金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第6回)議事録

平成28年10月5日

【神田座長】

それでは、定刻になりましたので始めさせていただきます。市場ワーキング・グループの第6回目の会合を開催させていただきます。皆様方には、いつも大変お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

本日でございますけれども、テーマは「国民の安定的な資産形成とフィデューシャリー・デューティー」についての3回目の議論となります。それで、「分かりやすい商品説明資料」をテーマに取り上げて、皆様方にご議論をお願いしたいと思います。

進め方でございますけれども、まず事務局から、本日の討議資料であります「分かりやすい商品説明資料」についてご説明をしていただきます。

その後で、永沢委員から、2012年に公表されました「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」の報告書を受けて、その後実施されました、いわゆる投信改革につきまして、その効果などに関する実態調査を行っていただいたということですので、その結果についてご説明をお願いしたいと思います。それが済んでから、質疑応答、意見交換をお願いしたいと考えております。

それでは、早速ですけれども、事務局からのご説明をお願いいたします。

【齋藤市場課長】

では、私からご説明をさせていただきます。資料は大部にわたっておりますが、資料1と別添の資料に関してご説明をさせていただきます。

まずは、資料1をご覧ください。国民の安定的な資産形成を今後図っていくことが重要であるという問題意識のもとに、このテーマについてご議論をいただいているところでございますが、安定的な資産形成を図っていく、その1,700兆円の個人金融資産に関するアセットアロケーションを今後図っていきたいという中では、実際に金融商品を購入する際に、分かりやすい説明あるいは分かりやすい説明資料も重要かと考えております。その際に、今、販売の現場で配付されている資料に関して、必ずしも分かりやすいものではないという指摘もあるようでございますので、今回はその資料に関して取り上げてさせていただいているところでございます。

まず、1ページ目が、金融商品の販売時に顧客に交付される書類の概要でございます。大きく法定書類とその他の書類がございます。ご案内のことかと思いますけれども、法定書類としては、交付される目論見書、それから、契約締結前の交付書面がございます。その他の書類としては、実際に使われる販売用の資料だとか、商品パンフレットがございます。

法定書類に関しては、交付が必須になっていることに加えて、記載事項が法令で規定されているということから、分かりやすい説明に努める一方で、ある程度の制約はあるとご理解をいただければと思います。

他方で、販売用資料とその他の資料に関しては、交付は任意であるかわりに、法定書類と比べれば柔軟な作成が可能なものとなっているかと思います。そのような前提でこれからのご説明をお聞きいただければと思います。

1枚おめくりいただきまして、このような販売時に交付される書類に関して、顧客に分かりやすい見直しもこれまで議論され、また実施されてきているところでございます。その具体的な1つの例として、後ほど永沢委員からもそのご説明をいただこうと思っておりますけれども、「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」において、このような点についてもご議論をいただきまして、実際に幾つかの改善がなされてきたところでございます。そのうちの1つとしては、トータルリターン把握のための定期的通知制度の導入でありまして、真ん中にございますけれども、「適切な投資判断のための環境を整える観点から、受益者が自分の保有する投資信託に係る投資期間全体の累積分配金を含む累積損益を把握しやすくすることは重要である」ということから、トータルリターン通知というものが、その後、業界における議論等を踏まえて、現在、実施されているところでございます。

1枚おめくりいただきまして、「販売手数料・信託報酬等に関する説明の充実」ということでありまして、その当時においても販売手数料の料率の上限、信託報酬の料率、運用会社、販売会社、受託会社への配分率を表示されることになっておりましたが、こうした費用を含めた投資家の負担の対価として享受するサービスについての説明は、必ずしも投資家の理解に資する形で、充実しているとは言えないことから、当該説明の充実を図ることが適当だという整理がなされ、その後、そのような改善がなされてきているところでございます。

それから、「販売・勧誘時におけるリスク等についての情報提供の充実」ということで、2つ目の段落ぐらいですけれども、適切に投資判断を行うためには、元本割れの可能性についての理解だけでなく、リスクの相対的な度合いの理解も重要であろう。その次の段落ですけれども、商品のリスクを定性的に説明することに加え、定量的な把握や比較が可能となるように、分かりやすく表示することが適当である。最後の部分ですけれども、運用会社の工夫の余地を残しつつも、ファンド相互間の客観的な比較が容易になるようにある程度の統一化を行うことが求められる、ということで、一定の見直しが行われるということでございます。このような形で販売用資料に関しては、制度的にもまた販売会社、運用会社においてもいろいろな取組みがなされてきたと理解をしております。

もう1枚おめくりいただきまして、販売時の説明資料をより分かりやすくするという意味においては、国際機関からもさまざまな考え方が示されているところでございます。2つほど例を挙げておりますけれども、まず一つは、IOSCOの「販売時の開示に関する原則」という、2011年2月に出ているものですが、これは下の注にもありますように、集団投資スキームについて、リテール投資家に対する販売時の情報開示に関する原則を提示したものでございます。

例えば、原則1に書かれておりますように、「投資家に商品の基本的な利益、リスク、条件及び費用、それから、仲介者への報酬や利益相反に関する開示を含むべきである」という原則が示されて、その中では、例えば、リスクに関する情報開示は金融商品の重要なリスクを含むべきである。あるいは、定量的に全体的なリスクを測り、どのように解釈するべきか説明されることが望ましい。当該金融商品の販売対象となる投資家のタイプが追加的に記載されることが望ましい、ということが原則として提示されているところでございます。

それから、原則4では、競合商品との有意義な情報比較を容易にするため、平易な言葉で、比較可能なフォーマットで情報開示が行われるべきである、という原則も示されているところでございます。

また、1枚おめくりいただきまして、5ページ目でございますけれども、今度はOECDの「金融消費者保護に対するハイレベル原則」ということで、こちらに関しても販売時の情報開示に関しての幾つかの原則、考え方が示されているところでございます。

まず、原則4の「情報開示、透明性」でございますけれども、1にありますように、基本的な利益、リスク、商品の条件に関する重要な情報を提供すべき。それから、当該金融商品を販売する委任代理人に関する利益相反についての情報も提供すべき。

それから、2ポツの真ん中あたりですけれども、正確、誠実、理解可能なものであるべきだ。同じ性質の商品・サービスの間で比較することができるようにするべきだ。複雑でリスクの高い商品・サービスに見合った情報提供がなされるべきである、という原則が示された上で、そのハイレベル原則の適用に関する報告書では、より詳しい取組みの例として、例えば、7番にありますように、顧客が重要な情報と重要性の低い情報を区別することが容易になるようにすることが望ましいのではないか。

あるいは、22番にあるように、潜在的な利益相反が避けることができない場合には、当該利益相反が顧客に提供されるサービス、そのあり得る結果にどのように影響するかについて、十分に情報提供を受けるよう確保しなければならない、という考え方が示されているところでございます。

それから、もう1枚おめくりいただきまして、原則の6では、まず、一番目として、顧客のベスト・インタレストを図らなければならないという考え方が示された上で、2ポツですけれども、金融サービス提供者は、顧客に商品、助言またはサービスを提供することに合意する前に、顧客の関連する財務上の能力、状況及びニーズを評価するべきである、という適合性の原則の考え方も示されているところでございます。

本日のテーマは、「分かりやすい商品説明資料」ということではございますけれども、その商品説明資料を使った上でどのように販売するかという意味では、適合性の原則も重要かと存じます。

7ページにございますように、金融商品取引法では、第四十条の適合性の原則で、「顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けることになってはならない」ということが書かれているところでございます。

このような分かりやすい商品説明資料に向けたこれまでの取組みあるいは国際機関で示された考え方を踏まえて、では現在、実際に使われている販売用説明資料に関して、実際どうであるかということについて、実例を今日お配りしてございますので、それを踏まえてご議論いただければと考えております。

別添1から別添9までお配りしているかと思いますけれども、こちらに関して簡単にご説明をさせていただこうと思います。これは、それぞれ実際に販売されている金融商品について販売時に交付されている書類に関して、インターネット等で入手できる書類の中から抽出して今日お示ししているものでございます。

全体像でございますが、別添1と2に関しては、投資信託の中でも比較的シンプルな、主として日本国内の株式を投資対象としている投資信託で、インデックス連動ではないものを抽出してございます。

別添3と4に関しては、それと比べて多様なリスクが存在すると思われる、主として海外の不動産投信を投資対象としている投資信託を抽出しております。

これらについては、最近の時点でそれぞれのカテゴリーで販売実績が高いものから抽出をいたしております。

次に別添5から別添8でございますけれども、8月2日に開催した第4回の市場ワーキング・グループで配付した資料等を参考に、リスクやリターン、それから、手数料構造が分かりにくいと指摘されている商品に関して抽出して、販売の資料を今日お配りしているところでございます。

別添5に関しては、主として海外で発行されるハイブリッド証券を対象としている投資信託でございます。

別添6は、利払繰延条項・期限前償還条項が付された長期社債でございます。

別添7は、期限前償還条項が付された日経平均連動型の社債でございます。

別添8は、外貨建変額個人年金保険でございます。

最後に、別添9は、先ほどご説明した投信改革で導入されたトータルリターン通知書のサンプルでございます。

最初に、誤解がないように申し上げておきたいと思いますけれども、これらは販売時の説明資料の悪い例とか、良い例と悪い例の対比といった基準で抽出したものではございません。あくまでも足元で販売実績の高い商品の1番目と2番目とか、あるいはリスク、リターンの構造が複雑と指摘されているものを機械的に並べてお示ししているとご理解いただければと思います。それぞれの書類に関して、簡単にどのような構造になっているかということについてご説明をしたいと思います。

別添1でございますけれども、別添の1-1が法定書類である目論見書でございまして、別添の1-2が、法定書類ではない販売用の説明資料でございます。

なお、販売用の説明資料は、販売会社ごとに異なっていても構わないわけですが、この商品に関しては、我々が調べた限り、おおむね各社様、同じ内容を使用しておられるようでしたので、ここではその一例を配付させていただいております。

まず、別添1-1でございますけれども、表紙にファンドの名称、委託会社の情報、商品分類、受託会社に関する情報等が記載されています。

表紙をめくっていただきまして、1ページ目から2ページ目はファンドの目的・特色が記載されております。

3ページ目、4ページ目は、投資リスクが記載されております。まず、基準価格の変動要因、その他の留意点、リスク管理体制。次のページにいきまして、参考情報として、ファンドの年間騰落率及び分配金再投資基準価額の推移。それから、ファンドと他の代表的な資産クラスとの騰落率の比較が記載されているところでございます。ここで、先ほど申し上げたような商品のリスクを定性的に説明することに加えて、定量的な把握や比較が可能となる情報が提供されているところでございます。

