金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第9回)議事録

平成28年11月9日

【神田座長】

それでは、定刻になりましたので、市場ワーキング・グループの第9回目の会合を開催させていただきます。皆様方にはいつも大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

本日でございますけれども、テーマは市場間競争と取引所外の取引、それから取引所の業務範囲の2つとなります。お手元の議事次第に従いまして、まず事務局から討議資料についてご説明をいただき、その後、ご議論をお願いしたいと思います。

それでは、事務局からの説明をよろしくお願いいたします。

【齋藤市場課長】

お手元に資料として討議資料(2)「市場間競争と取引所外の取引、取引所の業務範囲に関する論点」というものと、参考資料1と参考資料2というものをお配りしてございます。参考資料1は市場間競争の基本的考え方と最初に書いてありますけど、市場間競争と取引所外取引に関するものになります。参考資料2は取引所の業務範囲に関するものになります。参考資料1と2に関しては特にご説明はいたしませんが、討議資料をご説明させていただくときに適宜ご参照いただければと存じます。

それでは、討議資料に関して、私のほうから読み上げさせていただきたいと思います。

1.市場間競争

我が国では、取引所集中義務の撤廃後、市場間競争を促進する観点から、PTS(私設取引システム)制度が創設され、上場株式を取り扱うPTSには合計8社が参入したが、現在でも存続しているのは2社となっている。現物取引に関する取引施設毎のシェアを見ると、東京証券取引所のシェアが9割程度を占める一方、PTSのシェアは2社合計でも5%程度となっている。

他方、米国では、50以上の取引施設が存在し、全上場銘柄の取引シェアは、取引所外取引が30%以上を占める一方、取引所については最大のNASDAQでも15%程度となっている。

英・独・仏においても、我が国に比して、取引所のシェアが相当程度低く、取引所外取引のシェアが相当程度高い状況となっている。

市場間競争については、平成9年証券取引審議会報告において、公正取引ルールを含む投資家保護ルールを定めた上で、できるだけ自由に取引ができるよう、様々な市場間で競争が行われていくことが必要。

市場が相互に競争し合うことにより、全体としての市場システムの効率化・機能強化が図られることが期待されるとの整理がなされ、このような考え方を踏まえ、市場間競争を促進する観点から、取引所集中義務が撤廃され、取引所外取引が解禁されるとともに、PTS制度の導入等の制度整備が行われた。

その後、我が国では、大口・バスケット取引等の様々な取引ニーズに応えるため、取引所立会外市場(ToSTNeT)の整備が進められた。また、PTSがティックサイズ(呼び値の刻み幅)を先行して縮小し、取引所が追随することにより、市場参加者の利便性向上が図られてきたとの指摘もある。

このような点を踏まえると、我が国においても、市場間競争により期待されるイノベーションの喚起や、利用者のニーズに合った取引手法の提供促進といった効果が一定程度認められると考えられ、市場間競争の意義は今日においても失われていないのではないか。

他方で、取引所取引と取引所外取引が全体として我が国の市場を構成していることを踏まえれば、取引所とPTSが適切に連携することにより、市場全体として、公正性や透明性を確保することが重要ではないか。

2.PTSにおける信用取引

PTSに関しては、現状、信用取引が認められておらず、これを解禁することを求める声がある。

現状、PTSに信用取引が認められていない理由については、平成22年監督指針改正時のパブリックコメントにおいては、PTSを提供する業者自身が信用取引に伴う資金貸付・株券貸付を行うことは、マル1市場開設者としての立場(取引状況の異常又はそのおそれがある場合において、信用取引の制限・禁止等の規制措置を講ずべき立場)と、顧客への資金・株券の提供者としての立場との間の利益相反の問題が顕在化するおそれがあること、マル2こうした観点から、取引所においても信用取引に伴う資金貸付・株券貸付を実施していなこと等を踏まえると、認められない。

また、(取引所における信用取引同様に)参加証券会社が資金貸付・株券貸付を行うこととする場合であっても、当該貸付業務の適切性を確保するため、PTSを提供する業者に対して、取引所と同等の自主規制機能(参加証券協会に対する監査・処分等)の発揮を求めることは現実的でなく、認められない、と説明されている。

