金融審議会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」(第11回)議事録

日時:平成19年5月16日(水)10時00分~12時00分

場所:中央合同庁舎4号館9階 特別会議室

○池尾座長

それでは、定刻になりましたので、ただ今より我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ第11回会合を開催いたしたいと思います。

皆様、ご多忙中のところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、初めに本日の議事についてご説明したいと思いますが、議事次第にありますように、本日は論点整理ペーパーの主な論点でも検討課題として挙げていました、国際金融センターとしての都市インフラについて、議論を行う予定となっております。

本日は、有識者からの意見聴取として、当スタディグループの檀野メンバーに加えまして、外部から三井不動産ソリューションサービス本部、法人ソリューション部長の冨川秀二さんをお招きしております。檀野さん、冨川さん、よろしくお願いいたします。

それでは、事務局から資料の確認をまずお願いします。

○三井市場課長

横長のカラーの資料1というA4のもの、それからA3の大きなもので資料2―1、2―2というものがございます。あと、パンフレットが3点ございます。ご確認お願いします。

○池尾座長

それでは、プレゼンテーションを二人続けてお願いをして、その後、後半に自由討議という形で進めたいと思います。

それでは、初めに檀野メンバーからプレゼンテーションをよろしくお願いいたします。

○檀野メンバー

社団法人不動産証券化協会で制度委員長を務めておりまして、当スタディグループのメンバーでもございます檀野でございます。よろしくお願いいたします。

私の方は、資料1と書いてございますA4の横長使いの資料をもちまして、プレゼンテーションを行いたいと思います。

本日は、国際金融センターとしての都市機能の向上のための都市インフラの整備についてということで、現状の都市インフラ課題と、今後どうあるべきかといったところについてお話をさせていただきたいと思います。

私は、不動産証券化協会で制度委員長を務めているほか、三菱地所株式会社で収益用不動産の開発と、不動産投資市場での運用ビジネスを所管する資産開発事業部門を担当しております。つきましては、丸の内を中心に進められております街の再構築の取り組みについても紹介しながらお話をさせていただきたいと思います。

本論に入ります前に、社団法人不動産証券化協会について、少しご紹介をさせていただきたいと思います。不動産証券化協会は、設立してそれほど日がたっておりませんので、ご存じない方もいらっしゃると思いますので、少しご紹介をさせていただきたいと思います。パンフレットも用意しておりますので、後ほど読んでいただければと思います。

当協会は、英語表示をアソシエーション・フォー・リアル・エステート・セキュリタイゼーションとし、通称エイリスと称しております。不動産証券化商品の社会的信用確保と、投資家保護を活動の目的として設立された公益法人でございます。

主な事業内容は資料に書いてございますように、不動産証券化及び証券化商品に関する調査研究、それを踏まえた関係機関への各種提言及び意見の具申、会員に対する法令遵守及び商品販売の適正化、その他投資家保護に関する指導、勧告、一般投資家等に対する不動産証券化に関する情報の提供、知識の普及並びに広報活動、教育活動を行っております。

平成19年4月現在で正会員が95社、賛助会員は181社となっております。会員には、私どもデベロッパー、それからアセットマネージャー、REITの運用会社も含まれます。そういった不動産関連、不動産証券化関連の会社だけでなく、銀行、信託銀行、証券会社等の金融機関、総合商社、法律事務所や会計事務所、不動産鑑定事務所、プロフェッショナルファーム、こういったところも入会いただいておりまして、さまざまな立場からの情報交換や幅広い意見の集約というものを行っております。

不動産証券化協会が社団法人として設立されたのは2002年になりますが、その前身の不動産シンジケーション協議会、通称クレスが1990年から活動しております。更にその前身の不動産証券化研究会は、1988年に設立されておりまして、約20年近くいろいろな活動を続けてきている団体でございます。

2ページを開いていただきますと、不動産の証券化の推移が時系列で示されております。少し古い話になりますが、国土交通省の集計によると、2005年度、昨年3月までに証券化された不動産の累計額は25兆円に達しております。これはリファイナンスされたものも含まれておりますので、少しダブりはございます。J-REITが初めて東証に上場したのが2001年9月ですが、2001年度までの累計額は3兆4,000億円でしたので、5年間で実に7倍の市場規模に成長したことになります。

グラフのウグイス色部分がREITの資産総額を表しておりますが、2001年の2銘柄で発足したJ-REITが現在では41銘柄、その時価総額は6兆6,390億円にまで達しております。

このように、不動産の投資市場が飛躍的に進展したのは、各種の制度、インフラ整備による不動産と金融の融合が進み、海外投資家を含む多様な資金が不動産投資市場に供給されたためであります。ちなみに、US-REITの時価総額は2005年末で39兆円、2006年12月では52兆円に達しております。

これに比べますと、J-REITの規模というのはそこまでは至っておりません。US-REITは30年以上の歴史を持っている一方で、J-REITはまだ5年ということから比べますと、今後まだまだ拡大の期待が持てるところであると思っております。

また、不動産の証券化は、都市開発とか都市再生のスキームとして大変有効な手段でございます。それは、私どもデベロッパーにおいては、開発した物件を不動産投資市場に売却することによって、資金の早期回収を図ることができるからです。従来は、長期にわたって賃料で回収しておりましたが、証券化もしくは不動産投資市場が拡大することにより、開発した物件を投資市場で売却して資金を回収できるということで、資金を長期に寝かすことなく次の開発に回すことができ、スピードアップが図られるということでございます。

それから、証券化特有のノンリコースローン、すなわちプロジェクトファイナンスを利用することにより、事業規模の一部のエクイティで開発を行うことができ、リスクを分散しつつ一度に複数の開発投資を行うことができるようになります。

これらの証券化のメリットを活用することによって、国内外の資金を利用したスピード感のある都市再生が可能になってきたというのが今日の様相でございます。また、今年の9月にも施行が予定されております金融商品取引法ですが、ご案内のとおり、利用者保護ルールの徹底と利用者利便性の向上、貯蓄から投資へ向けての市場機能の確保、それから私どもが議論しております金融資本市場の国際化への対応というものが目的とされております。この法律は、今後の不動産投資市場の発展にとって重要な制度インフラとなると認識しておりますし、同法のもとで、透明で公正な不動産投資市場を発展させるということで、都市再生も進展するものと確信しております。

それでは、本論でございます、3ページ目から国際金融センターとしての都市インフラの整備についてお話をさせていただきたいと思います。

ご存じのように、バブル崩壊後、日本は国際競争力を大幅に落としたと言われております。

3ページの左の表をご覧いただきたいと思います。おなじみの表ですが、IMDが毎年公表する世界競争力の調査によると1992年に日本は1位でしたが2002年には27位と大きく後退し、2006年、昨年には17位までその地位を回復しております。しかし、直近の新聞報道では、2007年版においては、また順位が下がり24位で、中国が15位に躍進してきておりますので、中国よりも競争力で相当下回っているという評価を受けております。

しかし、このランキングを詳細に見ますと、日本はインフラ面に限ると総合2位という評価を受けております。これは、インターネットのブロードバンド環境が安価に利用できるということや、中等教育、高等教育への高い進学率が実現しているということ、それから、国内の航空網が発達しているといったところで高い評価を受けております。

これに対して、評価が低い項目としては、政府部門の効率性や大学教育、固定国際電話価格、そういったものが競争力が低いと評価されております。

また、右の表は都市の集客力の比較ということで、コンベンションの開催頻度の時系列的な比較でございます。国際コンベンションの開催件数では、東京は2005年では56件にとどまっており、資料にピックアップした都市の中では最下位です。これに対して、アジア地域においては、シンガポールと韓国が近年急速に集客力を伸ばしております。

シンガポールは、黄色の折れ線グラフで、2000年には121件であったものが2005年には177件。同様にソウルは68件であったものが103件にまで増加しております。

資料には掲載しておりませんが、国際観光振興機構が発表している2006年の訪日外国人の数は約730万人であるのに対して、出国の日本人の数は1,753万人ということで、1,000万人もの大幅な出国超過であり、まだまだ外国人の方が日本に入ってくる機会が非常に少ないということが言えると思っております。

また、このような統計データからは、台頭著しいアジア地域との競争にさらされているということがよくわかるわけでございますが、街づくりとか、都市再生という観点からも国際的な競争力の向上が急務になっているといえます。インフラは一応、基礎的なものは整備されておりますが、やはり国際競争力の観点から都市のインフラは、もっともっと整備を進めていかなければいけないと感じております

4ページの上のコラムにございますように、私は、東京は既に国際金融センターとしての基礎的な要件は備わっているものと思っております。

1つの理由は、エマージング・エコノミーと地理的に非常に近接しておるということで、ニューヨークやロンドンよりも成長が著しい中国や東南アジア各国との物理的な距離が近いというのが1つメリットとして感じているところです。

それから、2番目に、東京には製造業、メーカー等の国際競争力のある企業の本社が多数集積しております。とりわけ、私どもが運営しております大手町、丸の内、有楽町、この地域を大丸有と言っておりますけれども、この地区にはメーカーの本社機能が集積しております。

この大丸有地区に所在する東証第一部上場企業の売り上げは、日本のGDPの約2割、にも達しております。このような企業集積は、都市国家である香港やシンガポールでは見られず金融が中心の街ですが、東京は金融以外にもこういった有数の製造業が多く集積しているという特徴がございます。

こういった特徴は、金融機関にとっては大口のクライアントが1カ所に集積しており、大変効率よく営業ができるといったメリットがあります。

それから第3番目に、金融業に加えて法律事務所や会計事務所も集積していることが挙げられます。三菱地所が運営するビルに関して、大丸有地区のテナント構成をそこに比較しておりますけれども、法律・会計事務所が2000年には全体の賃貸面積の4%しかなかったわけですが、2007年になって11%、約3倍近く面積が増えてきております。