5ページ目をめくっていただきまして、運用実績が記載されております。具体的には基準価額・純資産の推移、分配の推移、主な資産の状況、年間収益率の推移が記載されています。

6ページ目、7ページ目は、手続・手数料等が記載されております。顧客が申込みから換金・解約までに行うべき手続に関する重要事項について6ページ目に記載され、7ページ目にファンドの費用から税金が記載されています。この真ん中あたりに、運用管理費用として信託報酬の配分及び配分される信託報酬に見合うサービス、あるいは何が対価として手数料になっているかという説明が記載されております。これが投信改革で指摘されたことに対してどのような改善がなされたのかがこの状況だとご理解ください。

これらの記載事項につきましては、目論見書の様式として定められている記載事項等を踏まえたものでありまして、おおむね各投信に共通する構成となっております。

次に別添1-2の販売用説明資料でございますけれども、表紙から5ページ目ぐらいまではファンドの特色や内容について説明されています。

それから、6ページ目の最初が投資方針。その下にはファンドの主なリスクに関して記載されております。

最後の7ページ目に委託会社の内容、ファンドに関する費用・税金等が記載されております。主なリスクから費用・税金等に関しては、目論見書に記載されている内容をさらに簡潔にした形で記載されているところでございます。

次に、別添2でございますけれども、これも日本国内の株式を投資対象としている投資信託に関するものでございます。ちなみにこの投資信託は、運用会社が主として直販しているものであるため販売資料がなく、目論見書のみを配付させていただいております。目論見書であるため、先ほどご説明した別添1-1とほぼ同じ構成、ファンドの名称があって、ファンドの目的・特色があって、投資リスクがあって、運用実績があって、手続・手数料等といった構成になっているところでございます。

同じ目論見書である別添1-1と別添2を比較した場合に、例えば、別添2は比較的文字が中心で、別添1-1はイラスト等も用いられているといった違いがあろうかと思います。リスクに関しては、日本株を投資対象としている投資信託ですけれども、その要因に関しては多少違うものも掲げられているところでございます。

参考情報とか運用実績とか手続・手数料に関しては、両者ともレイアウトや色使いに多少の違いはありますが、おおむね同じ内容になっていると言えようかと思います。ただ、その他の商品との比較可能性を考えたときに、おおむね同じ内容だから悪いとか、そういうことでは必ずしもないとも思われます。

駆け足で恐縮ですが、次に別添3に移らせていただきます。別添3は、主として海外の不動産投信を投資対象としている投資信託でございます。別添3-1が法定書類である目論見書であり、別添3-2が、その販売用説明資料でございます。

別添3-1の目論見書については、1ページ目にファンドの名称、委託会社の情報等が記載されていて、2ページから5ページ目がファンドの目的・特色が記載されております。

それから、先ほどの投資信託と少し違うところは、5ページ目でございますけれども、毎月分配型であることもあり、収益分配金に関する留意事項がイラストつきで記載されているところでございます。

6ページ目から8ページ目は、投資リスクが記載されております。

9ページ目は運用実績。

10から11ページ目は、手続・手数料等が記載されております。大まかな記載項目や順番は、目論見書という法定書類であることもあり、別添1、2の目論見書とおおむね同様かと思われます。

次に、別添3-2の販売用説明資料につきましては、表紙から8ページ目までが主な投資対象である米国REITの説明になっております。

9ページ目から12ページ目が、投資対象としているこのファンドの特色について書かれております。

13ページ目が、ファンドの主なリスク。

14ページ目に委託会社等の内容、費用・税金等が記載されているところでございます。

続いて、別添の4も、主として海外の不動産投信を投資対象としている投資信託でございます。

別添の4-1が法定書類である目論見書。別添4-2-1と4-2-2が、その販売用説明資料でございます。この商品に関しては、販売用説明資料を探したところ、2種類見つかったことから、両方配付をさせていただいております。

まず、別添4-1の目論見書については、表紙とその裏にファンドの名称、商品分類、受託会社に関する情報等が記載され、1ページ目から5ページ目にファンドの目的・特色が記載されております。こちらも毎月分配型であることから、収益分配に関する留意事項を5ページ目に記載されております。

6ページ目と7ページ目に投資リスクが記載されております。

8ページ目に運用実績。

9から10ページが手続・手数料等について記載されております。大まかな記載項目、順番に関しては、法定書類であることもあり、別添1と同様でございます。

別添4-2-1の販売用説明資料でございますけれども、表紙をめくって1ページ目がファンドの特色。

2ページ目、3ページ目が留意事項として、ファンドの主なリスク。

4ページ目から7ページ目が投資対象である米国REITの説明。

8ページ目から11ページ目が、ファンドの特色。

12から13ページが、ファンドに係る費用・税金あるいは委託会社の内容等が記載されております。

なお、4ページ目から7ページ目の米国REITの説明以外は、基本的に目論見書の記載内容と同様の内容になってございます。

別添4-2-2の販売用説明資料に関しては、1ページ目から3ページ目の上4分の1までがファンドの特色。

3ページ目の下、4分の3が、ファンドの主なリスク、ファンドの費用・税金等。

4ページ目に、主な投資対象である米国REITの説明が記載されているところでございます。

こちらに関して、販売用資料である別添3-2と4-2-1とか4-2-2を比較したときに、個人的な感想でございますけれども、分配金に関する留意事項に関しては、どちらも目論見書とおおむね同じイラストが用いられているかと思われます。

それから、ファンドのリスク、ファンドの費用に関しても、おおむね目論見書と同じ内容になっているかと思います。

ファンドのリスクに関しては、同じく海外のREITに投資する投信でございますけれども、若干異なる記載内容になっているかと考えております。

以上が、別添4まででございます。少し長くなって説明が恐縮でございますけれども、別添5以降は、先ほど申し上げたとおり、商品内容あるいはリスクが複雑で分かりにくいと指摘されている商品に関する販売用説明資料、あるいは、交付目論見書でございます。

別添5は、主として海外で発行されるハイブリッド証券を投資対象とした投資信託でございます。5-1が交付目論見書、5-2が販売用説明資料になってございます。目論見書や販売資料の全体構成は、他の投資信託とおおむね同様とご理解ください。この投資信託に特徴的なリスクとすれば、ハイブリッド証券が劣後債であるとか、優先証券であることを考えれば、弁済の劣後性とか、利息配当の繰り延べ等が特徴的なリスクかと思われますが、それに関するリスクは、例えば、別添5-1の目論見書であれば1ページ目の下であるとか、4ページ目から5ページ目について記載されているということでございます。

続きまして、別添6でございますけれども、利払繰延条項・期限前償還条項が付された劣後特約付きの社債に関する販売資料でございます。

1ページ目に償還期間や年利率に関する情報。

2から3ページ目に、各種のリスクについての情報が記載されております。この社債に特徴的なリスクとしては、利払いの繰り延べに関するリスクであるとか、劣後性に関するリスクではないかと思いますが、利払いの繰り延べに関するリスクは2ページ目の上半分、それから劣後性に関するリスクは、3ページ目の上から2番目、特殊な社債であるがゆえの流動性に関するリスクは、3ページ目の下に記載されているところでございます。

次に別添7でございますけれども、期限前償還条項付の日経平均株価連動円建社債に関する販売用説明資料でございます。

1ページ目に償還期間や年利率に関する情報が記載されていて、2から5ページ目に商品の特性やリスクに関する情報が記載されております。この商品に関して特徴的なリスクとしては、日経平均株価の変動に伴って期限前償還が行われ、その後の利払いが受けられないリスクであるとか、あるいはノックイン価格を下回った場合に償還金額が、額面金額を下回る可能性があるリスク等であろうかと思いますけれども、それらが2ページから5ページ目に記載されているところでございます。

次に別添8でございますけれども、外貨建の変額個人年金保険に関する契約締結前交付書面兼商品パンフレットでございます。ほかの資料と違って2ページを1枚に印刷していることから、1枚目が表紙と裏表紙になってございます。

1枚めくっていただいて、1ページ目から15ページ目までが、各通貨の商品の仕組みや特徴、目標到達シミュレーション等についての記載でございます。

17から26ページ目が契約概要。

27から35ページ目までが注意喚起情報として、この商品の各種のリスクについて説明がなされています。

この保険に特徴的なリスクとしては、為替変動リスク等があろうかと思いますが、それらについては、27から35ページ、特に29ページ等に書かれているかと思います。

最後、別添9は、先ほどご説明した投信改革の際に導入されたトータルリターン通知書のサンプルでございます。

最初の資料1に戻っていただきまして、9ページ目以降、今日のご議論をいただくに当たって参考にしていただければと思う論点でございます。

まず、9ページ目の上でございますけれども、投信改革を受けてトータルリターン通知制度の導入、目論見書における説明の充実、リスクの定量的な表示等が行われ、交付される資料が見直されたがどう評価するか。

それから、今ご説明申し上げたような資料等、実際に用いられている資料に関して、分かりやすさを向上させる観点から、法令改正、業界自主ルールの見直し等が行われてきたが、それらを踏まえて実際に使用されている資料について、どう評価するべきか。販売会社において顧客により分かりやすい情報提供を行う観点から競争が生まれず、結果的に法令や自主ルールがミニマム・スタンダード化して、各社横並びの対応になっていることはないか。

図表やデータを取り入れる等各種の工夫はなされていても、顧客がそれらの意図するところを十分実際に理解可能なものとなっているか。必ずしも理解可能となっていないのであれば、どういう対応が考えられるか。

もう1枚おめくりいただきまして、IOSCOやOECDで指摘されている以下のような事項に照らして、実際に使用されている資料について、どう評価するべきか。

例えば、金融商品間の比較が容易に行われるようになっているか。平易な表現が用いられているか。重要な情報と重要性の低い情報が区別されるような工夫がなされているか。複雑でリスクの高い商品・サービスに見合った情報提供がなされているか。潜在的な利益相反が不可避な場合に、顧客に提供されるサービスに与え得る影響について適切に情報提供がなされているか。

最後、11ページでございますけれども、実際に金融商品の販売・勧誘場面で、適合性の原則に照らして、そもそもその顧客に販売・勧誘することが相応しくない商品あるいは十分に説明を行った上であれば、販売・勧誘が可能な商品、比較的簡易な説明で販売・勧誘が可能な商品など、さまざまな類型が考えられるところでありますが、これらの類型について、販売会社がどのような考え方に基づいて対応すべきと考えられるか。

最後に、家計の安定的な資産形成を実現していく上で、顧客本位の業務運営を確立する観点から、より分かりやすい商品説明に向けて競争を促していくためには、どのようなアプローチが考えられるのか。

