金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」(第9回) 議事録

  • 1.日時:

    平成25年11月29日(金曜日)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○神田座長

おはようございます。定刻には1分ぐらい早いのですけれども、皆様方おそろいでございますので、始めさせていただきたいと思います。

ただいまから、新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループの第9回目の会合を開催いたします。皆様方には、いつも大変お忙しいところをお集まりいただきましてまことにありがとうございます。

早速でございますが、議事に移らせていただきます。本日ですけれども、お手元の議事次第をごらんいただければと思いますが、これまでの会合において、このワーキング・グループとしてさらに追加の御議論を要するとされた事項として2つあります。1つは、「新たな非上場株式の取引のための制度」に関する日本証券業協会における検討状況ということです。もう一つは、投資型クラウドファンディングの制度化等というテーマであります。そこで、これら2つのテーマにつきまして、日本証券業協会と事務局からご説明をいただき、皆様方にご議論をお願いしたいと思います。

その後になりますけれども、1件、このワーキング・グループにおいて追加でご議論いただきたいテーマがございます。具体的には、ベンチャーキャピタルを通じた資金供給に関連いたしまして、保険子会社ベンチャーキャピタルによるベンチャー企業への投資促進というテーマでありまして、これを取り上げさせていただきたいと思います。これにつきまして、事務局から説明をしていただいて、皆様方にご議論をお願いしたいと思います。

それでは、早速ですけれども、まず最初に、新たな非上場株式の取引のための制度に関する日本証券業協会における検討状況ということにつきまして、平田委員からご説明をお願いします。よろしくお願いします。

○平田委員

日本証券業協会の平田でございます。本日はこのような機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

それでは、お手元、資料1-1をごらんください。1枚おめくりいただきますと、これまでの経緯をまずまとめさせていただいております。本ワーキングにおける5回目の会合におきまして、グリーンシート銘柄制度に関する議論をしていただいたわけでございますが、幾つかの問題提起がなされておりました。

1つ目としましては、グリーンシート銘柄制度につきましては、新興市場による上場基準の引下げによりまして、取引所市場の補完的な機能としての意義・役割が既に消失してしまっているということ。それから、発行会社につきましては、流通機能が低下し、資金調達の場として機能していないにもかかわらず、上場企業と大差ない負担、特に開示負担が課されているといった問題。そういうことがございまして、年々利用企業が減少し、売買も大幅に低迷してきている状況にあります。

他方で、非上場株式についての一定の取引ニーズ・換金ニーズは現在も存在しておりまして、実際に地方の証券会社で顧客のニーズに応えるためのサービスが行われているといった状況もあります。そういうことを踏まえて、新たな非上場株式取引制度を市場のような高度な流通機能は持たないものの、一定の取引ニーズ・換金ニーズに応えるために機能する仕組みを、自主規制の枠組みにより構築することができないかという問題提起をいただいておりました。

これを受けまして、本協会といたしましては、新たな非上場株式の取引制度、現行のグリーンシート銘柄制度よりも流通範囲が制限されたものとして、この制限の方法として実務上どのようなものが考えられるのかについて検討しております。2ページ目でございますが、本年10月、本協会に非上場株式の取引制度等に関するワーキング・グループを設置いたしまして、現在まで2回の会合を開催しております。

同ワーキングでは、グリーンシート銘柄制度に代わる新たな制度の整備だけにとどまらず、今後、本ワーキングでもご議論いただくクラウドファンディングなども議論していきたいと考えております。

3ページ目は、その株式等の流通範囲の一定の制限の考え方についてでございます。事務局からのご説明の中では、例えば、会社法や三者間契約による譲渡制限の方法なども提案があったわけでありますが、実務的には発行会社によるコミットといった点で限界があるのではないか、あるいは地域的な制限を設けることの限界も考えると、この3ページに図として掲げておりますように、投資グループの範囲の中で流通が確保される仕組みを考えていく方向で、現在議論を進めております。

この投資グループの考え方につきましては、4ページ目をごらんください。まず利用者として考えられる者としては、発行会社と近い関係の者や発行会社のことをよく知っている者として、当該企業の役員・従業員、その親族、株主、または継続的な取引先が一義的には考えられると思います。それだけにとどまらずに、ある程度リスクがとれる特定投資家の参入も考えられると思います。

その他といたしまして、特にこの辺のニーズがあるのではないかと考えておりますけれども、新規・成長企業など、当該企業への資金供給により成長を支援する意向のある者、あるいは地域に根差した企業など、当該企業の財・サービスの提供を受けている、例えば株主優待券を期待するような者が参入可能なのではないかと考えております。

では、この投資グループを具体的にどういうふうに考えていくのかということを、簡単に5ページにまとめておりますけれども、幾つかの制約、制限を設ける必要があろうと考えております。

まず1点目としまして、取扱証券会社において、銘柄ごとに投資グループを組成する必要があるのではないか。それから、対象銘柄については、その投資グループの中だけで流通する。基本的には、その投資グループを超えて外で流通することは想定しないで、あくまでも投資グループに参加している方々の間で流通させ、証券会社の投資勧誘もその範囲にとどまるという方向で提案しております。

それから、投資グループへの参加・脱退につきましては、参加したいという顧客本人から申し出ていただき、参加していただく形で考えております。どの証券会社で取引が行われているのかについての情報提供・告知をどのようにするのかといった問題についてはさらに整理する必要があると思っておりますが、自発的な顧客の参加意向をもとに、投資グループ内で取引が完結する仕組みを想定することとしております。

投資グループの中の取引であったとしても、取り扱われる銘柄が上場していない株式になりますので、幾つかのリスクが考えられます。そのようなリスクをあらかじめ顧客に認識していただく必要があるとの考え方のもと、取扱証券会社においては投資グループの参加者から、取引に関する確認書の徴求・交付により、リスクを確認する行為は必要であろうと考えております。

確認事項として考えられる内容といたしましては、流通範囲が投資グループの中だけで行われるという制約があること、株式等の取引を行う場合には、顧客同士で相対により行うのではなく、取扱証券会社を通じて行うこと。

それから、本ワーキングでの検討事項になりますが、当該制度は、発行会社等の開示負担の軽減等を考慮すると、金融商品取引法上のインサイダー取引規制等の適用を受けないという枠組みを考えていきたいと思っていますので、そのような説明。上場会社のような開示は行われないこと。取引の参考となる気配・相場が基本的には取所市場のように存在するわけではないこと。

その他、例えば会社法上の譲渡制限が付されている場合には、取引を行っても、譲渡による取得について、発行会社の承認が得られない場合もあり得ること。また、ここでの取引に関しましては、取引所で売買されるような非常に短期的な取引を想定するのではなくて、やはり会社を応援するといった意味での投資になりますので、中長期的な保有を原則とすることについては、顧客に説明する必要があるのではないかと考えております。

現在、具体的に枠組みをどのような形で規則化できるのかについて、さらなる検討を行っておりますが、現在ここまで議論したところでも幾つかまだ論点として残っており、6ページ目に大きく2つほど論点を掲げております。未上場株式を取り扱うということになりますと、証券会社のステータスをどういうふうに考えていくのか。過去も、グリーンシート銘柄制度の中でも問題を起こすような証券会社がありましたので、取扱証券会社の管理方法をどのように考えていくかという整理が必要であろうと考えております。

特に第一種金融商品取引業の範囲で行われる非上場株式の取扱いに関しまして、いわゆる金商法上の業法規制に、さらに加重して取扱いに当たって参入規制を設ける必要があるのかどうか。一定のきちんとした開示ができる証券会社、あるいは取扱いを明確化できるような基準を設定して、それを満たせるような証券会社に限るといった参入制限を設ける必要があるのではないかという意見が出されているので、その辺について議論をしていきたいと考えております。

それから、この取扱証券会社が対外的に公表する情報の取扱いにつきまして、投資グループの参加者には一定の情報提供、例えば、売買の情報、あるいは開示の情報の提供が必要であろうということは、大筋合意が得られております。

一方、先ほども述べましたように、投資グループの参加者以外の者に対し、取り扱われている銘柄の内容や取引可能証券会社などに関する情報をどういう形で公開するのかという議論も残っております。基本的には、売買に係る価格情報に関しては、投資勧誘をしているわけではないという前提のもと、一定の範囲の中で対外的に公表してもよいのではないかという意見が一部出ております。

もう一つの問題としましては、例えばクラウドファンディングで募集がされた株式の受け皿として、新しい制度をどのように考えていくのかというものです。また、グリーンシート銘柄制度の中で実施が可能である1億円未満の公募増資につきまして、新しい制度でも可能とするならば、資金調達の場面において投資グループの仕組みを利用する場合における、例えば取扱証券会社の情報提供のあり方といった問題についても、さらなる検討が必要ではないかと考えております。

以上のとおり、現在本協会のWGにおきましては、取引を一定の範囲にとどめるという意味で、投資グループをそれぞれの証券会社がそれぞれの銘柄ごとに設定し、顧客に参加をしていただいて、その範囲の中だけで流通をするという仕組みであれば、実務的にも機能し、今回グリーンシート銘柄制度を廃止することに伴って、残っているニーズをすくい上げる制度が構築できるのではないかという検討を、現在進めおります。

非常に簡単でございますが、現在検討中の未上場株式の取引制度の概要についてご説明をさせていただきました。以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして事務局からの説明をお願いいたします。

○中澤市場法制管理官

続きまして、市場法制管理官の中澤でございます。新たな非上場株式の取引のための制度につきましての、法的な関係についてのご説明をさせていただきたいと思います。資料1-2でございます。1枚おめくりいただいて1ページでございます。この趣旨、議論の経緯につきましては今平田委員からご説明がありましたので、基本的には割愛させていただきます。

法的な問題ということでありますと、既存のグリーンシートで利用企業さんが減少してきた1つの要因として、インサイダー取引規制、それに伴う適時開示義務、それから上場会社並みの情報開示義務が重たいということがございましたので、その辺がこの新しい制度ではどう整理されるかということをご説明させていただこうと思います。

次に2ページでございます。インサイダー取引規制について、規制のかけ方に関する考え方を整理させていただいておりますが、現行の金商法のもとでは、非上場株式については一般の投資家が広く取引に参加するものではなく、また、取引が頻繁に行われるものではないので、原則としてインサイダー取引規制の適用対象外ということにしているところでございます。

一方で、現行のグリーンシート銘柄制度は、形式的には非上場株式の取引制度ではございますが、株式の流通性の程度を勘案して、平成16年の証券取引法改正により、例外的にインサイダー取引規制を課すということになったところでございます。こうした点を勘案しますと、非上場株式を取り扱う今回の新しい制度におきましてインサイダー取引規制の適用対象とすべきか否かを検討するに当たっては、どの程度の株式の流通性が想定されるのかというのが1つの判断基準になると考えられるところでございます。

3ページでございます。平田委員からご説明のあった検討中の新たな制度につきましては、証券会社が投資勧誘を行える範囲を基本的に証券会社が銘柄ごとに組成・管理する投資グループのメンバーに限定するという建て付けになっているところでございます。また、投資グループの加入に当たっては、当該企業に対して投資意向のある者から、証券会社への自己申告を基本としまして、新たな制度の特性やリスクについて、証券会社が投資者の納得・了承を得るという形になっているところでございます。