金融業についても若干増えておりますが、逆に製造業については42.5%から28%と下がってきておりますので、この大丸有地区のテナント構成の中でも業態の変遷といったものが見てとれます。

また、法律・会計事務所の1テナントあたりの床面積は、2000年と比較し2007年では約2.5倍ほどに増えています。中には、1,000坪を超える床を使っている法律事務所等が出てきており、法律・会計事務所等の大型化も見てとれます。

最後には、既存のインフラが充実しているということは先ほどもお話ししましたけれども、電車とか地下鉄、バスといった地域内の移動手段に加えて、新幹線とか飛行機といった都市間の移動手段が大変充実しており、世界的な競争力の比較の中では大変評価されており、基本的な国際金融センターの機能の整備は進んでおりますが、もう一つ欠けているものがあるということを、次にお話させていただきます。

4ページ目の下のコラムの左側の、オフィス市況の概況ですが、通常、需給がバランスしている空室率は約5%といわれておりますが、東京23区におけるオフィスの空室率は、2006年末において2.6%まで低下しております。都心5区は、それが2.3%まで下がってきておりまして、大丸有地区では1%を切っているような状況でございます。

こういった数字は、現在、新しくオフィス東京の都心部で探そうと思っても、見つからないような状態を表しております。

それから、右のコラムでございますけれども、オフィスストックの構成では、築31年以上のビルがまだ57%を占めております。大丸有においても、やはり築30年以上のビルが54%を占めておりますので、比較的再開発が進んでいるというふうに評価されている大丸有地区でも、このビルディング協会の会員会社と同じように、半数以上が築31年以上ということで、まだまだ更新が進んでいないといえます。

5ページ目からは、今後どういった空間を確保していけば魅力ある国際競争力のあるビジネスセンターが生まれるかという点についてお話を進めさせていただきます。

当社で、オフィスユーザーの方々にいろいろヒアリングをしたり、アンケートをとったりしておりますが、入居テナントである金融機関の方を中心にオフィス選択に当たって何を重視されているかということを聞いてみますと、まず異口同音に集積という言葉が返ってまいります。

企業が集積されることによって、クライアントとの物理的な距離が短縮され、もっとも貴重な資源である時間が節約できるということです。また、プロジェクトの関係者を一堂に集めることも容易となり、ITではできないリアルな知的交流も気軽に行えます。特に、クライアントとのリレーションを重視する金融業やコンサルティング業にあっては、オフィス選択の上で大変重要な要素となっております。

第2に、1分1秒を争って時間で商売をしているテナントさんにとっては、スムーズな交通手段の確保というのが必要でございまして、多路線の電車や地下鉄が集積しているということは非常に重要なことだと評価されております。

それから、第3番目でございますけれども、集積はリクルーティング活動にも有利な条件となります。即ち、企業が街自体にブランドのある地域に立地しているということは、優秀な人材を集めることが必要な会社にとっては、非常にアドバンテージのあるロケーションであると評価されております。

それから第4に、ブランドの価値向上、これはクライアントに対するプレゼンスでございますけれども、ロンドンのシティやニューヨークのウォールストリートやミッドタウンといったところと同じように、ネームバリューがあるエリアにオフィスを構えるということは、クライアントを掴むに当たって、非常に重要な要素ということも言われております。

第5番目でございますけれども、オフィス近辺にフォーマル、インフォーマルに利用できる飲食施設が多く集まっていることが望まれます。これは、外資系の金融機関の方々がよく言われることでございますが、クライアントとともに食事をしながら重要なミーティングを開くということも多いということで、グレードの高い飲食施設がオフィスの周りに集積しているということも非常に重要な要素だと言われております。

それから、弁護士や会計士、経営コンサルタントといった企業外部のプロフェッショナルの需要が飛躍的に増大しておりまして、このようなプロフェッショナルの集積は、ビジネスにとって重要な要素になっております。

それから、下のコラムにありますように、エリアに対してどういったものが求められているかということでございますけれども、一番大きいのは、やはり災害時における充実したバックアップ体制ということでございます。

非常用電源設備の確保が異口同音に求められており、サーバーを止めることができない金融機関にとっては死活問題であり、関心度も非常に高いものがあります。新築ビルの場合には、非常用の電源設備を確保するために、ビル内に自家発電設備を設けておりますが、築年数が経過したビルでは対応が困難です。

このように、災害時のバックアップ体制、いわゆるビジネス・コンティニュイティ・プラン、BCPでございますけれども、これは9・11以降、強く意識されてきております。これを発展させて、エリアでこういったBCPを達成できるような体制というものが最近は求められてきております。私どもは、これをディストリクト・コンティニュイティ・プランと言っており、略してDCPと言っております。これは、BCPから発展してエリア全体で防災を徹底してやっていこうということでございます。

具体的には、防災訓練をやったり、それから自主的な防災組織、防災隣組といったものをつくって、お互い連携しながら防災意識を向上させて、非常時には活動に当たるといったシステムも整えておりますし、それから緊急事態対応ガイドラインを作成しております。また、帰宅困難者対策、そういったものにも取り組んでおります。

それから、丸の内地区においては、外国人向けの避難訓練も行っております。こういったエリア全体で防災について認識を深めて訓練活動を行い、有事の際に備えているといったことも、最近は外資系の金融機関さんにとっては非常に関心が高いポイントです。

それから、次に、ユーザーが望むオフィス環境でございますけれども、そこに書いてございますように、一番最初に言われますのは高いセキュリティー機能ということでございます。

2番目には、特に証券会社の方々から言われることでございますけれども、ディーリングルームを構築するに当たり、巨大で天井が高い柱のない空間、広大な無柱空間が求められております。

一般には、地震リスクが少ない欧米では、ビル内に広大な無柱空間を実現することは容易ですが、我が国では、新しいビルではこれが可能でも、古いビルにおいては実現困難であり、できるだけ早急に古いビルを更新する必要があると思っております。

それから、3番目でございますけれども、外資系企業においては、金融機関に限らず、グローバルに統一されたオフィス仕様を求める傾向が多く見られます。

私どもで用意いたします標準的な仕様、内装、これではグローバルに統一された社内基準に合致しないということで、全部やりかえなければいけないということがあります。大幅に内装を変更するということで、入居当初の負担、退去時の原状回復が必要になって、二重の投資となってまいります。環境にも負荷を与えるということで、この辺は制度面も含めて、我々の方で何とか工夫をして改善していかなければいけないところではないかなと問題意識を持っておるところでございます。

7ページに今までの話をまとめておりますけれども、国際金融センターとして都心インフラ整備の方向性といたしましては、ビル単体としての機能アップといった面からいきますと、耐震性能を上げていくということと、セキュリティーをより強固なものにしていく、それからBCPへの対応を深めていくということが求められております。

エリアといたしましては、さまざまな機能を集積させていくということで、オフィス機能だけではなくて、例えばフィットネスとか、それから高級ホテル、レストラン、医療施設、こういったものを今後備えていく必要があると思っております。それから、エリアのブランドを高めていくためのマネジメント、それからDCPについては、エリア全体で防災対策を施していくこと、こういったものが求められていると思っております。

8ページでございますけれども、こういった課題を解決するために、現在、丸の内でどういった取り組みをしているかということについて少しご紹介をさせていただきます。

現在、丸の内で進めております再構築の方向性については、国際金融センターとしての都心インフラ整備の方向性と相通ずるものがございますので、参考になろうかなというふうに思っております。

再構築に当たってのコンセプトでございますけれども、そこに書いてございますように、オープン、インタラクティブ、ネットワーク、この3つを標榜して再構築を進めております。

これは、丸の内を世界で最もインタラクションが活発な街にすることが、この街の価値を高め、ここで就業される方、ここで企業活動を行われる方々に快適な空間を提供できると思っております。その実現に向けて街の再構築を進めてきております。

従来は、丸の内というのは、どちらかというとビジネスだけの街でございましたけれども、丸ビルの建て替えを機に、開かれた、それから交流が盛んな街にしていこうというコンセプトのもとに再構築を進めておりまして、さまざまな都心インフラ、特にネットワークの構築、こういったものに力を入れておるという状況でございます。

9ページでございますけれども、オープンとインタラクティブとネットワークの事例をそこに書いてございます。

オープンというところで、コラムの一番上の左の絵は、今年の秋に開業するペニンシュラホテルを載せてございます。こういった世界有数のホテルをこのエリアに誘致をして24時間活動できるような、そういった街の一助にしたいと思っております。

それから、ご案内かと思いますけれども、仲通りを中心に、従来は金融機関の店舗が並んでいた通りを商業施設のにぎわいのある通りに変えております。有楽町、丸の内、大手町に大きな拠点のビルをつくりまして、そこに商業を集積させて、回遊性を高めていこうとしております。

それから、美術館の整備と書いてございますけれども、再来年竣工予定の丸の内パークビルには、三菱一号館を再現いたしまして、そこを美術館として整備をし、文化的な機能も備えていこうとしております。

それから、ラ・フォル・ジュルネの写真がございますけれども、今年で3回目になるこういったイベントで、街に来場されるお客様を多く迎えてこの街をアピールしていこうというイベントもやっております。

それから、インタラクティブのところでございますけれども、東京21cクラブを載せております。ここでは、次代を担う若手起業家の知識創造のためのエネルギーを生み出す場づくりを提供いたしております。こういった起業家の方々は、人的ネットワークというのが希薄でございまして、その道の先達との交流をこういう場を通じて図っていただこうということで用意しております。

そのほかに、ネットワークといたしましては、丸の内を回遊するシャトルバス、それから地下ネットワークを、ビルを建て替えるごとにつないでいって、地下、地上でこの街がつながっていくというインフラを整備しようということで進めております。

