいた際には、それを正しく受け付けるというところでございます。こちらは、EC決済協議会全8社の取り組みとしても、入会基準の段階で義務づけをいたしております。

また、消費者トラブルの未然防止・被害回復という観点につきましては、消費者のトラブルの実態を確認いたしまして、その加盟店ですとか――このアクワイアラーというのはカード会社の方々ですね――と協力をして対応してございます。

また、トラブルを未然に防ぐというところで、仮に我々のサービスを使いたいという企業様を、当然、我々は最初の段階で審査していきますし、途上与信も行っていくのですけれども、その中に消費者に誤解を与えやすいような記載がある場合は、そちらを適切なものに変えていくといったところの指導を行わせていただいております。そういった意味では、私ども単独では、消費者保護等々に限界がございますので、加盟店、それから銀行、カード会社等の金融機関の方々と連携をして、消費者保護、トラブル防止、回復等に努めさせていただいてございます。

また、啓蒙という観点では、協会ではありませんで、これはベリトランス単独での取り組みではありますけれども、そういった消費者センターの相談員の方々向けに、こういった決済、PSPというのはどういった業態で、どういった役割を行っているのかといったところのセミナーですとか講演活動を行わせていただくことで、そういったeコマースの関連のトラブルが発生した際の解決を、より指導員の方々がスムーズに行っていただけるような活動も行わせていただいております。

以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは、質疑応答、自由討議に移りたいと思います。どなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

永沢委員、どうぞ。

【永沢委員】

ありがとうございます。年末年始のお忙しい中、私どもの質問に対してこのような資料を用意いただきましたこと、まず感謝申し上げたいと思います。また、それぞれ皆様からの説明をお聞きしまして、各業界、各業態ともに真摯に取り組んでおられるし、またかなりお金をかけて消費者保護に対して向かい合っていらっしゃるということは、理解いたしました。

幾つか質問と、それから全体の意見ということを申し上げたいと思います。

まず、細かい質問のほうからさせていただきたいと思いますけれども、代理収納サービス協会様のほうに質問です。資料の4ページで、この資料は2011年度の資料というふうに、パンフレットの後ろのほうを拝見して確認をさせていただきました。いろいろと準備をされているというような内容ではありましたが、こちら、例えば4ページのところで、いろいろガイドラインをつくられて実行されているというお話で、「2013年3月までに」とかいろいろ目標が書かれておりますけれども、この辺の実施状況、ガイドラインを定めてそれを確認されているのかというところを1つ、確認させていただきたいと思っております。

それから、クレジット協会様のほうにまた質問なのですけど、資料の中に、経産省の相談室との連絡会というのを設けていらっしゃるということが書いてありましたが、これは、業界と経産省だけのもので、ほかの業界と何か、ご自身の業界の周辺の事業者団体との連絡会というようなものがあるのかどうか。その辺も、ほかのところにお伺いしてもいいのですけれども、クレジット協会様のほうに代表して質問させていただけたらと思います。

それから、全体の感想なのですけれども、長楽委員に用意いただいた資料の3ページの数字だけを見ますと、それほどトラブルは生じていないのかなというふうに受け取ることもできますが、一方で、口頭でご報告された国センやセンターからの問い合わせなり苦情という数字を見ますと、確実にトラブル件数は伸びているようで、やはり定量的な数字ではなく定性的な問題把握というのが必要ではないかと感じました。特に国センや消費者委員会のほうからご指摘があったような新しい問題というのは、やはり定性的な問題で、件数ではないようにも思いました。これは長楽委員の業界だけではなく、ほかの業界の方からも教えていただきたいところなのですが、国センとのかかわり方として定期的な会合等を持っていらっしゃるのか、国セン及び、それから監督官庁との連絡会のようなものがあるのか、あるいは他業界も含めて、新しい決済のあり方に関しては今ここでこの会議があるわけですけれどもと言えるようなものがあるのか、何か問題を指摘し合うような機会があるのかどうかというところを教えていただけたらと思っております。

それから、意見めいたことになりますけれども、ホームページや冊子などでいろいろな啓発資料を、立派なものをつくっていただいておりますけれども、業界個社の取り組みではやはり限度があるのではないでしょうか。消費者啓発にはやはりテレビなどのマス媒体を使った取り組みというのが必要で、その場合には業界個社を超えた取り組みが必要なのではないかと思いまして、何か連絡会のようなものがあるのか、ないならば、必要なのではないかということを感じた次第です。済みません。意見めいたことも申しまして、恐縮です。

それから、最後に1点、協会、あるいは協議会への加入率、今までの説明の中でもあったと思いますけれども、その事業をなさっている皆様の加入率というのはどの程度なのかということも、最後に、今まで何回かあった会の中で個別にお話があったとは思うのですけれども、レビューいただけたらと思います。済みませんが、よろしくお願いいたします。

【岩原座長】

はい。幾つかご質問をいただきましたが、最初に、滝島委員から代理収納についてお答えいただけますでしょうか。

【滝島委員】

はい。そうしましたら、代理収納サービス協会から回答させていただきます。資料2-3の4ページについてのご指摘と認識しております。ガイドラインの実施状況についてご回答申し上げます。

まず、ガイドラインの二重弁済の防止のためのガイドラインの中で、収納代行契約が代理受領であることの確認ということで、大きくは、コンビニエンスストアと利用企業、代行会社との代理受領契約の締結、それともう一つ、代行会社と委託事業者、利用企業との代理受領契約の締結になります。それぞれの実施状況です。

まず、コンビニエンスストアと利用企業との代理受領契約については、ほぼ終わっておりますが、一部終わっていないところがまだあるというのが、今の状況でございます。ただ、こちらについては、どこと契約をしていないかということは、各コンビニのほうで把握しているところでございます。

続いて、代行会社と委託事業者との代理受領契約の締結についてです。こちらも、当協会に加盟しています代行会社については実施しておりますが、まだ一部、未締結のところがあるという報告を受けているような状況でございます。そういう意味では、まだ全てにおいては完了しておりません。

続いて、払込票への記載についての状況でございます。払込票については、ほぼ記載がされていると認識しております。しかしながら、ここにも払い込みについては書いておりますが、前々回、当スタディ・グループで報告をさせていただきましたとおり、いわゆるコンビニ収納というところでは、こういった払込票を使ったモデルとペーパーレスのモデルがございまして、ペーパーレスのモデルの場合では払込票というものがないものですから、代理受領である旨の記載については、現実的には今、コンビニエンスストアに設置しているポスレジ、もしくはキオスク端末と言われている情報端末に記載するしかないというところでございまして、そこで一部投資等も発生するものですから、そこで今、どういう実装方法にするかというのを、具体的に協議しているところでございます。

それと、消費者への啓蒙というところでございますが、領収書及びレシートを受け取ってくださいといったことにつきましては、コンビニ店舗等でご案内をしていただいているところでございます。

以上、報告になります。

【岩原座長】

以上の滝島委員のご報告について、何か永沢委員のほうからございますか。

【永沢委員】

はい。ありがとうございました。最後にした質問についてもう一度確認させていただきたいと思いますけど、最後のページに会員名簿というのがありますけれども、このサービスを提供されている事業者については、カバー率というのはどの程度だったかというのを、前、お話があったようにも思うんですけれども、再度教えていただけたらと思います。

【滝島委員】

カバー率、ご指摘の点は、資料2-3の10ページと認識しております。まず、この表の見方ですが、リテール会員と書いているところはコンビニエンスストアになっております。おそらく今ご指摘の点は、この正会員、収納代行業務を営んでいる会社のカバー率ですが、大変申しわけありませんけど、ちょっとカバー率というところでは、今、当協会では把握はしていないところでございます。

ただ、どういった事業者が加盟していないかということは把握しているところでございまして、そういったところに対しまして、コンビニエンスストア様のほうから加入の依頼をお願いしているというのが、今の状況でございます。