このため、上記の問題が解決されるよう、例えば、以下のような形で、適切なスキームが構築された場合には、PTSにおける信用取引を認めることも考えられるのではないか。

利益相反防止の観点からは、PTSを提供する業者自身やそのグループ会社等が資金・株券の提供者とならない。

自主規制機能については、信用取引について過当投機といった弊害を可能な限り防止する観点から、取引所において、マル1信用取引残高の集計報告、マル2信用取引に係る規制措置(日々公表銘柄の指定・信用取引残高の日々公表、委託保証金率の引上げ、信用取引の制限・停止等)、マル3取引参加者の上記措置の遵守状況の調査・処分等の対応が行われているところ、PTSの信用取引についても、これと同等の措置が講じられる。

なお、これらについて基本はPTSを提供する業者において対応すべきものではあるが、自主規制機能のうち取引参加者に対する調査・処分(上記マル3)については、PTSを提供する業者自身が金融商品取引業者である以上、当該業者が直接行うことは困難であると考えられるのではないか。

また、信用取引残高の集計・報告及び信用取引規制等の措置(上記マル1マル2)を実効的に行っていくためには、取引所・PTS間で必要な連携を図っていくことが求められると考えられるのではないか。

これらについて、取引所・日本証券業協会・PTS間で適切な協力を図っていくことについてどう考えるか。

市場全体の公正性・透明性を確保して投資者保護を図る観点からは、例えば、投資判断に重大な影響を与えるおそれのある情報が生じ、その内容が不明確である場合等には、適切に売買停止措置等が講じられることが求められ、PTSに信用取引が認められれば、その必要性はさらに高まると考えられるのではないか。このため、取引所、PTS等の関係者において所要の態勢整備を行うとともに、売買停止等に至るまでの判断や連携の手順などについて具体的に検討されるべきと考えられるが、どうか。

PTSが取引量制限を超えてシェアを拡大する場合、取引所の免許が必要となるが、現行制度上、自市場の上場銘柄以外の銘柄を取り扱えず、競争制限的な効果を及ぼしているため、他市場の上場銘柄の取扱い(非上場取引特権)を検討すべき、との指摘がある。しかしながら、これについては、現在の取引所制度のあり方について様々な角度から検討する中で取り上げられるべき論点であり、PTSとの関係のみで結論を出すことは困難であると考えられるのではないか。

3.ダークプールの位置付け

近年、情報技術の進展に伴い、複数の顧客からの注文を電子的に付け合せる、取引前透明性のない(気配情報を開示しない)取引の場(いわゆるダークプール)の利用が進んでいる。ダークプールは、機関投資家が大口注文を匿名で執行したいというニーズや、アルゴリズム高速取引業者との注文対当を避けたいというニーズに応えるものとして、一定の役割を果たしていると言われている。証券監督者国際機構(IOSCO)の報告書においても、マーケットインパクトの最小化、大口注文の執行促進、価格改善の可能性などが投資家に利用される理由として指摘されている。

他方で、同報告書では以下のような問題点も指摘されている。

ダークプールにおける取引の執行方針等に関する情報が十分に提供されないおそれ。

ダークプールにおける取引や取引情報へのアクセスについて取引参加者間の公平性が阻害されるおそれ。

ダークプールにおける取引シェアが高まった場合に、市場全体としての価格発見機能が低下するおそれや流動性が分散するおそれ。

欧米では、このようなダークプールの存在意義は認めつつ、上記のような問題点にも対処する観点から、多数の投資家からの注文を付き合わせる取引施設として登録を求めた上で、注文執行ルールの明確化、取引システムの堅牢性の確保等の観点から、一定の規制を課している。

これに対し、我が国では、電子的システムによって証券会社内で顧客の注文を付け合わせた上で、取引所の立会外市場に同時に取り次いで約定させる取引システムの運営は、PTSの認可を受けることなく金融商品取引業者が行うことが可能な業務と位置付けられている。このため、我が国におけるダークプールは、他国と異なる取引形態を取る形となっている一方で、仮にダークプールの取引施設としての運営上問題が生じた場合に、取引施設を規律するとの観点から十分な対応が可能か、という議論があり得る。