10ページでございますけれども、それを実現する方策としてどのような推進体制をとっているかをご紹介させていただいております。

官民協働ということでございますけれども、時系列的にご紹介いたしますと、一番左の下にございますが、昭和63年に大丸有地区再開発計画推進協議会が設立されております。民間組織というのがそこでございますけれども、この協議会は、民間地権者の立場で大丸有の街づくりを議論するということでスタートしたものでございます。

お手元にこの協議会の活動内容を紹介するパンフレットを配付しておりますので、後ほどご参考にお読みいただければと思っております。

それから、10ページの上のコラムに政策・上位計画ということがございます。詳細は割愛いたしますけれども、平成6年に東京都が業務商業施設マスタープランを策定しております。それから、平成9年には、区部中心部整備指針が発表されて、一極集中是正のために都市機能を分散しようというそれまでの政策から、都市間競争に打ち勝つために、東京の都心部を再整備して、そこを魅力ある街にしていくというふうに方向転換したのが、この2つの施策でございます。

都心における業務商業施設の整備の必要性がそこで謳われて、それから国レベルでも、平成7年に旧国土庁が東京都心のグランドデザインというのを取りまとめております。

こうした上位計画、それから政策、そういったものと相まって、平成8年に「まちづくり懇談会」という公民の組織が発足いたしました。これは、大丸有再開発計画推進協議会のメンバー、東京都、千代田区、それから東京駅を持っておりますJR東日本、こういった方々がメンバーになって、この街をどういうふうに更新していくかということを議論する場として設置されました。

このまちづくり懇談会では、大丸有が望ましい発展を遂げるために、地区の将来像を設定して、それを共有するということをまず主眼に置いております。将来像を共有した上で、その将来像を実現するために、ルールを定めて、それからそれを実現するための手法を整備する。こういったものを官民一緒になって考えて議論して、幾つかの成果が出てきております。

平成12年には、まちづくりガイドラインが官民協働で制定されました。先ほどお話をさせていただきましたオープンとかインタラクティブ、それからネットワーク、こういったコンセプトで語られるものもこのガイドラインの中で具現化されております。それと、都市計画法で定められた地区計画、こういったものが相まって、現在の更新のルール、手法になっています。

それから、特定街区や都市再生特別地区制度を活用しながら、こうした一般的なルールと、大丸有ならではのローカルルールを一緒に合わせて工夫をしながら個別の開発、機能更新を順次進めているというのが現状でございます。

以上、私の考えを述べさせていただきましたけれども、今後の都市機能の再整備に当たってはどういうことが必要かということを、お話をさせていただきたいと思います。

先ほどもお話ししましたように、現在、新築ビルについては空室がほとんどございません。今後の供給予定も決して十分ではございません。今までは旧国鉄跡地の開発のように、大規模なオフィスビルの供給が行われてまいりましたけれども、今後はこのような大規模再開発用地の供給は予定をされておりません。

多数の地権者がいる地区の再開発というのは、今も進められておりますけれども、合意形成には時間を要するということで、スピード感のある開発は非常に難しいと考えております。したがいまして、開発効率のよい場所にエリアを絞って、重点的に再開発を行っていくということが必要だと思っております。

そのためには、官公民でビジョンの共有が不可欠と考えております。これは、金融面での施策と、それから街づくり、都市再生の施策がトータルで論じられて、進むべき方向性について関係者間で共有されるということがやはり必要だと思っております。その上で、施策の効果を最大限に発揮するためには、エリアを絞って面として集中的な取り組みがなされる必要があると考えております。

それから、もう一つはスピード感という観点から申しますと、やはり国公有地を有効に活用することが一つのポイントではないかなと思っております。国公有地を国際金融センター機能の拡充のために直接活用することも考えられると思っております。現在のビル市況にあっては、既存ビルの建て替えに伴うテナントの移転先の確保が最大の課題になってきております。

本日は、時間の制約もあってご紹介はできませんでしたが、大手町の合同庁舎の跡地を、不動産用語でございますけれども、種地として複数街区の機能更新を連鎖的に展開しております大手町地区の事例は、一つの参考例になろうかなというふうに思っております。

最後になりましたけれども、国際金融センターとしての機能拡充のために、民間企業それからエリア民間地権者として取り組むべき事柄も多いと私どもも認識しておりますし、課題として感じております。また、現在の都市再生政策は、主として景気の低迷下で経済対策や地域の活性化といった観点から進められてきましたが、今後は東京が世界的なビジネスセンターとして、また国際金融センターとしての地位向上を図る上で必要な都市インフラを整備するという、そういった方向性に向けて規制緩和や再開発を促進するための民間へのインセンティブのあり方についても、今後十分な議論が必要だと思っております。

以上、少し時間が長くなりましたけれども、私のプレゼンテーションを終わらせていただきます。

ありがとうございました。

○池尾座長

どうもありがとうございました。

それでは、引き続き、冨川さんからプレゼンテーションをお願いしたいと思います。

よろしくお願いします。

○尾崎参考人

それでは、冨川のプレゼンテーションに先立ちまして、ごあいさつをさせていただきます。

私、三井不動産の企画調査部門を担当しております尾崎と申します。

このような対外活動の統括をするという立場と、私自身が過去10年間IR、それから不動産の証券化事業を通じて、海外の機関投資家、金融関連者とのおつき合い等も深かったということもあって、今回のプロジェクトに共同して参画しているという立場でございます。

それから、今日メインでプレゼンテーションいたします冨川は、現在、法人ソリューション部長ということで、いわゆる法人営業の窓口をやる部門でありますけれども、彼自身が90年代半ばまで国際事業、海外での不動産事業に深く携わっていたということ。それから過去10年間、冨川は海外から日本の不動産に投資する投資家のプレースメントとか営業活動を中心にやってきて、かなりの成果を上げてきたということもあり、本日ご依頼を受けた演題の中で、一緒に資料を整理し、プレゼンテーションをするのにふさわしい者だという判断をして、今日この席に一緒にいるわけでございます。

それでは、時間も限られておりますので、我々不動産会社がいろいろな都市間比較をするとき、それから海外の不動産投資を好む方が東京を見るときの目線で、いわゆる都市間比較みたいなお話を一ついたしたいと思います。

それから我々自身が業として、海外のいわゆる外資と言われている金融機関等を、テナントさん、あるいは事業のパートナーとして、お客様として我々自身が持っておりますので、そのお客様の目線から見て、東京がどう見えているのかと、こんなところをベースにして、少しやんわり、ほんわかとした話にはなりましょうが、我々独自の観点で少し冨川の方からプレゼンをさせていただこうと思っております。

よろしくお願いいたします。

○冨川参考人

それでは、お手元の資料の2-2と書いてあります地図をご覧いただきたいと思います。

ニューヨーク、ロンドン、あるいは香港、シンガポール等の金融センターと言われる都市を、東京とフィジカルに比較したいと思っております。

最初の1ページ目がニューヨークでございます。ニューヨークは、マンハッタンだけで、3億スクエアフィートぐらいのオフィス面積があると言われていますが、下の方に品川駅が、山手線の緑色の線がマンハッタンの東側から下の方に流れていますけれども、下の方に多摩地域がございまして、大体グラウンドゼロとかウォールストリートのあたりが品川駅という感覚でとらえていただきますと、ちょうどミッドタウンのロックフェラーセンターの東の方、あるいは国連の本部の辺りが有楽町、東京駅とそれからミッドタウンのロックフェラーセンターから、あるいはジェネラルモータースのビルあたりが、ちょうど日本橋、神田あたりと、こういうイメージでございまして、ブルーの点線の大きな四角で囲った面積が5キロ平米、5キロ掛ける5キロの四角でございます。

大体、国際的な金融センター都市を比較すると、この5キロ掛ける5キロというのが一つの目安でございまして、大体この5キロから5キロの中に金融機関が集積するというような傾向が見られます。

多分、マンハッタンの場合は、歴史的にウォールストリートのダウンタウンができてから大恐慌が来て、その大恐慌の後にロックフェラーセンターまでオフィスの中心街が移動するんですが、これは実はいろいろな理由がございまして、マンハッタンは岩盤でございますので、支持層がちょうどソーホーとか、ミッドタウンサウスのところに行くと深くなってしまうんですね。超高層ビルを建てると、次にオフィススペースが飛んだのが、マンハッタンのダウンタウンからちょうどそのロックフェラーセンターあたりが支持層がまたセントラルパークに向けて岩盤が出てくるものですから、基礎が打ちやすいということで、ビルがそこに飛んでしまったという事情があるのですが、こうした形でダウンダウンの金融の集積とミッドタウンの集積があるということです。これは東京と比較をしていただくと、このような山手線の内側の図になります。大体マンハッタン全体が山手線の内側の面積の97%と言われていまして、そのうちの半分ぐらいのところがミッドタウンからダウンタウンに集積しているということで、右側にございますように、各種有名金融機関は、大体この辺に入っているというのがこの図で見ていただけると思います。

次のページがロンドンでございます。ロンドンは、ご案内のとおりウェストエンドとシティ、それからドックランドというこの3つの金融センターがあると言われておりますけれども、このウェストエンドとシティも大体5キロのこの白い四角の中にぴったり入るんですね。

それからシティとドックランドをくっつけようとしますと、ちょうど先ほどのニューヨークのミッドタウンとダウンタウンが分かれているくらいの距離感の中に、このシティのイングランド銀行の中心街と、それからドックランドがぴたっと入るというような形で、ここでもやはりご覧になっていただけるように、金融機関がこのシティとウェストエンドとドックランドに集中しているということが見られると思います。