このような論点も参考にしていただいて、ご議論をいただけたらと思います。長くなりましたが、私からは以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、永沢委員からご説明をお願いいたします。よろしくお願い致します。

【永沢委員】

本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。本日ここに並んでおります島田、竹川、永沢の3名は、2012年の投信法制の見直しワーキング・グループに委員またはゲストスピーカーとして参加させていただいております。そのワーキング・グループで出された改革案が、その後実行に移されたわけですけれども、その成果は3年たってどうなっているのかということを検証しようということでプロジェクトを立ち上げまして、アンケートなどを実施して声を集めました。本日は、事務局ともご相談させていただき、その一部をご紹介させていただくことになっております。

なお、ここでご紹介する声は、ご覧いただきましてもお分かりのように限られた数であることと、また当然のことですけれども、全ての投資家や投信会社、販売会社の意見を代表するものではないということをご承知おきいただきたいと思います。とは言いながらも、日本の投信を何とかしなくてはと、仕事を離れても考えてご協力くださった方々の声であることはご理解いただきたいと思います。

それから、本日の資料説明に入る前に、少し補足させていただきたいことがございます。投資信託の分野では、投資家に理解してもらうという観点から、これまでさまざまな改革が行われてきました。私が思うに、最初のエポックメーキングな出来事は、目論見書の改革でした。正確な年を思い出せなくて申しわけありませんが、2008年の頃だったと思いますが、法定開示である目論見書が一時数百ページにもなるものも登場いたしました。本日サンプルを幾つか見ていただいたわけですが、この時、目論見書を2段階に分け、お客様に必ず渡す交付目論見書については、投資判断には比較可能性が重要であるという観点から、記載内容と記載の順序を決めていただくという改革を断行していただきました。本日お手元にある投信の資料は、そういう経緯でできあがったものであることを改めてお伝えしておきたいと思います。

続いて行われたのが、本日事務局からもご紹介のありました、私ども3名が参加させていただきました2012年のワーキング・グループでの見直しでして、そのときに先ほど事務局からお話がありました、目論見書にリスクを定量的に表示する取組みや、トータルリターンの通知制度、運用報告書の見直しなどを提案し、実施いただいた次第です。

なお、運用報告書は、本日の議題に上がっている、販売時に交付される書類にはすぐには該当するものではありません。しかしながら、私ども投資家は目論見書と対になる資料ととらえておりまして、こちらも分かりやすいもの、比較可能なものにする必要があるということを申し上げ、先のワーキング・グループでは重要な課題として採り上げていただきました。そして、先ほどの改革が行われて、現時点では、全社の運用報告書が、目論見書同様、同じ新しい様式で作成されるようになっております。

また、投資信託については、目論見書も運用報告書も投信協会のホームページを通じて投信会社のホームページにアクセスが可能であり、購入前でも入手することが可能となっておりますこともつけ加えさせていただきたいと思います。

前置きが大変長くなりましたが、お手元の報告書をご覧いただきたいと思います。後ろの方に別紙としてアンケート用紙をつけております。このアンケートの一部を今日はご紹介させていただくことになります。

1ページ目に、このアンケートに参加された方々の内訳を記載しております。25名の方々の内訳はこのようになっておりまして、個人投資家のうちの2名は、投信ブロガーです。また、投信会社や販売金融機関の方は、それぞれ異なる会社の方でございます。ワーキング・グループにおいて取りまとめた最終報告書を受け、投資信託の分野では多くの施策が実施されました。ここでは報告書で示された4つの課題と実施された施策の中から、本日のテーマに関係があると思われる3つの施策について、改善の状況と成果について質問をいたしまして回答いただいた結果を、紹介させていただきます。

まず、ページをおめくりいただきまして、3ページ目からがアンケートの結果になりますけれども、販売会社が商品供給に大きな影響力を持っているため、投資期間が短期になったり、投資家の資産運用ニーズが反映されにくい状況にあるという課題ですが、この点については、今回のワーキング・グループでも採り上げられているテーマでもあるわけですが、この状況の改善状況について質問をしております。全体として、改善はまだ実感できないと回答した人が多いということは言えますけれども、販売会社や投信会社の中には、その方向で努力しているという声が聞かれました。また、利用者側からは、資産を積み上げる営業にシフトしている点は評価するのだが、ラップについてはコストや中身なども含めて分かりにくい、本当に投資家のためになっているのだろうか、投資家は分かっているのだろうかという声が寄せられました。なお、いただいた声は、販売会社、投信会社、情報仲介者、個人投資家という分類で記載しており、同じ内容の意見はまとめつつ、なるべく生の声を活かしながらということを意識して紹介しておりますので、重複している点もあり、読みにくいとは思うのですけれども、お時間のあるときに全体に目を通していただけたらと思っています。

続いて、4ページの1-2に移らせていただきますが、次々と新商品が投入されることで投資信託の本数が累増してファンドの規模が小さくなっている状況が続いているという問題も、前回のワーキング・グループで指摘されました。この問題については、事業者と利用者で傾向が分かれたように見えるのが、私は興味深いと思っております。

そして、寄せられた意見を見ますと、事業者、とりわけ投信会社の意見からは、この問題を深刻にとらえていることが伺えますが、それと同時に手詰まりな状況にあることも見て取れます。

一方、利用者側からは、併合ができるようになったのに、なぜ併合が進まないのだろうかとか、併合よりも繰上償還によってファンドを整理しようという動きがあるわけですが、これに対してはいら立ちの声が寄せられております。ファンドの整理の問題につきましては、民の力では身動きがつかない状況になっているようでございまして、別途専門家や実務家を集めていただいて、この状況をどう変えていくのか、処方箋を検討いただく必要があるように思いました。

次の5ページの真ん中に1-3がございまして、商品の複雑化、リスクの複雑化というところですけれども、この問題については、事業者と利用者で大きく評価が分かれたという印象を受けました。事業者側からは、分散投資規制が前回のワーキング・グループで提案されたことを受けて導入されたことでこの問題は解決に向かっているという意見や、昨今、当局からフィデューシャリー・デューティーという考え方が示されたこともあって、複雑な商品の販売は手控える傾向にあるという意見が大勢でした。マイナス金利の長期化により投資家のニーズを満たすためには、従来型の運用商品では難しく、複雑な商品の供給が増えることはいたし方ないのではないかと指摘もありました。そして、本日の別添6の資料がまさに該当するわけですけれども、投資信託ではない形で難しい商品が販売されているという状況が見られることを心配する声が、投信の組成や販売に携わっている方から寄せられております。

情報仲介者というのは私が勝手につけたネーミングでして、定義をはじめにご説明するのを忘れておりましたが、投信の市場において投資家と製造者である投信会社との間に立って、あるいは販売会社との間に立って情報を分かりやすく咀嚼して提供する方々の総称であり、ジャーナリストの方やフィナンシャル・プランナー、それから、投信評価会社のファンドアナリスト等を意味するわけですけれども、この方々の意見のところをご覧いただきますと、複雑化の意味が変わってきている、数年前までは通貨選択やカバードコールといったリスクを上乗せするような仕組みの複雑さが目立ちましたが、ここ数年、リスクコントロール型とか、運用手法の複雑さが目立つという、興味深いご指摘もありましたので、紹介させていただきます。

4つ目の課題として、この点は、お手元資料の6ページの真ん中あたりになるわけですけれども、現役世代への投資信託の普及が遅れているという問題が指摘されたわけです。これについては、改善したという回答が、ほかのものに比べると多いという印象を持っておりまして、特に利用者側が高い評価をつけているのが興味深い点でございます。背景として、NISAや個人型DCという新しい制度への期待があると思われます。

また、運用会社の中に、年金用に提供された低コストの商品を工夫してリテール向けに提供し、若い世代の積立型の資産形成向けに投入するような動きもあることを評価しているという声が利用者側から寄せられています。

もう1点、金融市場や金融商品の基礎知識について教育を受ける機会が必要であるという指摘もあったことを紹介しておきたいと思います。

続きまして、ここにお示しした3つの施策に対する評価になりますが、運用報告書の見直しに関する評価が7ページの真ん中、2-1になります。運用報告書の見直しに関しましては、総じて高い評価がついておりました。一層の改善を要望する声がずらりと並んでおりますけれども、決まった様式で掲載していただくようになり比較可能性が担保された点は、高い評価の理由の一つになっています。。

続いて、トータルリターン通知制度につきましては、9ページの頭になります。全体的に高い評価になっているわけですけれども、寄せられた声の幾つかを紹介させていただきますと、毎月分配型のように分配の大きいファンドにとっては、トータルリターン通知制度は非常に意味のある制度であり、見てくれの分配だけでなく、トータルのリターンを見るようになれば、目先の分配のために元本を取り崩すような本末転倒なことが長期的には減っていくはず。市場参加者にこうした情報が提供されることによって、非合理的な行為が淘汰されていくのではないかというご指摘、それから、個人の投資家から、長く積立をしてきたのだが、このトータルリターン通知をもらって、ファンドの自分の投資成果をようやく理解することができた、確認できたという声などが寄せられております。

その一方で、運用報告書と同様ですけれども、この制度の効果を高めていくためには、この制度の趣旨や、トータルリターン通知の紙をどのように見るのかということをもっと知ってもらうための取組みが必要であるとの指摘もございました。

続きまして、交付目論見書にリスクの定量的な表示を義務づけた施策に関してですが、9ページの下のほうになります。2-3と書いてあるところでございますが、これに関しましても高い評価になっております。定量化して視覚的に表示するようにした点は大きな前進である、と評価されています。ただし、リスクについて、果たして大半の投資家は意味を理解しているのだろうか。このリスクの意味について、投資教育は不可欠であるという声が多くの方から寄せられております。

最後に、10ページ目になりますが、交付目論見書において改善すべき点はありませんか、ということをヒアリングさせていただきました。この質問項目は全部の方にはしておりません。目論見書の利用者である販売金融機関と情報仲介者、投資家の三者から意見を聞いております。販売金融機関の方からは、特に意見はありませんということでしたが、情報仲介者と投資家の方々からは多くの意見が寄せられております。ここに示したのはその一部で、改善してもらえるのではないかという期待が大きいこともあって、かなり細かいご指摘もありますが、一部ご紹介させていただきたいと思います。

一番上になりますけれども、投信の目論見書は、電気製品などの取説とは違うのではないかというご指摘があります。株式会社の株主レポートを見習ってはどうかというご提案もありました。

それから、リスクやリスクマネジメントに関して、コメントもたくさん寄せられております。形式的な文章が並ぶということもありまして、これにうんざりしていることが伺えるわけですけれども、やはり分かりづらいということと、個別のファンドについてより具体的な事例を用いて説明したりする努力を求める声が聞かれました。