したがいまして、この今検討中の新しい制度につきましては、市場としてではなく、非上場株式の一定の取引ニーズ・換金ニーズに応える場として設計されるものでありますので、一般の投資家は広く参加するものでなく、取引が頻繁に行われることは想定されないと、これに尽きるわけでございますが、そういう状態になっているところでございます。

それから、投資グループの参加者は、インサイダー取引規制の適用対象外であることも含めて、制度の特性やリスクを理解していることが担保される仕組みになっているところでございますので、非上場株式の原則どおり、インサイダー取引規制については適用対象外とすることが適当と考えられるのではないかと思われるところでございます。

4ページでございます。今度はディスクロージャーの関係でございます。現行の金商法のもとでは、上場会社につきましては有価証券報告書――これは外部監査が必要になってくるところでございますが、作成・公表など、公衆縦覧型のディスクロージャーの規制が課されているところでございます。他方、非上場会社につきましては、原則として公衆縦覧型の開示義務は課されていないところでございます。

現行のグリーンシート銘柄制度につきましては、形式的にはこれも非上場株式の取引制度ではあるんですけれども、これも流通性の程度を勘案して、発行者である非上場会社に対しまして、上場会社並みの、有価証券報告書に準じた会社内容説明書の作成・公表の義務づけがなされておりまして、上場会社に準じた開示義務が今のところ課されているところでございます。

今検討されている新しい制度では、市場ではなく、換金の場、取引の場として設計されることを踏まえますと、発行者に対しては現行のグリーンシート銘柄制度ほどの開示義務を課す必要はないと考えられるところでございます。これは、先ほど平田委員からもありましたが、この情報開示をどういうふうにするかということについては、引き続き実務のほうで検討していくということになろうかと思います。私からは以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。それでは、ただいまの平田委員と事務局からのご説明を踏まえまして、皆様方からご質問、ご意見をお出しいただければと思います。どの点についてでも結構です。

大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

私は、この証券業協会のワーキング・グループのメンバーにも入れていただいておりますので、そちらでもいろいろ勝手な意見を言っているんですが。ちょっと、今ご説明の中には含まれなかったことについて、これは全く私の個人的意見でありますが、2点、意見を申し上げたいと思います。

第1は、この投資グループが複数の証券会社で同じ銘柄について形成された場合の取扱いです。つまり、例えばAという会社に投資をできる投資グループがB証券会社とC証券会社に同時にありましたと。たまたまたそういうことになりましたという場合に、例えばB証券会社の投資グループのメンバーの誰かが持ち株を売りたいといって、B証券会社が買いたい人を探すために投資グループ内で勧誘したが、誰もあらわれなかったという場合に、C証券会社のほうにもこのA株に関する投資グループがあるということを知っているので、C証券会社に連絡して、そちらの投資グループのメンバーに買い手を見つけてくれませんかと言うことは、これは非常に限定的な流通という範囲内にとどまるのではないかと私は思っておりまして、そういうような取扱いができる制度にすることが望ましいのではないかと。これが第1の意見でございます。

2点目は、先ほど平田さんから今後まだ検討すると言っておられました、取扱証券会社による情報提供のあり方についてでございます。現実問題として、過去に例えば地方の新聞で地域の企業の株式についての気配情報なるものが株価欄に掲載されていたということがございます。このようなことは、私は勧誘というまでには当たらないのではないかと。これが証券会社が広告を出したということになると、これは勧誘だという話になって、一般向け勧誘で、あまり好ましくないという話になるような気がするんですが。

新聞者が取材をして、ある証券会社のところではこういう気配がこの銘柄について出ているようですということを掲載する、あるいは、先週はこういう価格がつきましたということを掲載する、これは構わないのではないかと思っております。アメリカのJOBS法でも、私募ですとか、あるいは適格機関投資家間の流通に使われる144Aの適用除外などの対象について、一般向けの広告をするということも認めるというところまでやっておりますので、あまりここを過度に神経質になると、かえって情報がないために投資家が惑わされる、あるいは詐欺的なものに巻き込まれるというようなリスクがむしろ高まると思っておりまして、この点もできれば前向きにご検討いただければと思う次第です。以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

永沢委員、どうぞ。

○永沢委員

ありがとうございます。私も大崎委員と同様、証券業協会で開催されておりますワーキング・グループに出席させていただいておりますので、この場でまた同じような意見も申し上げて恐縮なんですけれども、大崎委員と同じことを希望しております。関連して、1つ質問なんですが、地場の証券会社の中には、例えば地方のバス会社などの無料パス等のような株主優待を期待されている方々がいて、そういう方々向けに、そうした地場企業の株式などを扱っていらっしゃるところもあるという話をお聞きしたのですが、そういう会社の株式を複数の証券会社が取り扱っているということはあるんでしょうか。

資料中の絵では1社しか描いてなかったんですが、実際のところ、ここで想定されているような投資対象の株式について複数の証券会社が扱うようなことがあるのかどうかというのが、1つ目の質問としてございます。

もし複数の証券会社が取り扱うということならば、大崎委員が指摘されたような詐欺も心配ですが、先ほど申し上げましたような無料パスとか、優待狙いの方というのは、投資家としては投資のリテラシーのレベルとしてはあまり高くない人が多いと思われますが、こうした投資家は、他社ではこの値段がついているけれども、おたくの会社では・・・とか言い出して、後でトラブルになることもあるのではないかとも思います。もし他社で扱いがあるならば、他社でいくらの株価がついているのかという情報が出ないという状況は無用な混乱を生じさせるのではないかとも思います。

もちろん、そうした投資家(株主優待のサービス狙いの投資家、いわゆる消費者に近い投資家)を育てる、掘り起こしていくこともこの制度の狙いのようにも思いますので、そのためにも、こうした点もご配慮いただきたいと思います。

○平田委員

ご質問の部分につきまして、具体的な数値データは持ち合わせておりませんが、北陸等を中心として一部未上場会社の株式について顧客のニーズに応える形で流通しております。北陸で発行されております地場の新聞等を見ますと、同じ銘柄について複数の証券会社が取り扱っている事実はあるようです。ただし、大崎委員から話がありましたように、取扱いを行っていない証券会社が他の証券会社に連絡をしているかどうかまでは把握しておりません。

○神田座長

どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、福田委員。

○福田委員

投資家のイメージによって、やっぱり規制大系というのはかなり違うと思います。先ほど永沢委員がおっしゃられたような株主優待を期待するような投資家と、ほんとうのプロの投資家というのでは全然イメージが違うとは思うんです。小口の株主優待を目的とした投資家をどう保護するかという問題もあります。けれども、その一方で知らないうちに取引されて、コントロールライトまで握られるようなことになる状態まで想定しなければならないようなプロの投資家もあり得るとは思うんです。

ですから、投資家グループといっても、かなりその2つでは規制大系が違うとは思うんです。実際例えば外国人投資家というものが投資できるような環境にするのか、その場合、知らないうちに企業のコントロールライトが握られるような事態もあり得るような市場も想定するのか、それともそういう可能性は絶対あり得ないような形で、ともかく株主優待を期待するような投資家を中心に資金を集めようとするのかということによっても、イメージは全然違ってくると思うんです。

ですので、これはやっぱりさまざまなタイプの投資家を同じように考えるべきではなくて、どういう投資家が主体の市場を育てたいのかという多分フィロソフィーにかかわってくるような問題だと思うのです。やっぱり、そこら辺は規制大系を考える上でも多少は念頭におくべきなのではないかとは思います。

○神田座長

どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、田邊委員。

○田邊委員

今福田委員もおっしゃったように、どういう発行体や投資家が参加する、どういう場になるかということは、なかなかイメージできないし、基本的には申告制度ですから、入りたいと言えば入れるという仕組みだと、今もお聞きしているので、そういう意味では、いくらこちらがフィロソフィーというかコンセプトをつくっても、規制できない枠組みと見ています。それとも、ある程度投資家のスクリーニングというか、制限を加えられるような仕組みをお考えになっているかというのを、確認したい。

あと、プライマリーについては既にご指摘があったと思いますけれども、やっぱりこういうベンチャー的な会社というのは、換金ニーズ以上に当然資金調達が必要なので、ここの枠組みの中にプライマリーを入れてくるというお考えなのか、あるいはクラウドファンディングでプライマリーはやって、そこからセカンダリーはこちらのほうで引き受けるというような位置関係をお考えになっているのか。プライマリーについてのお考えをもう少し詳しくお聞きしたいなと思いました。

○神田座長

ありがとうございます。では、平田委員からいかがでしょうか。

○平田委員

1点目の件につきましては、取り扱う証券会社の方針によって変わってくるのではないかと思っております。例えば、ベンチャー企業を取り扱いたいという証券会社であれば、取り扱う銘柄に関しては企業を育てたいという方々に参加していただきたいという意向があると思います。そうなれば、その投資グループは、そのようなコンセプトを掲げることになろうかと思います。一方、既存の北陸等を中心とした地場の証券会社であれば、いわゆる地元企業の株式等に関する換金ニーズや優待券が欲しいというような顧客のニーズに応えるためのサービス提供という考え方で投資グループを組成することになろうかと思います。そのようなケースは、永沢委員からもご発言がありましたように、あまり発行体自体には興味がない方々が参加をすることもあり得ると思います。参加者の範囲を日証協の規則で制限することが望ましいかという点につきましては、今後さらなる議論が必要と考えております。

2点目のプライマリーにつきましては、実はまだきちんとした検討が行われておらず、これからの議論と思っております。従来ですと、グリーンシート銘柄制度という枠組みの中で、いわゆる募集が自由にできるということになっていまして、1億円以上であれば、金商法の開示に服した形で募集が行われておりますし、1億円未満であれば、日証協の制度で規定しております開示の仕組みの中で行われております。このような募集を新しい仕組みの中でも許容していくのかどうかという問題は今後検討すべき論点の1つであります。その場合、募集行為をこの投資グループの範囲でおさめるのか、もう少し広い範囲で可能とするのかといった問題も含め、議論をしていかなければいけないと思います。

また、今のところクラウドファンディングの仲介業者に関しては募集の取扱いしかできないという考え方が示されておりますので、株式を取得した投資家から換金したいというニーズが出てきたときに、その仲介業者は扱うことができないことになりますので、その辺の受け皿としても応用できるのではないかと考えております。

以上のように考え方としては2つあるのではないかと思っておりますが、実際議論がそこまで進んでおりませんので、今後整理が必要と思っております。

○神田座長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。いろいろ貴重なご指摘をいただきましたけれども、先ほどの平田委員のご説明、それから事務局からの考え方の整理ということについては、大体その方向でご賛同いただけているのではないかと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

それでは、ありがとうございます。そういう意味での方向感は出していただいたということで、本日さらにご指摘をいただいた点というか、ご意見等を踏まえて、先に進ませていただきたいと思います。

それでは、続きまして、投資型クラウドファンディングの制度化等を取り上げさせていただきたいと思います。まず事務局からのご説明をお願いいたします。

○中澤市場法制管理官

それでは、資料2-1から2-3を使いましてご説明をさせていただきたいと思います。投資型クラウドファンディングにつきましては、第4回の9月10日の会、それから第5回の9月27日の会でご議論をいただいたところでございますが、その際のおさらいみたいなことも含めて、それから10月23日にアメリカのJOBS法のクラウドファンディングのタイトル3のところですが、SECルールが、パブリックコメントが開始されまして、来年の2月3日が期限とされております。その辺の動きもありますので、それについても適宜コメントをさせていただきながら説明をさせていただこうと思います。