それから、次のページがシンガポール、上海、北京でございまして、これは今、日本がアジアゲートシティーとなるために、コンペティションの相手でございますけれども、北京にしても上海にしても国を挙げて、市を挙げて、外国企業、あるいは外国金融機関の誘致を一生懸命やっておりまして、そのためのインセンティブやライセンスを与えているというのがあるんです。

シンガポールの場合ですと、マネタリー・オーソリティー・オブ・シンガポール、MASがあるシェントンウェイのストリート上に金融機関が集中しており、極めて効率のいい金融機関の集中が見られます。上海や北京の場合は、市を挙げて、国を挙げていろいろなアメニティーをつくることによって、金融機関の方が中国に来ても不便にならないようにというインフラ施策を一生懸命つくっているということが言えると思います。

シンガポールの場合は、ここに書いてある特徴として、長期的なインフラを国を挙げて整備して、もちろん英語環境であることは当たり前なんですけれども、生活面で海外から来た方が困らないような環境を一生懸命つくっているということが言えると思います。

最後に、東京の図が出てまいりますが、東京はこの白い四角がやはり5キロ平方メートルの枠でございまして、先ほどのニューヨークやロンドンと比較しても、東京の集中というのはかなり中心部にしっかりできているということが言えると思います。

日本橋地区、八重洲地区あるいは丸の内、大手町地区、それから赤坂、六本木エリアというふうに3つのサブマーケットが今できておりまして、ここに青いマークが外資系の金融機関の東京支店、あるいは東京支社と、ピンクのマークが国内の金融機関、あるいは金融機関を支える会計事務所、あるいは証券取引所等の施設がこの丸マークであらわされているんですが、極めて近い距離のところに、しかも地下鉄銀座線等でしっかりと結ばれた地域に、こういう金融機関が集中できているというのが東京の現状だと思います。

唯一、今モルガン・スタンレーさんだけが恵比寿にいらっしゃる。それ以外は大体皆さん、この東京の中心に集中しており、弁護士事務所、公認会計士事務所、それから金融機関の方々が非常に効率よく集中しているということが言えるわけです。これだけから見ますと、東京のコンペティテブネスというのは、結構あるのではないかというふうに理解できるわけでございます。

それから、次の表にまいりまして、この年表は少し細かくてプレゼンテーションの方ではご覧いただけないので、目の前にある紙でご覧いただきたいと思います。私どもは不動産業者でございますので、不動産のマーケットの歴史というのはよく理解しているつもりでございます。1991年のバブルの崩壊以降、大体スリーフェーズぐらいの変化が不動産市場、不動産資本市場にあったということが言えまして、さまざまな政策あるいは都市再生の施策によって、これが今復活してきたということが言えます。

大体1996年ぐらいに不良債権というのがどんと出てくるわけですけれども、1つの第1フェーズがこの1991年から1996年の不動産市場から全く資本が枯渇してしまった時代。これが左の下の方に不動産資本全体と書いてあって、枯渇と私書いてありますけれども、枯渇していた時代がこの6年間。

それから、1996年ぐらいから不良債権が売られ始めて、外資の方がわっといらっしゃって、1996年から2000年まで買いまくるという時代が、これは外資がドミネートした時代ということでこの5年ぐらいがまたあって、それから2001年ぐらいにREITができ、あるいは都市再生本部が発足し、都市再生特別地区とか、再生プロジェクトが認定し始めるというところで、内資が戻ってくるという時期が2001年から今日に続く復活、回復のピリオドでございます。

こういう中に、お手元の資料にはありませんけれども、これだけさまざまな外国資本とか、ファンドとか金融関係のファンドがいっぱい日本に来た、あるいはその後、日本でREITができて、これは2005年末の時点で28社と書いてありますが、先ほどの檀野さんからご説明があったように、現在41社というところまでREITが復活し、国内の内資のお金、外資のお金が不動産資本市場に非常にリクイディティをもたらしているという状況にあるわけです。こうした16年間の流れの中で、海外の金融機関の東京の支店がどういうふうに変わってきたのかというあたりを一番下のラインで見ていただきますと、ちょうど、この1996年ぐらいまでの東京にインベストメントバンクが初めてきたのは、1974年とか1975年にゴールドマン・サックスさんが東京でお店を開いたあたりから始まっているんだと思いますけれども、その1974年から1975年ぐらいから96年ぐらいまでのインベストメントバンクの支店と、あるいは金融機関の支店というのは、大体グローバルネットワークの中の一部として、フランチャイズとして東京の支店を置いておきたいんだというような意識で持っていたのではないかなというふうに、我々オフィスに金融機関を誘致していた人間として感じておりました。

かなりハイスペックなオフィス環境を求められるんですけれども、果たして東京の役割というのがどういう役割なのかは我々もよくわからないというのが1996年ぐらいの状況で、1996年から2000年ぐらいは、東京支店がさまざまな日本の国営企業のIPOだとか、起債だとか、あるいは不良債権のブームで、東京支店が物すごく稼ぎ始めるという、プロフィットセンターとしてすごく成長した時期が、1996年から2000年のITバブルがはじけるまでの時期だと思います。

この時期は、ちょうど日本の金融危機があって、相当ビジネスが増えた時期だと思っておりまして、オフィス不況の中あるいは日本全体の不況の中で、手がたい需要が外国金融機関の東京支店からはあったというのがこの1999年から2000年ぐらいまでです。

その後、2000年にITバブルがはじけますと、海外の本社、外資の金融機関の本社が相当ダメージを受けられまして、そのダメージの影響で、東京にある支店にもコスト削減要求がされたわけです。この時期をして、2003年問題みたいなものが我々の方にあったものですから、ちょうど需要と供給の部分で非常に厳しい時期が我々の業界にもありました。

この2000年、2001年、2002年ぐらいに定性的には東京の海外の金融機関の支店がローカライズするということが急速に進みました。すなわち、コスト削減要求もありますけれども、ちょうど金融危機で長信銀から日本の金融機関から飛び出された方々が、外国の金融機関のローカリゼーションにぴたっとはまって、そちらに移られた。2003年、2004年ぐらいになってきますと、我々が感じている限りでは、だんだん海外の外資の金融機関の東京支店あるいはコンサルティング会社の東京支店というのは、トップは外国人だけれども、エグゼクティブ・バイス・プレジデント以下あるいはシニア・バイス・プレジデント以下は、だんだん日本人ばかりになっていくという時期だったと思います。

ちょうどこの時期に、外人賃貸マンションの需要も非常に変わっておりまして、2001年ぐらいまでは坪2万円以上とれた外人賃貸マンション、例えば50坪で2LDK、3LDKで100万円以上した賃貸マンションの値段が坪1万3,000円まで落ちたのがこの2002年、2003年ごろです。これはやはり、金融機関に勤めている外国のトップランナーの方々が帰国されるという現象が起こったために、ここで大きな変化があったんだろうなというふうに感じております。

このような、東京の金融機関やコンサルティング会社、あるいは弁護士事務所、会計事務所の定性的な変化が、この16年間に我々ランドロード側から見てあったということが報告できます。

次の表には世界地図がございます。我々がおつき合いさせていただいているテナントさん、これは外人賃貸マンションのテナントさんであったり、サービスアパートのテナントさんであったり、あるいはオフィスビルのテナントさんである外国の金融機関の方々が一体どこから来ているかというと、ロンドンの場合ですと、ウェストエンドに住まれたり、あるいはベルグレイヴィアに住んでいらっしゃる方々の中に、東京に派遣されてくる東京の支店長だとか、あるいはシニアなマネージャーたちがいらっしゃいます。

それから、ニューヨークの場合ですと、アッパーイーストサイドのパークアベニューあるいはマディソン街、フィフスアベニュー、あるいは東は3番街、レキシントンアベニューまでですね。その辺から多くの方々がいらっしゃる。それから、ウエストチェスター・カウンティーのスカースデールだとかブロンクスビルだとか、そういう東京でいうと田園調布のようなところからいらっしゃる方もいれば、あるいはロングアイランドの巨大な館からいらっしゃる方もいらっしゃる。

ロサンゼルスの金融市場からは、いわゆるサンタモニカとか、ベルエアとかビバリーヒルズに住んでいらっしゃる方々が東京のトップやあるいは東京のシニア・バイス・プレジデントなどとしていらっしゃる。そういう住環境からいらっしゃっている方々を東京は迎えているということが言えるわけですね。

我々が賃貸マンションの営業をすると、そういう方々が何を気にされるかというのが、一番下の4つの升でございます。金融機関で働く外国人の奥様がニューヨークのスカースデールから来て、あるいはロンドンのベルグレイヴィアから来て何を気にするかというと、大体4つぐらいあるのかなと。

1つは、自分の息子はロンドンにいたらイートン、ハーロンに入れたかもしれない。あるいはニューヨークにいたら東海岸のプレップスクールにアンドーバーとかディアフィールドとかというマサチューセッツの私立高校に入れたかもしれないという方々がいらっしゃるわけですから、東京のインターナショナルスクールのレベルというのは、非常に重要になるわけですね。

残念ながら、東京のインターナショナルスクールは、ポール・クオさんがいたころからそうかもしれませんが、助成がないですから、年間200万円以上の学費を払わなければいけないわけですね。そうすると、これは果たして、外国の金融機関にとっては全然大した金ではないと、トップエリートを東京に送るためには、それぐらい払うよというのもあるかもしれませんけれども、もう一方で金融のアントレプルヌールのようなことをやる人、あるいはITでアントレプルヌールのようなことをやる人が、子供さんを連れて日本に来るときには、ある程度の参入障壁になるのかなという気がいたします。

それから、資格という意味でも、インターナショナルバカロレアを取らないと海外の大学も受けられないとか、あるいは日本の大学にはすんなり入れない、要するにいわゆる各種学校扱いでございますので、そういうことがあるので、果たして日本の国際化ということを考えたときに、このままでいいのだろうかというような議論があるかもしれません。

