金融審議会「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」(第5回)議事録

  • 1.日時:

    平成27年11月25日(水曜日)16時00分~18時30分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【森下座長】

それでは、予定の時刻になりましたので、ただいまより「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」第5回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、議事に移らせていただきます。本日は事務局より資料1、討議資料「『仮想通貨』に関する論点マル2」についてご説明をいただき、まず討議を行いたいと思います。その後続きまして事務局より、資料2、討議資料「リテール分野の決済を巡る課題」についてご説明をいただき、討議を行いたいと思います。

それでは、事務局から説明をお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

それでは、事務局より、資料に沿いましてご説明を申し上げます。お手元に、資料1と右横にナンバーが付された討議資料(4)「仮想通貨」に関する論点マル2というものが配られているかと思います。もう一つ前回の資料につきましては、参考資料1と右上にタイトルをつけまして、ご参考までに前回の資料をお手元に配付してございます。

この資料1のほうを、表紙をおめくりいただきたいと存じます。まず最初に、1.はじめにとしまして、前回の議論を振り返っての確認的なところでございます。まず、前回の本ワーキング・グループにおきましては、仮想通貨に関し、最近の諸状況を踏まえて2つの点、すなわちマル1とありますが、仮想通貨と法定通貨の交換所に対して、犯罪収益移転防止法上のマネロン・テロ資金供与規制を課すことの是非等。マル2としますが、マネロン・テロ資金供与規制の導入とともに、利用者保護の観点から規制を導入することの是非、この2点について議論をお願いした次第でございます。

その際、仮に利用者保護の観点からの規制を導入する場合の具体的な規制のあり方は、後日改めて討議ということで、2以下のところで論点を記載しております。

まず規制の枠組みでございますが、仮に利用者保護の観点からの規制を導入する場合、ほかの法制、さまざまな金融法制ございますが、ほかの法制における利用者保護の枠組みなどの例を踏まえると、例えば以下のような義務を措置することが論点となるのではないか。

1つが、誤認防止のための説明。例えば、仮想通貨は法定通貨との交換が保証されていないということなどの説明。また、業者による名義貸しの禁止。3つ目としまして、利用者の保護等に関する措置の実施。具体的には、利用者に対する情報提供。例えば、取引内容ですとか、その際の手数料、また苦情があった場合の連絡先等が想定されます。また、金銭等の受領の際に書面交付、電磁的な方法もあり得るであろうと。次に内部管理としまして、社内規定の策定、従業員に対する研修の実施等が考えられます。4つ目のポツに書いてありますが、利用者が預託した金銭・仮想通貨の分別管理。

次のページにお進みください。情報の安全管理。具体的には、システムのセキュリティ対策や個人情報の安全管理。また、財務規制。最低資本金や最低純資産規制など。それと帳簿書類の作成・保存、また事業報告書の当局への提出。当局による報告徴求、検査、業務改善・停止命令、登録等の取り消し等があり得るかと考えられます。

これらのうち、幾つかの論点を個別のところについて記載をしております。分別管理については、我が国の金融法制上、供託の方法で保全するもの、信託の方法で保全するもの、自己の資産と顧客資産を明確に区分し、直ちに判別できる状態で管理するものに大別される。

この点、仮想通貨については、現時点では私法上の位置付けも明確ではないため、供託・信託を行うことができないとの制約があると考えられるがどうか。また、そうした中で、金銭についてのみ供託・信託を行うこととしても、どこまで利用者保護の実効性があるか疑問であるとの指摘。あるいは、現実に、交換所が金銭の信託を行うことが可能かとの指摘も考えられる。

これらを勘案すると、少なくとも現時点では、顧客資産との区分管理を基本としつつ、現に国内で交換所において顧客資産が消失した事例が発生していることも踏まえ、供託・信託を行わないことを補うものとして、区分管理の状況について、公認会計士または監査法人による外部監査を義務付けられることが考えられるが、どうか。

その下に注を付しておりますが、現行法制上、金融商品取引法に規定する第一種金融商品取引業者に対し、区分管理の状況について定期的に公認会計士、または監査法人による外部監査を受ける義務が課されている例がございます。

その次の丸のところでございますが、財務規制については、前回の審議において、我が国の交換所の中には2つのタイプがあるということで、1つは仮想通貨の売買の場を提供する業者、または仮想通貨の売買の相手方になる業者、こうした2つのタイプの交換所には中小零細事業者もおり、イノベーション促進の観点から、過度な水準にならないようにしてほしいとの要望があった。この点、利用者保護とイノベーション促進の観点とのバランスに留意しつつ、適切な水準が設定されるべきと考えられるがどうか。

また、財務規制を措置するにあたっては、財務諸表の適正性が前提となると考えられるところであり、そのためには公認会計士、または監査法人による外部監査をあわせて義務付けることが適切であると考えられるが、どうか。

次が、規制の対象でございます。仮に利用者保護の観点からの規制を導入する場合、規制の導入については仮想通貨の入手等は交換所を通じて行うことが主な方法となっているところ、仮想通貨と法定通貨の売買等、売買のほか、その媒介や取り次ぎ、代理などもあり得て、また売買に関して行われる金銭または仮想通貨の預託の受け入れも含む、こうしたものを行う交換所は対象とすることが考えられるがどうか。

さらに例えば、仮想通貨の保管のみを行う業者について、少なくとも現段階において、国内で広く展開されているわけではないと見られるが、利用者保護のための規制の潜脱防止といった観点から、あわせて規制することの要否について検討する必要がないか。

その次が、自主規制等でございます。イノベーションの急速な進展等を展望すると、仮想通貨の交換所が提供するサービスの形態も急速に進化していくことが考えられる。前回の審議においては、仮に利用者保護の観点からの規制を導入する場合、基本的には法令により規制を設けるとしても、法令による規制に業界の自主規制を適切に組み合わせることにより、機動的な対応を行うこと等が重要であると考えられるため、業界による自主規制の取り組みを推進することが適当との意見があった。こうした指摘も踏まえ、自主規制団体や金融ADRなどの取扱いについてどう考えるか。

ADRと申しますのは、裁判外の紛争処理手続ということで、紛争が生じた場合に、裁判によらずに業者と利用者との間の紛争処理を行う、そういう枠組みでございます。

注に書いておりますが、自主規制に関しては、登録制の金融関連業については、法令に基づく認定協会等の制度が設けられていることが通例である。また、登録制・免許制の別によらず、主要な金融関連業については、金融ADRの制度が設けられているのが通例であり、例えば資金決済法においても、資金移動業について、同制度が設けられているということでございます。

事務局から、討議資料についての説明は以上でございます。

【森下座長】

ありがとうございました。それでは、討議に移りたいと存じます。それでは、どなたからでも結構ですので、ご発言をお願いいたしたいと思います。それでは、戸村委員、お願いいたします。

【戸村委員】

ありがとうございます。確かに私法上の問題点はあるので、仮想通貨はいろいろな見方があるので難しいと思いますが、前回どなたかの委員がご質問されたように2つの見方があって、投資資産あるいは証券のような投資債券資産として見るか、決済手段として見るか送金サービスと見るか、2つの視点があって、両方の特徴を兼ね備えていると思うんですが、利用者保護、特にテロ対策、マネーロンダリングについては、私は流通市場がある無記名債権のように仮想通貨を見るのが一番よいのではないかと思います。利用者から見ると、仮想通貨の裏には、技術が違いますけれども換金可能で随時値段が変わるという意味では金融資産に似た特徴を持ち、プラス無記名で流通可能という意味では流通市場のある無記名債権と見ると、事業内容を利用者との関係では整理できるのではないか。

その視点からすると、仮想通貨事業者への利用者保護、テロ対策の観点としては、金融商品取引業者と同様の規制を援用すればよいのではないかと思います。ここでいっているのは、金商法の対象にしろということではなくて、どの法律で対処するにしても、規制内容は金融商品取引業者と同様のものにすれば、規制目的は達せられるのではないかという感想です。

1点だけ、分別管理については、仮想通貨は特定のプログラムが認識する取引記録にすぎないので、なかなか通常の有価証券と同様に扱うのは現実味がないと思いました。それで1つは、事業者が仮想通貨口座保有者への仮想通貨の額に応じて現金を供託、もしくは信託するなども考えられますが、その点についても金商法対象業者と同様の規制をすればいいのではないかと思います。個人的には仮想通貨の口座の提供業者というのは、基本的には顧客の支払いに応じて仮想通貨の取引記録をブロックチェーンに記録するという債務を負っているものというふうに理解しておりますので、もう一つの考え方としては、事業者の破産時には口座保有者は一般債権者として取り扱ってもよいのではないかと思いました。感想ですが、以上です。

【森下座長】

ありがとうございました。永沢委員、お願いいたします。

【永沢委員】

ありがとうございます。私は事務局のほうからご提示いただいた論点のペーパーに従って、順に意見を述べさせていただきたいと思います。まず、利用者保護の観点から規制を導入する場合の枠組みについて、ページでいえば1ページ目の下のところです。2のところですけれども、皆どれも妥当なものと理解しております。ご提示いただいた義務を措置することに賛成いたします。

それから、その次の分別管理のところですけれども、現金だけでも預けさせればどうかという意見もあると思いますが、いろいろな方からお話を伺っておりますと、たまたま取引所に預けている現金というのはビットコインとの交換を前提として預けているものであり、現金であるかビットコインかで差が出るのはたまたまということでもあるということを考えますと、不公平であるというご指摘をいただきまして、私はその見解には一理あるのかなというふうに思いました。そもそもいかがわしいけれども便利ということを前提として利用するのですから、取引所が倒産した場合は、特に現金だけ特別に保護というようなことはなくていいのではないかなというのが、私の個人的な感想でございます。

マウントゴックス社の横領事件を繰り返さないという目的のためであるならば、区分管理の状況について事務局のほうからご提示がありました、公認会計士または監査法人による分別管理監査を義務付けるということでよいのではないかとは思っております。相応の負担はあると思いますが、それを受けてくださるというのなら、それがいいのではないかと思っております。

その次の財務規制のところですけれども、最低資本金につきましては、前回参考人の方から1,000万円とか5,000万円という具体的な数字が出てきておりますが、私は幾らならよいという判断ができるような立場ではございませんので、具体的なことを申し上げることは差し控えたいとは思います。ただし第二種金融商品取引業は1,000万円でございますが、第二種の状況は、気付くと登録者数は1,000社を超えており、監督が難しいであろう件数になっていることを考えますと、最低資本金が1,000万円という低い数字でいいのだろうかというふうに感じております。また第二種はファンドですので、購入者も限られておりますけれども、こちらは金額は大きくないとは思いますが、利用者数がかなりの数になる可能性はあるので、私は1,000万円では低過ぎるのではないかとという問題意識を持っているという点は、ここで述べさせていただきたいと思います。