以上です。

【永沢委員】

ありがとうございます。

【岩原座長】

よろしいですか。

【永沢委員】

はい。

【岩原座長】

それでは、クレジット協会の與口委員、尾中委員に対するご質問についていかがでしょうか。

【與口委員】

資料の2ページ目にあります、経済産業省の相談室との連絡会の件なのですけれども、これについては、私どもの協会の相談室と経済産業省の相談室の連絡会ということなので、会員等はこの中には入ってございません。

ほかの団体との何か連絡会はということについては、定期的に開催をしているような連絡会というのは持っておりません。ただ、当然ながら、いろんなところに相談が入りますので、それぞれの団体の相談室と私どもの相談室との間では日々やりとりをしておりますので、そういった形での連携といいますか、意思疎通というのは図られているのではないかと思っております。

そのほかに、正確な資料を持っていないのであれですけれども、局単位で、その参加の事業者の相談の担当者を集めた会合のようなものも、定期的なのか不定期なのかわかりませんけれども、開催されているようなケースもございますので、そういった場合にはもちろん参加させていただいて、ほかの業態の方とも連絡をさせていただいているということはございます。

【岩原座長】

よろしいですか、永沢委員。

【永沢委員】

1点、国民生活センターとは定期的に会合を持っていらっしゃるという認識でよろしいでしょうか。

【與口委員】

定期的な何か設置された会合があるかと言われると、そういったものはございません。ただ、大変、こう言っては何ですけれども、いろんな意味でご迷惑をおかけしているというか、さまざまな点でいろんなご指摘を受けますものですから、何かが起こったときには、情報通知先ということで国民生活センターさんとの間で話し合いをさせていただきますので、そういう意味では、くしくも定期的にいろんな形での意思疎通をさせていただいているというのが、実態としてはございます。

【永沢委員】

ありがとうございます。

【岩原座長】

はい、よろしいですか。

【永沢委員】

はい。

【岩原座長】

それでは、次のご質問は、今までご報告いただいた各団体に対して、国民生活センターや消費者委員会等との関係をお聞きになりたいのですか。

【永沢委員】

はい。それと一緒にもしお答えいただくのでしたら、カバー率というのでしょうか、参加率というのでしょうか、今までご報告をいただいた中で数字もいただいたように思うのですけれども、再度、お願いできたらと思っております。

【岩原座長】

それでは、今までの各ご報告していただきました協会等から、それぞれお答え可能な範囲でお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

では、内田参考人。

【内田参考人】

全銀協ですけれども、まず、国民生活センターとの情報交換ですけれども、これは不定期になるのですけれども行っております。昨年度も、1回ですけれども実施しております。

それに加えまして、国民生活センターだけではなくて、私ども、全国の消費生活センターを訪問して意見交換を実施するというのを、年間20先程度ですけれども、実施させていただいております。直近は都や区の消費者センターと実施させていただいておりますし、近々岩手のほうにも赴いて、意見交換を実施させていただくというような予定でおります。

以上でございます。

【岩原座長】

会員は全部入られているわけですか。

【内田参考人】

全銀協ですか。はい、それはもちろん、銀行で、もう入っております。

【岩原座長】

次に、長楽委員。

【長楽委員】

先ほど永沢委員からお話がありました消費生活センターからの問い合わせが多いとのことでございますが、どういうものが多いかというと、前払式支払手段についての仕組みとか、また、有効期限が6月内でありますと前払式支払手段に該当しないことになりますが、そのことに関するご照会とか、資金決済法の適用がない事業者とトラブルになっている場合に、この事業者は財務局に登録又は届け出がなされているかどうかというご照会が多いものとなっております。先ほども申し上げたように、有効期限が6月内であれば財務局への登録も届けも必要ございませんし、また、自家型でございますと、一定の要件に該当しない限り財務局への届出の必要がなく資金決済法の適用もないということでございます。そのような照会が多いということでございます。

国民生活センターとの連携の話でございますが、定期的というものはございませんけれども、コンビニ出納代行の関係とかサクラサイトの関係で、いろいろな形の情報交換をして、今後どうしていくかということもお話をさせていただいているところでございます。

本協会の入会率でございますが、前払式支払手段発行者の場合、財務局へ登録、または届け出をされている発行者が1,800ちょっとあります。それに対しまして、本協会への入会率は8%ぐらいしかございません。その理由の一つですが商店街や組合など規模が小さい発行者の方々に本協会に入会いただいていないということがございます。そのような発行者の方々が会員となっている任意団体がございますが、そことは年に二、三回、法の普及啓発ということで定期的に意見交換をしております。入会率が低いことに対しいろいろな形で広報啓蒙活動を行うことによりカバーしております。

資金移動でございますが、登録事業者は12月末現在で38社であり、36社が入会いただいております。

【永沢委員】

ありがとうございます。

【岩原座長】

ほかにはよろしいでしょうか。ほかの協会等からは何か。クレジット協会もよろしいですか。

【與口委員】

入会率ですね。何を分母とするかというところがあるのですけれども、割賦販売法のいわゆる個別であるとか包括であるとか、カードを出したり、個々に契約をするという形の登録が求められている事業者について言うと、ほぼ100と申し上げていいと思います。

ただ、この場で言っていいのかわからないのですが、必ずしも入会は法令上義務ではありませんので、一部の銀行があっせん業者として登録を受けているんですが、そこのたしか4社か5社が、ご理解がいただけずにまだ入会をしていただいておりませんので、その方たちだけが入会していないだけで、あとは全て入っていただいているという状況です。

【岩原座長】

よろしいでしょうか、永沢委員、大体以上で。

【永沢委員】

はい。

【岩原座長】

ほかに何かご質問、ご意見、ございますでしょうか。

河野委員どうぞ。

【河野委員】

各事業者団体からご報告いただいて、ありがとうございました。私も永沢委員と同じ感想を持ちまして、消費者は、当然のことながら、片方でこういったサービス、さまざまな決済サービスを利用する利用者に対して、事業者団体の皆さんがそれなりにしっかりと、自分たちの行っていらっしゃる業務の内容が内蔵しているリスクの部分を捉えられて、今現在できる対策というのをやられているのではないかなというふうに、ご報告からは理解したところです。

ただ、では、実際に皆さんが今ご報告くださった対策が効果を上げているのか、そのあたりを検証し、評価しているのか、どういうふうに今見ていらっしゃるのかというところを伺いたいと思っています。それが1点目です。

それから、2点目は、最初に金融庁から消費者保護に関する取り組みとして、包括的な3つの視点から、今現在こういう状況にありますというご報告をいただいています。この報告の中に、情報収集のところなのですけれども、トラブルの実態を把握するところで、PIOーNET、それから国民生活センターからの情報提供、あと報道によるものも収集していますよということがありますが、今、さまざまな事業者団体も取り組んでいらっしゃるトラブル事例と解決策等について、金融庁は、決済に関して、各業界でこんなふうなトラブルが今あって、それに対して各事業者団体はこんなふうな取り組みをしている、そして、それの効果はこの程度上がっている、問題点はこうだというふうな、包括的なまとめを年度ごとにされているのかどうかというのを、伺いたいと思っています。

それから、3つ目は、これはほんとうに可能かどうかわかりませんが、やはり利用者側の理解度を上げるということで、金融リテラシーというのが非常に重要だと思います。それで、今、事業者団体の皆さんも、さまざま教育ツールといいましょうか、消費者教育、それから学校教育も含めて、パンフレット、それからカリキュラムをつくり、かつ講師派遣まで考えていらっしゃるということで、かなりそこに注視はしてくださっていると思うのですけれども、実際は、先ほどのご報告の中でもなかなか教育機関等ではパンフレットを受け取ってくれないとか、学校のカリキュラムの中、例えばPTAとの間の一緒の学習会とか、そういったところでも採用されていないというふうなお話もあります。

私は、業界のパンフレットを拝見したことがございますけれども、非常によくできていてわかりやすいと思っています。先ほどの情報ですと各自治体には届いている、各都道府県の消費生活センターまでは届いているのですが、その先はどうなっているのか。教育委員会等がちゃんと受け入れているのでしょうか。

金融リテラシーというのは、今のように複雑になりますと、幼少時から、家庭の教育力というのもありますけれども、しっかりとしたカリキュラムを組んで取り組むべきで、金融トラブル防止ということで言えば、金融庁も、例えば文科省との間で、こういったことに対して今後、連携して取り組んでいくような方向性があるのかどうか、そのあたりを伺えればと思います。