それから、住環境ですけれども、マンハッタンのコーポラティブに住んでいたり、スカースデールの家に住んでいらっしゃる方々にとっては、はやりエクスクルーシビティとセキュリティーというのが非常に重要で、東京はそういう意味ではセキュリティーは非常にアプリシエートされているということが言えると思います。

我々も一生懸命、今、東京の再開発の中で供給したタワーマンション等で、この方々の需要にこたえているわけですけれども、やはりお子さんがいらっしゃるファミリーの場合は、35歳、40歳で外資系投資銀行の東京のマネイジングディレクターだという方々と話していて、お母さんは、タワーマンションよりも全体で12戸だけの5階建てのマンションに住むことが安心だと思っていらっしゃる。そういうところに住むとすると、大体30年前からある外人賃貸マンションが東京の港区にいっぱいありますけれども、この2000年ぐらいにちょうどリノノベートしなければいけなかった時期に、外国人の方々がアメリカに帰ってしまったものですから、資本的支出ができていないものが多く、こうした海外のエリートの方々が好まれるような住宅が、残念ながらかなり老朽化していまして、これもクオリティティブにもうちょっとインプルーブしなければいけないということになっております。

それから、残りの2つ、エンターテインメントという意味では、ご案内のとおりロンドンのコベントガーデンだとか、ニューヨークのリンカーンセンターみたいなものが、あるいはこれはシンガポールも非常に悩んでいますし、香港も非常に悩んでいます。

香港のデベロッパーに聞いても、シンガポールのデベロッパーに聞いても、みんなパバロッティを毎年呼ぶわけにはいかないけれども、何かもう少しすばらしいオペラとかをやらないと、外国人の駐在員は、ニューヨークにいたときはこうだったとか、ロンドンにいたときはこうだったとか、そういう文句ばかり言っているということになってしまうと思いますので、そういうエンターテインメントを日本でどれぐらい、あるいは東京の街が国際金融センターとしてどれだけ提供できるのかというようなことは課題だと思います。

それから、最後に、外国人のスタンダードとして、ファミリードクターというのは当たり前の話でございますので、そのファミリードクターをニューヨークに置いて、ロンドンに置いて東京に出てくるわけですから、そのファミリードクターに代わるような設備や施設を提供しなければいけない。これも大体、大病院の一部の先生が英語ができるから聖路加に行くとか、山王病院の一部の先生が英語ができるから行こうとか、今まではそういうパターンだったわけですね。そこで私ども、今、六本木の防衛庁の跡地のミッドタウンでジョンズ・ホプキンスのクリニックをオープンしましたけれども、そういうエクスクルーシブに英語ができるような施設を提供していかないと不安を感じる方が多いのではないかなというふうに思います。

これがまず、住環境をアメニティー的に考えたところでございまして、次はビジネスのインフラストラクチャーとしてどうかという点で、住環境という意味では今の前のページでは結構△が多かったんですけれども、ビジネスのインフラストラクチャーとしては、結構○が多いのではないかなと。

特に、最近○をつけられる部分が増えたのではないかなと思っておりまして、ホテルに関しましては、いわゆる我々の業界でいうと旧御三家と言われる、国内オペレーターがおり、その国内オペレーターに対して、この2002年、2003年、2004年ぐらいからグローバルオペレーターという方々が違ったサービスといいますか、差別化されたサービスを提供するようになってきて、この海外から来るビジネスエリートの方々に喜ばれているという状況があると思います。

これは、ちょうど再開発で、我々のプロジェクトが今まで許認可を含めて7年、8年かかっていたものが、4年、5年でできるようにしていただいたという規制緩和の効果とも相まって、あるいはエクストラ容積率をいただけるということで、にぎわい商業をつくるための容積率をいただいたおかげで、あるいは許認可を短くしていただいたおかげで、ホテルなどにオフィスの一部を賃貸しても収支が成り立つようになったというのが大きいと思います。これが、1番目のホテルという意味でインプルーブしたということの1つですね。

それから、最近の海外からの出張者の方々、先ほど国内の支店や国内のテナントがすごくローカライズされたということで言いましたけれども、それでもグローバルM&Aとか、あるいはトラブルシューティングのために、東京ディズニーランドに2カ月だけ来るとか、そういう出張があるわけですね。そういう方々にとって、海外の金融センター都市では、当然のインフラストラクチャーとして、サービスアパートとサービスオフィスというのがあります。

このサービスアパートというのは、いわゆるホテルサービスつきのアパートで、自分が2カ月、3カ月出張してくるには、ホテルの部屋では狭過ぎて、あるいは自分で時々ご飯もつくりたいという外国人の方々、あるいは3カ月も4カ月もいれば、時々本国から奥さんも呼びたいというときに、やはり生活環境が整うという意味で、必要な施設だと思うんですけれども、こういうサービスアパートも最近、我々デベロッパーがかなりの数を供給しまして、インフラとしてできてきたということが言えると思います。

サービスオフィスというのは、どちらかといいますと、日本に初めて進出する海外の金融機関あるいは海外の会社が、最初はやはり1年から1年半ぐらい3人か4人でやりたいというときに、なかなか私どもから30坪だけ借りるというのは難しいとか、50坪だけ借りるのは難しいというときに、セキュリティーサービスつきで、あるいはコピーの機械とか冷蔵庫などがみんなで共有できるということで、家賃は高いんだけれども、非常に便利な施設です。いわゆる東京でスタートアップする海外の企業にとっては、非常に便利なインフラということになっております。

最後は、ビジネスのインフラとしてのソフトの面ですけれども、外国人弁護士事務所あるいは会計事務所につきましては、ご案内のとおり大分それを充実されてきて、国内の提携先との合弁などによって、相当インフラストラクチャーが整ってきたということが言えると思います。

先ほど、住環境のところで1つ申し上げなかったことの1つに、メイドサービスというのがあると思います。海外から、シンガポールから香港から東京に転勤されてくるイギリス人やアメリカ人の方々は、基本的にメイドさんを一緒に連れてくるというところがありまして、あるいはニューヨークやロンドンからいらっしゃる方もメイドさんをつけたいとおっしゃる方が多いわけですけれども、このメイドさんのステータスというのは、入国管理事務所との関係で、フルスポンサーが「申告」しない限り、日本では許されないということがございます。したがいまして、この辺もアントレプルヌーリアルな仕事、あるいは金融の中でも新しい分野を開拓していこうという方々にとっては、もう少し緩やかな形で、家族を安心して東京に連れてこられるようなインフラとして、そういうメイドさんをもう少しレギュレーション上緩やかな形で雇えればいいのではないかなというふうに感じていらっしゃる方は多いということをご報告しておきます。

以上、私ども不動産、オフィスビルのランドロード、あるいは賃貸マンションのランドロードという視点から見て、東京が金融センターとしてどういう満足度を達成しているか、あるいはどの辺が不足しているかという点につきまして、ご報告させていただきました。

どうもご清聴ありがとうございます。

○池尾座長

どうも冨川さん、それから尾崎さん、どうもありがとうございました。

それでは、後半の質疑応答及び自由討議に移りたいと思いますので、ただ今いただきましたご報告といいますか、プレゼンテーションに関するご質問、あるいはご意見がございましたらご自由にご発言いただきたいと思います。

挙手かネームプレートを立てていただければと思います。

それでは、藤巻メンバー、どうぞ。

○藤巻メンバー

東京の金融マーケットを国際化するために、不動産業界の課題というか、不動産業界でどういうことができるかというお話はよくわかりましたが、逆を言いますと、東京市場を国際化すると一番メリットを受けるのは、会計士や弁護士等、あとは不動産業界ではないかなと私は思うんです。これは悪いということではなくて、そこからまたビジネスが生まれるのでいいことだと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

○冨川参考人

今、賃料の国際比較をしますと、ニューヨークのミッドタウンでも少なくとも120ドルとか130ドルの賃料が出てきているんですね。これは、10年前の3倍、4倍の賃料です。1993年というのは確かに不況だったわけですが、その15年前の賃料が大体45ドルあたりだと思いますので、そこから比べると、今トップノッチのニューヨークの賃料が130ドル、135ドルと、3倍近くになっています。

それから、ホテルの1室の値段。これは円安もあるんですけれども、今ロンドンやニューヨークは最低でも5万円、6万円で、ミッドタウンのヒルトンホテルでも5万円以上するところがあります。そういう意味で、そのレベルのアフォーダビリティが海外の金融機関や海外のビジネスマンの方々にはあるということで、それをすぐに東京にアプライして、東京でも海外の方々が進出してくると、そういうアフォーダビリティのある方が来るんだから、賃料も上がるだろうと、あるいはホテルのレートもぐんと上がるのではないかという期待もなきにしもあらずなんですが、ただやはり、国内の需要というのが圧倒的に多いですから、国内の生産性、国内のホワイトカラーワーカーの生産性、あるいは国内の金融機関の生産性が、海外のトップノッチの金融機関のアフォーダビリティに差があれば、やはり我々としても、それほどベネフィットを受けるわけではないのでございます。

そこは一部、よく東京のハイグレードホテルのルームレートが何で3万5,000円なんだと、あれは7万円でなくてはおかしいと外国人の方がよくおっしゃるんですけれども、あるいはほかに最近できた新御三家のホテルもそれぐらい取れるはずだというふうにおっしゃるんですけれども、海外の方が全部のホテルに泊まってくれればそうなんですけれども、日本橋の高島屋でショッピングされる方がマンダリンホテルに泊まることが多いわけですから、そういう意味では、全部が全部、我々がベネフィットを受けるわけではないということが言えると思います。