また、マウントゴックス社のような事件を繰り返さないためには、公認会計士または監査法人による外部監査を義務付けることは当然のことではないかというふうに感じております。

それから、その次の規制の対象のところですけれども、この点は前回も申し上げましたけれども、私はこのビジネスの全体像がよくわからないものですから、いろいろと想像して申し上げている部分もあるとは思いますけれども、ウォレットのように仮想通貨の保管を行う業者については、個人情報を扱うようでもあり、変な業者がここに入り込んでしまうのではないかという懸念を抱いており、代表者がどなたで、事務所はどこにあり、誰が出資者なのかというような情報は最低限の情報ですので、少なくとも当局に把握しておいていただきたいとは思っております。

それから、自主規制団体につきましても、これも前回申し上げましたけれども、私はやはりこの自主規制団体というものが非常に重要な役割を果たすと期待しておりまして、法令に基づく認定協会などの制度を設けることができるならば、それが一番望ましいですし、難しいことは重々理解しておりますけれども、やはり全ての事業者がこの自主規制団体に加入するようにしていただきたいと思っております。投資型クラウドファンディングの議論のときに、第二種の加入率が大変低く、それを促すためにはどうしたらいいかというところで、金融庁でかなり工夫をしていただきましたが、同様の工夫をいただき、金融庁には大変な負担にはなると思いますけれども、自主規制団体への加入が促進できるような仕組みをつくっていただきたいと思っております。

それから最後になりますが、これは論点のほうには上がっていないことではございますが、やはり利用者にどういうリスクがあると知らせるか、リスクの注意喚起ですね。どういうリスクがこの仮想通貨にあるのかというのが正直まだよくわかっておりません。きちんと議論して、どのようなリスクがあるということを、利用する利用者が取引に入る前に、適切に告知できるようなことも、やはり利用者保護の重要なポイントではないかというふうに私は思っておりまして、その点も手当をお願いできたらと思っております。以上でございます。ありがとうございました。

【森下座長】

ありがとうございました。ほか、ご意見いかがでしょうか。そうしましたら、関委員、次に廉委員お願いします。

【関委員】

ありがとうございます。まず定義ですが、仮想通貨、今、規制をどうするかという議論の対象としている仮想通貨の定義が何であるか、その外縁といいますか、それがよく理解できておりません。現時点では「いわゆる」仮想通貨であり、例えばビットコインとか、幾つか現れているものということなのかもしれませんが、そのあたりの定義があまりにも広くなり過ぎると、規制対象が広がり過ぎて支障が生じると思っていますので、慎重な議論が必要と思っています。

もう1点、前回もちょっと同様のことを申し上げたんですが、現状のいろんな側面といいますか、いろんな状況。例えば、国内における利用の実態でありますとか、海外におけるルールの状況でありますとか、国内の他の決済手段の規制の状況とのバランスでありますとか、そういったことも十分に考慮しながら、リスクに応じた規制を考えるべきだろうというふうに考えております。イノベーションを阻害するような規制にならないよう、くれぐれも注意が必要と思っています。以上です。

【森下座長】

ありがとうございます。それでは、廉委員、お願いいたします。

【廉委員】

ありがとうございます。私も規制強化は賛成ですが、1点だけ利用者保護のところで気になる点があります。仮想通貨は価格変動性が高く、一般の人が使うには、非常に難しい商品だということもあり、利用するにあたって、顧客の投資家が、仮想通貨を熟知している適格な投資家かどうかということを、取引所がある一定金額以上を投資するお客様に対する内部管理体制を整備することが特に重要であると考えております。これはマネロン対策にもなります。

利便性よりは利用者保護に対策が傾斜するのは、マウントゴックス社の事件もあり、もう1度同じような事件が起こると、仮想通貨の利用が日本では難しくなってしまいますので、ある程度仕方がないと思っています。以上です。

【森下座長】

ありがとうございました。沖田委員、お願いいたします。

【沖田委員】

ありがとうございます。今ほどの委員の方々からのご意見に対してなんですけれども、まず関委員のご指摘、非常に賛同するところでして、仮想通貨というふうに言いながら議論していますけれども、おそらく前回も含めて、いわゆるビットコインに代表されるような暗号通貨ですね。かつ発行体が存在していないというものをわりと念頭において議論が進んでいるんじゃないかなと思いまして、仮想通貨というとおそらく電子マネーとかもイメージに入ってしまうので、確かにここはどこまでを対象にするのかというところは、クリアにしていくべきだなというのは同感でございます。

それから、廉委員もおっしゃられたように、やはり特にビットコインを中心とした暗号通貨というのは非常に利用者自身のスキルというか、常識で考えれば比較的リテラシーの高い方が利用者であるというケースが多いと思うんですけれども、今回はどちらかというとそれが全体的な部分での定義になっていますので、それを踏まえての消費者保護になっていますので、ちょっと私、先ほどおっしゃられたように、どうしたら投資家を管理していくのが望ましいのかというところは、これはちょっとなかなか現実的な方法というのは簡単ではないんじゃないなというふうには思うんですけれども、一方ですべからくほとんどの国民がこれを利用するというのは、ちょっと現実的には考えづらいところがありますので、やはり実態としてはかなりリテラシーの高い方が本来使うべきものではないかなというところです。

最後にもう1点、2ページ目の集団の部分でございます、金銭についてのみ供託・信託を行うことが、利用者保護の実効性があるかという観点についてですけれども、これは私の意見としては、やはり金銭のみということであれば、消費者保護という観点ではこれは機能しないんじゃないかなというふうに考えております。理由としては、これも皆さんご存じのように、特にビットコインを中心に、急騰・急落というところがありますので、仮に急騰したケースでいえば、その方が例えば仮に1万円分を買ったということであっても、ビットコインの価値は利用者の方からすると、その後非常に値段が上がれば、例えば3倍になれば3万円分があるんだというふうに、利用者の視点では思うのが通常でございますので、これを1万円だけ保護されても、それでは納得いかないというのは、おそらくその消費者の観点ではないかなというところでございます。必ずしも区分管理が最適だというふうに考えているわけではないですけれども、利用者保護という観点では、金銭のみでは実際としては機能しないんじゃないかなと、こういうところを意見として申し上げたいと思います。

【森下座長】

ありがとうございました。堀委員、お願いいたします。

【堀委員】

事務局案ということでいただいている論点整理については、基本的に私としては異存はございません。2つ、お尋ねの形で記載いただいている部分ですが、3ページ目の、まず保管のみを行う業者についてどう考えるのかという点については、まさにご指摘のとおり、少なくとも現段階においては、国内で広く展開されているというわけではないということと、保管だけのサービスというよりは、取引所とセットになったようなサービスのほうが類型としては多いということから、必ずしも保管のみを行う業者については規制の必要性はないと考えます。

利用者保護のための規制の潜脱防止という観点から、例えば取引所が保管だけを誰かに対して委託するようなケースですとか、保管だけを切り出して営むようなケースがあるのかどうかわかりませんけれども、これから出てくるとすると、例えば取引所に委託先の監督義務を課すことによって、一体として監督していくことが可能なのではないかというふうに考えます。

また、3ページ目の下の自主規制と金融ADRについての取扱いでございます。自主規制に関しましては、認定協会等の制度について設けることについては異存ございません。ただ、金融ADRということになりますと、ややコストが発生する話だと思います。今、資金移動業者でも金融ADRというものを整備するために、多額のコストが発生しているというふうに認識しております。先ほどもご意見の中にもありましたが、比較的こういったものを利用する方はリテラシーの高い方であるということ、それから、表示義務がきちんとなされている限りにおいては、自己責任という考え方もあり得るところだと思います。したがって、金融ADRというところまでの整備までは不要ではないかと個人的には考えております。以上です。

【森下座長】

ありがとうございました。加毛委員、お願いいたします。

【加毛委員】

ありがとうございます。私も特に異論があるわけではないのですが、2点コメントがございます。まず2ページの、先ほどから話題になっている分別管理につきまして、私法上の位置付けが明らかでないというのは、その通りなのですけれども、明確でないからどうすべきかということがまさに問題であると思います。現段階で必要な規制を入れるという観点からすれば、おそらく討議資料に書かれている内容になるのでしょう。しかし仮に仮想通貨が普及し、投資の対象というより決済の手段として利用されるようになってくると、別の観点からの法制度の整備がやはり必要になるだろうと思います。現在のところ、仮想通貨は出資法や資金決済法を含めた現行法の適用対象ではないわけですが、今後利用が拡大したときには、それに応じた法制度の整備が必要になるだろうという問題意識を持っておくことが重要であるように思います。

2点目は、3ページの保管のみを行う業者についてでして、私も先ほどの堀委員と同様の意見を持っています。討議資料の「少なくとも現段階において、国内で広く展開されているわけではない」という表現に、事務局が様々なことを考慮していることを感じるわけでして、国外には保管のみを行う業者も相当存在するのではないかと思います。ただ、国外の業者に対する日本法の規制には限界があるでしょうから、現段階では、保管を委託する側の交換所等に適切な委託先を選ばせるという形で、一定の選任・監督責任を課しておくことが考えられるように思いました。以上です。

【森下座長】

ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。

私から質問させていただいてもよろしいでしょうか。今、仮想通貨の保管のみを行う業者についてお話があって、そういった業者に関しても多少規制を考える余地があってもいいのではないかというご意見もあった一方、現時点において国内ではそういった業者がないのであれば、特に規制は不要ではないかというご意見もあったと思うのですが、まず現状がどうなのかということについて、多少情報共有できていたほうがいいのかなと思いまして、もし事務局のほうでご存じであれば、お話をいただけますでしょうか。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

まず現状について、我々の認識しているところでは、国内でもっぱら保管のみを業務として行っている業者は、確認はできていないと思っております。ただ、もちろんインターネットの世界ですので、世の中の変化は激しい可能性もあり、そこは注意する必要があるかと思っております。

もう一方で、国外の業者が、グローバルベースでいろいろなウォレットを提供しているというものはたくさんあるというふうに認識をしております。実際にそういうサイトを見ますと、多言語でもって、グローバルに利用者がいることを前提にウォレットを提供し、なおかつビットコインにつきましては、自分でシステムをダウンロードして、自分でウォレットをつくることもできるのですが、その手のことに詳しい人でないとできないということもあり、おそらく個人の人は多くがそうだと思いますけれども、そういうウォレットサービスを利用していると。私が知る限りで、その多くは無料でウォレットを提供しているというふうに思っております。この点も、例えば今後いろいろなサービスを付加することによって、有料の業務としてやるようなことも全く否定はできないところであろうかと思っております。そういう世の中の流れと足元というところ、両面踏まえてどう考えるかは、よく検討する必要があるかなと感じているところであります。

【森下座長】

ありがとうございました。諸外国ですと、こういう保管業者も規制対象としている例もあるのでしょうか。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