それから、読み手である投資家が読める量か、読んで理解できる内容、表現なのだろうかということを意識して作成していくことが必要なのではないかという声が寄せられております。このあたりは、事業者の方を責めるわけではありませんが、何でも記載して説明責任を果たそうという傾向が事業者にはありますので、それに対して利用者からはノーという声が上がっていることだと思われます。

最後に、利用率は手数料率ではなく金額で示すべきというご意見がありました。私は、これは結構ハッとさせられたものがございまして、パーセント計算のできない人が世の中には結構いますということで、この点も本日のテーマに少し関連しているのではないかということで、紹介させていただきます。

以上でございますけれども、アンケートでは本日ご紹介させていただいた項目以外にもたくさんの項目についてお尋ねしておりまして、大変貴重な、今後の投信市場の改革に役立ちそうなご意見が寄せられております。近日中に最終報告書を取りまとめる予定でおりますので、またそちらで紹介させていただきたいと思っております。

最後になりましたが、このプロジェクトにご協力くださった方々にはこの場をかりてお礼を申し上げたいと思います。私からは以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、事務局からの説明と永沢委員からのご説明を受けて、皆様方からご議論をお願いしたいと思います。どなたからでもご質問、ご意見をお出しいただければありがたく存じます。いかがでしょうか。

神作委員、お願いします。

【神作委員】

本日早く退席させていただきますので、最初に発言させていただき、ありがとうございます。

事務局説明資料では、最後の論点にかかわるところなのですけれども、説明資料を拝見しますと、複雑な金融商品について分かりやすい説明のために非常に努力されていて、図表を用いたり、かなりの工夫はなされていると思います。もちろん、改善しなければいけないところもあるかと思いますけれども、分かりやすい説明資料を作るにも限界があると思います。そこで、それとともに重要なのが、適合性の原則であると思います。事務局説明資料ですと、6ページです。OECDのハイレベル原則の6は、顧客の関連する財務上の能力、状況及びニーズを評価すべきであると定めます。個々の顧客にとって適合的な金融商品が提供されることが何より重要であると思います。それに関連して、特にEUでは、最近金融商品ガバナンスという考え方がございまして、まず金融商品の組成者がどのようなマーケット、どのような顧客を想定した商品なのかということをきちんとコンセプトをもって作る。そして、それを金融商品の販売業者にきちんと伝える。このような考え方が打ち出されるようになっております。また金融商品販売業者の方では、金融商品の組成者の考え方に従って金融商品を販売するとともに、それが実態に合っているかどうかということについて、情報を金融商品の組成業者にフィードバックする。このような考え方がEUでは打ち出されています。日本にとっても非常に参考になると思います。

また、先ほどの顧客の財務上の能力、状況、ニーズの評価で、問題は、そのような評価を適切に行うためには顧客の情報を一定程度収集する必要があるということになります。けれども、あるタイプの金融商品については、顧客については一定の情報が必要であるのに十分な情報が集まらないという事態が生じ得ます。つまり、この金融商品が当該顧客にとって適合的だという確信が持てないときに、販売業者はどのように行動すべきかが問題になります。その点が非常に重要だと思います。本来、顧客にとって適合的かどうか分からないときは売らないというのが、適合性の原則の考え方だと理解しています。これに対して適切性の原則というのは、そこのところがもう少しゆるいというのではないかと思います。顧客の適合性について必ずしも確信が持てない場合、一定のタイプの商品についてどのように扱うかということを改めて考えてみることが有益であると思います。

【神田座長】

どうもありがとうございました。大変重要なご指摘を最初からしていただいたと思います。ほかにいかがでしょうか。どなたからでもお願いします。

それでは島田委員、お願いします。

【島田委員】

今日の説明はとても分かりやすく、私もお伝えしたいことがいっぱいあるのですが、永沢委員からご説明いただきました調査は、サンプル数は非常に少ないのですけれども、業界を良くしたいという、本当に気持ちのある方たちが夜鍋で、手弁当で集まってやったものであるという意味では、非常に参考になるものだと思います。

参考資料の最後のほうに、横の帯グラフとして結果をまとめていただいたものを資料としてお配りさせていただいています。これをご覧いただきますと、投資家と、一方で販売会社、必ずしも対立するものではないのですけれども、その人たちの考え方がいかに正反対かというのが的確に出ている質問が幾つかあると思います。中でも、たとえば質問1-2ですが、次々と新商品が投入されることで投資信託の数が増えて、小さいものが多くなっているのではないかということに対しては、投資家は非常に厳しい見方をしているのに対して、販売会社は、少しは前進したと考えている方が結構いらっしゃる。

それから、その次の質問1-3の、商品の複雑化、リスクの複雑化というところでは、個人投資家は、100%変化はしていないという回答になっているのに対して、販売会社は100%よくなっていると見ているところも、非常に対照的かなと思いました。ここでは、販売会社としては先ほども議論にございましたけれども、商品の構成、仕組みとして非常に複雑なものを売らなくなっているという姿勢について評価をしているのだと思います。一方で、個人投資家はそうしなくなったことによって、むしろ投資信託がうるさくなったから、ほかの保険商品で運用型のものを売ろうとか、あるいは同じ債券と言われているものの中で、なかなかイールドが取れなくなっているという状況にかんがみて、債券のクラスが非常に複雑化しているとか、仕組債を多く使っている、あるいは、リスクの高い債券に偏った商品が見られることを的確に見抜いているのではないかと思います。

また、概要にございます最後の質問2-3ですが、ここでは交付目論見書にリスクの定量的な表示の義務付けをしたということについて、個人投資家は100%評価している。一方で、販売会社は7割強の評価になっております。投信会社が一番ご苦労されたはずなのですけれども、ここでは自分たちの努力があまり認められていないのか、伝わっているのかということを、売る方や作られる方のほうが疑問に思っていらっしゃる。一方で、個人投資家の方々がそこを評価しているというのも、非常におもしろいと思いました。

また、運用報告書の見直しやトータルリターンの通知制度については、運用会社あるいは情報仲介者の評価は高いのですけれども、個人投資家の評価はそこまで高くない。相半ばしている状態であるということで、関係者はかなり頑張っているということを自分たちで思っている。一方で投資家は、もう少し頑張ってくださいと思っているところが、よく出ているのかなと思いました。

細かいところから申し上げますと、トータルリターンの通知制度については、私自身は非常に成果があったと思っておりまして、初めてトータルリターンというものを意識した、あるいは分配金利回りとトータルリターンが異なることを初めて理解したという投資家さんのお声も聞いております。もう一つ大きなインパクトとなったのが、メディアなどで商品紹介において、過度な分配金利回り偏重の流れが変わり、改善されたことが挙げられると思います。

また、代表的な資産クラスの比較あるいは年間収益率の推移。特に、ここでは過去10年ですと金融危機の時期を含んでいるということが感覚的に理解できる、良い見せ方ではないかと思います。

また、目論見書等の資料においては、販売手数料・信託報酬等に対する説明の充実ができている、または一応説明をするようになっていらっしゃる運用会社がある。ところが、同じ商品の任意の販売用資料からは、その部分が抜けてしまう、あるいはさらに枚数が少ない販売用資料になっていくほど、どんどん重要な情報が抜けていっている気がします。本来であれば、量が少なくなればなるほど、重要で根本的な情報が分かりやすく集約されていくことが理想かと思うのですけれども、現状では、枚数が少なくなればなるほど投資に対する期待を喚起するような情報のほうが多くなっているという印象を受けております。

販売勧誘時等におけるリスク等についての情報提供の充実については、各社とも非常に努力をしていらっしゃると思います。一方で、先ほども申し上げました一般的な債券からリターンを取りにくい環境の中で、潜在的に債券ファンドが、非常にリスクが高くなっていたり、分かりにくくなっているという状況が起きている。また、こういったものが単位型等の投資信託で設定される場合には、せっかく導入された他の資産クラスとの比較や、過去の運用成績などについて、運用実績が無いため全然出すことができない状況なので、こういったリスク水準を主要資産クラスと比較する等の手法が有効な状況であるにもかかわらず、これができていないものについては、この点をカバーする工夫も必要ではないかと思います。

それから、リスク自体の説明については、まだまだ一般的な資産クラスのリスクの説明が多く見受けられるので、このファンドはどうなのだということを一言付け加えていただくことが重要ではないかと思います。全体で見るとユニバーサルデザインを導入したり、ウェブサイトなどでビデオをつくって説明するなど、個別の商品に対しても、あるいは説明用資料についても、運用会社が非常に努力されていることは認められると思います。

もう一つ、一方でそうではありながら、投資家にそれが本当に分かりやすく伝わっているのかということには、まだまだ努力が必要なのかという気もしますので、例えば、QRコードなどをつけて、補足的な説明やビデオに投資家を誘導していくといったこともできるはずです。けれども、この点について運用会社さんとお話をしますと、販売会社さんのお客さんを取ることになるので、できないと。販売会社さんのお客様に、直接自分たちが、販売会社を差し置いてコンタクトをするのは気が引ける、というお話をしばしば耳にします。ここでは、運用会社の商品について、本当のお客様が誰なのかという意識が十分に共有されていないのではないかという気がしますので、この意識の改革については、さらに広げていく必要があるのではないかと思います。

また、分かりやすさの点では、さまざまなレベルの投資家、特に年配の方を含めた投資家を対象に、実際に分かりやすくなっているかどうかということを検証する必要もあるのではないかと考えております。私どもも目論見書あるいは運用報告書の良いものについて、大賞などを作ろうと、目論見書大賞、運用報告書大賞も作ろうという相談もしておりますが、現時点では、まだまだ類型的なものが多く、甲乙つけがたい状況があって、実施には踏み切っておりません。どうかこういった大賞が私たちにもできるように、それが楽しみになり、また、投資家の方たちにも参考になるような状況になるよう、さらなるご努力をお願いしたいと思います。

【神田座長】

どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

それでは、林田委員、上田委員の順でお願いします。林田委員、どうぞ。

【林田委員】

ありがとうございます。感想めいたことになって恐縮ですが、コメントします。金融商品の販売時の説明に関してルールをご説明いただきましたが、法定書面の交付とか、パンフレットに盛り込む内容であるとか、充実といったことが順次対応が取られているということで、それは非常に結構なことだなと思って聞いておりましたが、一般論的に言いますと、ともすれば必要事項がどこかに入っていればいいかなというような形式主義に陥りやすいということもないではないのかなとも思います。やはり重要なのは、その資料を顧客にとって分かりやすく誠実に伝える、情報が伝わるものにしようという努力を続けていくことなのだろうと、それぞれの会社がやっていくことなのだろうと思います。