この点については、ダークプールを取引所の立会外市場に取り次ぐという現行の取扱いを見直し、PTSと同様に認可制の対象とした上で、一定の場合に気配情報の開示を不要にするとの取扱いも考えられるが、そのような取扱いを検討することの要請は、現状、必ずしも強く存在していないとの理解でよいか。

4.取引所の業務範囲

  • (1)現行の制度

市場の運営という公共性の高い業務を安定的に運営させるなどの観点から、現行法上、日本の取引所グループに対しては、以下の業務範囲規制が課されている。

取引所持株会社:

  • 子会社である取引所等の経営管理及びこれに附帯する業務

取引所:

  • 取引所金融商品市場の開設及びこれに附帯する業務

  • 認可を受けた場合には、排出量取引を行う市場の開設やLEI(Legal Entity Identifier:金融商品の取引の当事者を識別するための番号)指定など、法律で限定列挙されている兼業業務

これらの子会社(50%を超える議決権の保有):

  • 取引所金融商品市場の開設及びこれに附帯する業務

  • 認可を受けた場合には、取引所金融商品市場の開設に関連する業務(以下「関連業務」という、注)

(注)関連業務については、従来、その業務範囲を予め個別に限定列挙するのではなく、当局の認可に際して、

マル1取引所の業務に密接に関連すること

マル2取引所の円滑な業務運営に資するものであること

マル3子会社の業務運営が取引所に及ぼすリスクの管理がしっかり行われていること

マル4取引所の運営の公正性や中立性に対する信頼感が損なわれることがないこと

等について、チェックを受ける仕組みとすることが適当とされている。

  • (2)取引所の業務範囲のあり方の検討

こうした取引所グループを巡る業務範囲のあり方については、以下のような環境変化が起きていると考えられるが、どうか。

取引所外取引への対応

リーマンショック後、店頭デリバティブの清算集中を進めるとの国際的な要請が生じたこと等もあり、これまでに、取引所の子会社・兄弟会社には、店頭デリバティブの清算業務や、これらの取引所外取引に関する業務に係るシステムの開発が認可されている。

一方、こうした関連業務の認可に際しては、上記のとおり「取引所の円滑な業務運営に資する」とのチェック事項が存在。店頭デリバティブの清算業務や取引所外取引に関するシステムの開発などは、厳密には、上記のチェック事項にあてはまらないとも考えられるが、こうした業務はむしろ「市場全体の円滑な業務運営に資する」ものと考えられるのではないか。

FinTechの動きへの対応

近年、FinTechと呼ばれるIT技術を活用した革新的な金融サービス事業が急速に拡大しつつあり、人工知能やブロックチェーン技術などは、今後の取引所の業務にも大きな影響を与えることが考えられる。このため、日本の取引所グループにおいても、そのような技術の活用等に関する先駆的な取組みが求められ、例えば、そのような技術を有する企業等への出資なども想定しておく必要があるのではないか。

国際化への対応

取引所グループの業務も多様化が進む中、今後、我が国の取引所が、外国取引所やその他市場開設に附帯・関連する業務を行う外国企業へ出資を積極化することが考えられるが、そのような場合に、それらの取引所・企業等の子会社が出資当初、附帯・関連業務以外の業務を行っているようなケースも想定しておく必要があるのではないか。

(注)銀行・保険会社では、原則5年、業務範囲外の海外孫会社の保有を可能とするための手当てが行われている。

取引所グループ内の柔軟な業務運営

現状、取引所グループにおいては、取引所や清算機関、その他グループ内のシステム会社が、それぞれ取引システムの開発を行っている。取引所グループについても、シナジー効果やコスト削減効果を高める観点から、特にシステム開発など規模の経済が働きやすいものについては、グループ内における適切な費用配賦等を前提に、グループ内でノウハウ等を有するエンティティに集約するなど、柔軟な業務運営を想定する必要があるのではないか。

取引所を巡る経営統合

東京証券取引所と大阪証券取引所の経営統合により誕生した日本取引所グループが、我が国の市場で圧倒的なシェアを有していることに鑑みれば、取引所の子会社や兄弟会社が行う関連業務の認可に際し、関連業務に係る上記のチェック事項に加え、公平・公正な競争条件を確保することもこれまで以上に勘案する必要があるのではないか。

