金融審議会「公認会計士制度部会」(第7回)議事要旨

1.日時:

平成18年6月23日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第4号館11階 共用第一特別会議室

3.議題:

各界からのヒアリング

4.議事内容:

  • 関係者からのヒアリング

    • 藤沼専門委員
    • 八木臨時委員
    • 仲田正史氏(野村證券株式会社執行役)
  • 事務局よりPCAOB(米国公開会社会計監督委員会)の概要について説明

主な意見等は以下のとおり

  • 監査人個人の独立性と監査法人内のコミュニケーションが本質的な問題。監査意見は、現場責任者と審査担当者で基本的に決まるもの。監査責任を法人内の上級審査に任せすぎると、監査実施者の責任が曖昧になるし、全て上級審査にかけるといった重装備の監査は、効率性、合目性の観点から問題。この点が一般事業会社とは異なる。
  • 監査法人と監査実施者との関係は、病院と所属医師との関係に似ている。手術が終わった後で、全てを見直してチェックすることは不可能。現場でほぼ完結するものをチェックする体制をつくるのが病院の管理責任者や監査法人の経営責任者。
  • 監査意見の形成が監査の実施者と審査担当者までで大半決まってくることはわかるが、そのことと監査意見に対して監査法人が責任をとるかどうかは必ずしも一緒ではない。
  • 事業会社と監査法人とでは、法人の監督責任、社員の行為責任のあり方が異なるのは分かるも、投資家側は、監査意見に署名した会計士の質よりも、会計士が属する監査法人の質をみて有価証券報告書の質を判断している。
  • 上場会社を対象とした制度を考える場合、企業の時価総額によって制度を変えることを検討してはどうか。一律の制度では、新規公開したベンチャー企業が大きな負担を負うことになる。
  • 上場会社と非上場会社とで、監査人の要件、手続の適用の仕方を変える必要がある。一律に重装備の監査とすると、社会の期待に応えられないのではないか。ベンチャー企業の育成の面も考えた議論を行なうべきではないか。
  • 会計不祥事が発生した原因を解明し、優先順位をつけて審議すべき。
  • カネボウについては、同じ監査人のグループが長年監査を担当していたこと、レビュー・パートナーが機能していなかったことが原因。これを踏まえて、監査人のローテーション制度を導入したし、上級審査体制をしっかり確立できれば、このような不祥事は減少していくのではないか。
  • エンロン事件以降、国際的な監査基準の精緻化に伴い会計士の監査作業量が増大しているが、我が国の監査報酬水準はあまり上がっていない。監査基準等で要求される監査手続が実施できず、品質管理体制不備につながる可能性、会計士の士気に影響する可能性がある。監査報酬の決定方法を見直す必要があるのではないか。
  • 監査法人のシニア会計士の評価・報酬がどのように決定されているのかが不明。
  • 監査報酬算定の基準が不明瞭ではないか。被監査対象の組織規模、チェックすべき対象により、監査に必要な人数、日数を明確にできるのではないか。
  • 監査報酬は、本来、会社の規模等だけでなく、監査上のリスクの大きさに応じて決まるべきであるとの指摘がある。
  • 監査報酬は、前年の実績をもとに決定されるのが多いのが実態ではないか。しかし、監査役から「ここも見ろ」といった指摘があれば、監査料も上がるのではないか。
  • 監査法人と一般事業法人では組織のあり方等が異なるのは分かるので、両罰化がなじむのか否かについての検討は必要であるが、例えば監査法人ぐるみで不正を行なっても法人が刑事罰の対象とならないのはおかしいのではないか。
  • 刑事罰が課された時の監査法人の脆弱性に関する指摘があるが、刑事罰を受けて信頼が低下するのは一般事業会社も同様。顧客が逃げるかどうかは、監査法人の再発防止・信頼回復策が顧客から十分共感を得られるかどうかによっているのではないか。
  • 監査法人への制裁については、監査法人への制裁の効果とその顧客への影響との兼ね合いを考えるべし。

(以上)

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局 企業開示課(内線2765)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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