金融商品を買った経験が私は乏しいのですけれども、記者として数えきれないぐらい広報資料には接してきておりまして、分かりやすく誠実な広報資料だなと評価できるものを思い起こしますと、内容が明瞭簡潔であることはもちろんですが、企業など、発表主体にとって不利益あるいは不都合といったような情報こそ明確に具体的に分かりやすく書いてあるものに、非常に好感を覚えます。

一方、いくら見栄えのいい資料でも、不利益な情報が書いていないとか、書いてあるのだけれども目立たないものでありますと、発表主体そのものに対する信頼感も持てないということでありますので、いい資料を作るということは、販売会社にとってみても利益になることなのだということが言えると思います。

不都合な真実というか、事実を隠す代表的な手口は2つありまして、1つは書かない。あるいは書いたとしても、非常に言葉少なに書いてよく分からないようにする。もう一つは逆に、非常に大量の情報を流して、その中に埋もれさせてしまうということがあります。そうすると、肝心なことが情報の洪水に埋もれて分からないということが起きるわけです。お配りいただいたこの資料、どれがどうということはあまり申し上げませんが、1つの類型としては、前のほうに経済的な背景や仕組みを延々と説明していて、一見してどんな商品なのか分かりにくいなという印象を受けるものもある。一方、ファンドの特色などを前のほうでしっかり書いていて分かりやすいなと思うものも幾つかあって、そこは大変努力されているところなのだろうと思います。

ただ、分かりやすさというものにも落とし穴がありまして、ざっと見たところでは、例えば、高い利回りの数字がポンと頭に出ていて、セールスポイントとしては非常に分かりやすく、こんなにリターンがあるのかということだけれども、実はよくよく見てみると、非常に複雑でハイリスクな仕組債みたいなものだったりして、そのあたりのことが素人は一見して分かるのかなと思わざるを得ないものもあるということです。

こうした顧客への情報提供のあり方ですけれども、当局がいちいち、こうこうこういう書き方をしろというように、全部を法律などルールで決めるというのは、なかなか現実的ではないのかなという気もしております。またそういうことをしますと、それこそ形式主義に陥って、ミニマムにここだけ守ればいいやというようなことにもなりかねないので、大きな原則を決めて、その大きな原則に沿って具体的なやり方、書き方は、業界なり各企業なりが工夫して決めていくのが一番現実的なやり方なのかなと思います。大切なのは、それぞれの業者が職業的な良心に従って適切な情報提供を行うのだということに尽きるのだろうと思っています。

確か前々回の会議だったと思いますけれども、配付されましたプリンシプルのようなものをもう少し具体的、効率的なものにリニューアルして、それに基づいて各社が現場の顧客の実情に合った情報提供を工夫していくようなやり方がいいのかなと私自身は思っております。ただ、悲しいかな、プリンシプルも実際にありますし、こうしたことは十年一日の議論で、悪い言葉で言えば、いたちごっこみたいなところもありまして、なかなか今回、まとめていただいた、永沢委員がご説明いただいたものでも、ものによっては個人投資家のほうに大きな不満があったりもしますので、ここは金融業界の側もこれをいい機会にタガを締め直すような形で自主規制的な取組みの枠組みがあると思いますので、そういったものも活用しながら適切な情報提供について何らかの対応を取ってはどうかなというのが、一案として考えます。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、上田委員、神戸委員、竹川委員、佃委員の順でお願いしたいと思います。上田委員、どうぞ。

【上田委員】

ありがとうございました。まず事務局からよくまとめていただいた資料、ありがとうございます。永沢様、大変分かりやすい資料で流れが分かりました。ありがとうございました。特にこの事務局で頂戴した資料で、11ページの最後のポイントが一番重要なお題目、テーマであろうかと思います。家計の安定的な資産形成を実現していく上で、どういう商品説明に向けた競争を促していくか。特に最初に齋藤課長がおっしゃいました、1,700兆円の個人金融資産をいかに貯蓄から投資へ回すかといったところになると、まずは貯蓄しかしていない個人、すでに投資をしている投資資金というよりも、貯蓄を投資に回すというのがポイントなのかなと思っております。というところで、先ほど神作先生の適合性原則にも関連してくるのですが、金融資産に限らず個人の資産ポートフォリオにおいて、どういう商品がその人に相応しいのかと、これが第一歩であり、その上で相応しい中での商品の説明というプロセスなのかなと思っております。とはいえ、窓口の販売員の方に個人の資産ポートフォリオのアセットアロケーションの提案までできるかというと、プロの機関投資家ですらアセットアロケーションは慎重にしているもので、それは難しいだろうとも思うわけです。ただ、資産ポートフォリオのあり方まで見ないとこの議論は本当に完成しないような気がします。商品だけといったところを見れば、それはそれで大切なのですが、資産全体の議論も必要かなと思いました。そのあたり、例えば、今、ロボアドバイザーなどが話題になっております。そう思って私、幾つか試しにやってみたのですが、結構これがおもしろい結果になりまして、ある金融機関のシステムにおいては、私のリスク許容度は20%ぐらい。別のところだと、60%か70%で、ものすごい乖離がある。まず、入り口の第一歩で投資を始めようというときに、こちらの金融機関のロボアドバイザーで見ると私には債券ばかり提案してくる。もっとも、先ほど債券も相当リスクが高いというお話もありましたけれども。他方、別の金融機関では外国株や海外リートばかり提案してくるというわけです。こういう中で、どの金融機関に行くかで全く違ったものになってしまうというのは、もっと考えるべき余地があるのではないかと。例えば、よくないのですけれども、そういう全体像を見ずにどうしても売っている現場があるとすれば、そこは、本来はコンサルティング営業であるべきところ、単品主義、単品プッシュ営業みたいなキャンペーンをして重点的に売っていますといったところにもつながる。要は単なる商品の説明になっているのかと思います。そのあたり、せっかく今、AIとかフィンテックとか議論になっているのであれば、そういったところも活用しながら定量的に分析、提案できるところは活用しつつ、その上でよりこういった説明資料を充実させて販売員の方の力量にまかせるという、段階を追った議論も必要なのではないかなと思いました。ありがとうございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

神戸委員、お願いします。

【神戸委員】

ありがとうございます。今回の事務局の説明資料の中に、顧客に交付される書類についての話があり、実際の事例を添付していただいたものを拝見しました。永沢委員からのご報告にもありましたが、投資信託に関しては投信法制ワーキング・グループの最終報告書が出された後に、私も投信協会さん主催の顧客向け交付書類の検討会に出席させていただいたのですけれども、添付された資料を拝見しても、内容が改善されてきているのは明らかではないかと思います。ご報告にあったように、それが顧客あるいは投信に関わっている方々からも評価されているということですから、この方向でいいのではないでしょうか。一方、添付されていただいている資料のうちの6と7と8については問題があるように思いました。仕組み商品関係のものと、外貨建の変額個人年金保険のものです。

最初に8の外貨建変額個人年金保険の資料についてですが、投資信託のものと比べてということになりますが、仕組みの説明、解説あるいはシミュレーションの部分が大半を占めておりまして、リスクの説明や手数料についての記述が最後のところに短く詰め込まれている感じで、読まれにくいのではないかという印象があります。投資信託に関しては記述の順番等の統一も行われてきているのですが、保険商品については大元となる約款ですらフォーマットや記述順が各社でばらばらといった傾向が見受けられ、投資信託と比べると明らかに類似商品との比較がしにくく、その辺の整理がまだもう一つ進んでいないという印象を受けます。前回の保険のワーキング・グループの中で、保障目的の保険の顧客に交付する資料については、生保各社、損保各社とも協会さん中心に工夫されて、だいぶ改善が進んできているように思うのですが、投資型というか、いわゆる貯蓄・運用目的の保険については、たとえばこの変額保険の資料を見ても、投資信託と比べるともうひと工夫、ふた工夫必要なのではないかと感じました。

次に、いわゆる仕組み商品についてですが、6と7の資料を見ますと、逆にあまりに仕組みについての解説がシンプルと言いますか、足りないように感じます。デリバティブ、金融派生商品を組み合わせた商品というのは、何が一番分かりにくいかと言うと、リターン曲線が条件によって途中で折れ曲がる、あるいは連続していないという点だと思います。そのあたりをきちんと伝えられるように、ある程度場合分けをして、こうなった場合にはこういうトータルリターンになるというシミュレーションなどが示されていないと、文字だけで書かれていても、理解しにくいのではないでしょうか。実際に私どもでアドバイスさせていただいているお客様の中で、株式投資にはかなり経験を持っておられる方でも、仕組債の経験あるいはデリバティブの経験が全くないと、正しく理解せずに買ってしまう可能性が高い商品といえるでしょう。一般的な投資には十分な経験を持ち、適合性の原則を満たす方であっても、デリバティブを組み合わせているような商品だけは、厳しい状況を経験していないとそのリスクの大きさが分からない、実感できない可能性が高いということを鑑みて、もう少し説明用の資料を工夫するべきではないかと思いました。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、竹川委員、佃委員、鹿毛委員、加藤委員の順でお願いします。

竹川委員、どうぞ。

【竹川委員】

私からは、今日は分かりやすい商品説明資料がテーマということなので、主に運用報告書とそれ以外の開示資料についてお話をさせていただきたいと思います。

まず、運用報告書ですが、交付と全体版に2段階化されて、フォーマットが統一されたこともあって分かりやすくなりましたし、比較もしやすくなったと思います。その点に関しては、ずいぶん改善されたのではないかと考えております。

一方、数値やグラフが多用されて分かりやすくなったと思われる反面、その数字なりをどのように解釈するべきかという説明がなされていないところがあると思います。その数値が何を示しているのか、という意味が、初心者の方にとっては分かりにくい。手数料に関してもそうですし、例えば、売買を頻繁に、つまり銘柄をたくさん入れ替えるような投信なのか、あまり売買せずにバイ・アンド・ホールドで持ち続けている商品なのかということが、その運用報告書の数値を見ただけではなかなか投資家さんが理解するのが難しい。そういうところも含めて(数値の記載だけでなく)どういう意味があるのかという説明をもう少し加えていただければと思います。

よくなった点について申し上げると、永沢委員からの発表にあった資料にもありますが、受益者が読みやすいように運用報告書に、まとめ的なコメントを記載したり、あるいは運用担当者の写真であるとか、経歴であるとか、そういったものを積極的に記載する運用会社さんも出てきています。受益者にきちんと運用報告書を読んでもらうための工夫をされる投信会社さんが出てきた点は非常に評価できると思っています。