諸外国では、例えばアメリカのニューヨーク州は、仮想通貨の保管業者も含めて規制の対象にしているということであります。では、保管業者というもの、ニューヨーク州以外に所在する業者はどうなのかというところにつきましては、ニューヨーク州の居住者に対して、そういうサービスを提供する人は、規制の対象になるようであります。ただ、具体的な法の執行をどういうふうにするのか、現実の実態は、たまたま会社の人がニューヨーク州に足を踏み入れたら規制の手が伸びるのか。あるいは、警告のような形でやるのか、そこの実態は必ずしもわからないところでありますが、法規制としては、保管業者もニューヨーク州では対象になっている模様であります。

【森下座長】

ありがとうございました。私が知りたい点について質問させていただきましたけれども、保管の点でも結構ですし、ほかの点でも結構ですけれども、何かご質問、ご意見ございますでしょうか。どうぞ。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

事務局から、私の感じたコメントといいましょうか、1つ発言をさせていただければと思うのですが。先ほど永沢委員からのご発言の中で、例えば代表者ですとか所在地とか、そういうことは把握しておく必要があるのではないかと。そこは同感を感ずるところでございます。一方で、具体的に規制とか制度を考える際に、我々が悩んでいる点の1つとしまして、適切な表現かどうかわかりませんが、少し俗な言葉で言いますと、中途半端な規制というものがどういうふうにワークするのかということがあると思っております。中途半端と申しますのは、例えば何か最低限の届出とかをすることによって、金融庁届出業者ですから安心してくださいといったようなセールストークが行われる可能性というのもまた否定できないところで、そのあたりをバランスとしてどう考えるのかというところも念頭に置いていく必要があるのかなと感じたところであります。

【森下座長】

ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。

それでは、ほかにご意見、ご発言がないようでしたら、資料1についての討議を終わらせていただきまして、続きまして事務局より、資料2、討議資料「リテール分野の決済を巡る課題」のご説明をいただきたいと思います。お願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

それでは、引き続きまして私からご説明を申し上げます。お手元に、右上に資料2と書いた資料、討議資料の「(5)リテール分野の決済を巡る論点」と表紙についたものがあろうかと思います。もう一つ参考資料2という、グラフがついている資料があろうかと思います。この参考資料2につきましては、資料2の説明の中で活用させていただいて、ご説明を申し上げたいと思っております。

それでは、資料2の表紙をおめくりいただきたいと思います。リテール分野の決済を巡る状況としまして、まずこれまでのこのワーキング・グループ、あるいはスタディ・グループの審議においても明らかにされておりましたとおり、リテール分野の決済サービスを巡って、近年急速な変化が進んでいると考えられるところでございます。ここまでもご承知のとおり、FinTechの拡大に代表されるように、リテール分野では金融・IT融合の動きが進行している。例えば、サーバ型のプリペイドカードの増加や、インターネットや携帯可能な端末などを利用した新しい決済関連サービスの拡大などが見られるということでございます。

これを受けまして、2のリテール分野の決済を巡る論点ということで、(1)から(7)まで、7つの大きな論点を記載しております。「こうした動きの中で」と書いておりますが、現行の法規制の中には、イノベーションの動きに十分対応できていない部分があるとして、例えば以下のような点について見直しの要望があるが、どのように考えるか。

まず最初(1)として、プリペイドカードの表示義務でございます。現行の資金決済法では、プリペイドカードについて、証票等または一体物の交付がある場合には、利用者のために当該その証票や一体物に支払可能金額等を表示することを義務付け、一方で証票や一体物の交付がないような場合、このインターネットだけで利用できるようなプリペイドについては、インターネット等による情報提供を義務付けているということになっております。

他方、近年、インターネットの利用と連動して使用されることが前提となっている、多様な形態でのIC型のプリペイドカード、例えば時計型のネット端末なども登場しており、こうしたものにおいては、証票や一体物の上に情報を表示することが困難なものも多い。このように、プリペイドカードが情報端末などの電子機器であるものについては、利用者に対する情報提供をインターネットで行うこととしてもよいのではないかとの指摘があるが、どう考えるか。

次のページ、2ページにお進みください。(2)としまして、プリペイドカードの業務廃止時の公告方法でございます。現行制度では、プリペイドカードに係る業務を廃止した場合は、払戻手続の一環として新聞公告、日刊新聞への公告を行う必要があるとされております。これはプリペイドカードの業務が廃止される場合に、その保有者は公告で定められた期間内に申し出を行わなければ、払戻手続から除斥される権利がなくなってしまうために、十分な周知を行うことが重要ということであります。

他方、インターネットで利用されるプリペイドカードが増加する中で、このようなプリペイドカードは、インターネットでの利用が前提となっていることから、新聞公告にかえて電子的方法によることを許容してもよいのではないかとの指摘がある。この点について、どう考えるか。

3点目、(3)としまして、プリペイドカードの供託義務の算定でございます。現行、プリペイドカード発行者は、年2回の基準日、具体的には3月末・9月末の2回の基準日における未使用残高の半額を供託することとされております。この供託義務は、利用者の資産保全を図るためのものであり、利用者保護の観点から重要と考えられる。

他方、基準日後に未使用残高が急速に減少するような場合、手元資金の不足が生じ得る。このため、継続的な適用を前提としつつ、現在の年2回の基準日のほか、選択した場合には、中間時点である6月末日、12月末日も基準日に加えて年4回の基準日とし、算定の柔軟化を図れないかとの声があるが、どう考えるか。

ここで参考資料2参照と書いておりますが、参考資料のグラフをごらんいただきたいと思います。このグラフで折れ線になっている曲線があると思います。上の図は現行で、年2回の基準日の際に、一番左、3月31日と書いているところをごらんいただきたいと思いますが、この段階でプリペイドカードの未使用残高、お客さんからもらったプリペイドカードの代金でまだ使われていない額、この半分の額を供託をしなければならないとなっております。この半分の額の供託というのは、3月末から次の基準日である9月30日まで、この間同じ額をずっと供託することが義務付けられております。

一方で、例えば年度末ぐらいにプリペイドカードを発行し、年度が明けて新入学期が始まって、そうするとプリペイドカードが大量に使用されて、ゴールデンウィークのころには大分利用されているといったような場合には、縦の線が入っておりますが、場合によってはプリペイドカードの未使用残高が、供託しなければならない額を下回るようなことがあります。そうしますと、手元に残っているお金以上のものを供託として積まなければいけないために、例えば銀行から借り入れをするなどして、この供託義務を継続していくという必要が生じることがございます。

この上の図にいきますと、9月30日の段階で未使用残高が大分減っておりますので、そうすると9月30日以降、翌年の3月末までは供託額は低い数字になっているということであります。

その下に、四角で囲んでいるところがございますが、実務的な実際の負担ということを踏まえた上で、現行の供託算定の基準日は年2回、3月と9月となっております。それで先ほど申しましたとおり、次の基準日までは、同じ額を供託を継続する必要があるということになっております。

下の図は、この基準日を年4回にした場合には、例えば3月31日の段階で供託額が決まり、次の供託額が決まるのが6月30日ということで、場合によっては未使用残高を上回る供託が生ずることも経過的にはありえるのですが、上の図と比べますと、そこが基準日を複数化することによって、なだらかな供託になると。一方で、例えば12月31日を見ると、この段階では未使用残高がまた上向きになっておりますので、12月以降3月までは、上の図と比べると大きい額の供託が必要になるということでございます。以上が、(3)のプリペイドカードの供託義務の算定のところでございます。

続きまして、資料2の2ページ、(4)のところでございます。デビットカードを活用したキャッシュアウトサービス。欧米等では、「キャッシュアウト」と呼ばれる、デビットカードを活用して小売店のレジで現金を受け取ることができるサービスがございます。具体的には、例えばアメリカのスーパーなどで、受け取りにあたっては端末に自分の暗証番号を入力した上で、レジの中にある20ドルとか40ドルというものをお金として受け取って、それが自分の銀行口座の残高から差し引かれると、こういうサービスがございます。一方で、我が国においてはこうしたサービスは提供されておらず、キャッシュアウトサービスを銀行法令上、「預金の払出し」の外部委託と整理して、サービスの提供が可能であることを明確化できないかといった声があります。

その次のページへお進みください。この点、ATMは、取引の実行に必要な事務処理を定型的に行うことなどから、銀行法令上の「預金の払出し」に係る外部委託として整理されている。キャッシュアウトサービスも、本質的にはこれと同様のものとして、銀行法令上、「預金の払出し」に係る外部委託として整理されると考えられるが、どうか。

同時に、キャッシュアウトサービスを行う場合には、現金の引渡しが、これはATMの場合は機械ですが、キャッシュアウトサービスの場合には人の手を介し行われるために、人の手を介しつつ確実に行われるよう、銀行に対してしかるべき体制の整備等を求めることが、利用者保護の観点から必要との指摘があるが、どう考えるか。

その次、(5)資金移動業の一部廃止に係る手続でございます。資金移動業については、資金決済法上、業務の全部を廃止する場合の届出・公告・履行保証金の払戻し手続等が規定されている。一方で、業務を一部廃止する場合の手続は現行で規定されておりません。

この法制定後、例えば、海外への渡航者向けに、複数の種類のマネーオーダー型サービス、具体的にはあらかじめカードに入金した資金を、海外の提携先のATMなどで出金できるサービスを提供する事業者が登場している。こうした事業者においては、複数種類のカードを発行し、そのうちの一つを、サービスがそれほどニーズがない場合に廃止するといった場合がある。しかし、現行では、業務の一部廃止の手続が定められていないため、廃止したカード内に残高がある場合、事業者は、当該残高分の履行保証金の取戻しを行うことができない。

こうした多様な資金移動サービスの登場を踏まえ、資金移動業の一部廃止したときの手続を整備し、利用者の適切な保護を図りつつ、柔軟な業務展開を可能とすることが考えられるが、どうか。

その次、(6)プリペイドカード事業を譲渡する際の債権者異議手続でございます。現行制度においては、プリペイドカード事業を譲渡する場合には、発行者は、債権者である保有者から個別承諾を得る必要があるとされている。しかしながら、実際上、プリペイドカード発行者は保有者を知り得ず、個別承諾を受け取ることができない。このため、個別承諾にかわる債権者異議手続の創設を求める声がある。

これに対して、プリペイドカード事業の譲渡が行われる場合、譲渡人がプリペイドカードに係る債務を免れる以上、債権者であるプリペイドカードの保有者から個別に同意を取ることが原則であるとの指摘もある。一方で、多数債権者の存在を前提としつつ、法律関係の画一的確定を行う枠組みとして、例えば、約款の変更について、民法改正により、そのルールの明確化を図ろうという動きもある。こうした動きも踏まえながら、引き続き対応を検討していくことについて、どう考えるか。