以上3点、よろしくお願い申し上げます。

【岩原座長】

3点ご質問がありましたけれども、まず最初に、それぞれの各事業者団体等がなさっていらっしゃる対策が効果を上げているのかどうか検証し、評価した結果はどのようなものかということですね、第1点は。

【河野委員】

はい。

【岩原座長】

これについて、まずそれぞれの団体からお願いできますでしょうか。

内田参考人。

【内田参考人】

なかなか、いろんな取り組みをさせていただいているのですけど、それの効果をダイレクトに検証するというのは非常に難しいところではあるのですけれども、例えばなんですが、私どもですと、金融犯罪に非常に重点を置いて取り組んでいるところでございますが、例えば最近多くなってきたインターネットバンキングの犯罪であれば、業界を挙げて対策をとったりPRをさせていただいているということで、そこでどれがその効果なのかというのはなかなか難しいんですけれども、それなりの取り組みをさせていただいていますとか、あと、例えば振り込め詐欺などに当たっては、業界を挙げて取り組み活動をするとともに、例えば銀行の窓口での水際での阻止とかというところでは、そこそこの成果を上げさせてやらせていただいておりますので、全般的に、なかなかそれがどういうふうに効果を上げているのかというのは、ちょっとすぐ明確にお答えはできないんですけれども、私どもとしては、それなりに効果があるのではないかというふうに信じているところではあります。

【岩原座長】

それでは、長楽委員。

【長楽委員】

本協会でございますが、できることはいろいろやっているわけでございますが、その効果を検証する手法というのはなかなか難しくそれを評価するということは現時点ではできておりません。

本協会といたしましては、サーバー型という前払式支払手段の場合、インターネット取引に使用される場合が多く、その特性上、犯罪――資金移動もそうでございますけど、に利用されてしまうという面がございますものですから、そこのところをどういう形でできるかということで、考えているところでございますけれども、なかなかいい手はないというのが実態でございます。

【岩原座長】

滝島委員、いかがでしょう。

【滝島委員】

代理収納サービス協会ですけれども、今は、先ほどもご報告申し上げましたとおり、ガイドラインを制定しまして、具体的に取り組んでいるところでございます。そういった意味では、検証ということで言うならば、消費者様、お客様向けという検証よりも、この事業を取り組んでいるそれぞれの企業の、こういった消費者保護であるだとかといった点で自主規制をしていかないといけないという意識の高まりには、十二分な効果があったというふうには見ております。

ただ、これからは、もう一段、各協会様が取り組んでいるような細かい取り組みがあってもいいかというふうには、今、考えている次第でございます。

以上です。

【岩原座長】

それでは、與口委員、お願いします。

【與口委員】

我々のほうも、限られた予算の中でやっていかなければいけないということなので、広報の専門の委員会を設けて、いろいろと議論をしながら広報を打っております。そのときに、なかなか費用もかかるものですから、ほんとうにその効果の測定まではなかなか行かないのですけれども、ネットで消費者に対する意識調査というのを毎年やらせていただいて、その中で、どこをターゲットにどういう広報を打てばいいのかなということでやらせていただいております。

そういう意味では、例えば若い方々に対して、ルールであるとかクレジットの使い方が乱雑であるというようなことがあれば、それに対して打たなければいけないとなると、先ほどマス媒体で駅貼りでというような話をさせていただいたんですけれども、それがほんとうにいい手段なのかどうかという議論があると思うんですけど、ちょっと世の中に迎合的ではありますけれども、ここ3年間ずっとAKB48というアイドルを使ったポスターを使わせていただいて、若い世代のある一定層を3年間にわたって押さえていくというようなことをやらせていただいて、それの効果は、その業者のある種の結果でありますので、ほんとうにそのとおりなのかどうかは別として、そういった狙ったターゲット層に対しては、一定の効果を上げて到達度が出ているとか、そういうことについては一応把握しながらはやっておりますけれども、ほぼ苦しみながらの、もがきながらの広報というところでございます。

【岩原座長】

沖田委員、お願いします。

【沖田委員】

対策の評価ですとか効果検証というのは、実際、簡単ではないのですけれども、比較的評価しやすい、例えばPCI DSSというセキュリティー基準に関して申し上げますと、これは特に国内の準拠企業においては、現時点では大規模な情報漏えいは完全準拠以降起きているという部分はございませんので、一定の効果は高いのじゃないかなというふうには考えております。そういう意味では、それを広げていくというところと、それから、毎月我々、協議会で定例会を開いておるのですけれども、ルールそのものの見直しというところも積極的に議論しておりますので、そういった意味では、ルール自身を、外部環境ですとか内部環境の変化に合わせて見直しをかけていくといった部分を行わせていただいております。

あと、先ほど協議会の加入率というところで、EC決済協議会はお答えしておりませんでしたので、あわせてお答えさせていただきますと、いわゆる主要企業については参加しております。ただし、中小零細というところを含めますと、私どもではなかなか把握ができませんで、例えばカード会社ですとか、契約している金融機関のほうが把握できるのですけれども、そちらのお話等々を総合すると、おおむね業界全体、社数ベースで言うと1割ほどの加入率になっておるかなと考えております。ただ、先ほど申し上げたように主要企業は参加しておりますので、取引量ベースでは少なくとも50%を超える、かなり高い加入率にはなっているのではないかと考えております。こちらについても、他の事業者に関しても、入会基準を明示した上で、入会について随時窓口を広げておりますので、高めていくというところで考えております。

【岩原座長】

ありがとうございました。

河野委員の2点目と3点目のご質問は、金融庁のほうに係るご質問なので、金融庁のほうからお願いします。

【森監督局総務課金融会社室長】

2点目は、監督局でございます私のほうからご説明申し上げたいと思います。

私は金融会社室長でございますが、所管させていただいているのは長楽委員のところの資金決済業協会でございますので、その協会の例を申し上げます。私どもと資金決済業協会では、消費者保護の問題も含めまして、さまざまなことにつきまして日常的に意見交換をしておるのですが、大体、月に一、二回程度、長楽委員に来ていただいて、意見交換を直接面と向かってさせていただくということにしています。

その中では、協会の中でいただいている苦情相談で何か目立ったものがあったら教えてもらうとか、こちらの利用者相談室で、あるいは国民生活センターで把握していただいたようなことで、例えば先ほど申し上げましたように、これは注意喚起をしてくださいなどといったことを申し上げることにしています。

また、検証という点で申し上げますと、例えば国民生活センターで、先ほどコンビニ端末が悪用されているという話がございましたが、国民生活センターからさまざまな情報をいただき、例えばプリペイドカードのチャージの上限を下げる、あるいはコンビニ端末に注意喚起をする、事業者のサイトにも注意喚起を出すといったような対応をとっています。それで、検証という意味では、このような対応を取った後、苦情がどう来ているのか検証し、減っていないようだったらもっと対策を講じるといったような形で苦情を監督に活用させていただいているということをやってございます。

【岩原座長】

それでは続いて。

【黒井総務企画局企画課信用機構企画室長】

文部科学省との連携につきましてご質問いただきました。私どもでは、各教育段階ごとに金融経済教育を施していくということが非常に大切であると考えておりまして、文部科学省と連携いたしまして、各段階ごとにどういったことを学んでいただくかということで、金融リテラシーマップをつくらせていただきまして、まず、小中学校の段階では、いきなり借り入れに当たって学ぶということではなくて、まず予算の範囲内でお金を使っていくという、お金の使い方を理解していただく教育を行いまして、他方で、大学生ともなりますと、例えば奨学金なども活用しながら学んでいくといったことも必要になってまいりますので、高校段階以上では、そうした借り入れというのはどういった意味かということについて学んでいただくというようなことを含めました。それ以降の社会人になって以降も、どういったことを学んでいかなければいけないかを記載したマップをつくらせていただいているところでございます。