運用報告書のそもそもの意味合いを考えると、その投信を購入した受益者の方たちが、決算である運用報告書を見て、その投信を持ち続けるかどうか、保有し続けていいかどうかを判断するための重要な資料だと思います。こちらの永沢委員の先ほどの資料の8ページの個人投資家の意見では、「長々と全般的な市況の解説が続いていて、その運用担当者がそのファンドに対して何をしたかの文章が短い」というコメントもありました。要するに、その期に何をしたのか、どうしてその判断をしたのか、それに対してどう行動したのか、その結果がどうなったのかという、投信会社が能動的に判断して行動した内容についての説明が少ない、という個人投資家さんの意見が報告書でもありましたが、その点は私も感じるところです。ですので、その点に関しては、受益者の方がその投資信託がどういう投資方針に則って、どういうプロセスで運用していて、それがぶれていないのか、どうなのか、ということが分かるような内容にしていただきたいと感じています。特に定量的なデータについては、大分改善されて統一されてきましたので、定性的な内容についてプラスアルファで入れていただけるとありがたいのではないかと思います。

逆に、ファンド・オブ・ファンズについては全体像が分からなくなったという指摘もありますので、そこは改善していただきたいと思っています。どういうことかと言いますと、ファンド・オブ・ファンズに関しては、一本一本の投資先の投信についての説明はよくなされているのですが、ファンド・オブ・ファンズ全体として、どの国、地域、資産、通貨等にそれぞれどの程度投資されているのかという全体像が分かりにくい状態になっています。特に、投資先の地域については、(投資先の投信が)ルクセンブルグ籍であったりすると、投資する国がルクセンブルグと出てしまったり、実態と合っていない部分もあります。実態に合った国・地域、通貨、地域の配分と合致するような形で開示をしていただきたいです。

それ以外の開示資料ですけれども、こちらも大分改善されてきたと思っています。例えば、月次レポートに関しても、運用担当者がきちんと説明をしていただいていたり、運用報告会を毎月開催するような直販の運用会社もあったり、あるいは、運用報告書が出る段階で受益者を集めて運用報告会を開催したり、直販以外でも、ネットで運用担当者が動画で決算の内容を説明したりということを行う運用会社さんも出てきています。ただ、そういったときに、運用報告書が全く使用されていないのです。運用報告会を開催して(その期の運用内容を)分かりやすく説明する環境になってきていて、それは非常によいことだと思いますが、そういうときに運用報告書が使われないということは、聞く側から見ても、使う側にとっても、今一つ使い勝手がよくないところもあるのかなと、一方で思いました。

最後に、運用報告書や交付目論見書等に関しては法定書類なので、変更するのにコストがかかるという現実的な問題もあるかと思います。それ以外の開示資料でフォローできるような形にもっていければいいのかなとは思っています。ただ、その際に運用会社さんのホームページを拝見しますと、過去の運用報告書や月次レポートであるとか、そういったものが消されていってしまう、つまり、過去の運用報告書や月次レポートが一定期間内しか見られないということがあります。運用会社の方にお聞きすると、ある程度保存するとデータ的に重くなってしまうので載せられないということをおっしゃいらっしゃいました。、各社で対応できないのであれば、投信協会さんで対応していただくことはできないでしょうか。運用している投資信託の運用報告書に関しては、遡ってきちんと受益者がみられるような形でどこかに保存しておいていただけるとありがたいです。 以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

佃委員、どうぞ。

【佃委員】

ありがとうございます。事務局からご説明いただきましたところで言うと、最後のページの「家計の安定的な資産形成を実現していく上で」という、一番下のところで、より分かりやすい商品説明に向けた競争を促していくためにはどのようなアプローチが考えられるかという観点でコメントさせて頂きます。先ほど永沢委員からプレゼンテーションがございました資料2は、非常に中身のある内容でおもしろい結果になっているなと思いましたので、この資料に沿ってコメントさせて頂きます。

まず、1-1からずっと見ていくと、明らかに2-1、2-2、2-3あたりは、例えば、nの数がそれなりにある投信会社さんの回答を見ると、2-1の運用報告書の見直しについては、回答数10のうち9が役立つようになった。それから、同様に、2-2のところも、10のうち9が役立つようになった。交付の目論見書の話も10のうち7が役立つようになった。販社、情報仲介者等も含めて、2-2、2-3に関して、非常にポジティブにとらえておられるというのが全体の傾向だと思います。

そういった意味では、商品説明に関しては、一定の前進を見ているのではないかと感じた次第でございます。ただし、先ほど竹川委員からもございましたけれども、運用報告書の見直しのところは役立つようになったという声がある一方で、個別のコメントを見ますと、ファンド・オブ・ファンズについて問題点が指摘されておりますので、ここは今後対応していく必要があるものと考えます。

今回、販売時の説明資料にフォーカスしているのですが、運用報告書も重要であると考えます。いったんお金を預けた人にとっては、その後どういうパフォーマンスになっているかとか、どんな状況かというのは知りたい。メーカーなどでもそうですけれども、売った後のアフターフォローは非常に大事ですので、どうしても販売資料にフォーカスしがちなところを、ちゃんと売った後のフォローをきっちりやっていくというのが、実は顧客満足度を高める上でも非常に大事ではないかなと思った次第です。そこの部分をあわせて強化していく対応が必要になるのではないかと思ったのが1点目でございます。

2点目は、2-1、2-2、2-3については、投信会社さんは非常にいい方向にいっていると認識されているのですが、逆に1-1、1-2、1-3のところは変化なしといったところで改善していないところです。例えば、1-1の投資期間の短期化等のところです。投信会社のコメントの一番上にもありますけれども、平均投資期間が1年程度で推移しているとか、あるいは投信1本当たりの残高が100億円に満たないと。

それから、次の1-2のところでも、変化なし、あるいは後退したというのが、これは、投信会社さんは変化なしが、回答数が8。情報仲介者さん、あるいは個人投資家はかなりネガティブに見ておられる。すなわち、中長期的な資産形成に資するような核となるファンドがまだ少ない。現在、投信は全体の本数が5,000本以上あり、小規模化する一方で本数は増加しているという傾向に歯止めがかかっておりません。残念ながら顧客目線になっているとは言えない状況です。ですから、顧客の立場に立ったときに一つ一つのファンドの商品説明をきっちりやっていくことも大事なのだけれども、森全体を見た上で、もう少し全体を整理していくことをやっていかないと、まさに家計の安定的な資産形成には向かっていかないのではないかということが、成果検証プロジェクトの中間報告から読み取れるのではないか。そういった意味では、今日のテーマは商品説明のところですが、商品説明をさらに充実させていく、特にアフターフォローを充実させていくとともに、さらに他の論点もカバーしていかないといけないのではないかと思った次第です。

以上でございます。

【神田座長】

ありがとうございました。

それでは、鹿毛委員、加藤委員、宮本委員、永沢委員、黒沼委員から、その順で。

鹿毛委員、どうぞ。

【鹿毛委員】

ありがとうございます。今日の議論のテーマは「分かりやすい商品説明資料」ということですが、これに加えて現場の説明活動があって、合わせて、お客さんに対する情報提供あり方についての議論だと思われます。実際には売り手と買い手、情報を提供する側と投資家の間に大きな情報格差があることを前提として、フェアな勧誘の仕方は何かということだと思います。

事務局資料で、論点が1、2、3とありましたが、この1、2については今まで多くの方がご意見をおっしゃっていますので、私は論点3、11ページについてコメントしたいと思います。結論的には、冒頭、神作先生がおっしゃいましたように、私も適合性の問題だと思います。この点について実務的な観点から若干補足をしたいと思います。

この11ページのいろいろな類型について販売会社の対応はどうかと考える場合に、結局、ポイントはリスクテイクの中身だと思います。事務局のご説明にもありましたように、結局、リスクテイクの中身は、はっきりと2つに分けられるのではないか。1つは、いわば伝統的な株式、債券あるいは為替等やREITまではそこに入ると思いますが、一般的に多くの方にとって分かりやすいリスクテイクです。要するに価格変動リスクが分かりやすいものです。もう一つは、それ以外の分かりにくいもの。後者の中に、今日、ご報告がありましたような、例えば、デリバティブを使っているものとか、金融機関の資本増強に関連した劣後債などです。これは結局、複雑な金融工学にからむリスクやリーガル・リスクであったり、あるいはストラクチャリングのリスクとか、大部の契約が出てきて、これは本当にその道の専門家でないと、なかなか理解できないようなものです。この第2のカテゴリーの商品がかなり多いと思われます。この種のものに関してはそもそも、分かりやすい資料提供が本当に可能なのか、あるいは現実的なのかということも議論がありうると思います。言い換えますと、どういう投資家に対して、この商品の資料提供が現実的か、という意味で、まさしく適合性の問題です。ですから、11ページにさまざまな類型と、商品についての類型という問題提起をされておられますが、これはリスクに合わせた類型ということで、言うなればリスクの分かりやすい商品と、分かりにくい商品を区別して議論する必要がある。同時に、適合性の観点からも対象を区別する必要がある。第一に、ある程度資産形成も終わり、リテラシーもある程度あって十分リスクの負担能力があると、中身の理解がどこまでいくかは別としても、うまくいってもいかなくても、基本的には自己責任の世界と言えるような投資家のカテゴリーがあると思います。

第二に、そこまではいかなくて、ある程度資産形成途上でもそれなりの段階には到達し、あるいは、定年でまとまった退職金を得たようなカテゴリーです。これは老後の生活に大事なものだから、余裕があるというわけではないが、ある程度まとまった投資ができるというカテゴリーかと思います。50代以上の方々にはそういう方もおられるかと思います。ただし、この分野ではリテラシーとかリスク判断、負担能力というのは、第1と比べればある程度小さくなっている。

それから、第3のカテゴリーが、おそらく今回のテーマになっております、国民の安定的な資産形成という、大多数の国民ということなのだろうと思いますが、ここはどちらかと言いますと、資産形成の初期・中期にあり、リスク負担力も大きくなく、しかもリテラシーという点でも、経験という点でも必ずしも大きくない。このように、大きく分けても3つぐらいのカテゴリーがあって、この投資家のカテゴリーと商品のリスクのカテゴリーとでマトリックスを作ってみて、その中で適合性ということを考えながら、例えば、第1のリスク負担能力があるところであれば、金融イノベーションに沿った形で、ある程度自己責任で投資をしていくということにもさほど問題はないかと思います。逆に資産形成の途上にある若年層の場合、おそらく現在のマーケットにおいてそういう層を対象とした商品はかなり少ないと思います。あえて脱線しますと、実は今回のフィデューシャリー・デューティーの議論の中で、投資家のベスト・インタレストに対応した商品ということになると、若年層対象の商品がかなり欠落していると思います。さて問題は、中間の、ほどほどのリテラシー、ほどほどのリスク許容度のある、第二のカテゴリーの投資家に対し、ある程度リスクの高い商品をどのように勧誘していくことが適切か、ということだと思います。第二のカテゴリーの中で、それぞれの投資家の理解度・リスク許容度に応じた、きめ細かい対応、それこそが顧客ニーズを確認して、それに合った販売活動をするポイントであり、フィデューシャリー・デューティーの原理原則の一番のポイントになってくるのではないかと思います。