ただ、重要なのは、グローバルスタンダードのアメニティーを要求されれば、それに応えて我々も品質を上げ、オフィスビルもショッピングセンターもあるいはリテールスペースも、5番街やマディソン街やフォーブル・サントノーレや、ロンドンのオックスフォードストリート、あるいはボンドストリートに近い形のアメニティーをインプルーブしていかなければいけないという意識はございますので、そういう意味では我々にとっては大変勉強の場でありますし、研鑽の場であるということは言えると思います。

○池尾座長

どうぞ。

○藤巻メンバー

今の点ですが、確かに外国人は余り来ないかもしれませんが、日本人のお金をもらう人たち、大量の金をもらう人たちというのは増えると思います。

冨川さんのおっしゃった、外国人が帰国してしまったというのは、私は日本の外資がもうかり始めたからだろうと思っているんです。90年代、外資というのはほぼ全滅だったですよね、もうかっていなかったですよ。我が社はもうかっていたんですけれども、もうかり始めれば、やはり現地化してくるわけですよ。

2000年以降、不良債権ビジネスとか、土地のビジネスが出てきて外資系がもうかり始めた。それで外国人を帰して日本人でいいやということになったと思うんですね。ということは、日本人で高いボーナスをもらって、外国人が住んでいたような広いマンションに住むような日本人が数多く出てくるのではないかと思うんです。それこそまさにウィンブルドン現象化、要するに、英国シティにはアメリカ人がたくさんいるわけではなくて、きっとイギリス人が給料をたくさんもらっているのです。GDPの20%をあそこの国は金融業がうみ出しているわけですけれども、そういう現象が起こってくれば、外国人が来なくても結構、不動産市況もよくなっていくのではないかなと思います。確かに不動産価格が上がってしまうと、一般の人たちがどうのこうのというマイナス面もあるのかもしれないけれども、少なくとも経済は活性化するのかなと思います。

○池尾座長

それは、頂とすそ野の関係で、頂だけ高くてすそ野が広がらないということは多分あり得ないというか、すそ野の広がりを実現できて初めて頂が高くなるという関係なんだと思います。

はい、ご発言どうぞ。

○柴田メンバー

まず、檀野さんのお話をお聞きしていて、強く印象に残った点が幾つかありますが、最初に海外の金融機関が日本に参入するときにも、オフィスに関してはグローバルスタンダードを適用するというところが大変印象に残りました。考えてみれば、我々も海外においてオフィスをつくるときは、グローバルスタンダードを適用しているくせに、我が日本においては、あまりグローバルスタンダードを適用していないという現状があると思います。

たまたま、私の会社自体は小さい会社なので、非常に大きい机、これも多分、グローバルスタンダードで見ても大きい方の机、ちゃんとした椅子といったものを導入したわけです。これは、日本に帰ってきてずっと変だなと思っていたからです。

やはり、生産設備がきちんとしていないと生産性は上がらないということが基本ではないかと思います。仮に今、日本に参入する外資の企業がもっと増えて、そこで働く人の人数も増えてくれば、好むと好まざるとにかかわらず、日本の金融機関も従業員をアトラクトしてリテインするためには、オフィス環境を良くせざるを得ないことになると思います。いいオフィスへの需要さえあれば日本の不動産会社の方々にとっては、いい話であろうかと思います。

それから、今、海外においてどこの国の人の値段が高いんだろうかという議論というのは、多分クオさんのところでもよくやっていると思うんですが、最近の現象として、昔は考えられなかったことが起きています。例えばクオンツ系の人材を雇うにはどこが一番いいのかなという議論をすると、もうロンドンではないんですよね。「クオンツ人材はロンドンは高く、ボストンが安い」ということが起きていたり、それからインベストメントバンカーでもロンドンの方が高かったりするということで、国籍の問題ではなくて、その街の需給の問題であります。ウィンブルドン現象云々で揶揄されていることは揶揄されておるわけですけれども、意外とイギリス人のバンカーというのはニコニコしているし、それからイギリス人のアセットマネージャー、ヘッジファンドのマネージャーもニコニコしているということが起きています。

そういう意味で、外国に富がすべて持ち去られているケースかという命題でロンドンを見ますと、答えは違うということでございまして、東京も同じようなベネフィットがあればいいなと思います。

○池尾座長

少し関連してですけれども、オフィス仕様の具体的にどこが違うのかというわかりやすい例を教えていただきたいということと、それから、オフィス仕様というのは、仕事のやり方というか企業内での意思決定とか情報交換のシステムそのものと対応しているところがあると思うんですね。よく言われる話だと、要するに、日本企業は大部屋なわけですけれども、パーテーションのないような大部屋で仕事をするというのがあるわけですけれども、それはそれで日本の企業の仕事のやり方を反映した仕組みなわけですから、仕事のやり方を変えないとオフィス仕様も変わらないところがあって、グローバル仕様のシステムにするということは、日本の金融機関の内部の仕事の進め方もそれにアジャストしなければいけないという話になるのではないかなというふうに思うんです。そこはということで、まずお二人に質問する形になりましたが。

○檀野メンバー

まず、外資系の方々が日本に来てどういうオフィス仕様を求めるかというと、グローバルスタンダードということもございますけれども、その会社の経営ポリシーとか、そういったものに合ったオフィス環境をつくりたいというのがニーズでございます。

日本の企業であれば、決められたスペースと決められた仕様があって、それに会社をどう合わせるかということでやられるんですけれども、外資系の、特に金融機関の方は、その会社の執務環境とか、仕事のやり方といった既定のものがあって、それにオフィスをどう合わせてくれるのかというようなニーズがあります。私どもではスケルトンと言っていますけれども、要するに内装を仕上げず引き渡してくれれば自分たちでやるよというものです。間仕切りから、それからいろいろな設備関係の切り回しから全部やるよということなんですけれども、日本のいろいろな建築に関する規制の中では、スケルトンな状態で建物を置いておくということができず、必ずいろいろな仕上げをしていかなければいけないという規制があります。そのため、いったん仕上げを全部やって、それを外資系の方々に提供するということになります。

その後、自分たちがスタンダードだと思っているようなものに全部つくり変えられていくということで、例えば新築ビルをつくった際に、次々にテナントさんが入ってこられるんですが、外資系のテナントさんというのは、自分なりに全部オフィス環境をつくり変えられてから入られるので、実際にビルが竣工して入られるまでの間に大分時間がかかってしまいます。それは、やはり無駄が多いということもございますし、それから、自分たちのスタンダードに合っているような仕上げなり間仕切りなり、そういったものを早目に整備するということも難しくなる原因となります。これが、先ほどお話があったグローバルスタンダードに合うようなオフィス環境を提供してほしいという彼らのニーズに応えられない原因の一部かなと思っております。

○池尾座長

そうすると、スタンダードというよりは、カスタマイズできるような柔軟性を提供してほしいという話ですね。

○檀野メンバー

もちろん各国でやっているからそのとおりやってくれということと同じことだと思うんですけれども、他の国でこうやっているから日本だけ違うやり方ではなくて同じ様にやらせてくれということだと思います。グローバルなスタンダードというのは、各企業がそれぞれのスタンダードを持っているので、それに日本も合わせてくれというニーズが多いということです。

○柴田メンバー

まず考え方として、ある人間がニューヨークで仕事をしていて、「次は東京に行ってくれ」と言われるとします。やはりニューヨークで仕事をしているときよりも良い机は東京では必要ないけれども、小さい机という訳にはいかない。そういう考え方で、やはりそれぞれの会社においてラテラルな人事異動、水平な人事異動がやりやすいということが大事なんだろうと、ほかの会社の方から聞いています。

我々、小さい会社ではありますが、オフィスを動かすときに、6つぐらいのプロジェクトチームをつくって、仕事の流れなどいろいろ議論させ、それでいろいろなアイデアを出してもらいました。「こんなものを要求していいんですか」というふうにお伺いがくると、「それはどんどん要求してください」というふうにやったわけです。

そこから出てきたテーマは、「投資をする会社ですから集中をしたい」、つまりコンセントレーションです。もう一つ、「投資をする会社ですから議論をしたい」、つまりコミュニケーションです。そこで、「コンセントレーションとコミュニケーション」という単純なテーマをつくって、両方やりやすいようなオフィス環境をつくったということです。

その中で、なぜか要求が出なかったのが机の大きさです。日本人は、狭いマンションに住んでも我慢できる民族ですから、広さについて要求をする習慣がない。そこで、少し無理をしても皆さんの仕事の量と質を考えて、机が紙に埋もれるようなここがないように、これはイニシアチブをとって机を広くしてみました。

例えば、無料のコーヒーショップ的なスペースを作りました。「日本の会社でコミュニケーションがあるのは、たばこ部屋の中だけだ」という悪口もありますので、「たばこ以外の場でもコミュニケーションができるようにしたい」という希望を形にしたものです。

また、カルチャーの観点ですが、外資系だとどうしても、本当に余裕がある場合はともかく、窓際を個室にしてしまって、大部屋部分は暗くなるというのがありました。これは嫌ですから、窓際も全部皆さんに開放ということを図りました。反対に、日本の会社ですと窓際に部長の席があるんですね。少しリラックスをしたいときに外を見ると、どうしても部長さんと目が合いますのでリラックスできないということもあり、部長の席は廃止してしまいました。

椅子については生産設備ですから、やはり「健康のために良いものを」ということで、人気投票で十幾つある候補のうちから3つ選んでもらい、あとは入札で一括購入、机も椅子も会社の中は全部同じというふうにしたわけです。これは、日本の戦後レジュームに対するアンチテーゼであるということと同時に、費用削減のテーマでもあったということです。