一方で、取引所の事業内容の拡大等に伴い、取引所には、グループとしての経営管理の実効性確保への要請が高まることが想定される。そのため、グループの頂点に位置する持株会社(持株会社が無い場合にはグループ頂点の取引所)について、それが果たすべき「経営管理機能」についても、明確化を図っていくことが必要ではないか。

その他、市場間競争、取引所外の取引、取引所の業務範囲のあり方に関して、検討すべき点があるか。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、皆様方からご質問、ご意見を出していただければありがたく存じます。どの点についても、また、どなたからでも結構です。いかがでしょうか。

大崎委員、どうぞ。

【大崎委員】

ありがとうございます。今までの議論を反映して、出てきた論点を的確にまとめていただいたと、全体として思います。

その上で1点、細かいことでありますが質問させてください。6ページの国際化への対応のところで、取引所が今後「外国取引所やその他市場開設に附帯・関連する業務を行う外国企業への出資を積極化することが考えられる」と書いてありまして、その現状認識は全く同じなのですけれども、現在の法律を読むと取引所金融商品市場の開設と、それに附帯する業務、それから関連する業務という書き方になっておりまして、この取引所金融商品市場というのは法律の性質上、日本国内における取引所金融商品市場を指すと思います。そうするとかなり厳しい読み方をすると、何となく外国での取引所市場の開設というのは範疇に入っていないようにも読めるのですが、こう書いていただいているということは外国での金融商品市場の開設も取引所の金融商品市場の開設に関連する業務だと読んで、それにさらに関連しないものについては何らか手当が必要という趣旨なのかどうか、そこを確認したいと思います。

【齋藤市場課長】

その解釈で結構だと思います。

【大崎委員】

ありがとうございます。

【神田座長】

ほかにいかがでしょうか。

有田委員、お願いします。

【有田委員】

かなり議論が従来からなされている議題でございますので、もしかしたらあまり皆さん、意見がないかもしれませんし、私が申し上げたいことも、実は相当部分、前回の議論と重複することでございますけれども、まず1点目、市場間競争というのは非常に社会的に意義があると考えておりまして、これは今後も継続され、かつ、推進されるべきであると投資家として考えております。

その心は、やはり有効な対抗勢力が存在したほうが取引所自身も効率的な経営に向けた不断のインセンティブが働くわけでございますし、ガバナンス上も非常に有効であると。また、こちらに例が示されておりますけれども、こういった競争の中からイノベーションが生まれ、これが投資家にとっても、あるいは発行体企業にとっても使い勝手のよい市場の形成に役立っているという認識がございます。また一方で、必ずしも日本の現状がそうであるとは言えないわけですけれども、相互のバックアップ機能というものも期待されることでございますので、取引システム全体の安定性が高まることが競争によって期待できるというのが1点目でございます。

2点目は、そこで登場するPTS及びダークプールということでございますが、この存在は極めて重要であると考えております。特にダークプールのように気配情報が開示されない市場で執行できるというマーケットが存在することは、私どものような機関投資家にとっては自社の売買注文が気配情報として開示されないということでございますので、このメリットは非常に大きいと考えております。

また、そのPTS、現在全体で約5%、10%未満のシェアしかないわけでございますけれども、これを信用取引解禁によってより一層活性化していくということでございますけれども、これも重複になりますが、私どもの理解では個人投資家のシェアというのは全体に対しておおむね20%でございまして、信用取引がその売買の約半数を占めていると言われております。そうしますと、信用取引がPTSで可能となりますれば、現在5%とされておりますPTSの市場シェアが15%以上の数字になることも想定されるわけでございまして、そうなれば、今現在の東証一極というような状況に対する対抗勢力としては十分に力を持つことができると考えています。

また、それに向けた取組みについては、こちらでご指摘されていらっしゃいますように、PTSだけではなくて関係各位、特に取引所さんの協力が必要なわけでございまして、実効性を伴う取組みをさらに確実とするために、明確なロードマップといいますかアジェンダをお示しいただいて、その進捗状況等についても公開していただきたいと考えております。