注で書いておりますが、現在国会で審議が途上になっておりますが、民法の一部改正法案では、不特定多数の者を相手方として行う取引に係る約款の変更について、変更が契約の目的に反せず、かつ変更の必要性や変更内容の相当性等が認められる場合には、インターネット等で適切に周知されれば、個別同意なく約款を変更できるとの規定が含まれているということでございます。

その次、(7)サーバ型電子マネー発行者の加盟店管理義務等でございます。クレジットカードの取引に関連して、消費者が加盟店の悪質な行為が原因であると考えられるトラブルに巻き込まれる事案が増加している。こうした状況を踏まえ、昨年8月、消費者委員会より加盟店管理の実効性向上のための措置を講じること等の建議があり、現在、割賦販売法の見直しに向けた検討が進められている。

これに関連して、サーバ型の電子マネーについても同様の問題が生じているとの指摘があり、本年8月、プリペイドカードのうちサーバ型電子マネーの発行者に対して、法における義務付けを含む、加盟店管理及び苦情処理体制の制度整備に向けた措置を講じる等の建議がありました。

建議を踏まえ、サーバ型電子マネーの発行者の加盟店管理義務及び苦情処理体制の整備義務を、法律上、明確化することについて、どう考えるか。なお、その際、発行者以外にも加盟店管理業務を行う人が存在するケース、例えばアクワイアラーや決済代行業者などがあるが、これらの方々の取扱いをどうするかとの論点が存在する。この点についても、割賦販売法における取扱いも勘案しながら検討していく必要があると考えるが、どうか。

事務局から、ご説明は以上でございます。

【森下座長】

ありがとうございました。ここから討議に移りたいと思います。それでは、どなたからでも結構ですので、ご発言をお願いいたしたいと存じます。いかがでしょうか。それでは、長楽委員、お願いいたします。

【長楽委員】

「討議資料(5)(リテール分野の決済を巡る論点)」について、丁寧にご説明いただきまして誠にありがとうございました。この討議資料の論点につきまして、5点ほどご意見・お願い等を申し述べさせていただきます。

1点目は、1ページの「2(1)プリペイドカードの表示義務」でございます。IT技術の進展に伴い、インターネットと連携する仕組みを前提とする情報端末、例えば身につけて歩くことができる腕時計、リストバンド、指輪など、様々な形態の情報端末がございますが、この情報端末に後発的に前払式支払手段を追加することができるサービスが登場してきております。このような場合、当該情報端末自体に前払式支払手段に係る表示義務を履行させることは、サービスが後から追加されるため表示事項を印刷することができない、仮に表示事項を記載したシール等を当該情報端末に貼るという対応をとったとしても、複数のサービスが追加された場合には貼るスペースが不足するほか、指輪型などでは、元々貼るスペースがないことなどから、事実上不可能でございますので、前払式支払手段による追加サービスの提供自体が困難になることが考えられます。

イノベーションの促進の観点から、討議資料にございますように、当該情報端末を用いてインターネットと連携することによって、インターネットを通じて利用者に対して、対象となる前払式支払手段に係る情報を提供することでもって、資金決済法第13条の表示義務の履行を充足したこととなるよう関連条項の整備をお願いいたします。

2点目は、2ページの「2(2)プリペイドカードの業務廃止時の公告方法」でございます。前払式支払手段のうち、その利用範囲がインターネットを通じたサービスに利用されている前払式支払手段に係る発行の業務を廃止する場合には、当該前払式支払手段の保有者に対する払戻しの公告を日刊新聞紙による公告によらなくても、利用者がサービス提供を受ける際に利用することが前提となる発行者のウェブサイト等において払戻しに係る必要な情報が提供されれば、利用者のための周知が図れることになるものと考えられます。このような場合には、討議資料にございますように、日刊新聞紙による公告に代えて、電子公告で代替することができる措置を講じていただくことをお願いいたします。

3点目は、3ページの「2(5)資金移動業の一部廃止に係る手続」でございます。資金移動業の廃止については、全部廃止の手続は資金決済法上規定されておりますが、一部廃止については、資金決済法上手続が定められておりません。この点に関し、資金移動業者が複数の資金移動サービスを展開しようとする場合において、その全てのサービスを廃止する場合の手続しか資金決済法上規定されていないことから、多様なサービス展開を検討する際の1つの障害になっております。

このような事情を踏まえ、討議資料にございますように、資金移動業を一部廃止した場合の手続を整備し、利用者の保護を図りつつ、柔軟な業務展開を可能にすることができるように所要の手続を整備していただくようお願いいたします。

4点目は、3ページの「2(6)プリペイドカード事業を譲渡する際の債権者異議手続」でございます。前払式支払手段の発行業務を事業譲渡する場合におきまして、前払式支払手段の保有者からの個別同意を要すると解されておりますが、前払式支払手段の場合には無記名のものが多く、無記名の場合には保有者を知り得ず、保有者の個別同意を得ることは不可能であるため、事業再編等においては保有者の個別同意を要しない合併や会社分割といった手法しか活用できないものとなっております。前払式支払手段の発行業務を事業譲渡により他の発行者に承継させる場合には、一定の利用者保護等の手続を設けることにより、包括承継以外の組織再編も可能となるような措置について検討をお願いしたいと思います。難しいことは承知しておりますが、法制上の制約から事業譲渡ができず、事業再編等の経営戦略の策定・遂行等にあたり支障がみられるところでございます。引き続き検討をお願いしたいと思います。

5点目は、4ページの「2(7)サーバ型電子マネー発行者の加盟店管理義務等」でございます。加盟店管理義務等については、消費者委員会から金融庁に対して建議があり、これを踏まえ、このような問題提起がなされたものと考えております。この点につきまして、意見を申し述べさせていただきます。

加盟店管理及び苦情処理体制の法制化にあたりましては、前払式支払手段発行者の事業の実態や、法制化に伴う影響等も勘案してご検討いただきたいということでございます。前払式支払手段は、少額の決済に利用されており、サーバ型前払式支払手段におきましても、入金上限額が概ね数万円までのものが多いものとなっており、1回あたりの利用金額も概ね2,000円から3,000円程度と、他の決済手段と比べて少額なものとなっており、身近な小口決済手段として普及しているものと考えております。

また、前払式支払手段発行者は、大規模事業者もございますが、総じて小規模事業者が多いものとなっております。このような中で、新たに法的規制を課された場合、その規制の内容や程度によるところはあろうかと思いますが、一般的には、事業者のコストを増加させ、小規模事業者の事業の継続性にも影響を与えることが考えられるとともに、結果として、消費者側の負担の増加やメリットの低下にもつながりかねず利用者利便を低下させるおそれもございます。また、新たな法規制の導入は、法規制するに足る立法事実があることが前提でございます。立法事実があった場合、その立法事実を分析・検討の上、原因・問題の所在を明らかにし、その規制が問題解決にあたり有効であるかどうかという観点からの十分な検討が必要ではないかと考えます。

いずれにせよ、新たな法規制の検討にあたりましては、こうした点を踏まえつつ、利用者保護と利用者利便の双方に留意しつつ、慎重な検討をお願いいたします。以上でございます。

【森下座長】

ありがとうございました。永沢委員、お願いいたします。

【永沢委員】

ありがとうございます。3点、質問と意見とございます。資料のほうに従いまして、質問をさせていただいたり、意見を述べさせていただきたいと思います。

まず(2)ですけれども、プリペイドカードの業務廃止の公告方法については、期間中に申出がないと換金できないという不利益を利用者は被るわけですから、当然適切な方法で公告される必要があるということなわけですけれども、ここで電子的な方法による公告というのは、具体的にどのようなことをイメージされているのかということを、事務局のほうからもう少し踏み込んでご説明いただけたらと思います。

インターネット取引に関する消費者トラブルの現場で、インターネットに書いてありますよと事業者の方が言われますが、消費者は見落としていることも多く、どのようなインターネットの掲示であれば、公告というものにあたるものなのかというところは、いま一つよくイメージできないものですから、その点をご説明いただけたらと思っております。

それから、2点目ですけれども、ここは意見でございますが、先ほどこちらの絵を見せていただきました。もちろん供託義務の算定の基準日を増やされることは、実態に即した供託をいただくということにつながりますので、それはそれでよいことだと思いますし、実態に沿った供託をしてもらうという趣旨なら4回に限らずもっと多くてもいいのではないかと素朴に思っております。ただ、問題はこの絵を見まして、絵のつくり方にもよるのかもしれませんけれども、未使用残高に比べて供託のほうが少ない面積、白いところのほうが多いわけで、超えているところはちょっとというように、絵のせいで見えるのかもしれませんけれども、そもそもなぜこの業だけが供託が半額なのかという論点は、スタディ・グループや今回のワーキング・グループのどこかの回でもどなたかからご指摘があったようにも思います。

確かに昭和の初めからこれは半額で良いと決まっていて、これまで問題が起きなかったから半額でいいのではないかというような説明も受けたような気もするんですけれども、。FinTechとか、いろいろな新しいビジネスが生まれる中で、少し説得力に欠けているように思うのです。なぜ半額でいいのかというところが、やはりすとんと落ちてこないというところがございま寿司、ほかの業は全額でここだけ半額というのは、横断的な規制を入れようとする中で平仄が合っていない気もいたします。いやいや、ここは半額でよいというなら、半額でよいという合理的な理由というのをもう少し踏み込んで、このような機会に説明をいただく必要があるのではないかと感じた次第です。

それから、最後ですけれども、(7)でございます。さきのスタディ・グループで、国民生活センターからも来ていただきましてお話もありましたし、クレジットカードの分野だけでなく、サーバ型プリペイドカード、いわゆる電子マネー分野で悪質な加盟店がいろいろとトラブルを起こしているという報告がありました。さらに、消費者委員会が8月に建議も出されておりますので、この問題は深刻に受け止め、トラブルが多発しているという実状を踏まえて、資金決済法についても割賦販売法の見直しと歩調をあわせて、手当をぜひお願いしたいと思っております。

やはりアンバンドリング化が進んで、本来発行者が行っていた業務をアクワイアラーや決済代行業者が行うようになっているのですから、これらについても発行者と同様に、規制の対象とすることが必要であるというふうに私はやはり感じております。

そこで、この点に関する質問でございますけれども、不勉強で大変恐縮なんですが、この機会に、割賦販売法ではどのような見直しが予定されているのかという点もご説明いただけたらと思っております。以上でございます。

【森下座長】

ありがとうございました。それでは、事務局のほうからお願いいたします。

【黒井総務企画局企画課信用機構企画室長】

2点ご質問をいただいて、あと1点、ご意見をいただいたというふうに認識しております。まず、電子公告の方法でございますけれども、これにつきましては、法務省に登録された機関がございまして、どのホームページでどのぐらい期間掲載するのかといったことについて、そうした機関の調査を受ける仕組みとなっておりまして、例えばホームページに掲載をしていたとしても、アクセスができなくなったりというような形で十分な周知が行われないことになりますと、日刊新聞の公告に代替するようなものにならないので、そうしたものがきちんと行われているかどうかという点の調査を受けるといった手順が踏まれたものが、この電子公告として認められるということになっております。