その中で1つのアイデアとしては、例えば、アメリカなどでは、特に流動性の低い、リスクの高い商品を販売するときに、投資家から、一種の確認書を出させる場合があるようです。例えば、こういう商品を投資するためには、保有資産残高や毎年の収入がある一定条件を満たしてなければ、この商品は買えませんという仕組みです。何らかの自己申告と、それから、客観的なプロファイリングとかいった情報と組み合わせた形で適合性判断を工夫していくことが必要だと思います。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。実際の事務局の資料で言いますと、資料1の11ページ目の1つ目の論点ですね。適合性。すなわち、金融商品の販売・勧誘の場面において、販売会社がさまざまな商品の類型に応じてどのような対応を行っていくべきか、ということだと思うのですけれども、実際の取組みを少しお聞かせいただいてはどうかと思います。恐縮ですけれども、この場にご出席いただいている証券業協会の野村證券の新井常務と、全国銀行協会の三井住友銀行の田村常務から、それぞれコメントがあればいただけませんでしょうか。

新井常務から、よろしくお願い致します。

【新井オブザーバー】

貴重なご意見をいただきまして、本当にありがとうございます。また、本日のテーマの分かりやすい資料ということで申し上げますと、私どもも運用会社さんとコミュニケーションを常に取りながら、特に販売用資料について、どのようにしたら分かりやすくなるかという点について、改善にむけて真摯に取り組んできました。先ほどのアンケートを見ても、まだ足りないところがあるということを改めて認識させられましたので、これについては引き続き、改善していきたいと思っています。

話は変わるのですが、そもそも投資信託とはどのようなものかということを考えてみますと、一般の幅広い投資家の方が運用会社というプロに運用を任せて、できる限りリスクを抑えながらリターンを追求するという商品ですから、単純かつ分かりやすい商品だけがお客様にとってベストであるとは言えないと思います。特に昨今のように国内金利がネガティブな状況ではそのような商品の提供だけで、本当にお客様のお役に立てるのかという点には疑問が残ります。もちろん、販売会社がお客様に分かりやすい説明をすることは非常に重要であることは言うまでもありませんが、これに加えて、委員の先生方からもお話がございましたが、販売や勧誘をする際には、お客様の属性を十分認識する必要があると考えております。現在、私ども野村證券も、お客様に対するヒアリングを幅広く確りと行っております。本日のお話にもございました、リスク許容度をどのように測っていくかという点については、単に幾つかの質問をしただけでリスク許容度が分かるということはないという認識のもとで、ヒアリングを通じてしっかり把握していこうとしています。リスク許容度については、お客様もご自身の状況を分かっておられないケースもあり、また、年齢によっても、同じ年齢の人であっても様々です。また、お客様の金融資産という観点でも、金融資産の全体についてのリスク許容度が存在するだけではなく、資金ごとの目的によっても取れるリスクが異なってくるはずです。そのようなことを十分認識して、販売会社としてお客様のリスク許容度を確りと確認させていただいた上で、それぞれに合わせた商品をご案内していくことを進めています。現時点においては弊社でも十分出来ているわけではないですが、このような考え方や動きは弊社だけではなく他の販売会社さんにも必要と思われますので、協会を通じて広めていきたいと考えています。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

田村常務、いかがでしょうか。

【田村オブザーバー】

ありがとうございます。各銀行それぞれの工夫があると思うのですけれども、私から三井住友銀行の例についてご説明させていただきます。

最初に、当行の投資商品販売の一連の流れを簡単に説明させていただきますと、まず、最初の段階でお客様の知識、経験、財産の状況、運用目的、こういったことを書面で確認させていただいた上で、それを踏まえてリーフレットや交付目論見書を使用して商品を提案してお客様に合わせた説明を行う。最終段階で改めて重要事項について、お客様がご理解されているところ、主にリスク、あるいは手数料ですけれども、そういったところについて書面で確認した上で、ご注文を受け付けするという流れとなっております。

本日のテーマの販売用資料についてご説明させていただきますと、例えば、投資信託の場合、交付目論見書ではなく、販売資料のほうで販売会社としての工夫をいろいろ努力しているところです。販売用資料は、交付目論見書に加えてお渡しする資料であり、リスク説明などが目論見書とだぶってしまう部分はあるので、目論見書で説明するものは目論見書にまかせて、販売用資料では簡単にしかリスクのことは書かないといったことはありますけれども、できるだけ投資信託の内容がビビッドにご理解いただけるように、目論見書に対して説明を加えているというイメージでございます。

ここで我々が苦労するのは、お客様に対して十分な説明をするということと、お客様のご負担、すなわち、あまりたくさんのことを書いてあってはかえって分かりにくくなってしまうという点の2つのバランスを図ることであり、いろいろと苦労しながら改善に努めているところです。

この説明資料の作成に当たって、例えば、リスクの低い商品あるいは簡単な商品については簡素なもので済ませてもいいかというと、先ほどから適合性の話がありますけれども、説明義務についても適合性の原則は当たってくると思いますので、お客様の属性によって説明内容が左右されるので、資料自体はきちんと作る必要があると考えております。

例えば、最近、当行が取り扱いを始めた日系企業の債券に投資する投信。比較的リスクはシンプルと言えばシンプルですけれども、そういう商品であれば投資になじみのないお客様に勧誘することも多くなると考えて、基礎的な事項、金利と信用リスクが債券価格に与える影響も説明資料に盛り込むといった工夫をいろいろ凝らしております。

そのほか、商品の全体像をご理解いただきやすいように、商品の説明ビデオを作成して、お客様にタブレット端末でご覧いただいたり、あるいは、モニターの方に説明資料をご覧いただいてご意見を頂戴したりといった工夫を行っているところではあるのですけれども、本日、永沢委員からご説明いただいたアンケート結果等を拝見し、まだまだ努力は必要であると感じております。お客様にとって分かりやすさが重要というのはそのとおりですけれども、一方で個別の銀行のビジネスの推進という観点からも、分かりやすい資料をつくることは極めて重要だと考えておりますので、今後とも分かりやすさの向上にしっかりと努めていきたいと考えております。ありがとうございました。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、残りの時間で、加藤委員、宮本委員、永沢委員、黒沼委員、池尾委員にお願いしたいと思います。

加藤さん、どうぞ。

【加藤委員】

ありがとうございます。ただいまのオブザーバーお二人のご発言の中に、私が発言したいと考えていたことの多くが含まれていたのですが、重なる部分もあると思いますが、何点かコメントをさせていただきます。最初に商品説明資料の問題を考える際には、販売チャンネルごとに考えていく必要があると思います。インターネット取引の場合には、目論見書ですとか、商品説明資料だけが全てとなるわけですけれども、特にこのワーキングで問題になっている対面販売では、商品説明資料を使ってどのような説明がされたのかが、非常に重要だと思います。そうすると、どんなに分かりやすい説明資料などを作っても、実際に販売員の方がどういう説明をされているかということが問題であって、これについてはただいまのオブザーバーお二人のご発言にもありましたとおり、大変配慮されているのはわかるのですけれども、そこが一番重要であると思います。

2番目に、本日お配りいただいたいろいろな資料を拝見しますと、昔に比べて図が増えたという気はするのですけれども、図というものは非常に扱いが難しいのではないか。つまり、分かりやすい図も確かにあるのですけれども、今日いただいた資料の中にも、分かった気にさせる図というのもあると思うのです。そのような図を用いることは、本当に説明の方法としていいのか、少し考える必要があると思いました。

3番目は、これもオブザーバーお二人、それに先ほど上田委員がおっしゃいましたけれども、出発点として“Know your customer”、すなわち、顧客の財産状態であるとか、リスク許容度などを知ることが必要になりますが、これらについて顧客自身が知らない、よく理解できていない場合も多いと思います。特に、いかにして顧客自身に自分のリスク許容度を分からせるかというのが非常に重要な問題であると再確認いたしました。

最後に、分かりやすい説明資料を、という要請と、必要十分な情報を、という要請は対立するところがあると思うのです。この2つの要請のバランスを考える際に、目論見書なり販売用説明資料というのは、今日の永沢委員のご報告でもありましたとおり、実際に投資をする個人投資家だけではなくて、情報仲介者にとっても非常に重要であることに留意すべきと思います。例えば、株式市場を少し考えてみますと、有価証券報告書であるとか、四半期報告書などを発行会社は出しているわけですけれども、個々の投資家がどれだけ読んでいるかというと、おそらく読んでいない人のほうが多いと思います。しかし、別にそれは深刻な問題とは考えられていないと思います。なぜかというと、有価証券報告書などを読んで、それを分析する投資家やアナリストの方たちがいらっしゃって、それが市場価格という、だれでも利用可能な情報に集約されるからだと思うのです。しかし、投資信託の場合に、これまでの議論を伺っていると、個人投資家自らが全て判断しなければいけないという前提で、議論が進んでいるように感じました。私としては、そのような議論には限界があるという気がしております。適切な言い方が見つからないのですが、投資家が販売業者から提供された情報だけではなくて、情報仲介者など販売業者が提供する情報を分析する第三者によって提供される情報を利用することを促進する仕組みも必要ではないかと感じました。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

宮本委員、お願いします。

【宮本委員】

ありがとうございます。本日、事務局からの実例、アンケートを含めてご説明いただいて見させていただいたわけですけれども、投資信託の商品説明資料については、このワーキング・グループで前回議論されて、法律も変えられて、業界も規則を変えられて、かつ、先ほども三井住友銀行、野村證券さんからもお話がありましたが、さまざまな努力をされて相当整備、改善されてきたのだと思っております。

ただ、目論見書、販売用説明資料を見させていただいても、一部には商品の利率がクローズアップされたり、専門用語が多用されているために、リスクとか運用の内容が、一般の個人にはまだ分かりにくいものもあるのかなと思っております。