それから、ダークプールにさらなる規制は必要ないのではないかという点ですが、私どもは、そもそもダークプールは従来は証券会社の社内のフローを付き合わせる機能が高度化、自動化したものだという理解でございます。したがいまして、こちらに述べられておりますように特段の新たなる規制というのは不要と考えおりますけれども、アメリカでは投資家IDの導入を含めた提案もされているようでございますので、そういったことも今後必要になるとは思っておりますけれども、ダークプールに対する新たな規制という点においては不要であると私どもは考えております。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、大崎委員。

【大崎委員】

今の有田さんのご発言で言い忘れたことを思い出したのですが、現状、PTSは、いわゆる取引所の通常取引時間外にも取引を行っているわけで、今後仮に個人が盛んにやっている信用取引をPTS上でも取り扱うということになりますと、取引所の通常取引時間外に個人の投資家の注文がPTS上でマッチングされるという機会が増える可能性が今に比べて高いのではないかと思うわけですが、それは個人的には大変結構なことだと思っていますが、他方で取引所の通常取引時間外の取引については、流動性がどうであるかとか、市場参加者の幅が十分に広がっていないから偏った価格形成が行われるのではないかとか、色々懸念される面もあるわけです。そういうことを取引に参加する個人投資家が十分理解した上で、自らのいわば自己責任で積極的に投資に参加するような環境をつくるように、ぜひご当局や取引所、取引所の特に自主規制部門でも努力していただく必要があるのではないかと思う次第です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

林田委員、どうぞ。

【林田委員】

ありがとうございます。前回の議論のとき欠席してしまったのでちょっと見当外れかもしれませんけれども申し上げますと、PTSに信用取引を解禁するということ自体を否定するというものではないのですけれども、論点ペーパーの3ページ目あたりにあるように、PTSがいわゆる自主規制機能をどこまで果たしていけるのかという点、あるいは売買停止をタイムリーに実施することが夜中などもできるのかといった点、こうした論点についてやはりきちんした答えを出すということが解禁する際の条件になるのかなと思っておりますので、そのあたりのところをお伺いしたいと思います。

それから、過当投機の防止でありますとか市場の公正性、透明性の確保、あるいは投資家保護といった観点から、現在のPTSだけじゃなくて、今PTSは2社ということですが、それ以外にも新しいところが入ってきたとしても万全な体制をとれるのかどうかといったところも重要だと思いますので、そのあたりについても慎重な検討をしていただきたいなと、これはお願いでございます。

以上です。

【齋藤市場課長】

まずお尋ねに関しては、確かにおっしゃるとおりでございまして、こちらに書いてある論点、討議資料におきましても自主規制機能について、今取引所がやっているものと同等の措置が講じられることを条件として信用取引が認め得るのではないかという整理にさせていただいておりますし、その次の3ページの2つ目の黒四角でございますけれども、PTS自身が取引参加者である証券会社に対して直接調査・処分等を行うことはなかなか難しいであろうということから、やはり既に自主規制機関であるところの日証協もしくは取引所との間で適切な協力関係を構築した上で、今取引所が行っている信用取引に対する様々な措置と同等の措置が講じられるようになることというのが条件になると考えているところでございます。

また、その次の丸に書いてある売買停止措置等につきましては、条件と言うかどうかはともかくとして、今、林田委員がご指摘いただいたとおり、このようなものが適切に講じられるということが重要であり、また信用取引が認められれば、その重要性がさらに高まると考えているところでございます。

【神田座長】

よろしゅうございますか。

それでは、福田先生、どうぞ。

【福田委員】

前半部分に関しては、前回もう既にかなりご意見を申し上げましたので、さほど追加することはございませんけれども、常に金融取引というのは難しい面がある。もちろん自由化するというのは効率性を高める上で重要だけれども、その分、色々な意味でのリスクも高まる。このため、ほかの市場に比べると常に慎重に取り扱わなければいけないという基本的な考え方はあります。事務局の考え方にもそれは十分反映されているとは思います。

ただ、やはり問題意識の出発点として我が国のPTS市場のシェアというのが非常に低迷している。ほかの諸外国と比べても非常に低迷しているという大きな問題意識は重要で、そこに何か日本に固有の問題があると考えるのが自然だと思います。日本でPTS市場をどこまで増やすべきというのは別途議論がありますけども、現状の状況というのは必ずしも市場間競争という意味では健全ではないのではないかというのはバランスのとれた考え方です。PTS市場を通じた競争をもう少し促進するにはどうすればいいかということのご提案だと理解しておりまして、それを無尽蔵に増やしていけばいいということではないというようなご提案だと理解しております。