それでは、資料の1ページをごらんいただければと思います。制度化の方向性ということで、この一番上の丸につきましては、日本再興戦略を受けてやっているということを書かせていただいているところでありまして、下のほうは、これまで当方から2つの側面に配意するということでご議論いただいていることの説明でございます。1つは、リスクマネーの供給促進という観点から、できるだけ仲介者にとって参入が容易であって、かつ発行者にとって負担が少ない制度設計とすべきという点でございます。それから、下の点でございます。詐欺的な行為に悪用され、あるいは投資型クラウドファンディング全体の信頼感が失墜することがないよう、投資者保護のための必要な措置を講じるべきではないかという点でございます。

2ページでございます。まず、今言った最初の点のほうの、仲介者にとって参入が容易になるという点でございますが、これにつきましては、まず現行制度の整理をさせていただいてございます。株式の募集については、第1種金商業者としての登録が必要でございまして、ファンド持ち分については第2種金商業者としての登録が必要となっているところでございます。それぞれ参入要件ということで最低資本金要件がございまして、1種業については5,000万円、2種業については1,000万円となっているところでございます。

それから、真ん中のところにバーを引いて書かせていただいておりますが、非上場株式の募集の取扱いについては、現行、日本証券業協会の自主規制規則によって原則禁止がされているところでございます。

下の丸に行きまして、9月27日の第5回のワーキングにおきまして、事務局より仲介者にとって参入が容易な制度とする観点から、株式型、ファンド型、それぞれに特例を設けまして、財産要件等を緩和することが考えられるのではないかという問題提起を行わせていただきまして、基本的な方向性についてはご了解をいただいていると認識しております。

3ページでございます。そこで、非上場株式の募集を取り扱う者でありまして、インターネットを通じた少額のものだけを行う者を特例1種業者、それから、ファンド持ち分のほうも、同じくインターネットを通じて少額のものだけを行う事業者を特例2種事業者と位置づけまして、それぞれ財産規制等を緩和することとしてはいかがかとさせていただいているところでございます。

この少額のところでございますが、1人当たり投資額50万円以下、発行総額1億円未満というものを想定しているところでございます。開示規制が基本的にかからないところをターゲットにする、特に株式についてはそういう発想でこの上限を設定してはどうかということでございます。

この点につきまして、米国の制度でございますが、参考資料2-3のほうでございます。JOBS法のクラウドファンディングの要件ということで、米国の制度につきましては、1人当たりの投資額の上限というのが年収、あるいは純資産で規定されているということになってございました。1ページの上の要件の点線の中の真ん中あたりですが、例えば年収・純資産が10万ドル未満である場合には、2,000ドル、もしくは年収の5%の大きいほうを超えないことというような制約がかかっているところでございました。

ここにつきましては、前のワーキングでもご説明をさせていただいていると思いますが、複雑な状況にもなるので、我が国で導入する場合には、1人の投資額は定額の50万円ぐらいがいいのではないかと申し上げてきたところであります。米国のほうもこの点についてはかなり悩んでいるようでございまして、今回のこのSEC規則案では、その追加事項のところに書かせていただいているんですけれども、発行者が上限を超えていないかの確認は、仲介者の調査に依拠することができるとされています。

また、その仲介者の調査も、投資家からこの制限の中に入っているよということを聞いて、それをみんな信じましょうみたいな形になっていまして、なかなか年収とか純資産で上限を決めるのは米国でも難しいという認識になっているようでございます。という点などに鑑みますと、我が国においては定額、50万円以下というのが1つのいいアイデアではないかと思われるところでございます。

本体資料の3ページに戻っていただきまして、この特例1種業者をつくるに当たりましては、先ほどちょっと申しました非上場株式の募集を原則として禁止している現行の日本証券業協会規則を緩和する必要がございます。非上場株式の募集の取扱いについて、インターネットを通じて行われる少額のものに限定して、この非上場株式の募集の取扱いを認めるということが適当と考えられるのはどうかということでございます。

続きまして、4ページでございます。今度は、先ほど申し上げた2つの視点の下側のほうでございます。詐欺的な行為に悪用されることを防ぐ方式、あるいは投資型クラウドファンディング全体に対する信頼感を確保するという観点からの規制をどう考えるかということでございます。現行法の金商法のもとでは、株式やファンド持ち分の募集の取扱いに際しまして、インターネットを用いることについて、特段その性質を踏まえた規制が設けられてはいないところでございます。この点につきましては、9月10日の4回目のワーキング・グループより、事務局よりインターネットを用いて手軽に多数の者から資金を調達できる仕組みであることを踏まえると、詐欺的な行為等に用いられることのないよう制度的な工夫が必要との問題提起を行いましたが、それに対して以下のようなご意見をいただいております。

1つ目は、仲介者は発行者に対するデューディリジェンスを行う能力が必要ではないか。2つ目は、インターネットを用いて多数の投資者から資金を調達するという特徴を踏まえると、適切な情報提供が投資型クラウドファンディングに係る規律の基本となるべきではないかということでございました。

そこで、投資家保護の観点から、インターネットを通じて行います非上場株式、またはファンド持ち分の募集の取扱いを、それぞれ株式型のクラウドファンディング、あるいはファンド型のクラウドファンディングと位置づけまして、それを行います仲介者に対しましては、以下の2点を義務づけることとしてはどうかと考えているところでございます。

順番は前後しますが、下の矢から説明させていただきます。まずは、インターネットを通じて発行者情報をきちんと投資家に提供するという義務を課すということでございます。クラウドファンディング自身はウェブサイトを通じて募集の取扱いを行うということでございますので、このウェブサイトを通じてしっかり情報が投資家に伝わるということが制度の根本かと思われます。

提供を義務づける情報の内容につきましては今後詳細を詰めさせていただきますが、例えば米国の規制案でも、発行者の名称、住所、ウェブサイトアドレス、事業計画、あるいは資金使途みたいな基本的な事項については情報を提供するようにとなってございますので、我が国においても、そういう内容についてはしっかり提供させる義務を課すということではないかと考えられます。

上の矢に戻っていただきまして、やはり仲介者が発行者に対するデューディリジェンスをしっかりやっていること、それから、今申し上げましたインターネットを通じた適切な情報提供がきっちりできるかどうかの体制整備というものを、このクラウドファンディングを行う仲介者に対しては課すということとしてはどうかということでございます。

このようにインターネットを通じて非上場株式、あるいはファンド持ち分の募集の取扱いを行う仲介者全般にこの体制整備を求めることになるのでございますが、そうすると、リスクマネーの供給の促進に反するのではないかという懸念もあり得るところです。しかしながら、この点については、非上場株式につきましては、原則これまでできなかったものを、仲介者の体制整備等を条件にできるということにするものであるということ。それから、ファンド持ち分につきましても最低限必要な体制整備を求めるものであると認識しておりますので、現在行っている業者の状況に鑑みましても、必ずしも過度な負担を課すものではないと考えられます。

むしろ仲介者に一定の体制整備を求めまして、投資者に対して発行者の情報が適切に提供されるように担保するということが、投資型クラウドファンディング自体の信頼感を高めて、リスクマネーの供給の促進にもつながっていく、プラスになるのではないかと考えられるところでございます。

関連しまして、資料2-2ということで、第5回の会合でも議論もありましたし、前回島村事務局長からのヒアリングもありました、2種業協会のあり方、あるいは2種業協会への加入促進という点について、ご説明をさせていただこうと思います。

クラウドファンディングの大枠につきましては今説明したとおりでございますが、細かい譲渡制限のあり方、あるいは目標募集額といった制度につきましては、むしろ自主規制のほうで対応していただく事項になるかと考えております。その観点からも、自主規制がきちっと機能するかどうかというのが重要ではないかと考えられるところでございます。

資料2-2の1ページでございますが、一番上の丸については今ご説明したとおりでございます。2つ目の丸につきましては、これまでのヒアリングでも明らかになっているところでございますが、第2種業協会に加入している2種業者は非常に少ないという状況になっているところでございます。

3つ目の丸でございますが、金商法の56条の4という条文がございます。参考資料、2-3のほうの一番最後のところに条文をつけさせていただいております。第1種金商業者と投資運用業者につきましては、自主規制機関に加入していない業者に対して、当局が自主規制機関による自主規制を考慮して、適切な監督を行うことと、これらの業者に対して当局が社内規則の作成変更命令を発出する権限を有するということが規定されているところでございます。

しかしながら、2種業者につきましてはこの規定が適用になってございません。協会加入率が低くとどまっていることの背景については、こうした制度的な要因もあるのではないかと考えられるところでございます。

そこで、対応策でございますが、2ページでございます。なるべく多くの業者が自主規制機関に加入することが適切な自主規制を機能させるためには望ましいということでございまして、まず案1としまして、2種業者についても、1種業者、投資運用者と同様に、金商法56条の4の対象にするということでございます。

3ページでございますが、さらに加入を登録の段階から促進させていくということを考える上では、この案1をもう一段進めまして、当局からの社内規則の作成変更を命ぜられるまでもなく、そもそも協会非加入者は協会による自主規制並みの社内規則を整備する義務を負うというような案が考えられないかということで、案2をお示しさせていただいているところでございます。

第2種金商業者につきまして、自主規制機関に加入していない場合に、自主規制機関による自主規制を考慮した社内規則を整備すること。それから、社内規則の遵守を確保するための体制を整備することを義務づけるということでございます。

注のところに書かせていただいてございますが、こうした規制を導入することによりまして、協会の非加入者につきましては、第2種金商業の登録の要件として、協会の規則に準じた社内規則の整備、それから社内規則の遵守を確保するための体制の整備が要求されるということになります。

もう一つの矢でございますが、協会規則が改定される際に社内規則が改定されなかったり、社内規則の運用状況が芳しくない場合には、当局から行政処分の対象となり得るところでございます。

注の2につきましては、第2種金商業者についてこうした規制を導入する場合には、1種業者、投資運用業者についても同様な規制を導入することが適当ではないかと考えているところでございます。説明は以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明を踏まえまして、皆様方にご議論をお願いしたいと思います。資料に示されたどの論点についてでも、また、どなたからでも結構でございますので、お願いいたします。

大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

若干感想を申し上げて、質問を2点したいんですけれども。感想は、今回資料2-1のほうで、インターネットを通じた場合に限って少額の非上場株式募集の取扱いをいわば解禁するという、これは大変いい方向性だと私は思っております。日本では一部に経済取引をインターネットを通じてやるというのは、いわゆる対面でやるよりも危ないというような誤解があるように感じています。しかし、きっちりした監督を及ぼすという観点から、インターネットでやってもらったほうが、どのようなサービス提供が行われているか、あるいは情報提供が行われているかとか、どのような取引が行われているかというのを把握をむしろしやすいわけであります。投資家保護の観点から、こういうインターネットを使えば認めるというあり方は非常にいいことだと思います。また、技術進歩に対応して、今まで禁止してきたことが解禁されるという意味でも、大変好ましいことではないかと思います。

それで、この点について1点質問したいんですが、もちろんこれはインターネットを通じたということではあるんですが、例えば投資家がインターネットを通じて情報を得て、しかし、電話で何らかの疑問点について確認をしたいので問い合わせをするとか、場合によったら、直接来て説明をしてくれとかいうようなことを排除するものではないんじゃないかという気がしまして、その点についてご見解を承りたいというのが1点です。