あと、質問の関係を先にお答えいたしますと、割賦販売法の関係でございますが、産構審の商務流通情報分科会の割賦販売小委員会で、本年の7月に報告書が出されております。この中では、カード発行者と加盟店管理を行う者が別々になっている、いわゆるオフアス取引というものが一般化されつつあるという状況を踏まえまして、アクワイアラーに係る事項として、アクワイアラーについてはまず登録制を導入することが書かれております。その上で、加盟店調査の実施等に係る規定の新設ということが、その報告書の中にうたわれているところでございます。

またPSP、決済代行業者に係る任意登録制の導入、また登録を受けた者が介在する取引に係る特例ということで挙げられておりますけれども、アクワイアラーと加盟店との間に介在し、加盟店契約の締結段階ないし履行段階に関与する主体が決済代行業者になるわけですが、こちらについては登録を受けることができることとするということで、登録要件などについてはアクワイアラーに係る要件に準じたものとしつつ、登録を受けた者については、アクワイアラーに準じた行為規制、先ほど申し上げました加盟店調査の実施等に係る規定を置くということでございますけれども、そうしたものに準じたものが適用されるということで、産構審で報告書がまとめられているところでございます。

あと、2分の1の供託義務につきましては、経緯につきましては永沢委員からまさにご指摘があったとおりでございまして、この点につきましては同じく永沢委員からのご指摘がありましたけれども、どういった考え方があるかということについては、横断的法制の検討の中で、また改めて検討していきたいと考えている次第でございます。

【永沢委員】

ありがとうございます。

【森下座長】

よろしいでしょうか。

ほか、いかがでしょうか。関委員、お願いいたします。

【関委員】

ありがとうございます。幾つかの論点につきまして、意見を申し上げたいと思います。まず2.の(1)表示義務でございますけれども、これにつきましては昨今のインターネットの普及ということを考慮して、こういった方向が非常に望ましいと思いますので、ぜひ前向きに検討を進めていただきたいと思います。

それから(2)業務廃止時の公告方法につきましても同様に、こういった電子的方法によることを許容するという方向が非常にいいのではないかと思いますので、前向きにこれも検討していただきたいと思います。

それから、(3)の供託義務の部分ですけれども、これは念のために申し上げるんですが、2つ目のポツに、選択した場合にはと書いてあるので、そういう方向だとは思っているんですけれども、年2回の基準日と年4回の基準日を事業者側で選択できるという方向であれば、それは問題ないと思います。逆に増やすことだけになってしまうと、基準日への対応というのも一定の負荷がかかりますので、そういったことが選択できるようにしていただければと思います。

それから、(6)でございます。事業譲渡の際の債権者異議手続につきましてですけれども、これにつきましては、匿名のプリペイドカードサービスというのもございますので、この場合には当然個別の承諾が取れないということですので、事業譲渡の際に困ることがないよう、必要な手当をしていただければということで、前向きに検討いただければというふうに思います。

それから(7)、最後になりますが、加盟店管理義務につきましてですけれども、サーバ型電子マネーのトラブルに関して、その原因であるとか問題の所在、それをきちっと把握する必要があるというふうに思っております。こういったことを詳細に把握した上で、適切な対応を検討しないといけないということで、その立法事実がどの程度あるのかということをしっかり押さえる必要があると思っております。

また、クレジットカード事業者とプリペイドの事業者につきましては、事業規模も事業態様も異なる部分も多々ございますので、事業者から事前に十分ヒアリングを行って、各事業者が現在加盟店管理についてどのような対策をとっているのか、あるいは課題はどのようなことがあるのかといったことを、十分に把握する必要がまずあると思います。その上で、リスクと比較して、過剰な規制にならないよう十分配慮した上で、慎重に検討を行っていくべきと思います。

いずれにしましても、拙速な議論でこのような法規制をするということについては反対でございます。以上です。

【森下座長】

ありがとうございました。ご意見は。沖田委員、お願いします。

【沖田委員】

まずはこの2.の(1)、(2)、(3)、それから(5)の部分ですけれども、いずれも技術面ですとかユーザー動向ですとか、あとその他の実態を考慮しますと、それぞれの指摘というのは非常に合理的だと思いますので、非常に問題ないのではないかなと思っております。その上で、先ほどもご意見出ましたけれども、(2)で電子的方法というのはどこまで認めるのかというところは、確かに議論の余地がある部分なのかなと。とりわけ例えば電子公告、新聞公告というのはなかなかちょっとやはりそぐわないというのは正直、ちょっとこれは直感的で恐縮ですけれども、印象としては強い部分でして、電子的方法という形で電子公告という選択肢も現実的だと思います。

一方で、おそらくプリペイドカードの利用者に適切に周知されるべきだという観点で申し上げれば、利用者に対して、例えば使っている、登録したメールアドレスですとか、それからアプリを用いてしっかりと周知できれば、おそらくはその用途でも足るんだと思うんですけれども、ただ、多分ここは論点としては、ほんとうに利用者だけにちゃんと伝えるべきなのか。それとも、幅広く告知することによって、例えば利用者本人は気付いていないんですけれども、利用者の友人、知人が、あなたはひょっとしたら使っているんじゃないですかということで周知の促進になる可能性もあるかと思いますので、そういった観点が必要なポイントになるのかなというところを、感想として持ちました。

それから、(4)の部分ですけれども、これはやはりかなり古くから、特に欧米、ヨーロッパのほうでは行われているというふうに私、記憶しておりまして、そういう意味では、今後の今まで等々も踏まえると、日本でもやはり行われるべきではないかなとは、個人的には強く思っております。

一方で、おそらくお店の定義なんですけれども、例えばコンビニのようなチェーン店であったりですとか、零細等々の事業者さんについてで言えば、おそらくこれは外部委託というのは非常にリーズナブルな考え方じゃないかなと思うんですけれども、一方で、多分銀行さんが直接そのお店一つ一つに委託するというのは、やや考えづらいところがありまして、間に取りまとめるようなフランチャイズ元とかがいらっしゃるのではないかと。そうすると、おそらく二次委託をするというのが現実的な部分でございまして、逆に二次委託できませんという形になると、かなり柔軟性に欠けて、実効性がないのではないかなと。おそらく二次委託という観点であれば、当然それに伴った問題をどうクリアしていくというところが必要になると思うんですけれども、二次委託をできるような柔軟性を持たないと、なかなかこれはワークしないのではないかなというのが感想でございます。

それから、済みません、長くなって恐縮ですけれども、(6)につきましては、これはやはり個別承諾を取るというのはかなり非現実的な手続であるというふうに一般的には解釈できるのかなと思います。例えばのケースでいいますと、プリペイドカード事業を一部行っている会社が、事業が不安定になった場合に、第三者が救済等を行うというふうに考えた場合に、多分今の個別承諾が必要であれば、そういったケースで、せっかく救済しようとしている会社があっても、多分それはなかなか現実的ではないだろうなというふうに考えられますので、そういう意味では、これは消費者保護という観点では、かえって個別承諾があることによって、消費者保護から反してしまっているのではないかなというのは、ちょっと特定のケースで恐縮ですけれども、印象として持ちました。

一方で、適切な周知を、多分承諾にかわる形でしていかないといけないと思うんですけれども、ただ、その方法はどういった内容が適切なのかというところは、大変恐縮ですけれども、なかなか意見を持ち合わせておりませんで、これはほかの委員の方々、先生方でこういった方法が適切なのではないかという部分があれば、ご意見賜れればというふうに考えております。済みません、長くなりましたが、以上でございます。

【森下座長】

ありがとうございました。古閑委員、お願いいたします。

【古閑委員】

概ねどの項目も、方向性としては賛成をしたいと思います。その上で、若干何点かコメントをさせていただきたいと思います。まず、(4)のデビットカードを活用したキャッシュアウトのところなんですけれども、ポツの2番目のところに、銀行に対し、しかるべき体制の整備等を求めるという記述が出てきておりまして、これがどの程度の体制整備を求めることになるのかなというところが気になっております。この整理でいくんだとすると、確かに銀行に対する義務というのは必要になってくるかもしれないんですけれども、ただ、ここがあまり厳しくなってしまうと、結果としてやっぱりそれだったら銀行が対応できませんということになってしまって、海外ではもう行われているものが、いつまでたっても日本では広まらないということになってしまうので、この点についてはどの程度の内容にすべきかというのは、よくバランスを見てご検討いただければ幸いです。

それから、(6)のプリペイドカード事業の譲渡のところですけれども、これは今まで何人かの委員の方からも出ていたのと私も同じで、やはりなかなか個別の同意というのは難しいので、ぜひ早くご検討いただけたほうが、やっぱりやる気があって引き受けようといっている事業者が出ているときに、ここで時間がかかってしまうと、なかなか進めようとしていたことがすぐに進められなくて計画が狂ってしまって、かえって消費者に迷惑がかかってしまったりとかということもあり得ると思いますので、ぜひ早目の検討をお願いできればと思います。

それから、(7)なんですけれども、ここは関委員からも出ていましたけれども、クレジットカード取引におけるトラブルと同様の問題がというところが、どの程度同様なのかというところをきちんと精査したほうがいいのかなと思っています。ほんとうに同様なのであれば、まさに割賦販売法の中で議論されているのと同様の対応を当てはめていくということにしないと、なかなか事業者側として、同じようなトラブルであるはずなのに、やるべきことが違うということになってしまうと混乱もあると思いますので、どういった問題が生じているのかによりますけれども、仮に同様であれば、ここにも書いていただいていますけれども、ぜひ割販法との平仄をとっていただきたいと思います。それから、まだ同様と言えるレベル感にないのであれば、ほんとうに必要なのかどうかというのは慎重に検討する必要があるかと思います。以上です。

【森下座長】

ありがとうございました。宮野委員、お願いします。

【宮野委員】

すみません、表示義務ですとか、そのあたりのところにつきましてはもう皆さんからご意見出ているとおり、今の時代に合わせた緩和というのは非常に重要かと思っておりますというところで、ちょっと別の論点のところで1点だけ意見を申し上げますと、プリペイドカードですとか、それからサーバ型電子マネー、これも実質プリペイドカードだと思うんですけれども、通常というか従来のクレジットカードとかデビットカードとは異なる特性をもともと持っていると思っております。例えば、発行する側から見ると、プリペイドカードというのは先に預け入れしてもらって、与信をするわけではなくて、預けたものを引き出していくタイプが基本になります。少額の限度額であったりするものがあれば、これはスキームによっては高額のものもあります。あと一方で、先ほどの与信をかけないという特性から、あるいは銀行口座を直接持たなくていいという特性から、未成年の方の利用が非常に多い商品であるかと思っています。