戦後レジュームというのは何かといいますと、机と椅子が地位の象徴であるということ。若いころ、自分が仕事をしているとき、大量の紙を左右に置いて読み合わせをしたりしましたが、B4の紙を2つ置けるスペースもなかった。部長さんはそういうことをやっていらっしゃらないけれども大きい机がある。これはやはり結構改善の余地があると何十年も思っていましたので、せっかく経営者の端くれになった機会に、やってみました。

それから椅子です。これもなぜ気がついたかといいますと、お医者さんの診断書を持ってきた人がいまして、「私は腰が悪いんです。したがって、良い椅子を貸してください」という話があって、会社の椅子が体に悪いのはちょっと変だなと思ってこれも変えてみました。

これが何でコスト削減に役立つかということなんですが、毎回、転勤を発表するたびに机の並べかえがあります。金がかかる。それが部長さんだとか課長さん方をインボルブする転勤だと、机を入れかえなければいけない。入れかえるために机の在庫があります。それから、椅子についても同じなんですね。

入れかえるために椅子の在庫があって、ひょっとしたらそれを管理している人もいるかもしれないし、倉庫代もかかっているということで、この小さい会社でも毎年、多分1,000万円ぐらい余計に金がかかっていたんだろうと思うわけです。これを廃止することによって、結果的に皆さんもハッピーになるし、健康にもいいし、金も思ったよりかからないということだと思うんです。

池尾先生のご質問ですが、これは仕事の流れでしょうかというと、どの会社も仕事の流れに見合ったオフィスはつくります。トレーディングルームというのは欧米と日本を問わずどの業者にもあります。金融に限っては、特にホールセールという分野においてですが、欧米の業者と日本の業者の仕事の流れが大きく違うという議論はできないだろうと思います。

それよりも、独特の戦後レジュームの地位に見合った机と椅子の大きさというのが、とりあえず今ある現象の根底なのではないかと思います。

○池尾座長

藤巻メンバー。

○藤巻メンバー

今の点について、もう少し私は思うところがあります。外資はオフィスにむちゃくちゃに金をかける。今、富裕層ビジネスをいろいろな銀行がやっていて、立派な応接室を作っていますが、外資の場合は、全部がそういう感じのオフィス仕様だと思うんです。ですから、私の感覚からすると、例えば使っている絨毯にしても質のレベルが違うのです。そうなると、外資のいろいろな企業が入ってくると、働いているのが外国人だろうと日本人だろうと、家具屋さんや設備屋さんなんかももうかってくるのかなと思います。

○藤原メンバー

このバブル後の外資の東京支店の人材の資料の2枚目ですけれども、私はどういう外国人が日本に来るのかということに関しましては、ちょっと違う意見を持っています。多分イギリスとかアメリカから日本に来る人たちというのは、本国にいるよりもいい生活ができるから、日本に来るのを承諾する場合が多いのではないかと思います。

本国では、例えばベッドルームが1つのアパートに住んでいる人たちも、日本に来るとベッドルームが3つのアパートに住めるようになると思います。子供はインターナショナルスクールに行き、それは会社が支払う。そういうのが80年代ぐらいからずっと続いていまして、それは私の目から見ると、日本の企業がイギリスに社員を送る場合の待遇と、東南アジアに送る場合の待遇が違うことに似ていると思います。例えば、ある企業は東南アジアに社員を転勤させる時は、奥さんにも車を与えるとか、一家族に2台車を与えるという具合に、イギリスに社員を送る時より待遇をよくしています。税金も代わりに会社が払います。だから外国人を日本に連れてくるというのは、1人当たりのコストが非常に高いのです。

彼ら外人のコストが高いので、1人帰すことで日本の優秀な人間を3人ぐらい雇えるのではないか、という話が広がり、外国人を帰し、その空きを日本人でリプレースという状況が、90年代に起こったのです。

もう一つ、私がちょっと違うのではないかなと思ったのは、日本は法人税とか所得税は欧米に比べ高いけれど、不動産価格はそれほど高くはないという点です。ところで、なぜ日本に来たがらないのか、また出先機関をなぜ作らないのかと言いますと、それは会社経営の立場からすると香港とかシンガポールの方が、アフタータックスの部分が多く残るからです。この税引後の数字に関しては、スタッフも同じで、アジア地域でアジアの出先機関をどこに置くのかというときに、日本ではなく香港に置いて、日本には出張ベースで行こうとなってしまうのです。

不動産環境をいくら良くし、インターナショナルスクールを充実させても、やはり税金のところがネックになり、外人の数は増えないと思います。増やしたい時は、やはり税金を下げないといけないと思います。お医者さんを充実させ、外人の賃貸マンションをつくっても、香港に住むバンカーは減らないと思います。

3つ目のオフィスにかけるお金の点ですが、これはブランド対策というか、やはり金融でも一流と一流ではないところでは違うと思います。外資系は、同じM&Aでも手数料が普通のところよりも2倍取るところもあります。こういう時に、オフィスが立派であるということは非常に大事です。

例えば、使えるのなら安い机でいいじゃないかという意見もあるでしょうが、そこをわざわざ高いオフィスの机とか高い絵を壁に掛けるというのは、そういうのがやはり高い手数料を請求できるという環境をつくり出すからです。だから、米系の投資銀行の会議室は立派なのです。

最後の点は、大部屋についてですが、80年代はイギリスの銀行には大部屋はありませんでした。80年代は、日本が世界を動かしているという感じでしたので、日本へはいろいろな方たちが出張してきました。彼らが日本の大部屋を見て、大部屋の方がコミュニケーションがすごく良くなると思うようになって、シティのオフィスは大部屋に改装されていったのです。

同じヨーロッパでも、フランスとイギリスではオフィスに関する考え方が違います。フランスの銀行などでは、誰が偉いか分からない時は、その人の部屋の窓の数を数えれば、分かると言われています。例えば課長だったら窓が1つで、部長になったら角部屋になって窓の数が2つになるという感じで、フランス的な偉さの見せ方だと私は思ってます。だから、窓のない会議室なんかにお客様を通すものなら、僕はこの銀行の人によく思われていないのではないかとガックリするお客もいます。

以上です。

○池尾座長

はい、どうぞ。

○クオメンバー

名前も出ましたので、何かコメントしなければいけないのかなと。大したコメントはないんですけれども、まずハードのインフラ面ですけれども、東京はもうトップであると思います。

競合相手の香港、シンガポール、ほかの金融センターに比べても、東京は本当にハード面ではワン・オブ・ザ・ベストというふうに言われていると思います。

ソフト面ですけれども、総合的にいうと、クオリティー・オブ・ライフという意味では、とてもいいというふうに思われていると思います。これは犯罪率ですとか、綺麗であるだとか、そういうことで、クオリティー・オブ・ライフもとてもいいというふうに思われているということだと思います。

インターナショナルスクールに関してですが、クオリティーのコメントがありましたけれども、おっしゃるとおり、このままであると、私みたいな者しかできないのは大きな問題かなと思うんですけれども、クオリティーだけではなく、クオンティティ、これは数も足りていないということなので、クオリティーだけではなく、クオンティティというのも考えるべきかなと。

医療面ですけれども、もちろん英語が話せるファミリードクター制云々というのはとても重要だと思うんですが、あとはとても高度なトリートメント、複雑な手術になるとやはり日本ではない、海外に行く、戻らなければ得られないという状況が続いていると思います。海外なんかでは、ハイコストを払えばハイレベルのサービスを得られるという状況と少し違うということだと思います。

住環境ですけれども、きっとご指摘されているよりも、今は以前と違って、とてもニーズが分散されている。いろいろなニーズがあると思うので、外国人イコールこういうものだということでは、以前と違って、ちょっとその辺は変わってきているのかなと思います。

最後に、よく聞く声としては、家事手伝い、よくフィリピン人のメイドさんというのは、香港とかシンガポールに行くといますけれども、最近このスポンサーをするのにとてもハードルが高くなっている。本当のトップのトップのマネジメントでないと、スポンサーはできない、中堅レベルの外国人だとスポンサーができなくなっているので、この辺はよく大声で皆さんが文句を言っているポイントではないかというふうに思います。

以上です。

○池尾座長

ありがとうございました。

○若松メンバー

今プロの立場から、例えば外資の方がオフィスとして求められる需要、それの要望、それから奥さん、家族を連れて来られる場合のいろいろな課題を、教育など列挙されました。例えば先ほど必ずオフィスを内装して仕上げてから渡さなければいけないとか、そういった点は何か契約の段階で、例えば最近のマンションでも注文でかなり変えられるように、入られる企業さんに合った形で、最初からそこのオフィス、フロアーは設計するといったことができないのかなとは思うんですが、多分、そこには法律面とか制度面とかいろいろ世界基準でのグローバル手法になかなかできない日本の一つの壁があるのかなという気はするんです。

質問としては、せっかくの機会ですので、プロの立場から大胆に、具体的にこうすれば一歩でもそういうグローバルな仕様に近づく、こういう法律とかこういう点を改善していけば、そこのところは少しでも日本は一歩前進できるんだと。何かそういう具体的な提言なり、提案なりあったら、ちょっと伺わせていただけたらなと思うんですがいかがでしょうか。

○檀野メンバー

オフィスの仕上げについては、例えば、建築確認をとって、建物をつくっていきますが、今は需給が非常にタイトなのでビルが竣工するかなり前からテナントさんが決まっている場合があります。そういう場合は、テナントさんの希望に応じて内装仕様、それから設備関係まで変えて、竣工時にテナントさんの希望の仕様になった形で完成をすることも可能です。しかしながら、多くのケースで、テナントさんの内装工事がちょうど建物の竣工と合うような形ででき上がるというのは非常に難しく、テナントさんのご都合もあって、例えば引越し時期とかそういうのも変わってくるし、元々いらっしゃるところの契約もまだ残っているということで、時期が遅れたりします。するとやはり、ビルの竣工にあわせてテナントさんの仕様につくり変えられなくなり、私ども標準仕様と言っていますけれども、こういった標準仕様のままで一度お引き渡しをした上で、テナントさんにそこの内装を全部変えてもらう必要があるというのが現状のシステムになってしまっています。