もう一つは、これは全然違う話なんですが、こちらの資料2-2のほうについての事実確認です。第1種業者については、ほぼ100%日本証券業協会に加入していると理解しているんですが、投資運用業者の状況について教えていただければと思います。そもそも投資運用業者が加入する可能性のある協会が複数ありますし、どういうところに何割ぐらいお入りになっていただけているのか。

また、この自主規制を考慮した監督という意味で、社内規制の作成・変更というのを実際に行われたケースがあるのかどうか、教えていただければと思います。

○神田座長

ありがとうございました。それでは、事務局からお願いします。

○中澤市場法制管理官

1点目の質問はなかなかお答えがしにくいところがございますが、基本は、クラウドファンディングというのは、ウェブサイトを見て、それで投資するということかと思います。大崎委員はアメリカのルールのセーフハーバーみたいなものを念頭に置いて質問されていると思いますけれども、基本的にはネットを通じてということで、電話での確認などを一切禁じるところまで行かないと思いますけれども、募集の取扱いはあくまでネットを通じて行われる、そこは答えになっていないかもしれませんが、そんな感じかと思います。

それから、協会のほうですけれども、1種業につきましてはほぼ100%と認識しております。それから、運用業と助言業につきましては、投資顧問業協会のほうには6割ぐらい入っています。

それから、作成・変更命令につきましては、これまで、おそらくないんじゃないかと思います。済みません、間違っていたら訂正します。

○大崎委員

ちょっとよろしいですか。じゃ、そんなに作成・変更命令を出さなければいけないということを経験されていないとすれば、6割しか入っていないけれども、あとの4割も大体みんな協会と同じようなことをやっているというご認識なんですか。ちょっと違うような気が、直感的にするんですけれども。

○中澤市場法制管理官

済みません、監督当局ではないので正確にお答えができないところがありますが、助言業者の中には、ワークをしていないところも結構あって、登録だけ取っていて、仕事はしていないというケースがあると思われます。これは2種業者についても同じで、とりあえず将来の不動産受益権の販売をする可能性があるので、登録だけを取っているという不動産業者は結構いると認識しています。

ちょっと済みません、正確なお答えになっていないかもしれません。

○神田座長

すみません、また次回以降にでも必要に応じて補足させていただければと思います。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

インターネットでの募集について、大崎委員が先ほど総論的なことをおっしゃったんですけれども、率直に言って危ない面と、そうでない面とがあると思います。言い過ぎになるのかもしれませんが、対面型の勧誘で、強烈なセールストークというか、あるいは誤解を招くような勧誘があって、それで意に沿わない、あるいは不適合な取引に顧客が引きずり込まれるという例があると認識しています。

これに対し、インターネットの取引は、ある意味では不招請の勧誘ではないという面があると思っています。ただし、インターネット上の表示しか見られないわけですから、その表示がきちんとしているかとか、あるいは今回の論点でいえば、仲介者の方々が発行体についてきちんとデューディリジェンスをしているのか、そこが重要になってくるということだろうと思います。

そう申し上げさせていただいた上で、資料2-2について、事務局から案の1と2が提示されています。案の2のほうが一歩押し進めたものと表現されています。そう表現できるかもしれませんが、私から見ると同じと言えます。案の1について、適切な監督を行うというのは、ある意味で当然のことです。そして、一旦参入した業者について適切な監督を行うということは、参入した瞬間から監督は行われなければいけないので、それを確保するためには参入時にこの社内規則その他が形式的にもあり、実質的にも履行体制があるというのは当然のことではないかと。疑われるところについては、登録された1秒後から監督はきちんとされなければいけないということですので、同じことではないかというふうに思いました。

ちょっと長くなりますけれども、資料2-1との関係でいうと、かなりいろいろな規制を外すわけですので、デューディリジェンスであるとか、情報の真実性についての担保率直がとられることが前提だと思います。

けれども、1つだけ申し上げれば、アメリカと比べると、1ドル100円としてですけれども、年収が1,000万の方について50万円まで認めるわけですね。アメリカの場合、20万円しか認めないわけですね。

そこは大分違うということと、アメリカの場合は個々の投資者の財産状況を仲介者の方が調べて、ある意味では適合性についての調査をして適性を図っていくと。それに対して、日本のほうは年収1000万円以下の顧客について一律50万以下ということで、ある意味では合理化するということで、1つの工夫かとは思うんですけれども。

ここはある意味では大きな選択だろうと思っています。私は必ずしも日本のこの案が悪いというふうに思っていなくて、むしろシンプルでいいのかなと思っているんですが、アメリカの考え方とひょっとすると根本的に違うのかなと思ったり、今感想レベルですけれども、疑問を申し添えさせていただきます。

○神田座長

事務局、いかがでしょうか。

○中澤市場法制管理官

米国の規制ですけれども、年収が10万ドルだと、2,000ドル、もしくは年収の5%、どちらか大きいほうなので、10万ドル、日本円で約1,000万あれば50万、5,000ドルになります。だから、その意味ではほぼそろっていると思われます。

○上柳委員

失礼しました。私が先ほどアメリカの場合20万円と言ったのは間違いです。アメリカの場合、年収400万円までは20万円で、年収400万円から1000万円までは年収の5%。年収1,000万円だと、50万円で日本と同じになるわけですね。

○神田座長

それでは、平田委員、山下委員の順で、それから原田委員。平田委員からどうぞ。

○平田委員

何点かございます。まず1点目といたしましては、先ほど大崎委員よりインターネットといっても最低限電話等でという話がありましたが、やはりインターネットはシステムで動いているものでありますので、不慮のシステム障害等々が発生することもあり得ます。既存のインターネット証券会社の場合は、そのような場合に備えてコールセンターを設けておりますので、最低限コールセンターがなければ対応できないのではないかと思いますので、その辺の業務は認めてもいいのかなと思っております。

一方で、もしそのコールセンターで勧誘行為が行われるのであれば、当然そのスタッフは外務員資格を有している必要があり、ファンディングポータルの場合における外務員の登録制度を、どのように考えていくのかについても、少し議論をする必要があるのではないかと思います。

2点目といたしましては、事務局でご用意いただきました資料2-3、参考資料の3ページ目にある、ファンディングポータルに対する規制のJOBS法の規定の3つ目の丸のところに、ファンディングポータルは投資者資金や有価証券の保管、運用等を行うことができないという規定がございます。

今回想定しております仲介者である特例1種業につきましては、募集の取扱いしか行うことができないとされていますが、瞬間的でも資金や有価証券を取り扱う場面がもし出てくるのであれば、分別管理をどうするのかとかいう議論もあります。このため、日証協といたしましては、できればアメリカのファンディングポータルに対する規制と同様に、投資者資金や有価証券の保管等々に関しては行うことはできないという規制があってもよいのではないかと思っております。

もう一つ、もし投資者資金や有価証券の保管、運用等ができる規定とする場合には、瞬間的にでも顧客の金銭を預かる、あるいは有価証券の受渡しを行うという業務がある場合には、投資者保護基金との関係をどうするのかという複雑な問題も絡んでくると思っておりますので、その辺もきちんと整理が必要ではないかと思います。以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

山下委員、どうぞ。

○山下委員

2つほどコメントをさせていただきたいと思います。1つは、インターネット取引のほうでございます。これについては、基本的には、公募制度の例外ということで金額を小さくする、あるいは特例業者に開示、情報提供の義務、あるいはデューディリジェンスの義務を課すということで、全体感としては非常にいい形ではないかというふうに思います。

1つ、コメントとしては、この特例業者については、いわゆる引き受け責任はないという想定だと思います。そうしますと、実際の決裁のほうをどういう形でやるのかということがあるかと思います。当然、投資家と発行体のほうで直接やるというチョイスもあるんでしょうけれども、そこは特例業者が間に入って対応するということが必要ではないかと思います。

以前、エスクローの制度とかの話もあったと思いますが、やはりネットオークションのほうでいろいろ研究はされているようですが、使い勝手が非常に難しいというところもあって、やはり業者が間に入るという形で決裁を行うということになるんだろうと思います。そうしますと、小さい業者もいるでしょうから、そこは最悪の破産等の場合を想定して、どういうふうに資産の分別管理させるのか等の点もあるんだろうとは思います。

それから、2点目としましては、この2種業者の協会の加入の促進ということなんですけれども、これにつきましても1案、2案がありますが、私は個人的には2案が適正ではないかと思います。登録の段階で要件としてきちっとした社内体制をつくっておくということは、過剰規制ということではなくて、制度全体をきちっと運営していく上でどうしても最低限必要なことであろうと思っております。

ですから、参入する業者については、きちっと体制を整備した業者のみがそういったことをできるというふうにすべきだろうと思います。そういう意味では、1案と2案、多少違いますけれども、2案に賛成でございます。

もう一つありますのは、以前から申し上げております反社会的勢力の問題ですが、これは1種の証券業協会員にならないと、反社をチェックする制度が利用できないということがございますので、2種業者についてはその制度を利用できるのかという問題があると思います。反社を排除するというのは非常に大きな、重要な問題ですので、何とか2種業者が簡便に反社のチェックを行える体制をつくる必要があるのではないかと思っております。以上でございます。

○神田座長

ありがとうございました。

それでは原田委員、それから前川委員の順で、原田委員、どうぞ。

○原田委員

少し基本的なところを2点、確認させていただきたいと思います。1点目としましては、第2種金商業者の協会への加入促進に関することです。今現在加入が33社あるということですけれども、その33社はどういう業務内容のところかということを、まず確認させてください。

また、協会へ入ってほしい会社というのはどういうところなのかということも、多少気になるところであります。前回、先週だと思うんですけれども、ご説明いただいたときには、第2種金商業者には競走馬のファンドが数十社いて、不動産会社も数百社あり、その他という分類のところにも400社ぐらいと数字があったかと思いますので、どういう業務をやっているかというところで、大分違ってくるところが多いかと思いますので、その辺をお伺いさせていただきたいということであります。

関連しまして、社内規則を整備する義務を負うとする案に関することなんですけれども、今現在、現時点では社内規則があるかどうか、ということは一切関知していないということになるのでしょうか。お伺いさせてください。

そして、もう一点としまして、確認ですけれども、クラウドファンディングの仲介者が特例1種業者になっても、先ほどご説明のありました資料1-1の取扱証券会社にはならないと。特例1種業者は募集の取扱いのみを行うということですと、どこかの時点で取扱証券会社のほうに全て移ることになるかと思うんですけれども、その場合にどの時点なのかということが気になります。

あと、審査をして、非上場の証券の価値、価格をつけていくという段階で、仲介者の持つ情報というのは非常に重要になるかと思いますので、そこのところで連携があるべきなのかといったことについても、まだまだ不透明なところがあるかと思いますので、お教えいただければと思います。

○神田座長

どうもありがとうございました。事務局、または証券業協会、いかがでしょうか。

○中澤市場法制管理官

どういう業者に加入してほしいかという点ですけれども、それは登録業者の皆さんに入ってもらうことが重要だと思っています。先ほど申し上げましたけれども、業務を全然行っていない業者まで全部強制加入、単に登録を取っているところまで入れるのかという問題は、業務を行わないのであれば登録をとらないでほしいという感じがしないわけでもないですが、基本的には全業者に入っていただきたいということがお答えかと思います。