逆に発行する人たちがどんな人たちかという話も、例えば日本でいうと銀行ですとか、いわゆるカード会社とは違う人たちが、例えばポイントカードを発行されているような方々が、自分のお店で使える電子マネーとして例えば発行を始めるとかというような、用途というか、目的が違うものも大分あるのかなと思っております。その結果として、例えば利用できる範囲、加盟店網みたいな話というのも、何のための発行によるかによって、すごい広い加盟店を指向するものもあれば、非常に限定的なものを指向しているケースもございます。

多分、プリペイドカードとか電子マネーと呼ばれる部分につきまして、十把一絡げで見てしまいますと、実はいろいろなものが入っていてという中で、先ほどの非与信とか未成年とかいう特徴はとらまえつつ、実際に何が問題になっているのかというところを分解していったときに、ケースごとにとか限度額ごとに規制を分ける、分けないとかいうような話のところを若干ブレークダウンして検討したほうがいいのが、プリペイドカード全般の基本的な特徴ではなかろうかと考えています。という観点での若干整理が必要かなというのが、1つの意見です。

【森下座長】

ありがとうございました。それでは、堀委員、お願いいたします。

【堀委員】

この討議資料(5)のいずれの論点につきましても、事務局案の方向性に賛成でございます。私のほうから2点だけ、まず2.の(1)プリペイドカードの表示義務との点でございます。こちらにつきましては、現状の案でいきますと、プリペイドカードが情報端末などの電子機器であるものについては、インターネットで情報提供を行うこととしてもよいのではないかというご指摘がなされています。この部分は、いわゆる時計ですとか眼鏡ですとか、そういったものに表示ができるようなものを想定されているのかなと文字から拝見いたしました。ですが、今、証票と一体物の交付がある場合には表示義務、そういった交付がない場合にはインターネット等による情報提供義務という形で、こういう場合にはこう、こういう場合にはこうというふうに規定されているわけなんですけれども、情報技術が進展していくと、カードタイプでも後から機能を乗せたりするようなことができるようなもの、使うときには一体物としてその証票等を利用するわけですけれども、発行するときには必ずしもその機能はなかったけれども、後から乗せるようなものといったものも出てきているというふうに認識しております。

そういたしますと、今のようないずれか、こういう場合にはこうという決め方がいいのかどうか。できれば私としては、表示義務と情報提供義務というのは、等価値の義務であるということを前提にいたしますと、選択性というような形も十分考慮に値するのではないかというふうに考えているところです。

2つ目の点につきましては、2ページ目の(2)プリペイドカードの業務廃止時の公告方法です。これも緩和するという方向性については異存はありません。先ほど黒井室長からもお話がありましたように、一定のインターネットでの利用が前提になっているものについては、電子公告も許容されるというお考えがお示しいただけたところですけれども、この点も、カードを発行するなどして、インターネットでの利用が前提となっていないものにつきましても、新聞公告が機能しているのかどうかというところは非常に事業者としては問題意識を抱えているところはございます。例えば、日刊新聞紙1社でもよいということになっていますので、例えば読売新聞に掲載するということでもいいわけですが、必ずしも全国民の皆さんが読売新聞をとっているわけではないとすると、事実上、公告掲載が必要であることによって少しお金を払う必要がある。したがって、多少の負担を伴うので、安易にはやめさせないという程度の効果しかないというふうに見ております。

そうだとすると、例えばカードみたいなもので、リアルに使わせるようなものを想定していたとしても、新聞公告、または電子公告というような、例えば会社法上の公告方法を選べるような形というのも、1つ考慮に値するのではないかというふうに感じているところです。以上です。

【森下座長】

ありがとうございました。滝島委員、お願いいたします。

【滝島委員】

ありがとうございます。まず全体を通しまして、概ね同意でございます。1つの論点につきまして、3つほどコメントを述べさせてもらいたいと思います。4番のデビットカードを活用したキャッシュアウトサービスについてです。まずこちらですけれども、まずこの論点を討議する上では、現段階ではデビットカードという1つの限定的なサービスに対してのみ明確にすることではなくて、この対象サービスについてどこまで広げるかということも含めて検討していただきたいと思います。具体的にはデビットカードについて、そもそも国内でどこまで普及しているかということも含めて議論がなされるべきかというふうに考えております。

2つ目ですけれども、先ほど古閑委員からもありましたけれども、体制の整備についてです。こちらはもしかしたら私の解釈が間違えているかもしれませんけれども、銀行に対してしかるべき体制の整備なのか、この業を委託される、今の例でいいますと小売店のところの体制の整備かというふうに考えています。ただ、これは銀行法からの委託と考えますと、こちらはもしかしたら小売店が銀行代理業者としての登録によって実現できるかというふうに考えていますが、しかしながら小売業を営む会社が銀行代理業者になるかというところは、メリット、デメリットの話かというふうに考えております。

3点目です。先ほど申し上げましたデビットカードに限定するべきではないんじゃないですかという意見に基づいて、仮にこれをデビットカードという言葉を省いて考えますと、小売店のレジ等で現金を受け取るといったようなことは、資金移動業の中で、資金移動業者としての登録でもできるのではというふうに考えております。以上でございます。

【森下座長】

ありがとうございました。それでは、お願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

これまでのご意見の中で、幾つか私、気になったところをコメントさせていただければと思います。1つは今、滝島委員からもお話がございました、デビットカードを活用したキャッシュアウトのところでございます。例えば、体制整備というところ、現在のATMについては、銀行が自分でATMを持っていることもあれば、ほかのATMを使うということもありまして、ほかのATMを使ったときに、きちんとしたATMの管理がなされていて、極端なことを言えば、ATMが故障してしまってお金が記録としては10万円引き出されたものが、実際上は1,000円しか引き出されていなかったなどの問題も現実にあり得ることから、これは下位法令でもって、こういうことをちゃんとやってくださいということが規定をされております。内容的には、これは委託ですのできちんと行うことができるよう、それなりの能力のある人に委託をすること。また、随時適切に委託先の業務の状況をチェックして、問題があればその是正を求めるとか、是正を求めた上でも是正が図られないのであれば、契約を解除することができるように、そういう契約を結びなさいということとか、あるいは必要に応じた研修ですとか、そういうことを求めるということになっております。

この点についても、キャッシュアウトについてもATMにしても、技術の進歩というものはおそらくあるのではないかと思います。したがって、あまり明確すぎる管理体制のルールというのも、また時代にそぐわないことになるかもしれず、ただ最低限、預金の払い戻しの委託ですので、利用者に関する情報管理とか、正しい額が渡されるようにということを最低限の義務として求めていく必要があるのか。なおかつ預金を受け入れているのは銀行ですので、銀行がきちんと委託先の管理を行う必要があるということであろうかと思っています。

若干蛇足になるかもしれないのですが、キャッシュアウトサービスというのは非常にシンプルな形態だと思いますけれども、以前の議論でもありました、中間的業者というような、銀行と預金者との間でもっと幅広くいろいろなサービスを中間的に行うということになると、そこについてどう考えるかというのは、以前にもこの場で話がありました横断的な規制とか、その中で時代の進展に応じてどうあるべきかというのを考えていくことも必要なのかなと感じているところでございます。

もう1点、(7)の加盟店管理義務のところでございます。消費者委員会からの建議があったということで、実は、私も消費者委員会からのヒアリングということで、本日お越しいただいている長楽委員と一緒に消費者委員会の方から、今の制度がどうなっているかなどの説明を求められました。そのときに申し上げましたのが、まず現在、加盟店管理義務的なものが全くないわけではないということであります。具体的には、資金決済法上に、公序良俗に反するような物品とかサービスを提供しないようにすることを確保するための措置を講じていないことが、まず登録の拒否要件として定められております。したがって、公序良俗に反するようなものが加盟店のところで行われることを防ぐための措置が講じられなければ、登録はされないし、なおかつ登録の取り消し事由にもなっています。したがいまして、加盟店が変なものを販売していないか、変なサービスを提供していないか、それを随時監督、チェックをしていないと登録が拒否されると、現行でもそういう規定がございます。

苦情処理体制につきましても、現行でも苦情がある場合の連絡先を表示することという義務が規定されております。ただ、消費者委員会の委員の方々の懸念点は、私が理解するところ、1つ公序良俗という観念がちょっと狭いのではないか。具体的にいうと、法律に違反するような刑事犯とか、そういうように限定的に解釈がされるのではないか、なおかつ公序良俗ということだけでは、具体的に現場でどういうものが公序良俗にあたるのかどうかなどの判断もでき難いし、現在は金融庁で監督指針というのを出しておりまして、いわゆるガイドラインのようなものなんですが、そこで補っているところでありますけれども、監督指針はあくまでも法令ではないと。あくまでガイドライン、より正確にいうと、現場で実際に検査監督をやる担当官に対して、こういうところに着眼せよという、そういうガイドラインであります。したがいまして、あくまで監督指針の名宛人は検査監督をやっている担当官なので、電子マネーの発行業者に対して、そういう加盟店管理を行うということを法令上明確化すべきではないかと、そういったご指摘であったかと思います。

いろいろなケースがあるということは確かにそうであろうかと思う一方で、消費者委員会で実際上トラブルが起きて、何とかしなければならないという建議が出されたということも重く受け止める必要があるのかと思っております。その上で、加盟店管理というところを、現行でもあるところを補った上で、どのように明確化していくかということ。このあたりは考えていく必要があるのかなと感じているところでございます。

【森下座長】

ありがとうございました。加毛委員、お願いいたします。

【加毛委員】

ありがとうございます。討議資料の結論・方向性には賛成なのですが、その表現ぶりについて2点コメントがあります。まず4ページにおいて、民法改正法案についての言及があります。民法の中に新たに定型約款の変更に関する規定が設けられること予定されていることが、プリペイドカード事業の譲渡に個別承諾を不要とする一つの根拠として挙げられています。しかしながら、定型約款の変更に関する民法改正法案第五四八条の四が適用されるのは、限定された場面であるといえます。事業譲渡は債務者の交替という重大な契約内容の変更であるので、同条は適用されないと考えられます。債権者異議手続の創設には反対ではありませんが、それを基礎づけるために民法改正法案に言及するのは適当でないように思います。

2点目はキャッシュアウトサービスについてです。これも結論には異論ありませんが、討議資料の説明の最初のところで、欧米等ではキャッシュアウトサービスが普及していると説明されています。それはその通りなのですが、アメリカについて言えば、日本と比較して、そもそも現金があまり使われていない社会であるといえます。そのため、先ほど佐藤参事官もおっしゃったように、20ドルや40ドルなど比較的少額の現金を引き出すことが前提とされていると思います。しかし、日本ではもっと多額の金銭を引き出したいと思う人も多いかもしれません。そうすると、どのくらいの金額を引出しの上限金額として設定するのかが問題となります。これは法律の話というより、銀行と委託を受ける者が決めるべき事柄かもしれませんが、上限金額の設定次第では委託を受けたスーパー・マーケットなどに対応面での不都合が生じるおそれもあると思いますので、日本の実情に即した形での制度の導入が必要だろうということを申し上げておきたいと思います。以上です。