それから、後半部分の業務範囲に関して、やはり色々な新しいテクノロジーなり色々な経済環境が変わる中で、なかなか厳格なルールに基づく形での規制というか制度設計というのは難しくなってきている時代にあるのだろうとは思います。そういう意味では、なぜ取引所の業務範囲というものを限定しなければいけないのかという理念というものを再確認しながら問題を考えていくということは大事です。5ページ目にはなぜ必要なのかというのは、「現行の制度」と書いてあるすぐ下ですけれども、「公共性の高い業務を安定的に運営させるなどの観点から」ということで書かれています。ここら辺の原則論、プリンシプルというものをもう少し明確化した上で、その原則に合っているのは比較的認めるし、合っていないものは認めないというような発想というのはもう少しあってもいいのかもしれないと思います。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

黒沼委員、どうぞ。

【黒沼委員】

PTSにつきましては、今日のペーパーでは信用取引を認めるための条件を書いてもらったと理解しております。その条件の細かい部分についてまでは書き込まれていないので、今後関係機関で協議して検討されるべきであるとなっているわけです。私が一番気になるのは、大崎委員も言われたことですけれども、夜間に取引を行っていて、例えば重要な会社情報が生じたときに発行会社にディスクロージャーを求めることができるのか、あるいは求めることができないというのが現実的なことだろうとは思いますけど、それではどの程度になったら売買停止措置が講じられるのか、そういったことについてPTSの運営業者と取引所とで、どの程度予め協議して手順を決めておくことができるのかということがいま一つよくわからないところです。そこをきちんと監督官庁である金融庁で監督されて、十分な態勢ができていると認められた場合に初めて信用取引を解禁するような手順にしていただきたいと思っております。

それからダークプールにつきましては、従来自由にできていたことだという議論もあるとは思いますけれども、諸外国とは違い、日本では取引所の立会外取引への取次ぎという形でやられているわけです。取引所の立会外市場というのは、最初に出てきたときはこういった大規模なダークプールは想定していなかったのではないかと私個人は思っています。そうだとすると、事情が変わってきたので、本来は規制を入れたほうがいいと思いますけれども、現状ではまだそれほど大きな影響がないからしばらく様子を見守るというのであれば、そのことには賛成です。ただし、この問題をどう扱うかは将来の課題として残しておいて、色々と検討しなければならないとは考えております。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

土本さん、もしコメントがあれば、いかがでしょうか。

【土本オブザーバー】

前回色々と意見を言わせていただきましたので本日は特にございませんが、今ご指摘があった点についても、私どものほうで連携できるところは連携していきたいと思っておりますし、それから、市場間競争という観点で取引所自らもここにあるように多様なニーズに的確に対応していくということをしっかりせよという意味もあると思いますので、その辺については現状に甘んずることなく、不断の改善の努力をしていきたいと思います。また、この論点ペーパーでも述べられていることですけれども、信頼性の向上あるいは透明性の向上についても一段の意を用いて市場の運営に当たっていきたいと思っております。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

私も一言、感想を述べますけども、林田委員や黒沼先生のお話を伺って、これはなかなか難しいところで、取引所とPTSは同じでないので、取引所の場合、大きく言うと上場管理と、あるいは市場管理と言ってもいいですね、それと上場会社管理があって、市場管理については、多くの場合は取引参加者に対する自主規制というものを通じて行われ、他方、上場会社管理は上場会社に対する自主規制を通じて行われるということですよね。PTSが今後広がっていくとしても、前者はできるだけ同じものが行われることが望ましいと言えると思うのですけど、後者は、上場会社に対して、黒沼先生がおっしゃったように何か情報開示を求めるというのは現実的でもないので、そのあたりを関係者で協議してベストなものをつくっていってくださいというスタンスだと理解します。その結果、公正で健全な市場間競争が今までと比べてより出現するということを希望しているということではないかと思います。