それから、今どんなところが入っているか。島村さんから補足してもらえばと思いますけれども、今入っているところは、専業でいうと、このワーキングでもプレゼンをお願いしたミュージックセキュリティーズさんと、若干の2種専業をやっているところが数社あるということと、それから、ベンチャーキャピタル的な仕事をしている業者が数社入っています。あと、1種もやりつつ2種もやっているという会社が大半を占めているということでございます。

それから、最後の特例1種と、その後の指定証券会社の関係ですけれども、ここは今後詰めていかなければいけない問題ではないかと思っています。特例1種だと募集の取扱いだけでございますから、売買するときには1種が必要になってきますので、そこはいずれかの段階で、売買が必要になった段階で、ひょっとしたら証券会社が最初と違ってくるということもあるかと思いますし、最初の特例1種が本当の1種になってもらって、そこでやるというケースもあるかと思います。

それから、価格の問題というのは今後の問題なので、どういうふうな形になっているかよくわかりませんけれども、確かに原田委員がおっしゃるように、仮に証券会社が違った場合には、その連携というのは非常に重要になってくるかと思われます。

○神田座長

ありがとうございました。島村さん、何か補足ございましたら。

○島村事務局長

今、中澤様からお話がございましたが、若干補足をさせていただきます。業種をどうやって見ていくのかというのはいろいろな見方がありますけれども、当方の正会員33社の中では証券会社が17社、金融機関が3行、商品先物関係の会社が5社、そして、複数の業態をとっているところもありますが、2種専業と言われるところが7社ほどでございます。そこは復興支援とか、地域活性化ファンド、太陽光発電のファンド、ベンチャーキャピタル、投資事業、これは前回の資料に書いてございますけれども、こういったところかなと思っております。

次に、どういうところに入っていただきたいかというのは、私ども、えり好みできる立場ではないものですので、どんな会社でも入っていただきたいんですけれども、やはり、自主規制の意識といったものが高い会社にはぜひ入っていただきたいと思っております。会社の大小とかに関係なく、やはり意識を共有できるような会社に入っていただいて、よりよい業務をやっていきましょうという、そういう意識の共有できる会社にぜひ入っていただきたいと考えております。以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。それと、原田委員からの事務局へのご質問で、1つ、現在の制度で社内規則を整備していなくても登録が取れるのかとか、登録に際してはその点は見ないのかという点はいかがでしょうか。

○中澤市場法制管理官

今の登録の拒否要件で一番近い内容のものは、「人的構成がしっかりしていない」、というものです。社内規則がなければ人的構成はしっかりしていないということになることもあろうかと思いますが、ただ、人がそろっていれば登録はできることになります。

それから、協会の規則と見合ったような規則になっているかどうかというところは、見ることにはなっていないと思いますので、今回のこの案2では、まず最初に自主規制に入っていなければ、自主規制機関がつくっている見合いの規則をきっちりつくってくださいと。そうでなかったら登録はさせないという形で、入り口の段階からしっかり自主規制機関に入っているのと同じような形の効果を狙っていきたいということでございます。

○神田座長

ありがとうございました。

それでは、前川委員、よろしくお願いします。

○前川委員

ありがとうございます。制度の設計という観点でお話しいただいたわけでありますが、現状の制度を維持しつつ、特殊な業務、小規模な募集に関して例外、特例という考え方で風穴をあけていくという考え方についてはまさしく賛成であります。

一方で、このような制度設計において、山下委員からもあったとおり、反社が入ってくるかどうかということをどのように防止するかという論点は、現場をやっている者としていつも気になることでございます。要は、この事業者が発行体に対してどのようなディスクロージャーを求めていくか、またどのようなデューディリジェンスをやるかという論点がここには指摘されていましたが、どういう人がクラウドファンディングを通じて入ってくるかが論点になることがあります。例え50万円であってもであります。

例えば5,000万円募集して、そのうち50万円を反社の人が投資したということをもって、将来このリスクマネーを受けた人たちが、会社が成長した後に上場を目指そうとした場合、ここで引受業者としては上場をサポートする業務ができなくなる可能性があるという非常に重要な論点が出て参ります。ここについては自主規制機関の持っているツールを活用してもらえないかというのが、思いのたけでございます。

その中で、私は個人的にはでありますが、1種の特例、2種の特例、ともに自主規制機関に入っていただいて、そこで適切な運用をしてほしいと思います。強制加入はできないということについてはもちろん理解していますが、ご検討いただきたいということを含めて、2種の1案、2案においては、2案をさらに踏み込んだ形で自主規制機関である協会に入っていないとなかなかできないんだというような心理的にもそのような仕組みがさらに検討できないかどうか、これはお願いベースでありますが、ご検討いただきたいというところでございます。意見として申し上げました。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、お隣の平田委員、それから永沢委員の順で。どうぞ。

○平田委員

特例1種業者と特例2種業者の両方につきまして、取り扱う銘柄の発行会社に対する情報提供は重要ではありますが、やはり、最近非常に未公開株詐欺が横行している現状を考えますと、そもそもこの仲介業者の情報の提供をどのように考えるのかという問題もあると思います。これら仲介業者が適正な業者であることをきちんと知らしめた上で、クラウドファンディングが行われるということが必要だと思っています。

したがいまして、今、証券会社であればディスクロージャー誌の開示義務があると思いますが、それと同じような義務を特例業者に対しても課し、きちんと開示をさせ、適切な業者であることを知らしめることも必要なのではないかと考えます。

○神田座長

ありがとうございました。永沢委員、どうぞ。

○永沢委員

ありがとうございます。蒸し返すようで恐縮ですけれども、資料中の、クラウドファンディングを制度化するに当たってのところですが、規制緩和が出発点になっているわけです。私としては、特に第2種については、非常に問題ある事業者が多いという現状認識を共有させていただいた上で、適正な規制を導入していくんだということを、もっと強調していただきたいと思っております。

金融庁サイドでは、もちろんそのようにお考えだと思うんですが、規制緩和だけでなく、プラス、やはり必要な規制の導入は行っていくということを、やはり意識して最後の報告書のときには書いていただくことを希望します。それが第1点でございます。

このクラウドファンディングというビジネスは、インターネットを通じて行われることから、いろいろな方からもご指摘がありましたように、第1に不招請勧誘という問題はなくなるであろうということ、それから、当局や市場の監視の目がインターネット上のポータルサイトに集中されるという点は評価すべきと思っています。現状、インターネット上で行われている第2種事業者の勧誘行為の中には、問題があるものもあるように感じています。特に広告表現については、投資信託などと比べると、投資家側がそそられたり、誤認をしてしまうような広告もないわけではないように思っております。

その点、インターネットのポータルサイト上に集中させると、当局の目も届きやすいでしょうし、市場の監視の目も行きやすいと思うわけです。そういう点を評価して、このビジネスを育てていくということに一応同意したいというふうに思っております。

そこで、登録の要件のところなんですけれども、これもやはりいろいろな方からご指摘がありました。やはり、詐欺的な行為が生じやすいところでもありますので、人的な要件についてはさらに厳しくしていただきたいということはもちろん。それから、システムというものは、1回トラブルが起きてしまうと大変なことになりますので、スタートの時点でそのシステムがほんとうにきちっと動くのかどうか、情報提供に間違いがあるようなことがないか、そういったことも抽象的なことではなく、具体的に登録のときに当局のほうチェックできるような体制を強化していただく必要があると思います。

それから、第2種自主規制機関に委ねるというところなんですが、私もできる限り強制に近い形をお願いしたいと思っております。ですから、第2案なんですが、さらにもうプラスアルファという部分が求められるところではないかと思っております。

それから、前回、第2種協会からいろいろ事情もお伺いしました。加入を実質的に強制的に近い形で促すとしても、体制ができ上がるまでには相当時間がかかると思われますので、当局が後見的な役割を果たしていただく移行の期間が必要なのではないかと思いますし、そういう役割を果たしていただくことを是非お願いしたいと思います。以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。お隣の田邊委員、どうぞ。

○田邊委員

インターネットを通じた募集行為ということで、こういう考え方が採用されるというのは大変画期的なことで、しかも、バランスのとれたアイデアだと思っています。バランスのとれたという意味は、先ほどからいろいろお話があった、インターネットを通じた募集が1つの定義になっている中で、インターネットを通じることによるプロコン、すなわち、いい面と危険な部分が両方あるということだと思います。それを両方勘案して、インターネットがいいから緩和するんだという部分と、インターネットは心配だから少額にするんだというのを、バランスさせたというふうに理解しております。それも、もし間違ったら教えてほしいんですが。

それで、バランス論をここで議論してもなかなか収拾つかなくなると思いますが、1つ、質問です。わかっていないところがあるんですが、非上場株は、今までは日証協のルールで原則禁止という話でした。この原則禁止ということは、例外があるということですけれども、そこがよくわかっていないんですが。

今回はインターネット、かつ少額であればOKというふうにするということは、インターネットのほうがOKになって、そうではないのは原則禁止ということだから、言ってみれば通常と逆で、逆差別になっているようにもとれるわけです。そこは原則禁止だけれども、例外もあるという中で、インターネット以外のものと、今回、インターネットかつ少額ならOKというもののバランス、公平、不公平みたいな部分というのはどのように理解したらいいのかというのが1点目です。

あとは、皆さんがおっしゃったとおり、法律の自主規制で投資家保護の面をしっかりやるということは大賛成で、これから細目を決めていく中で明らかになることだとは思いますが、SECのルールを読むと、キーワード的で恐縮ですが、詐欺のリスク軽減の為の措置ということが明快に書いてある。それから投資家教育、これは概念的でしょうが、その言葉がしっかり入っている。それからエスクロー、これは先ほど制度的問題があるとおっしゃっていたかもしれませんが、いずれにしても決済の部分の投資家保護という部分はしっかりと担保されるようにこれらの点が自主規制、または法律で明確化されるものだというふうに理解しています。

それから、これも言わずもがなですが、自主規制をこれだけ義務づける方向に行くというのは大賛成でありまして、案1、案2の差はあまりわからないんですけれども、いいかと思っています。その大前提は、参入者ももっと増えるという中で、自主規制を守ることを義務づけるということは、大変な数の方が、特に2種のほう、入ってくるということですから、自主規制機関のケーパビリティーはおのずとそれに応じて強化されてくるというふうに期待しているということです。

○神田座長

どうもありがとうございました。ご質問の部分についてお願いします。

○中澤市場法制管理官

はい。平田委員からも補足があるかもしれませんが、今、原則としてというのは、本当のプロである適格機関投資家向けのところをOKにしているということです。今回、ここを少額について緩和するというのは、一般投資家にも勧誘できるようにするということでございます。

○田邊委員

ということは、インターネットのほうが緩和と言うとあれですけれども、むしろ広く適用し得るというふうですね。

○中澤市場法制管理官

そうです。

○神田座長

平田委員、補足ありますか。

○平田委員

現行制度では、未上場株につきましては、グリーンシート銘柄も含まれていますで、まずグリーンシート銘柄は投資勧誘の原則禁止の例外とされています。

それから、中澤管理官がおっしゃったとおり、適格機関投資家向けや、譲渡制限が付されている場合の募集時の勧誘行為についても一部例外として認めておりますが、これらは非常に限定的なケースであり、グリーンシート銘柄以外での募集はほぼ行われていないというのが実態だと思います。