先ほどお話ししました、消防法の関係もあって非常に難しいというのは私も理解はしているんですけれども、例えば内装を全然やらずに建物としての検査を通って、これで使っていいよということになると、そこをテナントさんの方で全部やってもらうことになり、コストも二重にならず、環境負荷もかからず、期間も短くて済みます。このように、制度面である程度柔軟性があったら、もう少しやりやすくなるのかなと思っています。

普通の既存のビルといいますか、新築ではないビルであれば、テナントさんが退去したときには、元に戻してもらうという約束になっています。あるテナントさんが退去した後にもすぐ次のテナントさんが決まっていて、その方が必要とする内装工事とかそういったものが事前にわかっているのであれば、前のテナントさんから新しいテナントさんに移るときに、一度標準仕様にしないで、中間省略でつくることはできるんですけれども、これも非常に稀なケースでタイミングが難しい。やはり一度標準仕様に変えて1回完結をして、それをまた壊して新しいデザインの内装にするといった作業が必要になります。

こういったところも、我々も改善していかなければいけないところもあると思いますけれども、やはりレギュレーション上柔軟に対応できるものがあれば、解決できるのではないかなと思っております。

○池尾座長

追加的に何かあればお願いしたいと思います。

○冨川参考人

竣工検査済み証については、全く同感でございます。

ニューヨークなどでは、サティスフィケーテッド・オキュパンシーというのは、ビル全体が空っぽのときのサティスフィケーテッド・オキュパンシーと、それからテナント工事をやった後のサティスフィケーテッド・オキュパンシーが違いますので、そこは全く同感でございます。

それから、大胆ではないんですが、提言としましては、やはりミッドタウンプロジェクトというのが六本木にございますけれども、あのプロジェクトに代表されるスピードと、どこににぎわい商業を持ってくるか、どこにホテルを持ってくるか、ホテルのアフォーダビリティ、商業のアフォーダビリティを考えて容積率を頂戴しているというあたりの規制緩和ですね。このスピードと容積率というのは、やはりクオさんが言ったダイバーシティのある需要に応えるために、あるいは物すごく高度な医療を自由診療で払ってくれる方がどれぐらいいらっしゃるかわかりませんけれども、少ないかもしれないけれども払ってくださる方のために、クリニックを設けるための床を提供するためには、そのための容積率が必要であり、あるいは全体のプロジェクトの中のスピードが今まで6年、7年かかっていたものが3年、4年でできるようになれば、アフォーダビリティが増すわけで、そういうスペースも提供できるわけですね。

ですから、東京でまだ再開発プロジェクトというのは幾つかございますけれども、そういうプロジェクトの中で、今までの都市再生特別措置法の流れの中で、引き続きそのようなスピードと容積率の考え方みたいなものが適用されれば、我々デベロッパーとしても、国際金融センター東京にふさわしい施設を我々のプロジェクトの中の一部に提供できるということは言えると思います。

○池尾座長

ありがとうございました。

それでは、はい。

○宇波メンバー

すみません、ちょっと毛色の違った質問になると思うんですけれども、2つばかり質問がございます。今までのお話を伺っていますと、短期的な滞在という意味ではかなり整っている、設備も整っていると。

それから、クオさんのお話などでは、長期的な滞在の中でもある程度の設備が整ってきていると思うのですけれども、決定的に長期的な滞在を考えたときには、解消できないテーマというか、災害のリスクですね。やはり、日本独自のリスクというか、地震が絶対に起こるという、そういったところが避け切れないというか、確率的に起こるというのですかね。その点について、まずは外国から来る方がそのリスクについて、どういうふうに考えているのかというところを、接していらっしゃる方から伺いたい。それから檀野さんからお話がありましたけれども、ビジネス・コンティニュイティ・プランだけではなくて、ディストリクト・コンティニュイティ・プランのような形で、地域的な防災みたいなことを考えていくといったお話しをされたと思うのですけれども、具体的にお話しいただけるような例があれば、それを聞かせていただきたいというのがご質問でございます。

○池尾座長

それでは、その地震リスクの話をお願いいたします。

○檀野メンバー

個人のお客様の意識というのは、冨川さんの方が詳しいかもしれませんけれども、外国の企業の地震に対する防災の関心度というのは非常に高い。日本は地震があり得るんだということは十分ご承知の上で仕事をされている。

それについて、ビル側もしくはエリアでどう対応しているかということに関するヒアリングは、非常に細かいものがあり、それに応じるため私どもは対策を立てております。

千代田区の考え方なんですけれども、千代田区には耐震性能の高い建物が多いということもございまして、震災が起こったときは、そこにとどまるということが基本的な考え方になっております。したがって、私どもの大丸有地区でも、そこに就業されている方々は、震災が起こったときは、基本的にはその場所に一旦はとどまって、それから自分の行き先をどうするかということが決められることとなっております。だから、就業中にオフィスで大地震に遭ったときはどうするかというと、一旦とどまった上で、そこが危険であれば一時的な避難場所として皇居前広場などに誘導していって避難をしてもらうということになっています。

そういったものをやはり、テナントさん側に十分説明をして、日々の訓練でそういうシステムがあるということを認知していただいて、身につけていただくという活動をやっております。

一番大きなものは、千代田区の場合は、昼間人口と夜間人口の比率が大きく違っておりまして、帰宅困難者が多く発生するだろうということで、千代田区の方も頭を悩ませています。これは、行政の方も考えておりますけれども、基本的には大企業が集積している大丸有地区については、そこで考えてくれというのが一番最初の考え方で、私どもの方では帰宅困難者向けの食料品の備蓄であったり、トイレを直接下水に流せるような浄化装置のついた簡易トイレを設置したり、そういったものでエリアでもって帰宅困難者を一時的に抱えられるような考え方もとっていますし、そういうものもテナントさんに周知をしているといったところでございます。

これは、ビル単体ではなかなかできないところでございますので、エリアにいろいろなビルをお持ちの方々が連携して、私ども「隣組」と言っていますけれども、そういう「隣組」の方で足りないところはお互い補完し合いながらエリア防災をやっていこうという考え方で、今進めておるというところでございます。

○冨川参考人

海外の金融機関の方が、個人としてどう思われているかというのはちょっとよくわからないんですが、基本的に日本の不動産にローンを出したり、あるいは日本の不動産を買っていらっしゃる海外の金融機関の投資家の方々は、日本の地震のことを非常によく理解していますし、プロパビリティ・マキシマム・オブ・ロスというPML値をはかってローンを出しているとか、掛け値を決めているとか、ポートフォリオで地震の際のバリューのリクラインを考えて融資をしているというようなことをやっていらっしゃいまして、基本的にそこのところは乗り越えていらっしゃるというふうに理解しております。

それから、日本のインターナショナルスクールでは、毎月のように地震の訓練をやっていまして、そのおかげでお母さんたちもかなり啓蒙され、それをお母さんたちは非常に評価しているという事実はあると思います。

○藤原メンバー

私は、阪神大震災のときに、東京の外資系金融機関の在日代表をしていたんですが、びっくりしたことが2つありました。これは外国人の方たちが地震のときにどういう行動をとるのかという例になるのではないかと思います。

まず私がびっくりしたのは、地震が起こった次の日に、頭取から私に直接電話が来て、私は無事かと聞かれました。地震は大阪の方で、私は東京だから大丈夫だと言ったのですが、よく分かってもらえない感じでした。銀行のトップから電話をもらうとは思わなかったので、私は非常にびっくりしました。

2つ目は、阪神大震災のときに、奥様たちはビルではない家に住んでいる関係で不安になり、知っている方の1人は、英国人の奥様がこういう国には住めないと言って、本当に帰ったんです。日本は地震国なので、子供たちや奥さんも含めて、地震の訓練をした方がいいと思います。また、年に1回位奥様たちを集めて、地震の講座みたいなものを不動産会社が提供してもいいかもしれません。

以上です。

○池尾座長

何かありますか。

○檀野メンバー

今のお話で、私もオフィスを提供するとともに、住宅も提供している会社でございまして、三井不動産さんもそうでございますので、その辺のどちらかというと、ビジネスをどう続けるかとか、それからビジネスをしているときに災害に遭ったときにどうするかという観点は比較的あるんですけれども、お住まいになっている外国人の方が震災に遭ったときどうするのかといったことについては、もう少し課題として取り上げて、我々なりにスタディして、実施に移していく必要があるのかなというのは感じました。また別の機会にもっと考えていきたいと思っております。

○池尾座長

それでは、そろそろ時間ですので、まだいろいろとあるかもしれませんが、本日は非常に興味深いお話を提供いただきまして、檀野メンバー、それから冨川さん、どうもありがとうございました。

それでは、本日の議論はこれぐらいにしたいのですが、最後に次回の日程等につきまして、事務局よりご連絡いただきたいと思います。

○三井市場課長

次回の第12回となります6月1日金曜日、夕方の4時半から7時を予定しています。

前半、後半を分けまして、前半では企業年金連合会の鹿毛雄二様から機関投資家の役割についてのプレゼンテーション、それから後半については、決済システムについてのプレゼンテーションということで、麗澤大学教授の中島真志さん、総合研究開発機構の犬飼重仁さんからプレゼンテーションをいただく予定でございます。

○池尾座長

そうすると、次回は6月1日で2時間半といつもより30分長目で2部構成でやるということですので、よろしくお願いいたします。

それでは、以上をもちまして、本日の会議は終了させていただきます。

どうもありがとうございました。

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