【森下座長】

ありがとうございました。戸村委員、お願いします。

【戸村委員】

ありがとうございます。私も全体の方向性は異論はないんですけれども、(6)だけちょっと意見がありまして。債権者異議手続についてちょっと意見を申し述べさせていただきたいと思います。全体としてはほかの委員の皆さんと同意見で、私も多様な決済手段を実現することで決済手数料を低減化することが大事だと思っておりまして、その意味でプリペイドカード事業についても事業コストの低減が望ましいというのは同じなんですけれども、ただちょっと1点違うところがありまして、現状、プリペイドカードの未使用残高の供託というのは半額でよい、また銀行保証も使えるという形になっておりまして、顧客から見たときにプリペイドカードの金融資産としての保護というのは事業者もしくは保証元の銀行の信用に依存している形になっていることに留意が必要だと思います。

ですので、善意の事業者に移転されればよいわけですけれども、法律上は必ずしも債権者異議手続が簡素化された場合、あるいは創設された場合に、懸念があるとすれば、供託の水準は変わらない形で必ずしも信用力がない事業者にいってしまうと、顧客にとってはプリペイドカードの金融資産としての価値が減じてしまう可能性があるので、(6)の論点については前払式支払手段の提供事業者の供託義務の水準と一体で議論されるべき問題だと思います。そこで留意すべきなのは、やはり顧客の保有するプリペイドカード資産の安全性が毀損しない形でこのような事業譲渡を促進するような法制化が可能であれば進められるべきだと思います。以上です。

【森下座長】

ありがとうございました。松井委員、お願いします。

【松井委員】

ありがとうございます。私も全体的な方向性にあまり異論はないのですが、2点ほど確認をさせていただければと存じます。まず1つ目は、2ページ目の(2)の公告方法の話でございます。こちらにつきましては、新聞公告にかえて電子的な方法によることを許容するかどうかという論点なのですけれども、1点確認いたしたいのは、前払式支払手段に関する内閣府令を見ますと、新聞公告のほかに全ての営業所、事務所、あるいは加盟店で掲示をするという規制になっております。つまり、新聞公告と掲示というのがセットになっている規制なのですけれども、ここでご提案になっているのは、新聞公告の部分だけを電子的方法にかえて、全ての営業所、事業所ないし加盟店の掲示というのは残るという、こういう理解でよろしゅうございますでしょうか。

【黒井総務企画局企画課信用機構企画室長】

ご質問の点につきましては、そのとおりでございます。

【松井委員】

わかりました。それを前提にして、これはこういうふうに考えられるのではないかというコメントなのですけれども、先ほど堀委員からも、何のために公告をするのかという非常に本質的なお話がございました。思いますに、公告というのは、それを関係者が実際に見ているのかどうか、あるいは見たからどうするかといった話ではなく、公告がされていることによって、見たものとみなして、一定の法的な効果を与える点に意味があるのだと思います。

そうだとしますと大事なのは、実際に利用者が見るかどうかはともかく、見たとみなせる、あるいは見ようと思えば見られたのだと言えるというような、ある種のフィクションではありますけれども、こういう状況が用意されているかどうかが重要なのだと思います。会社法などにも公告の規定がありますけれども、これは以上の点をどう担保しているかというと、登記という方法とリンクさせて担保しているわけです。ところが、こちらの前払式支払手段については、登記という制度と必ずしもリンクしているわけではありませんので、おそらく先の点を担保しているのが、この掲示という方法ではないか。つまり掲示によって、補完的に見ようと思えば見られたという状況を担保しているのだ、と説明をするのかなという感じがしているわけです。

従いまして、もし今回この点の制度の見直しをご検討なさるのであれば、やはりここを見ればインターネットの公告が確認できるというような仕組みが用意できると、より制度としての安定性が高まるかなという気がいたします。実はこれは新聞公告の場合でも同じで、これこれの支払手段に関しては、この新聞を見ると公告が出るのですといったことが出てくると、先ほどの堀委員からの指摘に対する疑問に答えることになるのかなと思います。ただ、繰り返しになりますが、この点については、今の制度でも、掲示という形で代替ないし補完されていると見れば、それで足りるのかもしれません。これはコメントでございます。

長くなって恐縮ですけれども、もう1点、3ページの一番下からの(6)の債権者異議手続です。こちらは事業譲渡について債権者異議手続のようなものを設けられないかどうかということで、私が誤解していたら恐縮なのですけれども、これは会社法上の問題として、会社分割によれば、会社分割による債権者異議手続を使えて、それで済むという理解でよろしゅうございますでしょうか。

【黒井総務企画局企画課信用機構企画室長】

ご指摘のとおりでございます。

【松井委員】

そうすると、プリペイドカード事業を行っている多くの事業者は多分株式会社形態をとっていると思いますけれども、これが会社分割ではなくて、あえて事業譲渡という形態をとったときに、債権者異議手続を別途特別法として設けられないかという問題提起になるわけですね。かりに会社法上は想定されていない債権者異議手続が、プリペイドカード事業者の事業譲渡の場合だけ入ってくるということになるのだとすると、特にこのプリペイドカード事業の事業譲渡の場合にそのような手続が必要だという、特別法で修正する必要性の説明が必要になるのではないかと思います。

本日の議論は、概ねあっていいのではないかという議論で、私もその結論には反対はいたしませんけれども、なぜプリペイドカード事業の場合に、そういう特別法上の措置が必要になるのかというのは、もう少しやはり議論が必要だと思います。これはある種理念的な話なので、あまり生産的な議論ではないのですけれども、会社法は、会社分割という組織法的な手続をとった場合には、後で組織法的に争う手段を用意し、そのこととの関係で債権者異議手続を用意しています。そうではない一般取引法理で支配されている事業譲渡の場合に、ほかの手続的な仕組みを用意しないまま、ただ債権者異議手続だけ用意するとなると、それには何らかの説明が必要ではないでしょうか。ただ私自身、今はなかなかそのための説明が考えつかないものですから、そこの部分の高度な必要性というようなものが今後議論としては必要かな、というコメントだけさせていただきます。

【森下座長】

ありがとうございました。

それでは、廉委員、お願いします。

【廉委員】

プリペイドカードの業務廃止時の公告方法ですけれども、法制審で、以前電子公告制度を採用するときに、いろいろ議論されたと思いますけれども、その後、電子公告制度に問題があったという話を私も聞いたことがないので、そうであれば、別に問題ないのではないかなというふうに私は考えております。以上です。

【森下座長】

ありがとうございました。翁委員、お願いいたします。

【翁委員】

私も、今日のご提案については概ね賛成でございます。2の(2)のところにつきましても、できるだけ多くの人の目に触れるような形での電子的方法というのを指向していくというのが方向であると思います。

それから、(3)についても、これをより柔軟化するということはそのとおりだと思いますが、先ほど永沢委員からもご指摘ありましたように、やはり横断的視点からの、先ほど黒井室長からもお話がございましたけれども、全体としてレギュレートリー、アビートラージが起こらないような方法で、こういった義務付けの水準についても、もう1回横断的な目で見ていくということが必要ではないかと思っております。

それから、最後の4ページの(7)のところにつきまして、佐藤さんから先ほどお話をしていただいたんですけれども、これは法律で義務化、もちろん非常に悪質なものについて、法律上のルールを定めて厳しくやるということもあるんですが、同時にご指摘ありましたように、金融庁はガイドラインとか監督の手法でいろいろ発行者についても指導していくことができるわけで、そこの組み合わせをうまくやっていただくことによって、過剰な規制にならないようにしていただくことが必要なのではないかなという印象を持ちました。以上でございます。

【森下座長】

ありがとうございました。堀委員、お願いします。

【堀委員】

先ほど松井委員から、業務廃止時の公告方法についてのご指摘がありまして、私も先ほどの意見がもしかすると不明確な点があったかもしれないと思いまして、補足させていただきたいと思います。

現行制度ではご指摘のとおり、新聞公告と営業所での掲示というものが義務付けられていると思いますが、インターネットで利用するような前払式支払手段につきましては、営業所の掲示にかえて、通常法定事項を情報提供している方法で、この払い戻し等の事実についても情報提供しなければならないという規定が定められていると思います。したがいまして、営業所での掲示、もしくは情報提供によって、実際の利用者につきましては可能な限り周知が図られているものと理解しております。

したがいまして、プラスアルファで公告という制度があり、その必要性としては、先ほどのとおり実際に見ている人が少ないことからすると、やめてしまってもいいじゃないかと個人的には思うぐらいなのですが、これを残すとした場合に、また電子的方法で公告をするということを認めるというような場合には、そこはカードの形態ですとか、性質にかかわらず、事業者の判断で任意制とする、選択制ということも考えられるのではないかというご意見でございまして、先ほどの点に補足させていただきたいと思います。

【森下座長】

ありがとうございました。田中委員、お願いします。

【田中委員】

ありがとうございます。4番のデビットカードのところで、先ほどから幾つかお話が各委員から出ておりますけれども、ちょっと誤解されているところもあるかもしれませんので、補足説明させていただきます。まず、ここでデビットカードといっていますけれども、実際にJ-Debitという仕組みで使えるのは、普通のキャッシュカードです。このキャッシュカードです。全ての銀行でというわけではありませんが、多くの銀行においては、デフォルトで当初の段階からJ-Debitという仕組みがついております。これは私のカードにもついております。したがいまして、これで全国数十万店において、J-Debitという形で既に特別な登録とか申請なしに、もう使えるようになっております。ただ、認知度は残念ながらまだまだということもございまして、私どもまだまだ至らぬところがあると思っていますので、そこのところは今後さらに認知してもらうという努力については続けていきたいと思っています。

それからあと、このデビットカードを活用したキャッシュアウトについてですけれども、これは銀行業界としてもずっと以前から要望しておりましたものでございます。それでじゃあ、実際にどういうところでニーズが高いのだろうかということを考えた場合に、先ほど外国のお客様というお話がありましたが、それはまた外国との接続の関係でニーズがあるのは事実ですが、日本国内で考えますと、都心ではなくて、むしろATMとか銀行が少ないような郊外、地方、そういうところにおいては、1つの小売店で買い物をしたついでにデビットカードを使って決済して、現金も手に入れるというのが非常に楽かなと。都心においては、、近くのコンビニ、銀行にATMがたくさんそろっていますので、それほど利便性が高まるわけではないのかなと思いますが、地方については利便性というのが高いのかなと思っています。