○田邊委員

インターネットかつ、少額であれば広くできるようにしたというふうに理解しておけばいいですね。

○神田座長

今回の制度整備が実現すればということですね。

ほかにいかがでしょうか。それでは、神作委員、それから福田委員の順で。神作委員、お願いします。

○神作委員

ありがとうございます。資料の2-1の4ページ、「投資者保護のために必要な措置」について、ご意見とご質問をさせていただきたいと思います。4ページに指摘されておりますように、インターネットを用いて多数の投資者から資金を調達するというクラウドファンディングの特徴からすると、適切な情報提供が投資家保護の考え方の基本になるべきであるという、基本的な考え方に私も賛成いたします。

問題は、その後、では、投資家に対しどのような情報を提供するのか、情報の範囲が問題となると思うのですけれども、提供される情報の種類は大きく2つに分かれるのではないかと思います。1つは発行者に関する情報であり、それからもう1つは発行者情報以外の情報が考えられます。

例えば、アメリカについてお調べいただいた資料2-3の2ページによりますと、仲介者は投資家、教育、資料等、リスクに関する情報を投資家に提供すべきものとされています。このような発行者情報以外の情報というのもございまして、先ほど申し上げたような、必ずしも洗練されていない投資家もクラウドファンディングを通じて投資してくる可能性が高いことを念頭に置くと、こういった種類の情報の提供も重要であると思います。

4ページの一番下の下線を引いてある部分を見ますと、発行者情報に限られているようにも思われるのですが、これは必ずしもそれに限る趣旨ではなく、発行者情報以外の情報を排除する趣旨ではないということを確認させていただきたいというのが第1点でございます。

それから、2番目は、投資家に提供すべき情報の範囲は、投資家が適切な投資判断を行うために必要かどうかという観点から決められてくるかと思いますけれども、情報提供義務に違反した場合に、どのような法的効果がもたらされるかということと、情報提供の範囲というのは密接に結びついてくる問題であると思います。

したがって、関係当事者が情報提供義務に違反した場合に、どのような責任を負うのかということとあわせて、提供されるべき情報の範囲を考えていく必要があろうかと思います。提供されるべき情報の範囲とそれに違反した場合の法的効果について、既にお考えやイメージがあるのでしたら、それを教えていただければと思います。以上、よろしくお願いいたします。

○中澤市場法制管理官

神作委員ご指摘のとおりで、ちょっと資料が舌足らずなところがありまして、いずれにしても、金商業者ということになりますので、契約締結前書面というものが出るということでございますので、そこで書かれたようなものもきちっと提供されるのが大前提でございます。資料上では発行者情報のところだけ記載してありますが、その原則どおりのものはかかると。

ただ、それがどのツールで投資家に渡されるかという点は今後の課題で、契約締結前書面も電子交付でやられているところはあるんですけれども、書面の中にリスクに関する情報を書くかどうか、あるいは、むしろ、その発行者情報をのせるサイトの最初の部分に書いておくかとか、そういう点は投資家に適切に情報を提供するという観点から工夫の余地がいろいろあろうと思っていまして、その点は今後詳細を考えていく必要があるのではないか、と思っています。

それから、開示義務違反のところなんですけれども、今回のこの制度は、いわゆる金商法の開示義務のかかっている外の世界なので、まだ詰め切ってはいないんですけれども、いわゆる開示義務違反でかかる罰則、あるいは民事責任みたいな形ではちょっと難しいかなと思われます。要は契約締結前書面に書いていることをどこで振り分けるか、ということではないかと思われますので、それと、契約締結前書面の開示がしっかりしていない、あるいは出さない場合には軽微な罰則がかかっていると思いますけれども、それを援用するような形を今のところ考えているところでございます。

○神田座長

ありがとうございました。福田委員、お願いします。

○福田委員

毎回同じようなことを言って申しわけないんですけれども、どういう投資型のクラウドファンディングを育てたいのかということによって、やっぱり制度設計は違ってくる。2つ方向性はあると思います。1つは、寄附型のクラウドファンディングの延長線上で投資型のクラウドファンディングを考えるという考え方です。もう一つは、上場株式のようなもののお手軽版というか、もう少し手軽にインターネットを通じて少額の投資ができるという世界で考えていくのかということ。前者の場合には、少額投資というときの少額はかなり小さくなる一方、いろいろな開示義務とかは比較的緩やかになりえます。

実際ミュージックセキュリティーズを通じて、酒造メーカーとかに投資している人の立場に立つと、財務の健全性は最低限わからないとだめですけれども、むしろ重要な情報は新しくつくるお酒がどれだけ魅力的かとか、そういうことに非常に関心があって投資している人が多い世界だと思うんですね。だから、かなり少額な投資に限定しないと、なかなかリスクもありますし、変な会社が登場すると困るということもあるとは思います。

他方、上場株式のお手軽版を、簡単にインターネットでというような世界になると、開示義務とかはかなり厳しくする必要が出てくる。ただし、その分、少額の金額もかなり多くはしても大丈夫かもしれない。その場合には、そうした投資家のための世界像が見えてくると思うので。ただ、上場株式のお手軽版の投資家を対象に、開示義務とかをあまりそれを厳しくしてしまうと、例えば今育っているミュージックセキュリティーズさんとかの投資家がうまく育たないという問題もあります。そこら辺のトレードオフというのは常にあるんじゃないかなとは思います。

○神田座長

どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、大崎委員。

○大崎委員

先ほど複数の委員の方から、アメリカの制度で投資家教育資料を出すことになっていますよねというご指摘があったので、ちょっとそれについて私が調べた、余計なことですけれども、ちょっと申し上げたいと思います。投資家教育資料という名前になっているんですけれども、SEC規則を読みますと、その中身は日本でイメージしているような投資家を教育するというのとは大分違います。基本的にはクラウドファンディングというものがどういうものであるかというのをきっちりと説明するということになっているようです。日本ですと、契約締結前書面の内容にほぼ相当するのか、あるいは、今後契約締結前書面の記載事項を工夫していただくことで、大体その代用できるのかなと、そんな印象を持っております。

○神田座長

どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、永沢委員。

○永沢委員

1つ、時間もあるようなので少し設問させていただきたいんですが、アメリカのこちらの参考資料のほうなんですけれども、1ページの発行者に対する規制のところで、発行者は、投資家を仲介者に誘導するための通知を除き、広告を行ってはならないと書いてあるんですけれども、この広告というのは大体どの辺の範囲までを言うんですか。

例えば、ミュージックセキュリティーズの場合ですが、お酒についていろいろなお話を世の中に発信されていますね。例えばそういう場合を具体的に想定して、どういうところまでがこの「広告を行ってはならない」の「広告」に当たるというふうにアメリカでは考えられているのかというのを、お伺いできたらと思うんですが。

○中澤市場法制管理官

済みません。ちょっとそこまできちっと読めていないので、こうだと言えないんですが、なるべく情報を仲介者に寄せようという発想で米国は考えていて、要は開示規制の例外として考えているので、開示情報はみんな仲介者のウェブサイトで見て下さいというような形のことを考えているんだと思います。ただ、どういうものがあるかというのは、今はちょっとすぐお答えできません。

○永沢委員

よろしくお願いします。

○神田座長

よろしゅうございますか。また、必要に応じて次回ご補足させていただきたいと思います。

いろいろ大変貴重なご指摘をいただいたのですけれども、ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、上柳委員。

○上柳委員

済みません。第1の論点に戻って、発言させてください。投資グループをつくるという案について、1つの工夫として大変興味深いと思って聞いていたんですが。しかし、すごく乱暴に言うと、要するにインサイダー規制であるとか開示規制がないということを、取扱い会社がきちんと説明しさえすれば、金商法の大きな規制を外した投資グループができるようにも見えます。

この投資グループがどの程度の規模になるのか。無限大でも構わないということではないと思います。投資グループの中であればどんなに大きくても良いとすると、金商法全体の体系とは矛盾するような気がします。勘違いかもしれませんが、一言だけ言わせていただきます。

○神田座長

どうもありがとうございました。この資料2-1と2-2のほうにつきましてですけれども、大体、方向感は出していただけたのかなというふうに思います。

なお、自主規制機関への加入を強制すべきであるというご意見は非常に多い。委員の方の多くが持っておられると思いますし、以前にもちょっと申し上げたと思いますけれども、この審議会での過去の審議においても、委員の皆様方からそういうご意見が強かったと認識しています。なかなか法制的に難しいというところがあるものですから、今回事務局のほうから案1プラス案2というか、そこまでいけないかというご提案だったと思いますけれども、皆様方からはそれはご賛同いただけていると感じます。もっと行けということも言っていただいたというふうに認識しております。

そういうことで、非常に貴重なご意見をたくさんいただきましたので、それを踏まえて、基本的には本日の資料の線で先へ進ませていただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。どうもありがとうございました。

それでは、追加でのテーマということになりますけれども、保険子会社ベンチャーキャピタルによるベンチャー企業への投資促進というテーマを取り上げさせていただきたいと思います。

まず、事務局からのご説明をお願いいたします。

○若原保険企画室長

保険企画室長でございます。よろしくお願いいたします。まず、ご説明の前に、何でそもそも本ワーキングの脈略にも乗らないこんな議題がというのが、おそらく先生方の胸の中でクエスチョンマークとして兆しているのではないかという気がしてなりませんので、前口上として若干の背景をご説明申し上げます。

本件、もともと政府に対する規制緩和要望ということで出てきた案件でございます。通例でございますと、そうした規制緩和、とりわけ本件、内閣府令の規制事項でございますので、事務方で粛々と検討して結果を出すというのが通例でございますが、まさしく本ワーキングにおいて、私どものこの案件に関するエクスパティーズがご参集いただいているという、私どもからいたしますと幸運に恵まれた状況でございますので、言葉は悪いですけれども、ロハで皆様のそういったご知見を活用させていただこうというすけべ根性で議題に乗せた次第でございます。

という背景をご説明の上で、資料3に沿いましてご説明申し上げたいと思います。1ページ目でございますけれども、そもそもどういう規制が本件について関係があるかということでございます。

1つ目の項目でございますけれども、保険業法におきましては、保険会社はほかの事業からのリスク波及を抑制するため、10%以上の議決権保有は原則禁止。議決権保有制限と呼びならわしていますけれども、いわゆる他業禁止、業務範囲制限との表裏の関係でございます。

一方で、例えば担保権の行使による議決権行使の取得など、取得自体がやむを得ない、保険会社の能動的意思判断によらないような場合、受動的に受け取ってしまうような場合でございますとか、その下の項目、子会社による業務展開が契約者の利便性向上につながるなど、保険業法のほかの目的にかなうような場合につきましては、この制限の例外というものが定められているということでございます。

こうした例外の1つといたしまして、ベンチャー企業の育成というのは経済発展の原動力の1つとなり、ひいては保険業法の大目的でございます国民経済の健全な発展にもつながり得るということで、ベンチャーキャピタル子会社を通じた投資というものが認められているということでございます。

1ページおめくりいただきますと、それを図示したものとして、全体としてこのグレーの背景でございます議決権保有制限の中には、白い例外という窓があいております。その中で幾つかある中の、ここで取り上げておりますのは、ベンチャー企業というのも例外の中でございます。ベンチャー企業の定義といたしまして、現在保険業法の体系で用いておりますのは、非上場であって、事業に新規性がございまして、あまりずっと塩漬けにしているのではなくて、ちゃんと短期間の保有の中で、しかも中小企業であるという、こうした要件の中で行っているところでございます。