その上で、それをどういった形で実際の教育現場に生かしていくかということにつきましては、文部科学省と連携をさせていただいておりまして、高校段階につきましては、家庭科の中の選択履修事項という形であるのですけれども、その学習指導要領の中で位置づけていただいておりまして、その中で、消費者金融の観点からが主な話ではございますけれども、そうしたローンの意味合い、金利の意味はどういったものかといったことの中で、例えばクレジットカードの機能のメリット、デメリットといったことについてもご紹介いただくような、そんな教育プログラムを組んでいただいているところでございます。

【岩原座長】

よろしいでしょうか。

【河野委員】

済みません。

【岩原座長】

はい、河野委員。

【河野委員】

2点目の質問は、先ほどご報告いただいたことも含めてなんですけれども、各事業者が今報告されたようなさまざまなトラブル事例全体を、金融庁で包括的に、何ていうのでしょう、情報収集していらっしゃるかということをお聞きしたかったんですけれども。

【岩原座長】

それでは、お願いします。

【森監督局総務課金融会社室長】

ちょっと所管ではありませんが、当庁の利用者相談室では、当然、聞きっ放しではなくて、四半期に一度だったと思いますが、件数を取りまとめて、例えば金融機関に対するヒアリングを何件行いましたといったようなこともたしか公表させていただいていたと思っております。

【河野委員】

もう一つ、済みません。

【岩原座長】

はい。

【河野委員】

今のご報告は、金融庁の窓口に来たものに関して、そういうふうな形で公表されているということでした。先ほどから、各事業者団体で取り組まれている相談室等いろいろあるのですけれども、そういった全体像は金融庁では把握していらっしゃらないのかということをお聞きしたかったんです。

【松尾総務企画局企画課長】

金融全体、例えば銀行とか証券とかいろいろのところで、裁判外の紛争手続、ADRみたいな手続がありまして、そういうADR全体についてどういう相談が出ているのかというのは、毎年1回ですが、定期的に公表しております。例えば最近ですと、銀行系だと為替デリバとか、その辺の相談がかなり多かった。それがまたちょっと最近は減ってきていて、それ以外の件数というのは大体一定で行っているというようなことで、大きくは裁判外のそういう各業態のところに来る紛争みたいな話というのは、全体傾向を把握して公表しているところでございます。

【岩原座長】

よろしいですか。

【永沢委員】

そこに関連して。

【岩原座長】

永沢委員。

【永沢委員】

済みません。河野委員のご質問に関連しますので、追加で質問させていただきたいと思います。金融トラブル連絡調整協議会で話題に上がり取り上げられているものと、取りこぼしみたいなのがあるのではと思うのですが、今ここで議論されている、いろいろ出てきている事例で金トラで取りこぼしているものはないかというところをちょっと聞きたいと思うんですが、質問の趣旨がうまく伝わるかどうかわかりませんが。

【松尾総務企画局企画課長】

取りこぼしと申しますと……。

【永沢委員】

ここに来ていらっしゃる方々の中で、金融トラブル連絡調整協議会のメンバーになっていない業界方があるかどうかということをお聞きしたいと思ったのですが。

【松尾総務企画局企画課長】

済みません、ちょっと詳細持っておりませんけど、例えばクレジットとかというのは、当然、来ておられないと思います。

【永沢委員】

ですね。

【松尾総務企画局企画課長】

はい。

【永沢委員】

了解です。

【岩原座長】

それでは、ほかに何か消費者保護の……。

【長楽委員】

済みません、ちょっと補足説明だけ。

【岩原座長】

はい、長楽委員。

【長楽委員】

本協会といたしましても、犯罪に利用されない取り組みはなかなか難しいという話をしたのでございますけれども、森室長のほうから話がありましたので、個社の話になるので話をしなかったのですけれども、本協会においても個社の方たちといろいろな議論をしながら、今後の対策というのは検討しており、そういう意味で協会としてできることはやっているということだけ、つけ加えさせていただきます。

【岩原座長】

特になければ……。

松井委員、どうぞ。

【松井委員】

ありがとうございます。さまざまな業界団体の方からいろいろとご事情をお聞かせいただいて、大変参考になりました。

お伺いして感じたことを少し申し上げて、若干の質問をしたいと存じます。業者なり、業界なりで、トラブルに対して何が対応できるかという話をしたときに、実はやれることは結構限られていまして、特にトラブルが起こってからできることはほんとうに限られているのだろうと思います。ですので、大事なのは、おそらくトラブルが起こる前にどういう啓発活動を行い、あるいは防止措置を講ずるかというところでして、多分ほとんどの問題はこの点に尽きているでしょうし、その効果があるかないかというのが、非常に大事なのだろうと思います。

今回は決済業務の高度化の話ですが、現実に決済業務の高度化が生じたときに、何か問題状況が質的に大きく変わるかというと、おそらく変わらないのではないかと思っております。便利な決済手段とか、あるいは効率的な決済手段がさまざまに生じたときにも、決済業者としてできることは、トラブルの未然防止のところに集中するのだろうと思います。

その関係でちょっとお伺いしたいのは、実際にトラブルが起こってしまったときに、業界なり業者で比較的対処がしやすい類型、つまり相談なり苦情などが持ち込まれて、業界の相談、あるいは対応窓口等で解決ができる類型のトラブルというのは何なのだろうか、という点です。例えば悪徳業者が入ってきて取引をしたとします。そして、クレジットカードなり、振込みなりの決済手段が使われた後、その悪徳業者がどこかに姿を消してしまうとします。この場合、決済業者としてはおそらく対応のしようがないはずなんですね。したがって、こういう問題は、おそらくトラブルが起こってからはなかなか対処がしにくいだろうと思います。

他方、ある種の類型については、決済に関わる業界なり業者なりで対応できるものがあるのではないかと思います。以上の点を確認しておきますと、新たな決済手段が現れたときや、あるいは決済業務の高度化が生じたときに、何がトラブルが起こる前に対処すべき問題であり、何はトラブルが起こってからでも対処できる問題かというのが比較的整理しやすいかとも思いました。ですので可能な範囲で、あるいは把握できている範囲で結構ですので、トラブルが生じた後に、比較的業者なり業界なりで対処ができている類型というのはどのようなものか、もし何か思い当たるものがあれば、お聞かせいただきたいと思っております。

皆さんにお伺いしますと時間もかかりますので、ここで比較的決済が短期で終了するような、例えば銀行の取引ですとかクレジットカードの取引のようなものと、それから、前払式のように決済まで非常に時間がかかるもの、つまり全銀協、クレジット協会、あと資金決済業協会の皆様に、おわかりになる範囲でお聞かせいただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【岩原座長】

まず内田参考人からお願いします。

【内田参考人】

ちょっとなかなか難しいところなのですけれども、今、やっぱり先ほどありましたデリバティブの話なんかでは、双方の理解不足だったり、説明体制の不足だったりというものは、比較的そこで歩み寄りが可能なものなので、あっせん委員会とかでも取り上げられるかと思いますけれども、やっぱり例えば犯罪に絡むものですとか、あと事実関係のみを争う、事実認定だけを争うようなものというのは、業界の相談の場では消しにくいので、そこはもしかしたら裁判になってしまうのかなというようなことが、ちょっと今、一般的にすぐ思い浮かぶところでございます。済みません。

【岩原座長】

與口委員。

【與口委員】

済みません、頭の整理がうまくできていないので、お答えになっているかどうかわからないのですけれども、少なくとも、何ていうんでしょうか、不正使用とか、それから違法な行為に基づくものというのは明確ですので、解決には当然結びやすいと思いますし、不正使用は当然消費者の被害ですので、これについて我々が争うこともありませんし、消費者に負担させることもございませんので、こういったものは非常にわかりやすいと思います。

一方で、若干主観が介在すると言ったら変ですけど、効果とか主観が介在するようなものというのは、我々のほうでも解決が非常に難しいと。要するに、消費者の方が効果の結果についてご不満があるとか、そういう感覚的なものが介在するものは非常にこじれますし、解決の糸口がとても見えないというようなことはありますけど、ちょっと済みません、レベルが合っていないので、お答えになっているかどうかわからないのですけど、何かそんなイメージでご回答させていただきます。