それから、利用者保護体制整備というところも、これも当然でございます。ただこれにつきましては、例えば先ほど委員からもありましたけれども、1回あたりの取引上限、これなんかもしかるべきレベルに抑えるということも必要だと思っています。確か米州だと100ドルとか200ドルだったような、ちょっと昔の記憶で恐縮ですけれども。ロンドンにおいても、たしか100ポンドとか200ポンドであったような記憶がございます。銀行によって違うのかもしれませんけれども、日本においてもどの程度になるのか、数万円になるのか10万円になるのかわかりませんけれども、そんなに大きなものを想定はしておりません。

それからあと、キャッシュアウトをした場合の手続等についてレシート、計算書みたいなものと一緒に現物を見て確認していただくというような手続も十分必要だと思っていますし、万が一何か事故が起こった場合については、その損失について委託業者と銀行の間でどのように負担していくのか。そういうところも含めて、実務面については今後議論を深めてまいりたいと思っています。

いずれにしても、お客様の利便性向上ということは、つながることと思っておりますので、銀行としては前向きにぜひとも実現していきたい、対応していきたいと思っております。以上です。

【森下座長】

ありがとうございました。

【岩原金融審議会会長】

さっき松井委員から、会社分割と比較して、事業譲渡の場合に会社分割と同様の債権者異議手続を導入することは、安易にできるのだろうかというご指摘があったと思います。確かに会社法、あるいは私法の一般原則として、債務者を変更するときには債権者の同意が必要だということが大原則になっていて、事業譲渡の場合もその原則に従っていると思います。しかし会社分割など、いわゆる組織再編行為については、そういう通常の取引行為とは違い、そのための特別の手当がされていくということで、別の扱いになっているのだと思います。そのため、会社分割については債権者保護に関する手当がされています。そういう手当がない事業譲渡について、債権者異議手続きによる債権者の同意の見做しができるかという問題があります。おそらくこのような提案が出てきたのは、銀行法34条が定めている、銀行の事業譲渡の際の債権者異議手続、これにならったものを導入したいということだと思うのですけれども、銀行法の場合は、銀行が事業譲渡するときには内閣総理大臣の認可を受けて行うということになっていて、いわば金融庁がきちんと見ているということを前提に、そういう私法の例外が認められているわけです。

そうだとすると、こういうプリペイドカード発行者についても同様の扱いをするとしたら、銀行法に準じるようなそれなりの体制ができているということを多分言わないと、内閣法制局を通らないのではないかという感じがします。ですから、そこの説明は必要だろうと思います。

あと、いいですか。

【森下座長】

はい、どうぞ。

【岩原金融審議会会長】

最初の仮想通貨の点ですけれども、確かに非常に難しい問題で、今はゼロの状態ですから、制度を設けるのは非常に大変、ということは非常によくわかります。その中で最善を尽くそうということで、こういうご提案が出てきていると思うんですけれども、私もここに書かれていることはそのとおりだと思います。ただ、なおこれで十分かというと、マウントゴックスみたいな事件が起きていることを考えると、例えば討議資料(4)2ページ目のところに、仮想通貨の私法上の位置付けも明確でないため、供託・信託を行うことができないと書いてありますが、まさに私法上の位置づけが明確でないために、マウントゴックスの破産手続の中で同社にビットコインや資金を預託したりした者の権利をどう扱うかというような問題が、まだ放置されているわけです。これはむしろこういう審議会以前に我々学者がきちんと議論して、法的な性格を明らかにする義務があると思います。そうしないと、実際、利用者が困ってしまいます。そこで、現在、学説の怠慢のために、私法的な性格等が明確になっていないところでも、最大限のことをしていく必要があるのではないか。

それを考えますと、この2ページの注のところに、第一種金融商品取引業者との比較で、仮想通貨交換所に外部監査を義務付けるということを提案されていることは無論必要だと思うのですが、第一種金融商品取引業者の場合は、そのほかにも顧客から預かっている資産を保護するために、投資者保護基金の制度などがあり、また責任準備金や自己資本比率規制等もあるわけでして、このような規制を、仮想通貨交換所に一遍に全部導入するということは難しいのはよくよくわかりますけれども、同じような問題がやはり起きてきている以上は、将来的にはそういう体制をつくっていくことも考える必要があるのではないかと感じました。以上です。

【森下座長】

どうもありがとうございました。ほか、ご意見いかがでしょうか。今、仮想通貨についてもお話がありましたので、まだ多少時間もございますので、仮想通貨の点も含めてでも何でもご意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

【沖田委員】

そういう意味では、少し仮想通貨のところに戻りまして、やや抽象的な意見、感想で恐縮なんですけれども、一般にイノベーションという観点では、本来規制というのは少ないほうが、事業者としては望ましいというのは大原則でございます。一方で、今先生もおっしゃられたようなところもございまして、法制度の整備ですとか、法制度に限らずですけれども、何も整備されていないと、なかなか新しいものが世の中に受け入れられないというところもございまして、法制度を整備することで、かえってイノベーションであったり、利用が促進されるという事実も大いにあるというふうに個人的には、従来の事業を通じて痛感するところでございます。

一方で、佐藤参事官も先ほどおっしゃられておりましたが、中途半端な規制というのは確かに非常に危険性が高いのかなと思っておりまして、やや論点はずれるんですけれども、例えば私どものような電子決済の会社においても、我々は上場しておりますので、セキュリティは非常に固いんです、ご安心くださいというような言い方をする事業者というのは、実際におったりするんですけれども、皆様ご承知のとおり、上場に際して当然そういったセキュリティ等々も見はするんですけれども、そこでいっているようなセキュリティというのは、上場の要件とは全く関係しないようなケースも、そういった言い方をするケースというのは十分ございまして、当然ながら誤認をしてしまうような理由になっていると。

そういう意味で申し上げると、先ほど佐藤参事官もおっしゃっていたような、金融庁届出事業者ですのでご安心くださいというような形での誤認を受けるというところですね。特に今申し上げたようなセキュリティ等々は、やはり一般の方々はわかりづらいですので、それが何かかえって誤認を生んでしまうというところは避ける必要性があるのかなと。ちょっと一貫しない意見で恐縮ですけれども、比較的事業者、特にイノベーティブなサービスを提供する事業者の実態というところから、感想を申し上げました。

【森下座長】

ありがとうございました。翁委員、お願いします。

【翁委員】

仮想通貨につきましては、今沖田委員がおっしゃったように、前回の議論を聞いておりましても、やはり今、非常に中途半端な状況で、ビットコインの取引が行われているということがよくわかりましたし、事業者のほうからも一定のルールの整備についてのご要望があったというふうに思いますので、今回こういう形で整備していくということは、基本的によいと思っております。

実際、私法上の整理がついていないということでございますが、貨幣かどうか、発行体がなくて、しかも非常に価格変動リスクが極めて高く、それをコントロールするということもやりにくいという、そういう意味で経済学の視点から見ても今後考えていかなければならない、試行錯誤の分野だと思っております。そういう意味から見ましても、今回投機的な投資の対象となっている部分に着目して、今回まずスタートするというのは、金商法の考え方を取り入れてやるということは合理的なのではないかと思います。

ただ、今後どういうふうな展開になっていくのかというのは、金融庁としてもこれからよく見ていく必要があると思っておりますし、今はそういう信用創造とかそういうことには使われていませんけれども、そういうことに将来使われる可能性もあるかもしれませんし、そういう意味で、どういう展開になっていくかということについても、よくウォッチしていくということが必要だというように思いますし、また報告徴求などを通じて、検査もするということになっていきますと、前回から技術の分野というのはどんどん発展して、ブロックチェーンとか、非常に重要な技術革新だと思いますので、これについては進展が望ましいというふうに思っておりますが、よくこういった、どういうふうな視点から検査をしていくのかということについても、よりいろいろ勉強して蓄積していくということが必要なのかなという感想を持ちました。

【森下座長】

ありがとうございました。いかがでしょうか。松井委員、お願いします。

【松井委員】

先ほどの仮想通貨につきまして、少しだけコメントをいたしたいと存じます。まだ私法上のルールと位置付けがはっきりしない中で、最低限設けられるルールとして、おそらく業者規制しかないというのは非常に理解できるところです。業者規制をするときに、どういうアプローチがあるかということで、今回は1つの事件がきっかけになっているということもございますので、不良業者をいかにマーケットに入れないかということ、それから入ってきた業者を継続的にどのようにコントロールしていくかということ、おそらくこのような視点がどうしても必要になってくると思います。

今回のご提案は、そういう意味で基本的な方向性としては賛成です。ただ1点この資料を拝見して気になったのが、一方の要請として、2ページの一番下のほうですけれども、中小零細の事業者をある程度育てていかないと、このマーケット自体が育たないということがあり、他方で先ほど申し上げたような不良事業者は、ある程度参入の段階で排除しておかなければいけないという要請があるということです。つまり、これらの相反する要請についてどう折り合いをつけるのかというのが、多分ここでの1つの課題かなと感じたわけです。

例えば、今回公認会計士や監査法人の外部監査の義務付けというご提案が入っていますけれども、これは一定のコスト、負担を強いる規制になりますので、このような監査を受けるだけの能力がある業者だけが入ってくることになります。あるいは財務規制、具体的にどのような額になるかにもよりますけれども、たとえば当該事業者が扱っている資金量でありますとか、あるいは取引量に応じたような規制がかけられれば、相応の負担をさせることで、不良業者が排除できるのではないかという感触がございます。このようなあたりが今後、具体的な規制化をする上ではポイントになるのかなという感じがいたしました。

【森下座長】

ありがとうございました。いかがでしょうか。

岩原会長から、私法上の検討については、もっと学者が頑張らなければならないというお話があったのは、私も大変そのとおりだというふうに反省しております。今回、分別管理というお話があったと思うのですけれども、仮想通貨について、従来の分別管理のようなものが直ちにはイメージできなかったとしても、分別管理によって実現しようとしていた効果、例えば業者が顧客の資産や通貨に簡単には手を出せないですとか、あるいは事業者が破綻した際に、顧客が預けていた価値が影響を受けないということを実現するための具体的な方法というのは、ビジネスモデルに応じていろいろ考えられると思います。そういった達成したい効果に即した規制ができるような枠組みを、学者も頑張って一刻も早く考え、法制度も技術の進展に追いついていくことが大事なのかなというような感想を抱きました。

あとはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

本日は、長時間にわたり、どうもありがとうございました。ほかにご発言がないようでしたら、以上で討議を終わらせていただきたいと思います。本日いただきましたご説明やご意見などを踏まえまして、引き続き検討を進めていきたいと思います。

それでは最後に、事務局のほうから、連絡事項などがございましたらお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

それでは、私からご連絡を申し上げます。次回のワーキング・グループにつきましては、12月を予定しております。具体的な日程及び討議内容につきましては、後日事務局より改めてご案内をさせていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【森下座長】

それでは、以上をもちまして、本日のワーキング・グループを終了させていただきます。ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3684、3570)

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