このベンチャーキャピタルの投資の実情ということで、続く3ページでございますけれども、私ども、いろいろ勉強させていただきました中で、大体そのベンチャーキャピタルがどういったような形で投資先に関与しているのかということにつきまして、大別いたしますと2つの典型的な姿があるのかなと。

1つ目が、みずからが創業者等を除いた筆頭出資者として振る舞っている場合。これを、どうも通常リードベンチャーキャピタルというふうに呼びならわされていると聞いております。こうした場合は、例えば投資先がどういったような形で資金調達を行うのかといったようなことの経営判断についても密接に関与して、必要に応じて指導していくといった、そういうようなかかわり合いが一般的であるというふうに聞いております。

他方で、そうでない場合といいますのは、リスクとリターンの形式的なチェックという、一般的な投資におけるそういったポートフォリオ・マネジメントと同じようなスタンスでございます。そういったリードベンチャーキャピタルであれば密接に関与するようなことにつきましても、基本的には受動的に対応するというようなことがよくある形だと。

下のほうにそれを表でまとめさせていただきました。したがいまして、例えば経営そのものについて、いわゆるハンズオンでの支援等を行ったりとか、そういうようなことが最終的には、一番下の増資などにつきましても、リードベンチャーですと、主導的に自分が出資したり、それがほかのベンチャーキャピタルの呼び水として機能する、そういうような局面もあると聞いております。

続きまして、その4ページ目でございます。本件につきましての問題意識でございますが、ベンチャー企業といいますのは、一般的に上場に至るまでの間、さまざまなステージがあるわけでございます。例えば創業直後、あるいは事業拡大、さらには上場の準備に入るような、そういったさまざまなステージごとに複数の回数の資金調達というものを行っているというふうに聞いております。

その際、先ほどのリードベンチャーキャピタルといいますのは、先ほど申し上げましたところでございますけれども、みずからの出資によってそういった投資先の資金需要に対応する資金供給を行うというだけでなくて、リードベンチャーはお金を出すと、それを見てそういった密接に関与しているリードベンチャーが出すぐらいだから、このベンチャー企業ではちゃんとしているんだなということをほかのベンチャーキャピタルは見て安心をするというような形で、ほかのベンチャーキャピタルへの出資の呼び水としても働くということがございます。それをまとめますと、投資先の資金需要を満たすために非常に重要な役割を果たしているものと考えております。

他方で、冒頭申し上げましたとおり、保険会社のベンチャーキャピタルにつきましては、議決権保有制限の例外としての制約がございますので、投資先が成長いたしまして、中小企業の規模を超えた、いわば卒業してしまったような場合というものを考えますと、10%ルールの特例としてのベンチャー投資というものの特例が外れまして、本則に戻ってしまいまして、10%保有制限がかかりますので、順調に成長したがゆえに追加出資に応じられなくなるという、そういうものが実情としてございます。

したがいまして、リードベンチャーキャピタルというものをたまたま保険子会社のベンチャーキャピタルが務めている際には、結果としてリードベンチャーキャピタルである保険子会社ベンチャーキャピタルが出資に応じないと。そうすると、ほかのベンチャーキャピタルは、リードが応じないということは、何か変な裏事情があるんじゃないかというような疑念も兆しまして、ついて来られないような。そういう場合には、資金調達に困難を来すようなケースが生じているというような指摘がございます。

1枚おめくりいただきまして、今のような問題意識に基づいて、私どもの事務的な検討といたしましては、このページのようなことを考えております。1つ目の項目でございますが、ベンチャー企業におきましては、IPOに至るまでの間は、たまたま中小企業という要件からは卒業した場合でも、何せ非上場でございますので、一般の投資家にマーケットを通じて頼るということができないために、引き続きベンチャーキャピタルに出資を頼らざるを得ないという、そういった実態があるというふうに認識をしております。

他方で、繰り返しでございますけれども、その下、出資が必要な局面におきまして、リードベンチャーが追加の出資には応じられないと、それが規制ゆえであってもそうしたようなことがございますと、リードでないほかのベンチャーキャピタルからも、なかなか資本的な支援を受けることが困難だと。

そうなりますと、事実上、追加の資金調達は極めて困難になってしまう。そこで、新規成長企業へのリスクマネー供給促進という観点からは、ベンチャー企業が中小企業を卒業したような場合でございましても、保険子会社がリードベンチャーキャピタルである場合につきましては、追加出資に応じることができる特例というものを設けることが考えられるのではないかということでございます。

その次の項目でございます。一方で、そもそも特例、特例と申し上げておりますのは、議決権保有制限の特例ということでございまして、そうした本則の趣旨というのに、当然のっとったものである必要があろうかということで、この特例の対象につきましては、基本的にできるだけ限定しておく必要があるのかなと。

それは、具体的には、次の項目としてマル1でございますが――繰り返しでございますけれども、あくまでリードベンチャーキャピタルで、まさにその人たちがお金を出せないと、投資先は非常に困ると。リードベンチャーキャピタルでなければ、そういうワン・オブ・ゼムの人が応じなくても、資金調達そのものにあまり困難は来さないと考えられますので、そうした場合に限定。

②といたしまして、中小企業を外すといたしましても、それ以外の要件は維持ということで、例えば事業の新規性でございますとか、あまり塩漬けで長く持たないといった、そういったような要件は維持するという形であれば、そもそもの議決権保有制限の趣旨にはのっとるのかなというふうに考えている次第でございます。

最後の※でございます。冒頭申し上げましたところで、規制緩和要望に対応した検討でございますので保険の話をしておりますけれども、規制体系といたしましては、銀行にも俗に5%ルールと呼びならわしている、5%か、10%かという定量的な違いがありますけれども、規制の枠組みとしては同じようなものがございますので、保険についてこういったような見直しを行う際には、あわせて見直しを考える、こんなことも考えられるのかなということでございます。

なお、最後に6ページは、今申し上げました規制緩和といいますか、特例の緩和の案につきまして、一応表の形で一覧性をもってまとめたものでございます。事務局からは以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。それでは、今のご説明につきまして、皆様方からご質問、ご意見をお出しいただければありがたく思います。

安達委員、大崎委員の順で。安達委員、どうぞ。

○安達委員

どうもありがとうございます。今、冒頭にご説明いただいて理解しましたが、最初にこの資料を受け取ったときにやや唐突感があって、どうしてこの場でと思いましたが、先ほどのご説明でよく理解できました。ありがとうございます。

このワーキング・グループで、リードVCということまで踏み込んでお話しいただいて、非常に評価できますので、ぜひこれを実現していただきたいと思います。2点ばかり意見があります。1つは、リードVC、これ業界でよく使う言葉ですが、場合によってはコー・リードということで、2社がやることもあります。この2社は性格の違うVCがコー・リードして投資先の企業の成長を補完的役割で促していることで、違ったタイプの、違った付加価値を発揮できるVCがやることがあります。

それから、議決権保有期間、具体的には10年間で良いかと言う議論です。これは、実は業界でかなり今議論されております。たしか銀行法の改正の場でも10年を15年という話で出ていると、私は聞いています。この理由は、特にコアテクノロジー、今回のWGはリスクマネーの供給の多様化ということで、特にコアテクノロジーに焦点を当てていると思います。例えばバイオ、最近減りましたが、例えば半導体関連などは、昨今研究開発に非常に多大な時間とコストがかかりますので、10年を超えることは結構あります。

したがいまして、この10年ルールをこのままやりますと、例えば七、八年目になると、将来のエグジットのことを考えますので、将来価値を大幅に毀損して売却しなければならないということで、結果的にはベンチャー企業の発展を阻害してしまします。この10年に関しても銀行法の議論と平仄を合わせて、例えば15年にしていただければ非常にありがたいと思っております。以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。事務局から、お願いします。

○若原保険企画室長

ありがとうございます。まず1点目でございますけれども、済みません、私どもの類型的なというか、典型例としてのリードベンチャーキャピタルという認識でございますので、もちろん、今回のこの案件の眼目といたしましては、とにかく規制ゆえに応じられないものがほかの足をも引っ張るような、そういう事態の解消でございますので、そこは準リードと申しますか、コー・リードと申しますか、典型的な筆頭のリード以外でも同じように重要な役割を演じる者がございましたら、それにつきましては同様の対応を図ろうというふうには考えております。

2点目の期間の話でございます。済みません、こちら、資料があくまでも現行制度と今回のご提案の案という対比表にしたんですけれども、真ん中にまさにご指摘のとおり、昨年の銀行ワーキングの議論を踏まえた期間延長が実は入っております。おそらく本件を実際に改正する際には、現行の部分が今の10年から15年に変わったベースになりますので、済みません、そこは資料の構成上、ちょっと割愛してしまいましたけれども。そういう意味では、保険につきましても15年にやることは、銀行とあわせて対応の予定でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、大崎委員、お願いします。

○大崎委員

ありがとうございます。その銀行法との平仄が私、ちょっと気になっていたので、それを伺おうと思ったんですが、今のご説明で、その期間については、これ10年では実際にはないようになるということですね。それは大変結構なことだと思います。

それからもう一つは、私、これリードベンチャーキャピタルというのに限定するのは、さっきの安達さんはわりとそれでもいいんじゃないか的なご発言だったようにも思ったんですが、あまりそこまで気にすることは意味がないんじゃないかという感じがします。別にリードに限らず、要するにベンチャーキャピタルで出資している場合については、撤廃しちゃってもいいのではないかと。

というのは、期間制限のほうはやっぱり残るわけですので、無限に持つということにはならないので、よろしいのではないかという気がいたしました。

○若原保険企画室長

おそらくそういうような案というのも考えられるかと。済みません、どうしても私ども、最後の資料で申し上げるところのそもそもの本則の趣旨というものとの関係というものが若干心に引っかかる部分がございまして。結局、そういう意味では、何せ原則が禁止というところに特例という例外が窓をあけているという中で、リードですと、まさに現実に困っている方々がおそらくいらっしゃるのだろうと。他方で、リードでない場合というのは、おそらくリードではない1つの保険子会社ベンチャーキャピタルが仮に応じられなかったとしても、ほかに探すのが容易ということで、より困っている局面というのが少ないのかなという認識ではございましたけれども。

ひょっとしたら、そこは私どものちょっと勉強が足りないせいかもしれませんので、そこは引き続き、事実関係等をよく勉強した中で、実際に困っている事例がもしあるということでございましたら、ちょっと考え直してみたいと思います。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、永沢委員、それから前川委員の順で。永沢委員、どうぞ。

○永沢委員

ありがとうございます。総論としてはよろしいのではないかなと思っております。まず投資というのは時間が必要ですし、今回のリスクマネーワーキングでは、ややもすると個人のリスクマネーを期待するように読めるところがあるんですが、私は個人にそれを過度に期待されることは大変慎重であってほしいと思っておりまして、クラウドももちろん必要がありますが、限界があると思っております。

そういう意味で、やはりしっかりしたベンチャーキャピタルがこういうところの資金供給者として育つことが大事ですし、そういった意味では、この今回のご提案というのはよろしいのではないかというふうに思っております。