【岩原座長】

長楽委員。

【長楽委員】

先ほどもお話をいたしましたけれども、だまされて、又は脅されて前払式支払手段を購入させられ被害にあった方の事例は、国民生活センターのほうからお聞きしているわけでございますけど、我々ができることは、先ほどもお話ししましたように、注意喚起をいろいろなところと連携してやっていくということではないかと思っております。

【岩原座長】

よろしいですか、松井委員。どうぞ。

【松井委員】

私がまとめる必要もないのですけれども、お伺いしていますと、利用者に理解不足がある場合でありますとか、あるいは利用者が全く不正使用等に関与していなくて、何らかの形でリスクを消費者につけることができない場合というのは、業界としても何らかの対応のシステムを持っているのですね。これに対してそれ以外のもの、特に犯罪行為とかの場合はそうですけれども、これに対しては業界としてもリスクをとることは難しいので、むしろ問題が起こらないような未然措置にどうしても誘導していかなければいけないと感じました。

さまざまな新しい決済手段ができても、以上の構造というのはそんなに変わらないのだろうと思います。ですので、今後の新しい決済手段との関係で制度をつくるとか、あるいは制度にならないレベルで対応するといったときにも、多分、議論の方向性としては、実際にトラブルが起こってから対応できるものと、そうでないものを振り分けながら考えていくというのが、大事なのではないかという感じがいたしました。

どうもありがとうございました。

【岩原座長】

よろしいでしょうか。

それでは、大分時間を超過しているので、ほかに特にないようでございましたら、議事を進めさせていただきまして、事務局から、銀行業規制等について説明をお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

それでは、私のほうからご説明を申し上げます。A4の横紙、右肩に資料3と付した資料を配付しているかと存じます。

1枚おめくりいただきまして、1ページ目に表を記載しております。これは、以前の会合におきまして、銀行あるいは資金移動業者等に関する規制についてお話がございました際に、銀行及び資金移動業の規制内容がどのようになっているのか、それを比較して説明をというお話がございまして、それを受けまして作成したものでございます。

また、2ページ以降につきましては、こうした銀行業規制のあり方について、その考え方ですとか、近年の状況変化を踏まえて、銀行業規制のあり方などをどう考えるかについてまとめたものでございます。

まず、1ページの表からご説明を申し上げます。左側に銀行についての規制、右側に資金移動業についての規制を記載しております。

上から、ポイントだけかいつまんで申し上げますと、為替取引の提供主体としては、銀行は、免許制に基づき銀行のみが行うことができると。一方で、資金移動業者につきましては登録制となっております。

上限金額、これは為替取引の上限金額ですが、銀行については上限は特段規制されておらず、資金移動業者については、少額の取引、具体的には1回当たり100万円以下となっております。

次の欄でございますが、銀行は、ご承知のとおり預金の受け入れ、あるいは預金を原資とする貸し付け等が可能であります。一方で資金移動業者につきましては、預金の受け入れ、あるいはそれを原資とした資金の貸し付けを行うことは、正面から認められていないと。

兼業規制につきまして、銀行は原則兼業禁止、資金移動業は兼業規制はなく、ただ、公益に反する他業はやってはいけないということが規定されております。

また、財産的基礎として、銀行については最低資本金20億円となっております。また、いわゆるバーゼル規制など、自己資本比率規制ということで、財務内容については比較的厳格な規制がされております。一方で資金移動業につきましては、業務の確実な遂行に必要な財産的基礎は求められておりますが、最低資本金ですとかバーゼル規制等は課せられていないこととなっております。

預かった資金の保全としまして、銀行については預金保険制度の対象となっております。資金移動業につきましては、為替取引に関して利用者に対して負う債務の原則全額及び還付費用の保全(供託等)で行うこととなっております。また、最低限として1,000万円は、こういった保全が必要となっております。

議決権等々とその次に書いておりますが、これは、例えば銀行がどちらかの会社の議決権を取得しようとするときに、取得制限がございます。また、銀行の株主、誰が株主になるかにつきましても、主要株主規制等がございます。また持株規制等があり、さらに、銀行がその事務を別な業者に代理として委任する場合につきましても、銀行代理業者に対する規制がございます。一方で資金移動業につきましては、こうした議決権の取得制限、株主規制、持株規制等はなく、また業務の委託に関しては、適正な指導を行うということでございます。

報告・監督体制につきましては、事業報告書ですとか立ち入り検査等々の規定がございます。

最後にマネー・ロンダリングの規制とございますが、警察庁が所管する犯罪収益移転防止法という法律がございます。この中で、最初の取引の際に本人確認を行ったり、また犯罪による収益と疑われる場合には、主務官庁を通じて、警察当局に対して疑わしい取引を報告する義務というのがございます。これは、銀行、資金移動業、両方に同様に規定されております。

次のページをおめくりいただきたいと存じます。では、こういった規制について、基本的な考え方とか、これまでの議論で出てきました近年の状況変化等を踏まえて、どういう考えがあるかということをまとめたものでございます。

最初の丸に書いておりますが、銀行は、預金を受け入れ、預金を活用した信用創造機能や、同一行内での預金者等の間、または銀行間での決済ネットワーク等を提供している。こうした銀行の機能は経済システムの根幹を支えている。

これらの機能が適正に維持されるよう、銀行に対しては免許制に基づくさまざまな規制、財務健全性に関する規制、あるいは業務範囲規制等があり、加えて預金保険制度及び中央銀行によるセーフティーネットが整備されている。

これに対し、資金移動業者は、銀行のみに認められていた為替取引について、少額のサービスに限り営むことができることとなったが、預金の受け入れを行わないなど、従来の銀行の固有業務の一部を行うに過ぎず、こうした事業内容等を踏まえて、登録制とした上で、送金途上にある資金と同額の資産の保全を義務づけることで、銀行に係る厳格な規制の代替としている。

その次、アスタリスクで注意書きを書いておりますが、例えば資金移動業と貸金業をあわせて営むような業者が登場した場合に、別途の考慮が必要ないか等についてさらなる検討が必要かと思われます。

近年、決済を起点としてノンバンクプレーヤーによる金融サービスの提供が拡大し、決済関連の業務を幅広く提供するようになってきている。具体的には、多様な決済手段・デバイスを提供するもの――いろいろご紹介がされましたが、例えばデバイスとしてスマホですとか、いろんなものが提供されていると。また、銀行と利用者の間を取り次ぐ窓口機能を提供するもの――ヒアリングの中で米国のSIMPLE社という例がご紹介されておりました。こうした銀行と利用者の間を取り次ぐような機能、また、決済に関するさまざまな情報処理を提供するものなどが登場している。

ノンバンクプレーヤーが登場し、決済関連業務を幅広く展開することは、イノベーションを促進し、利用者利便の向上に貢献する。IT分野の技術革新等の成果を取り込み、決済サービスの高度化を進めるとの要請に応えていくためには、ノンバンクプレーヤーも含めた多様な主体の事業展開を促していくことは重要な課題。

他方、ノンバンクプレーヤーの機能拡大が進む場合、例えばノンバンクプレーヤーの破綻、あるいは、破綻ではありませんが、コンピューターシステムの停止等に伴うリスク、こうしたリスクが増大するおそれがある。このリスクを低減させるとともに、万が一そうした破綻等が発生した場合においても、銀行の信用創造機能や決済ネットワークに大きな影響が生じることがないよう手当てをしておく必要があるのではないか。

次のページをおめくりいただきたいと存じます。

さらに、ノンバンクプレーヤーによる決済関連業務が拡大する一方で、銀行サイドにおいても、各行の創意工夫のもとでこれらの業務を展開し、収益機会を拡大していくといった選択肢が与えられなければ、経済システムの根幹をなす決済ネットワークの維持・高度化が困難となる可能性がある。

また、従来、銀行と銀行サービスの利用者との関係は、主に両者が直接コンタクトして処理されてきた。他方、銀行と銀行サービス利用者の間に立って、両者を介在するサービスが拡大し、こうしたサービスに関連してトラブルが発生する場合、利用者保護をどのように図るかといった課題も存在していると。