田村さん、明渡さんも、もし何かございましたらどうぞ。

【田村オブザーバー】

有田委員のご意見とほぼ一緒ですので、それ以上特にはございません。

【神田座長】

ありがとうございました。

明渡さんはいかがでしょうか。

【明渡オブザーバー】

PTSの信用に関しましては、健全な市場間競争あるいは投資家の利便性を高めるということで賛成です。もちろん利益相反の防止、あるいは既存の規制の枠組みを活用することによって実効的に、かつコストを抑えて運用していただければありがたいと思います。

ダークプールに関しましては、私ども業者としては監督当局にしっかり報告あるいは連携してやっていきたいと思いますし、また投資家への明確な、かつ透明性の高い説明というのを心がけていきたいと思います。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

池尾先生、どうぞ。

【池尾委員】

私も何回か申し上げたことを繰り返すような話になってしまうので、発言したほうがいいかどうかちょっと迷ったのですが、最初のところの市場間競争ですが、1つ、結果としてのシェアで競争が十分か、不十分かを見るというのは、厳密に言うと正しくないという感じがあって、コンテスタビリティという考え方ですけれども、要するに潜在的に参入の余地が十分あって、もし東証が独占力を行使して何か超過利潤を追求するような行動をとったら、すぐに新規参入が行われてそれに対する牽制が働くという参入可能性が十分保障されているかどうかということがほんとうは大切だと思います。結果としてシェアが低いのは、東証がそういう独占力を行使するような行動を一切とらずに、競争的な条件でサービスを提供しているから結果としてシェアが低いということに過ぎないのかもしれませんので、そのあたり、シェアの低さをもって市場間競争がほんとうに我が国において不十分なのかどうかというところは、厳密に言うと少し気になるということです。

それからもう一つ、これは前も申し上げたことですけれども、競争そのものが大切というよりも結果としてのパフォーマンスが重要なので、市場間競争を通じて、1ページの下から書かれているような形の、前に申し上げた表現で言うと動的な、ダイナミックなエフィシェンシーを高めるという効果があると思うのですが、そうすると現在、日本のマーケットは諸外国に比べて動的なエフィシェンシーの面で劣っているのか、劣っていないのか、あるいはFinTechに対する取組みとは立ち遅れているのか、立ち遅れていないのかという現状のパフォーマンスに関する評価のようなことは一切なされていない感じがあって、それはそれでいいのかもしれませんが、やはりパフォーマンスが現状においてどうなのかというのは、制度改革等を考える際に基本的な前提認識として重要なポイントだと思うので、そのあたり、ちょっと追加的な議論が必要ではないかという気はいたします。

【神田座長】

どうもありがとうございました。いずれも重要ご指摘だと思いますけれども、後者の点は、ほかの委員の皆様方はどういう認識をしておられるでしょうか。

どうぞ、有田さん。

【有田委員】

現在の東証さんが国際的にどのように競争的かということにつきましては、例えば売買停止等に至るまでの判断や連携の手だてといいますか手順等について言うと、十分国際競争力があると言いますか、国際間の比較においてリライアブルなシステムが既に導入されていると感じております。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

それでは、今日のテーマは皆様方、大体基本的にはご賛同いただけているようでして、いろいろ注意すべき点もご指摘いただいたのですけれども、このワーキング・グループはさらにまだ何回かさせていただく必要がございますので、今日はちょっと時間が早いのですけれども、もし特に追加でのご発言がなければ、本日はこの程度とさせていただきたいと思います。

それでは、本日で、このワーキング・グループが取り扱うテーマのうち、次に申します4つの取引所に関する事項については議論が一巡したということと理解いたします。第1が取引の高速化、第2が市場間競争と取引所外取引、第3が取引所の業務範囲、第4がインデックス運用の位置付けとETF等の投資商品、これらにつきまして議論が一巡したと言えると思います。したがいまして、これらの事項についての今後の取扱いにつきましては、事務局とご相談の上、皆様方にまたお伝えするということにさせていただきたいと思います。

最後に事務局から連絡事項等がございましたらお願いいたします。

【齋藤市場課長】

次回のワーキング・グループの日程及びテーマ等に関しましては、今座長からお話がありましたとおり、今後の取扱い等も踏まえて座長とも十分ご相談しつつ、皆様のご都合も踏まえた上でご案内させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、以上をもちまして散会いたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

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