非常に素人の質問でございますが、恥ずかしい質問ですけれども、当然手当てされていると思うんですが、このようにベンチャー企業、リスクのあるものに保険会社が子会社を通じて投資をされるということによってリスクが生じるわけですが、これによって加入者への影響というのは生じないように、これで何かあるということはないでしょうかという点をお聞きしたいと思います。

○若原保険企画室長

今のご指摘の点でございますけれども、2ページ目のこの図示のほうをちょっとごらんいただければと思うんですけれども。例外という中で、上のほうの矢印、例えばファンドのリミテッドパートナーとしての持ち分保有でございますとか、そもそも子会社や関連会社にできますよとか、担保権実行等というのは本体から直接矢印が通っておりますけれども、このベンチャーにつきましては、一応あくまでも子会社のベンチャーキャピタルを経由で、本体が持っている場合はこうした例外ではないということがございますので。そういう意味では、まずその保険会社本体の財務の影響という観点からすると、あくまでもそういう意味では子会社ベンチャーキャピタルの出資の持ち分に限定されているということが、1点ございます。

さらに、これまでも安達委員、大崎委員からも言及がございましたけれども、期間制限のほうがございますので、そういう意味ではずるずると持って損失ということが制度的にはなくて、必ず損切りの瞬間がやってまいります。そこは最終的には、もちろんベンチャーキャピタルがちゃんとした、ベンチャーキャピタルとしての専門性を生かしたリターン追求を行うことが大前提ではございますけれども、そこが仮にうまくいかなくても、そういったいわば強制ロスカット的なものがございますので、保険加入者に対する影響というものは限定的というような認識でおります。

○永沢委員

わかりました。

○神田座長

どうもありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。

前川委員、どうぞ。

○前川委員

今回、保険子会社のベンチャーキャピタルによるベンチャー企業の投資促進というテーマを掲げていただいたことは、本ワーキングの趣旨に鑑みていくと、極めていいご提案をいただいたと認識をしております。国民経済的に見ていきますと、ベンチャーに投資をしていく担い手という観点でいうと、保険会社本体、あるいは年金と言われる超長期のお金がベンチャーキャピタルを通じてベンチャーに流れていくということが非常に重要なわけで、その一翼を担う制度の変更であると理解をしているので、大変ありがたいと考えています。

その中で、ちょっと技術的な話をしますと、今、大崎さんや安達さんからお話があったところでいうと、おそらく現場ではもう少しダイナミックになっておりまして、リードベンチャーというのは実は静態的なものではなく、どんどん動態的に変わっていくものであります。つまり、企業のステージでいうとアーリーステージのときには入れなかった保険会社のベンチャーキャピタルが、次のラウンドでリードに変わるといったことがあるわけであります。そのときに、例えば20%持っていないとだめだとか、そういうこともあるわけであります。

あるいは、クラブディールという言い方をするんですが、要するに3社とか4社とか、複数のベンチャーキャピタルが投資をしていくということがあります。そういうことが促進されていかないと、実は制度は生きてこないという部分があるかもしれません。その意味で大変僭越な物言いなんですが、例えば保険子会社のリードベンチャーキャピタル等のような方法や、あるいは、そもそもこの文言を消して保険子会社さんがダイナミックに投資できると。

よく考えてみますと、本体の業務に影響するというところで規制がかかっているという趣旨はありますが、そもそも全部合わせても我が国全体でベンチャーキャピタルからは1,000億しか投資されていないものであります。全体で見ると非常に小さなものでありますので、投資が促進できるようなこういったことを活用し、加えて年金や保険会社が別のベンチャーキャピタルにもどんどん投資できるような制度設計を考えていただくというのがよろしいのではないかというふうに考えます。

○神田座長

どうもありがとうございました。事務局、ございますか。

○若原保険企画室長

最終的には、先ほど申し上げたように内閣府令に落とし込む話でございますので、そこでのテクニカルな書きぶりがどこまでプロの目から見て現実をちゃんと踏まえたものになっているかは、ひとえに私どもの職務としてちゃんとやらなきゃいけないことだと思いますけれども。

そこは、繰り返しというか、今までも何度か申し上げましたように、あくまでも目的は規制ゆえにお金が出せないために、ちょうど上場前の貴重なところでの追加増資による、例えば設備投資なんかできないゆえに、本来であればスムーズにIPOに届くはずのものが届きづらくなる、そういうボトルネックを解消しようということでございますので、そこは定義の書き方等も含めて、そういった目的になるべく反しないような形で措置をしたいというふうに考えております。

○神田座長

どうもありがとうございました。

吉野会長、お願いします。

○吉野金融審議会会長

一言だけなんですけれども、先週ヨーロッパの人たちに聞いたんですけれども、日本のベンチャーというのは非常にいい技術を持っているんですけれども、こういう技術だったら絶対売れるという自信があるらしいんです。ところが、それをどういう販売チャネルに乗せたらいいかとか、製品化したらいいかということがわかっていないと。だから、たくさん技術はあるんですけれども、それをオポチュニティーをみんな失っちゃっていると。そういう意味では、やっぱり周りのこういう新しい技術をニーズに乗せて販売するような人たちにもお金が行くのがないと、せっかくなのが死んでしまうのではないかと思いました。

それから、今日のご議論でなかったのは、もう少しこれを発展させまして、金融商品、保険の商品として、ある程度成功報酬型の保険商品ができれば、もっと柔軟にこういうところに出せるお金が集まってくるわけですから、集める側でも、やっぱり出す側に応じた商品設計もできるような気がします。意見です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

田邊委員、どうぞ。

○田邊委員

皆さんのご意見と繰り返しになりますけれども、ベンチャーのほうに長期資金が流れると。そういう意味では、年金、それから保険会社、あるいはさらにコーポレート的な観点からは、コーポレート・ベンチャーキャピタルというのも非常に重要だというふうに思っています。

いずれにしましても、保険子会社、あるいは本体からも含めて、こういう長期資金が保険から流れるということで、保険会社の体力からして、ベンチャーへの投資が過大にならないかとかいうことは別途抑えられるという前提であれば、本件、さらに大崎さんがおっしゃったような、もう少しリラックスした緩和は十分可能であろうというふうに思っております。

コーポレート・ベンチャーキャピタルについては、ここの議題ではないですけれども、税制の対応なんかも考えていただいているというふうにも聞いておりますので、そういったところで全体のベンチャーへのお金を促進するということは非常に重要だと思っております。

○神田座長

どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

原田委員、どうぞ。

○原田委員

5ページの一番最後のところに書いていらっしゃる、銀行にも同様の規制が存在するため、あわせて見直しを行うことも考えられるがどうか、ということが書かれてあります。今回は、同様の要望は銀行業界からは、銀行は5%ルールなのに、上がってこなかったというお話が先ほどありました。リスクマネーの担い手ということで考えれば、銀行というのは必ずしも適さない業態であるかと思っております。

先ほど、永沢委員がおっしゃたように、リスクマネーの担い手としては、私も個人だけではなく、幅広くいろいろな業態が担うべきであると思っています。そういう意味では、ベンチャーキャピタルですとか、年金というのはすごく重要な担い手であるべきです。銀行の子会社があって、ベンチャーキャピタルがあったとしても、最近持株会社化しているところが多くありますので、特に要望が上がってきていないということであれば、銀行に同様の規制緩和というのは必要ないのではないかなというふうに思います。意見になります。

○神田座長

いかがでしょうか。

○若原保険企画室長

まず、たまたま保険会社のほうは、そういう意味では自分が手を挙げたわけなんですけれども、事務的に銀行のほうにこういったような形で保険については検討を行っているんだけれども、銀行さんはいかがでしょうかというような話をした際には、そういうようなことが確かに障害になっている事例はあるというふうな話を伺っております。ですので、一応、ベンチャー促進という観点からは、そこを緩めるというか、資金供給パイプの拡大という意味では、意味があるのかなというのが1点。

2点目でございますけれども、本件は議決権の保有制限ということ、例えば、エクイティー性の資金であっても、議決権を持たないようなエクイティーでございますれば、一応そもそもこの規制ではなくて、例えばもっと一般的な自己資本比率規制でございますとか、大口の信用供与規制でございますとか、そういった別の枠組みではリスクコントロールはなされていると。

したがいまして、財務の健全性とか預金者保護との関係性という、究極的にそこの話になりますと、あくまで議決権保有制限の世界は異種リスクの排除という切り口での規制体系ということでございますので、そこは、本件について今申し上げたような形での緩和というものを銀行に対して行った場合でも、当然それがほかの規制まで全部合わせて適用除外ということになってしまうと、また当然ながら別の議論が出てくるわけでございますけれども。

この文脈における、この議決権保有制限の、いわば中小企業から成長していった先の特例と延長というような観点からいいますと、そこは十分ほかの規制が効くことを考えますと、預金者保護等々の関係でいいますと、ほぼ問題はないのかなというふうには考えております。当然ながら、最終的には、銀行で仮に措置する場合は、我々当局といたしましては、単に保険と並びですという説明ではなくて、それは銀行の体系としてもきちんと整理できますということをちゃんと我々自身、理論武装をすることになると思います。そこで改めまして、今のご指摘を踏まえてちゃんとそこは詰めさせていただきたいと思います。

○大崎委員

ちょっと、今の点でよろしいですか。

○神田座長

どうぞ。

○大崎委員

いや、昨年でしたか、銀行ワーキングでこの点は取り上げませんでしたけれども、ベンチャーキャピタル子会社の議決権保有については議論したわけですね。基本的には、それは望ましい方向であるということでやっていたわけで、いわばそのときにこの観点が抜けていただけなので、この点についてだけ銀行と保険は異質だという議論は全くおかしいと思うんです。ですから、ぜひ銀行についても全く同じ対応をとっていただきたいと思います。

○神田座長

ありがとうございました。非常に多彩なご指摘、貴重なご指摘をいただいておりますけれども。ほかにいかがでしょうか。大体よろしゅうございますでしょうか。

どうぞ、田邊委員、失礼しました。

○田邊委員

本題と関係ないところですけれども。有価証券報告書虚偽記載にかかわる損害賠償責任のところで前回ご議論があって、私、欠席しておりましたので、意見を申し述べたいと思います。もう時間とりませんけれども、その後、安達委員、吉野委員から、むしろ過失責任見直しは必然であるというご意見が書面で出ているということで、私もそれも読みながら、基本的にやはり無過失責任は限定的であるべきだという意見に同意しております。論拠は十分ここの2つの書面に書かれていますので、ここで申し述べませんが、基本的にはその方向に賛成であるということです。

○神田座長

ありがとうございました。それでは、この本日の3つ目の追加でご議論いただきましたテーマにつきましては、大変貴重なご意見を多数いただきましたので、後は事務局でこれを踏まえて先に進むということでお願いしたいと思います。

それで、いつも申し上げていることでございますけれども、本日ご議論いただきましたテーマにつきまして、さらに皆様方、追加でご質問、ご意見、ご要望等がございましたら、事務局宛てにメールでお出しいただければ大変ありがたく思います。

それで、次回でございますけれども、このワーキング・グループにおける報告書の取りまとめに向けたご議論をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

最後に、事務局からのご連絡等がありましたら、お願いいたします。

○油布企業開示課長

次回ワーキング・グループの日程でございます。後日、事務的にもご連絡申し上げますが、12月12日、木曜日の14時からさせていただくということで考えております。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、以上をもちまして散会いたします。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課・企業開示課(内線2638、3665)

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