次の欄で、銀行業規制等の考え方と書いておりますが、こうした中にあって、銀行業規制等のあり方を考えるに当たっては、以下の点を踏まえる必要があるのではないか。

まず1点目でございますが、銀行は、預金を活用して信用創造機能を発揮するとともに、決済ネットワークを提供し、決済をめぐる中核的な領域を担っている。銀行の中、あるいは銀行と銀行の間において、各プレーヤー間の決済の完了、いわゆるファイナリティの付与を円滑かつ安定的に行うことは、経済システムの維持にとって極めて重要である。

ノンバンクプレーヤーが担うことが認められる領域については、利用者利便やイノベーションの促進等を図る観点から、参入をいたずらに疎外するような規制は排除する必要がある。

他方、利用者保護、信用創造・決済ネットワーク維持等の観点から、リスクの高い業務には、このリスクに応じた適切なルールが必要ではないか。また、ノンバンクプレーヤーによるサービスの提供が途絶した場合にあっても、経済システムに大きな影響が生じないようにしておく必要がある。

銀行サイドにおいても、必要に応じてノンバンクプレーヤーとの連携等を図りつつ、各行の創意工夫に基づき、決済関連業務を戦略的に展開していくことを可能とするような業務範囲規制など、制度のあり方を考えることも必要。

なお、検討に当たっては、金融業務が国際的な広がりを持つ中、諸外国の制度や実態等も重要な観点となるのではないか。

ちょっと駆け足になりましたが、以上、いただきましたご指摘と、これまでの議論などを踏まえて、銀行業規制等についての考え方を取りまとめたものでございます。

私からは以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは、質疑、応答、自由討議に移りたいと思います。どなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いいたします。

いかがでしょうか。森下委員、どうぞ。

【森下委員】

ありがとうございました。今、お話しいただいた中で、銀行業規制の考え方というところにおいて、決済をめぐる中核的な領域というのは、ほんとうにしっかりとする必要があるということとあわせて、リスクの高い業務には、当該リスクに応じた適切なルールを設けると。少し業務が多様化してきていることに対応して、例えば為替取引に当たるか否かで割り切るのではなくて、もう少しきめ細かなルールのつくり方というものを考えていったらいいのではないかというようなお考えが、示されていたのかなというふうにお伺いをしました。

私自身は、そういった方向が必要であるように感じています。為替取引は受信と与信をあわせ営むので、銀行が行う必要があるというのが、昔からそういった説明がされてきたような記憶をいたしておりますけれども、ただ、最近、資金移動とか決済との関係で問題となっているのは、そういった受信、与信ということのみならず、例えば無権限取引がなされたときにどう対応するかですとか、あるいは、先ほど破綻のリスクに対処するというふうなお話もありましたけれども、破綻のみならず、本来届けられるべき通知が遅延するというような、遅延に係るリスクというのもあると思います。あとは情報の管理とか、サイバー攻撃にどう対処するかと、いろいろなリスクというものが――お客さんから資金を預かっている者が破綻したら困るというようなものが、昔の為替取引なんかで考えていたリスクの典型的なものなのだという気がいたしますけれども――そうではなくなってきていて、例えばお客さんの資金を預かっていなければ監督の対象としなくていいというような単純な割り切りでは、済まなくなってきているのではないかなという気がいたします。

そのように、リスクのあり方もサービスの内容も非常に多様になってきていますので、むしろ為替取引というような概念にこだわった、それを維持した規制のあり方というよりも、もう少し細かくサービスの内容ですとかリスクの内容、質というようなものを分析して、それに対応してきめ細かな規制を考えていくといった、先ほどお話のあったお考えの方向性というのは、非常に説得力のあるもののようにお伺いをしました。これは意見ということでございます。

【岩原座長】

はい。ほかにいかがでしょうか。

小野委員、どうぞ。

【小野委員】

ありがとうございました。2点ご質問をさせていただきたいと思います。

1点目は、資料の3枚目というのか、右下に2ページと打ってあるところですけれども、アスタリスクで、資金移動業と貸金業をあわせて営むような場合は、さらなる検討が必要かもしれないと指摘されていますが、その趣旨をもうちょっと詳しく教えてください。

今日ご説明いただいた資料によると、今のところ資金移動業については、兼業規制はないとのことですが、その理由は、資金移動業者の為替取引に関しては、供託等の形で別途保全してあるので、そこについては問題ないと考えて兼業についても特段制限をかけていない、というのが従来の考え方だと理解しました。仮にそうだとすると、特に貸金業だけ分けてさらなる検討をする必要もないようにも思ったのですけれども、何か状況が変化していて、これについて検討が必要だと思われている理由があれば教えてくださいというのが、1点目です。

2点目ですけれども、新しいプレーヤーなり手段なりというのが出てきたときの規制のあり方をどう考えるかということですけれども、先ほど森下委員から、リスク自体が多様化しているというお話がありましたが、もう一つの観点として、2009年以降の金融危機というのがまさにそうだったわけですけれども、決済のファイナリティを持っているプレーヤー以外が破綻する場合でも、金融システム全体がおかしなことになってしまうかもしれないということがあります。そうした場合の規制がどうあるべきかというのは、今、議論されているところだと思いますが、決済というエリアにおいても、多様化しているリスクをきめ細かく把握することに加えて、その事業者が破綻した場合にどういった影響があるのかという、システミックリスクに応じて規制のあり方を変えるという発想があってもいいのかなと思いました。今のところ、そういうプレーヤーがなかなか決済のエリアでは見当たらないということかもしれないのですけれども、将来的には課題になるかもしれないなと、これは感想になります。

以上です。

【岩原座長】

はい。それでは、今の点について金融庁のほうから、佐藤参事官。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

今のご質問につきましては、確かに今、お話がございましたとおり、資金移動業者につきまして、原則全額の供託があるということで、そこは銀行と異なるところでございます。釈迦に説法だと思いますが、銀行は、預金を受け入れて、それをもとにして貸し付けを行って、信用創造機能を果たしております。今現在何らかの問題が生じているとまでは思わないところもあるのですが、資金移動業と貸金業なり、あるいはほかの業態でも結構ですけれども、抽象的な表現を使うとするならば、銀行業務がアンバンドリング化する中で、アンバンドリングしているものをグループとして合わせたときに、銀行と同じような機能を果たす例もあり得なくはないと思われます。

問題は、規制を考えるに当たって、将来想定されるもの、あるいは今、存在しているものについてどう考えるかといったときに、実態も踏まえる必要がありますが、決済の分野における変化が非常に早いとするならば、今後の変化の可能性も踏まえて、何がしか考えるべき点があるとするならば、そういうことを考えることも必要ではないかということで、備忘的にアスタリスクで書いたという、そういう問題意識でございます。

【岩原座長】

小野委員。

【小野委員】

ありがとうございました。ちょっと済みません、先ほど質問を1つし忘れたのですけれども、これは初歩的な質問で恐縮ですけれども、仮に資金移動業者が、本来であれば分別管理しなきゃいけない資産をきちんと保全しておらず、また、監督当局もそれを把握していなかった場合に、その事業者が破綻したときに、その事業者に為替取引の依頼をしていた人たちのお金というのは、ほかの債務よりも優先されるのですか。それとも、それは同順位なのでしょうか。

【黒井総務企画局企画課信用機構企画室長】

そうした事例が発生したことがないということもあり、また、監督は恒常的に行われておりまして、資金移動業者に関しましては、週単位で保全が行われているかどうかということで義務がかかっている状態でございますので、実態問題として、そうした事態がなかなか想定しがたい面はございますけれども、万が一そのようなことがあった場合ということについては、その実態に応じて少し判断を加えなければいけない部分はあろうかとは思っておりますけれども、現状においては、少なくとも供託、あるいは保証契約、あるいは信託といったような形で保全が行われることが前提となっていると、未決済部分についてはそうした保全義務がかかっていて、監督もさせていただいているという状況であろうかと思ってはおります。

保全がなされない場合が制度上は想定されていない面がございますので、その実態に応じて、どういった形での支払いを行っていくかというのを考えていくことになろうかとは思っております。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