当社も年金を財務部門がいろいろな運用機関に委託して運用を行っているのですけれども、当然、その中で伝統的な資産に加えてファンド・オブ・ファンズとか、オルタナティブ、こちらにもかなり早くから投資を行っております。ただ、専門家を配置しても、その運用の中身を正確につかむことは容易ではありません。特にファンド・オブ・ファンズは当たり前ですが、いろいろなファンドを集めているわけなので、その中身が何をどう運用しているのかを調べようとしても、これはそれぞれ海外のいろいろなファンドがやっているわけですけれども、ノウハウの流出に当たるということで、なかなか全ては見せてくれません。そういったことのハードルはかなり高いのかなと思っております。それで、このようなデリバティブとか、通貨取引を組み合わせた複雑な商品や、例えば、先ほどからありました劣後債とかのスキームもの、仕組みもの、こういう高度な商品については、顧客に対してリスクとリターン、この関係を含めてその特徴をいかに分かりやすく、かつ、必要不可欠なものを簡潔に説明するか、これが難しいのですけれども、これが求められているのだと思います。幸い、先ほどからお聞きしていると、運用会社、販売会社の中で、この商品説明資料の分かりやすさという面でも、もう既に競争が始まっているのかなと思っています。そういった意味で分かりにくい、あるいは説明資料として負けているところは、自律的に向上を図っていくのだろうなということだと思っております。

前にこのワーキング・グループで取り上げた保険の手数料の開示等については、当然ながら業界の自主的な取組みも含めて、より一層向上が図られていくのだと思いますけれども、投資信託についてもより分かりやすい資料説明に向かっていくことを期待したいと思っております。

【神田座長】

ありがとうございました。

永沢委員、お願いします。

【永沢委員】

ありがとうございます。先ほど一度発言しておりますが、3点ばかり、本日の事務局の資料に関しましてお話をさせていただきたいと思います。

まず、私は神作先生が最初におっしゃったお話は大変重要なポイントだと思っておりまして、商品を組成する方に組成のガバナンスという考え方が求められており、非常に重要なのではないかと思っています。投資信託会社の方が、自分たちはパーツを作っているだけで、それを組み立てて提供するのは販売金融機関だから、という話をよくされます。そういう考え方も一理あるとは思うのですが、そういう考え方をしていて、本当に最終的に自分の作る商品がわたる人の顔を想像しながら商品を作れるものだろうかと、そのとき以来ずっと引っかかっておりました。今回も、アンケートの回答者の中に同じような意見を言われていた方がありました。そんなこともあり、神作先生のご指摘、重要なご指摘だと思いました。

それから、2点目ですけれども、先ほどの報告の最後で、販売手数料がパーセント表示なのですが、分かっていない人が多いのではないかという指摘を今回受け、ハッとしたと申し上げました。先週金曜日に、ある大学の学生さんを対象に、私どもフォスター・フォーラムで作りました「おとなの金融力ドリル」を使って、4月と7月に同じ問題を解いていただき、金融力調査をしていただいたのですが、かなりの項目は授業中に教えて点数が上がるのですが、しかし、手数料の計算については改善がなかったという報告がありました。手数料の問題は教育では解決できないかもしれないという話になり、自分たちが思っているよりも分かっていただいていないかもしれないという前提で進まなければいけないのではないかというご指摘を、この調査にご協力いただいた先生からいただいた次第です。その話を別のところで、金融トラブルを扱っていらっしゃる弁護士さんとしたところ、一般人というのはどういう人なのですかね、という話になり、一般人というのは偏差値が40から60の人を言うのだということになりました。裁判官は70以上だから(一般人の理解をご理解いただけなくて)困るのだよねという話になり、それは余談でございますが、考えてみましたら、金融機関の方というのは、偏差値が高い方が多いのですね。偏差値と金融リテラシーは違うのですが、金融機関の方々は、自分たちが作っている資料が、もしかしたら一般人と言われる方に分かっていただけているのだろうかというところを、もう一度調査いただく必要があるように思いました。幸いなことに、金融広報中央委員会が中心となって金融リテラシー調査などもしていただいておりますので、ああいうものも活用しながら、資料の見直しをやってみてはどうでしょうか。

それから、3点目ですが、神戸委員のご指摘には同意でございまして、この6、7、8の資料につきましては、業界中心に点検をぜひともお願いしたいと思います。佃委員がご指摘になられたように、情報がたくさん与えられますと、分かったような気持ちになります。別添8は大変美しくて分かりやすいように見えるのですが、パラパラとめくったら何となく分かった気持ちになって終わってしまうというのが一般の方ではないかと思いますので、もう一度業界で検討いただけたらと思っております。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

黒沼委員、お待たせしました。

【黒沼委員】

投資信託については、目論見書の制度の改革がなされまして、販売用資料も虚偽または誤解を生じさせるものでない限り、使ってよろしいということになりました。それで、各社が販売用資料を充実させているということは、今日のご説明でよく分かりました。せっかく資料をお配りいただいたので、おそらく最も広い投資家の範囲に勧誘されるであろう、別添1の資料で、私がやや気になったところを少しだけ指摘させていただきたいと思います。

別添1-1の目論見書を見ますと、例えば、2ページの上のところで、「高い成長が期待できる日本企業を発掘し、投資するファンドです」と書いてあり、ポイント1の2つ目のコラムでも、「高成長が期待できる」という言葉が書いてあるのですね。これは、日本企業の中でも高い成長が期待できるものを選ぶから、こういうふうに書いてあるのは当然だと思います。それに対して販売用資料では、全体を通して見ると、日本株に注目しよう、日本株への投資を促そうという目的で書かれていると思うのですけれども、開いて左側のところで「期待されます」という言い方がされていて、2ページでは、「期待される日本企業」という言い回しが使われているのですね。目論見書では「期待できる」と書いてあって、こちらは「期待される」と書いてある。この目論見書の「期待できる」というのは、expectedという意味だと思うのですが、販売用資料の「期待される」というのは、hopedなのかexpectedなのか、よく分からない。expectedであるとするならば、日本企業全体が成長することを期待できるということになるのですけれども、このファンド自体はその中から高い成長が期待できるものを選ぶと言っているわけなので、必ずしも日本の企業全体の成長がexpectedされる必要はないわけですね。ここはおそらく、「期待できる」と書いてしまうと言い過ぎになるので、抑制して書いた文ではないかと思うのですが、この両者を突き合わせて読むと、表現が気になってしまうところです。

そして、第2点目ですけれども、同じページでグラフが書いてありまして、矢印が書いてあるわけです。矢印はマイナスがプラスに転じたり、あるいは、右肩上がりになっている。ところが、ここに書いてあるのは実績値であって、そのことは下に※で実績値であるという断り書きが書いてあります。しかし、これをあわせて読むと、今度は「期待できる」というような印象を持つわけです。実績値に右肩上がりの矢印を付すと、将来も上がっていくという印象を植えつけるような感じにもなるわけでして、そこが抑制しているのか、強調しているのか、よく分からないと言いますか、あいまいなのが非常に気になりました。ここはよく考えてつくったためにこうなってしまっているのかもしれませんけれども、どこまで販売用資料でできて、どこからができないのかということは、確かにもう少し検討したほうがいいという感じもしています。今の指摘は全く個別の話でありまして、一般化できるようなものではありませんけれども、おそらくほかのものも詳しく見ていけば、いろいろとそういう点はあると思いますので、ご検討いただければと思います。

【神田座長】

貴重なご指摘、ありがとうございました。

それでは、池尾先生、お願いします。

【池尾委員】

時刻が過ぎてしまっていて申し訳ないです。分かりやすい情報提供というのは、私も望ましいと思うのですが、それを受け止める側の事情を考慮する必要がある。先ほどありましたようにリテラシーが必要だというのもそうですが、あともう一つ、時間がかかるのです。それで疑問に思ったのは、こういう目論見書とかを読むなり、説明してもらって理解するのに、どれぐらいの時間がかかると標準的に想定されているのだろうか。広範の国民の資産形成手段になるためには、多くの国民が無理なく割ける時間の範囲内で情報消化が可能になるということでないといけない。情報洪水という話も最初にありましたけれども、情報が大量に提供されても消化できなければ意味がないわけですから。

田村常務のお話で投信販売の流れを教えていただきましたが、これは決して30分で済むとは到底思われない。2時間ぐらいは最低かかるかなと思うと、普通の勤労者が平日で2時間も時間を取れるのだろうか。やはり、スーパーの中にインストアブランチでも出してもらって、土日に説明を受けられるような、そういうチャンネルでも用意していただかないと難しい。忙しい活動世代が投信を購入するということは、それに必要な時間の捻出という問題がリテラシーと並んであるのではないかと思ったので、それだけです。

【神田座長】

どうもありがとうございました。私の進行の不手際もありまして、時間も過ぎておりますので、本日はこのあたりとさせていただきたいと思います。大変貴重なご指摘をたくさんいただきましたので、本日いただきましたご意見を踏まえて、今後、具体的な検討を進めさせていただきます。

それで、時間が超過しているところで申し訳ないのですけれども、一点、今後のこのワーキング・グループの運営について、簡単にご説明をさせていただきたいことがございます。事務局から説明していただきます。

それで、時間が超過しているところで申し訳ないのですけれども、一点、今後のこのワーキング・グループの運営について、簡単にご説明をさせていただきたいことがございます。事務局から説明していただきます。

【齋藤市場課長】

僭越でございますけれども、私からご説明させていただきます。

証券市場を巡る規制に関して、いわゆるフェア・ディスクロージャー・ルールにつきましては、本年4月の金融審議会の報告におきまして、「我が国においてもフェア・ディスクロージャー・ルールの導入について、具体的に検討する必要があるものと考えられる」とされたところでございます。

そこで、市場ワーキング・グループでは、本年4月に大臣からいただいた「日本の市場・取引所を巡る諸問題について、幅広く検討を行うこと」との諮問を受けて、既に幾つかのテーマについて検討を進めているところではございますが、岩原会長と神田座長にご相談し、このフェア・ディスクロージャー・ルールについても、当ワーキング・グループで取り扱うこととさせていただきたいと思っております。

なお、当ワーキング・グループでは、既にご案内のとおり、現在、多岐にわたる議論が行われており、また、フェア・ディスクロージャー・ルールに関しては、専門的な議論となることが考えられるため、岩原会長と神田座長とご相談の結果、当ワーキング・グループの下にタスクフォースを設けて議論をさせていただければと考えているところでございます。

私からは以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。今ご説明いただきましたとおり、このワーキング・グループの下にタスクフォースを設けさせていただき、フェア・ディスクロージャー・ルールの導入についての検討をそこでしていただきたいということでございます。恐縮ですけれども、そのタスクフォースのメンバーにつきましては、岩原会長と私にご一任いただければ大変ありがたいのですけれども、よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、その方向で進めさせていただきます。

最後に、事務局から連絡事項等お願いいたします。

【齋藤市場課長】

次回のワーキング・グループの日程及びテーマ等に関しましては、皆様のご都合を踏まえた上で、後日、事務局よりご案内させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

私からは以上でございます。

【神田座長】

ありがとうございました。本日はこれにて散会いたします。

―― 了 ――

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