済みません。

【岩原座長】

佐藤参事官。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

若干補足して申しますと、先ほどのペーパーでも供託とだけ書きましたが、供託に代替する方式というのもございます。保証契約を結び、それで供託にかえるということも可能でありまして、そうした供託されているもの、あるいは保証契約があるものについては、ほかの債権者に先立って弁済を受ける権利があるということが、法律上書かれております。ただ、それ以外のものについては、特段そういう規定はないということでございます。

【森監督局総務課金融会社室長】

1点だけ補足、よろしいですか。

【岩原座長】

はい。

【森監督局総務課金融会社室長】

ご指摘のようにきちんと供託されているかどうかにつきましては、当然、立入検査をして、ちゃんと供託されているかと、あと、供託する額がきちんと計算されているかということを検証しております。

【岩原座長】

したがいまして、きちんと供託されている履行保証金については、資金決済法の59条1項で、為替取引を依頼した債権者は、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有するという、私法上も優先権を持っていますから、その点では保障されているということになります。

加毛委員、どうぞ。

【加毛委員】

幾つかあるのですけれども、まず、今議論されている優先的弁済についてですが、43条の履行保証金の供託、44条の履行保証金保全契約、45条の履行保証金信託契約があり、59条1項で優先弁済権が規定されているのはその通りだと思います。ただ、例外的な事例を考えていくと、43条1項では、基準日から1週間以内に供託すると定められており、タイムラグがあるので、優先弁済権でカバーされないケースもあり得るのではないでしょうか。その場合には、利用者は一般債権者としての地位に立つことになるのであろうということを申し上げておきたいと思います。

【岩原座長】

はい。確かに細かくおっしゃられれば、43条等についてそういう問題があるということはたしかであります。ただ、それほど大きい額には多分ならないと思いますけれども。

それ以外の質問もどうぞ、構いません。

【加毛委員】

ありがとうございます。

まず資料の1ページにおきまして銀行法と資金決済法の比較を大変わかりやすくまとめていただいております。ただ、他方で、佐藤参事官が先ほどおっしゃったように、このスタディ・グループの問題意識としては、従前、決済、預金の受け入れ、その預金を原資とする資金の貸し付けなど様々な業務をまとめて銀行が営んできたところ、そのアンバンドリングという形で、さまざまな業態が登場してきたので、法制面でどのように考えるべきなのかということなのだろうと思います。そうだとしますと、資金決済法と銀行法を比較すると同時に、貸金業法や出資法なども視野に入れて、規制の比較対象をすることが必要になるのではないかと思われるところです。

このスタディ・グループは決済に関するスタディ・グループであるわけなのですけれども、銀行法における規制の根拠について考えるうえでは、銀行が営む決済以外の機能との対比も必要になるのではないかと考えています。これは質問というよりも、そのような検討の必要があるのではないかという指摘になります。

そのうえで、資料に出ている銀行法と資金移動業の対比について、一つ質問がございます。銀行が部分準備である一方で預金保険制度の対象となっているのに対して、資金移動業のほうは、原則として全部準備とすることで利用者の保護が図られていると理解しました。このことを前提として、先ほど小野委員からご指摘のあった点ですが、資料2ページの「資金移動業と貸金業をあわせ営む業者が登場するような場合」という記述の背後にある問題意識は、貸金業を営む原資が何に由来するのかという点にかかわるように思われます。資金移動業者が資金移動業に関して取得した金銭を貸し付けるのか、それとも資金移動業とは全く別に調達した資金を貸し付けるのかで問題状況は異なると考えられうるからです。

この点に関連するのが先ほど話題になった履行保証金の供託制度です。資金決済法43条は履行保証金の供託について規定していますが、続く44条において履行保証金の保全契約が認められています。その結果、銀行等との間で保全契約を結ぶことができれば、現実に供託する金額を低く抑えることができ、その分を貸し付けに回せるようになるということが考えられます。

質問は、このような可能性が机上の空論に過ぎないのか、それとも、実際に44条の履行保証金保全契約が相当に利用されており、兼業規制がない現行制度のもとでは、資金移動業者が資金移動業で取得した金銭を貸し付けるという潜在的条件がそろっているのかということになります。現状に関する事務局の認識をお教えいただければ幸いです。

【岩原座長】

答えられますか。佐藤参事官。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

今、手元に具体的に保証契約を結んでいる業者がどのぐらいあるかという数字などは、持ち合わせていないところでございます。一方で、貸金業と資金移動業をあわせて行うということについて、記憶が定かではございませんが、両方の登録を受けている業者はいらっしゃったと思います。ただ、貸金のお金は、資金移動業に伴って生じているものなのか、ほかのいろんなビジネスをやっていますので、その中から生じたものであるのか、そこは明確にはわからないところでありますが、両方の登録をとっておられる方はいらっしゃると思っております。

【岩原座長】

ちなみに日本の資金決済法上の資金移動業者に当たるものは、EUの決済サービス指令では決済サービス機関として規制していますが、決済サービス機関が信用供与をすることについて規制を加えています。これは決済サービス機関が信用供与も行うことにより実質的に銀行代替のサービスを提供することを規制しているわけで、そういう問題は起こり得るわけです。また、これは決済との関係ではありませんが、貸金業者が広く社債の形で資金を受け入れて貸し付けを行いますと、特に社債が短期だったりすると、預金を受け入れて貸し付けを行う銀行と似た機能を果たし得ることにもなりますので、それに関する規制が既に日本では金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律に規定されています。

そういうふうに、いわば幾つかの業務をあわせ営むことによって実質的に銀行と同じことをするようになる場合にどういう規制が必要か、現在の規制でいいのかというのは、確かにいろいろ検討する必要があると思われます。

堀委員、その後戸村委員。

【堀委員】

加毛先生のご質問に対しまして、実務的にお答えできる部分があるのかと思いまして、私の知る限りのことを申し上げますが、資金移動業者が未達債務の100%を保全する義務を負っているというのは、海外の法制と比較しても日本の法制は厳しいと聞いております。といいますのは、日常的に決済の業務で預かったお金は払い出さなければならないわけで、それと同額の100%保全、供託なり信託をするということになりますと、ダブルで資産を持たなければならないということになるので、特にグローバルに事業を展開する海外時業者から、日本の法制は非常に厳しい規制であるというようなことを聞いたことがあります。

この点、銀行保証であれば、100%資産を置いておかなくてもよいということになりますので、これを選択する事業者は多いと認識しておりますが、ただ、その場合でも預かった資金を貸付けに回すほどの余力がある会社は少なくて、実際に貸金業と資金移動業をあわせて登録を受けているケースというのは、例えばクレジットカード会社でクレジットカードを発行し、その中でキャッシング業務を行うために貸金業登録をしていて、かつプリペイドカード的なものもあわせて発行するために資金移動業登録もしているようなケースが多いのではないかというふうに感じておるところです。

私のほうから、2点、別の観点なのですが、ご意見を申し上げたいところがございまして、引き続き発言させていただきます。

3ページ目でございますけれども、銀行サイドにおいて、業務展開に応じて業務範囲規制のあり方について考えていく必要があるのではないかというご指摘につきまして、私も実務的に、付随業務にこれは当たるのかどうかというご相談を受ける中で、銀行としては実施したいのだけれども付随業務としてはなかなか整理し切れない業務が出てきているということも感じておりまして、そういう意味では、銀行法上明記されている業務、あるいは付随業務におさまらない業務であったとしても、一定の範囲でこれを営む意義があり、また銀行の健全性に問題が生じないというものであれば、これを銀行が行うということについては非常に有意義であろうと感じております。

例えばでございますが、時代の流れも速く、一律に業務の内容を明記することが難しい、銀行法上、あるいは監督指針に、例えばこういう業務は付随業務に当たるとか、明記しづらいものも出てきているのではないかと感じているところでございまして、例えば、一定の承認を得ることによって業務を行うことができるという道を与えることも、検討を進めてはどうかと感じているところです。例えば、金融商品取引業者においては承認業務というものができるということになっておりまして、こういうものも参考に検討を進めてみるということも、一案ではないかと感じておるところでございます。

もう一つ、その1つ上のポツでございますが、ノンバンクプレーヤーがリスクの高い業務を行うときに、リスクに応じた適切なルールが必要であるということは、総論賛成でございます。

ただ1点だけ、先ほど小野委員からもシステミックリスクについての言及がございましたが、今のところ、ノンバンクプレーヤーとの連携が進んでいるとしたとしても、ノンバンクプレーヤーが銀行のネットワークに直接接続しているケースはほとんどないと認識しております。例えば日銀ネットや全銀システムに直接参加者として参加していることはないわけでございまして、連携といっても、銀行の一利用者として、例えば銀行のEBサービスですとかアンサーサービスですとか、そういったものを使って、一利用者として銀行に振り込みを依頼して、最終的にファイナリティを実現しているというのが現状であると認識しております。

その意味で、既存の銀行のネットワークに直接参加しない、そういった銀行の一利用者としてシステムに参加しているに過ぎないようなケースの場合にも、連携が進んでいる、高度化しているとして、ノンバンクプレーヤーのシステムリスク管理体制について過度な規制がかかることのないように考えるべきではないかというのが、私の個人的な意見でございます。

以上2点、意見を申し上げました。

【岩原座長】

はい。戸村委員。

【戸村委員】

じゃあ、時間が過ぎていますので、手短に意見陳述させていただきたいと思うのですが、私のポイントは、預かった資産の保全ということについてで、1点、今、保証についてはいろいろご議論がありましたが、リーマンショックを見て皆さんご承知のように、保証というのが、金融システム全体に危機が広がるときの1つの経路になりますので、今、現状問題はないと思いますが、今後、資金決済法見直しの段階で、もう一度、保証をもって資金の保全としてよいのかどうか検討課題とすべきかと思いまして、また2点目は、今、またご議論があったように、現状、本来は与信をしないという前提で、資金移動業もしくは前払式支払手段の業態が想定されていると思うのですが、現状の規制では、実質与信が可能だという現状になっておりまして、私の個人の意見としては、それは望ましくないと思います。

その望ましくない状況を是正するには、供託等の準備規制の強化が必要になるわけですけど、その際に、流動性の調達というのはコストがかかりますので、行政側の取り組みとしては、準備資産を、保証もなしにしたとして100%持たせるとして、その準備資産の保有コストをどれだけ下げるかというのが課題になると思います。

個人的な意見としては、供託というのは法務省のサービスで、金融サービスにはそぐわないサービスだと思いますので、できれば、金利のつくような資産で準備資産を保有できれば望ましいかなと思います。少し机上の空論になりますが、日本銀行が今、日銀ネットで日銀当預を提供していますけれども、資金移動業、もしくは前払式支払手段の提供業者にも日本銀行のサービスを提供して、準備資産の預け先として金利のつくような当座預金を提供してもよいか、もしくは代替するようなサービスを提供してよいかと思います。

以上です。

【岩原座長】

はい。

柏木委員。

【柏木委員】

済みません、時間が過ぎておりますけれども、1点だけ意見を述べさせていただきます。

銀行界の意見を集約したわけではないので私見にはなりますけれども、今ご説明いただきました事務局の考え方に大きな違和感はないと思っております。

1つは、プレーヤーが増えていくというのは、イノベーションを起こしていく、決済高度化の中では、不可避な流れだと思いますが、その中で、ファイナリティを担っている銀行だけということではなくて、リスクに応じてそれなりのルールを定めていくということは、非常に健全な考え方ではないかと思います。

それから、もう一つは、決済そのものを考えてみると、決済というのは実は、商取引ですとか、あるいはサービス提供のバリューチェーンやプロセスを考えた場合、最後の部分なわけでございまして、消費者や企業にとってみると1プロセスに過ぎなくて、実際には、買い物をするにしてもサービスを受けるにしても一連の流れがあります。そうした中、多分、これからの決済サービス高度化の1つのキーワードは、フリクションレスだと思います。究極は、未来は、決済していると気がつかないうちに決済がきちんと正当に行われているという世界が、やはり一番便利な世界なわけで、そこにはなかなか行き着かないと思いますけれども、そうなってくると、決済だけ議論しているというのはなかなか難しくて、銀行も、お客様に便利なサービスを提供するという意味では、決済の上流の部分との連携というのを考えていかなければならないというのを、日ごろ感じているところでございます。

具体的にどういうことをやるかというのは、個別行の戦略となりますので、この場で申し上げるのはなかなか難しいとは思いますけれども、海外の事例ですとか有識者の方のご意見を踏まえて、そういう方向で議論していくというのは、良い方向ではないかと考えております。

以上です。

【岩原座長】

はい、播本オブザーバー。

【播本オブザーバー】

先ほどの戸村先生のご意見について、一言だけ申し上げさせていただきますと、日本銀行の当座預金をはじめとする決済サービスの提供は、言うまでもございませんけれども、日本銀行法1条2項の「銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保」という、私どもの法的な目的のもとで行っているものでございます。したがいまして、日銀当座預金、またそのオンライン処理ための日銀ネットを、どのような相手先に利用をしていただくかということについては、そうした法的な目的に照らし、現状においては、銀行その他の金融機関をはじめとする資金決済の主要な担い手等に提供させていただいております。日銀当座預金や日銀ネットへのアクセスの範囲については、そうした法的な目的を踏まえて考える必要があろうかと思います。

【岩原座長】

はい。ほかにありますか。

それでは、そろそろ時間オーバーしておりますので。

最後のところで幾つか非常に重要なご意見、ご指摘がありまして、確かに播本オブザーバーご指摘のとおり、日本銀行に当座預金口座を持つ主体をどの範囲にするか、とりわけ、さらに付記電文付の日銀ネットを使わせるかというような問題にまで至りますと、これは非常に大きい問題になるわけでありまして、それこそ金融制度の根幹に係る検討が必要な問題かと思います。

そのほか、例えば堀委員が提起されました、現在の資金移動業者に課せられている、いわば決済資金全額の履行保証は負担が重いのではないかというご指摘がございましたね。国際的に見て負担が重いのではないか。確かに先ほどのEUの決済指令で申しますと、決済サービス機関は、顧客から預かったそういう移動のための資金について、別勘定にして、それについて顧客が優先的な権利を持つようにすべきだということは規定しているのですけれども、一方で、決済サービス機関の自己資本比率規制を銀行に準じて課しているわけで、そのような形の規制にするのがいいのか、それとも、現在の日本のような、いわば非常にナローバンク的な規制のほうが、コスト、あるいは利用者の保護の十全性で上なのか、そこら辺はかなり比較する必要があるかなという感じがします。

堀委員どうぞ。

【堀委員】

1点だけ補足いたしますと、現在の100%保全規制について、これだけ業務範囲が自由であると、兼業が自由であるということとの比較において、私としては適切な制度であると考えております。

【岩原座長】

EUの決済サービス機関も、金融サービス以外の業務を兼業することが自由です。尤も、そのような兼業をする場合は特別の規制が課せられますが。

【堀委員】

そうですね。

【岩原座長】

ほかになければ、本日の議事は以上にさせていただきたいと思います。

次回は、銀行の決済関連業務をテーマに、柏木委員及び翁委員からご発表いただくことを予定しております。

最後に、事務局のほうから今後のスケジュールなど連絡事項がございましたらお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

それでは、私からスケジュール等についてご案内申し上げます。

次回、第10回の会合は、2月5日木曜日16時から18時を予定しております。

その後のスケジュールですが、先ほど少しお話がございました、諸外国の決済制度やその実態について調査することも重要と思われるところ、私ども事務局におきまして、2月から3月ごろにかけて、海外調査を行わせていただきたいと考えております。その間、若干このスタディ・グループを中断することになりますが、海外調査の終了後、スタディ・グループを再開し、できれば春ごろを目途に、このスタディ・グループとしての中間整理をお願いしたいと考えております。その中間整理を行った上で、主要な課題についてはさらに深度ある検討をお願いできればと考えているところでございます。

事務局からは以上でございます。

【岩原座長】

それでは、長時間、熱心なご討議、どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3560、3558)

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